JP7286304B2 - 運転支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、処理装置、処理システム、処理方法、処理プログラム及び/又は処理に利用されるデータに関する。
特許文献1には、所定の交差点の流入部における特定の車線と前記所定の交差点の流出部における特定の車線との接続関係をネットワークとして規定した車線レベルでのネットワークを記憶部に格納した車両用車線案内システムが開示されている。
特開2015-075398号公報
本発明は、適切な運転支援に有効な運転支援装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る実施態様として、移動体の運転を支援する運転支援システムを提供する。この運転支援システムにおいて、道路の交差点の流入部の各車線と、交差点の流出部の各車線との間を接続し、交差点内で移動体が通行する領域を線形状で表した交差点内通行予定線の情報を参照し、道路上に設置された地物により特定の方向に沿って移動体が通行できるように制御する制御部を備える。交差点は、退出方向が特定の方向に指定され 、流入部において退出方向が同一である車線が複数存在する。交差点内通行予定線は、流入部の各車線から出発した後、交差点内で互いに交差することなく流出部の各車線まで延びる複数の第1交差点内通行予定線と、流入部の各車線から出発した後、第1交差点内通行予定線と交差するか、互いに交差する複数の第2交差点内通行予定線と、を含み、制御部は、第2交差点内通行予定線よりも第1交差点内通行予定線を優先して移動体が通行できるように制御し、第1交差点内通行予定線に沿って移動体が通行することが望ましくない場合、第2交差点内通行予定線に沿って移動体が通行できるように制御する。
上記の実施態様において、制御部は、流入部のいずれかの車線に障害物が検出された場合、障害物が検出された車線の延長線上にある第1交差点内通行予定線を使用不可とするようにしてもよい。
上記の実施態様において、制御部は、流入部のいずれかの車線に障害物が検出され、流出部の各車線について、その長さが閾値以上であるか、車線変更禁止でない場合、障害物が検出された車線の延長線上にない第1交差点内通行予定線の中から移動体が通行する交差点内通行予定線を選択するように制御してもよい。
上記の実施態様において、制御部は、流入部のいずれかの車線に障害物が検出され、流出部の各車線について、その長さが閾値以上でないか、車線変更禁止である場合、障害物が検出された車線の延長線上にない第2交差点内通行予定線を移動体が通行する交差点内通行予定線の候補に含めるようにしてもよい
運転支援システムの構成を示す模式図である。 地図データの内容を示す模式図である。 車線区間の情報の一適用例である。 交差点内通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線選択手順を例示するフローチャートである。 車線区間・交差点内通行予定線選択手順を例示するフローチャートである。 車線区間・交差点内通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線選択手順を例示するフローチャートである。 車線区間・交差点通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線選択手順を例示するフローチャートである。 車線区間・交差点通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線選択手順を例示するフローチャートである。 車線区間・交差点内通行予定線の情報の一適用例である。 車線区間・交差点内通行予定線の情報が適用される道路の例である。
以下、本発明の実施形態について、以下、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
A.第1実施形態:
A1.システムの構成:
図1に示す運転支援システム10は、移動体50(例えば自動車)の運転支援の一例として、移動体50の運転支援及び/又は自動運転を実行するシステムである。運転支援システム10は、移動体50に搭載される制御部60と、ネットワーク回線NWを介して運転支援装置100に接続されるサーバ20とを備える。
例えばサーバ200は、記憶部30を有する。記憶部30は、運転支援用の地図データベース32を記憶している。図2に示すように、地図データベース32は、論理ネットワーク情報322及び車線ネットワーク情報324を含む。
サーバ20のサーバ制御部は、経路探索として、後述する記憶部に記憶された地図データベースにおけるデータであって移動体50の移動する範囲(現在地から目的地まで)の道路をネットワークで表したデータを用いて道路走行にかかるコストを求める。
論理ネットワーク情報322は、目的地までのリンクレベルでの経路探索に用いられる情報である。論理ネットワーク情報322は、所定の地点に対応付けられた複数のノード231と、ノード231同士を結ぶリンク232とにより構成された情報であり、一連のノード231及びリンク232により示される経路が道路3に対応している。以下の説明においては、論理ネットワークレベルでの経路(一連のノード231及びリンク232により示される経路)を「論理経路」という。車線ネットワーク情報240は、論理経路を道路の車線レベルに細分化した情報であり、道路の車線のデータを含む。例えば車線ネットワーク情報240は、車線のデータとして、各車線31,32,33,34に沿って連なる複数の車線区間のデータ(以下、「車線区間データ250」という。)と、車線区間データ250ごとに定められた図示しない車線属性情報260とを含む。車線ネットワーク情報240は、論理ネットワーク情報230に対応付けられている。
図3に例示するように、車線区間データ250は、レーンID、座標点列、進入側レーンID、退出側レーンID、レーン長さ、及び曲率等にかかる情報を含む。レーンIDにかかる情報は、車線区間に固有のIDである。座標点列にかかる情報は、車線区間を構成する点の座標データを順に並べたデータ列であり、車線に沿ったラインを示す。進入側レーンIDにかかる情報は、車線区間の始点に連なる他の車線区間のIDである。退出側レーンIDにかかる情報は、車線区間の終点に連なる他の車線区間のIDである。レーン長さにかかる情報は、車線区間の始点から終点までの長さである。曲率にかかる情報は、個々の車線区間の単位で道路の曲がり具合を表す量に関する情報である。曲率にかかる情報は、必要となる車線区間につき付与されるものである。
図4に例示するように、本実施形態では、交差点内通行予定線データ251は、車線区間データ250と同様のデータ構造をとる。かかる車線区間データ250と交差点内通行予定線データ251とが車線ネットワーク情報240を構成する。(以下、個別の交差点に適用可能な車線区間データ250と交差点内通行予定線データ251との組を「交差点データセット300」ということがある。)なお、車線区間データ250と交差点内通行予定線データ251とには、図示しないコスト情報を属性情報として持たせてもよい。
図5は、交差点流入部のうち少なくとも一つにおいて進行方向別通行区分として右折の進行方向を示す道路標示が施されている車線を二つ有する交差点並びにかかる交差点に適用される車線区間データ及び交差点内通行予定線データ251を例示する模式図である。図5に例示される交差点5は、4本の道路区間310,320,330,340の交差部に設けられている。
図5で示される道路区間310,320,330,340のそれぞれは、交差点流入部として交差点5に進入するための車線と、交差点流出部として交差点5から退出するための車線とを含む。道路区間310についていうと車線311乃至314が交差点流入部における車線であり、センターラインを挟んで車線314の反対側にある車線は交差点5の交差点流出部における車線であるが、車線の区分は図5においては図示されていない。
交差点5は、道路区間310での交差点流入部において進行方向別通行区分が次のとおりとなっている。すなわち、交差点5の交差点流入部において、道路区間310には、最も左に位置する車線311,左から2番目に位置する車線312,右から2番目に位置する車線313,最も右に位置する車線314という4つの車線が存する。このうち、車線311についてみると、当該車線を通行する車両に適用される道路交通法規上の通行区分指定として、交差点5における進行方向が左折及び直進であるものとされている。車線312についてみると、交差点5における進行方向が直進のみとされている。車線313及び車線314についてみるとそれぞれ、交差点5における進行方向が右折のみとされている。
道路区間340については、交差点5の交差点流出部において最も左に位置する車線341,真ん中(左から2番目)に位置する車線342,最も右に位置する車線343という3つの車線が存する。そして、道路区間340が交差点5とは反対方向の側で接する別の交差点(以下、便宜上「交差点6」という)の交差点流入部において、交差点5を通過した進行方向からみた場合のそれぞれの車線については、進行方向別通行区分が次のとおりとなっている。すなわち、車線341についてみると、交差点6における進行方向が左折のみとされている。車線342についてみると、交差点6における進行方向が直進のみとされている。車線343についてみると、交差点6における進行方向が右折のみとされている。
上述した交差点5に接する道路区間310に備わる複数の車線のいずれか一つと交差点5に接する道路区間340に備わる複数の車線のいずれか一つとをつなぐようにして交差点5を通過して走行する車両にとって、交差点5のような交差点領域内において通行することとなる領域(以下、「交差点内走行領域」という)を道路区間310や道路区間340における車線区間データと同様、車線区間を水平方向に細分化した車線を表す車線のデータと同じデータ構造として、曲線ないし直線の線形状で表すと、交差点5のような交差点を車両が通行する上での操舵・加減速制御といった走行態様にかかる処理を―交差点前後の異なる道路区間における車線の接続関係を線形状として表しているので―車線のデータを用いた処理と同じく行なうことができるので、記憶部における記憶容量を削減しつつ、処理の効率化を実現することができる。
図5にみられるような交通環境に適用可能な交差点データセット300は、一例として、道路区間ごとに車線区間データ250と、交差点内走行領域に関するデータとして、交差点をはさんで一方の道路区間における交差点流入部での車線のいずれかと同一の交差点をはさんで他方の道路区間における交差点流出部での車線のいずれかとを接続する交差点内通行予定線データ251とを含む。図5の例示を用いて具体的に説明すると、車線区間データ250には、道路区間310における車線311,312,313,314をそれぞれ表すデータ及び道路区間340における車線341,342,343をそれぞれ表すデータとが含まれ、交差点内通行予定線データ251として車線313と車線341とを接続する交差点内通行予定線001を表すデータ、車線314と車線342とを接続する交差点内通行予定線002を表すデータ、車線314と車線343とを接続する交差点内通行予定線003を表すデータが含まれている。
ここで、図5にみられるような交通環境において、交差点5の交差点内領域について、交差点内通行予定線として交差点内通行予定線001,002,003が、それぞれ車線313と車線341とを、車線314と車線342とを、車線314と車線343とを接続するように整備されていることによって、次のような効果が得られる。
道路区間340に属し、交差点5の交差点流出部において最も左に位置する車線341は、交差点6における進行方向が左折のみとされている。これは、車線341には図5に示されるような左折の進行方向を示す道路標示が施されていることによる。後に詳述するとおり、交差点6において左折を予定する車両にとっては、道路区間340においては車線341を選択すべきこととなる。そして、道路区間340内において車線変更をすることなく走行することを予定する車両にとっては、交差点5の退出時点で交差点5の交差点流出部に接する車線341に到達するような交差点5の通行が望ましい。このため、交差点5の交差点流入部に接する道路区間310の車線については車線313を選択しておくことが必要となる。
図5においては、以上のように、交差点5近傍において道路区間340の交差点流出部において車線341上の通行を予定し、道路区間310の交差点流入部において車線313上の通行を予定する車両が、車線341と車線313とを接続するように交差点5を通行する場合の交差点内走行領域としての交差点内通行予定線001が実線で表されている。
同様に、図5においては、交差点5の交差点内領域で、交差点内通行予定線002と交差点内通行予定線003とが実線で表されている。交差点内通行予定線002は、交差点5の交差点流出部において車線342上の通行を予定し交差点5の交差点流入部において車線314上の通行を予定する車両が車線342と車線314とを接続するように交差点5を通行する場合の交差点内走行領域を線形状で表すものである。交差点内通行予定線003は、交差点5の交差点流出部において車線343上の通行を予定し交差点5の交差点流入部において車線314上の通行を予定する車両が車線343と車線314とを接続するように交差点5を通行する場合の交差点内走行領域を線形状で表すものである。
ここで、道路区間340と道路区間310とに関して、交差点5の交差点流入部において、交差点内通行予定線001のみが車線313に接続するように設定され、交差点内通行予定線002と交差点内通行予定線003とは車線314に接続するように設定されている理由について、交差点内通行予定線001に関して述べ、次に交差点内通行予定線002,003に関して述べる。
道路区間340は、区間の端においてそれぞれ、交差点5と交差点6(図16参照)とに接する道路区間である。この道路区間340における複数の車線341,342及び343のうち、交差点6の進入・退出について進行方向が左折のみと規制されているのは車線341である。車線342については交差点6の退出につき進行方向が直進と規制されていて、車線343については交差点6の退出につき進行方向が右折と規制されている。このため、交差点6での進入・退出方向として左折する経路を予定する車両にとっては、交差点6の流入部において車線341を通行していることは必須である。そして、交差点5の通過態様としての経路設計の段階で、道路区間340において不急不要の車線変更を抑止するような経路設計を実現すれば、交通流の円滑化により混雑の低減、環境負荷の低減などの効果が見込まれる。このため、交差点5退出後の道路区間340での車線変更抑制の要請に適合した交差点5の通行態様を求める必要がある。また一方で、交差点5の交差点内領域の通行態様については、交差点5の交差点構造に適合した形での個別車両にとっての効率的かつ安全な通行態様の実現の要請もみたす必要がある。
そうすると、図5に示される交差点5のような、特定の道路区間に備わる、交差点流入部における交差点への進入方向が同一の複数車線のうち、当該交差点での進行方向が右折となる車線が図5における車線313及び車線314のように少なくとも2つ存在する交差点においては、交差点を退出した後の道路区間において進行方向上次の交差点(交差点6。図16参照。以下同じ)で左折して交差点を進入・退出するのに適した車線としての車線341と、交差点流入部における車線313とを接続するような態様で交差点内通行予定線001を設定することとなる。
これは、上述のとおり交差点5のような交差点を退出した後の道路区間における交通流の円滑化の観点からの車線変更抑制の要請を交差点5の退出に際して到達すべき車線として車線341を選択することでみたす交差点流出部の車線レベルでの経路設計を前提条件とした上で、交差点5の交差点内領域それ自体の通過にあたり車線313と車線314との相対的な比較において、操舵・加減速制御の容易な交差点流入部の車線として車線313を選び取るという経路設計とが行なわれることで、交差点内領域の通行それ自体につき効率的かつ安全な通行態様を実現する要請もみたすこととなるが、そのような経路設計でそれぞれ選びとられた車線313と車線341とを接続する交差点内通行予定線として、必然的に交差点内通行予定線001が決定されることになるからである。
ここで交差点5のような交差点を退出した後の道路区間における交通流の円滑化の観点からの車線変更抑制の要請を車線341の交差点5の流出部における接続車線として選択するということで実現することと交差点5の通行態様として個別車両にとって操舵・加減速の容易な交差点流入部の車線選択を実現することとのいずれか一方あるいは双方を実現できないこととなる交差点内通行予定線を設定する場合と対比して、上記の経路設計における交差点内通行予定線001の決定の妥当性を論証する。
図5では、交差点内通行予定線001,002及び003以外に、ありうる交差点内走行領域を線形状で表すものとして、004,005及び006という破線が描かれている。これらのうち、まず、004及び005についていえば、交差点5を右折して進入・退出し道路区間340を経て交差点6を左折して進入・退出することを予定する車両にとって、交差点5の退出時に通行する車線としてそれぞれ車線342,343を選びとっていることとなる。交差点5の退出時にこれら車線342,343のいずれかを選択した場合、交差点6を左折で進入・退出するためには道路区間340において車線341にいたるための車線変更が必要となる。
交差点内通行予定線004を選び取った場合、交差点5の交差点流入部においては車線313から交差点5へ進入するため、この段階では交差点内通行予定線001との差異がないとしても、交差点5の交差点流出部においては車線342にいたることとなるため、交差点6を左折で進入・退出するうえでは道路区間340において車線341への車線変更が必要となる。ここにおいて、交差点内通行線001と比較した場合の交差点内通行予定線004を選びとることの経路設計としての不合理性は明らかである。また、車線341・車線342・車線343を比較した場合、進行方向に関する規制がそれぞれの車線に対し左折のみ、直進のみ、右折のみとされている以上、道路区間340における車線341上の通行の円滑化を確保するためには、交差点内通行予定線として、交差点内通行予定線001と併存するものとして交差点内通行予定線004を整備しておくことは避けるべきこととなる。
交差点5の交差点内通行予定線005を選び取った場合、道路区間340において二車線分車線変更を要することとなり、そのぶん、道路区間340における交通流を妨げることとなる。仮に、道路区間310において、交差点5の交差点流入部よりも手前の地点で車線314を通行する車両が経路設計を開始したと仮定しても、道路区間310で車線314から車線313へと一段階だけ車線変更をすれば、交差点5の交差点流入部において車線313を通過し、車線313から交差点内通行予定線001を経て車線341にいたるという、交差点5を右折し交差点6を左折するという経路設計上最も合理的な車線の選択を行なう場合と比べると、道路区間340において車線343から車線342へ、車線342から車線341へと二段階の車線変更を経ることとなるため、個別の車両にとっての道路区間310,340の通過形態が不合理なものとなっている。さらに、交差点5近傍の交通流という観点からみても、道路区間340で二段階の車線変更を行なう車両の挙動を誘発する、車線314→交差点内通行予定線005→車線343という経路設計で選択される交差点内通行予定線005の設定に比べ、道路区間310で車線314から313へと一段階のみ車線変更を行なえば足りる、車線313→交差点内通行予定線001→車線341という経路設計で選択される交差点内通行予定線001が交通流の円滑化に資することは明らかである。なお、道路区間310においてそもそも車線313を通行している車両にとっては、車線313→交差点内通行予定線001→車線341を順次通過する経路設計を行なうことが合理的でありかつ交通流の円滑化に資すること、一層明確である。
次に、交差点内通行予定線002、003の、交差点5と交差点6を順次、所定の進行方向で進入・退出するための経路設計における妥当性を論証する。
交差点5を右折して進入・退出し、交差点6を直進して目的地に到達する予定の車両にとっては、経路設計として、交差点5の進入前の道路区間310における車線のうち、車線313と314とが車線レベルの経路の候補となり、交差点5の退出後の道路区間340においては車線342が車線レベルの経路の候補となる。この車線342は、道路標示で指定された交差点での進行方向が、目的地へ向かう車両の予定する交差点5・交差点6の各々での進行方向と合致する。
とすると、ここで、車線314から交差点内領域へ流入し交差点流出部では車線342へと接続するように走行する交差点内走行領域を線形状で表す交差点内通行予定線002が、交差点5の退出後の道路区間340での車線変更を抑制し、かつ、交差点5を右折し交差点6で直進して進むことを予定する車両にとっては、効率的かつ安全な走行経路となる。なお、上述した観点に従えば、交差点5において右折を予定し交差点6では右折して進入・退出を予定する車両にとっては、交差点5における右折のための曲がり方として効率的かつ安全な走行態様を実現しつつ、交差点5を退出した先の道路区間での車線変更を抑制するという要請をいずれもみたす車線レベルの経路としては、交差点5の交差点流入部においては車線314をとり交差点内走行線としては図5の003をとり交差点5の交差点流出部においては車線343をとることとなる。
図1に戻り、移動体50は、通信部52と、入力部54と、出力部56と、位置取得部58と、制御部60と、動作制御部とを有する。
入力部54は、例えばキーパッド等であり、ユーザによる情報入力を取得する。出力部56は、例えば液晶モニタ等であり、ユーザへの情報を出力表示する。なお、所謂タッチパネルのように、入力部及び出力部は一体化されていてもよい。
位置取得部58は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムにかかる、衛星からの信号の受信機を備え、衛星信号を受信する。これとあわせ、車両2の周辺の画像情報を取得する車載カメラを備えてもよい。さらに、車両2の周辺の物体の情報を取得するミリ波レーダーを備えてもよい。
制御部60は、後述する動作制御部68と連動して、移動体50の運転支援及び/又は自動運転を実行する。当該運転支援及び/又は自動運転は、少なくとも、交差点5への進入前の自車位置と、交差点5での進入・退出方向にかかる情報と、個別の交差点データセット300すなわち、道路区間ごとの車線区間データ250と、交差点内通行予定線データ251とに基づいて、交差点5内における移動体50が実際にとるべき交差点内通行予定線を設定することを含む。例えば制御部60は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、位置特定手段62と、経路設定手段64と、制御情報出力手段66とを有する。
位置特定手段62は、位置取得部58で取得された情報にもとづき移動体50の現在位置を特定する。経路設定手段64は、ユーザが入力部54を用いて設定した目的地の情報と車両通信部52を介して得られたサーバ20のサーバ制御部で求められた経路に関する情報とに基づき、移動体50の現在位置と目的地とに適合する移動体50のとるべき実際の経路を設定する。制御情報出力手段66は、経路設定手段64で設定された経路に従って移動体50が走行するために必要な操舵・加減速にかかる情報を算出し、動作制御部68に提供する。
位置特定手段62はさらに、移動体50の走行予定範囲の地図データを通信部52を介してサーバ20の地図データベース32から取得する。ここで取得される、移動体50の走行予定範囲の地図データには、例えばサーバ20の記憶部30に記憶された論理ネットワーク情報322の一部と車線ネットワーク情報240の一部とが含まれる。そして、移動体50の現在位置に関する情報と地図データとによりマップマッチングを行なう。
経路設定手段64は、移動体50の現在位置に対応する車線の情報と移動体50の目的地に最も近接する車線の情報とに基づき、目的地から現在位置に至るまでの車線レベルでの経路を設定する。例えば走行車線設定部117は、交差点6の進入・退出方向に基づき交差点5の流出部においてとるべき車線を決定しかかる交差点5の流出部においてとるべき車線の情報と、交差点5の流入部においてとるべき車線の情報とに基づいて、移動体50の直近の交差点である交差点50の交差点領域内における交差点内通行予定線を設定する。
制御情報出力手段66は、たとえば、経路設定手段64で設定された直近交差点の進入・退出のためにとるべき操舵・加減速にかかる情報を算出し、動作制御部68にかかる情報を提供する。
更に、制御情報出力手段66は、後述する、直近の交差点手前での車線変更を行なうことが必要である場合に、移動体50の現在位置に対応する車線から経路設定手段64で設定された直近交差点の交差点流入部においてとるべき車線に車線変更を行なうための操舵・加減速にかかる情報を算出し、動作制御部68にかかる情報を提供する。
動作制御部68は、制御情報出力手段66から得られた情報に基づき、経路設定手段64により設定された車線レベルのとるべき具体的な経路に沿って移動体50を走行させるようにそれぞれ図示しないアクセルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ及びステアリングアクチュエータを制御する。
上述した運転支援システム10は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。また、サーバ20は一つ又は複数のコンピュータにより構成される。運転支援装置100は、ネットワーク回線NWを介して移動体50とサーバ20との間で情報をやりとりし、以下のように運転支援手順を実現する。なお、上記の各種データの持ち方は一例であり、例えば地図データベース32を移動体50の側に持ってもよいし、一部を移動体50側にもってもよい。上述の経路探索なども移動体50の側で一部又は全部を行なってもよい。経路探索なども含めて1つの運転支援システムとして実現してもよい。
A2.運転支援及び/又は自動運転の手順:
続いて、運転支援方法の一例として、運転支援システム10が実行する走行予定車線の設定手順を例示する。図6は、交差点5に右折して進入することを予定する移動体50が当該交差点5の交差点流入部に達するまでの間に運転支援システム10が実行する走行予定車線の設定手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、運転支援システム10は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、位置特定手段62によって位置取得部58が取得した情報を用いて移動体50の自車位置を特定するとともに該特定された自車位置に基づき移動体50が走行中の車線を特定する。ステップS01は、例えば、論理ネットワーク情報230を用いずにもっぱら車線ネットワーク情報240を用いてダイクストラ法のアルゴリズムを適用し、目的地から、注目する交差点(図5の例でいうと交差点5であり、後述する直近交差点と同じ)により進行方向先の道路区間にいたるまでの車線レベルの経路探索が終わった後に実行される。
ステップS02では、移動体50の現在位置から、目的地へと進行する途上で注目すべき最寄りの交差点(直近交差点)を求め、直近交差点での進入・退出方向(直近交差点での進行方向)に関する規制を満たす交差点内通行予定線であって、車線レベルの経路探索において最適な経路にあたるとして選び取られた交差点内通行予定線をを選択済み交差点内通行予定線として選択する。かかる選択が行なわれた後、次のステップS03に移行する。
ステップS03では、経路設定手段64が、ステップS02で得られた選択ずみ交差点内通行予定線に直接接続する交差点流入部の車線(以下、「流入部到達車線」という)は、移動体50が現在進行中の車線と延伸した関係にある(すなわち、前者の車線と後者の車線とが同一であるか、前者の車線は後者の車線の延長線上にある場合)か否かを判定する。流入部到達車線と移動体50が現在進行中の車線とが延伸した関係にない場合は、選択ずみ交差点内通行予定線を通行するためには直近交差点への進入前に車線変更が必要となると判定(ステップS03:YES)され、ステップS04へ移行する。流入部到達車線と移動体50が現在進行中の車線とが延伸した関係にある場合は、選択ずみ交差点内通行予定線を通行するためには直近交差点への進入前に車線変更が必要ない(ステップS03:NO)と判定され、次のステップとしてステップS05へ移行する。なお、以下の処理手順は移動体50の誘導にかかる処理手順として実行される。
ステップS03において、直近交差点進入前に車線変更が必要であると判定された(ステップS03:YES)場合、運転支援システム10は次に、ステップS04を実行する。なお、ここで直近交差点進入前に車線変更が必要と判定される場合とは、例えば、交差点間の道路上において接近してきた緊急車両の通行のため、移動体が隣の車線に車線変更して緊急車両の優先走行を実現させた場合のように、あらかじめ求められた車線レベルの最適経路上の車線を一時的にせよ走行していない場合等である。ステップS04では、経路設定手段64が、流入部到達車線に交差点流入部の手前で達するために必要な車線変更のための移動体50が現在進行中の車線から他の車線への移行経路を設定する。図5の例でいうと、例えばステップS02で得られた選択ずみ交差点内通行予定線が図5の001であるため流入部到達車線が図5の313であるところ、移動体現在走行中の車線が図5の314である場合、走行車線設定部64は、道路区間310の交差点流入部より手前の箇所において車線314から車線313への移行経路を設定する。このようにして、直近交差点への進入を契機に直近交差点通過以降は最適な経路に従った走行をすることが可能になる。
ステップS03において、直近交差点進入前に車線変更が必要ない(ステップS03:NO)と判定された場合、運転支援システム10は,ステップS04を実行することなくステップS05を実行する。すなわち、ステップS05では、経路設定手段64は、移動体50が進行中の現在の車線ないし現在の車線の延長線上の車線を走行するものとして車線を選択する。
ここまでのステップを経て、ステップS04で得られた移行経路あるいはステップS05で選択された車線の情報と、ステップS02で得られた選択ずみ交差点内通行予定線の情報及び直近交差点の交差点流出部における車線の情報とが、車線レベルの経路として直近交差点とその先の交差点の進行方向に沿った最も正しい情報として得られている。このため、制御情報出力手段66は、移動体の操舵・加減速等の動作制御を行なうために必要な情報を上記の次第で経路設定手段64から得て、動作制御部に提供するための情報に加工する。
A3.本実施形態の効果:
以上に説明したように、運転支援システム10は、図5のような交差点5に適用可能な車線ネットワーク情報240(車線区間データ250と交差点内通行予定線データ251とからなる)のうち、図5の交差点5の交差点流入部における車線の情報と、交差点内通行予定線の情報と、交差点流出部における車線の情報と、移動体50の現在位置に関する情報とに基づき、交差点流入部に到達する車線、交差点領域内における交差点内通行予定線及び交差点流出部における車線とを車線レベルの経路として選択して設定する経路設定手段64を備える。
この運転支援システムによれば、図5に示される交差点5のように交差点流入部における右折ないし左折のための進行方向が指定された車線が交差点における同一方向に対し複数存在する構造をとる交差点を退出した後の、その先の交差点における移動体のとるべき進行方向に合致した車線に円滑に達するための経路設計が可能となり、もって、移動体が目的地に達するまでの間の交通の円滑化への貢献及び移動体の交差点での安全な通行が実現できる。従って、図5にみられるような交差点における適切な運転支援に有効である。
A4.第1実施形態の変形例1
第一実施例の変形例について図7にもとづき以下説明する。この変形例は、一旦は目的地から車線レベルでの経路探索を行なった後、移動途中においてかかる探索された経路とは部分的に異なるルートを走行した場合及びその他の場合に、あらかじめ求められた車線レベルの最適な経路の情報を前提に、移動体の現在位置から探索ずみの車線レベルの最適な経路の残りの部分に到達することができる車線レベルの経路を設計するために用いることができる。
ステップS01の実行タイミング及び実行内容は上述したとおりである。次に、運転支援システム10はステップS02として上述の場合と同様にして直近交差点を求める。そして、直近交差点での進入・退出方向(直近交差点での進行方向)に関する規制を満たす交差点内通行予定線を一つ、候補交差点内通行予定線として選択する。ここで、上記直近交差点での進行方向に関する規制を満たす交差点内通行予定線が複数存在するときは、そのうちの1つを暫定的に候補交差点内通行予定線として選択し、次のステップS03に移行する。
ステップS02において選択された候補交差点内通行予定線が、図5での交差点5を通行するにあたっての移動体50の経路設計に適しているものであるかどうかを判定するため、運転支援システム10はステップS03を実行する。ステップS03では、経路設定手段64が、注目交差点より進行方向先の道路区間における車線―直近交差点より目的地への進行方向上先に位置する交差点(たとえば図16の交差点の配置の例でいえば、直近交差点が交差点5である場合の交差点6)でどのような進行方向をとるべきかを、ステップS01実行前にあらかじめ求めた経路の情報を利用して判別し当該判別結果により得られた進行方向に関する規制をみたす車線―と、直近交差点の流出部における車線とが直近交差点退出後の道路区間において、車線変更を必要としない接続関係にあるかを判別する。ここでは、候補交差点内通行予定線を経由した直近交差点の交差点流出部における車線からみて、直近交差点より進行方向先に位置する交差点での交差点流入部のとるべき車線とが延伸した関係にある場合(すなわち、それら二つの車線が同一であるか、前者の車線の延長線上に後者の車線が存在する場合)、候補交差点内通行予定線はその先で車線変更を必要としない接続関係にある(ステップS03:YES)と判定する。これに対し、延伸した関係にない場合、候補交差点内通行予定線はその先で車線変更を必要とする接続関係にあると判定する(ステップS03:NO)。なお、その先で車線変更を必要とする接続関係にあると判別された場合、直近交差点における交差点流出部の車線とつながる候補交差点内走行線は、移動体50の経路設計に適さないものであったこととなる。
ステップS03において、候補交差点内通行予定線が交差点退出後の道路区間で車線変更を必要とする接続関係にあると判定された(ステップS03:NO)場合、運転支援システム10は、ステップS02に戻って、異なる候補交差点内通行予定線を選択する。ここでは、流入部到達車線を異なるものに入れ替えることにより、ステップS03の判定を満たさないとされた特定の候補交差点内通行予定線とは異なる候補交差点内通行予定線を選択する。そして、ステップS03でYESの判定が得られるまで候補交差点内通行予定線の選択を繰り返す。かかる処理は、一例として、車線ネットワーク情報240を用いてダイクストラ法のアルゴリズムを適用することにより実行することができる。
ステップS03において、候補交差点内通行予定線が交差点退出後の道路区間で車線変更を必要とする接続関係にないと判定された(ステップS03:YES)場合、運転支援システム10は候補交差点内通行予定線を選択ずみ交差点内通行予定線として扱い、ステップS04を実行する。ステップS04では、経路設定手段64が、ステップS03で得られた選択ずみ交差点内通行予定線に直接接続する交差点流入部の車線(流入部到達車線)が、移動体50が現在進行中の車線と延伸した関係にある(すなわち、前者の車線と後者の車線とが同一であるか、前者の車線は後者の車線の延長線上にある場合)か否かを判定する。流入部到達車線と移動体50が現在進行中の車線とが延伸した関係にない場合は、選択ずみ交差点内通行予定線を通行するためには直近交差点への進入前に車線変更が必要となると判定(ステップS04:YES)され、ステップS05へ移行する。流入部到達車線と移動体50が現在進行中の車線とが延伸した関係にある場合は、選択ずみ交差点内通行予定線を通行するためには直近交差点への進入前に車線変更が必要ない(ステップS04:NO)と判定され、次のステップとしてステップS06へ移行する。なお、以下の処理手順は移動体50の誘導にかかる処理手順として実行される。
ステップS04において、直近交差点進入前に車線変更が必要であると判定された(ステップS04:YES)場合、運転支援システム10は次に、ステップS05を実行する。ステップS05では、経路設定手段64が、流入部到達車線に交差点流入部の手前で達するために必要な車線変更のための移動体50が現在進行中の車線から他の車線への移行経路を設定する。図5の例でいうと、例えばステップS03で得られた選択ずみ交差点内通行予定線が図5の001であるため流入部到達車線が図5の313であるところ、移動体現在走行中の車線が図5の314である場合、走行車線設定部64は、道路区間310の交差点流入部より手前の箇所において車線314から車線313への移行経路を設定する。
ステップS04において、直近交差点進入前に車線変更が必要ない(ステップS04:NO)と判定された場合、運転支援システム10は,ステップS05を実行することなくステップS06を実行する。すなわち、ステップS06では、経路設定手段64は、移動体50が進行中の現在の車線ないし現在の車線の延長線上の車線を走行するものとして車線を選択する。
ここまでのステップを経て、ステップS05で得られた移行経路あるいはステップS06で選択された車線の情報と、ステップS03で得られた選択ずみ交差点内通行予定線の情報及び直近交差点の交差点流出部における車線の情報とが、車線レベルの経路として直近交差点とその先の交差点の進行方向に沿った最も正しい情報として得られている。このため、制御情報出力手段66は、移動体の操舵・加減速等の動作制御を行なうために必要な情報を上記の次第で経路設定手段64から得て、動作制御部に提供するための情報に加工する。
A5.第一実施形態の変形例2:
図8は、図5において適用可能な交差点データセットを同様に適用しうる交差点の例である。図8の交差点は、図5の交差点と同様、道路区間310の交差点流入部において交差点の進入退出方向として右折をとることのできる車線が二つ存在し、これら二つの車線からみての交差点流出部に3車線が存在する点で共通である。ただし、図5では交差点流出部における3つの車線につき、それぞれ、車線341は次の交差点の進行方向に関し左折のみと規制され、車線342は直進のみと規制され、車線343は右折のみと規制されていたところ、図8は車線343が次の交差点の進行方向に関し直進のみと規制されている点が異なる。その他の点は図5の交差点5と同一であるため、ここでも記号は図5と同一の記号を用いる。
図8のような交差点においても、次の交差点で左折して進入・退出を行なう移動体50にとっては車線313で交差点流入部に達し、交差点内領域においては交差点内通行予定線001を走行し、交差点流出部においては車線341に達するのが交通流の円滑化と個別車両の運行の効率化・安全性の確保に資することとなるのは同様である。また、車線314から交差点内通行予定線342に達するため交差点内通行予定線002を経由するのが合理的であるのは図5の場合と同様である。もっとも、道路区間310において車線314を通行し、交差点内通行予定線003を介して道路区間340において車線343を走行するという車線の選択は、図5の場合と比べると、必然的に選択されるものではない。なぜならば、次の交差点において直進を予定する個別車両にとっては、上述のとおり車線314を通行し交差点内通行予定線002を経由して車線342に達するという車線の選択が可能であるからである。
もっとも、交通流の円滑化の観点からは、道路区間310において交差点進入退出方向として右折の車線314をとることを前提としつつ、当該交差点の交差点流出部においては車線342とは別の直進用車線としての車線343に到達するためにあらかじめ交差点内通行予定線003のデータを用意しておくことが望ましい。また、このようにして交差点内通行予定線003のデータを持つことは、極力交差点5のような交差点のケースと図8のような交差点のケースのどちらの場合をもカバーしうる交差点データセット300のデータの整備の仕方として合理的であることからも正当化しうる。
A6.第一実施形態の変形例3:
図9は、図5において適用可能な交差点データセットを同様に適用しうる交差点の例である。図9の交差点5は、図5の交差点5と同様、道路区間310の交差点流入部において交差点の進入退出方向として右折をとることのできる車線が二つ存在し、これら二つの車線からみての交差点流出部に3車線が存在する点で共通である。ただし、図5の交差点5では交差点流出部における3つの車線につき、それぞれ、車線341は次の交差点の進行方向に関し左折のみと規制され、車線342は直進のみと規制され、車線343は右折のみと規制されていたところ、図9は車線341と車線342とがともに次の交差点における進行方向が左折のみと規制され、車線343が次の交差点の進行方向に関し直進のみと規制されている点で異なる。また、後述する理由で、道路区間340における車線342と道路区間310における車線313とをつなぐ交差点内通行予定線を交差点内通行予定線002として実線で示しており、これに伴い車線342と車線314とをつなぐ線形状は(図5や図8の場合とは異なり)破線004として示されている。その他の点は図5の交差点5と同一であるため、ここでも記号は図5と同一の記号を用いる。
上述のとおり、図5の交差点5と図8の交差点5に対し適用される交差点データセット300は、交差点内通行予定線001乃至003として表される交差点内通行予定線データが道路区間310の車線と道路区間340の車線とどのような接続関係を有しているかの点まで含め同様の内容であったが、図9の場合は、交差点データセット300を構成する交差点内通行予定線データ251として、車線313と車線341とを接続する交差点内通行予定線001を表すデータ、車線313と車線342とを接続する交差点内通行予定線002を表すデータ、車線314と車線343とを接続する交差点内通行予定線003を表すデータが含まれている内容となっている。ここで、交差点内通行予定線データ251として車線313と車線342とを接続する交差点内通行予定線002を表すデータが必要になる理由とその適用の仕方について説明する。
道路区間310から交差点5に進入し、交差点5を退出した場合の道路区間は、車両進行方向からみて先にある交差点での進行方向にかかる規制との関係で、大別して、左折する車線すなわち車線341及び車線342と直進する車線すなわち車線343とに分けられる。とすると、道路区間310と道路区間340とを車線単位でつなぐための交差点内通行予定線としては、図9の交差点内通行予定線001と交差点内通行予定線003との二つあれば足るようにも思われる。しかし、図9の交差点5について交差点内通行予定線を二つとせずに交差点内通行予定線002を準備している理由は次のとおりである。
仮に、交差点内通行予定線001と交差点内通行予定線003との二つのみで、図9の交差点5について道路区間310と道路区間340と接続するようにした場合、交差点5の次の交差点を直進方向に進行することを予定する車両であればともかく、次の交差点を左折で進入・退出しようとする車両にとっては、道路区間340における交差点5の流出部において到達する車線としては車線341だけが選びとられていることになるため、次の交差点を左折して進入・退出することを予定する車両が全て車線341を走行することとなる。これに対して、車線341への車の集中を避けて円滑な交通の流れを確保するためには、道路区間340において車線342も交差点内通行予定線001と同様に、道路区間310の右折専用車線から交差点内通行予定線を介して交差点5の交差点流出部において走行可能としておく必要がある。そのように、道路区間310の右折専用車線と道路区間340の車線342とを結ぶ交差点内通行予定線として交差点内通行予定線002があらかじめ整備されている。このように交差点内通行予定線002が整備された交差点データセット300を用いることで、交差点5を右折で進入・退出する車両のうち、その先の交差点を左折で進入・退出することを予定する車両が道路区間340の交通の流れを阻害することのない通行態様をとることができるようになる。
B.第2実施形態:
B1.システムの構成:
本実施形態のシステム構成は、第1実施形態のシステム構成と同一である。したがって、図5に示されるような交差点並びに図8及び図9に示されるような交差点のいずれにも適用可能である。
B2.運転支援及び/又は自動運転の手順:
本実施形態は、図10に示されるように、処理の手順において、第1実施形態と異なるものである。そこで、以下、図5に図示される交差点に適用可能な交差点データセット300を用いた処理手順について説明する。
図10に示されるフローが実行される前提として、サーバ20の経路探索手段26によって、記憶部に記憶された論理ネットワーク情報322を用いて、出発地から目的地にいたるまでの論理ネットワークレベルでの経路探索が実行済みであるものとする。
運転支援システム10は、論理ネットワークレベルで探索された経路の途上で、注目する交差点に達する前に以下の処理を開始する。
処理を開始してまず、移動体50の現在位置と移動体50が走行している車線を特定するステップS01を経て、候補交差点内通行予定線を選択するところまでは第1実施形態と同様である。また、ステップS02の処理内容は、第1実施形態の変形例1と同じである。
ステップS03では、ステップS02で候補交差点内通行予定線とされた特定の交差点内通行予定線を通行した場合に、前提となる論理ネットワークレベルでの経路探索結果、具体的には経路探索結果で予定されるリンクとノードの組み合わせ結果としての次の交差点での直進・右左折の進行方向と整合するか矛盾するかの判定がなされる。この判定について、図5の交差点の例を用いて詳細に説明する。
今、論理ネットワークレベルでの経路探索の結果、道路区間310から交差点5に進入し道路区間340に達することを予定する移動体50にとって、交差点5では右折して進入退出を行い、道路区間340に達し、道路区間340の先の交差点では左折して進入退出を行いさらに別の道路区間をたどって、目的地に移動することが最適な経路として求められていたものとする。このようなリンクとノードレベルでの経路が与えられているときに、ステップS02で候補交差点内通行予定線として交差点内通行予定線003が選び取られたとする。ところが、この交差点内通行予定線を採用すると、交差点5の交差点流出部において到達する車線は車線343であり、車線343を継続して走行すれば、その先の交差点においては右折の規制がかかることからその先の交差点を右折して進入退出することとなり、上記の論理ネットワークレベルで求められた経路探索の結果とは矛盾することとなる。いいかえると、車線343をとる以上は右折して次の交差点を退出することとなるため、次の交差点を左折することを予定していた当初の経路に対し経路変更を余儀なくさせるものとなる。したがって、候補交差点内通行予定線として交差点内通行予定線003は経路変更をせずにすむか否かというステップS03の判定としてNOの判定が出たことなり、ステップS02に戻って、別の交差点内通行予定線を候補交差点内通行予定線として設定することからやり直すこととなる。
今、仮に、ステップS02で図5の交差点内通行予定線として交差点内通行予定線001が選びとられていた場合、ステップS03では、論理ネットワークレベルでの経路探索結果と整合するものであるため、次の交差点の進行に関し経路変更を余儀なくさせるものではないため、経路を変更せずにすむ(ステップS03:YES)として、次のステップS04へ移行する。
ステップS04では、ステップS02において選択されステップS03において肯定的な判定をえた候補交差点内通行予定線が、移動体50の経路設計に適しているものであるかどうかを判定する。具体的には、ステップS04では、経路設定手段64が、前述した注目交差点より進行方向先の道路区間における車線の情報を交差点データセット300から読み出し、そのうち、注目交差点すなわち直近交差点より目的地への進行方向上先に位置する交差点でどのような進行方向をとるべきかを判別し当該判別結果により得られた進行方向に関する規制をみたす車線と、直近交差点の流出部における車線とが直近交差点退出後の道路区間において、車線変更を必要としない接続関係にあるかを判別する。ここでは第1実施形態の変形例1同様、候補交差点内通行予定線を経由した直近交差点の交差点流出部における車線からみて、直近交差点より進行方向先に位置する交差点での交差点流入部のとるべき車線とが延伸した関係にある場合(すなわち、それら二つの車線が同一であるか、前者の車線の延長線上に後者の車線が存在する場合)、候補交差点内通行予定線はその先で車線変更を必要としない接続関係にある(ステップS04:YES)と判定する。これに対し、延伸した関係にない場合、候補交差点内通行予定線はその先で車線変更を必要とする接続関係にあると判定する(ステップS04:NO)。
ステップS04でNOの判定が出た場合、ステップS02に戻って、別の交差点内通行予定線を候補交差点内通行予定線として設定することからやり直すこととなる。一方、ステップS04でYESの判定が出た場合、次のステップとしてステップS05に移行する。ステップS05以下は第1実施形態のステップS03以下の手順(第1実施形態の変形例1におけるステップS04以下)と同一内容であるため、その説明は省略する。
C.第3実施形態:
C1.システムの構成:
本実施形態のシステム構成は、次に詳述する交差点データセット300を除き、第1実施形態のシステム構成と同一である。したがって、図5に示されるような交差点並びに図8及び図9に示されるような交差点のいずれにも適用可能である。
図11は、第1実施形態と異なる交差点データセット300の模式図であり、また、かかる交差点データセット300を適用可能な交差点の交通環境を図示したものである。
本実施形態の交差点データセット300は、道路区間710・720と道路区間730・740が交差する関係にある交差点8について道路区間データ250と交差点内通行予定線データ251とからなるものであるが、道路区間データ250については、図11の場合、第1実施形態における図5の場合と同様の内容である。ただし、交差点内通行予定線データ251については、第1実施形態の場合、実線でなく破線で示されるものは交差点内通行予定線データとして活用されるものではなかったが、本実施形態では、実線で示された交差点内通行予定線にかかるデータよりも破線で示された交差点内通行予定線にかかるデータは使用推奨度が劣るものとして設定された上で、運転支援システム10での使用が可能にされていることに特徴がある。ここで、破線で示された交差点内通行予定線データ、すなわち交差点内通行予定線040・050・060のそれぞれを表すデータが、それぞれ実線で示された交差点内通行予定線である010・020・030にかかるデータよりも使用推奨度が劣るものであることは、例えば、図示しない車線属性情報260に定義されている。ここでの定義の仕方は、相対的な比較が可能な数値の入力など、適宜の方法でよい。
ここで、使用推奨度が劣る交差点通行予定線データを整備し、運転支援システム10において使用可能にしておく意義としては、例えば次のものを挙げることができる。すなわち、図11に示されるように、移動体50の前方に障害となる物体(他の移動体を含む)が存在するときに、当該障害となる物体を回避する進路をとることとした移動体50にとっては、交差点への進入・退出の仕方が使用推奨度の劣る交差点内走行予定線を通行することによって、車線レベルの最適な経路設計の観点からは交差点領域の走行の仕方を最適なものではないようにしながらも交差点領域通過後は車線レベルの最適な経路をとることができるようにするということがある。
C2.運転支援及び/又は自動運転の手順:
次に、交差点内通行予定線010・020・030を表す交差点内通行予定線データに対し上記使用推奨度が劣後するものとされている交差点内通行予定線040・050・060を表す交差点内通行予定線データを含んでいる交差点データセット300を適用して運転支援システム10が行う処理を説明する。
前提として、本実施形態の場合、車車間通信あるいは図示しない移動体50に設置されたセンサ群により、移動体50の前方の路上において、路上障害物が存在するということが検出されたに以下に掲げる処理が開始する。まず、本実施形態でもステップS10として、移動体50の現在位置と移動体50が走行している車線を特定する。かかるステップS10の処理内容は、第1実施形態・第2実施形態のステップS01の処理内容と同じである。図11の例では、移動体50(図11における上から2番目に示された車両)は道路区間710を走行中であり、交差点8を右折して進入・退出することを予定している。そして、図11に示されるように、移動体50の進行方向前方には、移動体50の直進走行を妨げるようにして、斜めに図示された他車両が存在している。この他車両は何等かの事由により走行を停止しているものであり、移動体50からみて路上障害物にあたる。
続いて、ステップS20における処理手順を例示する。図11に示すように、移動体50からみて車線713の進行方向先には路上障害物が存在する。ここで、経路設定手段64は、車線713と交差点8の交差点流入部において直接接続する交差点内通行予定線010は走行不可能な交差点内通行予定線であると設定する(ステップS20)。ここで、移動体50は、図11の交差点8を右折で進入・退出し、その次の交差点を左折して進入・退出することを予定するものとする。
次に、ステップS30として、経路設定手段64は、直近交差点を退出した後の道路区間、図11の例では、道路区間740の論理ネットワークデータ230を参照する。具体的には、当該道路区間740が論理ネットワーク上、リンク長がどのように記述されているかを参照する。リンク長さが所定の長さ以上の値となっている場合(ステップS03:YES)、先行するステップS20で走行不可能と設定された交差点内通行予定線である交差点内通行予定線010以外の使用推奨度の高い交差点内通行予定線にかかるデータを用いての、ステップS50へ移行する。ステップS30の判定に用いられる条件としては、道路区間のリンク長さのほか、道路区間において、車線間の車線変更を禁止するレーンペイントが敷設されている道路区間であるか否か、というものも挙げられる。
これに対し、ステップS30でNOの判定が出た場合、ステップS040へ移行する。これは、図11の道路区間740のように、交差点内通行予定線を通じて直近交差点の流入部に達して接続する道路区間が十分なリンクの長さ―即ち、交差点8と進行方向上その次の交差点との間をリンクとするそのリンクの距離―が所定の値に満たない場合、そのように短い道路区間で車線変更を行なうことは、交通の流れを妨げるとともに、移動体50が他車両の間に無理に割り込むような走行を余儀なくさせる事態をも招きかねないことから、抑制されるべき、という価値判断を前提としたアルゴリズムによる処理といえる。すなわち、第1実施形態・第2実施形態の場合と異なり、短い道路区間(図11の道路区間740)での困難な車線変更を抑制させるという見地から、交差点8の通行形態について、第1実施形態・第2実施形態ほど、個別車両の安全性・効率性への要請への適合性を追及することを断念し、交差点8の交差点内領域における交差点内通行予定線としては使用推奨度の低い交差点内通行予定線をも用いて交差点5を通行し、その次の道路区間においては車線変更を生じさせない車線に到達するという要請への適合性に最大のプライオリティをおくというのが本実施形態のアルゴリズムにおける基本的観点である。このような観点から、ステップS40では、経路設定手段64は、第1・第2実施形態とは異なり、使用推奨度が相対的に低いと設定されていた交差点内通行予定線をも、後述する候補交差点内通行予定線として選択できるように、地図データベースから読み出し後の処理に用いることができるようにする。
そして、ステップS50では―ステップS040で推奨度が低いと設定されていた交差点内通行予定線も含め―直近交差点の交差点内通行予定線のうち、ステップS20で使用不可能と設定された以外の任意のものを選び、候補交差点内通行予定線とする。
次に、ステップS60として候補交差点内通行予定線を使用して移動体50が交差点8を通行して交差点流出部において達する車線と、交差点流出部における車線を含む道路区間の先にある交差点での進入退出方向にかかる規制の情報とから、候補交差点内通行予定線から接続する直近交差点の交差点流出部の車線は進行方向先において車線変更を要するものであるか否かを判定する。ここでの判定は、第1実施形態のステップS03の判定の仕方あるいは第2実施形態のステップS04の判定の仕方と同じであるのでその記載は省略する。なお、ステップS60の判定が車線変更を必要としない。すなわち判定がYESであれば次のステップS070に移行するが、ステップS60の判定が車線変更を必要とする、すなわち判定がNOの場合、先のステップS50に戻って異なる交差点内通行予定線を候補交差点内通行予定線として選ぶところからやり直しとなる。
ステップS60の判定がYESであった場合、ステップS70の判定処理が行われるが、ここでの処理は第1実施形態でのステップS03及び第2実施形態でのステップS05と同内容である。また、ステップS70以後の処理も第1実施形態のステップS04以下の処理と同様である。ただし、その概略について図11・図13の例をもとに以下のとおり説明する。
図11の例では、移動体50は路上障害物となっている斜めに停止している車両に後続する形で車線713の上に位置している。ここで、道路区間740はリンク長さが所定の長さ以下であるかあるいは車線間の車線変更を禁止するレーンペイントが敷設されている道路区間であるとする。この場合、ステップS60までの処理では、交差点内通行予定線010が使用不可能とされた結果、交差点8を退出した後の道路区間において車線変更を要しない車線に交差点8の交差点流出部において達するために、使用推奨度の低い交差点内通行予定線にかかるデータも使用可能とされ、候補交差点内通行予定線として処理された結果、道路区間710における車線714を交差点8の交差点流入部における車線とし、さらに交差点8の交差点流出部における到達車線を車線741とし、それら車線を接続する交差点内通行予定線として交差点内通行予定線060が選択ずみ交差点内通行予定線として設定されていることとなる。ところが、選択ずみ交差点内通行予定線060に接続する車線714は移動体50が現在走行している車線と同じ車線ではないしその延長線上にある車線でもない。そこで、このような場合においては図12のフローチャートに示されたステップS70の判定により、直近交差点への進入前に車線変更を必要とする(ステップS70:YES)と判定され、ステップS80の処理、すなわち直近交差点である交差点8の交差点流入部より手前の地点で移動体50が走行中の車線713から車線714へと車線変更を行なうための誘導処理がなされる。
これに対し、図13の例では、移動体50からみて進行方向前方に路上障害物が存在し、その路上障害物は車線713の上にある点は共通であるが、図13の場合では、移動体50は車線714を移動中である。この場合、図12に示されたフローを適用すればステップS60までは図11の例と共通の処理がなされるが、直近交差点への進入前に車線変更を必要とするか否かを判定するステップS70では判定がNOとなるため、ステップS80による車線変更の処理のための誘導が行われることなく、ステップS90に処理が移行し、走行中の車線714をそのまま走行し、直近交差点である交差点8の交差点流入部に達し、交差点内通行予定線060を通って交差点8の交差点流出部においては車線741に到達する。そして、ステップS100として、道路区間740においては引き続き車線741上を走行するという処理が行われる。
C3.本実施形態の効果:
本実施形態において、使用推奨度の低い交差点内通行予定線のデータも、直近交差点の通行における候補交差点内通行予定線とする処理をすることにより、直近交差点における個別車両の安全かつ効率的な通過態様の実現よりも直近交差点から先の道路区間における交通流の円滑化を実現することに重きをおいた個別車両の制御が可能となる。また、本実施形態では、図11や図13に示されるような、路上障害物が移動体の進路前方に存在するという突発的な事象に対応し本来最善の手法として選び取られるべき直近交差点の通過態様としての交差点内通行予定線の使用が不可能になったときに次善の策としての交差点内通行予定線を使用した通行を実現することができる。
D.第4実施形態:
D1.システムの構成:
本実施形態のシステム構成は、第3実施形態のシステム構成と同一である。したがって、図5及び図8~図9に示されるような交差点5、図11に示されるような交差点8並びに図13で示されるような交差点9のいずれにも適用可能である。
図15は、第3実施形態の適用される図13に示された交差点9と同じ道路構造の交差点9について本実施形態を適用した場合を示す模式図であり、ここで用いられる交差点データセット300は第3実施形態のデータセットと同じ内容である。
図15では、移動体713は道路区間710の車線713と道路区間740の車線741とを接続する交差点内通行予定線010を通行している。この移動体50の右斜め方向において交差点データセット300において交差点内通行予定線060に対応するデータとして記録されている交差点内走行領域を走行している車両が存在しているが、この車両は運転支援ないし自動運転の機能を備えていない車両であって、ドライバーが自力で運転操作を行なっているものである。
このように、運転支援ないし自動運転の機能を備えた移動体と、従来のように運転支援ないし自動運転の機能を持たずに人間の認知・判断・操作により運転がなされる自動車のどちらもが道路上において共存する場合、後者の人間による運転操作がなされる車両は、運転支援システム10を用いた移動体50のように安全かつ効率的さらに交通流の円滑化に資する運転態様を実現できないことがある。その具体例が図15に示されている状況である。
図15の交差点9に適用される交差点データセット300は、使用推奨度が相対的に高い交差点内通行予定線データ010・020・030と使用推奨度が相対的に低い交差点内通行予定線データ040・050・060とが交差点内通行予定線データとして含まれている。ここで、道路を利用する移動体がすべて移動体50のように運転支援システム10を備えた移動体であれば、図15に示されるような交差点9の進入・退出は、交差点9の進行方向先での交差点で左折を予定する場合は交差点内通行予定線010を使用し、交差点9の進行方向先での交差点で直進を予定する場合は交差点内通行予定線020を使用し、交差点9の進行方向先での交差点で右折を予定する場合は交差点内通行予定線030を使用するというように、交差点9の通行を安全且つ効率的に行ないかつ交通流の円滑化に資するルートだけが使用され、全体として最適な交通が実現されるはずである。
ところが、人間が認知・判断・操作をして運転する車両では、認知の過程・判断の過程・操作の過程の一部又は全部に過誤が生じるということがありうるため、図15で示されるように、運転支援システム10を備えた移動体であれば交差点内走行領域として通行することを行なわない交差点内走行領域を通過して交差点を進入退出するということが往々にしてありうる。
したがって、運転支援システム10の側においては、路上において遭遇することのありうる上記のように不合理な人間の運転の仕方にも対応できるようにする必要がある。上記のように、交差点内領域において使用推奨度の低い交差点内走行線を通行しようとしている人間の運転する車両は、運転者の認知・判断・操作の過程の一部又は全部に過誤が混入している蓋然性が高いことから、そのような人間の運転する車両は、運転支援システム10を備えた他の移動体とは異なり、移動体50からみて進路に割り込んでくるように運転がなされるなど、移動体50の脅威となることがありうる。
そこで、移動体50は図示しないセンサ群による物体検知のための領域として、交差点内通行予定線060のような使用推奨度の低い交差点内通行予定線データに対応する交差点内通行領域を設定する。このような処理を可能にするためのフローを次に説明する。
D2.運転支援及び/又は自動運転の手順:
移動体50は、直近交差点の交差点流入部手前で図14に示された処理を開始する。まず、本実施形態でもステップS001として、移動体50の現在位置と移動体50が走行している車線を特定する。
次にステップS002として直近交差点における候補交差点内通行予定線を選択する。この選択は、第一実施形態のステップS02と同じようにしてなされる。
次に、経路設定手段64は、交差点データセット300を読み出し、上記のようにして選択された候補交差点内通行予定線が交差点流出部において接続する道路区間の車線について、交差点流入部における同じ道路区間の他の車線をへて他の交差点内通行予定線とも接続するという接続関係をもつか否かを判定する(ステップS003)。
選択された候補交差点内通行予定線が交差点流出部において接続する道路区間の車線について、交差点流入部における同じ道路区間の他の車線をへて他の交差点内通行予定線とも接続するという接続関係をもつ、と判定される場合(ステップS003:YES)について、図15の例により具体的に説明する。図15では既に移動体50は交差点9の交差点内領域に進入しているが、上述のとおり、ステップS001から始まる処理は交差点流入部手前でなされているものである。そうした相違点を捨象して、図15の交通環境の図示により説明すると、移動体50が道路区間710の車線713において候補交差点内通行予定線010を選択したとき、候補交差点内通行予定線010を経て交差点流出部で接する道路区間740における車線は741である。そしてこの車線741は、相対的に使用推奨度の低い交差点内通行予定線060とも接続するものである。いうまでもなく交差点内通行予定線060は道路区間710における車線714と交差点流入部における車線として接するものである。この場合、ステップS003はYESと判定される。
ステップS003でYESの判定を得た場合、次にステップS004に移行する。ここでは、図15に示されるように、他の車両(特に人間が運転操作する車両)が直近交差点の交差点流出部の同一車線に割り込むようにして進入してくる蓋然性に備え、移動体50が、図示されていないセンサ群を作動させ、移動体50の到達する予定の交差点流出部に同じく達する交差点内通行予定線であって使用推奨度の低い交差点内通行予定線のデータによって表される交差点内走行領域を移動体50の進行方向前方の領域と同程度の、路上障害物の有無の検知領域として検知できるよう、制御情報出力手段66からセンサ群に対し指令を送るための情報を生成し、制御情報出力手段66に伝達する。
ステップS003での判定がNOの場合、次にステップS005に移行する。ステップS003でNOと判定されるのは、例えば図15とは異なり、交差点流入部において右折による交差点の進入・退出の指定がなされた車線が二つ存在し、交差点流出部においても右折で退出するための車線が同じく二つ存在するような構造をもつ交差点が直近交差点である場合である。この場合、カーブの回転半径の大きい右折の仕方とカーブの回転半径の小さい右折の仕方というように交差点流入部の車線と交差点流出部の車線とが連結するように取り扱われるような態様で人間も運転すると予想されるから、上述したステップS003でYESの判定が出る場合とは違って、移動体50にとって交差点流出部に達する際に人間の運転する車が割り込むようにして交差点流出部における同一車線に達する事態は考えにくい。そこで、ステップS005として、移動体50の進路上の路上障害物となりうる存在は移動体50の前方にあるとして処理すればよく、センサ群に対し、移動体50の進行方向前方の領域を路上障害物の有無の検知領域として検知できるよう、制御情報出力手段66からセンサ群に対し指令を送るための情報を生成し、制御情報出力手段66に伝達する。
D3.本実施形態の効果:
本実施形態において、使用推奨度の低い交差点内通行予定線のデータも処理対象と使用することで、図15のような構造をとる交差点における退出時に、他の車両が路上障害物のように移動体の進路前方割り込むような挙動をとるという事象をあらかじめ警戒して事故の回避のための動作を移動体50がとりやすくする効果が見込まれる。
以上の実施形態の全部または一部に記載された態様は、移動体の適切な制御、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上または適切な機能の提供その他の機能向上または適切な機能の提供、データおよび/またはプログラムの容量の削減、装置および/またはシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置またはシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
5,8,9…交差点、10…運転支援システム、31,32,33,34…道路領域における車線、62…位置特定手段、64…経路設定手段、66制御情報出力手段、001,002,003,004,005,006,010,020,030,040,050,060…交差点内通行予定線、240…車線ネットワーク情報、310,320,330,340…交差点で他のものと交わる道路区間、311,312,313,314…道路区間310における交差点流入部に直接接続する車線、341,342,343,344…道路区間340における交差点流出部に直接接続する車線、711,712,713,714…道路区間710における交差点流入部に直接接続する車線、741,742,743,…道路区間740における交差点流出部に直接接続する車線。

Claims (4)

  1. 移動体の運転を支援する運転支援システムであって、
    道路の交差点の流入部の各車線と、前記交差点の流出部の各車線との間を接続し、前記交差点内で前記移動体が通行する領域を線形状で表した交差点内通行予定線の情報を参照し、道路上に設置された地物により特定の方向に沿って前記移動体が通行できるように制御する制御部を含み、
    前記交差点では、退出方向が前記特定の方向に指定され、前記流入部において退出方向が同一である車線が複数存在し、
    前記交差点内通行予定線は、
    前記流入部の各車線から出発した後、前記交差点内で互いに交差することなく前記流出部の各車線まで延びる複数の第1交差点内通行予定線と、
    前記流入部の各車線から出発した後、前記第1交差点内通行予定線と交差するか、互いに交差する複数の第2交差点内通行予定線と、を含み、
    前記制御部は、
    前記第2交差点内通行予定線よりも前記第1交差点内通行予定線を優先して前記移動体が通行できるように制御し、
    前記第1交差点内通行予定線に沿って前記移動体が通行することが望ましくない場合、前記第2交差点内通行予定線に沿って前記移動体が通行できるように制御する、
    運転支援システム。
  2. 請求項1に記載の運転支援システムであって、
    前記制御部は、
    前記流入部のいずれかの車線に障害物が検出された場合、前記障害物が検出された車線の延長線上にある前記第1交差点内通行予定線を使用不可とする、
    運転支援システム。
  3. 請求項2に記載の運転支援システムであって、
    前記制御部は、
    前記流入部のいずれかの車線に障害物が検出され、前記流出部の各車線について、その長さが閾値以上であるか、車線変更禁止でない場合、前記障害物が検出された車線の延長線上にない前記第1交差点内通行予定線の中から前記移動体が通行する前記交差点内通行予定線を選択する、
    運転支援システム。
  4. 請求項2に記載の運転支援システムであって、
    前記制御部は、
    前記流入部のいずれかの車線に障害物が検出され、前記流出部の各車線について、その長さが閾値以上でないか、車線変更禁止である場合、前記障害物が検出された車線の延長線上にない前記第2交差点内通行予定線を前記移動体が通行する前記交差点内通行予定線の候補に含める、
    運転支援システム
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