JP7249058B2 - 糞尿処理用資材 - Google Patents

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本発明は、木質薄片を主成分とする糞尿処理用資材に関する。
牛舎、豚舎、厩舎等で家畜を飼育する際に、またマウス、ラット等の実験動物をケージ内で飼育する際に、床面に敷料(敷床、床敷ともいわれる)が用いられる。敷料は、クッション又は保温材として動物に快適な環境を提供するだけでなく、動物から排出される糞尿を吸収して飼育環境を衛生的に保つこと等を目的として使用される。
敷料としては、稲わら、麦桿、オガ粉、籾殻、木材チップ、バーク、樹皮、紙、ヤシ殻チップ、リサイクル堆肥、砂、パルプスラッジ等が通常用いられる。特に、オガ粉やチップ等の林産資源を加工した木質系資材が敷料として多用される。
しかし、飼育環境を衛生的に保つことを目的の一つとして使用される敷料も、糞尿で汚染された後では、敷料自体が雑菌の温床となり、特に家畜に対して***炎、下痢症等の感染症を誘発する場合がある。そのため、汚染された敷料はなるべく短期間に新しい敷料と交換する必要があるが、それは結果として交換作業の負担増と、糞尿で汚染された大量の廃棄物をもたらすこととなる。
また、オガ粉に代表される木質系資材は、従来から慢性的な供給量不足という問題を抱えていたが、平成11年に施行された「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(通称:家畜排せつ物管理法)」の下で糞尿の適切な管理と利用が求められるようになり、糞尿に十分量の木質系資材を混合して固形物にする需要が増加した結果、必要量の確保がさらに難しくなっている。加えて、近年の建造物需要の増大等による木材価格の高騰が木質系資材の価格を押し上げている。このような木質系資材の供給不足及び価格上昇は、短期間での敷料交換の妨げとなり、感染症等の問題を増大させるおそれがある。
敷料の価格を抑える手段として、木材をその軸方向に対し斜めにスライスすることによって得たカール状の削り片をさらに破砕することによって製造したウッドチップを敷料として利用することが提案されている(特許文献1)。かかるウッドチップを利用することで、利用可能な樹木の種類の範囲が広がり、敷料の価格を抑えることができるとされている。しかし、かかるウッドチップについての雑菌繁殖の抑制効果は不明である。
また、雑菌繁殖を防ぐための抗菌性を有する敷料も提案されている。そのような敷料として、例えば、コーヒー抽出粕と水分含量が20%以下のオガ粉とを含有する家畜飼育用敷料(特許文献2)、敷料基材にキトサンと抗菌性銀とを含浸させた動物飼育用消臭抗菌敷料(特許文献3)等が提案されている。
このような抗菌性の付与は、雑菌繁殖を防止する一方で、別の問題を生じさせる。通常、糞尿で汚染された敷料は堆肥化され、作物の栽培等に再利用される。堆肥化において、敷料には、糞尿処理用資材として、処理物の水分を調整する機能及び微生物による発酵を促進させる機能等を有することが求められるが、上記の抗菌性の付与は堆肥化における微生物発酵の妨げとなるおそれがある。加えて、抗菌性の付与は敷料の価格を高める原因ともなり得る。
木質系資材の需要増大及び価格高騰という問題は、木質系の糞尿処理用資材を使用するコンポストトイレ(バイオトイレと呼ばれることもある)の普及にも影響を与えている。コンポストトイレは、オガ粉を主とする木質系の糞尿処理用資材に糞尿を吸収させ、微生物の力を利用して糞尿を木質系資材ごと分解処理して堆肥化するものである。コンポストトイレは、先進国においては山岳地域や国定自然公園等の水の供給が困難な場所で、また下水道に関するインフラ整備が不十分ないわゆる開発途上国では日常生活圏において、利用が期待されている。特に開発途上国でのコンポストトイレの普及は、木質系の糞尿処理用資材に対して相当な需要をもたらすが、先に述べた木材原料の不足と価格の高騰が障害となり得る。
特開2001-148954号公報 特開2009-148304号公報 特開2009-124952号公報
本発明は、低コストで製造することが可能な木質系の糞尿処理用資材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、木材表面の仕上げ加工として知られているカンナ掛けによって生じる木質薄片(カンナ屑ともよばれる)であって、特定の厚み及び大きさを有するものが、糞尿処理用資材として望ましい特性を有することを見出し、以下の発明を完成させた。
(1)厚さ0.05~0.5mm、長さが1cm~30cm及び幅が1cm~3cmの木質薄片を主成分とする糞尿処理用資材。
(2)敷料として利用される、(1)に記載の糞尿処理用資材。
(3)水分調整材として利用される、(1)に記載の糞尿処理用資材。
(4)コンポストトイレで利用される、(1)に記載の糞尿処理用資材。
(5)厚さ0.05~0.5mm、長さが1cm~30cm及び幅が1cm~3cmの木質薄片を主成分とする木質資材と糞尿を混合する工程、及び混合物を発酵させて堆肥化する工程を含む、堆肥の製造方法。
(6)厚さ0.05~0.5mm、長さが1cm~30cm及び幅が1cm~3cmの木質薄片を主成分とする木質資材と糞尿を混合する工程、及び混合物を発酵させる工程を含む、糞尿の処理方法。
本発明の糞尿処理用資材は、嵩密度が低くかつ木材からの歩留まり率が高い木質薄片を主成分とすることから、低コストの敷料、水分調整材又はコンポストトイレ用の糞尿処理材として利用することができる。また、糞尿との混合前後で水分活性の変動が少なく、敷料として使用したときの雑菌繁殖の抑制に効果的であることに加えて、糞尿と共に堆肥化するときの効率性が優れるという利点を有する。
オガ粉又は木質薄片を敷料として用いた牛床に牛が横臥状態で滞在した時間の割合(牛床占有率)を示すグラフである。 未使用又は敷料として使用後のオガ粉及び木質薄片の水分物性(水分量、表面水分量、水分活性)を示すグラフである。 未使用又は敷料として使用後のオガ粉及び木質薄片の細菌数(大腸菌群数、一般細菌数)を示すグラフである。 糞尿スラリーに浸漬した汚染オガ粉及び木質薄片の水分物性(水分量、表面水分量、水分活性)を示すグラフである。 糞尿スラリーに浸漬した汚染オガ粉及び木質薄片の細菌数(大腸菌群数、大腸菌数、一般細菌数)を示すグラフである。 糞尿スラリーからオガ粉又は木質薄片の層を通過して排出されたレキ汁の量を示すグラフである(n=3)。 木質薄片を含む堆肥原料、オガ粉を含む堆肥原料及び資材を含まない堆肥原料の、堆肥化試験中の発酵温度の推移を示すグラフである。 木質薄片を含む堆肥原料、オガ粉を含む堆肥原料及び資材を含まない堆肥原料の、堆肥化試験後の堆肥容量を示すグラフである。 糞尿、堆肥化試験中の木質薄片を含む堆肥原料及び試験終了後の堆肥の臭気レベルを示すグラフである。
本発明の第1の態様は、厚さ0.05~0.5mm、長さが1cm~30cm及び幅が1cm~3cmの木質薄片を主成分とする糞尿処理用資材に関する。
本発明における木質薄片は、いわゆるカンナ屑のような、樹木、特に幹の部分である木材を面状に切削して得られる薄い切削片である。その厚さは0.05~0.5mm、好ましくは0.05mm~0.3mm、より好ましくは0.05mm~0.2mmである。また長さは1cm~30cm、好ましくは1cm~20cm、より好ましくは2cm~15cmであり、幅は1cm~3cmである。また、形状は概ね正方形~長方形であることが好ましいが、これらには限定されず、また不揃いであってもよい。
本発明における木質薄片は、切削片の厚みが前述の範囲となるように刃先を調節した市販の超仕上げかんな盤を用いて木材を削ることで得られる切削片をそのまま利用してもよく、又は例えば裁断機を用いて切削片を所定の大きさに整えることで作製することができる。木材としては、1cm~3cm幅の角材、又は予め1cm~3cm間隔で切れ目を入れた角材を用いることが好ましいが、これには限定されない。
木材の種類に特に制限は無いが、好ましい例としては、トドマツ、ミズナラ、樫、ヒノキ、イチイ、栂、ケヤキ等の比較的硬めもの、又はカラマツを挙げることができる。特に好ましい木材は、トドマツ、ミズナラ又はカラマツである。
本発明における木質薄片は、その水分活性が0.80以下、好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.7以下であることが望ましい。水分活性の下限値は、0より大きい値であれば制限はない。水分活性(Water Activity、wa)は、一般的には食品中の自由水の割合を表す数値であるが、本発明においては、木質薄片中の自由水の割合を意味し、木質薄片を入れた密閉容器内の水蒸気圧(P)とその温度における純水の蒸気圧(PO)の比すなわちP/POで定義される値として表される。水分活性が0.80以下である場合、ほとんどの細菌、酵母及びカビは生育不可能となる。本発明における木質薄片の水分活性は、木材から削り出された切削片を常温常湿の環境下に放置しておくだけで0.80以下となるが、特に湿った木材等を削って切削片を調製したときは、オーブン等で熱乾燥したり、又は風乾したりすることで、上記の値となるように調節してもよい。
本発明の第1の態様にかかる糞尿処理用資材は、上記の木質薄片を主成分とするものである。ここで主成分とは、上記の木質薄片が糞尿処理用資材の大部分を占めるが、上述の寸法から外れた木質薄片、例えば切削片の裁断において副次的に生じ得る木質薄片であってその長さ及び/若しくは幅が上述の範囲から外れた木質薄片、又は一部が欠けたり破れたりした木質薄片若しくはその欠けた破片等が多少混入していてもよいことを意味する。また、糞尿処理用資材とは、家畜又はヒトの糞尿を処理する際に、糞尿を固形化したり及び/又は処理物の水分量を調節したりするために、糞尿と混ぜ合わせて使用される資材をいう。以下、本発明の第1の態様にかかる糞尿処理用資材を本件資材と表す。
原料木材の体積を1としたときの当該木材から製造される本件資材の総体積の比(歩留まり比)は18倍を越え、オガ粉の歩留まり比の約5,6倍に相当することから、本件資材は木材資源の有効活用において有利である。さらに、本件資材は、オガ粉と異なり細かな粉塵が発生しにくく、また農耕作業用のフォークでも取り扱うことが可能である等、作業性に優れるという特徴を有する。
本件資材は、敷料、特に家畜用敷料として利用することができる。敷料としての利用方法は特別なものではなく、従来の敷料、典型的にはオガ粉に代えて、必要量の本件資材を床面に敷けばよい。本件資材は、同じ重量のオガ粉と比較して嵩密度が低い、すなわちオガ粉よりも嵩高く、敷料としての緩衝性及び保温性に優れる。また、その嵩高さから、単位床面積に敷くときに必要とされる本件資材の重量は、オガ粉のそれより少量で済む。ある一態様において、敷料として用いられるときの本件資材の必要重量は、オガ粉を敷料として用いる場合の1/4程度で足りる。
また、後の実施例で示されるように、本件資材の水分活性は、敷料として使用される前後で0.1程度しか変化せず、また糞尿等で高度に汚染された状態でも細菌数の増加を抑制し、さらには細菌数を減少させることができる。したがって、本件資材を用いて飼育された家畜においては、周産期疾病や環境性***炎といった敷料の微生物汚染に起因する感染症への罹患の抑制が期待される。
本件資材の床占有率(家畜が敷料の上に横臥している時間/同敷料を使用して家畜を飼育した総時間)はオガ粉のそれよりも高い傾向にあり、従来使用されているオガ粉と比較しても、家畜に忌避されることなく利用される。
敷料として使用されて糞尿等で汚染された本件資材は、糞尿と共に堆肥化することができる。本件資材を含む糞尿を堆肥化するときの発酵温度は、オガ粉を含む糞尿を堆肥化するときの発酵温度と同等にまで上昇し、堆肥の臭気の低減と堆肥容量の減容が達成される。さらに本件資材は、水分調整材としての機能も有しており、糞尿から滲出する汚水(レキ汁)を排出する能力が高い。水分が多い糞尿に対して本件資材を適用することで、糞尿の水分量を、堆肥化における微生物発酵に適した水分量にまで低下させることができる。ある一態様において、水分調整材として用いられるときの本件資材の必要重量は、オガ粉を水分調整材として用いる場合の1/10程度で足りる。加えて、オガ粉を用いた場合は十分な堆肥化には2回程度の切り返しが必要となることが多いが、本件資材はこれを1回の切り返しにより達成することができる。すなわち本件資材は、敷料として使用された際には雑菌繁殖の抑制を、堆肥化において使用された際には水分調整及び十分な堆肥化を実現することができる糞尿処理用資材である。
さらには、本件資材は、コンポストトイレにおける糞尿処理用資材としても利用することができる。コンポストトイレに用いる場合には、敷料としての緩衝性及び保温性等、又は家畜動物の感染症の抑制能は必要とされないが、その他の特徴、例えば優れた作業性、高い歩留まり率、水分調整性能等は、コンポストトイレ用の糞尿処理用資材として有利な特徴であり得る。
本件資材を糞尿処理において使用したときは、糞尿等で汚染された使用後の本件資材を適当な槽の中で自然発酵させたり、又は適当な曝気装置を利用して曝気処理したり等して、堆肥を製造する又は糞尿を分解処理すればよい。分解処理又は曝気処理の条件としては特別なものは必要なく、公知の装置又は方法に用いて適宜行うことができる。
以上の説明から明らかなように、本発明における木質薄片を主成分とする木質資材の利用は、かかる木質資材と糞尿とを混合する工程、及び混合物を発酵させて堆肥化する工程を含む、堆肥の製造方法として表すことができる。また、前記木質資材の利用は、かかる木質資材と糞尿を混合する工程、及び混合物を発酵させる工程を含む、糞尿の処理方法として表すこともできる。いずれの方法においても、従来使用されてきたオガ粉等と比較してより少量の資材で糞尿を効率的に処理することが可能となる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1.木質薄片の製造及び密度・取扱性の評価
リョービ株式会社製超仕上げかんな盤(SL-361X)を用意し、厚さ0.1mmの木質薄片が生成されるようにかんな盤のセッティングを調節した。幅10cmのカラマツの角材(長さ3m)をそのまま又は長手方向に2cm若しくは5cmの間隔で電動丸鋸により溝を加工した後、かんな盤で切削し、裁断機で長さを調節して、木質薄片1~9を調製した。
各木質薄片、ウッドシェーブ(カナダ産、胆振酪農商事)及びオガ粉(荒目仕上げ、亜高社製)について厚さを測定した。また各資材を内径56cm、深さ88cm、有効内容量200Lの容器へ充填したときの密度を堆積時の密度とし、上部から94kgの荷重を積載し資材の圧密量が一定になったときの密度を3.8kPaの荷重時の密度とした。さらに該荷重を解放した後の密度(kg/m)を荷重解放後の密度として計測し、各資材の塑性及び弾力性の状態を検証した。また、排雪用スノーショベル及び農作業用フォークを用いたときの持ち運びやすさ(可搬性)と拡散しやすさ(作業性)について評価した。さらに荷重解放後の密度を原料角材の密度で除算することにより、歩留まり比を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0007249058000001
全ての木質薄片はオガ粉及びウッドシェーブと比較して堆積時密度が低い、すなわちこれらよりも嵩高く、また良好な塑性を示した。木質薄片6~9は可搬性、作業性の全ての項目において○以上の高い評価であり、中でも木質薄片7~9が優れた評価を得た。木質薄片7~9の歩留まり比はいずれも20前後と、オガ粉と比べて5~6倍、ウッドシェーブと比べても約2倍という高さであった。
実施例2.木質薄片の敷料性能の評価
(1)飼育試験
牛床占有率
実施例1の木質薄片9について、敷料としての性能を評価した。フリーストール牛舎において、22床の牛床(牛床サイズ幅120cm×長さ230cm)のうち、7床には敷料として木質薄片0.5kg/床を、3床にはオガ粉2.0kg/床を敷設し、残りの12床は敷料のない状態とした。15頭の乳牛(ホルスタイン種)を同牛舎で3日間飼育し、各牛床に牛が横臥状態で滞在する時間を測定して、全観察時間に占める滞在時間の割合を牛床占有率として算出した。
結果を図1に示す。試験1日目、2日目は木質薄片、オガ粉とも牛床占有率に差はなく、試験3日目は木質薄片を敷いた牛床の方がオガ粉を敷いた牛床よりも占有率は高かった。木質薄片は、オガ粉と同等以上に牛に好まれることが確認された。
水分物性
飼育試験終了後に敷料を回収し、未使用の敷料と共に、水分物性の測定に供した。水分物性のうち、水分量は大型高温乾燥機を用いて105℃、24時間の乾燥処理後に秤量して算出した。表面水分量はデジタル水分計(RiXEN社製M70-D、ローラー型検出器装着)、水分活性はポータブル水分活性計(AINEX社製pawkit)により測定した。その結果を図2に示す。木質薄片は、未使用、使用後のいずれにおいても、オガ粉よりも低い水分量及び表面水分量を示した。またオガ粉の水分活性は未使用状態で0.93、使用後で0.84であったのに対し、木質薄片の水分活性は未使用状態で0.65、使用後で0.71という低値であった。この木質薄片の水分活性は、病原微生物の生育限界以下の値である。
細菌数
次いで、未使用及び使用後の敷料の大腸菌群数をクロモカルトコリフォーム寒天培地法により、一般細菌数を標準寒天培地法により測定した。未使用の木質薄片において各細菌はほとんど検出されず、使用後の木質薄片においても検出された菌数はオガ粉の1/50~1/350以下という低いレベルにとどまっていた(図3)。
(2)汚染試験
乳牛糞尿に水道水を加えた水分量96%の希釈スラリーに、木質薄片又はオガ粉を1日間浸漬した。1日後に回収し、パット上で自然乾燥させた際の水分物性(水分、表面水分、水分活性)及び細菌数(大腸菌群数、大腸菌数、一般細菌数)を経時的に測定した。大腸菌数の測定は、クロモカルトコリフォーム寒天培地法により行った。木質薄片では、日数の経過と共に水分物性各パラメーターが大きく減少し(図4)、大腸菌群数及び大腸菌数も同様に減少した(図5)。これに対し、オガ粉では水分物性、細菌数ともに大きな変化は認められなかった。この結果は、木質薄片は強度に汚染されても、水分発散して水分活性を下げることで細菌、特に環境性***炎の原因菌である大腸菌群の繁殖を抑制する性能を持つことを意味する。
以上から、木質薄片は、水分量及び水分活性が低く、細菌増殖を抑制する性能を持ち、かつ牛に忌避されることのない敷料として利用可能であることが示された。
実施例3.木質薄片の水分調整性能の評価
(1)レキ汁排出試験
底部に中心部から八方向に向けて放射状に3.5cm間隔で直径7mmの穴を17カ所開けた塩化ビニル製円柱型容器(内径15.1cm、底面積180cm、有効容積2600ml)内に、実施例1の木質薄片9又はオガ粉を入れて厚さ3cmの資材層とし、その上に水分量94%の糞尿スラリー1500mlを入れて厚さ8.3cmのスラリー層を設けた。容器をそのまま静置し、スラリー層から資材層を通過して下部に排出されたレキ汁の量を経時的に測定した。その結果を図6に示す。資材層として木質薄片を用いた場合、時間の経過と共にレキ汁が排出され、木質薄片は余分な水分を排出する水分調整能を持つことが確認された。一方、オガ粉を用いた場合はレキ汁の排出は認められなかった。
(2)堆肥化試験
糞尿重量1に対して糞尿処理用資材として重量0.23のオガ粉又は重量0.02の木質薄片9を加えて堆肥原料を調製し、堆肥舎にて堆積方式で6ヶ月間、堆肥化試験を行った。堆積中、いずれの堆肥原料についても1回の切り返しを行った。各堆肥原料の詳細及び試験開始時(発酵0日目)、発酵30日目及び試験終了後(発酵180日目)の水分量を表2に示す。試験終了後、木質薄片を含む堆肥及びオガ粉を含む堆肥の水分量はいずれも、堆肥水分量として好適な80%となっていた。
Figure 0007249058000002
切り返し日を基点とした前後30日間の発酵温度の推移を図7に示す。木質薄片を含む堆肥原料及びオガ粉を含む堆肥原料はいずれも切り返し後に40℃以上の温度に到達し、その後も温度が維持された。
試験開始時の堆肥原料の容量を100としたときの試験後の堆肥容量、及び資材混合前の糞尿容量を100としたときの試験後の堆肥容量(対糞尿比)を図8に示す。6か月後の容量比は、ふん尿のみ、オガ粉を用いた場合、木質薄片を用いた場合とも同様であった。対糞尿比は、糞尿処理用資材としてオガ粉を用いた場合は堆肥化による増加が認められたが、木質薄片を用いた場合は減少が認められ、資材混合前の糞尿よりも堆肥化後の堆肥の方が低容量となっていた。
糞尿、並びに資材として木質薄片を用いた場合の切り返し前の堆肥原料及び試験終了後の堆肥の臭気を公定法である三点比較式フラスコ法にしたがって測定した。堆肥化により臭気指数は曝気処理において目標とされる37を大きく下回るレベルまで低下した(図9)。
以上から、木質薄片は、オガ粉の1/10程度の使用量で、オガ粉と同等の臭気の少ない堆肥完熟化を達成するだけでなく、堆肥化における減容量化をも達成可能な糞尿処理用資材であることが示された。

Claims (3)

  1. 厚さが0.05mm~0.5mm、長さが2cm~15cm、幅が1cm~3cmであり、かつ内径56cm、深さ88cm、有効内容量200Lの容器へ充填したときの密度が10kg/m~11kg/mである木質薄片を主成分とする、敷料として、並びに糞尿の堆肥化処理における水分調整材及び堆肥化促進材として用いるための糞尿処理用資材。
  2. 厚さが0.05mm~0.5mm、長さが2cm~15cm、幅が1cm~3cmであり、かつ内径56cm、深さ88cm、有効内容量200Lの容器へ充填したときの密度が10kg/m~11kg/mである木質薄片を主成分とする木質資材を敷料として用いる工程、並びに敷料として使用後の木質資材と糞尿とを含む混合物を発酵させて堆肥化する工程を含む、堆肥の製造方法。
  3. 厚さが0.05mm~0.5mm、長さが2cm~15cm、幅が1cm~3cmであり、かつ内径56cm、深さ88cm、有効内容量200Lの容器へ充填したときの密度が10kg/m~11kg/mである木質薄片を主成分とする木質資材を敷料として用いる工程、並びに敷料として使用後の木質資材と糞尿とを含む混合物を発酵させる工程を含む、糞尿の処理方法。
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