JP7294559B1 - 機械式継手、鋼管、構造体、構造体の施工方法、機械式継手の固定方法、機械式継手の接合方法、機械式継手の取り外し方法、機械式継手の設計方法、機械式継手の製造方法 - Google Patents

機械式継手、鋼管、構造体、構造体の施工方法、機械式継手の固定方法、機械式継手の接合方法、機械式継手の取り外し方法、機械式継手の設計方法、機械式継手の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明に係る機械式継手1は、管状のPIN継手3とPIN継手3と接合されるBOX継手5とを備え、PIN継手3の基端側には段差部9が形成され、BOX継手5の先端部10が段差部9に当接して嵌合完了状態となるように構成され、PIN継手3の外周面とBOX継手5の内周面のそれぞれに嵌合完了状態で対向するように形成され、管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝11と、PIN継手3またはBOX継手5の環状溝11にPIN継手3のBOX継手5への挿入を妨げないように格納可能、かつ嵌合完了状態において環状溝11内でPIN継手3側とBOX継手5側に跨るように配置可能なリング部材13と、を備えたものである。

Description

本発明は、鋼管杭や鋼管矢板に適用する機械式継手、該機械式継手を取り付けた鋼管、該鋼管を構成要素とする構造体、該構造体の施工方法、機械式継手の固定方法、機械式継手の接合方法、機械式継手の取り外し方法、機械式継手の設計方法、機械式継手の製造方法に関する。
鋼管杭・鋼管矢板の接合については、従来から現場溶接主体で行われてきたが、近年は技能者減少、工期短縮、品質管理などから機械式継手による接合が増加してきている。鋼管杭・鋼管矢板では、管状の継手部材を鋼管とは別に製造し、接合する鋼管の端部にそれぞれ継手部材を溶接にて取り付け、継手部材同士を接合する方式が一般的である。
継手は杭の施工時および供用時に作用する圧縮・引張・せん断・ねじりといった荷重を伝達できる構造が必要である。この点、圧縮に対しては継手部材の端面同士を面接触させること、せん断に対しては雄形状の管を雌形状の管に挿入し、二重管状態にすることにより容易に伝達できる。しかし、引張およびねじり荷重は単なる挿入・面接触では伝達することができず、構造に工夫が必要である。
従来から様々な方式が考案され、実用化されてきている。例えば特許文献1(特開平10-311028号公報)には、継手部材を多条のねじ形状にして、回転接合によりPIN継手(PIN JOINT)とBOX継手(BOX JOINT)のねじ山同士が噛み合い引張荷重を伝達できる構造が開示されている。なお、正転方向のねじり荷重はねじを締めきれば伝達できるが、逆転方向のねじり荷重は伝達できないため、外周面にPIN継手とBOX継手に跨るようなボルトを配置することにより、ボルトのせん断で逆転方向のねじり荷重を伝達できるようにしている。
また、特許文献2(特開2004-36329号公報)には、PIN継手かBOX継手のどちらか一方に管軸方向のスリットが周方向に複数本設けられて、スリットにより分割された継手部材が半径方向に弾性変形できるよう加工された継手構造が開示されている。この継手構造では、分割された継手部材には凸部が設けられ、他方の部材には嵌合完了した時点で凸部に噛み合う凹部が設けられている。そして、特許文献2には、継手を挿入する際に自重等で圧縮荷重を与えると分割された継手部材が径方向に撓み、挿入完了時に元に戻った際に凸部と凹部が噛み合うことにより、引張荷重が伝達できる構造が開示されている。また、本構造においても特許文献1と同様に外周面にボルトが配置されており、ねじり荷重を伝達することが可能である。
その他の方式として、特許文献3(特開平11-36285号公報)には、PIN継手、BOX継手のそれぞれに嵌合完了時に軸方向の位置が一致するような溝が設けられた構造が開示されている。この構造では、PIN継手、BOX継手のどちらか一方に溝に嵌るような径変化可能なリング状部材が格納されている。これにより、嵌合完了時にリング部材を半径方向に動かして、PIN継手とBOX継手に跨るようにリング部材が配置されることにより、引張荷重が伝達される。本構造においてもねじり荷重は伝達できないため、特許文献1、2のようにボルトを配置するか、特許文献4(特開2000-319874号公報)のように別途回り止め機構を配置することが必要である。
特開平10-311028号公報 特開2004-36329号公報 特開平11-36285号公報 特開2000-319874号公報
特許文献1のようなねじ継手では、多条化したとしても接合時に鋼管を回転させることは避けられないため、非常に大径の場合や回転作業スペースが十分確保できない時には、接合に苦労する場合がある。
また、特許文献2のように弾性変形させる継手では、継手が厚い場合に弾性変形させるための荷重が増大し、自重だけでは嵌合できない場合が生じる。スリットの数を増やしたり、長くしたりすれば荷重を低減させることは可能だが、加工コストが増大するとともに、せん断荷重伝達能力が低下する。
他方、特許文献3に開示の継手は、特許文献1、特許文献2とは異なり、継手を構成するためにリング状部材が必要となるものの、接合時に回転が不要でかつ弾性変形させるための荷重も不要である。しかしながら、特許文献3のものも特許文献1、2、と同様に、引張荷重とねじり荷重の伝達機構は別構造であり、特許文献1~2においてはねじり荷重の伝達機構としてボルトを用い、特許文献3と同種の特許文献4においては回り止め機構を用いている。そのため、鋼管と同等のねじり荷重を伝達できるだけの耐力を確保するためには、ボルトの本数を増やしたりボルトの太さを太くしたり、また回り止め機構の数を増やしたりする必要があり、コスト増に繋がるという問題がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、接合に回転や大きな荷重をかける必要がなく、また別途コストを掛けることなくねじり荷重が伝達できる機械式継手、該機械式継手を取り付けた鋼管、該鋼管を構成要素とする構造体、該構造体の施工方法、機械式継手の固定方法、機械式継手の接合方法、機械式継手の取り外し方法、機械式継手の設計方法、機械式継手の製造方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る機械式継手は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて前記鋼管同士を接合する機械式継手であって、
前記PIN継手の基端側には段差部が形成され、該PIN継手と前記BOX継手とを嵌合した状態で該BOX継手の先端部が前記段差部に当接して嵌合完了状態となるように構成され、
前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成され、管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝と、
前記PIN継手または前記BOX継手の前記環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能なリング部材と、を備えたものである。
(2)また、本発明に係る機械式継手は、上記(1)に記載の機械式継手において、
前記リング部材において、一つまたは二つ以上の切り欠きと、
前記BOX継手の前記環状溝内において、前記リング部材の前記切り欠きに対応する位置に貫通して設けられた確認孔と、
前記PIN継手の前記環状溝内において、前記PIN継手側と前記BOX継手側とに跨るように両環状溝内で配置された前記リング部材の切り欠きの一端および他端に対応する位置に、それぞれ設けられたねじ孔と、
を備えるものである。
(3)また、本発明に係る機械式継手は、上記(1)または(2)に記載の機械式継手において、
前記リング部材において、一つまたは二つ以上の切り欠きと、
前記BOX継手において、ねじがねじ込まれることにより、前記ねじによって前記リング部材を径方向に押すことが可能となるねじ孔と、
を備えるものである。
(4)また、本発明に係る機械式継手は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて前記鋼管同士を接合する機械式継手であって、
前記PIN継手の基端側には段差部が形成され、該PIN継手と前記BOX継手とを嵌合した状態で該BOX継手の先端部が前記段差部に当接して嵌合完了状態となるように構成され、
前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成された一巻き以上の螺旋形状からなる螺旋溝と、
前記PIN継手または前記BOX継手の前記螺旋溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記螺旋溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能な螺旋状部材と、を備えたものである。
(5)また、本発明に係る鋼管は、上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手またはBOX継手を、一端および/または他端に取り付けてなるものである。
(6)また、本発明に係る構造体は、上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載の機械式継手によって連結された複数の鋼管を備えたものである。
(7)また、本発明に係る構造体の施工方法は、上記(6)に記載の構造体の施工方法であって、連結対象となる継手付き鋼管の一方の鋼管軸方向の位置を拘束した状態で、他方の継手付き鋼管を前記一方の継手付き鋼管に位置合わせして差込嵌合するものである。
(8)また、本発明に係る機械式継手の固定方法は、上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手に、リング部材を固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
前記PIN継手の前記環状溝に、前記リング部材を縮径した状態で格納し、
格納された状態のまま、前記リング部材の全周を前記固定部材で覆い、かつ、前記固定部材で前記リング部材を径方向に押すようにして、前記リング部材を固定する、ものである。
(9)また、本発明に係る機械式継手の固定方法は、上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
前記PIN継手の前記環状溝に前記リング部材を縮径した状態、または前記BOX継手の前記環状溝に前記リング部材を拡径した状態で格納し、
格納された状態のまま、前記リング部材の切り欠きに跨って前記固定部材を設け、かつ、前記固定部材で前記リング部材の拡径または縮径を抑制することで、前記リング部材を固定する、ものである。
(10)また、本発明に係る機械式継手の固定方法は、上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手に、リング部材を固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
前記PIN継手の前記環状溝に前記リング部材を縮径した状態で格納し、
格納された状態のまま、前記リング部材の切り欠きに跨って前記第一固定部材を設け、かつ、前記第一固定部材で前記リング部材の拡径を抑制するとともに、
格納された状態のまま、前記リング部材の全周を前記第二固定部材で覆い、かつ、前記第二固定部材で前記リング部材を径方向に押すようにして、前記リング部材を固定する、ものである。
(11)また、本発明に係る機械式継手の接合方法は、上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
上記(8)から(10)のいずれか一項に記載の機械式継手の固定方法を用いて、予めPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定しておき、
前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合の最中、または嵌合完了後に前記固定部材を除去する、ものである。
(12)また、本発明に係る機械式継手の接合方法は、上記(2)に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
PIN継手とBOX継手とを嵌合した後に、PIN継手の各ねじ孔にねじをねじ込み、
ねじ込まれた前記ねじで前記リング部材の縮径を抑制する、ものである。
(13)また、本発明に係る機械式継手の取り外し方法は、上記(3)に記載の機械式継手を取り外す機械式継手の取り外し方法であって、
PIN継手およびBOX継手の接合が完了した状態で、BOX継手のねじ孔にねじをねじ込み、
リング部材が前記PIN継手の環状溝内に格納されるまで、前記ねじで前記リング部材を径方向に押し、
前記リング部材が前記PIN継手の環状溝内に格納された状態で、前記PIN継手と前記BOX継手との取り外す、ものである。
(14)また、本発明に係る機械式継手の設計方法は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の設計方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を設定し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように設定し、
管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように配置し、
前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を設定するものである。
(15)また、本発明に係る機械式継手の設計方法は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の設計方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を設定し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように設定し、
一巻き以上の螺旋形状からなる螺旋溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように配置し、
前記PIN継手または前記BOX継手の螺旋溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記螺旋溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるように螺旋状部材を設定するものである。
(16)また、本発明に係る機械式継手の製造方法は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の製造方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を形成し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように形成し、
管軸方向に対して一定の角度で傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成し、
前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を形成するものである。
(17)また、本発明に係る機械式継手の製造方法は、管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の製造方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を形成し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように形成し、
一巻き以上の螺旋形状からなる螺旋溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成し、
前記PIN継手または前記BOX継手の螺旋溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記螺旋溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるように螺旋状部材を形成するものである。
本発明においては、PIN継手とBOX継手に傾斜する環状溝を設け、PIN継手をBOX継手に挿入完了した状態で、リング部材がPIN継手とBOX継手の両方の環状溝に跨るように配置されるようにしたので、ボルト等の別部材を設けることなく、引張荷重だけでなく、接合される鋼管同士のねじり荷重に対してもリング部材による伝達が可能になる。
図1は、実施の形態1に係る機械式継手の説明図である。 図2は、実施の形態1の他の態様1に係る機械式継手の説明図である。 図3は、実施の形態1の他の態様2に係る機械式継手の説明図である。 図4は、実施の形態1の他の態様3に係る機械式継手の説明図である。 図5は、実施の形態1の他の態様4に係る機械式継手の説明図である。 図6は、実施の形態1の他の態様5に係る機械式継手の説明図である。 図7は、実施の形態2に係る機械式継手の説明図である。 図8は、実施の形態3に係る機械式継手の説明図である。 図9は、実施の形態4に係る機械式継手の説明図である。
[実施の形態1]
本実施の形態に係る機械式継手について、図1に基づいて説明する。なお、図1(a)は継手挿入前の状態、図1(b)は継手挿入完了で嵌合完了前の状態、図1(c)は継手嵌合完了の状態をそれぞれ示している。
本実施の形態に係る機械式継手1は、図1(a)に示すように、管状のPIN継手3とPIN継手3が挿入嵌合するBOX継手5からなり、鋼管7の端部に取り付けられて鋼管7同士を接合するものである。そして、PIN継手3の基端側には段差部9が形成され、図1(b)に示すように、PIN継手3をBOX継手5に挿入した状態でBOX継手5の先端部10が段差部9に当接して嵌合完了状態となるように構成されている。ここで、図1(b-1)は機械式継手1の径方向から見た断面図、図1(b-2)は機械式継手1の中心軸方向から見た断面図である。図1(c-1)と図1(c-2)も同様である。なお、本実施の形態において、PIN継手3とは、内側継手または雄継手と呼ばれるものと同一である。また、本実施の形態において、BOX継手5とは、外側継手または雌継手と呼ばれるものと同一である。
PIN継手3は、機械式継手1の内側にある継手のことである。また、BOX継手5は、機械式継手1の外側にある継手のことである。また、PIN継手3の外周面とBOX継手5の内周面のそれぞれに嵌合完了状態で対向するように形成され、機械式継手1の軸方向に対して傾斜する環状溝11M、11Fが形成されている。環状溝11M、11Fの傾斜角度は、ねじり荷重が作用した際にリング部材が回らない状態であればよく、適宜設定すればよい。環状溝11M、11Fの軸方向に対する傾斜角度は、機械式継手1の径方向から見た際に、直線となるように一定の角度を持った状態であることが好ましい。また、環状溝11M、11Fの軸方向に対する傾斜角度の上限としては、機械式継手1の径方向を0°とした場合に、機械式継手1の軸方向に向かって5°以下とすることが好ましい。何故ならば、傾斜が大きすぎると継手の長さが長くなり、コストが高くなってしまうためである。
PIN継手3とBOX継手5のそれぞれに形成された環状溝11M、11Fは、継手を嵌合完了状態にしたときに、楕円状の閉空間からなる環状溝11を形成する。さらに、機械式継手1には、環状のリング部材13が設けられている。このリング部材13は、PIN継手3の環状溝11Mに、PIN継手3とBOX継手5との嵌合を妨げないように格納可能、かつ嵌合完了状態において環状溝11内でPIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fとに跨るように配置可能である。
リング部材13は、図1(b-2)に示すように、周方向の1カ所に切り欠き15を有し、径方向に拡縮するバネ構造となっている。そして、リング部材13には数カ所のキリ孔18、PIN継手3には、キリ孔18に対応する数カ所のタップ孔17が設けられ、キリ孔18とタップ孔17を貫通するボルト19によってリング部材13をPIN継手3の外周面に沿うように縮径して固定されている。これは、固定されない状態では環状溝11Mの外径よりも大きな径を有し、環状溝11Mに完全に嵌るようにするための構造である。
なお、本明細書では、キリ孔18、タップ孔17、貫通タップ孔29およびねじ孔31,43と組み合わされるのは「ねじ」であればよい。特に、「雄ねじ」であればどのようなものでも使用可能であり、ねじの使用目的に合わせて適宜選択すればよい。また、本実施の形態では、ボルト19、ボルトねじ33,44,47およびイモネジ34を、「ねじ」の一例として説明している。
リング部材13は、例えば所定長さの長い平板を曲げ加工することにより作成することができる。この場合、曲げ加工によって平板の端部を対向させた際の隙間が、切り欠き15となる。また、上記方法の他にも、リング状の部材の一部を切断して切り欠き15を形成してもよい。また、図1では、リング部材13の周方向に切り欠き15が一つのみ設けられているが、切り欠き15は二つ設けてもよい。この場合、二つ目の切り欠き15は、一つの切り欠き15の近傍であって、リング部材13のバネ構造を維持できるような位置に設けることが好ましい。なお、リング部材13のバネ構造を最大限に生かすのであれば、切り欠き15は一つであることが最も好ましい。
なお、ボルト19の頭がリング部材13の外周面から突出しないように、リング部材13に設けたキリ孔18にはボルト19の頭が収容される凹部21が設けられており、キリ孔18は段差孔となっている。また、キリ孔18はリング部材13の拡縮に対応できるように、リング部材13の周方向に対して長孔となっている(図1(b-2)拡大図、矢視B-B図、矢視C-C断面図参照)。なお、図1(b-2),(c-2)においては、図面の煩雑化を避けるためキリ孔18、凹部21の詳細を省略している。
リング部材13を固定するボルト19は、PIN継手3をBOX継手5に挿入完了した状態で、緩める操作をする必要がある。この操作を可能にするため、BOX継手5には、図1(b-2),(c-2)に示すように、嵌合完了状態でボルト19の位置に対向する位置に貫通孔23が設けられている。
上記のように構成された機械式継手1の嵌合動作について説明する。PIN継手3をBOX継手5に挿入する前の状態では、図1(a)に示すように、リング部材13がPIN継手3の環状溝11Mに格納された状態で、PIN継手3とBOX継手5の方向を合わせ、PIN継手3をBOX継手5に差し込む。方向を合わせるとは、PIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fの傾斜方向が一致していることであり、この状態であれば、BOX継手5の貫通孔23の位置も嵌合完了状態でPIN継手3のボルト19に対向する位置となる。
図1(b)に示すように、PIN継手3の段差部9とBOX継手5の先端が接触した状態でPIN継手3のBOX継手5への挿入が完了する。この状態で、PIN継手3とBOX継手5のそれぞれに形成された環状溝11M、11Fが楕円状の閉空間からなる環状溝11を形成し、PIN継手3の環状溝11Mに格納されたリング部材13がBOX継手5の環状溝11Fに対向配置される。
次に、貫通孔23に工具を挿入してボルト19を緩めることにより、図1(c)に示すように、リング部材13が自身のバネ力により拡径され、リング部材13は環状溝11Mと環状溝11Fの両方に跨るように配置されて嵌合が完了する。なお、リング部材13は自身のバネ力により拡径状態になり、その状態を維持して環状溝11M、11F内に配置される。そのため、嵌合が完了した後は、ボルト19は継手の機能発現には不要となる。そのため、振動等によりボルト19が外れたり破損したりした場合でも継手の機能には影響はない。
嵌合完了状態では、図1(c)に示すように、圧縮力は主にPIN継手3の段差部9とBOX継手5の先端部10の接触圧により伝達し、また引張力は主にリング部材13の支圧により伝達する。さらにねじり力は主にリング部材13のせん断により伝達し、またせん断力は主にPIN継手3とBOX継手5による二重管部分によって伝達する。
以上のように、本実施の形態においては、PIN継手3とBOX継手5に傾斜する環状溝11M、11Fを設ける。そして、PIN継手3をBOX継手5に挿入完了した状態で、PIN継手3とBOX継手5の両方の環状溝11M、11Fにリング部材13が跨るように配置される。これにより、回転に抵抗するボルト等の別部材を設けることなく、引張荷重だけでなく、接合される鋼管7同士のねじり荷重に対してもリング部材13による伝達が可能になる。つまり、継手は鋼管7と同等の引張強度を持つように設定されるのが一般的であることから、本実施の形態では、追加や部材の追加なしにねじりに対しても鋼管7と同等のねじり強度を容易に確保できるのである。
また、本実施の形態では、PIN継手3とBOX継手5とに傾斜する環状溝11M、11Fを設け、当該環状溝11M、11Fにリング部材13が跨るように配置する方式を採用している。この方式では、リング部材13自体が回転防止機構になるという利点がある。この種の機械式継手では、接合後にその回転を抑止したい場合がある。例えば、鋼管矢板等では、鋼管には隣接する鋼管と接合するための機械式継手が設けられるため、回転は許されない。
例えばPIN継手3およびBOX継手5に設けられる環状溝が直線形(平坦)である場合、リング部材の周方向の移動を妨げる要素がないため、回転に対しての抵抗がない。そのため、例えば回転防止用のピン等を別途設ける必要がある。実際、特許文献3、4に記載の機械式継手では、回転防止のための機械要素が必要であり、一部に回転防止機構としてねじ止め方式を採用している。また、その他のネジ継手では、回転・緩み防止の観点で回転防止ピンを設け、外部に開けられたネジ穴から緩み防止ボルトを挿入する方式がとられている。前者では、矩形のキー挿入口とそれに適合するキーが必要となり、後者ではボルトが一つ必要となる。
一方、本実施の形態の方式では、リング部材13とPIN継手3およびBOX継手5の環状溝11M、11Fとが傾斜している。これにより、回転とともにリング部材13の軸方向の移動しろがなくなるため、リング部材13自体が回転防止機構として機能することになる。
なお、本実施の形態では、PIN継手3を上に配置し、BOX継手5を下に配置し、BOX継手5に対してPIN継手3を挿入して両者を接合していたが、この関係は上下逆であってもよい。すなわち、BOX継手5を上に配置し、PIN継手3を下に配置し、PIN継手3に対してBOX継手5を挿入して両者を接合してもよい。
<他の態様1>
上記の説明では、PIN継手3を挿入する前の状態において、リング部材13をPIN継手3の環状溝11Mに溝からはみ出さないように完全に格納するようにしていた。しかしながら、リング部材13が水平ではなく傾斜して格納されていることから、以下のように構成してもよい。すなわち、リング部材13の一部が環状溝11Mから突出する状態で格納し、挿入過程でリング部材13が縮径し、PIN継手3とBOX継手5の環状溝11M、11Fが一体となって閉空間を形成したときに拡径するように構成してもよい。
図2はこのような態様の説明図であり、図1と同一部分および対応する部分には同一の符号を付してある。また、図中上側が縦断面を、図中下側がPIN継手3における環状溝11M部分の水平断面(図2(a)の矢視A-A参照)を、それぞれ示している。また、図2(a)が挿入前の状態、図2(b),(c)が挿入途中の状態、図2(d)が挿入完了かつ嵌合完了状態を示している。
図2(a)に示すように、リング部材13は、PIN継手3の環状溝11Mに厚み方向の一部を突出させた状態で格納されている。このとき、リング部材13は、切り欠き15が最も上部になるように環状溝11Mに格納することで、リング部材13の径方向の変形の対称性を確保できるので好ましい。また、リング部材13の最も下方の部分(最初に変形する部分)に、リング部材13の径方向以外の移動、特に周方向の移動をボルト19によって拘束するのが好ましい。もっとも、ボルト19による周方向の移動拘束は必須ではない。また、PIN継手3をBOX継手5に挿入する際のリング部材13の変形をスムーズにするため、BOX継手5の先端部10の内面側の全周に径内方向に傾斜する面取り部25を形成しておくのが好ましい。
図2(b)は、PIN継手3の一部がBOX継手5に挿入され、リング部材13の下端部がBOX継手5の内側に配置された状態を示している。この状態では、リング部材13は図中の矢印で示すように図中右側に押され、リング部材13の上端部の環状溝11Mからの突出量が増える。この状態で挿入が進むにつれてリング部材13のBOX継手5の内面に当接する部分が増し、リング部材13は下端側から順に縮径する。そして、図2(c)に示すように、リング部材13の上端部がBOX継手5の面取り部25の下方に来るまで挿入が進行すると、リング部材13は最も縮径した状態となる。
リング部材13が縮径できるのは、切り欠き15が設けられているためであり、縮径すると切り欠き15の隙間が小さくなっていることが分かる(図2(b),(c)参照)。なお、リング部材13が上記のように下端側から順に縮径できるのは、リング部材13が傾斜状態で環状溝11Mに格納されているためであり、仮にリング部材13が水平状態で格納されていた場合には、このようなスムーズな縮径を行うことはできない。
そして、さらに挿入が進み挿入が完了した状態になると、図2(d)に示すように、PIN継手3とBOX継手5の環状溝11M、11Fが対向して閉空間からなる環状溝11を形成する。そして、環状溝11にリング部材13が入ることで、リング部材13が図2(a)の状態に戻る。この状態では、リング部材13がPIN継手3とBOX継手5の両方の環状溝11M、11Fに跨るように配置されるので、図1(c)の状態と同様に、リング部材13による引張荷重とねじり荷重の伝達が可能になる。
<他の態様2>
上記の他の態様1では、リング部材13が固定されていないため、PIN継手3を所定位置に搬送する際等に支障をきたすおそれがある。それを防ぐために、例えば図3に示すように、リング部材13を固定部材41によって固定してもよい。この固定部材41は、例えばポリプロピレン製のバンド(PPバンド)等により構成される。また、固定部材41は、薄く、手指で容易に固縛でき、水や油に強い素材であることが望ましい。固定部材41は、リング部材13の全周を固定(固縛)することにより、当該リング部材13の拡径を抑制する。
固定部材41を用いた機械式継手1の接合方法では、まずPIN継手3とBOX継手5とを嵌合する前に、リング部材13を縮径した状態で、PIN継手3の環状溝11M内に格納する。続いて、リング部材13が環状溝11M内に格納された状態のまま、リング部材13の全周を固定部材41で覆い、かつ、当該固定部材41でリング部材13を径方向に押すようにして、リング部材13を固定する。これにより、固定部材41によってリング部材13を径方向に押圧しながら固定する。
続いて、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中に固定部材41を除去(切断)するか、または嵌合完了後に、BOX継手5の貫通孔23から固定部材41を除去することにより、リング部材13の固定を解除する。これにより、リング部材13が拡径し、環状溝11内でPIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fとに跨るように当該リング部材13が配置されることにより、接合が完了する。
固定部材41を除去するタイミングは、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中、または嵌合完了後の二通りある。「嵌合の最中」とは、固定部材41がBOX継手5の先端部10に到達したタイミングのことを意味する。このように、固定部材41がBOX継手5の先端部10に到達すると、固定部材41を除去したとしても、リング部材13がBOX継手5の内周面に当接するため、リング部材13が拡径することがない。また、「嵌合完了後」とは、BOX継手5の先端部10がPIN継手3の段差部9に当接した状態を意味する。
このような固定部材41を用いることにより、安価な手段により、リング部材13の拡径を抑制した状態でPIN継手3とBOX継手5とを接合することができる。また、固定部材41を用いることにより、リング部材13を環状溝11M内に格納した状態で、PIN継手3を安全に運搬することができる。なお、固定部材41によるリング部材13の固定は容易に実施できる。そのため、PIN継手3の運搬時や作業時にリング部材13が落下することを防止する観点から、別の手段(例えば粘着テープ等)でリング部材13が固定されている場合においても、その上から固定部材41による固定を実施することが望ましい。
また、リング部材13は、例えば人が手で曲げられる程度の厚さ(例えば厚さ12~16mm程度)で構成されるため、切り欠き15を複数設けたり、あるいは複数のキリ孔等を設けたりすると、バネ構造としての性能や形状の精度が低下する可能性がある。一方、本態様では、固定部材41を用いてリング部材13を縮径させてPIN継手3の環状溝11M内に格納し、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中または嵌合完了後にリング部材13を拡径させることにより、PIN継手3とBOX継手5とを接合する。これにより、リング部材13のバネ構造としての性能や形状の精度を低下させることなく、PIN継手3とBOX継手5とを接合することができる。
<他の態様3>
上記の実施の形態1では、リング部材13やPIN継手3に複数の孔(キリ孔18、タップ孔17)を設ける必要があり、加工上のコストが掛かる。そこで、例えば図4に示すように、リング部材13の切り欠き15を固定部材42によって固定してもよい。この固定部材42は、例えば粘着テープ等により構成される。また、固定部材42は、薄く、手指で容易に固縛でき、水や油に強い素材であることが望ましい。固定部材42は、リング部材13の周方向に形成された切り欠き15に亘って設けられることにより、当該リング部材13の拡径を抑制する。
固定部材42を用いた機械式継手1の接合方法では、まずPIN継手3とBOX継手5とを嵌合する前に、リング部材13を縮径した状態で、PIN継手3の環状溝11M内に格納する。続いて、リング部材13が環状溝11M内に格納された状態のまま、リング部材13の切り欠き15に跨って固定部材42を設け、かつ、当該固定部材42でリング部材13の拡径を抑制することで、リング部材13を固定する。
続いて、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中に固定部材42を除去(切断)するか、または嵌合完了後に、BOX継手5の貫通孔23から固定部材42を除去することにより、リング部材13の固定を解除する。これにより、リング部材13が拡径し、環状溝11内でPIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fとに跨るように当該リング部材13が配置されることにより、接合が完了する。
固定部材42を除去するタイミングは、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中、または嵌合完了後の二通りある。「嵌合の最中」とは、固定部材42がBOX継手5の先端部10に到達したタイミングのことを意味する。このように、固定部材42がBOX継手5の先端部10に到達すると、固定部材42を除去したとしても、リング部材13がBOX継手5の内周面に当接するため、リング部材13が拡径することがない。また、「嵌合完了後」とは、BOX継手5の先端部10がPIN継手3の段差部9に当接した状態を意味する。
このように、リング部材13をPIN継手3内に格納した状態で、切り欠き15を覆うように、固定部材42でPIN継手3にリング部材13を固定することにより、PIN継手3をBOX継手5に挿入する際にリング部材13が引っ掛かることがなくなる。リング部材13は、例えばPIN継手3およびBOX継手5の嵌合完了後に、予め切り欠き15に対応する位置に設けてあるBOX継手5の貫通孔23を通じて、容易に切断することができる(図4(b)参照)。これにより、リング部材13の拘束が解放されて、PIN継手3およびBOX継手5の接合が完了する。
本態様では、上記の他の態様2と同様に、固定部材42を用いてリング部材13を縮径させてPIN継手3の環状溝11M内に格納し、嵌合の最中または嵌合完了後にリング部材13を拡径させることにより、PIN継手3とBOX継手5とを接合する。これにより、リング部材13のバネ構造としての性能や形状の精度を低下させることなく、PIN継手3とBOX継手5とを接合することができる。
なお、本態様と上記の他の態様2とを併用してもよい。すなわち、複数の固定部材41,42を用いてPIN継手3とBOX継手5とを接合してもよい。この場合、まずPIN継手3とBOX継手5とを嵌合する前に、固定部材(第一固定部材)42によってリング部材13の切り欠き15を固定する。これにより、リング部材13をPIN継手3の環状溝11M内に格納する。続いて、固定部材(第二固定部材)41によって、固定部材42を含むリング部材13の全周を固定する。このように、リング部材13の全周を固定部材41で覆い、かつ、固定部材41でリング部材13を径方向に押すようにして、リング部材13を固定する。続いて、PIN継手3の運搬が完了した後、前記PIN継手3と前記BOX継手5との嵌合の最中、または嵌合完了後のいずれかに、固定部材41を除去(切断)する。そして、固定部材41を除去した後に固定部材42を除去することにより、リング部材13の固定を解除する。これにより、リング部材13が拡径し、環状溝11内でPIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fとに跨るように当該リング部材13が配置されることにより、接合が完了する。
また、本態様では、PIN継手3およびBOX継手5を嵌合する前の状態で、リング部材13がPIN継手3側(環状溝11M内)に格納されていたが、リング部材13がBOX継手5側(環状溝11F内)に格納されている場合でも適用可能である。
この場合、PIN継手3およびBOX継手5の接合は、例えば以下のように行うことができる。まず、PIN継手3とBOX継手5とを嵌合する前に、固定部材42によってリング部材13の切り欠き15を固定する。これにより、リング部材13をBOX継手5の環状溝11F内に格納する。BOX継手5に格納されたリング部材13は、外力を与えない状態よりも拡径した状態になる。すなわち、リング部材13は、固定部材42によってBOX継手5の環状溝11F内の溝底に引き寄せて拡径した状態で格納されている。
続いて、PIN継手3とBOX継手5との嵌合の最中に固定部材42を除去する。続いて、BOX継手5の先端部10をPIN継手3の段差部9に当接させた後、例えばBOX継手5に形成したねじ孔からボルトねじをねじ込む。これにより、ボルトねじによってリング部材13を径方向に押圧して、当該リング部材13を環状溝11Mと環状溝11Fの両方に跨るように配置することにより、接合が完了する。
また、PIN継手3およびBOX継手5の取り外しは、例えば以下のように行うことができる。まず、PIN継手3およびBOX継手5の接合が完了した状態において、例えばBOX継手5のねじ孔にねじ込まれたボルトねじを緩める。これにより、ボルトねじによるリング部材13の径方向の押圧を解除し、当該リング部材13をBOX継手5の環状溝11F内に格納する。続いて、リング部材13がBOX継手5の環状溝11F内に格納された状態でPIN継手3とBOX継手5との取り外しを行う。
<他の態様4>
上記の他の態様3において、BOX継手5に設ける孔は、接合時の作業としては貫通孔23でもよいが、PIN継手3の取り外しを考慮すると、例えば図5に示すように、孔をねじ孔43とすることが好ましい。このように、BOX継手5にねじ孔43を設けることにより、当該ねじ孔43の外側からボルトねじ44をねじ込むことにより、リング部材13をPIN継手3側に格納状態にすることができ、PIN継手3を引き抜くことが可能になる。すなわち、BOX継手5において、ねじ孔43にボルトねじ44がねじ込まれることにより、当該ボルトねじ44によってリング部材13を径方向に押すことが可能となる。
ねじ孔43およびボルトねじ44を用いた機械式継手1の取り外し方法では、まず図5(a)に示すように、PIN継手3およびBOX継手5の接合が完了した状態において、BOX継手5のねじ孔43にボルトねじ44をねじ込む。これにより、図5(b),(c)に示すように、リング部材13がPIN継手3の環状溝11M内に格納されるまで、ボルトねじ44によってリング部材13を径方向に押圧して、当該リング部材13をPIN継手3の環状溝11M内に格納する。続いて、リング部材13がPIN継手3の環状溝11M内に格納された状態でPIN継手3とBOX継手5との取り外しを行う。
この際、上記の他の態様3のように、BOX継手5の貫通孔23を介して、リング部材13の切り欠き15を粘着テープ等の固定部材42で固定してもよい。これにより、ボルトねじ44を外しても、リング部材13がPIN継手3の環状溝11M内に格納されている状態を維持することができ、PIN継手3とBOX継手5との取り外しをより容易に行うことができる。
<他の態様5>
上記の実施の形態1では、PIN継手3の段差部9をBOX継手5の先端部10に当接させた状態で、リング部材13を拡径させることにより接合を完了していたが、その後にリング部材13の縮径を抑制する処理を行ってもよい。この場合、例えば図6に示すように、BOX継手5において、リング部材13の周方向に形成された切り欠き15に対応する位置に、確認孔45を設ける。この確認孔45は、BOX継手5を貫通して設けられている。
また、PIN継手3の環状溝11M内において、リング部材13の切り欠き15の一端部および他端部に対応する位置にそれぞれねじ孔46を設ける。このねじ孔46は、PIN継手3の環状溝11M内において、PIN継手3側とBOX継手5側とに跨るように両環状溝11M、11F内で配置されたリング部材13の切り欠き15の一端および他端に対応する位置に、それぞれ設けられている。なお、「一端部および他端部に対応する位置」とは、一端部および他端部の近傍のことを意味している。
そして、PIN継手3とBOX継手5とを接合した後に、各ねじ孔46にボルトねじ47をねじ込むことにより、リング部材13の縮径を抑制する。なお、図6では、各ボルトねじ47と切り欠き15の一端部および他端部との間に僅かな隙間が形成されているが、各ボルトねじ47と切り欠き15の一端部および他端部とを当接させてもよい。
このように、PIN継手3およびBOX継手5の接合後に、切り欠き15の位置にボルトねじ47を設けることにより、リング部材13がPIN継手3の環状溝11MとBOX継手5の環状溝11Fとに跨るように配置された状態を維持することができる。すなわち、PIN継手3およびBOX継手5の接合後にリング部材13が誤って脱落することを抑制することができる。更に、PIN継手3およびBOX継手5の接合後に、確認孔45を通じて、環状溝11内においてリング部材13が適切に拡径しているか、すなわちPIN継手3およびBOX継手5が適切に接合されているのかを確認することができる。
なお、これまで説明した上記の他の態様1~5においても、PIN継手3を上に配置し、BOX継手5を下に配置し、BOX継手5に対してPIN継手3を挿入して両者を接合していたが、この関係は上下逆であってもよい。すなわち、BOX継手5を上に配置し、PIN継手3を下に配置し、PIN継手3に対してBOX継手5を挿入して両者を接合してもよい。
[実施の形態2]
実施の形態1では、PIN継手3をBOX継手5に挿入前の状態でリング部材13をPIN継手3に格納するようにしていたが、本実施の形態では、図7に示すように、リング部材13をBOX継手5側に格納するようにしたものである。図7において、図1と同一部分および対応する部分は同一の符号を付してある。また、図7(b-1)と図7(b-2)、図7(c-1)と図7(c-2)のそれぞれの関係も、図1(b-1)と図1(b-2)と同様である。
本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、リング部材13をBOX継手5に格納する点であるので、この点を中心に以下説明する。リング部材13は、実施の形態1と同様の構成であり、BOX継手5に格納する状態でリング部材13は、外力を与えない状態よりも拡径した状態になる。すなわち、リング部材13は、図7(b-2)に示すように、タップねじ27によってBOX継手5の環状溝11F内の溝底に引き寄せて拡径した状態で格納されている。
本実施の形態の機械式継手1の嵌合動作に関し、図7(b)に示すように、PIN継手3のBOX継手5への挿入が完了した状態で、タップねじ27を外側から緩めることで、リング部材13が自身のバネ力により縮径する。これにより、図7(c)に示すように、PIN継手3とBOX継手5の両方の環状溝11M、11Fに跨るように配置される。本実施の形態の機械式継手1も、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
なお、実施の形態1、2のようにリング部材13がバネ構造の場合、切り欠き15の位置を斜めの溝の上端または下端に配置することにより、リング部材13と環状溝11M、11Fが同一軸状で対称形となり望ましい。
なお、本実施の形態においても、PIN継手3を上に配置し、BOX継手5を下に配置し、BOX継手5に対してPIN継手3を挿入して両者を接合していたが、この関係は上下逆であってもよい。すなわち、BOX継手5を上に配置し、PIN継手3を下に配置し、PIN継手3に対してBOX継手5を挿入して両者を接合してもよい。
[実施の形態3]
実施形態1、2のリング部材13は、ほぼ一周に亘る環状のものであったが、本発明のリング部材13は、連続した一体のものである必要はなく、周方向に複数に分割され、全体としてリング状を形成するものであってもよい。本実施の形態はこのようなリング部材13を用いたものであり、本実施の形態では、図8(b-2)、図8(c-2)に示すように、リング部材13は4つの分割片13Pに4分割されたものである。ここで、また、図8(b-1)と図8(b-2)、図8(c-1)と図8(c-2)とのそれぞれの関係は、図1(b-1)と図1(b-2)と同様である。
リング部材13を複数の部材で形成した場合には、バネ構造ではなくなる。そのため、PIN継手3を挿入する前の状態で各分割片13Pを環状溝11Fに格納し、挿入完了後に各分割片13PをPIN継手3とBOX継手5の環状溝11M、11Fに跨るように移動して固定する必要がある。
本実施の形態では、図8(b)に示すように、BOX継手5に貫通タップ孔29が設けられると共に、各分割片13Pには貫通タップ孔29よりも小径のねじ孔31が設けられている。そして、BOX継手5の環状溝11Fに分割片13Pを格納した状態で、貫通タップ孔29よりも小径のボルトねじ33を貫通タップ孔29に挿通して分割片13Pのねじ孔31にねじ込むことで、分割片13PをBOX継手5に保持させている。
PIN継手3のBOX継手5への挿入が完了した状態で、ボルトねじ33を外して、その後に貫通タップ孔29に合うようなイモネジ34を挿入する。これにより、各分割片13Pを押し込んで各分割片13PがPIN継手3とBOX継手5の両方の環状溝11M、11Fに跨る位置に配置して嵌合が完了する。なお、分割片13Pに設けたねじ孔31はイモネジ34より小径であり、ねじ孔31にイモネジ34が貫入することはない。なお、イモネジ34は振動等により外れない対策、例えば接着材等の離脱防止手段を講ずることが望ましい。
本実施の形態の機械式継手1も、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。なお、上記の例では、PIN継手3の挿入前の状態において分割片13PをBOX継手5の環状溝11Fに格納する例であったが、本発明はこれに限られず、PIN継手3の挿入前の状態において分割片13PをPIN継手3の環状溝11Mに保持させるようにしてもよい。
実施の形態1~3においては、環状溝11を一段形成する例であったが、本発明はこれに限られるものではなく、環状溝11の段数は継手の中心軸方向に複数段であってもよい。複数段にすることで、より大きな荷重伝達が可能となる。
なお、本実施の形態においても、PIN継手3を上に配置し、BOX継手5を下に配置し、BOX継手5に対してPIN継手3を挿入して両者を接合していたが、この関係は上下逆であってもよい。すなわち、BOX継手5を上に配置し、PIN継手3を下に配置し、PIN継手3に対してBOX継手5を挿入して両者を接合してもよい。
[実施の形態4]
実施の形態1においては、PIN継手3とBOX継手5に環状溝11M、11Fを形成し、環状溝11M、11Fにリング部材13を格納するようにしたものであったが、本実施の形態では、図9に示すように、環状溝11M、11Fに代えて螺旋溝35M、35Fを形成し、螺旋溝35M、35Fが一体となった閉空間からなる螺旋溝35にバネ材からなる螺旋状部材37を格納するようにしたものである。なお、図9において、図1と同一部分および対応する部分は同一の符号を付してある。
図9においては、螺旋溝35に格納した状態で螺旋状部材37を保持する手段は図示していないが、実施の形態1と同様に構成することができる。また、実施の形態1の他の態様1と同様に構成してもよい。すなわち、螺旋状部材37の一部が螺旋溝35から突出する状態でPIN継手3の螺旋溝35に格納し、挿入過程で螺旋状部材37が縮径し、PIN継手3とBOX継手5の螺旋溝35が一体となって閉空間を形成したときに拡径するように構成してもよい。
PIN継手3の挿入動作についても、実施の形態1と同様であるが、これを図9に基づいて概説すると以下の通りである。PIN継手3の螺旋溝35Mに螺旋状部材37を格納して(図9(a)参照)、PIN継手3をBOX継手5に挿入して挿入が完了した状態で(図9(b)参照)、螺旋溝35M、35Fが一体となった閉空間からなる螺旋溝35が形成される。そして、螺旋溝35内において螺旋状部材37を拡径させてPIN継手3とBOX継手5の両方の螺旋溝35M、35Fに跨るように配置する。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。なお、図9の例では、挿入前の状態で螺旋状部材37をPIN継手3の螺旋溝35Mに格納する例であるが、実施の形態2と同様に、螺旋状部材37をBOX継手5の螺旋溝35Fに格納して挿入するようにしてもよい。また、螺旋の巻き数は一巻きでも複数巻きでもよい。
なお、本実施の形態においても、PIN継手3を上に配置し、BOX継手5を下に配置し、BOX継手5に対してPIN継手3を挿入して両者を接合していたが、この関係は上下逆であってもよい。すなわち、BOX継手5を上に配置し、PIN継手3を下に配置し、PIN継手3に対してBOX継手5を挿入して両者を接合してもよい。
上記の説明は、鋼管7の端部に溶接等によって固定される機械式継手1についてであったが、このような機械式継手1を、鋼管7の一端または他端に取り付けることで、簡易に接合可能な鋼管7を構成することができる。また、機械式継手1が取り付けられた鋼管7を接続することで、機械式継手1で接合された構造体を構成することができる。さらに、このような構造体を施工するには、連結対象となる継手付き鋼管7の一方の鋼管軸方向の位置を拘束した状態で、他方の継手付き鋼管7を一方の継手付き鋼管7に位置合わせして差込嵌合するようにすればよい。
また、実施の形態1~3は物の発明としての機械式継手1に関するものであったが、これを設計方法の発明、製造方法の発明に再構成することもでき、その場合は以下のようになる。
<設計方法の発明>
管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の設計方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を設定し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように設定し、
管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように配置し、
前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を設定する機械式継手の設計方法。
<製造方法の発明>
管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の製造方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を形成し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように形成し、
管軸方向に対して一定の角度で傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成し、
前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を形成する機械式継手の製造方法。
また、実施の形態4の機械式継手の発明を設計方法の発明、製造方法の発明に再構成した場合には以下のようになる。
<設計方法の発明>
管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の設計方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を設定し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように設定し、
一巻き以上の螺旋形状からなる螺旋溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように配置し、
前記PIN継手または前記BOX継手の螺旋溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記螺旋溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるように螺旋状部材を設定する機械式継手の設計方法。
<製造方法の発明>
管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の製造方法であって、
前記PIN継手の基端側に段差部を形成し、
該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように形成し、
一巻き以上の螺旋形状からなる螺旋溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成し、
前記PIN継手または前記BOX継手の螺旋溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記螺旋溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるように螺旋状部材を形成する機械式継手の製造方法。
本発明は、コストを上げることなく大きなねじり荷重を伝達できるものである。一般的に継手は切削によって加工されるが、溝を斜めや螺旋状に切削することは困難ではなく、リング部材13や螺旋状部材37の製作においても、環状または螺旋状の加工は、通常の円形状の加工と同様に実施することが可能であり、産業上の利用可能性が高い発明である。
1 機械式継手
3 PIN継手
5 BOX継手
7 鋼管
9 段差部
10 先端部
11 環状溝
11M 環状溝(PIN継手)
11F 環状溝(BOX継手)
13 リング部材
13P (リング部材の)分割片
15 切り欠き
17 タップ孔
18 キリ孔
19 ボルト
21 凹部
23 貫通孔
25 面取り部
27 タップねじ
29 貫通タップ孔
31 ねじ孔
33 ボルトねじ
34 イモネジ
35 螺旋溝
35M 螺旋溝(PIN継手)
35F 螺旋溝(BOX継手)
37 螺旋状部材
41 固定部材
42 固定部材
43 ねじ孔
44 ボルトねじ
45 確認孔
46 ねじ孔
47 ボルトねじ

Claims (17)

  1. 管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて前記鋼管同士を接合する機械式継手であって、
    前記PIN継手の基端側には段差部が形成され、該PIN継手と前記BOX継手とを嵌合した状態で該BOX継手の先端部が前記段差部に当接して嵌合完了状態となるように構成され、
    前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成され、管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝と、
    前記PIN継手または前記BOX継手の前記環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能なリング部材と、を備えた機械式継手。
  2. 前記リング部材において、一つまたは二つ以上の切り欠きを備える請求項1に記載の機械式継手。
  3. 前記BOX継手の前記環状溝内において、前記リング部材の切り欠きに対応する位置に貫通して設けられた確認孔と、
    前記PIN継手の前記環状溝内において、前記PIN継手側と前記BOX継手側とに跨るように両環状溝内で配置された前記リング部材の切り欠きの一端および他端に対応する位置に、それぞれ設けられたねじ孔と、
    を備える請求項1に記載の機械式継手。
  4. 前記BOX継手において、ねじがねじ込まれることにより、前記ねじによって前記リング部材を径方向に押すことが可能となるねじ孔と、
    を備える請求項1に記載の機械式継手。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手またはBOX継手を、一端および/または他端に取り付けてなる鋼管。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の機械式継手によって連結された複数の鋼管を備えた構造体。
  7. 請求項に記載の構造体の施工方法であって、連結対象となる継手付き鋼管の一方の鋼管軸方向の位置を拘束した状態で、他方の継手付き鋼管を前記一方の継手付き鋼管に位置合わせして差込嵌合する構造体の施工方法。
  8. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手に、リング部材を固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
    前記PIN継手の前記環状溝に、前記リング部材を縮径した状態で格納し、
    格納された状態のまま、前記リング部材の全周を前記固定部材で覆い、かつ、前記固定部材で前記リング部材を径方向に押すようにして、前記リング部材を固定する、
    機械式継手の固定方法。
  9. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
    前記PIN継手の前記環状溝に前記リング部材を縮径した状態、または前記BOX継手の前記環状溝に前記リング部材を拡径した状態で格納し、
    格納された状態のまま、前記リング部材の切り欠きに跨って前記固定部材を設け、かつ、前記固定部材で前記リング部材の拡径または縮径を抑制することで、前記リング部材を固定する、
    機械式継手の固定方法。
  10. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手のPIN継手に、リング部材を複数の固定部材で固定する機械式継手の固定方法であって、
    前記PIN継手の前記環状溝に前記リング部材を縮径した状態で格納し、
    格納された状態のまま、前記リング部材の切り欠きに跨って第一固定部材を設け、かつ、前記第一固定部材で前記リング部材の拡径を抑制するとともに、
    格納された状態のまま、前記リング部材の全周を第二固定部材で覆い、かつ、前記第二固定部材で前記リング部材を径方向に押すようにして、前記リング部材を固定する、
    機械式継手の固定方法。
  11. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
    請求項に記載の機械式継手の固定方法を用いて、予めPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定しておき、
    前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合の最中、または嵌合完了後に前記固定部材を除去する、
    機械式継手の接合方法。
  12. 請求項3に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
    PIN継手とBOX継手とを嵌合した後に、PIN継手の各ねじ孔にねじをねじ込み、
    ねじ込まれた前記ねじで前記リング部材の縮径を抑制する、
    機械式継手の接合方法。
  13. 請求項4に記載の機械式継手を取り外す機械式継手の取り外し方法であって、
    PIN継手およびBOX継手の接合が完了した状態で、BOX継手のねじ孔にねじをねじ込み、
    リング部材が前記PIN継手の環状溝内に格納されるまで、前記ねじで前記リング部材を径方向に押し、
    前記リング部材が前記PIN継手の環状溝内に格納された状態で、前記PIN継手と前記BOX継手との取り外す、
    機械式継手の取り外し方法。
  14. 管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の設計方法であって、
    前記PIN継手の基端側に段差部を設定し、
    該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように設定し、
    管軸方向に対して傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように配置し、
    前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を設定する機械式継手の設計方法。
  15. 管状のPIN継手と該PIN継手と接合されるBOX継手とを備え、鋼管端部に取り付けられて鋼管同士を接合する機械式継手の製造方法であって、
    前記PIN継手の基端側に段差部を形成し、
    該PIN継手と前記BOX継手との嵌合が完了した嵌合完了状態で、該BOX継手の先端部が前記段差部に当接するように形成し、
    管軸方向に対して一定の角度で傾斜する一段以上の環状溝を、前記PIN継手の外周面と前記BOX継手の内周面のそれぞれに前記嵌合完了状態で対向するように形成し、
    前記PIN継手または前記BOX継手の環状溝に前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合を妨げないように格納可能、かつ前記嵌合完了状態において前記環状溝内で前記PIN継手側と前記BOX継手側に跨るように配置可能となるようにリング部材を形成する機械式継手の製造方法。
  16. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
    請求項に記載の機械式継手の固定方法を用いて、予めPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定しておき、
    前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合の最中、または嵌合完了後に前記固定部材を除去する、
    機械式継手の接合方法。
  17. 請求項2から4のいずれか一項に記載の機械式継手を接合する機械式継手の接合方法であって、
    請求項10に記載の機械式継手の固定方法を用いて、予めPIN継手またはBOX継手に、リング部材を固定部材で固定しておき、
    前記PIN継手と前記BOX継手との嵌合の最中、または嵌合完了後に前記固定部材を除去する、
    機械式継手の接合方法。
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