JP7301920B2 - 特定の窒化ホウ素粒子を含む粉末、放熱シート及び放熱シートの製造方法 - Google Patents

特定の窒化ホウ素粒子を含む粉末、放熱シート及び放熱シートの製造方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 発行日 令和3年3月8日 刊行物 公益社団法人日本セラミックス協会 2021年年会 講演予稿集 1A22 〔刊行物等〕 発行日 令和3年3月8日 刊行物 公益社団法人日本セラミックス協会 2021年年会 講演予稿集 1A23 〔刊行物等〕 開催日 令和3年3月23日 集会名、開催場所 公益社団法人日本セラミックス協会 2021年年会、オンライン 〔刊行物等〕 開催日 令和3年3月23日 集会名、開催場所 公益社団法人日本セラミックス協会 2021年年会、オンライン
本発明は、特定の窒化ホウ素粒子を含む粉末、放熱シート及び放熱シートの製造方法に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の電子部品においては、使用時に発生する熱を効率的に放熱することが課題となっている。この課題に対して、熱伝導率が高いセラミックス粉末を含有する放熱部材が用いられる。
セラミックス粉末としては、高熱伝導率、高絶縁性、低比誘電率等の特性を有している窒化ホウ素粉末が注目されている。窒化ホウ素粉末は、一般的に、窒化ホウ素の一次粒子が凝集してなる凝集粒子(塊状粒子)で構成されている。例えば、特許文献1には、凝集粒子の形状を一層球状化して充填性を高めると共に、粉末強度の向上を図り、さらには高純度化により、当該粉末を充填した伝熱シート等の絶縁性の向上および耐電圧の安定化を達成したとされる六方晶窒化ホウ素粉末が開示されている。
特開2011-98882号公報
上記特許文献1に記載されているような六方晶窒化ホウ素粉末を用いる場合、放熱シートの熱伝導性は、塊状粒子の形状、大きさ、強度等に依存する。逆にいえば、塊状粒子の形状、大きさ、強度等が決まれば、それを用いた放熱シートの熱伝導性もおよそ決まることになり、一種類の六方晶窒化ホウ素粉末によって放熱シートの熱伝導性を高めることには限度がある。
そこで、本発明の主な目的は、一種類の塊状窒化ホウ素粒子からなる窒化ホウ素粉末に比べて、放熱シートの熱伝導率をより効果的に向上させることがきる粉末を提供することである。
本発明の一側面は、チューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子と、を含有し、塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が7MPa未満である、粉末である。
本発明者らが検討したところ、塊状窒化ホウ素粒子に加えてチューブ状窒化ホウ素粒子を用いると、放熱シートの熱伝導率の向上が見込めること、更には、当該塊状窒化ホウ素粒子として圧壊強度が比較的小さい塊状窒化ホウ素粒子を用いることにより、放熱シートの熱伝導率をより効果的に向上させることができることが判明した。
上記の粉末において、チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量は、粉末の全体積を基準として、2~26体積%であってよい。
上記の粉末において、チューブ状窒化ホウ素粒子は、最大長さが80μm以上であり、アスペクト比が1.5以上である窒化ホウ素粒子を含んでよい。
上記の粉末において、チューブ状窒化ホウ素粒子の強度は、25mN以上であってよい。
本発明の他の一側面は、チューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子と、樹脂とを含有する組成物を加圧によりシート状に成形する工程を備え、塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が7MPa未満である、放熱シートの製造方法である。
本発明の他の一側面は、チューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子と、樹脂と、を含有し、複数の窒化ホウ素一次粒子の一部が、チューブ状窒化ホウ素粒子内に存在する、放熱シートである。
上記の放熱シートにおいて、配向性指数は、7~15であってよい。
上記の放熱シートにおいて、チューブ状窒化ホウ素粒子は、最大長さが80μm以上であり、アスペクト比が1.5以上である窒化ホウ素粒子を含んでよい。
本発明によれば、一種類の塊状窒化ホウ素粒子からなる窒化ホウ素粉末に比べて、放熱シートの熱伝導率をより効果的に向上させることができる粉末を提供することができる。
実施例1で作製したチューブ状窒化ホウ素粒子のSEM画像である。 実施例1で作製した放熱シートの断面のSEM画像である。 比較例1で作製した放熱シートの断面のSEM画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、チューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子と、を含有する粉末である。
チューブ状窒化ホウ素粒子は、細長形状を有している。チューブ状窒化ホウ素粒子は、窒化ホウ素により形成された外殻部と、外殻部に囲われた中空部とを有している。中空部は、チューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向に沿って形成されていてよく、チューブ状窒化ホウ素粒子の外観形状と略相似形の細長形状であってもよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向における両端の少なくとも一方が開口端であり、中空部と連通していている。チューブ状窒化ホウ素粒子の両端がいずれも開口端であってよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子は、複数の窒化ホウ素片で構成されていてよい。窒化ホウ素片は、窒化ホウ素により形成されており、例えば鱗片状の形状を有するものであってよい。この場合、窒化ホウ素片の長手方向の長さは、例えば、1μm以上であってよく、10μm以下であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子を構成している複数の窒化ホウ素片同士は、物理的に接触していてよく、化学的に結合していてもよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さは、放熱シートの熱伝導率をより向上させやすい観点から、80μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、175μm以上、200μm以上、225μm以上、250μm以上、300μm以上、又は350μm以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さは、1000μm以下、又は500μm以下であってよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さとは、チューブ状窒化ホウ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、1個のチューブ状窒化ホウ素粒子上の任意の2点間の直線距離のうち最大となる長さを意味する。最大長さの測定は、チューブ状窒化ホウ素粒子の観察画像(SEM画像)を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込んで行ってもよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、放熱シートの熱伝導率をより向上させやすい観点から、1.5以上、1.7以上、2.0以上、3.0以上、5.0以上、又は7.0以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、12.0以下、10.0以下、9.5以下、9.0以下、又は8.0以下であってよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、上述したチューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さ(長手方向の最大長さ)Lと、当該最大長さLを有する方向(長手方向)に対して垂直な方向(短手方向)におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さ(短手方向の最大長さ)Lとの比(L/L)として定義される。短手方向の最大長さLは、長手方向の最大長さLと同様の方法で測定することができる。
チューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部の厚さは、50μm以下、30μm以下、又は15μm以下であってよい。外殻部の厚さは、チューブ状窒化ホウ素粒子の形状を維持しやすい観点から、1μm以上又は3μm以上であってよい。外殻部の厚さは、チューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向に対して垂直な方向の断面をSEMで観察したときの観察画像(SEM画像)において、チューブ状窒化ホウ素粒子の断面上に任意の2点間の直線距離が最大となる直線を作図したときに、当該直線の各外殻部上に作図した部分の長さの平均値と定義される。
チューブ状窒化ホウ素粒子の外観形状は、柱状(棒状)、錐状(円錐状等)等であってよく、折れ曲がった形状であってもよい。チューブ状窒化ホウ素粒子は、二以上の方向に分岐する分岐構造を有してもよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子の強度は、放熱シートの成形時に、チューブ状窒化ホウ素粒子がより崩れにくくなり、放熱シートの熱伝導率がより向上する観点から、25mN以上、26mN以上、又は28mN以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の強度は、60mN以下、55mN以下、又は53mN以下であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の強度は、10個のチューブ状窒化ホウ素粒子を微小圧縮試験機により圧壊させて、圧壊させるために必要な負荷の大きさの平均値から算出することができる。より具体的には、まず、粉末から選ばれる10個以上のチューブ状窒化ホウ素粒子を試料台に設置する。このとき、各チューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向が試料台の設置面に沿うようにチューブ状窒化ホウ素粒子を設置する。続いて、微小圧縮試験機(例えば、株式会社島津製作所製、MCTシリーズ)の圧子(例えば圧子径200μm)を、試料台上のチューブ状窒化ホウ素粒子1個に向けて降下させて、0.27mN/秒の負荷速度で負荷をかける。そして、チューブ状窒化ホウ素粒子の短手方向の変位量が急激に上昇するときの負荷の大きさを、チューブ状窒化ホウ素粒子を圧壊させるために必要な負荷の大きさとして測定する。この測定を10個のチューブ状窒化ホウ素粒子について同様に行い、チューブ状窒化ホウ素粒子の強度は、10個のチューブ状窒化ホウ素粒子の負荷の大きさの平均値として算出される。
チューブ状窒化ホウ素粒子は、外部から負荷がかかって変形したとしても、除荷したときに元の形状に近い形状に戻る窒化ホウ素粒子(弾性を有する窒化ホウ素粒子)であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子が弾性を有する窒化ホウ素粒子であることは、例えば、チューブ状窒化ホウ素粒子の短手方向に0.27mN/秒の負荷速度で0.2mNから20mNまで徐々に負荷をかけて圧縮する負荷工程と、0.27mN/秒の除荷速度で0.2mNまで徐々に除荷する除荷工程とをこの順に備える負荷除荷試験に供したときに、負荷工程で圧縮された窒化ホウ素粒子の短手方向の長さの少なくとも一部が除荷工程で戻ることで確認することができる。チューブ状窒化ホウ素粒子が弾性を有する窒化ホウ素粒子であることで、チューブ状窒化ホウ素粒子に圧力や応力が付加されたとしても、放熱シート中で熱伝導経路を更に維持しやすいと考えられるため、チューブ状窒化ホウ素粒子は弾性を有する窒化ホウ素粒子であることが好ましい。
チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量は、粉末の全体積を基準として、2体積%以上、4体積%以上、6体積%以上、又は8体積%以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量は、粉末の全体積を基準として、26体積%以下、24体積%以下、22体積%以下、又は20体積%以下であってよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子は、例えば、平均粒子径が5~100μmである炭化ホウ素粉末100質量部に対して、ホウ酸2~100質量部を混合して混合物を得る工程と、カーボンルツボに当該混合物を充填する工程と、カーボンルツボの開口部をカーボンシートで覆い、カーボンルツボの蓋とカーボンルツボとでカーボンシートを挟み、カーボンシートを固定した状態で、蓋をしたカーボンルツボを抵抗加熱炉内で、窒素ガス雰囲気下で、1450~2400℃、0.3~1.0MPaの条件で3~40時間加熱する工程と、を備える製造方法により、カーボンシート上に窒化ホウ素粒子を生成させて、カーボンシート上に生成した窒化ホウ素粒子を回収することでチューブ状窒化ホウ素粒子を得ることができる。得られたチューブ状窒化ホウ素粒子に対して、粉砕、篩分け、洗浄、不純物除去、乾燥等を適宜行ってもよい。
塊状窒化ホウ素粒子は、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体であり、複数の窒化ホウ素一次粒子同士は、物理的に接触していてよい。窒化ホウ素一次粒子は、窒化ホウ素により形成されており、例えば鱗片状の形状を有するものであってよい。この場合、窒化ホウ素一次粒子の長手方向の長さは、例えば、1μm以上であってよく、10μm以下であってよい。
塊状窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、30μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、又は80μm以上であってよい。塊状窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、例えば、200μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下、又は90μm以下であってよい。塊状窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、体積基準の粒度分布におけるd50径であり、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。
塊状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、1.0以上、1.1以上、又は1.2以上であってよい。塊状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、例えば、5.0以下、3.0以下、2.0以下、又は1.5以下であってよい。塊状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、塊状窒化ホウ素粒子の最大長さ(長手方向の最大長さ)Lと、当該最大長さLを有する方向(長手方向)に対して垂直な方向(短手方向)における塊状窒化ホウ素粒子の最大長さ(短手方向の最大長さ)Lとの比(L/L)として定義される。塊状窒化ホウ素粒子の長手方向の最大長さL及び短手方向の最大長さLは、上記のチューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向の最大長さL及び短手方向の最大長さLと同様の方法で測定することができる。
塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、放熱シートの成形時に、チューブ状窒化ホウ素粒子をより崩しにくくなる観点から、7MPa未満、6MPa以下、又は5MPa以下であってよい。塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、1MPa以上、2MPa以上、又は3MPa以上であってよい。塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、JIS R1639-5:2007に従って測定される10個の塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度(粒子強度、単一顆粒圧壊強さとも呼ばれる)の平均値を意味する。より具体的には、各塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度(σ:単位MPa)は、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48:単位なし)と圧壊試験力(P:単位N)と粒子径(d:単位μm)から、σ=α×P/(π×d)の式を用いて算出される。塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、10個の塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度の平均値として算出される。
塊状窒化ホウ素粒子の含有量は、粉末の全体積を基準として、74体積%以上、76体積%以上、78体積%以上、又は80体積%以上であってよい。塊状窒化ホウ素粒子の含有量は、粉末の全体積を基準として、98体積%以下、96体積%以下、94体積%以下、又は92体積%以下であってよい。
塊状窒化ホウ素粒子は、例えば、炭化ホウ素粉末を窒化して炭窒化ホウ素粉末を得る工程と、炭窒化ホウ素粉末を脱炭して、塊状窒化ホウ素粒子を得る工程と、を備える製造方法により、塊状窒化ホウ素粒子を得ることができる。得られた塊状窒化ホウ素粒子に対して、粉砕、篩分け、洗浄、不純物除去、乾燥等を適宜行ってもよい。
チューブ状窒化ホウ素粒子及び塊状窒化ホウ素粒子は、実質的に窒化ホウ素のみからなってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子及び塊状窒化ホウ素粒子が実質的に窒化ホウ素のみからなることは、X線回折測定において、窒化ホウ素に由来するピークのみが検出されることにより確認することができる。
一実施形態に係る粉末は、チューブ状窒化ホウ素粒子と圧壊強度が比較的小さい塊状窒化ホウ素粒子とを併用することにより、チューブ状窒化ホウ素粒子と圧壊強度が比較的大きい塊状窒化ホウ素粒子とを併用した場合に比べて、放熱シートの熱伝導率をより効果的に向上させることができる。その理由としては、以下のように推察される。すなわち、まず、チューブ状窒化ホウ素粒子は、細長形状を有することで、チューブ状窒化ホウ素粒子の長手方向での熱伝導性が優れると考えられる。圧壊強度が比較的小さい塊状窒化ホウ素粒子を用いることで、放熱シートの成形時に、チューブ状窒化ホウ素粒子と塊状窒化ホウ素粒子とが加圧されると、圧壊強度が比較的小さい塊状窒化ホウ素粒子がチューブ状窒化ホウ素粒子よりも崩れやすくなる。そして、崩れた窒化ホウ素一次粒子が緩衝材のような役割を果たすことにより、チューブ状窒化ホウ素粒子に圧力が加わった場合でも、チューブ状窒化ホウ素粒子の形状は維持されやすくなる。したがって、得られる放熱シートでは、チューブ状窒化ホウ素粒子による伝熱経路が形成されやすくなり、熱伝導性が向上すると推察される。
一実施形態に係る粉末は、チューブ状窒化ホウ素粒子及び塊状窒化ホウ素粒子に加えて、他の無機粒子を更に含有してもよい。他の無機粒子は、例えば、チューブ状窒化ホウ素粒子及び塊状窒化ホウ素粒子に該当しない窒化ホウ素粒子、アルミナ粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子等が挙げられる。
チューブ状窒化ホウ素粒子と塊状窒化ホウ素粒子とを含有する粉末は、樹脂と混合された組成物に用いられる。また、この組成物を加圧によりシート状に成形することで、放熱シートが得られる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、上記のチューブ状窒化ホウ素粒子と、上記の塊状窒化ホウ素粒子と、樹脂とを含有する組成物である。また、本発明の他の一実施形態は、上記のチューブ状窒化ホウ素粒子と、上記の塊状窒化ホウ素粒子と、樹脂とを含有する組成物を加圧によりシート状に成形する工程を備える、放熱シートの製造方法である。
樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂であってよい。
樹脂の重量平均分子量は、1000~1000000又は2000~800000であってよい。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算することで測定することができる。
樹脂の含有量は、組成物の全体積を基準として、15体積%以上、20体積%以上、30体積%以上、40体積%以上、50体積%以上、又は60体積%以上であってよく、80体積%以下、70体積%以下、60体積%以下、50体積%以下、又は40体積%以下であってよい。
組成物におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の含有量は、組成物の全体積を基準として、1体積%以上、2体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよく、10体積%以下、9体積%以下、8体積%以下、又は7体積%以下であってよい。
組成物における塊状窒化ホウ素粒子の含有量は、組成物の全体積を基準として、40体積%以上、42体積%以上、43体積%以上、又は45体積%以上であってよく、55体積%以下、54体積%以下、53体積%以下、又は50体積%以下であってよい。
組成物における上述した粉末の含有量は、組成物の全体積を基準として、45体積%以上、46体積%以上、47体積%以上、又は50体積%以上であってよく、60体積%以下、58体積%以下、57体積%以下、又は55体積%以下であってよい。
組成物は、樹脂以外にその他の成分を更に含有してもよい。その他の成分は、モノマー、溶媒、カップリング剤、硬化剤、硬化促進剤(硬化触媒)、湿潤分散剤、表面調整剤、付加反応触媒、有機粒子、顔料等であってよい。
モノマーは、重合性の炭素-炭素二重結合を有するものであってよい。モノマーは、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、メタアリル基、ビニル基を有するものであってよい。モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキシル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2-クロロエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2-クロロエチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート、フマル酸ジアリルであってよい。
溶媒は、アルコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。グリコールエーテル系溶媒としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
カップリング剤は、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤は反応性二重結合を有するものであってよく、ビニル基、アリル基等を有するものであってよい。シランカップリング剤としては、アリルトリエトキシシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
硬化剤としては、フェノールノボラック化合物、酸無水物、アミノ化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
硬化促進剤(硬化触媒)としては、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルフォスフェイト等のリン系硬化促進剤、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等のアミン系硬化促進剤などが挙げられる。
湿潤分散剤としては、リン酸エステル塩、カルボン酸エステル、ポリエステル、アクリル共重合物、ブロック共重合物等が挙げられる。
表面調整剤としては、アクリル系表面調整剤、シリコーン系表面調整剤、ビニル系調整剤、フッ素系表面調整剤等が挙げられる。
組成物は、上述した粉末及び樹脂と、必要に応じて用いられるその他の成分とを公知の方法(例えばヘンシェルミキサーによる混合)で混合することにより、調製することができる。
組成物を加圧によりシート状に成形する工程(成形工程)では、例えば、フィルムアプリケーターを用いて、組成物を基材上に塗工し、加圧することにより、組成物をシート状に成形することができる。成形工程において、組成物の加圧と同時に、組成物を加熱してもよい。成形工程において、成形と同時又は成形後に、組成物中の樹脂を一部又は全部を硬化させる工程(硬化工程)が行われてもよい。
成形工程における加圧は、塊状窒化ホウ素粒子を崩しつつ、チューブ状窒化ホウ素粒子の形を保つ観点から、7MPa以上、8MPa以上、10MPa以上、又は12MPa以上の圧力で行われてよく、16MPa以下、12MPa以下、又は10MPa以下の圧力で行われてよい。
組成物が、硬化性成分(熱硬化性又は光硬化性の樹脂、モノマー等)を含む場合、組成物中の樹脂を硬化させる方法は、組成物が含有する樹脂及び/又はモノマーの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂がエポキシ樹脂であり、上述した硬化剤が共に用いられる場合、加熱により樹脂を硬化させることができる。
以上のようにして得られる放熱シートは、組成物をシート状に成形する際に、圧壊強度が比較的小さい塊状窒化ホウ素粒子が、チューブ状窒化ホウ素粒子よりも優先的に崩れることから、チューブ状窒化ホウ素粒子内に崩れた塊状窒化ホウ素粒子の窒化ホウ素粒子一次粒子が存在する。すなわち、本発明の他の一実施形態は、チューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子と、樹脂と、を含有する放熱シートである。
複数の窒化ホウ素一次粒子は、窒化ホウ素により形成されており、例えば鱗片状の形状を有するものであってよい。この場合、窒化ホウ素一次粒子の長手方向の長さは、例えば、1μm以上であってよく、10μm以下であってよい。
複数の窒化ホウ素一次粒子の一部は、チューブ状窒化ホウ素粒子内に存在する。放熱シートにおいて、複数の窒化ホウ素一次粒子の一部が、チューブ状窒化ホウ素粒子内(チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部内)に存在することは、放熱シートの断面をSEMにより観察することにより確認することができる。放熱シートの断面画像(SEM画像)において、チューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部が開口を有さない(閉空間を形成している)場合、チューブ状窒化ホウ素粒子内とは、チューブ状窒化ホウ素粒子の当該閉空間の内側を意味する。また、放熱シートの断面画像(SEM画像)において、チューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部が開口を有する場合、チューブ状窒化ホウ素粒子内とは、当該開口におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の端同士を結ぶ直線と、チューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部とで囲われる部分の内側を意味する。なお、開口におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の端同士を結ぶ直線は、チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部の面積が最大となるように結ぶものとする。
複数の窒化ホウ素一次粒子の残部、すなわち、チューブ状窒化ホウ素粒子内の窒化ホウ素一次粒子以外の窒化ホウ素一次粒子(チューブ状窒化ホウ素粒子外の窒化ホウ素一次粒子)は、放熱シート全体にわたって存在している。チューブ状窒化ホウ素粒子外の窒化ホウ素一次粒子の一部は、塊状になっていてもよい(原料である上記の塊状窒化ホウ素粒子の一部又は全部の形が維持されていてもよい)。言い換えれば、放熱シートは、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子を含有してもよい。
放熱シートが塊状窒化ホウ素粒子を含有する場合、放熱シートの断面の観察画像(SEM画像)からは、塊状窒化ホウ素粒子同士の粒界を判別しにくいことから、放熱シートが塊状窒化ホウ素粒子を含有することを確認しにくいが、放熱シートが塊状窒化ホウ素粒子を含有することは、以下の方法により確認することができる。
まず、放熱シートをセラミックス製ボートに乗せ、電気炉にて大気下、800℃2時間加熱することで、窒化ホウ素粒子以外の成分を加熱分解することにより除去する。その後、セラミックス製ボード上に残った粒子をSEMで観察する。放熱シートが塊状窒化ホウ素粒子を含有する場合は、塊状窒化ホウ素粒子が、塊状のまま(SEM画像上で判別できる状態)でセラミックス製ボード上に残るため、SEM画像によって塊状窒化ホウ素粒子の存在(放熱シートが塊状窒化ホウ素粒子を含有すること)を確認することができる。
放熱シートの断面において、チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部の面積割合は、40%以上、50%以上、又は60%以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部の面積割合は、90%以下又は80%以下であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部の面積割合は、放熱シートの断面画像(SEM画像)を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込んで、当該断面画像におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の断面画像から計算することにより求めることができる。
放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さは、放熱シートの熱伝導率をより向上させやすい観点から、80μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、175μm以上、200μm以上、225μm以上、250μm以上、300μm以上、又は350μm以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さは、1000μm以下、又は500μm以下であってよい。
放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子の最大長さとは、放熱シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、1個のチューブ状窒化ホウ素粒子上の任意の2点間の直線距離のうち最大となる長さを意味する。最大長さの測定は、放熱シートの断面の観察画像(SEM画像)を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込んで行ってもよい。
放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、放熱シートの熱伝導率をより向上させやすい観点から、1.5以上、1.7以上、2.0以上、3.0以上、5.0以上、又は7.0以上であってよい。チューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、12.0以下、10.0以下、9.5以下、9.0以下、又は8.0以下であってよい。放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比は、上述したチューブ状窒化ホウ素粒子のアスペクト比と同様に定義される。
放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部の厚さは、50μm以下、30μm以下、又は15μm以下であってよい。外殻部の厚さは、1μm以上又は3μm以上であってよい。放熱シートにおけるチューブ状窒化ホウ素粒子の外殻部の厚さは、放熱シートの断面をSEMで観察したときの観察画像(SEM画像)において、チューブ状窒化ホウ素粒子の断面上に任意の2点間の直線距離が最大となる直線を作図したときに、当該直線の各外殻部上に作図した部分の長さの平均値と定義される。
放熱シートに占める窒化ホウ素粒子(チューブ状窒化ホウ素粒子及び窒化ホウ素一次粒子)の割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、10%以上、15%以上、又は20%以上であってよい。放熱シートに占める窒化ホウ素粒子の割合は、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であってよい。放熱シートに占める窒化ホウ素粒子の割合は、放熱シートの任意の10個の断面をSEMにより倍率300倍で観察した断面画像を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込み、各断面画像内の任意の300μm×300μmの領域において窒化ホウ素粒子(チューブ状窒化ホウ素粒子の中空部は除く)が占める面積割合を算出し、算出された10個の断面における面積割合の平均値として定義される。
放熱シートにおける窒化ホウ素粒子の配向性指数は、放熱シートの製造の容易性の観点から、7以上、8以上、又は9以上であってよい。放熱シートにおける窒化ホウ素粒子の配向性指数は、放熱シートの厚み方向の熱伝導性が更に向上する観点から、15以下、14以下、又は13以下であってよい。配向性指数は、X線回折装置で測定される窒化ホウ素の(002)面と(100)面のピーク強度比[I(002)/I(100)]で算出することができる。
放熱シートにおける樹脂の種類は、上記の組成物における樹脂の種類と同様であるが、放熱シートにおける樹脂の一部又は全部は硬化していてよい。言い換えれば、放熱シートは、樹脂の一部が硬化している半硬化(Bステージ)シートであってよく、樹脂の全部が硬化している完全硬化(Cステージ)シートであってもよい。
放熱シートに占める樹脂の割合は、10%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上であってよく、90%以下、85%以下、又は80%以下であってよい。放熱シートに占める樹脂の割合は、放熱シートの任意の10個の断面をSEMにより倍率300倍で観察した断面画像を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込み、各断面画像内の任意の300μm×300μmの領域において樹脂が占める面積割合を算出し、算出された10個の断面における面積割合の平均値として定義される。
放熱シートの厚みは、例えば、50μm以上、80μm以上、又は100μm以上であってよく、500μm以下、400μm以下、又は200μm以下であってよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[チューブ状窒化ホウ素粒子の製造]
平均粒子径が10μmである炭化ホウ素粉末100質量部と、ホウ酸9質量部とを混合し、カーボンルツボに充填し、カーボンルツボの開口部をカーボンシート(NeoGraf社製)で覆い、カーボンルツボの蓋とカーボンルツボとでカーボンシートを挟むことで、カーボンシートを固定した。蓋をしたカーボンルツボを抵抗加熱炉内で、窒素ガス雰囲気下で、2000℃、0.85MPaの条件で20時間加熱することで、カーボンシート上にチューブ状窒化ホウ素粒子が生成した。カーボンシートから回収した窒化ホウ素粒子(チューブ状窒化ホウ素粒子)のSEM画像を図1に示す。カーボンシートから回収した窒化ホウ素粒子は、最大長さが200μmであり、アスペクト比が2.5であるチューブ状窒化ホウ素粒子を含むものであった。10個のチューブ状窒化ホウ素粒子を圧壊時の負荷の強さの平均値は40mNであった。
[粉末の調製]
製造したチューブ状窒化ホウ素粒子と、塊状窒化ホウ素粒子(圧壊強度4MPa、平均粒子径35μm)とを1:15(=チューブ状窒化ホウ素粒子:塊状窒化ホウ素粒子)の体積比で混合し、粉末を作製した。
[放熱シートの作製]
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、HP4032)100質量部と、硬化剤としてイミダゾール化合物(四国化成社製、2E4MZ-CN)10質量部とを混合し、次いで、作製した粉末を更に混合して組成物を得た。得られた組成物において、チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量は、組成物の全体積を基準として3体積%であり、塊状窒化ホウ素粒子の含有量は、組成物の全体積を基準として45体積%であった。
得られた組成物を、500Paの減圧脱泡を10分間行い、PET製シート上に厚みが1.0mmになるように塗布した。その後、温度150℃、圧力160kg/cm条件で60分間のプレス加熱加圧を行って、0.5mmの放熱シートを作製した。
作製した放熱シートの断面のSEM画像を図2に示す。放熱シートの断面において、複数の窒化ホウ素一次粒子の一部が、チューブ状窒化ホウ素粒子内に存在することが確認できた。チューブ状窒化ホウ素粒子の一つ(図1において矢印で示したチューブ状窒化ホウ素粒子)は、最大長さが200μmであり、アスペクト比が2.5であり、窒化ホウ素粒子に占める中空部の面積割合が75%であり、外殻部の厚さが5μmであった。
[熱伝導率の測定]
作製した放熱シートから10mm×10mmの大きさの測定用試料を切り出し、キセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製、LFA447NanoFlash)を用いたレーザーフラッシュ法により、測定用試料の熱拡散率A(m/秒)を測定した。また、測定用試料の比重B(kg/m)をアルキメデス法により測定した。また、測定用試料の比熱容量C(J/(kg・K))を、示差走査熱量計(株式会社リガク製、ThermoPlusEvoDSC8230)を用いて測定した。これらの各物性値を用いて、実施例1の放熱シートの熱伝導率H1(W/(m・K))をH1=A×B×Cの式から求めた。
なお、実施例1の放熱シートとは別に、実施例1の放熱シートにおいてチューブ状窒化ホウ素粒子を用いない(チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が0体積%である)放熱シートを用意し、この放熱シートの熱伝導率H0も上記と同様にして測定した。そして、チューブ状窒化ホウ素粒子を用いない放熱シートの熱伝導率H0に対する実施例1の放熱シートの熱伝導率H1の比(H1/H0)を算出した。この比が、チューブ状窒化ホウ素を用いたことによる放熱シートの熱伝導率の向上の程度(向上倍率)を表す。結果を表1に示す。
[配向性指数の測定]
実施例の放熱シートについて、放熱シート中の窒化ホウ素の状態を確認するために、X線回折装置(株式会社リガク製、商品名:ULTIMA-IV)を用いて、放熱シート中の窒化ホウ素の配向性指数[I(002)/I(100)]を求めた。X線回折装置の試料ホルダーにセットした放熱シートにX線を照射して、ベースライン補正を行った。その後、窒化ホウ素の(002)面と(100)面のピーク強度比を算出した。これを配向性指数[I(002)/I(100)]とした。実施例1の放熱シートの配向性指数は、11.13であった。
(実施例2)
チューブ状窒化ホウ素粒子:塊状窒化ホウ素粒子の体積比を1:9に変更して粉末を作製したこと、及び、組成物におけるチューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が、組成物の全体積を基準として5体積%であったこと以外は、実施例1と同様にして、放熱シートの作製、熱伝導率の測定、及び配向性指数の測定を行った。なお、熱伝導率の測定では、実施例2の放熱シートの熱伝導率をH1、実施例2の放熱シートにおいてチューブ状窒化ホウ素粒子を用いない(チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が0体積%である)放熱シートの熱伝導率をH0とした。実施例2の放熱シートの配向性指数は、9.49であった。
(比較例1)
塊状窒化ホウ素粒子として、圧壊強度が7MPaの塊状窒化ホウ素粒子(平均粒子径85μm)を用いた以外は実施例2と同様にして放熱シートの作製及び熱伝導率の測定を行った。作製した放熱シートの断面のSEM画像を図3に示す。なお、熱伝導率の測定では、比較例1の放熱シートの熱伝導率をH1、比較例1の放熱シートにおいてチューブ状窒化ホウ素粒子を用いない(チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が0体積%である)放熱シートの熱伝導率をH0とした。
(比較例2)
塊状窒化ホウ素粒子として、圧壊強度が11MPaの塊状窒化ホウ素粒子(平均粒子径42μm)を用いた以外は実施例2と同様にして放熱シートの作製及び熱伝導率の測定を行った。なお、熱伝導率の測定では、比較例2の放熱シートの熱伝導率をH1、比較例2の放熱シートにおいてチューブ状窒化ホウ素粒子を用いない(チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が0体積%である)放熱シートの熱伝導率をH0とした。
Figure 0007301920000001

Claims (8)

  1. 最大長さが80μm以上であり、アスペクト比が12.0以下であるチューブ状窒化ホウ素粒子と、
    複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子と、を含有し
    前記塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が7MPa未満である、粉末。
  2. 前記チューブ状窒化ホウ素粒子の含有量が、前記粉末の全体積を基準として、2~26体積%である、請求項1に記載の粉末。
  3. 前記アスペクト比が1.5以上である、請求項1又は2に記載の粉末。
  4. 前記チューブ状窒化ホウ素粒子の強度が25mN以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末。
  5. 最大長さが80μm以上であり、アスペクト比が12.0以下であるチューブ状窒化ホウ素粒子と、複数の窒化ホウ素一次粒子の凝集体である塊状窒化ホウ素粒子と、樹脂とを含有する組成物を加圧によりシート状に成形する工程を備え
    前記塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が7MPa未満である、放熱シートの製造方法。
  6. チューブ状窒化ホウ素粒子と、
    複数の窒化ホウ素一次粒子と、
    樹脂と、を含有し、
    前記複数の窒化ホウ素一次粒子の一部が、前記チューブ状窒化ホウ素粒子内に存在する、放熱シート。
  7. 配向性指数が7~15である、請求項6に記載の放熱シート。
  8. 前記チューブ状窒化ホウ素粒子が、最大長さが80μm以上であり、アスペクト比が1.5以上である窒化ホウ素粒子を含む、請求項6又は7に記載の放熱シート。
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