JP7234673B2 - 光配向用液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子、並びに、ジアミン、(メタ)アクリレート、およびポリマー - Google Patents
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Description
こうした液晶配向膜の形成には、現在、ポリアミック酸、可溶性のポリイミド、ポリアミック酸エステルもしくはポリ(メタ)アクリレートを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)が主に用いられている。これらのワニスにより液晶配向膜を形成するには、ワニスを基板に塗布した後、加熱等により塗膜を固化して液晶配向膜を形成し、必要に応じて前述の表示モードに適する配向処理を施す。配向処理方法としては、布などで配向膜の表面を擦ってポリマー分子の方向を整えるラビング法と、配向膜に直線偏光の紫外線を照射することにより、ポリマー分子に光異性化や二量化等の光化学変化を起こさせて膜に異方性を付与する光配向法が知られており、このうち光配向法は、ラビング法に比べて配向の均一性が高く、また、非接触の配向処理法であるため膜に傷が付かないことや、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。
[2] 前記化学反応が環化反応である、[1]に記載の光配向用液晶配向剤。
[3] 前記光反応性構造を含む構成単位が、下記式(a-1)または下記式(a-2)で表される構造を含む、[1]または[2]に記載の光配向用液晶配向剤;
式(a-2)において、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
式(a-1)および式(a-2)において、*は光反応性基との結合位置を表す。]
[4] 前記光反応性構造が、光異性化構造、または光フリース転位を起こす構造である、[1]~[3]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
[5] 前記光反応性構造が、下記式(1A)で表される構造を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
*はベンゼン環における結合位置を表し、一方のベンゼン環における水素原子と置換可能ないずれかの位置、および、他方のベンゼン環の水素原子と置換可能ないずれかの位置であり;
ベンゼン環の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(1A)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[6] 前記ポリマーとして、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーを含有し;
前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[7] 前記式(2)で表されるジアミンが、下記式(3)で表されるジアミンである、[6]に記載の、光配向用液晶配向剤。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[8] 前記式(3)で表されるジアミンが、下記式(4)~(6)のいずれかで表されるジアミンである、[6]または[7]に記載の、光配向用液晶配向剤。
R7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[9] 前記ジアミンが下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)のいずれかで表されるジアミンである、[6]~[8]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
[10] 前記ポリマーとして、下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレートを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[11] 前記式(7)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(8)で表される(メタ)アクリレートである、[10]に記載の、光配向用液晶配向剤。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[12] 前記式(8)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(9)~(11)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、[10]または[11]に記載の、光配向用液晶配向剤。
R7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
R9は、水素原子またはメチル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[13] 前記(メタ)アクリレートが下記式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、[10]~[12]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の光配向用液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
[15] [14]に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
[16] 下記式(2)で表されるジアミン。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[17] 下記式(3)で表される[16]に記載のジアミン。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[18] 下記式(4)~(6)のいずれかで表される[17]に記載のジアミン。
R7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[19] 下記式(4-1-1)、式(4-1-2)、式(4-2-1)、式(4-2-2)、式(5-1-1)、式(5-1-2)、式(5-2-1)、式(5-2-2)、式(6-1-1)、式(6-1-2)、式(6-2-1)、および式(6-2-2)のいずれかで表される、[17]に記載のジアミン。
[20] 下記式(7)で表される(メタ)アクリレート。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[21] 下記式(8)で表される[20]に記載の(メタ)アクリレート。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[22] 下記式(9)~(11)のいずれかで表される[21]に記載の(メタ)アクリレート。
R7およびR8は、独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
R9は、水素原子またはメチル基を表し;
nは、1~12の正の整数を表す。]
[23] テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーであって;
前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、ポリマー。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。]
[24] 下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレート。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
本発明の光配向用液晶配向剤は、側鎖に光反応性構造を含む構成単位であって、加熱により化学反応を起こす構成単位を有するポリマーを含有する。本発明の液晶配向剤によれば、光配向法により配向性を付与することができる。
本明細書において「光反応性構造」とは、光の照射により構造が変化する原子団を意味する。こうした光反応性構造は、通常、光を吸収して化学変化を起こす特定部位(光反応性基)を有し、その光反応性基の化学変化に起因して構造が変化する。以下の説明では、こうした光吸収によって起こる光反応性構造の化学反応を「光化学反応」といい、光化学反応に起因して生じた構造の変化を光化学変化という。光化学反応は、電子が光を吸収して励起され、それによって引き起こされる化学反応であり、加熱により起こる化学反応とは区別される。光化学変化の具体例として、光異性化、光フリース転位等を挙げることができる。光反応性構造に構造変化を生じる光の波長は、特に制限されないが、150~800nmであることが好ましく、200~400nmであることがより好ましく、300~400nmであることがさらに好ましい。また、光反応性構造に構造変化を生じるのに要する光照射強度は、0.05~20J/cm2であることが好ましい。
なお、液晶配向膜の詳細な形成条件については、液晶配向膜の欄の記載を参照することができる。
以下において、本発明の液晶配向剤が含有する、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーについて説明する。以下の説明では、「熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー」を「熱反応性の光反応性構造を含有するポリマー」ということがある。
本発明の液晶配向剤は、加熱により化学反応を起こす光反応性構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを含む。本発明で用いられる熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーは側鎖に光反応性構造を有するため、後述の側鎖連結基を選択することにより、液晶配向膜としたときにプレチルト角を任意の値に調整することができる。
本発明の液晶配向剤が含有するポリマーにおける熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、光の照射により構造が変化する光反応性構造を含み、且つ、加熱により化学反応を起こすものである。
熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、熱反応性の光反応性構造のみからなっていてもよいし、その他の構造を含んでいてもよい。構成単位が含む熱反応性の光反応性構造の数は、1つであっても2つ以上であってもよい。構成単位が2つ以上の熱反応性の光反応性構造を含むとき、それらの熱反応性の光反応性構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ここで、構成単位は、式(a-1)で表される構造のみを含んでいても、式(a-2)で表される構造のみを含んでいてもよく、式(a-1)で表される構造と式(a-2)で表される構造の両方を含んでいてもよい。また、構成単位が含む式(a-1)で表される構造の数、および、式(a-2)で表される構造の数は、それぞれ1つであっても2つ以上であってもよい。構成単位が式(a-1)で表される構造を2つ以上含むとき、それらの構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよく、構成単位が式(a-2)で表される構造を2つ以上含むとき、それらの構造同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Raにおけるアルカノイル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルカノイル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~2であり、さらにより好ましくは1である。アルカノイル基の具体例として、メタノイル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec-ブタノイル基、tert-ブタノイル基、ペンタノイル基、イソペンタノイル基、ネオペンタノイル基、tert-ペンタノイル基、1-メチルブタノイル基、1-エチルプロパノイル基、ヘキサノイル基、イソヘキサノイル基、1-メチルペンタノイル基、1-エチルブタノイル基等を例示することができる。
Raにおけるアリールカルボニル基のアリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。アリール基の好ましい炭素数は6~22であり、より好ましくは6~14であり、さらに好ましくは6~10である。アリール基の具体例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を例示することができる。アリールカルボニル基の具体例として、フェニルカルボニル基、1-ナフチルカルボニル基等を例示することができる。
Raにおけるアルキル基、アルカノイル基およびアリールカルボニル基は、それぞれ置換基で置換されていてもよい。置換基として、水酸基、アミノ基、ハロゲノ基等を挙げることができる。
これらのうちで、最終的に製造される液晶配向膜の性能を良好にできる点から、Raはメチル基、エチル基、プロピル基、水素原子、メタノイル基、フェニル基であることが好ましい。
式(a-1)および式(a-2)における各ベンゼン環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基の好ましい範囲と具体例については、下記式(1A)において、ベンゼン環に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
*は、式(1A)で表される構造の連結基への結合位置を表し、そのベンゼン環における水素原子と置換可能な位置のいずれか、または、他方のベンゼン環における水素原子と置換可能な位置のいずれかである。
本発明で液晶配向剤に用いる熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、加熱により、光反応性構造を有する構成単位が化学反応を起こす点に特徴がある。これにより、このポリマーでは、光配向法にて異方性を付与した後(光照射により光反応性構造に構造変化を生じさせた後)、加熱を行うことで、光反応性構造の光反応性を消失させて、光に対して安定な構造に変換することができる。
以下に、熱反応性の光反応性構造がアゾベンゼン構造、アシルヒドラゾン構造、フェニルエステル構造またはN-ベンジリデンアニリン構造である構成単位について、加熱による化学反応により光反応性基が消失するメカニズムについて説明する。
一方のベンゼン環のアゾ基に対するオルト位に置換基R1Aを有するアゾベンゼン構造、すなわち、下記式(A-1)で表されるアゾベンゼン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、アゾ基がベンゼン環の置換基R1Aと反応してインダゾール環を形成し、アゾ基が消失する。この反応の詳細については、New J. chem., 1999, 23, 1223-1230を参照することができる。
一方のベンゼン環のアゾ基に対するオルト位に置換基(-CH2COOR1B)を有するアゾベンゼン構造、すなわち、下記式(B-1)で表されるアゾベンゼン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、アゾ基がベンゼン環の置換基(-CH2COOR1B)と反応して環状構造を形成し、アゾ基が消失する。
ベンゼン環におけるイミノ基に対するオルト位に置換基R1Cを有するアシルヒドラゾン構造、すなわち、式(C-1)で表されるアシルヒドラゾン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、イミノ基(=NR)がベンゼン環の置換基R1Cと反応して環状構造を形成し、イミノ基が消失する。
ベンゼン環のエステル結合部位に対するオルト位に置換基(-CH2NHR1D)を有するフェニルエステル構造、すなわち下記式(D-1)で表されるフェニルエステル構造は、下記反応式に示すように、フリース転位させた後、カルボニル基がベンゼン環の置換基(-CH2NHR1D)と反応して環状構造を形成し、カルボニル基が消失する。
ベンゼン環におけるイミノ基に対するオルト位に置換基R1Eを有するN-ベンジリデンアニリン構造、すなわち、式(E-1)で表されるN-ベンジリデンアニリン構造を有する構成単位では、下記反応式に示すように、加熱により、イミノ基(=NR)がベンゼン環の置換基R1Eと反応して環状構造を形成し、イミノ基が消失する。
熱反応性の光反応性構造を含む構成単位は、ポリマーの側鎖に含まれる。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位のポリマーの側鎖への導入方法は限定されないが、例えば、ポリマーの主鎖と連結基を介して結合していればよい。熱反応性の光反応性構造を含む構成単位とポリマー主鎖とを結ぶ連結基の例としては、下記式(S)で表される連結基を挙げることができる。
Roが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、s2が0であり、Ruが-O-である;
Roが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが炭素数1~12のアルキレン基であり、Ruが-O-である;
Roが単結合であり、Rpが-OCO-または-COO-であり、Rqが2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが炭素数1~12のアルキレン基であり、Ruが-O-である;
Roが単結合であり、Rpが単結合であり、s2が0であり、Ruが、-COO-または-OCO-である;
Roが-COO-、-OCO-または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、s2が0であり、Ruが、-COO-、-OCO-または-O-である;
Roが単結合または-O-であり、Rpが炭素数1~12のアルキレン基であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが-COO-であり、Ruが単結合である;または、
Roが単結合であり、Rpが-OCO-または-COO-であり、Rqが、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、s1が0であり、s2が1~2であり、Rtが-COO-であり、Ruが単結合であることが好ましい。
本発明で液晶配向剤に用いる、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、上記のような熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を側鎖に有していればよく、主鎖となるポリマーの種類は特に限定されない。また、液晶配向剤に用いる熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーの種類は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、本発明の液晶配向剤は、2種類以上の熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーを含んでいてもよい。
熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーとしては、例えば側鎖に式(1A)で表される構造を導入し易いポリマーとして、ポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、ポリイタコネート、ポリフマレート、ポリマレエート、ポリα-メチレン-γ-ブチロラクトン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリマレイミド、ポリノルボルネン等を挙げることができ、中でも、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーは、ポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体、ポリ(メタ)アクリレートであることが好ましく、ポリアミック酸、ポリ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ポリアミック酸は、式(DI)で表されるジアミンと式(AN)で表されるテトラカルボン酸二無水物との重合反応により合成されるポリマーであり、式(PAA)で表される繰り返し単位を有する。ポリアミック酸を脱水閉環することで、式(PI)で表される繰り返し単位を有するポリイミド液晶配向膜を形成することができる。ジアミンとして、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有する化合物を用いることにより、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を容易に側鎖に導入することができる。例えば、式(DI)で表されるジアミンとしては、式(1A)で表される構造の結合位置*にジアミン構造単位が連結した構造を有する化合物を用いることができる。ジアミン構造単位は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基(例えば上述の側鎖連結基)を介して連結していてもよい。ここで、ジアミン構造単位の例としては、後述する式(DI-1)~(DI-16)のいずれかで表される化合物から水素原子(アミノ基中の水素原子を除く)を除いて得られる構造単位のいずれかが挙げられ、(DI-4)から水素原子(アミノ基中の水素原子を除く)を除いて得られる構造単位が好ましく、ジアミノベンゼンから水素原子(アミノ基中水素原子を除く)を除いて得られる構造単位がさらに好ましい。例えばジアミン構造単位に式(1A)で表される構造が置換することで、ジアミンの側鎖に式(1A)で表される構造を得ることができる。
例えばテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの合計1モルに対して、0.9~1.1モルとすることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートは、式(ACR)で表される(メタ)アクリレートの重合反応により合成されるポリマーであり、式(PACR)で表される繰り返し単位を有する。(メタ)アクリレートとして、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有する化合物を用いることにより、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を容易に側鎖に導入することができる。例えば、式(1A)で表される構造の結合位置*に(メタ)アクリロイルオキシ基が連結した構造を有する化合物を用いることができる。(メタ)アクリロイルオキシ基は、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基(例えば上述の側鎖連結基)を介して連結していてもよい。
式(1A)で表される構造を有するポリ(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリレートの膜の形成に用いられる公知のポリ(メタ)アクリレートと同様に製造することができる。
本発明の光配向用液晶配向剤は、熱反応性の光反応性構造を含有するポリマーのみから構成されていてもよいし、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分として、熱反応性の光反応性構造を含まないポリマーや、ポリマーを溶解させる溶剤を挙げることができる。
式(1A)で表される構造を有するジアミンは、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介してジアミン構造単位が連結した構造を有するジアミンであり、例えば、式(2)で表される構造を有するものであればよい。
式(2)で表されるジアミンは、例えば、これをモノマーとしてポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドなどのポリマーを合成することにより、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを得ることができる。そのため、式(2)で表されるジアミンは、本発明の液晶配向剤に用いるポリマーの原料として有用性が高い。また、式(2)で表されるジアミンをモノマーに用いて合成したポリマーは、液晶配向膜の他にも、光学異方体、位相差膜、光学補償膜、反射防止膜、各種フィルム、または光学部材等にも用いることができる。
本発明のポリマーの原料に用いるテトラカルボン酸二無水物は、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
式(AN-II)~(AN-IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つを表す。3価の基の各結合手は、任意の炭素原子に連結しており、この少なくとも1つの水素原子は、メチル基、エチル基またはフェニル基で置換されてもよい。
本発明のポリマーの原料には、式(1A)で表される構造を有するジアミン(式(2)で表されるジアミン)以外のジアミンや、その他のモノマーを含有させてもよい。その他のモノマーとして、例えばジヒドラジドを挙げることができる。これにより、これらのモノマーに由来する構成単位をポリマーに導入して、ポリマーの特性を制御することができる。
式(1A)で表される構造を有するジアミン以外のジアミンおよびジヒドラジドとしては、公知のジアミンおよびジヒドラジドから制限されることなく選択することができる。
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。
式(DIH-2)において、環Dはシクロヘキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環を表し、この基の少なくとも1つの水素原子はメチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。式(DIH-3)において、環Eはそれぞれ独立してシクロヘキサン環、またはベンゼン環を表し、この基の少なくとも1つの水素原子はメチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。複数のEは互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは単結合、炭素数1~20のアルキレン、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、-C(CH3)2-、または-C(CF3)2-を表す。式(DIH-2)および式(DIH-3)において、環に結合する-CONHNH2の結合位置は、任意の位置である。
ポリアミック酸およびその誘導体の原料において、式(1A)で表される構造を有するジアミン(好ましくは、式(2)で表されるジアミン)は、ジアミンの全量に対して、20~100モル%が好ましく、50~100モル%がより好ましい。
式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレートは、式(1A)で表される構造の結合位置*に連結基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基が連結した構造を有する(メタ)アクリレートであり、例えばは、式(7)で表される構造を有するものであればよい。
式(7)で表される(メタ)アクリレートは、例えば、これをモノマーとしてポリ(メタ)アクリレートを合成することにより、式(1A)で表される構造を含む構成単位を側鎖に有するポリマーを得ることができる。そのため、式(7)で表される(メタ)アクリレートは、本発明の液晶配向剤に用いるポリマーの原料として有用性が高い。また、式(7)で表される(メタ)アクリレートをモノマーに用いて合成したポリマーは、液晶配向膜の他にも、光学異方体、位相差膜、光学補償膜、反射防止膜、各種フィルム、または光学部材等にも用いることができる。
ポリ(メタ)アクリレートの原料には、式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを含有させてもよい。これにより、これらのモノマーに由来する構成単位をポリマーに導入して、ポリマーの特性を制御することができる。式(1A)で表される構造を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、公知の(メタ)アクリレート、特に単官能の(メタ)アクリレートをいずれも用いることができる。(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-ブロモエチル(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、アントリルメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-スクシネートエチル(メタ)アクリレート、2-ヘキサヒドロフタルレートエチル(メタ)アクリレート、2-フタルレートエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチル-3-ベンゾエートプロピル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシ安息香酸、および(E)-3-(4-(6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)オキシフェニル)アクリル酸を挙げることができる。また、その他の例として、WO2014/054785公報(特に段落0220~0222)に記載の(メタ)アクリレートが挙げられる。
液晶配向剤は、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー1種類で構成されていてもよく、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーが2種類以上混合されていてもよい。また、熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマー以外のポリマーを含んでいてもよい。なお、本明細書において、ポリマー1種類で構成された液晶配向剤を単層型液晶配向剤と称することがある。ポリマーを2種以上混合する液晶配向剤をブレンド型液晶配向剤と称することがある。
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤の塗布性や熱反応性の光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーの濃度の調整の観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、高分子成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。前記溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート等の高分子成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。前記溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。
次に、本発明の液晶配向膜について説明する。
本発明の液晶配向膜は、本発明の光配向用液晶配向剤によって形成されたものである。
以下において、本発明の光配向用液晶配向剤による液晶配向膜の形成方法について説明する。本発明の光配向用液晶配向剤は、加熱焼成の工程において、熱反応性の光反応性構造を有する構成単位の化学反応を起こして液晶配向膜を形成させることができる。本発明のポリマーがポリアミック酸またはその誘導体の場合には、さらにイミド化反応を起こして液晶配向膜を形成させることができる。
一般に100~300℃程度の温度で1分間~3時間行うことが好ましく、120~280℃がより好ましく、150~250℃がさらに好ましい。また、異なる温度で複数回加熱焼成することができる。異なる温度に設定された複数の加熱装置を用いてもよいし、1台の加熱装置を用いて、異なる温度に順次変化させながら行ってもよい。異なる温度で2回加熱焼成を行う場合、1回目は90~180℃、2回目は185℃以上の温度で行うのが好ましい。また、低温度から高温へと温度を変化させて焼成することができる。温度を変化させて焼成を行なう場合、初期温度は90~180℃が好ましい。最終温度は185~300℃が好ましく、190~230℃がより好ましい。
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向膜を有する点に特徴がある。
本発明の液晶表示素子は、高輝度バックライトを搭載した場合でも、高い電圧保持率が維持され、高い表示品位を実現することができる。
本発明の液晶表示素子について詳細に説明する。本発明は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層と、前記対向基板を挟むように設置されている一対の偏光フィルムとバックライトと駆動装置とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜が本発明の液晶配向膜により構成されている。
なお、実施例において用いる評価法および化合物は次の通りである。
ポリマーの重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリマーをリン酸-ジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリマー濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB-M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
透明ガラス基板上に液晶配向膜を形成し、紫外可視分光光度計V-660(日本分光株式会社製)にて、330nm~480nmの透過率を測定し、380nm~430nmにおける透過率の平均値を求めた。この透過率の平均値を、液晶配向膜を形成していない透明ガラス基板の透過率を100%として相対値化した。平均透過率が80%以上であれば良好な透明性を有していると言え、85%以上であれば優れた透明性を有していると言える。
AC残像は国際公開2000/43833号パンフレットに記載の方法に従って測定した。
具体的には、作製した液晶セルの輝度-電圧特性(B-V特性)を測定し、これをストレス印加前の輝度-電圧特性:B(before)とした。次に、液晶セルに4.5V、60Hzの交流を20分間印加した後、1秒間ショートし、再び輝度-電圧特性(B-V特性)を測定した。これをストレス印加後の輝度-電圧特性:B(after)とした。そして、測定した各B-V特性の電圧1.3Vにおける輝度を用い、下記式にて輝度変化率ΔB(%)を求めた。ΔB(%)の値が小さいほど、AC残像の発生を抑制できること、すなわち液晶配向性が良好であることを意味する。
ΔB(%)=[B(after)1.3-B(before)1.3]/B(before)1.3
式において、B(before)1.3はストレス印加前のB-V特性における1.3Vでの輝度を示し、B(after)1.3はストレス印加後のB-V特性における1.3Vでの輝度を示す。
輝度変化率ΔBは以下の基準で評価した。
ΔB(%)が2.0%未満:◎
ΔB(%)が2.0%以上4.0%未満:〇
ΔB(%)が4.0%以上8.0%未満:△
ΔB(%)が8.0%以上:×
[式(2)で表されるジアミン]
本実施例でワニスの調製に使用した式(2)で表されるジアミンを下記に示す。
本実施例でワニスの調製に使用したテトラカルボン酸二無水物を下記に示す。
本実施例でワニスの調製に使用した式(2)で表されるジアミン以外のジアミンを下記に示す。
本実施例でワニスの調製に使用した式(7)で表される(メタ)アクリレートを下記に示す。
本実施例でワニスの調製に使用した式(7)で表される(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを下記に示す。
本実施例で液晶配向剤の調製に使用した溶剤を下記に示す。
N-メチル-2-ピロリドン
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
γ-ブチロラクトン
ジイソブチルケトン
[合成例1]ジアミン(4-2-1,n=2)の合成
<第一段階:エーテル合成>
還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(25.2g、351.2mmol)、およびエタノール(500mL)を加え、氷浴した。3-メトキシベンジルクロリド(50.0g、319.3mmol)およびエタノール(250mL)を滴下し、その後、溶液を5時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。溶剤を減圧留去した後、酢酸エチル(500mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量51.5g、収率97%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、4-ニトロフェノール(60.0g、431.3mmol)およびアセトン(1500mL)を加えた。次いで、炭酸カリウム(70.4g、1035.2mmol)および4-メトキシベンジルクロリド(74.3g、474.4mmol)を加えた。その後、溶液を7時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量111.8g、定量的)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、第二段階で得た化合物(111.8g、431.2mmol)、鉄(48.2g、862.5mmol)、塩化アンモニウム(46.1g、862.5mmol)、エタノール(600mL)および水(300mL)を加え、溶液を8時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去した後、トルエン(500mL)とpHが9になるまで1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量91.0g、収率92%)。
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第三段階で得た化合物(69.0g、300.8mmol)および6mol/L塩酸(170mL)を加え、氷浴した。亜硝酸ナトリウム(24.9g、361.0mmol)および水(125mL)を滴下し、その後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌して、ジアゾニウム塩溶液を得た。別途準備した温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(50.0g、300.8mmol)、水(1000mL)およびエタノール(100mL)を加え、氷浴した。前述のジアゾニウム塩溶液を加えた後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ろ過して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量89.5g、収率61%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第四段階で得た化合物(89.5g、220.2mmol)、ジクロロメタン(1800mL)および水(250mL)を加えた。次いで、DDQ(100.0g、440.4mmol)を加え、溶液を2時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、反応溶液をろ過し、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1500mL×2回)と水(1500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量29.6g、収率47%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第五段階で得た化合物(29.6g、103.5mmol)、炭酸カリウム(7.8g、113.8mmol)、およびDMF(300mL)を加えた。次いで、1―(2-ブロモエトキシ)-3,5-ジニトロベンゼン(特開2000-281783に記載の方法で合成、31.6g、108.7mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(1000mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量32.4g、63%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mLの3つ口フラスコに、第六段階で得た化合物(32.4g、65.2mmol)、硫化ナトリウム九水和物(62.6g、260.7mmol)、エタノール(500mL)、および水(150mL)を入れ、窒素雰囲気下で、1時間還流撹拌した。この反応液から溶剤を減圧留去した後、水(400mL)と、酢酸エチル(500mL)加えて抽出操作を行った。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して粗体を得た。この粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記式で表されるジアミン(4-2-1,n=2)を収量10.0g、収率35%で得た。
<第一段階:保護>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、3-ヒドロキシベンジルアルコール(30.0g、241.7mmol)およびアセトン(750mL)を加えた。次いで、炭酸カリウム(39.5g、580.0mmol)および4-メトキシベンジルクロリド(41.6g、265.8mmol)を加えた。その後、溶液を7時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。反応溶液を冷却後、ろ過し、溶剤を減圧留去して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量59.0g、定量的)。
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した1000mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(59.0g、241.6mmol)、ジクロロメタン(300mL)、およびトリエチルアミン(40.4mL、290.0mmol)を加え、氷浴した。次いで、メタンスルホニルクロリド(22.4mL、290.0mmol)を滴下し、溶液を48時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン(200mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量60.9g、96%)。
還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した2000mL3つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(18.3g、255.1mmol)、エタノール(300mL)を加え、氷浴した。第二段階で得た化合物(60.9g、231.9mmol)のエタノール溶液(600mL)を滴下し、その後、溶液を5時間窒素雰囲気下で還流撹拌した。溶剤を減圧留去した後、酢酸エチル(500mL)を加え、水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量61.9g、収率98%)。
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、4-メトキシアニリン(22.6g、183.6mmol)および6mol/L塩酸(100mL)を加え、氷浴した。亜硝酸ナトリウム(15.2g、220.3mmol)および水(75mL)を滴下し、その後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌して、ジアゾニウム塩溶液を得た。別途準備した温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第三段階で得た化合物(50.0g、183.6mmol)、水(1000mL)およびエタノール(100mL)を加え、氷浴した。前述のジアゾニウム塩溶液を加えた後、溶液を氷浴のまま1時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、ろ過して粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量57.3g、収率64%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した3000mL3つ口フラスコに、第四段階で得た化合物(57.3g、141.0mmol)、ジクロロメタン(1200mL)および水(200mL)を加えた。次いで、DDQ(64.0g、281.9mmol)を加え、溶液を2時間室温窒素雰囲気下で撹拌した。反応終了後、反応溶液をろ過し、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1000mL×2回)と水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量20.2g、収率50%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、第五段階で得た化合物(20.2g、70.5mmol)、炭酸カリウム(5.3g、77.6mmol)、およびDMF(200mL)を加えた。次いで、1―(2-ブロモエトキシ)-3,5-ジニトロベンゼン(21.6g、74.1mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(1000mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量25.2g、72%)。
還流管、温度計、窒素導入管を装着した2000mLの3つ口フラスコに、第六段階で得た化合物(25.2g、50.8mmol)、硫化ナトリウム九水和物(48.8g、203.0mmol)、エタノール(400mL)、および水(120mL)を入れ、窒素雰囲気下で、1時間還流撹拌した。この反応液から溶剤を減圧留去した後、水(400mL)と、酢酸エチル(500mL)加えて抽出操作を行った。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶剤を減圧留去して粗体を得た。この粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記式で表されるジアミン(5-2-1,n=2)を収量8.2g、収率37%で得た。
[合成例3](メタ)アクリレート(9-2-1,n=6)の合成
<第一段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、合成例1の第五段階で得た化合物(15.3g、53.4mmol)、炭酸カリウム(4.0g、58.8mmol)、およびDMF(150mL)を加えた。次いで、6-クロロヘキサノール(7.67g、56.1mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(1000mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量16.9g、81%)。
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した300mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(16.9g、43.3mmol)、トリエチルアミン(7.2mL、51.9mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF)(100mL)を加え、氷浴した。次いで、メタクリロイルクロリド(5.43g、51.9mmol)を滴下し、その後、溶液を3時間窒素雰囲気下において室温で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(300mL)に注ぎ、析出した固体をろ過して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(9-2-1,n=6)を得た(収量17.7g、90%)。
<第一段階:エーテル化>
還流管、温度計、窒素導入管を装着した500mL3つ口フラスコに、合成例2の第五段階で得た化合物(9.8g、34.2mmol)、炭酸カリウム(2.6g、37.6mmol)、およびDMF(100mL)を加えた。次いで、6-クロロヘキサノール(4.9g、35.9mmol)を加えた。その後、溶液を10時間窒素雰囲気下において、100℃で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)を加え、分液操作を行った。その後、有機層を水(500mL×2回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を減圧留去し、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、下記化合物を得た(収量11.1g、83%)。
滴下ロート、温度計、窒素導入管を装着した300mL3つ口フラスコに、第一段階で得た化合物(11.1g、28.5mmol)、トリエチルアミン(4.8mL、34.2mmol)、およびTHF(60mL)を加え、氷浴した。次いで、メタクリロイルクロリド(3.6g、34.2mmol)を滴下し、その後、溶液を3時間窒素雰囲気下において室温で撹拌した。反応溶液を冷却後、水(300mL)に注ぎ、析出した固体をろ過して、粗体を得た。粗体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(10-2-1,n=6)を得た(収量11.3g、87%)。
攪拌翼、窒素導入管を装着した100mLの3つ口フラスコに、式(4-2-1,n=2)を2.9464gおよび式(DI-5-1,m=1)を0.3346g入れ、N-メチル-2-ピロリドン(74.0g)を加えた。この溶液に、テトラカルボン酸二無水物として、式(AN-4-26)を2.7188g加え、室温で24時間攪拌した。この反応液に、γ-ブチロラクトン(10.0g)およびブチルセロソルブ(10.0g)を加え、生成したポリマーが目的の重量平均分子量になるまで、80℃で加熱攪拌した。その結果、ポリマーの重量平均分子量が15,000であり、樹脂分濃度(固形分であるポリマー濃度)が6重量%であるワニス1を得た。
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表1に示すように変更したこと以外は、重合例1と同様にして樹脂分濃度が6重量%のワニス2~7を調製した。このとき、ポリマーの合成条件は、重量平均分子量が5,000から20,000の範囲になるように調整した。生成したポリマーの重量平均分子量を表1に示す。なお、表1において、ジアミンとして2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてジアミンとして使用したことを意味し、テトラカルボン酸二無水物として2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてテトラカルボン酸二無水物として使用したことを意味する。角括弧内の数値は、配合比(モル%)を表す。以降の表2~4においても同様である。
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表2に示すように変更したこと以外は、重合例1と同様にして樹脂分濃度が6重量%の比較ワニス1、2を調製した。生成したポリマーの重量平均分子量を表2に示す。
攪拌翼、窒素導入管を装着した200mL3つ口フラスコに、式(9-2-1、n=6)で表される化合物(14.8g、32.6mmol)を入れ、THFを85.2g加えた。次に、2,2‘-アゾビスイソブチロニトリル(0.27g、1.6mmol)を加え、脱気を行ない、その後、60℃で20時間反応させた。反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体をろ過、乾燥して、ポリマー粉末1を得た。このポリマーの重量平均分子量は126,000であった。
[重合例9~13]
(メタ)アクリレートとして用いる化合物を、表3に示すように変更したこと以外は、重合例8と同様にしてポリマー粉末2~6を調製した。なお、表3において、(メタ)アクリレートとして2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせて(メタ)アクリレートとして使用したことを意味する。角括弧内の数値は、配合比(モル%)を表す。
(メタ)アクリレートを変更した以外は、重合例8に準拠して、比較ポリマー粉末1を得た。使用した(メタ)アクリレートと、得られたポリマーの重量平均分子量を表4に示す。
攪拌翼、窒素導入管を装着した50mLのナスフラスコに、ワニス1(10.0g)を秤取って投入し、そこにN-メチル-2-ピロリドン(1.0g)、ブチルセロソルブ(0.5g)およびジイソブチルケトン(0.5g)を加え、室温で1時間攪拌して樹脂分濃度5重量%の配向剤1を得た。
ワニス1の代わりにワニス2~7を用いること以外は、実施例1と同様にして配向剤2~7を調製した。各実施例で液晶配向剤の調製に用いたワニスを表5に示す。
ワニス1の代わりに比較ワニス1~2を用いること以外は、実施例1と同様にして比較配向剤1~2を調製した。各比較例で液晶配向剤の調製に用いた比較ワニスを表6に示す。
攪拌翼、窒素導入管を装着した50mLのナスフラスコに、ポリマー粉末1(0.6g)を秤取って投入し、そこにN-メチル-2-ピロリドン(8.4g)、ブチルセロソルブ(2.0g)およびジイソブチルケトン(1.0g)を加え、室温で1時間攪拌して樹脂分濃度5重量%の配向剤8を得た。
ポリマー粉末1の代わりにポリマー粉末2~6を用いること以外は、実施例8と同様にして配向剤9~13を調製した。各実施例で液晶配向剤の調製に用いたポリマー粉末を表7に示す。
ポリマー粉末1の代わりに比較ポリマー粉末1を用いること以外は、実施例8と同様にして比較配向剤3を調製した。各比較例で液晶配向剤の調製に用いた比較ポリマー粉末を表8に示す。
実施例1~7で調製した液晶配向剤を、ガラス基板に滴下し、スピンコートした。塗布後、基板を60℃で1分間加熱し、溶剤を蒸発させることで液晶配向剤の膜を形成した。この液晶配向剤の膜に、ウシオ電機(株)製マルチライトML-501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して波長365nmの紫外線直線偏光を2.0J/cm2で照射し、光配向処理を行った。この光配向処理を行った液晶配向剤の膜に、230℃にて30分間加熱焼成処理を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を用いて、上記記載の方法にて平均透過率を求めた。その結果を表9に示す。
配向剤1~7の代わりに比較配向剤1~2を用いること以外は、実施例1~7と同様にして平均透過率を求めた。その結果を表10に示す。
実施例8~13で調製した液晶配向剤を、ガラス基板に滴下し、スピンコートした。塗布後、基板を60℃で1分間加熱し、溶剤を蒸発させることで液晶配向剤の膜を形成した。この液晶配向剤の膜に、ウシオ電機(株)製マルチライトML-501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して波長365nmの紫外線直線偏光を50mJ/cm2で照射し、光配向処理を行った。この光配向処理を行った液晶配向剤の膜に、180℃にて60分間加熱焼成処理を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を用いて、上記記載の方法にて平均透過率を求めた。その結果を表11に示す。
配向剤8~13の代わりに比較配向剤3を用いること以外は、実施例8~13と同様にして平均透過率を求めた。その結果を表12に示す。
実施例1~13で調製した液晶配向剤を用い、FFS電極付きガラス基板およびカラムスペーサー付きガラス基板に、透過率の評価と同様の条件で膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。これらの液晶配向膜が形成された基板2枚を、液晶配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する液晶配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙が形成されるように貼り合わせた。このとき、基板の向きは、光配向処理の際に各液晶配向膜に照射した直線偏光の偏光方向が互いに平行になるような向きにした。この貼り合わせた基板間の空隙に、下記組成のネガ型液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止して、セル厚4μmの液晶セル(液晶表示素子)を作製した。得られた液晶セルについて、ストレス印加前とストレス印加後の1.3Vにおける輝度変化率ΔBを測定し、AC残存特性を上記の基準で評価した。その結果を表13、14に示す。
以上の結果から、式(2)で表されるジアミン、または式(7)で表される(メタ)アクリレートを用いて調製したワニスを液晶配向剤に用いることにより、その液晶配向膜の透過率に優れ、その液晶配向膜を適用した液晶セルにおいて、優れたAC残像特性を有することがわかった。
Claims (13)
- 側鎖に光反応性構造を含む構成単位を有するポリマーを含有する光配向用液晶配向剤であって、
加熱により、前記光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こし、
前記化学反応が環化反応であり、
前記光反応性構造を含む構成単位が、下記式(a-1)または下記式(a-2)で表される構造を含む、光配向用液晶配向剤。
式(a-2)において、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し;
式(a-1)および式(a-2)において、*は光反応性基との結合位置を表す。] - 前記光反応性構造が、光異性化構造、または光フリース転位を起こす構造である、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。
- 前記光反応性構造が、下記式(1A)で表される構造を有する、請求項1または2に記載の光配向用液晶配向剤。
*はベンゼン環における結合位置を表し、一方のベンゼン環における水素原子と置換可能ないずれかの位置、および、他方のベンゼン環の水素原子と置換可能ないずれかの位置であり;
ベンゼン環の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(1A)におけるベンゼン環への結合位置を表す。] - 前記ポリマーとして、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含む原料からの反応生成物であるポリマーを含有し;
前記反応生成物が、ポリアミック酸、ポリイミド、部分ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、およびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記ジアミンは、下記式(2)で表されるジアミンの少なくとも1つを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表す。] - 前記式(2)で表されるジアミンが、下記式(3)で表されるジアミンである、請求項4に記載の、光配向用液晶配向剤。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは-O-で置き換えられていてもよく;
3つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(3)におけるベンゼン環への結合位置を表す。] - 前記ポリマーとして、下記式(7)で表される(メタ)アクリレートを含む原料からの反応生成物であるポリ(メタ)アクリレートを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
R3oは、単結合、-COO-、-OCO-または-O-を表し、R3pおよびR3tはそれぞれ独立に、単結合、-O-、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NH-CO-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、R3rは、単結合、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、又は-O-CO-CH=CH-を表し、R3rの数が2となるときは、R3r同士は同一でも異なっていてもよく、R3qおよびR3sは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5~8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R3rが-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-である場合、-CH=CH-が結合する側のR3qまたはR3sは芳香環であり、R3uは、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、-COO-、-OCO-または-O-であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよく、s1は0または1であり、s2は0~2の整数であり、s2が0である場合、R3uが単結合であるときはR3pも単結合を表し、s1が1であり、s2が1~2の整数である場合、R3uが単結合であるときはR3tも単結合を表し、
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(7)におけるベンゼン環への結合位置を表す。] - 前記式(7)で表される(メタ)アクリレートが、下記式(8)で表される(メタ)アクリレートである、請求項8に記載の、光配向用液晶配向剤。
R6は、炭素数1~12の直鎖アルキレン基、または単結合を表し、R6において、直鎖アルキレン基の-CH2-の1つまたは隣接しない2つは、-O-、で置き換えられていてもよく;
R9は、水素原子またはメチル基であり;
2つのベンゼン環における水素原子は、置換基で置換されていてもよい。]
*は、式(8)におけるベンゼン環への結合位置を表す。] - 前記(メタ)アクリレートが下記式(9-1-1)、式(9-1-2)、式(9-2-1)、式(9-2-2)、式(10-1-1)、式(10-1-2)、式(10-2-1)、式(10-2-2)、式(11-1-1)、式(11-1-2)、式(11-2-1)、および式(11-2-2)のいずれかで表される(メタ)アクリレートである、請求項8~10のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
- 請求項12に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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