JP7234677B2 - 多官能プロパルギル化合物及びそれを含む光学用組成物 - Google Patents
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Description
光学部品やデバイスの高機能化等のニーズに対応するためには、光重合性、および/または、様々な光学特性(屈折率、アッベ数、耐熱性、高ガラス転移温度など)を有する多様な単量体化合物が必要不可欠である。
mは、3~30の整数を示し、
R1は、1つまたは複数のスルフィド結合を鎖中に有していてもよいアルキルを示し、前記アルキルは場合により置換されており、
RAはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のナフチル、およびシリルからなる群から選択される。)
[2] 下記式(2)または(3)で表される[1]に記載の化合物:
pは1~10の整数を示し、
n1は出現するごとにそれぞれ独立して、1~5の整数を示し、
n2は1~5の整数を示し、
n3およびn4はそれぞれ独立して、0~5の整数を示し、
R2~R7は出現するごとにそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル、-SH、及び下記式(4)で表される基から選択され、
波線部は結合部を示し、
RB~RFはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のナフチル、およびシリルからなる群から選択され、
式(2)または(3)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~10である。)
[3] RB~RFが水素原子である、[2]に記載の化合物。
[4] 前記式(2)で表され、式(2)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~5である、[2]または[3]に記載の化合物。
[5] 前記式(3)で表され、式(3)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~5である、[2]または[3]に記載の化合物。
[6] 下記式(5)で表される繰り返し構造を含む、[1]に記載の化合物。
R9は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルキルを示し、
R10は、それぞれ独立して、単結合または炭素数1~2のアルキルを示し、
n5は、3~50の整数を示す。)
[7] 下記化合物群から選択される、[1]に記載の化合物:
[8] [1]~[7][7-1]のいずれかに記載の化合物と、ポリチオール化合物とを含む、光学材料用組成物。
[9] [8]に記載の光学材料用組成物と重合触媒とを含む重合硬化性組成物を硬化した光学材料。
[10] ガラス転移温度が20℃以上である、[9]に記載の光学材料。
[11] [1]~[7][7-1]のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
下記式(1)’で表されるポリチオール化合物と下記式(A)で表されるプロパルギルハロゲン化物とを塩基の存在下で反応させることを含む、製造方法:
本発明の化合物は、以下の一以上の効果を有する。
(1)光重合硬化性に優れる。例えばポリチオール化合物と光硬化重合可能である。
(2)高い屈折率を有する光学材料を得ることが可能である。
(3)架橋密度が増加し、ガラス転移点が高い光学材料を得ることが可能である。
(4)高屈折率かつ高アッベ数を有する光学材料を得ることが可能である。
「アルキル」は、完全に飽和な直鎖、分岐、または環状の炭化水素鎖を指す。本明細書において、「アルキル」は、炭化水素鎖から1個の水素原子を除いた1価の基に加えて、炭化水素鎖から複数(x個)の水素原子を除いた多価(x価)の基を包含する。
例えば、「炭素数1~10のアルキル」は、最大10個の炭素原子を有するアルキルであり、例えば、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどが含まれる。
「低級アルキル」は、炭素数1~6のアルキルを指す。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)を指す。
「シリル」としては、例えば、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジエチルシリル等を挙げることができる。 「シアノ」は、-CNを指す。
「炭素数1~4のアルキルチオ」は、炭素数1~4のアルキルの末端に硫黄原子(S)が結合した基である。例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、t-ブチルチオ、1-メチルプロピルチオが挙げられる。
「炭素数6~20のアリール」とは、炭素数が6~20個の芳香族性の炭化水素環式基を指す。例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニルなどが挙げられる。
また、R1におけるアルキルは場合により置換されていてもよい。該アルキルの置換基としては、例えば-SHであり、R1は3~5個の-SHで置換されたアルキルでありうる。
上記式(2)中、n1は出現するごとにそれぞれ独立して、1~5の整数を示す。n2は、1~5の整数を示す。合成のしやすさの面から、n1およびn2は出現するごとにそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数である。
上記式(3)中、n3およびn4はそれぞれ独立して、0~5の整数を示す。合成のしやすさの面から、n3およびn4はそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数である。
中でも、フェニル及びナフチルの好ましい置換基は、非置換、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。好ましくはRA~RFにおけるフェニル及びナフチルは、製造工程の簡略化の点から非置換のフェニル及びナフチルである。
当該実施形態において、さらに好ましくは、R2およびR3は水素原子及び上記式(4)で表される基から選択される。
当該実施形態において、さらに好ましくは、R5およびR6は上記式(4)で表される基から選択され、R4およびR5は水素原子及び炭素数1~5(より好ましくは炭素数1~2)のアルキル、から選択される。
上記式(5)中、R10はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~2のアルキル(具体的にはメチレン、エチレン)を示す。R10は、好ましくはメチレンである。
上記式(5)中、n5は3~50の整数を示す。n5は好ましくは3~30であり、より好ましくは5~30である。あるいは、n5は例えば5~20または5~10である。
上記式(5)で表される繰り返し構造を含む多官能プロパルギル化合物は、重合性官能基数及びモノマーの粘性を調整できる面で好ましい。
上記式(5)で表される繰り返し構造を含む多官能プロパルギル化合物の末端は特に制限されないが、通常は水素原子、炭素数1~4のアルキル、または炭素数1~4のアルキルチオである。
一実施形態において、多官能プロパルギル化合物は、下記式(5a)で表される。
一実施形態において、多官能プロパルギル化合物は、下記式(5b)で表される。
さらに、実施形態の多官能プロパルギル化合物は、高い硫黄含有率および高い屈折率を有しうる。光学材料として使用するためには、単量体である多官能プロパルギル化合物の屈折率は1.55以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。屈折率は屈折率計により測定することができる。屈折率は、20~25℃、589nm(D線)で測定した値である。
また、実施形態の多官能プロパルギル化合物は高い架橋密度の重合体を与える単量体として有用である。
上記式(A)中、Xはハロゲンである。
具体的には、以下のスキーム1により合成可能である。
例えば、塩基として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの強塩基を用いる方法がある。好ましくは、ポリチオール化合物と強塩基とを有機溶媒中で十分に混合した後にプロパルギルハロゲン化物を添加して反応を進行させる。反応は撹拌しながら行うことが好ましい。これにより多官能プロパルギル化合物が得られる。
反応系におけるポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との混合比率は反応が進行し得る限り特に制限されない。例えば、廃棄物及び副生成物の抑制の点で、ポリチオール化合物のチオール基1ユニットに対するプロパルギルハロゲン化物の量が1~1.5当量であることが好ましい。
ポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としてはポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応が進行しうる限り特に制限されないが、反応性及び経済性の点で、アルコール(例えばメタノール、エタノール)、水、アセトンなどの有機溶媒が好ましい。これらは単独でも混合して用いてもよい。
強塩基の添加量は、ポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応が進行し得る限り特に制限されない。例えば、廃棄物及び副生成物の抑制の点で、ポリチオール化合物のチオール基1ユニットに対する塩基の量が1~1.5当量であることが好ましい。
反応温度は、反応が進行するのであれば特に制限はないが、反応性及び選択性の点で好ましくは0~60℃で実施する。
反応時間も特に制限されないが、例えば1~24時間である。なお、反応時間は、反応物の混合(滴下)が完了した時点から反応終了までの時間を指す。
別法として、塩基として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等を用いる方法がある。好ましくは、ポリチオール化合物と塩基とを有機溶媒中で十分に混合した後に、室温~80℃でプロパルギルハロゲン化物を添加して反応を進行させる。反応は撹拌しながら行うことが好ましい。これにより多官能プロパルギル化合物が得られる。
反応系におけるポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との混合比率は反応が進行し得る限り特に制限されない。例えば、廃棄物及び副生成物の抑制の点で、ポリチオール化合物のチオール基1ユニットに対するプロパルギルハロゲン化物の量が1~2当量であることが好ましい。
ポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としてはポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応が進行しうる限り特に制限されないが、反応性の点で、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジクロロメタン等の有機溶媒が好ましい。これらは単独でも混合して用いてもよい。
塩基の添加量は、ポリチオール化合物とプロパルギルハロゲン化物との反応が進行し得る限り特に制限されない。例えば、反応性の点で、ポリチオール化合物のチオール基1ユニットに対する塩基の量が1~3当量であることが好ましい。
反応温度は、反応が進行するのであれば特に制限はないが、反応性及び選択性の点で好ましくは室温~80℃で実施する。
反応時間も特に制限されないが、例えば1~24時間である。なお、反応時間は、反応物の混合(滴下)が完了した時点から反応終了までの時間を指す。
上記式(2)’または(3)’中、R2~R7はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル、-SH、及び下記式(4)’で表される基から選択され、式(4)’で表される基を除き前記式(2)または(3)と同義である。式(4)’中のR8の定義は前記式(4)と同義である
特に、実施形態の多官能性プロパルギル化合物の炭素―炭素三重結合(プロパルギル基)によるチオール-イン反応は、高い架橋密度の重合体を与え、したがって、ガラス転移点及び屈折率が向上した重合体が得られる。
ポリチオール化合物の好ましい具体例は、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,2,6,7-テトラメルカプト-4-チアヘプタン、ペンタエリスリチオール、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、及びトリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオネートであり、より好ましくは、1,2,6,7-テトラメルカプト-4-チアヘプタン、ペンタエリスリチオール、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、2,5-ビス(2-メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、及びペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートであり、特に好ましい化合物は、1,2,6,7-テトラメルカプト-4-チアヘプタン、ペンタエリスリチオール、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、及び4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンである。
ポリチオール化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
光学材料用組成物中に含まれるポリイソシアネート化合物のNCO基に対するポリチオール化合物中のSH基の割合、即ち[組成物中ポリチオール化合物の合計SH基数/組成物中ポリイソシアネート化合物のNCO基数](SH基/NCO基)は、好ましくは1.0~2.5であり、より好ましくは1.25~2.25であり、さらに好ましくは1.5~2.0である。上記割合が1.0を下回ると成型時に黄色く着色する場合があり、2.5を上回ると耐熱性が低下する場合がある。
あるいは、光重合反応に用いる重合触媒として、可視光などの光の照射によりラジカルを発生する光レドックス触媒も好ましく使用される。具体例としては、ルテニウム(II)ポリピリジル錯体(例えば、Ru(bpz)3-(PF6)2触媒など)、イリジウム(III)フェニルピリジル錯体などの遷移金属錯体が挙げられる。
熱重合反応に用いる重合触媒として、加熱によりラジカルを発生する化合物(熱分解型ラジカル重合開始剤)が好ましい。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;t-ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。
重合触媒の添加量は、組成物の成分、混合比及び重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は光学材料用組成物の合計100質量%に対して、0.0001質量%~10質量%、好ましくは、0.001質量%~5質量%である。添加量が10質量%より多いと急速に重合する場合がある。添加量が0.0001質量%より少ないと光学材料用組成物が十分に硬化せず耐熱性が不良となる場合がある。したがって、本発明の好ましい一形態において、光学材料の製造方法は重合触媒を前記光学材料用組成物総量に対して0.0001~10質量%添加し、重合硬化させる工程を含む。
一実施形態の成形体(硬化物)は、ガラス転移温度が20℃又は室温以上(より好ましくは70℃以上)である。このような成形体は、広範な用途に使用できる。
一実施形態の成形体(硬化物)は、高屈折率材料である。具体的には屈折率が、1.60以上であることが好ましく、1.65以上であることがより好ましく、1.69以上であることが一層好ましく、1.70以上であることがさらに好ましい。屈折率は屈折率計により測定することができる。屈折率は、20~25℃、589nm(D線)で測定した値である。
一実施形態の成形体(硬化物)は、アッベ数(νd)が32以上(より好ましくは33以上、さらに好ましくは35以上)である。アッベ数は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
1.屈折率の評価
化合物及び光学材料(硬化物)の屈折率は、屈折率計(島津製作所製KPR-2000)にて測定した。単量体化合物の屈折率は、21℃、589nm(D線)で測定した値である。なお、単量体化合物はいずれも液体またはシロップ状であり、液体状態で屈折率を測定した。硬化物の屈折率は、25℃、589nm(D線)で測定した値である。
400MHz核磁気共鳴分光装置(1H及び13C NMR)(JEOL社製 ECS-400SS)。
5%重量減少温度は示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6200)を用いて測定した。具体的には、サンプルを、窒素雰囲気下で常温より10℃/分で昇温し、重量が初期重量に比べて5%の重量減少した温度を求めた。5%重量減少温度が大きいほど耐熱性が高いことを示す。
実施例6、比較例4のガラス転移温度は、セイコーインスツル製DMS6100を用いた動的粘弾性測定(DMA)により測定した。具体的には、サンプルを30℃より2℃/分で昇温しつつ1Hzの振動を与え、得られたtanδの曲線のピークトップをガラス転移温度とした。
比較例3のガラス転移温度は、示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定した(日立ハイテクサイエンス社製DSC6200)。具体的には、サンプルを、窒素雰囲気下で-80℃または-60℃より5℃/分で昇温し、ベースラインが下がる場所の変曲点での接線の交点をガラス転移温度とした。
光学材料(硬化物)のアッベ数(νd)は、屈折率計(アタゴ製DR-M4)にてF線(486nm)の屈折率(nF)、d線(588nm)の屈折率(nd)、およびC線(656nm)の屈折率(nC)を測定し、νd=(nd-1)/(nF-nC)の式より算出した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー社製 HLC-8220)を用いて、後述するS-プロパルギルポリマー(化合物7)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を決定した。
具体的には、化合物7を0.01M LiBr含有DMFに溶解し、GPCを用いて測定を行い、重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を決定した。各重合体のMw、Mn、及びMw/Mnは、標準ポリスチレンによる検量線を基に算出した。
装置:東ソー社製 HLC-8220
カラム:東ソー社製 TSKgel 3本 (Super AW4000, Super AW3000, Super AW2500)およびTSKガードカラム(Super AW-H)を直列接続
移動相溶媒:0.01M LiBr含有DMF
流速:0.5mL/分
温度:40℃
サンプル濃度:0.07%
サンプル注入量:50μL
検出器:RI
<実施例1>
1,2,6,7-テトラキス(プロパルギルチオ)-4-チアヘプタン(化合物1)の合成(方法1)
1,2,6,7-テトラキス(プロパルギルチオ)-4-チアヘプタン(化合物1)の合成(方法2)
ビス(プロパルギル)スルフィド(化合物c1)の合成
1,2-ビス(プロパルギルチオ)プロパン(化合物c2)の合成
1,8-ビス(プロパルギルチオ) -4-(プロパルギルチオ)メチル-3,6-ジチアオクタン(化合物2)の合成
テトラキス(プロパルギルチオメチル)メタン(化合物6)の合成
ポリ(2-(プロパルギルチオメチル)チイラン)(化合物7)の合成
上記で合成した多官能プロパルギル化合物(化合物1、c1、c2、化合物2、化合物6、化合物7)とポリチオール化合物(化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、光学材料を製造した。
四官能性S-プロパルギルモノマー(化合物1)とポリチオールの光硬化反応
上記実施例1で合成したS-プロパルギルモノマー(化合物1)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、硬化物(Poly-1)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
二官能性S-プロパルギルモノマー(c1)とポリチオールの光硬化反応
上記比較例1で合成したS-プロパルギルモノマー(化合物c1)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、硬化物(Poly-2)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
二官能性S-プロパルギルモノマー(c2)とポリチオールの光硬化反応
上記比較例2で合成したS-プロパルギルモノマー(化合物c2)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、硬化物(Poly-3)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
三官能性S-プロパルギルモノマー(化合物2)とポリチオールの光硬化反応
上記実施例3で合成したS-プロパルギルモノマー(化合物2)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、硬化物(Poly-4)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
四官能性S-プロパルギルモノマー(化合物6)とポリチオールの光硬化反応
上記実施例4で合成したS-プロパルギルモノマー(化合物6)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i1)の存在下で光重合させることにより、硬化物(Poly-5)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
多官能性S-プロパルギルポリマー(化合物7)とポリチオールの光硬化反応
上記実施例5で合成したS-プロパルギルポリマー(化合物7)とポリチオール化合物(下記化合物t1)とを触媒(i2)の存在下で光多官能性S-プロパルギルポリマー重合させることにより、硬化物(Poly-6)を製造した。具体的には以下の方法により製造した。
実施例7-9で得られた硬化物(Poly-4、Poly-5、Poly-6)の屈折率は、実施例6で得られた(Poly-1)と同様に1.700付近の高い値を示した。三官能以上の多官能性S-プロパルギル化合物は、高屈折率を有する光学材料を製造し得る単量体(および反応性高分子)として有用であることが確認された。
また、実施例7-9で得られた硬化物(Poly-4、Poly-5、Poly-6)はアッベ数も35-36付近の高い値を示した。一般的なポリスチレンやポリカーボネートは屈折率が1.59のときアッベ数が30付近であり、これらの一般的な光学材料用樹脂と比較して、本発明の多官能プロパルギル化合物を硬化してなる硬化物(Poly-4、Poly-5、Poly-6)はアッベ数が非常に優れている(高アッベ数)と言える。
Claims (8)
- 下記式(2)または(3)で表される多官能プロパルギル化合物:
pは1~10の整数を示し、
n1は出現するごとにそれぞれ独立して、1~5の整数を示し、
n2は1~5の整数を示し、
n3およびn4はそれぞれ独立して、0~5の整数を示し、
R2~R7は出現するごとにそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル、-SH、及び下記式(4)で表される基から選択され、
波線部は結合部を示し、
RB~RFはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のナフチル、およびシリルからなる群から選択され、
式(2)または(3)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~10である。) - RB~RFが水素原子である、請求項1に記載の化合物。
- 前記式(2)で表され、式(2)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~5である、請求項1または2に記載の化合物。
- 前記式(3)で表され、式(3)で表される化合物中に含まれる炭素―炭素三重結合の総数は3~5である、請求項1または2に記載の化合物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物と、ポリチオール化合物とを含む、光学材料用組成物。
- 請求項7に記載の光学材料用組成物と重合触媒とを含む重合硬化性組成物を硬化した光学材料。
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