JP7286060B2 - 半導体ナノ粒子 - Google Patents
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Description
また、QDパターニング(7、8)中の半導体ナノ粒子が、青色光を十分に吸収しきれずに透過させてしまうと混色が生じてしまうため、QDパターニング(7、8)に用いられる半導体ナノ粒子の吸光係数はより高いことが望まれる。
すなわち、本発明の一態様に係る半導体ナノ粒子は、
少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSeTe(但し、Te/(Se+Te)=0.03~0.50である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、
半導体ナノ粒子である。
少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSTe(但し、Te/(S+Te)=0.02~0.60である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、
半導体ナノ粒子である。
少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSeSTe(但し、Te/(Se+S+Te)=0.05~0.50である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、半導体ナノ粒子。
なお、本願において「~」で示す範囲は、その両端に示す数字を含んだ範囲とする。
しかしながら、ZnTeは青色光を吸収できるものの、ZnTeの伝導体下端と価電子帯上端はInPのものよりもそれぞれ高いエネルギーに位置するII型構造をとるため、電荷を閉じ込めるシェルとしては好適ではないという知見を得た。
そこで、本発明者らは更なる検討を重ね、InP系の半導体ナノ粒子のシェル材料として、ZnSeTe、ZnSTe、またはZnSeSTeを用いることで、I型構造を保ちつつ、青色光を吸収できる領域までシェルのバンドギャップを調節することが可能となることを見出した。
本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、コアシェル構造を有する半導体ナノ粒子である。また、本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液とした場合に、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度(OD)が0.9以上であればよい。
ここで、半導体ナノ粒子が分散媒中に分散している状態とは半導体ナノ粒子と分散媒とを混合させた場合に、半導体ナノ粒子が沈殿もしくは目視可能な濁り(曇り)として残留しない状態であることを表す。なお、前述した半導体ナノ粒子が分散媒中に分散した液を分散液とする。
前記分散液とした場合に、前記吸光度が0.9以上であることにより、例えば、厚さが5μm~10μm程度のQDパターニングとして用いたとしても、青色光を十分に吸収することが可能な半導体ナノ粒子を提供することができる。この観点から、本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、前記分散液とした場合において、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が、1.0以上であることがより好ましい。なお、前記半導体ナノ粒子を分散させる分散媒は特に限定されず、例えば、ヘキサン、オクタデセン、トルエン等を用いることができる。
半導体ナノ粒子の粒径は特に限定されるものではないが、例えば、1nm~20nmであることが好ましく、1nm~10nmであることがより好ましい。
半導体ナノ粒子においてコアは、少なくともInおよびPを含むものであればよい。コアに含まれる他の元素としては、例えば、ZnやS、Ga、ハロゲン等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子のコアは、コアの平均粒径が1nm~5nm程度であることが好ましい。半導体ナノ粒子のコアの平均粒径が1nm~3nm程度であると、波長が450nmの励起光を、発光ピーク波長が500nm~550nmの光(緑色)に変換することができる。また、半導体ナノ粒子のコアの平均粒径が3nm~5nm程度であると、波長が450nmの励起光を、発光ピーク波長が600nm~650nmの光(赤色)に変換することができる。
また、本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子、ならびに半導体ナノ粒子のコアの平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察される粒子画像において、10個以上の粒子の粒径を面積円相当径(Heywood径)で算出することにより測定することができる。
当該半導体ナノ粒子のコアには後述するシェルが形成されていることが好ましい。
本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、前記コアの表面に、ZnおよびTeを含むII-VI族によって形成されたシェルを1層以上有する。コアの表面に形成されているシェルのうち、少なくとも1層は、ZnSeTe、ZnSTe、またはZnSeSTeによって構成されていればよい。ここでZnXTe(但し、前記Xは、Se、S、またはSeおよびSである)で表される物質はZn元素、X元素、Te元素で構成される化合物である。
また、前記ZnXTeによって構成されているシェルの厚みの上限は特に限定されるものではないが、他の成分によるシェル層の厚みとの合計が5nm以下であることが好ましい。これにより、後述するような分散媒、あるいはQDフィルム、QDパターニング中の半導体ナノ粒子の含有量を高くすることができる。この観点から、前記ZnXTeによって構成されているシェルの厚みと、他の成分によって構成されているシェル層の厚みとの合計は、4nm以下であることがより好ましい。
このため、本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子のシェルのうち前記ZnXTeからなるシェルは、前記ZnXTe中のTeの含有率がシェルの外側へ向かって少なくなるように濃度勾配が形成されていることが好ましい。なお、シェルの外側とは、コアの中心部から離れる方向をいうものとする。
上記の本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、以下のようにして製造することができる。
InP系半導体ナノ粒子は、In前駆体とP前駆体を反応させることで合成する。
In前駆体としては、例えば、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、ミリスチン酸インジウム、オレイン酸インジウム等のカルボン酸インジウム、フッ化インジウム、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウム等のハロゲン化インジウム、インジウムチオラート、トリアルキルインジウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
P前駆体としてトリス(トリメチルシリル)ホスフィンを使用した場合、Si元素が半導体ナノ粒子の組成として組み込まれる場合があるが、本発明の作用を害するものではない。
これらの添加剤は半導体ナノ粒子のコア内部に組み込まれてもよいし、コアの表面のみに存在しても良い。
S前駆体としては、例えば、硫化トリオクチルホスフィン、硫化トリブチルホスフィン、チオール類、ビス(トリメチルシリル)スルフィドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Zn前駆体としては、例えば、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛ミリスチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、亜鉛チオラート、ジアルキル亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ハロゲン化物としてはHF、HCl、HBr、HI、塩化オレオイル、塩化オクタノイル等のカルボン酸ハロゲン化物、塩化亜鉛、塩化インジウム、塩化ガリウム等のハロゲン化金属が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ある実施形態では、In前駆体、および必要に応じて分散剤、添加剤を溶媒中に添加した金属前駆体溶液を真空下で混合し、一旦100℃~300℃で6時間~24時間加熱した後、さらにP前駆体を添加して200℃~400℃で1分~60分加熱後冷却することで、半導体ナノ粒子のコア粒子が分散したコア粒子分散液が得られる。
上記のようにして合成されたコア粒子分散液、あるいはハロゲン添加コア粒子分散液に、さらにZn、X、Te元素(但し、XはSe、S、またはその両方)を添加してシェルを形成することにより、青色光の吸光度が高い半導体ナノ粒子を得ることができる。
Zn、Se、S、Te元素は、主にコア粒子の表面付近に存在し、半導体ナノ粒子を外的因子から保護する役割を持っている。なお、これらの元素は主にコア粒子の表面だけでなく、一部は拡散によってコア粒子の内部に移動していてもよい。
上記のようにして得られる半導体ナノ粒子は、さらに精製することができる。例えば、アセトン等の極性転換溶媒を添加することによって前記半導体ナノ粒子を溶液から析出させることができる。半導体ナノ粒子は濾過や遠心分離によって回収することができる。一方、未反応の出発物質および他の不純物を含む上澄みは廃棄または再利用することができる。次いで、回収した半導体ナノ粒子をさらなる溶媒で洗浄し、再び溶解することができる。この精製プロセスは、例えば、2~4回、または所望の純度に到達するまで、繰り返すことができる。他の精製方式としては、例えば、凝集、液液抽出、蒸留、電着、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または限外濾過を挙げることができ、上述の精製方式のいずれかまたは全てを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
ここで使用される界面活性剤は特に限定されることはないが、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、n-ブタノール、ジオクチルソジウムスルホサクシネート等が挙げられる。
無機含有組成物は特に限定はされないがシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が挙げられる。
ある実施形態では、シェルを形成した半導体ナノ粒子を精製後、界面活性剤を含む水溶液を添加し、混合液を混合・攪拌することでミセルを形成する。ミセルの形成は混合液の白濁によって確認できる。ミセルが形成された水相を回収し、これに無機含有組成物を添加し、10℃~30℃で10分~6時間攪拌する。未反応物を除去後、これらを再度精製することで酸化物の最外層を有する半導体ナノ粒子が得られる。
酸化物の最外層を形成する方法としては、上記方法に限定されず、シェル合成時に無機含有組成物を添加する方法や、その他公知の方法が使用される。
ある実施形態では、上記プロセスをバッチプロセスで実施することができる。また、別の実施形態では上記プロセスの少なくとも一部を例えば国際公開第2016/194802号、国際公開第2017/014314号、国際公開第2017/014313号、国際出願番号PCT/JP2017/016494に記載されているような連続フロープロセスで行うことができる。
本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、例えば、適した有機物または溶媒に分散され半導体ナノ粒子分散液として使用することができる。分散液の粘度については限定されない。また、半導体ナノ粒子の分散液はQDフィルムやQDパターニング等の光学部材に使用することができる。
本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、青色光を吸収して白色光に変換するQDフィルムや、青色光を吸収して赤色光または緑色光に変換するQDパターニングのような波長変換層(光学部材)として好ましく用いることができる。
例えば、半導体ナノ粒子のフィルム化工程、又は半導体ナノ粒子含有フォトレジストのベーキング工程、あるいは半導体ナノ粒子のインクジェットパターニング後における溶媒除去および樹脂硬化工程等を経ることによって、QDフィルムやQDパターニングを得ることができる。本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子は、青色光の吸光度が非常に高いため、図1に示す構造のディスプレイのように、厚みが5μm程度と非常に薄いQDパターニングにおいて特に好ましく用いることができる。本発明の実施形態に係る半導体ナノ粒子を用いたQDパターニングは、青色光を十分に吸収することができるため、青色光の透過による混色を抑制することができる。
半導体ナノ粒子の元素分析は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)あるいは蛍光X線分析装置(XRF)を用いて行うことができる。ICP測定では精製した半導体ナノ粒子を硝酸で溶解し加熱後、水に希釈してICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS-8100)を用いて検量線法で測定する。XRF測定は分散液を濾紙に含浸させたものをサンプルホルダに入れ蛍光X線分析装置(リガク製、ZSX100e)を用いて定量分析を行う。
(式): {1-(QYb/QYa)}×100
(1)少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSeTe(但し、Te/(Se+Te)=0.03~0.50である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、半導体ナノ粒子。
(2)前記ZnSeTeに含まれるSeとTeの物質量が、Te/(Se+Te)=0.05~0.50の範囲であり、前記吸光度が1.0以上である、上記(1)に記載の半導体ナノ粒子。
(3)少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSTe(但し、Te/(S+Te)=0.02~0.60である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、半導体ナノ粒子。
(4)前記ZnSTeに含まれるSとTeの物質量が、Te/(S+Te)=0.05~0.60の範囲であり、前記吸光度が1.0以上である、上記(3)に記載の半導体ナノ粒子。
(5)少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSeSTe(但し、Te/(Se+S+Te)=0.05~0.50であり、かつSe>0、S>0)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、半導体ナノ粒子。
(6)前記ZnSeSTeに含まれるSe、SおよびTeの物質量が、Te/(Se+S+Te)=0.10~0.50、かつSe>0、S>0の範囲であり、前記吸光度が1.0以上である、上記(5)に記載の半導体ナノ粒子。
(7)前記半導体ナノ粒子の、前記ZnXTe(但し、前記Xは、Se、S、またはSeおよびSである)からなるシェルの厚みが1.5nm以上である、上記(1)から上記(6)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(8)前記半導体ナノ粒子の、前記ZnXTe(但し、前記Xは、Se、S、またはSeおよびSである)からなるシェルは、前記ZnXTe中のTeの含有率がシェルの外側へ向かって少なくなるように勾配を持つ、上記(1)~上記(7)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(9)前記半導体ナノ粒子の前記シェルが2層以上であり、最外層がZnSである、上記(1)~上記(8)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(10)前記半導体ナノ粒子の前記シェルが2層以上であり、最外層が酸化物である、上記(1)~上記(8)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(11)前記半導体ナノ粒子の蛍光量子効率が70%以上である、上記(1)~上記(10)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(12)前記半導体ナノ粒子の蛍光半値幅が42nm以下である、上記(1)~上記(11)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(13)前記半導体ナノ粒子を大気中で180℃5時間加熱した時、加熱前の蛍光量子効率と加熱後の蛍光量子効率の変化率が10%以下である上記(1)~上記(12)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
(14)前記半導体ナノ粒子のCd含有率が100ppm以下である、上記(1)~上記(13)のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
本開示の主題は、本明細書に開示される種々の方法、システムおよび構成、並びにほかの特徴、機能、行為、および/または性質のあらゆる新規のかつ自明でない組み合わせ及び副次的組み合わせ、並びにそれらのあらゆる均等物を含む。
<コア>
酢酸インジウム(0.3mmol)およびオレイン酸亜鉛(0.6mmol)を、オレイン酸(0.9mmol)と1-ドデカンチオール(0.1mmol)とオクタデセン(10mL)との混合物に加え、真空下(<20Pa)で約120℃に加熱し、1時間反応させた。真空で反応させた混合物を25℃、窒素雰囲気下にして、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(0.2mmol)を加えたのち、約300℃に加熱し、10分間反応させた。反応液を25℃に冷却し、オクタン酸クロリド(0.45mmol)を注入し、約250℃で30分間加熱後、25℃に冷却して、InP系半導体ナノ粒子の分散溶液を得た。得られたInP系半導体ナノ粒子の平均粒径は、2.6nmであった。
上記のようにして得られたInP系半導体ナノ粒子をコアとして使用し、コアの表面にそれぞれ表1に示す構成のシェルを以下のようにして形成してコア/シェル型構造の半導体ナノ粒子を作製した。
シェルの作製にあたって、まずは前駆体の調整を行った。
-Zn前駆体溶液の調整-
40mmolのオレイン酸亜鉛と75mLのオクタデセンを混合し、真空化で110℃にて1時間加熱し、[Zn]=0.4MのZn前駆体溶液を調整した。
-Se前駆体(セレン化トリオクチルホスフィン)の調製-
22mmolのセレン粉末と10mLのトリオクチルホスフィンを窒素中で混合し、全て溶けるまで撹拌して[Se]=2.2Mのセレン化トリオクチルホスフィンを得た。
-S前駆体(硫化トリオクチルホスフィン)の調整-
22mmolの硫黄粉末と10mLのトリオクチルホスフィンを窒素中で混合し、全て溶けるまで撹拌して[S]=2.2Mの硫化トリオクチルホスフィンを得た。
-Te前駆体(テルル化トリオクチルホスフィン)の調整-
3mmolのテルル粉末と10mLのトリオクチルホスフィンを窒素中で混合し、250℃に加熱して全て溶けるまで攪拌して[Te]=0.3Mのテルル化トリオクチルホスフィンを得た。
上記のようにして得られた各前駆体を用いて、次のようにして前記コアの表面にシェルを形成した。
コアの分散溶液を200℃まで加熱した。200℃において0.75mLのZn前駆体溶液、セレン化トリオクチルホスフィンおよび/または硫化トリオクチルホスフィン、およびテルル化トリオクチルホスフィンを同時に添加し、30分間反応させコア(InP系半導体ナノ粒子)の表面にZnSeTeシェル、ZnSTeシェル、またはZnSeSTeシェルを形成した。
なお、各半導体ナノ粒子のシェルにおいて、Te/(Se+Te)、Te/(S+Te)、またはTe/(Se+S+Te)は、表1に示す値となるようにした。表1において、Xは、ZnSeTe、ZnSTe、またはZnSeSTeにおけるSe、S、またはSeおよびSを表す。また、Te/(Se+Te)、Te/(S+Te)、またはTe/(Se+S+Te)が0のときは、Te=0の場合、すなわち前記ZnXTeシェルの形成時にテルル化トリオクチルホスフィンを添加しなかった場合を意味する。
さらに、1.5mLのZn前駆体溶液と0.6mmolの硫化トリオクチルホスフィンを添加し、250℃に昇温して1時間反応させZnSシェルを形成した。
上記のようにして得られたコア/シェル型構造の半導体ナノ粒子が分散した溶液にアセトンを加え、半導体ナノ粒子を凝集させた。遠心分離(4000rpm、10分間)後、上澄みを除去し、半導体ナノ粒子をヘキサンに再分散させた。これを繰り返して、精製された半導体ナノ粒子ヘキサン溶液を得た。
得られた半導体ナノ粒子の平均粒径は、5.8nmであった。
精製した半導体ナノ粒子について、以下のようにして、吸光度、蛍光量子効率、加熱処理前後の蛍光量子効率の変化率、組成を評価した。評価結果を上記表1に示す。
-吸光度-
熱重量分析により、半導体ナノ粒子ヘキサン溶液の無機分濃度を求めた。1℃/minで550℃まで昇温し、10分間保持後の残差を半導体ナノ粒子ヘキサン溶液中のナノ粒子の無機質量とした。この値をもとに、濃度を1g/mLに調整した。この溶液を光路長1cmの光学セルに入れ、可視紫外分光光度計により測定した450nmでの吸光度をOD450とした。
-蛍光量子効率-
光学特性は前述したとおり、量子効率測定システムを用いて測定した。この時、励起光は450nmの単一波長とした。
-加熱処理前後の蛍光量子効率の変化率-
耐熱性は前述した方法で評価した。
-組成-
組成分析は蛍光X線分析装置(XRF)を用いて測定した。
3 液晶
7 QDパターニング(R)
8 QDパターニング(G)
9 拡散層
101 青色LED
102 QDフィルム
103 液晶
104 カラーフィルター(R)
105 カラーフィルター(G)
106 カラーフィルター(B)
Claims (10)
- 少なくともInおよびPを含むコアと、1層以上のシェルと、を有する半導体ナノ粒子であって、
前記シェルの少なくとも1層がZnSTe(但し、Te/(S+Te)=0.02~0.60である)であり、
前記半導体ナノ粒子を分散媒中に分散させて無機質量で1mg/mLの分散液にしたとき、450nmの光に対して光路長1cmでの吸光度が0.9以上である、半導体ナノ粒子。 - 前記ZnSTeに含まれるSとTeの物質量が、Te/(S+Te)=0.05~0.60の範囲であり、前記吸光度が1.0以上である、請求項1に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の、前記ZnSTeからなるシェルの厚みが1.5nm以上である、請求項1または2に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の、前記ZnSTeからなるシェルは、前記ZnSTe中のTeの含有率がシェルの外側へ向かって少なくなるように勾配を持つ請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の前記シェルが2層以上であり、最外層がZnSである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の前記シェルが2層以上であり、最外層が酸化物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の蛍光量子効率が70%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子の蛍光半値幅が42nm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子を大気中で180℃5時間加熱した時、加熱前の蛍光量子効率と加熱後の蛍光量子効率の変化率が10%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
- 前記半導体ナノ粒子のCd含有率が100ppm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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