JP7276584B1 - プレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラム、並びにプレス成形品の製造方法 - Google Patents

プレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラム、並びにプレス成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実際にプレス成形した実プレス成形品と弾塑性力学的解析により取得したプレス成形解析モデルのスプリングバック量を比較して評価するプレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラム、並びにプレス成形品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法は、実際にプレス成形してスプリングバックした実プレス成形品11を成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析により取得したプレス成形品ワーク形状モデル17(S1)に、所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行って実プレス成形品11のスプリングバック量を求め(S3)、実プレス成形品11をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により取得したプレス成形品解析モデル21(S5)についても同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行ってスプリングバック量を算出し(S7)、これらのスプリングバック量を比較・評価する(S9)ものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、実際にプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、プレス成形解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するプレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラムに関する。
さらに、本発明は、スプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整して実際にプレス成形することにより、寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造するプレス成形品の製造方法に関する。
金属板のプレス成形においては、プレス成形品に対して高い寸法精度が要求される。しかしながら、プレス成形では、金型で成形下死点まで金属板をプレス成形した後、金型からプレス成形品を取り出して離型する段階において、プレス成形品の弾性的な形状回復、すなわちスプリングバックが発生することで、成形下死点の状態から寸法精度が変化し、これがしばしば寸法精度不良の要因となる。そこで、プレス成形品の寸法精度不良を防ぐために、有限要素法を用いたプレス成形過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析を行い、プレス成形品の寸法精度を事前に予測することが一般的に行われている。
このようなプレス成形品の寸法精度の予測により得られたスプリングバック量の良否を評価するためには、実際のプレス成形品の三次元表面形状の測定により得られた形状データと、力学的解析により得られたプレス成形品の形状データと、の形状比較による検証が必要である。これらの形状データを用いてプレス成形品の形状比較を行うためには、まず各形状データの位置合わせが必須である。
物体の形状データの位置合わせ方法としては、一方の形状データを基準として、他方の形状データを平行移動及び/又は回転移動させて一方の形状データとの相対距離が最小となる位置に移動させる、ベストフィットと呼ばれる手法が一般的に使用されている(例えば、非特許文献1参照)。そして、ベストフィットにおいては、形状データ全体の相対距離が最小となるようにする方法と、形状データの一部の部位の相対距離が最小となるようにする方法と、の2種類があり、これらの位置合わせにおける方法は、比較する目的によって使い分けられる。
また、非特許文献2には、一方の形状データに複数の基準点を設定し、それらの基準点にあわせて他方の形状データを平行移動あるいは回転移動させることにより、両形状データの位置合わせを行う方法が開示されている。
松浦勇、曲面形状の高精度三次元ベストフィット、あいち産業科学技術総合センター研究方向2012、p.22 プレス成形難易ハンドブック第3版、薄鋼板成形技術研究会編、p.341-342
ベストフィットによる形状データの位置合わせ方法は、極めて汎用性の高い方法である。しかしながら、一例として図5に示すように、実プレス成形品11の力学的解析により求めたプレス成形品解析モデル21と、実プレス成形品11の三次元表面形状測定データ13と、の形状を比較するに際し、(c)(i)実プレス成形品11の全体とベストフィットした場合と、(ii)プレス成形品解析モデル21のパンチ底部21aを実プレス成形品11の三次元表面形状測定データ13におけるパンチ底部13a(実プレス成形品11のパンチ底部11aに対応)とベストフィットした場合と、では、図5(c)に示すように、三次元表面形状測定データ13からのプレス成形品解析モデル21の乖離量は全く異なってしまう。
そして、プレス成形品解析モデル21と三次元表面形状測定データ13との形状の違いの要因が、実プレス成形品11のスプリングバックにより生じたねじれによるものであるのか、実プレス成形品11の稜線部の曲げ角度の違いによるものであるのか、等を判別しにくく、実プレス成形品11のどの部位の形状が異なっているのかを判別することは困難であった。特に、二つの形状データが全体にわたって大きく異なる場合、つまり力学的解析により予測されたプレス成形品の形状と実プレス成形品の形状とが大きく乖離する場合、両者の形状の違いの要因を明らかにすることは極めて困難であった。
そのため、プレス成形品解析モデル21により算出されるスプリングバック量と、実プレス成形品11のスプリングバック量と、の比較においても、ベストフィットする部位の違いによって両者の乖離量が異なるため、プレス成形品解析モデルにより算出されるスプリングバック量を精度良く評価することができなかった。
また、実プレス成形品11に基準点を設定して二つの形状データの位置合わせを行う方法においては、設定した複数の基準点の相対位置が両形状データで異なる場合には、厳密な位置合わせは不可能である。
さらに、複数の基準点の相対位置が異なることにより、複数の基準点同士を近傍に設定せざるを得なくなり、かつ、これら基準点を含む領域での両形状データの形状差異が大きい場合には、全体的な形状データの差異を実際よりも大きく見せてしまう危険性があった。そのため、実プレス成形品11に基準点を設定して位置合わせを行う場合においても、力学的解析により得られたプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と、実プレス成形品11のスプリングバック量との間に乖離が生じてしまう場合があるため、スプリングバック量を適切に比較することができず、それぞれのスプリングバック量を評価することが困難であった。
さらに、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を適切に評価することが困難であったために、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度を高めることも困難であった。そのため、予測精度の低いプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量に基づいてプレス成形条件を調整して実プレス成形品11をプレス成形しても、そのスプリングバック量を十分に低減することができないという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、実際にプレス成形してスプリングバックした実プレス成形品のスプリングバック量と、実プレス成形品をプレス成形する過程及びスプリングバック過程の弾塑性力学的解析により取得したプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を適切に比較することができ、それぞれのスプリングバック量を評価することができるプレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、プレス成形品解析モデルのスプリングバック量の評価に基づいてその予測精度を高めた上でスプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整し、寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造するプレス成形品の製造方法に関する。
(1)本発明に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法は、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、
前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得ステップと、
該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出ステップと、
前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得ステップと、
成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおいて前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップと、
前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおいて算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップにおいて算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価ステップと、を含むことを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、
前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおける前記弾性力学的解析は弾性有限要素解析であり、
前記プレス成形品解析モデル取得ステップにおける前記弾塑性力学的解析は、弾塑性有限要素解析であることを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、
前記実プレス成形品をプレス成形する過程が該実プレス成形品の部位ごとに成形工程が分かれている場合において、
前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおける前記金型モデルは、前記実プレス成形品の各部位を成形する各金型の金型モデルを合成して一つの金型モデルとしたものであることを特徴とするものである。
(4)本発明に係るプレス成形品のスプリングバック量評価装置は、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、
前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得部と、
該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出部と、
前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得部と、
成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部と、
前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部により算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価部と、を含むことを特徴とするものである。
(5)本発明に係るプレス成形品のスプリングバック量評価プログラムは、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、
コンピュータを、
前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得部と、
該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出部と、
前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得部と、
成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部と、
前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部により算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価部と、して実行させる機能を有することを特徴とするものである。
(6)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、スプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整して寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造するものであって、
上記(1)~(3)のいずれかに記載のプレス成形品のスプリングバック量評価方法に基づいて、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品の離型後のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量との差異を、前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量の予測精度として求めるスプリングバック量予測精度取得ステップと、
該取得した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量の予測精度を高めるように、前記実プレス成形品をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析における前記プレス成形品解析モデルの境界条件を調整する境界条件調整ステップと、
該調整した前記境界条件で求められる前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量が予め定めた所定の範囲内に収まるように、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の力学的解析におけるプレス成形条件を調整するプレス成形条件調整ステップと、
該プレス成形条件調整ステップにおいて調整した前記プレス成形条件の下で実際に金型を用いて前記実プレス成形品をプレス成形するプレス成形ステップと、を含むことを特徴とするものである。
本発明においては、実際にプレス成形した実プレス成形品の三次元表面形状に基づいて作成したプレス成形品ワーク形状モデルと、実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルと、のそれぞれについて同一の金型モデルの成形下死点で位置合わせをしてスプリングバック量を算出するため、実プレス成形品のスプリングバック量として算出したプレス成形品ワーク形状モデルのスプリングバック量と、プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を同一条件で比較し、それぞれを評価することができる。そして、実プレス成形品のスプリングバック量とプレス成形解析モデルのスプリングバック量との差異に基づき、有限要素法を用いたプレス成形過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析における境界条件等を調整してプレス成形品の寸法精度の予測精度を高めることができるので、プレス成形品の寸法精度不良を防ぐことができる。
さらに、本発明においては、上記のとおり評価されたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量に基づいてその予測精度を高めるように力学的解析の境界条件を調整する。続いて、調整した境界条件の下でプレス成形する過程の力学的解析を行い、プレス成形品解析モデルのスプリングバック量を低減するようにプレス成形条件を調整する。そして、調整したプレス成形条件で実際に金型を用いて実プレス成形品をプレス成形することで、寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造することができる。
また、本発明によれば、金型形状等の調整を何度も繰り返さなくても、スプリングバックした後の実プレス成形品について許容される寸法精度を満たすことができる。その結果、実プレス成形品の生産準備の費用及び期間を大きく短縮することができる。
本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法の処理の流れを説明するフロー図である。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法において、実際のプレス成形品に生じるスプリングバック量を算出する過程を説明する図である((a)実際のプレス成形品のプレス成形工程、(b)プレス成形品の三次元表面形状測定、(c)三次元表面形状データのプレス成形品ワーク形状モデルへの変換(リメッシュ及びオフセット)、(d)弾性有限要素解析、(e)スプリングバック解析)。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法により算出した、(a)実プレス成形品のプレス成形品ワーク形状モデルを用いて算出したスプリングバック量、(b)プレス成形解析により取得したプレス成形品解析モデルのスプリングバック量、(c)プレス成形品ワーク形状モデルのスプリングバック量に対するプレス成形品解析モデルのスプリングバック量の差分、を示すコンター図である。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価装置のブロック図、及び、本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価プログラムの機能を説明する図である。 従来のプレス成形品のスプリングバック量評価方法により算出した、(a)プレス成形解析により取得したプレス成形品解析モデルのスプリングバック量、(b)プレス成形品の三次元表面形状測定データ、(c)プレス成形品の三次元表面形状測定データからのプレス成形解析モデルの乖離量((i)、(ii))。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法における処理の流れを説明するフロー図である。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法において、(a)実プレス成形品のスプリングバック量として算出したプレス成形品ワーク形状モデルのスプリングバック量、(b)スプリングバック量の予測精度が向上するように調整した解析条件の下でプレス成形品解析モデルを用いて算出したスプリングバック量、(c)プレス成形品ワーク形状モデルのスプリングバック量と対するプレス成形品解析モデルのスプリングバック量との差分、を示すコンター図である。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法、装置及びプログラムについて、図1~図4を参照して説明する。なお、本実施の形態1では、一例として図2に示す、自動車のAピラーアッパーを模擬したハット断面形状の実プレス成形品11を対象とした。実プレス成形品11は、980MPa級、板厚1.4mmの冷延鋼板をプレス成形したものである。
また、本願の図2、図3及び図5におけるX、Y及びZは、実プレス成形品11、三次元表面形状測定データ13、プレス成形品ワーク形状モデル15、17及びプレス成形品解析モデル21の長手方向(X方向)、幅方向(Y方向)及び高さ方向(Z方向)を示している。
<プレス成形品のスプリングバック量評価方法>
本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法は、一例として図2(a)に示すように、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品11のスプリングバック量を、一例として図2(d)~(e)に示すようにして求め、実プレス成形品11をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、図1に示すように、プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1と、実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3と、プレス成形品解析モデル取得ステップS5と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7と、スプリングバック量比較・評価ステップS9と、を含むものである。
以下、上記の各ステップについて説明する。
≪プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップ≫
プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1は、図1及び図2に示すように、実際にプレス成形した実プレス成形品11を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データ13からプレス成形品ワーク形状モデル15を作成し、プレス成形品ワーク形状モデル15を実際のプレス成形に用いた金型の金型モデル1によって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点におけるプレス成形品ワーク形状モデル17を取得するステップである。
プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1は、まず、図1及び図2(b)に示すように、実プレス成形品11の表面形状の測定により三次元表面形状測定データ13を取得する(S1a)。
次に、取得した三次元表面形状測定データ13を弾性力学的解析のシェル要素として扱えるようにするために、図2(c)に示すように、一定の要素サイズの要素(例えば、三角形要素)にリメッシュし、その後、板厚中央に相当する位置にオフセットすることにより、プレス成形品ワーク形状モデル15を作成する(S1b)。ここで、必要に応じて、三次元表面形状測定データ13は、エッジ(輪郭)付近のノイズを除去する操作を行ってもよい。
なお、三次元表面形状測定データを弾性力学的解析においてシェル要素として扱う代わりに、取得した三次元表面形状測定データを板厚分だけ裏面側にオフセットさせて三次元表面形状測定データを取得し、あるいは、表面側および裏面側それぞれの三次元表面形状測定データを測定することで表裏両面の三次元表面形状測定データを取得し、これら表裏面の三次元表面形状測定データで挟まれた三次元空間をソリッド要素に分割する方法を用いてもよい。
次に、プレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデルで挟み込める位置に配置する(S1c)。このとき、プレス成形品ワーク形状モデル15の位置決めは、金型モデル1によって成形下死点まで挟み込む過程においてプレス成形品ワーク形状モデル15が大きくずれないように大まかに手動で調整するとよい。
具体的には、プレス成形品ワーク形状モデル15と金型モデル1の稜線部形状や外周形状、位置決め穴/ピンなどの特徴形状を目印に、金型モデル1で挟んだ際に、プレス成形品ワーク形状モデル15の特徴形状部位がずれないように平行移動及び/又は回転移動を行う。
あるいは、一旦プレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデル1の下型モデル3を基準としてベストフィット等の自動的な位置合わせを行い、続いて、上型モデル5をプレス成形方向に沿って下型モデル3と接触しないところまで平行移動させてもよい。
次に、プレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデル1で挟む過程の弾性力学的解析を行い(S1d)、成形下死点におけるプレス成形品ワーク形状モデル17を取得する。
プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1において弾性力学的解析を行う理由は以下のとおりである。金型モデル1で挟み込んで取得した成形下死点でのプレス成形品ワーク形状モデル17は、次の実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3におけるスプリングバック解析により金型モデル1で挟み込む前のプレス成形品ワーク形状モデル15の形状に戻すことで、適切にスプリングバック量を算出するためである。
そして、本実施の形態1では、プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1における弾性力学的解析として、弾性有限要素解析を行う(図2(d)、S1d)。
このように、プレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデル1によって成形下死点まで挟み込む過程の弾性有要素解析を行うことにより、金型モデル1を基準としてプレス成形品ワーク形状モデル15の位置合わせが可能となる。
また、本実施の形態1は、下型と上型とを備えた金型により実プレス成形品11をフォーム成形する場合を対象とするものであったが、ドロー成形の場合には上型と協働してブランクを挟持するクッションが金型に備えられている。この場合、金型モデルはクッションモデル(図示なし)を備えたものとし、クッションモデルをはじめから成形下死点位置に配置し、プレス成形品ワーク形状モデルを下型モデルと上型モデルとで挟み込む過程の解析を行えばよい。
≪実プレス成形品スプリングバック量算出ステップ≫
実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3は、図1及び図2(e)に示すように、プレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1において取得した成形下死点におけるプレス成形品ワーク形状モデル17に所定の拘束条件を与えて(S3a)スプリングバック解析を行い(S3b)、プレス成形品ワーク形状モデル17に生じたスプリングバック量を実プレス成形品11のスプリングバック量として算出するステップである。
実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3でのスプリングバック解析においてプレス成形品ワーク形状モデル17に対して拘束条件を与える理由は以下の2つである。
まず、1つ目の理由は、力学的に安定的な解を得るために必要な措置であり、プレス成形品ワーク形状モデル17の並進方向及び回転方向に制約条件を与えることで、複数の解が発生することを防止するためである。
2つ目の理由は、プレス成形品ワーク形状モデル17の寸法及び形状の精度を評価する上で、基準となる部位を設定するためである。
したがって、実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3において与える所定の拘束条件は、上記の1つ目の理由で述べた複数の解が発生しないことを前提として、各々のプレス成形品の用途や品質評価基準にしたがい、適宜設定すればよい。
所定の拘束条件の代表的な例としては、(1)ある基準領域、例えばブランクの金型における位置決め用に設定されたブランク(プレス成形品)上の基準形状(穴や座面)の内部又は周辺部の1点又は複数点に対し、並進及び回転方向の拘束を付与する条件、(2)プレス成形品上の離れた3点について、それぞれ三次元空間の並進方向のうち3方向固定、2方向固定又は1方向固定を与える条件、等が挙げられる。
本実施の形態1では、図3(a)に示すように、プレス成形品ワーク形状モデル15に三つの拘束点A、拘束点B及び拘束点Cを設定し、拘束点AについてはY方向とZ方向の並進及び回転方向の拘束を付与する条件(以下、「YZ固定」と称する)を与え、拘束点BについてはX方向、Y方向及びZ方向の並進及び回転方向の拘束を付与する条件(以下、「XYZ固定」と称する)を与え、拘束点CについてはZ方向の並進及び回転方向拘束を付与する条件(以下、「Z固定」と称する)を与えた。
また、本実施の形態1において、実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3におけるスプリングバック解析として、弾性有限要素解析を行う。
≪プレス成形品解析モデル取得ステップ≫
プレス成形品解析モデル取得ステップS5は、図1に示すように、実際のプレス成形に用いたブランクのブランクモデルを金型モデル1によってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデル21を取得するステップである(S5a)。
本実施の形態1において、プレス成形品解析モデル取得ステップS5は、弾塑性力学的解析として弾塑性有限要素解析を行う。
なお、本実施の形態1においては、プレス成形品解析モデル取得ステップS5を実行するに先立って、プレス成形品解析モデル21のプレス成形解析に用いるブランクモデル(図示無し)と、金型モデル1(図2(d))と、を予め取得しておく。
≪プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップ≫
プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7は、図1に示すように、成形下死点におけるプレス成形品解析モデル21に実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3においてプレス成形品ワーク形状モデル17に与えたのと同一の拘束条件を与えて(S7a)スプリングバック解析を行い(S7b)、プレス成形品解析モデル21に生じたスプリングバック量を算出するステップである。
本実施の形態1では、プレス成形品ワーク形状モデル15に設定した拘束条件(図3(a))と同様、図3(b)に示すように、プレス成形品解析モデル21に三つの拘束点A、拘束点B及び拘束点Cを設定し、拘束点AにはYZ固定、拘束点BにはXYZ固定、及び、拘束点CにはZ固定の拘束条件を与えた。
また、本実施の形態1において、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7におけるスプリングバック解析として、弾性有限要素解析を行うが、弾塑性有限要素解析を行ってもよい。
≪スプリングバック量比較・評価ステップ≫
スプリングバック量比較・評価ステップS9は、図1に示すように、実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3において算出した実プレス成形品11のスプリングバック量と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7において算出したプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するステップである。
本実施の形態1は、実プレス成形品11のスプリングバック量を基準として、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を評価した。
図3(c)に、実プレス成形品11のスプリングバック量として算出するプレス成形品ワーク形状モデル17を基準としたときのプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の乖離量の結果を示す。図3(c)に示す乖離量は、プレス成形品解析モデル21のz方向(金型ストローク方向)の乖離量の分布を示したものである。この乖離量の算出においては、改めての位置合わせは行っていない。
図3(c)に示した乖離量の結果から、弾塑性有限要素解析によるプレス成形品解析モデル21におけるスプリングバック量は、実プレス成形品11のスプリングバック量と比べてフランジ部21b全体が高さ方向のマイナス方向(-z方向)に乖離していることが分かる。
このように、本実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法においては、実プレス成形品11のスプリングバック量として算出するプレス成形品ワーク形状モデル17と、プレス成形品解析モデル21と、は、いずれも、同一の金型モデル1で位置合わせがされたものであるため、実プレス成形品11のスプリングバック量を基準としてプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を同一条件で比較し、評価することが可能となる。これにより、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の解析精度を評価することができる。
ここで、同一条件とは、プレス成形品ワーク形状モデル17のスプリングバック解析と、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック解析とで、与える拘束条件が同一であることをいう。これは、拘束条件が異なると、スプリングバック解析によるスプリングバック量に差異が生じるためである。
また、上記の説明は、実プレス成形品11のスプリングバック量を基準として、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を評価する場合についてのものであったが、本発明は、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を基準として、実プレス成形品11のスプリングバック量を比較するものであってもよい。そして、実プレス成形品11のスプリングバック量を比較することにより、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と同一条件で実プレス成形品11のスプリングバック量を評価することが可能となる。
そして、実プレス成形品11のスプリングバック量とプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量との差異に基づき、有限要素法を用いたプレス成形過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析における境界条件等を調整してプレス成形品の寸法精度の予測精度を高めることができるので、プレス成形品の寸法精度不良を防ぐことができる。
<プレス成形品のスプリングバック量評価装置>
本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価装置31(以下、「スプリングバック量評価装置31」という)は、一例として図2(a)に示すように、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品11のスプリングバック量と、実プレス成形品11をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、図4に示すように、プレス成形品ワーク形状モデル取得部33と、実プレス成形品スプリングバック量算出部35と、プレス成形品解析モデル取得部37と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部39と、スプリングバック量比較・評価部41と、を備えたことを特徴とするものである。
スプリングバック量評価装置31は、コンピュータ(PC等)のCPU(中央演算処理装置)によって構成されたものであってもよい。この場合、上記の各部は、コンピュータのCPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
≪プレス成形品ワーク形状モデル取得部≫
プレス成形品ワーク形状モデル取得部33は、図2及び図4に示すように、実際にプレス成形した実プレス成形品11を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データ13からプレス成形品ワーク形状モデル15を作成し、プレス成形品ワーク形状モデル15を実際のプレス成形に用いた金型の金型モデル1によって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点におけるプレス成形品ワーク形状モデル17を取得するものである。
本実施の形態1において、プレス成形品ワーク形状モデル取得部33は、前述したプレス成形品のスプリングバック量評価方法のプレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1を実行する。
なお、プレス成形品ワーク形状モデル取得部33により三次元表面形状測定データ13から作成したプレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデル1にセットするときの位置決めは、金型モデル1によって成形下死点まで挟み込む過程においてプレス成形品ワーク形状モデル15が大きくずれないように、操作者が大まかに手動で調整するとよい。
あるいは、一旦プレス成形品ワーク形状モデル15を金型モデル1の下型モデル3を基準としてベストフィット等の自動的な位置合わせを行い、続いて、上型モデル5をプレス成形方向に沿って下型モデル3と接触しないところまで操作者が手動でプレス成形品ワーク形状モデル15を平行移動させてもよい。
≪実プレス成形品スプリングバック量算出部≫
実プレス成形品スプリングバック量算出部35は、プレス成形品ワーク形状モデル取得部33により取得した成形下死点におけるプレス成形品ワーク形状モデル17に所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、プレス成形品ワーク形状モデル17に生じたスプリングバック量を実際にプレス成形した実プレス成形品11のスプリングバック量として算出するものである。
本実施の形態1において、実プレス成形品スプリングバック量算出部35は、前述したプレス成形品のスプリングバック量評価方法の実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3を実行する。
≪プレス成形品解析モデル取得部≫
プレス成形品解析モデル取得部37は、実際のプレス成形に用いたブランクのブランクモデルを金型モデル1によってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデル21を取得するものである。
本実施の形態1において、プレス成形品解析モデル取得部37は、前述したプレス成形品のスプリングバック量評価方法のプレス成形品解析モデル取得ステップS5を実行する。
≪プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部≫
プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部39は、成形下死点におけるプレス成形品解析モデル21に実プレス成形品スプリングバック量算出部によりプレス成形品ワーク形状モデル17に与えた拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、プレス成形品解析モデル21に生じたスプリングバック量を算出するものである。
本実施の形態1において、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部39は、前述したプレス成形品のスプリングバック量評価方法のプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7を実行する。
≪スプリングバック量比較・評価部≫
スプリングバック量比較・評価部41は、実プレス成形品スプリングバック量算出部35において算出した実プレス成形品11のスプリングバック量と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部39により算出したプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するものである。
本実施の形態1において、スプリングバック量比較・評価部41は、前述したプレス成形品のスプリングバック量評価方法のスプリングバック量比較・評価ステップS9を実行する。
<プレス成形品のスプリングバック量評価プログラム>
本発明の実施の形態1は、プレス成形品のスプリングバック量評価プログラムとして構成することができる。
すなわち、本発明の実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価プログラムは、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するものであって、図4に示すように、コンピュータを、プレス成形品ワーク形状モデル取得部33と、実プレス成形品スプリングバック量算出部35と、プレス成形品解析モデル取得部37と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部39と、スプリングバック量比較・評価部41と、して実行させる機能を有することを特徴とするものである。
以上、本実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価装置及びプログラムにおいても、前述した本実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法と同様に、実プレス成形品11のスプリングバック量として算出するプレス成形品ワーク形状モデル17と、プレス成形品解析モデル21と、は、いずれも、同一の金型モデル1で位置合わせがされたものであるため、実プレス成形品11のスプリングバック量を基準としてプレス成形品解析モデルのスプリングバック量を比較して評価することが可能となる。これにより、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の解析精度を評価することができる。
さらに、本発明に係るプレス成形品のスプリングバック量評価装置及びプログラムは、プレス成形品解析モデルのスプリングバック量を基準として、実プレス成形品11のスプリングバック量を比較することにより、プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と同一条件で実プレス成形品のスプリングバック量を評価することが可能となる。
そして、本発明によれば、実プレス成形品のスプリングバック量とプレス成形解析モデルのスプリングバック量との差異に基づき、有限要素法を用いたプレス成形過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析における境界条件等を調整してプレス成形品の寸法精度の予測精度を高めることができるので、プレス成形品の寸法精度不良を防ぐことができる。
[実施の形態2]
<プレス成形品の製造方法>
本発明の実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法は、スプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整して寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造するものである。そして、本実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法は、図6に示すように、スプリングバック量予測精度取得ステップS11と、境界条件調整ステップS13と、プレス成形条件調整ステップS15と、プレス成形ステップS17と、を含む。
以下、一例として、図2(a)に示す実プレス成形品11を製造する場合について、上記の各ステップについて説明する。
≪スプリングバック量予測精度取得ステップ≫
スプリングバック量予測精度取得ステップS11は、前述した実施の形態1に係るプレス成形品のスプリングバック量評価方法により、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品11の離型後のスプリングバック量を求める。さらに、スプリングバック量予測精度取得ステップS11は、実施の形態1に係る方法により、実プレス成形品11をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析によりプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を求める。そして、実プレス成形品11の離型後のスプリングバック量と、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量との差異を、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度として求める。
実プレス成形品11の離型後のスプリングバック量は、前述した本実施の形態1に係るプレス成形品ワーク形状モデル取得ステップS1と、実プレス成形品スプリングバック量算出ステップS3と、を実施することにより取得することができる(図3(a)参照)。なお、図3(a)は、実プレス成形品11の離型後のスプリングバック量として求めたプレス成形品ワーク形状モデル15(17)のスプリングバック量を示す図である。
また、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量は、実施の形態1に係るプレス成形品解析モデル取得ステップS5と、プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7と、を実施することにより取得することができる(図3(b)参照)。
このように取得したプレス成形品ワーク形状モデル17のスプリングバック量と、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量とは、同一の金型モデル1で位置合わせが行われて算出されたものである。そのため、プレス成形品ワーク形状モデル17のスプリングバック量とプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を比較することができ、これらの差異をプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度として求めることができる。
プレス成形品ワーク形状モデル17とプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の差異は、プレス成形品ワーク形状モデル17のスプリングバック量を基準としたときのプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の乖離量を算出すればよい。
≪境界条件調整ステップ≫
境界条件調整ステップS13は、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度を高めるように、実プレス成形品11をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析におけるプレス成形品解析モデル21のベースとなる解析条件(以降、境界条件と称す)境界条件を調整するステップである。
プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度に影響する境界条件として、(i)FEM解析条件、(ii)プレス成形解析条件、が挙げられる。
(i)FEM解析条件は、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を算出するための有限要素法(FEM)による力学的解析を行う上での数値解析方法やモデルの近似方法に関わる計算技術上のベースとなる解析条件(境界条件)である。
FEM解析条件としては、例えば、ブランクの要素分割サイズ、要素内の積分点数、選択する要素の種類、金属材料の材料構成則等、が挙げられる。
(ii)プレス成形解析条件は、プレス成形する過程やスプリングバックする過程の力学的解析を行う上で前提となる計算上のベースとなる解析条件(境界条件)のことをいい、実際のプレス成形に対応したブランクあるいは金型の挙動に関わる物理的なパラメータである。
プレス成形解析条件としては、例えば、金型の成形下死点位置、金型とブランクとの間の摩擦係数、金型(パンチとダイ)のクリアランス、金型の成形速度、等が挙げられる。
図7(b)に、図3(c)に示すプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度に基づいて調整した境界条件の下でプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を求めた結果を示す。ここで、図7(b)に示す結果は、境界条件として、FEM解析条件と、プレス成形解析条件を以下のように調整したものである。
FEM解析条件に関しては、ブランクの平均要素サイズを1.5mmから1.2mmに細分化し、板厚方向の積分点数を7点から9点に変更した。さらに、ブランクの材料モデルを等方硬化モデルから金属材料の硬化特性及び除荷時の弾性挙動をより正確に再現可能な吉田-上森モデルに変更した。
一方、プレス成形解析条件に関しては、図3(c)のプレス成形品解析モデル21と実プレス成形品11とのスプリングバック量の乖離の状況に基づき、プレス成形解析条件である金型モデル1とブランク間の摩擦係数を0.10から0.11に変更した。
境界条件を調整してプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度を求めた結果の一例を図7(c)に示す。ここで、図7(c)に示す結果は、プレス成形品ワーク形状モデル17のスプリングバック量(図7(a))を基準として、上記のように調整した境界条件の下でプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量(図7(b))の乖離量を求めたものである。
図7(c)に示すように、境界条件を上記のように調整することで、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度(乖離量)は、全体に渡って±1.0mmの範囲内に収まった。これにより、境界条件を調整する前(図3(c)参照)に比べて、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度が高くなったことが分かる。
なお、境界条件調整ステップS13においては、上記のように境界条件を調整(変更)して力学的解析を行い、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の予測精度を求め、求めた予測精度に基づいて境界条件をさらに調整してもよい。
≪プレス成形条件調整ステップ≫
プレス成形条件調整ステップS15は、実プレス成形品11をプレス成形する過程の力学的解析におけるプレス成形条件を調整するステップである。そして、プレス成形条件調整ステップS15において、プレス成形条件の調整は、境界条件調整ステップS13において調整した境界条件の下で求められるプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量が予め定めた所定の範囲内に収まるように行う。
プレス成形条件調整ステップS15におけるプレス成形条件の調整は、例えば、以下の(A)~(D)の手順に従って行う。
(A)境界条件調整ステップS13において調整した境界条件の下で実プレス成形品11をプレス成形する過程とその後のスプリングバックする過程の力学的解析を行い、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を求める。当該力学的解析は、調整した境界条件をプレス成形品解析モデル21に与えて前述したプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップS7を実施すればよい。
(B)当該力学的解析により求めたプレス成形品解析モデル21のスプリング量が予め定めた所定の範囲内に収まっているかどうかを判定する。
(C)予め定めた所定の範囲内に収まっていないと判定された場合、プレス成形品解析モデル21を用いてプレス成形する過程とその後のスプリングバックする過程との力学的解析におけるプレス成形条件を調整する。
(D)調整したプレス成形条件の下で求めたプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量が予め定めた所定の範囲内に収まるまで、上記の(A)~(C)を繰り返す。
なお、プレス成形条件調整ステップS15において、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量が収まるように予め定めた所定の範囲は、例えば、実プレス成形品11に許容される寸法精度に基づいて適宜設定すればよい。
また、プレス成形条件の調整は、例えば、プレス成形品解析モデル21においてZ方向のスプリングバック変位が高い部位の成形下死点位置を逆に押し下げるように、金型モデル1(図2参照)の形状を変更すればよい。
≪プレス成形ステップ≫
プレス成形ステップS17は、プレス成形条件調整ステップS15において調整したプレス成形条件の下で実際に金型を用いてブランクをプレス成形し、実プレス成形品11を製造するステップである。
このように、本実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法においては、本実施の形態1に係る方法により求めたプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量に基づいて、その予測精度を高めるように境界条件を調整する。続いて、調整した境界条件で求められるプレス成形品解析モデル21のスプリングバック量を低減するようにプレス成形条件を調整する。そして、調整したプレス成形条件で実際に実プレス成形品11をプレス成形することで、寸法精度を向上させた実プレス成形品11を製造することができる。
なお、本実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法により、スプリングバック量が低減するように調整したプレス成形条件で実プレス成形品11をプレス成形しても、そのスプリングバック量が許容される寸法精度を満たさない場合もある。この場合、調整したプレス成形条件でプレス成形した実プレス成形品11のスプリングバック量に基づいて、実プレス成形品11のプレス成形に用いる金型形状等のプレス成形条件のさらなる調整を繰り返すこともある。
もっとも、本実施の形態2に係る方法では、スプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整しているため、プレス成形条件として金型形状等の調整を何度も繰り返さなくても、実プレス成形品11について許容される寸法精度を満たすことができる。
以上、本実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法によれば、実プレス成形品11の生産準備の費用及び期間を大きく短縮することも可能となる。
なお、上記の本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る説明は、実プレス成形品11の全体を単一工程でプレス成形する場合を対象とするものであった。もっとも、本発明は、実プレス成形品をプレス成形する過程が実プレス成形品の部位ごとに複数工程に分かれている場合であってもよい。
この場合、本発明において、プレス成形品ワーク形状モデルのスプリングバック量の算出に用いる金型モデルは、実プレス成形品の各部位を成形する各金型の金型モデルを合成して一つの金型モデルとすればよい。
また、プレス成形品ワーク形状モデルを金型モデルに挟み込み過程の解析においては、実プレス成形品の一部の部位を成形する金型の金型モデルを用いてもよい。
そして、金型モデルによりプレス成形品ワーク形状モデルを挟み込んだ部位と、当該部位に相当するプレス成形品解析モデルにおける部位と、を位置合わせすればよい。
また、上記の説明において、金型の成形下死点とは、下型と上型との間の間隔がブランクの板厚と同等となった時点である場合を想定したものであった。もっとも、本発明において、成形下死点とは、成形下死点の手前(5mmや10mm等、10mm以内)で金型を止めた場合を含み、成形下死点手前まで成形した実プレス成形品とプレス成形解析モデルとの比較を行うものであってもよい。
また、本実施の形態1及び実施の形態2においてプレス成形品ワーク形状モデル15、17及びプレス成形品解析モデル21は、いずれも、シェル要素(例えば、三角形要素)でモデル化されたものであったが、本発明は、ソリッド要素でモデル化されたものであってもよい。
本発明の作用効果について検証する実験を行ったので、これについて以下に説明する。
実施例では、図2に示す実プレス成形品11について、スプリングバック量を低減するようにプレス成形条件の調整を行った。実プレス成形品11は、前述した本実施の形態1及び実施の形態2と同様、自動車のAピラーアッパーを模擬したものであり、引張強度980MPa級、板厚1.4mmの冷延鋼板をプレス成形したものである。
実験では、発明例として、前述した本実施の形態2のスプリングバック量予測精度取得ステップS11、境界条件調整ステップS13、プレス成形条件調整ステップS15及びプレス成形ステップS17を実施し、実プレス成形品11をプレス成形した。
発明例において、プレス成形条件調整ステップS15では、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量が小さくなるように、プレス成形条件として金型の形状を調整した。また、プレス成形ステップS17においては、プレス成形品解析モデル21について調整した金型モデル1の形状に基づいて実際に金型を作製し、作製した金型を用いて実プレス成形品11をプレス成形した。プレス成形した実プレス成形品11については、金型から離型してスプリングバックした後の表面形状を測定し、スプリングバック量を求めた。
また、実験では、比較例として、本実施の形態2に係るスプリングバック量予測精度取得ステップS11と境界条件調整ステップS13を実施せずに、プレス成形条件調整ステップS15とプレス成形ステップS17を実施し、実プレス成形品11をプレス成形した。
比較例においては、実プレス成形品11のスプリングバック量と乖離が生じたままのプレス成形品解析モデル21を用いてプレス成形条件調整ステップS15を実施し、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整した。
なお、発明例及び比較例において、プレス成形条件の調整は、プレス成形品解析モデル21のスプリングバック量の分布に基づいて金型モデル1の形状を変更することにより行った。具体的には、プレス成形品解析モデル21においてZ方向のスプリングバック変位が+3~+5mm高い部位の成形下死点位置を逆にそれぞれ-3~-5mm押し下げるように、金型モデル1の形状を変更した。
発明例と比較例のそれぞれにおける実プレス成形品11のスプリングバック量は、高さ方向(Z方向)の実プレス成形品の目標形状との乖離量が±0.5mm以内となるXY平面への投影面積の割合(以下、「±0.5mm一致率」という)により評価した。
発明例における±0.5mm一致率は91%であったのに対し、比較例における±0.5mm一致率は77%であった。
この結果から、本発明に係る方法によれば、実プレス成形品11の寸法精度を向上できることが実証された。
さらに、発明例及び比較例のそれぞれについて、実プレス成形品11の目標形状との±0.5mm一致率が100%となるように、金型形状の調整を繰り返した。ここでは、スプリングバックした後の実プレス成形品11の高さ方向における目標形状との乖離量が±0.5mm超えの部位について、成形下死点位置を変更して目標形状に近づくように金型の形状を調整した。
発明例に係る実プレス成形品11については、2回の金型形状の調整で±0.5mm一致率が100%になった。これに対し、従来例に係る実プレス成形品11については、4回の金型形状の調整で±0.5mm一致率が100%になった。
したがって、本発明に係る方法によれば、より少ない金型形状の調整回数で実プレス成形品について許容される寸法精度を達成できることが実証された。これにより、プレス成形品の生産準備の費用及び期間を大きく短縮することができることが示された。
1 金型モデル
3 下型モデル
5 上型モデル
11 実プレス成形品
11a パンチ底部
13 三次元表面形状測定データ
13a パンチ底部
15 プレス成形品ワーク形状モデル
17 プレス成形品ワーク形状モデル
21 プレス成形品解析モデル
21a パンチ底部
21b フランジ部
31 プレス成形品のスプリングバック量評価装置
33 プレス成形品ワーク形状モデル取得部
35 実プレス成形品スプリングバック量算出部
37 プレス成形品解析モデル取得部
39 プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部
41 スプリングバック量比較・評価部

Claims (6)

  1. 実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するプレス成形品のスプリングバック量評価方法であって、
    前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得ステップと、
    該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出ステップと、
    前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得ステップと、
    成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおいて前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップと、
    前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおいて算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出ステップにおいて算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価ステップと、を含むことを特徴とするプレス成形品のスプリングバック量評価方法。
  2. 前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおける前記弾性力学的解析は弾性有限要素解析であり、
    前記プレス成形品解析モデル取得ステップにおける前記弾塑性力学的解析は、弾塑性有限要素解析であることを特徴とする請求項1記載のプレス成形品のスプリングバック量評価方法。
  3. 前記実プレス成形品をプレス成形する過程が該実プレス成形品の部位ごとに成形工程が分かれている場合において、
    前記実プレス成形品スプリングバック量算出ステップにおける前記金型モデルは、前記実プレス成形品の各部位を成形する各金型の金型モデルを合成して一つの金型モデルとしたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形品のスプリングバック量評価方法。
  4. 実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するプレス成形品のスプリングバック量評価装置であって、
    前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得部と、
    該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出部と、
    前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得部と、
    成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部と、
    前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部により算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価部と、を含むことを特徴とするプレス成形品のスプリングバック量評価装置。
  5. 実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の弾塑性力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較しそれぞれを評価するプレス成形品のスプリングバック量評価プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記実プレス成形品を離型してスプリングバックした後の表面形状を測定して取得した三次元表面形状測定データからプレス成形品ワーク形状モデルを作成し、該プレス成形品ワーク形状モデルを前記金型の金型モデルによって成形下死点まで挟み込む過程の弾性力学的解析を行い、成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルを取得するプレス成形品ワーク形状モデル取得部と、
    該取得した成形下死点における前記プレス成形品ワーク形状モデルに所定の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品ワーク形状モデルに生じたスプリングバック量を前記実プレス成形品のスプリングバック量として算出する実プレス成形品スプリングバック量算出部と、
    前記ブランクのブランクモデルを前記金型モデルによってプレス成形する過程の弾塑性力学的解析を単一工程又は複数工程にわたって行い、成形下死点におけるプレス成形品解析モデルを取得するプレス成形品解析モデル取得部と、
    成形下死点における前記プレス成形品解析モデルに前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により前記プレス成形品ワーク形状モデルに与えた前記所定の拘束条件と同一の拘束条件を与えてスプリングバック解析を行い、前記プレス成形品解析モデルに生じたスプリングバック量を算出するプレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部と、
    前記実プレス成形品スプリングバック量算出部により算出した前記実プレス成形品のスプリングバック量と、前記プレス成形品解析モデルスプリングバック量算出部により算出した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量と、を比較し、それぞれのスプリングバック量を評価するスプリングバック量比較・評価部と、して実行させる機能を有することを特徴とするプレス成形品のスプリングバック量評価プログラム。
  6. スプリングバック量が低減するようにプレス成形条件を調整して寸法精度を向上させた実プレス成形品を製造するプレス成形品の製造方法であって、
    請求項1に記載のプレス成形品のスプリングバック量評価方法に基づいて、実際に金型を用いてブランクをプレス成形した実プレス成形品の離型後のスプリングバック量と、前記実プレス成形品をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析により求めたプレス成形品解析モデルのスプリングバック量との差異を、前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量の予測精度として求めるスプリングバック量予測精度取得ステップと、
    該取得した前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量の予測精度を高めるように、前記実プレス成形品をプレス成形する過程とその後のスプリングバック過程の力学的解析における前記プレス成形品解析モデルの境界条件を調整する境界条件調整ステップと、
    該調整した前記境界条件で求められる前記プレス成形品解析モデルのスプリングバック量が予め定めた所定の範囲内に収まるように、前記実プレス成形品をプレス成形する過程の力学的解析におけるプレス成形条件を調整するプレス成形条件調整ステップと、
    該プレス成形条件調整ステップにおいて調整した前記プレス成形条件の下で実際に金型を用いて前記実プレス成形品をプレス成形するプレス成形ステップと、を含むことを特徴とするプレス成形品の製造方法。
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