JP7253307B2 - 巻上電動機の過負荷判定方法および巻上機の製造方法 - Google Patents
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Description
基準とする巻上電動機に基準となる過負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定するAステップと、
その測定値に基づいて、入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷判定閾値曲線を導出するBステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更するか否かを決定するCステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更しない場合には、前記基準過負荷判定閾値曲線に基づき対象とする巻上電動機の過負荷を判定し、前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、前記基準関数の切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定するDステップと、
を含むことを特徴とする。
前記Cステップで、前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、第一負荷曲線と第二負荷曲線の各前記入力電圧における電流値の差に基づき、前記基準関数の係数と切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定すると共に、
前記第一負荷曲線は、前記Aステップで測定した前記基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出され、
前記第二負荷曲線は、前記Aステップで測定した前記基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出される、
ことが好ましい。
前記過負荷を判定する入力電圧領域を低電圧側入力電圧領域と、前記低電圧側入力電圧領域より高電圧の高電圧側入力電圧領域に分け、
前記低電圧側入力電圧領域では、前記Aステップ、前記Bステップ、前記Cステップ及び前記Dステップを含む方法により過負荷を判定し、
前記高電圧側入力電圧領域では、
前記Aステップと、
前記電流の測定値を基に、前記基準過負荷判定閾値曲線の代わりに、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷閾値直線を導出するB2ステップと、
前記基準過負荷判定閾値直線を変更するか否かを決定するC2ステップと、
前記基準過負荷判定閾値直線を変更しない場合には、前記基準過負荷判定閾値直線に基づき対象とする巻上電動機の過負荷を判定し、前記基準過負荷判定閾値直線を変更する場合には、前記基準過負荷判定閾値直線を補正した補正過負荷判定閾値直線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定するD2ステップと、
を含むことが好ましい。
基準とする巻上電動機に諸負荷をかけた状態で、入力電圧と電流の関係を予め測定した測定値に基づいて入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準過負荷判定閾値曲線であって、過負荷判定のための基準閾値としての前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、マイクロコンピュータに実装する実装ステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更するか否かを決定するCステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記基準関数の切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装する変更ステップと、
を含むことを特徴とする。
前記変更ステップにおける前記補正過負荷判定閾値曲線は、第一負荷曲線と第二負荷曲線の各前記入力電圧における電流値の差に基づき、前記基準関数の係数と切片を補正したものであり、
前記第一負荷曲線は、前記基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に前記基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出され、
前記第二負荷曲線は、前記基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に前記基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出される、
ことが好ましい。
前記実装ステップは、低電圧側実装ステップと、高電圧側実装ステップとを有し、
前記低電圧側実装ステップでは、前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、マイクロコンピュータに実装し、
前記高電圧側実装ステップでは、前記低電圧側実装ステップよりも前記過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側において、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準過負荷閾値直線であって過負荷判定のための基準閾値としての前記基準過負荷閾値直線を導出する機能を、前記前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能に代えて、前記マイクロコンピュータに実装すると共に、
前記変更ステップは、低電圧側変更ステップと、高電圧側変更ステップとを有し、
前記低電圧側変更ステップでは、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記補正過負荷判定閾値曲線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装し、
前記高電圧側変更ステップでは、前記低電圧側変更ステップよりも前記過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側において、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記基準過負荷判定閾値直線を補正した補正過負荷判定閾値直線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装する、
ことが好ましい。
図1~図9は実施形態1に係る巻上電動機22の過負荷判定方法を説明するための図である。
図1は、実施形態1に係る過負荷判定方法に用いる巻上電動機22の過負荷判定装置24(巻上機21)のハードウエア構成を示す図である。なお巻上電動機22とは巻上機21に組み上げられた状態におけるモータを意味する。
ここで、「過負荷」とは、巻上電動機22にとって許容以上の負荷をいう。どの負荷を過負荷とするかは、必ずしも一義的に決まる訳ではなく、巻上電動機22(巻上機21)の製造者やユーザーが安全性や使用性等を総合的に判断して決定する。そのため、本明細書では、「負荷〇〇%」を、そのまま「負荷〇〇%」という場合もあれば「過負荷〇〇%」という場合もある。なお「負荷」とは、巻上電動機22のシャフト(軸)を回す力または軸の回転を止めようとする力をいい、主として荷重である。以下たとえば、定格荷重(W)を負荷100%、定格荷重(W)の1.1倍を負荷110%ということとする。
プログラムは、予めROM31やRAM32に格納されている。
メモリー30は、ROM31、及びRAM32を備える。CPU29、ROM31、RAM32及びセンサー23はBUSで接続されマイコン(マイクロコンピュータ)を構成している。
「基準過負荷判定閾値曲線導出手段」62とは、プログラムを読み込み、基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を実行するマイコンをいう。
「基準過負荷判定閾値曲線変更判断手段」63とは、プログラムを読み込み、基準過負荷判定閾値曲線の変更を判断する機能を実行するマイコンをいう。
「補正過負荷判定閾値曲線導出手段」64とは、プログラムを読み込み、補正過負荷判定閾値曲線を導出する機能を実行するマイコンをいう。
メモリー30は、巻上電動機22の一定の(過)負荷における入力電圧と電流値を記憶する。
制動装置26は、巻上電動機22に制動指令をする制動指令手段71と、制動指令を受け制動する制動機構261を備える。
基準過負荷判定閾値曲線について説明する。
図3は、実施形態1に係る過負荷判定方法を説明するための図で、基準負荷における基準とする巻上電動機22の基準過負荷判定閾値曲線を示す図であるが、これは同時に対象とする巻上電動機22における基準過負荷判定閾値曲線を示す図でもある。他の図でも同様である。
実施形態1を含めた以下の実施形態では、「巻上電動機22」は「基準とする巻上電動機」と「対象とする巻上電動機」とを厳密には分けていない。
使用範囲の入力電圧は、340V(ボルト)~460Vである。この範囲の入力電圧が巻上電動機22の使用保証範囲である。定格電圧は400Vである。
ここで、「閾値」とは、過負荷とする最小の値をいう。限界値または臨界値ともいう。閾値を117.5%としたのは、厳重に巻上げを禁止し安全を確保すべき負荷125%と、巻上が許容されている負荷110%との中間の値をとり、より安全性に配慮したためである。工場出荷時の過負荷閾値は負荷117.5%とするのが出願人の出荷標準である。ただし負荷117.5%は閾値の目安となるものであり、負荷110%以下で巻上げが停止することなく、かつ、負荷110%から負荷125%の範囲で巻上げが停止すればよく、厳密に117.5%の負荷で巻上げを停止させる必要はない。
実際には、負荷117.5%の二次曲線を予め求めるとともに、負荷100%、125%での、少なくとも入力電圧340V、400Vおよび460Vの電流値を実測しメモリー30に記憶しておく。これにより必要に応じて、負荷100%、125%での基準となる巻上電動機22のモータ特性の概略曲線を描くことができる。そして、負荷100%、125%の概略曲線を基に、例えば負荷110%での、任意の入力電圧におけるおおよその電流値を、負荷100%と負荷117.5%との差の比例関係から求めることができる。
図4は、実施形態1に係る過負荷判定方法の処理フローを説明するための図である。
実施形態1の巻上電動機22の過負荷を判定する過負荷判定方法では、まず、基準とする巻上電動機22に基準負荷51(本実施形態では1.175W(117.5%)とする)をかけ、入力電圧と電流(値)の関係を予め測定する(ステップS1、Aステップ)。
入力電圧と電流の関係の測定は、入力電圧検出器53及び電流検出器54で行う。
測定結果は、メモリー30に記憶される。「測定」は実測で行った。測定値は実測値である。
ここで、「二次式」とは、巻上電動機22の電流を、入力電圧の次数2の多項式で表した式をいう。
基準過負荷判定閾値曲線1(過負荷閾値)を変更する場合には、基準関数の切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線2に基づき対象とする巻上電動機22の過負荷を判定する(ステップS4-2)。
過負荷判定手段61は、入力電圧検出器53で検出された入力電圧(値)及び電流検出器54で検出された電流値と、基準過負荷判定閾値曲線導出手段62で導出された基準過負荷判定閾値曲線1に基づき上記処理(過負荷判定)を行う。
図5~図6を用いて基準過負荷判定閾値曲線1の導出について説明する。
過負荷判定のための基準閾値は117.5%とした。
基準過負荷判定閾値曲線1の導出は、主として基準過負荷判定閾値曲線導出手段62が行う。
そして符号1は、複数の測定値121から最小二乗法など数学的手法により求めた基準過負荷判定閾値曲線(近似曲線)を示す。
i=a・v2 +b・v+c …(1)
i:電流(値)、v:入力電圧(値)、
a(係数、≠0)、b(係数)、c(切片):定数
を準備する(ステップS22)。
これは、入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準関数であり、過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷判定閾値曲線1を表す。
図7~図9を用いて、基準過負荷判定閾値曲線1を変更する場合について説明する。
上記では図5~図6を用いて、過負荷判定のための基準閾値を117.5%とし、その基準過負荷判定閾値曲線1の導出について説明した。
しかし、客先のより安全性を高めたいとの要請で、基準閾値を例えば出荷後に115%に変更(補正)する場合を想定する。その場合には、基準閾値(負荷)を115%とする補正過負荷判定閾値曲線2(2-115)に基づき対象とする巻上電動機22の過負荷を判定することになる。
補正過負荷判定閾値曲線2(2-115)は、基本的には、図7に示すように、基準過負荷判定閾値曲線1を、負荷115%、定格電圧(400V)の電流値を通るように、縦軸(y軸)方向に平行移動した曲線である。なお負荷115%(Z%)での定格入力電圧における電流値は、メモリー30に記憶しておいた負荷100%の電流値と負荷117.5%の電流値との比例関係から求められる。
図8は、実施形態1に係る過負荷判定方法を説明するための図で、基準過負荷判定閾値曲線1の変更に関する処理フローをより詳しく説明する図である。
図9は、実施形態1に係る過負荷判定方法を説明するための図で、補正過負荷判定閾値曲線2に関する説明図である。
まず、基準過負荷判定閾値曲線1(過負荷117.5%)の「過負荷」117.5%と、求めようとする補正過負荷判定閾値曲線2の「過負荷」Z%(変更後の過負荷%)判定閾値との差が一定範囲内(例えば、5%以内)かを判定する(ステップS41)。
YESの場合は、ステップ42に進む。例えば、一定範囲を5%とした場合、Z=115(過負荷115%)なら117.5-115=2.5(%)で5%以内である場合はYESである。
ステップ42では、基準過負荷判定閾値曲線1を、過負荷Z%における定格電圧(400V)での測定電流値を通るようにy軸方向(縦方向)に平行移動する(切片cを変更する)。
そして、基準過負荷判定閾値曲線1を平行移動した曲線を補正過負荷判定閾値曲線2(過負荷115%では補正過負荷判定閾値曲線2-115)とする(ステップ43)。図7は上記処理を図示した図であり前述した。
ステップ44では、曲線1(過負荷117.5%)と曲線100(定格負荷100%)との間に、両者のy軸方向の間隔を(117.5-Z):(Z-100)で按分(比例配分)した曲線(按分した点を通る曲線)を引く。
そして、上記の按分した曲線を補正過負荷判定閾値曲線2(過負荷110%では補正過負荷判定閾値曲線2-110)とする。
この場合、曲線1(過負荷117.5%)と曲線100(定格負荷100%)との間に、両者のy軸方向の間隔を(117.5-110):(110-100)=7.5:10で按分(比例配分)した曲線(按分した点を通る曲線)を引く。図9では、入力電圧340V、400V及び460Vにおいて両者の曲線1、100間を7.5:10に按分した点を通る曲線とした。
そして、上記の按分した曲線を補正過負荷判定閾値曲線2(過負荷110%では補正過負荷判定閾値曲線2-110)とした。
すなわち、上述のAステップ(ステップS1)で予め測定した測定値に基づいて、上述のBステップ(ステップS2)で説明したような、入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準過負荷判定閾値曲線であって、過負荷判定のための基準閾値としての前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、上記のマイクロコンピュータに実装する(実装ステップ)。
なお、上記のCステップ(ステップS3)において、基準過負荷判定閾値曲線を変更しない場合には、上記の基準過負荷判定閾値曲線を実装したままの状態とする。
図10~図12を用いて、実施形態2に係る過負荷判定方法について説明する。
を含む。
このようにすることで、過負荷の誤判定のリスクが低減される。
「基準過負荷判定閾値直線変更判断手段」66とは、プログラムを読み込み、基準過負荷判定閾値直線3を変更するか否かを決定するマイコンをいう。
「補正過負荷判定閾値直線導出手段」67とは、プログラムを読み込み、補正過負荷判定閾値直線4を導出する機能を実行するマイコンをいう。
入力電圧領域を分割する場合(ステップS51、分割する:YES)、低電圧側入力電圧領域と、高電圧側入力電圧領域とに分割する(ステップS52)。
実施形態2では、図12に示すように、低電圧側入力電圧領域を340V~420V、高電圧側入力電圧領域で420V~460Vとした。420V付近で、巻上電動機22を流れる電流値が、負荷を変更しても変化の程度が少なくなり始めているためである。
低電圧側入力電圧領域では、ステップS54~ステップS57の処理を行う。
高電圧側入力電圧領域では、ステップS58~ステップS61の処理を行う。
例えば、過負荷判定閾値を過負荷117.5%から過負荷112.5%に変更する場合は、117.5%-112.5%=5%で5%以内であるから、曲線1(過負荷117.5%)を、定格入力電圧400Vにおける過負荷112.5%で流れる電流値を通るようにy軸方向に平行移動した補正過負荷判定閾値曲線2(2-112.5)に基づき判定する。
なお、図12中に符号100で示すのは、定格負荷(100%)における負荷曲線である。
過負荷判定手段61は、入力電圧検出器53で検出された入力電圧(値)及び電流検出器54で検出された電流値と、基準過負荷判定閾値曲線導出手段62で導出された基準過負荷判定閾値曲線1に基づき上記処理を行う。
基準過負荷判定閾値直線3の導出は、基準過負荷判定閾値直線導出手段65が行う。
基準過負荷判定閾値直線3は、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷閾値直線であり、次式で表される。
i=d・v+e
但し、d(係数、≠0)、e(切片):(d、eをあわせて定数とよぶ)
なお、「一次式」とは、巻上電動機22の電流を、入力電圧の次数1の多項式で表した式をいう。
基準過負荷判定閾値直線3と、基準過負荷判定閾値曲線1とは、共に負荷117.5%であるため、低電圧側入力電圧領域(340V~420V)と、高電圧側入力電圧領域(420V~460V)との境である入力電圧420Vで同じ電流値として、両者が連続していなければならない。従って、基準過負荷判定閾値直線3はこの点を通る直線とする。
基準過負荷判定閾値直線3を変更する場合には、補正過負荷判定閾値直線導出手段67が補正した(導出した)一次式よりなる補正過負荷判定閾値直線4に基づき対象とする巻上電動機22の過負荷を判定する(ステップS61-2、D2ステップ)。
なお、図9中に符号100で示すのは、定格負荷(100%)における負荷曲線である。
次に、基準過負荷判定閾値直線変更判断手段66は、基準閾値の変更等に伴い、基準過負荷判定閾値直線3を変更するか否かを決定する(ステップS60、C2ステップ)。
基準閾値が変更され、基準過負荷判定閾値曲線1が補正過負荷判定閾値曲線2に補正されると、多くの場合、基準過負荷判定閾値直線3も補正過負荷判定閾値直線4に補正される。
本実施形態では、基準過負荷判定閾値曲線1(負荷117.5%)が、曲線1を定格電圧400Vでの負荷112.5%の測定電流値を通るようにy軸方向に平行移動した補正過負荷判定閾値曲線2(2-112.5、負荷112.5%)に補正されたのに伴い、基準過負荷判定閾値直線3(負荷117.5%)も補正過負荷判定閾値直線4(負荷112.5%)に補正された。
補正過負荷判定閾値直線4と、補正過負荷判定閾値曲線2とは、共に負荷112.5%であるため、低電圧側入力電圧領域(340V~420V)と、高電圧側入力電圧領域(420V~460V)との境である入力電圧420Vで同じ電流値として、両者が連続していなければならない。従って、補正過負荷判定閾値直線4はこの点を通る直線とする。
以上のように行うため、実際の過負荷に、より近似した判定精度の良い過負荷判定が可能で、過負荷閾値を変更しても引き続き判定精度の良い巻上電動機22の過負荷判定が可能となる。
また、入力電圧領域を低電圧側入力電圧領域と、高電圧の高電圧側入力電圧領域に分け、それぞれ基準過負荷判定閾値曲線1と基準過負荷閾値直線により過負荷を判定するため、過負荷の誤判定のリスクをより低減できる。
そして、低電圧側実装ステップでは、基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、マイクロコンピュータに実装する。
一方、低電圧側実装ステップよりも前記過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側となる高電圧側実装ステップでは、上記のように、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準過負荷閾値直線であって過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷閾値直線を導出する機能を、基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能に代えて、前記マイクロコンピュータに実装する。
そして、低電圧側変更ステップでは、上記の基準過負荷判定閾値曲線を、上記の補正過負荷判定閾値曲線へと変更してマイクロコンピュータに実装する。
一方、高電圧側変更ステップでは、低電圧側変更ステップよりも過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側において、基準過負荷判定閾値曲線を、基準過負荷判定閾値直線を補正した補正過負荷判定閾値直線へと変更してマイクロコンピュータに実装する。
図13は、実施形態3に係る過負荷判定方法を説明するための図である。
即ち、実施形態3では、Cステップで、基準過負荷判定閾値曲線1を変更する場合には、Aステップで測定した基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷および、基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、基準とする巻上電動機の各入力電圧における電流の測定値を基に、第一負荷曲線と第二負荷曲線を求め、両曲線の各入力電圧における電流値の差に基づき、基準関数の係数と切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線2に基づき対象とする巻上電動機の過負荷を判定する。
符号14で示すのは、巻上電動機22の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第二の負荷(負荷112.5%)における第二負荷曲線である。負荷112.5%では巻上動作が保証されており、巻上電動機22は巻上動作をしなければならない(停止してはならない)。
これらの曲線は、実施形態1で、図5~図6を用いて説明したと同様の方法で求めた。
すなわち、上記の実施形態1で述べたような、実装ステップ、Cステップ、変更ステップを実行する。ここで、実施形態3では、上記の変更ステップにおける補正過負荷判定閾値曲線は、第一負荷曲線と第二負荷曲線の各前記入力電圧における電流値の差に基づき、基準関数の係数と切片を補正したものである。
また、第一負荷曲線(図13で符号13で示すもの)は、基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出されたものである。
また、前記第二負荷曲線は、前記基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に前記基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出されたものである。
図13で、曲線13は実施形態3と同じく負荷125%の負荷曲線(絶対的に停止させる必要がある負荷)としたが、曲線14は負荷115%の負荷曲線とした。負荷115%は、巻上動作が保証されている負荷110%以上の負荷であり巻上電動機22の巻上動作を停止させてもよい負荷であることとする。これは、巻上機21の利便性、安全性等を考慮して、主として巻上電動機22(巻上機21)のメーカーやユーザーが決定する。
曲線14を変更しただけで、他は実施形態3と同様にし、基準過負荷判定閾値曲線1Aを負荷125%の曲線13と、負荷110%の曲線14との間の曲線とした。
基準過負荷判定閾値曲線1Aの一部が曲線13または曲線14と重なっていてもよい。
基準過負荷判定閾値曲線1Aによる過負荷判定が、厳密に負荷117.5%でなく、負荷110%と負荷125%の間のどこかでよい場合のユーザー要請に容易に応えることができる。
Claims (6)
- 巻上電動機の過負荷を判定する過負荷判定方法であって、
基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定するAステップと、
その測定値に基づいて、入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷判定閾値曲線を導出するBステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更するか否かを決定するCステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更しない場合には、前記基準過負荷判定閾値曲線に基づき対象とする巻上電動機の過負荷を判定し、前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、前記基準関数の切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定するDステップと、
を含むことを特徴とする巻上電動機の過負荷判定方法。 - 請求項1に記載の巻上電動機の過負荷判定方法において、
前記Cステップで、前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、第一負荷曲線と第二負荷曲線の各前記入力電圧における電流値の差に基づき、前記基準関数の係数と切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定すると共に、
前記第一負荷曲線は、前記Aステップで測定した前記基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出され、
前記第二負荷曲線は、前記Aステップで測定した前記基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出される、
ことを特徴とする巻上電動機の過負荷判定方法。 - 請求項1又は2に記載の巻上電動機の過負荷判定方法において、
前記過負荷を判定する入力電圧領域を低電圧側入力電圧領域と、前記低電圧側入力電圧領域より高電圧の高電圧側入力電圧領域に分け、
前記低電圧側入力電圧領域では、前記Aステップ、前記Bステップ、前記Cステップ及び前記Dステップを含む方法により過負荷を判定し、
前記高電圧側入力電圧領域では、
前記Aステップと、
前記電流の測定値を基に、前記基準過負荷判定閾値曲線の代わりに、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷閾値直線を導出するB2ステップと、
前記基準過負荷判定閾値直線を変更するか否かを決定するC2ステップと、
前記基準過負荷判定閾値直線を変更しない場合には、前記基準過負荷判定閾値直線に基づき対象とする巻上電動機の過負荷を判定し、前記基準過負荷判定閾値直線を変更する場合には、前記基準過負荷判定閾値直線を補正した補正過負荷判定閾値直線に基づき前記対象とする巻上電動機の過負荷を判定するD2ステップと、
を含むことを特徴とする巻上電動機の過負荷判定方法。 - 巻上電動機およびマイクロコンピュータを備え、前記マイクロコンピュータによって前記巻上電動機の過負荷判定を行う機能を備える巻上機の製造方法において、
基準とする巻上電動機に諸負荷をかけた状態で、入力電圧と電流の関係を予め測定した測定値に基づいて入力電圧(v)の二次式で電流(i)を定義した基準関数よりなる過負荷判定のための基準閾値としての基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、マイクロコンピュータに実装する実装ステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更するか否かを決定するCステップと、
前記基準過負荷判定閾値曲線を変更する場合には、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記基準関数の切片を補正した二次式よりなる補正過負荷判定閾値曲線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装する変更ステップと、
を含むことを特徴とする巻上機の製造方法。 - 請求項4に記載の巻上機の製造方法において、
前記変更ステップにおける前記補正過負荷判定閾値曲線は、第一負荷曲線と第二負荷曲線の各前記入力電圧における電流値の差に基づき、前記基準関数の係数と切片を補正したものであり、
前記第一負荷曲線は、前記基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に前記基準とする巻上電動機の巻上動作を保証する下限負荷に設定する第一の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出され、
前記第二負荷曲線は、前記基準とする巻上電動機に諸負荷をかけ入力電圧と電流の関係を測定すると共に前記基準とする巻上電動機の巻上停止を保証する下限負荷に設定する第二の負荷における、前記基準とする巻上電動機の前記入力電圧における電流の測定値を基に算出される、
ことを特徴とする巻上機の製造方法。 - 請求項4又は5に記載の巻上機の製造方法において、
前記実装ステップは、低電圧側実装ステップと、高電圧側実装ステップとを有し、
前記低電圧側実装ステップでは、前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能を、マイクロコンピュータに実装し、
前記高電圧側実装ステップでは、前記低電圧側実装ステップよりも前記過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側において、入力電圧(v)の一次式で電流(i)を定義した基準過負荷閾値直線であって過負荷判定のための基準閾値としての前記基準過負荷閾値直線を導出する機能を、前記前記基準過負荷判定閾値曲線を導出する機能に代えて、前記マイクロコンピュータに実装すると共に、
前記変更ステップは、低電圧側変更ステップと、高電圧側変更ステップとを有し、
前記低電圧側変更ステップでは、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記補正過負荷判定閾値曲線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装し、
前記高電圧側変更ステップでは、前記低電圧側変更ステップよりも前記過負荷を判定する入力電圧領域が高電圧側において、前記基準過負荷判定閾値曲線を、前記基準過負荷判定閾値直線を補正した補正過負荷判定閾値直線へと変更して前記マイクロコンピュータに実装する、
ことを特徴とする巻上機の製造方法。
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