JP7260900B2 - 粒子及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる粒子コア部と、当該粒子コア部の少なくとも一部を覆うセルロース粉末含有被覆層と、から構成されている粒子であって、
前記粒子は、直径3mm~10mmの略球状形態を有し、
前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂であり、
前記セルロース粉末の粒子サイズD50は、15μm~150μmであり、且つ、
前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%を占める、
前記粒子も提供する。
本発明の一つの実施態様に従い、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の65%~100%を占めうる。
前記粒子コア部を構成する前記熱可塑性樹脂の含有量は、前記粒子の質量に対して、20質量%~90質量%であってよい。
前記粒子は、フィルム又はシートを成形するために用いられうる。
本発明の他の実施態様に従い、前記セルロース粉末が、100メッシュパスが90%以上である粒度を有しうる。
前記粒子は、射出成形のために用いられうる。
前記被覆層は、第一の滑材と前記第一の滑材の融点よりも高い融点を有する第二の滑材とを含みうる。
前記第二の滑材が、脂肪酸金属塩、炭化水素、高級アルコール、脂肪族アミド、及び脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含みうる。
前記第一の滑材はグリセリン脂肪酸エステルを含みうる。
前記粒子は、直径3mm~10mmの略球状形態を有しうる。
第一の滑材と前記第一の滑材の融点よりも高い融点を有する第二の滑材とをさらに含む、樹脂組成物も提供する。
本発明の一つの実施態様に従い、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の65%~100%を占めうる。
本発明の他の実施態様に従い、前記セルロース粉末が、100メッシュパスが90%以上である粒度を有しうる。
また、当該粒子の被覆層に含まれるセルロース粉末として、特定のセルロース粉末を採用することによって、さらに物性を向上することができる。
なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
ポリエチレンは、より具体的には低密度ポリエチレン(LDPE: Low Density Polyethylene)、高密度ポリエチレン(HDPE: High Density Polyethylene)、超低密度ポリエチレン(VLDPE:Very Low Density Polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE: Linear Low Density Polyethylene)、若しくは超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE: Ultra High Molecular Weight-Polyethylene)、又は、これらのうちの2種以上の組み合わせでありうる。
ポリプロピレンは、より具体的には、ホモポリマーのポリプロピレン、又は、ランダムコポリマー若しくはブロックコポリマーのポリプロピレン(例えばエチレン-プロピレン共重合体など)であってよい。
本発明の粒子は、好ましくは略球状形態を有し、より好ましくは直径3mm~10mmの略球状形態、さらにより好ましくは直径4mm~7mmの略球状形態を有しうる。
以上の寸法を有することによって、以下で述べる樹脂組成物の製造において、各成分が混ざりやすくなり、当該樹脂組成物をより容易に製造することができる。
本発明の好ましい実施態様に従い、前記第一の滑材はエステル系滑材を含み、より好ましくはグリセリン脂肪酸エステルを含み、さらにより好ましくはグリセリンモノステアレートを含む。前記第一の滑材は、エステル系滑材のみであってよく、より好ましくはグリセリン脂肪酸エステルのみであってもよい、さらにより好ましくはグリセリンモノステアレートのみであってもよい。
前記脂肪酸金属塩として、例えば炭素数が10~30、特には炭素数が12~25の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を挙げることができる。より具体的には、前記第二の滑材は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種でありうる。
前記粒子中の前記第二の滑材の含有量は、前記セルロース粉末100質量部に対して、例えば3質量部~20質量部、好ましくは5質量部~15質量部でありうる。特には、前記粒子中の脂肪酸金属塩の含有量が、前記セルロース粉末100質量部に対して、例えば3質量部~20質量部、好ましくは5質量部~15質量部でありうる。
第一及び第二の滑材の量を以上で述べた数値範囲内とすることが、本発明の粒子から製造される樹脂組成物の溶融粘度を成形に適したものとすることに寄与する。
また、第一及び第二の滑材の量が以上で述べた数値範囲内にあることは、本発明の粒子の製造に適しており、すなわち、熱可塑性樹脂からなる粒子コア部の表面にセルロース粉末を付着させることをより容易にし、すなわち本発明の粒子の製造をより効率的に行うことが可能となる。
この実施態様において、特に好ましくは、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%、好ましくは0%~25%、より好ましくは0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。セルロース繊維の数に関する上記割合は、セルロース粉末の全セルロース繊維数のうちの、0μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(上記「第二の割合」である)と0μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(以下、「第三の割合」という)とを、前記レーザ回折式粒度分布測定装置を用いた湿式測定により決定し、前記第三の割合から前記第二の割合を差し引くことによって求められる。前記数値範囲「0μm~110.6μm」及び「0μm~998.4μm」はいずれも、前記湿式測定において、前記レーザ回折式粒度分布測定装置に対して入力される数値範囲である。
上記粒子サイズ分布を有するセルロース粉末は、例えばパルプを酸などの化学薬品により処理を行うことで製造されうる。上記粒子サイズ分布を有するセルロース粉末として、例えばKCフロックW400(日本製紙株式会社)を挙げることができる。
本発明の粒子は、フィルム又はシートを成形するために用いられうる。特にはこの実施態様における粒子サイズ分布を有するセルロース粉末を用いることによって、フィルム及びシートなどの厚みの薄い成形品を本発明の粒子を用いて製造する場合により良い成形性(特には真空成形における成形性)がもたらされる。
特には、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の80%~100%、さらにより好ましくは85%~100%を占めることによって、本発明の粒子を用いて製造された樹脂組成物を真空成形に付して得られる成形品における破れ又は穴の発生を防ぐことができる。成形品の破れ又は穴の発生を防ぐために、特に好ましくは、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。
以上のとおり、この実施態様に従う粒子は、フィルム又はシートを成形するための樹脂組成物の製造のために適しており、すなわちフィルム又はシートを製造するために用いられうる。なお、この実施態様に従う粒子は、射出成形のために用いられてもよい。
粒度(%)=[(試料質量(g)-篩い残分(g))/試料質量(g)]×100
見掛け比重(g/ml)=試料(10g)/容積(ml)
本発明の粒子は、射出成形のために用いられうる。特には、上記粒度(又は上記粒度及び上記見掛比重)を有するセルロース粉末を用いることによって、本発明の粒子を射出成形に付する場合に良い成形性がもたらされる。さらに、上記セルロース粉末は、本発明の粒子を用いて製造される樹脂組成物の強度及び/又は耐熱性の向上に寄与する。
当該無水カルボン酸変性ポリオレフィンを構成する無水カルボン酸は、好ましくは無水マレイン酸でありうる。前記相溶化剤は、例えば無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂であり、より特には無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、及び無水マレイン酸変性エチレン-プロピレン共重合体からなる群から選ばれる1つ又は2以上の組み合わせであってよい。前記相溶化剤には、ゴム成分が分散されていてもよい。
前記相溶化剤は、前記粒子100質量部当たり、例えば0.1質量部~10質量部、より好ましくは0.5質量部~6質量部の含有割合で、前記粒子に含まれうる。
(1)セルロース粉末、第一の滑剤、第二の滑剤、及び、粒子コア部となる熱可塑性樹脂を、当該第二の滑剤の融点以上であり且つ当該熱可塑性樹脂の温度よりも低い温度で混合して、融解した当該第一の滑剤及び当該第二の滑剤、当該セルロース粉末、並びに当該熱可塑性樹脂を含む混合物を得る混合工程;及び
(2)前記混合工程において得られた前記混合物を、当該第一の滑剤の融点以上であり且つ当該第二の滑剤の融点より低い温度に、撹拌しながら冷却する冷却工程。
前記冷却工程において、前記第二の滑剤が固化されて、前記粒子コア部の表面に前記第一の滑剤、前記第二の滑剤、及び前記セルロース粉末を含むセルロース粉末含有被覆層が形成されて、本発明の粒子が得られる。
以下で、各工程についてより詳細に説明する
25質量%~45質量%でありうる。
本発明の樹脂組成物中の前記第二の滑材の含有量は、前記セルロース粉末100質量部に対して、例えば3質量部~20質量部、好ましくは5質量部~15質量部でありうる。
第一及び第二の滑材の量を以上で述べた数値範囲内とすることが、本発明の樹脂組成物の溶融粘度を成形に適したものとすることに寄与する。
この実施態様において、特に好ましくは、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%、好ましくは0%~25%、より好ましくは0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。セルロース繊維の数に関する上記割合の算出方法も、上記「1-2.セルロース粉末含有被覆層」において述べたとおりである。
本発明の樹脂組成物は、このような粒子サイズ分布を有するセルロース粉末を含むことによって、フィルム及びシートなどの厚みの薄い成形品を製造する場合により良い成形性(特には真空成形における成形性)がもたらされる。
特には、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の80%~100%、さらにより好ましくは85%~100%を占めることによって、本発明の樹脂組成物を真空成形に付して得られる成形品における破れ又は穴の発生を防ぐことができる。成形品の破れ又は穴の発生を防ぐために、特に好ましくは、前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。
以上のとおり、この実施態様に従う本発明の樹脂組成物は、フィルム又はシートを成形するために用いられうる。
上記粒度(又は上記粒度及び上記見掛比重)を有するセルロース粉末を用いることによって、本発明の樹脂組成物を射出成形に付する場合に良い成形性がもたらされる。さらに、上記セルロース粉末は、本発明の樹脂組成物の強度及び/又は耐熱性の向上に寄与する。
なお、前記混錬工程において得られた混錬産物はペレット化されてもよい。当該ペレット化された樹脂組成物が、成形工程に付されてもよい。
前記セルロース粉末は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば10質量部~60質量部、好ましくは15質量部~55質量部、より好ましくは20質量部~50質量部、さらにより好ましくは25質量部~45質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
前記ポリプロピレンは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば30質量部~80質量部、好ましくは35質量部~75質量部、より好ましくは40質量部~70質量部、さらにより好ましくは45質量部~65質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
当該グリセリン脂肪酸エステルは、例えばグリセリンモノステアレートでありうる。当該グリセリン脂肪酸エステルは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば0.3質量部~3質量部、好ましくは0.4質量部~2質量部、より好ましくは0.5質量部~1.5質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば2質量部~6質量部、好ましくは2.5質量部~5.5質量部、より好ましくは3質量部~5質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、例えば炭素数が10~30、特には炭素数が12~25の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を挙げることができる。より具体的には、前記第二の滑材は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種でありうる。
この実施態様に従う熱可塑性樹脂組成物は、セルロース粉末の分散性に優れているので、例えば0.2mm~0.4mmなどの極めて薄いシートを成形しても、破れ又は穴あきが生じにくい。
また、この実施態様に従う熱可塑性樹脂組成物を真空成形のために用いることができる。当該真空成形によって、所望の形状を有する成形品(例えば容器)を製造することができる。
前記セルロース粉末は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば10質量部~60質量部、好ましくは15質量部~55質量部、より好ましくは20質量部~50質量部、さらにより好ましくは25質量部~45質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
前記ポリプロピレンは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば30質量部~80質量部、好ましくは35質量部~75質量部、より好ましくは40質量部~70質量部、さらにより好ましくは45質量部~65質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
当該グリセリン脂肪酸エステルは、例えばグリセリンモノステアレートでありうる。当該グリセリン脂肪酸エステルは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば0.3質量部~3質量部、好ましくは0.4質量部~2質量部、より好ましくは0.5質量部~1.5質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば2質量部~6質量部、好ましくは2.5質量部~5.5質量部、より好ましくは3質量部~5質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、例えば炭素数が10~30、特には炭素数が12~25の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を挙げることができる。より具体的には、前記第二の滑材は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種でありうる。
前記セルロース粉末は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば10質量部~60質量部、好ましくは15質量部~55質量部、より好ましくは20質量部~50質量部、さらにより好ましくは25質量部~45質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
前記ポリエチレンは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば30質量部~80質量部、好ましくは35質量部~75質量部、より好ましくは40質量部~70質量部、さらにより好ましくは45質量部~65質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれる。
当該グリセリン脂肪酸エステルは、例えばグリセリンモノステアレートでありうる。当該グリセリン脂肪酸エステルは、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば0.1質量部~1質量部、好ましくは0.2質量部~0.9質量部、より好ましくは0.3質量部~0.8質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば1質量部~3質量部、好ましくは1.5質量部~2.5質量部の含有割合で、前記樹脂組成物に含まれうる。
前記脂肪酸金属塩は、例えば炭素数が10~30、特には炭素数が12~25の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を挙げることができる。より具体的には、前記第二の滑材は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種でありうる。
この実施態様に従う熱可塑性樹脂組成物は、セルロース粉末の分散性に優れているので、例えば50μm~100μmなどの極めて薄いフィルムを成形しても、破れ又は穴あきが生じにくい。
これらの材料を用いて、ポリプロピレンがセルロース粉末により被覆された粒子(以下、「実施例1-1の粒子」という)を製造した。当該粒子の製造方法を以下で説明する。
攪拌装置(高温撹拌機、株式会社カワタ)内で、セルロース粉末30質量部、ポリプロピレン粒子59質量部、グリセリン脂肪酸エステル(第一の滑材)1質量部、脂肪酸金属塩(金属石鹸、第二の滑材)4質量部、耐衝撃剤1質量部、相溶化剤1質量部、酸化防止剤1質量部、及び、白色MB3質量部を混合した。当該混合における当該攪拌装置の回転数は45Hzであった。また、当該混合を行いながら、当該攪拌装置の温度を120℃まで上昇させた。120℃は、当該グリセリン脂肪酸エステルの融点及び当該脂肪酸金属の融点のいずれよりも高く、当該ポリプロピレンの融点よりも低い。当該混合において、当該グリセリン脂肪酸エステル及び当該脂肪酸金属が融解され、そして、これら滑材を当該セルロース粉末及び当該ポリプロピレン粒子全体に行き渡らせた。
前記混合工程において得られた高温の混合物を、冷却可能な攪拌装置(冷却撹拌機、株式会社カワタ)内に投入し、当該攪拌装置内で、回転数25Hzで攪拌しながら70℃へ冷却した。70℃は、当該グリセリン脂肪酸エステルの融点よりも高く、且つ、当該脂肪酸金属の融点よりも低い。当該攪拌しながらの冷却により、ポリプロピレン粒子コア部がセルロース粉末含有被覆層によって被覆された粒子(実施例1-1の粒子)が得られた。
当該粒子は、ストックタンク内に移され、約70℃で維持された。
また、表2には、各セルロース粉末の、0μm~9.8μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合、0μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合、及び9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合を示す。また、以下の表3には、各セルロース粉末の、0μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合、0μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合、及び110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合を示す。
<成形性>
可:適用できた(成形品は当該型に従う形状を有した)
不可:適用できなかった(穴あきが多く、成形品は当該型に従う形状を有さなかった)
<成形品の評価>
A:なめらかな表面を有し、且つ、穴又は破れの無い成形品であった
B:ややざらつきのある表面を有し、且つ、わずかに穴を有する成形品であった
C:ざらつきのある表面を有し、且つ、穴を有する成形品であった
より特には、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%、好ましくは0%~25%であることによって、特に優れた成形品を得ることができると分かる。
より特には、セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~20%、より好ましくは0%~15%を占めるセルロース粉末を用いることによって、特に優れた成形品を得ることができると分かる。
実施例3のシート及び比較例3のシートの曲げ弾性率を測定した。当該測定は、JIS K 7171に従い行われた。当該測定に用いられた試験片は、長辺8cm×短辺1cm×厚み0.5cmの寸法を有した。測定結果を図2に示す。図2に示されるとおり、実施例3のシートは、比較例3のシートよりも曲げ弾性率が高かった。この結果より、セルロース粉末を含むことによって、シートの剛性が向上することが分かる。
また、バイオマス材料を含むポリオレフィン系樹脂組成物は、バイオマス材料を含まないポリオレフィン系樹脂組成物と比べて剛性(曲げ弾性率)が低くなる傾向にあるが、バイオマス材料としてセルロース粉末を採用することによって、剛性が向上することが分かる。
実施例3のシート及び比較例3のシートの荷重たわみ温度を測定した。当該測定は、JIS K 7191に従い、重量0.45MPaの荷重により、フラットワイズで行われた。当該測定に用いられた試験片は、長辺8cm×短辺1cm×厚み0.5cmの寸法を有した。測定結果を図3に示す。図3に示されるとおり、実施例3のシートは、比較例3のシートよりも荷重たわみ温度が高かった。この結果より、セルロース粉末を含むことによって、シートの耐熱性が向上することが分かる。
また、バイオマス材料を含むポリオレフィン系樹脂組成物は、バイオマス材料を含まないポリオレフィン系樹脂組成物と比べて耐熱性(荷重たわみ温度)が低くなる傾向にあるが、バイオマス材料としてセルロース粉末を採用することによって、耐熱性が向上することが分かる。
実施例3のシートの寸法安定性を評価した。当該評価において用いられた試験片は、長辺32cm×短辺14cm×厚み0.4mmの寸法を有した。当該評価は、実施例3のシートを温度23度且つ湿度50%の条件下に30日間放置した場合の長辺方向の寸法を測定し、測定された寸法から寸法変化率を算出した。寸法変化率は、以下の式により算出された
寸法変化率(%)=[L1-L0]/L0×100
ここで、L1は、放置後に測定された寸法であり、L0は、放置開始前の寸法である。
寸法変化率の測定結果を図4に示す。図4に示されるとおり、実施例3のシートの寸法変化率(図4中の凡例「30%」)は、当該30日間にわたって、-0.2%~+0.2%の範囲内であった。この結果より、実施例3のシートは、寸法安定性に優れていることが分かる。
実施例3のシート中のセルロース粉末含有割合は30質量%であるが、この割合を40質量%にした場合(図4中の凡例「40%」)であっても、当該30日間にわたって、-0.2%~+0.2%の範囲内であった。この結果より、セルロース粉末の含有割合が40質量%であっても、寸法安定性に優れていることが分かる。
また、バイオマス材料を含むポリオレフィン系樹脂組成物は、バイオマス材料を含まないポリオレフィン系樹脂組成物と比べて寸法安定性が劣る傾向にあるが、バイオマス材料としてセルロース粉末を採用することによって、より優れた寸法安定性が向上することが分かる。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂からなる粒子コア部と、当該粒子コア部の少なくとも一部を覆うセルロース粉末含有被覆層と、から構成されている粒子であって、
前記粒子は、直径3mm~10mmの略球状形態を有し、
前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂であり、
前記セルロース粉末の粒子サイズD50は、15μm~150μmであり、且つ、
前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%を占める、
前記粒子。 - 前記セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、前記セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の65%~100%を占める、請求項1に記載の粒子。
- 前記粒子コア部を構成する前記熱可塑性樹脂の含有量が、前記粒子の質量に対して、20質量%~90質量%である、請求項1又は2に記載の粒子。
- フィルム又はシートを成形するために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記セルロース粉末が、100メッシュパスが90%以上である粒度を有する、請求項1に記載の粒子。
- 射出成形のために用いられる、請求項1~3及び5のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記被覆層が、第一の滑材と前記第一の滑材の融点よりも高い融点を有する第二の滑材とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記第二の滑材が、脂肪酸金属塩、炭化水素、高級アルコール、脂肪族アミド、及び脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項7に記載の粒子。
- 前記第一の滑材がグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項7又は8に記載の粒子。
Priority Applications (2)
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