JP7249474B1 - 消音器付き風路 - Google Patents

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Abstract

送風時に風路内で発生する騒音を考慮して、送風先へ伝播される音を効率よく低減することができる消音器付き風路を提供する。本発明の消音器付き風路は、送風源に接続された風路と、風路の出口から放出される音を低減する消音器と、を備える。消音器の一次の消音ピークの周波数が、風路内での送風による風路内での発生音の強度が最大となる周波数よりも低い。

Description

本発明は、消音器付き風路に関する。
住宅又はマンション等の建物において、空調機器又は送風機等からの風をダクト等の風路によって送風する場合、例えば、送風機の作動に起因する騒音等が、風路を通じて送風先に伝播され得る。このような騒音を風路の途中位置で消音するための技術は、既に開発されており、特許文献1に記載された技術が、その一例として挙げられる。
特許文献1に記載の空調調和機では、ラジラルファン組立体が、室外機に設けられ、室外の空気を取り込んで室内機に風を送る。この際、室内機に送られる空気が、給排気ダクトを通り、給排気ダクトに設けられたマフラーが、給排気ダクトを伝わる音を低減する。
特開2004-069173号公報
ところで、建物用の送風システムでは、空調又は換気の効率向上等を目的として送風量を増やす場合がある。一方、風路のサイズ(径)は、ダクト等の配置スペースが限られる等の様々な制約のために、より小さく設定される傾向にある。以上の事情から、建物用の送風システムでは、風路内での風速が大きくなる場合が想定される。
そして、風路内での風速が比較的大きく、風路の径が小さい場合には、風路内での乱流による騒音(以下、流体騒音と呼ぶ)が風路内で発生し、この流体騒音が風路を通じて送風先まで伝播される虞がある。そのため、風路内を伝播する音(騒音)を消音する場合には、上記の流体騒音を考慮する必要がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、送風時に風路内で発生する騒音を考慮して、送風先へ伝播される音を効率よく低減することができる消音器付き風路を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 送風源に接続された風路と、風路の出口から放出される音を低減する消音器と、を備える消音器付き風路であって、消音器の一次の消音ピークの周波数が、風路内での送風による風路内での発生音の強度が最大となる周波数よりも低い、消音器付き風路。
[2] 風路は、二つの空間を隔てる壁を貫通しており、消音器は、二つの空間のうち、送風源が配置された空間内に配置されている、[1]に記載の消音器付き風路。
[3] 風路が、建物を構成する壁を貫通している、[2]に記載の消音器付き風路。
[4] 風路が、送風源であるファンに接続されている、[1]~[3]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[5] 消音器の内部には、吸音材が備えられており、吸音材は、非金属体であり、且つ無機物以外の材料によって構成されている、[1]~[4]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[6] 消音器内には風路の一部が設けられており、消音器において、吸音材は、消音器内に設けられた風路の一部を囲む位置に配置されている、[5]に記載の消音器付き風路。
[7] 消音器が樹脂製の容器を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[8] 単位時間あたりに風路内を流れる風量と、風路の断面積とに基づいて算出される風速が1m/s以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[9] 風路の内周面は、凹凸が形成された凹凸領域を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[10] 消音器は、風路のうち、壁に沿って配置された部分に取り付けられている、[2]又は[3]に記載の消音器付き風路。
[11] 消音器は、風路の途中位置に設けられ、且つ、送風源及び出口のうち、送風源により近い位置に配置されている、[1]~[10]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[12] 消音器は、消音器の二次以降の消音ピークでの消音度合いが一次の消音ピークでの消音度合いより大きくなる構造を有する、[1]~[10]のいずれかに記載の消音器付き風路。
[13] 消音器は、風路の途中位置に設けられ、且つ、送風源及び出口のうち、出口により近い位置に配置されている、[12]に記載の消音器付き風路。
本発明の消音器付き風路によれば、消音器の一次の消音ピークの周波数を、風路内での発生音の強度が最大となる周波数より低くすることで、風路内での発生音を考慮して、送風先へ伝播される音を効率よく低減することができる。
本発明の一つの実施形態に係る消音器付き風路が用いられる送風システムを示す図である。 本発明の一つの実施形態に係る消音器付き風路の消音器を示す模式断面図である。 消音器の第1の変形例を示す図である。 消音器の第2の変形例を示す図である。 消音器の第3の変形例を示す図である。 流体騒音を測定するシステム(測定系)を示す図である。 流体騒音と風速との関係を示す図である。 風路の内壁で生じる乱流のエネルギーに関するシミュレーションに用いたモデルを示す。 風路の径と、風路内で生じる乱流のエネルギーとの関係を示す図である。 風路内に仮想的な音源を配置した場合の騒音に関するシミュレーションに用いたモデルを示す。 風路の径と騒音量との関係を示す図である。 消音器の消音スペクトルと流体騒音のスペクトルとの関係を示す図である。 消音器の消音スペクトルと流体騒音のスペクトルとの関係について、別の例を示す図である。 変形例に係る消音器付き風路が用いられる送風システムを示す図である。 風速9m/sでの流体騒音のスペクトルと、低周波消音器及び高周波消音器の各々の消音スペクトルとを示す図である。 実施例1、比較例1及びリファレンスのそれぞれについて測定した騒音のスペクトルを示す図である。 実施例2で用いた消音器の消音スペクトルを示す図である。
本発明の消音器付き風路について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明の構成は、その趣旨を逸脱しない限り、以下の実施形態から変更又は改良され得る。
また、本発明を実施するために用いられる各部材の材質及び形状等は、本発明の用途及び本発明の実施時点での技術水準等に応じて任意に設定できる。また、本発明には、その等価物が含まれる。
また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」、「垂直」及び「平行」は、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、本明細書の「直交」、「垂直」及び「平行」は、厳密な直交、垂直又は平行に対して±10°未満の範囲内であること等を意味する。なお、厳密な直交又は平行からの誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、本明細書において、「同じ、「同一」及び「等しい」という意味には、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ得る。
また、本明細書において、「全部」、「いずれも」及び「すべて」という意味には、100%である場合のほか、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合が含まれ得る。
また、本発明での「消音」は、遮音及び吸音の両方の意味を含む概念である。遮音は、音を遮蔽すること、換言すれば、音を透過させないことを意味する。吸音は、反射音を少なくすること、つまり音(音響)を吸収することを意味する。
[本発明の消音器付き風路の基本構成について]
本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態という)に係る消音器付き風路の基本構成について、図1~5を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、送風方向とは、風路内を風が出口に向かって流れる方向を意味する。また、下流側とは、送風方向において風路の出口側を意味し、上流側とは、風路の入口側(詳しくは、後述の送風源10が配置された側)を意味する。
本実施形態に係る消音器付き風路(以下、消音器付き風路100)は、送風システム、特に建物用の送風システムSに用いられる。送風システムSは、空調又は換気等の目的で建物内における所定空間(例えば、部屋等)に風を搬送(送風)するために利用される。建物は、戸建て住宅、マンションのような集合住宅における各住戸、レストラン及び商店等のような店舗、並びに、病院、デパート及び映画館等のような施設等が含まれる。
なお、「風」とは、人工的な空気又は気体の流れ(気流)である。風を構成する空気又は気体の組成、及び、各成分の比率については、特に限定されないが、以下では、通常の空気を送風する場合を想定して説明することとする。
送風システムSは、図1に示すように、送風源10と、消音器付き風路100とによって構成される。消音器付き風路100は、図1に示すように、送風源10に接続された風路12と、送風時に風路12の出口から放出される音(騒音)を低減する消音器20と、を備える。
送風源10は、モータ等の電動機を備え、電動機の起動によって作動して送風する機器であり、具体的には、空調機器を構成する送風ファン、又は換気用の送風ファンである。ファンとしては、軸流ファン(プロペラファン)、シロッコファン、ターボファン、遠心ファン、及び、ラインフローファン(登録商標)等の公知のファンが利用可能である。
風路12は、送風源10からの風の流路であり、ダクト、パイプ又はホース等の風路形成部材14によって形成されている。風路形成部材14の材質及び構造等については、特に限定されない。風路12の敷設がより容易になる観点では、例えば、ビニールホース、フレキシブルホース及びタイダクトホース等のような可撓性ホース等を風路形成部材14として用いるのがよい。
風路12の一端(上流側の端)は、送風源10、詳しくはファンの吐出口に接続されている。風路12の他端(下流側の端)は、送風先に該当する建物内の所定の空間(以下、送風先の部屋R)に配置されている。より詳しく説明すると、送風先の部屋Rは、屋内空間であり、図1に示すように、送風先の部屋R及び屋外空間が、建物を構成する外壁W(壁に相当)によって仕切られている。風路12は、これら二つの空間を隔てる外壁Wに沿って配置され、好適な場所にて、外壁Wを貫通して送風先の部屋R内に進入している。つまり、外壁Wには、風路12(厳密には、風路形成部材14)を通す貫通孔が形成されている。この貫通孔のサイズ(径)は、例えば、150mm以下である。
なお、風路12が貫通する壁は、屋内外を仕切る外壁Wに限定されず、例えば、建物内において、天井裏の空間と天井下の空間(部屋)とを仕切る天井壁であってもよい。すなわち、風路12は、天井裏で天井壁に沿って配置され、好適な場所にて天井壁を貫通して部屋内に進入してもよい。
消音器20は、風路12内を伝播する音を低減する。消音器20は、風路12に対して設けられ、例えば、図1に示すように風路12の途中位置に設けられてもよい。ただし、これに限定されず、例えば、風路形成部材14の末端部(下流側端部)に消音器20を接続してもよい。換言すると、消音器20内の通気路(具体的には、後述の拡張部内風路32)が風路12の下流側端部を構成してもよい。
消音器20の取付け箇所及び取付け方式等については、特に限定されない。例えば、消音器20を所定の高さに保持し易くなる理由から、図1に示すように、風路12のうち、建物の外壁Wに沿って配置された部分に消音器20が取り付けられてもよい。
消音器20は、図2に示すように、容器22と、容器22内に配置された吸音材50とを有する。容器22は、図2に示すように、筒状の入口側接続部24及び出口側接続部26と、これら2つの接続部24、26の間に配置された拡張部28を有する。
入口側接続部24には、送風源10から延出した風路形成部材14が接続されており、出口側接続部26に接続された風路形成部材14は、風路12の出口(すなわち、送風先)まで延びている。そして、入口側接続部24及び出口側接続部26の各々の内側空間は、風路12の一部分をなしている。なお、出口側接続部26の内側空間は、図2に示すように、入口側接続部24の内側空間の延長線上に配置されてもよく、その延長線からずれた位置(図2における紙面の上下方向にずれた位置)に配置されてもよい。
拡張部28は、容器22の本体をなし、風路12よりも断面積が拡張された空洞(拡張空間)を内部に有する。ここで、「断面積」は、断面のサイズであり、断面は、送風方向を法線方向とする断面である。拡張部28は、上記の空洞の全周を囲んだ容器壁を備える。容器壁のうち、上流側の端部をなす部分には、入口側接続部24の内側空間と連続する孔が設けられており、下流側の端部をなす部分には、出口側接続部26と連続する孔が設けられている。
また、上記の空洞内には、入口側接続部24及び出口側接続部26のそれぞれの内側空間と連通して風路12の一部を構成する部分が存在する。詳しく説明すると、空洞内には、図2に示すように、入口側接続部24と出口側接続部26との間に配置された内筒30が設けられている。内筒30の内側空間は、入口側接続部24及び出口側接続部26のそれぞれの内側空間と連通している。つまり、内筒30内の空間は、拡張部28の内部において風路12の一部(以下、拡張部内風路32)を構成している。
容器22及び内筒30を構成する材料については、特に限定されず、金属材料、樹脂材料、紙材料、強化プラスチック材料、及びカーボンファイバ等が利用可能である。ただし、成形性及び設計の自由度を確保する観点では、樹脂材料が好ましい。つまり、消音器20の好ましい構成としては、樹脂製の容器22が消音器20に含まれているのがよい。
樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、難燃ABS樹脂、ブタジエン(Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース(TAC:Triacetylcellulose)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリスチレン(PS:Polystyrene)、ASA(Acrylate Sthrene Acrylonitrile)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)樹脂、及びPLA(Polylactic Acid)樹脂等が挙げられる。
強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)が挙げられる。
また、拡張部28の内部、すなわち空洞のうち、内筒30の外側にある空間(詳しくは、内筒30の径方向外側に位置する部分)には、図2に示すように吸音材50が充填されている。換言すると、吸音材50には、入口側接続部24及び出口側接続部26のそれぞれの内側空間に通じる孔が形成されており、この孔に上記の内筒30が挿入されている。つまり、吸音材50は、拡張部28において、拡張部内風路32を囲む位置に配置されている。
また、拡張部28において、入口側接続部24側の端部には、図2に示すように開口部34が設けられている。開口部34は、吸音材50が充填された空間と拡張部内風路32とを連通させる部分であり、具体的には、上記の内筒30が欠如している部分である。開口部34と、吸音材50が充填された空間とは、互いに連続してL字型に屈曲した空間(以下、L字空間)をなす。
L字空間は、拡張部内風路32と隣り合う位置に設けられ、拡張部内風路32内を伝播する音は、L字空間及び当該空間内に配置された吸音材50によって低減される。つまり、消音器20は、サイドブランチ型の消音器であり、拡張部内風路32の側方に形成されたL字空間にて音(騒音)を低減することができる。
吸音材50としては、音エネルギーを熱エネルギーに変換して吸音するものが利用可能である。吸音材50を構成する材料の一例としては、例えば、発泡体、発泡材料、及び不織布系吸音材等のような多孔質材料が挙げられる。
発泡体及び発泡材料の具体例としては、イノアック社のカームフレックスF及び光社製のウレタンフォーム等のような発泡ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム、メラミンフォーム、インシュレーションボード、並びに、ポリアミド製フォーム等が挙げられる。
不織布系吸音材の具体例としては、3M社のシンサレート等のようなマイクロファイバー不織布、東京防音社のホワイトキューオン及びブリジストンケービージー社のQonPET等のようなポリエステル製不織布(密度の大きな薄い表面側の不織布と、密度の小さい裏面側の不織布とを有する二層構成のものを含む)及びアクリル繊維不織布等のプラスチック製不織布、ウール及びフェルト等の天然繊維不織布、メルトブローン不織布、金属製不織布、ガラス製不織布、フロアマット、並びに絨毯等が挙げられる。
上記以外にも、微小な空気を含む材料からなる吸音材、例えば、グラスウール、ロックウール、石膏ボード、木毛セメント板、及びナノファイバー系繊維からなる吸音材等のような種々の吸音材が利用可能である。ナノファイバー系繊維としては、例えば、シリカナノファイバー、及び、三菱ケミカル社製XAIのようなアクリルナノファイバー等が挙げられる。
上述した吸音材50の材料のうち、親水性を有する材料(例えば、グラスウール)を用いるケースでは、湿度が高い風が消音器20内を流れた場合に吸音材にカビが発生する可能性がある。こうしたカビ発生を抑える理由から、吸音材50の材料としては、非金属体であり且つ無機物以外の材料が好ましく、特に撥水性を有する樹脂繊維によって構成される吸音材50がより好ましい。
また、吸音材50の流れ抵抗率は、1000(Pa×s/m)~100000(Pa×s/m)であるのが好ましい。吸音材50が複数の層を重ねた積層構造である場合には、構造全体の流れ抵抗を測定して、構造全体の厚さから流れ抵抗率を算出することができる。
消音器20に関して言えば、図2に示すサイドブランチ型の消音器以外に限定されず、例えば、図3に示す空洞型構造の消音器20Xを用いてもよい。消音器20Xでは、図3に示すように、内筒30が備えられておらず、拡張部内風路32が吸音材50(厳密には、吸音材50に形成された孔の内周面)に直接接している。
また、消音器として、共鳴型の消音器を用いてもよく、例えば、図4に示すヘルムホルツ共鳴型の消音器20Yを用いてもよい。消音器20Yでは、拡張部28内において拡張部内風路32と、その外側の空間(以下、背面空間42)とが筒状の仕切り部材36によって仕切られ、仕切り部材36に孔38を設けることでヘルムホルツ共鳴器が構成されている。この消音器20Yでは、共鳴周波数と同じ周波数の音が孔38内の空気に当たると、孔38内及び背面空間42内の空気が振動し、その際の粘性損失によって音エネルギーを熱エネルギーに変換することで消音する。
なお、共鳴型の消音器は、膜又は板の共振によって音エネルギーを熱エネルギーに変換して吸音するものでもよい。
また、消音器としては、図5に示すように多孔板40を仕切り部材36として用いた消音器20Zを用いてもよい。消音器20Zにおいて、多孔板40は直径が100μm程度の貫通孔が多数形成された微細穿孔板であり、微細な孔と、その外側の空間(背面空間42)とによって吸音する。微細穿孔板としては、例えば、大建工業社製のスオーノのようなアルミ製微細穿孔板、及び、3M社製のダイノックのような塩化ビニル樹脂製微細穿孔板等が利用可能である。
なお、消音器20の個数は、特に限定されず、例えば、風路12の途中位置に2つ以上設けられてもよい。その場合、複数の種類の消音器20、20X、20Y、20Zを組み合わせて用いてもよい。
(流体騒音、及び本実施形態における対策について)
上記の送風システムSにおいて、送風源10であるファンが起動して送風が行われると、ファンの作動音に起因する騒音(以下、送風源10由来の騒音ともいう)が、風路12内を下流側に伝播していく。この騒音を低減する方法としては、消音器20を風路12に対して配置することが一般的である。
一方で、送風システムSによる空調又は換気の性能を高める理由から送風量を増やす場合がある。その反面、風路12の径は、風路形成部材14を配置するスペース等の制約から小さい値に設定される傾向にある。特に、建物の外壁Wを風路12が貫通する場合、その貫通孔の径は、極力小さく設定する必要があり、一般的な住宅又はレストランのような店舗等では例えば150mm以下に設定される。この結果、建物用の送風システムSでは、近年、風路12内での風速が徐々に増加している傾向にある。
一方、風路12の径が小さくなる場合には、風路12内での送風によって風路12内で騒音(流体騒音)が発生する。また、本発明者らは、この流体騒音について下記の特徴A、Bを見出した。
特徴A:流体騒音のスペクトルにおいて、中帯域(1kHz)にピークが存在する。
特徴B:中帯域における流体騒音の強度(音圧)は、風路12の径が小さくなるほど、つまり、風速が上がるほど顕著に増加する。
ここで、流体騒音のスペクトルは、各周波数における流体騒音の強度(音圧:単位はdB)を示す音響スペクトルであり、図6に示す測定系にて測定可能である。
図6に示す測定系について説明すると、送風源10と消音器(以下、測定用消音器60)の入口とを上流側風路16を通じて連結し、測定用消音器60の出口から下流側風路18を残響室Zまで延ばす。上流側風路16は、例えばホースによって形成され、下流側風路18は、例えばタイダクトホースによって形成される。そして、送風源10を作動させて送風させ、一定の風量で上流側風路16、測定用消音器60の内部、及び下流側風路18のそれぞれにて風を流し、下流側風路18の出口から放出される音の音圧を、残響室Z内で点在した複数のマイクにて測定する。送風源10由来の騒音は、測定用消音器60により吸音され、測定用消音器60の下流側では、主として、流体騒音が風路内を伝播する。そのため、図6に示す測定系では、残響室Z内のマイクを用いて、流体騒音の音圧を測定することができる。
上記の特徴に関して、本発明者らは、流体騒音の風速依存性について測定試験を行った。具体的に説明すると、図6に示す測定系を用い、風速(正確には、平均風速)を6m/s、9m/s、10m/s、11m/s、12m/s、及び13m/sに設定し、下流側風路18の端から放出される音の音圧を残響室Zで測定した。上記の測定試験において、送風源10は、シロッコファンであり、上流側風路16は、中部ビニール工業製の透明ビニールホース(型番:トウメイビニールホース 28×34-50)によって構成されている。下流側風路18は、タイガースポリマー社のタイダクトホース(品名、タイダクトホースN型、型番N-32-20-L6)によって構成されている。
図7に、測定結果を示す。図7から分かるように、流体騒音のスペクトルにおいて中帯域にピークが存在し、風速が上がるほど、流体騒音の音圧が顕著に増加する。また、流体騒音のピーク周波数、詳しくは、タイダクトホース内で発生した流体騒音の最大ピーク周波数は、風速が大きくなるほど、高周波側にシフトすることが明らかになった。
ここで、特徴Bに関しては、流体的観点と音響的観点の特徴がある。これらの特徴について、本発明者らは、流体と音響の観点からシミュレーションを実施した。
流体的特徴に関しては、図8Aに示す円管状の計算モデルを用い、風路を形成するダクト内の乱流のエネルギーに関するシミュレーションを実施した。このシミュレーションでは、ダクトの径及び風量(単位時間当たりの送風量)を変化させ、各条件での乱流のエネルギーを数値計算した。シミュレーションの結果として、図8Bに示す結果が得られた。
図8Bは、ダクト内で生じる乱流エネルギーとダクト径との関係を示す図であり、横軸は、ダクト径(単位はm)を示し、縦軸は、乱流のエネルギーの規模(厳密には、レイノルズ数によって規格化された値)を示している。また、図8Bには、風量が25m/h、38m/h、及び51m/hのそれぞれに設定された場合のグラフが示されている。
図8Bから分かるように、ダクト径の減少によって風路内での風速が速くなり、風速が速くなるなるほど、風路の内壁に発生する乱流のエネルギーが桁違いに大きくなる。そして、乱流のエネルギーが大きくなると、風路内で発生する流体騒音(風路内での送風による風路内での発生音)が顕著に増大する。
音響的特徴に関しては、図9Aに示す計算モデルを用い、風路内で発生する流体騒音の音量(音波の振幅)をシミュレーションした。図9Aの計算モデルでは、ダクト内壁付近での乱流に起因する流体騒音について、仮想的な音源(図9A中の下線にて表記)をダクト内壁に配置した。そして、上記の音源から放射される騒音のうち、ダクト出口に配置された半球状の検出面に到達する音(厳密には音波)の単位面積あたりの振幅を騒音量として計算した。また、流体騒音の騒音量は、ダクト径を変化させてダクト径毎に計算した。なお、各ダクト径について実施された騒音量の計算では、音源のエネルギー(入射エネルギー)が一定であるという前提条件を設定した。
上記のシミュレーションの結果として、図9Bに示す結果が得られた。図9Bは、ダクト内での乱流発生に起因する流体騒音の騒音量とダクト径(直径)との関係を示す図であり、横軸は、周波数(単位はHz)を示し、縦軸は、騒音量(単位はdB)を示している。また、図9Bには、ダクト径が25mm、50mm、100mm、150mm及び200mmのそれぞれに設定された場合のグラフが示されている。
図9Bから分かるように、カットオフ周波数では、ダクト径が小さくなるほど、流体騒音の騒音量が増大することが分かった。これは、ダクト径が小さくなるほど、ダクト断面積方向の音響的Q値が大きくなることが原因であると推察される。なお、カットオフ周波数は、ダクト径(直径)に応じて決まり、具体的には、音速をc(m/s)とし、ダクトの直径をd(mm)とした場合に、カットオフ周波数fc(Hz)は下記の式(1)により計算される。
fc=c/(2×d) 式(1)
上記の式(1)によれば、ダクト径が150mm以下である場合のカットオフ周波数は、1kHz以上となる。この場合、上記の計算結果によれば、1kHz近傍の周波数帯域において流体騒音の音量が増大することになる。
上記の結果に基づいて、本発明者らは、風路12の径が小さくなるほど、流体的特徴及び音響的特徴の双方が相俟って、風路内で発生する流体騒音が著しく大きくなることを明らかにした。そして、送風システムSでは、図1に示すように、風路12内で発生する流体騒音と、流体騒音より低周波の成分を有する送風源10由来の騒音と、を含む騒音(以下、複合騒音)が、送風先に伝播される。なお、図1では、送風源10由来の騒音を白抜き矢印で、流体騒音を黒塗りの矢印で、それぞれ表している。
本発明者らは、上記の現象を考慮して、複合騒音を効率よく低減できる消音器付き風路100の構成を鋭意検討した。具体的に説明すると、図10に示すように、消音器20の一次の消音ピークの周波数が、風路12内での送風による風路12内での発生音(すなわち、流体騒音)の強度が最大となる周波数よりも低くなっている。図10は、消音器20の消音スペクトル、送風源10による騒音のスペクトル、及び流体騒音のスペクトルを示す模式図である。図10において、横軸は周波数を示し、消音スペクトルについての縦軸は、消音器20の消音度合い(具体的には、透過損失)を示し、騒音スペクトルについての縦軸は、騒音の強度(具体的には、音圧)を示している。
消音器20の一次の消音ピークの周波数は、消音器20の消音スペクトルにおける最低次のピークの周波数である。消音器20の消音スペクトルは、各周波数における消音器20の消音度合いを示す。消音度合いは、消音器20の消音性能を示す尺度であり、例えば、透過損失又は吸音率のように大きいほど高い性能であることを示す。なお、消音器20の透過損失は、音響管測定によって測定される透過率から算出可能である。音響管測定法では、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従い、4端子マイク(不図示)を用いた透過率と反射率の測定系を作製して評価を行う。この際、例えば音響管の内部直径を4cmに設定すると、上記の測定系で4000Hz程度まで測定可能となる。また、これと同様の測定は、日本音響エンジニアリング製WinZacMTXを用いることができる。
流体騒音の強度が最大となる周波数(以下、流体騒音の最大ピーク周波数という)は、流体騒音のスペクトルにおいて音の強度(具体的には、音圧)が最大となる周波数である。本実施形態では、流体騒音のスペクトルを図6に示す測定系にて測定し、測定されたスペクトルの波形について近似曲線を求め、その近似曲線において音圧が最大となる周波数を、流体騒音の最大ピーク周波数として用いている。
以上のように、本実施形態では、消音器20の一次消音ピークの周波数が流体騒音の最大ピーク周波数より低い。このような周波数の大小関係により、風路12内を伝播する複合騒音を効率よく低減することができる。
詳しく説明すると、送風源10由来の騒音は、図10に示すように低周波から高周波に亘る広帯域の騒音である。一方、風路12のうち、消音器20の下流側の部分を風が流れることで流体騒音が発生するが、この騒音は、もはや消音器20によって消音(低減)することができない。また、送風源10由来の騒音の音圧は、低周波側で大きくなる。
以上の点を考慮し、消音器20の一次消音ピークの周波数(すなわち、消音性能が高くなる周波数)を低周波側、詳しくは流体騒音の最大ピーク周波数より低くすることで、送風源10由来の騒音を十分に消音(低減)できる。この結果、総合的に見て、複合騒音を大きく消音することができる。
消音器20の一次の消音ピークの周波数は、消音器20の種類、消音器20の形状及び構造、並びに、消音器20内に配置される吸音材50の種類及び形状に応じて決まる。
具体的に説明すると、図2に示す消音器20では、拡張部28内の空洞の幅(送風方向における長さ)を変えることで、一次の消音ピークの周波数が調整可能である。より詳しく説明すると、図2に示す消音器20は、サイドブランチ型の消音器であり、空洞の幅は、サイドブランチの長さ(図2中、記号Lにて表記)に相当する。また、空気調和・衛生工学第81巻第1号p51に記載されているように、サイドブランチの長さL(単位:m)と、一次の消音ピークの周波数f1(単位:Hz)とは、下記の関係式(2)を満たす。
f1=c/(4×L) 式(2)
また、図3に示す消音器20Xでは、拡張部28内の空洞の幅(送風方向における長さであり、図3中、記号Wにて表記)を変えることで、一次の消音ピークの周波数が調整可能である。具体的には、消音器20Xにおける一次消音ピークの周波数f2(単位:Hz)と、空洞の幅W(単位:m)とは、下記の関係式(3)を満たす。
f2=c/(4×W) 式(3)
また、図4及び5に示す消音器20Y、20Zでは、開口(具体的には、孔38又は微細穿孔)の大きさ及び開口率、並びに背面空間42の体積を変えることにより、一次の消音ピークの周波数が調整可能である。
また、一次の消音ピークでの消音度合い(消音性能)、及び二次以降の消音ピークでの消音度合いは、消音器20の構造等に応じて変化し得る。そして、一次の消音ピークでの消音度合いと、及び二次以降の消音ピークでの消音度合いとの大小関係に応じて、消音器20の配置位置を決めるのが好ましい。
具体的に説明すると、図10に示すように一次の消音ピークでの消音度合いが二次以降の消音ピークでの消音度合いより大きい場合、消音器20は、低周波側で消音性能を効果的に発揮する。その場合には、図1に示すように、消音器20が、風路12の途中位置に設けられ、且つ、送風源10及び風路12の出口のうち、送風源10により近い位置に配置されているのがよい。つまり、風路12における半分の位置よりも上流側に消音器20が配置されているのが好適である。
他方、図11に示すように、消音器20は、二次以降の消音ピークでの消音度合いが一次の消音ピークでの消音度合いより大きくなる構造を有する場合がある。このような構造の消音器20であれば、送風源10由来の騒音に対する消音効果を示すとともに、流体騒音をも低減することができる。その場合、上記2つの騒音をそれぞれ効率よく消音する観点から、図12に示すように、消音器20が、風路12の途中位置に設けられ、且つ、送風源10及び風路12の出口のうち、出口により近い位置に配置されているのがよい。つまり、風路12における半分の位置よりも下流側に消音器20が配置されているのが好適である。
なお、一次消音ピークの周波数、及び、二次以降の各消音ピークでの消音度合いは、上述したように消音器20の構造等に応じて決まり、これらを制御する観点から、消音器20の容器22は、成形が容易な材料により構成されるのが好ましい。具体的には、樹脂材料によって容器22が構成されるのが好ましい。
また、本実施形態により複合騒音を効率よく消音するという効果は、消音器20の配置位置、風路12の径、及び送風条件等に応じて際立ち、より有意義なものとなり得る。例えば、消音器20が、外壁Wによって隔てられた二つの空間のうち、送風源10が配置された屋外空間に配置されている場合には、上記の効果がより有意義なものとなる。
詳しく説明すると、送風先の部屋Rを静かにする理由から、送風源10が送風先の部屋Rとは反対側の空間に置かれる傾向にある。その場合、一次消音ピークの周波数が流体騒音ピークの最大ピーク周波数より低い消音器20を、送風源10と同じ空間に配置することで、その消音器20により、送風源10由来の騒音を適切に消音することができる。
ただし、これに限定されず、消音器20が送風先の部屋Rに配置されてもよい。
また、風路12の各部の断面における平均風速が1m/s以上である場合には、上記の効果がより有意義なものとなる。ここで、断面における平均風速とは、単位時間(例えば、1秒)あたりに風路12内を流れる風量と、風路の断面積とに基づいて算出される風速のことであり、例えば、単純に風量を断面積で除して求められる風速である。なお、風量は、風路12の出口に風速計を設置し、その風速計にて測定された風速から測定することができる。
平均風速が1m/s以上である場合には、風路12内で乱流が生じて流体騒音が発生し易くなり、流体騒音を考慮して複合騒音を効率よく消音するという効果が際立って発揮されるようになる。なお、平均風速は、1m/s以上であることが好ましく、より好ましくは、5m/s以上であるとよく、特に好ましくは、10m/s以上であるとよい。
また、本実施形態では、風路12が外壁Wを貫通しており、その貫通孔のサイズ(径)が小さくなるほど平均風速が大きくなる。そして、貫通孔の径が150mm以下になると、前述したように、流体的影響及び音響的影響(具体的には、前述の特徴A、B)によって、風路12内で発生する流体騒音が格段に大きくなる。この場合には、上記の効果が一段と際立って発揮されるようになる。
なお、外壁Wに設けられた上記の貫通孔の径は、150mm以下であることが好ましく、より好ましくは、100mm以下であるとよく、特に好ましくは、50mm以下であるとよい。
また、風路12の内周面が、図2に示すように凹凸が形成された凹凸領域12aを含む場合には、上記の効果がより有意義なものとなる。凹凸領域12aは、例えば、タイダクトホースあるいはフレキシブルホースの内周面のようにホースの延出方向において山と谷が交互に繰り返される蛇腹状の領域である。また、凹凸領域12aは、内部に螺旋状のワイヤが埋め込まれたホースの内周面において、ホースが埋め込まれた部分が規則的に***して形成された領域でもよい。また、凹凸領域12aは、風路12の途中に設けられた継手又は弁等において、周辺の領域よりも内側に突出した部分、あるいは周辺の領域に対して埋没した部分が形成された領域でもよい。
風路12の内周面に凹凸領域12aが含まれる場合には、風路12内で乱流がより発生し易くなるために、流体騒音が一段と発生し易くなり、流体騒音を考慮して複合騒音を効率よく消音するという効果が、さらに際立って発揮されるようになる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1及び比較例1>
本発明の消音器付き風路による効果に関して行った試験(実施例1)と、その比較試験(比較例1)について説明する。
(実施例1)
実施例1では、図2に示す消音器(以下、低周波消音器)を使用した。低周波消音器は、風路12の途中位置に配置された拡張部28内(空洞)に吸音材50が配置された構造である。拡張部28内には、拡張部内風路32が設けられ、拡張部内風路32を囲む位置に筒状の吸音材50(製品名:ミクロマット)を配置した。また、吸音材50の孔部には、拡張部28の幅よりも軸長が短い内筒30を挿入した。また、送風方向において内筒30と隣接する位置には、拡張部内風路32と連通する開口部34を設けた。
風路12のうち、拡張部内風路32以外の部分の径(直径)、及び、吸音材50の孔部の径(つまり、内筒30の外径)は、いずれも28mmである。開口部34の開口幅(送風方向における長さ)は、200mmである。また、開口部34が設けられることで、吸音材50が、開口部34を通じて拡張部内風路32に臨んで露出することとした。
実施例1の低周波消音器は、サイドブランチ型の消音器であり、その長さL(図2参照)は、120mmである。この場合、低周波消音器における1次の消音ピークの周波数f1は、上記の式(2)を用いて求めると、700Hzとなる。この値は、図13に示すように、低周波消音器が接続された音響管にて測定された消音スペクトルにおける1次の消音ピークの周波数と略一致する。
図13は、音響管測定法で測定した消音スペクトルを示す図であり、実施例1の低周波消音器、及び、比較例1の高周波消音器のそれぞれの消音スペクトルを示す。図13において、横軸は、1/3オクターブバンドの中心周波数(Hz)を示し、左側の縦軸は、透過損失(dB)を示している。
また、図13には、図7中、風速9m/sである場合の流体騒音のスペクトルが併せて示されている。なお、図13の右側の縦軸は、上記の流体騒音について測定されたマイク音圧(dB)を示している。
図13から分かるように、実施例1の低周波消音器について測定された1次の消音ピークの周波数は、630Hzであり、風速9m/sである場合の流体騒音の最大ピーク周波数よりも低周波側にある。ここで、流体騒音の最大ピーク周波数は、流体騒音のスペクトルの波形について求めた近似曲線において音圧が最大値となるときの周波数である。
(比較例1)
比較例1では、図3に示す消音器(以下、高周波消音器)を使用した。高周波消音器は、風路12の途中位置に配置された拡張部28内(空洞)に吸音材50が配置された構造である。拡張部28内には、拡張部内風路32が設けられ、拡張部内風路32を囲む位置に筒状の吸音材50(製品名:ミクロマット)を配置した。比較例1では、実施例1で用いた内筒30を用いず、また、実施例1で設けた開口部34を設けていない。つまり、比較例1では、拡張部内風路32の全範囲が吸音材50と隣接している。
風路12のうち、拡張部内風路32以外の部分の径(直径)、及び、吸音材50の孔部の径(つまり、拡張部内風路32の径)は、いずれも28mmである。
比較例1では、拡張部28内の空洞の幅Wが60mmであり、上記の式(3)から求められる1次の消音ピークの周波数f2は、1400Hzとなる。この値は、図13に示すように、高周波消音器が接続された音響管にて測定された消音スペクトルにおける1次の消音ピークの周波数と略一致する。
また、図13から分かるように、比較例1の高周波消音器について測定された1次の消音ピークの周波数は、1600Hzであり、風速9m/sである場合の流体騒音の最大ピーク周波数よりも高周波側にある。
(複合騒音に対する消音効果の評価)
実施例1及び比較例1のそれぞれについて、複合騒音に対する消音効果を測定した。具体的には、図6に示す測定系において、送風源10を作動させて送風している状態において、下流側風路18の末端から放出される音(すなわち、複合騒音)の音圧を測定した。なお、測定系の構成については、消音器を除き、前述した「流体騒音の風速依存性についての測定試験」と同様の構成とした。実施例1では、図6に示す測定系における測定用消音器60の位置に、低周波消音器を配置した。比較例1では、図6に示す測定系における測定用消音器60の位置に高周波消音器を配置した。また、実施例1及び比較例1では、いずれも、拡張部内通路32が上流側風路16及び下流側風路18の間にあり、各々の風路16、18と連通(連続)している。
また、消音器を配置しない系をリファレンスとして設定した。
そして、実施例1、比較例及びリファレンスのそれぞれについて、風路内の風速(正確には平均風速)が約9m/sとなる条件で送風源10から送風し、その場合に下流側風路18の末端から放出される音の音圧を測定した。それぞれの測定音のスペクトルを図14に示す。
図14の横軸は、1/3オクターブバンドの中心周波数(Hz)を示し、縦軸は、マイク音圧(dB)を示している。
また、図14のそれぞれのスペクトルについて100Hz~4000Hzの帯域における騒音量(単位:dBA)を積分した値を、表1に示す。
Figure 0007249474000001
図14から明らかなように、低周波消音器を用いた測定系(実施例1)では、送風源10由来の騒音のうち、低周波の音を消音しているため、1000Hz以下の周波数帯域で大きな消音効果が得られている。
一方、1000Hz以上の周波数帯域では、低周波消音器を用いた測定系、及び、高周波消音器を用いた測定系(比較例1)のいずれにおいても、消音効果が小さくなる。特に、流体騒音の音圧が大きくなる1000Hz~3000Hzの帯域では、消音効果がより小さくなる。これは、消音器よりも下流側(風下側)で発生する流体騒音が大きくなるためである。
また、表1から分かるように、流体騒音の最大ピーク周波数(1000Hz)よりも1次の消音ピークの周波数が低い低周波消音器を用いた場合には、全体的な消音効果がより大きくなる。
(実施例2)
実施例2では、図3の空洞型構造の消音器であって拡張部28の長さWが250mmである第2の低周波消音器を用いた。それ以外の条件は、実施例1と同様とした。ここで、第2の低周波消音器について、拡張部の長さWと上述の式(3)から1次の消音ピークの周波数を求めると、340Hzとなり、図15に示す消音スペクトルにおける1次の消音ピークの周波数(=400Hz)と略一致する。図15は、第2の低周波消音器について測定した消音スペクトルを示す図である。
実施例2では、第2の低周波消音器について測定された1次の消音ピークの周波数が、400Hzであり、風速9m/sである場合の流体騒音の最大ピーク周波数よりも低周波側にある。
また、図15から分かるように、第2の低周波消音器では、1次の消音ピークでの透過損失に比べて、2次以降の消音ピークでの透過損失の方が高く、高周波であるほど、透過損失が高くなっている。つまり、第2の低周波消音器は、流体騒音の音圧が大きくなる周波数帯域においても消音可能な特性を有する。この場合、第2の低周波消音器を風路12の出口側に配置することで、より効果的に複合騒音を消音することができる。
以上までに説明してきたように、実施例1、2では、消音器の1次の消音ピークの周波数が流体騒音の最大ピーク周波数よりも低くなっていることから、本発明の効果は明らかである。
10 送風源
12 風路
12a 凹凸領域
14 風路形成部材
16 上流側風路
18 下流側風路
20,20X,20Y,20Z 消音器
22 容器
24 入口側接続部
26 出口側接続部
28 拡張部
30 内筒
32 拡張部内風路
34 開口部
36 仕切り部材
38 孔
40 多孔板
42 背面空間
50 吸音材
60 測定用消音器
100 消音器付き風路
R 送風先の部屋
S 送風システム
W 外壁(壁)
Z 残響室

Claims (11)

  1. 送風源に接続された風路と、前記風路の出口から放出される音を低減する消音器と、を備える消音器付き風路であって、
    前記消音器の一次の消音ピークの周波数が、前記風路内での送風による前記風路内での発生音の強度が最大となる周波数よりも低く、
    前記消音器は、前記消音器の二次以降の消音ピークでの消音度合いが前記一次の消音ピークでの消音度合いより大きくなる構造を有し、
    前記消音器は、前記風路の途中位置に設けられ、且つ、前記送風源及び前記出口のうち、前記出口により近い位置に配置されている、消音器付き風路。
  2. 前記風路は、二つの空間を隔てる壁を貫通しており、
    前記消音器は、前記二つの空間のうち、前記送風源が配置された空間内に配置されている、請求項1に記載の消音器付き風路。
  3. 前記風路が、建物を構成する前記壁を貫通している、請求項2に記載の消音器付き風路。
  4. 前記風路が、前記送風源であるファンに接続されている、請求項1に記載の消音器付き風路。
  5. 前記消音器の内部には、吸音材が備えられており、
    前記吸音材は、非金属体であり且つ無機物以外の材料によって構成されている、請求項1に記載の消音器付き風路。
  6. 前記消音器内には前記風路の一部が設けられており、
    前記消音器において、前記吸音材は、前記消音器内に設けられた前記風路の一部を囲む位置に配置されている、請求項5に記載の消音器付き風路。
  7. 前記消音器が樹脂製の容器を含む、請求項1に記載の消音器付き風路。
  8. 単位時間あたりに前記風路内を流れる風量と、前記風路の断面積とに基づいて算出される風速が1m/s以上である、請求項1に記載の消音器付き風路。
  9. 前記風路の内周面は、凹凸が形成された凹凸領域を含む、請求項1に記載の消音器付き風路。
  10. 前記消音器は、前記風路のうち、前記壁に沿って配置された部分に取り付けられている、請求項2に記載の消音器付き風路。
  11. 送風源に接続された風路と、前記風路の出口から放出される音を低減する消音器と、を備える消音器付き風路であって、
    前記消音器の一次の消音ピークの周波数が、前記風路内での送風による前記風路内での発生音の強度が最大となる周波数よりも低く、
    前記消音器は、前記消音器の前記一次の消音ピークでの消音度合いが前記消音器の二次以降の消音ピークでの消音度合いより大きくなる構造を有し、
    前記消音器は、前記風路の途中位置に設けられ、且つ、前記送風源及び前記出口のうち、前記送風源により近い位置に配置されている、消音器付き風路。
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