以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る眼科装置を表す側面図である。
図2は、本実施形態の眼圧測定部および眼特性測定部の光学系の要部構成を表す上面図である。
図3は、本実施形態の眼圧測定部および眼特性測定部の光学系の要部構成を表す側面図である。
まず、本発明の実施形態に係る眼科装置10の全体構成を、図1を用いて説明する。眼科装置10は、図1に示すように、被検眼E(図2等参照)の眼圧を測定する眼圧測定部20と、被検眼Eのその他の光学特性(眼特性)を測定する眼特性測定部40と、を備える複合型の眼科装置である。被検眼Eについては、図2および図3では、眼底(網膜)Ef、角膜(前眼部)Ecおよび角膜頂点Eaを示している。眼科装置10は、ベース11に駆動部12を介して装置本体部13が設けられて構成されている。装置本体部13の内方には眼圧測定部20および眼特性測定部40が設けられ、装置本体部13の外方には表示部14、顎受部15および額当部16が設けられている。
表示部14は、液晶ディスプレイで形成されており、後述する制御部33(図2参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部像等の画像や検査結果等を表示させる。表示部14は、本実施形態では、タッチパネルの機能を搭載しており、眼圧測定部20または眼特性測定部40を用いて測定を行うための操作や、手動により装置本体部13を移動するための操作を行うことが可能とされている。また、表示部14は、タッチパネルの機能を利用して、眼特性測定モード(眼特性測定部40による測定モード)と眼圧測定モード(眼圧測定部20による測定モード)のそれぞれにおいて切替アイコンを表示し、検者が切替アイコンに触れることにより眼特性測定モードと眼圧測定モードとの切り替え操作を可能としている。なお、測定を行うための操作は、測定スイッチを設けて、測定スイッチの操作により行うものであってもよい。また、装置本体部13を移動するための操作は、コントロールレバーや移動操作スイッチを設けて、コントロールレバーや移動操作スイッチの操作により行うものであってもよい。
顎受部15および額当部16は、測定時に装置本体部13に対して被検者(患者)の顔、すなわち被検眼Eの位置を固定するものであり、ベース11に固定されて設けられている。顎受部15は、被検者が顎を載せる箇所となり、額当部16は、当該被検者が額を宛がう箇所となる。眼科装置10では、表示部14と、顎受部15および額当部16と、が、装置本体部13を挟んだ両側に設けられており、通常の使用時において、表示部14が検者の側となり、顎受部15および額当部16が被検者の側となる。表示部14は、装置本体部13に回転自在に支持されており、表示面の向きを変更すること、例えば、表示面を被検者側に向けることや、表示面を側方(X軸方向)に向けることが可能とされている。装置本体部13は、駆動部12により、ベース11に対して移動すること、すなわち顎受部15と額当部16とにより固定された被検眼E(被検者の顔)に対して移動することが可能とされている。
駆動部12は、装置本体部13をベース11に対して、上下方向(Y軸方向)と、前後方向(Z軸方向(図1を正面視して左右方向))と、上下方向および前後方向に直交する左右方向(X軸方向(図1の紙面に直交する方向))と、に移動させる。なお、本実施形態では、上下方向の上側をY軸方向の正側とし、前後方向の被検者側(図1を正面視して右側)をZ軸方向の正側とし、左右方向において図1を正面視して手前側をX軸方向の正側とする(図1の矢印参照)。本実施形態では、駆動部12は、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを有する。
Y軸駆動部分12aは、ベース11に設けられており、Z軸駆動部分12bおよびX軸駆動部分12cを介して、ベース11に対して装置本体部13をY軸方向(上下方向)へと移動(変位)させる。換言すると、Y軸駆動部分12aは、駆動部12において、装置本体部13をY軸方向(上下方向)へと移動させるための箇所となる。Y軸駆動部分12aは、支持支柱12dとY軸移動枠12eとを有する。支持支柱12dは、ベース11に固定されて設けられており、ベース11からY軸方向へと伸びて設けられている。Y軸移動枠12eは、支持支柱12dを取り囲むことが可能な枠形状とされており、図示を略すY軸ガイド部材を介してY軸方向への相対的な移動が可能に支持支柱12dに取り付けられている。
Y軸移動枠12eでは、図示は略すが、支持支柱12dとの間に弾性部材が設けられており、弾性部材から上方へ向けて押す力が付与されている。弾性部材は、本実施形態では、螺旋状とされた線材により構成され、無負荷状態において最も縮み、一端と他端とを離間させる動作に抗する弾性力を発揮する引張バネを用いている。すなわち、Y軸移動枠12eは、弾性部材により支持支柱12dに対して吊り下げる構成とされている。Y軸移動枠12eは、Y軸ガイド部材により支持支柱12d(ベース11)に対する相対的な移動方向がY軸方向に規定された状態で、弾性部材を介して支持支柱12d(ベース11)に支持されている。なお、弾性部材は、支持支柱12d(ベース11)に対してY軸方向へと押す力をY軸移動枠12eに付与して当該Y軸移動枠12eを支持するものであれば、圧縮バネを用いるものであってもよく、その他の構成であってもよく、本実施形態に限定されるものではない。圧縮バネは、螺旋状とされた線材により構成され、無負荷状態において最も伸びて、一端と他端とを接近させる動作に抗する弾性力を発揮するものである。圧縮バネを用いる場合、支持支柱12dもしくはベース11が当該圧縮バネを介してY軸移動枠12eを下から支える構成とすればよい。
Y軸駆動部分12aには、支持支柱12dに対してY軸移動枠12eをY軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。Y軸駆動部分12aでは、上方への移動力を駆動力伝達機構からY軸移動枠12eに付与することでY軸移動枠12eを弾性部材が釣り合う位置からY軸方向正側へと移動させ、下方への移動力を駆動力伝達機構からY軸移動枠12eに付与することでY軸移動枠12eを弾性部材が釣り合う位置からY軸方向負側へと移動させる。
Z軸駆動部分12bは、Y軸移動枠12e(Y軸駆動部分12a)に設けられており、X軸駆動部分12cを介して、Y軸駆動部分12aすなわちベース11に対して装置本体部13をZ軸方向(前後方向)へと移動(変位)させる。換言すると、Z軸駆動部分12bは、駆動部12において、装置本体部13をZ軸方向(前後方向)へと移動させるための箇所となる。Z軸駆動部分12bは、Z軸支持台12fとZ軸移動台12gとを有する。Z軸支持台12fは、Y軸移動枠12eに固定されて設けられており、Y軸移動枠12eと共にY軸方向へと移動される。Z軸支持台12fは、図示を略すZ軸ガイド部材を介してZ軸方向への相対的な移動が可能にZ軸移動台12gを支持している。Z軸駆動部分12bには、Z軸支持台12fに対してZ軸移動台12gをZ軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。Z軸駆動部分12bでは、Z軸方向への移動力を駆動力伝達機構からZ軸移動台12gに付与することで、Z軸移動台12gを適宜Z軸方向へと移動させる。
X軸駆動部分12cは、Z軸移動台12g(Z軸駆動部分12b)に設けられており、Z軸駆動部分12bすなわちベース11に対して装置本体部13をX軸方向(左右方向)へと移動(変位)させる。換言すると、X軸駆動部分12cは、駆動部12において、装置本体部13をX軸方向(左右方向)へと移動させるための構成となる。X軸駆動部分12cは、X軸支持台12hとX軸移動台12iとを有する。X軸支持台12hは、Z軸移動台12gに固定されて設けられており、Z軸移動台12gと共にZ軸方向へと移動される。X軸支持台12hは、図示を略すX軸ガイド部材を介してX軸方向への相対的な移動が可能にX軸移動台12iを支持している。X軸駆動部分12cには、X軸支持台12hに対してX軸移動台12iをX軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。X軸駆動部分12cでは、X軸方向への移動力を駆動力伝達機構からX軸移動台12iに付与することで、X軸移動台12iを適宜X軸方向へと移動させる。X軸移動台12iには、装置本体部13の内方に設けられた眼圧測定部20と眼特性測定部40とが取り付けられた取付基板(図示せず)を介して装置本体部13が固定されている。
このため、駆動部12は、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動することにより、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させることができる。なお、駆動部12では、明確な図示は略すがY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとのそれぞれが、制御部33(図2参照)に接続されており、制御部33の制御下で駆動される。制御部33は、眼科装置10における電気制御系を構成するものであり、内蔵する記憶部に格納されたプログラムにより眼科装置10の各部を統括的に制御する。
なお、図1では、理解容易とするために省略しているが、眼科装置10では、全体の外形形状を形作るカバー部材が設けられており、ベース11から駆動部12を経て装置本体部13までがカバー部材により覆われている。また、図1では、駆動部12において、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとをY軸方向に積層して示しているが、完全にY軸方向に分割されて構成されているものではなく、Y軸方向に直交する方向で見ると各部が互いに重なり合うように構成されている。このため、駆動部12すなわち眼科装置10では、高さ寸法(Y軸方向で見た大きさ寸法)の増大を防止しつつ、装置本体部13をベース11に対して適宜移動することが可能とされている。
装置本体部13の内方には、眼圧測定部20と眼特性測定部40とが設けられている。眼特性測定部40は、第1設定作動距離とされた第1測定部を構成し、眼圧測定部20は、第1設定作動距離よりも短い第2設定作動距離とされた第2測定部を構成する。各作動距離は、それぞれの測定部による被検眼Eの測定を実行することを可能とする距離であり、各測定部の先端から被検眼Eまでの距離(間隔)で示される。眼圧測定部20は、被検眼Eの眼圧を測定する際に用いられる。眼特性測定部40は、被検眼Eの光学特性(眼特性)を測定するものであり、本実施形態では、被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定する際に用いられる。
本実施形態に係る眼科装置10では、装置本体部13において、被検眼Eの眼圧を測定する眼圧測定部20の光学系(眼圧光学系)は、被検眼Eの光学特性を測定する眼特性測定部40の光学系(眼特性光学系)と共用されるとともに同一である。例えば、眼圧測定部20と眼特性測定部40とは、個別に分離して構成されるものではなく、眼圧測定部20と眼特性測定部40とにおいて一方の光学系の一部を他方の光学系に交差させることで、眼圧測定部20と眼特性測定部40との一部を互いに入り組ませて一体的な構成とされている。
次に、図2および図3を用いて、眼圧測定部20および眼特性測定部40の光学的な構成を説明する。まず、眼圧測定部20の光学的な構成を説明する。眼圧測定部20は、非接触式の眼圧計である。眼圧測定部20は、図2および図3に示すように、前眼部観察光学系21とXYアライメント指標投影光学系22と固視標投影光学系23と圧平検出光学系24とZアライメント指標投影光学系25とZアライメント検出光学系26とを備える。
前眼部観察光学系21は、被検眼Eの前眼部の観察およびXYアライメント(X-Y平面に沿う方向におけるアライメント)をするために設けられている。前眼部観察光学系21は、前眼部照明光源21a(図2参照)が設けられるとともに、光軸O1上に、気流吹付ノズル34bとハーフミラー21dとハーフミラー21eとハーフミラー21gとリレーレンズ21fと結像レンズ21hとCCDカメラ21iとが設けられて構成されている。本実施形態の気流吹付ノズル34bは、本発明の「ノズル」の一例である。前眼部照明光源21aは、対物レンズ41hの周囲に位置されており(図2参照)、前眼部を直接照明すべく複数個(図2には2つのみ示す)設けられている。気流吹付ノズル34bは、被検眼Eの前眼部に気流(すなわち流体)を吹き付けるためのノズルである。CCDカメラ21iは、受光面に形成された画像(前眼部像等)に基づく画像信号を生成するものであり、生成した画像信号を制御部33(図2参照)へと出力する。CCDカメラ21iより取得された画像は、制御部33の制御下で、表示部14(図1参照)に適宜表示されるとともに、図示を略す外部機器へと適宜出力される。
CCDカメラ21iは、図3に示すように、合焦駆動機構21Dにより光軸O1に沿って移動可能とされている。合焦駆動機構21Dは、制御部33(図2参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせるべくCCDカメラ21iを適宜移動させる。合焦駆動機構21Dでは、駆動源を後述する固視標投影光学系23の固視標移動機構41D(図3参照)と共用するものとしている。すなわち、駆動源は、眼圧測定モードにおいて合焦駆動機構21Dを駆動させ、かつ眼特性測定モードにおいて固視標移動機構41Dを駆動させる。制御部33は、合焦駆動機構21Dを介して、眼圧測定部20すなわち装置本体部13の位置に応じて、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を変化させることにより、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせる。
制御部33は、本実施形態では、光軸O1上における第1焦点位置f1と第2焦点位置f2との2つの位置で、合焦駆動機構21Dを介してCCDカメラ21iを変位させることが可能とされている。合焦駆動機構21Dを介したCCDカメラ21iの光軸O1上での移動は、第1焦点位置f1と第2焦点位置f2とで2段階に切り替えるものであってもよく、第1焦点位置f1と第2焦点位置f2との間を連続的に移動させるものであってもよい。
第1焦点位置f1は、眼圧測定部20(装置本体部13)を、被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置すなわち被検眼Eの前眼部(角膜Ec)から第2設定作動距離とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントが合う位置とされている。被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置は、本実施形態では、気流吹付ノズル34bの先端から被検眼Eまでの距離(間隔)すなわち第2設定作動距離を11mmとする位置に設定されている。
第2焦点位置f2は、眼圧測定部20(装置本体部13)を、被検眼E(被検者)から十分に離した位置とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントが合う位置とされている。これは、眼圧測定モードにおいて、測定対象とする被検眼Eを被検者の左右眼で切り換える際、眼圧測定部20(装置本体部13)を、一方の眼圧を測定した位置から先ず後退(Z軸方向負側)し、左右方向(X軸方向)へと移動して、他方の被検眼Eに近付く方向へと移動させながらアライメントを行うことによる。このような動作は、眼圧測定部20の気流吹付ノズル34bの先端が、誤って被検者(その鼻等)に接触することを防止するために行われる。
そして、制御部33は、本実施形態では、ベース11に対する装置本体部13(眼圧測定部20)の位置、すなわち駆動部12のZ軸駆動部分12bによるZ軸方向(前後方向)での制御位置に応じて、CCDカメラ21iの位置を第1焦点位置f1と第2焦点位置f2とで切り替える。これは、眼圧測定部20と被検眼Eとの間隔が、ベース11に対する装置本体部13(眼圧測定部20)の位置によりおおまかに決定することによる。なお、合焦駆動機構21Dは、駆動源を後述する固視標投影光学系23の固視標移動機構41D(図3参照)と共用するものとしていたが、後述する眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43(受光光学系44)の指標移動機構43D(図4参照)と駆動源を共用するものとしてもよく、本実施例に限定されるものではない。
前眼部観察光学系21では、前眼部照明光源21a(図2参照)で被検眼E(その前眼部)を照明しつつ、被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ21iで取得する。前眼部像の光束は、対物レンズ41h、ハーフミラー21d、ハーフミラー21g、ハーフミラー21e、およびリレーレンズ21fを透過し、結像レンズ21hにより集束されて、CCDカメラ21iの受光面上に形成される。CCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)は、形成された前眼部像の受光に基づく信号を制御部33(図2参照)へと出力する。制御部33は、CCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)で取得した前眼部像を表示部14(図1参照)に適宜表示させる。このため、眼圧測定部20における前眼部観察光学系21は、眼圧測定部20すなわち第2測定部における第2観察光学系として機能する。眼圧測定部20(第2測定部)における前眼部観察光学系21(第2観察光学系)は、眼特性測定部40(第1測定部)における前眼部観察光学系21(第1観察光学系)よりも高い倍率に設定されていてもよい。これは、眼圧測定部20(第2測定部)では、被検眼Eの眼圧の測定結果がアライメントの精度の低下の影響を受けやすいことから、眼特性測定部40(第1測定部)と比較してアライメントの精度を高めることが求められることによる。
また、前眼部観察光学系21では、後述するようにXYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、CCDカメラ21iの受光面へと進行させる。詳細には、前眼部観察光学系21では、反射光束を、対物レンズ41h、ハーフミラー21d、ハーフミラー21g、ハーフミラー21e、およびリレーレンズ21fを透過させて結像レンズ21hへと至らせる。そして、前眼部観察光学系21では、反射光束を結像レンズ21hで集束して、CCDカメラ21iへと進行させる。すると、CCDカメラ21iの受光面上には、装置本体部13(眼圧測定部20)と角膜EcとのXY方向の位置関係に応じた位置に輝点像が形成される。CCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)は、形成された輝点像の受光に基づく信号を制御部33(図2参照)へと出力することができる。XYアライメント指標光の輝点像は、被検眼Eの角膜Ec上に形成されるものである。このため、制御部33は、輝点像が形成された前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得することができ、表示部14に輝点像が形成された前眼部(角膜Ec)の画像を適宜表示させることができる。なお、表示部14には、図示を略す画像生成手段によって生成されたアライメント補助マークも重ねて表示される。
XYアライメント指標投影光学系22は、指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。指標光は、X-Y平面に沿う方向(以下では、XY方向ともいう)で見た被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の眼圧測定部20に対する位置の調節、いわゆるXY方向のアライメントを可能とする機能を有する。また、指標光は、被検眼Eの角膜Ecの変形量(変形の度合(圧平))の検出を可能とする機能も有する。XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント用光源22aと集光レンズ22bと開口絞り22cとピンホール板22dとダイクロイックミラー22eと投影レンズ22fとを有し、前眼部観察光学系21とハーフミラー21eを共用している。XYアライメント用光源22aは、赤外光を出射する光源とされている。投影レンズ22fは、ピンホール板22dに焦点を一致させるように、XYアライメント指標投影光学系22の光路上に配置されている。XYアライメント指標投影光学系22では、XYアライメント用光源22aから出射された赤外光が、集光レンズ22bにより集束されつつ開口絞り22cを通過して、ピンホール板22dの穴部へと進行する。XYアライメント指標投影光学系22では、ピンホール板22dの穴部を通過した光束を、ダイクロイックミラー22eで反射して投影レンズ22fへと進行させ、進行した赤外光を投影レンズ22fで平行光束として、ハーフミラー21eへと進行させる。そして、XYアライメント指標投影光学系22では、ハーフミラー21eで反射することで平行光束を前眼部観察光学系21の光軸O1上に進行させる。平行光束は、ハーフミラー21g、ハーフミラー21dを透過して、気流吹付ノズル34bの内部へと進行し、対物レンズ41hを透過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに至る。XYアライメント指標光は、図示は略すが、角膜Ecの角膜頂点Eaと角膜Ecの曲率中心との中間位置に輝点像を形成するようにして角膜Ecの表面で反射される。なお、開口絞り22cは、投影レンズ22fに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。
固視標投影光学系23は、被検眼Eに固視標を投影(提示)する。固視標投影光学系23は、固視標用光源23aとピンホール板23bとを有し、XYアライメント指標投影光学系22とダイクロイックミラー22eおよび投影レンズ22fを共用するとともに前眼部観察光学系21とハーフミラー21eを共用している。固視標用光源23aは、可視光を出射する光源とされている。固視標投影光学系23では、固視標用光源23aから出射した固視標光をピンホール板23bの穴部へと進行させ、ピンホール板23bの穴部を通過しダイクロイックミラー22eを透過させて、投影レンズ22fへと進行させる。固視標光の光束は、投影レンズ22fにより略平行光とされてハーフミラー21eへと進行し、ハーフミラー21eで反射されることで前眼部観察光学系21の光軸O1上を進行する。固視標光の光束は、ハーフミラー21gおよびハーフミラー21dを透過して、気流吹付ノズル34bの内部へと進行し、対物レンズ41hを透過することで被検眼Eに至る。固視標投影光学系23は、被検眼Eに投影した固視標を、被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定する。
圧平検出光学系24は、図3に示すように、XYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光して、角膜Ecの表面の変形量(圧平)を検出する。圧平検出光学系24は、レンズ24a、ピンホール板24bおよびセンサ24cと、前眼部観察光学系21の光路上に設けられたハーフミラー21gと、を有する。レンズ24aは、角膜Ecの表面のみが平らとされた際に、XYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、ピンホール板24bの中央の穴に集光させる。ピンホール板24bは、レンズ24aによる上述した集光位置に、中央の穴を位置させて設けられている。センサ24cは、光量検出の可能な受光センサであって、受光した光量に応じた信号を出力するものであり、本実施携帯ではフォトダイオードを用いる。センサ24c(圧平検出光学系24)は、受光した光量に応じた信号を制御部33に出力する。
上述したように、被検眼Eの角膜Ecの表面(角膜表面)で反射されたXYアライメント指標光の反射光束は、対物レンズ41hを透過し、ハーフミラー21dを透過してハーフミラー21gに至る。圧平検出光学系24では、反射光束の一部をハーフミラー21gで反射してレンズ24aへと進行させ、レンズ24aで集束して、ピンホール板24bへと進行させる。ここで、被検眼Eでは、後述する気流吹付機構34(図2および図3等参照)により気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bから角膜Ecに向けて気流を吹き付けられることで、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態とされていく。そのとき、圧平検出光学系24では、上述した設定により、角膜Ecの表面が平らとされると進行してきた反射光束の全体がピンホール板24bの穴を通してセンサ24cに到達し、その他の状態ではピンホール板24bで部分的に遮られつつセンサ24cに到達する。このため、圧平検出光学系24では、センサ24cで受光した光量が最大となった時点を検出することにより、角膜Ecの表面が平らとされたこと(圧平)を検知することができる。これにより、圧平検出光学系24では、流体の吹き付けにより変形した角膜Ecの表面の形状(圧平)を検出することができ、センサ24cが角膜Ecの圧平の検出のために角膜Ecからの反射光(反射光束)を受光する受光部として機能する。
Zアライメント指標投影光学系25は、図2に示すように、被検眼Eの角膜Ecに、斜めからZ軸方向のアライメント指標光(アライメント用指標平行光束)を投影する。Zアライメント指標投影光学系25は、光軸O2上に、Zアライメント用光源25aと集光レンズ25bと開口絞り25cとピンホール板25dと投影レンズ25eとが設けられて構成されている。Zアライメント用光源25aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する光源とされている。開口絞り25cは、投影レンズ25eに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。投影レンズ25eは、ピンホール板25dの穴部に焦点を一致させて配置されている。Zアライメント指標投影光学系25では、Zアライメント用光源25aから出射された赤外光の光束が、集光レンズ25bにより集光されつつ開口絞り25cを通過してピンホール板25dへと進行する。Zアライメント指標投影光学系25では、ピンホール板25dの穴部を通過した光束を投影レンズ25eへと進行させ、投影レンズ25eで平行光として角膜Ecへと進行させる。その赤外光(その光束(Zアライメント指標光))は、被検眼Eの内方に位置する輝点像を形成するようにして、角膜Ecの表面で反射される。
Zアライメント検出光学系26は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、前眼部観察光学系21の光軸O1に対して対称な方向から受光して、装置本体部13(眼圧測定部20)と角膜EcとのZ軸方向での位置関係を検出する。Zアライメント検出光学系26は、光軸O3上に、結像レンズ26aとシリンドリカルレンズ26bとセンサ26cとが設けられて構成されている。シリンドリカルレンズ26bは、Y軸方向にパワーを持つものとされている。センサ26cは、受光面における受光位置を検出可能な受光センサであり、ラインセンサやPSDを用いて構成することができ、本実施形態ではラインセンサを用いる。センサ26cは、Zアライメント検出補正部32に接続されている。
Zアライメント検出光学系26では、Zアライメント指標投影光学系25によりアライメント指標光が投影されて角膜Ecの表面で反射された反射光束が、結像レンズ26aへと進行される。Zアライメント検出光学系26では、反射光束を結像レンズ26aで集束し、シリンドリカルレンズ26bへと進行させ、シリンドリカルレンズ26bでY軸方向に集光してセンサ26c上に輝点像を形成する。センサ26cは、X-Z平面内において、Zアライメント指標投影光学系25により被検眼Eの内方に形成された上述した輝点像と結像レンズ26aに関して共役な位置関係にあり、Y-Z平面内において、角膜頂点Eaと結像レンズ26aおよびシリンドリカルレンズ26bに関して共役な位置関係にある。すなわち、センサ26cは、開口絞り25cと共役関係にあり(このときの倍率は開口絞り25cの像がセンサ26cの大きさより小さくなるように設定している)、Y軸方向に角膜Ecがずれたとしても角膜Ecの表面における反射光束は効率良くセンサ26cに入射する。センサ26c(Zアライメント検出光学系26)は、形成された輝点像の受光に基づく信号を、Zアライメント検出補正部32へと出力する。
気流吹付機構34は、図3に示すように、空気通路部34aと、気流吹付ノズル34bと、空気圧縮駆動部34d(図1参照)と、が設けられて構成されている。本実施形態の気流吹付機構34は、本発明の「流体吹付機構」の一例である。空気圧縮駆動部34dは、空気通路部34aの上流側において移動可能なピストンと、ピストンを移動させる駆動部と、を有し、本実施形態では、装置本体部13において、眼圧測定部20の光学系の上方に設けられている。空気圧縮駆動部34dは、制御部33(図2参照)の制御下で駆動されることで、図示しない空気圧縮室内の空気を圧縮する。空気通路部34aの一方の端部は空気圧縮駆動部34dに接続され、空気通路部34aの他方の端部は気流吹付ノズル34bに接続されている。例えば、気流吹付ノズル34bは二重管構造を有しており、空気通路部34aの他方の端部は気流吹付ノズル34bの二重管構造の部分に接続されている。これにより、気流吹付ノズル34bに向かって空気通路部34aの内部を流れる空気は、気流吹付ノズル34bの二重管構造の部分に導かれ、二重管構造の内部を通過する。また、空気通路部34aには、空気通路部34aを流れる空気の圧力を検出する圧力センサ34cが設けられている。圧力センサ34cは、図示は略すが制御部33(図2参照)に接続されており、検出した圧力に応じた信号を制御部33に出力する。気流吹付機構34では、制御部33の制御下で、空気圧縮駆動部34dが空気を圧縮し、空気通路部34aを通して気流吹付ノズル34bに導くことにより、図2および図3に表した矢印のように、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付けることができる。また、気流吹付機構34では、空気通路部34aの内部を流れる空気の圧力を圧力センサ34cで検出することにより、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから気流を吹き付けた際の圧力を取得することが可能とされている。なお、気流吹付機構34では、圧力センサ34cを設けることに替えて、吹き付ける気流において、時間に対する圧力の変化が予め定められた特性とするものとしてもよい。
後述するように、気流吹付ノズル34bの吹付口341bは、対物レンズ41hの周囲に環状(リング状)に設けられ、空気圧縮駆動部34dから空気通路部34aを通して導かれた空気を被検眼Eの角膜Ecに向けて吹き付ける。ここで、空気通路部34aおよび気流吹付ノズル34bの少なくともいずれかにおける空気の通路面(内壁面)には、細かい溝が形成されている。そのため、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、対物レンズ41hの光軸(すなわち前眼部観察光学系21の光軸O1)の周りにおいて螺旋状に流れる。言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りにおいてきりもみ状に流れる。さらに、言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りを旋回しながら流れる。このように、気流吹付機構34は、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出する空気に対して光軸O1の周りに螺旋状すなわちきりもみ状の流れを形成する。これにより、気流吹付ノズル34bは、被検眼Eの角膜Ecを圧平させることができる。
眼圧測定部20は、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとの点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を有し、ドライバに制御部33(図2参照)が接続されている。このため、眼圧測定部20では、制御部33の制御下で、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとを適宜点灯させる。また、眼圧測定部20では、上述したように、制御部33の制御下で、合焦駆動機構21Dを介してCCDカメラ21iを光軸O1上で適宜移動させ、かつCCDカメラ21iから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行い、かつその生成した画像を表示部14に適宜表示させる。
次に、上述した眼圧測定部20を用いて被検眼Eの眼圧を測定する際の概略的な動作について説明する。なお、眼圧測定部20における下記の動作は、制御部33(図2参照)の制御下で実行される。先ず、眼科装置10の電源スイッチを投入し、表示部14に眼圧測定部20を用いて測定を行う旨の操作を行う。すると、眼圧測定部20では、眼圧測定モードとした後、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとを適宜点灯させる。このとき、眼圧測定部20では、各光源21a、23a、25aをそれぞれ異なる周期で点滅を繰り返させるものとし、いずれの光源からの光であるかの識別を可能としてもよい。
眼圧測定部20では、図3に示すように、固視標投影光学系23の固視標用光源23aを点灯することで、固視標を被検眼Eに投影して、被検眼Eを固視させるすなわち被検者の視線を固定する。また、眼圧測定部20では、XYアライメント指標投影光学系22のXYアライメント用光源22aを点灯することで、平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部20では、角膜Ecで反射された反射光束を、前眼部観察光学系21のCCDカメラ21iと、圧平検出光学系24のセンサ24cと、により受光する。さらに、眼圧測定部20では、図2に示すように、Zアライメント指標投影光学系25のZアライメント用光源25aを点灯することで、Z軸方向のアライメント用の平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部20では、角膜Ecで反射された反射光束を、Zアライメント検出光学系26のセンサ26cで受光する。
眼圧測定部20では、前眼部観察光学系21の前眼部照明光源21aを点灯することで、被検眼Eの前眼部を照明し、被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ21i上に結像させる。そして、眼圧測定部20では、明確な図示は略すが、表示部14に、XYアライメント指標光の輝点像が形成された被検眼Eの前眼部像と、アライメント補助マークと、を表示させる。検者は、表示部14を見ながら表示部14に表示された操作部を操作することにより、装置本体部13を上下左右に移動させて輝点像が表示部14の画面内に映るようにアライメントを行う。また、眼圧測定部20では、Zアライメント検出補正部32が、Zアライメント検出光学系26のセンサ26cの受光信号とXYアライメント検出部31の演算結果とに基づいて、装置本体部13と角膜EcのZ軸方向の位置関係を演算する。眼圧測定部20では、制御部33の制御下で、前眼部観察光学系21から得られるXY方向での位置およびZアライメント検出補正部32から出力される演算結果に基づいて、駆動部12すなわちY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動することにより、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させてオートアライメント(自動でのアライメントの調整)を行う。
眼圧測定部20では、オートアライメントが完了すると、制御部33が気流吹付機構34を作動させて、気流吹付ノズル21bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付ける。すると、被検眼Eでは、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態(圧平)とされていく。角膜Ecが徐々に平らな状態(圧平)とされていく過程において、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されると圧平検出光学系24のセンサ24cでの受光量が最大となる。このため、眼圧測定部20では、センサ24cの受光量の変化に基づいて、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを制御部33が判断する。すなわち、圧平検出光学系24(センサ24c)では、角膜Ecの圧平を検出することができる。そして、眼圧測定部20では、制御部33が、圧力センサ34cからの出力(吹き付けた気流の圧力)に基づいて、被検眼Eの眼圧を求め(眼圧値を算出し)、算出結果を表示部14に表示させる。なお、制御部33では、気流吹付ノズル21b(気流吹付機構34)による気流の吹き付けを開始時点から角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを検知した時点までの時間に基づいて、被検眼Eの眼圧を求める(眼圧値を算出する)ものであってもよい。
次に、眼特性測定部40の光学的な構成を説明する。眼特性測定部40は、被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定するものである。眼特性測定部40は、図2および図3に示すように、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43と受光光学系44とを備え、前眼部観察光学系21とXYアライメント指標投影光学系22と固視標投影光学系23とZアライメント指標投影光学系25とZアライメント検出光学系26とを眼圧測定部20と共用している。固視標投影光学系23は、被検眼Eを固視・雲霧させるために、被検眼Eの眼底Ef(図2、図3参照)に視標を投影する。眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、被検眼Eの眼屈折力を測定するために、眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束を、被検眼Eの眼底Efに投影する。受光光学系44は、被検眼Eの眼底Efから反射された眼屈折力測定用リング状指標像を後述する撮像素子44dに受光させる。眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43および受光光学系44は、前眼部観察光学系21および後述する角膜形状測定用リング状指標投影光源46aと共に、角膜形状・眼屈折力測定光学系を構成する。
眼特性測定部40における固視標投影光学系23は、光軸O11上に、図示しない指標板がさらに有する。指標板には、被検眼Eを固視・雲霧させるためのターゲットが設けられている。固視標用光源23aおよび指標板は、固視標ユニットを構成し、被検眼Eを固視・雲霧させるべく、固視標移動機構41Dにより固視標投影光学系23の光軸O11に沿って一体に移動可能とされている。固視標投影光学系23は、被検眼Eに投影したターゲット光束(固視標)を、被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定する。また、固視標投影光学系23は、被検者に固視目標として注視させた状態から、ピントが合わない位置まで固視標ユニット(固視標用光源23aおよび指標板)を移動させることにより、被検眼Eを雲霧状態とする。
眼特性測定部40における前眼部観察光学系21では、アライメント完了後の屈折力測定時には、前眼部照明光源21aは消灯される。このため、眼特性測定部40における前眼部観察光学系21は、眼特性測定部40すなわち第1測定部における第1観察光学系として機能する。眼特性測定部40(第1測定部)における前眼部観察光学系21(第1観察光学系)は、眼圧測定部20(第2測定部)における前眼部観察光学系21(第2観察光学系)よりも低い倍率に設定されていてもよい。これは、眼特性測定部40(第1測定部)では、眼圧測定部20(第2測定部)のようにはアライメントの精度を高めることが求められないことによる。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、眼屈折力測定用光源43aとレンズ43bと円錐プリズム43cとリング指標板43dとレンズ43eとバンドパスフィルタ43fと瞳リング43gと穴空きプリズム43hとロータリープリズム43iとを有し、固視標投影光学系23とハーフミラー21dおよび対物レンズ41hを共用する。眼屈折力測定用光源43aと瞳リング43gとは光学的に共役な位置に配置し、リング指標板43dと被検眼Eの眼底Efとは光学的に共役な位置に配置している。また、眼屈折力測定用光源43a、レンズ43b、円錐プリズム43cおよびリング指標板43dは、指標ユニット43Uを構成し、指標ユニット43Uは、指標移動機構43Dにより眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の光軸O13に沿って一体に移動可能とされている。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、眼屈折力測定用光源43aから出射した光束をレンズ43bで平行光束とし、円錐プリズム43cを経てリング指標板43dへと進行させる。光束は、リング指標板43dに形成されたリング状のパターン部分を透過して眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束とされる。眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束をレンズ43e、バンドパスフィルタ43fおよび瞳リング43gを経て穴空きプリズム43hへと進行させ、穴空きプリズム43hの反射面により反射して、ロータリープリズム43iを経てハーフミラー21dへと進行させる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束をハーフミラー21dで反射した後に眼特性測定部40における光軸O1上に進行させる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束を、対物レンズ41hにより被検眼Eの眼底Ef(図2、図3参照)に結像させる。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43には、気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に角膜形状測定用リング状指標投影光源46aが設けられている。図2に表したでは、1つの角膜形状測定用リング状指標投影光源46aが設けられているが、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aの数は、1つには限定されず、複数であってもよい。例えば、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aの数は、2つであってもよく、4つであってもよい。例えば、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aは、図示しないリングパターン上において被検眼E(角膜Ec)から所定の距離とされて光軸O1に関して同心状に設けられていてもよい。角膜形状測定用リング状指標投影光源46aは、被検眼E(角膜Ec)に角膜形状測定用リング状指標光を投影する。角膜形状測定用リング状指標光は、被検眼Eの角膜Ecに投影されることで、角膜Ecに角膜形状測定用リング状指標を形成する。角膜形状測定用リング状指標の光束は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に設けられた撮像素子46b上に結像される。このため、表示部14において、角膜形状測定用リング状指標の像(画像)を表示させることができる。撮像素子46bは、角膜Ecの形状の測定のために角膜Ecからの反射光(反射光束)を受光する受光部として機能する。
受光光学系44は、穴空きプリズム43hの穴部44aとミラー44bとレンズ44cと撮像素子44dとを有し、固視標投影光学系23と対物レンズ41hおよびハーフミラー21dを共用し、かつ眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43とロータリープリズム43iを共用する。撮像素子44dは、二次元固体撮像素子であり、本実施形態ではCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いている。撮像素子44dは、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の指標移動機構43Dにより、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の指標ユニット43Uと連動して、受光光学系44の光軸O14に沿って移動可能とされている。
受光光学系44では、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43によって眼底Ef(図2、図3参照)に導かれ、眼底Efで反射されたパターン反射光束を、対物レンズ41hにより集光し、ハーフミラー21dで反射して、ロータリープリズム43iへと進行させる。そして、受光光学系44では、反射されたパターン反射光束を、ロータリープリズム43iを経て穴空きプリズム43hの穴部44aへと進行させて、穴部44aを通過させる。受光光学系44では、穴部44aを通過したパターン反射光束を、ミラー44bによって反射し、レンズ44cにより撮像素子44dの受光面上にパターン反射光束すなわち眼屈折力測定用リング状指標を結像させる。撮像素子44dは、取得した画像に基づく画像信号を制御部33(図2参照)に出力する。制御部33は、入力された画像信号に基づいて、眼屈折力測定用リング状指標の画像を表示部14(図1参照)に表示させる。このため、受光光学系44では、撮像素子44d(その受光面)上に眼屈折力測定用リング状指標の像を形成することができ、表示部14に眼屈折力測定用リング状指標の画像を表示させることができる。
眼特性測定部40は、眼屈折力測定用光源43aと角膜形状測定用リング状指標投影光源46aとの点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を有し、ドライバに制御部33(図2参照)が接続されている。このため、眼特性測定部40では、制御部33の制御下で、眼屈折力測定用光源43aと角膜形状測定用リング状指標投影光源46aとが適宜点灯される。また、眼特性測定部40では、上述したように、制御部33の制御下で、固視標移動機構41Dを介して固視標ユニットを光軸O11に沿って一体に移動させ、指標移動機構43Dを介して指標ユニット43Uを光軸O13に沿って一体に移動させるとともに撮像素子44dを光軸O14に沿って移動させる。さらに、眼特性測定部40では、上述したように、制御部33の制御下で、撮像素子44dおよび撮像素子46bから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行うとともに、生成した画像を表示部14に適宜表示させる。
次に、上述した眼特性測定部40を用いて被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定する際の概略的な動作について説明する。なお、眼特性測定部40における下記の動作は、制御部33(図2参照)の制御下で実行される。先ず、眼科装置10の電源スイッチを投入し、表示部14に眼特性測定部40を用いて測定を行う旨の操作を行う。すると、眼特性測定部40では、眼特性測定モードとした後、前眼部観察光学系21において、前眼部照明光源21aを点灯させて、表示部14に前眼部(角膜Ec)の画像を表示させる。そして、検者は、表示部14の画面内に被検眼Eの瞳孔Epが位置するように、表示部14に表示された操作部を操作することにより、装置本体部13を上下左右に移動させて被検眼Eに対する装置本体部13の概略アライメントを行う。また、眼特性測定部40(制御部33)では、CCDカメラ21iから出力された画像信号に基づく前眼部の画像から、瞳孔Epを検出することが可能とされている。瞳孔Epの検出は、例えば、前眼部の画像において、瞳孔Epとして認識すべき形状を予め記憶させておき、画像におけるコントラストに基づいて認識すべき形状を検出することにより行うことができる。このため、眼特性測定部40では、例えば、測定の対象とする被検眼Eを左右で切り換える場合には、被検眼Eの左右の切り替えに応じて左右方向へと装置本体部13を移動させつつ画像に基づき瞳孔Epを検出し、検出した瞳孔Epを目標位置として装置本体部13(眼特性測定部40)を移動させることで、上記した概略アライメントを自動で行うことができる。
すると、眼特性測定部40では、XYアライメント指標投影光学系22によりアライメント指標像としての輝点像を表示部14に表示させる。この後、眼特性測定部40では、XYアライメント指標投影光学系22およびZアライメント指標投影光学系25に基づくアライメント検出を開始する。すなわち、眼特性測定部40では、アライメント指標像としての輝点像をアライメントマーク内に位置させるように、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させてオートアライメント(自動でのアライメントの調整)を行う。これにより、眼特性測定部40では、装置本体部13の被検眼Eの角膜Ecの頂点に対する自動アライメントが完了する。
すると、眼特性測定部40では、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aを点灯して、角膜形状測定用リング状指標を角膜Ecに投影する。そして、制御部33では、表示部14に表示させた画像(撮像素子46bからの画像信号)に基づいて、角膜Ecに投影された角膜形状測定用リング状指標の像から角膜Ecの形状を測定する。角膜Ecの形状の測定の詳細については、公知であるのでその説明は省略する。制御部33は、眼屈折力としての球面度数、円柱度数、軸角度を周知の手法により測定することができる。なお、眼屈折力測定部の構成は、特開2002-253506号公報に開示のものと同一であるが、この構成に限られるものではない。このように、制御部33は、角膜形状の測定を実行すると共に、眼屈折力(光学特性)の測定を実行する。なお、制御部33は、演算結果等を記憶部(図示を略す)に適宜格納する。
次に、本実施形態の気流吹付機構34を、図4~図7を参照して詳しく説明する。
図4は、本実施形態の気流吹付機構を表す斜視図である。
図5は、図4に表した切断面A11-A11における断面図である。
図6は、本実施形態の気流吹付機構が被検眼の角膜に気流を吹き付ける状態を表す側面図である。
図7は、本実施形態の気流吹付機構が被検眼の角膜に気流を吹き付ける状態を表す斜視図である。
なお、説明の便宜上、図4~図7では、空気圧縮駆動部34dを省略している。
図4および図5に表したように、本実施形態の気流吹付機構34は、空気通路部34aと、気流吹付ノズル34bと、を有する。空気通路部34aは、気流吹付ノズル34bの二重管構造の部分に接続され、空気圧縮駆動部34d(図1参照)により圧縮された空気を気流吹付ノズル34bの二重管構造の部分に導く。図6および図7に表した矢印のように、気流吹付ノズル34bは、空気通路部34aを通して導かれた空気を吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向けて吹き付ける。
気流吹付ノズル34bの内部には、対物レンズ41hが設けられている。前述したように、対物レンズ41hは、眼圧測定部20および眼特性測定部40の少なくともいずれかに設けられた各光源から出射された光を被検眼Eに向かって透過するとともに、被検眼Eで反射された光を眼圧測定部20および眼特性測定部40の少なくともいずれかに向かって透過する。
気流吹付ノズル34bの吹付口341bは、対物レンズ41hの周囲に環状(リング状)に設けられている。また、空気通路部34aおよび気流吹付ノズル34bの少なくともいずれかにおける空気の通路面(内壁面)には、細かい溝が形成されている。そのため、図6および図7に表した矢印のように、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、対物レンズ41hの光軸(すなわち前眼部観察光学系21の光軸O1)の周りにおいて螺旋状に流れる。言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りにおいてきりもみ状に流れる。さらに、言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りを旋回しながら流れる。このように、気流吹付機構34は、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出する空気に対して光軸O1の周りに螺旋状すなわちきりもみ状の流れを形成する。これにより、気流吹付ノズル34bは、被検眼Eの角膜Ecを圧平させることができる。
前眼部照明光源21aは、気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に設けられている。本実施形態の気流吹付機構34では、8つの前眼部照明光源21aが環状の吹付口341bの外側において同一円周上に沿って互いに離れて設けられている。但し、前眼部照明光源21aの数は、特に限定されるわけではない。また、前眼部照明光源21aの設置形態は、被検眼Eの前眼部を照明可能な限りにおいて特に限定されるわけではない。
角膜形状測定用リング状指標投影光源46aは、気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に設けられている。本実施形態の気流吹付機構34では、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aは、対物レンズ41hからみてX軸方向の負側に設けられている。角膜形状測定用リング状指標投影光源46aは、角膜Ecの形状の測定のために被検眼E(角膜Ec)に向かって角膜形状測定用リング状指標光を発光する発光部として機能する。なお、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aの数は、特に限定されるわけではない。また、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aの設置形態は、被検眼Eの角膜Ecに角膜形状測定用リング状指標光を投影可能な限りにおいて特に限定されるわけではない。
撮像素子46bは、気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に設けられ、被検眼Eの角膜Ecで反射される角膜形状測定用リング状指標の光束を受光する。本実施形態の気流吹付機構34では、撮像素子46bは、対物レンズ41hからみてX軸方向の正側に設けられている。撮像素子46bは、角膜Ecの形状の測定のために角膜Ecからの反射光(反射光束)を受光する受光部として機能し、受光した光量に基づいた画像信号を制御部33に出力する。
撮像素子46bは、角膜Ecの圧平状態を検出可能とされていてもよい。つまり、撮像素子46bは、圧平検出光学系24のセンサ24c(図3参照)を兼ねていてもよい。この場合には、撮像素子46bは、角膜形状測定用リング状指標投影光源46aから出射され被検眼Eの角膜Ecの表面で反射された光を受光し、受光した光量に応じた信号を制御部33に出力する。これによれば、撮像素子46bは、被検眼Eの角膜Ecの表面で反射された光を受光し、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出するとともに被検眼Eの角膜Ecの形状を検知する受光部として機能する。
本実施形態に係る眼科装置10によれば、気流吹付機構34の気流吹付ノズル34bは、対物レンズ41hの周囲に設けられた環状の吹付口341bから被検眼Eに向かって空気(流体)を吹き付け被検眼Eの角膜Ecを圧平させる。そのため、対物レンズ41hなどの光学系に気流吹付ノズル34bを通すための穴を開ける必要がない。そのため、眼圧測定部20の光学系(眼圧光学系)と、眼特性測定部40の光学系(眼特性光学系)と、を共用させることが可能である。また、眼圧測定部20と眼特性測定部40とを積層配置させる必要がなく、被検眼Eの測定時に気流吹付ノズル34bや光学系全体を移動させる駆動部を設ける必要がない。これにより、眼科装置10の小型化を図ることができる。
また、気流吹付機構34は、対物レンズ41hの光軸O1の回りに螺旋状の流れを有する空気(流体)を吹付口341bから被検眼Eに向かって流出させることで、被検眼Eの角膜Ecの略中心に空気を集中的に吹き付けることができる。これにより、気流吹付機構34は、被検眼Eの角膜Ecをより確実に圧平させることができる。
また、眼圧測定部20の眼圧光学系は、眼特性測定部40の眼特性光学系と同一とすることができるため、眼科装置10のさらなる小型化を図ることができる。
さらに、被検眼Eの角膜Ecに投影される角膜形状測定用リング状指標光を出射する発光部として機能する角膜形状測定用リング状指標投影光源46aと、角膜形状測定用リング状指標光が被検眼Eの角膜Ecで反射した反射光を受光する受光部として機能する撮像素子46bと、を気流吹付ノズル34bの環状の吹付口341bの外側に配置させるとともに、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出する光学系と、被検眼Eの角膜Ecの形状を検知する光学系と、において共用させることができる。すなわち、本実施形態に係る眼科装置10によれば、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出するとともに被検眼Eの角膜Ecの形状を検知する受光部として撮像素子46bを機能させることができる。これにより、眼科装置10のさらなる小型化を図ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る撮影装置を、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態に係る撮影装置10Aの構成要素が、図1~図7に関して前述した本実施形態に係る眼科装置10の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図8は、本実施形態に係る撮影装置を説明する側面図である。
なお、図8(a)は、気流吹付ノズル34bが吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気を吹き付ける前の状態を表す側面図である。図8(b)は、気流吹付ノズル34bが吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気を吹き付けているときの状態を表す側面図である。
本実施形態に係る撮影装置10Aは、被検眼Eなどの被写体を接写可能とされている。撮影装置10Aの被写体は、被検眼Eに限定されるわけではなく、例えば顔、花および昆虫などであってもよい。撮影装置10Aは、被写体を撮影する光学系を有する撮影部50を備える。撮影部50は、図1~図7に関して前述した眼圧測定部20および眼特性測定部40と同様の構成を有し、被写体で反射された光を透過する対物レンズ41hと、被写体に向かって空気(流体)を吹き付ける気流吹付機構34と、を有する。
気流吹付機構34は、図1~図7に関して前述した通りである。すなわち、気流吹付ノズル34bの吹付口341bは、対物レンズ41hの周囲に環状(リング状)に設けられ、空気圧縮駆動部34dから空気通路部34aを通して導かれた空気を被写体に向けて吹き付ける。気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、対物レンズ41hの光軸O1の周りにおいて螺旋状に流れる。言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りにおいてきりもみ状に流れる。さらに、言い換えれば、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって流出した空気は、光軸O1の周りを旋回しながら流れる。このように、気流吹付機構34は、気流吹付ノズル34bの吹付口341bから被写体に向かって流出する空気に対して光軸O1の周りに螺旋状すなわちきりもみ状の流れを形成する。これにより、本実施形態の気流吹付ノズル34bは、被写体に動的変化を与えることができる。
具体的には、図8(a)および図8(b)に表したように、被写体が被検眼Eおよび被検眼Eの周辺部である場合には、気流吹付ノズル34bは、光軸O1の周りにおいて螺旋状に流れる空気を吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって吹き付けることで、被検眼Eの近傍に存在するまつげELに動的変化を与え、まつげELを上下に開くことができる。
図8(a)に表したように、気流吹付ノズル34bが吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって空気を吹き付ける前の状態では、被検眼Eの近傍に存在するまつげELが前眼部画像や涙液画像に写し込まれることがある。そうすると、前眼部画像や涙液画像を正確に撮影することが困難であり、前眼部や涙液を正確に検査することが困難になることがある。
これに対して、本実施形態に係る撮影装置10Aの気流吹付ノズル34bは、光軸O1の周りにおいて螺旋状に流れる空気を吹付口341bから被検眼Eの角膜Ecに向かって吹き付けることで、被検眼Eの近傍に存在するまつげELに動的変化を与え、まつげELを上下に開くことができる。そのため、まつげEL等の異物が前眼部画像や涙液画像に写し込まれることを抑えることができる。これにより、前眼部画像や涙液画像を正確に撮影することが可能であり、前眼部や涙液を正確に検査することができる。
また、前述したように、撮影装置10Aの被写体は、被検眼Eに限定されるわけではなく、例えば顔、花および昆虫などであってもよい。このような場合には、本実施形態に係る撮影装置10Aは、被写体に向かって空気(流体)を吹き付け被写体に動的変化を与えているときに被写体を接写することで、例えば動作中の被写体や躍動感のある被写体を撮影することができる。例えば、撮影装置10Aは、花に向かって空気を吹き付け花に動的変化を与えているときに花を接写することで、花が風になびいている状態や揺れている状態の躍動感のある花を撮影することができる。あるいは、例えば、撮影装置10Aは、昆虫に向かって空気を吹き付け昆虫に動的変化を与えているときに昆虫を接写することで、昆虫が羽根を広げ飛び立つ瞬間の躍動感のある昆虫を撮影することができる。
さらに、気流吹付機構34は、対物レンズ41hの光軸O1の回りに螺旋状の流れを有する空気(流体)を吹付口341bから被写体に向かって流出させることで、被写体に対して空気を集中的に吹き付けることができる。これにより、気流吹付機構34は、被写体に対して動的変化をより確実に与えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
上記した実施形態では、第2測定部として眼圧測定部20を搭載していたが、気流吹付機構34が、対物レンズ41hの周囲に設けられた環状の吹付口341bから被検眼Eや被写体に向かって空気(流体)を吹き付け被検眼Eの角膜Ecを圧平させたり被写体に動的変化を与えたりする気流吹付ノズル34bを有してさえいれば、光学的な構成、各光学部材の配置および測定原理が異なる眼圧測定部であってもよく、角膜の厚さを測定(角膜厚測定)するパキメータであってもよく、上記した実施形態に限定されるものではない。
上記した実施形態では、第1測定部として眼特性測定部40を搭載していたが、気流吹付機構34が、対物レンズ41hの周囲に設けられた環状の吹付口341bから被検眼Eや被写体に向かって空気(流体)を吹き付け被検眼Eの角膜Ecを圧平させたり被写体に動的変化を与えたりする気流吹付ノズル34bを有してさえいれば、光学的な構成、各光学部材の配置および測定原理が異なるものであってもよく、測定の内容(種類)が異なるものであってもよく、上記した実施形態に限定されるものではない。