JP7283637B2 - ホットスタンピング箔 - Google Patents

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Description

本発明は、ホットスタンピング箔に関する。
本願は、2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103805号、2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103806号、および2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103807号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来から、物品の真偽が判定し、偽造を防止する手段としてホットスタンピング箔が用いられている。ホットスタンピング箔は、転写対象にホットスタンプされる。転写対象として印刷体が挙げられる。印刷体として、セキュリティ印刷が挙げられる。セキュリティ印刷は、偽造防止技術が必要とされる印刷である。偽造防止技術は、偽造、改ざん、秘密にされるべき情報の盗み読み等の不正の防止や、不正の有無の判別を容易とする技術である。
ホットスタンピング箔は、セキュリティ印刷にホットスタンプすることができる。セキュリティ印刷は、チケット、紙幣、認証カード、タグ、シール、認証ページ、ゲームカード、ギフト券、証明書、ポスター、グリーティングカード、ビジネスカード等である。ホットスタンピング箔は、認証が必要とされるセキュリティ印刷の表面に貼付される。
ホットスタンピング箔は、高級品等の一般的に高価なものへの適用ニーズが多く、真正であることの証明として、物品等にホットスタンプし適用できることが知られている。ホットスタンピング箔は、これらの要求に効果的に応えることができる。また、ホットスタンピング箔を、印刷体にホットスタンプすることで、印刷体に美観を付与することができる。
近年、ホットスタンピング箔において光学効果を発現させる技術の一つとして、光の回折を用いて立体画像、特殊な装飾画像、特殊な色の変化等を表現し得るホログラムや回折格子、また、屈折率の異なる多層の無機堆積層によって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等の技術を利用し貼り付け可能とした積層光学装飾体である、いわゆるOVD(Optical(ly) Variable Device)が利用されている。
OVDは、高度な製造技術を要すること、独特な視覚効果を有し、一瞥で真偽が判定できることから有効な偽造防止手段として用いられている。例えば、OVDは、クレジットカード、有価証券、証明書類等の一部あるいは全面に形成されて使用されている。最近では、有価証券以外にもスポーツ用品やコンピュータ部品をはじめとする電気製品ソフトウェア等に貼り付けられ、その製品の真正さを証明する認証シールや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印シールとしても広く使われるようになってきた。
一般にOVDは、精巧な偽造が難しく確認が容易な偽造防止手段である。商品券や紙幣、パスポート、若しくは株券等の紙媒体にOVDを貼付する場合には、貼り替えを困難とする観点から、多くの場合熱転写方式が採用されている。
熱転写方式では、樹脂製の基体シートの第一面にホットスタンピング箔が形成され(例えば、特許文献1参照)、基体シートの第二面にホットスタンプが接触することにより、ホットスタンピング箔が対象物に転写される。
日本国特開2011-206952号公報
ホットスタンピング箔には、需要の拡大に伴い、高速での熱転写適性が求められている。
詳細は後述するが、発明者は、ホットスタンピング箔が形成された基体シートを転写装置にセットしてさらに高速駆動させることを検討する過程で、基体シートに起因するいくつかの好ましくない事象を見出した。例えば、長尺のホットスタンピング箔が熱転写装置内を高速で移動する際、ホットスタンピング箔と熱転写装置との摩擦が増加し、ホットスタンピング箔の一部が摩耗して粉塵を生じる。生じた粉塵は、熱転写装置やホットスタンプを汚染し、メンテナンス頻度を増加させる原因となる場合があった。
上記事情を踏まえ、本発明は、高速な熱転写を良好に実行できるホットスタンピング箔を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るホットスタンピング箔は、熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備える。前記バックコート層は、芳香族化合物の耐熱性を有するバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体である。前記積層光学装飾体は、軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備える。前記接着層は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、前記接着層の厚みを規定する樹脂成分と、前記接着層の前記厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有する。前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低い。前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である。
また、バックコート層は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドの前記バインダー樹脂と、アマイドワックスを主成分とする前記補助粒子とを含んでいてもよい。
また、バックコート層は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドの前記バインダー樹脂と、フッ素系樹脂を主成分とする前記補助粒子とを含んでいてもよい。
本発明の上記態様によれば、高速な熱転写を良好に実行できるホットスタンピング箔を提供することができる。
第1実施形態のホットスタンピング箔が概略的に図解された断面図である。 第1実施形態ホットスタンピング箔の接着層の構成が概略的に図解された断面図である。 第1実施形態ホットスタンピング箔のキャリアの構成が概略的に図解された断面図である。 第2実施形態のホットスタンピング箔のキャリアの構成が概略的に図解された断面図である。 第3実施形態ホットスタンピング箔のキャリアの構成が概略的に図解された断面図である。
<基本実施形態>
以下で、本発明の基本実施形態(第1実施形態)について、図を参照しながら説明する。
図1、および図3は、実施形態のホットスタンピング箔1を概略的に図解する断面図である。ホットスタンピング箔1は、キャリア10と、キャリア10の第一面10a上に形成された積層光学装飾体25と、キャリア10の第二面10bに形成されたバックコート層50を備える。図1ではバックコート層50の図示を省略している。
ホットスタンピング箔1のキャリア10は積層光学装飾体25を剥離可能に保持する。ホットスタンピング箔1は熱圧によりキャリア10から積層光学装飾体25を剥離させて転写対象に積層光学装飾体25を転写可能となるように構成されている。
キャリア10と積層光学装飾体25とは接している。
積層光学装飾体25は、積層光学構造体20と、積層光学構造体20上に形成された沈み込み制御層30と、沈み込み制御層30上に形成された接着層40とを備える。積層光学構造体20と沈み込み制御層30とは接しているか、または間に被覆層を介して積層されている。沈み込み制御層30と接着層40とは接している。
キャリア10は、ホットスタンピング箔1が転写対象に熱転写されるまで積層光学装飾体25を保持する。ホットスタンピング箔1が転写対象に熱転写された後は、キャリア10は積層光学構造体20との境界で剥離される。言い換えれば、ホットスタンピング箔1が転写対象に熱転写された後は、キャリア10は積層光学構造体20との境界で剥離される。
キャリア10は、ベースフィルムまたは、コートされたベースフィルムである。ベースフィルムは単層または多層のポリマーフィルムとしてもよい。
ポリマーフィルムは、押出法、溶液流延法、カレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法、Tダイ法を適用できる。また、ポリマーフィルムは、延伸、無延伸のフィルムであってもよい。
ポリマーフィルムの材料は、熱可塑プラスチック、溶解性樹脂としてもよい。熱可塑プラスチックは、ポリオレフィンとしてもよい。ポリオレフィンは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)としてもよい。ポリオレフィンは、積層光学構造体20と適度な接着性がある。ポリオレフィン樹脂は、積層光学構造体20を剥離可能に保持することができる。
ベースフィルムは、耐熱フィルム、耐圧フィルムとしてもよい。耐熱材料、耐圧材料は、転写時にかかる熱や圧力による変形や変質を少なくできる。
コートされたベースフィルムは、ベースフィルムの片面または両面がコートされている。このコートは、樹脂単体、粉体を含有した樹脂をコーティングした層であってもよい。このコーティングは、マイクログラビアコート、グラビアコート、ダイコート、スクリーンコートを適用できる。
コートする樹脂は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。樹脂が含有する粉体は、シリカ粉体、シリコーン粉体、フッ素系粉体、カーボン粉体であってもよい。コーティングをベースフィルムの積層光学構造体20側にした場合、積層光学構造体20の保持、剥離を調整できる。コーティングをベースフィルムの積層光学構造体20とは反対側にした場合、長尺のホットスタンピング箔がロール状に巻かれた状態で積層光学構造体20の接着層とのブロッキングを防止すること、またはホットスタンピング箔1の搬送をスムーズにすること、またはこれら両方を実現することができる。
ベースフィルムのキャリア10の厚さは、4μm以上であってもよい。厚さが4μm未満であると、キャリア10としての物理的強度が不十分となりホットスタンピング箔1の取り扱いが困難となる。キャリア10の厚さは12~50μmの範囲としてもよい。
また、用途や目的に応じて、ベースフィルムは、紙や合成紙、プラスチック複層紙や樹脂含浸紙としてもよい。
実施形態におけるキャリア10の詳細構成については、後述する。
積層光学構造体20は、キャリア10側から順にトップ層21、ラッカー層22、無機堆積層23を有する。
ラッカー層22は、トップ層21上の全面に形成されるか、一部に形成されるか、省略される。ラッカー層が省略される場合は、トップ層21上に無機堆積層23を形成することができる。
無機堆積層23は、ラッカー層22上に形成することができる。さらに、無機堆積層23のラッカー層22とは反対側に被覆層24を有してもよい。積層光学構造体20の基本構成は周知であるが、各層について以下に説明する。
トップ層21は、積層光学構造体20をキャリア10から剥離可能に支持させる。ホットスタンピング箔1を対象物に転写後には、積層光学構造体20のトップ層21は転写対象の反対側に位置し、外的損傷から積層光学構造体20を保護する。
トップ層21は、熱可塑ポリマーと表面改質剤を含有する層であってもよい。トップ層21の熱可塑ポリマーは、ガラス転移温度が90℃以上、130℃以下の樹脂であってもよい。
熱可塑ポリマーは、アクリルポリマーやポリエステル、ポリアミド、ポリイミドのいずれか、いずれかの共重合、いずれかの複合、いずれかの共重合のいずれかの複合であってもよい。
表面改質剤は、パウダー、ワックス、オイルであってもよい。パウダーは、耐熱パウダーであってもよい。耐熱パウダーは、シリカパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー、シリコーン系パウダーとしてもよい。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーンワックス、カルナバロウとしてもよい。オイルは、シリコーンオイルであってもよい。
トップ層21は、着色されてもよい。トップ層21の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料、無機顔料と有機顔料の混合としてもよい。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料の単体、同種のブレンド、異種の混合、異種の同種のブレンドの混合としてもよい。染料は、天然染料、合成染料、天然染料と合成染料の混合としてもよい。または、染料は、蛍光性染料としてもよい。
トップ層21は、キャリア10上に印刷、塗布によって形成することができる。塗布は、グラビアコートやマイクログラビアコート、ダイコートとしてもよい。印刷は、グラビア印刷、スクリーン印刷としてもよい。
トップ層21の厚みは、0.5μm以上5μm以下の範囲であってもよい。
トップ層21は、印刷を受容できる。アクリル樹脂は、印刷を受容しやすい。印刷を受容可能なトップ層21を有する積層光学装飾体付印刷体は、印刷可能である。印刷を受容可能なトップ層21を有する積層光学装飾体付印刷体は、積層光学装飾体25と印刷体がともに印刷が可能となる。
ラッカー層22は、ラッカー層22の少なくとも一方の表面、または両面に凹凸形状のレリーフ構造を有していてもよい。
ラッカー層22は、紫外線硬化樹脂、熱可塑樹脂、熱硬化樹脂により形成されていてもよい。紫外線硬化樹脂は、硬化樹脂である、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマーは、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであってもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つオリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートのオリゴマーまたはコオリゴマーであってもよい。ポリマーは、ウレタン変性アクリル、エポキシ変性アクリルのポリマーまたはコポリマーであってもよい。紫外線硬化樹脂は、アクリル樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エチレンメタクリレート樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。
ラッカー層22は、着色されてもよい。ラッカー層22の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料としてもよい。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料としてもよい。染料は、天然染料、合成顔料としてもよい。または、染料は、蛍光性染料としてもよい。
ラッカー層22の熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。ラッカー層22の熱硬化樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。ラッカー層22の厚みは、0.5μm以上、30μm以下の範囲であってもよい。
ラッカー層22のレリーフ構造は、凹部または凸部、もしくは凹部および凸部を有する。レリーフ構造は、光学回折、光反射抑制、等方性または異方性散乱効、反射、偏光選択性、波長選択性などの光学的性質を有する。レリーフ構造の光学効果は、目視や機械検知によって、検知できる。レリーフ構造の光学的性質は、美観を提供し、偽造の困難性を付与する。光学的性質は、1つ若しくは複数の光学効果を有するレリーフを組み合わせて選択する事ができる。
ラッカー層22の表面のレリーフ構造により、積層光学構造体20は、回折、光反射抑制、等方性または異方性の光散乱、屈折、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制などの光学的機能を備える。
ラッカー層22のレリーフ構造として、回折格子構造の領域を設けることで、積層光学構造体20は、光を回折させる性質をレリーフ構造により得られる。回折格子構造のピッチは、0.5μm以上2μm以下の範囲としてもよい。回折格子構造の深さは、0.05μm以上0.5μm以下の範囲としてもよい。
ラッカー層22に、モスアイ構造や深い格子構造を設けることで、積層光学構造体20は光反射抑制の性質や、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制をレリーフ構造により得られる。
ラッカー層22に、複数の線状部または複数のドット状部が非周期的に配置された散乱構造の領域を設けることで、積層光学構造体20は等方的なあるいは異方的な散乱光を射出する性質をレリーフ構造により得られる。散乱構造の平均ピッチは、0.5μm以上3μm以下としてもよい。深さは、0.05μm以上0.5μm以下としてもよい。
ラッカー層22に、ミラー構造の領域を設け、隣接する層と異なる屈折率とすることで、レリーフ構造は反射の性質を積層光学構造体20に付与する。ミラー構造の平均ピッチは3μmより大きく、30μm以下としてもよい。深さは、0.5μmより深く、20μmより浅くすることができる。
積層光学構造体20の光学的性質は、目視や機械検知によって、知覚、検知することができる。これにより偽造の困難性や美観を向上することができる。ラッカー層22の表面のレリーフ構造は、複数のレリーフ構造領域を有してもよい。レリーフ構造領域は、単体として、または複数の統合として画像を表示できる。画像は、絵、写真、肖像、ランドマーク、マーク、ロゴ、シンボルの単体またはそれらの組合せであってもよい。
無機堆積層23は、ラッカー層22で生じる光学効果を容易に観察可能とする機能を有する。
無機堆積層23は、ラッカー層22上の一部または全面に形成される。無機堆積層23がラッカー層22上の一部に形成された場合、積層光学構造体20の製造により高度な加工技術が要求され、より精緻な外観となる為、ホットスタンピング箔1はより高い偽造防止効果を有することができる。
無機堆積層23は、ラッカー層22で生じる光学的性質を容易に観察可能とする。無機堆積層23は、構造色を表示してもよい。構造色は、干渉による発色などである。または、構造色は、観察角度や照明角度により変化する。構造色は、虹色や高彩度の色である。
無機堆積層23の材料は、金属またはケイ素の単体、合金、またはこれらの化合物としてもよい。単体、合金、またはこれらの化合物を構成する金属またはケイ素は、Si、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Agのいずれか又はいずれかの組合せとしてもよい。無機堆積層23の厚みは、10~500nmの範囲としてもよい。無機堆積層は、減圧下で無機材料を堆積することで形成できる。無機堆積層23の堆積には、真空蒸着やスパッタ、CVDにより形成できる。
無機堆積層23は単層または多層である。多層の無機堆積層23は、金属の単体と金属の化合物を交互に積層した積層体、異種の金属の単体を交互に積層した積層体、異種の金属の化合物を交互に積層した積層体であってもよい。金属の単体と金属の化合物を交互に積層した無機堆積層23は、アルミニウムの層に二酸化ケイ素の層を積層した多層などである。
被覆層24は、無機堆積層23上の全面または一部を被覆する。被覆層24は、無機堆積層23上の一部にレジストとして設け、被覆層がない部分の無機堆積層23を選択的に除去することで、無機堆積層23をラッカー層22上の一部に設けることができる。無機堆積層23がラッカー層22上の一部に設けられている場合は、被覆層24は、一部に設けられた無機堆積層に対応させて設けてもよい。
被覆層24を無機堆積層23上に印刷、塗布、堆積することで無機堆積層23を被覆層24で被覆できる。被覆層24を無機堆積層23上の一部に設ける方法として、被覆層24を印刷で部分的に設ける方法、エッチング液の透過性の異なる被覆層24を無機堆積層23上に堆積させ被覆層24と無機堆積層23をエッチング液の透過性の差により選択的にエッチングする方法、紫外線露光によって溶解する或いは溶解し難くなる樹脂材料を塗布し、パターン状に紫外線を露光した後、被覆層24を現像し、エッチング液で無機堆積層23を選択的にエッチングする方法、無機堆積層23上に溶解性の樹脂を部分的に形成した後に被覆層24を形成し、溶解性樹脂および溶解性樹脂上の被覆層を溶剤で部分的に除去する方法を採用できる。被覆層24を部分的に設ける方法であれば、他の周知の各種加工技術を適用してもよい。
被覆層24の材料は、樹脂または無機材料または樹脂と無機材料のコンポジットとしてもよい。
被覆層24の樹脂はエッチング耐性を有する樹脂としてもよい。被覆層24の樹脂は硬化樹脂であってもよい。硬化樹脂は、エッチング耐性を得やすい。
被覆層24の樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。
ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールとしてもよい。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体としてもよい。アクリル系樹脂は、ポリメチルメタクリレートとしてもよい。また、これらのうち少なくとも2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。さらには、上記樹脂の分子には、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合などを含んでいてもよい。これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。硬化系樹脂は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂、アクリレート系樹脂などの紫外線硬化樹脂などとしてもよい。被覆層24の樹脂は、その他電子線硬化樹脂、湿気硬化樹脂としてもよい。
被覆層24の厚みは、0.1μm以上、5μm以下の範囲であってもよい。
沈み込み制御層30は、接着層40中のスペーサー粒子42(後述)の沈み込み量を調整する。ホットスタンピング箔1の保管時には、スペーサー粒子42は沈み込み制御層30中には、ほとんど沈み込まず、ロール状に巻かれた際に、接着層40とキャリア10との間にギャップを保持する。熱転写時には、スペーサー粒子42が沈み込み制御層30中に適度に沈み込む。沈み込み制御層30は、接着層40と接触している。
沈み込み制御層30は、軟質樹脂と変形制限剤とを含有する。軟質樹脂と変形制限剤とは柔軟性が異なっていてもよい。軟質樹脂と変形制限剤との混合比は、50:1から1:1の範囲であってもよい。熱圧に伴って、沈み込み制御層30中の軟質樹脂が変形し、スペーサー粒子42が沈み込む。この際、変形制限剤が軟質樹脂の変形を抑制し、スペーサー粒子42が沈み込み過ぎることを抑制することで、スペーサー粒子42の沈み込みを調整する。これにより、過度に沈み込みが発生することによるブロッキングや、スペーサー粒子42が沈み込まないことによる積層光学構造体20の白濁の欠陥を防止できる。
沈み込み制御層30は、熱圧前には適度な硬度を有するため、スペーサー粒子42は前記接着層40に留まる。熱圧前の沈み込み制御層30に適度な硬度を付与するために、軟質樹脂を結晶性樹脂とするか、変形制限剤を高ガラス転移温度重合体またはそのコンポジットとするか、上記構成を組み合わせることができる。
軟質樹脂を結晶性樹脂とした場合、熱圧前は軟質樹脂が結晶状態であるため、沈み込み制御層30は、適度な硬度を有する。
変形制限剤を高ガラス転移温度重合体またはそのコンポジットとした場合、熱圧前は変形制限剤がガラス状態であるため、沈み込み制御層30は適度な硬度を有する。
上記構成を組み合わせた場合、熱圧前は軟質樹脂が結晶状態であり変形制限剤がガラス状態であるため、沈み込み制御層30は適度な硬度を有する。
沈み込み制御層30の軟質樹脂のガラス転移温度は80℃以下であってもよい。変形制限剤は、沈み込み制御層30の厚みよりも小さい粒径の無機粉体フィラー、高ガラス転移温度重合体、接着層の厚みよりも小さい粒径の無機粉体フィラーと高ガラス転移温度重合体の双方としてもよい。高ガラス転移温度重合体のガラス転移点は60℃以上またはガラス転移点が無い重合体であってもよい。高ガラス転移温度重合体のガラス転移点は、60℃以上300℃以下の範囲としてもよい。高ガラス転移温度重合体は、ポリマー粉体フィラーでもよい。
沈み込み制御層30の変形制限剤として、ガラス転移点が60℃以上であり、軟化温度が90℃以上130℃以上の高ガラス転移温度重合体を用いた場合、積層光学構造体20を部分的に転写対象に転写する際のバリ発生を防止できる。
高ガラス転移温度重合体と軟質樹脂は2相状態の相分離構造でもよい。2相状態の相分離構造を形成するには、溶剤に可溶な軟性樹脂と高ガラス転移温度重合体を用い溶解した塗布液を塗布することで得ることができる。高ガラス転移温度重合体は、連続相であってもよい。連続相は骨格をなす。連続相は、ポーラス構造等である。軟性樹脂は、分散相または連続相であってもよい。高ガラス転移温度重合体のガラス転移温度は、軟質樹脂のガラス転移温度以上でもよい。その結果、部分転写の際には、熱転写領域の輪郭の内側では、高ガラス転移温度重合体が軟化し、熱転写領域の輪郭の外側では軟化しないため、熱転写領域の輪郭の高ガラス転移温度重合体に応力が集中し、確実に輪郭部分で樹脂が破断すると考えられる。
高ガラス転移温度重合体は、粉体またはディスパージョンとして、軟質樹脂中と混合されてもよい。また、軟質樹脂は結晶性樹脂であってもよい。変形抑制剤としての高ガラス転移温度重合体は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、セルロース重合体、フェノール重合体、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、アクリル系ポリマー、メラミン系ポリマー、エポキシ系ポリマーとしてもよい。塩化ビニル酢酸ビニル共重合体は、他の樹脂との密着性が良い。
沈み込み制御層30の軟質樹脂は、酸変性ポリオレフィン樹脂としてもよい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、エチレンと酸性分との共重合樹脂であってもよい。エチレンと酸性分との共重合体は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合樹脂(EMAA)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂としてもよい。エチレンと酸性分との共重合樹脂は、適度な柔軟性と隣接する層との適度な密着性が得やすい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸変性により、隣接する無機堆積層23およびラッカー層22、被覆層24との密着性を得ることができる。これは、酸変性ポリオレフィンが、隣接する無機堆積層23およびラッカー層22、被覆層24の有機シラン化合物およびイソシアネートと結合するためである。
酸変性ポリオレフィンの中でも、エチレン(メタ)アクリル酸共重合樹脂(EMAA)は、ブロッキングをより防止できる。沈み込み制御層30中の軟質樹脂は、沈み込み制御層30中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体よりも低い軟化温度とすることができ、さらに、転写時の転写温度以下の軟化温度としてもよい。沈み込み制御層30の樹脂の軟化温度は、60℃以上110℃以下の範囲であってもよい。ホットスタンピング箔の転写温度(スタンパー版面温度)は、一般に90℃から130℃の範囲であるため、軟化温度が転写温度と同等になるようにしてもよい。
酸変性ポリオレフィンの酸価の測定は、一般に使われるFT-IR法や、滴定法としてもよい。酸変性ポリオレフィンの酸価は、0.5~200の範囲であってもよい。
軟質樹脂の溶液は、軟質樹脂の分散体であるディスパージョンが用いられてもよい。この場合、ディスパージョンの粒子の大きさは30μm程度であってもよい。
軟質樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体とは柔軟性が異なっていてもよい。通常は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体よりも軟質樹脂の方が柔軟性に優れる。沈み込み制御層30の各樹脂および沈み込み制御層30全体の柔軟性は、一般に使われるナノインテンダーにより測定可能である。
沈み込み制御層30の軟化温度は、60℃以上110℃以下の範囲であってもよい。沈み込み制御層30の軟化温度は、ホットスタンピング箔の転写時の温度が、一般に90℃から130℃の範囲であるため、この転写時の温度で軟化する温度である。
沈み込み制御層30には、助剤が添加されてもよい。助剤の添加量は、0.1Wt%から10Wt%の範囲であってもよい。助剤として、シランカップリング剤、イソシアネートが添加されてもよい。シランカップリング剤を添加することで、沈み込み制御層30の一部が積層光学構造体20の無機堆積層23と接触している場合でも、シラノール結合を生じることにより積層光学構造体20との接着の安定性が向上する。シラノール結合により、沈み込み制御層30の耐熱性、耐溶剤性も向上する。また、沈み込み制御層30の一部が積層光学構造体20のラッカー層22と接触している場合、ラッカー層22の表面に存在するラッカー層22に添加したシラン化合物との密着性も向上する。
沈み込み制御層30には、助剤としてイソシアネートが添加されてもよい。イソシアネートを添加することで、沈み込み制御層30のうちラッカー層22および被覆層24に接する部位でウレタン結合が生じ、密着性、耐熱性、耐溶剤性が向上する。沈み込み制御層30は、蛍光性を有していてもよい。蛍光性は、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有するか、樹脂に蛍光剤が添加されるか、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有し樹脂に蛍光剤が添加されることで実現できる。
沈み込み制御層30の厚さは、0.5μm以上、3μm以下の範囲であってもよい。
図2は、接着層40の構成を概念的に説明する模式断面図である。接着層40は、転写対象と接合される層であり、転写対象に対して接着性を発揮する樹脂成分41、樹脂成分中に添加されたスペーサー粒子42、および粉体フィラーを含む。
粉体フィラーは図2に示されておらず、必須ではない。接着層40における粉体フィラーの含有比率(重量比)は、樹脂成分41の0.1%以上100%以下の範囲であってもよい。
樹脂成分41としては、公知の各種接着剤や粘着剤を使用することができる。また、樹脂成分41は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑性樹脂であってもよい。樹脂成分41として、アクリル樹脂が用いられてもよい。アクリル樹脂はポリメチルメタクリレートとしてもよい。ホットスタンピング箔1が有価証券に適用される場合、転写対象の材質が紙、ポリプロピレン、ポリエチレンとなる場合が多い。樹脂成分41をアクリル樹脂とした場合、少ない熱量で転写可能となり、これら転写対象に対する転写プロセスにおいて短時間の熱加圧で転写が行える。これにより転写のスループットが向上する。本発明に係る転写プロセスにおいて「短時間の熱加圧」とは、一般的に90~130℃にて1秒未満での熱加圧を意味する。したがって、接着層40の樹脂成分41としては、アクリル樹脂以外の、融点が60℃から130℃の間である熱可塑樹脂を使用できる。この場合、さらに短時間での熱加圧で転写ができる。
アクリル樹脂以外の好適な熱可塑樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールとしてもよい。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体としてもよく、また、これらのうち2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。また、上記樹脂中には、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合を含んでいてもよく、これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。これらの結合によって分子量を調整することができ、軟化温度や粘弾性、耐溶剤性を調整することができる。さらに、熱可塑樹脂は共重合体でもよい。また、熱可塑樹脂は、変性していてもよい。
接着層40は、蛍光性を有していてもよい。蛍光性は、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有するか、樹脂に蛍光剤が添加されるか、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有し樹脂に蛍光剤が添加されることで実現できる。
接着層40の厚さは、沈み込み制御層30より厚くしてもよい。接着層40の厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲であってもよい。ここで、接着層40の厚さは、樹脂成分41の厚さとしてもよい。
スペーサー粒子42の平均粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲、または10μm以上30μm以下の範囲であってもよい。スペーサー粒子42の平均粒子径は、接着層40の厚さよりも大きく、一部が樹脂成分41から突出していてもよい。また、接着層40の表面(転写対象物に接着する面)に露出するスペーサー粒子42は、接着層40の表面積の50%以下となっている。接着層40の表面におけるスペーサー粒子42の突出高さは、少なくとも接着層40の樹脂の厚みの5%以下であることが好ましい。ここで、突出高さとは、樹脂成分41により形成された層からスペーサー粒子42が突出する高さと定義できる。さらに、詳細は後述するが、スペーサー粒子42の突出高さはバックコート層50の補助粒子の突出高さよりも高くなっていてもよい。
本発明において、粒子の平均粒子径とは、塗布前であれば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定でき、体積平均粒子径を意味する。塗布後であれば、電子顕微鏡の観察画像からの面積平均粒子径により求めることができる。
スペーサー粒子42は、2種類の平均粒子径の粒子群をブレンドして構成されてもよい。このとき、小さいスペーサー粒子の平均粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲とし、大きいスペーサー粒子の平均粒子径は、10μm以上30μm以下の範囲としてもよい。2種類の平均粒子径の粒子群をブレンドする際に、大きいスペーサー粒子の粒子群の体積比率は、小さいスペーサー粒子の体積比率より大きくしてもよい。大きいスペーサー粒子の粒子群との小さいスペーサー粒子の粒子群との体積比率は、1:50以上、1:2以下としてもよい。さらに、スペーサー粒子42は、2種類以上の平均粒子径の粒子群をブレンドして構成されてもよい。
スペーサー粒子42は、定形粒子または不定形粒子としてもよい。定形粒子は、楕円状粒子、球状粒子としてもよい。定型粒子は、安定したギャップを維持しやすい。楕円状粒子では、圧力に対してロバストである。球状粒子では、圧力に対して一定の反応が得られる。不定形粒子は、コストを低減することができる。また、粒子径の分散状態は、粒子径が揃っている単分散の粒子を用いるのが好ましい。本発明における単分散とは、一般的にCV値=(標準偏差/平均値)が10%以下であることを意味する。
スペーサー粒子42は、無機、耐熱樹脂、無機と耐熱樹脂のコンポジット、または天然素材としてもよい。無機は、無機化合物、純物質としてもよい。無機化合物は、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、ゼオライト、雲母としてもよい。純物質は、カーボンブラックとしてもよい。スペーサー粒子42の材質としての耐熱樹脂は、合成樹脂とできる。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂としてもよい。天然素材は木粉、琥珀としてもよい。また、スペーサー粒子42の無機と耐熱樹脂のコンポジットは、上に挙げた材料を無機と耐熱樹脂のそれぞれとしてもよい。無機材料は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。合成樹脂は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。天然素材は環境負荷が小さい。
特に、スペーサー粒子42の材質を無機材料とすると、後述の脂肪族化合物(補助粒子)や芳香族化合物(バインダー樹脂)を含むバックコート層50と接着層40との接着が起こりにくくなる。このため、積層されたホットスタンピング箔1同士のブロッキングを抑制することができる。特に、無機材料としてシリカをスペーサー粒子42として用いた場合、接着層40において平滑な表面を得やすく、かつ、補助粒子の脂肪族化合物やバインダー樹脂の芳香族化合物と保管時に接着しにくくなるため、長期にわたってホットスタンピング箔1を保管する際に好適である。
スペーサー粒子42の接着層40の樹脂成分に対する体積比率は、0.1%以上、5%以下の範囲であってもよい。
粉体フィラーは、平均粒子径がナノレベルの粉体である。無機粉体フィラーの材質としては、シリカや、各種金属およびその酸化物を用いることができる。無機粉体フィラーは、溶剤で劣化しない。また、無機粉体フィラーは、低コストである。耐熱樹脂粉体フィラーは、平均粒子径がナノレベルの粉体である。耐熱樹脂粉体フィラーの材質としての耐熱樹脂は、合成樹脂である。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂としてもよい。天然素材はセルロース、琥珀、ゼオライト、雲母としてもよい。合成樹脂は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。天然素材は環境負荷が小さい。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径は、10~15ナノメートル(nm)であってもよい。無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径は、接着層40の膜厚よりも小さくてよい。本開示におけるナノレベルのフィラーの平均粒子径は、塗布前であれば動的光散乱式の粒子径分布測定装置(ナノトラックNanotrac Wave マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定でき、体積平均粒子径を意味する。塗布後であれば、電子顕微鏡の観察画像からの面積平均粒子径により求めることができる。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーは、不定形粒子としてもよい。また、無機粉体フィラーの粒子径の分散状態は、粒子径が揃っていない多分散のフィラーを用いるのが好ましい。本発明における多分散とは、CV値=(標準偏差/平均値)が10%以上であることを意味する。
接着層40には、上記熱可塑樹脂、スペーサー粒子および粉体フィラー以外に、ガラス転移点が60℃以上のポリマーが含まれていてもよい。ポリマーのガラス転移点は、60℃以上150℃以下としてもよい。ポリマーとしては、1種類の樹脂を用いてもよく、複数の樹脂の混合体を用いてもよい。樹脂としては熱可塑樹脂や硬化樹脂を用いることができる。ポリマーは、1種類のモノマーの重合体や、共重合体としてもよい。1種類のモノマーの重合体は、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンとしてもよい。共重合体は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を用いることができる。また、ポリマーは、テルペン樹脂や、ロジン樹脂、スチレンマレイン酸などの低分子のものをポリマー中に含んでもよい。樹脂成分の熱可塑樹脂と、ガラス転移点が60℃以上のポリマーとの比率は、50:1から5:1の範囲とでき、さらには40:1から6:1の範囲であってもよい。
接着層40は、破断促進粒子を含有してもよい。破断促進粒子は、積層光学構造体20、沈み込み制御層30、接着層40を含む転写体を、ホットスタンピング箔1から転写対象に熱転写する際に、転写領域とそれ以外の領域との境界で転写体が破断するようにする。破断が不十分で転写体が延伸し転写領域外まで延伸した場合、延伸部分より樹脂クズが発生してしまう。破断促進粒子は、スペーサー粒子と同じ材質、同じ形状、同じCV値の粒子で、接着層と沈み込み制御層とを合せた層厚より小さい粒子径の粒子としてもよい。
接着層40は、樹脂成分41およびスペーサー粒子42を含有する塗液を塗布することにより形成できる。塗液は固形分が完全に溶解しているものでもよいし、ディスパージョンやエマルジョンのように、固形分が分散しているものでもよい。塗布方法は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコートとしてもよい。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷は、グラビア、スクリーン印刷としてもよい。塗液の乾燥は、固形分の融点以下の温度で行うことが好ましい。
ホットスタンピング箔1が工業的に量産される場合、長尺のキャリア10上に積層光学構造体20、沈み込み制御層30、および接着層40が形成されることにより、キャリア10がつながった状態でホットスタンピング箔1が製造される。
このように製造されたホットスタンピング箔1を熱転写により対象物に転写する場合、ロール状に巻かれたホットスタンピング箔1が熱転写装置にセットされて、熱転写装置内を移動する。
熱転写の速度が上がると、熱転写装置内におけるホットスタンピング箔1の移動速度も上昇する。その結果、キャリア10と熱転写装置との摩擦が増加し、キャリア10が摩耗して粉塵を生じる。生じた粉塵は、熱転写装置やホットスタンプを汚染し、メンテナンス頻度を増加させる原因となる。
発明者らは、この事象を抑制することができるキャリアの物性について検討し、キャリアにバックコート層50を設けることによって解決した。
図3は、実施形態におけるキャリア10の構成を概念的に説明する模式断面図である。キャリア10において、積層光学構造体20が設けられた第一面10aと反対側の第二面10bには、バックコート層50が形成されている。
バックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下であり、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である。発明者らの検討では、このような物性のバックコート層50は、熱転写装置において、4m/秒程度の高速で移動させても、摩耗による粉塵がほとんど発生しないことが分かった。動摩擦係数が0.30以下であることは、高速移動により生じる摩擦の量が少なくなることに寄与すると考えられる。連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であることは、硬度が高いことにより摩耗しにくくなることに寄与すると考えられる。
上記物性は、キャリアの材質として一般的なポリエチレンテレフタレート(PET)単独では達成しえない。
バックコート層50は、バインダー樹脂と補助粒子との複合材料(複合体)であってもよい。バインダー樹脂は、バックコート層50に耐熱性や硬度を付与できる。
バインダー樹脂は、芳香族化合物であってもよい。芳香族化合物は、酢酸セルロース、または、ポリアミドイミドまたはこの混合や共重合であってもよい。酢酸セルロースは、ガラス転移温度が150℃以上、800℃以下の範囲であり、融点が230℃以上であることが好ましい。ポリアミドイミドは、分子量が5000~30000の範囲であることが好ましい。
一般に、熱転写温度(転写時にホットスタンピング箔1に接触するホットスタンプの温度)は、接着層40における樹脂成分41の融点またはガラス転移点(Tg)と同程度である。ここで、バインダー樹脂の融点は、熱転写温度および樹脂成分41の融点またはガラス転移点(Tg)より高いことが好ましい。すなわち、バインダー樹脂は、熱転写温度で軟化または溶融しないように耐熱性を有することが好ましい。この場合、ホットスタンプにバインダー樹脂が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。芳香族化合物は、融点が高いことが知られているため、熱転写温度で軟化または溶融しにくい。特に酢酸セルロースの融点は230℃以上、ポリアミドイミドの融点は300℃程度であるため、熱転写温度が100℃より高い場合は、酢酸セルロース、ポリアミドイミドが好適である。このように、バインダー樹脂にポリアミドイミド、または酢酸セルロースのどちらを用いても、同様の特性(耐熱性や硬度)をバックコート層50に付与することができる。
バインダー樹脂は、1種類、または2種類以上のブレンドであってもよい。バックコート層50は、バインダー樹脂のみで構成されてもよい。
バックコート層50は、補助粒子を含有してもよい。補助粒子は、樹脂ビーズであってもよい。樹脂ビーズは、脂肪族化合物を主成分としてもよい。脂肪族化合物は、界面活性剤または、フッ素樹脂またはこの混合樹脂であってもよい。また、脂肪族化合物は、アミンやフッ素で変性した化合物であってもよい。これにより、滑り性や耐熱性を向上できる。脂肪族化合物を主成分とした樹脂ビーズの補助粒子は、ワックス粒子である。
補助粒子は、異なる種類の樹脂により形成された複数の種類の粒子を含んでいてもよい。また、補助粒子はサイズ(粒径)の異なる樹脂ビーズを含んでいてもよい。すなわち、補助粒子は、平均粒径の異なる複数の種類の樹脂ビーズを含んでいてもよい。さらには、補助粒子は、サイズが同等で種類の異なる樹脂、サイズが異なり種類が同じ樹脂、またはサイズと樹脂の種類との双方が異なる粒子を含んでいてもよい。サイズが同等で種類の異なる樹脂で形成された粒子を含むことで、必要とされる静摩擦係数と動摩擦係数の双方を得やすくできる。種類が同じ樹脂でサイズが異なる粒子を含むことで、滑り性を調整することができる。サイズと樹脂の種類との双方が異なる樹脂ビーズ(粒子)を含むことで、適切な静摩擦係数と動摩擦係数を得ることができる。
脂肪族化合物を主成分とした樹脂ビーズによりバックコート層50の表面の滑り性を向上させる。言い換えれば、バックコート層50と、ホットスタンピング箔1を搬送するバックコート層に接するガイドとの滑り性を向上させる。
界面活性剤は、アマイドワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックスであってもよい。アマイドワックスの融点は、70℃以上、130℃以下の範囲でありあることが好ましい。
界面活性剤の融点が熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高いと、ホットスタンプに界面活性剤が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。バックコート層50における界面活性剤の比率は、固形分比で1%以上15%以下とでき、1%以上5%以下が好適である。なお、上記の固形分比は、バックコート層50における界面活性剤の体積比である。
樹脂ビーズの主成分として挙げたフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。PTFEの融点は、300℃以上、800℃以下の範囲であり、分子量が1000000(100万)以上であることが好ましい。
樹脂ビーズのTgが熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高いと、ホットスタンプに樹脂ビーズが付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
つまり、バックコート層50は、芳香族化合物のバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分としたワックス粒子や樹脂ビーズである補助粒子の複合体とできる。
バックコート層50の表面(ホットスタンプに接触する面)における補助粒子の突出高さは、接着層40の表面におけるスペーサー粒子42の突出高さよりも小さくなっていてもよい。ここで、補助粒子の突出高さとは、バインダー樹脂により形成された層から補助粒子または後述の滑剤が突出する高さと定義できる。これにより、ホットスタンピング箔1がロール状に巻かれた場合、巻き状態により発生する積層されたホットスタンピング箔1同士のブロッキングを抑制することができる。
また、バックコート層50には、滑剤が含まれていてもよい。滑剤は、上述の補助粒子であってもよい。また、滑剤は、その他の添加剤であってもよい。添加剤は、シリコーンまたは、脂肪族化合物のいずれか、またはその混合物であってもよい。
バックコート層50の表面に露出する補助粒子は、バックコート層50の表面積の50%以下である。補助粒子は、バックコート層50のバインダー樹脂により形成された層からわずかに突出していてもよい。この場合の補助粒子の突出高さは、バックコート層50のバインダー樹脂の厚みに対して、40%以下である。
バックコート層50は、キャリア10の第二面10bにバインダー樹脂および補助粒子を含有する塗液を塗布することにより形成できる。塗液は、バインダー樹脂および補助粒子が溶剤に溶解しているものでもよいし、ディスパージョンやエマルジョンのように、固形分が分散しているものでもよい。溶剤は、非プロトン性の有機溶媒であってもよい。特に、非イオン性で極性を有する非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒は安定的であるため、芳香族化合物の保管性に優れる。また、非イオン性で極性のある非プロトン性溶媒は、芳香族化合物を良く溶解する。
塗布方法は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコートとしてもよい。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷は、グラビア、スクリーン印刷としてもよい。塗液の乾燥は、固形分の融点以下の温度で行うことが好ましい。
以上説明したように、本実施形態のホットスタンピング箔1は、第一面10aとその反対側に第二面10bを備えるキャリア10と、キャリア10の第一面10aに形成された積層光学構造体20を含む積層光学装飾体25と、キャリア10の転写時に熱圧がかかる面である第二面10bに形成されたバックコート層50と、を備え、バックコート層50は、芳香族化合物の耐熱性を有するバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、積層光学装飾体25は、軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、積層光学構造体20上に形成された沈み込み制御層30と、沈み込み制御層30上に形成され、転写対象に接合される接着層40と、を備え、接着層40は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、接着層40の厚みを規定する樹脂成分41と、接着層40の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が樹脂成分41から突出するスペーサー粒子42と、を含有し、補助粒子がバインダー樹脂から突出する高さは、スペーサー粒子42が樹脂成分41から突出する突出高さより低く、バックコート層50の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である。
所定の物性を有するバックコート層50を備えることにより、高速な熱転写を良好に実行できる。
また、バックコート層50の表面の静摩擦係数は、0.35以上であると好ましい。ホットスタンピング箔1を停止させてから熱転写させる場合に、ホットスタンピング箔1を適切に停止させることが可能になるので、ブレが生じにくい。ホットスタンプがドラム状であり、ホットスタンピング箔を停止せず連続的に熱転写を行う場合は、必ずしも上記静摩擦係数を満足しなくてもよい。
また、バックコート層50のバインダー樹脂は、接着層40の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有していてもよい。これにより、ホットスタンプにバインダー樹脂が付着しにくくなり、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
また、バックコート層50の補助粒子は、接着層40の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有してもよい。さらに、バックコート層50における前記界面活性剤の比率が、固形分比で1%以上5%以下であってもよい。
また、バックコート層50の補助粒子は、接着層40の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する樹脂ビーズであってもよい。
これにより、ホットスタンプに樹脂ビーズが付着しにくくなり、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
キャリアとして用いられるPETシートの物性を評価した。表1に、厚さの異なる4種類のPETシートにおける動摩擦係数、静摩擦係数、および耐摩耗性(連続荷重式引掻き強度)を示す。動摩擦係数、および静摩擦係数は、JIS K7125:1999に、耐摩耗性は、ISO DIS 12137-2(JIS K5600-9:1999)に、それぞれ準拠して計測した。なお、耐摩耗性は、連続荷重式引掻き強度試験機(新東科学株式会社製トライボギア)により測定した。
表1より、PETシート単体では、その厚みに関わらず、耐摩耗性(連続荷重式引掻き強度が9.5g以上)を満足できていないことがわかる。このため4m/秒程度の高速でホットスタンピング箔を移動させる場合において、PETシートの摩耗により粉塵が発生しやすくなる。この粉塵は、被転写体とホットスタンピング箔との間に異物として入り込み原因となる。このため、転写時の良品の収率を低下させる可能性がある。
また、PET1~PET3では、表面の静摩擦係数が0.35以上との物性を満足していない。
Figure 0007283637000001
表1におけるPET1のシートにバックコート層を形成したキャリア0~4を作成した。キャリア0~4のバックコート層のバインダー樹脂は酢酸セルロースである。尚、ポリアミドイミドであっても十分な性能が得られる。バインダー樹脂には、キャリア1~4では表2に示す補助粒子をそれぞれ添加している。表2に、バックコート層表面における動摩擦係数、静摩擦係数、および耐摩耗性(連続荷重式引っ掻き強度)を示す。バックコート層のバインダー樹脂の厚さは、いずれも0.5μmとした。なお、バックコート層のバインダー樹脂の厚さは、0.3μm以上2μm以下の範囲であれば、十分な性能が得られる。
バックコート層を設けることにより、上述の物性(表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上)を満足する。キャリア1~4では、補助粒子を用いることによりさらに良い物性値(キャリア0よりも低い動摩擦係数、およびキャリア0よりも高い耐摩耗性のうち少なくとも一方)が得られることがわかる。これにより、ホットスタンピング箔のキャリアによる粉塵の発生をより防止しつつ、さらに高速でのホットスタンピング箔の転写が可能となる。
なお、補助粒子の界面活性剤(カルナバワックス、ポリエチレンワックス、およびアマイドワックス)、または樹脂ビーズ(PTFEビーズ)は、接着層に用いられるスペーサー粒子42(シリカ)よりも硬度が低く柔軟である。このため、ホットスタンピング箔がロール状に積層された場合に、補助粒子とスペーサー粒子42との衝突によるスペーサー粒子42の脱落を防止することができる。
Figure 0007283637000002
キャリア0~4の各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキ)
バインダー樹脂:酢酸セルロース樹脂 5~8部
補助粒子:カルナワックス、ポリエチレンワックス、PTFEビーズ、アマイドワックス 0.3~12部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 80~94.7部
(アンカーコート層形成用インキ)
ポリエステル樹脂 5部
溶媒:THF 95部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキ)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキ)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
<第1の選択的実施形態>
以下で、本発明の第1の選択的実施形態(第2実施形態)について、図を参照しながら説明する。本実施形態では、基本実施形態のうち、補助粒子の主成分として、アマイドワックスを選択している。この補助粒子52aは滑剤であってもよい。また、本実施形態では、補助粒子52aの主成分をアマイドワックスとした以外は、基本実施形態と同じである。さらに、バインダー樹脂51は、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したバインダー樹脂と同様であり、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。本実施形態の説明では、第1実施形態と同様の部材については、同じ符号を付けて、説明を省略することがある。
図4は、実施形態におけるキャリア10の構成を概念的に説明する模式断面図である。キャリア10において、積層光学構造体20が設けられた第一面10aと反対側の第二面10bには、バックコート層50が形成されている。
バックコート層50は、主成分としてのバインダー樹脂51と、バインダー樹脂51内に配置された補助粒子52aとを有する。
バインダー樹脂51は、熱転写温度(転写時にホットスタンピング箔1に接触するホットスタンプの温度)より高いガラス転移点(Tg)を有し、キャリア10よりも高いTgを有することが好ましい。バインダー樹脂51は、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。バインダー樹脂51は、1種類の樹脂、または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。
補助粒子52aは、アマイドワックスを主成分として構成されている。アマイドワックスは、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したアマイドワックスと同様であり、融点は、70℃以上、130℃以下の範囲であることが好ましい。アマイドワックスを主成分とする補助粒子52aは、硬度が高く、バインダー樹脂51と化学結合を形成する。その結果、バックコート層50内に位置することにより、バックコート層50の剛性を高め、摩耗を抑制する。バインダー樹脂51がポリアミドイミドであると、化学結合がより強固になり、その効果が高まる。
また、補助粒子52aの表面は滑りやすいため、補助粒子52aの一部がバックコート層50の表面に突出させることにより、バックコート層50にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。
また、補助粒子52aの融点が熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高くてもよい。これにより、ホットスタンプに界面活性剤が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
以上説明したように、本実施形態のホットスタンピング箔1は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂51とアマイドワックスを主成分とする補助粒子52aとを有するバックコート層50を備えることにより、高速熱転写時も転写装置との摩擦や摩耗が押さえられる。その結果、高速な熱転写を良好に実行できる。
補助粒子52aは、定形粒子または不定形粒子であってもよい。定形粒子は、楕円状粒子、球状粒子であってもよい。定型粒子は、巻取り時にホットスタンピング箔1同士の間のスペースを安定させて維持しやすい。楕円状粒子は、圧力に対してロバストしやすい。球状粒子では、圧力に対して一定の反応が得やすい。不定形粒子は、コストを低減しやすい。
補助粒子52aにおいて、粒子径の分散状態は、粒子径が揃っている単分散であると、バックコート層のすべり性を一定としやすい。本発明において、「単分散」とは、CV値(変動係数:標準偏差/平均値)が10%(0.1)以下であることを意味する。
本実施形態のバックコート層50において、補助粒子52aの平均粒径(メディアン径(d50))は、0.1μm以上12μm以下であってもよい。0.1μm以上であればすべり性が十分となり、12μm以下であれば、摩擦や摩耗による補助粒子の滑落が起きづらい。
補助粒子52aは、平均粒径が異なる複数種類の粒子を含有してもよい。このときの補助粒子52aの平均粒径は、それぞれの粒子の平均粒径の加重平均であってもよい。本発明の実施形態において、補助粒子52aの平均粒径は、塗布前であれば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定できる。塗布後であれば、電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察画像における粒子の面積に基づいて求めることができる。
補助粒子52aの含有量は、一辺が100μmの正方形領域内に1個以上、300個以下の範囲であってもよい。さらには、一辺が100μmの正方形領域内に10個以上、150個以下の範囲であってもよい。5個以上であれば、摩擦や摩耗を低減しやすく、300個以下であれば、バックコート層からの補助粒子52aの滑落が起きづらい。また、補助粒子52aの換算粒子間距離Lは、補助粒子52aの平均粒径の2倍以上、10倍以下の範囲であってもよい。
補助粒子52aの粒子径は、平均粒径としてもよい。補助粒子52aの粒子径は、0.1μm以上、12μm以下であってもよい。この範囲であれば、いずれの粒子径においても、補助粒子52aが密集しすぎず、摩擦や摩耗を低減しやすい。
換算粒子間距離Lは、以下の数式(1)のように一辺が100μmの正方形内の粒子数から換算できる。ここで、Nは、粒子が配置された一辺が100μmの正方形を含む平面において、粒子が六方最密充填されていると仮定したときの100μm平方の中の粒子数である。
Figure 0007283637000003
上記の数式(1)を変形して数式(2)を得る。
Figure 0007283637000004
数式(2)をさらに変形し、数式(3)から換算粒子間距離Lを求めることができる。
Figure 0007283637000005
つまり、平面に粒子が六方最密充填されていると仮定したときの補助粒子間の距離を換算粒子間距離Lであってもよい。
補助粒子52aの主成分であるアマイドワックスは、脂肪族化合物とアミン類が縮合した化合物としてもよい。アマイドワックスを構成する脂肪族化合物の炭化水素鎖の長さは、一般に10以上、30以下である。アマイドワックスの構造は、モノアマイド、置換アマイド、ビスアマイド、メチロールアマイドとしてもよい。アマイドワックスは、滑り性があり、摩擦や摩耗を低減しやすい。アマイドワックスの融点は、ホットスタンピング箔の転写温度(スタンパー版面温度)以上としてもよい。転写温度以上であれば高速な熱転写を良好に実行しやすい。
バックコート層50には、2種類以上の補助粒子52aが含まれてもよい。
バックコート層50は、補助粒子52a以外の添加粒子を含んでもよい。添加粒子は融点が90℃以上、120℃以下でなくてもよく、ガラス転移点(Tg)の温度が高い樹脂からなるフィラーや無機フィラーなどでもよい。バックコート層50がこれらの添加粒子を含む場合、含有量は補助粒子52aに対して20%以下の範囲であってもよい。この範囲であれば、すべり性の低下が起きにくい。また、添加粒子の融点は、90℃以上、120℃以下であってもよい。ガラス転移点の低い樹脂で添加粒子が形成されてもよい。添加粒子の平均粒径は、補助粒子52aよりも小さくしてもよい。これにより、すべり性の低下を防止しやすい。
バックコート層50に2種類以上の粒子を混合する場合、一方の粒子は溶剤に分散されたディスパージョンの状態でもよい。また、粒子を任意の溶剤に分散させたものでもよい。2種類の粒子を混合する際の粒子の平均粒径は異なっていてもよい。径が異なる粒子を混合する場合は、補助粒子52aの粒子径を最も大きくすることで、すべり性を確保しやすくなる。2種類以上の粒子を混合する場合でも、粒子の大きさは12μm以下であってもよい。
バインダー樹脂51に対する補助粒子52aの質量比は、1%以上12%以下であってもよい。1%以上であればすべり性が十分となり、12%以下であれば、摩擦や摩耗による補助粒子の滑落が起きづらい。また、バインダー樹脂51に対する補助粒子52aの固形分比(体積比)が、1%以上5%以下であってもよい。
また、バックコート層50とキャリア10との間にアンカーコート層を設けることにより、バックコート層50とキャリア10との密着性を高めることができる。アンカーコート層の材料は、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体とでき、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。
本実施形態のホットスタンピング箔について、実験的な根拠として、実施例および比較例を示してさらに説明する。本発明は、以降に記載された実施例の具体的内容のみによって限定されることはない。
(実施例1-1)
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキA)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.125部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 95.0部
(アンカーコート層形成用インキ)
ポリエステル樹脂 5.0部
溶媒 95.0部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキA)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキA)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
以下にホットスタンピング箔の作製方法を記載する。
上記キャリアの一方の面に、上記アンカーコート層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が0.5μmとなるよう塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。
次に、アンカーコート層上に上記バックコート層形成用インキをドライ膜厚が2μmとなるように塗布乾燥し、バックコート層を形成した。
次に、キャリアのもう一方の面に、上記トップ層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が1μmとなるよう塗布乾燥し、トップ層を形成した。
次に、トップ層上に上記ラッカー層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成するレリーフ構造をラッカー層の表面に形成した。
続いて、ラッカー層上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、無機堆積層を形成した。
続いて、無機堆積層上に、上記被覆層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、被覆層を形成した。
以上により、キャリア上に積層光学構造体を形成した。
その後、積層光学構造体上に、上記沈み込み制御層形成用インキAをドライ膜厚が1~2μmとなるよう塗布乾燥し、沈み込み制御層を形成した。
さらに、沈み込み制御層上に、上記接着層形成用インキAを、固形分のドライ膜厚が4~5μmとなるよう塗布乾燥し、接着層を形成した。
以上により、実施例1-1のホットスタンピング箔を作製した。
(実施例1-2)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキBを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキB)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-3)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキCを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキC)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-4)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキDを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキD)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-5)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキEを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキE)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-6)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキFを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-6のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキF)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-7)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキGを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-7のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキG)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-8)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキHを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-8のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキH)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-9)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキIを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-9のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキI)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-10)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキJを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-10のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキJ)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-11)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキKを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-11のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキK)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-12)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキLを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-12のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキL)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-13)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキMを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-13のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキM)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-14)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキNを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-14のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキN)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-15)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキOを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-15のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキO)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-16)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキPを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-16のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキP)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-17)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキQを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-17のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキQ)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-18)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキRを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-18のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキR)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-19)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキSを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-19のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキS)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-20)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキTを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-20のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキT)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-21)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキUを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-21のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキU)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-22)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキVを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-22のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキV)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-23)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキWを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-23のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキW)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(実施例1-24)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキXを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-24のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキX)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
(比較例1-1)
バックコート層を形成しなかった点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-1のホットスタンピング箔を作製した。
(比較例1-2)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcAを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcA)
バインダー樹脂:ポリアリレート 5.0部
溶媒:THF 95.0部
(比較例1-3)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcBを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcB)
バインダー樹脂:ポリアリレート 5.0部
補助粒子:PTFE(ポロテトラフルオロエチレン)(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
(比較例1-4)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcCを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcC)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 5.0部
溶媒:THF 95.0部
(比較例1-5)
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcDを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcD)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 5.0部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
表3に、各実施例および比較例のバインダー樹脂、補助粒子、平均粒子径d50、および添加率を示す。なお、添加率とは、乾燥後のバックコート層における、バインダー樹脂に対する補助粒子の添加率(質量比)である。
各例のホットスタンピング箔について、以下の項目を評価した。
(連続転写時のホットスタンプ汚染(版汚染))
各例について、5000個の積層光学装飾体が共通のキャリアに形成されたロール状のサンプルを作製した。これを熱転写装置にセットして5000回連続で積層光学装飾体の転写を実行し、転写後のホットスタンプ表面を目視により確認した。
熱転写の条件は以下の通りである。
転写温度:120℃
転写速度:50個/分(キャリア搬送速度:4m/秒)
評価は以下の2段階とした。
〇(GOOD):ホットスタンプに汚れが付着している
×(BAD):ホットスタンプに汚れが付着していない
(バックコート層の耐摩耗性)
各例のサンプルを5個ずつ準備し、スチールウールを用いてバックコート層を荷重50gで5往復擦ったあと、目視により傷の有無を確認した。
評価は以下の3段階とし、〇および△を合格とした。
〇(GOOD):いずれのサンプルにも傷を認めない
△(FAIR):傷を認めるサンプルが2個以下
×(BAD):傷を認めるサンプルが3個以上
版汚染および耐摩耗性の試験結果を表3に示す。
Figure 0007283637000006
表3に示されるように、各実施例では、バックコート層が一定の耐摩耗性を有し、高速な連続熱転写においてもホットスタンプの汚染を生じなかった。
上記実施例および比較例の結果により、本実施形態のホットスタンピング箔は高速な熱転写を良好に実行できることが示された。
本実施形態のバックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上を満足することができる。さらに、静摩擦係数を、0.35以上とできる。これにより、ホットスタンピング箔1のキャリア10による粉塵の発生をより防止しつつ、さらに高速でのホットスタンピング箔1の転写が可能となる。尚、バックコート層50のバインダー樹脂51の厚さは、0.3μm以上2μm以下の範囲であれば、十分な性能が得られる。
なお、補助粒子52aのアマイドワックスは、接着層40に用いられるスペーサー粒子42(シリカ)よりも硬度が低く柔軟である。このため、ホットスタンピング箔1がロール状に積層された場合に、補助粒子52aとスペーサー粒子42との衝突によるスペーサー粒子42の脱落を防止することができる。
<第2の選択的実施形態>
以下で、本発明の第2の選択的実施形態(第3実施形態)について、図を参照しながら説明する。本実施形態では、基本実施形態のうち、補助粒子は主成分として、フッ素系樹脂を選択している。この補助粒子52bは滑剤であってもよい。また、本実施形態では、補助粒子52bの主成分をフッ素系樹脂とした以外は、基本実施形態と同じである。さらに、バインダー樹脂51は、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したバインダー樹脂と同様であり、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。本実施形態の説明では、第1実施形態と同様の部材については、同じ符号を付けて、説明を省略することがある。
図5は、実施形態におけるキャリア10の構成を概念的に説明する模式断面図である。キャリア10において、積層光学構造体20が設けられた第一面10aと反対側の第二面10bには、バックコート層50が形成されている。
バックコート層50は、主成分としてのバインダー樹脂51と、バインダー樹脂51内に配置された補助粒子52bとを有する。
バインダー樹脂51は、熱転写温度(転写時にホットスタンピング箔1に接触するホットスタンプの温度)より高い融点を有し、キャリア10よりも高いTgを有することが好ましい。バインダー樹脂51は、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。バインダー樹脂51は、1種類の樹脂、または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。
補助粒子52bは、フッ素系樹脂を主成分として構成されている。各種フッ素樹脂を補助粒子52bとして使用でき、中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好適である。PTFEは、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したPTFEと同様であり、融点は、300℃以上、800℃以下の範囲であり、分子量が1000000(100万)以上であることが好ましい。フッ素系樹脂を主成分とする補助粒子52bは、硬度が高い。その結果、バックコート層50内に位置することにより、バックコート層50の剛性を高め、摩耗を抑制する。
また、フッ素系樹脂を主成分とした補助粒子52bは表面張力が低いため、補助粒子52bの一部がバックコート層50の表面に突出させることにより、バックコート層50にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。
以上説明したように、本実施形態のホットスタンピング箔1は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂51とフッ素系樹脂を主成分とする補助粒子52bとを有するバックコート層50を備えることにより、高速熱転写時も転写装置との摩擦や摩耗が押さえられる。その結果、高速な熱転写を良好に実行できる。
さらに、補助粒子52bの融点またはTgが、熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高くてもよい。特に、フッ素系樹脂を主成分とする補助粒子52bは、炭素とフッ素との強靭な結合により、高い耐熱性を有する。したがって、バックコート層50の表面上に露出することで、補助粒子52bが潰れず熱転写時におけるホットスタンプとバインダー樹脂51との接触が低減される。その結果、熱転写時のホットスタンプの汚染を防止できる。
熱転写装置に取り付けられたロール状のホットスタンピング箔1が少なくなった場合、次のロールを連続的に使用するためにキャリア10同士をテープ等で接続することがある。また、生産管理のため、キャリア10に製造ロット等の各種数値等を油性ペン等で記入することがある。
フッ素系樹脂は、親油性が低いため、テープ等が貼り付きにくく、ペンのインクも定着しにくい場合があるが、酢酸セルロースやポリアミドイミドのバインダー樹脂51の親油性は高いため、テープ等の粘着剤がよく付着し、インクの有機成分もなじみやすい。したがって、上記構成のバックコート層50を有する本実施形態のホットスタンピング箔1は、熱転写装置を用いた転写に関して高い作業性を発揮する。
本実施形態のバックコート層50において、補助粒子52bの平均粒径(メディアン径(d50))は、0.1μm以上12μm以下であってもよい。0.1μm以上であればすべり性が十分となり、12μm以下であれば、摩擦や摩耗による補助粒子の滑落が起きづらい。特に2μm以上10μm以下が好ましい。
補助粒子52bの平均粒径は、塗布前であれば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定できる。塗布後であれば、電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察画像における粒子の面積に基づいて求めることができる。
また、バインダー樹脂51に対する補助粒子52bの質量比は、1%以上12%以下であってもよい。1%以上であればすべり性が十分となり、12%以下であれば、摩擦や摩耗による補助粒子の滑落が起きづらい。特に、2%以上10%以下が好ましい。
また、バックコート層50とキャリア10との間にアンカーコート層を設けることにより、バックコート層50とキャリア10との密着性を高めることができる。アンカーコート層の材料は、キャリア10とバックコート層50に対して密着性の高い材料から選択することができ、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂の単体または混合としてもよい。また、やこれらの材料に硬化剤を加えた材料としてもよい。
本実施形態のホットスタンピング箔について、実施例および比較例を示してさらに説明する。本発明は、以降に記載された実施例の具体的内容のみによって限定されることはない。
(実施例2-1)
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキ2-A)
バインダー樹脂:酢酸セルロース樹脂 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.2部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 91.8部
(アンカーコート層形成用インキ2)
ポリエステル樹脂 5部
溶媒:THF 95部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキA)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキA)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
以下にホットスタンピング箔の作製方法を記載する。
上記キャリアの一方の面に、上記アンカーコート層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が0.5μmとなるよう塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。
次に、アンカーコート層上に上記バックコート層形成用インキをドライ膜厚が2μmとなるように塗布乾燥し、バックコート層を形成した。
次に、キャリアのもう一方の面に、上記トップ層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が1μmとなるよう塗布乾燥し、トップ層を形成した。
次に、トップ層上に上記ラッカー層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成するレリーフ構造をラッカー層の表面に形成した。
続いて、ラッカー層上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、無機堆積層を形成した。
続いて、無機堆積層上に、上記被覆層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、被覆層を形成した。
以上により、キャリア上に積層光学構造体を形成した。
その後、積層光学構造体上に、上記沈み込み制御層形成用インキAをドライ膜厚が1~2μmとなるよう塗布乾燥し、沈み込み制御層を形成した。
さらに、沈み込み制御層上に、上記接着層形成用インキAを、固形分のドライ膜厚が4~5μmとなるよう塗布乾燥し、接着層を形成した。
以上により、実施例2-1のホットスタンピング箔を作製した。
(実施例2-2)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキBを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-B)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-3)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキCを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-C)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
(実施例2-4)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキDを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-D)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-5)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキEを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-E)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-6)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキFを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-6のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-F)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
(実施例2-7)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキGを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-7のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-G)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
(実施例2-8)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキHを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-8のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-H)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-9)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキIを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-9のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-I)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-10)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキJを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-10のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-J)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
(実施例2-11)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキKを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-11のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-K)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-12)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキLを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-12のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-L)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-13)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキMを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-13のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-M)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-14)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキNを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-14のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-N)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-15)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキOを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-15のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-O)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
(実施例2-16)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキPを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-16のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-P)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-17)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキQを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-17のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-Q)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-18)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキRを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-18のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-R)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
(実施例2-19)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキSを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-19のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-S)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
(実施例2-20)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキTを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-20のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-T)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-21)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキUを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-21のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-U)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(実施例2-22)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキVを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-22のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-V)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
(実施例2-23)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキWを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-23のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-W)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(実施例2-24)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキXを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-24のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-X)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
(比較例2-1)
バックコート層を形成しなかった点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-1のホットスタンピング箔を作製した。
(比較例2-2)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcAを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cA)
バインダー樹脂:ポリアリレート 8部
溶媒:THF 92部
(比較例2-3)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcBを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cB)
バインダー樹脂:ポリアリレート 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
(比較例2-4)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcCを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cC)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 8部
溶媒:THF 92部
(比較例2-5)
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcDを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cD)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
表4に、各実施例および比較例のバインダー樹脂、補助粒子、平均粒子径d50、および添加率を示す。なお、添加率とは、乾燥後のバックコート層における、バインダー樹脂に対する補助粒子の添加率(質量比)である。
各例のホットスタンピング箔について、以下の項目を評価した。
(連続転写時のホットスタンプ汚染(版汚染))
各例について、5000個の積層光学装飾体が共通のキャリアに形成されたロール状のサンプルを作製した。これを熱転写装置にセットして5000回連続で積層光学装飾体の転写を実行し、転写後のホットスタンプ表面を目視により確認した。
熱転写の条件は以下の通りである。
転写温度:130℃
評価は以下の2段階とした。
〇(GOOD):ホットスタンプに汚れが付着している
×(BAD):ホットスタンプに汚れが付着していない
(バックコート層の耐摩耗性(学振試験))
各例のサンプルを5個ずつ準備し、バックコート層に対してJIS K 5701-1に準拠した学振試験を実施し、耐摩耗性を評価した。
評価は以下の3段階とし、〇および△を合格とした。評価は、摩擦子の往復100回目と200回目の2点において行った。
〇(GOOD):いずれのサンプルにも傷を認めない
△(FAIR):傷を認めるサンプルが2個以下
×(BAD):傷を認めるサンプルが3個以上
版汚染および耐摩耗性(学振試験)の試験結果を表4に示す。
Figure 0007283637000007
表4に示されるように、各実施例では、バックコート層が一定の耐摩耗性を有し、高速な連続熱転写においてもホットスタンプの汚染を生じなかった。
上記実施例および比較例の結果により、本実施形態のホットスタンピング箔は高速な熱転写を良好に実行できることが示された。
特に、平均粒子径D50が2μm以上10μm以下、かつ添加率2%以上10%以下である実施例2-4、2-5、2-8、2-9、2-16、2-17、2-20、2-21では、摩擦子を往復200回させた学振試験後でも傷が認められず、他の実施例と比較して良好な結果が得られた。
本実施形態のバックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上を満足することができる。さらに、静摩擦係数を、0.35以上とできる。これにより、ホットスタンピング箔1のキャリア10による粉塵の発生をより防止しつつ、さらに高速でのホットスタンピング箔1の転写が可能となる。尚、バックコート層50のバインダー樹脂10の厚さは、0.3μm以上2μm以下の範囲であれば、十分な性能が得られる。
なお、補助粒子52bの樹脂ビーズ(PTFEビーズ)は、接着層40に用いられるスペーサー粒子42(シリカ)よりも硬度が低く柔軟である。このため、ホットスタンピング箔1がロール状に積層された場合に、補助粒子52bとスペーサー粒子42との衝突によるスペーサー粒子42の脱落を防止することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
第1および第2の選択的実施形態のバックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上となるよう、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドを含むバインダー樹脂に補助粒子52aまたは補助粒子52bが添加されていてもよい。
バインダー樹脂が酢酸セルロースまたはポリアミドイミドであることで、バックコート層50に硬度を付与することができる。
さらに、アマイドワックスを主成分とする補助粒子52a、およびフッ素系樹脂を主成分とする補助粒子52bは、硬度が高くかつ表面は滑らかであるため、補助粒子52a、52bの一部がバックコート層50の表面に突出することにより、バックコート層50にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。これにより、表面の動摩擦係数を下げ、かつ連続荷重式引掻き強度を高めることができる。
また、補助粒子52a、52bがバインダー樹脂51から突出する高さは、スペーサー粒子42が樹脂成分41から突出する突出高さより低くてもよい。これにより、ホットスタンピング箔1がロール状に巻かれた場合、巻き状態により発生する積層されたホットスタンピング箔1同士のブロッキングを抑制することができる。
また、第1および第2の選択的実施形態のバックコート層50の表面の静摩擦係数が0.35以上であってもよい。これにより、ホットスタンピング箔1を停止させてから熱転写させる場合に、ホットスタンピング箔1を適切に停止させることが可能になるので、ブレが生じにくくなる。
また、バックコート層50には、補助粒子52aと補助粒子52bとの両方が添加されていてもよい。この場合において、補助粒子52aと補助粒子52bとの両方の平均粒径が0.1μm以上12μm以下となっていてもよい。また、バインダー樹脂51に対する、補助粒子52aおよび補助粒子52bの合計の質量比が1%以上12%以下となっていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能であり、また、上記した実施形態や変形例を組み合わせてもよい。
1 ホットスタンピング箔
10 キャリア
10a 第一面
10b 第二面
20 積層光学構造体
25 積層光学装飾体
30 沈み込み制御層
40 接着層
41 樹脂成分
42 スペーサー粒子
50 バックコート層
51 バインダー樹脂(バインダー)
52a、52b 補助粒子(ワックス粒子)

Claims (21)

  1. 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
    第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
    前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
    前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
    前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い芳香族化合物を含むバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、
    前記積層光学装飾体は、
    熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
    前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
    前記接着層は、
    常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
    前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
    前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
    前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であり、
    前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有し、
    前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有する、
    ホットスタンピング箔。
  2. 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
    第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
    前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
    前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
    前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂と脂肪族化合物のアマイドワックスを主成分とした補助粒子との複合体であり、
    前記積層光学装飾体は、
    熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
    前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
    前記接着層は、
    常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
    前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
    前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
    前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である、
    ホットスタンピング箔。
  3. 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
    請求項1または2に記載のホットスタンピング箔。
  4. 前記バックコート層における前記界面活性剤の比率が、固形分比で1%以上5%以下である、
    請求項に記載のホットスタンピング箔。
  5. 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  6. 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  7. 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  8. 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
    第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
    前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
    前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
    前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂と脂肪族化合物のフッ素系樹脂を主成分とした補助粒子との複合体であり、
    前記積層光学装飾体は、
    熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
    前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
    前記接着層は、
    常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
    前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
    前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
    前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である、
    ホットスタンピング箔。
  9. 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
    請求項8に記載のホットスタンピング箔。
  10. 前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する、
    請求項8または9に記載のホットスタンピング箔。
  11. 前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する樹脂ビーズである、
    請求項10に記載のホットスタンピング箔。
  12. 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
    請求項8から11のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  13. 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
    請求項8から12のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  14. 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
    請求項8から13のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  15. 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
    第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
    前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
    前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
    前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースのバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、
    前記積層光学装飾体は、
    熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
    前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
    前記接着層は、
    常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
    前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
    前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
    前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であり、
    前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有する、
    ホットスタンピング箔。
  16. 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
    請求項15に記載のホットスタンピング箔。
  17. 前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する、
    請求項15または16に記載のホットスタンピング箔。
  18. 前記バックコート層における前記界面活性剤の比率が、固形分比で1%以上5%以下である、
    請求項15から17のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  19. 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
    請求項15から18のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  20. 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
    請求項15から19のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  21. 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
    請求項15から20のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
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