JP7255676B2 - 搬送車システム、搬送車、及び、制御方法 - Google Patents
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Description
この移動体は、SLAMを利用して、レーザレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)又はカメラなどによる距離計測の結果で得られた局所地図と、環境地図をマッチングすることで自己位置推定を行う。
その結果、この後方の移動体において、自己位置の推定精度が低下するか、又は、間違った自己位置推定がなされることがある。
本発明の一見地に係る搬送車システムは、複数の搬送車と、地図データ記憶部と、を備える。複数の搬送車は、それぞれ、測距センサと、車上コントローラと、通信部と、を有する。地図データ記憶部は、移動領域にある周辺物が記憶された地図データを記憶する。
上記搬送車の車上コントローラは、推定部と、第1周辺情報生成部と、を有する。推定部は、第1周辺情報と、現状で把握される自機搬送車(上記車上コントローラが搭載されている搬送車の本体、以下同じ)の位置情報と、地図データと、に基づいて、自機搬送車の自己位置を推定する。第1周辺情報は、自機搬送車の測距センサにより得られる第1センサ情報を含む自機搬送車の周辺情報である。
第1周辺情報生成部は、補足情報を自機搬送車の通信部を通じて得られた場合、第1センサ情報に補足情報を追加して第1周辺情報を生成する。補足情報は、他の搬送車の測距センサにより得た第2センサ情報を含む。
このように、他の搬送車が有する補足情報を、自機搬送車が取得したセンサ情報に追加して第1周辺情報が生成される。第1周辺情報は第1センサ情報よりも情報量が多いので、自機搬送車はより正確に自己位置推定できる。
第1周辺情報生成部は、特定情報に基づいて特定した他の搬送車を特定したら、当該他の搬送車から補足情報を取得するので、第1センサ情報が十分でないために自機搬送車が異常(例えば、異常停止)となる前に、補足情報を自機搬送車の第1センサ情報に追加できる。その結果、自機搬送車において異常(異常停止)が発生する可能性を低減できる。
これにより、自機搬送車は、他の搬送車が有する補足情報を取得できない場合でも、第1周辺情報と地図データとを照合して位置推定を行うことができる。すなわち、自機搬送車は、補足情報の取得の有無に拘わらず、自己位置推定手法を同じにできる。
推定部は、測距センサにより得られる第1センサ情報を含む第1周辺情報と、現状で把握される位置情報と、移動領域にある周辺物が記憶された地図データと、に基づいて自己位置を推定する。
第1周辺情報生成部は、他の搬送車の測距センサにより得られた第2センサ情報を含む補足情報が通信部を通じて得られた場合、第1センサ情報に補足情報を追加して第1周辺情報を生成する。
◎自機搬送車の測距センサにより第1センサ情報を取得するステップ。
◎他の搬送車の測距センサにより得た第2センサ情報を含む補足情報を自機搬送車の通信部を通じて取得できるか否かを判定するステップ。
◎他の搬送車の測距センサにより得られた第2センサ情報を含む補足情報が通信部を通じて得られた場合、第1センサ情報に補足情報を追加して第1周辺情報を生成するステップ。
◎第1周辺情報と、現状で把握される自機搬送車の位置情報と、地図データと、に基づいて、自機搬送車の自己位置を推定するステップ。
(1)搬送車システムの全体構成
以下、図1を用いて、第1実施形態の搬送車システム100の構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としての搬送車システムの模式的平面図である。搬送車システム100は、複数の搬送車1a、1b、1c、1d、1eを含む。複数の搬送車1a~1eは、移動領域ME(例えば、工場内)を移動する搬送ロボットである。複数の搬送車1a~1eは形状が同じである、又は全ての形状は知られている。
なお、図1では搬送車の数は5であるが、数は限定されない。
なお、以下の説明では、搬送車1を一般的に説明する場合は、「搬送車1」とする。
上位コントローラ3は、複数の搬送車1a~1eと通信可能である。上位コントローラ3は、搬送車システム100を制御する。具体的には、上位コントローラ3は、搬送車1a~1eに搬送指令を割り付けて、割り付けた搬送指令を対応する搬送車1a~1eに送信する。
次に、図2を用いて、搬送車1の構成を説明する。図2は、搬送車の模式的構成図である。
搬送車1は、本体部11を有する。本体部11は、搬送車1を構成する筐体である。本実施形態において、後述する「自己位置」は、移動領域MEを表す環境地図上における本体部11の中心の位置(座標)と定義する。
具体的には、移動部12は、一対のモータ121a、121bを有する。一対のモータ121a、121bは、本体部11の底部に設けられた、例えばサーボモータやブラシレスモータなどの電動モータである。
移動部12は、一対の駆動車輪123a、123bを有する。一対の駆動車輪123a、123bは、一対のモータ121a、121bにそれぞれ接続される。
レーザレンジセンサ13は、本体部11の前部に配置された前方レーザレンジセンサ131と、本体部11の後部に配置された後方レーザレンジセンサ133と、を有する。
なお、上記レーザレンジセンサの検出可能距離は、上記の値に限られず、搬送車システム100の用途等に応じて適宜変更できる。
搬送車1は、車上コントローラ14を有する。以下、図3を用いて、車上コントローラ14の構成を説明する。図3は、制御部の構成を示すブロック図である。
車上コントローラ14は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。車上コントローラ14は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
車上コントローラ14は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
車上コントローラ14には、図示しないが、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
具体的には、記憶部141には、環境地図M1(地図データの一例)が記憶されている。環境地図M1は、例えば、移動領域MEを表す座標平面上の荷載置部O及び/または壁Wの位置を示す座標値データの集合体であり、移動領域MEの一部又は全部を表す地図である。環境地図M1は、1枚の全体地図として構成されてもよいし、複数枚の部分的な地図で移動領域ME全体を表す構成としてもよい。
周辺情報M2は、自己位置推定部143で実行される自己位置推定に用いる情報である。
センサ情報取得部142は、最初に、レーザレンジセンサ13からレーザ光を照射したタイミングと、反射光をレーザレンジセンサ13にて受信したタイミングとの時間差から、レーザレンジセンサ13と物体との距離を算出する。また、例えば、反射光を受信した時のレーザ受信器の受光面の角度から、本体部11から見た物体が存在する方向を算出できる。
車上コントローラ14は、走行制御部144を有する。走行制御部144は、モータ121a、121bを制御する。走行制御部144は、例えば、モータ121a、121bのそれぞれの制御量を算出し、当該制御量に基づいた駆動電力をモータ121a、121bのそれぞれに出力するモータドライバである。走行制御部144は、エンコーダ125a、125bから入力したモータ121a、121bの回転速度が、所望の値になるように、モータ121a、121bの制御量を算出している(フィードバック制御)。
車上コントローラ14は、撮影部147を有している。撮影部147は、本体部11の走行方向前方(図2の直進方向)に設けられている。撮影部147は、自機搬送車の前方に存在する他の搬送車1を撮影する装置であって、例えばカメラである。特定部148は、撮影部147にて取得した撮影画像から、自機搬送車の前方に存在する他の搬送車1を特定する。また、特定部148は、撮影部147にて取得した撮影画像を用いて障害物を検知する機能を有している。
図4を用いて、搬送車1の自律走行時の基本動作を説明する。図4は、搬送車の自律走行時の基本動作を示すフローチャートである。以下では、複数の搬送車1のうちの一台の動作について説明する。他の搬送車1も同様に動作する。以下では、動作を説明する基準の搬送車1を、図1の搬送車1aとし、「自機搬送車1a」と呼ぶことにする。また、その他の搬送車1b~1eを「他搬送車」と呼ぶ。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、車上コントローラ14から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
ステップS6では、自機搬送車1aは最終目的地で走行停止する。
以下、図5を用いて、ステップS2で実行される周辺情報M2の生成動作を説明する。図5は、周辺情報M2の生成動作を示すフローチャートである。
ステップS11では、センサ情報取得部142が、自機搬送車1aの周囲に存在する障害物の位置情報を、センサ情報SIとして取得する。具体的には、センサ情報取得部142は、前方レーザレンジセンサ131及び後方レーザレンジセンサ133が、レーザ光を照射しさらに障害物から反射した反射光を受信する。
その後、センサ情報取得部142は、受信した反射光に基づいて出力される検出信号を、自機搬送車1aから検出された障害物までの距離に関する情報と、自機搬送車1aから見た障害物が存在する方向に関する情報と、を含むセンサ情報SIに変換する。
最初に、特定部148が、撮影部147にて撮影した画像に他搬送車1bが含まれていれば、画像処理により、当該画像に含まれる他搬送車1bの外観情報(特定情報の一例)を抽出する。抽出される外観情報は、例えば、他搬送車の号機番号、他搬送車に付された識別マーカ、他搬送車の外観、など他搬送車を特定できる情報である。特定部148は、上記の外観情報から、近辺に存在する他搬送車1bを具体的に特定する。つまり、本実施形態に係る特定情報は、他搬送車の特徴を表す情報、他搬送車を識別する情報である。
外観情報に基づいて他搬送車1bを特定できない場合とは、例えば、撮影部147の撮影像に他搬送車1bの像が含まれない場合、他搬送車1bの像から適切な外観情報を得られない場合、などである。
他搬送車1bが特定されると、第1周辺情報生成部146は、ステップS14で、特定した他搬送車1bと通信部145とが互いに直接通信することで、当該他搬送車1bが所有する周辺情報M2’を、通信部145を通じて取得する。なお、他搬送車1bと自機搬送車1aが互いに直接通信しなくとも、第1周辺情報生成部146は、上位コントローラ3を介して、他搬送車1bから周辺情報M2’を取得してもよい。
具体的には、第1周辺情報生成部146は、自機搬送車1aの位置情報PIと他搬送車1bの位置情報PI’とに基づいて、自機搬送車1aのセンサ情報SIと他搬送車1bのセンサ情報SI’との実際の位置関係を算出する。第1周辺情報生成部146は、この位置関係に従って、自機搬送車1aのセンサ情報SIに、他搬送車1bのセンサ情報SI’を補足情報AIとして追加する。
次に、第1周辺情報生成部146は、デッドレコニングにより推定された自機搬送車1aの位置及び姿勢と、他搬送車1bの位置情報PI’に示された位置及び姿勢との差分を算出する。さらに、第1周辺情報生成部146は、自機搬送車1aの上記推定位置と他搬送車1bの位置との差分だけ周辺情報M2’を平行移動する。また、自機搬送車1aの現在の姿勢と他の搬送車1bの姿勢の差分だけ周辺情報M2’を回転する。
最後に、第1周辺情報生成部146は、平行移動及び回転後の周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を補足情報AIとして、自機搬送車1aにて取得したセンサ情報SIに追加して、自機搬送車1aの周辺情報M2を生成する。
以下、図6を用いて、図4のステップS3で実行される自己位置推定の動作を説明する。図6は、自己位置推定動作を示すフローチャートである。
ステップS21では、自己位置推定部143は、ステップS2で生成した周辺情報M2に十分な情報が含まれているか否かを判断する。例えば、自己位置推定部143は、周辺情報M2に含まれる座標点数(障害物等の検出点数)が所定の値以上であれば、周辺情報M2に十分な情報が含まれると判定する。
周辺情報M2に十分な情報が含まれていれば(ステップS21で「Yes」)、自己位置推定動作はステップS22に進む。一方、周辺情報M2に十分な情報が含まれていなければ(ステップS21で「No」)、自己位置推定動作は、ステップS25に進む。
次に、自己位置推定部143は、デッドレコニングにより推定された位置に対応する環境地図M1上の位置に、ステップS2で生成した周辺情報M2を配置する。さらに、自己位置推定部143は、当該位置において、周辺情報M2をデッドレコニングにより推定された姿勢(角度)だけ回転する。
具体的には、自己位置推定部143は、一致度が最大であったときの周辺情報M2の平行移動量にデッドレコニングによる推定位置を加算することで、自己位置を算出する。一方、一致度が最大であったときの周辺情報M2の回転量にデッドレコニングによる推定姿勢を加算することで、自己姿勢を算出する。自己位置推定部143は、算出した自己位置及び自己姿勢を、自機搬送車1aの位置情報PIとして、記憶部141に記憶する。
一方で、自機搬送車1aの周辺情報M2に十分な情報が含まれていない場合のステップS25では、自己位置推定部143が自己位置推定を実行できないと判断し、自機搬送車1aは異常停止する。
図7~図10を用いて、自機搬送車1aのセンサ情報SIに他搬送車1bの周辺情報M2’を追加することの利点を説明する。図7は、自機搬送車1aの前方に他搬送車1bが存在する場合の一例を示す図である。図8Aは、自機搬送車1aにより取得されるセンサ情報SIの一例を示す図である。図8Bは、他搬送車1bにより取得される周辺情報M2’の一例を示す図である。図9は、他搬送車1bの周辺情報M2’をそのまま追加した場合の一例を示す図である。図10は、他搬送車1bの周辺情報M2’をオフセット後に追加した場合の一例を示す図である。
図7では、自機搬送車1aの前方に他搬送車1bが存在している。また、他の搬送車1bの前方には荷載置部Oが存在している。
その一方、他搬送車1bのセンサ情報取得部142の視野は、他の搬送車1の存在により遮られていない。そのため、他搬送車1bのセンサ情報取得部142は、図8Bに示すような、荷載置部Oの情報を含んだ周辺情報M2’(センサ情報SI’)を取得する。
ただし、単に他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を自機搬送車1aのセンサ情報SIに追加するだけでは、図9に示すように、周辺情報M2は、自機搬送車1aの周囲の状態を的確に表すことができない。この周辺情報M2が不適切であるのは、センサ情報SI及び周辺情報M2’が、搬送車1の中心を原点として生成され、搬送車1の前進方向からみた壁W及び荷載置部Oなどの情報を表していることが理由である。
つまり、自機搬送車1aと他搬送車1bとの位置関係を考慮することなくセンサ情報SIに周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を追加すると、適切な周辺情報M2を生成できない。
具体的には、第1周辺情報生成部146は、自機搬送車1aのデッドレコニングによる推定位置と他搬送車1bの位置情報PI’に示された位置との差分だけ周辺情報M2’を平行移動させて、周辺情報M2’の原点位置を、自機搬送車1aから見た他搬送車1bの相対的な位置に対応する位置に移動させる。また、自機搬送車1aのデッドレコニングによる推定姿勢と他搬送車1bの位置情報PI’に示された姿勢の差分だけ周辺情報M2’を回転させて、周辺情報M2’の向きを、自機搬送車1aから見た他搬送車1bの相対的な姿勢に対応する角度だけ異ならせる。この後、第1周辺情報生成部146は、当該平行移動及び回転後の周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を、補足情報AIとして自機搬送車1aのセンサ情報SIに追加して、自機搬送車1aの周辺情報M2を生成する。
図11及び図12を用いて、自機搬送車1aのセンサ情報SIに他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を追加する実例2を説明する。図11は、自機搬送車1aの前方に他搬送車1bが存在する場合の他の一例を示す図である。図12は、他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’をオフセット後に追加した場合の他の一例を示す図である。
図11では、自機搬送車1aの前方に他搬送車1bが存在している。ただし、自機搬送車1aはY方向を向いている一方、他搬送車1bはX方向を向いている。
図12に示すように、自機搬送車1aのセンサ情報SIは壁Wの1面(Y方向に延びる面)の情報しか含んでおらず、このような場合にはマップマッチングにより位置推定することが困難である。その一方で、自機搬送車1aのセンサ情報SIに他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を補足情報AIとして追加することで、自機搬送車1aの周辺情報M2は、壁WのY方向に延びる1面の情報のみでなく、それとは垂直なX方向に延びる面の情報も含むようになる。このように異なる方向に延びる2面以上の情報が周辺情報M2に存在すれば、この周辺情報M2と環境地図M1とのマップマッチングにより自己位置推定を実行できる。
この場合、他搬送車1cは、搬送車1cが他搬送車1bを特定できなくとも、他搬送車1bにて取得したセンサ情報SIを、搬送車1cの周辺情報に含めることができる。なぜなら、搬送車1aにおいては、他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’が追加された周辺情報M2が生成されており、当該周辺情報M2に含まれるセンサ情報SIに搬送車1cのセンサ情報SIが追加されて搬送車1cの周辺情報が生成されるからである。
上記に説明した第1実施形態に係る搬送車システム100は、以下のような効果を奏する。なお、以下の複数の効果は全てが得られてもよいが、一つ又は一部が得られてもよい。
第1に、自機搬送車にて取得したセンサ情報SIに、他搬送車が有する周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を補足情報AIとして追加して自機搬送車1aの周辺情報M2を生成することで、自機搬送車1aの自己位置推定部143は、自機搬送車1aが取得したセンサ情報SIよりも多くの情報を含んだ周辺情報M2と環境地図M1とのマップマッチングにより、自機搬送車1aの自己位置及び自己姿勢をより正確に推定できる。なぜなら、マップマッチングによる位置推定手法においては、一般的に、マッチングさせるための点数(情報量)が多いほど、位置推定の精度が向上するからである。
このように、自機搬送車1aは、他搬送車1bが有する周辺情報M2’を取得したか否かによらず、自機搬送車の周辺情報M2と環境地図M1とを照合して位置推定を行うことができる。すなわち、自機搬送車1aは、周辺情報M2’の取得の有無に拘わらず、自己位置推定手法を同じにできる。
第1実施形態では、自機搬送車1aは、他搬送車1bの位置情報PI’を、当該他搬送車1bから通信部145を通じて取得していた。しかし、他搬送車の位置情報の取得方法は特に限定されない。例えば、他搬送車1bの位置に関する情報(位置情報)、及び、他搬送車1bが存在するか否かを、レーザレンジセンサ13により取得したセンサ情報SIに基づいて決定してもよい。
第2実施形態に係る搬送車システムでは、センサ情報SIに他搬送車1bに特有の形状を有する情報が含まれる場合、第1周辺情報生成部146は、他搬送車1bの形状を表す情報(点群の座標値)とセンサ情報SIの原点位置との間の距離と、原点位置から見たその情報が存在する方向と、に基づいて、周辺情報M2’の平行移動量及び回転量を算出できる。
第1実施形態と第2実施形態では、特定部148が、撮影部147にて得られた画像の画像処理により他搬送車1bを特定していた。しかし、他搬送車の特定方法は特に限定されない。
第3実施形態に係る搬送車システムでは、特定部148は、上位コントローラ3から入力した他搬送車1bの情報(特定情報の一例)に基づいて、他搬送車1bを特定する。他搬送車1bを特定するための情報は、例えば、上位コントローラ3において他搬送車1bに割り付けられた搬送指令とできる。つまり、本実施形態に係る特定情報は、搬送車を特定するための条件に関する情報(搬送指令に示された走行に関する条件)である。
第1実施形態及び第2実施形態では、特定部148が、撮影部147にて得られた画像の画像処理により他搬送車1bを特定し、第3実施形態では、上位コントローラ3から入力した情報に基づいて他搬送車1bを特定していた。これに限られず、さらに他の方法により他搬送車1bを特定してもよい。
第4実施形態に係る搬送車システムでは、特定部148は、通信部145により通信可能な範囲内にある搬送車1に関する情報(特定情報の一例)に基づいて、他搬送車1bを特定できる。つまり、本実施形態に係る特定情報は、搬送車を特定するための条件に関する情報(通信可能範囲内の搬送車に関する情報)である。これにより、限られた範囲内の他搬送車1bから周辺情報M2’を取得して、通信部145による通信負荷を低減できる。
受信強度に基づいて他搬送車1bを特定する場合、特定部148は、所定の閾値以上の強度で信号を受信した場合に、当該信号に含まれる上記の識別情報に基づいて、他搬送車1bを特定できる。
第1実施形態~第4実施形態では、特定の方法により特定できた搬送車1を他搬送車1bとして特定し、当該特定した他搬送車1bから周辺情報M2’を受信していた。
これに限られず、例えば、搬送車1の(稼働)台数が少ない第5実施形態に係る搬送車システムでは、周辺情報M2’を受信する他搬送車1bを特定することなく、全ての搬送車1から周辺情報M2’を取得してもよい。
なお、全ての他搬送車1bから周辺情報M2’を取得する場合、第1周辺情報生成部146は、第1実施形態と同様にして全ての他搬送車1bから位置情報PI’を取得するか、又は、レーザレンジセンサ13により取得したセンサ情報SIに基づいて全ての他搬送車1bの位置を推定する。
また、どの位置にいずれの他搬送車1bが存在するかを特定するために、特定部148は、撮影部147にて取得した画像から各搬送車1を特定するか、または、上位コントローラ3から出力される搬送指令などに基づいて各搬送車1を特定する。
上記の第1実施形態~第5実施形態は、以下の構成及び機能を共通に備える。
搬送車システム(例えば、搬送車システム100)は、複数の搬送車(例えば、搬送車1a~1e)と、地図データ記憶部(例えば、記憶部141)と、を備える。複数の搬送車は、それぞれ、測距センサ(例えば、レーザレンジセンサ13)と、車上コントローラ(例えば、車上コントローラ14)と、通信部(例えば、通信部145)と、を有する。地図データ記憶部は、移動領域(例えば、移動領域ME)にある周辺物(例えば、壁W、荷載置部O)が記憶された地図データ(例えば、環境地図M1)を記憶する。
上記搬送車の車上コントローラは、推定部(例えば、自己位置推定部143)と、第1周辺情報生成部(例えば、第1周辺情報生成部146)と、を有する。推定部は、第1周辺情報(例えば、自機搬送車1aの周辺情報M2)と、現状で把握される自機搬送車(例えば、自機搬送車1a)の位置情報と、地図データと、に基づいて、自機搬送車の自己位置を推定する。第1周辺情報は、自機搬送車の測距センサにより得られる第1センサ情報(例えば、センサ情報SI)を含む自機搬送車の周辺情報である。
第1周辺情報生成部は、補足情報(例えば、補足情報AI、すなわち、他搬送車1bの周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’)が自機搬送車の通信部を通じて得られた場合、第1センサ情報に補足情報を追加して第1周辺情報を生成する。補足情報は、他の搬送車の測距センサにより得られる第2センサ情報を含む。
このように、他の搬送車が有する補足情報を、自機搬送車が取得したセンサ情報に追加して第1周辺情報を生成することで、自機搬送車は、自機搬送車が取得した第1センサ情報よりも多くの情報を含んだ第1周辺情報を用いて、より正確に自己位置推定できる。
このように、自機搬送車は、他の搬送車が有する補足情報を取得したか否かによらず、第1周辺情報と地図データとを照合して位置推定を行うことができる。すなわち、自機搬送車は、補足情報の取得の有無に拘わらず、自己位置推定手法を同じにできる。
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)上記の第1実施形態~第5実施形態を組み合わせた場合、動作モードの設定によりいずれの実施形態の制御動作をするかを決定するようにしてもよい。また、自機搬送車1aに対する他搬送車1bの相対位置の複数の決定動作、他搬送車1bの複数の特定動作について、いずれの動作を優先させるかをあらかじめ決めておいてもよい。
これにより、例えば、自機搬送車1aの後方に存在する他搬送車1bにおいて複雑な形状を有する周辺情報M2’が取得されていた場合には、その周辺情報M2’に含まれるセンサ情報SI’を補足情報AIとしてセンサ情報SIに追加して、複雑な形状の周辺情報M2を生成できる。マップマッチングによる位置推定では、一般的に、マッチングに用いるマップの形状が複雑であるほど、位置推定の精度がよい。従って、周辺情報M2の形状を複雑にすることで、より精度よく位置推定できる。
具体的には、例えば、移動領域MEを表す座標系をX-Y座標系とした場合に、センサ情報SIを取得したときに推定される位置(例えば、デッドレコニングにより推定された位置)を基準とするか、又は、本体部11の中心をX-Y座標系の原点とし、本体部11から見た物体の相対的な距離(例えば、rとする)と反射光を受光したときの受光面の角度(例えば、θとする)から、X-Y座標系のX座標値を例えばr*cosθと算出し、Y座標値をr*sinθと算出できる。
1、1a~1e搬送車
11 本体部
12 移動部
121a、121b モータ
123a、123b 駆動車輪
125a、125b エンコーダ
13 レーザレンジセンサ
131 前方レーザレンジセンサ
133 後方レーザレンジセンサ
14 車上コントローラ
141 記憶部
142 センサ情報取得部
143 自己位置推定部
144 走行制御部
145 通信部
146 第1周辺情報生成部
147 撮影部
148 特定部
3 上位コントローラ
M1 環境地図
M2、M2’ 周辺情報
AI 補足情報
ME 移動領域
O 荷載置部
PI、PI’ 位置情報
SI、SI’ センサ情報
TS 走行スケジュール
W 壁
Claims (11)
- 測距センサと、車上コントローラと、通信部と、を有し、移動領域を走行する複数の搬送車と、
前記移動領域にある周辺物が記憶された地図データを記憶する地図データ記憶部と、
を備え、
前記車上コントローラは、
自機搬送車の前記測距センサにより得られる第1センサ情報に他の搬送車の前記測距センサにより得た第2センサ情報を追加して、前記自機搬送車の自己位置の推定に用いる第1周辺情報を生成する第1周辺情報生成部と、
前記第1センサ情報に前記第2センサ情報を追加した前記第1周辺情報と前記地図データとのマップマッチング結果に基づいて、前記自機搬送車の自己位置を推定する推定部と、
を有し、
前記第1周辺情報生成部は、前記自機搬送車の位置と前記他の搬送車の位置との差分、及び、前記自機搬送車の姿勢と前記他の搬送車の姿勢との差分だけ前記第2センサ情報をオフセットした後に、当該第2センサ情報を前記第1センサ情報に追加する、
搬送車システム。 - 前記複数の搬送車は互いに直接通信し、
前記他の搬送車の位置情報は、前記第2センサ情報とともに、前記通信部を通じて前記他の搬送車から取得される、請求項1に記載の搬送車システム。 - 前記他の搬送車の位置情報は、前記自機搬送車の前記測距センサにより得られた情報に基づいて把握される、請求項1に記載の搬送車システム。
- 前記第1周辺情報生成部は、前記搬送車を特定する特定情報に基づいて特定された前記他の搬送車から前記第2センサ情報を取得する、請求項1に記載の搬送車システム。
- 前記搬送車は、自機搬送車の走行方向前方を撮影する撮影部をさらに備え、
前記特定情報は、前記撮影部により撮影した前記他の搬送車の外観情報である、請求項4に記載の搬送車システム。 - 搬送指令を前記複数の搬送車に割り付ける上位コントローラをさらに備え、
前記特定情報は、前記上位コントローラが前記搬送指令に基づいて前記自機搬送車の搬送経路近傍に存在すると把握する前記他の搬送車に関する情報である、請求項4に記載の搬送車システム。 - 前記特定情報は、前記通信部により通信可能な範囲内にある他の搬送車に関する情報である、請求項4に記載の搬送車システム。
- 前記第1周辺情報生成部は、全ての他の搬送車から前記第2センサ情報を取得する、請求項1に記載の搬送車システム。
- 前記第1周辺情報生成部は、前記第2センサ情報を前記自機搬送車の前記通信部を通じて得られない場合、前記第1センサ情報を前記第1周辺情報とする、請求項1に記載の搬送車システム。
- 移動領域を走行する複数の搬送車を含む搬送車システムの搬送車であって、
測距センサと、
通信部と、
前記搬送車の前記測距センサにより得られる第1センサ情報に他の搬送車の測距センサにより得られた第2センサ情報を追加して、前記搬送車の自己位置の推定に用いる第1周辺情報を生成する第1周辺情報生成部と、
前記第1センサ情報に前記第2センサ情報を追加した前記第1周辺情報と、前記移動領域にある周辺物が記憶された地図データとのマップマッチング結果に基づいて、前記搬送車の自己位置を推定する推定部と、
を備え、
前記第1周辺情報生成部は、前記搬送車の位置と前記他の搬送車の位置との差分、及び、前記搬送車の姿勢と前記他の搬送車の姿勢との差分だけ前記第2センサ情報をオフセットした後に、当該第2センサ情報を前記第1センサ情報に追加する、
搬送車。 - 測距センサと、通信部と、を有し、移動領域を走行する複数の搬送車と、前記移動領域にある周辺物が記憶された地図データを記憶する地図データ記憶部と、を備える搬送車システムにおける自機搬送車の制御方法であって、
前記自機搬送車の前記測距センサにより第1センサ情報を取得するステップと、
他の搬送車の測距センサにより得た第2センサ情報を取得するステップと、
前記第1センサ情報に前記第2センサ情報を追加して、前記自機搬送車の自己位置の推定に用いる第1周辺情報を生成するステップと、
前記第1センサ情報に前記第2センサ情報を追加した前記第1周辺情報と前記地図データとのマップマッチング結果に基づいて、前記自機搬送車の自己位置を推定するステップと、
を備え、
前記第1周辺情報を生成するステップは、前記自機搬送車の位置と前記他の搬送車の位置との差分、及び、前記自機搬送車の姿勢と前記他の搬送車の姿勢との差分だけ前記第2センサ情報をオフセットした後に、当該第2センサ情報を前記第1センサ情報に追加するステップを含む、
制御方法。
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