JP7235617B2 - 難消化性油脂処理澱粉、難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物、および難消化性油脂処理澱粉を含む食品 - Google Patents
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Description
食物繊維含有素材の一つとして難消化性澱粉(resistant starch:RS)があり、1992年にEURESTA(RS摂取の生理学的意義に関するヨーロッパ農産業食品関連研究共同作業部会)で定められた「健康なヒトの小腸内での酵素消化作用を逃れる澱粉および澱粉分解産物の総量」がRSの定義として広く受け入れられている。
例えば、特許文献1には、不溶性食物繊維(難消化性澱粉が好ましい)10~70質量%と、非難消化性澱粉3~20質量%とを含有するベーカリー食品用ミックスが開示され、食感に優れたベーカリー食品を製造することができる。
特許文献2には、うどんやそば、中華麺などの麺類食品において、食物繊維を含有した麺を作ることが出来、その食感も添加していない麺と同等以上の食感を維持することが出来る、難消化性成分を含有させた麺類として、澱粉を強度に架橋させた難消化性架橋澱粉とヒドロキシプロピル化澱粉および/またはアセチル化澱粉を併用した麺類が開示されている。
特許文献3には、多量の難消化性澱粉を添加した場合に、パンの形状が安定せずに均一性を欠いたり、またはクラストに亀裂が発生したりすることを抑制する方法として小麦粉の一部として小麦蛋白質量が13.5質量%を超える高蛋白質含有量の超強力粉を添加し、また、活性グルテンおよびグリアジンのうち少なくとも活性グルテンを添加するとともに、架橋澱粉および/または増粘剤含有油脂を添加する、パンの製造方法が開示されている。
(1)40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉
(2)前記難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物
(3)前記難消化性油脂処理澱粉を含む食品
(4)難消化性澱粉に油脂を0.02~5.0質量%混合し、40質量%の澱粉懸濁液の粘度が50mPa・s以上になるまで加熱処理することを特徴とする前記難消化性油脂処理澱粉の製造方法
また、前記油脂処理澱粉の製造方法を提供する。
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、難消化性澱粉100質量部(以降、単に「部」とする)と油脂0.02~5.0部との混合物を加熱処理することで得られ、該油脂処理澱粉は、40質量%(以降、単に「%」とする)の懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の、測定開始から10秒後の値が50mPa・s以上である。
本発明における40%の懸濁液粘度の測定方法は次の通りである。
(1)200mLビーカーに80.0gの澱粉を量り取り、30℃に調整したイオン交換水を120.0g注ぎ入れる。
(2)撹拌棒で30秒間撹拌した後、30℃の恒温槽にビーカーを浸して4分間静置した後、再び30秒間撹拌棒で撹拌する。
(3)BM型粘度計(VISCOMETER MODEL BMII、東機産業株式会社製)、回転数60rpm、3号ローターにて粘度測定を行い、測定開始から10秒後の目盛を読み取る。
RS1は、それ自体は消化されやすいものの、外皮などにより物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類などに含まれる。
RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す未加工の難消化性澱粉(生澱粉)であり、馬鈴薯澱粉、未熟バナナ澱粉を例示できる。また、ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。これらは本発明の難消化性澱粉として好適である。
RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化させた後、冷却して得られる老化澱粉を例示できる。その他、湿熱処理、酵素処理、酸処理などを施した澱粉は、処理によって食物繊維含有量が高められており、本発明の難消化性澱粉として好適である。
RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された澱粉、エーテル化、エステル化された澱粉が挙げられる。例えば、高度なリン酸架橋を施した澱粉は食物繊維含有量が高められており、本発明の難消化性澱粉として好適である。
澱粉中の食物繊維含有量をプロスキー法により以下の通り測定した。
(1)澱粉試料1サンプルにつき、タンパク質測定用と灰分測定用の2つの500mLのトールビーカーに各澱粉(1g)を精秤し、pH6.0の0.08mol/Lリン酸緩衝液50mLを加えて分散させた。
(2)熱安定性α-アミラーゼ(ターマミル120L、NovoNordisk社製)100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、沸騰水浴中に入れ、5分毎に攪拌しながら30分間放置した。
(3)室温まで冷却した後、0.275mol/L水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5±0.1に調整した。プロテアーゼ(P-5380、シグマ社製)を50mg/mLとなるように、0.08mol/Lリン酸緩衝溶液に溶解したプロテアーゼ溶液100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、60℃水浴中で振とうしながら30分間反応させた。
(4)室温まで冷却し、0.325mol/Lの塩酸水溶液でpH4.3±0.3に調整し、アミログルコシターゼ(A-9913、シグマ社製)100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、60℃水浴中で振とうしながら30分間反応させた。
(5)4倍容量の95%エタノールを60℃に加温して加えた後、1時間放置し、珪藻土(1.1g)を敷き詰めたるつぼ形ガラスろ過器(2G-2)で吸引ろ過した。
(6)ビーカーを20mLの78%エタノールで3回、10mLの95%エタノールで2回、さらに10mLのアセトンで2回洗浄し、反応液の全量をろ過器に回収した。
(7)残留物を含むろ過器は105℃で一晩乾燥させ、放冷後、重量を測定した。ろ過器の1つは、珪藻土と残留物をかき取り、ケルダール法にて窒素含量を測定し、タンパク質を定量した。
(8)他方は、ろ過器ごと525℃で5時間灰化させ、灰分含量を測定した。
(9)空試験として試料を含まずに同様の操作を行い、残留物を乾燥させた残渣に空試験の結果を加味した上で、タンパク質及び灰分を除いた重量を澱粉含水物あたりの食物繊維含量とした。得られた数値から粉体水分を補正することによって澱粉乾燥重量あたりの食物繊維含有量(%)を算出した。
それ以外には加工の方法に制限はなく、未加工澱粉でもよく、未加工澱粉に、酸化処理,エステル化処理,エーテル化処理,架橋処理といった化学修飾を施して得られる加工澱粉や、軽度α化処理,湿熱処理,ボールミル処理,微粉砕処理,加熱処理,温水処理,漂白処理,殺菌処理,酸処理,アルカリ処理,
酵素処理といった物理加工を施して得られる加工澱粉でもよく、未加工澱粉および加工澱粉の中から1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
難消化性澱粉の原料は、特に制限はないが、例えば、コーンスターチ,ワキシーコーンスターチ,ハイアミロースコーンスターチ,タピオカ澱粉,小麦澱粉,米澱粉,馬鈴薯澱粉,甘藷澱粉,エンドウ澱粉,サゴ澱粉などが挙げられる他、コーングリッツ,小麦粉,米粉,切干甘藷粉末,切干タピオカ粉末など、穀粉に代表される澱粉含有粉末も用いることができる。
加熱処理を行う装置は特に制限はなく、棚式乾燥機,流動焙焼機,ロースターなど、通常知られた加熱装置でよい。
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である。一般的に、油脂処理澱粉の懸濁液粘度は、油脂処理前の澱粉懸濁液粘度よりも上昇する現象が観察される。油脂処理澱粉は、油脂が澱粉粒子表面の少なくとも一部を被覆するように付着しており、澱粉粒子表面に付着した油脂を介して澱粉粒子同士が会合していることが、懸濁液粘度上昇の原因と考えられている。
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、その他の食品素材と組み合わせて食品素材組成物として用いることができる。その他の食品素材の具体例としては、穀粉(小麦粉,コーンフラワー,米粉,α化穀粉など)、未変性澱粉(コーンスターチ,小麦澱粉,米澱粉など)、加工澱粉(本発明の油脂処理粉以外の油脂処理澱粉,次亜塩素酸塩処理澱粉,酸処理澱粉,α化澱粉,乾熱処理澱粉,湿熱処理澱粉,架橋澱粉,エステル化澱粉,エーテル化澱粉,エステル化架橋澱粉,エーテル化架橋澱粉など)、糖類(単糖,二糖類,オリゴ糖,澱粉分解物,還元澱粉分解物など)、天然ガム類(グアガム,キサンタンガム,タマリンドガム,カラギーナンなど)、膨張剤(炭酸ナトリウム,重炭酸ナトリウムなど)、タンパク質(大豆タンパク,乳タンパク,卵白,卵黄,カゼインなど)、油脂類(大豆油,マーガリンなど)、乳化剤(レシチン,グリセリン脂肪酸エステル,シュガーエステルなど)、色素(β-カロテン,クチナシ色素,紅花色素など)、調味料(みりん,醤油,食塩,グルタミン酸ナトリウム,核酸系調味料など)、無機塩類(貝焼成カルシウム,卵殻カルシウムなど)が挙げられる。
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、澱粉を含有し得るあらゆる食品の材料として用いることができる。食品の具体例としては、食パン,ロールパン,菓子パン,デニッシュペストリー,バラエティブレッド,調理パン,蒸しパンなどのパン類、スポンジケーキ,バターケーキ,ビスケット,クッキー,クラッカーなどの菓子類、ドーナツ,ピザなどのベーカリー食品、パスタ類,うどん,そうめん,ひやむぎ,中華麺,日本そばなどの麺類、餃子の皮,しゅうまいの皮,ワンタンの皮,春巻きの皮などの皮類、から揚げ,竜田揚げ,トンカツ,牛カツ,チキンカツ,コロッケ,天ぷら,かき揚げ,フリッター,チキンナゲット,揚げ玉などのフライ食品、かまぼこ,はんぺん,ハム,ソーセージ,ミートボール,ハンバーグなどの水産・畜産練製品、まんじゅう,大福,だんご,わらび餅などの和菓子類、お好み焼き,たこ焼き,もんじゃ焼き,チヂミなどの和風スナック類が挙げられる。
本発明の難消化性油脂処理澱粉を食品に用いるときには、その他の素材を組み合わせた食品素材組成物(ミックス粉)にしてから食品に用いてもよく、難消化性油脂処理澱粉をそのまま食品の素材として使用してもよい。
(製造例1)
原料澱粉としてタピオカ澱粉,コーンスターチ,小麦澱粉を用いて次の手順で架橋処理を行った。水130部に硫酸ナトリウム20部を溶解し、そこへ各原料澱粉100部を加えて懸濁液とした。この懸濁液を撹拌し、3%水酸化ナトリウム水溶液によりpH11.0にコントロールしながら、トリメタリン酸ナトリウム2.5部~7.0部を加え、42℃で16時間反応させた。その後、硫酸でpH5に中和し、水洗、乾燥して難消化性澱粉(R1~R6)を得た。得られた難消化性澱粉の食物繊維含有量を前述のプロスキー法により測定し、表1に示した。通常、澱粉は水分を含有するため、含水澱粉あたりの食物繊維含有量は澱粉乾燥重量あたりの食物繊維含有量とは異なる値になる。例えば、R1は水分11.6%であったため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は84%であった。なお、得られた難消化性澱粉R1~R6はRS4に分類される難消化性澱粉である。
ハイアミロースコーンスターチ100部を水170部に懸濁させ、pH7に調整後、液温を70℃とした。耐熱性α-アミラーゼ(α-アミラーゼ 3A、エイチビィアイ株式会社製)0.07部を澱粉懸濁液に添加し、70℃で1時間作用させた。その後、pH3.3に調整して酵素を失活させた。50℃まで冷却した後、3%水酸化ナトリウム水溶液によりpH5.0に調整後、水洗、脱水、乾燥して難消化性澱粉粒子R7を得た。得られた難消化性澱粉の食物繊維含有量を前述の方法により測定し、表1に示した。なお、得られた難消化性澱粉R7はRS3に分類される難消化性澱粉である。
(製造例3)
難消化性澱粉(R1~R7)100部に、えごま油0.1部を加えて卓上ミキサー(ケンミックスアイコー プロKM-230、愛工舎製作所製 「ケンミックス」は登録商標)にて十分に混合した。この混合物を設定温度130℃とした棚式乾燥機(循環式恒温乾燥器MOV-102F、三洋電機株式会社製)で180分間加熱処理して難消化性油脂処理澱粉(RF1~RF7)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、棚式乾燥機の設定温度を80℃、加熱処理時間を8時間とした以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF8)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、棚式乾燥機の設定温度を50℃、加熱処理時間を48時間とした以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF9)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。なお、表中の食物繊維含量は乾燥澱粉重量当たりの100分率で示した。前述の通り、澱粉は水分を含有するため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は異なる値になる。例えば、RF1は水分5.6%であったため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は85%であった。
(実施例1~9)
58.5部のスターチBS-100N(リン酸架橋タピオカ澱粉の油脂加工澱粉、日澱化學株式会社製)、40部の難消化性油脂処理澱粉(試料番号RF1~RF9)、0.5部の乾燥卵白、1部のグアガムを良く混合し、バッターミックスとした。これに冷水200部を加え、良く撹拌混合してバッター液とした。冷凍した豚ロース肉100gをバッター液に浸し、余分なバッター液を落とした後、生パン粉を全体にまぶした。これを175℃のフライ用油で7分間フライしてトンカツを得た。
(比較例1~7)
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を難消化性澱粉(試料番号R1~R7)とした以外は同様にしてトンカツを得た。
フライ直後のトンカツを約2cm幅の短冊状に切断し、切断面を観察することによって豚ロース肉と衣材の結着性を以下の評価基準に従って評価した。評価は本評価方法に習熟した10名のパネラーで行った。評価は1つのサンプル当たり4か所行い、平均値の小数点第2位を四捨五入して評価点とした。評価点が3.0点以上のものは結着性が良好とし、3.0点未満のものは結着不良と判定した。
(評価基準)
5:全体が結着している。
4:全体の90%が結着しているが、わずかに剥がれがある。
3:全体の70%が結着しているが、部分的に剥がれがある。
2:全体の50%が結着しているが、剥がれ部分が目立つ。
1:全体の50%未満の結着で、大幅な剥がれがある。
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を試料番号RF1およびRF10~RF14とした以外は同様にして、トンカツを得た。実施例1および実施例10~14の評価結果を表6に示した。
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を試料番号RF1およびRF15~RF20とした以外は同様にしてトンカツを得た。実施例1および実施例15~18、比較例8、9の評価結果を表7に示した。
実施例1~9において、スターチBS-100Nと難消化性油脂処理澱粉(RF1)の配合比率を変えた以外は同様にして、トンカツを得た。実施例1および実施例19~23のスターチBS-100NとRF1の配合比率、フライミックス中の食物繊維含有量および評価結果を表8に示した。
実施例1~9において、スターチBS-100Nと難消化性澱粉(R1)の配合比率を変えた以外は同様にして、トンカツを得た。比較例1および比較例10~12のスターチBS-100NとR1の配合比率、フライミックス中の食物繊維含有量および評価結果を表9に示した。
(実施例24)
薄力粉と難消化性油脂処理澱粉(RF1)を20:80の割合で混合してクッキーミックスを調製した。
マーガリン50部と上白糖40部をホイッパーで撹拌し、ここに15部の全卵を加えてホイッパーで撹拌した。続いて、前記クッキーミックス100部を加えてビーターで撹拌して生地とした。生地を冷蔵庫で30分間休ませた後、成形して160℃のオーブンで13分間焼成した。焼成後、粗熱をとってから粉糖をまぶしてクッキーを得た。
(比較例13、14)
実施例24において、難消化性油脂処理澱粉RF1をRF15、または難消化性澱粉R1とした以外は同様にして、クッキーを得た。
クッキーは、くちどけの良さとしっとり感を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものはくちどけ、しっとり感が良好とし、3.0点未満のものはくちどけ、しっとり感が不良と判定した。
(くちどけのよさ評価基準)
5:非常に良好なくちどけ。
4:良好なくちどけ。
3:普通のくちどけ。
2:くちどけがやや劣る。
1:くちどけが大きく劣る。
(しっとり感の評価基準)
5:しっとりして非常に良好。
4:しっとりして良好。
3:普通のしっとり感。
2:ぼそつきがありしっとり感がやや劣る。
1:ぼそつきがありしっとり感が大きく劣る。
(実施例25)
薄力粉と難消化性油脂処理澱粉(RF7)を20:80の割合で混合してサブレミックスを調製した。
マーガリン50部と上白糖40部をホイッパーで撹拌し、ここに15部の全卵を加えてホイッパーで撹拌した。続いて、水20部と前記サブレミックス100部を加えてビーターで撹拌して生地とした。生地を冷蔵庫で30分間休ませた後、成形して160℃のオーブンで13分間焼成した。焼成後、粗熱をとってから粉糖をまぶして、サブレを得た。
(比較例15)
実施例25において、難消化性油脂処理澱粉を難消化性澱粉(R7)とした以外は同様にしてサブレを得た。
サブレはサクッとした食感を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものはサクッとした食感が良好とし、3.0点未満のものは不良と判定した。
(サクッとした食感の評価基準)
5:非常に良好。
4:良好。
3:普通。
2:やや劣る。
1:大きく劣る。
(実施例26)
38部のG-400(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、日澱化學株式会社製)、24部のアミコールKT-5(アルファ化リン酸架橋タピオカ澱粉、日澱化學株式会社製 「アミコール」は登録商標)、38部の難消化性油脂処理澱粉RF1を混合して、チヂミミックスを調製した。
表12に示す材料を混合してチヂミ生地を調製した。チヂミ生地100部に対して刻みネギ30部、1cm角のイカゲソ15部、みじん切りタマネギ15部、千切りニンジン5部を加えて混ぜ合わせ、200℃にて2分30秒焼成してチヂミを得た。放冷したチヂミを-18℃で冷凍し、試食前に170℃の油で1分30秒フライした。
実施例26において、難消化性油脂処理澱粉RF1を難消化性油脂処理澱粉RF15または難消化性澱粉R1とした以外は同様にして、冷凍チヂミを得た。
チヂミは難消化性澱粉を配合することで粉っぽさが目立ち、食感が悪くなるという問題がある。そこで、粉っぽさの低減を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものは粉っぽさがなく良好とし、3.0点未満のものは不良と判定した。
(粉っぽさ評価基準)
5:粉っぽさを全く感じない。
4:粉っぽさをわずかに感じる。
3:粉っぽさを少し感じる。
2:粉っぽさを明確に感じる。
1:粉っぽさが強調されるほどに感じる。
Claims (5)
- 40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉であって、前記難消化性油脂処理澱粉の原料となる難消化性澱粉は、乾燥澱粉当たり50%以上95%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である、難消化性油脂処理澱粉。
- 40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉であって、前記難消化性油脂処理澱粉は、乾燥澱粉当たり47%以上94%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である、難消化性油脂処理澱粉。
- 請求項1または2に記載の難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物。
- 請求項1または2に記載の難消化性油脂処理澱粉を含む食品。
- 乾燥澱粉当たり50%以上95%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である難消化性澱粉に油脂を0.02~5.0質量%混合し、40質量%の澱粉懸濁液の粘度が50mPa・s以上になるまで加熱処理することを特徴とする請求項1または2に記載の難消化性澱粉の製造方法。
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