JP7270867B2 - ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートフィルムに関し、更に詳しくは、液晶表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等のフラットパネルディスプレイ、タッチパネル等の部材や、キャリアフィルム、フレキシブル基板等のベースフィルム等として使用することができるハードコート層を設けたハードコートフィルムに関する。
液晶表示装置(LCD)等のフラットパネルディスプレイの表示面には、取り扱い時に傷が付いて視認性が低下しないように耐擦傷性を付与することが要求される。そのため、基材フィルムにハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用して耐擦傷性を付与することが一般的に行われている。近年、表示画面上で表示を見ながら指やペン等でタッチすることでデータや指示を入力できるタッチパネルの普及により、光学的視認性の維持と耐擦傷性を有するハードコートフィルムに対する機能的要求は高まっている。
また、キャリアフィルム、フレキシブル基板等のベースフィルムでは、近年、ニーズが複雑化してきており、新しいエレクトロニクスを実現する材料や技術が求められている。熱による耐熱性(寸法安定性)やフィルム上に形成する積層膜との密着性に優れるフィルムの要求は高まっている。そこで各種基材フィルムにハードコート層(機能層)を設けて、基材フィルム単体では得られない性能を付与し、更なる高性能化の要求に応えられる高機能フィルムが求められる。
そのため、基材フィルムとして透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性に優れるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンやさらに寸法安定性に優れるポリイミド、液晶ポリマーは光学部材や電子部材用途への利用が期待されている。このような基材フィルム上にさらにハード性を付与する為のハードコート層を設けたハードコートフィルムは、近年の用途の多様化に伴い、基材フィルムとハードコート層との密着性に優れていることは勿論のこと、さらに光学特性や耐熱性、積層膜との密着性にも優れていることが要求されている。
従来、たとえば特に光学特性に優れているシクロオレフィンフィルム等の基材フィルムにハードコート層との易接着性を付与する方法が特許文献1、特許文献2等に開示されている。特許文献1では、基材フィルム表面に対してコロナ処理、プラズマ処理、UV処理等を行う方法が開示されており、特許文献2では、基材フィルム上にアンカーコート剤を塗設(アンカーコート処理)することが開示されている。
特開2001-147304号公報 特開2006-110875号公報
しかしながら、このようなハードコート層との易接着性を付与するための基材フィルムの表面処理や、アンカーコート処理を行わずとも、基材フィルムとハードコート層との密着性を改善できることが望まれている。
また、最近では、ハードコートフィルムの用途によっては、ハードコート層の表面に積層膜(例えば導電膜、金属膜、金属酸化物膜など)を設けることが要求されている。例えば、ハードコートフィルム上にCuなどの金属膜をスパッタ法等により形成することが行われている。このような用途の場合、ハードコートフィルムには、スパッタ法等により形成された積層膜の密着性を有することも要求される。
そこで、本発明は、光学特性や、ハードコート層の密着性に優れ、さらにハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性を有するハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ハードコート層に含有される樹脂組成物の赤外分光スペクトルにおける特徴(ピーク面積比)に着目し、この赤外分光スペクトル上の特徴が、ハードコート層の密着性や、ハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性の向上に寄与することを見出した。そして、この赤外分光スペクトル上の特徴を備えるハードコート層とすることで、光学特性や、ハードコート層の密着性に優れ、さらにハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性を有するハードコートフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
(第1の発明)
基材フィルムの片面もしくは両面に電離放射線硬化型樹脂組成物を含有するハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たすことを特徴とするハードコートフィルム。
条件(I):前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含有する。
条件(II):ピーク面積比1((A/B)×100)が5%以上。
(但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、3250~3500cm-1に現れるピーク面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
条件(III):ピーク面積比2((C/B)×100)が30%以下。
(但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1500~1580cm-1に現れるピーク面積をCとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
(第2の発明)
前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、無機微粒子又は有機微粒子を含有することを特徴とする第1の発明に記載のハードコートフィルム。
(第3の発明)
前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに下記条件(IV)を満たすことを特徴とする第2の発明に記載のハードコートフィルム。
条件(IV):ピーク面積比3((D/B)×100)が40%以上。
(但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1000~1120cm-1に現れるピーク面積をDとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
(第4の発明)
前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに下記条件(V)を満たすことを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
条件(V):ピーク面積比4((E/B’)×100)が20%以下。
(但し、硬化後の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1370~1435cm-1に現れるピーク面積をEとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をB’とする。)
(第5の発明)
前記ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.5nm~15.0nmの範囲であることを特徴とする第1乃至第4の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
(第6の発明)
前記ハードコート層の膜厚は、0.5μm~12.0μmの範囲であることを特徴とする第1乃至第5の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
(第7の発明)
前記ハードコート層の表面自由エネルギーは、17.0mJ/m~55.0mJ/mの範囲であることを特徴とする第1乃至第6の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
(第8の発明)
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、液晶ポリマーから選ばれるいずれかであることを特徴とする第1乃至第7の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
(第9の発明)
前記ハードコートフィルムは、加熱処理前の熱収縮率の最大値が1.8%以下であり、200℃で10分間加熱処理した後の熱収縮率の最大値が1.5%以下であることを特徴とする第1乃至第8の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
本発明によれば、光学特性およびハードコート層の密着性に優れ、さらにハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性を有するハードコートフィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「○○~△△」とは、特に断りのない限り、「○○以上△△以下」を意味するものとする。
本発明は、上記第1の発明にあるとおり、基材フィルムの片面もしくは両面に電離放射線硬化型樹脂組成物を含有するハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たすことを特徴とするハードコートフィルムである。
条件(I):前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含有する。
条件(II):ピーク面積比1((A/B)×100)が5%以上。
(但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、3250~3500cm-1に現れるピーク面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
条件(III):ピーク面積比2((C/B)×100)が30%以下。
(但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1500~1580cm-1に現れるピーク面積をCとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
かかる本発明のハードコートフィルムの構成を以下に詳しく説明する。
[基材フィルム]
まず、本発明のハードコートフィルムの上記基材フィルムについて説明する。
本発明において、ハードコートフィルムの基材フィルムは特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等を挙げることができる。その中でも透明性、耐熱性、寸法安定性などに優れるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィン、及びポリイミド、トリアセチルセルロース、液晶ポリマーを用いることが好ましく、中でも安価で入手性の高いポリエチレンテレフタレートや光学特性や低吸湿性に優れるシクロオレフィンは、更に好ましい。
また、本発明において、上記基材フィルムの厚さは、ハードコートフィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性等の観点から、10μm~300μmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは20μm~200μmの範囲である。
本発明において、上記基材フィルムは、ハードコートフィルム用途に用いる場合には、紫外線による塗膜の劣化、密着不良を防止する目的で、基材フィルムを構成する樹脂と紫外線吸収剤を混練した樹脂をフィルム状に製膜、或いは基材フィルムの片面或いは両面に熱可塑性或いは熱硬化性樹脂と紫外線吸収剤とを混合した塗料を塗設したフィルムを使用してもよい。
[ハードコート層]
次に、上記ハードコート層について説明する。
本発明において、上記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂組成物を含有する。上記ハードコート層は、この電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化塗膜で形成されている。
上記ハードコート層に含有される樹脂としては、特にハードコート層の表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また、紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の表面硬度の調節が可能になるという点で、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることが好ましい。
本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含有する(上記条件(I))。
本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、紫外線(以下、「UV」と略記する。)や電子線(以下、「EB」と略記する。)を照射することによって硬化する透明な樹脂であり、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含むものであることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を含むウレタンアクリレート樹脂であることが更に好ましい。
前にも説明したように、本発明者らは、ハードコート層に含有される樹脂組成物の赤外分光スペクトルにおける特徴(ピーク面積比)に着目し、この赤外分光スペクトル上の特徴が、ハードコート層の密着性や、ハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性の向上に寄与することを見出した。
すなわち、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、未硬化の状態の電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定において、3250~3500cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をAとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をBとした時に、ピーク面積比1((A/B)×100)が5%以上を満たすことが重要である(上記条件(II))。ピーク面積比1は、5%~400%であることが好ましい。
未硬化の上記電離線放射線硬化型樹脂組成物において、赤外分光スペクトルの1650~1800cm-1に現れるピークは、(メタ)アクリロイル基由来の炭素‐酸素伸縮振動のピークを表す。また、赤外分光スペクトルの3250~3500cm-1に現れるピークは、アミド基由来の窒素-水素結合、又はヒドロキシル基由来の酸素-水素結合を表すと推測される。
つまり(メタ)アクリロイル基の存在割合に対し、一定割合以上の3250~3500cm-1に現れるピークを有することで、(メタ)アクリロイル基による基材に対するハードコート層の密着力と、ハードコート層が層内で硬化収縮することにより基材フィルムとの界面と別方向に力が掛かり剥がれる剥離力とのバランスが保たれるため、極性基の少ないシクロオレフィンフィルムを含む各種基材フィルムに対し、アンカー層や基材フィルムの改質を必要とせずに、基材フィルムに対するハードコート層の密着性を向上させることができると推測される。
また、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、未硬化の状態の電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定において、1500~1580cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をCとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をBとした時に、ピーク面積比2((C/B)×100)が30%以下を満たすことが重要である(上記条件(III))。ピーク面積比2は、25%以下であることが好ましい。
未硬化の上記電離線放射線硬化型樹脂組成物において、赤外分光スペクトルの1500~1580cm-1に現れるピークは、アミド基由来の窒素-水素結合、フェニル環由来の炭素-水素結合、又はアゾ基由来の窒素-窒素二重結合を表すと推測される。また、上記のとおり、赤外分光スペクトルの1650~1800cm-1に現れるピークは、(メタ)アクリロイル基由来の炭素‐酸素伸縮振動のピークを表す。
つまり、(メタ)アクリロイル基の存在割合に対し、一定割合以下の1500~1580cm-1に現れるピークを有することで、基材フィルムに対するハードコート層のハード性をさらに向上させることができると推測される。
また、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、さらに下記条件(IV)を満たすことが好ましい。
すなわち、未硬化の状態の電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定において、1000~1120cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をDとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をBとした時に、ピーク面積比3((D/B)×100)が40%以上を満たすことが好ましい(条件(IV))。ピーク面積比3は、50%~400%であることが更に好ましい。
後述するように、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、さらに無機微粒子又は有機微粒子を含有することができる。
この場合、未硬化の上記電離線放射線硬化型樹脂において、赤外分光スペクトルの1000~1120cm-1に現れるピークは、上記無機微粒子である例えばナノシリカや、上記有機微粒子である例えばシリコーン樹脂由来のケイ素-酸素結合を表すと推測される。また、上記のとおり、赤外分光スペクトルの1650~1800cm-1に現れるピークは、(メタ)アクリロイル基由来の炭素‐酸素伸縮振動のピークを表す。
つまり(メタ)アクリロイル基の存在割合に対し、一定割合以上の1000~1120cm-1に現れるピークを有することは、結合エネルギーが高く熱安定性に優れたケイ素-酸素結合をハードコート層中に多く含むことと同義であることから、ハードコート層の耐熱性向上に寄与すると推測される。これにより、ハードコートフィルム上に形成される積層膜形成時、及び後工程で掛かる熱によるハードコート層の変形が緩和され、ハードコート層の密着力と、積層膜に対する密着性を向上させることができると推測される。
また、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物は、さらに下記条件(V)を満たすことが好ましい。
すなわち、硬化後の状態の電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1370~1435cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をEとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積(ピーク範囲の面積)をB’とした時に、ピーク面積比4((E/B’)×100)が20%以下を満たすことが好ましい(条件(V))。ピーク面積比4は、0.5%~10%であることが特に好ましい。
赤外分光スペクトルの1370~1435cm-1に現れるピークは、(メタ)アクリロイル基由来の炭素‐炭素二重結合を表す。また、赤外分光スペクトルの1650~1800cm-1に現れるピークは、(メタ)アクリロイル基由来の炭素‐酸素伸縮振動のピークを表す。よって、硬化後の電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定による上記ピーク面積比4は、(メタ)アクリロイル基に対するカルボニル基の存在比を表し、ハードコート層の硬化の進行度合いを示すものである。つまり、このピーク面積比4の数値が大きいほど、未反応の(メタ)アクリロイル基が残存していることを表し、ハードコート層中に未硬化成分が増加することから、結果としてハードコート層の剛性が低下し、基材フィルムの熱変形を抑制する力が低下すると推測される。本発明では、ピーク面積比4が20%以下であることにより、ハードコート層の剛性の低下や、基材フィルムの熱変形の抑制力の低下を抑えることができる。また、ハードコートフィルム上に形成される積層膜形成時、及び後工程で掛かる熱によるハードコート層及び基材フィルムの変形が緩和され、ハードコート層の密着力と積層膜に対する密着性を向上させることができると推測される。
また、上記電離放射線硬化型樹脂組成物には、上述の(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、スチレン-アクリル、繊維素等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂を、本発明の効果や、ハードコート層の硬度、耐擦傷性を損なわない範囲内で配合してもよい。
また、上記電離放射線硬化型樹脂組成物の光重合開始剤としては、市販のOmnirad 651やOmnirad 184(いずれも商品名:IMG社製)などのアセトフェノン類、また、Omnirad 500(商品名:IMG社製)などのベンゾフェノン類を使用でき特に制限されるものではない。
また、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物には、さらに無機微粒子又は有機微粒子を含有することができる。この無機微粒子又は有機微粒子を含有させることにより、ハードコート層の表面硬度(耐擦傷性)や表面平滑性の向上を図ることが可能である。さらには、前述したように積層膜の密着性の向上を図ることも可能である。
この場合、無機微粒子又は有機微粒子の平均粒子径は1~150nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは平均粒子径10~100nmの範囲である。平均粒子径が1nm未満であると、十分な表面硬度を得ることが困難である。一方、平均粒子径が150nmを超えると、ハードコート層の光沢、透明性が低下し、可撓性も低下するおそれがある。
上記無機微粒子としては、例えばシリカやアルミナなどを好ましく挙げることができる。また、上記有機微粒子としては、例えばシリコーン樹脂などを好ましく挙げることができる。本発明においては、結合エネルギーが非常に高く、熱安定性に優れる無機微粒子のシリカを含有することが好適である。
本発明において、上記無機微粒子又は有機微粒子の含有量は、電離放射線硬化型樹脂組成物の固形分100質量部に対して1.0~60.0質量部であることが好ましい。含有量が1.0質量部未満であると、表面硬度(耐擦傷性)の向上効果が得られ難い。一方、含有量が60.0質量部を超えると、可撓性の低下やヘイズが上昇するため好ましくない。
[ハードコートフィルム]
本発明のハードコートフィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、上述の条件を満たす電離放射線硬化型樹脂組成物を用いてハードコート層を形成したハードコートフィルムである。
上記ハードコート層には、塗工性の改善を目的にレベリング剤の使用が可能であり、たとえばフッ素系、アクリル系、シロキサン系、及びそれらの付加物或いは混合物などの公知のレベリング剤を使用可能である。配合量は、ハードコート層の樹脂の固形分100質量部に対し0.01質量部~7質量部の範囲での配合が可能である。また、タッチパネル用途等において、タッチパネル端末のカバーガラス(CG)、透明導電部材(TSP)、液晶モジュール(LCM)等との接着を目的に光学透明樹脂OCRを用いた対接着性が要求される場合には、表面自由エネルギーの高い(凡そ40mJ/cm以上)アクリル系レベリング剤やフッ素系のレベリング剤の使用が好ましい。
上記ハードコート層に添加するその他の添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、表面張力調整剤、防汚剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
上記ハードコート層は、上述の電離放射線硬化型樹脂組成物、光重合開始剤、その他の添加剤等を適当な溶媒に溶解、分散した塗料を上記基材フィルム上に塗工、乾燥して形成される。溶媒としては、配合される上記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、光重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘプタンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール系等のアルコール系溶剤等の公知の有機溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
上記ハードコート層の塗工方法については、特に限定はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、スピン塗工、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知の塗工方式で塗設した後、通常50~120℃程度の温度で乾燥する。
本発明においては、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物等を含有するハードコート層用塗料を基材フィルムに塗工、乾燥後に、電離放射線(UVまたはEB等)を照射することにより、光重合が起こりハード性に優れる硬化塗膜(ハードコート層)を得ることができる。特に、JIS K5600-5-4に規定される鉛筆硬度が3B~3Hを有するハードコート層であることが好ましい。乾燥後の塗工膜に対する電離放射線(UV、EB等)の照射量は、ハードコート層に十分なハード性を持たせるに必要な照射量であればよく、電離放射線硬化型樹脂の種類等に応じて適宜設定することができる。
上記ハードコート層の膜厚は、特に制約されるわけではないが、例えば0.5μm~12.0μmの範囲であることが好適であり、1.0μm~9.0μmの範囲であることが更に好ましい。膜厚が0.5μm未満では、ハードコート層に関して十分な剛性が得られず、熱変形を抑制することが困難となる。また、膜厚が12.0μmを超えた場合は、ハードコート層の剛性が顕著に向上し、ハードコート層の屈曲性や耐クラック性が著しく低下するため好ましくない。なお、ハードコート層の膜厚は、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
また、本発明において、上記ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.5nm~15.0nmの範囲であることが好ましく、1.0nm~12.0nmの範囲であることがより好ましい。
ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)が上記範囲にあることで、ハード性の向上のみならず、ハードコートフィルム上に形成される積層膜の密着性が向上する。
ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.5nm未満であると、積層膜の密着性低下が生じる。また、算術平均表面粗さ(Ra)が15.0nmよりも大きくなると、ヘイズが上昇する。
なお、上記の算術平均表面粗さ(Ra)とは、JIS B 0031(1994)/JIS B 0061(1994)付属書で定義される、ある基準長さにおける粗さ曲線の平均線からの絶対偏差を平均化した値であり、つまり平均線以下の粗さ曲線部分を正値側に折り返した時の凹凸の平均値をいう。本発明における算術平均表面粗さ(Ra)の具体的な評価法(測定法)は後述する。
上記ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)は、たとえば、前述のハードコート層への無機又は有機微粒子の添加、ハードコート層塗料の溶媒の種類、ハードコート層塗工時の乾燥条件の変更等によって調整することが可能である。
また、本発明においては、上記ハードコート層の表面自由エネルギーは、17.0mJ/m~55.0mJ/mの範囲であることが好ましく、17.0mJ/m~45.0mJ/mの範囲であることがより好ましい。
ここで、上記の表面自由エネルギーとは、「表面の単位面積が持つ自由エネルギー」として定義され、ハードコート層表面が層内部(バルク)に比べて過剰に持つエネルギーのことである。固体の表面自由エネルギーが大きいほど、気体や微粒子は吸着されやすく、液体は濡れやすく、他の固体と付着しやすくなる。
この表面自由エネルギーは接触角計などを用い、水とヘキサデカンでの接触角をKaelble-Uy法にて解析することによって測定することができる。本発明において、上記ハードコート層の表面自由エネルギーは、具体的には、協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM-701を用いて、プライマー層表面に水(純水)を2μL滴下し、1秒後の接触角を測定し、更に、ハードコート層表面にn-ヘキサデカンを2μL滴下し、1秒後測定し、得られた水の接触角、及びn-ヘキサデカンの接触角を用いて、Kaelble-Uyの方法によって算出した値である。
ハードコート層の表面自由エネルギーが上記範囲にあることで、ハードコートフィルム上に形成される積層膜の密着性が向上する。
本発明において、この表面自由エネルギーが上記範囲にあることにより、濡れ性が向上するため、積層膜の密着性向上に寄与する。
この表面自由エネルギーが17.0mJ/m未満であると、積層膜との密着性が低下する問題を生じる。また、表面自由エネルギーが大きすぎても、汚れが付着しやすくなり、また耐擦傷性が低下する問題が生じるので、表面自由エネルギーの上限値としては、55.0mJ/m以下であることが好ましく、45.0mJ/m以下がより好ましい。
ハードコート層の表面自由エネルギーは、たとえば、ハードコート層へのレベリング剤の添加(レベリング剤の種類や添加量等)によって調整することが可能である。
上記ハードコートフィルムに対しアニール処理を行うことができる。アニール処理とは、フィルムの残留応力を熱処理によって除去する方法である。アニール処理を施すことで分子が完全に結晶化・固定化され、寸法安定性が向上する。アニール処理は高温で短時間行うことが好ましく、長くても40分程度が好ましい。これによりアニール処理をしたハードコートフィルムを用いることで、ハードコートフィルム上に形成される積層膜形成時、及び後工程で掛かる熱によるハードコートフィルムの変形が緩和され、積層膜に対する密着性を向上させることができると推測される。
また、本発明においては、熱収縮率が、加熱処理前の熱収縮率の最大値が1.8%以下であり、200℃で10分間加熱処理した後の熱収縮率の最大値が1.5%以下であることが好ましく、加熱処理前の熱収縮率の最大値が1.6%以下であり、加熱処理した後の熱収縮率の最大値が1.3%以下であることがより好ましく、加熱処理した後の熱収縮率の最大値が1.0%以下であることが更に好ましい。
この熱収縮率が1.9%以上であると、積層膜形成時、及び後工程で掛かる熱によるハードコートフィルムの変形が大きくなるため、積層膜との密着性低下や積層膜のクラック、位置ずれ、フィルム基板の反りが発生する原因となる。
以上詳細に説明したように、本発明は、基材フィルムの片面もしくは両面に電離放射線硬化型樹脂組成物を含有するハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前述の条件(I)、(II)及び(III)を満たすハードコートフィルムであり、本発明によれば、光学特性およびハードコート層の密着性に優れ、さらにハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性を有するハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明のハードコートフィルムは、前述の条件(IV)及び/又は(V)を満たすものであることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。併せて、比較例についても説明する。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
[ハードコート層形成用樹脂組成物(ハードコート層用塗料)1の調製]
電離放射線硬化型樹脂組成物(ウレタンアクリレート及びアクリルエステルを合計で23%、非晶性シリカを15%、光重合開始剤を2%含有し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを35%、メチルエチルケトンを15%、トルエンを10%含有。)に、対固形分比0.1%となるようフッ素系レベリング剤を添加したものを主剤とし、希釈剤(1-プロパノールを70%、ジアセトンアルコールを30%で混合した希釈剤)で固形分濃度25%に調整した。
以上のようにして、本実施例に用いるハードコート層形成用樹脂組成物1を調製した。
[ハードコートフィルムの作製]
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材フィルム(商品名「コスモシャインA4360」、厚み125μm、東洋紡株式会社製)を使用し、この基材フィルムの両面にそれぞれ、上記のハードコート層形成用樹脂組成物1を、バーコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み3.0μm(片面)の塗工層を形成した。なお、塗膜厚みは両面とも同じにした。塗膜厚みは、Thin-Film Analyzer F20(商品名)(FILMETRICS社製)を用いて測定した。
これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量157mJ/cmにて硬化させて、基材フィルムの両面にそれぞれハードコート層を形成し、実施例1のハードコートフィルムを得た。
(実施例2)
実施例1における塗膜厚み(片面)を6.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のハードコートフィルムを作製した。
(実施例3)
[ハードコート層形成用樹脂組成物(ハードコート層用塗料)2の調製]
電離放射線硬化型樹脂組成物(ウレタンアクリレート「FA-3352-3」(固形分40%、日本化工塗料株式会社製))を、希釈剤(酢酸エチルを60%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを40%で混合した希釈剤)で固形分濃度20%に調整した。
以上のようにして、本実施例に用いるハードコート層形成用樹脂組成物2を調製した。
[ハードコートフィルムの作製]
上記のハードコート層形成用樹脂組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のハードコートフィルムを作製した。
(実施例4)
実施例2のハードコート層形成用樹脂組成物において、フッ素系レベリング剤の添加量を対固形分比0.3%としたこと以外は実施例1と同様にしてハードコート層形成用樹脂組成物3を調製し、このハードコート層形成用樹脂組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のハードコートフィルムを作製した。
(実施例5)
実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した後、得られたハードコートフィルムを200℃の乾燥炉で10分間アニール処理したハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1のハードコート層形成用樹脂組成物において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の非晶性シリカ15%を除いたこと以外は実施例1と同様にしてハードコート層形成用樹脂組成物4を調製し、このハードコート層形成用樹脂組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のハードコートフィルムを作製した。
(比較例2)
電離放射線硬化型樹脂組成物(シリコーンオリゴマー系紫外線硬化型樹脂「KR-513」(固形分100%、信越化学工業株式会社製)を95%、光重合開始剤を5%含有。)を主剤とし、希釈剤(1-プロパノールを40%、酢酸プロピルを60%で混合した希釈剤)で固形分濃度45%に調整した。
以上のようにして、ハードコート層形成用樹脂組成物5を調製した。
上記のハードコート層形成用樹脂組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のハードコートフィルムを作製した。
(比較例3)
電離放射線硬化型樹脂組成物(ポリエステルアクリレート系紫外線硬化型樹脂「M7300K」(固形分100%、東亜合成株式会社製)を95%、光重合開始剤を5%含有。)を主剤とし、希釈剤(1-プロパノールを40%、酢酸プロピルを60%で混合した希釈剤)で固形分濃度45%に調整した。
以上のようにして、ハードコート層形成用樹脂組成物6を調製した。
上記のハードコート層形成用樹脂組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のハードコートフィルムを作製した。
<評価方法>
得られた上記各実施例および各比較例のハードコートフィルムを下記の方法および基準で評価した。その結果を纏めて表1および表2、表3に示した。
(1)電離放射線硬化型樹脂組成物のピーク面積およびピーク面積比
赤外分光光度計を用いて未硬化の状態の電離放射線硬化型樹脂組成物(上記ハードコート層に用いた樹脂)に対するATR法により、赤外分光スペクトル(赤外吸収スペクトル)を測定した。赤外分光光度計はFT-IR Spectrometer Spectrum 100 (パーキンエルマージャパン社製)を使用した。
測定方法としては、上記のハードコート層形成用樹脂組成物を塗工した基材フィルムを80℃の乾燥炉で3時間乾燥させた後、温度23℃/湿度50%環境下で、赤外分光光度計の測定部位(センサー部)に塗工面を接触させ、赤外分光スペクトルを測定した。
得られた横軸を波数(cm-1)とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、3250~3500cm-1、1650~1800cm-1、1500~1580cm-1、1000~1120cm-1にそれぞれベースラインを引き、このベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれピーク面積A、B、C及びDとし、その比((A/B)×100)、((C/B)×100)及び((D/B)×100)をそれぞれピーク面積比1、2、3とした。
また、上記赤外分光光度計を用いてハードコートフィルムのハードコート層表面(硬化後の電離放射線硬化型樹脂組成物)に対するATR法により、赤外分光スペクトル(赤外吸収スペクトル)を測定した。測定方法としては、温度23℃/湿度30%環境下で、赤外分光光度計の測定部位(センサー部)にハードコート層表面を接触させ、赤外分光スペクトルを測定した。
得られた横軸を波数(cm-1)とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、1370~1435cm-1、1650~1800cm-1にそれぞれベースラインを引き、このベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれピーク面積E、B’とし、その比((E/B’)×100)をピーク面積比4とした。
以上の結果は纏めて表1に示した。
(2)算術平均表面粗さRa(表面平滑性)
株式会社日立ハイテク製のナノ3D光干渉計測システム「VS 1800」を用いてハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)を測定した。
(3)表面自由エネルギー
協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM-701を用いて、ハードコート層表面に水(純水)を2μL滴下し、1秒後の接触角を測定する。更に、ハードコート層表面にn-ヘキサデカンを2μL滴下し、1秒後測定する。このようにして測定した水の接触角、及びn-ヘキサデカンの接触角を用いて、Kaelble-Uyの方法によりハードコート層の表面自由エネルギーを算出した。
(4)光学特性(透過率、ヘイズ(Haze))
JIS-K-7361-1及びJIS-K-7136に準じて、ヘイズメーターHM150(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
(5)密着性
密着性は、JIS-K5600-5-6に準じて碁盤目剥離試験により評価した。具体的には、各ハードコートフィルムについて、通常条件下(23℃、50%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mmのクロスカットを100個作製し、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を3段階評価した。なお、同じ箇所で5回、圧着・剥離を行った後に判定した。評価基準は下記の通りである。
○:100個(剥がれなし)
△:99~90個(軽微な剥がれあり)
×:89~0個(剥がれあり)
(6)積層膜密着性
マグネトロンスパッタ装置MSP-40T(株式会社真空デバイス製)を用いて、各ハードコートフィルム上に、膜厚100nmのCuスパッタ膜を形成した。
積層膜の密着性は、上記と同様に、JIS-K5600-5-6に準じて碁盤目剥離試験により評価した。具体的には、各ハードコートフィルム上に形成されたCuスパッタ膜について、通常条件下(23℃、50%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mmのクロスカットを100個作製し、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、Cuスパッタ膜の残存個数を3段階評価した。なお、同じ箇所で5回、圧着・剥離を行った後に判定した。評価基準は下記の通りである。
○:100個(剥がれなし)
△:99~90個(軽微な剥がれあり)
×:89~0個(剥がれあり)
以上の表面平滑性、表面自由エネルギー、光学特性、密着性、積層膜密着性に関する評価結果は纏めて表2に示した。
(7)熱収縮率
JIS-K-7133に準じて、デジタル式小型測定顕微鏡(OLYMPUS株式会社製)を用いて測定した。熱処理は150℃で30分間と200℃で30分間行った。なお、熱収縮率は、ハードコートフィルムの塗布方向(「MD」と略記する。)およびこれと直交する幅方向(「TD」と略記する。)で測定した。
以上の熱収縮率に関する評価結果は、表3に示した。
Figure 0007270867000001
Figure 0007270867000002
Figure 0007270867000003
表1及び表2、表3の結果から明らかなように、本発明の条件(I)、(II)及び(III)を満たしている本発明実施例によれば、光学特性及びハードコート層の密着性に優れ、さらにハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性を有するハードコートフィルムを提供することができる。
他方、本発明の条件(I)、(II)及び(III)のいずれかを満たしていない比較例では、光学特性、ハードコート層の密着性、ハードコートフィルム上に形成された積層膜の密着性のすべてを満足するハードコートフィルムは得られない。比較例では、特に積層膜の密着性が不十分である。

Claims (7)

  1. 基材フィルムの片面もしくは両面に電離放射線硬化型樹脂組成物を含有するハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たし、
    前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに下記条件(V)を満たし、
    前記ハードコート層の表面自由エネルギーは、17.0mJ/m ~55.0mJ/m の範囲である
    ことを特徴とするハードコートフィルム。
    条件(I):前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含有する。
    条件(II):ピーク面積比1((A/B)×100)が5%以上。
    (但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、3250~3500cm-1に現れるピーク面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
    条件(III):ピーク面積比2((C/B)×100)が30%以下。
    (但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1500~1580cm-1に現れるピーク面積をCとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
    条件(V):ピーク面積比4((E/B’)×100)が20%以下。
    (但し、硬化後の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1370~1435cm -1 に現れるピーク面積をEとし、1650~1800cm -1 に現れるピーク面積をB’とする。)
  2. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、無機微粒子又は有機微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに下記条件(IV)を満たすことを特徴とする請求項2に記載のハードコートフィルム。
    条件(IV):ピーク面積比3((D/B)×100)が40%以上。
    (但し、未硬化の前記電離放射線硬化型樹脂組成物の赤外分光スペクトル測定で、1000~1120cm-1に現れるピーク面積をDとし、1650~1800cm-1に現れるピーク面積をBとする。)
  4. 前記ハードコート層表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.5nm~15.0nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層の膜厚は、0.5μm~12.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  6. 前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、液晶ポリマーから選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  7. 前記ハードコートフィルムは、加熱処理前の熱収縮率の最大値が1.8%以下であり、200℃で10分間加熱処理した後の熱収縮率の最大値が1.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
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