JP7232102B2 - 不透明な弾球遊技用樹脂基盤とその製造方法、及び、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤 - Google Patents
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Description
[1] 屈折率の異なる第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物層を含む弾球遊技用樹脂基盤であって、
厚みが8~22mmであり、
第1の透明熱可塑性樹脂(A)の屈折率(nA)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の屈折率(nB)との差の絶対値が0.01以上であり、
前記熱可塑性樹脂組成物層は、全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上である、弾球遊技用樹脂基盤。
[3] JIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率が1800~2500MPaである、[1]又は[2]の弾球遊技用樹脂基盤。
[4] 前記熱可塑性樹脂組成物層中の第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)との質量比が98:2~2:98である、[1]~[3]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[6] 第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[7] 前記熱可塑性樹脂組成物層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートである、[1]~[6]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[8] 前記熱可塑性樹脂組成物層の全原料のうち5~100質量%が、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材である、[1]~[7]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[11] 前記印刷フィルム側から当該印刷フィルムを貫通して前記弾球遊技用樹脂基盤の内部又は裏面に到達する釘打ち用の孔が形成された、[10]の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
[12] 前記釘打ち用の孔の内部に釘が打ち込まれた、[11]の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、屈折率の異なる第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層を含む樹脂シートからなる。本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層からなる単層シートであってもよいし、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートであってもよい。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤の厚みは8~22mmであり、好ましくは8~19mm、より好ましくは8~16mmである。厚みが8mm以上であれば、釘を良好に保持することができ、厚みが22mm以下であれば、切削加工性が良好となる。
樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層は、全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上である。本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、不透明な熱可塑性樹脂組成物層を含むため、表面に印刷フィルムを直接貼り合わせても、印刷フィルムの演色性が優れ、好ましい。
第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の組合せは、第1の透明熱可塑性樹脂(A)の屈折率(nA)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の屈折率(nB)との差の絶対値(以下、「屈折率差|nA-nB|」又は単に「屈折率差」とも言う。)が0.01以上となる条件で、公知の透明熱可塑性樹脂の中から選択することができる。
樹脂組成物(M)を構成する第1の透明熱可塑性樹脂(A)及び/又は第2の透明熱可塑性樹脂(B)は、樹脂組成物(M)の製造に供するまでの段階で着色剤を含んでいてもよい。その場合、樹脂の屈折率は着色剤を含まない透明な樹脂単体でのデータを採用するものとする。
第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)との組合せが相溶系である場合、屈折率差|nA-nB|が0.01以上であっても、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層は相分離構造を有さず、透明な層となる恐れがある。
屈折率差|nA-nB|が0.01以上であり、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層が好ましくは100nm以上のサイズのドメインを含む相分離構造を有することで、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層は白っぽい不透明な層となり、好ましい。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、ヘイズが10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。ヘイズが10%以上であれば、本発明の弾球遊技用樹脂基盤は充分に不透明となり、表面に印刷フィルムを直接貼り合わせても、印刷フィルムの演色性が優れ、好ましい。
一般的にポリカーボネート系樹脂(PC)は耐衝撃性等に優れる樹脂である。樹脂組成物(M)がポリカーボネート系樹脂(PC)を含む場合、本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好なものとなり、好ましい。
一般的にメタクリル系樹脂(PM)は光沢、透明性、及び表面硬度等に優れる樹脂である。樹脂組成物(M)がメタクリル系樹脂(PM)を含む場合、本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好で、表面硬度が優れるものとなり、好ましい。
以下、第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂(PC)を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂(PM)を含む態様について、説明する。
<ポリカーボネート系樹脂(PC)>
第1の透明熱可塑性樹脂(A)は、好ましくはポリカーボネート系樹脂(PC)を含む。
本明細書において、ポリカーボネート系樹脂(PC)は、特に明記しない限り、ビスフェノールA型ポリカーボネート系樹脂等の一般的な非変性ポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート系樹脂(PC)は、好適には1種以上の二価フェノールと1種以上のカーボネート前駆体とを共重合して得られる。二価フェノールとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)サルファイド、及びビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、中でもビスフェノールAが好ましい。カーボネート前駆体としては、ホスゲン等のカルボニルハライド;ジフェニルカーボネート等のカーボネートエステル;二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂(PC)の製造方法としては、二価フェノールの水溶液とカーボネート前駆体の有機溶媒溶液とを界面で反応させる界面重合法、及び、二価フェノールとカーボネート前駆体とを高温、減圧、無溶媒条件下で反応させるエステル交換法等が挙げられる。
第2の透明熱可塑性樹脂(B)は、好ましくはメタクリル系樹脂(PM)を含む。耐衝撃性向上の観点から、第2の透明熱可塑性樹脂(B)は、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)とを含有するメタクリル系樹脂組成物(多層構造ゴム粒子含有メタクリル系樹脂とも言う。)であってもよい。
メタクリル系樹脂(PM)は光沢、透明性、及び表面硬度等に優れる樹脂であるが、一般的にメタクリル系樹脂単独では耐衝撃性が不充分である。メタクリル系樹脂(PM)に多層構造ゴム粒子(RP)を添加することで、耐衝撃性が改善され、釘打ち時の樹脂割れが抑制される。釘打ち時の樹脂割れが抑制される結果、樹脂割れによる打ち釘の保持力の低下が抑制される。
なお、第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂(PC)を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂(PM)を含む態様では、ポリカーボネート系樹脂(PC)によって耐衝撃性が改善されるため、多層構造ゴム粒子(RP)の使用は必須ではない。
第2の透明熱可塑性樹脂(B)中のメタクリル系樹脂(PM)の含有量は85~50質量%であり、好ましくは80~55質量%、より好ましくは78~60質量%、特に好ましくは76~64質量%である。第2の透明熱可塑性樹脂(B)中の多層構造ゴム粒子(RP)の含有量は15~50質量%であり、好ましくは20~45質量%、より好ましくは22~40質量%、特に好ましくは24~36質量%である。第2の透明熱可塑性樹脂(B)の組成をこのように設計することで、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が安定的に得られる。
メタクリル系樹脂(PM)は、好ましくはメタクリル酸メチル(MMA)を含む1種以上のメタクリル酸炭化水素エステル(以下、単に「メタクリル酸エステル」とも言う。)に由来する構造単位を含む単独重合体又は共重合体である。メタクリル酸エステル中の炭化水素基は、メチル基、エチル基、及びプロピル基等の非環状脂肪族炭化水素基であっても、脂環式炭化水素基であっても、フェニル基等の芳香族炭化水素基であってもよい。メタクリル系樹脂(PM)中のメタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
多層構造ゴム粒子(RP)は、好ましくはアクリル系多層構造ゴム粒子である。多層構造ゴム粒子(RP)としては、1種以上のアクリル酸アルキルエステル共重合体を含む1層以上のグラフト共重合体層を含むアクリル系多層構造ゴム粒子が挙げられる。かかるアクリル系多層構造ゴム粒子としては、特開2004-352837号公報等に開示のものを使用できる。アクリル系多層構造ゴム粒子は好ましくは、炭素数6~12のアクリル酸アルキルエステル単位を含む架橋重合体層を含むことができる。
多層構造ゴム粒子(RP)の層数は特に制限されず、2層でも3層以上でもよい。好ましくは、多層構造ゴム粒子(RP)は、最内層(RP-a)と1層以上の中間層(RP-b)と最外層(RP-c)とを含む3層以上のコアシェル多層構造粒子である。
樹脂組成物(M)は好ましくは、互いに非相溶な第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含む。この場合、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層は、一方の透明熱可塑性樹脂からなる相(海部)内に、他方の透明熱可塑性樹脂からなる粒子状の相(島部)が複数分散した、いわゆる海島構造の相分離構造を有することが多い。
例えば、第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂(PC)を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂(PM)を含み、ポリカーボネート系樹脂(PC)の量が過半である場合、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層は、ポリカーボネート系樹脂(PC)を含む相(海相)内に、メタクリル系樹脂(PM)を含む粒子状の相(島相)が複数分散した、いわゆる海島構造の相分離構造を有することが多い。
公知の相溶化剤としては例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、及びこれらの水素添加物等のスチレン系熱可塑性エラストマーに代表される共役ジエン系重合体;アクリル系熱可塑性エラストマー;エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体が挙げられる。その他、特開平8-48869号公報及び特開平9-124926号公報に記載の相溶化剤が挙げられる。
例えば、ポリカーボネート系樹脂(PC)とメタクリル系樹脂(PM)との組合せは非相溶系である一方、メタクリル系樹脂(PM)とAS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)との組合せは相溶系、ポリカーボネート系樹脂(PC)とAS樹脂との組合せは相溶系である。そのため、ポリカーボネート系樹脂(PC)とメタクリル系樹脂(PM)との組合せに対して、AS樹脂は相溶化剤(C)として作用することができる。
樹脂組成物(M)は必要に応じて、上記以外の各種添加剤を含むことができる。添加剤としては特に制限されず、着色剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、光拡散剤、艶消し剤、ブロック共重合体等の耐衝撃性改質剤、及び蛍光体等が挙げられる。樹脂組成物(M)中のこれら添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定できる。例えば、酸化防止剤の含有量は0.01~1質量部、紫外線吸収剤の含有量は0.01~3質量部、光安定剤の含有量は0.01~3質量部、滑剤の含有量は0.01~3質量部が好ましい。
樹脂組成物(M)に各種添加剤を添加させる場合、添加タイミングは特に制限されず、第1の透明熱可塑性樹脂(A)の製造時、第2の透明熱可塑性樹脂(B)の製造時、第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の混合時のいずれのタイミングでもよい。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤のJIS K7111に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度(測定条件:ノッチあり)は特に制限されず、釘打ち時の樹脂割れを効果的に抑制する観点から、好ましくは3.5kJ/m2以上、より好ましくは3.7kJ/m2以上、さらに好ましくは3.9kJ/m2以上、特に好ましくは4.0kJ/m2以上、最も好ましくは4.5kJ/m2以上である。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤のJIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率は特に制限されず、打ち釘の保持力を良好とする観点から、好ましくは1800~2500MPa、より好ましくは1900~2400MPa、特に好ましくは2000~2300MPaである。
シャルピー衝撃強度及び曲げ弾性率は、熱可塑性樹脂組成物層中のポリカーボネート系樹脂(PC)及び/又は多層構造ゴム粒子(RP)の含有量等によって調整することができる。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤を構成する樹脂シートは、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートであってもよい。他の樹脂層は、樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層とは組成及び/又は物性が異なればよい。他の樹脂層の構成樹脂としては特に制限されず、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらの組合せ等が挙げられる。
樹脂組成物(M)からなる熱可塑性樹脂組成物層を含む単層構造又は積層構造の樹脂シートは、押出成形法、キャスト成形法、及び射出成形法等の公知の成形方法を用いて成形することができる。樹脂組成物(M)中の第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の均一分散性等の観点から、押出成形法が好ましい。積層シートの場合は、共押出成形法が好ましい。
第1の透明熱可塑性樹脂(A)、第2の透明熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて相溶化剤(C)、及び必要に応じて他の添加剤を押出機に投入し、溶融混練し、得られた溶融状態の樹脂組成物(M)をTダイからシート状の形態で押出し、複数の冷却ロールを用いて加圧及び冷却し、引取りロールによって引き取ることで、単層構造の樹脂シートを成形することができる。
積層構造の場合は、溶融状態の各層の樹脂原料をTダイ流入前に積層するフィードブロック方式又はTダイ内部で積層するマルチマニホールド方式にて積層した後、Tダイから積層シート状の形態で押出し、複数の冷却ロールを用いて加圧及び冷却し、引取りロールによって引き取ることで、成形することができる。
「バージン材」とは、過去に成形加工に供されたことが一度もない成形材料である。
「リワーク材」とは、過去に、シート、フィルム、又は他の任意の形状の成形品として1回以上成形加工されたことのある成形材料である。リワーク材として利用される成形品としては、押出成形においてシート幅方向の両端部のトリミング処理によって生成された端材、押出成形において生産条件の調整時等に発生する板厚等の物性が規格外である規格外品、弾球遊技用樹脂基盤の切削加工によって生じる端材、押出成形以外の方法で成形された規格外成形品(射出成形品等)等が挙げられる。製品として出荷されない端材及び規格外品等を用いて得られたリワーク材を用いることで、資源を有効利用でき、好ましい。
透明樹脂シートの場合、上記異物は欠点として視認されるため、外観品質上好ましくなく、製品として不適切である。押出機の先端にスクリーンメッシュ等のフィルターを設置することで、上記異物をろ過により取り除くことができる。しかしながら、長時間生産後にフィルターが目詰まりすれば、押出機を停止して、フィルターを新品に交換する必要があり、生産性が低下する。
本発明の不透明な弾球遊技用樹脂基盤は全体的に白っぽく見えるため、内部に異物が存在していても、遊技者からは異物が欠点として視認されにくく、外観品質上不良品とならない。本発明では、弾球遊技用樹脂基盤の内部に異物が存在していても外観品質上問題とならないため、原料の少なくとも一部に、異物を生成しやすいリワーク材を用いることができ、フィルターを用いて異物を除去する必要もない。リワーク材の使用は、シートの不透明化、原料コスト低減、及び地球環境保護の観点から、好ましい。また、異物を除去するフィルターの不使用は、生産性の観点から、好ましい。
バージン材とリワーク材とを併用する場合、リワーク材は、第1の透明熱可塑性樹脂(A)単独材料又は第2の透明熱可塑性樹脂(B)単独材料でもよいし、第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)を含む混合材料でもよいし、第1の透明熱可塑性樹脂(A)及び第2の透明熱可塑性樹脂(B)以外の1種以上の任意の材料(例えば、相溶化剤(C))でもよい。
本発明の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤は、第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物層を含む上記の本発明の不透明な弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、接着剤層を介して、印刷加工を施された透明フィルムが積層されたものである。
本実施形態の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1は、屈折率差が0.01以上である第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含有し、全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上である熱可塑性樹脂組成物層を含み、厚みが8~22mmである本発明の弾球遊技用樹脂基盤10と、その一方の面に積層された印刷フィルム20とを含む。印刷フィルム20は、弾球遊技用樹脂基盤10の一方の面(遊技者側の面)に接着剤層30を介して積層されている。
遊技者は、図示上方から矢印Aの方向に印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1を視認する。本実施形態では、弾球遊技用樹脂基盤10が全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上の不透明な基盤であるので、弾球遊技用樹脂基盤10の表面に印刷フィルム20を直接貼り合わせても、印刷フィルム20の演色性が優れ、好ましい。
印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1は、上記以外の構成要素を有していてもよい。例えば、演出効果向上のために、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1の裏面側(図示下側)に、液晶表示パネル等の表示パネル及びLED(発光ダイオード)等の照明装置等を取り付けてもよい。
印刷フィルムの基材フィルムである透明フィルムとしては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系樹脂フィルム;メタクリル系樹脂フィルム;メタクリル系樹脂とアクリル系ゴム粒子とを含む耐衝撃メタクリル系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニル樹脂フィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム;セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)フィルム;セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)フィルム等が挙げられる。中でも、印刷性、弾球遊技用樹脂基盤との貼り合わせやすさ、孔開け加工性、切削加工性、環境試験における弾球遊技用樹脂基盤の反り抑制、及び環境試験における印刷フィルムの剥離の抑制等の観点から、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系ゴム粒子を含む耐衝撃メタクリル系樹脂フィルム、及びポリ塩化ビニル系樹脂フィルム等が好ましい。
印刷加工は、公知方法にて行うことができる。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤において、第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂(PC)を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂(PM)を含むことが好ましい。かかる態様によれば、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好で、印刷フィルムを直接積層した場合にも印刷フィルムの演色性が良好な弾球遊技用樹脂基盤を提供することができる。
[評価項目及び評価方法]
評価項目及び評価方法は、以下の通りである。
(重量平均分子量(Mw))
樹脂のMwは、下記の手順でGPC法により求めた。GPC装置として、示差屈折率検出器(RI検出器)を備えた東ソー株式会社製のHLC-8320(品番)を使用した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムとして東ソー株式会社製の「TSKgel SuperMultipore HZM-M」の2本と「SuperHZ4000」とを直列に繋いだものを用いた。樹脂4mgをテトラヒドロフラン(THF)5mlに溶解させて試料溶液を調製した。カラムオーブンの温度を40℃に設定し、溶離液流量0.35ml/分の条件で、試料溶液20μlを注入して、クロマトグラムを測定した。分子量が400~5,000,000の範囲内にある標準ポリスチレン10点についてGPC測定を行い、保持時間と分子量との関係を示す検量線を作成した。この検量線に基づいてMwを決定した。
多層構造ゴム粒子を含む弾球遊技用樹脂基盤を約80℃で一昼夜(12時間以上)乾燥した後、約0.7gの小片を切り出し、精秤した(W1)。その後、80mLのアセトンで小片を溶解させ、室温で約1日間静置した。得られた懸濁液を遠沈管内に入れ、久保田製作所製の遠心分離機(テーブルトップ、多本架遠心機、7780II)を用い、15000rpmで5分間の遠心分離を行った。上澄み液をデカンテーションにより除いた後、新たにアセトン80mLを加え、室温で1時間静置した。さらに、上記と同一方法と条件で遠心分離とデカンテーションを3回繰り返した。以上の操作後に得られた沈殿物をビーカーに移し、80℃のホットプレートを用いて加熱することで、アセトンを除去した。得られた樹脂の質量を精秤した(W2)。次式により、多層構造ゴム粒子の含有量(質量%)を算出した。
多層構造ゴム粒子の含有量(質量%)={W2/W1}×100
各例で作製した弾球遊技用樹脂基盤と同じ組成の試験片(3cm×3cm、厚さ3mm)をプレス成形にて作製した。得られた試験片について、カルニュー光学工業株式会社「KPR-200」を用い、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、測定波長587.6nm(D線)の条件で、屈折率(n23D)を測定した。
弾球遊技用樹脂基盤から50×50mmの試験片を切り出し、村上色彩技術研究所製「HM-150」を用いて全光線透過率及びヘイズを測定した。
ダイヤモンドソーを用いて弾球遊技用樹脂基盤を切削し、80mm×10mm×4mm(片側Vノッチ付き)の試験片を作製し、JIS-K7111に準拠して、温度23℃相対湿度47%の条件で衝撃強度を測定した。測定を10回行い、平均値をシャルピー衝撃強度とした。
ダイヤモンドソーを用いて弾球遊技用樹脂基盤を切削し、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。JIS-K7171に準拠し、島津製作所製「オートグラフAG-10TBR」を用いて、温度23℃、相対湿度47%の条件で曲げ弾性率を測定した。測定を5回行い、平均値を曲げ弾性率とした。
弾球遊技用樹脂基盤に対して、ボール盤を用い、1.73mmφ径のドリルで、1個の貫通孔を形成した。次に、(株)島津製作所社製「オートグラフAG-2000B」を用い、上記貫通孔の内部に、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)を基盤厚の深さ分だけ打ち込んだ。同操作を20回繰り返し、目視にて、打ち釘の周辺の樹脂割れの有無を下記基準にて評価した。
<判定基準>
A(良):すべての釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生しなかった。
B(可):1~2箇所の釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生した。
C(不可):3箇所以上の釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生した。
弾球遊技用樹脂基盤に対して、ボール盤を用い、1.73mmφ径のドリルで、間隔を空けて10個の貫通孔を形成した。次に、(株)島津製作所社製「オートグラフAG-2000B」を用い、各貫通孔の内部に、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)を基盤厚の深さ分だけ打ち込んだ。次に、熱風オーブンを用い、上記基盤を吊り下げ状態で1時間45℃で加熱した後、熱風オーブンから基盤を取り出し、室温下で充分に自然冷却した。
次に、(株)島津製作所社製オートグラフ「AG-2000B」を用い、基盤に打ち込まれた10本の釘についてそれぞれ、釘頭をチャックで把持し、毎分25mmの速度で引き抜いた時の最大荷重(kg)を測定した。最大荷重の平均値を釘抜き強度として求めた。なお、釘打ち部の周辺に樹脂割れの生じているものは測定対象外とした。下記基準にて評価した。
<判定基準>
A(良):釘抜き強度が50kgf以上。
B(可):釘抜き強度が20kgf以上50kgf未満。
C(不可):釘抜き強度が20kgf未満。
NCルータ(庄田鉄工株式会社製、ベーシックNCルータマシン「NC5001」)に超硬ルータビット(庄田鉄工株式会社製、直径:3mm、刃の角度:逃げ角17度、すくい角:25度、歯数:1、材質:超硬鋼材)を使用し、回転速度17000rpm、切削速度1.5m/分、切削長さ28mmの切削加工条件で、切削粉片吸引方式にて冷却しながら樹脂シートの孔開け切削加工を行い、加工面の表面粗さ(算術平均粗さRa(μm))を評価した。
算術平均粗さRa(μm)は、JIS B 0601(2001)に準拠して測定した。算術平均粗さRaは、株式会社小坂研究所製サーフコーダ「SE700」を使用し、測定倍率2000、測定速度0.5mm/秒、評価長さ4mm、カットオフ値0.8mmの条件にて測定した。下記基準にて評価した。
<光沢の判定基準>
A(良):切削加工面の全面が光沢を有する。
B(可):切削加工面の一部に光沢を有さない箇所がある。
C(不可):切削加工面の全面が光沢を有さない。
<欠けの判定基準>
A(良):切削加工面の全面に欠けがない。
B(可):切削加工面の一部に欠けが存在する。
C(不可):切削加工面の全面に欠けが存在する。
<融着の判定基準>
A(良):切削加工面の全面に融着がない。
B(可):切削加工面の一部に融着が存在する。
C(不可):切削加工面の全面に融着が存在する。
透明フィルムとして75μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レフィルム加工(株)製、「ルミラー タイプT-60」)を用意した。このPETフィルムの一方の面に、オフセット印刷にて、赤色、黄色、橙色、緑色、水色、青色、紫色、白色、及び黒色をそれぞれ任意の形状で印刷し、印刷層を形成した。この印刷層上にアクリル酸エステル共重合体を含む市販のアクリル系接着剤を35μm厚で塗布して、接着剤層を形成した。
各例において、評価用に2つの弾球遊技用樹脂基盤を用意した。
第1の弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、上記のようにして得られた接着剤層付き印刷フィルムを直接貼り付けて、第1の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(X)を得た。
第2の弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、白原着樹脂フィルム(染料を用いて全体が均一に白色に着色されたPETフィルム、75μm厚)を接着剤層(アクリル酸エステル共重合体を含む市販のアクリル系接着剤、35μm厚)を介して貼り合わせた。さらに、この白原着樹脂フィルム上に、上記のようにして得られた接着剤層付き印刷フィルムを貼り付けて、第2の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(Y)を得た。
<判定基準>
A(良):第1の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(X)と第2の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(Y)との色調の違いが目視では確認できない。印刷フィルムを直接積層した場合の印刷フィルムの演色性が良い。
B(可):第1の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(X)と第2の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(Y)との色調の違いが目視でやや確認できる。印刷フィルムを直接積層した場合の印刷フィルムの演色性がやや劣る。
C(不可):第1の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(X)と第2の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤(Y)との色調の違いが目視で明確に確認できる。印刷フィルムを直接積層した場合の印刷フィルムの演色性が悪い。
用いた材料は、以下の通りである。
<ポリカーボネート系樹脂>
(PC1)
住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「SDポリカ(登録商標)」(温度300℃、1.2kg荷重下でのMFR=6.7g/10分。
<メタクリル系樹脂(PM)>
(PM1)メタクリル酸メチル(MMA)単位とアクリル酸メチル(MA)単位とからなるメタクリル系共重合体(MMA:MA(質量比)=94:6、Mw=120,000)。
(RP1)
以下の組成の共重合体からなる最内層(RP-a1)、中間層(RP-b1)、及び最外層(RP-c1)を順次形成して、3層構造のアクリル系多層構造ゴム粒子(RP1)を製造した。動的光散乱測定による粒子径は0.23μmであった。
最内層(RP-a1):メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル(MA)単位/架橋性単量体であるメタクリル酸アリル単位(質量比)=32.91/2.09/0.07、
中間層(RP-b1):アクリル酸ブチル単位/スチレン単位/架橋性単量体であるメタクリル酸アリル単位(質量比)=37.00/8.00/0.90、
最外層(RP-c1):メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル(MA)単位(質量比)=18.80/1.20。
(D1)メタクリル系共重合体粒子、メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル単位(質量比)=90/10、動的光散乱測定による粒子径:0.11μm。
多層構造ゴム粒子(RP1)を含むラテックスと分散用粒子(D1)を含むラテックスとを固形分質量比67対33の割合で混合した。得られた混合ラテックスを-30℃で4時間かけて凍結させた。凍結したラテックスの2倍量の90℃温水に凍結ラテックスを投入し、溶解してスラリーとした後、20分間90℃に保持して脱水し、80℃で乾燥して多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)を得た。
(HI)
メタクリル系樹脂(PM1)と多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)とを質量比58対42の割合でドライブレンドし、単軸押出機を用いて溶融混練し、メタクリル系樹脂(HI)を得た。
(AS1)日本エイアンドエル株式会社製「ライタックA 100PCF」。
(C1)日油株式会社製「モディパーA4300」(主鎖がエチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体、側鎖がアクリル酸ブチル-メタクリル酸メチル共重合体であるグラフト共重合体)。
(C2)日油株式会社製「モディパーCL-430G」(主鎖がポリカーボネート系樹脂、側鎖がメタクリル酸グリシジル-スチレン-アクリロニトリル共重合体であるグラフト共重合体)。
第1の透明熱可塑性樹脂(A)としてのポリカーボネート系樹脂(PC1)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)としてのメタクリル系樹脂(PM1)とを質量比90対10の割合でドライブレンドした。なお、すべての原料樹脂についてバージン材を用いた。押出機として150mmφ単軸押出機(東芝機械株式会社製)を用いて、上記ドライブレンド材料の溶融混練を行い、溶融状態の樹脂をTダイから押出した。押出された溶融樹脂を複数の金属製冷却ロールを用いて加圧及び冷却することにより、ポリカーボネート系樹脂(PC1)とメタクリル系樹脂(PM1)とを含む単層構造の樹脂シートからなる弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。以降の例において、表1に記載のない条件は共通条件とした。
第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の種類と配合比を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
表1に示す組成となるように、第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)と相溶化剤(C)とをドライブレンドした。得られたドライブレンド材料を用いて、実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
実施例7では、実施例5と同じ組成の条件で、実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。ただし、実施例7では、ポリカーボネート系樹脂(PC1)の全量及びメタクリル系樹脂(PM1)の全量については、リワーク材を用いた。ポリカーボネート系樹脂(PC1)のリワーク材としては、ポリカーボネート系樹脂(PC1)単独を押出成形して得られた樹脂シートを粉砕して得られた、長さが1~15mm程度のフレーク状不定形物を用いた。メタクリル系樹脂(PM1)のリワーク材としては、メタクリル系樹脂(PM1)単独を押出成形して得られた樹脂シートを粉砕して得られた、長さが1~15mm程度のフレーク状不定形物を用いた。相溶化剤(C1)については、全量、バージン材を用いた。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
表1に示す第1の透明熱可塑性樹脂(A)のみを用いた以外は実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
[比較例2]
表1に示す第2の透明熱可塑性樹脂(B)のみを用いた以外は実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
[比較例3]
第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の種類と配合比を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。主な製造条件と評価結果をそれぞれ、表1、表2に示す。
実施例1~6では、第1の透明熱可塑性樹脂(A)としてのポリカーボネート系樹脂(PC1)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)としてのメタクリル系樹脂(PM1)とを含有し、第1の透明熱可塑性樹脂(A)の屈折率(nA)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の屈折率(nB)との差の絶対値が0.01以上である熱可塑性樹脂組成物層からなり、厚みが8~22mmの範囲内である単層構造の弾球遊技用樹脂基盤を製造した。
これら実施例ではいずれも、シャルピー衝撃強度が3.5kJ/m2以上、曲げ弾性率が1800~2500MPaであり、耐衝撃性が良好で、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。これら実施例ではいずれも、全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上であり、印刷フィルムを直接積層した場合にも印刷フィルムの演色性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。
比較例2では、メタクリル系樹脂(PM1)を単独で用いたため、得られた弾球遊技用樹脂基盤は全光線透過率が高く、透明であり、印刷フィルムを直接積層した場合の印刷フィルムの演色性が不良であった。さらに、得られた弾球遊技用樹脂基盤は、耐衝撃性が不良であり、釘打ち時に樹脂割れが発生し、切削加工時に欠けが発生した。
弾球遊技用樹脂基盤用として広く使用されている板厚19mmのベニヤ合板(ラワン材)を用意し、釘の保持力を測定した。孔開け加工をせずに、ベニヤ合板に直接釘を打ち付けた以外は実施例1~7と同様の方法で評価を実施した。結果はC評価(18kgf)であり、いずれの実施例よりも劣る結果であった。
10 弾球遊技用樹脂基盤
20 印刷フィルム
21 透明フィルム
22 印刷層
30 接着剤層
Claims (11)
- 屈折率の異なる第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物層を含む弾球遊技用樹脂基盤であって、
厚みが8~22mmであり、
第1の透明熱可塑性樹脂(A)の屈折率(nA)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)の屈折率(nB)との差の絶対値が0.01以上であり、
前記熱可塑性樹脂組成物層中の第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)との質量比が98:2~2:98であり、
前記熱可塑性樹脂組成物層は、全光線透過率が80%以下かつヘイズが10%以上である、弾球遊技用樹脂基盤。 - JIS K7111に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が3.5kJ/m2以上である、請求項1に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- JIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率が1800~2500MPaである、請求項1又は2に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記熱可塑性樹脂組成物層はさらに、第1の透明熱可塑性樹脂(A)と第2の透明熱可塑性樹脂(B)との合計100質量部に対して、0.1~30質量部の相溶化剤(C)を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 第1の透明熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂を含み、第2の透明熱可塑性樹脂(B)がメタクリル系樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記熱可塑性樹脂組成物層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記熱可塑性樹脂組成物層の全原料のうち5~100質量%が、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材である、請求項1~6のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記熱可塑性樹脂組成物層の全原料のうち5~100質量%に、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材を用いて、前記熱可塑性樹脂組成物層を含む樹脂シートを押出成形する工程を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤の製造方法。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に印刷加工が施された印刷フィルムが積層された、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記印刷フィルム側から当該印刷フィルムを貫通して前記弾球遊技用樹脂基盤の内部又は裏面に到達する釘打ち用の孔が形成された、請求項9に記載の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記釘打ち用の孔の内部に釘が打ち込まれた、請求項10に記載の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
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