JP7276017B2 - 制御装置、および、これを用いたバルブタイミング調整システム - Google Patents

制御装置、および、これを用いたバルブタイミング調整システム Download PDF

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Description

本発明は、制御装置、および、これを用いたバルブタイミング調整システムに関する。
従来、作動油の供給または排出により作動する油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに対する作動油の供給または排出を制御する制御弁とを備える調整装置を制御する制御装置が知られている。また、調整装置と制御装置とを備え、制御装置により調整装置を制御することで、内燃機関のバルブタイミングを調整可能なバルブタイミング調整システムが知られている。
例えば、特許文献1の制御装置では、制御弁に出力する制御信号によって油圧アクチュエータの作動を制御する。また、制御信号が出力される信号域のうち制御信号の変化に対する油圧アクチュエータの応答が無い、または、応答性が低い領域である不感帯を特定すなわち学習する。この不感帯の学習において、不感帯の外においても偏差残りが発生すると不感帯を広げる処理を行っている。また、不感帯の学習において、オーバーシュートが発生した場合、不感帯を狭める処理を行っている。
また、特許文献1の制御装置では、不感帯の学習後、仮想のモデル制御弁と実際の制御弁の不感帯幅の比を補正係数として算出し、不感帯の内におけるモデル制御弁の制御量と前記補正係数とに基づき、不感帯の内における実際の制御弁の制御量を算出している。また、不感帯の外におけるモデル制御弁の制御量と温度に関する補正係数とに基づき、不感帯の外における実際の制御弁の制御量を算出している。
特許第4353249号公報
特許文献1の制御装置では、不感帯の幅が大きい場合、オーバーシュートが発生し、過小に狭い範囲を不感帯として学習するおそれがある。その結果、仮想のモデル制御弁と実際の制御弁とで不感帯外の制御量に対する変位速度に差が生じるおそれがある。これにより、所望の速度に対して不足するため、不感帯拡大フローに入るおそれがある。不感帯拡大後は、オーバーシュートが発生し、不感帯縮小フローに入るおそれがある。その後、不感帯拡大フローと不感帯縮小フローとを繰り返し、不感帯が定まらず、学習値修正のループに入るおそれがある。
また、特許文献1の制御装置では、不感帯の外における実際の制御弁の制御量を、温度に関する補正係数に基づき算出しているため、一定割合で速度変化するハードしか対応できない。例えば不感帯を狭く学習した場合、不感帯の外における実際の制御弁の制御量を、温度に関する補正係数のみで関連付けることには無理がある。
また、特許文献1の制御装置では、不感帯縮小後に内燃機関が停止し、次回の始動が低温の場合は、不感帯が拡大しており、バルブタイミング調整装置が作動できない状態が、学習完了まで続くおそれがある。
よって、特許文献1の制御装置では、油圧アクチュエータの制御性が低下するおそれがある。
本発明の目的は、油圧アクチュエータの制御性を向上させることが可能な制御装置、および、これを用いたバルブタイミング調整システムを提供することにある。
本発明の第1の態様は、作動油の供給または排出により作動する油圧アクチュエータ(30)と、油圧アクチュエータに対する作動油の供給または排出を制御する制御弁(10)とを備える調整装置(2)を制御する制御装置(50)であって、制御部(51)と不感帯特定部(52)と保持値特定部(53)と記憶部(54)と対応係数算出部(55)とモデル保持値算出部(56)とモデル制御量算出部(57)と制御量算出部(58)と制御信号設定部(59)とを備えている。
制御部は、制御弁に出力する制御信号によって油圧アクチュエータの作動を制御する。不感帯特定部は、制御信号が出力される信号域のうち制御信号の変化に対する油圧アクチュエータの応答が無い、または、応答性が低い領域である不感帯を特定する。保持値特定部は、油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値である保持値を特定する。
記憶部は、仮想のモデル制御弁により実現される制御信号の変化に対する油圧アクチュエータの応答性の変化の傾向をモデル制御特性として記憶する。対応係数算出部は、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数算出する。
モデル保持値算出部は、不感帯の中心値に対する保持値のずれ量を対応係数によって補正した値をモデル制御特性において油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値であるモデル保持値として算出する。モデル制御量算出部は、油圧アクチュエータの作動量とその目標作動量との偏差に基づき、モデル制御弁のモデル保持値を基準とする制御量であるモデル制御量を算出する。
制御量算出部は、モデル制御量を対応係数で補正した値を制御弁の制御量として算出する。制御信号設定部は、前記保持値と前記制御量とに基づき、制御弁に出力すべき制御信号を設定する。制御部は、制御信号設定部により設定した制御信号を制御弁に出力し、油圧アクチュエータの作動を制御する。
本態様では、対応係数算出部は、モデル制御弁に対し所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度と制御弁に対し前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度との比を、対応係数として算出する。そのため、モデル特性と実特性とのずれを吸収し、油圧アクチュエータの制御性を向上させることができる。
本態様では、対応係数算出部は、モデル制御弁に対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度と制御弁に対し不感帯の内において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度との比を、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数として算出する。
制御量算出部は、モデル制御量のうちモデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を前記不感帯内対応係数で補正した値を制御弁の前記制御量である不感帯内制御量として算出する。
対応係数算出部は、モデル制御弁に対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度と制御弁に対し不感帯の外において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータの作動速度との比を、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数として算出する。
制御量算出部は、モデル制御量のうちモデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を前記不感帯外対応係数で補正した値を制御弁の前記制御量である不感帯外制御量として算出する。
本発明の第2の態様では、対応係数算出部は、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数算出する。そのため、第1の態様と同様、モデル特性と実特性とのずれを吸収し、油圧アクチュエータの制御性を向上させることができる。
本態様では、対応係数算出部は、油圧アクチュエータの作動速度が所定幅となるよう制御弁に対し不感帯の内において出力される制御信号と油圧アクチュエータの作動速度が前記所定幅となるようモデル制御弁に対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において出力される制御信号との比を、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数として算出する。
制御量算出部は、モデル制御量のうちモデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を前記不感帯内対応係数で補正した値を制御弁の前記制御量である不感帯内制御量として算出する。
対応係数算出部は、油圧アクチュエータの作動速度が所定幅となるよう制御弁に対し不感帯の外において出力される制御信号と油圧アクチュエータの作動速度が前記所定幅となるようモデル制御弁に対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において出力される制御信号との比を、制御弁とモデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数として算出する。
制御量算出部は、モデル制御量のうちモデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を前記不感帯外対応係数で補正した値を制御弁の前記制御量である不感帯外制御量として算出する。
第1実施形態の制御装置およびバルブタイミング調整システムを示す図。 調整装置における制御信号と油圧アクチュエータの変位速度との関係を示す特性線図。 第1実施形態の制御装置による制御弁の制御の概要を説明するための図。 第1実施形態の制御装置による対応係数の算出について説明するための図。 第1実施形態の制御装置による対応係数の算出について説明するための図。 第1実施形態の制御装置による制御弁の制御の概要を説明するための図。 第1実施形態の制御装置による制御弁の制御の概要を説明するための図。 第1実施形態の制御装置による制御弁の制御に関する処理を示すフローチャート。 第2実施形態の制御装置による対応係数の算出について説明するための図。 第2実施形態の制御装置による対応係数の算出について説明するための図。
以下、複数の実施形態による制御装置およびバルブタイミング調整システムを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態の制御装置、および、これを適用したバルブタイミング調整システムを図1に示す。バルブタイミング調整システム1は、図示しない車両に搭載され、「調整装置」としてのバルブタイミング調整装置2と制御装置50とを備え、制御装置50によりバルブタイミング調整装置2を制御することで、「内燃機関」としてのエンジン5のバルブタイミングを調整可能である。本実施形態では、バルブタイミング調整システム1は、エンジン5の吸気バルブのバルブタイミングを調整可能である。
図1に示すように、バルブタイミング調整装置2は、油圧アクチュエータ30と「制御弁」としてのOCV10とを備えている。油圧アクチュエータ30は、エンジン5のクランク軸3に対するカム軸4の変位角すなわち位相を変化させる。油圧アクチュエータ30は、ハウジング31、ロータ32等を有している。ハウジング31は、クランク軸3に同期して回転する。ロータ32は、ハウジング31内に設けられ、カム軸4と同期して回転する。ロータ32は、ハウジング31の内部において、ハウジング31との間に、「油圧室」としての進角室33と遅角室34とを区画形成している。
油圧アクチュエータ30は、作動油が進角室33、遅角室34に供給され、ハウジング31に対するロータ32の回転角が変化することにより作動する。作動油が進角室33に供給されると、油圧アクチュエータ30は、クランク軸3に対するカム軸4の変位角すなわち位相を進角側に変化させるように作動する。一方、作動油が遅角室34に供給されると、油圧アクチュエータ30は、クランク軸3に対するカム軸4の変位角すなわち位相を遅角側に変化させるように作動する。このとき、作動油が供給されない側の「油圧室」からは、作動油が供給される側の「油圧室」の拡大に伴い、内部の作動油が押し出され、排出される。
油圧アクチュエータ30に供給される作動油は、エンジン5により駆動されるオイルポンプ41から圧送される。OCV10は、オイルポンプ41と油圧アクチュエータ30との間に設けられている。OCV10は、例えば4ポートスプール弁であり、スリーブ11、スプール12、スプリング13、ソレノイド14等を有している。OCV10は、スリーブ11に対するスプール12の位置によって、油圧アクチュエータ30の進角室33、遅角室34に対する作動油の供給または排出を制御することができる。
OCV10は、供給ポート21、進角ポート22、遅角ポート23、ドレンポート24を有している。供給ポート21は、オイルポンプ41に接続されている。進角ポート22は、進角室33に接続されている。遅角ポート23は、遅角室34に接続されている。ドレンポート24は、オイルパン42に接続されている。
スプール12は、移動方向の一方の端部をスプリング13によって支持され、他方の端部をソレノイド14によって支持されている。スリーブ11内におけるスプール12の位置は、ソレノイド14に供給する「制御信号」としての駆動電流のデューティ(以下、適宜、「OCV駆動デューティ」という)によって制御することができる。
図1に示すスプール12の位置では、進角ポート22、遅角ポート23と供給ポート21、ドレンポート24との連通が遮断されており、進角室33、遅角室34に対する作動油の供給および排出は実質的に行われない。以下、進角ポート22、遅角ポート23と供給ポート21、ドレンポート24との連通が遮断されるスプール12の作動域を「中立域」という。
スプール12が中立域にある状態においてOCV駆動デューティが増大されると、スプール12は、ソレノイド14に押されて移動する。これにより、進角ポート22と供給ポート21とが連通し、遅角ポート23とドレンポート24とが連通し、進角室33への作動油の供給と遅角室34からの作動油の排出とが同時に行われるようになる。以下、進角室33へ作動油が供給されるときのスプール12の作動域を「進角域」という。
一方、スプール12が中立域にある状態においてOCV駆動デューティが低減されると、スプール12は、スプリング13に押されて移動する。これにより、進角ポート22とドレンポート24とが連通し、遅角ポート23と供給ポート21とが連通し、遅角室34への作動油の供給と進角室33からの作動油の排出とが同時に行われるようになる。以下、遅角室34へ作動油が供給されるときのスプール12の作動域を「遅角域」という。
図2は、バルブタイミング調整装置2におけるOCV駆動デューティと油圧アクチュエータ30の作動の速度、すなわち、油圧アクチュエータ30の変位速度(クランク軸3に対するカム軸4の変位角の変化速度)との関係を示す特性線図である。図2に示すように、バルブタイミング調整装置2には、油圧アクチュエータ30の変位速度がゼロに保持されるデューティ(以下、「保持値」または「保持デューティ」という)の付近に、デューティ値の変化に対して変位速度の変化が小さい、つまり、デューティ値の変化に対する応答性が低い領域である「不感帯」が存在する。ここで、上記「中立域」は、一定の幅をもって形成されている。スプール12が中立域内にあるときのOCV駆動デューティの範囲が不感帯となる。
OCV駆動デューティが不感帯の範囲を超えて増大されると、油圧アクチュエータ30の変位速度は、進角側に増大し始め、OCV駆動デューティの変化に対し線形に変化する。これは、スプール12の作動域が中立域から進角域に入ったことによる。OCV駆動デューティがある程度まで増大した時点で、油圧アクチュエータ30の変位速度は、最大進角速度に達し、それ以上OCV駆動デューティを増大させても、変位速度は一定に保たれる。このとき、スプール12は、進角域の限界位置まで移動し、進角ポート22と供給ポート21とが完全に連通し、遅角ポート23とドレンポート24とが完全に連通した状態となっている。
一方、OCV駆動デューティが不感帯の範囲を超えて低減されると、油圧アクチュエータ30の変位速度は、遅角側に増大し始め、OCV駆動デューティの変化に対し線形に変化する。これは、スプール12の作動域が中立域から遅角域に入ったことによる。OCV駆動デューティがある程度まで低減した時点で、油圧アクチュエータ30の変位速度は、最大遅角速度に達し、それ以上OCV駆動デューティを低減させても、変位速度は一定に保たれる。このとき、スプール12は、遅角域の限界位置まで移動し、進角ポート22とドレンポート24とが完全に連通し、遅角ポート23と供給ポート21とが完全に連通した状態となっている。
制御装置50は、例えば電子制御ユニット(「ECU」)であり、演算部としてのCPU、記憶部としてのROMおよびRAM等、入出力部としてのI/O等を備える小型のコンピュータである。制御装置50は、図示しない車両に設けられた各種センサからの信号等に基づき、車両の各部に設けられた機器、装置等を制御する。
制御装置50は、OCV10の作動を制御する。制御装置50と、油圧アクチュエータ30およびOCV10を含む機構部分(バルブタイミング調整装置2)とにより、バルブタイミング調整システム1が構成される。制御装置50は、概念的な機能部として、制御部51、不感帯特定部52、保持値特定部53、記憶部54、対応係数算出部55、モデル保持値算出部56、モデル制御量算出部57、制御量算出部58、制御信号設定部59を有している。
制御装置50の制御部51は、クランク軸3に対するカム軸4の目標変位角を設定し、実際の変位角(制御変位角)と目標変位角との偏差に基づいて「OCV駆動デューティ」を算出する。制御装置50は、算出したOCV駆動デューティを「制御信号」としてOCV10に出力する。
このように、制御部51は、OCV10に出力する制御信号によって油圧アクチュエータ30の作動を制御可能である。
なお、目標変位角は、エンジン5の運転状態に応じた最適なバルブタイミングを得るための変位角であり、エンジン5の運転状態をパラメータとするマップから決定される。制御変位角は、クランク角センサ61の出力信号とカム角センサ62の出力信号とから計算することができる。
以下、制御装置50によるOCV10の制御について、図3、4に基づき説明する。制御装置50の記憶部54には、OCVとして仮想のモデル制御弁(以下、「仮想OCV」という)を用いた場合に実現される油圧アクチュエータ30の制御特性が、「モデル制御特性」として記憶されている。このように、記憶部54は、仮想OCVにより実現される制御信号の変化に対する油圧アクチュエータ30の応答性の変化の傾向を「モデル制御特性」として記憶する。
「モデル制御特性」では、OCV駆動デューティと油圧アクチュエータ30の変位速度との関係は固定されておらず、不感帯の中心(以下、「OCV中心」という)を基準としたときのOCV駆動デューティの変化に対する油圧アクチュエータ30の変位速度の変化の傾向が設定されている。具体的には、図3の下段に示すような特性線がモデル制御特性として記憶されている。なお、モデル制御特性は、エンジン5(クランク軸3)の回転数であるエンジン回転数、油温毎にマップデータとして記憶されている。
図3の上段には、OCV10の制御特性を特性線で示している。しかし、実際のOCV10の制御特性には個体差がある。また、油温等の条件によっては、OCV10の制御特性が変化する。したがって、実際のOCV10の制御特性を予め特定しておくことは困難である。そこで、本実施形態では、制御装置50は、上記のモデル制御特性を利用し、制御特性に関する最小限のデータから実際のOCV10の制御特性を推定することとしている。
制御装置50は、OCV10の制御特性に関する最小限のデータとして、OCV10の不感帯と保持デューティとを特定する。つまり、制御装置50の不感帯特定部52は、制御信号が出力される信号域のうち制御信号の変化に対する油圧アクチュエータ30の応答が無い、または、応答性が低い領域である「不感帯」を特定すなわち学習する。また、制御装置50の保持値特定部53は、「保持値」としての保持デューティを特定すなわち学習する。
OCV10の不感帯は、不感帯特定部52により、OCV10のデューティ制御により油圧アクチュエータ30の作動を制御する過程で特定すなわち学習される。本実施形態においては、不感帯の学習方法には限定はなく、従来提案されている方法等、どのような方法を用いてもよい。例えば、油圧アクチュエータ30の変位速度の絶対値を算出し、その前回値は所定の基準値より小さく、今回値は所定の基準値より大きくなった場合、その時点でのOCV駆動デューティを不感帯の上端値または下端値として学習する方法を用いることができる。また、別の方法として、油圧アクチュエータ30の変位速度の絶対値が所定の基準値以下の範囲でのOCV駆動デューティの最大値を不感帯の上端値として学習し、同範囲でのOCV駆動デューティの最小値を不感帯の下端値として学習する方法を用いることもできる。
対応係数算出部55は、仮想OCVに対し所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための係数である対応係数としての「OCVばらつき補正係数」として算出する。
本実施形態では、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し不感帯の内において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。ここで、仮想OCVの不感帯は、モデル不感帯として既知である。
具体的には、図4に示すように、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において所定幅Dcの制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度VmとOCV10に対し不感帯の内において前記所定幅Dcの制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度Vaとの比であるVm/Vaを、下記式1の通り、不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。
不感帯内OCVばらつき補正係数=Vm/Va ・・・式1
油圧アクチュエータ30の作動速度Vaについては、例えば、記憶部54において、適合マップに保持されている。なお、Vaは、不感帯内のデューティを出力したときの速度を記憶しておき、算出してもよい。
ここで、速度幅Vtを得るために出力変化させる制御信号の幅を、OCV10と仮想OCVとのそれぞれにおいて、Da、Dmとすると、速度変化の比は変わらないため、下記式2を導くことができる。
Va/Dc:Vm/Dc=Vt/Da:Vt/Dm ・・・式2
上記式2より、下記式3の通り、OCV10の不感帯内の制御量に対応するDaを導くことができる。
Da=(Vm/Va)×Dm ・・・式3
本実施形態では、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し不感帯の外において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
具体的には、図5に示すように、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において所定幅Dcの制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度VmとOCV10に対し不感帯の外において前記所定幅Dcの制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度Vaとの比であるVm/Vaを、下記式4の通り、不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
不感帯外OCVばらつき補正係数=Vm/Va ・・・式4
油圧アクチュエータ30の作動速度Vaについては、例えば、記憶部54において、適合マップに保持されている。なお、Vaは、不感帯外のデューティを出力したときの速度を記憶しておき、算出してもよい。
OCV10の保持デューティは、保持値特定部53により、OCV10のデューティ制御により油圧アクチュエータ30の作動を制御する過程で特定すなわち学習される。本実施形態においては、保持デューティの学習方法には限定はなく、どのような方法を用いてもよい。例えば、目標変位角が一定時間を超えて変化していない状態で、制御変位角にも一定時間を超えて変化がないとき、その時点でのOCV駆動デューティを保持デューティ(「保持デューティ学習値」)として学習する方法等を用いることができる。
OCV10の保持デューティを学習によって特定できれば、保持デューティのOCV中心からのずれ量を求めることができる。ここで、実際のOCV10における保持デューティのOCV中心からのずれ量は、仮想OCVにおける保持デューティのOCV中心からのずれ量に対し比例関係にあるとする。また、実際のOCV10におけるOCV中心は、仮想OCVにおけるOCV中心に一致するものとする。このような条件の下、下記式5によって算出される仮想OCVの保持デューティを、モデル保持値としての「仮想OCV保持デューティ学習値」として定義する。
仮想OCV保持デューティ学習値=(保持デューティ学習値-OCV中心)/不感帯内OCVばらつき補正係数+OCV中心 ・・・式5
このように、モデル保持値算出部56は、不感帯の中心値に対する保持値のずれ量を対応係数によって補正した値をモデル制御特性において油圧アクチュエータ30の作動速度がゼロとなるときの制御信号の値であるモデル保持値として算出する。
制御装置50は、油圧アクチュエータ30の制御変位角と目標変位角との偏差に基づくフィードバック制御により、OCV10のデューティ制御を行う。フィードバック制御には、PD制御が用いられる。制御装置50には、エンジン5(クランク軸3)の回転数であるエンジン回転数および油温と制御ゲインとの関係が予めマップデータとして記憶されている。
PD制御におけるP制御とD制御のうちP制御の制御量は、制御変位角と目標変位角との偏差とP制御ゲインとから算出される。D制御の制御量は、制御変位角と目標変位角との偏差の変化速度とD制御ゲインとから算出される。以下、仮想OCVにおけるP制御量とD制御量とを合わせて「基本制御量」という。
制御装置50は、マップデータを用いて偏差に応じた基本制御量を算出し、上記仮想OCV保持デューティ学習値に加算する。仮想OCV保持デューティ学習値に基本制御量を加算した値は、仮想OCVにおいて出力されるべきOCV駆動デューティである。以下、仮想OCVにおいて出力されるべきOCV駆動デューティを「基本デューティ」という。
このように、制御装置50のモデル制御量算出部57は、油圧アクチュエータ30の作動量とその目標作動量との偏差に基づき、仮想OCVのモデル保持値(仮想OCV保持デューティ学習値)を基準とする制御量であるモデル制御量(基本デューティ)を算出する。
上記基本デューティは、仮想OCVの制御特性において最適な制御結果が得られるデューティである。実際のOCV10において、最適な制御結果を得るためには、上記基本デューティを実際のOCV10の制御特性に適合した値に変換する必要がある。また、その際、OCV10の不感帯についても考慮する必要がある。OCV駆動デューティが不感帯内にあるか不感帯外にあるかにより、OCV駆動デューティの変化に対する油圧アクチュエータ30の変位速度の変化が大きく異なるためである。
本実施形態では、制御装置50は、図6、7の各下段に示すように、基本制御量を仮想OCV不感帯の内にある「仮想OCV不感帯内制御量」と、仮想OCV不感帯の外にある「仮想OCV不感帯外制御量」とに区分する。図6は基本デューティが仮想OCV不感帯を超えて仮想OCV不感帯外にある場合を示し、図7は基本デューティが仮想OCV不感帯内にある場合を示している。
制御装置50は、仮想OCV不感帯内制御量と仮想OCV不感帯外制御量のそれぞれについて変換を行い、仮想OCV不感帯内制御量からは実OCV不感帯内にある制御量を算出し、仮想OCV不感帯外制御量からは実OCV不感帯外にある制御量を算出する。
このように、制御装置50の制御量算出部58は、モデル制御量(基本デューティ)を対応係数(OCVばらつき補正係数)で補正した値をOCV10の制御量として算出する。
制御量算出部58は、モデル制御量のうちモデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を不感帯内対応係数(不感帯内OCVばらつき補正係数)で補正した値をOCV10の制御量である不感帯内制御量として算出する。
制御量算出部58は、モデル制御量のうちモデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を不感帯外対応係数(不感帯外OCVばらつき補正係数)で補正した値をOCV10の制御量である不感帯外制御量として算出する。
上述のようにして算出された実OCV不感帯内制御量と実OCV不感帯外制御量とを、保持デューティ学習値に加算した値が、実際のOCV10に出力される「OCV駆動デューティ」となる。つまり、OCV駆動デューティは、下記式6によって算出することができる。
OCV駆動デューティ=実OCV不感帯内制御量+実OCV不感帯外制御量+保持デューティ学習値 ・・・式6
このように、制御装置50の制御信号設定部59は、保持値(保持デューティ学習値)と制御量算出部58により算出した制御量とに基づき、OCV10に出力すべき制御信号を設定する。制御部51は、制御信号設定部59により設定した制御信号をOCV10に出力し、油圧アクチュエータ30の作動を制御する。
上述の方法によってOCV10の制御を行うことにより、OCV10の個体差に起因する制御特性のばらつきの影響を抑え、油圧アクチュエータ30の制御性を向上させることができる。上述のように仮想OCVのモデル制御特性を利用することにより、実際のOCV10の不感帯と保持デューティとを特定するのみで、実際のOCV10の制御特性を推定することができ、推定した制御特性に基づいて油圧アクチュエータ30の作動を制御することができる。
以下、本実施形態のOCV10の制御方法すなわち制御に関する処理について、より具体的に説明する。図8に示すフローチャートは、OCV10に出力する制御量の算出のための処理S100を示している。処理S100は、制御装置50によって一定の周期で実行される。
S101では、制御装置50は、上記式1、4により、OCVばらつき補正係数(不感帯内OCVばらつき補正係数、不感帯外OCVばらつき補正係数)を算出する。
S102では、制御装置50は、OCV10の不感帯の中心値である「OCV中心デューティ」を算出する。OCV中心デューティは、不感帯の上端に対応するデューティの学習値と不感帯の下端に対応するデューティの学習値とを平均することで算出することができる。
S103では、制御装置50は、仮想OCVの不感帯の上端デューティと下端デューティとを算出する。制御装置50は、S102で算出されたOCV中心デューティに仮想OCV不感帯幅の1/2を加算した値を「仮想OCV不感帯上端デューティ」として算出し、OCV中心デューティから仮想OCV不感帯幅の1/2を減算した値を「仮想OCV不感帯下端デューティ」として算出する。
S104では、制御装置50は、上記式5により、「仮想OCV保持デューティ学習値」を算出する。
S105では、制御装置50は、エンジン回転数および油温をパラメータとするマップデータを用いて仮想OCVにおける基本制御量を算出する。ここで、作動油の温度である油温は、オイルポンプ41とOCV10とを結ぶ油圧ラインに設けられた油温センサ63によって検出することができる。
S106では、制御装置50は、下記式7に基づき、仮想OCVにおける「基本デューティ」を算出する。
基本デューティ=仮想OCV保持デューティ学習値+基本制御量 ・・・式7
S107では、制御装置50は、S106で算出した基本デューティが仮想OCVの不感帯の外にあるか否かを判断する。基本デューティが仮想OCVの不感帯の外にある場合(S107:YES)、処理はS108に移行する。一方、基本デューティが仮想OCVの不感帯の内にある場合(S107:NO)、処理はS120に移行する。
S120では、制御装置50は、下記式8に基づき、モデル制御量としての「仮想OCV不感帯内制御量」を算出する。
仮想OCV不感帯内制御量=基本デューティ-仮想OCV保持デューティ学習値 ・・・式8
S121では、制御装置50は、下記式9に基づき、「仮想OCV不感帯内制御量」を「実OCV不感帯内制御量」に変換する。
実OCV不感帯内制御量=仮想OCV不感帯内制御量×不感帯内OCVばらつき補正係数 ・・・式9
S122では、制御装置50は、下記式10に基づき、S121で算出された「実OCV不感帯内制御量」を「制御量」として設定する。
制御量=実OCV不感帯内制御量 ・・・式10
S108では、制御装置50は、S106で算出した基本デューティが仮想OCV不感帯上端デューティより大きいか否かを判断する。基本デューティが仮想OCV不感帯上端デューティより大きい場合(S108:YES)、処理はS109に移行する。一方、基本デューティが仮想OCV不感帯上端デューティ以下の場合(S108:NO)、処理はS130に移行する。
S109では、制御装置50は、下記式11に基づき、「仮想OCV不感帯外制御量」を算出する。
仮想OCV不感帯外制御量=基本デューティ-仮想OCV不感帯上端デューティ ・・・式11
S110では、制御装置50は、下記式12に基づき、「仮想OCV不感帯外制御量」を「実OCV不感帯外制御量」に変換する。
実OCV不感帯外制御量=仮想OCV不感帯外制御量×不感帯外OCVばらつき補正係数 ・・・式12
S111では、制御装置50は、下記式13に基づき、「仮想OCV不感帯内制御量」を算出する。
仮想OCV不感帯内制御量=仮想OCV不感帯上端デューティ-仮想OCV保持デューティ学習値 ・・・式13
S112では、制御装置50は、上記式9により、「仮想OCV不感帯内制御量」を「実OCV不感帯内制御量」に変換する。
S113では、制御装置50は、S110で算出した「実OCV不感帯外制御量」とS112で算出した「実OCV不感帯内制御量」とを用い、下記式14に基づき、「制御量」を算出する。
制御量=実OCV不感帯内制御量+実OCV不感帯外制御量 ・・・式14
S130では、制御装置50は、下記式15に基づき、「仮想OCV不感帯外制御量」を算出する。
仮想OCV不感帯外制御量=基本デューティ-仮想OCV不感帯下端デューティ ・・・式15
S131では、制御装置50は、上記式12により、「仮想OCV不感帯外制御量」を「実OCV不感帯外制御量」に変換する。
S132では、制御装置50は、下記式16に基づき、「仮想OCV不感帯内制御量」を算出する。
仮想OCV不感帯内制御量=仮想OCV不感帯下端デューティ-仮想OCV保持デューティ学習値 ・・・式16
S133では、制御装置50は、上記式9により、「仮想OCV不感帯内制御量」を「実OCV不感帯内制御量」に変換する。
S134では、制御装置50は、S131で算出した「実OCV不感帯外制御量」とS133で算出した「実OCV不感帯内制御量」とを用い、上記式14に基づき、「制御量」を算出する。
以上説明したように、<1>本実施形態では、対応係数算出部55は、モデル制御弁(仮想OCV)に対し所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10とモデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数(OCVばらつき補正係数)として算出する。そのため、モデル特性と実特性とのずれを吸収し、油圧アクチュエータ30の制御性を向上させることができる。
また、<2>本実施形態では、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し不感帯の内において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。
制御量算出部58は、モデル制御量のうちモデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を不感帯内対応係数(不感帯内OCVばらつき補正係数)で補正した値をOCV10の制御量である不感帯内制御量として算出する。
そのため、油圧アクチュエータ30の制御性をより向上させることができる。
また、<3>本実施形態では、対応係数算出部55は、仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度とOCV10に対し不感帯の外において前記所定幅の制御信号を出力したときの油圧アクチュエータ30の作動速度との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
制御量算出部58は、モデル制御量のうちモデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を不感帯外対応係数(不感帯外OCVばらつき補正係数)で補正した値をOCV10の制御量である不感帯外制御量として算出する。
そのため、油圧アクチュエータ30の制御性をより一層向上させることができる。
また、<7>本実施形態のバルブタイミング調整システム1は、バルブタイミング調整装置2と、上記制御装置50と、を備え、制御装置50によりバルブタイミング調整装置2を制御することで、エンジン5のバルブタイミングを調整可能である。上記制御装置50は、上述のように、油圧アクチュエータ30の制御性を向上させることができる。そのため、バルブタイミング調整装置2の油圧アクチュエータ30の制御性を向上させることができ、エンジン5のバルブタイミングを精度よく調整することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態による制御装置について説明する。第2実施形態は、対応係数算出部55による処理が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるよう仮想OCVに対し出力される制御信号との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための係数である対応係数としての「OCVばらつき補正係数」として算出する。
本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し不感帯の内において出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において出力される制御信号との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。
具体的には、図9に示すように、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅VcとなるようOCV10に対し不感帯の内において出力される制御信号Daと油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅Vcとなるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において出力される制御信号Dmとの比であるDa/Dmを、下記式17の通り、不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。
不感帯内OCVばらつき補正係数=Da/Dm ・・・式17
制御信号Daについては、例えば、記憶部54において、適合マップに保持されている。なお、Daは、不感帯内のデューティを出力したときの速度を記憶しておき、算出してもよい。
ここで、速度幅Vtを得るために出力変化させる制御信号の幅を、OCV10と仮想OCVとのそれぞれにおいて、Da’、Dm’とすると、速度変化の比は変わらないため、下記式18を導くことができる。
Da’×Vc/Da=Dm’×Vc/Dm ・・・式18
上記式18より、下記式19の通り、OCV10の不感帯内の制御量に対応するDa’を導くことができる。
Da’=Dm’×Da/Dm ・・・式19
本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し不感帯の外において出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において出力される制御信号との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
具体的には、図10に示すように、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅VcとなるようOCV10に対し不感帯の外において出力される制御信号Daと油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅Vcとなるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において出力される制御信号Dmとの比であるDa/Dmを、下記式20の通り、不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
不感帯外OCVばらつき補正係数=Da/Dm ・・・式20
制御信号Daについては、例えば、記憶部54において、適合マップに保持されている。なお、Daは、不感帯外のデューティを出力したときの速度を記憶しておき、算出してもよい。
本実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、<4>本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるようモデル制御弁(仮想OCV)に対し出力される制御信号との比を、OCV10とモデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数(OCVばらつき補正係数)として算出する。そのため、第1実施形態と同様、モデル特性と実特性とのずれを吸収し、油圧アクチュエータ30の制御性を向上させることができる。
また、<5>本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し不感帯の内において出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の内において出力される制御信号との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数としての「不感帯内OCVばらつき補正係数」として算出する。
そのため、油圧アクチュエータ30の制御性をより向上させることができる。
また、<6>本実施形態では、対応係数算出部55は、油圧アクチュエータ30の作動速度が所定幅となるようOCV10に対し不感帯の外において出力される制御信号と油圧アクチュエータ30の作動速度が前記所定幅となるよう仮想OCVに対しモデル制御特性におけるモデル不感帯の外において出力される制御信号との比を、OCV10と仮想OCVとを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数としての「不感帯外OCVばらつき補正係数」として算出する。
そのため、油圧アクチュエータ30の制御性をより一層向上させることができる。
(他の実施形態)
他の実施形態では、バルブタイミング調整システムは、内燃機関の排気バルブのバルブタイミングを調整することとしてもよい。
また、他の実施形態では、例えば、カム軸を軸方向に変位させるアクチュエータとして油圧アクチュエータを用い、油圧アクチュエータと制御弁とを備える調整装置を、内燃機関のバルブリフトを調整する装置として用いてもよい。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
2 バルブタイミング調整装置(調整装置)、10 OCV(制御弁)、30 油圧アクチュエータ、50 制御装置、51 制御部、52 不感帯特定部、53 保持値特定部、54 記憶部、55 対応係数算出部、56 モデル保持値算出部、57 モデル制御量算出部、58 制御量算出部、59 制御信号設定部

Claims (3)

  1. 作動油の供給または排出により作動する油圧アクチュエータ(30)と、前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給または排出を制御する制御弁(10)とを備える調整装置(2)を制御する制御装置(50)であって、
    前記制御弁に出力する制御信号によって前記油圧アクチュエータの作動を制御する制御部(51)と、
    制御信号が出力される信号域のうち制御信号の変化に対する前記油圧アクチュエータの応答が無い、または、応答性が低い領域である不感帯を特定する不感帯特定部(52)と、
    前記油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値である保持値を特定する保持値特定部(53)と、
    仮想のモデル制御弁により実現される制御信号の変化に対する前記油圧アクチュエータの応答性の変化の傾向をモデル制御特性として記憶する記憶部(54)と、
    記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数算出する対応係数算出部(55)と、
    前記不感帯の中心値に対する前記保持値のずれ量を前記対応係数によって補正した値を前記モデル制御特性において前記油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値であるモデル保持値として算出するモデル保持値算出部(56)と、
    前記油圧アクチュエータの作動量とその目標作動量との偏差に基づき、前記モデル制御弁の前記モデル保持値を基準とする制御量であるモデル制御量を算出するモデル制御量算出部(57)と、
    前記モデル制御量を前記対応係数で補正した値を前記制御弁の制御量として算出する制御量算出部(58)と、
    前記保持値と前記制御量とに基づき、前記制御弁に出力すべき制御信号を設定する制御信号設定部(59)と、を備え、
    前記対応係数算出部は、前記モデル制御弁に対し前記モデル制御特性におけるモデル不感帯の内において所定幅の制御信号を出力したときの前記油圧アクチュエータの作動速度と前記制御弁に対し前記不感帯の内において前記所定幅の制御信号を出力したときの前記油圧アクチュエータの作動速度との比を、前記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数として算出し、
    前記制御量算出部は、前記モデル制御量のうち前記モデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を前記不感帯内対応係数で補正した値を前記制御弁の前記制御量である不感帯内制御量として算出し、
    前記対応係数算出部は、前記モデル制御弁に対し前記モデル制御特性におけるモデル不感帯の外において所定幅の制御信号を出力したときの前記油圧アクチュエータの作動速度と前記制御弁に対し前記不感帯の外において前記所定幅の制御信号を出力したときの前記油圧アクチュエータの作動速度との比を、前記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数として算出し、
    前記制御量算出部は、前記モデル制御量のうち前記モデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を前記不感帯外対応係数で補正した値を前記制御弁の前記制御量である不感帯外制御量として算出し、
    前記制御部は、前記制御信号設定部により設定した制御信号を前記制御弁に出力し、前記油圧アクチュエータの作動を制御する制御装置。
  2. 作動油の供給または排出により作動する油圧アクチュエータ(30)と、前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給または排出を制御する制御弁(10)とを備える調整装置(2)を制御する制御装置(50)であって、
    前記制御弁に出力する制御信号によって前記油圧アクチュエータの作動を制御する制御部(51)と、
    制御信号が出力される信号域のうち制御信号の変化に対する前記油圧アクチュエータの応答が無い、または、応答性が低い領域である不感帯を特定する不感帯特定部(52)と、
    前記油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値である保持値を特定する保持値特定部(53)と、
    仮想のモデル制御弁により実現される制御信号の変化に対する前記油圧アクチュエータの応答性の変化の傾向をモデル制御特性として記憶する記憶部(54)と、
    記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための係数である対応係数算出する対応係数算出部(55)と、
    前記不感帯の中心値に対する前記保持値のずれ量を前記対応係数によって補正した値を前記モデル制御特性において前記油圧アクチュエータの作動速度がゼロとなるときの制御信号の値であるモデル保持値として算出するモデル保持値算出部(56)と、
    前記油圧アクチュエータの作動量とその目標作動量との偏差に基づき、前記モデル制御弁の前記モデル保持値を基準とする制御量であるモデル制御量を算出するモデル制御量算出部(57)と、
    前記モデル制御量を前記対応係数で補正した値を前記制御弁の制御量として算出する制御量算出部(58)と、
    前記保持値と前記制御量とに基づき、前記制御弁に出力すべき制御信号を設定する制御信号設定部(59)と、を備え、
    前記対応係数算出部は、前記油圧アクチュエータの作動速度が所定幅となるよう前記制御弁に対し前記不感帯の内において出力される制御信号と前記油圧アクチュエータの作動速度が前記所定幅となるよう前記モデル制御弁に対し前記モデル制御特性におけるモデル不感帯の内において出力される制御信号との比を、前記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯内対応係数として算出し、
    前記制御量算出部は、前記モデル制御量のうち前記モデル不感帯の内にあるモデル不感帯内制御量を前記不感帯内対応係数で補正した値を前記制御弁の前記制御量である不感帯内制御量として算出し、
    前記対応係数算出部は、前記油圧アクチュエータの作動速度が所定幅となるよう前記制御弁に対し前記不感帯の外において出力される制御信号と前記油圧アクチュエータの作動速度が前記所定幅となるよう前記モデル制御弁に対し前記モデル制御特性におけるモデル不感帯の外において出力される制御信号との比を、前記制御弁と前記モデル制御弁とを対応させるための前記対応係数である不感帯外対応係数として算出し、
    前記制御量算出部は、前記モデル制御量のうち前記モデル不感帯の外にあるモデル不感帯外制御量を前記不感帯外対応係数で補正した値を前記制御弁の前記制御量である不感帯外制御量として算出し、
    前記制御部は、前記制御信号設定部により設定した制御信号を前記制御弁に出力し、前記油圧アクチュエータの作動を制御する制御装置。
  3. 前記調整装置(2)と、
    請求項1または2に記載の制御装置(50)と、を備え、
    前記制御装置により前記調整装置を制御することで、内燃機関(5)のバルブタイミングを調整可能なバルブタイミング調整システム(1)。
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