本開示における典型的な実施形態の1つである実施例について、図面を参照して説明する。なお、本開示の技術は、眼鏡レンズにおけるレンズ面の形状を測定するための眼鏡レンズ形状測定装置に適用されるが、本開示の技術の少なくとも一部は、眼鏡レンズ形状測定装置とは異なる装置へ適用されてもよい。一例として、眼鏡レンズの周縁を加工するための加工具を備える眼鏡レンズ周縁加工装置へ適用されてもよい。すなわち、眼鏡レンズ周縁加工装置が眼鏡レンズ形状測定装置としての機能を備えてもよい。以下に示す実施例では、このような場合を例に挙げる。
図1は、眼鏡レンズ周縁加工装置1(以下、加工装置1と省略する)の内部構成図である。以下では、図1に示すX方向を加工装置1の左右方向、Y方向を加工装置1の上下方向、Z方向を加工装置1の前後方向として表す。
加工装置1は、本体ベース10、レンズ保持ユニット100、レンズ形状測定ユニット200、第1レンズ加工ユニット300、第2レンズ加工ユニット400、等を備える。本体ベース10には、各々のユニットが搭載される。レンズ保持ユニット100は、レンズチャック軸110によって、レンズLEを回転可能かつXYZ方向へ移動可能に挟持する。レンズ形状測定ユニット200は、レンズLEのレンズ面(レンズLEの前面及び後面の少なくともいずれか)の形状と、デモレンズ、型板、及び被加工レンズの外形形状と、を測定する。第1レンズ加工ユニット300は、第1加工具によってレンズLEを加工する。第2レンズ加工ユニット400は、第2加工具によってレンズLEを加工する。
<レンズ保持ユニット>
レンズ保持ユニット100は、レンズチャック軸110(110L及び110R)、キャリッジ111(111L及び111R)、X方向移動ユニット120、軸間距離変動ユニット130、等を備える。
レンズチャック軸110は、X方向に伸びレンズLEを挟持する。レンズチャック軸110は、キャリッジ111により、同軸上で回転可能に保持される。レンズチャック軸110Rは、キャリッジ111Rに取り付けられたモータ113を駆動させることで、レンズチャック軸110L側へ移動する。これによって、レンズチャック軸110L及び110Rの間にレンズLEが挟持される。また、レンズチャック軸110L及び110Rは、キャリッジ111Rに取り付けられたモータ114を駆動させることで、図示なき回転伝達機構(例えば、ギヤ機構等)を介し、互いに同期してレンズチャック軸110の回転軸S1周りに回転される。
X方向移動ユニット120は、レンズチャック軸110をX方向に移動させる。X方向移動ユニット120は、X方向に伸びるシャフト(シャフト121及び122)、シャフトに沿って移動可能でありキャリッジ111に連結する移動支基123、モータ124、モータ124の回転軸に取り付けられシャフト121と平行に伸びる図示なきボールネジ、等を備える。モータ124を駆動させると、モータ124の回転軸に取り付けられた図示なきボールネジが回転し、移動支基123およびキャリッジ111がX方向へ移動する。モータ124にはエンコーダ125が設けられ、モータ124の回転を検出することで、キャリッジ111のX方向の移動位置が求められる。
軸間距離変動ユニット130は、レンズチャック軸110の回転軸S1と加工具回転軸(第1加工具回転軸S2または第2加工具回転軸S3)との軸間距離を変動させる。なお、本実施例において、軸間距離変動ユニット130は、レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEと、後述する測定子(第1測定子231及び第2測定子241)と、の相対的な位置関係を変更するための移動ユニットを兼ねる。
軸間距離変動ユニット130は、移動支基123に固定されたシャフト131、モータ132、モータ132の回転軸に取り付けられシャフト131と平行に伸びるボールネジ133、等を備える。モータ132を駆動させると、モータ132の回転軸に取り付けられたボールネジ133が回転し、移動支基123およびキャリッジ111がシャフト121の回転軸を中心に回転する。モータ132にはエンコーダ134が設けられ、モータ132の回転を検出することで、キャリッジ111のZ方向の移動位置が求められる。
<レンズ形状測定ユニット>
図2~図4は、レンズ形状測定ユニット200の構成図である。図2は、レンズ形状測定ユニット200の斜視図である。図3は、レンズ形状測定ユニット200の正面図である。図4は、レンズ形状測定ユニット200の右側面図である。
レンズ形状測定ユニット200は、キャリッジ111の後方に設けられる。レンズ形状測定ユニット200は、固定部210と可動部220から構成される。固定部210は、本体ベース10に取り付けられている。固定部210は、X方向(言い換えると、レンズチャック軸110の回転軸S1方向)へ伸び可動部220を支持するシャフト211、可動部220の前方向(レンズチャック軸110へ近づく方向)への移動を制限するピン212、可動部220の後方向(レンズチャック軸110から離れる方向)への移動を制限するピン213、シャフト211とピン212及び213が固定される固定板214、等を備える。
可動部220は、固定部210に対して、シャフト211の回転軸N1周りに旋回移動する。言い換えると、可動部220は、固定部210に対して、シャフト211の回転軸N1を中心に、前後方向(図2~図4のA方向)へ傾斜する。また、可動部220は、固定部210に対して、シャフト215の回転軸N2周りに旋回移動する。言い換えると、可動部220は、固定部210に対して、シャフト215の回転軸S2を中心に、左右方向(図2~図4のB方向)へ傾斜する。
可動部220は、固定部210に対して後述の第1測定子231をB方向に傾斜する第1移動部230、固定部210に対して後述の第2測定子241をB方向に傾斜する第2移動部240、固定部210に対して第1測定子231及び第2測定子241をA方向に傾斜する第3移動部250、等を備える。
なお、本実施例では、固定部210のシャフト211に対して、第3移動部250の軸受け251が取り付けられ、さらに、第3移動部250のシャフト215に対して、第1移動部230の軸受け501と第2移動部240の軸受け242がそれぞれ取り付けられることで、第1移動部230、第2移動部240、及び第3移動部250が一体化されている。このため、測定子(第1測定子231及び第2測定子241)は、シャフト215の回転軸N2を中心にB方向へ傾斜可能となる。すなわち、レンズチャック軸110に挟持されるレンズLEのコバ厚方向へ移動可能となる。また、測定子(第1測定子231及び第2測定子241)は、シャフト211の回転軸N1を中心にA方向へ傾斜可能となる。すなわち、測定子が、レンズチャック軸110に挟持されるレンズLEの動径長方向へ移動可能となる。
<第1移動部>
第1移動部230は、レンズLEの前面の形状を測定するための第1測定子231を有する。第1移動部230は、第1測定子231を、レンズLEのコバ厚方向へ第1回転軸(本実施例では、回転軸N2)を中心に旋回移動させて、レンズLEの前面に接触させる。
第1移動部230は、シャフト215に挿通する軸受け232、固定部210に取り付けられるモータ233、モータ233の回転軸に連結されるギヤ234、軸受け232に固定されたギヤ234と噛み合うギヤ235、軸受け232に固定されZ方向へ柱状に伸びる支持軸236、支持軸236に固定されるアーム237、アーム237の先端に設けられる第1測定子231、等を備える。なお、アーム237には、第1測定子231よりも後方の位置に、加工室内へ流入する加工水の侵入を防ぐための防水板238が取り付けられる。
例えば、モータ233は、パルスモータであってもよい。例えば、モータ233を駆動させることで、モータ233の回転軸に連結されたギヤ234がBb方向へ回転し、さらに、ギヤ234と噛み合うギヤ235がBa方向へ回転する。これによって、支持軸236がBa方向へ傾斜するとともに、支持軸236にアーム237を介して設けられた第1測定子231がBa方向へと傾斜する。なお、支持軸236は、初期位置(本実施例では、支持軸236がシャフト215の回転軸N2に対して垂直となる位置)に配置されるよう、図示なきバネによってBb方向へ常に付勢されている。このため、第1測定子231は第2測定子241に近づく方向へ常に付勢された状態となる。モータ233の駆動によってBa方向へ傾斜した第1測定子231は、図示なきバネの付勢力でBb方向へ反発し、モータ233の励磁を解除すると初期位置へ戻る。
支持軸236におけるBa方向への旋回角度(言い換えると、支持軸236が回転軸N2を中心にBa方向へ移動した位置)の変化は、第1検出器239に検出される。例えば、第1検出器239は、エンコーダであってもよい。例えば、第1検出器239が有する発光素子239aを支持軸236に対向する支持軸253に取り付け、第1検出器239が有する受光素子239bを支持軸236に設けてもよい。支持軸236が傾斜することで変化する発光素子239aの発光信号と受光素子239bの受光信号との位相差に基づいて、支持軸236の旋回角度が求められる。本実施例では、支持軸236の旋回角度を利用して、第1測定子231のX方向における位置情報が求められる。
<第2移動部>
第2移動部240は、レンズLEの後面の形状を測定するための第2測定子241を有する。第2移動部240は、第2測定子241を、レンズLEのコバ厚方向へ第2回転軸(本実施例では、回転軸N2)を中心に旋回移動させて、レンズLEの後面に接触させる。
第2移動部240は、シャフト215に挿通する軸受け242、軸受け242に固定されZ方向へ柱状に伸びる支持軸243、支持軸243に固定されるアーム244、アーム244の先端に設けられる第2測定子241、等を備える。なお、アーム244には、測定子241よりも後方の位置に、加工室内へ流入する加工水の侵入を防ぐための防水板245が取り付けられる。
支持軸243は、初期位置(本実施例では、支持軸243がシャフト215の回転軸N2に対して垂直となる位置)に配置されるよう、バネ259によってBa方向へ常に付勢されている。このため、第2測定子241は第1測定子231に近づく方向へ常に付勢された状態となる。
支持軸243におけるBb方向への旋回角度(言い換えると、支持軸243が回転軸N2を中心にBb方向へ移動した位置)の変化は、第2検出器246に検出される。例えば、第2検出器246は、エンコーダであってもよい。例えば、第2検出器246が有する発光素子246aを支持軸243に対向する支持軸253に取り付け、第2検出器246が有する受光素子246bを支持軸243に設けてもよい。支持軸243が傾斜することで変化する発光素子246aの発光信号と受光素子246bの受光信号との位相差に基づいて、支持軸243の旋回角度が求められる。本実施例では、支持軸243の旋回角度を利用して、第2測定子241のX方向における位置情報が求められる。
なお、支持軸243は、柱部243aと、柱部243aの中央から左右に設けられ柱部243aよりも薄く形成された板部243bと、で構成される。板部243bの左右端が後述のピン254a及び254bに当接することで、支持軸243のB方向における旋回角度の最大値が決定される。例えば、本実施例において、支持軸243は、支持軸243のX方向における中心軸K1から、Bb方向へ4度程度まで傾斜する。これによって、第2測定子241の先端は、中心軸K1から略X方向へ10mm程度の距離を移動できる。つまり、第2測定子241の先端は、中心軸K1から略X方向へ10mm程度の移動範囲をもつ。
また、板部243bの前後面がピン212及びピン213に当接することで、支持軸243(及び、支持軸236)のA方向における旋回角度の最大値が決定される。例えば、本実施例において、支持軸243は、支持軸243のZ方向における中心軸N2から、A方向へ4度程度まで傾斜する。これによって、第2測定子241の側面は、中心軸N2から略Z方向へ10mm程度の距離を移動できる。つまり、第2測定子241の側面は、中心軸N2から略Z方向へ10mm程度の移動範囲をもつ。
<第3移動部>
第3移動部250は、第2測定子241を、レンズLEの径方向へ第3回転軸(本実施例では、回転軸N1)を中心に旋回移動させて、第2測定子241の側面を、デモレンズ、型板、及び被加工レンズの外周(コバ)に接触させる。
第3移動部250は、シャフト211に挿通する軸受け251、Z方向に伸びるシャフト215、軸受け251と連結しシャフト215に挿通する軸受け252、軸受け252に固定される支持軸253、第1移動部230のBa方向の傾斜を制限する図示なきピン、第1移動部230のBb方向の傾斜を制限する図示なきピン、第1移動部230のB方向の初期位置を保持するとともに、レンズLEにBb方向の測定圧を加えるバネ258、第2移動部240のBa方向の傾斜を制限するピン254a、第2移動部240のBb方向の傾斜を制限するピン254b、第2移動部240のB方向の初期位置を保持するとともに、レンズLEにBa方向の測定圧を加えるバネ259、等を備える。
なお、本実施例において、第1移動部230のBb方向の傾斜を制限する図示なきピンと、第2移動部240のBa方向の傾斜を制限するピン254aと、は兼用されてもよい。例えば、この場合には、第1移動部230のBb方向の傾斜を制限するとともに、第2移動部240のBa方向の傾斜を制限することが可能な部材(一例として、板部材)を用いてもよい。例えば、このような部材の厚みは、第1測定子231の先端と第2測定子241の先端を、初期位置において所定の間隔(例えば、0.5mm等)に維持する厚みであってもよい。
支持軸253は、初期位置(本実施例では、支持軸253がシャフト211の回転軸N1に対して垂直となる位置)に配置されるよう、固定板214と軸受け252に接続されたバネ256によって、Aa方向へ常に付勢されている。このため、第1測定子231及び第2測定子241は、レンズLEに近づく方向へ常に付勢された状態となる。
支持軸253におけるAb方向への旋回角度(言い換えると、支持軸253が回転軸N1を中心にAb方向へ移動した位置)の変化は、第3検出器257に検出される。例えば、第3検出器257は、エンコーダであってもよい。例えば、第3検出器257が有する発光素子257aを支持軸253に取り付け、第3検出器257が有する受光素子257bを固定板214に設けてもよい。支持軸253が傾斜することで変化する発光素子257aの発光信号と受光素子257bの受光信号との位相差に基づいて、支持軸253の旋回角度が求められる。本実施例では、支持軸253の旋回角度を利用して、第2測定子241のZ方向における位置情報が求められる。
なお、第3移動部250は、第1移動部230及び第2移動部240によりレンズLEのレンズ面の形状を測定する際に起こり得る測定子の破損を抑制するための役割を兼ねている。例えば、レンズLEのレンズ面から測定子が外れてしまった場合、測定子はバネの付勢力で前述の初期位置へと戻る。しかし、レンズLEはレンズチャック軸110の回転軸S1周りに回転するため、レンズLEの外周が測定子の側面に接触し、さらに、レンズLEによって測定子がAb方向へ押圧される。このとき、第3移動部250によって、測定子にかかるAb方向への押圧力を逃がすことで、測定子の破損を抑制することができる。
本実施例において、このような構成を備えるレンズ形状測定ユニット200では、第1測定子231及び第2測定子241のB方向への移動軌跡M(図6参照)が略直線状となるように、第1測定子231を支持する支持軸236の長さと、第2測定子241を支持する支持軸243の長さと、が決められている。また、第1測定子231の先端と第2測定子241の先端とは、中心軸K1からX方向に所定の間隔(例えば、0.5mm等)を空けて対称な位置に配置される。
また、このような構成を備えるレンズ形状測定ユニット200では、第1測定子231と第2測定子241が、レンズチャック軸110の移動軌跡上(すなわち、レンズチャック軸110がシャフト121の回転軸を中心に回旋移動する軌跡上)に位置するように、第1測定子231を支持するアーム237の長さと、第2測定子241を支持するアーム244の長さと、レンズチャック軸110に対するこれらアームの旋回角度と、が決められている。測定子がレンズチャック軸110の移動軌跡上に位置することで、レンズ保持ユニット100によるレンズLEの移動を利用して、レンズLEの前面及び後面の形状が測定される。
また、このような構成を備えるレンズ形状測定ユニット200では、第1移動部230と第2移動部240が互いに独立して旋回移動される。すなわち、第1測定子231の旋回移動(B方向への傾斜)と、第2測定子241の旋回移動(B方向への傾斜)と、が互いに独立して行われる。このため、第1測定子231と第2測定子241を用いて、レンズLEの前面の測定とレンズLEの後面の測定との一方の測定を行った後に他方の測定を行うことが可能である。一例として、レンズLEに一方の測定子のみが接触するように、レンズLEから他方の測定子を旋回移動により遠ざけてもよい。もちろん、第1測定子231と第2測定子241を用いて、レンズLEの前面の測定とレンズLEの後面の測定とを同時に行うことも可能である。
また、このような構成を備えるレンズ形状測定ユニット200では、レンズLEの前面及び後面の測定時において、レンズLEを第1測定子231と第2測定子241の間に配置する際にのみ、各々の測定子を旋回移動させてその間隔を広げるように制御される。これによって、レンズLEを測定していないときは、加工室内のスペースが確保されるようになり、加工室内を有効に活用することができる。
また、このような構成を備えるレンズ形状測定ユニット200では、第1移動部230による第1測定子231の旋回移動の第1回転軸と、第2移動部240による第2測定子241の旋回移動の第2回転軸とが、同軸上に配置されている。これにより、各々の回転軸を同軸上に配置しない構成よりも、装置を省スペース化したり、加工室内のスペースを有効に活用したりできる。
なお、本実施例では、第1移動部230と第2移動部240がシャフト215を兼用し、第1測定子231が第1回転軸を中心にシャフト215に対して旋回移動可能に取り付けられ、第2測定子241が第2回転軸を中心にシャフト215に対して旋回移動可能に取り付けられている。本実施例では、これによって、各々の測定子の回転軸が同軸上に配置されている。つまり、第1移動部230の第1回転軸と、第2移動部240の第2回転軸が、シャフト215に対して同軸上に配置されている。このような構成とすることで、第1移動部230と第2移動部240の一部が共有され、より容易な構成となり、装置の省スペース化及び低コスト化に繋げることができる。もちろん、第1移動部230と第2移動部240がシャフト215を兼用するが、各々の測定子の回転軸が異なる軸上に配置されるように、各々の測定子をシャフト215に対して旋回移動可能に取り付ける構成としてもよい。
なお、本実施例のレンズ形状測定ユニット200は、上記の構成を備えることにより、レンズLEのレンズ面の形状を測定するレンズ面形状測定ユニットと、レンズLEの外形の形状を測定する外形形状測定ユニットと、の機能を兼ねる。しかし、本実施例において、レンズ形状測定ユニット200は、少なくともレンズ面形状測定ユニットとしての機能を有していればよい。すなわち、レンズ形状測定ユニット200によって、測定子(第1測定子231及び第2測定子241)のB方向への移動が検出されればよい。この場合、レンズ形状測定ユニット200の可動部220は、少なくとも第1移動部230と第2移動部240を備える構成であればよい。
<第1レンズ加工ユニット>
第1レンズ加工ユニット300は、キャリッジ111の前方に設けられる。第1レンズ加工ユニット300は、第1加工具310(レンズLEの周縁を加工するための周縁加工具の1種)、スピンドル(砥石回転軸)321、モータ322、等を備える。第1加工具310は、ガラス用粗砥石311、仕上げ用砥石312、平鏡面仕上げ用砥石313、プラスチック用粗砥石314、等で構成される。仕上げ用砥石312には、レンズLEにヤゲンを形成するV溝(ヤゲン溝)及び平坦加工面が形成されている。スピンドル321はX方向に伸び、第1加工具310の各々の砥石を同軸上に固定する。モータ322の回転軸は、スピンドル321に接続されている。モータ322が駆動すると、スピンドル321及び第1加工具310が、第1加工具回転軸S2の軸周りに回転する。レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEを第1加工具310に接触させることで、レンズLEの周縁に、粗加工、仕上げ加工、鏡面加工、等を施すことができる。
<第2レンズ加工ユニット>
第2レンズ加工ユニット400は、キャリッジ111の後方に設けられる。第2レンズ加工ユニット400は、第2レンズ加工ユニット400は、レンズ形状測定ユニット200の移動範囲外において、レンズ形状測定ユニット200と並べて配置される。第2レンズ加工ユニット400は、第2加工具410(レンズLEの周縁を加工するための周縁加工具の1種)、スピンドル(砥石回転軸)421、モータ422、等を備える。第2加工具410は、面取り用砥石、溝堀り用砥石、等で構成される。スピンドル421はX方向に伸び、第2加工具410の各々の砥石を同軸上に固定する。モータ422の回転軸は、スピンドル421に接続されている。モータ422が駆動すると、スピンドル421及び第2加工具410が、第2加工具回転軸S3の軸周りに回転する。レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEを第2加工具410に接触させることで、レンズLEの周縁に、面取り加工、溝掘り加工、等を施すことができる。
<制御部>
図5は、加工装置1の制御系を示す図である。制御部50は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、加工装置1における各部材の制御を司る。RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。ROMには、加工装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値、等が記憶されている。なお、制御部50は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)で構成されてもよい。例えば、複数の制御部うち、1つが第1移動部230の駆動(例えば、本実施例ではモータ233の励磁)を制御し、1つが第2移動部240の駆動を制御してもよい。
制御部50には、各モータ(113、114、124、233、322、422)、各検出器(125、134、239、246、257)、モニタ20、メモリ30、等が電気的に接続されている。モニタ20にはタッチパネル機能が付加され、モニタ20が操作部(コントローラ)として機能する。なお、モニタ20と操作部は別に設けられてもよく、この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いてもよい。メモリ40は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。メモリ40としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。メモリ40には、レンズLEの周縁を加工する際に用いる情報(例えば、玉型データ等)が記憶されてもよい。
<制御動作>
以下、加工装置1におけるレンズ形状測定ユニット200を用いて、レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEのレンズ面の形状を測定する制御動作について説明する。
<玉型データの取得>
レンズLEのレンズ面の形状は、レンズLEの玉型データに基づいて測定されるため、始めにレンズLEの玉型データが取得される。本実施例では、加工装置1のレンズ形状測定ユニット200を用いて、眼鏡フレームに枠入れされていたデモレンズ(または型板)の外形形状データを測定することで、デモレンズの外形形状データがレンズLEの玉型データとして取得される。この場合、レンズチャック軸110にデモレンズを挟持させ、デモレンズの外周(コバ)に第2測定子241の側面を接触させる。制御部50は、レンズチャック軸110の移動位置と、支持軸253がA方向に旋回移動した旋回角度と、に基づいて、デモレンズの全周にわたる外形形状データ(玉型データ)を取得する。このような玉型データは、レンズLEの中心(レンズチャック軸110の回転軸S1)を基準とし、動径長rnと動径角θnを用いて(rn,θn)(n=1、2、…、N)で表される。例えば、本実施例では、動径角θnが0.36度であり、レンズLEを1回転させることで、1000点のデータが得られる。
なお、加工装置1のレンズ形状測定ユニット200を用いず、加工装置1とは別の装置にて測定した玉型データを受信することで、玉型データを取得することも可能である。この場合、制御部50は、特開2015-007536号公報に記載の装置等を用いて測定された眼鏡フレームにおけるリムの内形形状データを、レンズLEの玉型データとして取得してもよい。また、この場合、制御部50は、特開2013-68488号公報に記載の装置等を用いて測定されたデモレンズの外形形状データを、レンズLEの玉型データとして取得してもよい。
<測定子とレンズの接触>
制御部50は、第1測定子231の先端と、第2測定子241の先端と、の少なくともいずれかをレンズLEのレンズ面に接触させる。本実施例では、制御部50が、第1測定子231の先端をレンズLEの前面に接触させるとともに、第2測定子241の先端をレンズLEの後面に接触させる場合を例に挙げる。
まず、制御部50は、モータ233を駆動させて、支持軸236をBb方向に旋回移動させる。例えば、制御部50は、モータ233を励磁させ、所定のパルス信号(例えば、9パルス等)を入力することで、モータ233を回転させ、支持軸236をBa方向に所定の角度(例えば、16度等)だけ傾斜させる。これにより、第1測定子231が第2測定子241から遠ざかり、第1測定子231と第2測定子241とのX方向の間隔が広げられる。
次いで、制御部50は、モータ124を駆動させて、キャリッジ111をX方向へ移動させるとともに、モータ132を駆動させて、キャリッジ111をZ方向へ移動させる。例えば、制御部50は、第1測定子231と第2測定子241との間に、レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEが位置するように、キャリッジ111をX方向及びZ方向へ移動させる。
制御部50は、第1測定子231と第2測定子241との間にレンズLEを配置すると、モータ233の励磁を解除する。これによって、支持軸236は、図示なきバネの付勢力でBb方向へ旋回移動し、第1測定子231の先端がレンズLEの前面に押し当てられて接触するようになる。また、制御部50は、モータ124を駆動させ、キャリッジ111をX方向へ移動させることで、レンズLEを第2測定子241の先端に近づける。第2測定子241(支持軸243)は、バネ259によりBa方向へ旋回移動するよう付勢されるため、第2測定子241の先端がレンズLEの後面に押し当てられて接触するようになる。
なお、本実施例において、制御部50は、第1測定子231と第2測定子241との間にレンズLEを配置した後、まず、モータ124を駆動させてキャリッジ111をX方向へ移動させることで、レンズLEの後面を第2測定子241の先端に押し当てて接触させてもよい。制御部50は、第2測定子241の先端が所定の位置に到達すると、キャリッジ111の移動を停止してもよい。次に、制御部50は、モータ233の励磁を解除することで、第1測定子231の先端をレンズLEの前面に押し当てて接触させてもよい。
<測定子とレンズの位置合わせ>
本実施例では、制御部50によって、第1測定子231の先端の位置情報と、第2測定子241の先端の位置情報と、がそれぞれ取得される。例えば、このような位置情報は、X方向、の位置座標で表されてもよい。制御部50は、第1測定子231の先端及び第2測定子241の先端における位置座標に基づいて、第1測定子231と第2測定子241の先端を、レンズLEのレンズ面の形状の測定を開始する位置であり、玉型データにおける所定の動径長rn及び動径角θn(例えば、動径角0度)の位置である測定開始点に接触させる。
ここで、本実施例では、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aが、シャフト215の回転軸N2を中心にB方向へ旋回移動する。しかし、レンズLEは、レンズチャック軸110に挟持されてX方向へ平行に移動する。このため、第1測定子231の旋回角度α(言い換えると、測定子231の先端231aと回転中心軸N2を結ぶ線分と、中心軸K1と、のなす角度)によっては、第1測定子231の先端231aにおけるY方向の位置座標が変化して、第1測定子231の先端231aがレンズLEの前面の形状の測定を開始する位置である測定開始点Paに一致しない(つまり、所定の動径長rnとならない)場合がある。同様に、第2測定子の241の旋回角度β(言い換えると、測定子241の先端241aと回転中心軸N2を結ぶ線分と、中心軸K1と、のなす角度)によっては、第2測定子241の先端241aにおけるY方向の位置座標が変化して、第2測定子241の先端241aがレンズLEの後面の形状の測定を開始する位置である測定開始点Pbに一致しない(つまり、所定の動径長rnとならない)場合がある。
図6は、第1測定子231及び第2測定子241の先端と、レンズLEの測定開始点Pa及びPbと、のずれを説明する図である。図6(a)は、第1測定子231の旋回角度αが、第2測定子241の旋回角度βよりも大きい場合(つまり、旋回角度α>β)の一例である。図6(b)は、第1測定子231の旋回角度αと第2測定子241の旋回角度βが同一である場合(つまり、旋回角度α=β)を示している。図6(c)は、第1測定子231の旋回角度αが、第2測定子241の旋回角度βよりも小さい場合(つまり、旋回角度α<β)の一例である。
例えば、図6(a)に示すように、各々の測定子における旋回角度がα>βである場合、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aとでは、Y方向の位置座標が異なる。より詳細には、第1測定子231の先端231aのY方向の位置座標よりも、第2測定子241の先端241bのY方向の位置座標が高くなる。このため、例えば、第1測定子231の先端231aがレンズLEの測定開始点Paに接触するようにレンズLEを移動させても、第2測定子241の先端241aはレンズLEの測定開始点Pbからわずかにずれた点に接触される。すなわち、第1測定子231の先端231aの接触位置は所定の動径長rnとなるが、第2測定子241の先端241aの接触位置は所定の動径長rnとはならない。
同様に、例えば、図6(c)に示すように、各々の測定子における旋回角度がα<βである場合は、第2測定子241の先端241aのY方向の位置座標よりも、第1測定子231の先端231bのY方向の位置座標が高くなる。このため、例えば、第2測定子241の先端241aがレンズLEの測定開始点Pbに接触するようにレンズLEを移動させても、第1測定子231の先端231aはレンズLEの測定開始点Paからわずかにずれた点に接触される。すなわち、第2測定子241の先端241aの接触位置は所定の動径長rnとなるが、第1測定子231の先端231aの接触位置は所定の動径長rnとはならない。
しかし、例えば、図6(b)に示すように、各々の測定子における旋回角度をα=βとした場合、第1測定子231の先端231aのY方向の位置座標と、第2測定子241の先端241bのY方向の位置座標と、は同一となる。このため、例えば、第1測定子231の先端231aをレンズLEの測定開始点Paに接触させたとき、第2測定子241の先端241aがレンズLEの測定開始点Pbに接触される。つまり、第1測定子231の先端231aの接触位置と、第2測定子241の先端241aの接触位置と、はどちらも所定の動径長rnとなる。このような状態とすれば、各々の測定子の先端がレンズLEの測定開始点からずれてしまうことが抑制され、測定子とレンズLEが精度よく位置合わせされる。
そこで、制御部50は、第1測定子231の先端231aをレンズLEの前面に接触させ、第2測定子241の先端241aをレンズLEの後面に接触させた際、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aが、レンズLEの動径長rn方向に同一の高さとなるように、各々の測定子とレンズLEとの相対位置を調整する。
例えば、制御部50は、第1測定子231の旋回角度α及び第2測定子241の旋回角度βが同一角度となるように、また、第1測定子231と第2測定子241が測定開始点に接触するように、モータ124及びモータ132を駆動させ、キャリッジ111のX方向及びZ方向の移動位置を調整する。制御部50は、第1検出器239及び第2検出器246の検出結果から旋回角度α及びβを求め、これに基づいて各々の測定子におけるX方向の位置座標を算出する(Z方向の位置座標は設計上既知である)。なお、第1測定子231及び第2測定子241の旋回角度に対する位置座標は、実験やシミュレーション等から予め対応テーブルを作成し、メモリ30に記憶しておいてもよい。
例えば、制御部50は、玉型データから取得されるレンズLEの中心を基準とした測定開始点PaのXYZ方向の位置座標が、第1測定子231の先端231aのXYZ方向の位置座標に一致するように、旋回角度αの変化にともなう第1測定子231の移動位置を考慮して、レンズLEの相対的な移動を制御する。同時に、例えば、制御部50は、測定開始点PbのXYZ方向の位置座標が、第2測定子241の先端241aのXYZ方向の位置座標に一致するように、旋回角度βの変化にともなう第2測定子241の移動位置を考慮して、レンズLEの相対的な移動を制御する。これによって、第1測定子231及び第2測定子241の先端は、レンズLEの動径長rn方向に同一の高さとなり、レンズLEの測定開始点Pa及びPbが接触される。
なお、本実施例では、第1測定子231の先端231aと、第2測定子241の先端241aと、の旋回移動による移動軌跡Mが略直線状となるように構成されているため、お各々の測定子の先端と測定開始点とのずれはほとんどないものとみなしてもよい。例えば、この場合には、レンズLEのコバの厚みを測定し、コバの厚みに基づいて、第1測定子231及び第2測定子241の先端とレンズLEとの相対位置を調整してもよい。
図7は、レンズLEのコバの厚みを利用した第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEの相対位置の調整を説明する図である。図7(a)は、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aを、レンズLEの測定開始点に接触させた状態の一例である。図7(b)は、図7(a)の状態からレンズLEをX方向へ移動させ、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aとの中央位置Cをずらすことで、相対位置を調整した状態の一例である。
例えば、制御部50は、第1測定子231の先端231aの位置座標と、第2測定子241の先端241aの位置座標と、に基づいて、レンズLEの測定開始点におけるコバの厚みTを取得する。例えば、制御部50は、第1測定子231の先端231aの位置座標と、第2測定子241の先端241aの位置座標と、の差分を求めてもよい。なお、本実施例では、第1測定子231の先端と第2測定子241の先端が、Z方向の同位置に配置されているため、Z方向の座標は同一と考えることができる。また、本実施例では、第1測定子231の先端と第2測定子241の先端が、B方向へ略直線状に移動するため、Y方向の座標も略同一と考えることができる。このため、制御部50は、測定開始点におけるX方向の座標の差分を求めることで、レンズLEの測定開始点におけるコバの厚みTを取得する。さらに、制御部50は、レンズLEの測定開始点におけるコバの厚みTに基づいて、コバの厚みの中央位置Cを求める。例えば、制御部50は、第1測定子231及び第2測定子241におけるX方向の中点の座標を求めることで、コバの厚みの中央位置Cを取得する。
制御部50は、レンズLEの測定開始点におけるコバの厚みの中央位置Cを利用して、第1測定子231及び第2測定子241の先端に対するレンズLEの相対位置を調整する。例えば、制御部50は、図7(a)に示す状態から、モータ124を駆動させてキャリッジ111をX方向へ移動させ、図7(b)に示す状態のように、レンズLEのコバの厚みの中央位置Cを中心軸K1に一致させる。すなわち、レンズLEのコバの厚みの中央位置Cと、中心軸K1と、のX方向における位置座標を一致させる。このような制御を行うことでも、第1測定子231の先端231aと第2測定子241の先端241aは、レンズLEの測定開始点に同一の回旋角度α及びβで接触し、レンズLEの動径長rn方向に同一の高さとなる。
<レンズ面の形状の測定>
第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEの位置合わせが完了すると、第1測定子231及び第2測定子241の先端の位置座標に基づいて、レンズLEの前面における形状と、レンズLEの後面における形状と、が同時に測定される。
まず、制御部50は、レンズLEの前面の測定開始点Paの位置座標を取得するとともに、レンズLEの後面の測定開始点Pbの位置座標を取得する。例えば、測定開始点Paの位置座標は、第1検出器239により検出される第1測定子231のB方向への回旋角度と、エンコーダ125により検出されるモータ124の回転量と、により取得することができる。また、例えば、測定開始点Pbの位置座標は、第2検出器246により検出される第2測定子241のB方向への旋回角度と、エンコーダ125により検出されるモータ124の回転量と、により取得することができる。
次に、制御部50は、モータ114を駆動させることで、レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEを所定の動径角θn(本実施例では、0.36度)で回転させる。また、例えば、制御部50は、モータ132を駆動させることで、レンズチャック軸110に挟持されたレンズLEをZ方向へ移動させる。例えば、これによって、レンズLEの玉型データに基づく動径角0.36度の測定位置に、第1測定子231の先端231aと、第2測定子241の先端241aと、が追従される。制御部50は、第1検出器239とエンコーダ125の検出結果に基づいて、レンズLEの前面における動径角0.36度の測定位置の位置座標を取得する。また、制御部50は、第2検出器246とエンコーダ125の検出結果に基づいて、レンズLEの後面における動径角0.36度の測定位置の位置座標を取得する。
なお、このとき、レンズLEの厚みが動径角θnによって変化するため、第1測定子231の先端231aの旋回角度αと、第2測定子241の先端241aの旋回角度βと、が同一にならない場合がある。そこで、制御部50は、レンズLEの動径角θn毎の測定位置におけるコバの厚みの中央位置Cに基づいてレンズLEをX方向に移動させ、レンズLEを回転させても旋回角度αと旋回角度βが常に同一角度に維持されるようにしてもよい。このような制御は必ずしも実行しなくてもよいが、各々の測定子の先端がレンズLEの厚みの変化にかかわらず測定位置に一致されるようになるので、各々の測定位置においてより正確な位置座標を取得することができる。
例えば、制御部50は、レンズLEのすべての動径角θnにおいて、第1測定子231の先端231aの位置座標と、第2測定子241の先端241aの位置座標と、を同時に取得する。これによって、レンズLEの中心(レンズチャック軸110の回転軸S1)を基準とした、レンズLEの前面と後面における形状が、同時に取得される。
以上説明したように、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置は、第1測定子を眼鏡レンズの前面に接触させる第1移動手段と、第2測定子を眼鏡レンズの後面に接触させる第1移動手段とは独立して移動可能な第2測定手段と、第1移動手段及び第2移動手段を制御する制御手段と、制御手段によって第1測定子を眼鏡レンズの前面に接触させ、第1測定子の位置情報に基づいて眼鏡レンズの前面の形状情報を取得し、第2測定子を眼鏡レンズの後面に接触させ、第2測定子の位置情報に基づいて眼鏡レンズの後面の形状情報を取得する形状情報取得手段と、を備える。従来装置では、第1測定子及び第2測定子を直線移動により眼鏡レンズへ接触させている。このため、構成が複雑化し、装置が大きくなる、装置内(例えば、加工室内)のスペースを有効に活用できない、等の問題が生じていた。しかし、本実施例では、第1測定子及び第2測定子を旋回移動により眼鏡レンズへ接触させている。これによって、構成が容易になり、装置の省スペース化を図ることができる。また、従来装置に比べ、コストを低下させることができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置では、形状情報取得手段が、第1測定子の位置情報を、少なくとも第1測定子の旋回角度に基づいて取得し、第2測定子の位置情報を、少なくとも第2測定子の旋回角度に基づいて取得する。例えば、本実施例では、各々の測定子の旋回角度を考慮しなくても、測定子のおおよその位置情報を取得することが可能である。しかし、各々の測定子が旋回移動すると、測定子が所定の方向(本実施例では、Y方向)にずれてしまうため、測定子の旋回角度を考慮したより正確な位置情報を取得することで、眼鏡レンズの形状情報を精度よく取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置では、第1測定子が旋回移動する第1回転軸と、第2測定子が旋回移動する第2回転軸とが、同軸上に配置される。これによって、第1測定子の第1回転軸と第2測定子の第2回転軸とを異なる軸上に配置する構成に比べて、装置が省スペースになる。また、加工室内のスペースを有効に活用できる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置では、第1測定子が第1回転軸を中心に第1取付部材に対して旋回移動可能に取り付けられ、第2測定子が第2回転軸を中心に第2取付部材に対して旋回移動可能に取り付けられ、第1取付部材と第2取付部材とが兼用される。これにより、第1移動手段と第2移動手段の一部が共有化されるため、装置の省スペース化やコストの低下に繋げることができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置では、形状情報取得手段が、制御手段によって第1測定子を眼鏡レンズの前面に接触させるとともに、第2測定子を眼鏡レンズの後面に接触させ、第1測定子の位置情報に基づく眼鏡レンズの前面の形状情報と、第2測定子の位置情報に基づく眼鏡レンズの後面の形状情報とを、同時に取得する。このような構成を備えることで、容易な構成でありながら、眼鏡レンズの前面及び後面の形状情報を同時に取得することが可能となり、測定時間を短縮することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置は、第1測定子を眼鏡レンズの前面に接触させ、第2測定子を眼鏡レンズの後面に接触させた際に、第1測定子と第2測定子とが、眼鏡レンズにおける動径長方向に同一の高さとなるように、第1測定子及び第2測定子と、眼鏡レンズと、の相対位置を調整する調整手段を備える。本実施例では、第1測定子及び第2測定子が旋回移動する構成であるため、各々の測定子と眼鏡レンズの位置により、各々の測定子が眼鏡レンズの所定の位置からずれて接触することがある。しかし、眼鏡レンズに対する測定子の接触位置を、動径長方向に同一の高さとなるように調整することで、眼鏡レンズにおけるレンズ面の正確な形状を取得できる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置は、調整手段が、眼鏡レンズの動径角毎に、第1測定子と第2測定子とが動径長方向に同一の高さとなるように、第1測定子及び第2測定子と、眼鏡レンズと、の相対位置を調整する。これによって、眼鏡レンズの形状を測定する際、測定子が接触する位置のずれが常に抑えられるため、眼鏡レンズにおけるレンズ面のより正確な形状を取得できる。
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ形状測定装置は、眼鏡レンズにおけるコバ厚の厚み情報を取得する厚み情報取得手段を備え、調整手段が、コバの厚みに基づいて、第1測定子と第2測定子とが動径長方向に同一の高さとなるように、第1測定子及び第2測定子と、眼鏡レンズと、の相対位置を調整する。眼鏡レンズのコバの厚み情報を利用することで、測定子と眼鏡レンズとの相対位置が容易に調整できるとともに、眼鏡レンズに測定子が接触する位置のずれを抑え、眼鏡レンズにおけるレンズ面のより正確な形状を取得できる。
<変容例>
なお、本実施例では、支持軸236(第1測定子231)及び支持軸243(第2測定子241)の旋回角度を検出する検出器としてエンコーダを用いる場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。本実施例において、検出器は支持軸の旋回角度を検出できるものであればよく、一例として、位置センサ、回転角センサ、等を用いてもよい。これらセンサの検出結果に基づいて、第1測定子231及び第2測定子241の位置情報が取得されてもよい。
なお、本実施例では、第1測定子231及び第2測定子241を旋回移動させることで、第1測定子231及び第2測定子241をレンズLEの前面及び後面に接触させ、それぞれの形状を同時に測定する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第1測定子231及び第2測定子241を直線移動させることで、第1測定子231及び第2測定子241をレンズLEの前面及び後面に接触させ、それぞれの形状を同時に測定する構成としてもよい。この場合、各々の測定子を旋回移動させるための駆動機構よりも直線移動させるための駆動機構は複雑であるため、装置が大型化する可能性がある。しかし、レンズLEに対して測定子が旋回移動することによる接触位置のずれはほとんど発生しないため、レンズLEのレンズ面の形状を測定する際に、必ずしもレンズLEの厚みを考慮しなくてもよい。
なお、本実施例では、第1移動部230がモータ233及びギヤ機構(ギヤ234及び235)からなる駆動部を有し、第1測定子231を旋回移動させることで、第1測定子231と第2測定子241とのX方向の間隔を広げる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第2測定子241を旋回移動させることで、第1測定子231と第2測定子241とのX方向の間隔を広げる構成としてもよい。つまり、第1測定子231及び第2測定子241の少なくともいずれかを旋回移動させることで、第1測定子231と第2測定子241とのX方向の間隔を広げる構成であればよい。
一例としては、第1測定子231と第2測定子241をともに異なる方向へ旋回移動させることで、第1測定子231と第2測定子241とのX方向の間隔を広げてもよい。この場合、第1移動部230と第2移動部240のいずれかが駆動部を有していてもよい。一例として、第1移動部230の軸受け232にモータの回転を伝達させるためのギヤ機構を設けるとともに、第2移動部240の軸受け242にモータを固定配置してもよい。例えば、第1移動部のバネが第2移動部のバネよりも弱い場合、モータを回転させると、軸受け232がBa方向へ回転して、支持軸236、アーム237、及び測定子231が旋回移動するが、図示なきピンにより、支持軸236の移動は所定の位置で制限される。この状態でさらにモータが回転すると、モータの回転が軸受け242に伝わり、支持軸243、アーム244、及び測定子241が旋回移動する。
また、この場合、第1移動部230と第2移動部240がともに駆動部を有していてもよい。すなわち、第1移動部230に、モータと、モータの回転を軸受け232に伝達させるためのギヤ機構を設けるとともに、第2移動部230に、モータと、モータの回転を軸受け242に伝達させるためのギヤ機構を設けることで、第1測定子231と第2測定子241をどちらも旋回移動させることができる。もちろん、第1移動部230と第2移動部240とでモータを共有し、第1測定子231と第2測定子241を別々に旋回移動させることもできる。
なお、例えば、第1測定子231と第2測定子241の双方が旋回移動する構成であれば、厚みのあるレンズLEから形状情報を得る場合であっても、いずれかの測定子のみが旋回移動する構成より、各々の測定子(測定子を支持するアーム237及び244)のX方向の可動幅を小さくすることができる。このため、加工室内をより広く用いることができる。第1測定子231と第2測定子241をどちらも旋回移動させる場合、第1測定子231を移動させるタイミングと、第2測定子241を移動させるタイミングと、は同時であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、本実施例では、レンズLEの測定開始点に測定子を接触させた後、レンズLEのコバの厚みTに基づいて、第1測定子231及び第2測定子241と、レンズLEと、の相対位置を調整する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例においては、必ずしも測定子とレンズLEの相対位置を調整しなくてもよい。しかし、この場合には、各々の測定子がレンズLEの測定開始点からずれて接触し、測定子の位置座標が測定開始点の位置座標に一致しない。このため、測定子の位置座標と測定開始点の位置座標とのずれを考慮した補正計算等の処理を行うことで、測定精度を向上させてもよい。
また、本実施例では、第1測定子231及び第2測定子241と、レンズLEと、の相対位置を調整する際に、コバの厚みの中央位置Cを求めることで、第1測定子231の旋回角度αと第2測定子241の旋回角度βを略同一とする構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、コバの厚みの任意の位置(例えば、レンズLEの前面から後面までの距離が1:2となる位置、等)が求められてもよく、第1測定子231の旋回角度αと第2測定子241の旋回角度βを任意の角度(例えば、旋回角度α:β=1:2となる角度)としてもよい。この場合にも、各々の測定子がレンズLEの測定開始点からずれて接触してしまうため、補正計算等の処理により、測定精度を向上させてもよい。
なお、本実施例では、第1測定子231と第2測定子241とが動径長方向に同一の高さとなるように、第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEとの相対位置をレンズLEの動径角毎に調整する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第1測定子231と第2測定子241における動径長方向の高さの差に許容範囲を設けておき、許容範囲を超えた場合に、第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEとの相対位置を調整する構成としてもよい。
なお、本実施例では、第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEの相対位置を調整する際、測定子に対してレンズLEを移動させることで、第1測定子231及び第2測定子241の旋回角度を変化させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。第1測定子231及び第2測定子241とレンズLEの相対位置を調整する際は、レンズLEに対して測定子を移動させることで、第1測定子231及び第2測定子の241の旋回角度を変化させる構成としてもよい。例えば、この場合には、レンズ形状測定ユニット200をX方向へ移動可能に配置してもよい。レンズ形状測定ユニット200を移動させることで、レンズLEに対して測定子を移動させ、測定子の旋回角度を変化させることができる。もちろん、レンズ形状測定ユニット200とレンズチャック軸110の双方を移動させることで、測定子の旋回角度を変化させることもできる。
なお、本実施例におけるレンズ形状測定ユニット200は、第1測定子231及び第2測定子241をB方向に旋回移動させることで、第1測定子231及び第2測定子241をレンズLEのレンズチャック軸110に対する後方に接触させる構成としているがこれに限定されない。例えば、レンズ形状測定ユニット200は、第1測定子231及び第2測定子241をB方向に旋回移動させることで、第1測定子231及び第2測定子241をレンズLEのレンズチャック軸110に対する前方、上方、または下方のいずれかに接触させる構成としてもよい。しかし、本実施例の構成では、測定子をレンズLEのレンズチャック軸110に対する前方または後方のいずれかに接触させることが好ましい。
前述したように、第1測定子231及び第2測定子241をB方向に旋回移動させると、その旋回角度α及びβによっては、レンズLEに対する測定子の接触位置がY方向へずれる。レンズLEの厚みは、レンズLEの動径長方向に対する変化が大きく、レンズLEの動径長方向に垂直な方向に対する変化は小さい。このため、測定子をレンズLEのレンズチャック軸110に対する上方または下方に接触させると、測定子の接触位置のずれと、レンズLEの動径長方向と、が同方向となり、より大きなずれが生じてしまう。測定子をレンズLEのレンズチャック軸110に対する前方または後方のいずれかに接触させれば、測定子の接触位置のずれと、レンズLEの動径長方向と、が異なる方向となり、大きなずれが生じにくくなる。