JP7281381B2 - 低誘電材用樹脂積層体 - Google Patents
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Description
更に、SPSはスチレンモノマーを重合して得られる炭化水素樹脂であり、誘電損失が少なく、絶縁性も有するため、前記用途の中でも電気・電子機器材料として使用することが検討されている。
また、SPSを用いた積層体の例として、特許文献2には、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、その上に積層されたシンジオタクチックポリスチレン系樹脂を含む樹脂層と、更にその上に第一、第二の金属層を有し、金属層間のピール強度が特定の値を有する電子回路基板用積層体が開示されている。更に特許文献3には、プリント基板の製造工程におけるしわの抑制を目的として、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂を主成分とし、熱処理前後のフィルムの熱収縮率が一定の範囲である二軸配向フィルムと軟質フィルムを積層したフレキシブルプリント基板製造用積層体が開示されている。
更に、最近ではレーダー用のカバーとして高い電波透過性を要求されるミリ波レドームに用いる樹脂についても、従来の樹脂より高い耐衝撃性と優れた誘電特性が必要とされている。
したがって、本発明は、誘電損失が小さく、高い靭性を有する、電子部品、特に回路基板、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板に適した低誘電材用樹脂積層体を提供することを課題とする。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層(S)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層(M)が交互に合計3層以上積層され、最外層が樹脂層(S)である、低誘電材用樹脂積層体。
[2]
樹脂層(S)が配向フィルムからなる、[1]に記載の低誘電材用樹脂積層体。
[3]
樹脂層(S)が二軸延伸フィルムからなる、[1]又は[2]に記載の低誘電材用樹脂積層体。
[4]
スチレン系樹脂(S1)の重量平均分子量が、150,000~250,000である、[1]~[3]のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体。
[5]
樹脂(M1)が、スチレン系樹脂である、[1]~[4]のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体。
[6]
樹脂(M1)が、パラメチルスチレンを共重合成分とするスチレン系樹脂である、[1]~[5]のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体。
[7]
樹脂(M1)の重量平均分子量が、150,000~250,000である、[1]~[6]のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体。
[8]
樹脂(M1)の共重合成分中、パラメチルスチレン成分が3~15モル%である、[6]又は[7]に記載の低誘電材用樹脂積層体。
[9]
[1]~[6]のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
[10]
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む配向フィルム(SF)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含むフィルム(MF)を交互に、かつ最外層が樹脂層(S)となるように、合計3層以上積層し、プレスして一体化する工程を有する、低誘電材用樹脂積層体の製造方法。
[11]
前記工程において、配向フィルム(SF)が二軸延伸フィルムである、[10]に記載の低誘電材用樹脂積層体の製造方法。
[12]
前記工程において、250~268℃でプレスして一体化する、[10]又は[11]に記載の低誘電材用樹脂積層体の製造方法。
[13]
前記工程において、真空プレス法によって、プレスして一体化する、[10]~[12]のいずれか1つに記載の低誘電材用樹脂積層体の製造方法。
[14]
前記真空プレス法のプレス圧力が0.5~5.0MPaであり、プレス保持時間が1~60分である、[13]に記載の低誘電材用樹脂積層体の製造方法。
[15]
[10]~[14]のいずれかに1つに記載の製造方法で得られた低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
以下、各項目について詳細に説明する。
本発明の低誘電材用樹脂積層体は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層(S)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層(M)が交互に合計3層以上積層され、最外層が樹脂層(S)である。
本発明の一実施形態である3層の場合を図1に示す。本発明の低誘電材用樹脂積層体1は、軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層2(樹脂層(M)に相当)の両側を、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層3(樹脂層(S)に相当)で挟み、最外層がいずれも樹脂層3となる。
積層数は3層以上であり、5層以上が好ましく、7層以上がより好ましく、9層以上が更に好ましく、15層以上がより更に好ましい。上限値は、39層以下が好ましく、35層以下がより好ましく、29層以下が更に好ましい。積層数を3層以上とすることで、本積層体に衝撃力が加わった際に、SPS層間に存在する低軟化点の比較的柔軟な樹脂層が衝撃力を分散、緩和し、靭性を高めているものと考えられる。
樹脂層(S)にはシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む。
樹脂層(S)において、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましく、99質量%以上がより更に好ましく、100質量%であってもよい。
樹脂層(S)を構成するシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)は、ラセミダイアッド(r)で75モル%以上、好ましくは85モル%以上、ラセミペンタッド(rrrr)で30モル%以上、好ましくは50モル%以上のシンジオタクティシティを有する。
タクティシティは、隣り合うスチレン単位におけるフェニル環が、重合体ブロックの主鎖によって形成される平面に対して交互に配置されている割合のことを意味する。シンジオタクティシティは、核磁気共鳴法(13C-NMR法)により定量できる。ダイアッドは連続した2つのモノマーユニット、ペンタッドは5つのモノマーユニットでのシンジオタクティシティを示す。
スチレン系樹脂(S1)にスチレンを主成分とする共重合体を用いる場合、スチレン成分は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が更に好ましい。
スチレン系樹脂(S1)の軟化点は、260℃より大きいことが好ましく、261℃以上がより好ましく、262℃以上が更に好ましく、263~267℃がより更に好ましい。軟化点はJIS K7206:2016に準拠して測定することができ、具体的には実施例に示す方法で測定することができる。
スチレン系樹脂(S1)の融点は、265℃以上が好ましく、267℃以上がより好ましく、269℃以上がさらにより好ましい。また、275℃以下が好ましく、273℃以下がより好ましい。
樹脂(S1)の誘電正接(tanδ)は、0.00030以下が好ましく、0.00025以下がより好ましい。誘電正接(tanδ)は、実施例に記載された樹脂積層体の誘電正接の測定方法と同様の測定方法によって得ることができる。誘電正接(tanδ)の値が小さいほど、誘電損失が小さく、誘電特性に優れる。本発明の樹脂積層体は、絶縁性に優れるSPSフィルムが積層されているため、誘電正接(tanδ)が低く、特に回路基板、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板等の電子材料に適した積層体を得ることができるものと考えられる。
樹脂層(S)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。樹脂層(S)の厚さが前記の範囲であれば、特にフィルム成形時に、十分に配向させることができ、積層体としたときに優れた靭性を得ることができる。
樹脂層(S)は、配向フィルムからなることが好ましい。本明細書において配向フィルムとは、フィルム面内の結晶部における広角X線回折(WAXD)により算出された配向係数がThrough方向で-0.1000以上0.0100以下、Edge方向で-0.5000以上-0.1000未満、End方向で-0.5000以上-0.1000未満であるものである。End方向とはフィルム長手方向に平行な方向からのX線入射であり、Edge方向とはこれと直角のしかも厚み方向にも直角なX線入射であり、Through方向とはフィルム面に対して垂直なX線入射である。配向係数が上記範囲であれば、回路基板用、ミリ波レドーム用、良電波透過性樹脂板用などの用途に用いる樹脂積層体に必要な十分な衝撃強度を得ることができる。
まず、広角X線回折測定においては、X線発生装置(理学電気社製、ultraX 18HF)を用いて50KV、250mAの出力でCuKα線(波長=1.5418Å)の単色光を5分間照射し、イメージングプレート型二次元検出器により回折像を得た。この時、試料と検出器の間の距離(カメラ長)は105mmに調整した。
作製した配向フィルムを厚さが1mm以上になるように方向を揃えて積層し、測定試料として準備した。測定試料の向きを調整し、X線の入射方向を変えることで、前述したThrough方向、Edge方向、End方向の回折像をそれぞれ得た。
結晶配向係数の算出にあたっては、得られた回折像の赤道方向の強度プロフィールから、α型結晶の(110)面に帰属される回折角2θ=6.7degの回折ピークを使用した。
配向軸に対する面法線ベクトルの結晶配向係数fは、式(F1)に基づいて算出する。
ここで、φはX線回折測定における方位角であり、θは赤道方向の回折角2θの1/2、δは回折像上の子午線から回折ピーク位置までの傾き角を示す。
また、I(φ)は(110)面の角度φにおける回折強度である。
さらに、樹脂層(S)は、二軸延伸フィルムからなることがより好ましい。二軸延伸フィルムは後述の本発明の積層体の製造方法に記載の方法で得られるものが好ましい。樹脂層(S)に二軸延伸フィルムを用いた場合、樹脂層(S)は、長手方向(MD)と幅方向(TD)の両方向に延伸されているため、樹脂の分子が面と平行に(MD、TD方向)に配向しており、積層体とした場合、その面に衝撃を受けた際の靭性に優れる。
樹脂層(M)には、軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む。
樹脂層(M)において、軟化点が260℃以下の樹脂(M1)は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、99質量%以上がより更に好ましく、100質量%であってもよい。
樹脂(M1)の軟化点は、260℃以下であり、255℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、240℃以下が更に好ましい。軟化点は、JIS K7206:2016によって測定することができ、具体的には実施例に示す方法で測定することができる。
樹脂(M1)に用いられる樹脂が、スチレン系樹脂であることによって、樹脂層(M)と樹脂層(S)の親和性が高まり、各層が剥離しにくく、本発明の積層体の靭性が向上するものと考えられる。
樹脂(M1)に用いられるスチレン系樹脂の立体規則性が、シンジオタクチックである場合、融点は、265℃以下であり、262℃以下が好ましく、259℃以下がより好ましく、256℃以下が更に好ましい。
ハロゲン化スチレンとしては、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。
ハロゲン化アルキルスチレンとしては、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
アルコキシスチレンとしては、メトキシスチレン、エトキシスチレン等が挙げられる。
樹脂(M1)が、パラメチルスチレンを共重合成分とするスチレン系樹脂である場合、共重合成分中、パラメチルスチレン成分は、3~15モル%が好ましく、4~12モル%がより好ましく、5~10モル%が更に好ましい。
樹脂(M1)の誘電正接(tanδ)は、0.00030以下が好ましく、0.00020以下がより好ましい。誘電正接(tanδ)は、実施例に記載された樹脂積層体の誘電正接の測定方法と同様の測定方法によって得ることができる。
樹脂層(M)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。樹脂層(M)の厚さが前記の範囲であると、樹脂積層体としたときに各層同士の十分な接着性と優れた衝撃強度を両立させることができる。
樹脂層(M)は、配向フィルムであってもなくてもよい。
本発明の樹脂積層体の厚さは、0.01~3.0mmが好ましく、0.02~3.0mmがより好ましく、0.03~3.0mmが更に好ましい。
なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、0.03~1.5mmが好ましく、0.10~1.0mmがより好ましく、0.2~0.9mmが更に好ましい。また、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板の用途に用いる場合には、0.9~3.0mmが好ましく、0.9~2.5mmがより好ましい。
本発明の樹脂積層体の誘電正接(tanδ)は、0.00030以下が好ましく、0.00025以下がより好ましい。誘電正接(tanδ)は実施例に記載の測定方法によって得られる値である。誘電正接(tanδ)の値が小さいほど、誘電損失が小さく、誘電特性に優れる。本発明の樹脂積層体は、絶縁性に優れるSPSフィルムが積層されているため、誘電正接(tanδ)が低く、特に回路基板、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板等の電子材料に適した積層体を得ることができるものと考えられる。
本発明の樹脂積層体の衝撃強度は、厚さを0.9mmとした場合、0.1J以上が好ましく、0.6J以上がより好ましく、0.8J以上が更に好ましい。ここでの衝撃強度は、実施例に記載の測定方法によって得られる値である。
本発明の樹脂積層体は、強度にも優れるSPSフィルムと、軟化点の低いより柔軟な樹脂が密着して構成されているため、衝撃強度に優れるものと考えられる。更に好適なSPSフィルムは配向フィルムであり、強度が高く、特に二軸延伸フィルムである場合には、ポリスチレン分子の配向性がより高く、更に強度が高まるものと考えられる。
本発明の低誘電材用樹脂積層体の製造方法は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む配向フィルム(SF)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含むフィルム(MF)を交互に、かつ最外層がフィルム(SF)となるように、合計3層以上積層し、プレスして一体化する工程を有する。
このようにして得られた樹脂積層体が、優れた靭性と低い誘電損失を備える理由は定かではないが、次のように考えられる。
配向したSPSフィルムは耐衝撃性に優れる一方で、配向させるために比較的薄いフィルムになる。そのSPSフィルムを軟化点が比較的低い樹脂を融着させることにより、SPSフィルムの分子配向性を損なうことなく、適度な厚さに成形することができる。さらに前記の軟化点の低い樹脂をスチレン系樹脂にすることで、小さな誘電損失と優れた靭性を両立する積層体となり、特に回路基板、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板等の電子材料に適した積層体を得ることができるものと考えられる。
本製造方法において、各樹脂層(S)に用いられるフィルムは、配向フィルム(SF)を用いる。
配向フィルム(SF)に用いる樹脂は、前記(シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1))に記載したSPSを用いることが好ましく、好適な範囲も前記樹脂(S1)の説明に記載したものと同様である。すなわち、ポリスチレン(スチレンホモポリマー)が好ましい。
配向フィルムは、樹脂(S1)を押出機にて溶融押出し、キャストロールにて冷却固化し、延伸機にて延伸を行い、必要に応じて得られたフィルムを熱処理して、得られる延伸フィルムであることが好ましい。なかでも、二軸延伸することで得られる、二軸延伸フィルムがより好ましい。
以下に二軸延伸フィルムである場合の配向フィルム(SF)の製造について説明する。
押出機は、単軸押出機又は二軸押出機を用いることができ、真空ベント付き押出機を用いることが樹脂の乾燥を促進する点で好ましい。また、押出変動を抑えるため、ギヤポンプを設置することが好ましく、異物混入を避けるため、ギヤポンプの後にポリマーフィルタを設けることがより好ましい。
ポリマーフィルタとしては、リーフディスクタイプ、キャンドルタイプが挙げられる。
ポリマーフィルタの濾過材としては、焼結金属タイプが好ましい。捕集粒径としては、1~100μmが好ましい。
押出機での押出温度は、290~330℃が好ましい。押出機のヒーターから、ポリマーライン、ギヤポンプ、ポリマーフィルタ、Tダイスまで押出温度に調整することが好ましい。
前記押出機のTダイスより溶融押出された樹脂(S1)をキャストロールに密着させるため、エアーチャンバー方式、静電印加方式あるいはそれらを組み合わせて用いることが好ましい。
このようにキャストロール上に溶融した樹脂を密着させ、急冷することにより、延伸工程にて安定して連続したキャストフィルムを得ることができる。
キャストロールの引速は1~30m/分が好ましく、3~15m/分がより好ましい。
同時二軸延伸方式は、長手方向(MD)、幅方向(TD)を同時に延伸するため、MDとTDで物性に偏りが生じにくい。たとえば、MDとTDで配向性に偏りが少ないため、衝撃を受けた際の靭性にも方向による優劣の差が小さい積層体が得られる。
同時二軸延伸方式としては、パンタグラフ方式を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸方式には、ロール式縦延伸機及びテンター式横延伸機を用いることが好ましい。
延伸温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、105~120℃がより好ましい。
熱固定温度は180~265℃が好ましく、200~260℃がより好ましく、200~250℃がより好ましい。
パンタグラフ方式の二軸延伸機を用いる場合、予熱温度は予熱ゾーン、延伸温度は延伸ゾーン、熱固定温度は熱固定ゾーンに設定する。
延伸倍率は、縦は2.5~4.0が好ましく、横は2.5~4.0が好ましい。
前記熱固定ゾーンでは、フィルムの後収縮を抑えるために、縦0.5~10%、横0.5~10%の弛緩率を設けることが好ましい。
得られる二軸延伸フィルム(SF)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。二軸延伸フィルム(SF)の厚さが前記の範囲であれば、特にフィルム成形時に、十分に配向させることができ、積層体としたときに優れた靭性を得ることができる。
逐次二軸延伸方式でテンター式横延伸機を用いる場合、延伸温度において、予熱温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、105~120℃がより好ましい。
延伸温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、105~120℃がより好ましい。
熱固定温度は180~265℃が好ましく、200~260℃がより好ましく、200~250℃がより好ましい。
延伸倍率は、横は2.5~4.0が好ましい。
前記熱固定ゾーンでは、フィルムの後収縮を抑えるために、0.5~10%の弛緩率を設けることが好ましい。
得られる二軸延伸フィルム(SF)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。二軸延伸フィルム(SF)の厚さが前記の範囲であれば、特にフィルム成形時に、十分に配向させることができ、積層体としたときに優れた靭性を得ることができる。
本製造方法において、フィルム(MF)は、得られる積層体の樹脂層(M)を形成する。フィルム(MF)は、キャストフィルム、配向フィルム、延伸フィルムであってもよいが、配向フィルム、延伸フィルムが好ましく、なかでも二軸延伸フィルムがより好ましい。
フィルム(MF)は、軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む。樹脂(M1)としては、ポリフェニレンエーテル樹脂やスチレン系樹脂等が挙げられ、中でも、スチレン系樹脂を含むことが好ましく、好適な範囲も前記樹脂(M1)の説明に記載したものと同様である。すなわち、パラメチルスチレンを共重合成分とするスチレン系樹脂が好ましく、共重合体成分中、パラメチルスチレン成分は、3~15モル%がより好ましく、立体規則性(タクティシティ)は、シンジオタクチックであるものが更に好ましい。
押出機は、単軸押出機又は二軸押出機を用いることができ、真空ベント付き押出機を用いることが樹脂の乾燥を促進する点で好ましい。また、押出変動を抑えるため、ギヤポンプを設置することが好ましく、異物混入を避けるため、ギヤポンプの後にポリマーフィルタを設けることがより好ましい。
ポリマーフィルタとしては、リーフディスクタイプ、キャンドルタイプが挙げられる。
ポリマーフィルタの濾過材としては、焼結金属タイプが好ましい。捕集粒径としては、1~100μmが好ましい。
押出機での押出温度は、270~330℃が好ましい。押出機のヒーターから、ポリマーライン、ギヤポンプ、ポリマーフィルタ、Tダイスまで押出温度に調整することが好ましい。
前記押出機のTダイスより溶融押出された樹脂(M1)をキャストロールに密着させるため、エアーチャンバー方式、静電印加方式あるいはそれらを組み合わせて用いることが好ましい。
このようにキャストロール上に溶融した樹脂を密着させ、急冷することにより、延伸工程にて安定して連続したフィルムを得ることができる。
キャストロールの引速は1~30m/分が好ましく、3~15m/分がより好ましい。
同時二軸延伸方式は、長手方向(MD)、幅方向(TD)を同時に延伸するため、MDとTDで物性に偏りが生じにくい。たとえば、MDとTDで配向性に偏りがないため、衝撃を受けた際の靭性にも方向による優劣がない積層体が得られる。
同時二軸延伸方式としては、パンタグラフ方式を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸方式には、ロール式縦延伸機及びテンター式横延伸機を用いることが好ましい。
延伸温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、110~130℃がより好ましい。
熱固定温度は180~250℃が好ましく、180~240℃がより好ましく、180~220℃がより好ましい。
パンタグラフ方式の二軸延伸機を用いる場合、予熱温度は予熱ゾーン、延伸温度は延伸ゾーン、熱固定温度は熱固定ゾーンに設定する。
延伸倍率は、縦は2.5~4.0が好ましく、横は2.5~4.0が好ましい。
前記熱固定ゾーンでは、フィルムの後収縮を抑えるために、縦0.5~10%、横0.5~10%の弛緩率を設けることが好ましい。
得られる二軸延伸フィルム(MF)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。二軸延伸フィルム(MF)の厚さが前記の範囲であると、樹脂積層体としたときに各層同士の十分な接着性と優れた衝撃強度を両立させることができる。
逐次二軸延伸方式でテンター式横延伸機を用いる場合、延伸温度において、予熱温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、110~130℃がより好ましい。
延伸温度は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましく、110~130℃がより好ましい。
熱固定温度は180~250℃が好ましく、180~240℃がより好ましく、180~220℃がより好ましい。
延伸倍率は、横は2.5~4.0が好ましい。
前記熱固定ゾーンでは、フィルムの後収縮を抑えるために、0.5~10%の弛緩率を設けることが好ましい。
得られるフィルム(MF)の厚さは、2~100μmが好ましい。なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、10~80μmが好ましく、15~60μmがより好ましく、20~50μmがより更に好ましい。フィルム(MF)の厚さが前記の範囲であると、樹脂積層体としたときに各層同士の十分な接着性と優れた衝撃強度を両立させることができる。
本製造方法において、フィルム(SF)とフィルム(MF)を交互に、かつ最外層がフィルム(SF)となるように、合計3層以上積層し、プレスして一体化する。
本工程おける積層数は3層以上であり、5層以上が好ましく、7層以上がより好ましく、9層以上が更に好ましく、15層以上がより更に好ましい。上限値は、39層以下が好ましく、35層以下がより好ましく、29層以下が更に好ましい。積層数を3層以上とすることで、本積層体に衝撃力が加わった際に、SPS層間に存在する低軟化点の比較的柔軟なスチレン系樹脂層が衝撃力を分散、緩和し、靭性を高めているものと考えられる。
プレス一体化工程では、250~268℃でプレスして一体化することが好ましく、255~265℃がより好ましく、257~263℃が更に好ましい。250~268℃でプレスすることで、SPS層の分子配向状態を維持したままで、各樹脂層を密着させることができる。
本工程において、用いるプレス方法に制限はないが、真空プレス法によって、プレスして一体化することが好ましい。また、本工程では、真空プレス機を用いることが好ましい。真空プレス法を用いた場合のプレス条件としては、真空度は-0.05MPa以下が好ましく、プレス温度は250~268℃が好ましく、プレス圧力は0.5~5.0MPaが好ましく、1.0~4.0MPaがより好ましく、1.5~3.0MPaが更に好ましい。また、プレス保持時間は1~60分が好ましく、1~30分がより好ましく、1~10分が更に好ましい。
このようにして、積層されたフィルムを一体化することで、樹脂積層体を得ることが好ましい。
本発明の製造方法で得られた樹脂積層体の構造及び特性は、前記[低誘電材用樹脂積層体]の項に記載したものが好ましく、以下の通りである。
すなわち、本発明の製造方法で得られた好適な樹脂積層体は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層(S)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層(M)が交互に合計3層以上積層され、最外層が樹脂層(S)である。
図1に示すように本発明の低誘電材用樹脂積層体1が3層の場合、軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層2(樹脂層(M)に相当)の両側を、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層3(樹脂層(S)に相当)で挟み、最外層がいずれも樹脂層3となることが好ましい。
積層数は3層以上であり、5層以上が好ましく、7層以上がより好ましく、9層以上が更に好ましく、15層以上がより更に好ましい。上限値は、39層以下が好ましく、35層以下がより好ましく、29層以下が更に好ましい。積層数を3層以上とすることで、本積層体に衝撃力が加わった際に、SPS層間に存在する低軟化点の比較的柔軟なスチレン系樹脂層が衝撃力を分散、緩和し、靭性を高めることができると考えられる。
なかでも、回路基板の用途に用いる場合には、0.03~1.5mmが好ましく、0.10~1.0mmがより好ましく、0.2~0.9mmが更に好ましい。また、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板の用途に用いる場合には、0.9~3.0mmが好ましく、0.9~2.5mmがより好ましい。
本発明の製造方法で得られた樹脂積層体の誘電損失は、0.00030以下が好ましく、0.00025以下がより好ましい。誘電損失は実施例に記載の測定方法によって得られた値である。積層体全体が絶縁性に優れるスチレン系樹脂からなるため、誘電損失が低く、特に回路基板等の電子材料に適した積層体を得ることができるものと考えられる。
本発明の製造方法で得られた樹脂積層体の衝撃強度は、厚さを0.9mmとした場合、0.1J以上が好ましく、0.6J以上がより好ましく、0.8J以上が更に好ましい。ここでの衝撃強度は、実施例に記載の測定方法によって得られる値である。
本発明の製造方法で得られた樹脂積層体は、強度にも優れるSPSフィルムと、軟化点の低いより柔軟な樹脂が密着して構成されているため、衝撃強度に優れるものと考えられる。更に好適なSPSフィルムは二軸延伸フィルムであり、ポリスチレン分子の配向性が高く、より強度が高まっているものと考えられる。
本発明の電子回路基板は、前記低誘電材用樹脂積層体を含む。
また、本発明の第二の態様の電子回路基板は、前記製造方法で得られた低誘電材用樹脂積層体を含む。
更に、本発明の樹脂積層体あるいは本発明の製造方法で得られた樹脂積層体は、ミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板として用いてもよく、光導波路回路板、アレイアンテナ、MIMOアンテナ、アレイアンテナ電極電気工学変調器などにも利用することができる。
本発明の樹脂積層体あるいは本発明の製造方法で得られた樹脂積層体を電子回路基板として用いる場合、電子回路基板の全体の厚さは0.05~2.0mmが好ましく、0.4~1.6mmがより好ましい。
また、本発明の電子回路基板は、電子回路用基板の片面あるいは両面に金属層を積層させ、金属層をパターニングすることにより製造される。パターニングは、フォトリソ法により金属層をエッチングすることにより行うことが好ましい。無電解メッキ法、電解メッキ法、蒸着法、トリアジンを使用した金属密着法を用いることもできる。本発明の樹脂積層体に置換または無置換のポリアニリンを含むポリアニリン層を積層させ、ポリアニリン層に無電解メッキ等でメタライジングすることもできる。この方法は樹脂積層体と金属層の密着性に優れ、かつ極めて平滑な金属層が得られる。そのため、この方法は伝送損失の小さい電子回路基板を得ることができることから好ましく用いることができる。
なお、本発明の樹脂積層体あるいは本発明の製造方法で得られた樹脂積層体をミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板として用いる場合、該樹脂板の全体の厚さは1.0~7.0mmが好ましく、1.5~5.0mmがより好ましく、2.0~2.5mmが更に好ましい。
本発明の樹脂積層体をミリ波レドーム用樹脂板、良電波透過性樹脂板として用いる場合、必要に応じてコート材等をさらに積層させることもできる。
ゲル浸透クロマトグラフィー(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ、略称「GPC」)測定法により測定した。
測定条件は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8321GPC/HT)、東ソー株式会社製GPCカラム(GMHHR-H(S)HT)を用い、溶離液として1,2,4-トリクロロベンゼンを用い、145℃で測定した。
標準ポリスチレンの検量線を用いて、ポリスチレン換算分子量として算出した。
軟化点(ビカット軟化点)は、JIS K7206:2016に準拠して測定を行った。
測定条件は、東洋精機製作所株式会社製の3M-2を用い、A120法、試験荷重10N及び昇温速度120℃/h、試験開始温度を50℃、最大侵入量1mmとして、3回測定を行い、その平均を求めた。
測定用サンプルは、次のように作製した。
深さ3mmの型枠に、樹脂のパウダーを充填して密閉し、真空にすると同時に、昇温、加圧(真空度:-0.1MPa以下、プレス圧:2MPa)した。SPS(重量平均分子量230,000)は280℃まで昇温して5分保持した後、自然冷却して250℃になった時点で、常圧に戻し、プレス圧力を開放し、サンプルを型枠から取り出した後、常温まで自然冷却した。パラメチルスチレン共重合SPS(重量平均分子量180,000)は260℃まで昇温して5分保持した後、自然冷却して230℃になった時点で、常圧に戻し、プレス圧力を開放し、冷却して、サンプルを型枠から取り出した後、常温まで自然冷却した。
SPSのサンプル及びパラメチルスチレン共重合SPSのサンプルは、150℃、10分アニールした。アニール後、それぞれ略3mm角に裁断し、測定用サンプルとした。
実施例及び比較例の樹脂積層体の衝撃強度を下記の条件で測定した。
試験方法:JIS K5600-5-3に準拠
試験装置:デュポン衝撃試験機(テスター産業株式会社製)
試験片:65mmφ
撃ち型及び受け台半径:12.7mm
試験環境:23℃、相対湿度50%
判定方法:JIS K7211-1準拠
実施例及び比較例の樹脂積層体の誘電正接(tanδ)を、JIS K6911-1995に準拠して下記の条件で測定した。
誘電正接(tanδ)の値が小さいものほど、誘電損失が小さく、誘電特性に優れる。
LCRメータ:HP4284A(ヒューレットパッカード社製、電極:HP16451B、印加電圧範囲:42V)
測定周波数:1MHz
試験サイズ:60mmφ
広角X線回折測定においては、X線発生装置(理学電気社製、ultraX 18HF)を用いて50KV、250mAの出力でCuKα線(波長=1.5418Å)の単色光を5分間照射し、イメージングプレート型二次元検出器により回折像を得た。この時、試料と検出器の間の距離(カメラ長)は105mmに調整した。
作製した配向フィルムを厚さが1mm以上になるように方向を揃えて積層し、測定試料として準備した。測定試料の向きを調整し、X線の入射方向を変えることで、Through方向、Edge方向、End方向の回折像をそれぞれ得た。
結晶配向係数の算出にあたっては、得られた回折像の赤道方向の強度プロフィールから、α型結晶の(110)面に帰属される回折角2θ=6.7degの回折ピークを使用した。
配向軸に対する面法線ベクトルの結晶配向係数f(配向係数f)は、式(F1)に基づいて算出した。
ここで、φはX線回折測定における方位角であり、θは赤道方向の回折角2θの1/2、δは回折像上の子午線から回折ピーク位置までの傾き角を示す。
また、I(φ)は(110)面の角度φにおける回折強度である。
(1)二軸延伸SPSフィルム(SF)の製造
重量平均分子量230,000のSPS(シンジオタクチックポリスチレン、スチレンホモポリマー、軟化点265℃、融点271℃)ペレットを、単軸押出機にて300℃で溶融し、Tダイスより押出し、80℃のキャストロールにて引速6m/分で冷却した。得られたキャストフィルムの厚みは541μmであった。その後、得られたキャストフィルムにパンタグラフ方式の二軸延伸機を用いて同時二軸延伸を行い、延伸後のフィルムを熱処理(アニール)して、厚さ50μmの二軸延伸SPSフィルム(SF)を得た。なお、二軸延伸機の条件は、予熱ゾーンと延伸ゾーンを120℃、熱固定ゾーンを200℃に設定し、延伸ゾーンの延伸倍率をMD(長手方向)、TD(幅方向)ともに3.5倍、熱固定ゾーンの弛緩率をMD(長手方向)、TD(幅方向)ともに6%とした。
得られた二軸延伸SPSフィルム(SF)の配向係数は、Through方向で0.0004、Edge方向で-0.3048、End方向で-0.2758であった。
重量平均分子量180,000のパラメチルスチレンランダム共重合SPS(パラメチルスチレン成分8モル%、軟化点236℃、融点250℃)ペレットを、単軸押出機にて290℃で溶融し、Tダイスより押出し、80℃のキャストロールにて引速6m/分で冷却した。得られたキャストフィルムの厚みは271μmであった。その後、得られたキャストフィルムにパンタグラフ方式の二軸延伸機を用いて同時二軸延伸を行い、延伸後のフィルムを熱処理(アニール)して、厚さ25μmの二軸延伸パラメチルスチレン共重合SPSフィルム(二軸延伸PMS/SPSフィルム)(MF)を得た。なお、二軸延伸機の条件は、(1)二軸延伸SPSフィルム(SF)の製造と同様にした。
(1)で得られたフィルム(SF)及び(2)で得られたフィルム(MF)を最外層がSFとなるように交互に計27枚重ね、真空プレス機にて真空度-0.1MPa以下、プレス圧力1.8MPa、260℃の条件で3分プレスし、その後230℃に冷却、大気圧に戻し、樹脂積層体を得た。樹脂積層板の厚さは0.9mmであった。衝撃強度と誘電正接(tanδ)の値を表1に示す。
(1)で得られたフィルム(SF)を計20枚重ね、真空プレス機にて真空度-0.1MPa以下、プレス圧力1.5MPa、280℃の条件で3分プレスし、その後230℃に冷却、大気圧に戻し、樹脂積層体を得た。樹脂積層板の厚さは0.9mmであった。衝撃強度と誘電正接(tanδ)の値を表1に示す。
(4)厚み50μmの二軸延伸パラメチルスチレン共重合SPSフィルム(MF)の製造
押出機で使用する樹脂の吐出量を調整する以外は、(2)と同様の条件で溶融押出を行い、厚み541μmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムに、パンタグラフ方式の二軸延伸機を用いて同時二軸延伸を行い、延伸後のフィルムを熱処理(アニール)して、厚さ50μmの二軸延伸パラメチルスチレン共重合SPSフィルム(二軸延伸PMS/SPSフィルム)(MF)を得た。なお、二軸延伸機の条件は、(1)二軸延伸SPSフィルム(SF)の製造と同様にした。
(1)二軸延伸SPSフィルム(SF)の製造で用いた重量平均分子量230,000のSPSペレットとスチレン系エラストマー(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロックコポリマー、SEBS)を80/20(質量/質量)の割合となるように混合し、二軸押出機にてペレタイズして、混合樹脂のペレットを得た。そのペレットをディスクミルで粉砕し、平均粒径500μmの樹脂パウダーとした。樹脂パウダーを型枠に敷き、真空プレス機にて真空度-0.1MPa以下、プレス圧力1.5MPa、290℃の条件で3分プレスし、その後230℃に冷却、大気圧に戻し、樹脂成型体を得た。樹脂成形体の厚みは0.9mmであった。衝撃強度と誘電正接(tanδ)の値を表1に示す。
2 軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含む樹脂層(樹脂層(M))
3 シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層(樹脂層(S))
Claims (13)
- シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む樹脂層(S)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含み、アイソタクチックポリプロピレンを含まない樹脂層(M)が交互に合計3層以上積層され、最外層が樹脂層(S)であり、
樹脂(M1)が、パラメチルスチレンを共重合成分とするスチレン系樹脂である、低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。 - 樹脂層(S)が配向フィルムからなる、請求項1に記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- 樹脂層(S)が二軸延伸フィルムからなる、請求項1又は2に記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- スチレン系樹脂(S1)の重量平均分子量が、150,000~250,000である、請求項1~3のいずれか1つに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- 樹脂(M1)に用いられるスチレン系樹脂の立体規則性が、シンジオタクチックである、請求項1~4のいずれか1つに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- 樹脂(M1)の重量平均分子量が、150,000~250,000である、請求項1~5のいずれかに1つに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- 樹脂(M1)の共重合成分中、パラメチルスチレン成分が3~15モル%である、請求項1~6のいずれかに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板。
- シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(S1)を含む配向フィルム(SF)と軟化点が260℃以下の樹脂(M1)を含み、アイソタクチックポリプロピレンを含まないフィルム(MF)を交互に、かつ最外層がフィルム(SF)となるように、合計3層以上積層し、プレスして一体化する工程を有し、樹脂(M1)が、パラメチルスチレンを共重合成分とするスチレン系樹脂である、請求項1~7のいずれかに記載の低誘電材用樹脂積層体を含む電子回路基板の製造方法。
- 前記工程において、配向フィルム(SF)が二軸延伸フィルムである、請求項8に記載の電子回路基板の製造方法。
- 前記工程において、250~268℃でプレスして一体化する、請求項8又は9に記載の電子回路基板の製造方法。
- 前記工程において、真空プレス法によって、プレスして一体化する、請求項8~10のいずれか1つに記載の電子回路基板の製造方法。
- 前記真空プレス法のプレス圧力が0.5~5.0MPaであり、プレス保持時間が1~60分である、請求項11に記載の電子回路基板の製造方法。
- 請求項8~12のいずれかに1つに記載の製造方法で得られた電子回路基板。
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