本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10を、図1から図15を用いて説明する。眼科装置10は、図1に示すように、被検眼E(図2等参照)の眼圧を測定する眼圧測定部20と、被検眼Eのその他の光学特性(眼特性)を測定する眼特性測定部40と、を備える複合型の眼科装置である。この被検眼Eについては、図2および図3では、眼底(網膜)Ef、角膜(前眼部)Ecおよび角膜頂点Eaを示している。その眼科装置10は、ベース11に駆動部12を介して装置本体部13が設けられて構成されている。その装置本体部13には、内方に眼圧測定部20および眼特性測定部40が設けられ、外方に表示部14、顎受部15および額当部16が設けられている。
その表示部14は、液晶ディスプレイで形成されており、後述する制御部33(図2参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部像等の画像や検査結果等を表示させる。表示部14は、本実施例では、タッチパネルの機能を搭載しており、眼圧測定部20または眼特性測定部40を用いて測定を行うための操作や、手動により装置本体部13を移動するための操作を行うことが可能とされている。また、表示部14は、タッチパネルの機能を利用して、後述する各測定モードにおいて切替アイコンを表示し、当該切替アイコンに触れることによる各測定モードの切り替え操作を可能としている。なお、測定を行うための操作は、測定スイッチを設けて、当該測定スイッチの操作により行うものであってもよい。また、装置本体部13を移動するための操作は、コントロールレバーや移動操作スイッチを設けて、当該コントロールレバーや当該移動操作スイッチの操作により行うものであってもよい。
顎受部15および額当部16は、測定時に装置本体部13に対して被検者(患者)の顔、すなわち被検眼Eの位置を固定するものであり、ベース11に固定されて設けられている。その顎受部15は、被検者が顎を載せる箇所となり、額当部16は、当該被検者が額を宛がう箇所となる。この眼科装置10では、表示部14と、顎受部15および額当部16と、が、装置本体部13を挟んだ両側に設けられており、通常の使用時において、表示部14が検者の側となり、顎受部15および額当部16が被検者の側となる。その表示部14は、装置本体部13に回転自在に支持されており、表示面の向きを変更すること、例えば、表示面を被検者側に向けることや、表示面を側方(X軸方向)に向けることが可能とされている。その装置本体部13は、駆動部12により、ベース11に対して移動すること、すなわち顎受部15と額当部16とにより固定された被検眼E(被検者の顔)に対して移動することが可能とされている。
その駆動部12は、装置本体部13をベース11に対して、上下方向(Y軸方向)と、前後方向(Z軸方向(図1を正面視して左右方向))と、それらに直交する左右方向(X軸方向(図1の紙面に直交する方向)と、に移動させる。なお、この実施例では、上下方向の上側をY軸方向の正側とし、前後方向の被検者側(図1を正面視して右側)をZ軸方向の正側とし、左右方向において図1を正面視して手前側をX軸方向の正側とする(図1の矢印参照)。本実施例では、駆動部12は、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを有する。
Y軸駆動部分12aは、ベース11に設けられており、Z軸駆動部分12bおよびX軸駆動部分12cを介して、ベース11に対して装置本体部13をY軸方向(上下方向)へと移動(変位)させる。換言すると、Y軸駆動部分12aは、駆動部12において、装置本体部13をY軸方向(上下方向)へと移動させるための箇所となる。このY軸駆動部分12aは、支持支柱12dとY軸移動枠12eとを有する。その支持支柱12dは、ベース11に固定されて設けられており、そのベース11からY軸方向へと伸びて設けられている。Y軸移動枠12eは、その支持支柱12dを取り囲むことが可能な枠形状とされており、図示を略すY軸ガイド部材を介してY軸方向への相対的な移動が可能に当該支持支柱12dに取り付けられている。そのY軸移動枠12eは、支持支柱12d(ベース11)に対するY軸方向での移動可能な範囲が、後述する眼圧測定モード(図5(a)参照)において眼圧測定部20を最も下方(負側)に位置させることと、後述する眼特性測定モード(図5(b)参照)において眼特性測定部40を最も上方(正側)に位置させることと、を可能とするように設定されている。
そのY軸移動枠12eでは、図示は略すが、支持支柱12dとの間に弾性部材が設けられており、その弾性部材から上方へ向けて押す力が付与されている。その弾性部材は、本実施例では、螺旋状とされた線材により構成され、無負荷状態において最も縮み、一端と他端とを離間させる動作に抗する弾性力を発揮する引張バネを用いている。すなわち、Y軸移動枠12eは、弾性部材により支持支柱12dに対して吊り下げる構成とされている。Y軸移動枠12eは、Y軸ガイド部材により支持支柱12d(ベース11)に対する相対的な移動方向がY軸方向に規定された状態で、弾性部材を介して支持支柱12d(ベース11)に支持されている。なお、弾性部材は、支持支柱12d(ベース11)に対してY軸方向へと押す力をY軸移動枠12eに付与して当該Y軸移動枠12eを支持するものであれば、圧縮バネを用いるものであってもよく、その他の構成であってもよく、本実施例に限定されるものではない。その圧縮バネは、螺旋状とされた線材により構成され、無負荷状態において最も伸びて、一端と他端とを接近させる動作に抗する弾性力を発揮するものである。この圧縮バネを用いる場合、支持支柱12dもしくはベース11が当該圧縮バネを介してY軸移動枠12eを下から支える構成とすればよい。
Y軸駆動部分12aには、支持支柱12dに対してY軸移動枠12eをY軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。Y軸駆動部分12aでは、上方への移動力を駆動力伝達機構からY軸移動枠12eに付与することで当該Y軸移動枠12eを弾性部材が釣り合う位置からY軸方向正側へと移動させ、下方への移動力を駆動力伝達機構からY軸移動枠12eに付与することで当該Y軸移動枠12eを弾性部材が釣り合う位置からY軸方向負側へと移動させる。
Z軸駆動部分12bは、Y軸移動枠12e(Y軸駆動部分12a)に設けられており、X軸駆動部分12cを介して、Y軸駆動部分12aすなわちベース11に対して装置本体部13をZ軸方向(前後方向)へと移動(変位)させる。換言すると、Z軸駆動部分12bは、駆動部12において、装置本体部13をZ軸方向(前後方向)へと移動させるための箇所となる。このZ軸駆動部分12bは、Z軸支持台12fとZ軸移動台12gとを有する。Z軸支持台12fは、Y軸移動枠12eに固定されて設けられており、Y軸移動枠12eと共にY軸方向へと移動される。このZ軸支持台12fは、図示を略すZ軸ガイド部材を介してZ軸方向への相対的な移動が可能にZ軸移動台12gを支持している。Z軸駆動部分12bには、Z軸支持台12fに対してZ軸移動台12gをZ軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。Z軸駆動部分12bでは、Z軸方向への移動力を駆動力伝達機構からZ軸移動台12gに付与することで、当該Z軸移動台12gを適宜Z軸方向へと移動させる。
X軸駆動部分12cは、Z軸移動台12g(Z軸駆動部分12b)に設けられており、Z軸駆動部分12bすなわちベース11に対して装置本体部13をX軸方向(左右方向)へと移動(変位)させる。換言すると、X軸駆動部分12cは、駆動部12において、装置本体部13をX軸方向(左右方向)へと移動させるための構成となる。このX軸駆動部分12cは、X軸支持台12hとX軸移動台12iとを有する。X軸支持台12hは、Z軸移動台12gに固定されて設けられており、Z軸移動台12gと共にZ軸方向へと移動される。このX軸支持台12hは、図示を略すX軸ガイド部材を介してX軸方向への相対的な移動が可能にX軸移動台12iを支持している。X軸駆動部分12cには、X軸支持台12hに対してX軸移動台12iをX軸方向へと移動させる移動力を付与する駆動力伝達機構が設けられている。X軸駆動部分12cでは、X軸方向への移動力を駆動力伝達機構からX軸移動台12iに付与することで、当該X軸移動台12iを適宜X軸方向へと移動させる。このX軸移動台12iには、装置本体部13の内方に設けられた眼圧測定部20と眼特性測定部40とが取り付けられた取付基板(図示せず)を介して装置本体部13が固定されている。
このため、駆動部12は、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動することにより、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させることができる。なお、駆動部12では、明確な図示は略すがY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとがそれぞれ制御部33(図2参照)に接続されており、各駆動部分が制御部33の制御下で駆動される。その制御部33は、眼科装置10における電気制御系を構成するものであり、内蔵する記憶部に格納されたプログラムにより眼科装置10の各部を統括的に制御する。
なお、図1では、理解容易とするために省略しているが、眼科装置10では、全体の外形形状を形作るカバー部材が設けられており、ベース11から駆動部12を経て装置本体部13までが当該カバー部材により覆われている。また、図1では、駆動部12において、Y軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとをY軸方向に積層して示しているが、完全にY軸方向に分割されて構成されているものではなく、Y軸方向に直交する方向で見ると各部が互いに重なり合うように構成されている。このため、駆動部12すなわち眼科装置10では、高さ寸法(Y軸方向で見た大きさ寸法)の増大を防止しつつ、装置本体部13をベース11に対して適宜移動することが可能とされている。
その装置本体部13には、内方に眼圧測定部20と眼特性測定部40とが設けられている。その眼特性測定部40は、第1設定作動距離d1(図5(b)参照)とされた第1測定部を構成し、眼圧測定部20は、第1設定作動距離よりも短い第2設定作動距離d2(図5(a)参照)とされた第2測定部を構成する。その各作動距離は、それぞれの測定部による被検眼Eの測定を実行することを可能とする距離であり、各測定部の先端から被検眼Eまでの距離(間隔)で示される。眼圧測定部20は、被検眼Eの眼圧を測定する際に用いる。眼特性測定部40は、被検眼Eの光学特性(眼特性)を測定するものであり、本実施例では、被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定する際に用いる。
本実施例の眼科装置10では、装置本体部13において、眼圧測定部20において主光軸となる後述する光軸O1を、眼特性測定部40における後述する主光軸O10よりも上方(Y軸方向正側)に設けている(図5参照)。このため、この眼科装置10では、装置本体部13において、基本的に、眼特性測定部40の上方に眼圧測定部20が設けられている。ここで、眼圧測定部20と眼特性測定部40との位置関係において基本的にと言ったのは、眼圧測定部20と眼特性測定部40とを個別に分離して構成するものではなく、眼圧測定部20と眼特性測定部40とにおいて一方の光学系の一部を他方の光学系に交差させることで、眼圧測定部20と眼特性測定部40との一部を入り組ませて一体的な構成としていることによる。
次に、図2および図3を用いて、眼圧測定部20の光学的な構成を説明する。その眼圧測定部20は、非接触式の眼圧計である。眼圧測定部20は、図2および図3に示すように、前眼部観察光学系21とXYアライメント指標投影光学系22と固視標投影光学系23と圧平検出光学系24とZアライメント指標投影光学系25とZアライメント検出光学系26とを備える。
その前眼部観察光学系21は、被検眼Eの前眼部の観察およびXYアライメント(X−Y平面に沿う方向におけるアライメント)をするために設けられている。この前眼部観察光学系21は、前眼部照明光源21a(図2参照)が設けられるとともに、光軸O1上に、気流吹付ノズル21bと前眼部窓ガラス21c(図3参照)とチャンバー窓ガラス21dとハーフミラー21eとハーフミラー21gと対物レンズ21fとCCDカメラ21iとが設けられて構成されている。前眼部照明光源21aは、前眼部窓ガラス21cの周囲に位置されており(図2参照)、その前眼部を直接照明すべく複数個(図2には2つのみ示す)設けられている。気流吹付ノズル21bは、被検眼E(その前眼部)に気流を吹き付けるためのノズルであり、後述する気流吹付機構34の空気圧縮室34a(図3参照)に設けられている。CCDカメラ21iは、受光面に形成された画像(前眼部像等)に基づく画像信号を生成するものであり、生成した画像信号を制御部33(図2参照)へと出力する。このCCDカメラ21iより取得された画像は、制御部33の制御下で、表示部14(図1参照)に適宜表示されるとともに、図示を略す外部機器へと適宜出力される。
このCCDカメラ21iは、図3に示すように、合焦駆動機構21Dにより光軸O1に沿って移動可能とされている。合焦駆動機構21Dは、制御部33(図2参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせるべくCCDカメラ21iを適宜移動させる。その合焦駆動機構21Dでは、その駆動源を後述する固視標投影光学系41の固視標移動機構41D(図4参照)と共用するものとしている。すなわち、当該駆動源は、後述する眼圧測定モード(図5(a)参照)において合焦駆動機構21Dを駆動させ、かつ後述する眼特性測定モード(図5(b)参照)において固視標移動機構41Dを駆動させる。制御部33は、合焦駆動機構21Dを介して、眼圧測定部20すなわち装置本体部13の位置に応じて、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を変化させることにより、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせる。
この制御部33は、本実施例では、光軸O1上における第1焦点位置f1と第2焦点位置f2との2つの位置で、合焦駆動機構21Dを介してCCDカメラ21iを変位させることが可能とされている。その第1焦点位置f1は、眼圧測定部20(装置本体部13)を、被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置すなわち被検眼Eの前眼部(角膜Ec)から第2設定作動距離d2(図5(a)参照)とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントが合う位置とされている。その被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置は、本実施例では、気流吹付ノズル21bの先端から被検眼Eまでの距離(間隔)すなわち第2設定作動距離d2を11mmとする位置に設定されている(図5(a)参照)。
第2焦点位置f2は、眼圧測定部20(装置本体部13)を、被検眼E(被検者)から十分に離した位置とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントが合う位置とされている。これは、後述するように、眼特性測定モード(眼特性測定部40による測定モード)から、眼圧測定モード(眼圧測定部20による測定モード)へと切り替える際、眼圧測定部20(装置本体部13)を、先ずY軸方向へと移動して被検眼Eに対応する高さ位置としてから、Z軸方向へと移動させて被検眼Eに近付けていくことによる。このような移動は、被検眼Eに極めて近付けられる気流吹付ノズル21b(その先端)が、誤って被検眼Eと接触することを防止するために行われる。または、眼圧測定モードにおいて、測定対象とする被検眼Eを被検者の左右眼で切り換える際、眼圧測定部20(装置本体部13)を、一方の眼圧を測定した位置から先ず後退(Z軸方向負側)し、左右方向(X軸方向)へと移動して、他方の被検眼Eに近付く方向へと移動させながらアライメントを行うことにもよる。このような動作は、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bの先端が、誤って被検者(その鼻等)に接触することを防止するために行われる。
そして、制御部33は、本実施例では、ベース11に対する装置本体部13(眼圧測定部20)の位置、すなわち駆動部12(そのZ軸駆動部分12b)によるZ軸方向(前後方向)での制御位置に応じて、CCDカメラ21iの位置を第1焦点位置f1と第2焦点位置f2とで切り替える。これは、眼圧測定部20と被検眼Eとの間隔が、ベース11に対する装置本体部13(眼圧測定部20)の位置によりおおまかに決定することによる。なお、合焦駆動機構21Dでは、駆動源を後述する固視標投影光学系41の固視標移動機構41D(図4参照)と共用するものとしていたが、後述する眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43(受光光学系44)の指標移動機構43D(図4参照)と駆動源を共用するものとしてもよく、本実施例に限定されるものではない。
この前眼部観察光学系21では、前眼部照明光源21a(図2参照)で被検眼E(その前眼部)を照明しつつ、その被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ21iで取得する。その前眼部像(その光束)は、気流吹付ノズル21bの外を通り、前眼部窓ガラス21c(後述するガラス板34bも含む)、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21gおよびハーフミラー21eを透過し、対物レンズ21fにより集束されて、CCDカメラ21i(その受光面)上に形成される。このCCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)は、形成された前眼部像の受光に基づく信号を制御部33(図2参照)へと出力する。その制御部33は、CCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)で取得した前眼部像を表示部14(図1参照)に適宜表示させる。
また、前眼部観察光学系21では、後述するようにXYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、CCDカメラ21i(その受光面)へと進行させる。詳細には、前眼部観察光学系21では、当該反射光束を、気流吹付ノズル21bの内部を通り、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21gおよびハーフミラー21eを透過させて対物レンズ21fへと至らせる。そして、前眼部観察光学系21では、当該反射光束を対物レンズ21fで集束して、CCDカメラ21iへと進行させる。すると、そのCCDカメラ21i(その受光面)上には、装置本体部13(眼圧測定部20)と角膜EcとのXY方向の位置関係に応じた位置に輝点像が形成される。このCCDカメラ21i(前眼部観察光学系21)は、形成された輝点像の受光に基づく信号を制御部33(図2参照)へと出力することができる。そのXYアライメント指標光の輝点像は、被検眼Eの角膜Ec上に形成されるものである。このため、制御部33は、輝点像が形成された前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得することができ、表示部14に輝点像が形成された前眼部(角膜Ec)の画像を適宜表示させることができる。なお、その表示部14には、図示を略す画像生成手段によって生成されたアライメント補助マークも重ねて表示される。
XYアライメント指標投影光学系22は、指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。その指標光は、X−Y平面に沿う方向(以下では、XY方向ともいう)で見た被検眼E(その前眼部(角膜Ec))の眼圧測定部20に対する位置の調節、いわゆるXY方向のアライメントを可能とする機能を有する。また、当該指標光は、被検眼Eの角膜Ecの変形量(変形の度合(圧平))の検出を可能とする機能も有する。このXYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント用光源22aと集光レンズ22bと開口絞り22cとピンホール板22dとダイクロイックミラー22eと投影レンズ22fとを有し、前眼部観察光学系21とハーフミラー21eを共用している。XYアライメント用光源22aは、赤外光を出射する光源とされている。投影レンズ22fは、ピンホール板22dに焦点を一致させるように、XYアライメント指標投影光学系22の光路上に配置されている。このXYアライメント指標投影光学系22では、XYアライメント用光源22aから出射された赤外光が、集光レンズ22bにより集束されつつ開口絞り22cを通過して、ピンホール板22d(その穴部)へと進行する。XYアライメント指標投影光学系22では、ピンホール板22d(その穴部)を通過した光束を、ダイクロイックミラー22eで反射して投影レンズ22fへと進行させ、その進行した赤外光を投影レンズ22fで平行光束として、ハーフミラー21eへと進行させる。そして、XYアライメント指標投影光学系22では、ハーフミラー21eで反射することで平行光束を前眼部観察光学系21の光軸O1上に進行させる。その平行光束は、ハーフミラー21gおよびチャンバー窓ガラス21dを透過して、気流吹付ノズル21bの内部へと進行し、当該気流吹付ノズル21bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに至る。そのXYアライメント指標光は、図示は略すが、角膜Ecの角膜頂点Eaと当該角膜Ecの曲率中心との中間位置に輝点像を形成するようにして角膜Ecの表面で反射される。なお、開口絞り22cは、投影レンズ22fに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。
固視標投影光学系23は、被検眼Eに固視標を投影(提示)する。その固視標投影光学系23は、固視標用光源23aとピンホール板23bとを有し、XYアライメント指標投影光学系22とダイクロイックミラー22eおよび投影レンズ22fを共用するとともに前眼部観察光学系21とハーフミラー21eを共用している。その固視標用光源23aは、可視光を出射する光源とされている。この固視標投影光学系23では、固視標用光源23aから出射した固視標光をピンホール板23b(その穴部)へと進行させ、そのピンホール板23b(その穴部)を通過しダイクロイックミラー22eを透過させて、投影レンズ22fへと進行させる。その固視標光(その光束)は、投影レンズ22fにより略平行光とされてハーフミラー21eへと進行し、そのハーフミラー21eで反射されることで前眼部観察光学系21の光軸O1上を進行する。その光束は、ハーフミラー21gおよびチャンバー窓ガラス21dを透過して、気流吹付ノズル21bの内部へと進行し、当該気流吹付ノズル21bの内部を通過して被検眼Eに至る。固視標投影光学系23は、この被検眼Eに投影した固視標を、被検者に固視目標として注視させることにより、当該被検者の視線を固定する。
圧平検出光学系24は、図3に示すように、XYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光して、その角膜Ecの表面の変形量(圧平)を検出する。この圧平検出光学系24は、レンズ24a、ピンホール板24bおよびセンサ24cと、前眼部観察光学系21の光路上に設けられたハーフミラー21gと、を有する。レンズ24aは、角膜Ecの表面が平らとされた際に、XYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、ピンホール板24bの中央の穴に集光させる。そのピンホール板24bは、レンズ24aによる上述した集光位置に、中央の穴を位置させて設けられている。センサ24cは、光量検出の可能な受光センサであって、受光した光量に応じた信号を出力するものであり、本実施例ではフォトダイオードを用いる。このセンサ24c(圧平検出光学系24)は、受光した光量に応じた信号を制御部33に出力する。
上述したように、被検眼Eの角膜Ecの表面(角膜表面)で反射されたXYアライメント指標光の反射光束は、気流吹付ノズル21bの内部を通り、チャンバー窓ガラス21dを透過してハーフミラー21gに至る。圧平検出光学系24では、その一部をハーフミラー21gで反射してレンズ24aへと進行させ、そのレンズ24aで集束して、ピンホール板24bへと進行させる。ここで、被検眼Eでは、後述する気流吹付機構34(図1等参照)により気流吹付ノズル21bから角膜Ecに向けて気流を吹き付けられることで、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態とされていく。そのとき、圧平検出光学系24では、上述した設定により、角膜Ecの表面が平らとされると進行してきた反射光束の全体がピンホール板24bの穴を通してセンサ24cに到達し、その他の状態ではピンホール板24bで部分的に遮られつつセンサ24cに到達する。このため、圧平検出光学系24では、センサ24cで受光した光量が最大となった時点を検出することにより、角膜Ecの表面が平らとされたこと(圧平)を検知することができる。これにより、圧平検出光学系24では、流体の吹き付けにより変形した角膜Ecの表面の形状(圧平)を検出することができ、センサ24cがその検出のために角膜Ecからの反射光(反射光束)を受光する受光部として機能する。
Zアライメント指標投影光学系25は、図2に示すように、被検眼Eの角膜Ecに、斜めからZ軸方向のアライメント指標光(アライメント用指標平行光束)を投影する。このZアライメント指標投影光学系25は、光軸O2上に、Zアライメント用光源25aと集光レンズ25bと開口絞り25cとピンホール板25dと投影レンズ25eとが設けられて構成されている。そのZアライメント用光源25aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する光源とされている。開口絞り25cは、投影レンズ25eに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。その投影レンズ25eは、ピンホール板25d(その穴部)に焦点を一致させて配置されている。Zアライメント指標投影光学系25では、Zアライメント用光源25aから出射された赤外光(その光束)が、集光レンズ25bにより集光されつつ開口絞り25cを通過してピンホール板25dへと進行する。このZアライメント指標投影光学系25では、ピンホール板25d(その穴部)を通過した光束を投影レンズ25eへと進行させ、投影レンズ25eで平行光として角膜Ecへと進行させる。その赤外光(その光束(Zアライメント指標光))は、被検眼Eの内方に位置する輝点像を形成するようにして、角膜Ecの表面で反射される。
Zアライメント検出光学系26は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、前眼部観察光学系21の光軸O1に対して対称な方向から受光して、装置本体部13(眼圧測定部20)と角膜EcとのZ軸方向での位置関係を検出する。そのZアライメント検出光学系26は、光軸O3上に、結像レンズ26aとシリンドリカルレンズ26bとセンサ26cとが設けられて構成されている。シリンドリカルレンズ26bは、Y軸方向にパワーを持つものとされている。センサ26cは、受光面における受光位置を検出可能な受光センサであり、ラインセンサやPSDを用いて構成することができ、本実施例ではラインセンサを用いる。このセンサ26cは、Zアライメント検出補正部32に接続されている。
このZアライメント検出光学系26では、Zアライメント指標投影光学系25によりアライメント指標光が投影されて角膜Ecの表面で反射された反射光束が、結像レンズ26aへと進行される。Zアライメント検出光学系26では、反射光束を結像レンズ26aで集束し、シリンドリカルレンズ26bへと進行させ、そのシリンドリカルレンズ26bでY軸方向に集光してセンサ26c上に輝点像を形成する。このセンサ26cは、X−Z平面内において、Zアライメント指標投影光学系25により被検眼Eの内方に形成された上述した輝点像と結像レンズ26aに関して共役な位置関係にあり、Y−Z平面内において、角膜頂点Eaと結像レンズ26aおよびシリンドリカルレンズ26bに関して共役な位置関係にある。すなわち、センサ26cは、開口絞り25cと共役関係にあり(このときの倍率は開口絞り25cの像がセンサ26cの大きさより小さくなるように設定している)、Y軸方向に角膜Ecがずれたとしても当該角膜Ecの表面における反射光束は効率良くセンサ26cに入射する。このセンサ26c(Zアライメント検出光学系26)は、形成された輝点像の受光に基づく信号を、Zアライメント検出補正部32へと出力する。
気流吹付機構34は、図3に示すように、空気圧縮室34aを有し、そこに空気圧縮駆動部34d(図1参照)が設けられて構成されている。その空気圧縮駆動部34dは、空気圧縮室34aの内方で移動可能なピストンと、そのピストンを移動させる駆動部と、を有し、本実施例では、装置本体部13において、眼圧測定部20(その光学系)の上方に設けられている。空気圧縮駆動部34dは、制御部33(図2参照)の制御下で駆動されることで、空気圧縮室34a内の空気を圧縮する。その空気圧縮室34aには、透明なガラス板34bを介して気流吹付ノズル21bが取り付けられているとともに、そこと対向してチャンバー窓ガラス21dが設けられている。このため、空気圧縮室34aは、前眼部観察光学系21における上述した機能を妨げることが防止されている。また、空気圧縮室34aには、当該空気圧縮室34aの圧力を検出する圧力センサ34cが設けられている。この圧力センサ34cは、図示は略すが制御部33(図2参照)に接続されており、検出した圧力に応じた信号を制御部33に出力する。この気流吹付機構34では、制御部33の制御下で、空気圧縮駆動部34dが空気圧縮室34a内の空気を圧縮することにより、気流吹付ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付けることができる。また、気流吹付機構34では、圧力センサ34cで空気圧縮室34a内の圧力を検出することにより、気流吹付ノズル21bから気流を吹き付けた際の圧力を取得することが可能とされている。なお、気流吹付機構34では、圧力センサ34cを設けることに替えて、吹き付ける気流において、時間に対する圧力の変化が予め定められた特性とするものとしてもよい。
この眼圧測定部20は、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとの点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を有し、当該ドライバに制御部33(図2参照)が接続されている。このため、眼圧測定部20では、制御部33の制御下で、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとを適宜点灯させる。また、眼圧測定部20では、上述したように、制御部33の制御下で、合焦駆動機構21Dを介してCCDカメラ21iを光軸O1上で適宜移動させ、かつCCDカメラ21iから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行い、かつその生成した画像を表示部14に適宜表示させる。
次に、上述した眼圧測定部20を用いて被検眼Eの眼圧を測定する際の概略的な動作について説明する。なお、眼圧測定部20における下記の動作は、制御部33(図2参照)の制御下で実行される。先ず、眼科装置10の電源スイッチを投入し、表示部14に眼圧測定部20を用いて測定を行う旨の操作を行う。すると、眼圧測定部20では、後述するように眼圧測定モード(図5(a)参照)とした後、前眼部照明光源21aとXYアライメント用光源22aと固視標用光源23aとZアライメント用光源25aとを適宜点灯させる。このとき、眼圧測定部20では、各光源21a、23a、25aをそれぞれ異なる周期で点滅を繰り返させるものとし、いずれの光源からの光であるかの識別を可能としてもよい。
眼圧測定部20では、図3に示すように、固視標投影光学系23の固視標用光源23aを点灯することで、固視標を被検眼Eに投影して、その被検眼Eを固視させるすなわち被検者の視線を固定する。また、眼圧測定部20では、XYアライメント指標投影光学系22のXYアライメント用光源22aを点灯することで、平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部20では、その角膜Ecで反射された反射光束を、前眼部観察光学系21のCCDカメラ21iと、圧平検出光学系24のセンサ24cと、により受光する。さらに、眼圧測定部20では、図2に示すように、Zアライメント指標投影光学系25のZアライメント用光源25aを点灯することで、Z軸方向のアライメント用の平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部20では、その角膜Ecで反射された反射光束を、Zアライメント検出光学系26のセンサ26cで受光する。
眼圧測定部20では、前眼部観察光学系21の前眼部照明光源21aを点灯することで、被検眼Eの前眼部を照明し、その被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ21i上に結像させる。そして、眼圧測定部20では、明確な図示は略すが、表示部14に、XYアライメント指標光の輝点像が形成された被検眼Eの前眼部像と、アライメント補助マークと、を表示させる。検者は、この表示部14を見ながら当該表示部14に表示された操作部を操作することにより、装置本体部13を上下左右に移動させて輝点像が表示部14の画面内に映るようにアライメントを行う。
また、眼圧測定部20では、Zアライメント検出補正部32が、Zアライメント検出光学系26のセンサ26cの受光信号とXYアライメント検出部31の演算結果とに基づいて、装置本体部13と角膜EcのZ軸方向の位置関係を演算する。眼圧測定部20では、制御部33の制御下で、前眼部観察光学系21から得られるXY方向での位置およびZアライメント検出補正部32から出力される演算結果に基づいて、駆動部12すなわちY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動することにより、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させてオートアライメント(自動でのアライメントの調整)を行う。このため、本実施例の眼圧測定部20(眼科装置10)では、Zアライメント指標投影光学系25とZアライメント検出光学系26とZアライメント検出補正部32とが、眼圧測定部20の光軸O1に沿う方向(Z軸方向)での被検眼Eに対する眼圧測定部20(装置本体部13)の位置を検出する光軸方向検出機構として機能する。
眼圧測定部20では、オートアライメントが完了すると、制御部33が気流吹付機構34を作動させて、気流吹付ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付ける。すると、被検眼Eでは、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態(圧平)とされていく。角膜Ecが徐々に平らな状態(圧平)とされていく過程において、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されると圧平検出光学系24のセンサ24cでの受光量が最大となる。このため、眼圧測定部20では、センサ24cの受光量の変化に基づいて、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを制御部33が判断する。すなわち、圧平検出光学系24(センサ24c)では、角膜Ecの圧平を検出することができる。そして、眼圧測定部20では、制御部33が、圧力センサ34cからの出力(吹き付けた気流の圧力)に基づいて、被検眼Eの眼圧を求め(眼圧値を算出し)、その算出結果を表示部14に表示させる。なお、制御部33では、気流吹付ノズル21b(気流吹付機構34)による気流の吹き付けを開始時点から角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを検知した時点までの時間に基づいて、被検眼Eの眼圧を求める(眼圧値を算出する)ものであってもよい。
次に、図4を用いて、眼特性測定部40の光学的な構成を説明する。その眼特性測定部40は、被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定するものである。眼特性測定部40は、図4に示すように、固視標投影光学系41と観察光学系42と眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43と受光光学系44とアライメント光投影系45とを備える。その固視標投影光学系41は、被検眼Eを固視・雲霧させるために、その被検眼Eの眼底Ef(図2、図3参照)に視標を投影する。観察光学系42は、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)を観察する。眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、被検眼Eの眼屈折力を測定するために、眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束を、その被検眼Eの眼底Efに投影する。受光光学系44は、被検眼Eの眼底Efから反射された眼屈折力測定用リング状指標像を後述する撮像素子44dに受光させる。この眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43および受光光学系44は、観察光学系42および後述する角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cと共に、角膜形状・眼屈折力測定光学系を構成する。アライメント光投影系45は、X−Y方向でのアライメント状態を検出するために、指標光を被検眼Eに向けて投影する。また、眼特性測定部40の光学系には、図示は略すが、被検眼Eと装置本体部13との間の作動距離を検出するための作動距離検出光学系が設けられている。
固視標投影光学系41は、光軸O11上に、固視標光源41aとコリメータレンズ41bと指標板41cとリレーレンズ41dとミラー41eとダイクロイックミラー41fとダイクロイックミラー41gと対物レンズ41hとを有する。指標板41cには、被検眼Eを固視・雲霧させるためのターゲットが設けられている。その固視標光源41a、コリメータレンズ41bおよび指標板41cは、固視標ユニット41Uを構成し、被検眼Eを固視・雲霧させるべく、固視標移動機構41Dにより固視標投影光学系41の光軸O11に沿って一体に移動可能とされている。なお、ダイクロイックミラー41gと対物レンズ41hとは、それらが設けられた位置が、後述する眼特性測定部40における主光軸O10上とされている。
この固視標投影光学系41では、固視標光源41aから可視光を出射し、その可視光をコリメータレンズ41bにより平行光束とした後、指標板41cを透過させてターゲット光束とする。そして、固視標投影光学系41では、ターゲット光束を、リレーレンズ41dを通した後にミラー41eにより反射し、ダイクロイックミラー41fを通過させてダイクロイックミラー41gへと進行させる。固視標投影光学系41では、そのターゲット光束をダイクロイックミラー41gで眼特性測定部40における主光軸O10上へと反射して、対物レンズ41hを経て被検眼Eへと進行させる。固視標投影光学系41は、被検眼Eに投影したターゲット光束(固視標)を、被検者に固視目標として注視させることにより、当該被検者の視線を固定する。また、固視標投影光学系41は、被検者に固視目標として注視させた状態から、ピントが合わない位置まで固視標ユニット41Uを移動させることにより、被検眼Eを雲霧状態とする。
観察光学系42は、図示を略す照明光源を有するとともに、主光軸O10上に、ハーフミラー42aとリレーレンズ42bと結像レンズ42cと撮像素子42dとを有し、固視標投影光学系41と対物レンズ41hおよびダイクロイックミラー41gを共用する。撮像素子42dは、二次元固体撮像素子であり、本実施例ではCMOSイメージセンサを用いている。
この観察光学系42では、照明光源から出射した照明光束で被検眼Eの前眼部(角膜Ec)を照明して、その前眼部で反射された照明光束を対物レンズ41hで取得する。観察光学系42では、反射された照明光束を、対物レンズ41hを経て、ダイクロイックミラー41gおよびハーフミラー42aを通して、リレーレンズ42bを経て結像レンズ42cにより撮像素子42d(その受光面)上に結像させる。その撮像素子42dは、取得した画像に基づく画像信号を制御部33(図2参照)に出力する。その制御部33は、入力された画像信号に基づいて、前眼部(角膜Ec)の画像を表示部14に表示させる。このため、観察光学系42では、撮像素子42d(その受光面)上に前眼部(角膜Ec)の像を形成することができ、表示部14に当該前眼部の画像を表示させることができる。なお、アライメント完了後の屈折力測定時には、観察光学系42の照明光源は消灯される。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、眼屈折力測定用光源43aとレンズ43bと円錐プリズム43cとリング指標板43dとレンズ43eとバンドパスフィルタ43fと瞳リング43gと穴空きプリズム43hとロータリープリズム43iとを有し、固視標投影光学系41とダイクロイックミラー41f、ダイクロイックミラー41gおよび対物レンズ41hを共用する。その眼屈折力測定用光源43aと瞳リング43gとは光学的に共役な位置に配置し、リング指標板43dと被検眼Eの眼底Efとは光学的に共役な位置に配置している。また、眼屈折力測定用光源43a、レンズ43b、円錐プリズム43cおよびリング指標板43dは、指標ユニット43Uを構成し、この指標ユニット43Uは、指標移動機構43Dにより眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の光軸O13に沿って一体に移動可能とされている。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、眼屈折力測定用光源43aから出射した光束をレンズ43bで平行光束とし、円錐プリズム43cを経てリング指標板43dへと進行させる。その光束は、リング指標板43dに形成されたリング状のパターン部分を透過して眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束とされる。この眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、そのパターン光束をレンズ43e、バンドパスフィルタ43fおよび瞳リング43gを経て穴空きプリズム43hへと進行させ、その穴空きプリズム43hの反射面により反射して、ロータリープリズム43iを経てダイクロイックミラー41fへと進行させる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束をダイクロイックミラー41fで反射した後にダイクロイックミラー41gで反射することで、眼特性測定部40における主光軸O10上に進行させる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束を、対物レンズ41hにより被検眼Eの眼底Ef(図2、図3参照)に結像させる。
この眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43には、対物レンズ41hの前方側に角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cが設けられている。この角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cは、リングパターン47上において被検眼E(角膜Ec)から所定の距離とされて主光軸O10に関して同心状に設けられており、被検眼E(角膜Ec)に角膜形状測定用リング状指標光を投影する。その角膜形状測定用リング状指標光は、被検眼Eの角膜Ecに投影されることで、その角膜Ecに角膜形状測定用リング状指標を形成する。その角膜形状測定用リング状指標(その光束)は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、上記した観察光学系42により撮像素子42d上に結像される。このため、観察光学系42では、表示部14において、前眼部(角膜Ec)の画像に重ねて角膜形状測定用リング状指標の像(画像)を表示させることができる。
受光光学系44は、穴空きプリズム43hの穴部44aとミラー44bとレンズ44cと撮像素子44dとを有し、固視標投影光学系41と対物レンズ41h、ダイクロイックミラー41gおよびダイクロイックミラー41fを共用し、かつ眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43とロータリープリズム43iを共用する。撮像素子44dは、二次元固体撮像素子であり、本実施例ではCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いている。この撮像素子44dは、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の指標移動機構43Dにより、当該眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の指標ユニット43Uと連動して、受光光学系44の光軸O14に沿って移動可能とされている。
受光光学系44では、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43によって眼底Ef(図2、図3参照)に導かれ、かつ当該眼底Efで反射されたパターン反射光束を、対物レンズ41hにより集光し、ダイクロイックミラー41gで反射した後にダイクロイックミラー41fで反射して、ロータリープリズム43iへと進行させる。そして、受光光学系44では、反射されたパターン反射光束を、ロータリープリズム43iを経て穴空きプリズム43hの穴部44aへと進行させて、この穴部44aを通過させる。受光光学系44では、穴部44aを通過したパターン反射光束を、ミラー44bによって反射し、レンズ44cにより撮像素子44d(その受光面)上にパターン反射光束すなわち眼屈折力測定用リング状指標を結像させる。その撮像素子44dは、取得した画像に基づく画像信号を制御部33(図2参照)に出力する。その制御部33は、入力された画像信号に基づいて、眼屈折力測定用リング状指標の画像を表示部14(図1参照)に表示させる。このため、受光光学系44では、撮像素子44d(その受光面)上に眼屈折力測定用リング状指標の像を形成することができ、表示部14に当該眼屈折力測定用リング状指標の画像を表示させることができる。
アライメント光投影系45は、LED45aとピンホール45bとレンズ45cとを有し、観察光学系42とハーフミラー42aを共用し、固視標投影光学系41とダイクロイックミラー41gおよび対物レンズ41hを共用する。このアライメント光投影系45では、LED45aからの光束を、ピンホール45b(その穴部)を通してアライメント指標光束とし、レンズ45cを経てハーフミラー42aで反射することで、眼特性測定部40における主光軸O10上に進行させる。そして、アライメント光投影系45では、アライメント指標光束を、ダイクロイックミラー41gを通して対物レンズ41hへと進行させ、その対物レンズ41hを経て被検眼Eの角膜Ecに向けてアライメント指標光束として投影する。このアライメント光投影系45は、被検眼Eの角膜Ecに向けてアライメント指標光束を投影することにより、被検眼Eに対して装置本体部13を自動的にアライメントする機能を有する。その被検眼Eに向けて平行光として投影されたアライメント指標光束は、その被検眼Eの角膜Ecにおいて反射され、観察光学系42により撮像素子42d上にアライメント指標像としての輝点像が投影される。この輝点像が、図示を略す光学系により形成されたアライメントマーク内に位置すると、アライメント完了となる。
この眼特性測定部40は、固視標光源41aと観察光学系42の照明光源と眼屈折力測定用光源43aとLED45aと角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cとの点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を有し、当該ドライバに制御部33(図2参照)が接続されている。このため、眼特性測定部40では、制御部33の制御下で、固視標光源41aと観察光学系42の照明光源と眼屈折力測定用光源43aとLED45aと角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cとが適宜点灯される。また、眼特性測定部40では、上述したように、制御部33の制御下で、固視標移動機構41Dを介して固視標ユニット41Uを光軸O11に沿って一体に移動させ、指標移動機構43Dを介して指標ユニット43Uを光軸O13に沿って一体に移動させるとともに撮像素子44dを光軸O14に沿って移動させる。さらに、眼特性測定部40では、上述したように、制御部33の制御下で、撮像素子42dおよび撮像素子44dから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行うとともに、その生成した画像を表示部14に適宜表示させる。
次に、上述した眼特性測定部40を用いて被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定する際の概略的な動作について説明する。なお、眼特性測定部40における下記の動作は、制御部33(図2参照)の制御下で実行される。先ず、眼科装置10の電源スイッチを投入し、表示部14に眼特性測定部40を用いて測定を行う旨の操作を行う。すると、眼特性測定部40では、後述するように眼特性測定モード(図5(b)参照)とした後、観察光学系42において、照明光源を点灯させて、表示部14に前眼部(角膜Ec)の画像を表示させる。そして、検者は、表示部14の画面内に被検眼Eの瞳孔Ep(図7等参照)が位置するように、表示部14に表示された操作部を操作することにより、装置本体部13を上下左右に移動させて被検眼Eに対する装置本体部13の概略アライメントを行う。また、眼特性測定部40(制御部33)では、撮像素子42dから出力された画像信号に基づく前眼部の画像から、瞳孔Epを検出することが可能とされている。この瞳孔Epの検出は、例えば、前眼部の画像において、瞳孔Epとして認識すべき形状を予め記憶させておき、画像におけるコントラストに基づいて当該認識すべき形状を検出することにより行うことができる。このため、眼特性測定部40では、例えば、測定の対象とする被検眼Eを左右で切り換える場合には、その切り替えに応じて左右方向へと装置本体部13を移動させつつ画像に基づき瞳孔Epを検出し、その検出した瞳孔Epを目標位置として装置本体部13(眼特性測定部40)を移動させることで、上記した概略アライメントを自動で行うことができる。
すると、眼特性測定部40では、観察光学系42によりアライメント指標像としての輝点像を表示部14に表示させる。この後、眼特性測定部40では、アライメント光投影系45、作動距離検出光学系(図示を略す)に基づくアライメント検出を開始する。すなわち、眼特性測定部40では、アライメント指標像としての輝点像をアライメントマーク内に位置させるように、ベース11に対して装置本体部13を上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動させてオートアライメント(自動でのアライメントの調整)を行う。これにより、眼特性測定部40では、装置本体部13の被検眼Eの角膜Ecの頂点に対する自動アライメントが完了する。
すると、眼特性測定部40では、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の角膜形状測定用リング状指標投影光源46A、46B、46Cを点灯して、角膜形状測定用リング状指標を角膜Ecに投影する。そして、制御部33では、表示部14に表示させた画像(撮像素子42dからの画像信号)に基づいて、角膜Ecに投影された角膜形状測定用リング状指標の像から角膜Ecの形状を測定する。この角膜Ecの形状の測定の詳細については、公知であるのでその説明は省略する。制御部33は、眼屈折力としての球面度数、円柱度数、軸角度を周知の手法により測定することができる。なお、この眼屈折力測定部の構成は、特開2002−253506号公報に開示のものと同一であるが、この構成に限られるものではない。このように、制御部33は、角膜形状の測定を実行すると共に、眼屈折力(光学特性)の測定を実行する。なお、制御部33は、演算結果等を記憶部(図示を略す)に適宜格納する。
眼科装置10では、本実施例では、装置本体部13において、基本的に眼特性測定部40の上方に眼圧測定部20を設けるとともに、その眼圧測定部20と眼特性測定部40とを取付基盤に取り付けて互いに固定して設けている。すなわち、眼科装置10では、装置本体部13において、眼圧測定部20と眼特性測定部40とを一体的な構成として、位置関係を変更させる必要をなくすものとしている。このため、取付基盤すなわちそこに取り付けた眼圧測定部20および眼特性測定部40(装置本体部13)は、駆動部12すなわちY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cにより、ベース11に対して上下方向(Y軸方向)、前後方向(Z軸方向)、および左右方向(X軸方向)に適宜移動される。そして、眼科装置10では、駆動部12(Y軸駆動部分12a、Z軸駆動部分12bおよびX軸駆動部分12c)により、装置本体部13(取付基盤)をベース11に対して移動することで、眼圧測定部20と眼特性測定部40とのそれぞれを顎受部15と額当部16とにより固定された被検眼E(被検者の顔)に対応する位置へと移動することができる(図5参照)。
このため、眼科装置10では、装置本体部13(取付基盤)をベース11に対して、駆動部12のY軸駆動部分12aにより上下方向(Y軸方向)へと移動させることで、眼圧測定部20の前眼部観察光学系21の光軸O1の延長線上に被検眼Eを位置させて眼圧測定部20を当該被検眼Eの高さ位置に対応させることができる(図5(a)参照)。そして、眼科装置10では、図5(a)に示すように、駆動部12のZ軸駆動部分12bにより前後方向(Z軸方向)へと移動させることで、眼圧測定部20の前眼部観察光学系21の気流吹付ノズル21bの先端を被検眼E(その角膜頂点Ea)から第2設定作動距離d2に位置するものとする。その第2設定作動距離d2は、本実施例では、11mmとしている。この状態が、眼圧測定部20による測定モードすなわち眼圧測定モードとなる。
また、眼科装置10では、装置本体部13(取付基盤)をベース11に対して、駆動部12のY軸駆動部分12aにより上下方向(Y軸方向)へと移動させることで、眼特性測定部40の主光軸O10の延長線上に被検眼Eを位置させて眼特性測定部40を当該被検眼Eの高さ位置に対応させることができる(図5(b)参照)。そして、眼科装置10では、図5(b)に示すように、駆動部12のZ軸駆動部分12bにより前後方向(Z軸方向)へと移動させることで、眼特性測定部40の前端(本実施例ではリングパターン47)を被検眼Eから第1設定作動距離d1に位置するものとする。なお、この眼特性測定部40の前端とは、当該眼特性測定部40において最も被検者に近付く構造物のことを言い、本実施例ではリングパターン47となる。その第1設定作動距離d1は、本実施例では、約80mmとしている。この状態が、眼特性測定部40による測定モードすなわち眼特性測定モードとなる。
これに伴って、眼科装置10は、本実施例では、眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)を、眼特性測定部40の前端(リングパターン47)よりもZ軸方向正側(被検者側)に変位させている。これは、以下のことによる。眼科装置10では、上記した構成により、眼圧測定モードとすると、図5(a)に示すように、被検者の鼻や口の前に眼特性測定部40の前端となるリングパターン47が位置する。また、眼科装置10では、眼圧測定部20と眼特性測定部40とを一体的な構成として、位置関係を変更しないものとしている。このため、眼科装置10では、例えば、Z軸方向(前後方向)で見て、眼圧測定部20の前端と眼特性測定部40の前端とを等しい位置とすると、眼圧測定モードにおいて、リングパターン47が被検者の鼻や口に接触したり、接触しなくてもリングパターン47が被検者に窮屈な感覚を与えたりしてしまう。このことを鑑みて、眼科装置10では、眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)を眼特性測定部40の前端(リングパターン47)よりもZ軸方向正側に変位させることで、眼圧測定モード時に、被検者の鼻や口の前に空間を確保している。
これに伴って、眼科装置10は、本実施例では、眼特性測定部40において、測定を実行する際の被検眼E(その角膜頂点Ea)から眼特性測定部40の前端(本実施例ではリングパターン47)までの第1設定作動距離d1を、75mm以上(本実施例では、約80mm)としている。これは、以下のことによる。この第1設定作動距離d1は、眼特性測定部40による被検眼Eの測定を実行することを可能とする距離であり、当該眼特性測定部40により測定を実行する際に、被検眼E(その状態)に応じてZ軸方向へと移動されるときの基準となる位置となる。このため、眼特性測定部40では、第1設定作動距離d1からZ軸方向の正側および負側へと移動するための移動幅が設定されており、本実施例ではその移動幅が±20mmとされている。また、眼科装置10では、上述したように、眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)を眼特性測定部40の前端(リングパターン47)よりもZ軸方向正側に変位させている。これにより、眼科装置10では、眼特性測定モードとすると、図5(b)に示すように、顎受部15とともに被検者の顔を固定する額当部16と対向して、眼圧測定部20の前端となる気流吹付ノズル21bが位置する。このため、眼科装置10では、眼特性測定部40における第1設定作動距離d1を小さなものとすると、上記した移動幅でZ軸方向正側(被検者側)へと移動させた際に、眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)を額当部16に干渉させてしまう虞がある。換言すると、眼科装置10では、眼特性測定部40を第1設定作動距離d1から上記した移動幅でZ軸方向正側(被検者側)へと移動させることを可能とするためには、その第1設定作動距離d1を大きくする必要がある。このことから、眼科装置10では、眼特性測定部40において、第1設定作動距離d1を75mm以上に設定しており、本実施例では約80mmとしている。なお、このような第1設定作動距離d1の設定は、眼特性測定部40における各光学部材の光学特性の設定を調整することにより行うことができる。このため、眼科装置10では、眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)を眼特性測定部40の前端(リングパターン47)よりもZ軸方向正側に変位させていても、眼特性測定モードとした際に眼圧測定部20の前端(気流吹付ノズル21b)が額当部16と干渉することを確実に防止する。
これに加えて、眼科装置10では、図6(a)に示すように、所定の高さ位置HLに到達したことを検出する高さ位置検出部48を装置本体部13に設けている。その高さ位置HLは、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bが額当部16と干渉することを防止する観点から設定している。なお、図6(a)に示す例では、高さ位置HLは、気流吹付ノズル21bと額当部16との間隔を十分な大きさとするものとしているが、その間隔は適宜設定すればよく、この実施例に限定されるものではない。高さ位置検出部48は、装置本体部13が高さ位置HLに到達すると、その旨を示す信号を制御部33(図2参照)へと出力する。その制御部33では、高さ位置検出部48からの当該信号を取得すると、眼圧測定モードである場合、あるいは眼圧測定部20が所定の前後位置よりもZ軸方向正側(被検者側)に存在している場合、装置本体部13を上方へと移動させることを止める。その所定の前後位置は、Z軸方向で見て、気流吹付ノズル21bが額当部16に干渉することを防止する観点から設定する。
そして、制御部33では、高さ位置検出部48からの上記した信号を取得すると、装置本体部13の上方への移動を止めるとともに、装置本体部13を上方(Y軸方向正側)へと移動させた状況に応じた制御を実行する。その状況に応じた制御とは、例えば、表示部14で為された操作に基づいて装置本体部13を上方へと移動させている場合には、表示部14にこれ以上の上方への移動が出来ない旨を表示することがあげられる。また、状況に応じた制御とは、例えば、眼圧測定部20から眼特性測定部40へと切り替えのための移動を行っている場合には、装置本体部13を前後方向の後方(Z軸方向負側)へと後退(移動)させた後に装置本体部13を上方へと移動させることがあげられる。さらに、制御部33では、眼圧測定部20における自動アライメントを行っている場合に、高さ位置検出部48から当該信号を取得すると、被検眼Eの検出を遣り直す。これは、眼圧測定部20における自動アライメントを行っている際に、装置本体部13を高さ位置HLへと到達させてしまったことは、アライメントの基準とする被検眼Eの検出に失敗したことを意味することによる。
また、制御部33は、眼科装置10の電源スイッチが投入されると、装置本体部13の移動を実行する前に、高さ位置検出部48から上記した信号が出力されているか否かを判断する。そして、制御部33は、高さ位置検出部48から上記した信号が出力されていない場合、適宜装置本体部13の移動を実行する。また、制御部33は、高さ位置検出部48から上記した信号が出力されている場合、装置本体部13の上方への移動は行わず、状況に応じた制御を実行する。その状況に応じた制御とは、例えば、表示部14で装置本体部13を上方へと移動させる操作が為された場合、表示部14にこれ以上の上方への移動が出来ない旨を表示することがあげられる。また、状況に応じた制御とは、例えば、眼圧測定部20から眼特性測定部40へと切り替えのための移動を行う場合には、装置本体部13を前後方向の後方(Z軸方向負側)へと後退(移動)させた後に装置本体部13を上方へと移動させることがあげられる。これにより、眼科装置10では、例えば、眼圧測定部20から眼特性測定部40へと切り替え動作を行っていて、高さ位置検出部48が上記した信号を出力した状態で、電源スイッチが切られた場合であっても、再び電源スイッチが投入された際に、気流吹付ノズル21bが額当部16に干渉することを確実に防止しつつ装置本体部13の移動を行うことができる。なお、高さ位置検出部48は、図6(a)に示す例では、装置本体部13に設けていたが、実際に装置本体部13の高さ方向すなわちY軸方向での位置を制御する駆動部12のY軸駆動部分12aに設けるものであってもよく、他の場所に設けるものであってもよく、本実施例に限定されるものではない。
さらに、眼科装置10では、図6(b)に示すように、所定の前方位置FLに到達したことを検出する前方位置検出部49を装置本体部13に設けている。その前方位置FLは、眼特性測定モードである場合に、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bが額当部16と干渉することを防止する観点から設定している。この前方位置FLは、本実施例では、気流吹付ノズル21bの先端と額当部16との間隔を1mmとする位置とされている。なお、前方位置FLは、気流吹付ノズル21bと額当部16との間隔を適宜設定したものとすればよく、この実施例に限定されるものではない。前方位置検出部49は、装置本体部13が前方位置FLに到達すると、その旨を示す信号を制御部33(図2参照)へと出力する。その制御部33では、眼特性測定モードである場合に前方位置検出部49からの当該信号を取得すると、装置本体部13を前方(Z軸方向正側(被検者側))へと移動させることを止める。
そして、制御部33では、眼特性測定モードである場合に前方位置検出部49からの上記した信号を取得すると、装置本体部13の前方への移動を止めるとともに、装置本体部13を前方へと移動させた状況に応じた制御を実行する。その状況に応じた制御とは、例えば、表示部14で為された操作に基づいて装置本体部13を前方へと移動させている場合には、表示部14にこれ以上の前方への移動が出来ない旨を表示することがあげられる。また、制御部33は、眼科装置10の電源スイッチが投入されると、装置本体部13の移動を実行する前に、前方位置検出部49から上記した信号が出力されているか否かを判断する。そして、制御部33は、前方位置検出部49から上記した信号が出力されていない場合、適宜装置本体部13の移動を実行する。また、制御部33は、前方位置検出部49から上記した信号が出力されている場合、装置本体部13の前方への移動は行わず、状況に応じた制御を実行する。その状況に応じた制御とは、例えば、表示部14で装置本体部13を前方へと移動させる操作が為された場合、表示部14にこれ以上の前方への移動が出来ない旨を表示することがあげられる。なお、前方位置検出部49は、図6(b)に示す例では、装置本体部13に設けていたが、実際に装置本体部13の前後方向すなわちZ軸方向での位置を制御する駆動部12のZ軸駆動部分12bに設けるものであってもよく、他の場所に設けるものであってもよく、本実施例に限定されるものではない。
この眼科装置10では、一般的に、眼特性測定部40により被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定した後に、眼圧測定部20により被検眼Eの眼圧を測定する。眼科装置10では、上述したように、表示部14に為された操作に基づいて、制御部33(図2参照)が各部の動作を制御する。
眼科装置10では、電源スイッチが投入されると、表示部14に、眼圧測定モードとする眼圧切替アイコンと、眼特性測定モードとする眼特性切替アイコンと、を表示する。なお、この表示部14では、眼圧測定モードと眼特性測定モードとの選択および切り替えを可能とするものであれば、眼圧切替アイコンと眼特性測定モードとを表示することに替えて単一の切替アイコンを表示されるものであってもよく、他の形式としたアイコンを表示させるものであってもよく、本実施例の構成に限定されるものではない。そして、先に眼特性測定部40により被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定すべく、表示部14の眼特性切替アイコンに触れられた(選択された)ものとする。
すると、眼科装置10では、駆動部12のY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動して、眼特性測定モードとする(図5(b)参照)。すなわち、眼科装置10では、図5(b)に示すように、眼特性測定部40の主光軸O10の延長線上に被検眼Eを位置させるとともに、眼特性測定部40の固視標投影光学系41の対物レンズ41hを被検眼Eから第1設定作動距離d1に位置するものとして、眼特性測定部40を被検眼Eに対応させる。そして、眼科装置10では、眼特性測定部40の上述した動作により、被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定する。その後、被検眼Eの眼圧を測定すべく、表示部14の眼圧切替アイコンに触れられた(選択された)ものとする。
すると、眼科装置10では、駆動部12のY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとを適宜駆動して、眼圧測定モードとする(図5(a)参照)。ここで、眼科装置10では、先ず装置本体部13をY軸方向負側へと移動して、眼圧測定部20を被検眼Eに対応する高さ位置とする。このとき、眼科装置10では、合焦駆動機構21Dを介して、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を第2焦点位置f2(図3参照)とする。これにより、眼科装置10では、被検眼E(その前眼部(角膜Ec))の画像を適切に表示部14に表示させることができる。その後、眼科装置10では、装置本体部13をZ軸方向正側へと移動して、眼圧測定部20を被検眼Eに近付けていき、図5(a)に示すように、その気流吹付ノズル21bの先端を被検眼Eから第2設定作動距離d2に位置するものとして、眼圧測定部20を被検眼Eに対応させる。このとき、眼科装置10では、合焦駆動機構21Dを介して、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を第1焦点位置f1(図3参照)へと移動する。これにより、眼科装置10では、被検眼E(その前眼部(角膜Ec))の画像を適切に表示部14に表示させることができる。そして、眼科装置10では、眼圧測定部20の上述した動作により、被検眼Eの眼圧を測定する。
これにより、眼科装置10では、眼特性測定部40により被検眼Eの角膜Ecの形状と被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)とを測定し、眼圧測定部20により被検眼Eの眼圧を測定することができる。
次に、本発明に係る本実施例の眼科装置10の特徴的な構成について、図7から図15を用いて説明する。なお、図9および図12では、XYアライメント指標光Ra(Ra´)が被検眼Eに至る様子を解り易く示したものであって、必ずしも実際の装置において照射した状態と合致するものではない。また、図10では、被検眼Eにおいて、瞳孔Epの中心位置Pcと角膜頂点Eaとがずれた様子を示しているが、理解を容易なものとするためにずれ量を強調して示したものであって、必ずしも実際の装置における移動に対するボケ具合の変化と合致するものではない。さらに、図13では、装置本体部13(眼圧測定部20)のZ軸方向の移動に対して、画像(そのデータ)における被検眼Eの前眼部像のボケ具合が変化する様子を(a)から(d)で示しているが、理解を容易なものとするためにボケ具合を強調して示したものであって、必ずしも実際の装置における移動に対するボケ具合の変化と合致するものではない。
眼科装置10では、眼特性測定部の一例としての眼圧測定部20において、被検眼Eに対して自動でアライメントを行う際に、制限位置設定方法(制限位置設定制御(図15参照))を行うことを特徴の1つとする。この制限位置設定方法(制限位置設定制御)は、眼圧測定部20の光軸O1に沿う方向(Z軸方向)での制限位置Arを設定するものである。また、眼科装置10では、眼特性測定部の一例としての眼圧測定部20において、被検眼Eに対して自動でアライメントを行う際に、輝点探索方法(輝点探索制御(図14のステップS16からステップS21参照))を行うことを特徴の1つとする。この輝点探索方法(輝点探索制御)は、輝点像Saを検出できなかった際に、その輝点像Saを検出するために行うものである。
眼科装置10では、眼圧測定部20(図2、図3参照)を用いて眼圧を測定する際、前眼部観察光学系21によりCCDカメラ21i(その受光面)上に前眼部(角膜Ec)の像を形成することで、前眼部の画像を取得(受光)することができる。そのCCDカメラ21i(眼圧測定部20)は、CCDカメラ21iが形成された前眼部像の取得(受光)に基づく信号を制御部33(図2参照)へと出力する。このため、眼圧測定部20(制御部33)では、前眼部像の画像(そのデータ)を取得することができる。そして、眼科装置10では、図7に示すように、この前眼部観察光学系21(CCDカメラ21i)で取得した画像を、制御部33(図2参照)の制御下で表示部14に表示させることができる。
また、眼科装置10では、制御部33が、入力された画像(そのデータ)において、被検眼E(角膜Ec)における瞳孔Ep(その位置)を検出することが可能とされている。この瞳孔Epの検出は、前眼部の画像(そのデータ)において、暗部の重心位置を求めることにより行うことができる。また、瞳孔Epの検出は、前眼部の画像(そのデータ)において、瞳孔Epとして認識すべき形状を予め記憶させておき、当該画像におけるコントラストに基づいてその認識すべき形状を検出することにより行うことができる。これにより、制御部33は、前眼部の画像において、瞳孔Epやその中心位置Pcを検出することができる。
そして、眼科装置10では、制御部33が、入力された画像(そのデータ)において、被検眼Eの特徴量を求めることが可能とされている。その特徴量とは、画像(そのデータ)における被検眼E(その像)がどのくらいはっきりと写っているか、すなわち画像(そのデータ)が被検眼E(その像)にどのくらいピントが合っているのかを検出するための数値である。この特徴量としては、コントラストや、シャープさや、ボケ具合等を示す数値を用いることができ、本実施例ではエッジ強度を用いるものとしている。このため、制御部33は、画像(そのデータ)における被検眼E(その像)のエッジ強度を求めることが可能とされている。そのエッジ強度とは、画像(そのデータ)における輪郭線等の濃淡の度合を示すものであり、例えば、ピントが合っている画像であるほど輪郭線等のエッジ強度が大きくなる。制御部33は、この機能を用いて、入力された画像(そのデータ)において、検出した瞳孔Ep(その輪郭線)のエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を記憶する。この記憶は、制御部33の内蔵する記憶部もしくは当該制御部33の外部に設けられた記憶部に格納することにより行う。なお、制御部33は、瞳孔Epと同様に、虹彩Eiを検出するとともに、その虹彩Ei(その輪郭線)のエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を記憶するものとしてもよい。そして、その瞳孔Epのエッジ強度により判断するか、虹彩Eiのエッジ強度により判断するか、を選択可能な構成としてもよい。これは、以下のことによる。瞳孔Epは、大きさに個人差があることに加えて、例えば明るい環境下では縮瞳する等のように環境の明るさに応じて大きさが変わる。そして、画像(そのデータ)において、瞳孔Epが気流吹付ノズル21b(その影)よりも小さいくなると、その瞳孔Epの輪郭線を観察することが困難となる。その気流吹付ノズル21bの画像は、前眼部観察光学系21が、気流吹付ノズル21bの外を通り、前眼部窓ガラス21c(後述するガラス板34bも含む)、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21gおよびハーフミラー21eを透過し、対物レンズ21fにより集束されて、CCDカメラ21i(その受光面)上に形成することで、被検眼Eの前眼部像(その光束)を取得するものとされていることにより生じる。このように瞳孔Epの輪郭線を観察することが困難な場合には、虹彩Eiのエッジ強度により判断するものとすればよい。このことから、検者が選択可能な構成とする場合には、例えば表示部14に文章や記号を表示させる等により、虹彩Eiのエッジ強度を用いることを促す報知を行うものとする。また、選択を自動により行うものとする場合には、例えば、画像(そのデータ)において、瞳孔Epとして認識した暗部が、常に等しい大きさとなる気流吹付ノズル21b(その影)と略等しい大きさである場合に、虹彩Eiのエッジ強度を用いることに切り替えるものとする。なお、本実施例では、被検眼Eの特徴量として瞳孔Ep(虹彩Ei)のエッジ強度を用いるものとしているが、上述したように入力された画像(そのデータ)において被検眼E(その像)がどのくらいはっきりと写っているか、すなわち画像(そのデータ)が被検眼E(その像)にどのくらいピントが合っているのかを検出することを可能とすべく当該画像(そのデータ)から求めることのできる被検眼Eの特徴量であればよく、本実施例の構成に限定されるものではない。
加えて、眼科装置10では、制御部33が、XYZの各方向での位置を記憶することが可能とされている。このXYZの各方向での位置は、本実施例では、駆動部12のY軸駆動部分12aとZ軸駆動部分12bとX軸駆動部分12cとにおける駆動源としてのパルスモータのパルス数を用いて制御されている。このため、制御部33は、XYZの各方向でのそれぞれの基準位置からのパルス数をカウントし、そのカウント数を記憶することで、XYZの各方向での位置を記憶する。この記憶は、制御部33の内蔵する記憶部もしくは当該制御部33の外部に設けられた記憶部に格納することにより行う。なお、このXYZの各方向での位置の記憶は、装置本体部13の位置の変化に基づいて行うものであればよく、駆動部12の構成等に応じて適宜行うことができ、本実施例の構成に限定されるものではない。
次に、眼圧測定部20を用いて被検眼Eの眼圧を測定するために、被検眼Eに対する眼圧測定部20(装置本体部13)の自動アライメント処理について、図8を用いて説明する。その図8は、本実施例における制御部33にて実行される眼圧測定部20の自動アライメント処理を示すフローチャートである。この自動アライメント処理は、制御部33の内蔵する記憶部もしくは当該制御部33の外部に設けられた記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、制御部33が実行する。以下では、この図8のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図8のフローチャートは、眼圧測定部20により被検眼Eの測定を開始する操作が為されることにより開始される。
ステップS1では、装置本体部13(眼圧測定部20)を後退させて、ステップS2へ進む。このステップS1では、装置本体部13すなわち眼圧測定部20を後退させる、すなわちZ軸方向負側へと移動させる。これは、被検眼Eに極めて近付けられる気流吹付ノズル21b(その先端)が、以降のアライメント動作の際に誤って被検者(その被検眼Eや鼻等)と接触することを防止するためである。なお、この装置本体部13(眼圧測定部20)の後退は、既に十分な位置まで後退している場合には行うことなくステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1での装置本体部13(眼圧測定部20)を後退させることに続き、概略アライメントを行いつつ装置本体部13を前進させて、ステップS3へ進む。このステップS2では、ステップS1において装置本体部13(眼圧測定部20)が後退されていることから、その装置本体部13を前進させつつ、概略アライメントを行う。その概略アライメントでは、前眼部観察光学系21を用いた画像(そのデータ)の取得を行いつつ、X−Y平面と平行な方向に装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる(図7等参照)。そのとき、取得した画像(そのデータ)において瞳孔Ep(その位置)の検出を行う。そして、取得した画像(そのデータ)において瞳孔Epを検出すると、装置本体部13(眼圧測定部20)をXY方向に適宜移動させて、検出した瞳孔Epの中心位置Pcに眼圧測定部20の光軸O1を一致させる。すなわち、制御部33は、画像(そのデータ)を用いて瞳孔Epを検出し、その検出した瞳孔Epを目標位置として装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させることにより、自動での概略アライメントを行う。この概略アライメントにより、眼圧測定部20の光軸O1が、瞳孔Epの中心位置Pcに一致した状態となる。そして、ステップS2では、検出した瞳孔Epを目標位置として装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる際、装置本体部13を前進させる。なお、このステップS2において、先ず画像(そのデータ)を用いて瞳孔Epの中心位置Pcを目標位置するのは、ステップS1において装置本体部13(眼圧測定部20)が後退されていることから、後述するXYアライメント指標光Raによる輝点像Saが大きくピントがずれていることにより十分な明るさとなっておらず検出することができないことによる。また、この状態では、後述するように、光軸方向検出機構の検出可能な範囲に入っていないことから、光軸方向検出機構からの検出信号に基づいてZ軸方向(光軸方向)の装置本体部13(眼圧測定部20)の位置の制御を行うこともできない。
ステップS3では、ステップS2での概略アライメントを行いつつ装置本体部13を前進させることに続き、光軸方向検出機構から検出信号が出力されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS3を繰り返す。このステップS3では、ステップS2での装置本体部13の前進を継続しつつ、光軸方向検出機構(Zアライメント指標投影光学系25、Zアライメント検出光学系26、Zアライメント検出補正部32(図2参照))から検出信号が出力されたか否かを判断する。その光軸方向検出機構では、Zアライメント指標投影光学系25のZアライメント用光源25aを点灯することで、Z軸方向のアライメント用の平行光束をZアライメント指標投影光学系25の光軸上に投影する。そして、そのZアライメント指標投影光学系25の光軸上に被検眼Eの角膜Ecが存在すると、Z軸方向のアライメント用の平行光束が角膜Ecに投影され、その角膜Ecで反射された反射光束がZアライメント検出光学系26のセンサ26cで受光される。このため、光軸方向検出機構では、当該光軸上に被検眼Eの角膜Ecが存在しない場合には検出信号を出力することができず、当該光軸上に被検眼Eの角膜Ecが存在すると検出信号を出力することができ検出可能な範囲に被検眼E(角膜Ec)が位置していることとなる。そして、光軸方向検出機構では、そのセンサ26cの受光信号等に基づくZアライメント検出補正部32が演算することにより、眼圧測定部20と角膜EcのZ軸方向の位置関係を演算する。このことから、ステップS2およびステップS3では、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されること、すなわち光軸方向検出機構の検出可能な範囲に被検眼E(角膜Ec)が入ることを待ちながら、装置本体部13を前進させることとなる。
ステップS4では、ステップS3での光軸方向検出機構から検出信号が出力されたとの判断に続き、XYZ方向でのアライメントを行って、自動アライメント処理を終了する。このステップS4では、ステップS3での光軸方向検出機構から検出信号が出力されたことから、その光軸方向検出機構からの検出信号に基づいて装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を制御する。そして、駆動部12を適宜駆動して、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bの先端を被検眼Eから第2設定作動距離d2となる位置とすることにより、Z軸方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)することができる。これにより、光軸方向検出機構からの検出信号に基づいて、光軸方向(Z軸方向)での位置を適切なものとすべく被検眼Eに対して眼特性測定部の一例としての眼圧測定部20(装置本体部13)を自動で移動させるZ軸方向での自動アライメントが完了する。
また、このステップS4の状況では、ステップS2において行った概略アライメントにより、眼圧測定部20の光軸O1が、瞳孔Epの中心位置Pcに一致した状態となっていることから、基本的にはXYアライメント指標光Raで形成した輝点像Sa(図9参照)を検出することができる。このため、その輝点像Saを用いて正確な位置合わせを行う。詳細には、XYアライメント指標投影光学系22のXYアライメント用光源22aから出射させて気流吹付ノズル21b(図3等参照)の内部を通過したXYアライメント指標光を、図9に示すように、被検眼Eに照射する。図9に示す例では、そのXYアライメント指標光に符号Raを付して示しており、以下ではXYアライメント指標光Raともいう。被検眼Eでは、このようにXYアライメント指標光Raが照射されると、角膜Ecを経ることで当該XYアライメント指標光Raにより虚像としての輝点像Saが形成される。その輝点像Saは、角膜Ecの角膜頂点Eaと当該角膜Ecの曲率中心との中間位置に形成される。このため、輝点像Saは、角膜Ecの曲率半径をrとすると、角膜頂点Eaと角膜Ecの曲率中心とを通る軸線上において、角膜頂点Eaからr/2の位置(曲率半径rが8mmとすると角膜頂点Eaから4mmの位置)に形成される。そして、前眼部観察光学系21において、輝点像Saが形成された被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ21i上に結像させ、その受光に基づく信号が制御部33(図2参照)に出力される。このため、眼圧測定部20(制御部33)では、輝点像Saが形成された被検眼Eの前眼部像(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得することができ、その画像を表示部14に表示させることができる(図7等参照)。そして、制御部33は、この前眼部像(角膜Ec)の画像(そのデータ)において輝点像(Sa)を検出すべく設定された検出閾値を超えた輝度分布を輝点像Saとして検出し、その輝点像Saとして検出した箇所の重心位置を求めることにより、当該輝点像Saの位置を求める。この輝点像Saは、上述したように角膜頂点Eaと角膜Ecの曲率中心とを通る軸線上に形成されるものであることから、当該輝点像SaのX−Y平面上での位置を求めることにより、前眼部の角膜EcのX−Y平面上における角膜頂点Eaを検出することができる。このため、装置本体部13(眼圧測定部20)をXY方向に適宜移動させて、角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に眼圧測定部20の光軸O1を一致させることにより、XY方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)することができる。これにより、輝点像取得光学系で取得した被検眼Eの画像における輝点像Saの位置を目標として、眼特性測定部の一例としての眼圧測定部20(装置本体部13)を自動で移動させるXY方向での自動アライメントが完了する。
このように、ステップS4では、光軸方向検出機構からの検出信号に基づき眼圧測定部20の被検眼Eに対する光軸方向(Z軸方向)での位置を適切なものとするZ軸方向での自動アライメントと、角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に眼圧測定部20の光軸O1を一致させるXY方向での自動アライメントと、により、被検眼Eに対して眼圧測定部20(装置本体部13)を適切に測定することのできる位置へと自動で移動させる。これにより、図8のフローチャートに示す自動アライメント処理が終了する。なお、図8のフローチャートに示す自動アライメント処理では、ステップS3またはステップS4において、適切に動作ができなかった場合には、アライメントエラーの報知を行って、検者の手動によるアライメントを促す。
ここで、上記した自動アライメント処理におけるXY方向でのアライメント(ステップS4)では、ステップS2での概略アライメントの後にXYアライメント指標光Raで形成した輝点像Sa(図7、図9参照)を用いて正確な位置合わせを行っている。このとき、概略アライメントを行って眼圧測定部20の光軸O1を瞳孔Epの中心位置Pcに一致させたにも拘わらず、前眼部観察光学系21で輝点像Saを検出することができない場合がある。これは、以下のことによる。被検眼Eでは、X−Y平面上で見て瞳孔Epの中心位置Pcと角膜頂点Eaとの位置が必ずしも一致しているものではなく、図10に示すように、人によっては大きくずれている場合がある。そして、角膜頂点Eaが中心位置Pcから大きくずれていると、その中心位置Pcに光軸O1を一致させた眼圧測定部20のXYアライメント指標投影光学系22からのXYアライメント指標光Raでは、輝点像Saが出現しなくなってしまう場合がある。これは、XYアライメント指標投影光学系22からのXYアライメント指標光Raは、気流吹付ノズル21b(図3等参照)の内部を通過して被検眼Eに照射されるものであることから、角膜Ecの大きさに比べて照射範囲が狭いものであることによる(図9参照)。また、中心位置Pcと角膜頂点Eaとがずれる要因としては、睫毛や瞼等が掛かっていることにより、瞳孔Epの中心位置Pcを検出する際に誤差が生じてしまうこともあげられる。
これに対応すべく、本実施例の眼科装置10では、輝点探索方法(輝点探索制御(図14のステップS16からステップS21参照))を行うことが可能とされている。その輝点探索方法は、上述したように輝点像Saを検出できない場合に行うものであって、検出した瞳孔Epの中心位置Pcの周辺において輝点像Saを検出することができる位置を探索するものである。本実施例では、その探索の方法として、以下の2つの方法を行う。
その1つ目は、図11に示すように、中心位置Pcを基準として移動する態様としての移動パターン51を予め決めておき、その決められた移動パターン51に沿って移動させるものである。すなわち、眼圧測定部20の光軸O1が、中心位置Pcを起点として移動パターン51上を辿るように、装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる。この移動パターン51は、XYアライメント指標光Raの照射範囲を考慮しつつ一般的な大きさの角膜Ecを網羅できるように設定する。その一例としての移動パターン51を、図11の(a)から(c)に示す。図11(a)に示す移動パターン51aは、中心位置Pcを中心として渦巻状に外側へと広がっていくものとしている。図11(b)に示す移動パターン51bは、中心位置Pcから一度角膜Ecの外方に出た後に、渦巻状に中心位置Pcへと向かっていくものとしている。図11(c)に示す移動パターン51cは、中心位置Pcから一度角膜Ecの外方に出た後に、X軸方向に角膜Ecを走査し、その走査位置をY軸方向にずらしていくものとしている。なお、この移動パターン51は、適宜設定すればよく、本実施例に限定されるものではない。この1つ目の方法では、移動パターン51に沿う移動の際に、前眼部観察光学系21で輝点像Saを検出することが可能となる位置を探索することとなる。
2つ目は、図10に示すように、中心位置Pcから角膜頂点ズレ関係52を用いて移動させるものである。その角膜頂点ズレ関係52は、眼特性測定部40を用いて測定すべく被検眼Eに対して眼特性測定部40のXYアライメントを行う際に、瞳孔Epの中心位置Pcと角膜頂点Eaとの位置関係を検出することにより求めるものである。具体的には、角膜頂点ズレ関係52は、次のように求める。眼特性測定部40(制御部33)では、上述したように、観察光学系42により撮像素子42d(その受光面)上に前眼部(角膜Ec)の像を形成することができ、表示部14に当該前眼部の画像を表示させることができる。このため、制御部33は、その被検眼Eの前眼部像の画像(そのデータ)に基づいて、上記したものと同様に、瞳孔Epやその中心位置Pcを検出することができる。また、眼特性測定部40では、図12に示すように、アライメント光投影系45(図4参照)がアライメント指標光Ra´を被検眼Eの角膜Ecに向けて投影すると、XYアライメント指標光Raにより形成される輝点像Sa(図9参照)と同様に、輝点像Sa´を形成させる。このため、制御部33は、輝点像Sa´のX−Y平面上での位置を求めることにより、前眼部の角膜EcのX−Y平面上における角膜頂点Eaを検出することができる。このことから、制御部33は、眼圧測定部20におけるXYアライメント(図8のフローチャートのステップS4参照)と同様に、XYアライメントを行うことができる。この際、制御部33は、概略アライメントにより眼特性測定部40の主光軸O10(図4参照)を瞳孔Epの中心位置Pcに一致させた状態の装置本体部13のX−Y平面上での位置と、眼特性測定部40の主光軸O10を輝点像Sa´の中心位置に一致させた状態の装置本体部13のX−Y平面上での位置と、を記憶する。そして、制御部33では、双方のXYZの各方向での位置関係(大きさおよび方向)を求めることで、被検眼Eにおける瞳孔Epの中心位置Pcと角膜頂点Eaの角膜頂点ズレ関係52を求めることができる。制御部33では、その求めた角膜頂点ズレ関係52を記憶する。
ここで、眼特性測定部40では、眼圧測定部20とは異なり気流吹付ノズル21b等による制限が生じないことから、アライメント光投影系45(図4参照)からのアライメント指標光Ra´が、XYアライメント指標光Ra(図9参照)とは異なり、角膜Ecの大きさに比べて十分な照射範囲とされている。このため、眼特性測定部40では、概略アライメントにより瞳孔Epの中心位置Pcに主光軸O10が一致されているので、観察光学系42で輝点像Sa´を検出することができなくなることはない。よって、角膜頂点ズレ関係52を確実に求めることができる。その角膜頂点ズレ関係52は、中心位置Pcからの大きさ(位置ずれ量)とその方向とを有するものであることから、中心位置Pcから角膜頂点ズレ関係52を用いて眼圧測定部20(装置本体部13)移動させることで、被検眼Eの角膜頂点Eaに眼圧測定部20の光軸O1を一致させることができる。このため、2つ目の方法では、角膜頂点Eaへと移動させることで、前眼部観察光学系21で輝点像Saを検出することが可能となる位置を探索することとなる。なお、この2つ目の方法は、第2設定作動距離d2とされた眼圧測定部20(第2測定部)の他に第1設定作動距離d1とされた眼特性測定部40(第1測定部)が設けられた複合型の眼科装置を前提とするものである。このため、単一の眼特性測定部(第1測定部または第2測定部)のみを有する眼科装置である場合には、輝点探索方法(輝点探索制御)として1つ目の方法のみを実行するものとすればよい。なお、極めて小さい第2設定作動距離d2とされた第2測定部に対して輝点探索方法(輝点探索制御)を行うものとすれば効果的であり、さらに眼圧測定部20のように気流吹付ノズル21b等による制限が生じ得る眼特性測定部によりアライメント指標光束(Ra)の照射範囲が角膜Ecに対して狭い眼特性測定部に対して輝点探索方法(輝点探索制御)を行うものとすればより効果的である。
ここで、上記した自動アライメント処理では、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されるまでは、装置本体部13(眼圧測定部20)を前進させ(ステップS2およびステップS3)、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されると、光軸方向検出機構からの検出信号に基づいて装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を制御する。ここで、光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じて、Z軸方向(光軸方向)での被検眼Eに対する眼特性測定部の位置を判断することができなくなってしまったものとする。その一例として、例えば、睫毛や瞼等が被検眼Eに掛かっていることに起因して光線がケラれる等により、Zアライメント指標投影光学系25の光軸上に被検眼Eの角膜Ecが存在しているにも拘わらず、角膜Ecで反射された反射光束をZアライメント検出光学系26のセンサ26cで受光できなくなってしまうことがあげられる。すると、制御部33は、光軸方向検出機構からの検出信号が得られないことから、その光軸方向検出機構の検出可能な範囲に被検眼E(角膜Ec)が位置していない(Zアライメント指標投影光学系25の光軸上に被検眼Eの角膜Ecが存在していない)ものと判断してしまう。その場合、制御部33は、装置本体部13(眼圧測定部20)の前進を継続させてしまう虞があり、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bを被検眼Eに接触させてしまう虞がある。ここで、眼科装置10では、装置本体部13(眼圧測定部20)の前進の限界位置を、機械的もしくは制御部33における移動のためのプログラムにおいて設定可能とされていることから、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bを被検眼Eに接触させてしまう虞はない。ところが、当該設定を行うことを失念してしまったり、面倒であることから当該設定が為されなかったりした場合には、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21bを被検眼Eに接触させてしまう虞がある。
これに対応すべく、本実施例の眼科装置10では、制限位置設定方法(制限位置設定制御(図15参照))を行うことが可能とされている。その制限位置設定方法は、自動アライメント処理において装置本体部13を前進させつつ光軸方向検出機構から検出信号を待っているとき(図8のフローチャートのステップS3)に行うものであって、装置本体部13(眼圧測定部20)の光軸O1に沿う方向(Z軸方向)での移動を制限する制限位置Arを設定するものである。その制限位置Arは、装置本体部13(眼圧測定部20)における移動可能な範囲の、Z軸方向正側(光軸方向において被検眼Eへと接近する側)の限界位置を規定するものである。換言すると、装置本体部13(眼圧測定部20)が、制限位置ArよりもZ軸方向正側へと移動させることを禁止する。なお、この制限位置設定方法(制限位置設定制御(図15参照))は、自動アライメント処理(図8のフローチャート)における装置本体部13の前進からXYZ方向でのアライメント(図8のフローチャートのステップS2からステップS4)と平行して行うものであって、設定した制限位置ArよりもZ軸方向正側へと移動することを禁止することを除くと、XYZ方向でのアライメントに影響を及ぼすものではない。本実施例では、以下のように制限位置Arを設定する。
眼科装置10の眼圧測定部20(制御部33)では、光軸O1上に被検眼Eが存在する場合、上述したように、その被検眼Eの前眼部像の画像(そのデータ)を取得することができる。そして、自動アライメント処理における装置本体部13を前進させる場面(ステップS2からステップS3)では、概略アライメント(ステップS2)が行われた状態であることから、光軸O1上に被検眼Eが存在する。このとき、制御部33は、眼圧測定部20において、合焦駆動機構21Dを介して、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を第1焦点位置f1(図3参照)へと移動する。これにより、取得した前眼部像の画像(そのデータ)では、ピントが大きくずれた状態で被検眼E(その前眼部)が存在(表示)される(図13(a)参照)。なお、図13では、理解を容易なものとするために、前眼部像の画像のデータに基づいて表示部14に表示された被検眼Eの前眼部像の画像を示している。
制御部33は、前眼部観察光学系21を用いた画像(そのデータ)の取得を行いつつ、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)に装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる。この移動は、上述した自動アライメント処理における装置本体部13の前進(図8のフローチャートのステップS2およびステップS3)によるものである。その制御部33は、取得した画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を記憶する。制御部33は、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動に伴って瞳孔Epのエッジ強度が大きくなっている場合(図13の(a)から(c)参照)には、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動を継続する。そして、制御部33は、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動に伴って瞳孔Epのエッジ強度の変化が減少傾向となると(図13の(c)から(d)参照)、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動を停止して、その停止した装置本体部13のZ軸方向での位置を制限位置Arとして設定する。すなわち、制御部33は、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動に伴って、瞳孔Epのエッジ強度の変化の態様が増加である場合には移動を継続し、瞳孔Epのエッジ強度の変化が減少傾向となると、移動を停止するとともにその停止した位置を制限位置Arとして設定する。これは、以下のことによる。
第1焦点位置f1(図3参照)は、眼圧測定部20を、被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置、すなわち被検眼Eの前眼部(角膜Ec)から第2設定作動距離d2(図5(a)参照)とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントが合う位置とされている。このため、第1焦点位置f1とされたCCDカメラ21iでは、装置本体部13が、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21b(その先端)と被検眼Eの前眼部(角膜Ec)との間を第2設定作動距離d2とする位置に至ると、その前眼部(角膜Ec)にピントがあうこととなる。そして、前眼部(角膜Ec)にピントがあっている場合には、瞳孔Epのエッジ強度が最も大きくなることから、Z軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動に伴って瞳孔Epのエッジ強度の変化が減少傾向となったということは、ピントがあっている位置を超えたことを意味する。このため、装置本体部13は、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21b(その先端)と被検眼Eの前眼部(角膜Ec)との間を第2設定作動距離d2とする位置に至り、そこを超えていることとなるので、それ以上はZ軸方向正側へと移動させる必要はなくなっている。よって、その停止した装置本体部13のZ軸方向での位置を制限位置Arとして設定することにより、Z軸方向でのアライメントを阻害することなく、気流吹付ノズル21b(その先端)が被検眼Eに接触することを防止することができる。なお、ここで減少傾向となったと言うのは、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動に伴って瞳孔Epのエッジ強度が小さくなったすぐの時点、すなわち変化の態様が増加から減少に転じた時点のみを意味するものではない。これは、変化の態様が増加から減少に転じる瞬間が第2設定作動距離d2とする位置であることから、その第2設定作動距離d2を超えた場合であっても気流吹付ノズル21b(その先端)が被検眼Eに接触することを確実に防止することができる安全間隔となるまでには余裕があることによる。この第2設定作動距離d2を超える量は、装置本体部13(眼圧測定部20)のZ軸方向正側への移動速度と、瞳孔Epのエッジ強度を判断するタイミングと、を適宜調節することにより設定することができる。
本実施例では、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動に伴う前後2か所で取得した画像(そのデータ)を比較して、瞳孔Epのエッジ強度の傾向を確認する。そして、その比較の結果、エッジ強度が小さくなった回数をカウントし、その回数(カウント数)が予め設定した検出回数閾値となると、瞳孔Epのエッジ強度の変化が減少傾向であると判断する。その検出回数閾値は、装置本体部13(眼圧測定部20)のZ軸方向正側への移動速度と、瞳孔Epのエッジ強度を判断するタイミングと、を勘案して設定することにより、第2設定作動距離d2を超える量を所定のものとすることができる。本実施例では、この検出回数閾値を、例えば、表示部14に表示させたアイコンにより、上記した安全間隔とする回数を最大値として適宜設定可能なものとしている。
なお、上述したように被検眼Eの特徴量を用いる場合、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動に伴う特徴量の変化が、エッジ強度と同様にピントが合っている画像で最も大きくなるものと、エッジ強度とは逆にピントが合っている画像で最も小さくなるものと、が考えられる。このため、用いる特徴量が、エッジ強度と同様の変化の態様である場合には、エッジ強度と同様に検出回数閾値を用いて減少傾向(変化の傾向が変わったこと)となったことを判断し、減少傾向となると、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動を停止して制限位置Arを設定するものとすればよい。また、用いる特徴量が、エッジ強度と逆の変化の態様である場合には、エッジ強度とは異なり検出回数閾値を用いて増加傾向(変化の傾向が変わったこと)となったことを判断し、増加傾向となると、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動を停止して制限位置Arを設定するものとすればよい。
このため、より適切に制限位置Arを設定することができる。このことから、制御部33は、眼圧測定部20と協働して、制限位置Arを設定する制限位置設定方法(制限位置設定制御)を行う制限位置設定部として機能する。なお、上述したように、瞳孔Epのエッジ強度を用いて判断することに変えて、虹彩Eiのエッジ強度を用いて判断することとしてもよい。
次に、制御部33において、一実施例としての輝点探索方法を実行する輝点探索制御処理を含むXY方向でのXYアライメント制御処理について、図14を用いて説明する。このXYアライメント制御処理は、眼圧測定部20におけるXY方向でのアライメントを行うために実行されるものである。その図14は、本実施例における制御部33にて実行されるXYアライメント制御処理(輝点探索制御処理)を示すフローチャートである。このXYアライメント制御処理(輝点探索制御処理)は、制御部33の内蔵する記憶部もしくは当該制御部33の外部に設けられた記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、制御部33が実行する。以下では、このXYアライメント制御処理(輝点探索制御処理)としての図14のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。このフローチャート(アライメント制御処理(輝点探索制御処理))は、図8のフローチャートのステップS2での概略アライメントからステップS4でのXY方向でのアライメントを行うまでの間における、XY方向でのアライメントに関するものである。
ステップS11では、被検眼Eの画像を取得しつつ装置本体部13を移動させて、ステップS12へ進む。このステップS11では、前眼部観察光学系21を用いて被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得しつつ、X−Y平面と平行な方向に装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる。また、ステップS11では、取得した画像(そのデータ)において瞳孔Ep(その位置)の検出を行う。
ステップS12では、ステップS11での被検眼Eの画像を取得しつつ装置本体部13を移動させることに続き、瞳孔Epを検出したか否かを判断し、Yesの場合はステップS13へ進み、Noの場合はステップS11へ戻る。
ステップS13では、ステップS12での瞳孔Epを検出したとの判断に続き、検出した瞳孔Epを目標位置として装置本体部13を移動させて、ステップS14へ進む。このステップS13では、検出した瞳孔Epの中心位置Pcに眼圧測定部20の光軸O1を一致させるように、装置本体部13(眼圧測定部20)をXY方向に適宜移動させる。これにより、眼圧測定部20の光軸O1が、瞳孔Epの中心位置Pcに一致した状態となる。すなわち、この図14のフローチャートのステップS11からステップS13は、自動での概略アライメントを実行していることとなる。このステップS13までは、基本的に上述した図8のフローチャートのステップS2における概略アライメントの様子を示すものであって、同じく図8のフローチャートのステップS3において光軸方向検出機構から検出信号が出力される位置まで装置本体部13が前進した状態となって、ステップS14へ進んで以下の判断を行うこととなる。
ステップS14では、ステップS13での検出した瞳孔Epを目標位置とした装置本体部13の移動に続き、輝点像Saを検出したか否かを判断して、Yesの場合はステップS15へ進み、Noの場合はステップS16へ進む。このステップS14では、XYアライメント指標投影光学系22でXYアライメント指標光Raを被検眼Eに照射するとともに、前眼部観察光学系21を用いて被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得し、その画像(そのデータ)において輝点像Saを検出する。そして、輝点像Saを検出することができた場合、その輝点像Saを用いてXY方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)すべくステップS15へ進む。また、輝点像Saを検出することができない場合、輝点探索制御処理(輝点探索制御)を実行すべくステップS16へ進む。なお、このXYアライメント指標投影光学系22でXYアライメント指標光Raを被検眼Eに照射することは、このXYアライメント制御処理が終了するまで継続する。また、XYアライメント指標投影光学系22でXYアライメント指標光Raを被検眼Eに照射することは、ステップS11からステップS13の自動での概略アライメントを実行する際に開始してもよい。
ステップS15では、ステップS14での輝点像Saを検出したとの判断、あるいは、ステップS19での輝点像Saを検出したとの判断に続き、輝点像Saを用いて位置合わせを行って、このXYアライメント制御処理を終了する。このステップS15では、上述したように、輝点像Saを用いたXY方向で見て眼圧測定部20の被検眼Eに対する正確な位置合わせ(アライメント)を行う。これにより、XY方向でのアライメントが完了して、眼圧測定部20の光軸O1を角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に一致させた状態となる。
ステップS16では、ステップS14での輝点像Saを検出していないとの判断に続き、角膜頂点ズレ関係52が記憶されているか否かを判断して、Yesの場合はステップS17へ進み、Noの場合はステップS18へ進む。このステップS16では、この眼圧測定部20での測定(この図14のフローチャート)を開始する前に、測定対象とする被検眼Eにおける角膜頂点ズレ関係52(図10参照)が求められて、当該角膜頂点ズレ関係52が記憶されているか否かを判断する。そして、角膜頂点ズレ関係52が記憶されている場合、その角膜頂点ズレ関係52を用いて輝点像Saを検出することができる位置を探索すべくステップS17へ進む。また、角膜頂点ズレ関係52が記憶されていない場合、移動パターン51(図11参照)を用いて輝点像Saを検出することができる位置を探索すべくステップS18へ進む。
ステップS17では、ステップS16での角膜頂点ズレ関係52が記憶されているとの判断に続き、中心位置Pcから角膜頂点ズレ関係52を用いて装置本体部13を移動させて、ステップS19に進む。このステップS17では、概略アライメントにより瞳孔Epの中心位置Pcに眼圧測定部20の光軸O1を一致させた状態の装置本体部13を、そこから角膜頂点ズレ関係52が示す方向へと同じく角膜頂点ズレ関係52が示す大きさ(位置ずれ量)だけ移動させる。この移動が完了すると、眼圧測定部20(装置本体部13)は、被検眼Eの角膜頂点Eaに眼圧測定部20の光軸O1を一致させる位置へと移動することとなる。なお、このステップS17では、画像(そのデータ)に基づいて検出した瞳孔Epの中心位置Pcから角膜頂点ズレ関係52を用いて装置本体部13を移動させたものであることから、輝点像Saを用いて位置合わせを行う(ステップS15)ことのようには正確には位置合わせができているとは限らない。
ステップS18では、ステップS16での角膜頂点ズレ関係52が記憶されていないとの判断に続き、中心位置Pcから移動パターン51に沿って装置本体部13を移動させて、ステップS19に進む。このステップS18では、概略アライメントにより瞳孔Epの中心位置Pcに眼圧測定部20の光軸O1を一致させた状態の装置本体部13を、そこから眼圧測定部20の光軸O1が移動パターン51(図10参照)上を辿るように、装置本体部13(眼圧測定部20)を移動させる。
ステップS19では、ステップS17での中心位置Pcから角膜頂点ズレ関係52を用いて装置本体部13を移動させること、あるいは、ステップS18での中心位置Pcから移動パターン51に沿って装置本体部13を移動させること、あるいは、ステップS20での位置を探索するための移動が終了していないとの判断に続き、輝点像Saを検出したか否かを判断して、Yesの場合はステップS15へ進み、Noの場合はステップS20へ進む。このステップS19では、前眼部観察光学系21を用いて取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)において、継続されたXYアライメント指標投影光学系22でのXYアライメント指標光Raの被検眼Eへの照射に基づく輝点像Saを検出できたか否かを判断する。すなわち、ステップS19では、ステップS17またはステップS18により実行されている位置を探索するための移動により、輝点像Saを検出することができる位置に至ったか否かを判断している。このステップS19では、輝点像Saを検出した場合、位置を探索するための移動、すなわち角膜頂点ズレ関係52を用いた装置本体部13の移動または移動パターン51に沿う装置本体部13の移動を行ったことにより、輝点像Saを検出することができる位置を見つけることができたことを意味する。このため、輝点像Saを用いて位置合わせを行うべくステップS15に進む。
ステップS20では、ステップS19での輝点像Saを検出していないとの判断に続き、位置を探索するための移動が終了したか否かを判断して、Yesの場合はステップS21へ進み、Noの場合はステップS19へ戻る。このステップS20では、位置を探索するための移動、すなわち角膜頂点ズレ関係52を用いた装置本体部13の移動、または移動パターン51に沿う装置本体部13の移動が、終了したか否かを判断する。そして、ステップS20は、ステップS19での輝点像Saを検出していないとの判断に続くものであることから、位置を探索するための移動が終了したということは、当該移動を実行しても輝点像Saを検出することができる位置を見つけることができなかったことを意味する。このため、輝点像Saを用いて位置合わせを行うことができないので、ステップS21へ進む。これらのことから、この図14のフローチャートのステップS16からステップS21は、輝点像Saを検出することができる位置を見つけるために、輝点探索制御処理(輝点探索制御)を実行していることとなる。
ステップS21では、ステップS20での位置を探索するための移動が終了したとの判断に続き、アライメントエラーの報知を行って、このXYアライメント制御処理を終了する。このアライメントエラーの報知は、例えば、表示部14にその旨を表示することにより行うことができる。なお、このステップS21を経てXYアライメント制御処理を終了した場合、XY方向でのアライメントが完了していないので、図8のフローチャートに示す自動アライメント処理がアライメントエラーにより途中で終了することとなる。この場合、上述したように、検者の手動によるアライメントを促す。
次に、制御部33において、眼圧測定部20におけるZ軸方向でのアライメントを行う際に実行される一実施例としての制限位置設定方法を実行する制限位置設定制御処理について、図15を用いて説明する。その図15は、本実施例における制御部33にて実行される制限位置設定制御処理(制限位置設定方法)を示すフローチャートである。この本実施例における図15に示すフローチャート(制限位置設定制御処理(制限位置設定方法))では、自動アライメント処理における装置本体部13(眼圧測定部20)の前進を開始してから、その眼圧測定部20での測定が終了するまでの間に、それらの各制御と平行して行うものとされている。この制限位置設定制御処理(制限位置設定方法)は、制御部33の内蔵する記憶部もしくは当該制御部33の外部に設けられた記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、制御部33が実行する。以下では、この制限位置設定制御処理(制限位置設定方法)としての図15のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。このフローチャート(制限位置設定制御処理(制限位置設定方法))は、図8のフローチャートのステップS2で装置本体部13(眼圧測定部20)を前進させることで開始される。
ステップS31では、CCDカメラ21iを第1焦点位置f1へと移動して、ステップS32へ進む。このステップS31では、眼圧測定部20において、合焦駆動機構21Dを介して、CCDカメラ21iの光軸O1上での位置を第1焦点位置f1(図3参照)へと移動する。
ステップS32では、ステップS31でのCCDカメラ21iを第1焦点位置f1へと移動させることに続き、移動前位置のエッジ強度を取得して、ステップS33へ進む。このステップS32では、前眼部観察光学系21を用いて被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得し、その取得した画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動前位置のエッジ強度として記憶する。なお、瞳孔Epのエッジ強度に変えて、虹彩Eiのエッジ強度を求めるものとしてもよい。
ステップS33では、ステップS32での移動前位置のエッジ強度の取得、あるいは、ステップS43での移動後位置のエッジ強度を移動前位置のエッジ強度とすることに続き、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されているか否かを判断して、Yesの場合はこの制限位置設定制御処理を終了し、Noの場合はステップS34へ進む。このステップS33では、光軸方向検出機構から検出信号が出力された場合、その光軸方向検出機構からの検出信号に基づいて、Z軸方向(光軸方向)での装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を正確に制御することができることから、制限位置Arを設定する必要がないので、この制限位置設定制御処理を終了する。また、ステップS33では、光軸方向検出機構から検出信号が出力されていない場合、制限位置Arを設定する必要があるので、ステップS34へ進む。
ステップS34では、ステップS33での光軸方向検出機構からの検出信号が出力されていないとの判断に続き、装置本体部13が所定量だけ前進したことを確認して、ステップS35へ進む。このステップS34では、装置本体部13が、移動前位置のエッジ強度を取得したステップS32での位置(ステップS43からの場合には前回のステップS35で移動後位置のエッジ強度を取得した位置)から、所定量だけ前進(Z軸方向正側へ移動)したことを確認する。この所定量は、本実施例では、駆動部12のZ軸駆動部分12bにおける駆動源としてのパルスモータのパルス数により制御する。なお、この所定量は、位置検出センサを用いるものであってもよく、時間間隔により設定するものであってもよく、本実施例に限定されるものではない。
ステップS35では、ステップS34での装置本体部13が所定量だけ前進したことの確認に続き、移動後位置のエッジ強度を取得して、ステップS36へ進む。このステップS35では、前眼部観察光学系21を用いて画像(そのデータ)を取得し、その取得した画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動後位置のエッジ強度として記憶する。なお、瞳孔Epのエッジ強度に変えて、虹彩Eiのエッジ強度を求めるものとしてもよい。
ステップS36では、ステップS35での移動後位置のエッジ強度の取得に続き、エッジ強度が減少傾向であるか否かを判断して、Yesの場合はステップS37へ進み、Noの場合はステップS42へ進む。このステップS36では、ステップS32で取得した移動前位置のエッジ強度と、ステップS35で取得した移動後位置のエッジ強度と、を比較することで、ステップS34の移動の前後におけるエッジ強度の変化の態様を判断する。また、ステップS36では、ステップS34の移動の前後におけるエッジ強度が小さくなっていると判断すると、その回数(今回の判断が何回目であるか)を記憶する。そして、ステップS36では、ステップS34の移動の前後におけるエッジ強度が小さくなっていると判断した回数が、検出回数閾値となったか否かを判断し、検出回数閾値となった場合には減少傾向であると判断する。
ステップS37では、ステップS36でのエッジ強度が減少傾向であるとの判断に続き、装置本体部13の前進を停止して、ステップS38へ進む。このステップS37では、ステップS36でエッジ強度が減少傾向であると判断したことから、装置本体部13が、眼圧測定部20の気流吹付ノズル21b(その先端)と被検眼Eの前眼部(角膜Ec)との間を第2設定作動距離d2とする位置に至り、そこを検出回数閾値の設定に応じた大きさだけ超えていることとなるので、その装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動を停止する。
ステップS38では、ステップS37での装置本体部13の前進を停止させることに続き、制限位置Arを設定して、ステップS39へ進む。このステップS38では、ステップS37で停止した装置本体部13のZ軸方向での位置を制限位置Arとして設定して、その制限位置Arを記憶する。そして、制御部33では、これ以降のXYZ方向でのアライメントおよび眼圧測定部20による測定を行うべく眼圧測定部20(装置本体部13)を移動させる際、この設定された制限位置ArをZ軸方向正側への移動の限界位置とする。すなわち、制御部33では、制限位置ArよりもZ軸方向正側へと移動することなく、これ以降のXYZ方向でのアライメントおよび眼圧測定部20による測定のための装置本体部13の移動を行う。
ステップS39では、ステップS38での制限位置Arの設定、あるいは、ステップS4での眼圧測定部20による測定が終了していないとの判断に続き、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されているか否かを判断して、Yesの場合はステップS41へ進み、Noの場合はステップS40へ進む。このステップS39では、光軸方向検出機構から検出信号が出力された場合、その光軸方向検出機構からの検出信号に基づいて、Z軸方向(光軸方向)での装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を正確に制御することができることから、ステップS38で設定した制限位置Arを用いる必要がないので、ステップS41へ進む。また、ステップS39では、光軸方向検出機構から検出信号が出力されていない場合、ステップS38で設定した制限位置Arを用いる必要があるので、ステップS40へ進む。
ステップS40では、ステップS39での光軸方向検出機構からの検出信号が出力されていないとの判断に続き、眼圧測定部20による測定が終了したか否かを判断して、Yesの場合はステップS41へ進み、Noの場合はステップS39へ戻る。
ステップS41では、ステップS40での眼圧測定部20による測定が終了したとの判断、あるいは、ステップS39での光軸方向検出機構からの検出信号が出力されているとの判断に続き、制限位置Arの設定を解除して、この制限位置設定制御処理を終了する。このステップS41では、ステップS38で設定した制限位置Arを消去することにより、その制限位置Arの設定を解除する。すなわち、この制限位置設定制御処理では、光軸方向検出機構からの検出信号に基づいてZ軸方向(光軸方向)での装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を正確に制御することができることが確認されるまでの間、あるいは、開始された自動アライメント処理における装置本体部13(眼圧測定部20)の前進に伴う眼圧測定部20による測定が終了するまでの間は、設定した制限位置Arを装置本体部13(眼圧測定部20)におけるZ軸方向正側への移動の限界位置とする。また、制限位置設定制御処理では、光軸方向検出機構からの検出信号に基づいてZ軸方向(光軸方向)での装置本体部13(眼圧測定部20)の位置を正確に制御することができることが確認されると、あるいは、開始されたZ軸方向でのアライメントに伴う眼圧測定部20による測定が終了すると、制限位置Arの設定を解除する。
ステップS42では、ステップS36でのエッジ強度が減少傾向ではないとの判断に続き、眼圧測定部20による測定が終了したか否かを判断して、Yesの場合はこの制限位置設定制御処理を終了し、Noの場合はステップS43へ進む。このステップS42では、エッジ強度が減少傾向ではないが、開始されたZ軸方向でのアライメントに伴う眼圧測定部20による測定が終了したので、制限位置Arを設定することなく、この制限位置設定制御処理を終了する。
ステップS43では、ステップS42での眼圧測定部20による測定が終了していないとの判断に続き、移動後位置のエッジ強度を移動前位置のエッジ強度として、ステップS34に戻る。このステップS43では、エッジ強度が減少傾向ではない、すなわちエッジ強度が増加している場面もしくは減少が始まった直後であって、眼圧測定部20による測定も終了していない場面であることから、引き続きエッジ強度が減少傾向となるか否かを判断すべく、先のエッジ強度の判断に用いた移動後位置のエッジ強度を、次の判断における移動後位置のエッジ強度として記憶(上書き)する。これにより、移動後位置のエッジ強度としての記憶が消去される。なお、この移動後位置のエッジ強度は、次にステップS35に進んだ際に上書きされるものであってもよい。
次に、眼科装置10において、眼圧測定部20(第2測定部)におけるXY方向でのアライメントを行う際の動作について説明する。
先ず、先に眼特性測定部40(第1測定部)によりXY方向でのアライメントが行なわれて角膜頂点ズレ関係52が記憶されている場合であって、輝点像Saが検出できない場合について説明する。図8のフローチャートのステップS1が終了すると、図14のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進むことにより、概略アライメントが実行される(図8のフローチャートのステップS2からステップS3)。その後、図14のフローチャートにおいて、ステップS14→ステップS16→ステップS17へと進むことにより、角膜頂点ズレ関係52を用いて装置本体部13を移動させる輝点探索制御処理が実行される。その輝点探索制御処理すなわち角膜頂点ズレ関係52を用いた装置本体部13の移動により輝点像Saが検出できると、図14のフローチャートにおいて、ステップS19→ステップS15へと進むことにより、輝点像Saを用いることによりXY方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)が行われて、眼圧測定部20の光軸O1を角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に一致させた状態となってXY方向でのアライメントが完了する。
次に、先に眼特性測定部40(第1測定部)によりXY方向でのアライメントが行われていない場合であって、輝点像Saが検出できない場合について説明する。図8のフローチャートのステップS1が終了すると、図14のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進むことにより、概略アライメントが実行される(図8のフローチャートのステップS2からステップS3)。その後、図14のフローチャートにおいて、ステップS14→ステップS16→ステップS18へと進むことにより、中心位置Pcから移動パターン51に沿って装置本体部13を移動させる輝点探索制御処理が実行される。その輝点探索制御処理すなわち中心位置Pcからの移動パターン51に沿う装置本体部13の移動により輝点像Saが検出できると、図14のフローチャートにおいて、ステップS19→ステップS15へと進むことにより、輝点像Saを用いることによりXY方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)が行われて、眼圧測定部20の光軸O1を角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に一致させた状態となってXY方向でのアライメントが完了する。
そして、上記した2つの場合であって、輝点探索制御処理を行っても輝点像Saが検出できない場合には、図14のフローチャートにおいて、ステップS19→ステップS20→ステップS21へと進むことにより、アライメントエラーの報知が行われて、XY方向でのアライメントすなわち図8のフローチャートに示す自動アライメント処理がアライメントエラーにより途中で終了する。
なお、先に眼特性測定部40(第1測定部)によりXY方向でのアライメントが行なわれて角膜頂点ズレ関係52が記憶されているか否かに拘わらず、輝点像Saが検出できる場合には、図8のフローチャートのステップS1が終了すると、図14のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15へと進むことにより、輝点像Saを用いることによりXY方向で見て眼圧測定部20を被検眼Eに対して正確に位置合わせ(アライメント)が行われて、眼圧測定部20の光軸O1を角膜頂点Ea(輝点像Saの位置)に一致させた状態となってXY方向でのアライメントが完了する。
次に、眼科装置10において、眼圧測定部20(第2測定部)におけるZ軸方向(光軸方向)でのアライメントを行う際の動作について説明する。なお、以下の説明では、説明を簡易なものとするために、検出回数閾値が1に設定されているものとする。すなわち、瞳孔Epのエッジ強度よりも小さくなっていることを1回検出すると、減少傾向であると判断するものとする。
光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じてしまった場合であるとする。図8のフローチャートのステップS2で装置本体部13(眼圧測定部20)を前進させると、図15のフローチャートにおいて、ステップS31→ステップS32へと進むことにより、取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動前位置のエッジ強度として記憶する。その取得した移動前位置の画像が図13(a)に示すものであったとする。その後、図15のフローチャートにおいて、ステップS33→ステップS34→ステップS35へと進むことにより、装置本体部13(眼圧測定部20)が前進した後に取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動後位置のエッジ強度として記憶する。その取得した移動後位置の画像が図13(b)に示すものであったとする。
その後、図15のフローチャートにおいて、ステップS36へと進むことにより、エッジ強度が減少傾向であるか否かを判断する。この場合、図13(b)に示す移動後位置の瞳孔Epのエッジ強度は、図13(a)に示す移動前位置の瞳孔Epのエッジ強度よりも大きいので、眼圧測定部20による測定が終了していないものとすると、図15のフローチャートにおいて、ステップS42→ステップS43へと進むことにより、図13(b)に示す移動後位置の瞳孔Epのエッジ強度が、移動前位置の瞳孔Epのエッジ強度とされる。そして、図15のフローチャートにおいて、ステップS33→ステップS34→ステップS35へと進むことにより、装置本体部13(眼圧測定部20)が前進した後に取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動後位置のエッジ強度として記憶する。その取得した移動前位置の画像が図13(c)に示すものであったとする。
その後、図15のフローチャートにおいて、ステップS36へと進むことにより、エッジ強度が減少傾向であるか否かを判断する。この場合、図13(c)に示す移動後位置の瞳孔Epのエッジ強度は、図13(b)に示す移動前位置の瞳孔Epのエッジ強度よりも大きいので、眼圧測定部20による測定が終了していないものとすると、図15のフローチャートにおいて、ステップS42→ステップS43へと進むことにより、図13(c)に示す移動後位置の瞳孔Epのエッジ強度が、移動前位置の瞳孔Epのエッジ強度とされる。そして、図15のフローチャートにおいて、ステップS33→ステップS34→ステップS35へと進むことにより、装置本体部13(眼圧測定部20)が前進した後に取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)において瞳孔Epのエッジ強度を求めて、そのエッジ強度を移動後位置のエッジ強度として記憶する。その取得した移動前位置の画像が図13(d)に示すものであったとする。
その後、図15のフローチャートにおいて、ステップS36へと進むことにより、エッジ強度が減少傾向であるか否かを判断する。この場合、図13(d)に示す移動後位置の瞳孔Epのエッジ強度は、図13(c)に示す移動前位置の瞳孔Epのエッジ強度よりも小さいので、図15のフローチャートにおいて、ステップS37へと進むことにより、装置本体部13の前進が停止される。そして、図15のフローチャートにおいて、ステップS38へと進むことにより、その停止された装置本体部13の位置が制限位置Arをとして設定される。その後、眼圧測定部20による測定が終了するまでの間は、図15のフローチャートにおいてステップS39→ステップS40を繰り返すことにより、制限位置ArよりもZ軸方向正側へと移動することなく、これ以降のXYZ方向でのアライメントおよび眼圧測定部20による測定のための装置本体部13の移動が行われる。その後、眼圧測定部20による測定が終了すると、図15のフローチャートにおいてステップS40→ステップS41へと進むことにより、制限位置Arの設定が解除される。このため、この後の眼圧測定部20(装置本体部13)におけるZ軸方向への移動が制限位置Arにより制限されることはない。
なお、光軸方向検出機構による光軸方向での検出の不具合が途中で解消された場合には、図15のフローチャートにおいてステップS33へと進むことにより、制限位置Arを設定することなく、それ以降のXYZ方向でのアライメントおよび眼圧測定部20による測定のための装置本体部13の移動が通常の通りに行われる。また、制限位置Arを設定した後に光軸方向検出機構による光軸方向での検出の不具合が解消された場合には、図15のフローチャートにおいてステップS39→ステップS41へと進むことにより、制限位置Arの設定が解除される。このため、この後の眼圧測定部20(装置本体部13)におけるZ軸方向への移動が制限位置Arにより制限されることはない。
また、光軸方向検出機構による光軸方向での検出の不具合が生じていない場合には、図8のフローチャートのステップS2で装置本体部13(眼圧測定部20)を前進させると、図15のフローチャートにおいて、ステップS31→ステップS32→ステップS33へと進むことにより、光軸方向検出機構からの検出信号が出力されていると判断して、制限位置設定制御処理(制限位置設定方法)を終了するので、制限位置Arが設定されることはなく、通常の通りにXYZ方向でのアライメントおよび眼圧測定部20による測定が行われる。
本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動に伴って、被検眼Eの特徴量の一例としてのエッジ強度の変化が減少傾向であると、移動を停止するとともにその停止した位置を制限位置Arとして設定する。その被検眼Eのエッジ強度は、眼特性測定部(眼圧測定部20)に設けられた観察光学系(前眼部観察光学系21)で取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を用いて判断している。そして、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定のために設けられた観察光学系(前眼部観察光学系21)においてピントがあっている位置を超えたことをもって、装置本体部13の移動を停止して制限位置Arを設定する。このため、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)とされたことを検出して制限位置Arを設定しているので、眼特性測定部(眼圧測定部20)でのアライメントや測定を阻害することなく眼特性測定部(眼圧測定部20)が被検眼Eに接触することを確実に防止することのできる制限位置Arを設定することができる。
また、眼科装置10では、被検眼Eのエッジ強度の変化が減少傾向であると、移動を停止するとともにその停止した位置に設定された制限位置Arにより、眼特性測定部(眼圧測定部20)がZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)へと移動することを制限するので、アライメントを行うために設けられた光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じてしまった場合であっても、眼特性測定部(眼圧測定部20)が被検眼Eに接触することを確実に防止することができる。
さらに、眼科装置10では、エッジ強度の変化が減少傾向であると、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動を停止するとともにその停止した位置を制限位置Arとして設定する。このため、眼科装置10では、制限位置Arを、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)を少し超えたものとしていることから、当該間隔の近傍における微調整の余地を確保することができるので、眼特性測定部(眼圧測定部20)でのアライメントや測定を阻害することをより確実に防止することができる。
眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定のために設けられた観察光学系(前眼部観察光学系21)で取得した被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を用いて、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動に伴う態様の変化を判断している。このため、眼科装置10では、制限位置Arを設定するためだけに新たな構成を設ける必要がないので、簡易に実現することができる。また、制限位置Arを設定する機能を有していない既存の装置であっても、容易に当該機能を有するもの(眼科装置10は)とすることができる。
眼科装置10では、エッジ強度の変化が減少傾向ではない場合には、眼特性測定部(眼圧測定部20)のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動を継続させる。このため、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)となるまでは、Z軸方向正側(光軸方向で被検眼E側)への移動になんらの影響を与えることはないので、Z軸方向(光軸方向)でのアライメントを円滑なものとすることができる。
眼科装置10では、光軸方向検出機構からの検出信号を取得する、すなわち当該光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じていないと、制限位置Arを設定することはない。このため、眼科装置10では、光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じた場合のみ、制限位置Arを設定することができるので、眼特性測定部(眼圧測定部20)での通常のアライメントや測定を阻害することなく、光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じた場合には制限位置Arにより眼特性測定部(眼圧測定部20)が被検眼Eに接触することを確実に防止することができる。
眼科装置10では、開始された装置本体部13(眼圧測定部20)の前進に伴う眼特性測定部(眼圧測定部20)による測定が終了すると、制限位置Arの設定を解除する。このため、眼科装置10では、制限位置Arを設定した動作とは関係のない場面において、眼特性測定部(眼圧測定部20)におけるZ軸方向(光軸方向)への移動が制限位置Arにより制限されることを確実に防止することができる。
眼科装置10では、瞳孔Epのエッジ強度を用いて、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動に伴う態様の変化を判断している。このため、眼科装置10では、アライメントや測定のために用いられる瞳孔Epの検出のための機構を用いることができることから、エッジ強度の態様を判断する対象箇所の検出のためだけに新たな構成を設ける必要がないので、簡易に実現することができ、確実な動作を容易に得ることができる。
眼科装置10では、虹彩Eiのエッジ強度を用いて、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向で被検眼側)への移動に伴う態様の変化を判断することができる。このため、眼科装置10では、瞳孔Epが検出できない場合や状況であっても、虹彩Eiを検出することでエッジ強度の態様を判断することができる。これは、前眼部観察光学系21で取得した画像(表示部14の画面上)には、ピントのずれた状態の気流吹付ノズル21bがぼやけつつ存在することに起因して、その気流吹付ノズル21bを瞳孔Epとして誤って検出してしまったり、当該気流吹付ノズル21bに瞳孔Epが隠れてしまったりすることによる。
眼科装置10では、眼特性測定部として設けられた、被検眼Eの角膜Ecに流体を吹き付けて当該角膜Ecを変形させることで眼圧を測定する眼圧測定部20において、制限位置Arを設定するものとしている。このため、眼科装置10では、眼圧測定部20が、測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)が極めて小さなものとされていることから、光軸方向検出機構による光軸方向での検出に不具合が生じた場合における制限位置Arよりも前進(被検眼E側へと移動)することを防止することの重要度が高いので、より効果的なものとすることができる。
眼科装置10では、装置本体部13のZ軸方向正側(光軸方向被検眼側)への移動に伴う前後2か所で取得した画像(そのデータ)の比較を繰り返し、エッジ強度が小さくなった回数(カウント数)が検出回数閾値となると、エッジ強度の変化が減少傾向であると判断する。このため、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)の近傍のみだけではなく、当該間隔を検出回数閾値の設定に応じた大きさだけを超える位置を制限位置Arとすることができる。これにより、眼科装置10では、より使い勝手を向上させることができる。
眼科装置10では、検出回数閾値を、気流吹付ノズル21b(その先端)が被検眼Eに接触することを確実に防止することができる安全間隔とする回数を最大値として適宜設定可能なものとしている。このため、眼科装置10では、制限位置Arを、眼特性測定部(眼圧測定部20)での測定を行うための適切な間隔(第2設定作動距離d2)を僅かに超えた位置から、当該間隔からある程度の大きさだけ超えた位置までの間で、自由に設定することができる。そして、眼科装置10では、制限位置Ar(そのための検出回数閾値)を、どのような設定としても、気流吹付ノズル21b(その先端)が被検眼Eに接触することを確実に防止することができる。これにより、眼科装置10では、より使い勝手を向上させることができる。
眼科装置10では、被検眼Eの特徴量として、被検眼Eの瞳孔Ep(虹彩Ei)エッジ強度を用いていることから、簡易に被検眼Eの特徴量の変化が減少傾向であるか否かを判断することができる。
眼科装置10では、概略アライメントを行っても、XYアライメント指標光Raで形成した輝点像Saを前眼部観察光学系21で検出することができない場合には、輝点像Saを検出することができる位置を探索する輝点探索方法を行う。このため、眼科装置10では、自動でX−Y平面に沿う方向でのアライメントが実行できる場面を増やすことができる。
眼科装置10では、概略アライメントを行っても、XYアライメント指標光Raで形成した輝点像Saを前眼部観察光学系21で検出することができない場合には、輝点像Saを検出することができる位置を探索する輝点探索方法を行う。このため、眼科装置10では、従来では自動アライメントができなくて検者の手動によるアライメントを促すこととなる、輝点像Saを前眼部観察光学系21で検出することができない場合であっても、自動でX−Y平面に沿う方向での自動でのアライメントを実行することが可能となる。これにより、眼科装置10では、使い勝手を向上させることができるとともに、測定(検査)に要する時間の短縮を図ることができる。
眼科装置10では、輝点探索方法において、概略アライメントにより検出した瞳孔Epの中心位置Pcの周辺で輝点像Saを検出することができる位置を探索することから、効率良く探索させることができる。
眼科装置10では、輝点探索方法において、予め決めた移動パターン51に沿って移動させることにより、輝点像Saを検出することができる位置を探索することから、いずれの被検眼Eであっても一様に輝点像Saを検出することができる位置を探索することができるので、当該位置を見つけ出す可能性を高めることができる。
眼科装置10では、移動パターン51を、XYアライメント指標光Raの照射範囲を考慮しつつ一般的な大きさの角膜Ecを網羅できるように設定していることから、いずれの被検眼Eに対しても輝点像Saを検出することができる位置を見つけ出す可能性を高めることができる。
眼科装置10では、輝点探索方法において、被検眼Eに対して眼特性測定部40のXYアライメントを行う際に求めた角膜頂点ズレ関係52を用いて移動させることから、極めて高い確率で輝点像Saを検出することができる位置を見つけ出すことができる。
眼科装置10では、角膜頂点ズレ関係52を、概略アライメントにより検出した瞳孔Epの中心位置Pcからの大きさ(位置ずれ量)とその方向とを有するものとしていることから、当該中心位置Pcから最短距離で移動させることができるので、輝点像Saを検出することができる位置の探索を効率良く行うことができ、XYアライメントに要する時間を短縮することができる。
したがって、本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、光軸方向での検出に不具合が生じた場合であっても、眼特性測定部(眼圧測定部20)を被検眼Eに接触させてしまうことを防止することができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10について説明したが、被検眼の眼特性を測定する眼特性測定部を備える眼科装置であって、前記被検眼に対して前記眼特性測定部を移動させる駆動部と、前記眼特性測定部および前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記眼特性測定部は、前記被検眼の前眼部の画像を取得する観察光学系を有し、前記制御部は、前記眼特性測定部を前記被検眼側へと移動させつつ前記観察光学系で取得した前記前眼部の画像における前記被検眼の特徴量を求め、前記眼特性測定部の前記被検眼側への移動に伴う前記特徴量の変化の傾向が変わると、前記眼特性測定部の前記被検眼側への移動を停止するとともに、停止した位置を前記被検眼側への移動を制限する制限位置として設定する眼科装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、眼圧測定部20における自動アライメントを実行する際に制限位置Arを設定するものとされていたが、眼特性測定部40における自動アライメントを実行する際に制限位置Arを設定するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、眼圧測定部20と眼特性測定部40とが設けられた眼科装置10を示していたが、被検眼Eに対する眼特性測定部のZ軸方向(光軸方向)でのアライメントを行うものであれば、眼圧測定部20のみで構成されているものであってもよく、眼特性測定部40のみで構成されているものであってもよく、他の眼特性を測定可能な測定部で構成されているものであってもよく、それらが適宜組み合わされて構成されているものであってもよく、本実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、眼圧測定部として眼圧測定部20を搭載していたが、被検眼Eの眼特性を測定するものであれば、光学的な構成、各光学部材の配置および測定原理が異なる眼圧測定部であってもよく、角膜の厚さを測定(角膜厚測定)するパキメータであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、眼特性測定部として眼特性測定部40を搭載していたが、被検眼Eの光学特性を測定するものであれば、光学的な構成、各光学部材の配置および測定原理が異なるものであってもよく、測定の内容(種類)が異なるものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、眼圧測定部20と眼特性測定部40とが設けられた眼科装置10を示していたが、被検眼Eの前眼部の画像を取得する観察光学系を有し、被検眼Eを観察する観察光学部(上記した実施例では眼圧測定部20または眼特性測定部40が相当する)を備えるものであれば、例えば、OCT(Optical Coherence Tomography)としての眼科装置であってもよく、眼底カメラとしての眼科装置であってもよく、SLO(レーザー走査型検眼鏡)としての眼科装置であってもよく、その他の網膜等を撮影する眼科撮影装置としての眼科装置であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の眼科装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。