JP7269719B2 - 圧電膜およびその製造方法、圧電デバイス、共振器、フィルタ並びにマルチプレクサ - Google Patents

圧電膜およびその製造方法、圧電デバイス、共振器、フィルタ並びにマルチプレクサ Download PDF

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Description

本発明は、圧電膜およびその製造方法、圧電デバイス、共振器、フィルタ並びにマルチプレクサに関する。
圧電薄膜共振器等の圧電デバイスおよび弾性波デバイスには圧電膜が用いられている。圧電膜として窒化アルミニウム膜を用い、窒化アルミニウム膜にスカンジウムを添加することで、圧電膜の圧電性が向上することが知られている(例えば特許文献1)。窒化アルミニウム膜に2族元素または12族元素と4族元素または5族元素を添加することで圧電性が向上することが知られている(例えば特許文献2)。
特開2011-15148号公報 特開2013-219743号公報
特許文献1および2のように、窒化アルミニウム膜に不純物を添加すると、窒化アルミニウム膜の圧電性は向上するが電気機械結合係数は低下する。このように、圧電膜の電気機械結合係数を低下させずに、圧電性を向上させることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、圧電性を向上させることを目的とする。
本発明は、圧電材料を含む複数の結晶粒を含み、厚さ方向の中央領域における平均結晶粒径は、前記厚さ方向における前記中央領域の両側の領域における平均結晶粒径より大きい圧電膜であって、前記圧電膜の厚さ方向に積層された第1圧電膜および第2圧電膜を備え、前記第1圧電膜と前記第2圧電膜との界面において前記複数の結晶粒は連続せず、前記中央領域は前記界面を含み、前記中央領域内の前記第1圧電膜の平均結晶粒径と前記中央領域内の前記第2圧電膜の平均結晶粒径とは、前記両側の領域における平均結晶粒径より大きい圧電膜である。
上記構成において、前記中央領域における平均結晶粒径は、前記両側の領域における平均結晶粒径の1.5倍以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1圧電膜および前記第2圧電膜における平均結晶粒径は、前記第1圧電膜および前記第2圧電膜の前記界面の反対の面から前記界面に行くに従い大きくなる構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の結晶粒は柱状構造を有し、前記厚さ方向の中央領域における前記厚さ方向から見た平均結晶粒径は、前記厚さ方向における前記両側の領域における前記厚さ方向から見た平均結晶粒径より大きい構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電材料は窒化アルミニウムである構成とすることができる。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた上記圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、を備える圧電デバイスである。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた上記圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、を備える共振器である。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた上記圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、前記第1圧電膜と前記第2圧電膜との間に設けられた挿入膜と、を備える共振器である。
本発明は、上記共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明は、第1基板上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなるように第1圧電膜を形成する工程と、第2基板上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなりかつ成長面が前記第1圧電膜の成長面と反対の分極面となるように第2圧電膜を形成する工程と、前記第1圧電膜の前記第1基板と反対の表面と、前記第2圧電膜の前記第2基板と反対の表面と、を接合させる工程と、を含む圧電膜の製造方法である。
本発明によれば、圧電性を向上させることができる。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA-A断面図である。 図2(a)から図2(e)は、実施例1に係る直列共振器の製造方法を示す断面図(その1)である。 図3(a)から図3(e)は、実施例1に係る直列共振器の製造方法を示す断面図(その2)である。 図4は、実施例1における圧電膜付近の断面模式図である。 図5(a)から図5(c)は、図4におけるそれぞれA-A断面模式図、B-B断面模式図およびC-C断面模式図である。 図6(a)は、シミュレーション1における圧電薄膜共振器の断面図、図6(b)は、サンプルAからCの***振周波数におけるQ値を示す図である。 図7(a)から図7(c)は、シミュレーション1における歪、応力および弾性波エネルギー密度を示す図である。 図8(a)および図8(b)は、実施例1に係る圧電膜の断面模式図である。 図9は、サンプル数に対する標準誤差を示す図である。 図10(a)から図10(c)は、それぞれ実施例1の変形例1から3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図11(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図11(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
以下、図面を参照し実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA-A断面図である。図1(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図1(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。
図1(a)および図1(b)を参照し、直列共振器Sの構造について説明する。基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。基板10は例えばシリコン(Si)基板である。下部電極12は下層12aと上層12bとを含んでいる。下層12aおよび上層12bは例えばそれぞれクロム(Cr)膜およびルテニウム(Ru)膜である。
下部電極12上に、圧電膜14が設けられている。圧電膜14は、多結晶であり複数の結晶粒を含む。圧電膜14は、例えば(0001)方向を主軸とする(すなわちC軸配向性を有する)窒化アルミニウムを主成分とする窒化アルミニウム膜である。圧電膜14は、下部電極12に接する下部圧電膜14aおよび上部電極16に接する上部圧電膜14bを含む。
下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。挿入膜28は例えば酸化シリコン膜である。挿入膜28は共振領域50内の外周領域52に設けられ、中央領域54に設けられていない。挿入膜28は、外周領域52から共振領域50外まで連続して設けられている。
圧電膜14を挟み下部電極12と対向する領域(共振領域50)を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。平面視において共振領域50は空隙30に重なり、空隙30は共振領域50と同じか大きい。すなわち、平面視において共振領域50の全ては空隙30と重なる。上部電極16は下層16aおよび上層16bを含んでいる。下層16aおよび上層16bは例えばそれぞれルテニウム膜およびクロム膜である。
上部電極16上には周波数調整膜24として酸化シリコン膜が形成されている。共振領域50内の積層膜18は、下部電極12、圧電膜14、挿入膜28、上部電極16および周波数調整膜24を含む。周波数調整膜24はパッシベーション膜として機能してもよい。
図1(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路33が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路33の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路33の先端に孔部35を有する。
図1(a)および図1(c)を参照し、並列共振器Pの構造について説明する。並列共振器Pは直列共振器Sと比較し、上部電極16の下層16aと上層16bとの間に、チタン(Ti)層からなる質量負荷膜20が設けられている。よって、積層膜18は直列共振器Sの積層膜に加え、共振領域50内の全面に形成された質量負荷膜20を含む。その他の構成は直列共振器Sの図1(b)と同じであり説明を省略する。
直列共振器Sと並列共振器Pとの共振周波数の差は、質量負荷膜20の膜厚を用い調整する。直列共振器Sと並列共振器Pとの両方の共振周波数の調整は、周波数調整膜24の膜厚を調整することにより行なう。
2GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振器の場合、下部電極12のクロム膜からなる下層12aの膜厚は100nm、ルテニウム膜からなる上層12bの膜厚は210nmである。窒化アルミニウム膜からなる圧電膜14の膜厚は1100nmである。酸化シリコン膜からなる挿入膜28の膜厚は150nmである。上部電極16のルテニウム膜からなる下層16aの膜厚は230nm、クロム膜からなる上層16bの膜厚は50nmである。酸化シリコン膜からなる周波数調整膜24の膜厚は50nmである。チタン膜からなる質量負荷膜20の膜厚は120nmである。各層の膜厚は、所望の共振特性を得るため適宜設定することができる。
基板10としては、シリコン基板以外に、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、ルテニウムおよびクロム以外にもアルミニウム(Al)、チタン、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。例えば、上部電極16の下層16aをRu、上層16bをMoとしてもよい。
圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、スカンジウム(Sc)、2族元素と4族元素との2つの元素、または2族元素と5族元素との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族元素は、例えばカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)または亜鉛(Zn)である。4族元素は、例えばチタン、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。5族元素は、例えばタンタル、ニオブ(Nb)またはバナジウム(V)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、ボロン(B)を含んでもよい。
挿入膜28は、圧電膜14よりヤング率および/または音響インピーダンスが小さい材料である。挿入膜28は、酸化シリコン以外に、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅、チタン、白金、タンタルまたはクロム等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
周波数調整膜24としては、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜等を用いることができる。質量負荷膜20としては、チタン以外にも、下部電極12および上部電極16として例示した金属膜、または窒化シリコンまたは酸化シリコン等の絶縁膜を用いることもできる。
[実施例1の製造方法]
図2(a)から図3(e)は、実施例1に係る直列共振器の製造方法を示す断面図である。図2(a)に示すように、平坦主面を有する基板10上に空隙を形成するための犠牲層38を形成する。犠牲層38の膜厚は、例えば10~100nmであり、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、ゲルマニウム(Ge)または酸化シリコン(SiO)等のエッチング液またはエッチングガスに容易に溶解できる材料から選択される。その後、犠牲層38を、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。犠牲層38の形状は、空隙30の平面形状に相当する形状であり、例えば共振領域50となる領域を含む。次に、犠牲層38および基板10上に下部電極12として下層12aおよび上層12bを形成する。犠牲層38および下部電極12は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜される。その後、下部電極12を、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。
図2(b)に示すように、下部電極12および基板10上に下部圧電膜14aを、例えばスパッタリング法または真空蒸着法を用い成膜する。下部圧電膜14aがフォルマーウェーバー(Volmer-Weber)成長様式で成膜されると、下部圧電膜14aが成長するにしたがい下部圧電膜14a内の結晶粒径が大きくなる。よって、下部圧電膜14aでは、上面付近の結晶粒径は下部電極12付近の結晶粒径より大きくなる。また、例えば下部圧電膜14aが窒化アルミニウム膜の場合、下部圧電膜14aの上面はN面となる。その後、下部圧電膜14aの上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて平坦化する。
シリコン基板上に膜厚が1μmの窒化アルミニウム膜をスパッタリング法を用い成膜した。シリコン基板の上面に平行な断面をTEM(Transmission Electron Microscope)法を用い観察した。複数の結晶粒の面積を円相当の径に換算した。すなわち、結晶粒の面積がSのとき、結晶粒径Rを2×√(S/π)とした。複数の結晶粒径の平均を算出した。シリコン基板の上面から0.08μmの位置における平均結晶粒径(結晶粒のサンプル数は94個)は15.8nmであり、窒化アルミニウム膜の表面から0.08nmの位置(すなわちシリコン基板の上面から0.92μmの位置)における平均結晶粒径(サンプル数は71個)は44.8nmであった。上記は一例であり、圧電膜14の材料、下地層(下部電極12および基板10)の材料および圧電膜14の成膜方法により、平均結晶粒径は適宜設定できる。
図2(c)に示すように、下部圧電膜14aの上面の一部をフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い除去する。これにより、下部圧電膜14aの上面に凹部36aと凸部36bとが形成される。凹部36aは挿入膜28が形成される領域である。
図2(d)に示すように、下部圧電膜14aの上面に挿入膜28を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。図2(e)に示すように、挿入膜28の上面を例えばCMP法を用い平坦化する。これにより、凸部36b上の挿入膜28が除去され凸部36bの上面が挿入膜28から露出する。凹部36aに挿入膜28が形成される。
図3(a)に示すように、基板10とは別に基板32を準備する。基板32は例えばシリコン基板である。基板32は基板10において例示した材料の基板でもよい。基板32の平坦な上面にシード層34を成膜する。シード層34は例えばアルミニウム膜であり、例えば真空蒸着法またはスパッタリング法を用い形成する。シード層34上に上部圧電膜14bを例えばスパッタリング法または真空蒸着法を用い成膜する。上部圧電膜14bが成長するにしたがい上部圧電膜14b内の結晶粒径が大きくなる。よって、上部圧電膜14bでは、上部圧電膜14bの上面(図3(b)以降では下面)付近の結晶粒径はシード層34付近の結晶粒径より大きくなる。また、例えば上部圧電膜14bが窒化アルミニウム膜の場合、アルミニウム膜上に上部圧電膜14bを成膜すると上部圧電膜14bの上面(図3(b)以降では下面)はAl面となる。
図3(b)に示すように、図3(a)の基板32および上部圧電膜14bの上下を逆にし、下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とを接合する。接合には、例えば表面活性化法等の常温における接合方法を用いる。表面活性化法では、下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とにイオンをイオンビーム、中性化したビームまたはプラズマとして、照射する。イオンは例えばアルゴン(Ar)イオン等の不活性元素(例えば希ガス元素)のイオンである。真空を維持した状態で、下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とを張り合わせると、活性化された下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とが接合される。
このような接合は常温(例えば100℃以下かつ-20℃以上、好ましくは80℃以下かつ0℃以上)で行われるため熱応力を抑制できる。また、下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とを接合層等の他の材料を介すことなく直接接合することができる。なお、表面活性化法を用いると、接合面に10nm以下のアモルファス層が形成されることがあるが、アモルファス層は非常に薄いため、下部圧電膜14aおよび挿入膜28の上面と上部圧電膜14bの下面とは実質的には直接接合されている。これにより、下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bを有する圧電膜14が形成される。下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bの上面はいずれもN面となる。これにより、下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bの静電分極の方向は同じとなる。
図3(c)に示すように、基板32を例えばスマートカット法を用い除去する。シード層34を例えばCMP法またはエッチング法を用い除去する。これにより、圧電膜14の上面が露出する。
図3(d)に示すように、圧電膜14上に、上部電極16の下層16aおよび上層16bを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。上部電極16を、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。上部電極16は、リフトオフ法により形成してもよい。
なお、図1(c)に示す並列共振器においては、下層16aを形成した後に、質量負荷膜20を、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。質量負荷膜20をフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。その後、上層16bを形成する。
周波数調整膜24を例えばスパッタリング法またはCVD法を用い形成する。フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い周波数調整膜24を所望の形状にパターニングする。
図3(e)に示すように、周波数調整膜24および上部圧電膜14bをフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。挿入膜28および下部圧電膜14aをフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。これにより、圧電膜14の端面は段差を有する構造となる。
その後、孔部35および導入路33(図1(a)参照)を介し、犠牲層38のエッチング液を下部電極12の下の犠牲層38に導入する。これにより、犠牲層38が除去される。犠牲層38をエッチングする媒体としては、犠牲層38以外の共振器を構成する材料をエッチングしない媒体であることが好ましい。特に、エッチング媒体は、エッチング媒体が接触する下部電極12がエッチングされない媒体であることが好ましい。積層膜18(図1(b)および図1(c)参照)の応力を圧縮応力となるように設定しておく。これにより、犠牲層38が除去されると、積層膜18が基板10の反対側に基板10から離れるように膨れる。下部電極12と基板10との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成される。以上により、図1(a)および図1(b)に示した直列共振器S、および図1(a)および1(c)に示した並列共振器Pが作製される。
[実施例1の断面模式図]
図4は、実施例1における圧電膜付近の断面模式図である。図4に示すように、接合面15において下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとが直接接合されている。下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bは結晶粒44が積層方向に延伸する柱状構造を有する。結晶粒44の境界が粒界45である。接合面15において下部圧電膜14aと上部圧電膜14bの結晶粒44および粒界45は不連続である。結晶粒44および粒界45の一部は下部圧電膜14aを厚さ方向に貫通する。下部圧電膜14aでは、下部電極12付近には結晶粒44が多く形成されている。積層方向に行くに従い一部の結晶粒44は収束する。収束しない結晶粒44は積層方向に行くに従い大きくなる。上部圧電膜14bでは、下部圧電膜14aを上下逆にした構造になる。
図5(a)から図5(c)は、図4におけるそれぞれA-A断面模式図、B-B断面模式図およびC-C断面模式図である。図5(a)から図5(c)に示すように、下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bの積層方向に直交する平面の断面においては、結晶粒44の方向依存性があまりない。図5(b)の結晶粒44は、図5(a)および図5(c)の結晶粒44より大きい。
[シミュレーション1]
圧電膜14に厚み縦振動などの振動が加わるとき、結晶粒44の粒界45ではすべりが生じる。このため、粒界45では弾性波エネルギーの損失が発生する。このため、平均結晶粒径が大きい領域ではマテリアルQが大きく、平均結晶粒界が小さい領域ではマテリアルQが小さくなる。そこで、圧電膜14内でマテリアルQが異なる場合について、厚み縦振動させたときの***振周波数におけるQ値Qaを有限要素法を用いシミュレーションした。
図6(a)は、シミュレーション1における圧電薄膜共振器の断面図である。図6(a)に示すように、圧電膜14を領域13aから13fの6つの領域に等分割した。領域13aから13cは下部圧電膜14aに相当し、領域13dから13fは上部圧電膜14bに相当する。シミュレーション条件は以下である。
下部電極12:厚さが0.25μmのルテニウム膜
圧電膜14:膜厚が1.3μmnmのC軸配向の窒化アルミニウム
上部電極16:厚さが0.25μmのルテニウム膜
下部電極12と上部電極16との間に振幅が1Vであり周波数が1900MHzから2200MHzの交流電圧を印加してアドミッタンスの周波数依存を算出した。アドミッタンス特性の算出結果をmBVD(Modified Butterworth-Van-Dyke)モデルでフィッティングし***振周波数のQ値Qaを算出した。
表1は、サンプルAからCにおける各領域13aから13fのマテリアルQを示す図である。
Figure 0007269719000001
表1に示すように、サンプルAでは、領域13aから13cで順にマテリアルQが大きくなり、領域13dから13fで順にマテリアルQが大きくなる。これは、下部圧電膜14aでは下部電極12から接合面15に行くにしたがい結晶粒径が大きくなり、上部圧電膜14bでは接合面15から上部電極16に行くにしたがい結晶粒径が大きくなることに対応する。例えば、下部電極12上に下部圧電膜14aを成膜し、下部圧電膜14a上に上部圧電膜14bをスパッタリング法等で成膜すると、サンプルAのようになる。
サンプルBでは、領域13aから13cで順にマテリアルQが大きくなり、領域13dから13fで順にマテリアルQが小さくなる。これは、実施例1のように、下部圧電膜14aでは下部電極12から接合面15に行くにしたがい結晶粒径が大きくなり、上部圧電膜14bでは上部電極16から接合面15に行くにしたがい結晶粒径が大きくなることに対応する。
サンプルCでは、領域13aから13cで順にマテリアルQが小さくなり、領域13dから13fで順にマテリアルQが大きくなる。これは、実施例1とは逆であり、下部圧電膜14aでは接合面15から下部電極12に行くにしたがい結晶粒径が大きくなり、上部圧電膜14bでは接合面15から上部電極16に行くにしたがい結晶粒径が大きくなることに対応する。
図6(b)は、サンプルAからCの***振周波数におけるQ値を示す図である。図6(b)に示すように、サンプルA、BおよびCの***振周波数におけるQ値Qaはそれぞれ2499、2795および2349である。サンプルBのQaが最も大きく、サンプルCのQaが最も小さい。
図7(a)から図7(c)は、シミュレーション1における歪、応力および弾性波エネルギー密度を示す図である。歪は厚さ縦振動の振幅に相当する。応力はフォン-ミーゼス応力に相当する。弾性波エネルギー密度は厚さ縦振動によるエネルギー密度である。縦軸は下部電極12に下面を0とした積層方向の座標を示す。座標が0から0.25μmの範囲は下部電極12に対応し、座標が0.25μmから1.55μmの範囲は圧電膜14に対応し、座標が1.55μmから1.8μmの範囲は上部電極16に対応する。
図7(a)から図7(c)に示すように、歪、応力および弾性波エネルギー密度とも圧電膜14では、下部電極12および上部電極16より大きい。圧電膜14内では、圧電膜14の厚さ方向の中央に相当する座標が0.9μmにおいて、歪、応力および弾性波エネルギー密度が最も大きくなる。座標が0.9μmから大きくなるまたは小さくなると歪、応力および弾性波エネルギー密度は小さくなる。損失を抑制しQ値を向上させるためには、弾性波エネルギー密度の大きい領域においてマテリアルQを大きくすることが有効である。サンプルでは圧電膜14の中央付近の領域13cおよび13dのマテリアルQが大きい。このため、サンプルBにおいてQaが高くなったと考えられる。
特許文献1および2のように、圧電膜14である窒化アルミニウム膜にAlサイトに置換する不純物元素を添加すると、圧電性が向上しQ値が向上する。しかしながら電気機械結合係数が低下する。このように、圧電膜14の圧電性と電気機械結合係数はトレードオフの関係である。圧電膜14の圧電性と電気機械結合係数をともに向上させるためには、圧電膜14の膜質を改善し、弾性波の損失を低減することが求められる。
圧電膜14をスパッタリング法または真空蒸着法等を用い成膜すると多結晶膜となる。多結晶膜では粒界においてすべり等により弾性波の損失を生じうる。そこで、圧電膜14をMOCVD(Metal Organic CVD)法等を用いエピタキシャル成長することで、圧電膜14を単結晶に近い膜とすることができる。これにより、圧電膜14内の粒界はほぼなくなり、弾性波の損失が低減する。しかしながら、MOCVD装置は高価である。また、MOCVD法を用い圧電膜14を成膜しようとすると成膜温度が高くなる。このため、既存のプロセスを大幅に見直すことになる。
図8(a)および図8(b)は、実施例1に係る圧電膜の断面模式図である。図8(a)に示すように、実施例1によれば、圧電膜14は、圧電材料を含む複数の結晶粒を含み、厚さ方向の領域15b(中央領域)における平均結晶粒径は、厚さ方向における領域15bの両側の領域15aおよび15cにおける平均結晶粒径より大きい。これにより、歪、応力および弾性波エネルギー密度の最も大きい領域15bにおけるマテリアルQを大きくできる。このため、損失が低減し圧電性(Q値)を向上させることができる。また、圧電膜14に添加する不純物を少なくできるため、電気機械結合係数の低下を抑制できる。
領域15aから15cにおける平均結晶粒径の求め方の例を説明する。領域15aから15cの厚さをそれぞれTaからTcとする。TaからTcが各々圧電膜14の厚さTの1/3となるようにする。すなわち、圧電膜14を領域15aから15cに等分割する。各領域15aから15cの厚さ方向の中心位置におけるそれぞれA-A断面、B-B断面およびC-C断面を観察する。なお、領域15aから15cの厚さおよび各領域15aから15cの中心位置は圧電膜14の厚さTの5%程度の誤差は許容できる。
A-A断面、B-B断面およびC-C断面を例えばTEM画像を観察する。TEM画像の回折コントラストを用いると結晶粒が観察しやすく、画像上で結晶粒を画定しやすくなる。結晶粒が画定できないものはサンプリングせず、結晶粒が画定できたものをサンプリングする。例えば500nm×500nmのTEM画像から結晶粒をサンプリングする。結晶粒のサンプリング数は60個以上が好ましい。結晶粒のサンプリング数が60個未満の場合はTEM画像を増やす。
サンプリングした結晶粒の面積を測定する。測定した結晶粒の面積を円相当の径に換算する。結晶粒の面積がSのとき、結晶粒径Rは2×√(S/π)である。結晶粒径Rを平均すると平均結晶粒径となる。
図2(b)において説明した平均結晶粒径の一例を用い結晶粒のサンプル数に対する平均結晶粒径の標準誤差を算出した。図9は、サンプル数に対する標準誤差を示す図である。白丸は圧電膜14の表面から0.08μmでの標準誤差σ/√Nの算出結果、黒丸はシリコン基板の上面から0.08μmでの標準誤差σ/√Nの算出結果である。図9に示すように、サンプル数Nが大きくなると標準誤差は小さくなり、平均結晶粒径の精度が高くなる。サンプル数が60個以上では標準誤差は2nm以下であり、平均結晶粒径の比較が十分可能である。
図8(b)に示すように、圧電膜14が下部圧電膜14aと上部圧電膜14bを含む場合、領域15bにおける平均結晶粒界はB-B断面およびB´-B´断面において求めてもよい。B-B断面は領域15b内の下部圧電膜14aの厚さ方向の中心位置であり、B´-B´断面は領域15b内の上部圧電膜14bの厚さ方向の中心位置である。中心位置は圧電膜14の厚さTの5%程度の誤差は許容できる。
領域15bにおける平均結晶粒径は、両側の領域15aおよび15cにおける平均結晶粒径の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上がより好ましく、2.5倍以上がさらに好ましい。
圧電膜14は、厚さ方向に積層された下部圧電膜14a(第1圧電膜)および上部圧電膜14b(第2圧電膜)を備え、下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの界面(接合面15)において複数の結晶粒は連続せず、領域15bは界面を含む。例えば圧電膜14内に挿入膜28を形成する場合、圧電膜14を2回に分けて成膜する。この場合には、圧電膜14を1回で厚く成膜できないため、結晶粒が小さくなる。上部圧電膜14bを下部圧電膜14a上に形成すると、表1のサンプルAのようにQ値が低下する。そこで、領域15b内の下部圧電膜14aの平均結晶粒径と領域15b内の上部圧電膜14bの平均結晶粒径とは、領域15aおよび15cにおける平均結晶粒径より大きい。これにより、圧電膜14の圧電性を高くすることができる。
図2(b)のように、基板10(第1基板)上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなるように下部圧電膜14a(第1圧電膜)を形成する。図3(a)のように、基板32(第2基板)上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなりかつ成長面が下部圧電膜14aの成長面と反対の分極面となるように上部圧電膜14b(第2圧電膜9を形成する。図3(b)のように、下部圧電膜14aの基板10と反対の表面と、上部圧電膜14bの基板32と反対の表面と、を接合させる。これにより、領域15aおよび15bにおける平均結晶粒径は、圧電膜14の厚さ方向の両表面から界面(接合面15)に行くに従い大きくなる。よって、圧電膜14の圧電性をより高くすることができる。また、下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの誘電分極の極性が同じとなるため、厚み縦振動の奇数モード(例えば1次モード)により共振する圧電薄膜共振器となる。
複数の結晶粒が柱状構造を有する場合、領域15bにおける厚さ方向から見た平均結晶粒径は、領域15aおよび15cにおける厚さ方向から見た平均結晶粒径より大きい。柱状構造では粒界における結晶粒間の結合が弱いため、粒界における弾性波の損失が大きくなりやすい。そこで、領域15bの平均結晶粒径を領域15aおよび15cの平均結晶粒径より大きくする。これにより、圧電膜14の圧電性をより高くすることができる。なお、結晶粒が柱状構造を有しない場合には、領域15aから15cにおける平均結晶粒径を圧電膜14の平面方向から見た平均結晶粒径で比較してもよい。
圧電材料が窒化アルミニウムのとき、圧電膜14は、スカンジウム、または、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよび亜鉛の少なくとも1つの元素とチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、バナジウムおよびタンタルの少なくとも1つの元素とを含む。これらの元素は主にアルミニウムと置き換わる。これにより、圧電膜14の圧電性をより高めることができる。
圧電薄膜共振器では、圧電膜14は基板10上に設けられている。下部電極12(第1電極)および上部電極16(第2電極)は、圧電膜14の少なくとも一部を厚さ方向に挟み対向し、それぞれ領域15aおよび15cと接する。このような共振器では、図7(a)から図7(c)のように、圧電膜14の領域15bにおける歪、応力および弾性波エネルギー密度が大きい。そこで、領域15b内の下部圧電膜14aの平均結晶粒径と領域15b内の上部圧電膜14bの平均結晶粒径とを大きくする。これにより、圧電薄膜共振器のQ値を向上できる。
[実施例1の変形例1]
図10(a)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図10(a)に示すように、圧電膜14内に挿入膜は設けられていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。実施例1の変形例1のように、挿入膜28は設けられていなくてもよい。
[実施例1の変形例2]
図10(b)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図10(b)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。空隙30は共振領域50を含むように形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。空隙30は、基板10を貫通するように形成されていてもよい。
[実施例1の変形例3]
図10(c)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図10(c)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜31aと音響インピーダンスの高い膜31bとが交互に設けられている。膜31aおよび31bの膜厚は例えばそれぞれほぼλ/4(λは弾性波の波長)である。膜31aと膜31bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が間隔をあけて積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例1および2のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例1の変形例2のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。音響反射層は、空隙30または音響反射膜31を含めばよい。
実施例1およびその変形例2および3において、挿入膜28が共振領域50の外周領域52に設けられているが、挿入膜28は共振領域50の中央領域54を囲むように外周領域52の少なくとも一部に設けられていればよい。挿入膜28は共振領域50の外側に設けられてなくてもよい。挿入膜28は、共振領域50内の少なくとも一部に設けられていればよい。共振領域50の平面形状として楕円形状を例に説明したが、四角形状または五角形状等の多角形状でもよい。
実施例1およびその変形例では、圧電膜を用いる弾性波デバイスとして圧電薄膜共振器を例に説明したが、圧電膜を伝搬する弾性波を励振する電極を有する弾性波デバイスでもよい。例えば、圧電膜上に櫛型電極が設けられたラム波を利用する共振器でもよい。このような共振器では、基板10と、基板10上に設けられた圧電膜14と、圧電膜14の少なくとも一部を厚さ方向に挟み対向する下部電極12および上部電極16と、を備える。
また、圧電膜14は、圧電デバイスに用いてもよい。圧電膜14を用いることのできる圧電デバイスは、弾性波デバイス以外に例えばアクチュエータおよびセンサ等である。アクチュエータとしては、例えばインクジェットを用いたマイクロポンプ、RF(Radio Frequency)-MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、および光ミラーである。センサは、例えば加速度センサ、ジャイロセンサ、およびエナジーハーベストセンサである。
実施例2は、実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図11(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図11(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
図11(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図11(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
13a-13f、15a-15c 領域
14 圧電膜
14a 下部圧電膜
14b 上部圧電膜
15 接合面
16 上部電極
44 結晶粒
45 粒界
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ

Claims (11)

  1. 圧電材料を含む複数の結晶粒を含み、厚さ方向の中央領域における平均結晶粒径は、前記厚さ方向における前記中央領域の両側の領域における平均結晶粒径より大きい圧電膜であって、
    前記圧電膜の厚さ方向に積層された第1圧電膜および第2圧電膜を備え、
    前記第1圧電膜と前記第2圧電膜との界面において前記複数の結晶粒は連続せず、
    前記中央領域は前記界面を含み、
    前記中央領域内の前記第1圧電膜の平均結晶粒径と前記中央領域内の前記第2圧電膜の平均結晶粒径とは、前記両側の領域における平均結晶粒径より大きい圧電膜。
  2. 前記中央領域における平均結晶粒径は、前記両側の領域における平均結晶粒径の1.5倍以上である請求項1に記載の圧電膜。
  3. 前記第1圧電膜および前記第2圧電膜における平均結晶粒径は、前記第1圧電膜および前記第2圧電膜の前記界面の反対の面から前記界面に行くに従い大きくなる請求項1または2に記載の圧電膜。
  4. 前記複数の結晶粒は柱状構造を有し、
    前記厚さ方向の中央領域における前記厚さ方向から見た平均結晶粒径は、前記厚さ方向における前記両側の領域における前記厚さ方向から見た平均結晶粒径より大きい請求項1からのいずれか一項に記載の圧電膜。
  5. 前記圧電材料は窒化アルミニウムである請求項1からのいずれか一項に記載の圧電膜。
  6. 基板と、
    前記基板上に設けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電膜と、
    前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、
    を備える圧電デバイス。
  7. 基板と、
    前記基板上に設けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電膜と、
    前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、
    を備える共振器。
  8. 基板と、
    前記基板上に設けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電膜と、
    前記圧電膜の少なくとも一部を前記厚さ方向に挟み対向し、それぞれ前記両側の領域と接する第1電極および第2電極と、
    前記第1圧電膜と前記第2圧電膜との間に設けられた挿入膜と、
    を備える共振器。
  9. 請求項7または8に記載の共振器を含むフィルタ。
  10. 請求項に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
  11. 第1基板上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなるように第1圧電膜を形成する工程と、
    第2基板上に、成長するにしたがい結晶粒径が大きくなりかつ成長面が前記第1圧電膜の成長面と反対の分極面となるように第2圧電膜を形成する工程と、
    前記第1圧電膜の前記第1基板と反対の表面と、前記第2圧電膜の前記第2基板と反対の表面と、を接合させる工程と、
    を含む圧電膜の製造方法。
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