最初に、図1~図3を参照し、本発明の実施形態に係る作業機械の一例であるショベル100の構成例について説明する。図1は、ショベル100の側面図である。図2は、ショベル100に搭載される基本システムの構成例を示す。図2において、機械的動力伝達ラインは二重線で示され、作動油ラインは太実線で示され、パイロットラインは破線で示され、電気駆動・制御ラインは細実線で示されている。図3は、キャビン10の内部の構成例を示す。
ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられている。アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。バケット6は、着脱可能に構成され、必要に応じてグラップル、ブレーカ又はリフティングマグネット等と取り換えられる。図1の例では、バケット6とバケットリンクとの連結部分にクレーン作業で使用されるフック6Fが取り付けられている。フック6Fは、2本のバケットリンクの間に収納可能に取り付けられている。
ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が搭載されている。キャビン10の後方にはショベル100の動力源としてのエンジン11が搭載されている。キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、通信装置48及び注意喚起装置49等が設置されている。
エンジン11は、エンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11に関する燃料噴射量及び燃料噴射タイミング等は、エンジン制御ユニット50により制御される。
エンジン11の回転軸は、図2に示すように、油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの回転軸に接続されている。
レギュレータ13は、メインポンプ14の押し退け容積を制御できるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の押し退け容積を制御する。例えば、コントローラ30は、吐出圧センサ28及び操作圧センサ29等の出力に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力することで、メインポンプ14の押し退け容積を変化させる。レギュレータ13は、斜板傾転角を表すデータをコントローラ30に送信できるように構成されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給できるように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
油温センサ14cは、作動油タンクとメインポンプ14との間の作動油ラインを流れる作動油の温度を検出できるように構成されている。そして、油温センサ14cは、検出したデータをコントローラ30に送信できるように構成されている。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26等の各種油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。この場合、メインポンプ14は、コントロールバルブ17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置26等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブ17は、ショベル100の油圧系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、右側走行用油圧モータ、左側走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9及び旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータに接続されている。
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。電動アクチュエータは、例えば、旋回用油圧モータの代わりに搭載される旋回用電動モータである。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。但し、操作装置26は、上述のようなパイロット圧式ではなく、電気制御式であってもよい。この場合、コントロールバルブ17内の制御弁は、電磁スプール弁であってもよい。
本実施形態では、操作装置26は、図3に示すように、左操作レバー26L、右操作レバー26R、走行レバー26D、走行ペダル26DP及びエンドアタッチメントペダル26APを含む。本実施形態では、走行レバー26Dは、走行ペダル26DPと連動するように構成されている。
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作とに用いられるように構成されている。右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作とに用いられるように構成されている。左操作レバー26Lの先端には、左ボタン27Lが配置されている。右操作レバー26Rの先端には、右ボタン27Rが配置されている。本実施形態では、エンドアタッチメントとしてリフティングマグネットが取り付けられているときには、左ボタン27Lは、そのリフティングマグネットによる吸着を開始させるための吸着ボタンとして機能し、右ボタン27Rは、リフティングマグネットによる吸着を停止させるための釈放ボタンとして機能する。
エンドアタッチメントペダル26APは、エンドアタッチメントの操作に用いられるように構成されている。例えば、エンドアタッチメントペダル26APは、エンドアタッチメントとしてグラップルが取り付けられているときには、そのグラップルの開閉操作に用いられる。或いは、エンドアタッチメントペダル26APは、エンドアタッチメントとしてブレーカが取り付けられているときには、そのブレーカのオン・オフ操作に用いられる。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出値をコントローラ30に対して出力するように構成されている。
操作圧センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力(操作圧)の形で検出できるように構成されている。本実施形態では、操作圧センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力するように構成されている。
コントローラ30は、ショベル100を制御する制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置等を含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30の各種機能は、CPUが不揮発性記憶装置に格納されたプログラムを実行することで実現される。
表示装置40は、右側ピラーと運転席との間に取り付けられ、且つ、運転席に着座した操作者が画面を視認できるように配置されている。そして、表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種情報を表示できるように構成されている。本実施形態では、表示装置40は、コントローラ30に接続される液晶ディスプレイである。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。表示装置40は、画像表示部41、及び、入力部としてのスイッチパネル42を有する。スイッチパネル42は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネル42は、画像表示部41の上に配置されるタッチパネルであってもよい。
本実施形態では、表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作するように構成されている。蓄電池70は、エンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30、通信装置48及び注意喚起装置49等にも供給される。例えば、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動するように構成されている。
通信装置48は、ショベル100と外部機器との間の通信を制御できるように構成されている。本実施形態では、通信装置48は、衛星通信回線、携帯電話通信回線及び近距離無線通信回線等の少なくとも1つを通じたショベル100と支援装置200及び管理装置300の少なくとも1つとの間の無線通信を制御する。支援装置200は、例えば、操作者が携帯しているスマートフォン、タブレットPC又はノートPC等である。管理装置300は、例えば、管理センタ等の外部施設に設置されているサーバ等である。通信装置48は、キャビン10内に乗り込んだ操作者が携帯している支援装置200と通信できるようにキャビン10内に設置されていてもよい。
注意喚起装置49は、操作者の注意を喚起できるように構成されている。注意喚起装置49は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、ブザー及びLEDランプ等の少なくとも1つである。本実施形態では、注意喚起装置49は、図3に示すようにキャビン10内に設置されたスピーカである。
エンジン制御ユニット50は、エンジン11を制御できるように構成されている。また、エンジン制御ユニット50は、冷却水温等、エンジン11の状態を表すデータをコントローラ30に送信できるように構成されている。
切換弁60は、コントローラ30からの制御指令に応じて動作するように構成されている。本実施形態では、切換弁60は、エンドアタッチメントペダル26APの上流側にある、分岐部BP1とエンドアタッチメントペダル26APとをつなぐパイロットラインC1に配置された電磁弁である。分岐部BP1は、パイロットポンプ15から延びるパイロットラインC0がパイロットラインC1とパイロットラインC2とに分岐する部分である。パイロットラインC2は、分岐部BP1と左操作レバー26Lとをつなぐパイロットラインである。
この構成により、コントローラ30は、必要に応じてパイロットラインC1を遮断することで、エンドアタッチメントペダル26APに対する操作入力を無効にすることができる。すなわち、コントローラ30は、例えば、グラップルを閉じるために操作者がエンドアタッチメントペダル26APを踏み込んだ場合であっても、グラップルに関する油圧アクチュエータを動作させないようにすることができる。
なお、切換弁60は、エンドアタッチメントペダル26APの下流側にある、エンドアタッチメントペダル26APとコントロールバルブ17内の対応する制御弁とをつなぐ2つのパイロットラインのそれぞれに配置されていてもよい。
また、切換弁60は、パイロットラインC2等の他のパイロットラインを遮断できるように構成されていてもよい。切換弁60がパイロットラインC2に配置されている場合、コントローラ30は、必要に応じてパイロットラインC2を遮断することで、左操作レバー26Lに対する操作入力を無効にすることができる。すなわち、コントローラ30は、例えば、上部旋回体3を右旋回させるために操作者が左操作レバー26Lを右方向に倒した場合であっても、旋回用油圧モータを動作させないようにすることができる。
或いは、切換弁60がパイロットラインC0に配置されている場合、コントローラ30は、必要に応じてパイロットラインC0を遮断することで、操作装置26に対する操作入力の全てを無効にすることができる。すなわち、コントローラ30は、例えば、ショベル100を動作させるために操作者が操作装置26を操作した場合であっても、ショベル100を動作させないようにすることができる。
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルである。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態を示すデータをコントローラ30に送信する。エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるように構成されている。SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベル100を稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードに対応する一定のエンジン回転数で回転するように制御される。
次に、コントローラ30が有する機能要素について説明する。本実施形態では、コントローラ30は、資格情報表示部30A及び動作制限部30Bを機能要素として有する。コントローラ30は、各機能要素に対応するプログラムを実行することで、各機能要素が担う機能を実現できるように構成されている。
資格情報表示部30Aは、操作者の資格情報を表示装置40に表示させる処理(以下、「表示処理」とする。)を実行できるように構成されている。図4Aは、表示処理の一例を示すフローチャートである。資格情報表示部30Aは、例えば、エンジン11が始動したときにこの表示処理を実行する。或いは、資格情報表示部30Aは、キャビン10内に設置された通信装置48と操作者が携帯する支援装置200との間の無線通信が確立したときにこの表示処理を実行してもよい。なお、資格情報表示部30Aは、この表示処理を1回だけ実行してもよく、所定の制御周期で繰り返し実行してもよい。
最初に、資格情報表示部30Aは、操作者の資格情報を取得したか否かを判定する(ステップST1)。資格情報は、建設機械の運転資格に関する情報を含む。本実施形態では、コントローラ30は、通信装置48を通じ、操作者が携帯している支援装置200の不揮発性記憶装置に記憶されている操作者の資格情報、すなわち、その操作者が保有している運転資格に関する情報を取得する。なお、操作者は、例えば、支援装置200にインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアを通じて資格情報を不揮発性記憶装置に記憶している。
図5は、建設機械に関する資格と作業との関係の一例を示す表である。図5の表は、不揮発性記憶装置に参照可能に記憶されている登録情報に基づく。また、図5の表は、日本の労働安全衛生法第61条第1項の規定に関する内容を含む。具体的には、図5は、操作者がショベル100を利用して「掘削作業」又は「グラップル作業」を行うためには「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」を修了している必要があることを示している。また、図5は、操作者がショベル100を利用して「クレーン作業」又は「リフティングマグネット作業」を行うためには「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」及び「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了している必要があることを示している。また、図5は、操作者がショベル100を利用して「ブレーカ作業」又は「コンクリート破砕作業」を行うためには「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」及び「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」を修了している必要があることを示している。また、図5は、操作者がショベル100を利用して「杭打ち作業」を行うためには「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」及び「車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習」を修了している必要があることを示している。更に、図5は、操作者が公道(道路使用申請された場合を除く。)でショベル100を走行させるためには「大型特殊自動車免許」を持っている必要があることを示している。
本実施形態では、掘削作業は、エンドアタッチメントとしてのバケット6がアタッチメントの先端に取り付けられたショベル100を用いて行われる作業を意味する。グラップル作業は、エンドアタッチメントとしてのグラップルがアタッチメントの先端に取り付けられたショベル100を用いて行われる作業を意味する。クレーン作業は、2本のバケットリンクの間に収納されているフック6F(図1参照。)が引き出された状態のショベル100を用いて行われる作業を意味する。リフティングマグネット作業は、エンドアタッチメントとしてのリフティングマグネットがアタッチメントの先端に取り付けられたショベル100を用いて行われる作業を意味する。ブレーカ作業は、エンドアタッチメントとしてのブレーカが取り付けられたショベル100を用いて行われる作業を意味する。また、コンクリート破砕作業は、エンドアタッチメントとしてのはさみ状の解体工事用アタッチメントが取り付けられたコンクリート圧砕機としてのショベル100を用いて行われる作業を意味する。解体工事用アタッチメントは、鉄筋を切断する機能が付加されたアタッチメントであってもよい。また、杭打ち作業は、エンドアタッチメントとしての杭打ち用アタッチメントが取り付けられたショベル100を用いて行われる作業を意味する。
資格情報を取得したと判定した場合(ステップST1のYES)、資格情報表示部30Aは、表示装置40に資格情報を表示させる(ステップST2)。本実施形態では、資格情報表示部30Aは、操作可否確認画面41wを含むメイン画面41Vを表示装置40の画像表示部41に表示させる。
資格情報を取得していないと判定した場合(ステップST1のNO)、資格情報表示部30Aは、操作可否確認画面41wを含むメイン画面41Vを画像表示部41に表示させることなく、今回の表示処理を終了させる。
図6Aは、タッチパネルを備えた画像表示部41に表示されるメイン画面41Vの一例を示す。図6Aのメイン画面41Vは、資格情報を取得したと資格情報表示部30Aが判定した場合に画像表示部41に表示される画面である。具体的には、メイン画面41Vは、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、エンドアタッチメント表示領域41c、平均燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン作動時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k及びカメラ画像表示領域41mを含む。走行モード表示領域41b、エンドアタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、及び、回転数モード表示領域41iのそれぞれは、ショベルの設定状態を表示する設定状態表示領域の例である。平均燃費表示領域41d、エンジン作動時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び、作動油温表示領域41kのそれぞれは、ショベルの運転状態を表示する運転状態表示領域の例である。
日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表す図形を表示する領域である。エンドアタッチメント表示領域41cは、現在装着されているエンドアタッチメントを表す図形を表示する領域である。図6Aのエンドアタッチメント表示領域41cには、現在装着されているエンドアタッチメントがバケット6であることを表すバケットアイコンが表示されている。平均燃費表示領域41dは、現在の平均燃費を表示する領域である。平均燃費は、例えば、所定時間における燃料消費量である。エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表す図形を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンク55に貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。回転数モード表示領域41iは、現在の回転数モードを表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。カメラ画像表示領域41mは、カメラ画像を表示する領域である。
図6Aの例では、操作可否確認画面41wは、上部旋回体3に取り付けられたカメラ(図示せず。)が撮像した画像を表示するカメラ画像表示領域41mの大部分を覆うように表示されている。そして、操作可否確認画面41wは、操作者が「XXXさん」であること、掘削作業及び公道走行に関する操作が許可されていること、及び、グラップル作業、クレーン作業、リフティングマグネット作業、ブレーカ作業、コンクリート圧砕作業及び杭打ち作業に関する操作が禁止されていることを示している。また、操作可否確認画面41wは、ボタン画像G1を含む。ボタン画像G1は、操作可否確認画面41wを保有資格確認画面41xに切り換えるためのソフトウェアボタンを表す画像である。
操作可否確認画面41wは、コントローラ30が操作者を認証する機能を有する場合には、正規の操作者として認証された操作者のIDを表示するように構成されていてもよい。なお、図6Aの例では、操作可否確認画面41wは、IDが「***」であることを表示しているが、図2に示すコントローラ30は、操作者を認証する機能を有していないため、実際には表示されない。図6Bについても同様である。
操作可否確認画面41wを見た操作者は、許可されている作業の種類、及び、許可されていない作業の種類を容易に把握できる。また、操作者は、ボタン画像G1の部分をタッチ操作することで、操作可否確認画面41wを保有資格確認画面41xに切り換えられることを容易に把握できる。
ボタン画像G1の部分がタッチ操作されると、資格情報表示部30Aは、保有資格確認画面41xを含むメイン画面41Vを表示装置40の画像表示部41に表示させる。
図6Bは、タッチパネルを備えた画像表示部41に表示される、保有資格確認画面41xを含むメイン画面41Vの一例を示す。図6Bに示すメイン画面41Vは、操作可否確認画面41wの代わりに保有資格確認画面41xが表示されている点で、図6Aに示すメイン画面41Vと異なるが、その他の点で図6Aに示すメイン画面41Vと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
図6Bの例では、保有資格確認画面41xは、操作可否確認画面41wと同様に、カメラ画像表示領域41mの大部分を覆うように表示されている。そして、保有資格確認画面41xは、操作者が「XXXさん」であること、操作者が「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」を既に修了していること、「大型特殊自動車免許」を保有していること、並びに、「小型移動式クレーン運転技能講習」、「車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習」及び「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」を未だ修了していないことを示している。また、保有資格確認画面41xは、ボタン画像G2を含む。ボタン画像G2は、保有資格確認画面41xを操作可否確認画面41wに切り換えるためのソフトウェアボタンを表す画像である。
保有資格確認画面41xを見た操作者は、修了済みの運転技能講習の種類、未修了の運転技能講習の種類、及び、大型特殊自動車免許の有無を容易に把握できる。また、操作者は、ボタン画像G2の部分をタッチ操作することで、保有資格確認画面41xを操作可否確認画面41wに切り換えられることを容易に把握できる。
ボタン画像G2の部分がタッチ操作されると、資格情報表示部30Aは、図6Aに示すような操作可否確認画面41wを含むメイン画面41Vを表示装置40の画像表示部41に表示させる。
上述の例では、資格情報表示部30Aは、資格情報を取得したと判定した場合に操作可否確認画面41wを最初に表示させているが、保有資格確認画面41xを最初に表示させてもよい。
動作制限部30Bは、ショベル100における所定の動作を制限する処理(以下、「制限処理」とする。)を実行できるように構成されている。図4Bは、制限処理の一例を示すフローチャートである。動作制限部30Bは、例えば、ショベル100の稼動中に所定の制御周期で繰り返しこの制限処理を実行する。
最初に、動作制限部30Bは、資格外操作が行われようとしているか否かを判定する(ステップST11)。本実施形態では、動作制限部30Bは、コントローラ30における不揮発性記憶装置に記憶されている登録情報と、通信装置48を介して取得した操作者の資格情報と、ショベル100に搭載されている情報取得装置が取得する情報とに基づいて資格外操作が行われようとしているか否かを判定する。情報取得装置が取得する情報は、例えば、ショベル100の動作モードに関する情報、及び、操作装置26のそれぞれに関する操作圧等のうちの少なくとも1つを含む。この場合、情報取得装置は、操作圧センサ29及びスイッチパネル42等の少なくとも1つを含む。
本実施形態では、ショベル100の動作モードは、掘削モード、クレーンモード、及びリフティングマグネットモードを含む。そして、ショベル100の動作モードは、スイッチパネル42におけるモード切換部としてのモード切換ボタンが押下された場合に、現在の動作モードから別の動作モードに切り換えられる。
モード切換部は、左操作レバー26Lが取り付けられるコンソールボックス、又は、右操作レバー26Rが取り付けられるコンソールボックス等に配置されている他のボタン又はスイッチ等であってもよい。また、ショベル100が音声入力機能を備えている場合には、モード切換部は、操作者が発した「クレーンモードへ切り換え」等の音声を認識する音声認識部であってもよい。
動作制限部30Bは、例えば、動作モードとして掘削モードが選択されている状態において、小型移動式クレーン運転技能講習を修了していない操作者がモード切換ボタンを押下したことを検知すると、資格外操作が行われようとしていると判定する。
動作制限部30Bは、2本のバケットリンクの間にある収納部からフック6Fが引き出されたことを検知することで、動作モードがクレーンモードに切り換わったと判定してもよい。或いは、動作制限部30Bは、アーム5の先端に取り付けられたエンドアタッチメントの種類を認識することで、エンドアタッチメントの種類に応じた動作モードに切り換わったと判定してもよい。エンドアタッチメントの種類は、例えば、ブレーカ、又は、解体工事用アタッチメントであるグラップル等であり、エンドアタッチメントの種類に応じた動作モードは、例えば、ブレーカモード又は解体工事用モード等である。或いは、動作制限部30Bは、ショベル100がGNSS受信機を備えている場合には、ウェブ上に公開されている地図情報に関するAPI(Application Programming Interface)にコントローラ30が通信装置48を介してアクセスしたことを検知することで、ショベル100が公道を走行しているか否かといったショベル100の状態を推定してもよい。
資格外操作が行われようとしていると判定した場合(ステップST11のYES)、動作制限部30Bは、資格外操作に関する機能を停止させる(ステップST12)。例えば、小型移動式クレーン運転技能講習を修了していない操作者がモード切換ボタンを押下したことを検知した場合、動作制限部30Bは、モード切換ボタンの機能を停止させる。すなわち、動作制限部30Bは、モード切換ボタンが押下された場合であっても、ショベル100の動作モードを切り換えずに掘削モードのままとする。
或いは、動作制限部30Bは、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習を修了していない操作者がエンジン11を始動させたことを検知した場合、操作装置26の機能を停止させてもよい。すなわち、動作制限部30Bは、操作装置26が操作された場合であっても、アクチュエータを動作させないようにしてもよい。例えば、動作制限部30Bは、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習を修了していない操作者が、アタッチメントの先端にグラップルが取り付けられているショベル100のエンジン11を始動させた場合には、切換弁60(図2参照。)に制御指令を出力してパイロットラインC1を遮断することで、エンドアタッチメントペダル26APが踏み込まれたとしてもグラップルを開閉させないようにしてもよい。
また、動作制限部30Bは、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習及び車両系建設機械(解体用)運転技能講習の少なくとも一方を修了していない操作者が、アタッチメントの先端に解体工事用アタッチメントが取り付けられているショベル100のエンジン11を始動させた場合には、操作装置26の機能を停止させてもよい。
同様に、動作制限部30Bは、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習及び車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習の少なくとも一方を修了していない操作者が、アタッチメントの先端に杭打ち用アタッチメントが取り付けられているショベル100のエンジン11を始動させた場合には、操作装置26の機能を停止させてもよい。
資格外操作に関する機能を停止させた後、動作制限部30Bは、操作者の注意を喚起する(ステップST13)。本実施形態では、動作制限部30Bは、資格外操作が行われようとしていることを操作者に伝えるための警告メッセージを注意喚起装置49としての表示装置40の画像表示部41に表示させる。図6Cは、画像表示部41に表示される、警告メッセージを含むメイン画面41Vの一例を示す。図6Cに示すメイン画面41Vは、操作可否確認画面41wの代わりに警告メッセージG3が表示されている点で、図6Aに示すメイン画面41Vと異なるが、その他の点で図6Aに示すメイン画面41Vと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
図6Cの例では、警告メッセージG3は、小型移動式クレーン運転技能講習を修了していない操作者がモード切換ボタンを押下してショベル100の動作モードを掘削モードからクレーンモードに変更しようとしたときに表示される「クレーン作業は資格外操作です」というテキスト情報であり、カメラ画像表示領域41mの一部に重畳表示されている。図6Cの例では、カメラ画像表示領域41mには、上部旋回体3の上面の後部に取り付けられているバックカメラ(図示せず。)が撮像した画像が表示されている。この場合、動作制限部30Bは、警告音及び「クレーン作業は資格外操作です」といった音声メッセージの少なくとも一方を注意喚起装置49としてのスピーカから出力させてもよい。
警告メッセージG3を見た操作者は、クレーンモードが選択不可であることを容易に把握できる。本実施形態では、警告メッセージG3は、所定時間が経過した後に自動的に消去される。但し、警告メッセージG3は、モード切換ボタンの押下等の所定の操作が行われるまで継続的に表示されていてもよい。
一方、資格外操作が行われようとしていないと判定した場合には(ステップST11のNO)、動作制限部30Bは、操作者による操作に関する機能を停止させることなく、また、操作者の注意を喚起することもなく、今回の制限処理を終了させる。
以上の構成により、ショベル100は、操作者による資格外操作をより確実に防止できる。そのため、ショベル100は、作業現場の安全性を向上させることができる。
次に、図7及び図8を参照し、本発明の実施形態に係るショベル100の別の構成例について説明する。図7は、ショベル100に搭載される基本システムの別の構成例を示す。図7において、機械的動力伝達ラインは二重線で示され、作動油ラインは太実線で示され、パイロットラインは破線で示され、電気駆動・制御ラインは細実線で示されている。図8は、キャビン10の内部の構成例を示す。
図7の基本システムは、主に、撮像装置47及びシート駆動部65を備える点、並びに、コントローラ30が機能要素として認証部30Cを有する点で、図2の基本システムと異なるが、その他の点では図2の基本システムと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
撮像装置47は、操作者の生体情報を取得できるように構成される生体情報取得装置の一例である。本実施形態では、撮像装置47は、キャビン10内の運転席に着座する操作者の顔を撮像できるように構成されている。具体的には、撮像装置47は、図8に示すように、表示装置40の上部に埋設された、CCD又はCMOS等の撮像素子を有するカメラである。そして、撮像装置47は、操作者の顔を撮像し、顔画像を生体情報としてコントローラ30に供給できるように構成されている。
シート駆動部65は、コントローラ30からの制御指令に応じて運転席の調節機構を駆動できるように構成されている。運転席の調節機構は、例えば、運転席の前後位置を調節するための機構、背もたれの角度を調節するための機構、及び、座面の高さを調節するための機構等の少なくとも1つを含む。図8の例では、シート駆動部65は、運転席の調節機構を駆動する電動モータを含む。
認証部30Cは、操作者を認証する処理(以下、「認証処理」とする。)を実行できるように構成されている。図9は、認証処理の一例を示すフローチャートである。認証部30Cは、例えば、エンジン11が始動したときにこの認証処理を実行する。或いは、認証部30Cは、キャビン10内に設置された通信装置48と操作者が携帯する支援装置200との間の無線通信が確立したときにこの認証処理を実行してもよい。なお、認証部30Cは、この認証処理を1回だけ実行してもよく、所定の制御周期で繰り返し実行してもよい。
最初に、認証部30Cは、操作者を認証できるか否かを判定する(ステップST21)。図9の例では、認証部30Cは、キャビン10内に乗り込んだ操作者を顔認証によって認証できるか否かを判定する。具体的には、認証部30Cは、撮像装置47が撮像した操作者の顔画像と、コントローラ30の不揮発性記憶装置に記憶されている1又は複数の登録済み顔画像とを照合する。そして、コントローラ30は、操作者の顔画像と1又は複数の登録済み顔画像のうちの1つとが一致するか否かに基づいて操作者を正規の操作者として認証できるか否かを判定する。
操作者を認証できると判定した場合(ステップST21のYES)、認証部30Cは、操作者情報を取得する(ステップST22)。例えば、認証部30Cは、通信装置48を介し、操作者が携帯している支援装置200の不揮発性記憶装置に記憶されている操作者情報を取得する。
操作者情報は、操作者に関する情報である。図9の例では、操作者情報は、資格情報、シートポジション情報及び操作特性情報等を含む。
シートポジション情報は、シート駆動部65を駆動させてシートポジションを調節する際に認証部30Cによって利用される。シートポジションは、運転席の前後位置、背もたれの角度、及び、座面の高さ等の少なくとも1つを意味する。
操作特性情報は、ショベルの操作特性に関する情報であり、例えば、コントロールバルブ17内の制御弁を構成するスプールの動きに関する情報(以下、「スプール関連情報」とする。)を含む。スプール関連情報は、例えば、操作装置26の操作量に対する、対応する制御弁を構成するスプールの移動量、及び、スプールの最大移動速度等を含む。スプール関連情報は、例えば、環境情報によって特定される作業環境毎に記憶されていてもよい。
環境情報は、例えば、温度、湿度、緯度、経度及び高度等の少なくとも1つである。環境情報は、典型的には、ショベル100に取り付けられた各種センサを用いて検出される。作業環境は、例えば、湿地帯、乾燥地帯、傾斜地帯又は屋内等である。コントローラ30は、環境情報と、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、及び、アタッチメントに取り付けられているエンドアタッチメントの種類等のショベル100に関する情報とに基づいて作業環境を特定してもよい。
認証部30Cは、例えば、各種センサが検出した情報に基づいて作業環境を特定した上で、操作者毎に記憶されているその作業環境に対応するスプール関連情報を選択する。そして、認証部30Cは、選択したスプール関連情報を利用し、ショベル100の操作特性がその操作者に適した状態(事前に登録されている状態)になるように調節する。操作特性は、例えば、上部旋回体3の旋回を停止させるときに発生する上部旋回体3の振動の抑制度合いを含む。上部旋回体3の旋回を停止させるときに発生する上部旋回体3の振動は、この抑制度合いが高いほど小さくなるが、左操作レバー26Lを中立位置に戻した時点から上部旋回体3の旋回が完全に停止する時点までの上部旋回体3の旋回角度は大きくなる。
操作特性は、ブーム4の動きを開始させるときに発生する上部旋回体3の振動の抑制度合いを含んでいてもよい。ブーム4の動きを開始させるときに発生する上部旋回体3の振動は、この抑制度合いが高いほど小さくなるが、ブーム4の動き出しの速度は遅くなる。
このように、認証部30Cは、操作者情報を取得した後で、その操作者情報に基づき、ショベル100に関する設定を調節する(ステップST23)。ショベル100に関する設定の調節は、例えば、上述のようなシートポジションの調節及び操作特性の調節等を含む。
図9の例では、認証部30Cは、シートポジション情報に基づいて生成した制御指令をシート駆動部65に対して出力することで、操作者が以前に登録したシートポジション情報に対応するシートポジションを再現させる。なお、シートポジション情報は、支援装置200側に登録されていてもよく、ショベル100側で登録済み顔画像と関連付けて登録されていてもよい。
その後、資格情報表示部30Aは、表示装置40に資格情報を表示させる(ステップST24)。図9の例では、資格情報表示部30Aは、ショベル100側で登録済み顔画像と関連付けて登録されている資格情報を参照し、操作可否確認画面41w(図6A参照。)を含むメイン画面41Vを表示装置40の画像表示部41に表示させる。但し、資格情報表示部30Aは、通信装置48を介し、操作者が携帯している支援装置200の不揮発性記憶装置に記憶されている資格情報を取得し、その資格情報を用いて操作可否確認画面41w(図6A参照。)を含むメイン画面41Vを表示装置40の画像表示部41に表示させてもよい。
操作者を認証できないと判定した場合(ステップST21のNO)、認証部30Cは、操作者情報を取得することなく、今回の認証処理を終了させる。この場合、認証部30Cは、正規の操作者として認証されなかった操作者に対しては、ショベル100に関する設定を調節することもない。図9の例では、認証部30Cは、シートポジションを調節することはなく、操作特性を調節することもない。認証部30Cは、正規の操作者として認証されなかった旨を知らせる警告メッセージを表示装置40に表示させてもよい。
認証部30Cは、虹彩認証又は指紋認証等の顔認証以外の認証方法で操作者を認証できるように構成されていてもよい。この場合、生体情報取得装置としての撮像装置47は、操作者の虹彩の画像を生体情報として取得できるように構成されていてもよく、操作者の指紋の画像を生体情報として取得できるように構成されていてもよい。
或いは、認証部30Cは、声紋認証で操作者を認証できるように構成されていてもよい。この場合、生体情報取得装置は、声紋を生体情報として取得する集音装置であってもよい。
或いは、認証部30Cは、静脈パターン認証で操作者を認証できるように構成されていてもよい。この場合、生体情報取得装置は、指等における静脈パターンを生体情報として取得する近赤外線センサであってもよい。
或いは、認証部30Cは、識別番号で操作者を認証できるように構成されていてもよい。この場合、認証部30Cは、操作者が携帯している支援装置200の不揮発性記憶装置に記憶されている認証番号と、コントローラ30の不揮発性記憶装置に記憶されている1又は複数の登録済み認証番号のうちの1つとが一致するか否かに基づいて操作者を正規の操作者として認証できるか否かを判定してもよい。
また、操作者を認証できるか否かの判定は、管理装置300で行われてもよい。この場合、撮像装置47が撮像した顔画像は、通信装置48を通じて管理装置300に送信される。そして、管理装置300は、受信した顔画像と、管理装置300の不揮発性記憶装置に記憶されている1又は複数の登録済み顔画像とを照合する。そして、管理装置300は、操作者の顔画像と1又は複数の登録済み顔画像のうちの1つとが一致するか否かに基づいて操作者を正規の操作者として認証できるか否かを判定する。その後、管理装置300は、判定結果をコントローラ30に送信する。そして、コントローラ30は、管理装置300で操作者を認証できると判定された場合に、ステップST22~ステップST24を実行する。
次に、図10を参照し、本発明の実施形態に係るショベル100の更に別の構成例について説明する。図10は、ショベル100に搭載される基本システムの更に別の構成例を示す。図10において、機械的動力伝達ラインは二重線で示され、作動油ラインは太実線で示され、パイロットラインは破線で示され、電気駆動・制御ラインは細実線で示されている。
図10の基本システムは、主に、電気制御式の操作装置25を備える点で、油圧制御式の操作装置26を備える図2の基本システムと異なるが、その他の点では図2の基本システムと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
電気制御式の操作装置25が操作されると、コントローラ30は、対応する電磁弁61に対して制御指令を出力し、電磁弁61を作動させる。
電磁弁61は、コントローラ30からの制御指令に応じて動作するように構成されている。図10の例では、電磁弁61は、電磁比例減圧弁であり、コントロールバルブ17内にある制御弁における一対のパイロットポートのそれぞれとパイロットラインC10との間に配置されている。すなわち、図10の基本システムは、各制御弁につき2つの電磁弁61を備えている。なお、図10では、明瞭化のため、旋回用油圧モータを流れる作動油の流量を制御する制御弁の左側パイロットポートとパイロットラインC10との間に配置された電磁弁61Aと、その制御弁の右側パイロットポートとパイロットラインC10との間に配置された電磁弁61Bとが図示され、他の電磁弁の図示が省略されている。
例えば、電気制御式の左操作レバー25Lが左方向に倒されたことを検知すると、コントローラ30は、電磁弁61Aに対して制御指令を出力し、左操作レバー25Lの操作量に応じたパイロット圧が旋回用油圧モータに関する制御弁の左側パイロットポートに作用するように電磁弁61Aを作動させる。
また、電気制御式の左操作レバー25Lが右方向に倒されたことを検知すると、コントローラ30は、電磁弁61Bに対して制御指令を出力し、左操作レバー25Lの操作量に応じたパイロット圧が旋回用油圧モータに関する制御弁の右側パイロットポートに作用するように電磁弁61Bを作動させる。
ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9等の他のアクチュエータに対応する電気制御式の操作装置25が操作された場合も同様に、コントローラ30は、対応する電磁弁を作動させる。
この構成により、コントローラ30は、操作装置25が操作者によって操作されたか否かにかかわらず、各制御弁に対応する電磁弁61に対して所望の制御指令を出力できる。例えば、コントローラ30は、特定のアクチュエータに関する手動操作が行われていない場合であっても、その特定のアクチュエータに関する電磁弁61に対して制御指令を出力することができる。すなわち、コントローラ30は、特定のアクチュエータに関する手動操作が行われていない場合であっても、その特定のアクチュエータを動作させることができる。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に搭載された制御装置としてのコントローラ30と、を備えている。そして、コントローラ30は、操作者の運転資格に関する情報を取得し、その操作者による資格外操作が行われようとしていることを検知した場合に、その操作者の注意を喚起し、或いは、その資格外操作に関するショベルの動作を禁止するように構成されている。
例えば、コントローラ30は、資格外操作を開始するためのモード切換ボタンの押下に応じたショベル100の動作モードの切り換え、及び、資格外操作に応じたアクチュエータの動作等の資格外操作に関するショベルの動作を禁止するように構成されていてもよい。
この構成により、ショベル100は、操作者による資格外操作をより確実に防止できる。そのため、ショベル100は、作業現場の安全性を向上させることができる。
ショベル100は、外部端末としての支援装置200に記憶されている操作者に関する情報を受信する通信装置48を備えていてもよい。この場合、コントローラ30は、通信装置48を介して受信した操作者に関する情報に基づき、その操作者による資格外操作が行われようとしていることを検知した場合に、その操作者の注意を喚起し、或いは、その資格外操作に関するショベルの動作を禁止するように構成されていてもよい。
ショベル100は、操作者の生体情報を取得する生体情報取得装置としての撮像装置47を備えていてもよい。この場合、コントローラ30は、撮像装置47が撮像した操作者の生体情報としての顔画像に基づいて操作者を認証し、その操作者による資格外操作が行われようとしていることを検知した場合に、その操作者の注意を喚起し、或いは、資格外操作に関するショベルの動作を禁止するように構成されていてもよい。
コントローラ30は、操作者に関する情報に応じてショベル100の制御方法を変更できるように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、シートポジション情報に基づいてシートポジションを操作者毎に調節してもよく、スプール関連情報に基づいてスプールの動きを操作者毎に調節してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、ショベル100は、キャビン10内に乗り込んだ操作者の資格情報を利用するように構成されているが、ショベル100を遠隔操作する操作者の資格情報を利用できるように構成されていてもよい。この場合、コントローラ30は、ショベル100の外部にある遠隔操作者用の操作装置又はショベル100の外部にある遠隔操作者用の表示装置に取り付けられた別の通信装置を介して、操作者が携帯している支援装置200に記憶されている資格情報を取得するように構成されていてもよい。また、コントローラ30は、遠隔操作者用の操作装置又は遠隔操作者用の表示装置に取り付けられた別の撮像装置が撮像した顔画像に基づいて操作者を認証するように構成されていてもよい。