JP7242936B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
マルチドロップ方式のインクジェットヘッドは、インクの液滴を1ドットあたり複数回吐出することにより液滴量を調整する。この種の駆動装置は、液滴の吐出を制御する駆動回路を備える。駆動回路は、インクジェットヘッドが備えるアクチュエーターに対し、高周波の駆動信号を出力することにより液滴の吐出を制御する。
特開2012-045797号公報
発明が解決しようとする課題は、低コストで消費電力の低いインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することである。
実施形態のインクジェットヘッドは、圧力室、アクチュエーター及び印加部を含む。圧力室は、液体を収容する。アクチュエーターは、印加される駆動信号に応じて前記圧力室の容積を変化させる。印加部は、前記駆動信号を前記アクチュエーターに印加する。駆動信号は、吐出パルス及び振動パルスを含む。吐出パルスは、前記圧力室に連通したノズルから液体を吐出させる。振動パルスは、前記吐出パルスの前に印加され、前記吐出パルスとは正負逆の電位を持ち、液体の吐出を助長する圧力振動を液体に発生させる。駆動信号は、連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、前記吐出パルスの周期が前記圧力室内の液体の主音響共振周波数における半周期の1.5倍以上2.5倍以下である。
第1実施形態及び第2実施形態に係るインクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図。 図1中に示すインクジェットヘッドの一例を示す斜視図。 図1中に示すインク供給装置の概略図。 図1中に示すインクジェットヘッドに適用可能なヘッド基板の平面図。 図4に示すヘッド基板のA-A線断面図。 図4に示すヘッド基板の斜視図。 圧力室の状態を示す図。 1つの圧力室を拡張させた状態を示す図。 1つの圧力室を収縮させた状態を示す図。 第1実施形態に係る駆動回路の構成例を示す図。 第1実施形態に係る駆動波形の一例を示す図。 吐出観察写真の液滴輪郭を描画した図の一つ。 吐出観察写真の液滴輪郭を描画した図の一つ。 従来の駆動波形の一例を示す図。 第2実施形態に係る駆動回路の構成例を示す図。 1つの圧力室を収縮させた状態を示す図。 第2実施形態に係る駆動波形の一例を示す図。 第3実施形態に係る駆動波形の一例を示す図。
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。また、実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、各部の縮尺を適宜変更して示している場合がある。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係るインクジェットヘッドを含むインクジェット記録装置1の構成の一例を示す模式図である。
インクジェット記録装置1は、インクなどの液体状の記録材を用いて画像形成媒体Sなどに画像を形成する。インクジェット記録装置1は、一例として、複数の液体吐出部2と、液体吐出部2を移動可能に支持するヘッド支持機構3と、画像形成媒体Sを移動可能に支持する媒体支持機構4と、を備える。画像形成媒体Sは、例えば、シート状の紙などである。
図1に示すように、複数の液体吐出部2が、所定の方向に並列して配置された状態でヘッド支持機構3に支持される。ヘッド支持機構3は、ローラー3aに掛けられたベルト3bに取り付けられている。インクジェット記録装置1は、ローラー3aを回転させることで、ヘッド支持機構3を、画像形成媒体Sの搬送方向に対して直交する主走査方向Aに移動させることが可能である。液体吐出部2は、インクジェットヘッド10及びインク供給装置20を一体に備える。液体吐出部2は、インクなどの液体Iをインクジェットヘッド10から吐出させる吐出動作を行う。インクジェット記録装置1は、一例として、ヘッド支持機構3を主走査方向Aに往復移動させながらインク吐出動作を行うことで、対向して配置される画像形成媒体Sに所望の画像を形成するスキャン方式である。あるいは、インクジェット記録装置1は、ヘッド支持機構3を移動させずにインク吐出動作を行うシングルパス方式であっても良い。この場合、ローラー3a及びベルト3bを設けるには及ばない。またこの場合、ヘッド支持機構3は、例えばインクジェット記録装置1の筐体などに固定される。
複数の液体吐出部2のそれぞれは、例えば、CMYK(cyan, magenta, yellow, and key(black))の4色のインクのいずれかに対応する。すなわち、複数の液体吐出部2は、それぞれがシアンインク、マゼンタインク、イエローインク又はブラックインクのいずれかに対応する。そして、複数の液体吐出部2のそれぞれは、対応する色のインクを吐出する。液体吐出部2は、対応する色のインクを、画像形成媒体S上の1画素に対して1又は複数の液滴を連続吐出することができる。連続吐出された回数が多い画素ほど、1画素に対して着弾する液滴の量が多くなる。したがって、連続吐出された回数が多い画素ほど、対応する色が濃く見える。これにより、インクジェット記録装置1は、画像形成媒体Sに形成する画像の階調表現が可能である。
図2は、インクジェットヘッド10の一例を示す斜視図である。インクジェットヘッド10は、ノズル101と、ヘッド基板102と、駆動回路103と、マニホールド104とを備える。マニホールド104は、インク供給口105とインク排出口106と、を備える。
ノズル101は、ヘッド基板102上に設けられる。ノズル101は、ヘッド基板102の長手方向に沿って一列に並んでいる。駆動回路103は、ノズル101からインクの液滴を吐出させるための駆動信号を出力する駆動信号出力部である。駆動回路103は例えばドライバーIC(integrated circuit)である。駆動回路103は、例えば、波形データに基づいて駆動信号を生成する。インク供給口105は、ノズル101にインクを供給するための供給口である。また、インク排出口106は、インクの排出口である。ノズル101は、駆動回路103から与えられる駆動信号に応じてインク供給口105から供給されるインクの液滴を吐出する。ノズル101から吐出されなかったインクはインク排出口106から排出される。
駆動回路103は、印加部の一例である。
図3は、インクジェット記録装置1に用いられるインク供給装置20の概略図である。インク供給装置20は、インクジェットヘッド10にインクを供給する装置である。インク供給装置20は、供給側インクタンク21と、排出側インクタンク22と、供給側圧力調整ポンプ23と、輸送ポンプ24と、排出側圧力調整ポンプ25と、を備える。これらは、インクを流すことができるチューブにより接続される。供給側インクタンク21はチューブを介してインク供給口105に接続されており、排出側インクタンク22はチューブを介してインク排出口106に接続されている。
供給側圧力調整ポンプ23は、供給側インクタンク21の圧力を調整する。排出側圧力調整ポンプ25は、排出側インクタンク22の圧力を調整する。供給側インクタンク21は、インクジェットヘッド10のインク供給口105にインクを供給する。排出側インクタンク22は、インクジェットヘッド10のインク排出口106から排出されたインクを一時的に貯留する。輸送ポンプ24は、チューブを介して、排出側インクタンク22に貯留されたインクを供給側インクタンク21に還流させる。
次に、インクジェットヘッド10についてさらに詳細に説明する。
図4は、インクジェットヘッド10に適用可能なヘッド基板102の平面図である。図4ではノズルプレート109の図中左下を部分的に不図示としヘッド基板102の内部構造を図示している。図5は図4に示すヘッド基板102のA-A線断面図である。図6は、図4に示すヘッド基板102の斜視図である。
ヘッド基板102は、図4及び図5に示すように、圧電部材107、インク流路部材108、ノズルプレート109、枠部材110、及び板壁111を備える。また、インク流路部材108には、インク供給穴112とインク排出穴113とが形成されている。インク流路部材108とノズルプレート109と枠部材110と板壁111とで囲まれ、インク供給穴112が形成されている空間は、インク供給路114である。また、インク流路部材108とノズルプレート109と枠部材110と板壁111とで囲まれ、インク排出穴113が形成されている空間は、インク排出路117である。インク供給穴112は、インク供給路114に連通している。インク排出穴113は、インク排出路117に連通している。インク供給穴112は、マニホールド104のインク供給口105と流体的に接続している。インク排出穴113は、マニホールド104のインク排出口106と流体的に接続している。
圧電部材107は、インク供給路114からインク排出路117までに渡る複数の長溝を有する。これらの長溝は、圧力室115或いは空気室116の一部となる。圧力室115と空気室116は、それぞれ一つおきに形成される。すなわち、圧電部材107は、圧力室115と空気室116とが交互に形成される。空気室116は、長溝の両端を板壁111で塞ぐことにより形成される。板壁111で長溝の両端を塞ぐことにより、インク供給路114およびインク排出路117のインクが空気室116に流入しない様にする。板壁111の圧力室115に接する箇所は溝が形成される。これにより、インク供給路114から圧力室115にインクが流入し、圧力室115からインク排出路117にインクが排出される。
圧電部材107には、図6~図9に示すように、配線電極119(119a、119b、…、119g、…)が形成されている。圧力室115と空気室116の圧電部材内面には、後述する電極120が形成されている。配線電極119は、電極120と駆動回路103とを電気的に接続する。インク流路部材108、枠部材110及び板壁111は、例えば、誘電率が小さく、かつ圧電部材との熱膨張率の差が小さい材料で構成されることが好ましい。これらの材料としては、例えば、アルミナ(Al)、窒化珪素(Si)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などを用いることが可能である。本実施形態では、インク流路部材108、枠部材110及び板壁111はアルミナ(Al)で構成されるものとする。
圧電部材107は、図7~図9に示すように、圧電部材107aと圧電部材107bを積層することにより形成される。図7~図9は、圧力室の状態を示す図である。圧電部材107aと圧電部材107bの分極方向は、板厚方向に沿って互いに反対向きとなっている。圧電部材107には、インク供給路114からインク排出路117へ繋がる複数の長溝が並列に形成されている。
各長溝の内面には、電極120(120a、120b、…、120g、…)が形成されている。長溝と長溝を覆うノズルプレート109の一面とで囲まれた空間が、圧力室115及び空気室116となる。図7の例であれば、115b、115d、115f、…の符号で示した空間それぞれが圧力室115であり、116a、116c、116e、116g、…の符号で示した空間それぞれが空気室116である。
上述したように、圧力室115と空気室116は交互に並んでいる。電極120は、配線電極119を通して駆動回路103に接続される。圧力室115の隔壁を構成する圧電部材107は、各長溝の内面に設けた電極120によって挟まれている。圧電部材107及び電極120はアクチュエーター118を構成する。
駆動回路103は、駆動信号によりアクチュエーター118に電界を印加する。アクチュエーター118は、印加される電界によって、図8のアクチュエーター118d、118eのように、圧電部材107aと圧電部材107bとの接合部を頂部としてせん断変形する。アクチュエーター118が変形することにより、圧力室115の容積は変化する。圧力室115の容積の変化により、圧力室115の内部にあるインクは加圧或いは減圧される。この加圧或いは減圧により、インクはノズル101から吐出される。圧電部材107としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などが使用可能である。本実施形態では、圧電部材107は、圧電定数の高いチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であるものとする。
電極120は、ニッケル(Ni)と金(Au)との2層構造である。電極120は、例えばメッキ法によって、長溝内に均一に成膜される。なお、電極120の形成方法としては、メッキ法以外に、スパッタ法、蒸着法を用いることも可能である。長溝は、例えば、長手方向1.5~2.5mm、深さ150.0~300.0μm、幅30.0~110.0μmの形状で、70~180μmのピッチで平行に配列されている。前述したように、長溝は、圧力室115又は空気室116の一部となる。圧力室115と空気室116とは、交互に並んでいる。
ノズルプレート109は、圧電部材107の上に接着されている。ノズルプレート109の圧力室115の長手方向の中央部にはノズル101が形成されている。ノズルプレート109の材質は、例えば、ステンレスなどの金属材料、単結晶シリコンなどの無機材料、或いは、ポリイミドフィルムなどの樹脂材料である。なお、本実施形態では、一例として、ノズルプレート109の材料はポリイミドフィルムであるものとする。
上述したインクジェットヘッド10は、圧力室115の一端にインク供給路114があり、他端にインク排出路117があり、圧力室115の中央部にノズル101がある。なお、インクジェットヘッド10は、この構成例に限定されるものではない。例えば、インクジェットヘッドは、圧力室115の一端にノズルがあり、他端にインク供給路があってもよい。
次に、本実施形態に係るインクジェットヘッド10の動作原理について説明する。
図7は、配線電極119a~配線電極119gを介して、電極120a~電極120gにグランド電圧を印加した状態のヘッド基板102を示している。図7は、電極120a~電極120gが同電位であるため、アクチュエーター118a~アクチュエーター118hには電界がかからない。このため、アクチュエーター118a~アクチュエーター118hは変形しない。
図8は、電極120dのみに電圧V1を印加した状態のヘッド基板102を示している。図8に示す状態では、電極120dと両隣の電極120c及び電極120eとの間に電位差が生じる。アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eは、印加される電位差により、圧力室115dの容積を膨張させるようにせん断変形する。ここで、電極120dの電圧をV1からグランド電圧に戻すと、アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eは、図8の状態から図7の状態に戻るため、ノズル101dから液滴が吐出される。
また、図9では、圧力室115dの容積が収縮している。図9では、アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eが図8に示す状態とは逆の形状に変形している。 図9は、電極120dをグラウンド電圧とし、空気室116a、空気室116c、空気室116e及び空気室116gの電極120a、電極120c、電極120e及び電極120gに電圧V1を印加した状態のヘッド基板102を示している。図9に示す状態では、電極120dと両隣の電極120c及び電極120eとの間には、図8とは逆の電位差(逆の電界)が生じる。これらの電位差により、アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eは、図8に示す形とは逆向きのせん断変形をする。なお、図9は、電極120b及び電極120fにも電圧V1を印加した状態を示している。これにより、アクチュエーター118b、アクチュエーター118c、アクチュエーター118f及びアクチュエーター118gは変形しない。アクチュエーター118b、アクチュエーター118c、アクチュエーター118f及びアクチュエーター118gが変形しなければ、圧力室115b及び圧力室115fは、収縮しない。
アクチュエーター118dにおいて、電極120dは、第1の電極の一例である。また、電極120cは、第2の電極の一例である。アクチュエーター118eにおいて、電極120dは、第1の電極の一例である。また、電極120eは、第2の電極の一例である。
図10は、駆動回路103の構成例を示す図である。駆動回路103はインクジェットヘッド10内部の圧力室115と空気室116の数だけ電圧切替え部31を備えるが、図10に示す構成例においては電圧切替え部31を31a、31b、…、31eまで図示する。また、駆動回路103は、電圧制御部32を備える。
駆動回路103は、第1電圧源40と、第2電圧源41とに接続されている。駆動回路103は、第1電圧源40及び第2電圧源41から供給された電圧を、選択的に各配線電極119に与える。図10に示す例では、第1電圧源40の出力電圧は、グラウンド電圧であり、その電圧値は電圧値V0(V0=0[V])とする。また、第2電圧源41の出力電圧は、電圧値V0よりも高い電圧値V1とする。
電圧切替え部31は、例えば、半導体スイッチにより構成される。電圧切替え部31a、電圧切替え部31b、…、電圧切替え部31eは、それぞれ配線電極119a、配線電極119b、…、配線電極119eに接続されている。また、電圧切替え部31は、駆動回路103の内部に引き込まれた配線を介して、第1電圧源40及び第2電圧源41に接続される。電圧切替え部31は、配線電極119に接続する電圧源を切替えるための切替えスイッチを有している。電圧切替え部31はこのスイッチを使って配線電極119に接続する電圧源を切り換える。例えば、電圧切替え部31aは、切替えスイッチにより、第1電圧源40又は第2電圧源41の何れか1つと配線電極119aとを接続する。
電圧制御部32は、電圧切替え部31a、電圧切替え部31b、…、電圧切替え部31eそれぞれと接続されている。電圧制御部32は、第1電圧源40及び第2電圧源41のうちどの電圧源を選択するかを示す命令を各電圧切替え部31に出力する。例えば、電圧制御部32は、駆動回路103の外部から印刷データを受信し、各電圧切替え部31における電圧源の切替えタイミングを決定する。そして、電圧制御部32は、決定した切換えタイミングで、電圧切替え部31に対し、第1電圧源40又は第2電圧源41の何れかを選択する命令を出力する。電圧切替え部31は、電圧制御部32からの命令に従って、配線電極119と接続する電圧源を切替える。
第1電圧源40は、第1の電圧源の一例である。第2電圧源41は、第2の電圧源の一例である。
図11は、駆動回路103が電極120に与える駆動信号の駆動波形例を示す図である。駆動波形51-7は、7つの液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の一例を示す図である。駆動波形51-2は、2つの液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の一例を示す図である。駆動波形51-1は、1つの液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の一例を示す図である。連続吐出させる液滴数が3~6の場合の駆動波形51-3~駆動波形51-6についての図示は省略する。なお、駆動波形51-1~駆動波形51-7を総称して駆動波形51というものとする。
図11は、横軸が時間で、縦軸が電圧である。当該電圧は、駆動波形51が印加される電極120の電圧である。当該電極120の電圧は、両隣の空気室116の内壁の電極120につながる配線電極119の電位を基準とする電位である。なお、図11に示す駆動波形51は、図7に示す電極120dに印加されることを想定したものである。電極120dの両隣の空気室は、空気室116c及び空気室116eである。また、両隣の空気室116c及び空気室116eの内壁の電極は、電極120c及び電極120eであり、電極120c及び電極120eにつながる配線電極は、配線電極119c及び配線電極119eである。したがって、駆動波形51が電極120dに印加される場合、図11に示す電圧は、配線電極119c及び配線電極119e(電極120c及び電極120e)の電位を基準とする電極120dの電位である。
電極120dに印加する駆動波形51の電圧が0であるとき、圧力室115dは、図7に示す状態となり、容積が変化しない。また、電極120dに印加する駆動波形51の電圧がV1であるとき、圧力室115dは、図8に示す状態となり、容積が膨張する。さらに、電極120dに印加する駆動波形51の電圧が-V1であるとき、圧力室115dは、図9に示す状態となり、容積が収縮する。
駆動波形51は、振動パルス、吐出パルス及び抑制パルスをこの順で含む。振動パルスは、液滴の吐出を助長するための圧力振動を発生させるために印加される。吐出パルスは、ノズル101から液滴を吐出させるために印加される。抑制パルスは、残留振動を抑制するために印加される。
振動パルス、吐出パルス及び抑制パルスは、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を無視すれば矩形波である。しかしながら、立ち上がり時間及び立ち下がり時間があるので、振動パルス、吐出パルス及び抑制パルスは、台形に近い波形になるので、台形波であるといえる。
なお、駆動波形51-1は1つの吐出パルスを、駆動波形51-2は連続する2つの吐出パルスを、…、駆動波形51-7は連続する7つの吐出パルスを含む。例えば、図11に示す駆動波形51-7は、振動パルス、1番目の吐出パルス~7番目の吐出パルス及び抑制パルスをこの順で含む。また、駆動波形51-2は、振動パルス、1番目の吐出パルス、2番目の吐出パルス及び抑制パルスをこの順を含む。そして、駆動波形51-1は、振動パルス、1番目の吐出パルス及び抑制パルスをこの順で含む。なお、連続する吐出パルスの最後の吐出パルスを、以下、単に「最後の吐出パルス」というものとする。ただし、駆動波形51-1のように吐出パルスを1つのみ含む駆動波形では、当該1つの吐出パルスが最後の吐出パルスであるとする。また、最後の吐出パルス以外の吐出パルスを、以下「最後以外の吐出パルス」というものとする。例えば、駆動波形51-7では、1番目の吐出パルス~6番目の吐出パルスが最後以外の吐出パルスで、7番目の吐出パルスが最後の吐出パルスである。また、1番目の吐出パルスは、最初の吐出パルスである。
駆動波形51について、駆動波形51-2を例にさらに説明する。
駆動回路103は、まず、振動パルスの印加を開始する。振動パルスは、一例として、電圧が0、-V1、0の順で変化するsp幅の台形波である。なお、幅とは、パルスの印加開始から印加終了までの時間を示す。したがって、sp幅とは、パルスの印加開始から印加終了までの時間がspであることを示す。振動パルスの印加開始に伴い、電極120dの電圧は、0から-V1に変化する。そして、電極120dの電圧は、振動パルスの印加終了まで-V1に保持される。電極120dの電圧が0から-V1に立ち下がるまでの時間と、電極120dの電圧が-V1に保持される時間との合計は、時間spである。 振動パルスの印加開始により、圧力室115dの容積は収縮し、圧力室115d内の液体が加圧される。なお、振動パルスによる印加開始の加圧は、ノズル101から液滴が吐出しない程度の加圧とする。
駆動回路103は、振動パルスの印加開始から所定時間sp経過後に、振動パルスの印加を終了する。そして、駆動回路103は、1番目の吐出パルスの印加を開始する。駆動波形51-2では、1番目の吐出パルスは、最後以外の吐出パルスである。最後以外の吐出パルスは、一例として、電圧が0、V1、0の順で変化するdpA幅の台形波である。したがって、吐出パルスと振動パルスとは電位が正負逆である。振動パルスの印加終了及び吐出パルスの印加開始に伴い、電極120dの電圧は、-V1から0を経てV1に変化する。そして、電極120dの電圧は、1番目のパルスの印加終了までV1に保持される。電極120dの電圧が0からV1に立ち上がるまでの時間と、電極120dの電圧がV1に保持される時間との合計は、時間dpAである。
振動パルスの印加終了及び1番目の吐出パルスの印加開始により、圧力室115dの容積が拡張され、圧力室115d内の液体は減圧される。
駆動回路103は、1番目の吐出パルスの印加開始から所定の時間dpA経過後に、1番目の吐出パルスの印加を終了する。吐出パルスの印加終了に伴い、電極120dの電圧は、V1から0に変化する。そして、電極120dの電圧は、次のパルスの印加開始まで0に保持される。
吐出パルスの印加終了により、圧力室115dの容積は収縮し、圧力室115d内の液体が加圧される。これにより、圧力室115d内の液体がノズル101から液滴として吐出される。
振動パルスの印加開始による電圧0から電圧-V1への立ち下げと、振動パルスの印加終了及び1番目の吐出パルスの印加開始による電圧-V1から電圧V1への立ち上げにより、圧力室115d内の液体に圧力振動が発生する。この圧力振動に合わせて、電極120dの電圧をV1から0へ立ち下げることで、液滴の吐出力を高めることができる。このために、時間sp及び時間dpAを、圧力室115内の液体の圧力振動の半周期ALに近付けることで、1番目の吐出パルスの吐出力を高めることができる。強い吐出力を得るためには時間sp及び時間dpAを0.5AL以上1.5AL以下の範囲とし、時間sp及び時間dpAをALに一致させることで1番目の吐出パルスの吐出力を最大にすることができる。なお、圧力振動の半周期ALは、圧力室115内の液体の固有振動周期(主音響共振周波数における周期)の半分の時間である。
次に、駆動回路103は、1番目の吐出パルスの印加終了の後、所定の時間の後、2番目の吐出パルスの印加を開始する。すなわち、駆動回路103は、1番目の吐出パルスの中心から、2番目の吐出パルスの中心までの時間が所定の時間2ULとなるように、2番目の吐出パルスの印加を開始する。なお、パルスの中心とは、当該パルスの印加開始時と印加終了時の間の中央の時点である。駆動波形51-2では、2番目の吐出パルスは、最後の吐出パルスである。最後の吐出パルスは、一例として、電圧が0、V1、0の順で変化するdpB幅の台形波である。したがって、振動パルスとは電位が正負逆である。最後の吐出パルスの印加開始に伴い、電極120dの電圧は、0からV1に変化する。そして、電極120dの電圧は、最後のパルスの印加終了までV1に保持される。電極120dの電圧が0からV1に立ち上がるまでの時間と、電極120dの電圧がV1に保持される時間との合計は、時間dpBである。
1番目の吐出パルスにより圧力室115d内に発生した振動にタイミングを合わせて2番目の吐出パルスを印加開始する事で2番目の吐出パルスの吐出力を高める事ができる。したがって、時間2ULを2ALとすることが好ましい。
駆動回路103は、最後の吐出パルスの印加開始から所定の時間dpB経過後に、最後の吐出パルスの印加を終了する。最後の吐出パルスの印加終了に伴い、電極120dの電圧は、V1から0に変化する。そして、電極120dの電圧は、抑制パルスの印加開始まで0に保持される。強い吐出力を得るためには時間dpBを0.5AL以上1.5AL以下の範囲とし、時間dpBの長さは、ALであることが好ましい。時間dpBの長さを、ALに近付けることで、最後の吐出パルスの吐出力を高めることができるためである。
次に、駆動回路103は、最後の吐出パルスの印加終了の後、所定の時間の後、抑制パルスの印加を開始する。すなわち、駆動回路103は、最後の吐出パルスの中心から、抑制パルスの中心までの時間が所定の時間2ULとなるように、2番目の吐出パルスの印加を開始する。抑制パルスは、一例として、電圧が0、-V1、0の順で変化するcp幅の台形波である。抑制パルスの印加開始に伴い、電極120dの電圧は、0から-V1に変化する。そして、電極120dの電圧は、抑制パルスの印加終了まで-V1に保持される。電極120dの電圧が0から-V1に立ち下がるまでの時間と、電極120dの電圧が-V1に保持される時間との合計は、時間cpである。
時間2ULを2ALとすることが好ましい。時間2ULが2ALであると、最後の吐出パルスにより発生する振動とは逆位相の振動が、抑制パルスによって圧力室115dに加わり、圧力室115d内の残留振動が抑制されるためである。なお、時間cpの長さは、圧力室115d内の残留振動の程度に合わせて調整することが好ましい。
駆動回路103は、駆動波形51-1及び駆動波形51-3~駆動波形51-7においても、駆動波形51-2の場合と同様にして電極120dに駆動波形を印加する。ただし、駆動回路103は、駆動波形51-1を印加する場合、1番目の吐出パルスが最後の吐出パルスであるため、1番目の吐出パルスの次に抑制パルスを印加する。また、駆動回路103は、n番目の吐出パルスの中心から、n+1番目の吐出パルスの中心までの時間が所定の時間2ULとなるようにする。ただし、nは、1~6の整数である。
n番目の吐出パルスにより圧力室115d内に発生した振動にタイミングを合わせてn+1番目の吐出パルスを印加開始する事で、n+1番目の吐出パルスの吐出力を高める事ができる。したがって、n番目の吐出パルスの中心から、n+1番目の吐出パルスの中心までの時間は、2ALであることが好ましい。すなわち、時間2ULは、2ALであることが好ましい。
上記は、電極120dを代表的に説明したが、電極120b、電極120d、電極120f、…の場合も同様である。
前述したように、液体吐出部2は、画像形成媒体Sに対して連続吐出する液滴の数で1画素に着弾する液滴の量を変更することで階調表現を実現する。第1実施形態では、0~7の8段階である。画像形成媒体Sを液滴の吐出方向に対して垂直方向に搬送しながら液滴を画像形成媒体S上に着弾させる場合、連続吐出した液滴の画像形成媒体S上での着弾位置ズレは、小さい事が望ましい。着弾位置ズレを小さくするには、連続吐出した液滴のうち後に吐出された液滴の速度がそれ以前に吐出した液滴の速度と同じかそれ以上となる事が望ましい。
したがって、駆動波形により吐出される液滴の速度を調整することを考える。
まず、2つの液滴を連続吐出させる駆動波形51-2について考える。振動パルスと1番目の吐出パルスにより発生した圧力室115内の圧力振動は、ノズル101から1滴目の液滴が吐出されることによって減衰する。また、当該圧力振動は、圧力室115内の粘性抵抗によって減衰する。ここで、1番目の吐出パルスの中心から2番目の吐出パルスの中心までの時間が時間2ULとなるタイミングで、最後の吐出パルスである2番目の吐出パルスを印加する。これにより、前述の要因などによって減衰した圧力振動に対して、圧力振動の減衰分を補うことができる。これにより、2滴目の液滴を吐出するための吐出力が得られる。圧力振動の減衰分と2番目の吐出パルスによる圧力振動の付加が同程度であれば、1滴目の液滴と2滴目の液滴の吐出速度はほぼ同じとなる。すなわち、2番目の吐出パルスは、2滴目の液滴吐出に必要な圧力振動を維持する役割を果たす。
ここで、例えば、振動パルスの幅spを、ALより小さくする、あるいは大きくすることを考える。このようにすれば、振動パルスによって圧力室115内に生じる圧力振動の位相と、1番目のパルスによって圧力室115内に生じる圧力振動の位相とずれる。したがって、振動パルスの幅spをALより小さくする、あるいは大きくすることで、振動パルスの幅spをALとした場合よりも、1番目の液滴の吐出速度を小さくすることができる。
また、最後の吐出パルスである2番目の吐出パルスの幅dpBを、ALより小さくする、あるいは大きくすることで、2滴目の液滴の吐出速度を小さくすることができる。また、1番目の吐出パルスの幅dpAと2番目の吐出パルスの幅dpBの大きさを同一として、幅dpA及び幅dpBの大きさを共にALより小さくする、あるいは大きくすることででも、2滴目の液滴の吐出速度を1滴目の吐出速度よりも小さくすることができる。ただし、電圧V1を小さくする観点からは、幅dpAと幅dpBは、ALと近い値であることが好ましく、ALと一致させることがより好ましい。幅dpAと幅dpBがALと一致しているほど吐出力が大きくなるためである。なお、幅spを変更した場合の影響は、1滴目の液滴が最も顕著に受ける。このため、1滴目の液滴の速度と2滴目の液滴の速度との速度差の調整は幅spを変更することによって行う事が好ましい。
また、1番目の吐出パルスの中心から2番目の吐出パルスの中心までの時間2ULを2ALより小さくする、あるいは大きくすることで、2滴目の液滴の吐出速度を調整することができる。ただし、振動パルスと1番目の吐出パルスにより発生した圧力室115内の圧力振動を、2番目の吐出パルスにより発生する圧力振動によって強めるようにするため、時間2ULは、1.5AL~2.5ALの範囲内であることが好ましい。なお、時間2ULが1.5AL未満及び2.5AL~3.5ALの範囲では、2番目の吐出パルスにより発生する圧力振動は、1番目の吐出パルスにより発生する圧力振動に対して位相が反転するため、圧力振動を強めることができない。
次に、7つの液滴を連続吐出させる駆動波形51-7について考える。7つの液滴は、1番目の吐出パルス~7番目の吐出パルスのそれぞれにおける、電圧V1から電圧0への立ち下げのタイミングでノズル101から吐出される。ここで、時間2ULを2ALとした場合、先頭の液滴速度に対する後半に吐出される液滴速度の比(後半の液滴速度/先頭の液滴速度)は、大きくなる。
なお、駆動波形51-2と同様に駆動波形51-7の2番目以降の吐出パルスは、2滴目以降の液滴吐出に必要な圧力振動を維持する役割を果たす。仮に液体の粘度や流路構造の要因で圧力室115等インクジェットヘッド10内の流路抵抗が低い場合、2滴目以降の液滴吐出に必要な圧力振動を維持するために印加する吐出力は小さくなるため、幅dpA及び幅dpBをALより小さく、あるいは大きくする事で対応する事も可能である。ただし、電圧V1を小さくする観点からは、幅dpA及び幅dpBは、ALと近い値であることが好ましく、ALと一致させることがより好ましい。このため、1滴目の液滴の速度と2滴目以降の液滴の速度との速度差の調整は、まず幅spを変更することによって行い、幅spの調整では所望の速度差が得られない場合に幅dpAと幅dpBでの調整を行うことが好ましい。
また、時間2ULを2ALより小さくする、あるいは大きくすることで、2滴目以降の吐出速度を調整することができる。ただし、n番目の吐出パルスで発生した残留振動(圧力振動)を、n+1番目の吐出パルスで発生する圧力振動によって強めるため、時間2ULは、1.5AL~2.5ALの範囲であることが好ましい。
本実施形態の駆動波形は、圧力室115内の残留振動と吐出波形との位相を合わせることで吐出力を得ている。また、駆動波形の印加により発生する残留振動の大きさは、吐出する液体の粘度、インクジェットヘッドの流路構造及びインクジェットヘッドの流路の材質などによって変化する。そのため、駆動波形の時間sp、時間dpA、時間dpB、時間UL及び時間cpなどの各波形パラメーターの比率は、当該液体の粘度及びインクジェットヘッドの種類などに応じて調整する必要がある。
〔実施例〕
上記の実施形態を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、上記の実施形態の範囲を限定するものではない。
実施例では、粘度約10mPas、比重約0.85の液体を、試作したインクジェットヘッド10で吐出した。ただし、インクジェットヘッド10の1列に並んだノズル101のうち、連続する9つのノズル101を同じ駆動波形51で駆動し、当該9つのノズル101のうちの真ん中のノズル101から吐出された液体を観察対象とした。なお、実施例のALは、約2μ秒であった。
ここで、アクチュエーターをコンデンサーに見立てて、駆動回路103の内部抵抗、配線抵抗及びその他のエネルギー損失を抵抗に見立てると、電圧源、駆動回路103、配線電極119及びアクチュエーターをつなぐ回路は、RC直列回路に見立てる事が出来る。このRC直列回路において電圧源を切り替えた場合を考える。駆動波形の各台形波の立ち上げ及び立ち下げ時間は、前記RC回路の時定数と相関し、コンデンサーとつながる電圧源が変化した場合の、コンデンサー内部の電圧変化に要する充電時間あるいは放電時間を示している。実施例では、駆動波形51の各台形波の立ち上げ及び立ち下げ時間は0.2μ秒前後となる。
(実験1)
実施例のインクジェットヘッド10が駆動波形51-1によって吐出した主液滴の吐出速度が約8.5m/sとなる電圧V1の値を表1に示す。駆動波形51-1の各波形パラメーターの値により、当該電V1は変化する。このため、表1では縦軸を時間UL、横軸を時間spと時間ULの比(sp/UL)とした。そして、表1は、時間ULを1.9、2.0及び2.1、sp/ULを0.8、0.7及び0.6とした場合の9種の組み合わせについての当該電圧V1を示している。また、時間dpBと時間ULとは、同値とした。そして、時間cpは、時間ULの0.4倍とした。
Figure 0007242936000001
表1より、時間ULがALに近く、時間SPがALに近いほど、電圧V1が小さくなっていることが分かる。以下の実験2及び実験3において、連続吐出する液滴の数によらず駆動波形51の電圧V1の値は、表1の通りとする。例えば、「UL=2.0μ秒でsp/UL=0.8」の条件では、駆動波形51-1も駆動波形51-7も、電圧V1は、18.2Vとする。また例えば、「UL=1.9μ秒でsp/UL=0.7」の条件では、駆動波形51-1も駆動波形51-7も、電圧V1は、18.8Vとする。
(実験2)
実施例のインクジェットヘッド10に、駆動波形51-7によって液滴を吐出させた。このときの、最後の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の主液滴の数を表2に示す。駆動波形51-7では、7つの主液滴が吐出されるが100μ秒の時間経過でいくつかの主液滴は合体する。これにより、主液滴の数は7つより少なくなる。表2では、合体後の主液滴の数を示している。例えば、表2で主液滴の数が1となった条件では、100μ秒の時間経過の過程で7つの主液滴全てが合体して1つの主液滴となった事を示している。なお、主液滴の後部にサテライトと呼ばれる微小液滴が発生する場合があるが、表2の主液滴の数には、サテライトの数は含めていない。
Figure 0007242936000002
時間ULがALとほぼ同じ2.0μ秒である場合、圧力振動の強めあいにより、後半の液滴ほど徐々に速度が増加する。このため、表2に示すように、時間ULがALとほぼ同じ2.0μ秒である場合、sp/ULによらずに主液滴全てが合体して1つの主液滴となっている。
(実験3)
実施例のインクジェットヘッド10に、駆動波形51-7によって液滴を吐出させた。このときの先頭の主液滴の速度に対する最後の主液滴の速度の倍率(以下「先頭の主液滴の速度に対する最後の主液滴の速度の倍率」を「速度倍率」という。)を表3に示す。なお、先頭の主液滴の速度は、1番目の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の、先頭の主液滴のノズル101からの距離から算出した。また、最後の主液滴の速度は、最後の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の、最後の吐出パルスによって吐出された主液滴のノズル101からの距離から算出した。すなわち、速度倍率は、(最後の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の、最後の吐出パルスによって吐出された主液滴のノズル101からの距離)/(1番目の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の、先頭の主液滴のノズル101からの距離)である。なお、実験2で示したとおり、駆動波形51-7によって吐出された7つの主液滴は、時間経過により合体する。主液滴が合体していた場合には、測定対象の主液滴を含む合体後の主液滴のノズル101からの距離から、速度を算出した。
Figure 0007242936000003
表3より、sp/ULを小さくすると、先頭の主液滴に対する最後の主液滴の速度が大きくなっていることが分かる。また、表3より、時間ULが2.0μ秒である場合に比べて、時間ULが1.9μ秒である場合、先頭の主液滴の速度に対する最後の主液滴の速度が小さくなっていることが分かる。また、表3より、時間ULが2.0μ秒である場合のsp/ULの変化は、時間ULが1.9μ秒dである場合に比べて小さいことがわかる。これは、時間ULが1.9μ秒の場合、sp/ULの減少によって主に後続の主液滴の速度が増加しているのに対し、ULが2.0μ秒の場合、sp/ULの減少によって後続の主液滴の速度が増加するのみならず、後続の主液滴と先頭の主液滴が合体する事によって先頭の主液滴の速度も増加しているためである。
また、表3より、ULが2.1μ秒である場合、sp/ULが0.7のときに速度倍率が最も小さくなっていることが分かる。これは、ULが2.1μ秒でsp/ULが0.7である場合、振動パルスの印加開始から、1番目の吐出パルスの印加終了までの時間が約2AL(約4.0μ秒)になっており、その分だけ先頭の液滴吐出時の圧力振動の強めあいが大きくなるためである。また、振動パルスの印加開始から、7番目の吐出パルスの印加終了までの時間が2ALの倍数にならないためである。
また、表2及び表3より、速度倍率が1.25以上である場合に合体後の主液滴の数が1つになることがわかる。また、速度倍率が1.19以上である場合に合体後の主液滴の数が2つ以下になることがわかる。また、速度倍率が1.16以上である場合に合体後の主液滴の数が3つ以下になることがわかる。
次に、ノズル列中の複数のノズルについて、連続吐出する液滴の数が異なるノズルがある場合について考える。一例として、図7のノズル101fから7つの液滴を吐出させ、隣のノズル101dから1つの液滴を吐出させる場合について考える。図11の駆動波形51-7及び駆動波形51-1を見れば分かるように、駆動波形51-7における7番目の吐出パルスと駆動波形51-1における1番目の吐出パルスは、同じタイミングで印加される。したがって、ノズル101fから吐出される最後(7番目)の液滴とノズル101dから吐出される最後(1番目)の液滴は、同時に吐出されると考えられる。してみると、画像形成媒体Sへの液滴の着弾位置ズレを小さくすることを考えるならば、ノズル101fから吐出される最後の液滴とノズル101dから吐出される最後の液滴の速度差はなるべく小さいことが望ましい。この点を考慮して波形パラメーターを選ぶなら、表3の結果の数値が1以上で且つ1に近い、「UL=1.9μ秒でsp/UL=0.7」が好適となる。
表3の「UL=1.9μ秒でsp/UL=0.7」の条件で液滴を吐出した場合の、最後の吐出パルス印加終了から100μ秒経過時の吐出観察写真の液滴輪郭を描画した図を図12に示す。液滴Dは、ノズル面Nから吐出されて右側に飛翔する。一番右の液滴D1が、先頭の主液滴であり、後続の主液滴とは合体していない。液滴D1の左隣の液滴D2は、2番目に吐出された主液滴から4番目に吐出された主液滴までが合体した主液滴である。液滴D2の左隣の液滴D3は、5番目に吐出された主液滴から7番目に吐出された主液滴までが合体した主液滴である。液滴D3の右端は、ノズル面Nから0.95mmの距離に位置している。7番目の主液滴(最後の主液滴)を含む液滴である液滴D3の速度は、9.5m/sである。なお、小液滴SAは、サテライトである。
また、インクジェットヘッド10の消費電力を低減することを考慮した場合、表1において電圧V1が最も小さい18.2Vの条件が好適となる。電圧V1が18.2Vでかつ表2の液滴数が1となる、表2の「UL=2.0μ秒でsp/UL=0.8」の条件で液滴を吐出した場合の、最後の吐出パルス印加終了から100μ秒経過時の吐出観察写真の液滴輪郭を描画した図を図13に示す。図13では、7つの主液滴は全て合体して1つの液滴D4となっている。液滴D4の右端は、ノズル面Nから1.1mmの距離に位置している。7番目の主液滴(最後の主液滴)を含む液滴である液滴D4の速度は11m/sとなる。
図14に従来の駆動波形の一例を示す。駆動波形50-7は、7つの液滴を連続吐出させる場合の従来の駆動波形の一例を示す図である。駆動波形50-1は、1つの液滴を連続吐出させる場合の従来の駆動波形の一例を示す図である。連続吐出させる液滴数が2~6の場合の駆動波形50-2~駆動波形50-6についての図示は省略する。なお、駆動波形50-1~駆動波形50-7を総称して駆動波形50というものとする。
駆動波形50-7に示すように、従来の駆動波形50は、電圧V1で幅ALの台形波で1つ分の液滴を吐出し、その直後の電圧-V1で幅cpの台形波で圧力室内の残留振動を打ち消す。従来の駆動波形50は、これを、連続吐出させる液滴の数だけ繰り返すものである。
したがって、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、複数の液滴を連続吐出させるのにかかる時間が従来よりも短い。すなわち、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、駆動周波数が従来よりも向上する。
また、駆動波形50-1での液滴の吐出速度が約8.5m/sとなる電圧V1は27.1Vであった。
したがって、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、従来よりも電圧V1をかなり低くすることができる。すなわち、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、従来よりも消費電力が少ない。
これは、駆動波形51は、液滴吐出の前の振動パルスにより発生した圧力振動又は、液滴を吐出した際に発生した圧力振動に合わせて、圧力振動を強めるように次の吐出パルスが印加されるためである。これにより、液滴吐出に不足する分の吐出力を補っている。一方、図14の駆動波形50は、主液滴を1つ吐出するたびcp幅の台形波により圧力振動を打ち消しており、AL幅の台形波のみにより液滴吐出に足る吐出力を確保する必要があり、その結果、駆動波形50の電圧V1は表1の電圧値と比べかなり大きな値になっている。
前記した通り、電圧源、駆動回路、配線電極、アクチュエーターをつなぐ回路はRC直列回路に見立てる事が出来る。このRC直列回路の消費電力は、台形波(パルス)の数と電圧の2乗に比例する。連続吐出液滴の数を7つとした場合、駆動波形50-7の台形波の数は14個となり、駆動波形51-7の台形波の数は9個となる。駆動波形50-7と駆動波形51-7の消費電力を、「UL=2.0μ秒でsp/UL=0.8」の条件で比較すると、駆動波形51-7の消費電力は、駆動波形50-7の消費電力の29%程になり、70%以上の消費電力低減が可能となる。
また、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、第1電圧源40及び第2電圧源41の2つの電圧源で動作する。このように、少ない数の電圧源で動作可能であるので、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、従来よりも低コストでの製造が可能である。
また、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、合体後の主液滴の数を少なくすることができる。したがって、第1実施形態のインクジェットヘッド10は、画質の向上が可能である。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成は、第1実施形態の図1~図6と同様である。したがって、当該部分についての説明を省略する。
ただし、第2実施形態のインクジェット記録装置1は、図10の駆動回路103に代えて図15に示すような駆動回路103bを備える。図15は、駆動回路103bの構成例を示す図である。駆動回路103bは、インクジェットヘッド10内部の圧力室115の数だけ電圧切替え部33を備えるが、図15に示す構成例においては電圧切替え部33を33b及び33dまで図示する。また、駆動回路103bは、電圧制御部32bを備える。
駆動回路103bは、第1電圧源40と第2電圧源41と第3電圧源42とに接続されている。駆動回路103bは、第1電圧源40、第2電圧源41及び第3電圧源42から供給された電圧を、選択的に各配線電極119b及び119dに与える。第3電圧源42の出力電圧は、電圧値-V1である。第3電圧源42は、振動パルス及び抑制パルスに用いる第2の電圧振幅を提供する。
電圧切替え部33bは、電圧制御部32bの制御により、第1電圧源40、第2電圧源41及び第3電圧源42の何れかと配線電極119bとを接続する。電圧切替え部33dは、電圧制御部32bの制御により、第1電圧源40、第2電圧源41及び第3電圧源42の何れかと配線電極119dとを接続する。電圧切替え部33f、電圧切替え部33h、…についても同様である。なお、配線電極119bは、圧力室の内壁の電極120bと、配線電極119dは、圧力室の内壁の電極120dと接続される。配線電極119f、配線電極119h、…についても同様である。一方、空気室の内壁の電極120a、120c、120e、…は、配線電極119a、119c、119e、…を介して第1電圧源40と接続される。
なお、図15の例では、空気室内壁の電極120とつながる配線電極119は、駆動回路103bの内部で第1電圧源40と接続されている。しかしながら、この配線電極は、駆動回路の外部で第1電圧源40と接続されてもよい。この場合、駆動回路と接続する配線電極は、圧力室内壁の電極とつながっているもののみとなる。
第3電圧源42は、第3の電圧源の一例である。駆動回路103bは、印加部の一例である。
第2実施形態では、駆動回路103bは、第1実施形態の駆動回路103が圧力室を図9に示す状態にすることに代えて、圧力室を図16に示す状態にする。
図16では、圧力室115dの容積が収縮している。図16では、アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eが図8に示す状態とは逆の形状に変形している。 図16は、電極120dに印加する電圧を電圧-V1、その他の電極120a~電極120c及び電極120e~電極120gに印加する電圧をグラウンド電圧とした状態のヘッド基板102を示している。図16に示す状態においても、電極120dと両隣の電極120c及び電極120eとの間には、図8とは逆の電位差が生じる。これらの電位差により、アクチュエーター118d及びアクチュエーター118eは、図8に示す形とは逆向きのせん断変形をする。
図16に示すノズル101dに連通する圧力室115dに振動パルス又は抑制パルスを入力する場合、駆動回路103bは、図16に示すように、電極120dに-V1の電圧をかける。すなわち、駆動回路103bは、例えば圧力室115fに吐出パルスを入力中に、隣の圧力室115dに振動パルス又は抑制パルスを入力する事が出来る。このため図17に示すように1~6つの液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の印加開始を第1実施形態に比べて前倒しする事が出来る。
図17は、駆動回路103bが電極120に与える駆動信号の駆動波形例を示す図である。駆動波形52-7は、連続吐出する液滴数が7の場合の駆動波形である。駆動波形52-2は、連続吐出する液滴数が2の場合の駆動波形である。駆動波形52-1は、連続吐出する液滴数が1の場合の駆動波形である。連続吐出させる液滴数が3~6の場合の駆動波形52-3~駆動波形52-6についての図示は省略する。なお、駆動波形52-1~駆動波形52-7を総称して駆動波形52というものとする。
図17に示すような駆動波形52で駆動されるインクジェットヘッド10のノズル列中の複数のノズルについて、連続吐出する液滴の数が異なるノズルがある場合について考える。一例として、図7のノズル101fから7つの液滴を吐出させ、隣のノズル101dから1つの液滴を吐出させる場合について考える。図17の駆動波形52-7及び駆動波形52-1を見れば分かるように、駆動波形52-7における1番目の吐出パルスまでの波形と駆動波形52-1における1番目の吐出パルスまでの波形は同一である。このため、ノズル101f及びノズル101dの両ノズルから吐出される先頭滴の吐出速度の差は小さい。このため、波形パラメーターを選ぶなら、表2の結果が1で表3の結果が1以上でなおかつ消費電力が小さくなる「UL=2.0μ秒でsp/UL=0.8」の条件が好適となる。
第2実施形態のインクジェットヘッド10は、第1実施形態と同様に、駆動周波数の向上及び消費電力の低減が可能である。
また、第2実施形態のインクジェットヘッド10は、前述のように駆動波形の印加開始を第1実施形態に比べて前倒しする事が出来る。したがって、第2実施形態のインクジェットヘッド10は、液滴を7つ連続吐出させた場合でも液滴が合体しやすい波形パラメーターを選ぶことができ、連続吐出した7つの液滴の着弾位置ずれを小さくすることができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成は、第1実施形態又は第2実施形態のインクジェット記録装置1と同様である。したがって、第3実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成についての説明を省略する。
第3実施形態では、画像形成媒体S上に形成する画像の階調数を、8段階より増やす場合について考える。例えば連続吐出させる主液滴の数を11とする場合を考える。図18は、11個の液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の一例を示す図である。駆動波形53-11は、11個の液滴を連続吐出させる場合の駆動波形の一例を示す図である。
〔実施例〕
(実験4)
前述の実施例のインクジェットヘッド10に、「UL=2.0μ秒でsp/UL=0.8」の条件の駆動波形53-11によって液滴を吐出させた。このときの、最後の吐出パルスの印加終了から100μ秒経過時の主液滴の数を表4に示す。
Figure 0007242936000004
この結果、最後の吐出パルス(11番目の吐出パルス)の印加終了から100μ秒経過時の主液滴の数は、2つとなった。このときの先頭の主液滴は、1番目の主液滴から8番目の主液滴が合体した主液滴であった。そして、その後に続く主液滴(最後の主液滴)は、9番目の主液滴から11番目の主液滴が合体した主液滴であった。また、このときの先頭の主液滴の速度は、9.0m/sであった。そして、最後の主液滴の速度は、11.5m/sであった。
ここで、連続吐出させる11の主液滴を全て合体させる駆動波形について考える。例えば、11個の吐出パルスのうち、前半の液滴を吐出する吐出パルスの幅は、ALより小さくする、あるいは大きくし、後半の液滴を吐出する吐出パルスの幅はそれ以前の吐出パルスよりALに近くなるような駆動波形でインクジェットヘッドを駆動すればよい。この場合、複数の吐出パルスのうち最後の吐出パルスの幅が最もALに近い。具体例の一つとして、実施例のインクジェットヘッド10に「dpA=1.6μ秒、sp/dpA=0.8、UL=2.0μ秒、dpB=UL、cp=0.4UL」の条件の駆動波形53-11によって液滴を吐出させた。この結果を表4に示す。この結果、最後の吐出パルス(11番目の吐出パルス)の印加終了から100μ秒経過時の主液滴の数は、1となった。また、このときの先頭の主液滴の速度は、8.4m/sであった。そして、最後の主液滴の速度は、12.4m/sであった。
第3実施形態のインクジェットヘッド10は、階調数を増やした場合でも合体後の主液滴の数を第1実施形態及び第2実施形態よりも減らすことができる。したがって、第3実施形態のインクジェットヘッド10は、第1実施形態及び第2実施形態よりも、階調数を増やした場合の画質を向上させることができる。
上記の実施形態は以下のような変形も可能である。
実施形態のインクジェット記録装置1は、画像形成媒体Sに、インクによる二次元の画像を形成するインクジェットプリンターである。しかしながら、実施形態のインクジェット記録装置は、これに限られるものではない。実施形態のインクジェット記録装置は、例えば、3Dプリンター、産業用の製造機械、又は医療用機械などであっても良い。実施形態のインクジェット記録装置が3Dプリンター、産業用の製造機械、又は医療用機械などである場合には、実施形態のインクジェット記録装置は、例えば、素材となる物質又は素材を固めるためのバインダーなどをインクジェットヘッドから吐出させることで、立体物を形成する。
実施形態のインクジェット記録装置1は、液体吐出部2を4つ備え、それぞれの液体吐出部2が使用するインクIの色はシアン、マゼンタ、イエロー又はブラックである。しかしながら、インクジェット記録装置が備える液体吐出部2の数は4つに限定せず、また、複数でなくても良い。また、それぞれの液体吐出部2が使用するインクIの色及び特性などは限定しない。
また、液体吐出部2は、透明光沢インク、赤外線又は紫外線等を照射したときに発色するインク、又はその他の特殊インクなども吐出可能である。さらに、液体吐出部2は、インク以外の液体を吐出することができるものであっても良い。なお、液体吐出部2が吐出する液体は、懸濁液などの分散液であっても良い。液体吐出部2が吐出するインク以外の液体としては例えば、プリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体、人工的に組織又は臓器などを形成するための細胞などを含む液体、接着剤などのバインダー、ワックス、又は液体状の樹脂などが挙げられる。
第3実施形態のインクジェット記録装置1は、最後の吐出パルスの幅のみがdpBで、その他の吐出パルスの幅はdpAである。しかしながら、2番目の吐出パルスから最後の吐出パルスの1つ前の吐出パルスまでのうちのいずれかから、最後の吐出パルスまでのそれぞれの幅がdpBであっても良い。また、1番目の吐出パルスから最後の吐出パルスまで徐々に幅をALに近づけていっても良い。以上の場合でも、複数の吐出パルスのうち最後の吐出パルスの幅が最もALに近い。
上記実施形態における各数値は、本発明の目的が達成される範囲の誤差が許容される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
液体を収容する圧力室と、
印加される駆動信号に応じて前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターと、
前記駆動信号を前記アクチュエーターに印加する印加部と、を備え、
前記駆動信号は、
前記圧力室に連通したノズルから液体を吐出させる吐出パルスと、
前記吐出パルスの前に印加され、前記吐出パルスとは正負逆の電位を持ち、液体の吐出を助長する圧力振動を液体に発生させる振動パルスと、を含み
連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、前記吐出パルスの周期が前記圧力室内の液体の主音響共振周波数における半周期の1.5倍以上2.5倍以下である、インクジェットヘッド。
[C2]
前記アクチュエーターは、第1の電極及び第2の電極を備え、
前記印加部は、
前記第1の電極に第2の電圧源を接続し、前記第2の電極に第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記吐出パルスを印加し、
前記第1の電極に前記第1の電圧源を接続し、前記第2の電極に前記第2の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記振動パルスを印加する、C1に記載のインクジェットヘッド。
[C3]
前記アクチュエーターは、第1の電極及び第2の電極を備え、
前記印加部は、
前記第1の電極に第2の電圧源を接続し、前記第2の電極に第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記吐出パルスを印加し、
前記第1の電極に第3の電圧源を接続し、前記第2の電極に前記第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記振動パルスを印加する、C1に記載のインクジェットヘッド。
[C4]
前記振動パルスは、前記駆動信号が連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、最後の前記吐出パルスで吐出された液滴の速度が、最初の前記吐出パルスで吐出された液滴の速度以上となるような幅である、C1乃至C3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
[C5]
前記駆動信号は、連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、複数の前記吐出パルスの幅のうち、最後の吐出パルスの幅が最も前記主音響共振周波数における周期に近い、C1乃至C4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
[C6]
インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに液体を供給するインク供給装置と、を備え、
前記インクジェットヘッドは、
液体を収容する圧力室と、
印加される駆動信号に応じて前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターと、 前記駆動信号を前記アクチュエーターに印加する印加部と、を備え、
前記駆動信号は、
前記圧力室に連通したノズルから液体を吐出させる吐出パルスと、
前記吐出パルスの前に印加され、前記吐出パルスとは正負逆の電位を持ち、液体の吐出を助長する圧力振動を液体に発生させる振動パルスと、を含み
連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、前記吐出パルスの周期が前記圧力室内の液体の主音響共振周波数における半周期の1.5倍以上2.5倍以下である、インクジェット記録装置。
1……インクジェット記録装置、2……液体吐出部、10……インクジェットヘッド、31a,31b,31c,31d,31e,33b,33d……電圧切替え部、32,32b……電圧制御部、40……第1電圧源、41……第2電圧源、42……第3電圧源、101……ノズル、103,103b……駆動回路、107,107a,107b……圧電部材、115,115b,115d,115f……圧力室、116,116a,116c,116e,116g……空気室、118a,118b,118c,118d,118e,118f,118g,118h……アクチュエーター、119a,119b,119c,119d,119e,119f,119g……配線電極、120a,120b,120c,120d,120e,120f,120g……電極

Claims (6)

  1. 液体を収容する圧力室と、
    印加される駆動信号に応じて前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターと、
    前記駆動信号を前記アクチュエーターに印加する印加部と、を備え、
    前記駆動信号は、
    前記圧力室に連通したノズルから液体を吐出させる吐出パルスと、
    前記吐出パルスの前に印加され、前記吐出パルスとは正負逆の電位を持ち、液体の吐出を助長する圧力振動を液体に発生させる振動パルスと、を含み
    前記振動パルスに続いて、前記振動パルスあるいは他のパルスも含まれることなく連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、n番目の吐出パルスの吐出パルスで発生した圧力振動を、n+1番目の吐出パルスで発生する圧力振動で強めるために、n番目の吐出パルスの中心からn+1番目の吐出パルスの中心までの時間が前記圧力室内の液体の主音響共振周波数における半周期(AL)の1.5倍より大きく2.5倍より小さい、インクジェットヘッド。
  2. 前記アクチュエーターは、第1の電極及び第2の電極を備え、
    前記印加部は、
    前記第1の電極に第2の電圧源を接続し、前記第2の電極に第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記吐出パルスを印加し、
    前記第1の電極に前記第1の電圧源を接続し、前記第2の電極に前記第2の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記振動パルスを印加する、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記アクチュエーターは、第1の電極及び第2の電極を備え、
    前記印加部は、
    前記第1の電極に第2の電圧源を接続し、前記第2の電極に第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記吐出パルスを印加し、
    前記第1の電極に第3の電圧源を接続し、前記第2の電極に前記第1の電圧源を接続することで前記アクチュエーターに前記振動パルスを印加する、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記振動パルスは、前記駆動信号が前記連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、最後の前記吐出パルスで吐出された液滴の速度が、最初の前記吐出パルスで吐出された液滴の速度以上となるような幅である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記駆動信号は、前記連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、複数の前記吐出パルスの幅のうち、最後の吐出パルスの幅が最も前記主音響共振周波数における周期に近い、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに液体を供給するインク供給装置と、を備え、
    前記インクジェットヘッドは、
    液体を収容する圧力室と、
    印加される駆動信号に応じて前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターと、
    前記駆動信号を前記アクチュエーターに印加する印加部と、を備え、
    前記駆動信号は、
    前記圧力室に連通したノズルから液体を吐出させる吐出パルスと、
    前記吐出パルスの前に印加され、前記吐出パルスとは正負逆の電位を持ち、液体の吐出を助長する圧力振動を液体に発生させる振動パルスと、を含み
    前記振動パルスに続いて、前記振動パルスあるいは他のパルスも含まれることなく連続する2つ以上の前記吐出パルスを含む場合に、n番目の吐出パルスの吐出パルスで発生した圧力振動を、n+1番目の吐出パルスで発生する圧力振動で強めるために、n番目の吐出パルスの中心からn+1番目の吐出パルスの中心までの時間が前記圧力室内の液体の主音響共振周波数における半周期(AL)の1.5倍より大きく2.5倍より小さい、インクジェット記録装置。
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