(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態に係るモータユニット2は、図1に示すように、自転車に取り付けられる電動自転車1用のモータユニット2である。モータユニット2は、図2に示すように、筐体21と、モータ36と、出力体33と、減速機構41と、接触体切替え機構5と、を備える。
モータ36は、少なくとも出力軸39の一部が筐体21の内部に位置する。出力体33は、出力軸39から出力された動力を筐体21の外部に出力する。減速機構41は、筐体21に収まっており、モータ駆動系伝達経路でモータ36の出力の回転速度を減速する。ここで、モータ駆動系伝達経路は、出力軸39から出力体33までの動力伝達経路を意味する。
接触体切替え機構5は、図3に示すように、接触体51を有する。接触体51は、出力体33から出力された力を受けて動く動体、出力体33及び減速機構41のうちのいずれかの所定箇所X1に対して、接触する接触位置と、離れる非接触位置との間で切替えることができる。接触位置は、例えば、図5Bに示す接触体51の位置である。非接触位置は、例えば、図6Bに示す接触体51の位置である。接触体切替え機構5は、接触体51が接触位置に切り替えられると、出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼすように構成されている。
このため、本実施形態に係るモータユニット2によれば、接触体51が接触位置に切り替えられると、出力体33に対して動きを妨げる力が及ぼされるので、モータ36の動力を筐体21から出力することができない。したがって、この態様によれば、接触体51を接触位置に切り替えた状態にしておくと、モータユニット2として通常使用ができなくなる。要するに、本実施形態に係るモータユニット2によれば、モータユニットの動作を機械的に制限することができ、電動自転車1が盗まれるのを抑制する効果が期待できる。
(1.2)詳細
以下、本実施形態に係る電動自転車1及びモータユニット2について詳細に説明する。以下では、特に断りのない限り、走行面100は水平面であるとして説明する。ただし、実際は、走行面100は水平面である必要はなく、水平面に対して傾斜していてもよいし、凹凸のある面であってもよい。本開示では、電動自転車1が進む方向を「前方向」とし、前方向の反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向」という場合がある。また、前後方向に直交し、かつ水平面に沿う互いに反対向きの二方向を「左右方向」として定義する。
ただし、これらの方向の定義は、電動自転車1及びモータユニット2の使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(1.2.1)全体構成
電動自転車1は、モータ36(図2参照)から出力された動力によって、走行面100を走行可能な自転車である。本実施形態では、電動自転車1は、図1に示すように、モータユニット2が取り付けられた自転車であり、モータユニット2を備える電動アシスト自転車である。
本開示でいう「電動アシスト自転車」は、運転者の踏む力(以下、「踏力」という)を、駆動補助出力によって補うモータユニット2を持つ自転車を意味する。したがって、本開示でいう「電動アシスト自転車」は、法規上の電動アシスト自転車だけでなく、法規上は電動アシスト自転車に属しないモータユニット2を持つ自転車も含まれる。
電動自転車1は、本実施形態では、上述のように電動アシスト自転車である。ただし、本開示では、踏力により車輪に動力を与える駆動系(人力駆動系)と、モータ36により車輪に動力を与える駆動系(モータ駆動系)とが独立している自転車(モータ36のみでも走行可能な自転車)であってもよい。要するに、本開示に係る電動自転車1は、電動アシスト自転車であってもよいし、モータ36から出力された動力のみで走行可能な自転車であってもよい。
電動自転車1は、図1に示すように、フロントフォーク6、ハンドル64、複数(ここでは二つ)の車輪65,66、フレーム7、サドル91、一対のクランクアーム92、一対のペダル93、動力伝達体8、バッテリ9及びモータユニット2を備える。本開示でいう「自転車」は、補助駆動出力によるアシストがなくても走行できる車体を意味する。「自転車」は、フロントフォーク6、ハンドル64、複数の車輪65,66、フレーム7、サドル91、一対のクランクアーム92、一対のペダル93及び動力伝達体8で構成される。したがって、電動自転車1は、自転車に対して、少なくともモータユニット2が取り付けられることで構成され、本実施形態では、更にバッテリ9が取り付けられる。
複数の車輪65,66は、フレーム7を走行面100の上に支える部材である。電動自転車1は、複数の車輪65,66として、少なくとも一つの前輪65と、少なくとも一つの後輪66と、を備える。本実施形態に係る電動自転車1は、一つの前輪65と、一つの後輪66と、を備えるが、本開示に係る電動自転車1は、一つの前輪65及び二つの後輪66、あるいは二つの前輪65及び一つの後輪66を備えた三輪自転車であってもよい。また、本開示に係る電動自転車1は、二つの前輪65及び二つの後輪66を備えた四輪自転車であってもよい。本実施形態に係る複数の車輪65,66の各々は、中心にハブ661,651を有する。
フロントフォーク6は、前輪65を支える。フロントフォーク6は、一対のレッグ61と、一対のレッグ61の上端をつなぐクラウン62と、クラウン62から突出するステアリングコラム63と、を備える。一対のレッグ61には、ハブ651に通されたシャフトを介して、前輪65が回転可能に取り付けられている。前輪65の回転軸は、左右方向に対して略平行であり、前輪65を支えるシャフトの中心軸と同じである。ステアリングコラム63の突出方向(長手方向)は、クラウン62から、上方向に行くに従って後方向に行くように延びており、走行面100に対して傾いている。
ハンドル64は、ステアリングコラム63の上端に取り付けられ、フロントフォーク6に対して固定される。ステアリングコラム63は、後述のフレーム7のヘッドパイプ71に通されて、フレーム7に回転可能に取り付けられる。ステアリングコラム63の回転軸は、ステアリングコラム63の長手方向に略平行である。したがって、ハンドル64は、ステアリングコラム63の長手方向に沿う軸を回転軸として、前輪65を回転させることができる。
フレーム7は、複数の車輪65,66、フロントフォーク6、ハンドル64、サドル91、バッテリ9及びモータユニット2が取り付けられる骨組みである。フレーム7は、本実施形態では、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金で構成される。ただし、本開示では、フレーム7は、アルミニウム合金に限らず、例えば、鉄、クロムモリブデン鋼、ハイテンスチール、チタン、マグネシウム等で構成されてもよい。また、本開示に係るフレーム7は、金属に限らず、カーボン、木材、竹、繊維強化合成樹脂(例えば、CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)等で構成されてもよい。
本実施形態に係るフレーム7は、ヘッドパイプ71、上パイプ72、下パイプ74、立パイプ75、複数(ここでは二つ)のシートステー76、複数(ここでは二つ)のチェーンステー77及びブラケット78を備える。本開示でいう「パイプ」とは、細長くて中空な部材を意味する。本開示に係るパイプの断面形状は、例えば、円形状(正円、長円及び楕円を含む)、長方形状(正方形を含む)、六角形状、八角形状等であってもよい。
ヘッドパイプ71は、フロントフォーク6を支えるパイプである。ヘッドパイプ71の中心軸は、上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。ヘッドパイプ71には、ヘッドパイプ71の中心軸とステアリングコラム63の中心軸とが沿うように、ステアリングコラム63が通される。これによって、ヘッドパイプ71は、ステアリングコラム63を回転可能に支える。ステアリングコラム63の回転軸は、本実施形態では、ヘッドパイプ71の中心軸と同じである。
上パイプ72は、ヘッドパイプ71と立パイプ75とをつなぐ。上パイプ72の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。上パイプ72の長手方向の後端は、立パイプ75に接続されている。上パイプ72の長手方向は、本実施形態では、後方向に行くに従って下方向に行くように、走行面100に対して傾いている。ただし、本開示では、上パイプ72は走行面100に対して傾いていなくてもよい。また、本開示に係る電動自転車1は、上パイプ72を備えなくてもよい。
本実施形態に係る電動自転車1は、立パイプ75と上パイプ72との接続部分を補強するための補強パイプ73を備える。補強パイプ73は、立パイプ75と上パイプ72とをつなぐ。なお、本開示では、電動自転車1は補強パイプ73を備えなくてもよい。
立パイプ75は、サドル91を保持する。立パイプ75の長手方向の下端は、ブラケット78に接続されている。立パイプ75の中心軸は、下端から上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。立パイプ75の中間部分には、上パイプ72の長手方向の後端が接続されている。ここでいう「立パイプ75の中間部分」とは、立パイプ75の長手方向のうちの下端と上端とを除く部分を意味する。ただし、本開示では、立パイプ75の上端に対して、上パイプ72が接続されてもよい。
立パイプ75には、立パイプ75の中心軸に沿うようにして、シートピラー910が通されている。ここで、シートピラー910は、サドル91に含まれる。シートピラー910は、サドル91において運転者が座る部分から下側に突出している。シートピラー910は、本実施形態では、下方向に行くに従って前方向に行くように、走行面100に対して傾斜している。シートピラー910は、立パイプ75に対し、立パイプ75の中心軸に沿って移動可能に取り付けられている。
下パイプ74は、ブラケット78とヘッドパイプ71とをつなぐ。下パイプ74の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。下パイプ74の長手方向の後端は、ブラケット78に接続されている。下パイプ74の中心軸は、長手方向の後端から前方向に行くに従って上方向に行くように水平面に対して傾いている。本実施形態では、下パイプ74には、バッテリ9が取外し可能に取り付けられている。
複数のチェーンステー77は、後輪66のシャフトを支える。チェーンステー77の長手方向の前端は、ブラケット78に接続されている。チェーンステー77の長手方向の後端は、シートステー76の後端に接続されている。一対のチェーンステー77は、左右方向に離れており、一対のチェーンステー77の後端部には、ハブ661に通されたシャフトを介して、後輪66が回転可能に取り付けられている。後輪66の回転軸は、左右方向に対して略平行であり、後輪66を支えるシャフトの中心軸と同じである。
本実施形態に係る後輪66は、ハブ661と同心状で、かつハブ661に対して一体的に取り付けられたリアスプロケット662を備える。リアスプロケット662は、後述のモータユニット2の駆動スプロケット35に対し、動力伝達体8を介して、連結されている。したがって、後輪66は、モータユニット2からの出力によって、シャフトの周囲を回転する。
複数のシートステー76は、チェーンステー77と立パイプ75とをつなぐ。本実施形態では、シートステー76の長手方向の後端は、チェーンステー77の長手方向の後端に接続されている。シートステー76の長手方向の前端は、立パイプ75の中間部分に接続されている。本実施形態に係る一対のシートステー76は、上パイプ72から分岐しており、上パイプ72と一体である。ただし、シートステー76と上パイプ72とは別体であってもよい。
ブラケット78は、モータユニット2が取り付けられる部分である。ブラケット78は、本実施形態では、側面443視略C字状に形成されており、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端が接続されている。これによって、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端は、互いに固定されている。
バッテリ9は、モータユニット2に対して電力を供給する。また、本実施形態では、バッテリ9は、モータ36に加えて、例えば、ヘッドライト、モータ36のON/OFFの操作部等に電力を供給する。バッテリ9は、本実施形態では、下パイプ74に対して取外し可能に取り付けられているが、本開示では、立パイプ75の後方において、立パイプ75に沿って配置されてもよい。
モータユニット2は、回転動力を出力可能な装置である。モータユニット2は、本実施形態では、人力駆動力である踏力に駆動補助出力を加えた回転動力を、動力伝達体8を介して、後輪66に伝達する。モータユニット2は、本実施形態では、一軸式のモータユニットである。ただし、本開示では、モータユニット2は、後述の変形例2~5に示すように、二軸式のモータユニットであってもよいし、変形例6に示すように、フロントハブユニット方式のモータユニット(いわゆるハブモータ)であってもよい。本実施形態に係るモータユニット2の詳細については、後述の「(1.2.2)モータユニット」で説明する。
モータユニット2のクランク軸28には、一対のクランクアーム92が取り付けられている。クランクアーム92の長手方向は、クランク軸28の回転軸に対して交差する(ここでは、直交する)。一対のクランクアーム92は、クランク軸28の回転軸方向に見て一直線上に並ぶ。
ペダル93は、各クランクアーム92の長手方向の端部のうち、クランク軸28側とは反対側の端部に取り付けられている。ペダル93は、クランクアーム92に対して、回転可能に取り付けられている。ペダル93の回転軸は、クランク軸28の回転軸に対して略平行である。
動力伝達体8は、モータユニット2から出力された回転動力を、複数の車輪65,66のうちの少なくとも一つに伝達する。動力伝達体8は、本実施形態では、モータユニット2の駆動スプロケット35と後輪66のリアスプロケット662との間で動力伝達可能に架けられるチェーンである。ただし、本開示では、動力伝達体8は、例えば、ベルト、シャフト、ワイヤ、ギヤ等であってもよい。
(1.2.2)モータユニット
モータユニット2は、上述の通り、回転動力を出力可能な装置である。モータユニット2では、運転者がペダル93を漕ぎ、クランクアーム92を介して、踏力(人力駆動力)がクランク軸28に入力されると、クランク軸28が回転する。本実施形態に係るモータユニット2では、クランク軸28が踏力を受けて回転すると、クランク軸28の回転速度及びクランク軸28に生じるトルクを検出し、モータ36がその検出結果に応じた駆動補助出力を発生させる。モータユニット2は、図2に示すように、筐体21、クランク軸28、回転体29、出力体33、モータ36、減速機構41、制御基板45、駆動スプロケット35及び接触体切替え機構5を備える。本実施形態に係るモータユニット2では、クランク軸28に入力された踏力が出力体33に伝わる。このクランク軸28から出力体33までの動力伝達経路を、「人力駆動系伝達経路」という。また、モータ36の補助駆動出力は出力体33に伝わる。このモータ36の出力軸39から出力体33までの動力伝達経路を、「モータ駆動系伝達経路」という。
(1.2.2.1)筐体
筐体21は、回転体29、減速機構41及び制御基板45を収める中空体である。筐体21は、本実施形態では、金属製である。筐体21を形成する金属としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、スチール等が挙げられる。ただし、本開示では、筐体21は、金属に限らず、カーボン、木材、竹、繊維強化合成樹脂(例えば、CFRP)等で構成されてもよい。筐体21は、例えば、鋳造で形成され、詳しくは、ダイカストによって形成される。筐体21は、第一分割体22と、第二分割体23と、を備える。第一分割体22と第二分割体23とは左右方向に並んでいる。
第一分割体22は、右側(第二分割体23側)に開口面を有する有底筒状に形成されている。第一分割体22は、第一側壁221と、第一側壁221の周縁から右方向に突出した第一周壁225と、を有する。第一側壁221は、筐体21の外側(左方向)を向く第一面222と、筐体21の内側を向く第二面223と、有する。第一側壁221の第一面222には、モータ36が取り付けられる。
第一周壁225は第一合わせ面226を有する。第一合わせ面226は、本実施形態では、鉛直な平面上に位置する。第一合わせ面226は、本実施形態では、右方向に向いている。要するに、第一合わせ面226は、第二分割体23側に向く。
第二分割体23は、左側(第一分割体22側)に開口面を有する有底筒状に形成されている。第二分割体23は、第二側壁231と、第二側壁231の周縁から左方向に突出した第二周壁235と、を有する。第二側壁231は、筐体21の外側(右方向)を向く第一面232と、筐体21の内側を向く第二面233と、を有する。
第二周壁235は第二合わせ面236を有する。第二合わせ面236は、本実施形態では、鉛直な平面上に位置する。第二合わせ面236は、本実施形態では、左方向に向いている。要するに、第二合わせ面236は、第一分割体22側に向く。
第一分割体22と第二分割体23とは、第一合わせ面226と第二合わせ面236とが対向し、第一合わせ面226と第二合わせ面236との間に、シール(不図示)を挟んだ状態で、固着具(例えば、ボルト)で、互いに固定されている。
本開示でいう「シール」は、例えば、ガスケット、パッキン、ラビリンスシール等が挙げられる。ガスケットとしては、例えば、軟質ガスケット、金属ガスケット等が例示される。パッキンとしては、例えば、スクイーズパッキン(Oリング、Xリング、Tリング等)、スクイーズパッキン、リップパッキン、オイルシール、メカニカルシール、グランドパッキン等が挙げられる。実際には、静止面に用いられるシールと、運動面に用いられるシールとで、適宜使い分けられるが、本開示では、静止面に用いられるシールと、運動面に用いられるシールとをいずれも「シール」と表現する。
(1.2.2.2)クランク軸
クランク軸28は、外力である人力(踏力)を受けて、回転する軸である。クランク軸28の回転軸は、左右方向に略平行であり、クランク軸28の中心軸と同じである。クランク軸28は、第一側壁221に形成された孔224と、第二側壁231に形成された孔234とに通され、筐体21を左右方向に貫通する。
クランク軸28は、図3に示すように、第一分割体22に取り付けられた軸受け46aと、回転体29の内周面とクランク軸28との間に設けられた軸受け46bとで、筐体21に対して、回転可能に取り付けられている。
本開示でいう「軸受け」は、例えば、転がり軸受、すべり軸受、流体軸受等が挙げられる。転がり軸受としては、玉軸受、ころ軸受等が例示される。軸受けは、支持対象となる回転物の形状、用途、運動特性等によって適宜使い分けられる。クランク軸28を支える軸受け46a,46bは、本実施形態では、いずれも、転がり軸受である。
クランク軸28は、図3に示すように、長手方向の両端部が、筐体21から突出する。クランク軸28の両端部の各々には、クランクアーム92が取り付けられている。クランクアーム92は、クランク軸28に対して固定されており、運転者がペダル93を漕ぐと、クランク軸28に回転動力を伝達する。
(1.2.2.3)回転体
回転体29は、クランク軸28の回転動力を、出力体33に伝達する。回転体29は、図3に示すように、クランク軸28と同心状に配置され、クランク軸28と一緒に回転する。回転体29の回転軸は、クランク軸28の回転軸と同じである。回転体29は、伝達部材30と、人力駆動系ワンウェイクラッチ31と、トルクセンサ32と、を備える。
トルクセンサ32は、クランク軸28のトルクを検出する。トルクセンサ32は、本実施形態では、磁歪式のトルクセンサである。トルクセンサ32は、伝達部材30のうちの第一部材301の外周に沿って取り付けられる。トルクセンサ32は、本実施形態では、第一部材301のトルクを検出することをもって、クランク軸28のトルクを検出する。なお、トルクセンサ32としては、例えば、遊星歯車機構とポテンショメータとを用いてクランク軸28のトルクを検出するように構成されてもよい。その他、歪検知センサを用いてクランク軸28のトルクを検出するように構成されてもよい。
伝達部材30は、筒状に形成されており、伝達部材30の中心軸に沿ってクランク軸28が通されている。伝達部材30と出力体33とは、クランク軸28の軸方向に並んでおり、伝達部材30と出力体33との間に人力駆動系ワンウェイクラッチ31が取り付けられている。伝達部材30は、クランク軸28に対して結合されており、クランク軸28の回転動力は、伝達部材30、人力駆動系ワンウェイクラッチ31及び出力体33の順に伝達する。伝達部材30は、第一部材301と、第二部材303と、で構成されている。第一部材301の内周面と、クランク軸28の外周面とは、結合されている。第一部材301とクランク軸28との結合は、例えば、スプライン結合、キー溝とキーとによる結合、クサビによる結合、嵌め合いによる結合、ねじによる結合等により実現される。
本開示でいう「スプライン結合」には、例えば、角形スプライン、インボリュートスプライン、ボールスプライン、三角山セレーション、インボリュートセレーション等による結合が含まれる。
第二部材303は、クランク軸28の軸方向において、第一部材301に並ぶ。第二部材303は、嵌合部304を有する。本実施形態に係る嵌合部304は、第二部材303における左側の端部の内周面に形成されている。第一部材301は、被嵌合部302を有している。本実施形態に係る被嵌合部302は、第一部材301における右側の端部の外周面に形成されている。嵌合部304と被嵌合部302とは、互いに結合されている。嵌合部304と被嵌合部302との結合は、スプライン結合である。ただし、第一部材301と第二部材303とは、スプライン結合に限らず、例えば、キー溝とキーとによる結合、クサビによる結合、嵌め合いによる結合、ねじによる結合等であってもよい。これにより、第二部材303は、第一部材301と共に回転する。
人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、第二部材303と出力体33との間に配置される。ここで、出力体33の左側の端部は、第二部材303の右側の端部に対して、クランク軸28の軸方向に直交する方向(ラジアル方向)における外側に位置する。人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、出力体33の左側の端部と、第二部材303の右側の端部との間に配置されている。
人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、例えば、ラチェット式のワンウェイクラッチである。人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、出力体33の一方向の回転時において、第二部材303から出力体33への回転動力の伝達のみを許容する。ここでいう「一方向」は、電動自転車1を前方向に動かすときの出力体33の回転方向のことである。出力体33の回転軸は、本実施形態では、クランク軸28の回転軸と同じである。
具体的に、人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、電動自転車1が前方向に進む際に、第二部材303の回転速度が、出力体33の回転速度よりも速いときに、第二部材303から出力体33に対して回転動力を伝達する。一方、人力駆動系ワンウェイクラッチ31は、電動自転車1が前方向に進む際に、第二部材303の回転速度が、出力体33の回転速度よりも遅いときに、出力体33から第二部材303に対して回転動力を伝達しない。
これにより、モータ36(図2参照)から出力された回転動力で出力体33が回転するときに、運転者がペダル93(図1参照)を漕ぐことを止めたとしても、出力体33の回転によって、クランク軸28が回転し続けることを抑えることができる。
(1.2.2.4)出力体
出力体33は、モータ36の出力軸39から出力された動力(つまり駆動補助出力)を筐体21の外部に出力する。本実施形態に係るモータユニット2は、上述の通り一軸式のモータユニット2であるから、出力体33には、モータ36から出力された駆動補助出力に加え、クランク軸28に入力された踏力による回転動力も伝達される。したがって、本実施形態に係るモータユニット2では、出力体33は、モータ36から出力された駆動補助出力と、クランク軸28に入力された回転動力と、を合わせた合力である回転動力を、筐体21の外部に出力する。
出力体33の左側の端部は、上述の通り、第二部材303に対して、クランク軸28のラジアル方向の外側に位置している。出力体33の左側の端部は、図2に示すように、後述の減速機構41の歯車部422にかみ合う出力体歯部331を有する。出力体33の右側の端部は、第二分割体23の第二側壁231を貫通し、第二分割体23の第二側壁231から右方向に突出する。出力体33の右側の端部には、駆動スプロケット35が取り付けられている。駆動スプロケット35は、出力体33に対して、固定されている。
運転者がペダル93を漕ぐことでクランク軸28に入力された踏力(外力)は、クランク軸28を回転させ、第一部材301、第二部材303、人力駆動系ワンウェイクラッチ31及び出力体33の順に伝わり、駆動スプロケット35を回転させる。駆動スプロケット35の回転軸は、クランク軸28の回転軸と同じである。
(1.2.2.5)モータ
モータ36は、回転動力を出力可能な電動機である。本実施形態に係るモータ36は、筐体21に取り付けられている。モータ36は、本実施形態では、筐体21の第一分割体22の第一側壁221の第一面222に取り付けられているが、本開示では、モータ36は、第一分割体22の第二面223に取り付けられてもよい。要するに、モータ36は、筐体21の内部に収まるように取り付けられてもよい。モータ36は、ステータ37、ロータ38及び出力軸39を有している。
出力軸39の中心軸は、左右方向に沿っている。出力軸39の回転軸は、出力軸39の中心軸と同じであり、クランク軸28の回転軸と略平行である。出力軸39は、第一分割体22に取り付けられた軸受け46eと、第二分割体23に取り付けられた軸受け46fとで、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。出力軸39は、ロータ38に対して、左右方向に貫通した状態で固定されている。
ロータ38は、ステータ37の内周面に沿って回転する。ロータ38の回転軸は、出力軸39の回転軸と同じである。ロータ38の周囲には、ステータ37が配置されている。
ステータ37は、ロータ38を回転させる。ステータ37は、モータカップ40に対して取り付けられ、モータカップ40に対して固定されている。ステータ37としては、例えば、分布巻ステータ、集中巻ステータ、誘導子型ステータ、永久磁石型ステータ等が挙げられる。
モータ36は、出力軸39の一部が筐体21の内部に位置する。出力軸39のうち、筐体21の内部に位置する部分(ここでは、ロータ38から突出した部分)には、複数の歯を有する歯部391が形成されている。出力軸39の歯部391の歯すじの長手方向は、本実施形態では、出力軸39の回転軸に略平行である。ただし、本開示では、出力軸39の歯部391の歯すじは、出力軸39の回転軸に対して傾いていてもよい。また、本開示に係るモータ36は、筐体21に収まっていてもよく、この場合、出力軸39の全部が筐体21の内部に位置する。
(1.2.2.6)減速機構
減速機構41は、筐体21の内部に収まる。減速機構41は、モータ36の出力軸39から出力された補助駆動出力について、回転速度を遅くした上で、出力体33に伝達する。減速機構41は、本実施形態では、減速歯車44、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43及び伝達軸42を有する。
減速歯車44は、モータ駆動系伝達経路の間で、モータ36の補助駆動出力の回転速度を減速する。減速歯車44は、出力軸39の歯部391に対してかみ合っている。減速歯車44は、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43を介して、伝達軸42に取り付けられている。伝達軸42は、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。このため、減速歯車44は筐体21に対して回転可能に取り付けられている。減速歯車44の回転軸は、左右方向に略平行であり、伝達軸42の中心軸と同じである。減速歯車44の回転軸は、本実施形態では、出力軸39の回転軸及びクランク軸28の回転軸に略平行である。減速歯車44は、歯部442を有している。歯部442は、減速歯車44の外周面に形成されている。歯部442の歯すじは、減速歯車44の回転軸に略平行であり、歯部442は、出力軸39の歯部391とかみ合っている。これにより、減速歯車44は、出力軸39の回転動力によって回転する。減速歯車44の歯部442の歯数は、出力体歯部331の歯数よりも多い。
本実施形態では、減速歯車44は平歯車(スパーギア)であるが、本開示に係る減速歯車44は、出力軸39の歯部391の歯すじが出力軸39の回転軸に対して傾いている場合、はすば歯車(ヘリカルギア)であってもよい。
伝達軸42は、減速歯車44を支える軸である。伝達軸42は、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。伝達軸42の回転軸は、左右方向に略平行であり、伝達軸42の中心軸と同じである。伝達軸42は、第一分割体22に取り付けられた軸受け46cと、第二分割体23に取り付けられた軸受け46dとで、支えられている。
伝達軸42は、歯車取付け部421と、歯車部422と、を備える。歯車取付け部421は、その外周に減速歯車44が取り付けられる部分である。歯車部422は、出力体歯部331にかみ合う複数の歯を有する。伝達軸42の回転動力は、歯車部422から出力体33に伝達される。
本実施形態では、歯車部422は、伝達軸42の外周部に形成されたが、本開示では、伝達軸42の外周面に歯車が取り付けられることで形成されてもよい。
歯車部422は、出力体歯部331とかみ合っている。これにより、歯車部422の回転動力は、出力体33に伝達する。歯車部422の歯数は、減速歯車の歯部442の歯数に対して、同じでもよいし、少なくてもよい。
モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、モータ駆動系伝達経路において、モータ36と出力体33との間に設けられている。本実施形態では、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、伝達軸42と減速歯車44との間に配置されている。モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、例えば、ラチェット式のワンウェイクラッチである。モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、出力体33の一方向の回転時において、減速歯車44から伝達軸42への回転動力の伝達のみを許容する。ここでいう「一方向」は、電動自転車1を前方向に動かすときの出力体33の回転方向のことである。
具体的に、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、電動自転車1が前方向に進む際に、減速歯車44の回転速度が、伝達軸42の回転速度よりも速いときに、減速歯車44から伝達軸42に対して回転動力を伝達する。一方、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、電動自転車1が前方向に進む際に、減速歯車44の回転速度が、伝達軸42の回転速度よりも遅いときに、減速歯車44から伝達軸42に対して回転動力を伝達しない(動力の伝達を遮断する)。
これにより、例えば、モータ36が停止し、かつ運転者がペダル93(図1参照)を漕いだときに、クランク軸28から出力軸39及びロータ38まで回転動力が伝達しない。したがって、本実施形態では、伝達軸42からロータ38まで回転動力が伝達する場合と比較して、ペダル93を漕ぐ力が少なくてよく、車輪65,66を回転するために必要な踏力を抑制することができる。
減速歯車44の回転動力がモータ駆動系ワンウェイクラッチ43を伝って伝達軸42に伝達するとき、出力軸39から出力された回転動力は、減速歯車44、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43及び伝達軸42を伝って出力体33に伝達する。したがって、運転者がペダル93(図1参照)を漕ぎ、かつモータ36が作動している状態では、踏力によって回転する第二部材303の回転動力と、モータ36によって回転する伝達軸42の回転動力とを合わせた力(合力)によって、出力体33が回転する。この出力体33の回転動力は、図1に示すように、動力伝達体8を介して車輪に伝達し、電動自転車1を移動させる。
(1.2.2.7)制御基板
制御基板45は、モータ36を制御する制御部を有する。制御基板45は、本実施形態では、プリント基板である。制御基板45の厚み方向は、左右方向と略平行である。制御基板45は、筐体21の第一合わせ面226及び第二合わせ面236よりも、左側に位置している。
制御部は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。すなわち、マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、制御部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部には、バッテリ9(図1参照)が電気的に接続されており、バッテリ9から電力が供給される。制御部には、ステータ37が電気的に接続されている。
(1.2.2.8)駆動スプロケット
駆動スプロケット35は、出力体33に取り付けられており、出力体33から伝達した回転動力で回転する。駆動スプロケット35は、本実施形態では、後輪66のリアスプロケット662に対して、動力伝達体8を介して、動力を伝達可能に連結されている。駆動スプロケット35は、本実施形態では、出力体33において筐体21から突出した部分(出力体33の右側の端部)に結合されている。駆動スプロケット35と出力体33との結合は、例えば、スプライン結合、キー溝とキーとによる結合、クサビによる結合、嵌め合いによる結合、ねじによる結合等により実現される。
本実施形態では、出力体33の右側の端部が筐体21から突出しており、出力体33によって、モータ36から出力された動力を筐体21の外部に出力している。ただし、本開示では、本実施形態でいう出力体33の右側の端部が筐体21の内部に位置していてもよく、駆動スプロケット35によって、モータ36から出力された動力を筐体21の外部に出力してもよい。この場合、筐体21から非突出の出力体と駆動スプロケット35とで、本開示でいう「出力体」を構成する。
(1.2.2.9)接触体切替え機構
接触体切替え機構5は、電動自転車1における出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼす機構である。本開示でいう「動きを妨げる力」とは、対象物の動きに対して抵抗となる力を意味する。したがって、本開示でいう「動きを妨げる力」には、運動中の対象物に対して与えられる力、及び静止中の対象物に対して与えられる力を含む。また、ここでいう「動きを妨げる」ことには、例えば、対象物に制動力を加えること、対象物の運動の範囲を制限すること、対象物を静止した状態に留めること等が含まれる。したがって、本開示でいう「動きを妨げる力を及ぼす」には、例えば、移動している対象物に対して動きを妨げる力を加えること、静止状態の対象物をその状態に留めるようにロックすること等を含む。
接触体切替え機構5は、減速機構41、出力体33及び出力体33から出力された力を受けて動く動体のうちのいずれかの所定箇所X1に対して、接触体51を接触させ、これによって、出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼす。本実施形態に係る接触体切替え機構5は、図3に示すように、出力体33の所定箇所X1に対して接触体51を接触させる。本実施形態に係る「所定箇所X1」は、出力体33に含まれており、詳しくは、出力体33の回転軸周りの径方向(ラジアル方向)に沿って延びる複数のリブ332である。ただし、本開示でいう「所定箇所X1」は、減速歯車44であってもよく、減速歯車44の歯(歯部442)とは異なる箇所にあってもよい。減速歯車44の歯部442では、出力体33の回転数やトルクを目的の値とするために、歯数及びモジュールが決められている。このため、減速歯車44の歯部442に接触体51を接触させて出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼそうとする場合、歯の数やモジュールを保ちながら、接触体51の設計が必要となり、強度設計に制約が生ずる。これに対し、減速歯車44の歯とは異なる箇所に、接触体51を接触させるように構成すると、減速歯車44の歯の設計に影響を受けることなく、接触体51の強度等を確保した設計をし易い。要するに、接触体切替え機構5の設計上の自由度を向上することができる。
本開示でいう「所定箇所X1」は、伝達軸42などの減速機構減41のいずれかであってもよく、モータ36のロータ38であってもよく、後述の変形例でも説明するように、出力体33から出力された力を受けて動く動体にあってもよい。
接触体切替え機構5は、接触位置と非接触位置との間で移動可能な接触体51と、接触体51の位置を切り替える切替え部材54と、切替え部材54を駆動する切替えモータ55と、弾性体56と、を備える。ここで、本開示でいう「接触位置」とは、例えば、図5Bに示すような、所定箇所X1に接触する接触体51の位置を意味する。「非接触位置」とは、例えば、図6Bに示すような、所定箇所X1から離れた接触体51の位置を意味する。したがって、接触体51が非接触位置にあると、接触体切替え機構5は所定箇所X1に対して、動きを妨げる力を及ぼさない。接触体51が接触位置にあると、接触体切替え機構5は所定箇所X1に対して、動きを妨げる力を及ぼす。なお、「接触位置」は、所定箇所X1に対して接触体51が常時接触している必要はなく、所定箇所X1が移動して初めて接触する位置も含む。
図5A,図6Aには、接触体切替え機構5の断面図を示す。図5A,図6Aの断面図は、クランク軸28の中心軸に直交する平面で切ったと仮定した図である。
切替えモータ55は、切替え部材54を駆動する。切替えモータ55は、バッテリ9から電力が供給されることで作動する。切替えモータ55は、正逆回転可能に形成されている。切替えモータ55は、出力軸553に取り付けられたピニオンギア551を備える。ピニオンギア551は、切替え部材54の外周部に形成された外周歯543にかみ合っている。切替えモータ55から出力された回転動力は、切替え部材54を駆動する。
切替え部材54は、接触体51を接触位置と非接触位置とに切り替える部材である。切替え部材54は、本実施形態では、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。切替え部材54の回転軸は、左右方向に略平行であり、クランク軸28の中心軸と同じである。切替え部材54は、切替えモータ55からの回転動力を受けて回転する。
本実施形態に係る切替え部材54は、リング状に形成されている。切替え部材54は、複数のガイド穴541と、外周歯543と、複数(ここでは三つ)の突起544と、を備える。
複数のガイド穴541は、切替え部材54を回転軸に沿った方向(ここでは左右方向)に貫通する。複数のガイド穴541は、円弧状であり、切替え部材54の回転軸を中心とする円に沿って形成されている。各ガイド穴541には、図7に示すように、抜止め部材542が挿し入れられている。抜止め部材542は、筐体21の内面に固定されており、切替え部材54の回転軸周りの移動を許容するが、回転軸に沿った移動を制限する。これによって、切替え部材54は、筐体21に対し、回転軸に沿う方向に移動が制限され、かつ回転軸周りに一定の範囲で回転可能に取り付けられている。
突起544は、図5Aに示すように、切替え部材54の内周面から中心に向かって突出しており、接触体51に当たる部分である。突起544は、回転軸に沿った方向に見て、接触体51の傾斜部53に重なっている。複数の突起544は、切替え部材54の回転軸周りの周方向に沿って、間隔をおいて形成されている。
外周歯543は、切替えモータ55のピニオンギア551にかみ合っている。外周歯543は、本実施形態では、切替え部材54の外周部に形成されている。したがって、切替えモータ55が作動し、ピニオンギア551が回転すると、切替え部材54が回転し、切替え部材54の回転に伴って突起544が回転軸周りに回転する。
接触体51は、接触位置と非接触位置との間で移動可能な部材である。接触体51は、本実施形態では、切替え部材54によって、接触位置又は非接触位置に切り替えられる。接触体51は、本実施形態では、出力体33の回転軸(切替え部材54の回転軸)に沿う方向に移動可能である。出力体33の回転軸に沿う方向の移動範囲のうち、出力体33に近付く側の端部が接触位置であり、出力体33から離れる側の端部が非接触位置である。接触体51は、複数の接触部521を持つ接触体本体52と、傾斜部53と、を備える。
接触体本体52は、接触体51の主体をなす部分である。接触体本体52は、本実施形態では、クランク軸28の回転軸に沿う方向に見て、リング状に形成されている。接触体本体52は、筐体21に形成されたボス24と同心で配置される。ここで、ボス24は、筒状であり、筐体21の内面からクランク軸28の回転軸に沿う方向(つまり、左右方向)に突出している。ボス24の外径は、接触体本体52の内径よりも小さい。ボス24の外周面には、クランク軸28の回転軸に沿う方向に延びた複数の凸条241が形成されている。凸条241は、接触体本体52に形成されたガイド溝522に入り込んでいる。凸条241によって、接触体本体52は、クランク軸28の回転軸周りの回転が制限され、かつクランク軸28の回転軸に沿った移動が許容される。
接触部521は、図5Bに示すように、所定箇所X1に対して接触可能な部分である。本実施形態では、接触位置にある接触部521は、所定箇所X1としての出力体33のリブ332に対し、出力体33の回転軸(ここでは、クランク軸28の回転軸)の周りに並ぶ。言い換えると、接触部521は、所定箇所X1としての出力体33のリブ332に対して、出力体33の回転方向において対向する面を有する。したがって、出力体33のリブ332の移動は、接触位置にある接触部521によって、一定の範囲に制限される。要するに、接触部521は、出力体33に対して、動きを妨げる力を及ぼす。
接触部521は、図4Aに示すように、接触体本体52の他の部分よりもクランク軸28の回転軸方向に沿って突出している。
傾斜部53は、接触体本体52の移動方向(クランク軸28の回転軸に沿う方向)に直交する平面に対して傾斜する傾斜面531を持つ部分である。傾斜面531は、切替え部材54の一部に対向する。
接触体51と筐体21との間には、弾性体56(図5B)が配置される。弾性体56は、接触体51に対し、クランク軸28の回転軸方向(左右方向)のうちの内側(ここでは出力体歯部331側)に力を加える。弾性体56は、本実施形態では、ねじりコイルばねであるが、例えば、ゴム、板ばね等であってもよい。
図4A,4Bに示すように、切替え部材54が一方向に回転すると、切替え部材54は、傾斜面531に沿って移動し、弾性体56の弾性力に抵抗しながら、接触体51を非接触位置に向かって押し込み、接触体51を非接触位置に切り替える。他方、切替え部材54が他方向に回転すると、切替え部材54は、傾斜面531に沿って移動する。すると、接触体51は、弾性体56の弾性力によって、接触位置に移動する。
このように、本実施形態に係る接触体切替え機構5は、出力体33に含まれる所定箇所X1に対して動き(回転移動)を妨げる力を及ぼすことができる。所定箇所X1は、モータ駆動系伝達経路において、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43よりも出力体33側に位置している。また、所定箇所X1は、人力駆動系伝達経路において人力駆動系ワンウェイクラッチ31よりも出力体33側に位置している。
このため、ブラケット78からモータユニット2が取り外された状態でも、出力体33に対し、回転方向の両方向の回転移動を妨げる力を機械的に及ぼすことができるため、例えば、モータユニット2が盗用されても、モータユニット2として通常の使用ができない。その結果、電動自転車1の盗用に対する抑止力が向上する。本実施形態では、モータ駆動系伝達経路と人力駆動系伝達経路との両方に、所定箇所X1があるが、所定箇所X1は、いずれか一方の伝達経路のみにあってもよい。
なお、本開示では、モータ駆動系伝達経路と人力駆動系伝達経路とのいずれにおいても、所定箇所X1は、ワンウェイクラッチ31,43に対して、出力体33側とは反対側に位置してもよい。出力体33は、少なくとも一方に回転するが、モータ36の駆動補助出力が伝達しないため、モータユニット2として通常の使用ができない。したがって、この態様であっても、電動自転車1の盗用に対する抑止力を期待できる。
ところで、電動自転車1にモータユニット2が取り付けられた状態では、接触体切替え機構5により前進方向への移動は妨げられるが、後退方向へは、後輪66のハブ661に内蔵されたフリーホイールによって、移動することができる。しかし、前進方向への移動は妨げられるため、電動自転車1の盗難に対する抑止効果は十分に期待できる。
また、本実施形態では、接触位置にある接触体51は、出力体33の回転を完全に止める(いわゆる、ロック)のではなく、一定の力が掛かると回転するように構成されている。すなわち、本実施形態では、弾性体56によって動きを妨げる力が設定されているが、弾性体56による力を超える力が接触体51に掛かると、出力体33のリブ332が接触体51を乗り越え、出力体33が回転する。このため、万が一、走行中に接触体切替え機構5が作動し、接触体51が接触位置に切り替えられても、出力体33が完全に止まってしまうのを防ぐことができる。
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(2.1)変形例1
上記実施形態に係る接触体切替え機構5は、筐体21の内部の所定箇所X1に対して、接触体51を接触させる機構であったが、本変形例では、筐体21の外部の所定箇所X1に対して、接触体51を接触させることができる。図8に示すように、本変形例では、所定箇所X1が、出力体33から出力された力を受けて動く駆動スプロケット35に含まれる。本変形例では、接触体切替え機構5によって、駆動スプロケット35に対し、動き(ここでは、回転)を妨げる力を及ぼすことができる。
本開示では、出力体33から出力された力を受けて動く部材を「動体」という。動体としては、例えば、駆動スプロケット35、スプロケット本体351、取付け部材352、動力伝達体8等が挙げられる。また、後述の二軸式のモータユニット2aでは、動体として、例えば、駆動体34(図11)、動力伝達体8、テンショナ等が挙げられる。
駆動スプロケット35は、本変形例では、スプロケット本体351と、所定箇所X1を含む取付け部材352と、を備える。
スプロケット本体351は、駆動スプロケット35の主体を構成する。スプロケット本体351は、車輪65,66に動力を伝達するための動力伝達体8(図1参照)が取り付けられる。本実施形態に係るスプロケット本体351は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等で構成されている。スプロケット本体351は、円盤部351aと、円盤部351aの中央部から左右方向の一方に突出した筒状取付け部351bと、を備える。円盤部351aの外周部には、動力伝達体8が掛けられる。筒状取付け部351bは、出力体33の右側の端部に取り付けられる。
取付け部材352は、スプロケット本体351に対して固定される。取付け部材352は、本実施形態では、スプロケット本体351よりも硬い素材で構成されており、例えば、クロム鋼鋼材、ニッケルクロム鋼、炭素鋼等の素材、アルミニウム合金に対し焼入れ等の熱処理を施した素材等で構成される。取付け部材352は、本実施形態では、筒状取付け部351bに対して結合される固定部352aと、固定部352aから駆動スプロケット35の回転軸に直交する平面上に延びる延出部352bと、を備える。延出部352bには、複数の穴352cが形成されている。複数の穴352cには、接触位置にある接触体51が入るように構成されている。
接触体切替え機構5は、接触体51と、切替え部材54と、切替えモータ55と、弾性体56と、を備える。本変形例に係る接触体切替え機構5では、例えば、図9Bに示すように、接触位置にある接触体51は筐体21から突出し、例えば、図10Bに示すように、非接触位置にある接触体51は筐体21から非突出である。ただし、本開示では、非接触位置にある接触体51は、必ずしも筐体21から非突出でなくてもよい。切替えモータ55は、上記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
切替え部材54は、接触体51を接触位置と非接触位置とに切り替えることができる部材である。切替え部材54は、図9Aに示すように、上記実施形態と同様、リング状に形成されている。切替え部材54は、上記実施形態における突起544(図5A参照)に代えて、螺旋状の溝544aが形成されている。切替え部材54のその他の構成は上記実施形態と同じである。
溝544aは、接触体51をクランク軸28の回転軸(出力体33の回転軸)に沿って移動させる。溝544aは、クランク軸28の回転軸周りに螺旋状に形成されている。溝544aには、接触体51の連結ピン511のフランジ部513が移動可能に差し込まれている。
接触体51は、連結ピン511と、接触部521と、を備える。連結ピン511は、切替え部材54の回転によって、クランク軸28の回転軸に沿って移動する。具体的には、連結ピン511は、ピン512と、フランジ部513と、を備える。フランジ部513は、切替え部材54の溝544aに入り込み、溝544aに対して相対移動可能に取り付けられる。したがって、切替え部材54が回転すると、連結ピン511はクランク軸28の回転軸に沿って移動する。
接触部521は、連結ピン511に対して、クランク軸28の回転軸に沿って移動可能に取り付けられる。弾性体56は、連結ピン511と接触部521との間に配置されている。弾性体56は、接触部521に対し、クランク軸28の回転軸に沿った方向のうち、外側に向かって力を加えている。したがって、接触部521は、クランク軸28の回転軸に沿った方向において、外側から内側に向かう一定の力が掛けられると、連結ピン511側に移動する。
切替えモータ55が作動し、切替え部材54が一方向に回転すると、図9Bに示すように、接触体51は、クランク軸28の回転軸に沿って移動し、接触位置に切り替えられる。すると、接触部521が駆動スプロケット35の取付け部材352の穴352c(つまり、所定箇所X1)に入る。これによって、接触体切替え機構5は、駆動スプロケット35に対し、回転移動を妨げる力を及ぼすことができる。この結果、駆動スプロケット35に対して固定されている出力体33の動きを妨げる力を及ぼすことができる。
切替え部材54が他方向に回転すると、接触体51は、図10Bに示すように、クランク軸28の回転軸に沿って移動し、非接触位置に切り替えられる。すると、接触部521が駆動スプロケット35の取付け部材352の穴352c(つまり、所定箇所X1)から出る。これによって、出力体33に対して及ぼされている回転移動を妨げる力が解除される。
本変形例では、取付け部材352の穴が所定箇所X1であったが、本開示では、穴はなくてもよい。すなわち、取付け部材352の主面のうち、筐体21に対向する面を接触体51で押さえ付けることで、出力体33に対して、動きを妨げる力を及ぼしてもよい。
(2.2)変形例2
上記実施形態では、一軸式のモータユニット2であったが、本変形例では、二軸式のモータユニット2aである点で異なる。
本変形例のモータユニット2aは、図11に示すように、筐体21、クランク軸28、回転体29、駆動体34、人力駆動系ワンウェイクラッチ31、駆動スプロケット35、制御基板45、モータ36、減速機構41a、出力体33a及び接触体切替え機構5を備える。筐体21、クランク軸28、回転体29、人力駆動系ワンウェイクラッチ31、駆動スプロケット35、制御基板45及びモータ36については、上記実施形態と同じである。
駆動体34は、クランク軸28に加えられた外力(踏力)が回転体29を介して伝達され、伝達された力を筐体21の外部に出力する。駆動体34の右側の端部(筐体21から突出した部分)には駆動スプロケット35(ここでは、第一駆動スプロケット35という)が取り付けられている。駆動体34は、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。駆動体34の回転軸は、クランク軸28の回転軸と同じである。
減速機構41aは、モータ36の出力軸39から出力された補助駆動出力について、回転速度を遅くした上で、出力体33aに伝達する。本変形例に係る減速機構41aは、減速歯車44aと、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43と、を備える。減速歯車44aは、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。減速歯車44aの回転軸は、出力体33aの中心軸と同じであり、左右方向に沿っている。減速歯車44aの回転軸は、本実施形態では、クランク軸28の回転軸に略平行である。
減速歯車44aの外周面には、歯部442aが形成されている。歯部442aは、モータ36の出力軸39の歯部391にかみ合っている。これにより、出力軸39の回転動力が、減速歯車44aに伝達し、減速歯車44aは出力軸39と共に回転する。歯部442aの歯数は、出力軸39の歯部391の歯数よりも多い。
出力体33aは、第一分割体22に取り付けられた軸受け46gと、第二分割体23に取り付けられた軸受け46hとに支えられている。これにより、出力体33aは、筐体21に対して、回転可能に取り付けられている。出力体33aの回転軸は、左右方向に沿っており、出力軸39の回転軸に略平行である。したがって、出力体33aの回転軸は、クランク軸28の回転軸と略平行である。出力体33aと減速歯車44aとの間には、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43が配置されている。
モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、本変形例では、ラチェット式のワンウェイクラッチである。モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、出力体33aが一方向に回転しているときにおいて、減速歯車44aの回転速度が、出力体33aの回転速度よりも速いときに、減速歯車44aから出力体33aへ回転動力を伝達する。一方、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、出力体33aが一方向に回転しているときにおいて、減速歯車44aの回転速度が、出力体33aの回転速度よりも遅いときに、減速歯車44aから出力体33aへ回転動力を伝達しない。ここでいう「一方向に回転しているとき」とは、電動自転車1を前方向に移動させる方向に出力体33aが回転しているときを意味する。
すなわち、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43は、電動自転車1が前方向に移動しているときにおいて、減速歯車44aから出力体33aへの回転動力の伝達のみを許容し、出力体33aから減速歯車44aへの回転動力の伝達を許容しない。このため、例えば、モータ36を停止し、かつ、運転者がペダル93(図1参照)を漕いだときに、出力軸39及びロータ38が回転することが抑制される。
出力体33aにおける右側の端部は、第二分割体23の第二側壁231から突出している。出力体33aにおいて筐体21の外部に突出した右側の端部には、第二駆動スプロケット35aが固定されている。
減速歯車44aの回転力が、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43を伝って出力体33aに伝達するとき、出力軸39の回転動力は、減速歯車44a、モータ駆動系ワンウェイクラッチ43及び出力体33aを順に伝って、第二駆動スプロケット35aに伝達する。本変形例では、出力体33aから駆動補助出力が出力され、第二駆動スプロケット35aに伝達する。
本変形例に係るモータユニット2aでは、第一駆動スプロケット35と、第二駆動スプロケット35aと、リアスプロケット662とに、動力伝達体8が掛けられる。第二駆動スプロケット35aから出力された駆動補助出力と、第一駆動スプロケット35から出力された踏力とは、動力伝達体8で合わさって合力となって、リアスプロケット662に伝達される。
駆動体34の外周部には、図12A,12Bに示すように、複数の位置規制凹所341が形成されている。位置規制凹所341は、本変形例では、回転軸の周囲に等間隔で形成されている。複数の位置規制凹所341は、本開示でいう「所定箇所X1」である。要するに、駆動体34は、所定箇所X1を含む。ここで、本変形例に係る人力駆動系伝達経路は、クランク軸28、回転体29、人力駆動系ワンウェイクラッチ31、駆動体34、第一駆動スプロケット35、動力伝達体8、第二駆動スプロケット35a及び出力体33aの順でつながる経路である。したがって、本変形例に係る所定箇所X1は、人力駆動系伝達経路において、人力駆動系ワンウェイクラッチ31よりも出力体33a側に位置している。また、駆動体34は、動力伝達体8を介して出力体33aにつながる。したがって、駆動体34は、出力体33aから出力された力を受けて動く動体である。
接触体切替え機構5は、図12A,12Bに示すように、切替えモータ55と、切替え部材54と、弾性体56と、接触体51と、を備える。接触体切替え機構5は、上記実施形態と同様、所定箇所X1に対して接触体51を接触させることで、出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼす。本変形例に係る接触体切替え機構5は、クランク軸28の回転軸に直交する仮想平面に沿って、接触体51を移動させることで、位置規制凹所341に対して接触体51を接触させる。これによって、接触体切替え機構5は、駆動体34に対して回転を妨げる力を与える。駆動体34は、上述したように、第一駆動スプロケット35に取り付けられており、動力伝達体8を介して第二駆動スプロケット35aに連結されている。したがって、本変形例に係る接触体切替え機構5では、駆動体34に対して回転を妨げる力を加えることで、出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼすことができる。
切替えモータ55の出力軸553には、切替え部材54である板カム54aが取り付けられている。切替え部材54の回転軸は、切替えモータ55の出力軸553の回転軸と同じである。板カム54aは、回転軸から外周端までの寸法が第一寸法L1である長径部と、回転軸から外周端までの寸法が第二寸法L2である短径部と、を備える。第一寸法L1は、第二寸法L2よりも長い。切替え部材54は、回転位置に応じて、接触体51を、接触位置と非接触位置との間で切替える。
接触体51は、筐体21に対して回転可能に取り付けられている。接触体51の回転軸は、クランク軸28の回転軸に略平行であり、切替えモータ55の出力軸553の回転軸と略平行である。接触体51は、接触体51の回転軸に沿って見て、略L字状に形成されている。接触体51は、駆動アーム571と、従動アーム572と、接触部521と、を備える。
駆動アーム571は、板カム54aから力が加わる部分である。板カム54aから駆動アーム571に力が加わると、接触体51には回転軸周りのモーメントが生じ、接触体51は回転する。駆動アーム571は、本変形例では、一方向に延びた棒状に形成されている。
従動アーム572は、駆動アーム571に一体に形成されている。従動アーム572は、駆動アーム571に対して交差する方向に延びている。本変形例では、従動アーム572は、板カム54aから駆動アーム571に力が加わって変位すると、同じ量だけ変位する。本変形例では、従動アーム572は、駆動アーム571に対して交差する方向に延びているが、一直線上に位置してもよい。
接触部521は、位置規制凹所341に対して嵌り込む位置(接触位置)と、位置規制凹所341から出る位置(非接触位置)とで切り替えられる。接触部521は、従動アーム572に設けられており、より詳しくは、従動アーム572の長手方向に対して交差する方向に突出している。接触位置にある接触部521は、位置規制凹所341に嵌り込み、駆動体34の回転を妨げることができる。
弾性体56は、接触体51に対し、接触位置に向かって力を加える。したがって、接触部521に対し、弾性体56から接触体51に加えられる力を超える反対向きの力が加わると、弾性体56からの力に抵抗しながら、接触部521は移動し、駆動体34が回転する。
駆動アーム571に対して、板カム54aの長径部から力が加わると、図12Bに示すように、従動アーム572が回転し、接触部521が非接触位置に切り替えられる。また、短径部が駆動アーム571に対応する位置となるように、板カム54aが回転すると、図12Aに示すように、従動アーム572が回転し、接触部521が接触位置に切り替えられる。
(2.3)変形例3
本変形例に係るモータユニット2aは、大部分において変形例2に係るモータユニット2aと同じ構造である。本変形例に係るモータユニット2aは、変形例2のモータユニット2aと比較すると、図13に示すように、位置規制凹所341及び接触部521の構造が異なり、位置規制凹所341及び接触部521以外の構造は同じである。本変形例では、図13において、変形例2と対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
変形例2に係るモータユニット2aでは、位置規制凹所341に接触部521を嵌め込むことで、駆動体34の動きを妨げたが、本変形例3に係るモータユニット2aでは、位置規制凹所341の一部に接触部521を押し付けることで駆動体34の動きを妨げる。本変形例に係る位置規制凹所341は、底面341aに対して側面341bが傾斜する。また、接触部521は、側面に対応する圧接面521aを有する。
接触部521は、位置規制凹所341に対して接触する位置(接触位置)と、位置規制凹所341から離れる位置(非接触位置)とで切り替えられる。接触部521が接触位置に切り替えられると、接触部521の圧接面521aは、側面341bに押し付けられる。このように、本変形例に係るモータユニット2aでは、接触部521によって、駆動体34の回転に対して制動力を与えることができ、駆動体34の動きが妨げられる。この結果、本変形例に係るモータユニット2aでは、出力体33aに対して動きを妨げる力を及ぼすことができる。
(2.4)変形例4
本変形例は、変形例2と同様、二軸式のモータユニットである。ただし、本変形例では、接触体が接触可能な「所定箇所X1」が、変形例2とは異なる。接触体切替え機構5の配置位置と、所定箇所X1に関する構成以外は、変形例2と同じである。
本変形例に係る所定箇所X1は、図14に示すように、出力体33aにあり、具体的には、出力体33aの外周部である。出力体33aの外周部には、複数の位置規制凹所341が形成されている。位置規制凹所341は、本変形例では、回転軸の周囲に等間隔で形成されている。複数の位置規制凹所341は、本開示でいう「所定箇所X1」である。要するに、出力体33aは、所定箇所X1を含む。
本変形例に係る人力駆動系伝達経路は、クランク軸28、回転体29、人力駆動系ワンウェイクラッチ31、駆動体34、第一駆動スプロケット35、動力伝達体8、第二駆動スプロケット35a及び出力体33aの順でつながる経路である。したがって、本変形例に係る所定箇所は、人力駆動系伝達経路において、人力駆動系ワンウェイクラッチ31よりも出力体33a側に位置している。
本変形例に係る接触体切替え機構は、切替えモータ55と、切替え部材54と、弾性体56と、接触体51と、を備える。本変形例に係る接触体切替え機構5は、変形例2に係る接触体切替え機構5と同じ構造であるため説明を省略する。
接触体切替え機構5は、本変形例では、図15Aに示すように、出力体33aに接触体51を接触させることで、出力体33aの動き(回転移動)を妨げる力を及ぼす。図15Bに示すように、切替えモータ55によって、接触体51を位置規制凹所341から離すことで、出力体33aに対して力を加えることを解除できる。
(2.5)変形例5
本変形例に係るモータユニット2aは、大部分において変形例4に係るモータユニット2aと同じ構造である。本変形例に係るモータユニット2aは、変形例4に係るモータユニット2aと比べて、図16に示すように、位置規制凹所341及び接触部521の構造が異なり、位置規制凹所341及び接触部521以外の構造は同じである。本変形例では、図16において、変形例4と対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
変形例4に係るモータユニット2aでは、位置規制凹所341に接触部521を嵌め込むことで、出力体33aの動きを妨げたが、本変形例に係るモータユニット2aでは、位置規制凹所341の一部に接触部521を押し付けることで出力体33aの動きを妨げる。本変形例に係る位置規制凹所341は、底面341aに対して側面341bが傾斜する。また、接触部521は、側面に対応する圧接面521aを有する。
接触部521は、位置規制凹所341に対して接触する位置(接触位置)と、位置規制凹所341から離れる位置(非接触位置)とで切り替えられる。接触部521が接触位置に切り替えられると、接触部521の圧接面521aは、側面341bに押し付けられる。このように、本変形例に係るモータユニット2aでは、接触部521によって、出力体33aの回転に対して制動力を与えることができ、出力体33aに対して動きを妨げる力を及ぼすことができる。
(2.6)変形例6
上記実施形態及び変形例2~5に係るモータユニット2,2aは、ブラケット78に取り付けられるいわゆるセンタユニット方式のモータユニットであったが、本変形例では、フロントハブユニット方式のモータユニットである点で異なる。本変形例では、図17において、上記実施形態と対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
本変形例に係るモータユニット2bは、図17に示すように、前輪65(図1参照)の回転軸に対して同心状に取り付けられている。モータユニット2bは、図17に示すように、一対の固定軸26、モータ36、筐体21a、減速機構41及び接触体切替え機構5を備える。
固定軸26は、前輪65の回転軸に沿って延びている。固定軸26は、一対のレッグ61に取り付けられ、一対のレッグ61に対して固定されている。
モータ36は、筐体21aに収容されている。すなわち、モータ36の出力軸39の全部は、筐体21の内部に位置する。モータ36は、回転動力を出力する。モータ36は、モータケース361と、ステータ37と、ロータ38と、を備える。モータケース361は、一対の固定軸26に対して固定されている。ステータ37は、モータケース361に取り付けられ、モータケース361に対して固定されている。ロータ38は、モータケース361に対して回転可能に取り付けられている。ロータ38の回転軸は、一対の固定軸26の中心軸と同一直線上に位置する。ロータ38には、出力軸39が取り付けられている。ロータ38が回転すると、出力軸39は、ロータ38の回転軸で回転する。出力軸39の外周には、歯部391が形成されている。
減速機構41は、モータ36から出力された駆動補助出力が入力されると、回転速度を遅くした上で、筐体21aを回転させる。減速機構41は、複数の減速歯車44bを備える。複数の減速歯車44bは、出力軸39の周囲に配置され、かつ歯部391にかみ合う。本変形例では、複数の減速歯車44bは、出力軸39の周りを公転しないが、公転可能な遊星歯車で構成されてもよい。減速機構41は、筐体21aの内部に配置されている。減速歯車44は、歯部391に対してかみ合い、かつ筐体21aの内周面にかみ合っている。
筐体21aは、固定軸26に対して回転可能に取り付けられている。筐体21aは、本変形例では、モータケース361に対して、回転することができる。筐体21aの回転軸は、モータ36の出力軸39の回転軸と同じである。筐体21aには、前輪65のホイールが備えるスポーク67が取り付けられる。なお、筐体21aは、モータ36が作動していなくても、前輪65の回転と共に回転する。
モータ36の出力軸39が回転すると、その回転動力は、減速機構41に伝達し、減速機構41は筐体21aを回転させる。回転した筐体21aは、ホイールを回転させ、前輪65(図1参照)に対して駆動補助出力を加えることができる。本変形例において、出力体33aは、筐体21aが兼ねている。要するに、筐体21aが出力体33bとしての機能を有する。
本変形例に係る接触体切替え機構5は、切替えモータ55と、切替え部材54と、弾性体56と、接触体51と、を備える。
切替えモータ55は、切替え部材54を駆動する。切替えモータ55は、バッテリ9から電力が供給されることで作動する。切替えモータ55は、正逆回転可能に形成されている。切替えモータ55は、出力軸553に取り付けられたかさ歯車552を備える。かさ歯車552の回転軸は、筐体21aの回転軸に直交する。かさ歯車552は、切替え部材54にかみ合っている。切替えモータ55から出力された回転動力は、切替え部材54を駆動する。
切替え部材54は、接触体51を接触位置と非接触位置とに切り替えることができる部材である。切替え部材54は、第一切替え部58と、第二切替え部59と、を備える。第一切替え部58は、固定軸26に対して回転可能に取り付けられている。第一切替え部58の回転軸は、左右方向に略平行であり、筐体21aの回転軸と同じである。第一切替え部58は、切替えモータ55からの回転動力を受けて回転する。第一切替え部58における第二切替え部59側の面には、例えば、螺旋状のガイド溝が形成されている。
第二切替え部59は、第一切替え部58の回転に応じて、第一切替え部58の回転軸に沿った方向の位置を変える。第二切替え部59における第一切替え部58とは反対側の端部には、Eリング等の止め部材545が設けられている。第一切替え部58が一方向に回転すると、第二切替え部59は、第一切替え部58の回転軸に沿った一方向に移動し、第一切替え部58が他方向に回転すると、第二切替え部59は、第一切替え部58の回転軸に沿った他方向に移動する。
接触体51は、第二切替え部59に対し、筐体21aの回転軸に沿った方向に、スライド可能に取り付けられる。接触体51は、筐体21の内周面に形成された凸部27に接触し、筐体21aの動き(回転移動)を妨げる力を及ぼす。したがって、本変形例に係る所定箇所X1は、凸部27である。弾性体56は、接触体51と第一切替え部58との間に配置され、接触体51を、筐体21aの回転軸に沿った方向のうちの筐体21aの内面に向かって押す。
接触体51は、図17に示すように、第一切替え部58が一方向に回転すると、第二切替え部59が、筐体21aの回転軸に沿った方向のうち、筐体21aの内側面に近付く方向に移動する。また、接触体51は、図18に示すように、第一切替え部58が一方向とは反対方向に回転すると、第二切替え部59が、筐体21aの回転軸に沿った方向のうち、筐体21aの内側面から離れる方向に移動する。要するに、本変形例では、接触体51は、切替え部材54によって、接触位置と、非接触位置とに切り替えられる。
(2.7)その他の変形例
以下、実施形態の変形例を列挙する。
上記実施形態及び変形例では、接触体切替え機構5の接触体51に対し、一定の力が加わると、接触位置にある接触体51が一時的に移動するように構成されたが、本開示では、接触体51は、所定箇所X1の移動を完全に止めてもよい。要するに、出力体33をロックしてもよい。
上記実施形態及び変形例において、接触体切替え機構5は、ハンドルロックと連動してもよい。例えば、ハンドルロックを動作させるワイヤを引っ張る機構をモータユニット2に設け、接触体切替え機構5において接触体51を接触位置に切り替えるのと同時にワイヤを引っ張り、ハンドルロックを実現すればよい。これによれば、電動自転車1の盗難防止の効果が一層期待できる。
上記実施形態及び変形例において、電動自転車1は、接触体切替え機構5の動作を制御可能な制御部を有している。制御部は、電動自転車1に設けられた通信部を介して、使用者が所持する端末装置と通信可能に構成される。ユーザは端末装置を操作することにより、接触体切替え機構5を動作させることができる。また、端末装置が電動自転車1の通信部に対し、通信可能範囲等の所定距離内(所定範囲内)に近付くことにより、接触体切替え機構5において接触体51を非接触位置に切り替えるようにしてもよい。さらに、端末装置が電動自転車1の通信部から通信可能範囲等の所定範囲の外側に位置することで、接触体切替え機構5において接触体51を接触位置に切り替えてもよい。
ここでいう「端末装置」は、例えば、スマートキー等の専用の端末装置のほか、例えば、スマートフォン、タブレット、PDA(Personal Data Assistant)、ノートPC等であってもよい。
所定箇所X1は、出力体33から出力された力を受けて動く動体にあればよい。動体にある所定箇所X1は、例えば、駆動スプロケット35の歯であってもよい。モータユニット2にテンショナが取り付けられている場合は、所定箇所X1を含むテンショナとし、テンショナの歯に接触体51を接触させて、テンショナの回転を妨げてもよい。また、所定箇所X1を含む動力伝達体8としてもよい。動力伝達体8に対して、接触体51を接触させることで、出力体33の動きを妨げる力を及ぼすことができる。つまり、所定箇所X1を含む部材は、上記実施形態及び変形例に限らず、減速機構41及び出力体33のほか、出力体33から出力された力を受けて動く動体であってもよい。
上記実施形態に係る電動自転車1では、フレームに閂等の錠が設けられていないが、本開示に係る電動自転車1では、フレームに閂等の錠が設けられてもよい。この場合、電動自転車1の盗用防止の効果をより高めることができる。
上記実施形態に係る電動自転車1では、後輪66のハブ661は、フリーホイールを有しており、すなわち、上記実施形態に係る電動自転車1は、動力伝達体8から後輪66までの動力伝達経路にワンウェイクラッチを有している。しかし、本開示に係る電動自転車1は、フリーホイールを有さなくてもよい。一変形例に係る電動自転車1は、フリーホイールを有さず、言い換えると、動力伝達体8から車輪(ここでは、後輪66)までの動力伝達経路において、ワンウェイクラッチを有さない。一変形例に係る電動自転車1によれば、出力体33に対して動きを妨げる力を及ぼすことで、車輪(ここでは、後輪66)の回転軸を中心とした両方向の回転を制限することができる。
本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
また、本開示において「前端部」及び「前端」などのように、「…端部」と「…端」とで区別した表現が用いられている。例えば、「前端部」とは、「前端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…端部」を伴った表現についても同様である。
また、本開示でいう「傾斜」及び「傾斜面」は、直線又は平面に限らず、曲線又は曲面も含む。
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係るモータユニット(2,2a,2b)は、自転車に取り付けられる電動自転車(1)用のモータユニット(2,2a,2b)である。モータユニット(2,2a,2b)は、筐体(21,21a)と、モータ(36)と、出力体(33,33a,33b)と、筐体(21,21a)に収まる減速機構(41)と、接触体切替え機構(5)と、を備える。モータ(36)は、少なくとも出力軸(39)の一部が、筐体(21,21a)の内部に位置する。出力体(33,33a,33b)は、出力軸(39)から出力された動力を筐体(21,21a)の外部に出力する。減速機構(41)は、出力軸(39)から出力体(33,33a,33b)までのモータ駆動系伝達経路で、モータ(36)の出力の回転速度を減速する。接触体切替え機構(5)は、接触体(51)を有する。接触体(51)は、減速機構(41)、出力体(33,33a,33b)及び出力体(33,33a,33b)から出力された力を受けて動く動体のうちのいずれかの所定箇所(X1)に対し、接触する接触位置と、所定箇所(X1)から離れる非接触位置と、の間で切替えることができる。接触体切替え機構(5)は、接触体(51)が接触位置に切り替えられると、出力体(33,33a,33b)に対して動きを妨げる力を及ぼすように構成されている。
この態様によれば、接触体(51)が接触位置に切り替えられると、出力体(33,33a,33b)に対して動きを妨げる力が及ぼされるので、モータ(36)の動力を筐体(21,21a)の外部に出力することができない。したがって、この態様によれば、接触体(51)を接触位置に切り替えた状態にしておくと、モータユニット(2,2a,2b)として通常使用ができなくなり、電動自転車(1)の盗用防止の効果が期待できる。
第2の態様に係るモータユニット(2,2a)では、第1の態様において、モータ駆動系伝達経路において、出力軸(39)と出力体(33,33a)との間に設けられたモータ駆動系ワンウェイクラッチ(43)を更に備える。所定箇所(X1)は、モータ駆動系伝達経路においてモータ駆動系ワンウェイクラッチ(43)よりも出力体(33,33a)側に位置している。
この態様によれば、出力体(33,33a)の両方向の回転移動を妨げることができるため、出力体(33,33a)を回転させれば、接触体(51)が接触位置にあることが体感として分かり、モータユニット(2,2a)の盗難防止の効果が期待できる。
第3の態様に係るモータユニット(2,2a)では、第1又は第2の態様において、クランク軸(28)と、人力駆動系ワンウェイクラッチ(31)と、を更に備える。クランク軸(28)は、筐体(21)を貫通し、踏力によって筐体(21)に対して回転する。人力駆動系ワンウェイクラッチ(31)は、クランク軸(28)から出力体(33,33a)までの人力駆動系伝達経路において、クランク軸(28)と出力体(33,33a)との間に設けられる。所定箇所(X1)は、人力駆動系伝達経路において人力駆動系ワンウェイクラッチ(31)よりも出力体(33,33a)側に位置している。
この態様によれば、出力体(33,33a)を回転させれば、接触体(51)が接触位置にあることが体感として分かり、モータユニット(2,2a)の盗難防止の効果が期待できる。
第4の態様に係るモータユニット(2,2a)では、第1~3のいずれか一項の態様において、減速機構(41)は、歯部(442)を有する歯車(減速歯車44)を備える。所定箇所(X1)は、歯車において、歯部(442)とは異なる箇所に位置している。
この態様によれば、歯車(減速歯車44)に対して機械的な力を及ぼすことで、歯車の動きを妨げることができ、出力体(33,33a,33b)に対して動きを妨げる力を及ぼすことができる。
第5の態様に係るモータユニット(2)では、第1~3のいずれか一項の態様において、所定箇所(X1)が筐体(21)の外部に位置している。
この態様によれば、接触体(51)が接触位置又は非接触位置にあることを目視で確認することができる。
第6の態様に係るモータユニット(2)では、第5の態様において、所定箇所(X1)が、出力体(33)に取り付けられた駆動スプロケット(35)である。
この態様によれば、駆動スプロケット(35)に対して接触体(51)を接触させることができるため、モータ駆動系伝達経路による力又は人力駆動系伝達経路による力を問わず、出力体(33)に対して動きを妨げる力を及ぼすことができる。
第7の態様に係るモータユニット(2)では、第6の態様において、駆動スプロケット(35)は、スプロケット本体(351)と、取付け部材(352)と、を有する。スプロケット本体(351)は、車輪(65)(66)に動力を伝達するための動力伝達体(8)が取り付けられる。取付け部材(352)は、スプロケット本体(351)に対して固定される。所定箇所(X1)は、取付け部材(352)に含まれる。
この態様によれば、スプロケット本体(351)に対して、接触体(51)による摩耗や傷等の発生を抑えることができる。
第8の態様に係るモータユニット(2)では、第7の態様において、取付け部材(352)は、スプロケット本体(351)よりも硬い。
この態様によれば、スプロケット本体(351)に対して接触体(51)を接触させるよりも、摩耗や傷等の発生を抑えることができる。
第9の態様に係るモータユニット(2,2b)では、第1~第8のいずれか一つの態様において、接触体切替え機構(5)は、接触体(51)を、出力体(33,33a)の回転軸に沿う方向に移動させることで、接触位置と非接触位置とで切り替える。
この態様によれば、接触体(51)の移動する範囲を極力小さくすることができる。
第10の態様に係るモータユニット(2a)では、第1~第8のいずれか一つの態様において、接触体切替え機構(5)は、接触体(51)を、モータ(36)の回転軸に直交する仮想平面に沿って移動させることで、接触位置と非接触位置とで切り替える。
この態様によれば、接触体(51)の移動スペースを前後方向にとることができるため、デッドスペースを活用しながら、接触体切替え機構(5)を実現できる。
第11の態様に係る電動自転車(1)は、複数の車輪(65)(66)と、第1~第10のいずれか一つの態様のモータユニット(2)と、を備える。モータユニット(2,2a,2b)は、複数の車輪(65)(66)のうちの少なくとも一つの車輪(65)(66)に対して回転動力を出力する。
この態様によれば、モータユニット(2)の盗用防止の効果が期待でき、また電動自転車(1)の盗用についても防止できる。
第12の態様に係る電動自転車(1)では、第11の態様において、モータユニット(2,2a,2b)の出力を車輪(65)(66)に伝達する動力伝達体(8)を更に備える。所定箇所(X1)が、動力伝達体(8)に含まれる。
この態様によれば、電動自転車(1)の盗用を抑制できる。
第13の態様に係る電動自転車(1)では、第11の態様において、モータユニット(2,2a,2b)の出力を車輪(65)(66)に伝達する動力伝達体(8)を更に備える。記動体は、動力伝達体(8)の動きに応じて動くように構成される。所定箇所(X1)が、動体に含まれる。
この態様によれば、電動自転車(1)の盗用を抑制できる。
第14の態様に係る電動自転車(1)では、第11の態様において、モータユニット(2,2a,2b)の出力を車輪(65)(66)に伝達する動力伝達体(8)を更に備える。動力伝達体(8)から後輪(66)までの動力伝達経路にはワンウェイクラッチが設けられていない。
この態様によれば、出力体(33)に対して動きを妨げる力を及ぼすことで、車輪(65)(66)に対して回転軸を中心とした両方向の回転を制限することができ、電動自転車(1)の盗用を一層抑制できる。
第2~第10の態様に係る構成については、モータユニット(2,2a,2b)に必須の構成ではなく、また、第12~第14の態様に係る構成については、電動自転車(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。