JP7234673B2 - 光配向用液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子、並びに、ジアミン、(メタ)アクリレート、およびポリマー - Google Patents

光配向用液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子、並びに、ジアミン、(メタ)アクリレート、およびポリマー Download PDF

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Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子に関する。詳しくは、光配向方式の液晶配向膜(以降、光配向膜と略記することがある。)を形成するための液晶配向剤、この液晶配向剤を用いて形成される光配向方式の液晶配向膜、そして、この液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。さらには、前記液晶配向剤に用いられるポリアミック酸、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート等のポリマー、およびその原料となるジアミン、(メタ)アクリレートに関する。
液晶表示素子として、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、垂直配向型のVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード等、様々な駆動方式のものが知られている。これらの液晶表示素子は、テレビ、携帯電話等、各種電子機器の画像表示装置に応用されており、さらなる表示品位の向上を目指して開発が進められている。具体的には、液晶表示素子の性能の向上は、駆動方式、素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材によっても達成される。そして、液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品位化の要求に応えるべく、この液晶配向膜についても盛んに研究が進められている。
ここで、液晶配向膜は、液晶表示素子の液晶層の両側に設けられた一対の基板上に、該液晶層に接して設けられ、液晶層を構成する液晶分子を、基板に対して一定の規則性を持って配向させる機能を有する。液晶配向性の高い液晶配向膜を用いることにより、コントラストが高く、残像特性が改善された液晶表示素子を実現することができる(例えば、特許文献1および2参照)。
こうした液晶配向膜の形成には、現在、ポリアミック酸、可溶性のポリイミド、ポリアミック酸エステルもしくはポリ(メタ)アクリレートを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)が主に用いられている。これらのワニスにより液晶配向膜を形成するには、ワニスを基板に塗布した後、加熱等により塗膜を固化して液晶配向膜を形成し、必要に応じて前述の表示モードに適する配向処理を施す。配向処理方法としては、布などで配向膜の表面を擦ってポリマー分子の方向を整えるラビング法と、配向膜に直線偏光の紫外線を照射することにより、ポリマー分子に光異性化や二量化等の光化学変化を起こさせて膜に異方性を付与する光配向法が知られており、このうち光配向法は、ラビング法に比べて配向の均一性が高く、また、非接触の配向処理法であるため膜に傷が付かないことや、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。
こうした光配向法を用いた液晶配向膜として、例えば、特許文献1~6には、光異性化の技術を応用することで、アンカリングエネルギーが大きく、液晶配向性が良好な光配向膜を得たことが記載されている。
特開2010-197999号公報 国際公開2013/157463号 特開2005-275364号公報 特開2007-248637号公報 特開2009-069493号公報 特開平8-328005号公報
上記のように、光配向法による配向処理を施して形成した液晶配向膜が知られている。膜に異方性を付与するため、ポリマー分子に光異性化や二量化等の光化学反応が生じる光反応性構造が用いられる。例えば、特許文献6では、光反応性構造としてアゾベンゼン誘導体を用いた液晶配向膜により液晶セルを作製することで、良好な配向が得られると記述されている。しかしながら、アゾベンゼン誘導体に特有の可視光領域の吸収により、液晶配向膜の透過率が低下するという問題がある。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、光配向法により異方性を付与することができ、且つ、透過率の高い液晶配向膜、および、そのような液晶配向膜を形成できる液晶配向剤を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、アゾベンゼン誘導体を含む構成単位を有し、且つ、そのアゾベンゼン誘導体を含む構成単位が加熱により化学反応を起こすポリマーを液晶配向剤に用いることにより、液晶配向剤の塗膜に光配向処理を行った後の加熱・焼成工程で、その構成単位を、アゾベンゼン誘導体を含まない構造に変化させることができ、これによって透過率の高い液晶配向膜が実現できるとの知見を得るに至った。本発明は、こうした知見に基づいて提案されたものであり、具体的に以下の構成を有する。
[1] 側鎖に光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーを含有する光配向用液晶配向剤であって、加熱により、前記光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こす、光配向用液晶配向剤。
[2] 前記化学反応が環化反応である、[1]に記載の光配向用液晶配向剤。
[3] 前記光反応性構造を含む構成単位が、下記式(a-1)または下記式(a-2)で表される構造を含む、[1]または[2]に記載の光配向用液晶配向剤;
Figure 0007234673000001
[式(a-1)において、Raは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
式(a-2)において、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
式(a-1)および式(a-2)において、*は光反応性基との結合位置を表す。]
[4] 前記光反応性構造が、光異性化構造、または光フリース転位を起こす構造である、[1]~[3]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
[5] 前記光反応性構造が、下記式(1A)で表される構造を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000002
[式(1A)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
*はベンゼン環における結合位置を表し、一方のベンゼン環における水素原子と置換可能ないずれかの位置、および、他方のベンゼン環の水素原子と置換可能ないずれかの位置であり;
ベンゼン環の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000003
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(1A)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[6] 前記ポリマーとして、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーを含有し;
前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000004
[式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000005
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[7] 前記式(2)で表されるジアミンが、下記式(3)で表されるジアミンである、[6]に記載の、光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000006
[式(3)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000007
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[8] 前記式(3)で表されるジアミンが、下記式(4)~(6)のいずれかで表されるジアミンである、[6]または[7]に記載の、光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000008
[式(4)~(6)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[9] 前記ジアミンが下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)のいずれかで表されるジアミンである、[6]~[8]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000009
Figure 0007234673000010
[式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)において、nは、1~12の正の整数を表す。]
[10] 前記ポリマーとして、下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレートを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000011
[式(7)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000012
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[11] 前記式(7)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(8)で表される(メタ)アクリレートである、[10]に記載の、光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000013
[式(8)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000014
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[12] 前記式(8)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(9)~(11)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、[10]または[11]に記載の、光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000015
[式(9)~(11)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
9は、水素原子またはメチル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[13] 前記(メタ)アクリレートが下記式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、[10]~[12]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
Figure 0007234673000016
Figure 0007234673000017
[式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)において、nは、1~12の正の整数を表す。]
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
[15] [14]に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
[16] 下記式(2)で表されるジアミン。
Figure 0007234673000018
[式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000019
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[17] 下記式(3)で表される[16]に記載のジアミン。
Figure 0007234673000020
[式(3)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000021
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[18] 下記式(4)~(6)のいずれかで表される[17]に記載のジアミン。
Figure 0007234673000022
[式(4)~(6)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[19] 下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)のいずれかで表される、[17]に記載のジアミン。
Figure 0007234673000023
Figure 0007234673000024
[式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)において、nは、1~12の正の整数を表す。]
[20] 下記式(7)で表される(メタ)アクリレート。
Figure 0007234673000025
[式(7)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000026
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[21] 下記式(8)で表される[20]に記載の(メタ)アクリレート。
Figure 0007234673000027
[式(8)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000028
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[22] 下記式(9)~(11)のいずれかで表される[21]に記載の(メタ)アクリレート。
Figure 0007234673000029
[式(9)~(11)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
9は、水素原子またはメチル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[23] テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーであって;
前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、ポリマー。
Figure 0007234673000030
[式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
Figure 0007234673000031
[式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[24] 下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレート。
Figure 0007234673000032
[式(7)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
本発明の光配向用液晶配向剤によれば、光配向法を用いて異方性を付与することができ、且つ、透過率の高い液晶配向膜を形成することができる。また、本発明の光配向用液晶配向剤により形成した液晶配向膜を用いることにより、液晶層が高度に配向していて残像特性に優れている液晶表示装置を実現することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本発明における「光配向用液晶配向剤」とは、その膜を基板上に形成したとき、偏光を照射することで異方性を付与することができる液晶配向剤を意味し、本明細書中では単に「液晶配向剤」ということがある。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」を意味する。同様に、「ポリ(メタ)アクリレート」は「ポリアクリレートおよびポリメタクリレートのいずれか一方または双方」、「(メタ)アクリロイルオキシ基」は「アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のいずれか一方または双方」を意味する。
光配向用液晶配向剤
本発明の光配向用液晶配向剤は、側鎖に光反応性構造を含む構成単位であって、加熱により化学反応を起こす構成単位を有するポリマーを含有する。本発明の液晶配向剤によれば、光配向法により配向性を付与することができる。
本明細書において「光反応性構造」とは、光の照射により構造が変化する原子団を意味する。こうした光反応性構造は、通常、光を吸収して化学変化を起こす特定部位(光反応性基)を有し、その光反応性基の化学変化に起因して構造が変化する。以下の説明では、こうした光吸収によって起こる光反応性構造の化学反応を「光化学反応」といい、光化学反応に起因して生じた構造の変化を光化学変化という。光化学反応は、電子が光を吸収して励起され、それによって引き起こされる化学反応であり、加熱により起こる化学反応とは区別される。光化学変化の具体例として、光異性化、光フリース転位等を挙げることができる。光反応性構造に構造変化を生じる光の波長は、特に制限されないが、150~800nmであることが好ましく、200~400nmであることがより好ましく、300~400nmであることがさらに好ましい。また、光反応性構造に構造変化を生じるのに要する光照射強度は、0.05~20J/cm2であることが好ましい。
本明細書において「光反応性構造を含む構成単位」とは、ポリマーを構成する構成単位であって、上記のような光反応性構造を含む構成単位を意味する。本発明の光配向用液晶配向剤に含まれるポリマーにおける光反応性構造を含む構成単位は、さらに、加熱により化学反応を起こすものである。以下の説明では、加熱により化学反応を起こす光反応性構造を含む構成単位を「熱反応性の光反応性構造を含む構成単位」ということがある。加熱により起こる化学反応は特に限定されないが、光反応性構造の光反応性基を、光反応性を有しない構造に変換する反応であることが好ましく、光反応性基と他の基の環化反応であることが特に好ましい。これにより、ポリマーの直線性が高くなり、より配向性が高い液晶配向膜を得ることができる。また、化学反応を起こすための加熱温度は40~300℃であることが好ましく、100~300℃であることがより好ましく、150~280℃であることがさらに好ましい。加熱時間は1分間~3時間であることが好ましく、5分間~1時間であることがより好ましく、15分間~45分間であることがさらに好ましい。化学反応を起こすための加熱温度と加熱時間は、加熱温度が40~180℃の時は加熱時間が10分間~3時間であることが好ましく、加熱温度が180~300℃の時は加熱時間が1分間~1時間であることが好ましい。なかでも反応効率を高めることができる点から、加熱温度が150~280℃で加熱時間が10分間~1時間であることがより好ましい。
本発明の光配向用液晶配向剤(液晶配向剤)は液晶配向膜の形成に用いられるものである。本発明の液晶配向剤によって液晶配向膜を形成するには、例えば液晶配向剤を基板に塗布して膜を形成した後、光配向用の偏光を照射する。これにより、その偏光方向と概ね平行にあるポリマー側鎖の光反応性構造が選択的に光化学反応を起こして構造が変化し、ポリマー側鎖のうちで特定の方向を向いた成分(構造が変化した結果、特定の方向を向いた成分)が支配的になる。その後、この光配向させた膜を加熱して焼成することにより、固体の液晶配向膜が形成される。このとき、本発明で使用しているポリマーでは、加熱により光反応性構造を有する構成単位が化学反応を起こして、その光反応性基が消失し、膜全体で光反応性基の数が減少するか、光反応性基が存在しなくなる。そのため、光反応性基がアゾベンゼンなどの可視光領域の光を吸収する構造を含むか、またはその一部である場合、光反応性基の数の減少により、透過率が高い液晶配向膜を形成可能な液晶配向剤とすることができる。
なお、液晶配向膜の詳細な形成条件については、液晶配向膜の欄の記載を参照することができる。
以下において、本発明の液晶配向剤が含有する、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーについて説明する。以下の説明では、「熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー」を「熱反応性の光反応性構造を含有するポリマー」ということがある。
[熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー]
本発明の液晶配向剤は、加熱により化学反応を起こす光反応性構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを含む。本発明で用いられる熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーは側鎖に光反応性構造を有するため、後述の側鎖連結基を選択することにより、液晶配向膜としたときにプレチルト角を任意の値に調整することができる。
ポリマーを構成する構成単位は、全てが熱反応性の光反応性構造を含む構成単位であってもよいし、一部が熱反応性の光反応性構造を含む構成単位で、残りが熱反応性の光反応性構造を含まない構成単位であってもよい。ポリマーにおける熱反応性の光反応性構造を含む構成単位の数は、特に制限されないが、ポリマー1分子当たり3~500個であることが好ましく、5~400個であることがより好ましく、5~300個であることがさらに好ましい。ポリマーが熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を2つ以上有するとき、その複数の構成単位は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
(熱反応性の光反応性構造を含む構成単位)
本発明の液晶配向剤が含有するポリマーにおける熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、光の照射により構造が変化する光反応性構造を含み、且つ、加熱により化学反応を起こすものである。
熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、熱反応性の光反応性構造のみからなっていてもよいし、その他の構造を含んでいてもよい。構成単位が含む熱反応性の光反応性構造の数は、1つであっても2つ以上であってもよい。構成単位が2つ以上の熱反応性の光反応性構造を含むとき、それらの熱反応性の光反応性構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、下記式(a-1)で表される構造および下記式(a-2)で表される構造の少なくとも一方を含有することが好ましい。こうした構造を有する構成単位では、液晶配向剤の塗膜を加熱したとき、各式におけるベンゼン環の置換基と光反応性基とが環化反応して光反応性基が消失し、膜全体で光反応性基の数が減少するか、光反応性基が存在しなくなる。その結果、光に対して安定な液晶配向膜を形成することができる。
ここで、構成単位は、式(a-1)で表される構造のみを含んでいても、式(a-2)で表される構造のみを含んでいてもよく、式(a-1)で表される構造と式(a-2)で表される構造の両方を含んでいてもよい。また、構成単位が含む式(a-1)で表される構造の数、および、式(a-2)で表される構造の数は、それぞれ1つであっても2つ以上であってもよい。構成単位が式(a-1)で表される構造を2つ以上含むとき、それらの構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよく、構成単位が式(a-2)で表される構造を2つ以上含むとき、それらの構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0007234673000033
式(a-1)において、Raは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。式(a-2)において、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。RbとRcは互いに同一であっても異なっていてもよい。式(a-1)および式(a-2)において、*は光反応性基との結合位置である。*は光反応性基に直接結合していてもよいし、二価の基を介して光反応性基と連結していてもよい。
式(a-1)において、Raにおけるアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4であり、さらにより好ましくは1~3である。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基等を例示することができる。
aにおけるアルカノイル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルカノイル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~2であり、さらにより好ましくは1である。アルカノイル基の具体例として、メタノイル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec-ブタノイル基、tert-ブタノイル基、ペンタノイル基、イソペンタノイル基、ネオペンタノイル基、tert-ペンタノイル基、1-メチルブタノイル基、1-エチルプロパノイル基、ヘキサノイル基、イソヘキサノイル基、1-メチルペンタノイル基、1-エチルブタノイル基等を例示することができる。
aにおけるアリールカルボニル基のアリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。アリール基の好ましい炭素数は6~22であり、より好ましくは6~14であり、さらに好ましくは6~10である。アリール基の具体例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を例示することができる。アリールカルボニル基の具体例として、フェニルカルボニル基、1-ナフチルカルボニル基等を例示することができる。
aにおけるアルキル基、アルカノイル基およびアリールカルボニル基は、それぞれ置換基で置換されていてもよい。置換基として、水酸基、アミノ基、ハロゲノ基等を挙げることができる。
これらのうちで、最終的に製造される液晶配向膜の性能を良好にできる点から、Raはメチル基、エチル基、プロピル基、水素原子、メタノイル基、フェニル基であることが好ましい。
式(a-2)において、RbおよびRcにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
式(a-1)および式(a-2)において、*に結合する光反応性基は、特に限定されないが、アゾ基、1,2-エテンジイル基、1,2-エチンジイル基、イミノ基、カルボニル基、オキシカルボニル基等を挙げることができる。
式(a-1)および式(a-2)における各ベンゼン環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、下記式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
構成単位が含む光反応性構造として、例えばアゾベンゼン構造、スチルベン構造、アシルヒドラゾン構造などの光異性化構造、フェニルエステル構造などの光フリース転位構造などが挙げられる。本発明で用いるポリマーの構成単位が含む光反応性構造は、好ましくはアゾベンゼン構造、スチルベン構造、アシルヒドラゾン構造などの光異性化構造であり、中でも、アゾベンゼン構造であることが特に好ましい。
アゾベンゼン構造を有する熱反応性の光反応性構造の好ましい例として、下記式(1A)で表される構造を挙げることができる。下記式(1A)で表される構造に偏光紫外線が照射されると、アゾ基のトランス-シス異性化が起こって特定の方向を向いた成分(構造が変化した結果、特定の方向を向いた成分)が支配的になる。これにより、特定の向きに配向した液晶配向膜が得られる。
Figure 0007234673000034
式(1A)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、式(1-1)または式(1-2)で表される基である。R1およびR2のうちで式(1-1)または式(1-2)で表される基であるものは、R1およびR2のうちの一方であっても両方であってもよい。R1およびR2の両方が式(1-1)または式(1-2)で表される基であるとき、それらの基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
*は、式(1A)で表される構造の連結基への結合位置を表し、そのベンゼン環における水素原子と置換可能な位置のいずれか、または、他方のベンゼン環における水素原子と置換可能な位置のいずれかである。
Figure 0007234673000035
式(1-1)において、R4は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R4とR5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。式(1-1)および式(1-2)において、*は式(1A)における各ベンゼン環への結合位置を表す。R4およびR5におけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
式(1A)におけるベンゼン環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい例として、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基、カルボキシアルキル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の好ましい炭素数は1~4であり、より好ましくは1~2である。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を例示することができる。アルコキシ基の好ましい炭素数は1~4であり、より好ましくは1~2である。アルコキシ基の具体例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等を例示することができる。ハロゲン化アルキル基の具体例として、トリフルオロメチル基等を例示することができる。ハロゲノ基の具体例として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等を例示することができる。カルボキシアルキル基の具体例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等を例示することができる。
(熱反応性の光反応性構造を有する構成単位の加熱による化学反応)
本発明で液晶配向剤に用いる熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、加熱により、光反応性構造を有する構成単位が化学反応を起こす点に特徴がある。これにより、このポリマーでは、光配向法にて異方性を付与した後(光照射により光反応性構造に構造変化を生じさせた後)、加熱を行うことで、光反応性構造の光反応性を消失させて、光に対して安定な構造に変換することができる。
以下に、熱反応性の光反応性構造がアゾベンゼン構造、アシルヒドラゾン構造、フェニルエステル構造またはN-ベンジリデンアニリン構造である構成単位について、加熱による化学反応により光反応性基が消失するメカニズムについて説明する。
(A)アゾベンゼン構造の環化反応:5員環形成
一方のベンゼン環のアゾ基に対するオルト位に置換基R1Aを有するアゾベンゼン構造、すなわち、下記式(A-1)で表されるアゾベンゼン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、アゾ基がベンゼン環の置換基R1Aと反応してインダゾール環を形成し、アゾ基が消失する。この反応の詳細については、New J. chem., 1999, 23, 1223-1230を参照することができる。
Figure 0007234673000036
式(A-1)において、R1Aは、式(A-1-1)または式(A-1-2)で表される基を表す。式(A-1-1)および式(A-1-2)において、R4AおよびR5Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R4AおよびR5Aの説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
(B)アゾベンゼン構造の環化反応:6員環形成
一方のベンゼン環のアゾ基に対するオルト位に置換基(-CH2COOR1B)を有するアゾベンゼン構造、すなわち、下記式(B-1)で表されるアゾベンゼン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、アゾ基がベンゼン環の置換基(-CH2COOR1B)と反応して環状構造を形成し、アゾ基が消失する。
Figure 0007234673000037
式(B-1)において、R1Bは、水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基およびアルキル基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基およびその置換基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
(C)アシルヒドラゾン構造の環化反応:5員環形成
ベンゼン環におけるイミノ基に対するオルト位に置換基R1Cを有するアシルヒドラゾン構造、すなわち、式(C-1)で表されるアシルヒドラゾン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、イミノ基(=NR)がベンゼン環の置換基R1Cと反応して環状構造を形成し、イミノ基が消失する。
Figure 0007234673000038
式(C-1)において、R1Cは、式(C-1-1)または式(C-1-2)で表される基を表す。式(C-1)、式(C-1-1)および式(C-1-2)において、R2C、R4CおよびR5Cは、各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R2C、R4CおよびR5Cにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
(D)フリース転位後の環化反応:5員環形成
ベンゼン環のエステル結合部位に対するオルト位に置換基(-CH2NHR1D)を有するフェニルエステル構造、すなわち下記式(D-1)で表されるフェニルエステル構造は、下記反応式に示すように、フリース転位させた後、カルボニル基がベンゼン環の置換基(-CH2NHR1D)と反応して環状構造を形成し、カルボニル基が消失する。
Figure 0007234673000039
式(D-1)において、R1Dは、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基およびアルキル基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基およびその置換基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
(E)N-ベンジリデンアニリン構造の環化反応:5員環形成
ベンゼン環におけるイミノ基に対するオルト位に置換基R1Eを有するN-ベンジリデンアニリン構造、すなわち、式(E-1)で表されるN-ベンジリデンアニリン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、イミノ基(=NR)がベンゼン環の置換基R1Eと反応して環状構造を形成し、イミノ基が消失する。
Figure 0007234673000040
式(E-1)において、R1Eは、式(E-1-1)または式(E-1-2)で表される基を表す。式(E-1-1)および式(E-1-2)において、R4EおよびR5Eは、各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R4EおよびR5Eにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基およびこれらの基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
光反応性構造を含む構成単位が加熱による化学反応を起こしたか否かは、紫外可視吸収スペクトル(透過率)、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤外分光(IR)スペクトルにより確認することができる。例えば、光反応性構造がアゾベンゼン構造である場合には、アゾベンゼンの吸収波長である365nmでの透過率が上昇することで、上記の環化反応が生じたことを確認することができる。ここで、アゾベンゼン構造をポリマーの構成単位に含む液晶配向剤では、加熱による化学反応により365nmの透過率が25%以上上昇することが好ましい。具体的には、光配向用液晶配向剤からなる膜を230℃で30分間加熱焼成したとき、その膜の365nmにおける透過率が、加熱焼成前の膜の365nmにおける透過率から25%以上上昇することが好ましい。こうした光配向用液晶配向剤では、加熱によりアゾベンゼン構造の光反応性を確実に低減させることができ、透過率が高く、良好な液晶配向性を示す液晶配向膜を形成することができる。
(側鎖連結基)
熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、ポリマーの側鎖に含まれる。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位のポリマーの側鎖への導入方法は限定されないが、例えば、ポリマーの主鎖と連結基を介して結合していればよい。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位とポリマー主鎖とを結ぶ連結基の例としては、下記式(S)で表される連結基を挙げることができる。
Figure 0007234673000041
式(S)において、Roは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表す。RpおよびRtはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい。Rrは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、Rrの数が2となるときは、Rr同士は同一でも異なっていてもよい。RqおよびRsは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表す。ただし、Rrが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のRqまたはRsは芳香環である。Ruは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい。s1は0または1である。s2は0~2の整数である。s2が0である場合、Ruが単結合であるときはRpも単結合を表す。s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、Ruが単結合であるときはRtも単結合を表す。*aはポリマー主鎖との結合位置であり、*bは熱反応性の光反応性構造を含む構成単位(熱反応性の光反応性構造;例えば式(1A)で表される構造)との結合位置である。
式(S)においては:
oが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、s2が0であり、Ruが-O-である;
oが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが炭素数1~12のアルキレン基であり、Ruが-O-である;
oが単結合であり、Rpが-OCO-または-COO-であり、Rqが2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが炭素数1~12のアルキレン基であり、Ruが-O-である;
oが単結合であり、Rpが単結合であり、s2が0であり、Ruが、-COO-または-OCO-である;
oが-COO-、-OCO-または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、s2が0であり、Ruが、-COO-、-OCO-または-O-である;
oが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが-COO-であり、Ruが単結合である;または、
oが単結合であり、Rpが-OCO-または-COO-であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが-COO-であり、Ruが単結合であることが好ましい。
具体的には、下記式(1S)~(12S)の連結基を挙げることができる。
Figure 0007234673000042
式(1S)~(12S)において、mは1~12の整数である。
(ポリマーの種類)
本発明で液晶配向剤に用いる、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、上記のような熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を側鎖に有していればよく、主鎖となるポリマーの種類は特に限定されない。また、液晶配向剤に用いる熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーの種類は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、本発明の液晶配向剤は、2種類以上の熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーを含んでいてもよい。
熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーとしては、例えば側鎖に式(1A)で表される構造を導入し易いポリマーとして、ポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、ポリイタコネート、ポリフマレート、ポリマレエート、ポリα-メチレン-γ-ブチロラクトン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリマレイミド、ポリノルボルネン等を挙げることができ、中でも、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、ポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体、ポリ(メタ)アクリレートであることが好ましく、ポリアミック酸、ポリ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
以下に、本発明で液晶配向剤に用いる熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーの好ましい例として、ポリアミック酸およびその誘導体、ならびにポリ(メタ)アクリレートについて詳細を説明する。
(ポリアミック酸およびその誘導体)
ポリアミック酸は、式(DI)で表されるジアミンと式(AN)で表されるテトラカルボン酸二無水物との重合反応により合成されるポリマーであり、式(PAA)で表される繰り返し単位を有する。ポリアミック酸を脱水閉環することで、式(PI)で表される繰り返し単位を有するポリイミド液晶配向膜を形成することができる。ジアミンとして、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有する化合物を用いることにより、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を容易に側鎖に導入することができる。例えば、式(DI)で表されるジアミンとしては、式(1A)で表される構造の結合位置*にジアミン構造単位が連結した構造を有する化合物を用いることができる。ジアミン構造単位は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基(例えば上述の側鎖連結基)を介して連結していてもよい。ここで、ジアミン構造単位の例としては、後述する式(DI-1)~(DI-16)のいずれかで表される化合物から水素原子(アミノ基中の水素原子を除く)を除いて得られる構造単位のいずれかが挙げられ、(DI-4)から水素原子(アミノ基中の水素原子を除く)を除いて得られる構造単位が好ましく、ジアミノベンゼンから水素原子(アミノ基中水素原子を除く)を除いて得られる構造単位がさらに好ましい。例えばジアミン構造単位に式(1A)で表される構造が置換することで、ジアミンの側鎖に式(1A)で表される構造を得ることができる。
Figure 0007234673000043
Figure 0007234673000044
式(AN)、式(PAA)、および式(PI)において、X1は4価の有機基を表す。式(DI)、式(PAA)、および式(PI)において、X2は2価の有機基を表す。X1における4価の有機基の好ましい範囲と具体例については、下記のテトラカルボン酸二無水物の欄に記載したテトラカルボン酸二無水物の対応する構造を参照することができる。X2における2価の有機基の好ましい範囲と具体例については、後述の式(1A)で表される構造を有するジアミン、または下記の既知のジアミン、ジヒドラジドの欄に記載したジアミンまたはジヒドラジドの対応する構造についての記載を参照することができる。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリアミック酸およびその誘導体の製造において、式(DI)で表されるジアミンは、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含むジアミンのみからなっていてもよく、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含むジアミンおよび熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含まないジアミン(例えば、後述の式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミン)の混合物であってもよい。
ポリアミック酸の誘導体は、ポリアミック酸の一部分を他の原子または原子団に置き換えて特性を改変した化合物であり、特に液晶配向剤に用いる溶剤への溶解性を高くしたものであることが好ましい。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、およびポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸のすべてのアミノ基とカルボキシル基とが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシル基がエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、さらに5)該ポリアミック酸-ポリアミドコポリマーの一部または全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。これらの誘導体のうち、例えばポリイミドとしては、上記式(PI)で表される構成単位を有するものを挙げることができ、ポリアミック酸エステルとしては、下記式(PAE)で表される構成単位を有するものを挙げることができる。
Figure 0007234673000045
式(PAE)において、X1は4価の有機基、X2は2価の有機基、Yはアルキル基を表す。X1、X2の好ましい範囲と具体例については、式(PAA)におけるX1、X2についての記載を参照することができる。Yの説明と好ましい範囲、具体例については、上記の式(a-1)のRaにおけるアルキル基についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
本発明において、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーとして用いるポリアミック酸およびその誘導体の好ましい例としては、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するものが挙げられ、例えばポリアミック酸は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介してジアミン構造単位が連結した構造を有するジアミンと、テトラカルボン酸二無水物との重合反応による反応生成物として得ることができる。以下の説明では、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介してジアミン構造単位が連結した構造を有するジアミンを、「式(1A)で表される構造を有するジアミン」という。式(1A)で表される構造を有するジアミンとしては、後述する式(2)で表されるジアミンを好適に用いることができる。その説明と好ましい範囲、具体例については、後述の式(2)で表されるジアミンについての記載を参照することができる。また、テトラカルボン酸二無水物の説明と好ましい範囲、具体例については、下記のテトラカルボン酸二無水物の欄の記載を参照することができる。ポリアミック酸の合成に用いる、式(1A)で表される構造を有するジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物は、それぞれ1種類であっても2種類以上であってもよい。また、式(1A)で表される構造を有するジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物に加えて、その他のモノマーを併用し、そのモノマーに由来する構成単位をポリアミック酸に導入してもよい。その他のモノマーとしては、式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンやジヒドラジドを挙げることができる。それらの説明と好ましい範囲、具体例については、式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンおよびその他のモノマーの欄を参照することができる。
式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸またはその誘導体は、ポリイミドの膜の形成に用いられる公知のポリアミック酸またはその誘導体と同様に製造することができる。
例えばテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの合計1モルに対して、0.9~1.1モルとすることが好ましい。
また、式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸を、ポリアミック酸誘導体である、式(1A)で表される構造を有するポリイミドとする場合には、得られたポリアミック酸溶液を、脱水剤である無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物、および脱水閉環触媒であるトリエチルアミン、ピリジン、コリジンなどの三級アミンとともに、温度20~150℃でイミド化反応させることにより、ポリイミドを得ることができる。あるいは、得られたポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、上記の脱水剤および脱水閉環触媒とともに、温度20~150℃でイミド化反応させることにより、ポリイミドを得ることもできる。
前記イミド化反応において、脱水剤と脱水閉環触媒の割合は、0.1~10(モル比)であることが好ましい。脱水剤と脱水閉環触媒の合計使用量は、当該ポリアミック酸の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物のモル量の合計に対して1.5~10倍モルであることが好ましい。このイミド化反応に用いる脱水剤、触媒量、反応温度および反応時間を調整することによって、イミド化の程度を制御することができ、これによりポリアミック酸の一部のみがイミド化した部分ポリイミドを得ることができる。得られたポリイミドは、反応に用いた溶剤と分離し、他の溶剤に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、あるいは溶剤と分離することなく液晶配向剤として使用することもできる。
式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸エステルは、前述の式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸と水酸基含有化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等とを反応させることにより合成する方法や、テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸ジエステルもしくはテトラカルボン酸ジエステルジクロライドと、式(1A)で表される構造を有するジアミンとを反応させることにより合成する方法により得ることができる。テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸ジエステルは、例えばテトラカルボン酸二無水物を2当量のアルコールと反応させ開環させて得ることができ、テトラカルボン酸ジエステルジクロライドは、テトラカルボン酸ジエステルを2当量の塩素化剤(例えば塩化チオニルなど)と反応させることで得ることができる。なお、ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
本発明の光配向用液晶配向剤はこれらのポリアミック酸、ポリアミック酸エステルおよびこれらをイミド化して得られるポリイミドのうちの1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、5,000~500,000であることが好ましく、7,000~200,000であることがより好ましい。ポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定から求めることができる。
式(1A)で表される構造を有するポリアミック酸またはその誘導体は、多量の貧溶剤で沈殿させて得られる固形分をIR(赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴分析)で分析することによりその存在を確認することができる。またKOHやNaOH等の強アルカリの水溶液による前記ポリアミック酸またはその誘導体の分解物の有機溶剤による抽出物をGC(ガスクロマトグラフィ)、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)またはGC-MS(ガスクロマトグラフィ質量分析法)で分析することにより、使用されているモノマーを確認することができる。
(ポリ(メタ)アクリレート)
ポリ(メタ)アクリレートは、式(ACR)で表される(メタ)アクリレートの重合反応により合成されるポリマーであり、式(PACR)で表される繰り返し単位を有する。(メタ)アクリレートとして、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有する化合物を用いることにより、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を容易に側鎖に導入することができる。例えば、式(1A)で表される構造の結合位置*に(メタ)アクリロイルオキシ基が連結した構造を有する化合物を用いることができる。(メタ)アクリロイルオキシ基は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基(例えば上述の側鎖連結基)を介して連結していてもよい。
Figure 0007234673000046
式(ACR)および式(PACR)において、X3は1価の有機基、Zは水素原子またはメチル基を表す。X3の好ましい範囲と具体例については、下記のポリ(メタ)アクリレートの製造に用いられるモノマーとして記載した(メタ)アクリレートの対応する構造を参照することができる。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリ(メタ)アクリレートの製造において、式(ACR)で表される(メタ)アクリレートは、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含む(メタ)アクリレートのみであってもよく、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含む(メタ)アクリレートおよび熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を含まない(メタ)アクリレート(例えば、後述の式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート)の混合物であってもよい。
本発明において、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーとして用いるポリ(メタ)アクリレートの好ましい例としては、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するものが挙げられ、例えばポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基が式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介して連結した(メタ)アクリレートの重合反応による反応生成物として得ることができる。以下の説明では、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基が連結した構造を有する(メタ)アクリレートを、「式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート」という。この(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイルオキシ基は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介して連結していてもよい。
式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレートとしては、後述する式(7)で表される(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。その説明と好ましい範囲、具体例については、式(7)で表される(メタ)アクリレートについての記載を参照することができる。ポリ(メタ)アクリレートの合成に用いる、式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレートは、1種類であっても2種類以上であってもよい。また、式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレートに加えて、その他の(メタ)アクリレートを併用し、その(メタ)アクリレートに由来する構成単位をポリ(メタ)アクリレートに導入してもよい。その他の(メタ)アクリレートとしては、式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを挙げることができる。それらの説明と好ましい範囲、具体例については、 式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートの欄を参照することができる。
式(1A)で表される構造を有するポリ(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリレートの膜の形成に用いられる公知のポリ(メタ)アクリレートと同様に製造することができる。
(メタ)アクリレートの重合反応は、特に限定されるものではなく、工業的に扱われている汎用な方法が利用できる。具体的には、(メタ)アクリレートのビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、アニオン重合により重合することができる。これらの中では反応制御のしやすさなどの観点からラジカル重合が特に好ましい。
ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤や可逆的不可―開烈型連鎖移動(RAFT)重合試薬等の公知の化合物を使用することができる。例えば、WO2014/054785公報に記載のラジカル重合開始剤が挙げられる。
重合反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリマーが溶解するものであれば特に限定されない。例えば、WO2014/054785公報に記載の有機溶媒が挙げられる。
ラジカル重合の際の重合温度は、重合反応が進む温度範囲内であれば限定されないが、熱反応性の光反応性構造を有する構成単位の化学反応(例えば、アゾベンゼン構造の環化反応など)が起こる温度よりも低い温度で行うことが好ましい。例えば、加熱による化学反応が起こる下限温度よりも5℃以上低い温度とすることが好ましく、10℃以上低い温度とすることがより好ましい。具体的には、30℃~150℃、好ましくは、50℃~100℃でラジカル重合を行うことができる。また、反応は任意の濃度で行なうことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなりすぎて均一な攪拌が困難となるので、モノマー濃度は1重量%~50重量%が好ましく、5重量%~30重量%がより好ましい。反応初期は高濃度で行ない、その後、有機溶媒を追加することができる。
上述のラジカル重合反応においては、ラジカル重合開始剤の比率がモノマーに対して多いと得られる高分子量の分子量が小さくなり、少ないと得られる高分子量が大きくなるので、ラジカル重合開始剤の比率は重合させるモノマーに対して0.1モル%~10モル%であることが好ましい。また、重合時には各種モノマー成分や溶媒、開始剤などを追加することもできる。
上述の反応により得られたポリ(メタ)アクリレート溶液から、固体のポリ(メタ)アクリレートを回収する場合は、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ブチルセルソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水等を挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは、ろ過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥させることができる。
上述の操作により得られたポリ(メタ)アクリレートは、液晶配向膜の形成に好適となるように塗布液として調整されることが好ましい。すなわち、ポリ(メタ)アクリレートが溶剤に溶解した溶液として調整されることが好ましい。溶剤は後述する有機溶媒を好適に用いることができる。
式(1A)で表される構造を有するポリ(メタ)アクリレートの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、7,000~500,000であることが好ましく、10,000~200,000であることがより好ましい。ポリ(メタ)アクリレートの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定から求めることができる。
式(1A)で表される構造を有するポリ(メタ)アクリレートは、多量の貧溶剤で沈殿させて得られる固形分をIR(赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴分析)で分析することによりその存在を確認することができる。
[その他の成分]
本発明の光配向用液晶配向剤は、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーのみから構成されていてもよいし、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分として、熱反応性の光反応性構造を含まないポリマーや、ポリマーを溶解させる溶剤を挙げることができる。
(ポリアミック酸およびその誘導体の製造に用いられるモノマー:式(1A)で表される構造を有するジアミン)
式(1A)で表される構造を有するジアミンは、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介してジアミン構造単位が連結した構造を有するジアミンであり、例えば、式(2)で表される構造を有するものであればよい。
式(2)で表されるジアミンは、例えば、これをモノマーとしてポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドなどのポリマーを合成することにより、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを得ることができる。そのため、式(2)で表されるジアミンは、本発明の液晶配向剤に用いるポリマーの原料として有用性が高い。また、式(2)で表されるジアミンをモノマーに用いて合成したポリマーは、液晶配向膜の他にも、光学異方体、位相差膜、光学補償膜、反射防止膜、各種フィルム、または光学部材等にも用いることができる。
Figure 0007234673000047
式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基である。R3o、R3p、R3q、R3r、R3s、R3t、R3u、s1およびs2は、式(S)におけるRo、Rp、Rq、Rr、Rs、Rt、Ru、s1およびs2の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。2つの-NH2は、R3oが直接結合しているベンゼン環に結合しており、その結合位置は、ベンゼン環における水素原子と置換可能な位置の任意の2つである。2つの-NH2は互いにオルト位であってもメタ位であってもパラ位であってもよい。2つの-NH2はR3oを1位としたときに、3位および4位、または3位および5位に結合していることが好ましく、3位および5位に結合していることがより好ましい。3つのベンゼン環の残りの置換可能な位置は、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
Figure 0007234673000048
式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。式(1-1)、(1-2)におけるR4、R5、*についての説明は、式(1A)における式(1-1)、(1-2)のR4、R5、*についての説明を参照することができる。
式(2)で表されるジアミンは、合成のしやすさや原料入手の容易さから、さらに液晶配向剤の原料として用いる場合はその液晶配向性の高さから、下記式(3)で表されるジアミンであることが好ましい。
Figure 0007234673000049
式(3)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基である。R6は炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよい。2つの-NH2は、R6が直接結合している末端のベンゼン環に結合しており、その結合位置は、ベンゼン環における水素原子と置換可能な位置のいずれかである。3つのベンゼン環の残りの置換可能な位置は、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
Figure 0007234673000050
式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。*は、式(3)におけるベンゼン環への結合位置を表す。式(1-1)、(1-2)におけるR4、R5、*についての説明は、式(1A)における式(1-1)、(1-2)のR4、R5、*についての説明を参照することができる。
式(3)で表されるジアミンは、下記式(4)~(6)で表されるジアミンであることがより好ましい。
Figure 0007234673000051
式(4)~(6)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基である。R7およびR8の置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、R4のアルキル基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。nは、1~12の正の整数を表す。
式(4)~(6)で表されるジアミンは、下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)で表されるジアミンであることがより好ましい。
Figure 0007234673000052
Figure 0007234673000053

Figure 0007234673000054
式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)において、nは、1~12の正の整数を表す。
(ポリアミック酸およびその誘導体の製造に用いられるモノマー:テトラカルボン酸二無水物)
本発明のポリマーの原料に用いるテトラカルボン酸二無水物は、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
このようなテトラカルボン酸二無水物の好適な例としては、原料入手の容易さや、ポリマー製造の容易さ、膜の電気特性の点から、下記式(AN-I)~(AN-V)のいずれかで表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
Figure 0007234673000055
式(AN-I)、式(AN-IV)および式(AN-V)において、Xは、それぞれ独立して単結合または-CH2-を表す。式(AN-II)において、Gは単結合、炭素数1~20のアルキレン基、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、-C(CH32-、-C(CF32-、または下記式(G13-1)で表される2価の基を表し、-CH2-は、-O-、-CO-、-NH-で置き換えられてもよい。
Figure 0007234673000056
式(G13-1)において、G13aおよびG13bは、それぞれ独立して、単結合、または、-O-、-CONH-もしくは-NHCO-から選択される2価の基を表す。フェニレン基は、1,4-フェニレン基または1,3-フェニレン基であることが好ましい。
式(AN-II)~(AN-IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つを表す。3価の基の各結合手は、任意の炭素原子に連結しており、この少なくとも1つの水素原子は、メチル基、エチル基またはフェニル基で置換されてもよい。
Figure 0007234673000057
式(AN-III)~(AN-V)において、環A10は炭素数3~10の単環式炭化水素から結合手の数だけ水素原子を除いた環状基、または炭素数6~30の縮合多環式炭化水素から結合手の数だけ水素原子を除いた環状基を表す。各環状基における少なくとも1つの水素原子は、メチル基、エチル基またはフェニル基で置換されていてもよい。また、各環に掛かっている結合手は、環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素原子に結合してもよい。
さらに、テトラカルボン酸二無水物として、以下の式(AN-1)~式(AN-12)、式(AN-15)、および式(AN-16-1)~式(AN-16-15)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007234673000058
式(AN-1)において、G11は単結合、炭素数1~12のアルキレン基、1,4-フェニレン基、または1,4-シクロヘキシレン基を表す。X11は独立して単結合または-CH2-を表す。G12は独立して下記の3価の基のいずれかを表す。
Figure 0007234673000059
12が>CH-であるとき、>CH-の水素原子はメチル基で置換されていてもよい。G12が>N-であるとき、G11は単結合および-CH2-であることはなく、X11は単結合であることはない。R11は水素原子またはメチル基を表す。
式(AN-1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000060
式(AN-1-2)および(AN-1-14)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数である。
Figure 0007234673000061
式(AN-2)において、R61は独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
式(AN-2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000062
Figure 0007234673000063
式(AN-3)において、環A11はシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。
式(AN-3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000064

Figure 0007234673000065
式(AN-4)において、G13は単結合、-(CH2m-、-O-、-S-、-C(CH32-、-SO2-、-CO-、-C(CF32-、または下記式(G13-1)で表される2価の基を表し、mは1~12の整数である。環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。G13は環A11の任意の位置に結合してよい。
Figure 0007234673000066
式(G13-1)において、G13aおよびG13bはそれぞれ独立して、単結合、-O-、-CONH-、または-NHCO-で表される2価の基を表す。フェニレン基は、1,4-フェニレン基または1,3-フェニレン基であることが好ましい。
式(AN-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000067
Figure 0007234673000068
式(AN-4-17)において、mは1~12の整数である。
Figure 0007234673000069
Figure 0007234673000070
Figure 0007234673000071
式(AN-5)において、R11は独立して水素原子またはメチル基を表す。2つのR11のうちベンゼン環におけるR11は、ベンゼン環の置換可能な位置のいずれかに結合する。
式(AN-5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000072
Figure 0007234673000073
式(AN-6)において、X11は独立して単結合または-CH2-を表す。X12は-CH2-、-CH2CH2-または-CH=CH-を表す。nは1または2である。nが2であるとき、2つのX12は互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(AN-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000074
Figure 0007234673000075
式(AN-7)において、X11は単結合または-CH2-を表す。
式(AN-7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000076
Figure 0007234673000077
式(AN-8)において、X11は単結合または-CH2-を表す。R12は水素原子、メチル基、エチル基、またはフェニル基を表す。環A12はシクロヘキサン環またはシクロヘキセン環を表す。
式(AN-8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000078
Figure 0007234673000079
式(AN-9)において、rはそれぞれ独立して0または1である。
式(AN-9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000080
Figure 0007234673000081
Figure 0007234673000082
式(AN-11)において、環A11は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。
式(AN-11)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000083
Figure 0007234673000084
式(AN-12)において、環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。
式(AN-12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000085
Figure 0007234673000086
式(AN-15)において、wは1~10の整数である。
式(AN-15)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000087
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007234673000088
上記テトラカルボン酸二無水物において、後述する液晶配向膜の各特性を向上させる好適な材料について述べる。液晶の配向性を向上させることを重視する場合には、式(AN-1)、式(AN-3)、および式(AN-4)で表される化合物が好ましく、式(AN-1-2)、式(AN-1-13)、式(AN-3-2)、式(AN-4-17)、および式(AN-4-29)で表される化合物がより好ましく、式(AN-1-2)においては、m=4または8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8がより好ましい。
液晶表示素子の透過率を向上させることを重視する場合には、式(AN-1-1)、式(AN-1-2)、式(AN-3-1)、式(AN-4-17)、式(AN-4-30)、式(AN-5-1)、式(AN-7-2)、式(AN-10-1)、式(AN-16-3)、式(AN-16-4)、および式(AN-2-1)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN-1-2)においては、m=4または8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8がより好ましい。
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、式(AN-1-1)、式(AN-1-2)、式(AN-3-1)、式(AN-4-17)、式(AN-4-30)、式(AN-7-2)、式(AN-10-1)、式(AN-16-3)、式(AN-16-4)、および式(AN-2-1)で表される化合物が好ましく、式(AN-1-2)においては、m=4または8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8がより好ましい。
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、液晶配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の1つとして有効である。この目的を重視する場合には、式(AN-1-13)、式(AN-3-2)、式(AN-4-21)、式(AN-4-29)、および式(AN-11-3)で表される化合物が好ましい。
(ポリアミック酸およびその誘導体の製造に用いられるモノマー:式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンおよびその他のモノマー)
本発明のポリマーの原料には、式(1A)で表される構造を有するジアミン(式(2)で表されるジアミン)以外のジアミンや、その他のモノマーを含有させてもよい。その他のモノマーとして、例えばジヒドラジドを挙げることができる。これにより、これらのモノマーに由来する構成単位をポリマーに導入して、ポリマーの特性を制御することができる。
式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンおよびジヒドラジドとしては、公知のジアミンおよびジヒドラジドから制限されることなく選択することができる。
ジアミンはその構造によって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。以下の説明では、このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンと称することがある。そして、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンと称することがある。この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。
側鎖型ジアミンは、本発明の特性を損なわない程度に併用するのが好ましい。また側鎖型ジアミンおよび非側鎖型ジアミンについて、液晶に対する垂直配向性、VHR、焼き付き特性および配向性を向上させる目的で取捨選択して使用することが好ましい。
既知のジアミン、ジヒドラジドを以下に示す。
Figure 0007234673000089
上記の式(DI-1)において、G20は、-CH2-または式(DI-1-a)で表される基を表す。G20が-CH2-であるとき、m個の-CH2-の少なくとも1つは-NH-、-O-に置き換えられてもよく、m個の-CH2-の少なくとも1つの水素原子は水酸基で置換されてもよい。mは1~12の整数である。DI-1におけるmが2以上であるとき、複数のG20は互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、G20が式(DI-1-a)で表される基であるとき、mは1である。
Figure 0007234673000090
式(DI-1-a)において、vはそれぞれ独立して1~6の整数である。
式(DI-3)、式(DI-6)および式(DI-7)において、G21は独立して単結合、-NH-、-NCH3-、-O-、-S-、-S-S-、-SO2-、-CO-、-COO-、-CONCH3-、-CONH-、-C(CH32-、-C(CF32-、-(CH2m-、-O-(CH2m-O-、-N(CH3)-(CH2k-N(CH3)-、-(O-C24m-O-、-O-CH2-C(CF32-CH2-O-、-O-CO-(CH2m-CO-O-、-CO-O-(CH2m-O-CO-、-(CH2m-NH-(CH2m-、-CO-(CH2k-NH-(CH2k-、-(NH-(CH2mk-NH-、-CO-C36-(NH-C36n-CO-、または-S-(CH2m-S-を表し、mは独立して1~12の整数であり、kは1~5の整数であり、nは1または2である。式(DI-4)において、sは独立して0~2の整数である。
式(DI-5)において、G33は単結合、-NH-、-NCH3-、-O-、-S-、-S-S-、-SO2-、-CO-、-COO-、-CONCH3-、-CONH-、-C(CH32-、-C(CF32-、-(CH2m-、-O-(CH2m-O-、-N(CH3)-(CH2k-N(CH3)-、-(O-C24m-O-、-O-CH2-C(CF32-CH2-O-、-O-CO-(CH2m-CO-O-、-CO-O-(CH2m-O-CO-、-(CH2m-NH-(CH2m-、-CO-(CH2k-NH-(CH2k-、-(NH-(CH2mk-NH-、-CO-C36-(NH-C36n-CO-、または-S-(CH2m-S-、-N(Boc)-(CH2e-N(Boc)-、-NH-(CH2e-N(Boc)-、-N(Boc)-(CH2e-、-(CH2m-N(Boc)-CONH-(CH2m-、-(CH2m-N(Boc)-(CH2m-、下記式(DI-5-a)または下記式(DI-5-b)で表される基であり、mは独立して1~12の整数であり、kは1~5の整数であり、eは2~10の整数であり、nは1または2である。Bocはt-ブトキシカルボニル基である。
式(DI-6)および式(DI-7)において、G22は独立して単結合、-O-、-S-、-CO-、-C(CH32-、-C(CF32-、または炭素数1~10のアルキレン基を表す。
式(DI-2)~(DI-7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、-F、-Cl、炭素数1~3のアルキレン基、-OCH3、-OH、-CF3、-CO2H、-CONH2、-NHC65、フェニル基、またはベンジル基で置換されてもよく、加えて式(DI-4)においては、シクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、下記式(DI-4-a)~(DI-4-i)のいずれかで表される基の群から選ばれる1つで置換されていてもよく、式(DI-5)においては、G33が単結合の時にはシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子はNHBocまたはN(Boc)2で置換されてもよい。
環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。そして、シクロヘキサン環またはベンゼン環への-NH2の結合位置は、G21、G22またはG33の結合位置を除く任意の位置である。
Figure 0007234673000091
Figure 0007234673000092
式(DI-4-a)および式(DI-4-b)において、R20は独立して水素原子または-CH3を表す。式(DI-4-f)および式(DI-4-g)において、mはそれぞれ独立して0~12の整数であり、Bocはt-ブトキシカルボニル基である。
Figure 0007234673000093
式(DI-5-a)において、qはそれぞれ独立して0~6の整数である。R44は水素原子、-OH、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
Figure 0007234673000094
式(DI-11)において、rは0または1である。式(DI-8)~(DI-11)において、環に結合する-NH2の結合位置は、任意の位置である。
Figure 0007234673000095
式(DI-12)において、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基またはフェニル基を表し、G23は独立して炭素数1~6のアルキレン基、フェニレン基またはアルキル基で置換されたフェニレン基を表し、wは1~10の整数である。
式(DI-13)において、R23は独立して炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基または-Clを表し、pは独立して0~3の整数であり、qは0~4の整数である。
式(DI-14)において、環Bは単環の複素環式芳香族基を表し、R24は水素原子、-F、-Cl、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基を表し、qは独立して0~4の整数である。qが2以上であるとき、複数のR24は互いに同一であっても異なっていてもよい。式(DI-15)において、環Cは複素環式芳香族基または複素環式脂肪族基を表す。式(DI-16)において、G24は単結合、炭素数2~6のアルキレン基または1,4-フェニレン基を表し、rは0または1である。そして、環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI-13)~式(DI-16)において、環に結合する-NH2の結合位置は、任意の位置である。
上記式(DI-1)~(DI-16)の側鎖を有さないジアミンとして、以下の式(DI-1-1)~式(DI-16-1)の具体例を挙げることができる。
式(DI-1)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000096
式(DI-1-7)および式(DI-1-8)において、kはそれぞれ独立して、1~3の整数である。式(DI-1-9)において、vはそれぞれ独立して1~6の整数である。
式(DI-2)~(DI-3)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000097
式(DI-4)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000098
Figure 0007234673000099
Figure 0007234673000100
Figure 0007234673000101
Figure 0007234673000102
Figure 0007234673000103
式(DI-4-20)および(DI-4-21)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数である。
Figure 0007234673000104
式(DI-5)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000105
式(DI-5-1)において、mは1~12の整数である。
Figure 0007234673000106
式(DI-5-12)および式(DI-5-13)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数である。
Figure 0007234673000107
式(DI-5-16)において、vは1~6の整数である。
Figure 0007234673000108
式(DI-5-30)において、kは1~5の整数である。
Figure 0007234673000109
式(DI-5-35)~式(DI-5-37)、および式(DI-5-39)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数であり、式(DI-5-38)および式(DI-5-39)において、kはそれぞれ独立して1~5の整数であり、式(DI-5-40)において、nは1または2の整数である。
Figure 0007234673000110
式(DI-5-42)~式(DI-5-44)において、eはそれぞれ独立して2~10の整数であり、式(DI-5-45)においてR43は水素原子、-NHBoc、または-N(Boc)2である。式(DI-5-42)~式(DI-5-44)において、Bocはt-ブトキシカルボニル基である。
Figure 0007234673000111
Figure 0007234673000112
式(DI-6)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000113
式(DI-7)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000114
式(DI-7-3)および式(DI-7-4)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数であり、nは独立して1または2である。
Figure 0007234673000115
Figure 0007234673000116
式(DI-8)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000117
式(DI-9)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000118
式(DI-10)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000119
式(DI-11)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000120
式(DI-12)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000121
式(DI-13)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000122
Figure 0007234673000123
Figure 0007234673000124
式(DI-14)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000125
式(DI-15)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000126
Figure 0007234673000127
式(DI-16)で表されるジアミンの例を以下に示す。
Figure 0007234673000128
次に、ジヒドラジドについて説明する。既知の側鎖を有さないジヒドラジドとしては、以下の式(DIH-1)~(DIH-3)のいずれかで表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007234673000129
式(DIH-1)において、G25は単結合、炭素数1~20のアルキレン基、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、-C(CH32-、または-C(CF32-を表す。
式(DIH-2)において、環Dはシクロヘキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環を表し、この基の少なくとも1つの水素原子はメチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。式(DIH-3)において、環Eはそれぞれ独立してシクロヘキサン環、またはベンゼン環を表し、この基の少なくとも1つの水素原子はメチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。複数のEは互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは単結合、炭素数1~20のアルキレン、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、-C(CH32-、または-C(CF32-を表す。式(DIH-2)および式(DIH-3)において、環に結合する-CONHNH2の結合位置は、任意の位置である。
式(DIH-1)~(DIH-3)のいずれかで表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000130
式(DIH-1-2)において、mは1~12の整数である。
Figure 0007234673000131
Figure 0007234673000132
上記のようなジアミンおよびジヒドラジドは液晶表示素子のイオン密度を低下させる等、電気特性を改善する効果がある。
プレチルト角を大きくする目的に適したジアミンについて説明する。プレチルト角を大きくする目的に適した側鎖基をもったジアミンとしては、式(DI-31)~(DI-35)、式(DI-36-1)~(DI-36-8)のいずれかで表されるジアミンが挙げられる。
Figure 0007234673000133
式(DI-31)において、G26は単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CONH-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、または-(CH2ma-を表し、maは1~12の整数である。G26の好ましい例は単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CH2O-、および炭素数1~3のアルキレン基であり、特に好ましい例は単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2-および-CH2CH2-である。R25は炭素数3~30のアルキル基、フェニル基、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI-31-a)で表される基を表す。このアルキル基において、少なくとも1つの水素原子は-Fで置換されてもよく、そして少なくとも1つの-CH2-は-O-、-CH=CH-または-C≡C-で置換さていてもよい。このフェニル基の水素原子は、-F、-CH3、-OCH3、-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、炭素数3~30のアルキル基または炭素数3~30のアルコキシ基で置換されていてもよい。ベンゼン環に結合する-NH2の結合位置はその環において任意の位置であることを示すが、その結合位置はメタ位またはパラ位であることが好ましい。即ち、基「R25-G26-」の結合位置を1位としたとき、2つの結合位置は3位と5位、または2位と5位であることが好ましい。
Figure 0007234673000134
式(DI-31-a)において、G27、G28およびG29は結合基であり、これらは、それぞれ独立して単結合、または炭素数1~12のアルキレン基であり、このアルキレン基の1以上の-CH2-は、-O-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-CH=CH-で置換されていてもよい。環B21、環B22、環B23および環B24は、それぞれ独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロへキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基またはアントラセン-9,10-ジイル基を表し、環B21、環B22、環B23および環B24において、少なくとも1つの水素原子は-Fまたは-CH3で置換されてもよく、s、tおよびuは、それぞれ独立して0~2の整数であって、これらの合計は1~5であり、s、tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。R26は水素原子、-F、-OH、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のフッ素置換アルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、-CN、-OCH2F、-OCHF2、または-OCF3を表し、この炭素数1~30のアルキル基の少なくとも1つの-CH2-は下記式(DI-31-b)で表される2価の基で置換されていてもよい。
Figure 0007234673000135
式(DI-31-b)において、R27およびR28は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基であり、vは1~6の整数である。R26の好ましい例は炭素数1~30のアルキル基および炭素数1~30のアルコキシ基である。
Figure 0007234673000136
式(DI-32)および式(DI-33)において、G30は独立して単結合、-CO-または-CH2-を表し、R29は独立して水素原子または-CH3を表し、R30は独立して水素原子、炭素数1~20のアルキル基、または炭素数2~20のアルケニル基を表す。式(DI-33)におけるベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、炭素数1~20のアルキル基またはフェニル基で置換されてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI-32)における2つの基「-フェニレン-G30-O-」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(DI-33)における2つの基「-フェニレン-G30-O-」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(DI-32)および式(DI-33)において、ベンゼン環に結合する-NH2はその環における結合位置が任意であることを示す。
Figure 0007234673000137
式(DI-34)および式(DI-35)において、G31は独立して-O-または炭素数1~6のアルキレン基を表し、G32は単結合または炭素数1~3のアルキレン基を表す。R31は水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、このアルキル基の少なくとも1つの-CH2-は、-O-、-CH=CH-または-C≡C-で置き換えられてもよい。R32は炭素数6~22のアルキル基を表し、R33は水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表す。環B25は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン気であり、rは0または1である。そしてベンゼン環に結合する-NH2はその環における結合位置が任意であることを示すが、独立してG31の結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
式(DI-31)で表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000138
式(DI-31-1)~(DI-31-11)において、R34はそれぞれ独立して炭素数1~30のアルキル基または炭素数1~30のアルコキシ基を表し、好ましくは炭素数5~25のアルキル基または炭素数5~25のアルコキシ基である。R35はそれぞれ独立して炭素数1~30のアルキル基または炭素数1~30のアルコキシ基を表し、好ましくは炭素数3~25のアルキル基または炭素数3~25のアルコキシ基である。
Figure 0007234673000139
式(DI-31-12)~(DI-31-17)において、R36はそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基を表し、好ましくは炭素数6~25のアルキル基である。R37はそれぞれ独立して炭素数6~30のアルキル基を表し、好ましくは炭素数8~25のアルキル基である。
Figure 0007234673000140
Figure 0007234673000141
Figure 0007234673000142
Figure 0007234673000143
Figure 0007234673000144
式(DI-31-18)~(DI-31-43)において、R38はそれぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基または炭素数1~20のアルコキシ基を表し、好ましくは炭素数3~20のアルキル基または炭素数3~20のアルコキシ基である。R39はそれぞれ独立して水素原子、-F、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、-CN、-OCH2F、-OCHF2または-OCF3を表し、好ましくは炭素数3~25のアルキル基、または炭素数3~25のアルコキシ基である。そしてG33は炭素数1~20のアルキレン基を表す。
Figure 0007234673000145
Figure 0007234673000146
Figure 0007234673000147
Figure 0007234673000148
式(DI-32)で表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000149
式(DI-33)で表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000150
Figure 0007234673000151
式(DI-34)で表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000152
Figure 0007234673000153
Figure 0007234673000154
Figure 0007234673000155
式(DI-34-1)~式(DI-34-12)において、R40はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~20のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、そしてR41はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~12のアルキル基を表す。
式(DI-35)で表される化合物の例を以下に示す。
Figure 0007234673000156
式(DI-35-1)~(DI-35-3)において、R37はそれぞれ独立して炭素数6~30のアルキル基を表し、R41はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~12のアルキル基を表す。
式(DI-36-1)~(DI-36-8)で表される化合物を以下に示す。
Figure 0007234673000157
式(DI-36-1)~(DI-36-8)において、R42はそれぞれ独立して炭素数3~30のアルキル基を表す。
上記ジアミンおよびジヒドラジドにおいて、後述する液晶配向膜の各特性を向上させる好適な材料について述べる。液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、式(DI-1-3)、式(DI-5-1)、式(DI-5-5)、式(DI-5-9)、式(DI-5-12)、式(DI-5-13)、式(DI-5-29)、式(DI-6-7)、式(DI-7-3)、および式(DI-11-2)で表される化合物を用いるのが好ましい。式(DI-5-1)においては、m=2、4または6が好ましく、m=4がより好ましい。式(DI-5-12)においては、m=2~6が好ましく、m=5がより好ましい。式(DI-5-13)においては、m=1または2が好ましく、m=1がより好ましい。
透過率を向上させることを重視する場合には、式(DI-1-3)、式(DI-2-1)、式(DI-5-1)、式(DI-5-5)、式(DI-5-24)、および式(DI-7-3)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI-2-1)で表される化合物がより好ましい。式(DI-5-1)においては、m=2、4または6のが好ましく、m=4がより好ましい。式(DI-7-3)においては、m=2または3、n=1または2が好ましく、m=3、n=1がより好ましい。
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、式(DI-2-1)、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-15)、式(DI-4-22)、式(DI-5-28)、式(DI-5-30)、および式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのが好ましく、式(DI-2-1)、式(DI-5-1)、および式(DI-13-1)で表されるジアミンがより好ましい。式(DI-5-1)においては、m=1が好ましい。式(DI-5-30)においては、k=2が好ましい。
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、液晶配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の1つとして有効である。この目的を重視する場合には、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、式(DI-5-12)、式(DI-5-13)、式(DI-5-28)、式(DI-4-20)、式(DI-4-21)、式(DI-7-12)、および式(DI-16-1)で表される化合物を用いるのが好ましく、式(DI-4-1)、式(DI-5-1)、および式(DI-5-13)で表される化合物がより好ましい。式(DI-5-1)において、m=2、4または6が好ましく、m=4がより好ましい。式(DI-5-12)においては、m=2~6が好ましく、m=5がより好ましい。式(DI-5-13)においては、m=1または2が好ましく、m=1がより好ましい。式(DI-7-12)においては、m=3または4が好ましく、m=4がより好ましい。
各ジアミンにおいて、ジアミンに対するモノアミンの比率が40モル%以下の範囲で、ジアミンの一部がモノアミンに置き換えられていてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られるポリマー(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンに置き換えられるジアミンは、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。前記モノアミンとしては、例えばアニリン、4-ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、n-ドデシルアミン、n-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ペンタデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、およびn-エイコシルアミンが挙げられる。
ポリアミック酸またはその誘導体の原料は、モノマーとしてモノイソシアネート化合物をさらに含んでいてもよい。モノイソシアネート化合物をモノマーに含むことによって、得られるポリアミック酸またはその誘導体の末端が修飾され、分子量が調節される。この末端修飾型のポリアミック酸またはその誘導体を用いることにより、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノマー中のモノイソシアネート化合物の含有量は、モノマー中のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の総量に対して1~10モル%であることが、前記の観点から好ましい。前記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートが挙げられる。
(ポリアミック酸およびその誘導体の原料における式(1A)で表される構造を有するジアミンの配合量)
ポリアミック酸およびその誘導体の原料において、式(1A)で表される構造を有するジアミン(好ましくは、式(2)で表されるジアミン)は、ジアミンの全量に対して、20~100モル%が好ましく、50~100モル%がより好ましい。
(ポリ(メタ)アクリレートの製造に用いられるモノマー:式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート)
式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレートは、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基が連結した構造を有する(メタ)アクリレートであり、例えばは、式(7)で表される構造を有するものであればよい。
式(7)で表される(メタ)アクリレートは、例えば、これをモノマーとしてポリ(メタ)アクリレートを合成することにより、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを得ることができる。そのため、式(7)で表される(メタ)アクリレートは、本発明の液晶配向剤に用いるポリマーの原料として有用性が高い。また、式(7)で表される(メタ)アクリレートをモノマーに用いて合成したポリマーは、液晶配向膜の他にも、光学異方体、位相差膜、光学補償膜、反射防止膜、各種フィルム、または光学部材等にも用いることができる。
Figure 0007234673000158
式(7)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基である。R3o、R3p、R3q、R3r、R3s、R3t、R3u、s1およびs2は、式(S)におけるRo、Rp、Rq、Rr、Rs、Rt、Ru、s1およびs2の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。R9は、水素原子、メチル基を表す。式(7)におけるベンゼン環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
Figure 0007234673000159
式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。式(1-1)、(1-2)におけるR4、R5、*についての説明は、式(1A)における式(1-1)、(1-2)のR4、R5、*についての説明を参照することができる。
式(7)で表される(メタ)アクリレートは、合成のしやすさや原料入手の容易さから、さらに液晶配向剤の原料として用いる場合はその液晶配向性の高さから、下記式(8)で表される(メタ)アクリレートであることが好ましい。
Figure 0007234673000160
式(8)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基である。R6は炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよい。R9は、水素原子またはメチル基を表す。式(8)における2つのベンゼン環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
Figure 0007234673000161
式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。*は、式(9)におけるベンゼン環への結合位置を表す。式(1-1)、(1-2)におけるR4、R5、*についての説明は、式(1A)における式(1-1)、(1-2)のR4、R5、*についての説明を参照することができる。
式(8)で表される(メタ)アクリレートは、下記式(9)~(11)で表される(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
Figure 0007234673000162
式(9)~(11)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基である。R7およびR8の置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の式(1A)において、R4のアルキル基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。R9は、水素原子またはメチル基を表す。nは、1~12の正の整数を表す。
下記式(9)~(11)で表される(メタ)アクリレートは、下記式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)で表される(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
Figure 0007234673000163
Figure 0007234673000164
Figure 0007234673000165
式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)において、nは、1~12の正の整数を表す。
(ポリ(メタ)アクリレートの製造に用いられるモノマー:式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート)
ポリ(メタ)アクリレートの原料には、式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを含有させてもよい。これにより、これらのモノマーに由来する構成単位をポリマーに導入して、ポリマーの特性を制御することができる。式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、公知の(メタ)アクリレート、特に単官能の(メタ)アクリレートをいずれも用いることができる。(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-ブロモエチル(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、アントリルメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-スクシネートエチル(メタ)アクリレート、2-ヘキサヒドロフタルレートエチル(メタ)アクリレート、2-フタルレートエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチル-3-ベンゾエートプロピル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシ安息香酸、および(E)-3-(4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシフェニル)アクリル酸を挙げることができる。また、その他の例として、WO2014/054785公報(特に段落0220~0222)に記載の(メタ)アクリレートが挙げられる。
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシ安息香酸、(E)-3-(4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシフェニル)アクリル酸を用いるのが好ましい。
[液晶配向剤の調製]
液晶配向剤は、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー1種類で構成されていてもよく、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーが2種類以上混合されていてもよい。また、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー以外のポリマーを含んでいてもよい。なお、本明細書において、ポリマー1種類で構成された液晶配向剤を単層型液晶配向剤と称することがある。ポリマーを2種以上混合する液晶配向剤をブレンド型液晶配向剤と称することがある。
液晶配向膜の液晶配向性を重視する場合は、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーとして、ポリアミック酸またはその誘導体同士を混合して液晶配向剤を調製することが好ましい。また、保存安定性を重視する場合は、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーとしてポリ(メタ)アクリレートを用いて液晶配向剤を調製することが好ましい。
本発明の液晶配向剤にポリアミック酸およびその誘導体を用いる場合について詳細に説明する。液晶配向剤の保存安定性、液晶配向剤の表示素子基板への印刷性、および形成される液晶配向膜の特性のバランスを重視する場合は、ブレンド型液晶配向剤であることが好ましい。具体的には、式(1A)で表される構造を有するジアミン(好ましくは式(2)で表されるジアミン)をモノマーとして用いて製造されたポリアミック酸およびその誘導体同士の混合、または式(1A)で表される構造を有するジアミンをモノマーとして用いて製造されたポリアミック酸もしくはその誘導体および式(1A)で表される構造を有するジアミンを原料として用いないポリアミック酸もしくはその誘導体との混合により得られる液晶配向剤が好ましい。
式(1A)で表される構造を有するジアミンを原料として用いないポリアミック酸およびその誘導体の製造には前述の式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンおよびジヒドラジドならびにテトラカルボン酸二無水物が好適に使用される。
このような2成分のポリマーを用いる場合、例えば、一方には液晶配向能に優れた性能を有するポリマーを選択し、他方には液晶表示素子の電気的特性を改善するのに優れた性能を有するポリマーを選択する態様がある。この場合、それぞれのポリマーの構造や分子量を制御することにより、これらのポリマーを溶剤に溶解した液晶配向剤を、後述するように、基板に塗布し、予備乾燥を行って薄膜を形成する過程で、液晶配向能に優れた性能を有するポリマーを薄膜の上層に、液晶表示素子の電気的特性を改善するのに優れた性能を有するポリマーを薄膜の下層に偏析させることができる。これには、混在するポリマーにおいて、表面エネルギーの小さなポリマーが上層に、表面エネルギーの大きなポリマーが下層に分離する現象を応用することができる。このような層分離の確認は、形成された液晶配向膜の表面エネルギーが、上層に偏析させることを意図したポリマーのみを含有する液晶配向剤によって形成された膜の表面エネルギーと同じか、または近い値であることで確認することができる。
層分離を発現させる方法として、上層に偏析させたいポリマーの分子量を小さくすることも挙げられる。
ポリアミック酸同士の混合からなる液晶配向剤では、上層に偏析させたいポリマーをポリイミドとすることで層分離を発現させることもできる。
式(1A)で表される構造を有するジアミンは前記薄膜の上層に偏析するポリマーの原料モノマーとして用いられてもよく、薄膜の下層に偏析するポリマーの原料モノマーとして用いられてもよい。また、両方のポリマーの原料モノマーとして用いられてもよい。
前記薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記に例示した公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、式(AN-1-1)、式(AN-2-1)、式(AN-3-1)、式(AN-4-5)、および式(AN-4-17)で表される化合物が好ましく、式(AN-4-17)がより好ましい。式(AN-4-17)においては、m=4または8が好ましく、m=8がより好ましい。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミンおよびジヒドラジドとしては、上記に例示した公知のジアミンから制限されることなく選択することができる。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられる式(2)で表されるジアミン以外のジアミンおよびジヒドラジドとしては、式(DI-4-1)、式(DI-4-13)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、式(DI-7-3)、および式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのが好ましい。中でも、式(DI-4-13)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、および式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのがより好ましい。式(DI-5-1)において、m=1、2または4が好ましく、m=4がより好ましい。式(DI-7-3)においてはm=3、n=1が好ましい。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられる非感光性ジアミンは、前記非感光性ジアミンの全量中、芳香族ジアミンを30モル%以上含むことが好ましく、50モル%以上含むことがより好ましい。
前述の光異性化構造を有する酸二無水物およびジアミンは薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために好適に用いられる
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記に例示した公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、式(AN-1-1)、式(AN-1-13)、式(AN-2-1)、式(AN-3-2)、および式(AN-4-21)で表される化合物が好ましく、式(AN-1-1)、式(AN-2-1)、および式(AN-3-2)がより好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、テトラカルボン酸二無水物の全量中芳香族テトラカルボン酸二無水物を10モル%以上含むことが好ましく、30モル%以上含むことがより好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミンおよびジヒドラジドとしては、上記に例示した公知のジアミンから制限されることなく選択することができる。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミンおよびジヒドラジドとしては、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-18)、式(DI-4-19)、式(DI-5-9)、式(DI-5-28)、式(DI-5-30)、式(DI-13-1)、および式(DIH-2-1)で表される化合物が好ましい。中でも、式(DI-4-1)、式(DI-4-18)、式(DI-4-19)、式(DI-5-9)、および式(DI-13-1)で表される化合物がより好ましい。式(DI-5-30)において、k=2であるジアミンが好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミンは、芳香族ジアミンを、全ジアミンに対して、30モル%以上含むものである事が好ましく、50モル%以上含むものであることがより好ましい。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体、および薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体は共に、それぞれ、本発明の液晶配向剤の必須成分であるポリアミック酸またはその誘導体の合成方法として下記に記載したところに準じて合成することができる。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体、および薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体の合計量に対する薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体の割合としては、5重量%~50重量%が好ましく、10重量%~40重量%がさらに好ましい。
(溶剤)
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤の塗布性や熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーの濃度の調整の観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、高分子成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。前記溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート等の高分子成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。前記溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。
溶剤としては、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーの親溶剤や、塗布性改善を目的とした他の溶剤が挙げられる。
ポリアミック酸、その誘導体または(メタ)アクリレートに対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルカプロラクタム、N-メチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトンが挙げられる。
塗布性改善等を目的とした他の溶剤の例としては、ジイソブチルケトン、乳酸アルキル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、ジイソブチルカルビノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルまたはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-ブトキシ-2-プロパノール等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。
これらの中で、前記溶剤は、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジイソブチルケトン、4-メチル-2-ペンタノール、ジイソブチルカルビノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブアセテートがより好ましい。
本発明の液晶配向剤中のポリマーの濃度は0.1~40重量%であることが好ましい。この液晶配向剤を基板に塗布するときには、膜厚の調整のために、含有されているポリマーを予め溶剤により希釈する操作が必要とされることがある。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は特に限定されるものではなく、下記の種々の塗布法に合わせ最適な値を選べばよい。通常、塗布時のムラやピンホール等を抑えるため、ワニス重量に対し、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~10重量%である。
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリマーの濃度、使用するポリマーの種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5~100mPa・s(より好ましくは10~80mPa・s)である。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5~200mPa・s(より好ましくは10~100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5~50mPa・s(より好ましくは5~20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE-20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
本発明の液晶配向剤は、添加剤をさらに含有してもよい。例えば、特開2007-286597号公報、特開2008-096979号公報、特開2009-109987号公報、特開2009-175715号公報、特開2010-054872号公報、特開2015-212807号公報、特開2016-170409号公報に記載の、アルケニル置換ナジイミド化合物、オキサジン化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、オキサゾール化合物、シラン化合物などが挙げられる。
液晶配向膜
次に、本発明の液晶配向膜について説明する。
本発明の液晶配向膜は、本発明の光配向用液晶配向剤によって形成されたものである。
以下において、本発明の光配向用液晶配向剤による液晶配向膜の形成方法について説明する。本発明の光配向用液晶配向剤は、加熱焼成の工程において、熱反応性の光反応性構造を有する構成単位の化学反応を起こして液晶配向膜を形成させることができる。本発明のポリマーがポリアミック酸またはその誘導体の場合には、さらにイミド化反応を起こして液晶配向膜を形成させることができる。
本発明の液晶配向膜は、光配向用液晶配向剤から液晶配向膜を作製する通常の方法によって得ることができる。本発明の液晶配向膜は、例えば、本発明の光配向用液晶配向剤の塗膜を形成する工程と、塗膜を加熱乾燥して液晶配向剤の膜を形成する工程と、液晶配向剤の膜に光を照射して異方性を付与する工程と、異方性を付与した液晶配向剤の膜を加熱焼成する工程を経ることによって得ることができる。この加熱焼成の際、本発明による光配向用液晶配向剤では、光反応性構造を有する構成単位が化学反応を起こして光反応性基が減少もしくは消失する。このため、本発明の液晶配向膜については、塗膜工程、加熱乾燥工程の後に光を照射して異方性を付与し、加熱焼成工程を経ることが好ましい。なお、本明細書中では、光反応性構造の光反応性基を消失させることを、光反応性構造を光反応しない構造にするということがある。
塗膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。基板としては、ITO(IndiumTinOxide)、IZO(In23-ZnO)、IGZO(In-Ga-ZnO4)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製、窒化ケイ素製、アクリル製、ポリカーボネイト製、ポリイミド製等の基板が挙げられる。
液晶配向剤を基板に塗布する方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。
加熱乾燥工程は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。加熱乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、加熱焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。具体的には加熱乾燥温度は30℃~150℃の範囲であること、さらには50℃~120℃の範囲であることが好ましい。
加熱焼成工程としては、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。熱反応性の光反応性構造を有する構成単位が化学反応を起こすことができる条件で行えばよい。ポリアミック酸またはその誘導体を含む配向用液晶配向剤を用いる場合、脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。ポリ(メタ)アクリレートを含む配向用液晶配向剤を用いる場合、一般に50~300℃程度の温度で1分間~3時間行うことが好ましく、80~200℃がより好ましい。
一般に100~300℃程度の温度で1分間~3時間行うことが好ましく、120~280℃がより好ましく、150~250℃がさらに好ましい。また、異なる温度で複数回加熱焼成することができる。異なる温度に設定された複数の加熱装置を用いてもよいし、1台の加熱装置を用いて、異なる温度に順次変化させながら行ってもよい。異なる温度で2回加熱焼成を行う場合、1回目は90~180℃、2回目は185℃以上の温度で行うのが好ましい。また、低温度から高温へと温度を変化させて焼成することができる。温度を変化させて焼成を行なう場合、初期温度は90~180℃が好ましい。最終温度は185~300℃が好ましく、190~230℃がより好ましい。
本発明の液晶配向膜の形成方法において、液晶を水平および/または垂直方向に対して一方向に配向させるために、薄膜へ異方性を付与する手段として、公知の光配向法を好適に用いることができる。
光配向法による本発明の液晶配向膜の形成方法について、詳細に説明する。光配向法を用いた本発明の液晶配向膜は、塗膜を加熱乾燥した後の薄膜に、放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより、薄膜に異方性を付与し、その膜を加熱焼成することにより形成することができる。または、塗膜を加熱乾燥し、加熱焼成した後に、薄膜に放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより形成する事ができる。配向性の点から、放射線の照射工程は加熱焼成工程前に行うのが好ましい。
さらに、液晶配向膜の液晶配向能を上げるために、塗膜を加熱しながら放射線の直線偏光または無偏光を照射することもできる。放射線の照射は、塗膜を加熱乾燥する工程、または加熱焼成する工程で行ってもよく、加熱乾燥工程と加熱焼成工程の間に行ってもよい。該工程における加熱乾燥温度は、30℃~150℃の範囲であること、さらには50℃~120℃の範囲であることが好ましい。また該工程における加熱焼成温度は、30℃~300℃の範囲であること、さらには50℃~250℃の範囲であることが好ましい。
放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線または可視光を用いることができるが、300~400nmの光を含む紫外線が好ましい。また、直線偏光または無偏光を用いることができる。これらの光は、前記薄膜に液晶配向能を付与することができる光であれば特に限定されないが、液晶に対して強い配向規制力を発現させたい場合、直線偏光が好ましい。
本発明の液晶配向膜は、低エネルギーの光照射でも高い液晶配向能を示すことができる。前記放射線照射工程における直線偏光の照射量は0.01~20J/cm2であることが好ましく、0.03~10J/cm2がより好ましい。また直線偏光の波長は200~400nmであることが好ましく、300~400nmであることがより好ましい。直線偏光の膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、液晶に対する強い配向規制力を発現させたい場合、膜表面に対してなるべく垂直であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。また、本発明の液晶配向膜は、直線偏光を照射することにより、直線偏光の偏光方向に対して直角方向に液晶を配向させることができる。
放射線の直線偏光または無偏光を照射する工程に使用する光源には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Deep UVランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、エキシマランプ、KrFエキシマレーザー、蛍光ランプ、LEDランプ、ナトリウムランプ、マイクロウェーブ励起無電極ランプ、などを制限なく用いることができる。
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。例えば、本発明の液晶配向膜は焼成または放射線照射後の膜を洗浄液で洗浄する工程は必須としないが、他の工程の都合で洗浄工程を設けることができる。
洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては純水または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
本発明の液晶配向膜の液晶配向能を高めるために、加熱焼成工程の前後、または、偏光または無偏光の放射線照射の前後に、熱や光によるアニール処理を用いることができる。該アニール処理において、アニール温度が30~180℃、好ましくは50~150℃であり、時間は1分~2時間が好ましい。また、アニール処理に使用するアニール光には、UVランプ、蛍光ランプ、LEDランプなどが挙げられる。光の照射量は0.3~10J/cm2であることが好ましい。
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10~300nmであることが好ましく、30~150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
本発明の液晶配向膜は特に大きな配向の異方性を持つことを特徴とする。このような異方性の大きさは特開2005-275364等に記載の偏光IRを用いた方法で評価する事ができる。またエリプソメトリーを用いた方法によっても評価することができる。詳しくは、分光エリプソメータによって液晶配向膜のリタデーション値を測定することができる。膜のリタデーション値はポリマー主鎖の配向度に比例して大きくなる。すなわち、大きなリタデーション値を持つポリマーの膜は、大きな配向度を持ち、液晶配向膜として使用した場合、より大きな異方性を持つ液晶配向膜が液晶組成物に対し大きな配向規制力を持つと考えられる。
本発明の液晶配向膜は、スマートフォン、タブレット、車載モニター、テレビ等、液晶ディスプレイ用の液晶組成物の配向制御に用いることができる。液晶ディスプレイ用の液晶組成物の配向用途以外に、光学補償材やその他すべての液晶材料の配向制御に用いることができる。また本発明の液晶配向膜は大きな異方性を有するので、単独で光学補償材用途に使用することができる。
液晶表示素子
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向膜を有する点に特徴がある。
本発明の液晶表示素子は、高輝度バックライトを搭載した場合でも、高い電圧保持率が維持され、高い表示品位を実現することができる。
本発明の液晶表示素子について詳細に説明する。本発明は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層と、前記対向基板を挟むように設置されている一対の偏光フィルムとバックライトと駆動装置とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜が本発明の液晶配向膜により構成されている。
電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。また電極は、基板の一方の面の全面に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。電極の前記所望の形状には、例えば櫛型またはジグザグ構造等が挙げられる。電極は、一対の基板のうちの一方の基板に形成されていてもよいし、両方の基板に形成されていてもよい。電極の形成の形態は液晶表示素子の種類に応じて異なり、例えばIPS型液晶表示素子(横電界型液晶表示素子)の場合は前記一対の基板の一方に電極が配置され、その他の液晶表示素子の場合は前記一対の基板の双方に電極が配置される。前記基板または電極の上に前記液晶配向膜が形成される。
ホモジニアス配向の液晶表示素子(例えばIPS、FFSなど)の場合は、構成として、少なくとも、バックライト側からバックライト、第一の偏光フィルム、第一の基板、第一の液晶配向膜、液晶層、第二の基板、第二の偏光フィルムを有し、前記偏光フィルムの偏光軸は、第一の偏光フィルムの偏光軸(偏光吸収の方向)と第二の偏光フィルムの偏光軸は交差(好ましくは直交)するように設置される。このとき、第一の偏光フィルムの偏光軸と液晶配向方向が平行になるように、または直交するように設置することができる。第一の偏光フィルムの偏光軸と液晶配向方向が平行になるように設置した液晶表示素子をO-モード、直交するように設置した液晶表示素子をE-モードと言う。本発明の液晶配向膜は、O-モード、E-モードどちらにも適用でき、目的によって選択することができる。
多くの光異性化型材料には2色性を有する化合物が用いられている。そのため、液晶配向剤に対して異方性を付加させるために照射する偏光の偏光軸を、バックライト側に配置した偏光フィルムからの偏光の偏光軸と平行に揃える(本発明の液晶配向剤を使用した場合には、O-モードの配置とする)と、液晶配向膜の光吸収波長域の透過率が上昇する。その為、液晶表示素子の透過率を更に改善することができる。
前記液晶層は、液晶配向膜が形成された面が対向している前記一対の基板によって液晶組成物が挟持される形で形成される。液晶層の形成では、微粒子や樹脂シート等の、前記一対の基板の間に介在して適当な間隔を形成するスペーサを必要に応じて用いることができる。
液晶層の形成方法としては、真空注入法とODF(One Drop Fill)法が知られている。
真空注入法では、液晶配向膜面が対向するように、空隙(セルギャップ)を設けて、かつ液晶の注入口を残して、シールを印刷し、基板を張り合わせる。基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に、真空差圧を利用して液晶を注入充填した後、注入口を封止し、液晶表示素子を製造する。
ODF法では、一対の基板のうちの一方の液晶配向膜面の外周にシール剤を印刷し、シール剤の内側の領域に液晶を滴下した後、液晶配向膜面が対向するように他方の基板を張り合わせる。そして、液晶を基板の前面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化し、液晶表示素子を製造する。
基板の張り合わせに用いられるシール剤には、UV硬化型以外に熱硬化型も知られている。シール剤の印刷は、例えばスクリーン印刷法により行なうことができる。
液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許3086228、特許2635435、特表平5-501735、特開平8-157826、特開平8-231960、特開平9-241644(EP885272A1)、特開平9-302346(EP806466A1)、特開平8-199168(EP722998A1)、特開平9-235552、特開平9-255956、特開平9-241643(EP885271A1)、特開平10-204016(EP844229A1)、特開平10-204436、特開平10-231482、特開2000-087040、特開2001-48822等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
前記負の誘電率異方性を有する液晶組成物の好ましい例として、特開昭57-114532、特開平2-4725、特開平4-224885、特開平8-40953、特開平8-104869、特開平10-168076、特開平10-168453、特開平10-236989、特開平10-236990、特開平10-236992、特開平10-236993、特開平10-236994、特開平10-237000、特開平10-237004、特開平10-237024、特開平10-237035、特開平10-237075、特開平10-237076、特開平10-237448(EP967261A1)、特開平10-287874、特開平10-287875、特開平10-291945、特開平11-029581、特開平11-080049、特開2000-256307、特開2001-019965、特開2001-072626、特開2001-192657、特開2010-037428、国際公開2011/024666、国際公開2010/072370、特表2010-537010、特開2012-077201、特開2009-084362等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
また例えば、本発明の液晶表示素子に用いる液晶組成物は、例えば配向性を向上させる観点から、添加物をさらに添加してもよい。このような添加物は、光重合性モノマー、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤などである。好ましい光重合性モノマー、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤には、国際公開2015/146330等に開示されている化合物が挙げられる。
PSA(polymer sustained alignment)モードの液晶表示素子に適合させるために重合可能な化合物を液晶組成物に混合することができる。重合可能な化合物の好ましい例はアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどの重合可能な基を有する化合物である。好ましい化合物には、国際公開2015/146330等に開示されている化合物が挙げられる。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、実施例において用いる評価法および化合物は次の通りである。
[重量平均分子量(Mw)]
ポリマーの重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリマーをリン酸-ジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリマー濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB-M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
[透過率]
透明ガラス基板上に液晶配向膜を形成し、紫外可視分光光度計V-660(日本分光株式会社製)にて、330nm~480nmの透過率を測定し、380nm~430nmにおける透過率の平均値を求めた。この透過率の平均値を、液晶配向膜を形成していない透明ガラス基板の透過率を100%として相対値化した。平均透過率が80%以上であれば良好な透明性を有していると言え、85%以上であれば優れた透明性を有していると言える。
[AC残像(液晶配向性の評価)]
AC残像は国際公開2000/43833号パンフレットに記載の方法に従って測定した。
具体的には、作製した液晶セルの輝度-電圧特性(B-V特性)を測定し、これをストレス印加前の輝度-電圧特性:B(before)とした。次に、液晶セルに4.5V、60Hzの交流を20分間印加した後、1秒間ショートし、再び輝度-電圧特性(B-V特性)を測定した。これをストレス印加後の輝度-電圧特性:B(after)とした。そして、測定した各B-V特性の電圧1.3Vにおける輝度を用い、下記式にて輝度変化率ΔB(%)を求めた。ΔB(%)の値が小さいほど、AC残像の発生を抑制できること、すなわち液晶配向性が良好であることを意味する。
ΔB(%)=[B(after)1.3-B(before)1.3]/B(before)1.3
式において、B(before)1.3はストレス印加前のB-V特性における1.3Vでの輝度を示し、B(after)1.3はストレス印加後のB-V特性における1.3Vでの輝度を示す。
輝度変化率ΔBは以下の基準で評価した。
ΔB(%)が2.0%未満:◎
ΔB(%)が2.0%以上4.0%未満:〇
ΔB(%)が4.0%以上8.0%未満:△
ΔB(%)が8.0%以上:×
実施例および比較例において使用した化合物を以下に示す。
[式(2)で表されるジアミン]
本実施例でワニスの調製に使用した式(2)で表されるジアミンを下記に示す。
Figure 0007234673000166
[テトラカルボン酸二無水物]
本実施例でワニスの調製に使用したテトラカルボン酸二無水物を下記に示す。
Figure 0007234673000167
[式(2)で表されるジアミン以外のジアミン]
本実施例でワニスの調製に使用した式(2)で表されるジアミン以外のジアミンを下記に示す。
Figure 0007234673000168
[式(7)で表される(メタ)アクリレート]
本実施例でワニスの調製に使用した式(7)で表される(メタ)アクリレートを下記に示す。
Figure 0007234673000169
[式(7)で表される(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート]
本実施例でワニスの調製に使用した式(7)で表される(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを下記に示す。
Figure 0007234673000170
[溶剤]
本実施例で液晶配向剤の調製に使用した溶剤を下記に示す。
N-メチル-2-ピロリドン
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
γ-ブチロラクトン
ジイソブチルケトン
本実施例で使用した式(2)で表されるジアミンは、下記の手順で合成した。
[合成例1]ジアミン(4-2-1,n=2)の合成
<第一段階:エーテル合成>
還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(25.2g、351.2mmol)、およびエタノール(500mL)を加え、氷浴した。3-メトキシベンジルクロリド(50.0g、319.3mmol)およびエタノール(250mL)を滴下し、その後、溶液を5時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。溶剤を減圧留去した後、酢酸エチル(500mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量51.5g、収率97%)。
Figure 0007234673000171
<第二段階:保護>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、4-ニトロフェノール(60.0g、431.3mmol)およびアセトン(1500mL)を加えた。次いで、炭酸カリウム(70.4g、1035.2mmol)および4-メトキシベンジルクロリド(74.3g、474.4mmol)を加えた。その後、溶液を7時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量111.8g、定量的)。
Figure 0007234673000172
<第三段階:還元>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、第二段階で得た化合物(111.8g、431.2mmol)、鉄(48.2g、862.5mmol)、塩化アンモニウム(46.1g、862.5mmol)、エタノール(600mL)および水(300mL)を加え、溶液を8時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去した後、トルエン(500mL)とpHが9になるまで1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量91.0g、収率92%)。
Figure 0007234673000173
<第四段階:ジアゾカップリング>
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第三段階で得た化合物(69.0g、300.8mmol)および6mol/L塩酸(170mL)を加え、氷浴した。亜硝酸ナトリウム(24.9g、361.0mmol)および水(125mL)を滴下し、その後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌して、ジアゾニウム塩溶液を得た。別途準備した温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(50.0g、300.8mmol)、水(1000mL)およびエタノール(100mL)を加え、氷浴した。前述のジアゾニウム塩溶液を加えた後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ろ過して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量89.5g、収率61%)。
Figure 0007234673000174
<第五段階:脱保護>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第四段階で得た化合物(89.5g、220.2mmol)、ジクロロメタン(1800mL)および水(250mL)を加えた。次いで、DDQ(100.0g、440.4mmol)を加え、溶液を2時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、反応溶液をろ過し、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1500mL×2回)と水(1500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量29.6g、収率47%)。
Figure 0007234673000175
<第六段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第五段階で得た化合物(29.6g、103.5mmol)、炭酸カリウム(7.8g、113.8mmol)、およびDMF(300mL)を加えた。次いで、1―(2-ブロモエトキシ)-3,5-ジニトロベンゼン(特開2000-281783に記載の方法で合成、31.6g、108.7mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(1000mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量32.4g、63%)。
Figure 0007234673000176
<第七段階:還元>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mLの3つ口フラスコに、第六段階で得た化合物(32.4g、65.2mmol)、硫化ナトリウム九水和物(62.6g、260.7mmol)、エタノール(500mL)、および水(150mL)を入れ、窒素雰囲気下で、1時間還流撹拌した。この反応液から溶剤を減圧留去した後、水(400mL)と、酢酸エチル(500mL)加えて抽出操作を行った。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して粗体を得た。この粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記式で表されるジアミン(4-2-1,n=2)を収量10.0g、収率35%で得た。
Figure 0007234673000177
[合成例2]化合物(5-2-1,n=2)の合成
<第一段階:保護>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、3-ヒドロキシベンジルアルコール(30.0g、241.7mmol)およびアセトン(750mL)を加えた。次いで、炭酸カリウム(39.5g、580.0mmol)および4-メトキシベンジルクロリド(41.6g、265.8mmol)を加えた。その後、溶液を7時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量59.0g、定量的)。
Figure 0007234673000178
<第二段階:クロル化>
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した1000mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(59.0g、241.6mmol)、ジクロロメタン(300mL)、およびトリエチルアミン(40.4mL、290.0mmol)を加え、氷浴した。次いで、メタンスルホニルクロリド(22.4mL、290.0mmol)を滴下し、溶液を48時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン(200mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量60.9g、96%)。
Figure 0007234673000179
<第三段階:エーテル合成>
還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(18.3g、255.1mmol)、エタノール(300mL)を加え、氷浴した。第二段階で得た化合物(60.9g、231.9mmol)のエタノール溶液(600mL)を滴下し、その後、溶液を5時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。溶剤を減圧留去した後、酢酸エチル(500mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量61.9g、収率98%)。
Figure 0007234673000180
<第四段階:ジアゾカップリング>
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、4-メトキシアニリン(22.6g、183.6mmol)および6mol/L塩酸(100mL)を加え、氷浴した。亜硝酸ナトリウム(15.2g、220.3mmol)および水(75mL)を滴下し、その後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌して、ジアゾニウム塩溶液を得た。別途準備した温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第三段階で得た化合物(50.0g、183.6mmol)、水(1000mL)およびエタノール(100mL)を加え、氷浴した。前述のジアゾニウム塩溶液を加えた後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ろ過して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量57.3g、収率64%)。
Figure 0007234673000181
<第五段階:脱保護>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第四段階で得た化合物(57.3g、141.0mmol)、ジクロロメタン(1200mL)および水(200mL)を加えた。次いで、DDQ(64.0g、281.9mmol)を加え、溶液を2時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、反応溶液をろ過し、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1000mL×2回)と水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量20.2g、収率50%)。
Figure 0007234673000182
<第六段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第五段階で得た化合物(20.2g、70.5mmol)、炭酸カリウム(5.3g、77.6mmol)、およびDMF(200mL)を加えた。次いで、1―(2-ブロモエトキシ)-3,5-ジニトロベンゼン(21.6g、74.1mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(1000mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量25.2g、72%)。
Figure 0007234673000183
<第七段階:還元>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mLの3つ口フラスコに、第六段階で得た化合物(25.2g、50.8mmol)、硫化ナトリウム九水和物(48.8g、203.0mmol)、エタノール(400mL)、および水(120mL)を入れ、窒素雰囲気下で、1時間還流撹拌した。この反応液から溶剤を減圧留去した後、水(400mL)と、酢酸エチル(500mL)加えて抽出操作を行った。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して粗体を得た。この粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記式で表されるジアミン(5-2-1,n=2)を収量8.2g、収率37%で得た。
Figure 0007234673000184
本実施例で使用した式(7)で表される(メタ)アクリレートは、下記の手順で合成した。
[合成例3](メタ)アクリレート(9-2-1,n=6)の合成
<第一段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、合成例1の第五段階で得た化合物(15.3g、53.4mmol)、炭酸カリウム(4.0g、58.8mmol)、およびDMF(150mL)を加えた。次いで、6-クロロヘキサノール(7.67g、56.1mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量16.9g、81%)。
Figure 0007234673000185
<第二段階:エステル化>
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した300mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(16.9g、43.3mmol)、トリエチルアミン(7.2mL、51.9mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF)(100mL)を加え、氷浴した。次いで、メタクリロイルクロリド(5.43g、51.9mmol)を滴下し、その後、溶液を3時間窒素雰囲気下において室温で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(300mL)に注ぎ、析出した固体をろ過して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(9-2-1,n=6)を得た(収量17.7g、90%)。
Figure 0007234673000186
[合成例4](メタ)アクリレート(10-2-1、,n=6)の合成
<第一段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、合成例2の第五段階で得た化合物(9.8g、34.2mmol)、炭酸カリウム(2.6g、37.6mmol)、およびDMF(100mL)を加えた。次いで、6-クロロヘキサノール(4.9g、35.9mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量11.1g、83%)。
Figure 0007234673000187
<第二段階:エステル化>
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した300mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(11.1g、28.5mmol)、トリエチルアミン(4.8mL、34.2mmol)、およびTHF(60mL)を加え、氷浴した。次いで、メタクリロイルクロリド(3.6g、34.2mmol)を滴下し、その後、溶液を3時間窒素雰囲気下において室温で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(300mL)に注ぎ、析出した固体をろ過して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(10-2-1,n=6)を得た(収量11.3g、87%)。
Figure 0007234673000188
[重合例1]ポリマー合成
攪拌翼、窒素導入管を装着した100mLの3つ口フラスコに、式(4-2-1,n=2)を2.9464gおよび式(DI-5-1,m=1)を0.3346g入れ、N-メチル-2-ピロリドン(74.0g)を加えた。この溶液に、テトラカルボン酸二無水物として、式(AN-4-26)を2.7188g加え、室温で24時間攪拌した。この反応液に、γ-ブチロラクトン(10.0g)およびブチルセロソルブ(10.0g)を加え、生成したポリマーが目的の重量平均分子量になるまで、80℃で加熱攪拌した。その結果、ポリマーの重量平均分子量が15,000であり、樹脂分濃度(固形分であるポリマー濃度)が6重量%であるワニス1を得た。
[重合例2~7]
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表1に示すように変更したこと以外は、重合例1と同様にして樹脂分濃度が6重量%のワニス2~7を調製した。このとき、ポリマーの合成条件は、重量平均分子量が5,000から20,000の範囲になるように調整した。生成したポリマーの重量平均分子量を表1に示す。なお、表1において、ジアミンとして2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてジアミンとして使用したことを意味し、テトラカルボン酸二無水物として2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてテトラカルボン酸二無水物として使用したことを意味する。角括弧内の数値は、配合比(モル%)を表す。以降の表2~4においても同様である。
Figure 0007234673000189
[比較重合例1および2]
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表2に示すように変更したこと以外は、重合例1と同様にして樹脂分濃度が6重量%の比較ワニス1、2を調製した。生成したポリマーの重量平均分子量を表2に示す。
Figure 0007234673000190
[重合例8]ポリマー合成
攪拌翼、窒素導入管を装着した200mL3つ口フラスコに、式(9-2-1、n=6)で表される化合物(14.8g、32.6mmol)を入れ、THFを85.2g加えた。次に、2,2‘-アゾビスイソブチロニトリル(0.27g、1.6mmol)を加え、脱気を行ない、その後、60℃で20時間反応させた。反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体をろ過、乾燥して、ポリマー粉末1を得た。このポリマーの重量平均分子量は126,000であった。
[重合例9~13]
(メタ)アクリレートとして用いる化合物を、表3に示すように変更したこと以外は、重合例8と同様にしてポリマー粉末2~6を調製した。なお、表3において、(メタ)アクリレートとして2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせて(メタ)アクリレートとして使用したことを意味する。角括弧内の数値は、配合比(モル%)を表す。
Figure 0007234673000191
[比較重合例3]
(メタ)アクリレートを変更した以外は、重合例8に準拠して、比較ポリマー粉末1を得た。使用した(メタ)アクリレートと、得られたポリマーの重量平均分子量を表4に示す。
Figure 0007234673000192
[実施例1]配向剤1の調製
攪拌翼、窒素導入管を装着した50mLのナスフラスコに、ワニス1(10.0g)を秤取って投入し、そこにN-メチル-2-ピロリドン(1.0g)、ブチルセロソルブ(0.5g)およびジイソブチルケトン(0.5g)を加え、室温で1時間攪拌して樹脂分濃度5重量%の配向剤1を得た。
[実施例2~7]配向剤2~7の調製
ワニス1の代わりにワニス2~7を用いること以外は、実施例1と同様にして配向剤2~7を調製した。各実施例で液晶配向剤の調製に用いたワニスを表5に示す。
Figure 0007234673000193
[比較例1~2]比較配向剤1~2の調製
ワニス1の代わりに比較ワニス1~2を用いること以外は、実施例1と同様にして比較配向剤1~2を調製した。各比較例で液晶配向剤の調製に用いた比較ワニスを表6に示す。
Figure 0007234673000194
[実施例8]配向剤8の調製
攪拌翼、窒素導入管を装着した50mLのナスフラスコに、ポリマー粉末1(0.6g)を秤取って投入し、そこにN-メチル-2-ピロリドン(8.4g)、ブチルセロソルブ(2.0g)およびジイソブチルケトン(1.0g)を加え、室温で1時間攪拌して樹脂分濃度5重量%の配向剤8を得た。
[実施例9~13]配向剤9~13の調製
ポリマー粉末1の代わりにポリマー粉末2~6を用いること以外は、実施例8と同様にして配向剤9~13を調製した。各実施例で液晶配向剤の調製に用いたポリマー粉末を表7に示す。
Figure 0007234673000195
[比較例3]比較配向剤3の調製
ポリマー粉末1の代わりに比較ポリマー粉末1を用いること以外は、実施例8と同様にして比較配向剤3を調製した。各比較例で液晶配向剤の調製に用いた比較ポリマー粉末を表8に示す。
Figure 0007234673000196
[実施例1~7]液晶配向膜の形成および透過率の評価
実施例1~7で調製した液晶配向剤を、ガラス基板に滴下し、スピンコートした。塗布後、基板を60℃で1分間加熱し、溶剤を蒸発させることで液晶配向剤の膜を形成した。この液晶配向剤の膜に、ウシオ電機(株)製マルチライトML-501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して波長365nmの紫外線直線偏光を2.0J/cm2で照射し、光配向処理を行った。この光配向処理を行った液晶配向剤の膜に、230℃にて30分間加熱焼成処理を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を用いて、上記記載の方法にて平均透過率を求めた。その結果を表9に示す。
Figure 0007234673000197
[比較例1~2]液晶配向膜の形成および透過率の評価
配向剤1~7の代わりに比較配向剤1~2を用いること以外は、実施例1~7と同様にして平均透過率を求めた。その結果を表10に示す。
Figure 0007234673000198
[実施例8~13]液晶配向膜の形成および透過率の評価
実施例8~13で調製した液晶配向剤を、ガラス基板に滴下し、スピンコートした。塗布後、基板を60℃で1分間加熱し、溶剤を蒸発させることで液晶配向剤の膜を形成した。この液晶配向剤の膜に、ウシオ電機(株)製マルチライトML-501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して波長365nmの紫外線直線偏光を50mJ/cm2で照射し、光配向処理を行った。この光配向処理を行った液晶配向剤の膜に、180℃にて60分間加熱焼成処理を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を用いて、上記記載の方法にて平均透過率を求めた。その結果を表11に示す。
Figure 0007234673000199
[比較例1~2]液晶配向膜の形成および透過率の評価
配向剤8~13の代わりに比較配向剤3を用いること以外は、実施例8~13と同様にして平均透過率を求めた。その結果を表12に示す。
Figure 0007234673000200
表9、11に示しているように、式(2)で表されるジアミン、または式(7)で表される(メタ)アクリレートを用いて調製したワニス1~13を含有する配向剤1~13を用いて形成した液晶配向膜は、平均透過率が高いことが確認できた。これは、加熱焼成処理によって、アゾベンゼン構造の一部がインダゾール環を形成することによって、アゾベンゼン構造が減少したためだと考えられる。一方、比較ワニス1~3を含有する比較配向剤1~3を用いて形成した液晶配向膜は、平均透過率が低かった。このように平均透過率が低いのは、加熱焼成処理を行ってもアゾベンゼン構造がインダゾール環を形成せず、そのままアゾベンゼン構造として残るためであると考えられる。
[AC残像特性の評価(液晶配向性の評価)]
実施例1~13で調製した液晶配向剤を用い、FFS電極付きガラス基板およびカラムスペーサー付きガラス基板に、透過率の評価と同様の条件で膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。これらの液晶配向膜が形成された基板2枚を、液晶配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する液晶配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙が形成されるように貼り合わせた。このとき、基板の向きは、光配向処理の際に各液晶配向膜に照射した直線偏光の偏光方向が互いに平行になるような向きにした。この貼り合わせた基板間の空隙に、下記組成のネガ型液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止して、セル厚4μmの液晶セル(液晶表示素子)を作製した。得られた液晶セルについて、ストレス印加前とストレス印加後の1.3Vにおける輝度変化率ΔBを測定し、AC残存特性を上記の基準で評価した。その結果を表13、14に示す。
<ネガ型液晶組成物A>
Figure 0007234673000201
Figure 0007234673000202
Figure 0007234673000203
表13、14に示しているように、式(2)で表されるジアミン、または式(7)で表される(メタ)アクリレートを用いて調製したワニス1~13を含有する配向剤1~13をそれぞれ用いた各液晶セルは、いずれもストレス印加による輝度変化率ΔBが4.0%未満(〇~◎)であり、良好なAC残存特性を示した。
以上の結果から、式(2)で表されるジアミン、または式(7)で表される(メタ)アクリレートを用いて調製したワニスを液晶配向剤に用いることにより、その液晶配向膜の透過率に優れ、その液晶配向膜を適用した液晶セルにおいて、優れたAC残像特性を有することがわかった。
本発明の光配向用液晶配向剤を使用すれば、透過率の高い液晶表示素子を提供することができる。

Claims (13)

  1. 側鎖に光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーを含有する光配向用液晶配向剤であって、
    加熱により、前記光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こし、
    前記化学反応が環化反応であり、
    前記光反応性構造を含む構成単位が、下記式(a-1)または下記式(a-2)で表される構造を含む、光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000204
    [式(a-1)において、Raは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    式(a-2)において、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    式(a-1)および式(a-2)において、*は光反応性基との結合位置を表す。]
  2. 前記光反応性構造が、光異性化構造、または光フリース転位を起こす構造である、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。
  3. 前記光反応性構造が、下記式(1A)で表される構造を有する、請求項1または2に記載の光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000205
    [式(1A)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
    *はベンゼン環における結合位置を表し、一方のベンゼン環における水素原子と置換可能ないずれかの位置、および、他方のベンゼン環の水素原子と置換可能ないずれかの位置であり;
    ベンゼン環の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
    Figure 0007234673000206
    [式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    *は、式(1A)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
  4. 前記ポリマーとして、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーを含有し;
    前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000207
    [式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
    3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
    3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
    Figure 0007234673000208
    [式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    *は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
  5. 前記式(2)で表されるジアミンが、下記式(3)で表されるジアミンである、請求項4に記載の、光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000209
    [式(3)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
    6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
    3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
    Figure 0007234673000210
    [式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    *は、式(3)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
  6. 前記式(3)で表されるジアミンが、下記式(4)~(6)のいずれかで表されるジアミンである、請求項5に記載の、光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000211
    [式(4)~(6)において、 7 およびR 8 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
    nは、1~10の正の整数を表す。]
  7. 前記ジアミンが下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)のいずれかで表されるジアミンである、請求項4~6のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000212
    Figure 0007234673000213
    [式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)において、nは、1~10の正の整数を表す。]
  8. 前記ポリマーとして、下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレートを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000214
    [式(7)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
    3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
    9は、水素原子またはメチル基であり;
    2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
    Figure 0007234673000215
    [式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    *は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
  9. 前記式(7)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(8)で表される(メタ)アクリレートである、請求項8に記載の、光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000216
    [式(8)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、式(1-1)または式(1-2)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも1つは、式(1-1)または式(1-2)で表される基であり;
    6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
    9は、水素原子またはメチル基であり;
    2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
    Figure 0007234673000217
    [式(1-1)および式(1-2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
    *は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
  10. 前記式(8)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(9)~(11)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、請求項9に記載の、光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000218
    [式(9)~(11)において、 7 およびR 8 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり;
    9は、水素原子またはメチル基を表し;
    nは、1~10の正の整数を表す。]
  11. 前記(メタ)アクリレートが下記式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、請求項8~10のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
    Figure 0007234673000219
    Figure 0007234673000220
    [式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)において、nは、1~10の正の整数を表す。]
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
  13. 請求項12に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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