JP7303319B2 - 熱伝導材料の製造方法、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス - Google Patents

熱伝導材料の製造方法、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導材料の製造方法、熱伝導材料、熱伝導シート、及び、熱伝導層付きデバイスに関する。
パーソナルコンピュータ、一般家電、及び自動車等の様々な電気機器に用いられているパワー半導体デバイスは、近年、小型化が急速に進んでいる。小型化に伴い高密度化されたパワー半導体デバイスから発生する熱の制御が困難になっている。
このような問題に対応するため、パワー半導体デバイスからの放熱を促進する熱伝導材料が用いられている。
例えば、特許文献1には放熱性に優れるエポキシ樹脂組成物として「半導体素子の封止に用いられ、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂系硬化剤(B)、無機充填材(C)及び離型剤(D)を含むエポキシ樹脂組成物であって、前記フェノール樹脂系硬化剤(B)が下記一般式(1)で示されるフェノール樹脂を含み、前記無機充填材(C)が球状アルミナを含み、前記離型剤(D)がグリセリントリ脂肪酸エステルを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物」が公開されている。
Figure 0007303319000001
特開2008-297530号公報
一方で、近年、充填剤を含有しないか、又は、充填剤を含有するとしてもその含有量が低減されている組成物を用いて熱伝導材料を形成する需要が高まりつつある。
そこで、本発明は、充填剤の含有量が低減された熱伝導材料形成用組成物を用いて、熱伝導性に優れた熱伝導材料を与え得る熱伝導材料の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、熱伝導材料、熱伝導シート、及び、熱伝導層付きデバイスを提供することをも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
〔1〕
一般式(P0)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含み、
上記フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、上記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比が、40/60~60/40であり、
充填剤を含まないか、又は、上記充填剤を含む場合は、上記充填剤の含有量が、全固形分に対して、10質量%以下である、熱伝導材料形成用組成物を用いた、熱伝導材料の製造方法であって、
無加圧下にて、高速液体クロマトグラフィーを用いた測定方法に基づいて、前記フェノール化合物のうち1~90%が残存するように、上記熱伝導材料形成用組成物に対して予備硬化処理を施して、予備硬化物を得る、予備硬化工程、及び、
0.1MPa以上の圧力下にて、上記予備硬化物に対して本硬化処理を施して、熱伝導材料を得る、本硬化工程、を含む、熱伝導材料の製造方法。
Figure 0007303319000002
一般式(P0)中、RP1~RP5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、RP1及びRP5の少なくとも一方は、置換基を表す。
〔2〕
上記本硬化工程において、0.5~10MPaの圧力下にて、上記予備硬化物に対して上記本硬化処理を施す、〔1〕に記載の熱伝導材料の製造方法。
〔3〕
上記一般式(P0)で表される化合物の水酸基含有量が、12.0mmol/g以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の熱伝導材料の製造方法。
〔4〕
上記一般式(P0)で表される化合物の分子量が、400以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の熱伝導材料の製造方法。
〔5〕
上記熱伝導材料形成用組成物が、更に、硬化促進剤を含む、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の熱伝導材料の製造方法。
〔6〕
一般式(P0)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含み、
上記フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、上記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比が、40/60~60/40であり、
充填剤を含まないか、又は、上記充填剤を含む場合は、上記充填剤の含有量が、全固形分に対して、10質量%以下である、熱伝導材料形成用組成物を、硬化してなる熱伝導材料であって、
赤外分光分析した際の、1610cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比が、0.06以下である、熱伝導材料。
Figure 0007303319000003
一般式(P0)中、RP1~RP5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、RP1及びRP5の少なくとも一方は、置換基を表す。
〔7〕
上記一般式(P0)で表される化合物の水酸基含有量が、12.0mmol/g以上である、〔6〕に記載の熱伝導材料。
〔8〕
上記一般式(P0)で表される化合物の分子量が、400以下である、〔6〕又は〔7〕に記載の熱伝導材料。
〔9〕
更に、硬化促進剤を含む、〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の熱伝導材料。
〔10〕
〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の熱伝導材料からなる、熱伝導シート。
〔11〕
デバイスと、上記デバイス上に配置された〔10〕に記載の熱伝導シートを含む熱伝導層とを有する、熱伝導層付きデバイス。
本発明によれば、充填剤の含有量が低減された熱伝導材料形成用組成物を用いて、熱伝導性に優れた熱伝導材料を与え得る熱伝導材料の製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、熱伝導材料、熱伝導シート、及び、熱伝導層付きデバイスをできる。
以下、本発明の熱伝導材料の製造方法、熱伝導材料、熱伝導シート、及び、熱伝導層付きデバイスについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、置換又は無置換を明記していない置換基等については、可能な場合、目的とする効果を損なわない範囲で、その基に更に置換基(例えば、後述する置換基群Y)を有していてもよい。例えば、「アルキル基」という表記は、目的とする効果を損なわない範囲で、置換又は無置換のアルキル基(置換基を有してもよいアルキル基)を意味する。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」という場合の置換基の種類、置換基の位置、及び置換基の数は特に制限されない。置換基の数としては、例えば、1個、又は、2個以上が挙げられる。置換基としては、例えば、水素原子を除く1価の非金属原子団が挙げられ、以下の置換基群Yから選択される基が好ましい。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基群Y:
ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I等)、水酸基、アミノ基、カルボン酸基及びその共役塩基基、無水カルボン酸基、シアネートエステル基、不飽和重合性基、エポキシ基、オキセタニル基、アジリジニル基、チオール基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アルデヒド基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアルキルウレイド基、N’-アリールウレイド基、N’,N’-ジアリールウレイド基、N’-アルキル-N’-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N’-アルキル-N-アルキルウレイド基、N’-アルキル-N-アリールウレイド基、N’,N’-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N’-アリール-N-アルキルウレイド基、N’-アリール-N-アリールウレイド基、N’,N’-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアリール-N-アリールウレイド基、N’-アルキル-N’-アリール-N-アルキルウレイド基、N’-アルキル-N’-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、N-アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(-Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(-Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(-Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(-PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(-PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(-PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(-PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(-POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(-POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(-OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(-OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(-OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(-OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(-OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(-OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルキル基。また、上述の各基は、可能な場合、更に置換基(例えば、上述の各基のうちの1以上の基)を有してもよい。例えば、置換基を有してもよいアリール基も、置換基群Yから選択可能な基として含まれる。
置換基群Yから選択される基が炭素原子を有する場合、上記基が有する炭素数としては、例えば、1~20である。
置換基群Yから選択される基が有する水素原子以外の原子の数としては、例えば、1~30である。
また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、又は置換している基と結合して環を形成してもよいし、していなくてもよい。例えば、アルキル基(又は、アルコキシ基のように、アルキル基を部分構造として含む基におけるアルキル基部分)は、環状のアルキル基(シクロアルキル基)でもよく、部分構造として1以上の環状構造を有するアルキル基でもよい。
[熱伝導材料の製造方法]
本発明の熱伝導材料の製造方法は、後述する一般式(P0)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含み、
上記フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、上記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比が、40/60~60/40であり、
充填剤を含まないか、又は、上記充填剤を含む場合は、上記充填剤の含有量が、全固形分に対して、10質量%以下である、熱伝導材料形成用組成物を用いた、熱伝導材料の製造方法であって、
無加圧下にて、高速液体クロマトグラフィーを用いた測定方法に基づいて、前記フェノール化合物のうち1~90%が残存するように、上記熱伝導材料形成用組成物に対して予備硬化処理を施して、予備硬化物を得る、予備硬化工程、及び、
0.1MPa以上の圧力下にて、上記予備硬化物に対して本硬化処理を施して、熱伝導材料を得る、本硬化工程、を含む、熱伝導材料の製造方法である。
本発明の組成物が、上記のような構成で本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、本発明の熱伝導材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも言う)では、一般式(P0)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含む熱伝導材料形成用組成物(以下、単に「組成物」とも言う)を使用する。一般式(P0)で表される化合物は、ベンゼン環基上で、置換基に隣接して存在するフェノール性水酸基(オルト置換水酸基)を有する化合物である。本発明者らは、このようなオルト置換水酸基をも架橋点として使用しながら架橋構造を構築すれば緻密な熱伝導パスを構築することができ、得られる熱伝導材料の熱伝導性の改善につながると考えた。一方で、本発明者らは、オルト置換水酸基は立体障害等の影響で反応性が低く、単に熱硬化処理を施しても反応率が低くなりがちであることを知見した。
そこで、本発明の製造方法では、組成物の硬化処理を、予備硬化工程と、本硬化工程とに分けることで、オルト置換水酸基の反応を促進し、オルト置換水酸基が有効に架橋点として作用しやすいように調整している。
具体的には、まず、無加圧で行われる予備硬化処理によってフェノール性水酸基を部分的に反応させて、次工程で行われる加圧下の処理(本硬化処理)で、オルト置換水酸基が効率よく反応できるように調整した予備硬化物を得る(予備硬化工程)。
次に、加圧下での処理(本硬化処理)によって、残ったオルト置換水酸基を有効に反応させて熱伝導材料を得る(本硬化工程)。
通常、熱伝導材料形成用組成物を硬化させる際の加圧は、組成物が充填剤を含む系において硬化物(熱伝導材料)中に充填剤由来のボイド(空隙)が生じてしまうことを回避するためになされる場合が多い。そのため、充填剤を含まない系(又は、充填剤の含有量が少ない系)の組成物を硬化させる際には、ボイド(空隙)を懸念する必要がなく、加圧は不要なものと考えられて実施されない場合が多かった。これに対して、本発明者らは、組成物を予備硬化物とした後に敢えて加圧下での本硬化処理を行うことで、置換基に隣接する位置のフェノール性水酸基を有効に反応させられ、熱伝導材料の熱伝導性を向上できた、と推測している。
以下では、まず、本発明の製造方法において使用される組成物に含まれる成分について説明し、その後、本発明の製造方法における各工程について説明する。
〔組成物(熱伝導材料形成用組成物)〕
<フェノール化合物>
本発明で使用される組成物はフェノール化合物を含む。
フェノール化合物は少なくとも1個(好ましくは2個以上)のフェノール性水酸基を有する化合物である。
上記フェノール化合物は、一般式(P0)で表される化合物(一般式(P0)で表されるフェノール化合物)を含む。
一般式(P0)は以下に示される。
Figure 0007303319000004
一般式(P0)中、RP1~RP5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、RP1及びRP5の少なくとも一方は、置換基を表す。
一般式(P0)中に明示される水酸基には、少なくとも1個の置換基がベンゼン環基上で隣接して存在している。つまり、上記水酸基は、上記置換基に対してオルト配位で存在している。
このようなベンゼン環基上において、水酸基の両隣のうちの少なくとも一方が水素原子以外の基である上記水酸基を、オルト置換水酸基とも言う。なお、ベンゼン環基上で、2個の水酸基同士が互いに隣り合って配置されている場合、上記2個の水酸基の両方共がオルト置換水酸基である。
一般式(P0)で表される化合物は、フェノール性水酸基を2以上(そのうちの少なくとも1つはオルト置換水酸基である)有する化合物であるのが好ましく、オルト置換水酸基を2つ以上有する化合物であるのがより好ましい。
また、一般式(P0)で表される化合物は、複数(好ましくは2~6個)のベンゼン環基を有し、そのうちの2以上のベンゼン環基(好ましくは過半数のベンゼン環基、より好ましくは全てのベンゼン環基)がそれぞれオルト置換水酸基を有しているのも好ましい。
一般式(P0)で表される化合物は、一般式(P1)で表される化合物であるのが好ましい。
一般式(P1)を以下に示す。
Figure 0007303319000005
一般式(P1)中、ベンゼン環基上で水素原子以外の基に隣接して存在する水酸基が少なくとも1個(好ましくは1~9個)存在する。
一般式(P1)中、m1は0以上の整数を表す。
m1は、0~10が好ましく、0~3がより好ましく、0又は1が更に好ましく、1が特に好ましい。
一般式(P1)中、Arは、芳香環基を表す。Arは、ベンゼン環基又はナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。
一般式(P1)中、naは、0以上の整数を表す。
naは、0~8が好ましく、1~4がより好ましい。
なお、Arがベンゼン環基の場合、naは0~4の整数であり、Arがナフタレン環基の場合、naは0~7の整数である。
一般式(P1)中、Rは、水酸基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
は、水酸基又はハロゲン原子が好ましく、水酸基又は塩素原子がより好ましく、水酸基が更に好ましい。
が複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(P1)中に、水酸基を表すRが1~2個存在するのも好ましい。
一般式(P1)は、下記条件Aを満たすのも好ましい。
条件A:Arがベンゼン環基であり、上記ベンゼン環基上において、Arと結合している一般式(P1)中に明示される水酸基が、複数存在してもよいRの少なくとも1つと隣接して存在すること、及び、Arがベンゼン環基であり、上記ベンゼン環基上において、Arと結合している一般式(P1)中に明示される水酸基が、LX1との結合位置と隣接して存在すること、の一方又は両方を満たす。
一般式(P1)中、Arは、芳香環基を表す。Arは、ベンゼン環基又はナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。
一般式(P1)中、nbは、0以上の整数を表す。
nbは、0~8が好ましく、1~4がより好ましい。
なお、Arがベンゼン環基の場合、nbは0~4の整数であり、Arがナフタレン環基の場合、nbは0~7の整数である。
一般式(P1)中、Rは、水酸基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
は、水酸基又はハロゲン原子が好ましく、水酸基又は塩素原子がより好ましく、水酸基が更に好ましい。
が複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(P1)中に、水酸基を表すRが1~2個存在するのも好ましい。
一般式(P1)は、下記条件Bを満たすのも好ましい。
条件B:Arがベンゼン環基であり、上記ベンゼン環基上において、Arと結合している一般式(P1)中に明示される水酸基が、複数存在してもよいRの少なくとも1つと隣接して存在すること、及び、Arがベンゼン環基であり、上記ベンゼン環基上において、Arと結合している一般式(P1)中に明示される水酸基が、LX2(m1が0である場合はLX1)との結合位置と隣接して存在すること、の一方又は両方を満たす。
一般式(P1)中、ncは、0又は1の整数を表す。ncは、1が好ましい。
一般式(P1)中、ndは、0~4の整数を表す。ndは、1が好ましい。
なお、nc+ndは、0~4の範囲である。
一般式(P1)中、Qは、水酸基、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。
ただし、ncが0の場合、Qは、水酸基以外の基(アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基)を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
上記フェニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
ndが2以上の場合、(Qnd中に複数存在するQは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ncが1以上かつndが1以上の場合、(Qndが結合するベンゼン環基上において、少なくとも1組のOH(水酸基)とQとが、互いにパラ位に存在しているのも好ましい。
なお、m1が2以上の場合、複数存在する括弧[ ]でくくられる構造部位はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。つまり、m1が2以上の場合、複数存在する(OH)nc、(Qnd、及び/又は、LX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(P1)は、下記条件Cを満たすのも好ましい。
条件C:m1が1以上の整数であり、m1個存在する、括弧[ ]でくくられる構造部位の少なくとも1つ(好ましくは過半数、より好ましくは全部)において、(OH)ncにおけるncが1を表し、上記(OH)ncが結合するベンゼン環基上での、上記(OH)ncの両隣(オルト位)の一方又は両方に、Q、LX2、及び/又は、LX1が配置されている。
一般式(P1)中、Lx1は、単結合、-C(R)(R)-、又は、-CO-を表し、-C(R)(R)-又は-CO-が好ましい。
x2は、単結合、-C(R)(R)-、又は、-CO-を表し、-C(R)(R)-、又は、-CO-が好ましい。
~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
上記置換基は、それぞれ独立に、水酸基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基が好ましく、水酸基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基がより好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
上記フェニル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基を有する場合は1~3つの水酸基を有するのがより好ましい。
~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基が好ましく、水素原子がより好ましい。
x1及びLx2は、それぞれ独立に、-CH-、-CH(OH)-、又は、-CO-が好ましく、-CH-がより好ましい。
なお、一般式(P1)中に、Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(P1)で表される化合物は、上述の条件A、条件B、及び、条件Cのうち、少なくとも1つを満たすのが好ましく、少なくとも2つを満たすのがより好ましく、全部を満たすのが更に好ましい。
一般式(P0)で表される化合物の他の例としては、カテコール、1,2,4-ベンゼントリオール、及び、1,2,3-ベンゼントリオール等の、オルト置換水酸基を有するポリヒドロキシベンゼンも挙げられる。
一般式(P0)で表される化合物(好ましくは一般式(P1)で表される化合物)の分子量は、600以下が好ましく、400以下がより好ましい。上記分子量の下限は、110以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が更に好ましい。
一般式(P0)で表される化合物(好ましくは一般式(P1)で表される化合物)のフェノール性水酸基含有量の下限値は、8.0mmol/g以上が好ましく、12.0mmol/g以上がより好ましい。上限値は、25.0mmol/g以下が好ましい。
なお、上記フェノール性水酸基含有量は、フェノール化合物1gが有する、フェノール性水酸基の数を意図する。
フェノール化合物は、一般式(P0)で表される化合物以外のフェノール化合物であるその他のフェノール化合物を含んでもよい。
一般式(P0)で表される化合物(好ましくは一般式(P1)で表される化合物)の含有量は、フェノール化合物の全質量に対して、20~100質量%が好ましく、55~100質量%がより好ましく、85~100質量%がより好ましい。
一般式(P0)で表される化合物(好ましくは一般式(P1)で表される化合物)は、1種単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。
上記その他のフェノール化合物としては、例えば、一般式(P0)で表される化合物以外の、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、又は、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂等も挙げられる。
フェノール化合物全体としての水酸基含有量の下限値は、8.0mmol/g以上が好ましく、12.0mmol/g以上がより好ましい。上限値は、25.0mmol/g以下が好ましい。
また、フェノール化合物は、フェノール性水酸基以外にも、エポキシ化合物と重合反応できる活性水素含有基(カルボン酸基等)を有していてもよいし、有していなくてもよい。フェノール化合物全体としての活性水素の含有量(フェノール性水酸基及びカルボン酸基等における水素原子の合計含有量)の下限値は、8.0mmol/g以上が好ましく、12.0mmol/g以上がより好ましい。上限値は、25.0mmol/g以下が好ましい。
フェノール化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
なお、本発明で使用される組成物は、フェノール化合物以外にも、後述のエポキシ化合物と反応可能な基を有する化合物(「その他の活性水素含有化合物」ともいう)を含んでもよい。
ただし、本発明で使用される組成物において、フェノール化合物の含有量に対する、その他の活性水素含有化合物の含有量の質量比は、0~1が好ましく、0~0.1がより好ましく、0~0.05が更に好ましい。
<エポキシ化合物>
本発明で使用される組成物はエポキシ化合物を含む。
エポキシ化合物は、1分子中に、少なくとも1つのエポキシ基(オキシラニル基)を有する化合物である。
上記エポキシ基は、オキシラン環から1以上の水素原子(好ましくは1の水素原子)を除いてなる基である。上記エポキシ基は、可能な場合、更に置換基(直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~5のアルキル基等)を有していてもよい。
エポキシ化合物が有するエポキシ基の数は、1分子中、2以上が好ましく、2~40がより好ましく、2~10が更に好ましく、2が特に好ましい。
エポキシ化合物の分子量は、150~10000が好ましく、150~2000がより好ましい。
エポキシ化合物のエポキシ基含有量は、2.0~20.0mmol/gが好ましく、5.0~15.0mmol/gがより好ましい。
なお、上記エポキシ基含有量は、エポキシ化合物1gが有する、エポキシ基の数を意図する。
エポキシ化合物は、芳香環基(好ましくは芳香族炭化水素環基)を有するのも好ましい。
エポキシ化合物は、液晶性を示してもよく示さなくてもよい。
つまり、エポキシ化合物は、液晶化合物であってよい。言い換えれば、エポキシ基を有する液晶化合物であってもよい。
エポキシ化合物(液晶性のエポキシ化合物であってもよい)としては、例えば、少なくとも部分的に棒状構造を含む化合物(棒状化合物)、及び、少なくとも部分的に円盤状構造を含む化合物(円盤状化合物)が挙げられる。
以下、棒状化合物及び円盤状化合物について詳述する。
(棒状化合物)
棒状化合物であるエポキシ化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及び、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。以上のような低分子化合物だけではなく、高分子化合物も使用できる。上記高分子化合物は、低分子の反応性基を有する棒状化合物が重合した高分子化合物である。
好ましい棒状化合物としては、下記一般式(XXI)で表される棒状化合物が挙げられる。
一般式(XXI):Q-L111-A111-L113-M-L114-A112-L112-Q
一般式(XXI)中、Q及びQはそれぞれ独立に、エポキシ基であり、L111、L112、L113、及び、L114はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。A111及びA112はそれぞれ独立に、炭素数1~20の2価の連結基(スペーサ基)を表す。Mはメソゲン基を表す。
及びQのエポキシ基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
一般式(XXI)中、L111、L112、L113、及び、L114はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
111、L112、L113、及び、L114で表される2価の連結基としては、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-NR112-、-CO-O-、-O-CO-O-、-CO-NR112-、-NR112-CO-、-O-CO-、-CH-O-、-O-CH-、-O-CO-NR112-、-NR112-CO-O-、及び、-NR112-CO-NR112-からなる群より選ばれる2価の連結基であるのが好ましい。上記R112は炭素数1~7のアルキル基又は水素原子である。
中でも、L113及びL114は、それぞれ独立に、-O-が好ましい。
111及びL112は、それぞれ独立に、単結合が好ましい。
一般式(XXI)中、A111及びA112は、それぞれ独立に、炭素数1~20の2価の連結基を表す。
2価の連結基は、隣接していない酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。中でも、炭素数1~12の、アルキレン基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基が好ましい。上記、アルキレン基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基がエステル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
2価の連結基は直鎖状であるのが好ましく、また、上記2価の連結基は置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、及び、臭素原子)、シアノ基、メチル基、及び、エチル基が挙げられる。
中でも、A111及びA112は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(XXI)中、Mはメソゲン基を表し、上記メソゲン基としては、公知のメソゲン基が挙げられる。中でも、下記一般式(XXII)で表される基が好ましい。
一般式(XXII):-(W-L115-W
一般式(XXII)式中、W及びWは、それぞれ独立に、2価の環状アルキレン基、2価の環状アルケニレン基、アリーレン基、又は、2価のヘテロ環基を表す。L115は、単結合又は2価の連結基を表す。nは、1~4の整数を表す。
及びWとしては、例えば、1,4-シクロヘキセンジイル、1,4-シクロヘキサンジイル、1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ナフタレン-1,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及び、ピリダジン-3,6-ジイルが挙げられる。1,4-シクロヘキサンジイルの場合、トランス体及びシス体の構造異性体のどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。中でも、トランス体が好ましい。
及びWは、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、上述した置換基群Yで例示された基が挙げられ、より具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子)、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、及び、プロピル基等)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、及び、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例えば、ホルミル基、及び、アセチル基等)、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、及び、エトキシカルボニル基等)、炭素数1~10のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、及び、プロピオニルオキシ基等)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、及び、ジフルオロメチル基等が挙げられる。
が複数存在する場合、複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(XXII)式中、L115は、単結合又は2価の連結基を表す。L115で表される2価の連結基としては、上述したL111~L114で表される2価の連結基の具体例が挙げられ、例えば、-CO-O-、-O-CO-、-CH-O-、及び、-O-CH-が挙げられる。
115が複数存在する場合、複数存在するL115は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XXII)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましい骨格を、以下に例示する。上記メソゲン基は、これらの骨格に置換基が置換していてもよい。
Figure 0007303319000006
Figure 0007303319000007
上記骨格の中でも、得られる熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点でビフェニル骨格が好ましい。
なお、一般式(XXI)で表される化合物は、特表平11-513019号公報(WO97/00600)に記載の方法を参照して合成できる。
棒状化合物は、特開平11-323162号公報及び特許4118691号に記載のメソゲン基を有するモノマーであってもよい。
中でも、棒状化合物は、一般式(E1)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 0007303319000008
一般式(E1)中、LE1は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
中でも、LE1は、2価の連結基が好ましい。
2価の連結基は、-O-、-S-、-CO-、-NH-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、置換意を有していてもよいアルキレン基、又は、これらの2以上の組み合わせからなる基が好ましく、-O-アルキレン基-又は-アルキレン基-O-がより好ましい。
なお上記アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれでもよいが、炭素数1~2の直鎖状アルキレン基が好ましい。
複数存在するLE1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、LE2は、それぞれ独立に、単結合、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-、-C(-CH)=CH-、-CH=C(-CH)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-N=N(-O)-、-N(-O)=N-、-CH=N(-O)-、-N(-O)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=C(-CN)-、又は、-C(-CN)=CH-を表す。
中でも、LE2は、それぞれ独立に、単結合、-CO-O-、又は、-O-CO-が好ましい。
E2が複数存在する場合、複数存在するLE2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、LE3は、それぞれ独立に、単結合、又は、置換基を有していてもよい、5員環若しくは6員環の芳香族環基又は5員環若しくは6員環の非芳香族環基、又は、これらの環からなる多環基を表す。
E3で表される芳香族環基及び非芳香族環基の例としては、置換基を有していてもよい、1,4-シクロヘキサンジイル基、1,4-シクロヘキセンジイル基、1,4-フェニレン基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル基、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基、及び、ピリダジン-3,6-ジイル基が挙げられる。1,4-シクロヘキサンジイル基の場合、トランス体及びシス体の構造異性体のどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。中でも、トランス体であるのが好ましい。
中でも、LE3は、単結合、1,4-フェニレン基、又は、1,4-シクロヘキセンジイル基が好ましい。
E3で表される基が有する置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は、アセチル基が好ましく、アルキル基(好ましくは炭素数1)がより好ましい。
なお、置換基が複数存在する場合、置換基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
E3が複数存在する場合、複数存在するLE3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、peは、0以上の整数を表す。
peが2以上の整数である場合、複数存在する(-LE3-LE2-)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
中でも、peは、0~2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
一般式(E1)中、LE4は、それぞれ独立に、置換基を表す。
置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は、アセチル基が好ましく、アルキル基(好ましくは炭素数1)がより好ましい。
複数存在するLE4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、次に説明するleが2以上の整数である場合、同一の(LE4le中に複数存在するLE4も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、leは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
中でも、leは、それぞれ独立に、0~2が好ましい。
複数存在するleは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
棒状化合物は、得られる熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点でビフェニル骨格を有するのが好ましい。
言い換えると、エポキシ化合物は、ビフェニル骨格を有するのが好ましく、この場合のエポキシ化合物は棒状化合物であるのがより好ましい。
(円盤状化合物)
円盤状化合物であるエポキシ化合物は、少なくとも部分的に円盤状構造を有する。
円盤状構造は、少なくとも、脂環又は芳香族環を有する。特に、円盤状構造が、芳香族環を有する場合、円盤状化合物は、分子間のπ-π相互作用によるスタッキング構造の形成により柱状構造を形成しうる。
円盤状構造として、具体的には、Angew.Chem.Int. Ed. 2012, 51, 7990-7993又は特開平7-306317号公報に記載のトリフェニレン構造、並びに、特開2007-2220号公報及び特開2010-244038号公報に記載の3置換ベンゼン構造等が挙げられる。
エポキシ化合物として円盤状化合物を用いれば、高い熱伝導性を示す熱伝導材料が得られる。その理由としては、棒状化合物が直線的(一次元的)にしか熱伝導できないのに対して、円盤状化合物は法線方向に平面的(二次元的)に熱伝導できるため、熱伝導パスが増え、熱伝導率が向上する、と考えられる。
上記円盤状化合物は、エポキシ基を3つ以上有するのが好ましい。3つ以上のエポキシ基を有する円盤状化合物を含む組成物の硬化物はガラス転移温度が高く、耐熱性が高い傾向がある。
円盤状化合物が有するエポキシ基の数は、8以下が好ましく、6以下より好ましい。
円盤状化合物の具体例としては、C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994)、及び特許第4592225号に記載されている化合物等において末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物が挙げられる。
円盤状化合物としては、Angew.Chem.Int. Ed. 2012, 51, 7990-7993、及び特開平7-306317号公報に記載のトリフェニレン構造、並びに特開2007-2220号公報、及び、特開2010-244038号公報に記載の3置換ベンゼン構造において末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物等が挙げられる。
円盤状化合物としては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、以下に示す式(D1)~(D16)のいずれかで表される化合物が好ましい。
まず、式(D1)~(D15)について説明し、その後、式(D16)について説明する。
なお、以下の式中、「-LQ」は「-L-Q」を表し、「QL-」は「Q-L-」を表す。
Figure 0007303319000009
Figure 0007303319000010
Figure 0007303319000011
Figure 0007303319000012
式(D1)~(D15)中、Lは2価の連結基を表す。
熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、Lは、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-、-S-、及び、これらの組み合わせからなる群より選ばれる基であるのが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-、及び、-S-からなる群より選ばれる基を2個以上組み合わせた基であるのがより好ましい。
上記アルキレン基の炭素数は、1~12が好ましい。上記アルケニレン基の炭素数は、2~12が好ましい。上記アリーレン基の炭素数は、10以下が好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、及び、アリーレン基は、置換基(好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、及び、アシルオキシ基等)を有していてもよい。
Lの例を以下に示す。以下の例では、左側の結合手が式(D1)~(D15)のいずれかで表される化合物の中心構造(以下、単に「中心環」ともいう)に結合し、右側の結合手がQに結合する。
ALはアルキレン基又はアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L101:-AL-CO-O-AL-
L102:-AL-CO-O-AL-O-
L103:-AL-CO-O-AL-O-AL-
L104:-AL-CO-O-AL-O-CO-
L105:-CO-AR-O-AL-
L106:-CO-AR-O-AL-O-
L107:-CO-AR-O-AL-O-CO-
L108:-CO-NH-AL-
L109:-NH-AL-O-
L110:-NH-AL-O-CO-
L111:-O-AL-
L112:-O-AL-O-
L113:-O-AL-O-CO-
L114:-O-AL-O-CO-NH-AL-
L115:-O-AL-S-AL-
L116:-O-CO-AL-AR-O-AL-O-CO-
L117:-O-CO-AR-O-AL-CO-
L118:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-
L119:-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-CO-
L120:-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-AL-O-CO-
L121:-S-AL-
L122:-S-AL-O-
L123:-S-AL-O-CO-
L124:-S-AL-S-AL-
L125:-S-AR-AL-
L126:-O-CO-AL-
L127:-O-CO-AL-O-
L128:-O-CO-AR-O-AL-
L129:-O-CO-
L130:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-AL-S-AR-
L131:-O-CO-AL-S-AR-
L132:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-AL-S-AL-
L133:-O-CO-AL-S-AR-
L134:-O-AL-S-AR-
L135:-AL-CO-O-AL-O-CO-AL-S-AR-
L136:-AL-CO-O-AL-O-CO-AL-S-AL-
L137:-O-AL-O-AR-
L138:-O-AL-O-CO-AR-
L139:-O-AL-NH-AR-
L140:-O-CO-AL-O-AR-
L141:-O-CO-AR-O-AL-O-AR-
L142:-AL-CO-O-AR-
L143:-AL-CO-O-AL-O-AR-
式(D1)~(D15)中、Qは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
置換基としては、上述した置換基群Yで例示される基が挙げられる。より具体的には、置換基としては、上記反応性官能基、ハロゲン原子、イソシアネート基、シアノ基、不飽和重合性基、エポキシ基、オキセタニル基、アジリジニル基、チオイソシアネート基、アルデヒド基、及び、スルホ基が挙げられる。
ただし、Qがエポキシ基以外の基である場合、Qはエポキシ基に対して安定であるのが好ましい。
なお、式(D1)~(D15)中、1つ以上(好ましくは2つ以上)のQは、エポキシ基を表す。中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、すべてのQがエポキシ基を表すのが好ましい。
なお、式(D1)~(D15)で表される化合物は、エポキシ基の安定性の点からは、-NH-を有さないのが好ましい。
式(D1)~(D15)で表される化合物の中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、式(D4)で表される化合物が好ましい。言い換えると、円盤状化合物の中心環はトリフェニレン環であるのが好ましい。
式(D4)で表される化合物としては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、式(XI)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007303319000013
式(XI)中、R11、R12、R13、R14、R15、及び、R16は、それぞれ独立に、*-X11-L11-P11、又は、*-X12-L12-Y12を表す。
なお、*はトリフェニレン環との結合位置を表す。
11、R12、R13、R14、R15、及び、R16のうち、2個以上は、*-X11-L11-P11であり、3個以上が*-X11-L11-P11であるのが好ましい。
中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、R11及びR12のいずれか1個以上、R13及びR14のいずれか1個以上、並びに、R15及びR16のいずれか1個以上が、*-X11-L11-P11であるのが好ましい。
11、R12、R13、R14、R15、及び、R16が、全て、*-X11-L11-P11であるのがより好ましい。加えて、R11、R12、R13、R14、R15、及び、R16が、全て同一であるのが更に好ましい。
11は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
中でも、X11は、それぞれ独立に、-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は、-NH-CO-O-が好ましく、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-NH-、又は、-CO-NH-がより好ましく、-O-CO-又は-CO-O-が更に好ましい。
11は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基の例としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、-NH-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~7が更に好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が更に好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び、ヘプチレン基が挙げられる。
上記アリーレン基としては、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、及び、アントラセニレン基が挙げられ、1,4-フェニレン基が好ましい。
上記アルキレン基及び上記アリーレン基はそれぞれ置換基を有していてもよい。置換基の数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。置換基の置換位置は特に制限されない。置換基としては、ハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記アルキレン基及び上記アリーレン基は無置換であるのも好ましい。中でも、アルキレン基は無置換であるのが好ましい。
-X11-L11-の例として、上述のLの例であるL101~L143が挙げられる。
11は、エポキシ基を表す。上記エポキシ基は置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
12は、X11と同様であり、好適な条件も同様である。
12は、L11と同様であり、好適な条件も同様である。
-X12-L12-の例として、上述のLの例であるL101~L143が挙げられる。
12は、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は-CO-O-で置換された基を表す。
12が、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は-CO-O-で置換された基の場合、Y12に含まれる水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換されていてもよい。
式(XI)で表される化合物の具体例については、特開平7-281028号公報の段落番号0028~0036、特開平7-306317号公報、特開2005-156822号公報の段落番号0016~0018、特開2006-301614号公報の段落番号0067~0072、及び、液晶便覧(平成12年丸善株式会社発刊)330頁~333頁に記載の化合物において、末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物が挙げられる。
式(XI)で表される化合物は、特開平7-306317号公報、特開平7-281028号公報、特開2005-156822号公報、及び、特開2006-301614号公報に記載の方法に準じて合成できる。
また、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、円盤状化合物として、式(D16)で表される化合物も好ましい。
Figure 0007303319000014
式(D16)中、A2X、A3X、及び、A4Xは、それぞれ独立に、-CH=又は-N=を表す。中でも、A2X、A3X、及び、A4Xは、それぞれ独立に、-CH=が好ましい。
17X、R18X、及び、R19Xは、それぞれ独立に、*-X211X-(Z21X-X212Xn21X-L21X-Qを表す。*は、中心環との結合位置を表す。
211X及びX212Xは、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
21Xは、それぞれ独立に、5員環若しくは6員環の芳香族環基、又は、5員環若しくは6員環の非芳香族環基を表す。
21Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、式(D1)~(D15)におけるQと同義であり、好ましい条件も同様である。式(D16)中、複数存在するQのうち、少なくとも1つ(好ましくは全部)のQは、エポキシ基を表す。
n21Xは、0~3の整数を表す。n21Xが2以上の場合、複数存在する(Z21X-X212X)は、同一でも異なっていてもよい。
ただし、式(D16)で表される化合物は、エポキシ基の安定性の点からは、-NH-を有さないのが好ましい。
式(D16)で表される化合物としては、式(XII)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007303319000015
式(XII)中、A、A、及び、Aは、それぞれ独立に、-CH=又は-N=を表す。中でも、A、A、及び、Aは、-CH=が好ましい。言い換えると、円盤状化合物の中心環はベンゼン環であるのも好ましい。
17、R18、及び、R19は、それぞれ独立に、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21、又は、*-X221-(Z22-X222n22-Y22を表す。*は中心環との結合位置を表す。
17、R18、及び、R19のうち2個以上は、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21である。熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、R17、R18、及び、R19は全てが、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21であるのが好ましい。
加えて、R17、R18、及び、R19が、全て同一であるのが好ましい。
211、X212、X221、及び、X222は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
中でも、X211、X212、X221、及び、X222としては、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-O-、又は、-O-CO-が好ましい。
21及びZ22は、それぞれ独立に、5員環若しくは6員環の芳香族環基、又は、5員環若しくは6員環の非芳香族環基を表し、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、及び、芳香族複素環基が挙げられる。
上記芳香族環基及び上記非芳香族環基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は1又は2が好ましく、1がより好ましい。置換基の置換位置は、特に制限されない。置換基としては、ハロゲン原子又はメチル基が好ましい。上記芳香族環基及び上記非芳香族環基は無置換であるのも好ましい。
芳香族複素環基としては、例えば、以下の芳香族複素環基が挙げられる。
Figure 0007303319000016
式中、*はX211又はX221に結合する部位を表す。**はX212又はX222に結合する部位を表す。A41及びA42は、それぞれ独立に、メチン基又は窒素原子を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、又は、イミノ基を表す。
41及びA42は、少なくとも一方が窒素原子であるのが好ましく、両方が窒素原子であるのがより好ましい。また、Xは、酸素原子であるのが好ましい。
後述するn21及びn22が2以上の場合、複数存在する(Z21-X212)及び(Z22-X222)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
21は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、上述した式(XI)におけるL11と同義である。L21としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、-NH-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~7が更に好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が更に好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
後述するn22が1以上の場合において、-X212-L21-の例としては、上述の式(D1)~(D15)におけるLの例であるL101~L143が同様に挙げられる。
21は、エポキシ基を表す。上記エポキシ基は置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
22は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は、-CO-O-で置換された基を表し、一般式(XI)におけるY12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
n21及びn22はそれぞれ独立に、0~3の整数を表し、熱伝導性がより優れる観点から、1~3の整数が好ましく、2~3がより好ましい。
円盤状化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007303319000017
Figure 0007303319000018
Figure 0007303319000019
Figure 0007303319000020
Figure 0007303319000021
Figure 0007303319000022
Figure 0007303319000023
Figure 0007303319000024
Figure 0007303319000025
Figure 0007303319000026
Figure 0007303319000027
Figure 0007303319000028
Figure 0007303319000029
Figure 0007303319000030
なお、下記構造式中、Rは、-X212-L21-P21を表す。
Figure 0007303319000031
式(XII)で表される化合物の詳細、及び具体例については、特開2010-244038号公報の段落0013~0077に記載の化合物において、末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物を参照でき、その内容は本明細書に組み込まれる。
式(XII)で表される化合物は、特開2010-244038号公報、特開2006-76992号公報、及び、特開2007-2220号公報に記載の方法に準じて合成できる。
なお、電子密度を減らしてスタッキングを強くし、カラム状集合体を形成しやすくなるという観点から、円盤状化合物は水素結合性官能基を有する化合物であるのも好ましい。水素結合性官能基としては、-O-CO-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、又は、-S-CO-NH-等が挙げられる。
(その他のエポキシ化合物)
上述のエポキシ化合物以外の、その他のエポキシ化合物としては、例えば、一般式(DN)で表されるエポキシ化合物が挙げられる。
Figure 0007303319000032
一般式(DN)中、nDNは、0以上の整数を表し、0~5が好ましく、1がより好ましい。
DNは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、メチレン基がより好ましい。
その他のエポキシ化合物としては、エポキシ基が、縮環している化合物も挙げられる。このような化合物としては、例えば、3,4:8,9-ジエポキシビシクロ[4.3.0]ノナン等が挙げられる。
その他のエポキシ化合物としては、他にも、例えば、ビスフェノールA、F、S、AD等のグリシジルエーテルであるビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物等;水素添加したビスフェノールA型エポキシ化合物、水素添加したビスフェノールAD型エポキシ化合物等;フェノールノボラック型のグリシジルエーテル(フェノールノボラック型エポキシ化合物)、クレゾールノボラック型のグリシジルエーテル(クレゾールノボラック型エポキシ化合物)、ビスフェノールAノボラック型のグリシジルエーテル等;ジシクロペンタジエン型のグリシジルエーテル(ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物);ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル(ジヒドロキシペンタジエン型エポキシ化合物);ポリヒドロキシベンゼン型のグリシジルエーテル(ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物);ベンゼンポリカルボン酸型のグリシジルエステル(ベンゼンポリカルボン酸型エポキシ化合物);及び、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
組成物においてフェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比(エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数)が、40/60~60/40であり、45/55~55/45が好ましい。
つまりと、組成物中の、フェノール化合物とエポキシ化合物との含有量の比は、上記「エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数」が上記範囲内になるような比であるのが好ましい。
また、組成物において、エポキシ化合物のエポキシ基と、活性水素(フェノール性水酸基に由来する活性水素であってもよく、その他の活性水素含有化合物の活性水素であってもよい)との当量比(エポキシ基の数/活性水素の数)は、30/70~70/30が好ましく、40/60~60/40がより好ましく、45/55~55/45が更に好ましい。
また、組成物中、エポキシ化合物とフェノール化合物との合計含有量は、組成物の全固形分に対して、5~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
なお、全固形分とは、熱伝導材料を形成する成分を意図し、溶媒は含まれない。ここでいう、熱伝導材料を形成する成分は、熱伝導材料を形成する際に反応(重合)して化学構造が変化する成分でもよい。また、熱伝導材料を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
<充填剤>
組成物は、充填剤を含まないか、又は、前記充填剤を含む場合は、充填剤の含有量が、組成物の全固形分に対して、10質量%以下(好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下)である。
上記充填剤は、無機物(窒化ホウ素等の無機窒化物のような無機フィラー)でも有機物(有機フィラー)でもよい。本発明の組成物における充填剤は、組成物を硬化(予備硬化処理及び/又は本硬化処理)させる温度(例えば150℃)において固体であり、組成物中の他の成分と溶け合わずに存在する成分である。
<硬化促進剤>
組成物は、更に、硬化促進剤を含んでいてもよい。つまり、本発明の熱伝導材料は、硬化促進剤を含む硬化物であってもよい。
硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、三フッ化ホウ素アミン錯体、及び、特開2012-67225号公報の段落0052に記載の化合物が挙げられる。その他にも、2-メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2-ウンデシルイミダゾール(商品名;C11-Z)、2-ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2-ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2-エチル-4-メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2-フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2-フェニル-4-メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール(商品名;2MZ-CN)、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z-CN)、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS-PW)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2MZ-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;C11Z-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2E4MZ-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA-OK)、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ-PW)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ-PW)、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール(商品名;2PZ-CN)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2MZA-PW)、及び、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MAOK-PW)などのイミダゾール系硬化促進剤等が挙げられる(いずれも四国化成工業(株)製)。更に、トリアリールホスフィン系の硬化促進剤として特開2004-43405号公報の段落0052に記載の化合物も挙げられる。トリアリールホスフィンにトリフェニルボランが付加したリン系硬化促進剤として、特開2014-5382の段落0024に記載の化合物も挙げられる。
硬化促進剤は、1種単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。
硬化促進剤の含有量は、全エポキシ化合物に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.10~5質量%がより好ましい。
<溶媒>
組成物は、更に、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒の種類は特に制限されず、有機溶媒であるのが好ましい。有機溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、及び、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有量は、組成物の固形分濃度を、5~100質量%とする量が好ましく、10~70質量%とする量がより好ましく、15~50質量%とする量が更に好ましい。
<組成物の製造方法>
組成物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、上述した各種成分を混合して製造できる。混合する際には、各種成分を一括で混合しても、順次混合してもよい。
成分を混合する方法に特に制限はなく、公知の方法を使用できる。混合に使用する混合装置は、特に組成物が充填剤を含む場合においては、液中分散機が好ましく、例えば、自転公転ミキサー、高速回転せん断型撹拌機等の撹拌機、コロイドミル、ロールミル、高圧噴射式分散機、超音波分散機、ビーズミル、及び、ホモジナイザーが挙げられる。混合装置は1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。混合の前後に、及び/又は、同時に、脱気処理を行ってもよい。
〔熱伝導材料及びその製造〕
上述した組成物を、所定の方法で硬化させるのが本発明の製造方法である。
本発明の製造方法は、以下の工程を含む。
・無加圧下にて、高速液体クロマトグラフィーを用いた測定方法に基づいて、上記フェノール化合物のうち1~90%が残存するように、上記組成物に対して予備硬化処理を施して、予備硬化物を得る、予備硬化工程。
・0.1MPa以上の圧力下にて、上記予備硬化物に対して本硬化処理を施して、熱伝導材料を得る、本硬化工程。
以下、予備硬化工程と本硬化工程について詳述する。
<予備硬化工程>
予備硬化工程では、組成物中のフェノール化合物とエポキシ化合物との重合する処理(予備硬化処理)を実施する。
予備硬化処理は、高速液体クロマトグラフィーを用いた測定方法に基づいて、組成物中のフェノール化合物のうち1~90%(好ましくは10~90%、好ましくは20~80%、より好ましくは35~75%)が残存するように行う。
ここでいう残存するフェノール化合物とは、予備硬化物中の未反応のフェノール化合物(予備硬化処理による重合反応をしていないフェノール化合物)のことであり、残存フェノールとも言う。つまり、予備硬化処理は、予備硬化工程を実施する前の組成物中の全フェノール化合物に対する、残存フェノールの含有量(残存フェノール量)が、1~90%(好ましくは10~90%、好ましくは20~80%、より好ましくは35~75%)になるように実施する。
言い換えると、予備硬化工程では、残存フェノール量が、1~90%(好ましくは10~90%、好ましくは20~80%、より好ましくは35~75%)である予備硬化物を得る。
ここで、残存フェノール量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて、以下の方法で求められる。
すなわち、まず、処理前の組成物の固形分及び予備硬化物の0.5gを、25℃のTHF(テトラヒドロフラン)30mlに1時間含浸させ、THF中に未反応のフェノール化合物をそれぞれ溶出又は溶解させる。
このようにして得られた未反応フェノール化合物溶存THFを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、予備硬化処理前の組成物の固形分又は予備硬化物における、未反応のフェノール化合物に由来するピーク面積をそれぞれ求める。
予備硬化処理前の組成物の固形分における未反応のフェノール化合物に由来するピーク面積と、予備硬化物における未反応のフェノール化合物に由来するピーク面積とから、下記式に基づいて、予備硬化物中における未反応のフェノール化合物の含有量(残存フェノール量)が算出される。
未反応のフェノール化合物の含有量(残存フェノール量、%)=100×予備硬化物における未反応のフェノール化合物に由来するピーク面積÷予備硬化処理前の組成物の固形分における未反応のフェノール化合物に由来するピーク面積
なお、組成物が溶媒を含む場合、予備硬化処理前の組成物の固形分は、組成物に対して乾燥(減圧乾燥)処理等をして得られる。
予備硬化処理は、例えば、組成物を基材上に塗布して塗膜とした状態で行われる。
塗膜とした組成物の膜厚は、製造しようとする熱伝導材料に合わせて適宜調整すればよく、例えば、乾燥した組成物の膜厚が15~800μmとなる膜厚とすればよい。
また、組成物が溶媒を含有する場合、予備硬化処理は組成物中の溶媒を室温(例えば25℃)下で蒸発させてから実施してもよいし、予備硬化処理中に塗布された組成物(塗膜等)中の溶媒の乾燥除去が同時に行われてもよい。
予備硬化処理では、組成物(塗膜等)に対する加熱が行われて重合が促進される場合が多い。この際、加熱温度は、50~250℃が好ましく、100~200℃がより好ましく、110~160℃が更に好ましい。加熱時間は、0.5~20分が好ましく、1~10分がより好ましく、2~8分が更に好ましい。なお、上記加熱は連続的に行われてもよく断続的に行われてもよい。温度の異なる加熱処理を複数回にわたって実施してもよい。
予備硬化処理は無加圧で実施される。
ここでいう無加圧とは実質的に無加圧であることを意味し、実質的に無加圧であるとは、例えば、予備硬化処理が実施される間に組成物(塗膜等)に継続的に加えられる荷重が0.1MPa未満(好ましくは0.01MPa以下、より好ましくは0.001MPa以下)であればよい。
また、実質的に無加圧であるとは、例えば、組成物(塗膜等)の重合が進行している間に、組成物(塗膜等)が継続的に加圧されていなければよく、具体例を挙げると、組成物(塗膜等)が上記加熱温度で加熱されている際に加圧(例えば0.1MPa以上の加圧)をされる時間が、上記加熱時間のうちの5%以下(好ましくは1%以下)であればよい。
予備硬化物は、フィルム状又はシート状とするのが好ましい。具体的には、例えば、組成物を塗布成膜し、塗布成膜した組成物(塗膜)に対して予備硬化処理を実施すればよい。
<本硬化工程>
本硬化工程では、0.1MPa以上(好ましくは0.1~25.0MPa、より好ましくは0.5~10MPa)の圧力下にて、上述の予備硬化工程で得た予備硬化物にたいして本硬化処理を施して熱伝導材料を得る。
予備硬化物を上記圧力で加圧して更に本硬化処理(重合)を行う最中、予備硬化物に対する加熱が行われて重合が促進される場合が多い。
この際、加熱温度は、50~250℃が好ましく、100~220℃がより好ましく、150~200℃が更に好ましい。
また、加圧時間(好ましくは上記加熱を伴う加圧時間)は、0.5~20分が好ましく、1~10分がより好ましく、2~8分が更に好ましい。なお、上記加熱は連続的に行われてもよく断続的に行われてもよい。本硬化処理では、温度の異なる加熱処理を複数回にわたって実施してもよい。
加圧方法に制限はなく、継続的に圧力をかけられる方法を使用するのが好ましい。例えば平板プレスを使用して加圧を行ってもよい。
またロールプレスを使用してもよい。
本硬化処理は、予備硬化物を形成する際に用いた基材と同一の基材上で実施してもよいし、予備硬化物の一部又は全部から上記基材を分離して行ってもよい。また、本硬化処理は、予備硬化物を、予備硬化物を形成する際に用いた基材とは異なる基材と接触させた状態で実施してもよい。
また、例えば、予備硬化物を2枚張り合わせて1枚の予備硬化物としてから、本硬化処理を実施してもよい。
本硬化処理は、組成物をいわゆるBステージ状態の半硬化物(好ましくは、半硬化膜)にした時点で終了してもよい。つまり、本発明における熱伝導材料(本硬化工程で得られる熱伝導材料)は、半硬化物である熱伝導材料(半硬化状態の熱伝導材料)も、完全硬化物(半硬化物以外の熱伝導材料)も含む。
本硬化処理の進行程度は、例えば、赤外分光分析した際の、1610cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比(910cm-1におけるピーク強度/1610cm-1におけるピーク強度)で判断できる。
なお、910cm-1におけるピークはエポキシ基に由来するピークであり、1610cm-1におけるピークは芳香環基に由来するピークである。
以下、1610cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比(910cm-1におけるピーク強度/1610cm-1におけるピーク強度)を特定ピーク強度比とも言う。
なお、本発明において、赤外分光分析は、ATR(AttenuatedTotalReflection)法で実施できる。
例えば、本硬化処理は、硬化物(熱伝導材料)の特定ピーク強度比が、0.06以下になるように実施するのが好ましく、0.03以下になるように実施するのがより好ましく、0.01以下になるように実施するのが更に好ましい。下限は、0.00である。
つまり、例えば、本発明において、熱伝導材料は、上述の組成物を硬化してなる熱伝導材料であって、特定ピーク強度比が、0.06以下であるのが好ましく、0.03以下であるのがより好ましく、0.01以下であるのが更に好ましい。下限は、0.00である。
ただし、Bステージ状態の半硬化物である熱伝導材料を得る場合は、本硬化処理は、硬化物(熱伝導材料)の特定ピーク強度比が、0.01超0.06以下になるように実施するのも好ましい。
つまり、例えば、本発明において、Bステージ状態の半硬化物である熱伝導材料は、上述の組成物を硬化してなる熱伝導材料であって、特定ピーク強度比が、0.01超0.06以下であるのも好ましい。
また、本硬化処理は、残存エポキシ量が35質量%以下(好ましくは15質量%以下、より好ましくは5質量%以下。下限は0質量%)となるように実施するのが好ましい。
上記残存エポキシ量は、予備硬化処理を実施する前の組成物の固形分の特定ピーク強度比を100%とした場合における、本硬化処理を経て得られる熱伝導材料の特定ピーク強度比の割合(残存エポキシ量(質量%)=熱伝導材料の特定ピーク強度比/組成物の固形分の特定ピーク強度比×100)である。
つまり、例えば、本発明において、熱伝導材料は、上述の組成物を硬化してなる熱伝導材料であって、残存エポキシ量が35質量%以下(好ましくは15質量%以下、より好ましくは5質量%以下。下限は質量0%)であるのが好ましい。
ただし、Bステージ状態の半硬化物である熱伝導材料を得る場合は、本硬化工程は、残存エポキシ量が5質量%超35質量%以下となるように実施するのも好ましい。
つまり、例えば、本発明において、Bステージ状態の半硬化物である熱伝導材料は、上述の組成物を硬化してなる熱伝導材料であって、残存エポキシ量が5質量%超35質量%以下であるのが好ましい。
なお、予備硬化工程を実施する前の組成物の固形分の特定ピーク強度比は、例えば、0.06超0.50以下が好ましく、0.08~0.25がより好ましい。
上記熱伝導材料の形状に特に制限はなく、用途に応じて様々な形状に成形できる。成形された熱伝導材料の典型的な形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
つまり、上記熱伝導材料は、熱伝導シートであるのも好ましい。
シート状の熱伝導材料(熱伝導シート)の膜厚は、例えば、25~800μmである。所望の膜厚のシート状の熱伝導材料(熱伝導シート)を得るために、型枠を使用して、予備硬化処理及び/又は本硬化処理を実施してもよい。
また、上記熱伝導材料の熱伝導性は異方的ではなく等方的であるのが好ましい。
[熱伝導材料の用途]
上記熱伝導材料は放熱シート等の放熱材として使用でき、各種デバイスの放熱用途に使用できる。より具体的には、デバイス上に上記熱伝導材料(好ましくは熱伝導シート)を含む熱伝導層を配置して熱伝導層付きデバイスを作製して、デバイスからの発熱を効率的に熱伝導層で放熱できる。
上記熱伝導材料は十分な熱伝導性を有するとともに、高い耐熱性を有しているため、パーソナルコンピュータ、一般家電、及び、自動車等の様々な電気機器に用いられているパワー半導体デバイスの放熱用途に適している。
更に、上記熱伝導材料は、半硬化状態であっても十分な熱伝導性を有するため、各種装置の部材の隙間等の、光硬化のための光を到達させるのが困難な部位に配置する放熱材としても使用できる。半硬化状態の上記熱伝導材料を、使用されるデバイス等に接触するように配置した後、更に加熱等により硬化を進行させ、後硬化させてもよい。上記後硬化させる際の加熱等によって、デバイスと上記熱伝導材料とが接着するのも好ましい。
上記熱伝導材料は、組成物から形成される部材以外の、他の部材と組み合わせて使用されてもよい。
例えば、シート状の熱伝導材料(熱伝導シート)は、上述の組成物から形成された層の他の、シート状の支持体と組み合わせられていてもよい。
シート状の支持体としては、プラスチックフィルム、金属フィルム、又は、ガラス板が挙げられる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、及び、シリコーンが挙げられる。金属フィルムとしては、銅フィルムが挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
〔熱伝導材料の作製及び評価〕
[熱伝導材料形成用組成物]
以下に、実施例及び比較例で作製した熱伝導材料の作製に供した熱伝導材料形成用組成物(組成物)における各種成分を示す。
<フェノール化合物>
以下に、組成物の調製に使用したフェノール化合物を示す。
なお、化合物A-1及びA-2は一般式(P1)で表される化合物に該当する。
Figure 0007303319000033
<エポキシ化合物>
以下に、組成物の調製に使用したフェノール化合物を示す。
なお、下記B-3は2種類のエポキシ化合物の混合物である(商品名:エポトートZX-1059、東都化成株式会社製)。
また、下記B-8は、日本化薬社製EPPN-201である。
Figure 0007303319000034
<硬化促進剤>
硬化促進剤として、PPh(トリフェニルホスフィン)使用した。
<溶媒>
溶媒として、シクロペンタノン使用した。
[組成物の調製]
下記表1に示す組み合わせのエポキシ化合物とフェノール化合物とを、系中におけるエポキシ基の数とフェノール性水酸基の数との比が、下記表1に示す関係になるように配合した混合体を調製した。
上記混合体、溶媒、及び、硬化促進剤の順で混合して、各実施例又は比較例の組成物(熱伝導材料形成用組成物)を得た。
なお、溶媒の量は、組成物の固形分濃度が30質量%になる量に調整した。
硬化促進剤の添加量は、組成物中の硬化促進剤の含有量が、エポキシ化合物の含有量に対して、1質量%となる量とした。
[熱伝導材料の作製]
<実施例1>
離型処理したポリエステルフィルム(NP-100A パナック社製、膜厚100μm)の離型面上に枠を設置し、アプリケーターを用いて、上記枠の内側に、調製した実施例1の組成物を導入し、120℃で5分間放置して膜状の予備硬化物を得た(予備硬化工程)。
得られた予備硬化物について、明細書に記載の方法で残存フェノール量を測定したところ、表1に示す通りであった。
続いて、上記枠内の予備硬化物に、空気下で熱プレス(熱板温度180℃、圧力1MPaで1分間処理)することで樹脂シートを得た(本硬化工程)。
樹脂シートの両面にあるポリエステルフィルムを剥がし、平均膜厚100μmの熱伝導性シートを得た。
また、使用した組成物及び得られた熱伝導シート(熱伝導材料)について、明細書に記載の方法で赤外分光分析をして求めた、1610cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比(特定ピーク強度比)は、表1に示す通りであった。また、明細書に記載の方法で求めた、熱伝導シート(熱伝導材料)の残存エポキシ量も表1に示す通りであった。
<実施例2~14及び比較例3>
使用した組成物の配合、及び、本硬化工程における圧力を、表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~14及び比較例3の熱伝導シート(熱伝導材料)を得た。
<比較例1>
本硬化工程で予備硬化物に加圧しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱伝導シート(熱伝導材料)を得た。
なお、比較例1の熱伝導シート(熱伝導材料)を得た後、更に1時間、同条件で更なる加熱を続けても、上記更なる加熱の前後で、熱伝導材料の特定ピーク強度比及び残存エポキシ量に変化はなかった。
<比較例2>
枠の内側に、調製した実施例1の組成物を導入して室温(25℃)で組成物中の溶媒を蒸発させた後、得られた塗膜に対して、予備硬化工程を経ずに本硬化工程を実施した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱伝導シート(熱伝導材料)を得た。
なお、比較例2の熱伝導シート(熱伝導材料)を得た後、更に1時間、同条件で更なる熱プレスを続けても、上記更なる熱プレスの前後で、熱伝導材料の特定ピーク強度比及び残存エポキシ量に変化はなかった。
[評価]
<熱伝導性>
各実施例又は比較例のそれぞれの熱伝導性シートを用いて、熱伝導性評価を実施した。下記の方法で熱伝導率の測定を行い、下記の基準に従って熱伝導性を評価した。
(熱伝導率(W/m・k)の測定)
(1)NETZSCH社製の「LFA467」を用いて、レーザーフラッシュ法で熱伝導性シートの厚み方向の熱拡散率を測定した。
(2)メトラー・トレド社製の天秤「XS204」を用いて、熱伝導性シートの比重をアルキメデス法(「固体比重測定キット」使用)で測定した。
(3)セイコーインスツル社製の「DSC320/6200」を用い、10℃/分の昇温条件の下、25℃における熱伝導性シートの比熱を求めた。
(4)得られた熱拡散率に比重及び比熱を乗じて、熱伝導性シートの熱伝導率を算出した。
(評価基準)
測定された熱伝導率を下記基準に照らして区分し、熱伝導性を評価した。
「A」: 0.4W/m・K以上
「B」: 0.3W/m・K以上0.4W/m・K未満
「C」: 0.2W/m・K以上0.3W/m・K未満
「D」: 0.2W/m・K未満
[結果]
以下、表1に、組成物及び製造方法の特徴と、試験の結果との関係を示す。
表中、「官能基数(mmol/g)」欄は、使用したフェノール化合物のフェノール性水酸基含有量(mmol/g)を示す。
「エポキシ基/フェノール性水酸基」欄は、組成物においてフェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比(エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数)を示す。
「予備硬化」欄は、予備硬化工程の実施の有無を示す。
「残存フェノール量(質量%)」欄は、処理前の組成物の固形分における未反応のフェノール化合物に由来するHPLCピーク面積(100%)に対する、予備硬化物における未反応のフェノール化合物に由来するHPLCピーク面積の割合から求められる(残存フェノール量、質量%)を意味する。
「硬化圧力」欄は、本硬化工程で加圧した圧力を示す。
「特定ピーク強度比」欄における、「硬化前(組成物)」欄は、予備硬化工程の前の組成物の固形分について赤外分光分析した際の特定ピーク強度比を示す。
「特定ピーク強度比」欄における、「硬化後(熱伝導材料)」欄は、本硬化工程で得られた熱伝導材料の特定ピーク強度比を示す。
「残存エポキシ量(質量%)」欄は、熱伝導材料の残存エポキシ量を示す。
Figure 0007303319000035
表に示す結果より、本発明の製造方法を用いれば、熱伝導性に優れる熱伝導材料が得られることが確認された。
より熱伝導性に優れる熱伝導材料が得られる点で、フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比(エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数)は、45/55~55/45が好ましいことが確認された(実施例1及び14の結果の比較等を参照)。
より熱伝導性に優れる熱伝導材料が得られる点で、本硬化工程において加圧する圧力は0.5~10MPaが好ましいことが確認された(実施例1及び2の結果の比較等を参照)。
より熱伝導性に優れる熱伝導材料が得られる点で、本硬化工程は、熱伝導材料の特定ピーク強度比が0.00~0.01になるように実施するのがより好ましいことが確認された。言い換えると、熱伝導材料の特定ピーク強度比が0.00~0.01であるのが好ましいことが確認された(実施例1及び14の結果の比較等を参照)。
より熱伝導性に優れる熱伝導材料が得られる点で、本硬化工程は、熱伝導材料の残存エポキシ量が0~5質量%になるように実施するのがより好ましいことが確認された。言い換えると、熱伝導材料の特定ピーク強度比が0~5%であるのが好ましいことが確認された(実施例1及び14の結果の比較等を参照)。

Claims (11)

  1. 一般式(P2)で表される化合物または一般式(P3)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含み、
    前記フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、前記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比が、40/60~60/40であり、
    充填剤を含まないか、又は、前記充填剤を含む場合は、前記充填剤の含有量が、全固形分に対して、10質量%以下である、熱伝導材料形成用組成物を用いた、熱伝導材料の製造方法であって、
    無加圧下にて、高速液体クロマトグラフィーを用いた測定方法に基づいて、前記フェノール化合物のうち1~90%が残存するように、前記熱伝導材料形成用組成物に対して予備硬化処理を施して、予備硬化物を得る、予備硬化工程、及び、
    0.1MPa以上の圧力下にて、前記予備硬化物に対して本硬化処理を施して、熱伝導材料を得る、本硬化工程、を含む、熱伝導材料の製造方法。
    Figure 0007303319000036

    一般式(P2)および一般式(P3)中、m1は1を表す。
    ncは、1を表す。
    ndは、を表す
    は、炭素数1~10のアルキル基を表す。
    x1 及びL x2 は、-CH を表す
  2. 前記本硬化工程において、0.5~10MPaの圧力下にて、前記予備硬化物に対して前記本硬化処理を施す、請求項1に記載の熱伝導材料の製造方法。
  3. 前記一般式(P2)で表される化合物および一般式(P3)で表される化合物の水酸基含有量が、12.0mmol/g以上である、請求項1又は2に記載の熱伝導材料の製造方法。
  4. 前記一般式(P2)で表される化合物および一般式(P3)で表される化合物の分子量が、400以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導材料の製造方法。
  5. 前記熱伝導材料形成用組成物が、更に、硬化促進剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導材料の製造方法。
  6. 一般式(P2)で表される化合物または一般式(P3)で表される化合物を含むフェノール化合物、及び、エポキシ化合物を含み、
    前記フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、前記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比が、40/60~60/40であり、
    充填剤を含まないか、又は、前記充填剤を含む場合は、前記充填剤の含有量が、全固形分に対して、10質量%以下である、熱伝導材料形成用組成物を、硬化してなる熱伝導材料であって、
    赤外分光分析した際の、1610cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比が、0.06以下である、熱伝導材料。
    Figure 0007303319000037

    一般式(P2)および一般式(P3)中、m1は1を表す。
    ncは、1を表す。
    ndは、を表す
    は、炭素数1~10のアルキル基を表す。
    x1 及びL x2 は、-CH を表す
  7. 前記一般式(P2)で表される化合物および一般式(P3)で表される化合物の水酸基含有量が、12.0mmol/g以上である、請求項6に記載の熱伝導材料。
  8. 前記一般式(P2)で表される化合物および一般式(P3)で表される化合物の分子量が、400以下である、請求項6又は7に記載の熱伝導材料。
  9. 更に、硬化促進剤を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の熱伝導材料。
  10. 請求項6~9のいずれか1項に記載の熱伝導材料からなる、熱伝導シート。
  11. デバイスと、前記デバイス上に配置された請求項10に記載の熱伝導シートを含む熱伝導層とを有する、熱伝導層付きデバイス。
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