JP7230997B2 - パルス電源用コンデンサモジュール - Google Patents
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Description
本発明は、パルス電源回路に用いられるコンデンサモジュールに関する。
高速・高電圧出力のパルス幅変調式パルス電源としては、PFL(Pulse Forming Line;パルス形成線路)やPFN(Pulse Forming Network;パルス成形回路)、ブルームライン(Blumlein)を使った回路方式も考えられるが、特に立ち上り/立ち下がり時間が数十nsecと短く、数百nsecまでの短パルス幅出力が求められ、かつ容易にパルス幅変調できるものとして、スイッチ等でダイレクトに負荷に電力を供給する方式が有効である。
その方式の回路構成例を図5に示す。図5は、高速・高電圧発生パルス電源回路の例を示し、Cは直流電源10に並列に接続されたコンデンサである。コンデンサCの正極と負極間には、スイッチSW1、抵抗R1、R2、スイッチSW2が順次直列に接続されている。抵抗R1およびR2の共通接続点とコンデンサCの負極の間には負荷20が接続されている。図中のLは直流電源10と負荷20の間の漂遊インダクタンスを表している。
外部から直流電源10等で電力供給し、直流電源10の応答性により電圧低下が考えられる場合は、コンデンサCを挿入する。抵抗R1,R2は漂遊インダクタンスLや負荷20によって発生するリンギング防止用に挿入されている。
リンギングの影響が無視できるような場合や、リンギングにより過電圧が発生しても素子が破損しないような場合等は、抵抗R1,R2は挿入しなくても良い。負荷20が抵抗負荷の場合、抵抗R2、スイッチSW2は不要となるが、容量性負荷等、負荷側にエネルギーが残存し、電圧を立ち下げたい場合は抵抗R2、スイッチSW2が必要となる。
図5におけるスイッチSW1,SW2のタイミングチャートを図6に示す。負荷20にエネルギーを供給し、負荷側の電圧(Vload)を立ち上げたい時はスイッチSW1をON、スイッチSW2をOFFする(図示(2))。その後、負荷側の電圧を立ち下げたい場合はスイッチSW1をOFF、スイッチSW2をONする(図示(1))。
主にプラズマ発生用途で使用する場合、負荷20に印加される電圧は高電圧(数kV~数十kV)となる。図5のコンデンサCへの印加電圧も負荷側電圧Vloadとほぼ同じ電圧となるため、コンデンサCは耐圧の高いコンデンサが必要となり、構造も耐圧を考慮した設計が必要となる。
また、直流電源10の応答性により電圧低下が考えられる場合は数百nF~数μFの容量が必要となるため、並列接続して必要な容量を得る。図5の回路に用いられるコンデンサモジュールの構造例を図7に示す。高耐圧コンデンサとしては、セラミックコンデンサやフィルムコンデンサ等があり、リード線タイプのコンデンサを選定した場合は、インダクタンス低減のため各コンデンサを基板に半田で接続する。
図7はリード線タイプの円筒型の複数のコンデンサを用いてコンデンサモジュールを構成した例を表し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図を各々示している。
101Pは内部に回路パターン(回路配線)が形成された正極側プリント基板であり、101Nは内部に回路パターン(回路配線)が形成された負極側プリント基板である。
正極側プリント基板101Pと負極側プリント基板101Nの間には、円筒型のコンデンサC1~C5が各々所定間隔を隔てて配設されている。
正極側プリント基板101PとコンデンサC1~C5の軸方向一端面は密着され、その端面から突出された正極側リード線T1P~T5Pは正極側プリント基板101P内部の回路パターンに各々半田付け接続されている。
負極側プリント基板101NとコンデンサC1~C5の軸方向他端面は密着され、その端面から突出された負極側リード線T1N~T5Nは負極側プリント基板101N内部の回路パターンに各々半田付け接続されている。
110P、110Nはコンデンサモジュールの端子台であり、正極側、負極側プリント基板101P、101Nの各回路パターンに各々電気的に接続されている。
図5の回路において、コンデンサモジュール(C)から直流電源10とスイッチ(SW1,SW2)への配線が必要となる。コンデンサモジュール(C)からスイッチ(SW1,SW2)への配線は、インダクタンスにより出力パルス電圧の立ち上がり、立ち下がり時間に影響を与えるため、図5の回路の配線を示す図8のように、ツイストペア線120にする必要がある。ツイストペア線120を端子台に接続することを考慮し、図7のようにコンデンサモジュールの各端子台110P,110Nは、それぞれ対向して配置されている。
従来のコンデンサモジュールの一例は特許文献1に記載され、また、コンデンサをプリント基板のプリントパターンに半田付けする回路基板接続構造は、例えば特許文献2に記載されている。
図5のような高速・高電圧発生パルス電源回路に使用されるコンデンサCは、耐圧の高いコンデンサが必要となり、構造も耐圧を考慮した設計が必要となる。リード線タイプのコンデンサを選定した場合は、インダクタンス低減のため各コンデンサを基板に半田で接続する。
図7のように正極側プリント基板101P、負極側プリント基板101NとコンデンサC1~C5が密着する構造とした場合、例えばコンデンサC5において、正極側リード線T5Pは基板表面側の図示(1)の部分で半田付け固定されるが、基板裏面側の図示(2)の部分では、正極側プリント基板101PとコンデンサC5の正極側の端面が密着しているため半田上がり不足が生じ、不具合の原因となる。
さらに、リプル電流の増大により、コンデンサの発熱が大きい場合、コンデンサと基板の密着面では放熱性が悪くなる。
これらの問題はすべてのコンデンサC1~C5の各リード線T1P~T5P、T1N~T5Nにも同様に発生する。
また、組み立て時等で図7(a)の太い矢印の方向で応力がかかると、コンデンサのリード線(T1P~T5P、T1N~T5N)が切断しやすくなる。
また、設置される端子台(110P、110N)が2箇所のみであるため、直流電源(例えば図8の直流電源10)とスイッチ(例えば図8のスイッチSW1,SW2)からの配線が集中し、配線が煩雑になる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、半田上がり不足による不具合を解消し、放熱性を改善させたパルス電源用コンデンサモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、パルス電源回路に用いられるコンデンサモジュールであって、
円筒型のコンデンサ本体の、軸方向一端面から突出した正極側リード線および軸方向他端面から突出した負極側リード線を有した複数のコンデンサと、
前記各コンデンサの軸方向一端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの正極側リード線が半田付けされる正極側プリント基板と、
前記各コンデンサの軸方向他端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの負極側リード線が半田付けされる負極側プリント基板と、
前記各コンデンサの、軸方向一端面と正極側プリント基板の間、および軸方向他端面と負極側プリント基板の間に各々配設されたスペーサと、
前記正極側プリント基板と負極側プリント基板の間を固定する複数の固定機構と、を備え、
前記正極側プリント基板および負極側プリント基板を2分割した領域のうち、一方の領域に設けるコンデンサの個数を2n+1(nは1以上の整数)、固定機構の個数を2nとし、他方の領域に設けるコンデンサの個数を2n、固定機構の個数を2n+1とし、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設して1組のコンデンサモジュールを構成したことを特徴とする。
円筒型のコンデンサ本体の、軸方向一端面から突出した正極側リード線および軸方向他端面から突出した負極側リード線を有した複数のコンデンサと、
前記各コンデンサの軸方向一端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの正極側リード線が半田付けされる正極側プリント基板と、
前記各コンデンサの軸方向他端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの負極側リード線が半田付けされる負極側プリント基板と、
前記各コンデンサの、軸方向一端面と正極側プリント基板の間、および軸方向他端面と負極側プリント基板の間に各々配設されたスペーサと、
前記正極側プリント基板と負極側プリント基板の間を固定する複数の固定機構と、を備え、
前記正極側プリント基板および負極側プリント基板を2分割した領域のうち、一方の領域に設けるコンデンサの個数を2n+1(nは1以上の整数)、固定機構の個数を2nとし、他方の領域に設けるコンデンサの個数を2n、固定機構の個数を2n+1とし、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設して1組のコンデンサモジュールを構成したことを特徴とする。
請求項2に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1に記載の1組のコンデンサモジュールの他方の領域が、前記1組のコンデンサモジュールと同一に構成した他の1組のコンデンサモジュールの一方の領域と隣接するように配置し、複数組のコンデンサモジュールを近接配置したことを特徴とする。
請求項3に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1又は2において、
前記固定機構とコンデンサをポッティング材により接着したことを特徴とする。
前記固定機構とコンデンサをポッティング材により接着したことを特徴とする。
請求項4に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1から3のいずれか1項において、
前記正極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の正極母線に接続するための配線が接続される複数の正極側端子台と、
前記負極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の負極母線に接続するための配線が接続される複数の負極側端子台と、
を備えたことを特徴とする。
前記正極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の正極母線に接続するための配線が接続される複数の正極側端子台と、
前記負極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の負極母線に接続するための配線が接続される複数の負極側端子台と、
を備えたことを特徴とする。
請求項5に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1から4のいずれか1項において、
前記各コンデンサの軸方向一端面と正極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向一端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記正極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記正極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成され、
前記各コンデンサの軸方向他端面と負極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向他端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記負極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記負極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成されていることを特徴とする。
前記各コンデンサの軸方向一端面と正極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向一端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記正極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記正極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成され、
前記各コンデンサの軸方向他端面と負極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向他端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記負極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記負極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1から5のいずれか1項において、
前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された絶縁支柱と、前記絶縁支柱の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする。
前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された絶縁支柱と、前記絶縁支柱の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする。
請求項7に記載のパルス電源用コンデンサモジュールは、請求項1から5のいずれか1項において、
前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された抵抗体と、前記抵抗体の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする。
前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された抵抗体と、前記抵抗体の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする。
(1)請求項1~7に記載の発明によれば、スペーサを配設したので、コンデンサの正極側リード線および負極側リード線が半田付けされる部位において、半田上がり不足が発生することが回避され、半田上がり不足による不具合が解消される。
またスペーサにより、コンデンサと正極側プリント基板および負極側プリント基板は各々密着せず間隔が確保されるため、放熱性が良好となる。
また、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設したので、1組のコンデンサモジュールの小型化を図ることができる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、コンデンサモジュールを増やして複数組のコンデンサモジュールを配設する場合、コンデンサモジュール同士が近接した箇所で無駄な空間が生まれないので、複数組のコンデンサモジュール全体を小型化することができる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、ポッティング材による接着を行っているので、コンデンサモジュールに応力がかかった場合でもコンデンサの正極側リード線および負極側リード線への負担を軽減することができる。
(4)請求項4に記載の発明によれば、端子台を合計4個以上設けているので、パルス電源回路と接続するための配線が集中することがなく、煩雑化が避けられる。
(5)請求項5に記載の発明によれば、スペーサの挿入突起部を基板側の孔部に挿入する構造としているので、スペーサの位置がずれて不安定になることはない。
(6)請求項6、7に記載の発明によれば、固定機構は締め付け具を備えているので、コンデンサモジュール全体を強固に固定することができる。
(7)請求項7に記載の発明によれば、固定機構の抵抗体として例えばパルス電源回路を構成する放電用抵抗を用いることにより、部品点数を削減することができ、放電用抵抗を含めた小型化が実現できる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、コンデンサモジュールを増やして複数組のコンデンサモジュールを配設する場合、コンデンサモジュール同士が近接した箇所で無駄な空間が生まれないので、複数組のコンデンサモジュール全体を小型化することができる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、ポッティング材による接着を行っているので、コンデンサモジュールに応力がかかった場合でもコンデンサの正極側リード線および負極側リード線への負担を軽減することができる。
(4)請求項4に記載の発明によれば、端子台を合計4個以上設けているので、パルス電源回路と接続するための配線が集中することがなく、煩雑化が避けられる。
(5)請求項5に記載の発明によれば、スペーサの挿入突起部を基板側の孔部に挿入する構造としているので、スペーサの位置がずれて不安定になることはない。
(6)請求項6、7に記載の発明によれば、固定機構は締め付け具を備えているので、コンデンサモジュール全体を強固に固定することができる。
(7)請求項7に記載の発明によれば、固定機構の抵抗体として例えばパルス電源回路を構成する放電用抵抗を用いることにより、部品点数を削減することができ、放電用抵抗を含めた小型化が実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
本実施例1では、前述した図7(b)の(2)の部分での半田上がり不足とコンデンサの放熱性を改善するため、円筒型コンデンサの軸方向端面と基板の間に樹脂スペーサを設けて空間を確保し、正極側と負極側の基板間には絶縁支柱を設け、コンデンサを上下から押さえつけて固定し、また絶縁支柱とコンデンサをポッティング材で部分的に接着するように構成した。
図1は本実施例1によるコンデンサモジュールの構造を表し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図を示している。
図1において、201Pは内部に回路パターン(回路配線)が形成された矩形状の正極側プリント基板であり、201Nは内部に回路パターン(回路配線)が形成された矩形状の負極側プリント基板である。
正極側プリント基板201Pと負極側プリント基板201Nの間には、後述する複数の樹脂スペーサを介して、円筒型の複数のコンデンサ(本実施例では5個のコンデンサ)C1~C5が配設されている。
コンデンサC1~C5の配列状態は、図1(a)で説明するならば、正極側プリント基板201Pの両短辺の各中央同士を結んだ線を境界線として2分割し、その2分割された一方側の領域には3個のコンデンサC1~C3が配設され、他方側の領域には2個のコンデンサC4、C5が配設されている。そして各コンデンサC1~C5は互いに所定距離隔てて、且つ各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設されている。
コンデンサC1の軸方向一端面と正極側プリント基板201Pの間には3個の樹脂スペーサ(本発明のスペーサ)S11P~S13Pが互いに所定距離隔てて配設され、コンデンサC1の軸方向他端面と負極側プリント基板201Nの間には3個の樹脂スペーサS11N~S13Nが互いに所定距離隔てて配設されている。
前記正極側の樹脂スペーサS11P~S13Pは、図4(a)に示すように、コンデンサC1の軸方向一端面に当接されるコンデンサ当接部221と、該コンデンサ当接部221に連続して所定長さに形成された胴体部222と、該胴体部222の長さ方向端部に形成され、正極側プリント基板201Pに当接される基板当接部223と、該基板当接部223から突設され、正極側プリント基板201Pの当該樹脂スペーサの配設位置に相当する部位を穿設した孔部(図示省略)に挿入される挿入突起部224と、該挿入突起部224の端部から正極側プリント基板201Pの外表面側に突設された先端部225とを備えている。
前記負極側の樹脂スペーサS11N~S13Nは、図4(b)に示すように、コンデンサC1の軸方向他端面に当接されるコンデンサ当接部231と、該コンデンサ当接部231に連続して所定長さに形成された胴体部232と、該胴体部232の長さ方向端部に形成され、負極側プリント基板201Nに当接される基板当接部233と、該基板当接部233から突設され、負極側プリント基板201Nの当該樹脂スペーサの配設位置に相当する部位を穿設した孔部(図示省略)に挿入される挿入突起部234と、該挿入突起部234の端部から負極側プリント基板201Nの外表面側に突設された先端部235とを備えている。
T1Pは円筒型のコンデンサC1の軸方向一端面の中心から突設された正極側リード線であり、その先端は正極側プリント基板201P内部に形成された回路パターンに半田付けされる。
T1Nは円筒型のコンデンサC1の軸方向他端面の中心から突設された負極側リード線であり、その先端は負極側プリント基板201N内部に形成された回路パターンに半田付けされる。
コンデンサC2~C5側の、コンデンサと樹脂スペーサの配設状態も前記コンデンサC1側の配設状態と同様である。
すなわち、コンデンサC2側には3個の正極側の樹脂スペーサS21P~S23Pと3個の負極側の樹脂スペーサS21N~S23Nが前記と同様に配設され、コンデンサC3側には3個の正極側の樹脂スペーサS31P~S33Pと3個の負極側の樹脂スペーサS31N~S33Nが前記と同様に配設され、コンデンサC4側には3個の正極側の樹脂スペーサS41P~S43Pと3個の負極側の樹脂スペーサS41N~S43Nが前記と同様に配設され、コンデンサC5側には3個の正極側の樹脂スペーサS51P~S53Pと3個の負極側の樹脂スペーサS51N~S53Nが前記と同様に配設されている。
前記正極側の樹脂スペーサS21P~S23P、S31P~S33P、S41P~S43P、S51P~S53Pは、前記と同様に図4(a)に示すコンデンサ当接部221、胴体部222、基板当接部223、挿入突起部224、先端部225とを備えている。
前記負極側の樹脂スペーサS21N~S23N、S31N~S33N、S41N~S43N、S51N~S53Nは、前記と同様に図4(b)に示すコンデンサ当接部231、胴体部232、基板当接部233、挿入突起部234、先端部235とを備えている。
コンデンサC2~C5の各軸方向一端面の中心から各々突設された正極側リード線T2P~T5Pは、前記T1Pと同様に正極側プリント基板201P内部に形成された回路パターンに半田付けされる。
コンデンサC2~C5の各軸方向他端面の中心から各々突設された負極側リード線T2N~T5Nは、前記T1Nと同様に負極側プリント基板201N内部に形成された回路パターンに半田付けされる。
正極側プリント基板201Pと負極側プリント基板201Nの間であって、該プリント基板201P、201Nの各長辺に近く、且つ各コンデンサC1~C5から所定距離隔てた部位には、円筒形の絶縁支柱241~245が挿入されている。前記プリント基板201P、201Nの各外表面側の、絶縁支柱241~245の両端部に対向する部位には、締め付け具としての樹脂ネジ(例えばBsセムス;十字穴付ナベ小ねじ)および樹脂ワッシャーが設けられ、これら(本発明の固定機構)によってコンデンサモジュール全体を固定するものである。
すなわち、例えば絶縁支柱243側の場合、絶縁支柱243の両端部の内部には雌ネジとなるネジ孔が穿設され、正極側プリント基板201P、負極側プリント基板201Nの、絶縁支柱243の両端部が各々当接している部位にもネジ挿通用孔(図示省略)が穿設されている。
そして、前記基板のネジ挿通用孔に樹脂ネジ253P,253Nの足部を樹脂ワッシャー263P,263Nを介して挿通し、さらに絶縁支柱243の両端内部に穿設されたネジ孔と樹脂ネジ253P,253Nを螺着せしめることにより、絶縁支柱243と、前記各プリント基板201P,201Nが取り付けられる。
これらネジ孔、ネジ挿通用孔、樹脂ネジ、樹脂ワッシャーの構成は、絶縁支柱241,242,244,245側でも同様に構成されている。
前記絶縁支柱241~245の各両端側で樹脂ネジ251P~255P,251N~255Nを締め付けることにより、各コンデンサC1~C5の軸方向両端面は、樹脂スペーサS11P~S13P,S21P~S23P,S31P~S33P,S41P~S43P,S51P~S53PおよびS11N~S13N,S21N~S23N,S31N~S33N,S41N~S43N,S51N~S53Nを介して、前記プリント基板201P,201Nによって押さえつけられ固定される。
正極側プリント基板201Pおよび負極側プリント基板201Nの互いに対向する面の、コンデンサC1と絶縁支柱243の間の部位には、正極側端子台210P-1、負極側端子台210N-1が互いに対向して取り付けられ、コンデンサC3と絶縁支柱245の間の部位には、正極側端子台210P-2、負極側端子台210N-2が互いに対向して取り付けられている。
前記コンデンサC1~C5と絶縁支柱241~245は、ポッティング材270…によって部分的に接着(樹脂ポッティング)されている。
図1の構成において、正極側プリント基板201P、負極側プリント基板201NとコンデンサC1~C5の軸方向両端面との間は、各樹脂スペーサによって空間が確保されるため、例えば図7(b)の(2)の部分(コンデンサのリード線と基板の半田付け部の、基板裏面側の部位)において半田上がり不足が生じるようなことは減少する。
また、正極側プリント基板201P、負極側プリント基板201NとコンデンサC1~C5の軸方向両端面とは密着しないので、放熱性も良好となる。
また、絶縁支柱241~245と、樹脂ネジ251P~255P,251N~255N、樹脂ワッシャー261P~265P,261N~265Nによって固定機構を構成しているので、コンデンサモジュール全体を強固に固定することができる。
また、コンデンサモジュールに、図7(a)の太い矢印で示す方向に応力がかかると、コンデンサのリード線が切断しやすくなるが、絶縁支柱241~245とコンデンサC1~C5をポッティング材270で部分的に接着することで、応力がかかった場合でも前記リード線への負担を軽減できる。また、端子台(210P-1,210P-2,210N-1,210N-2)を4箇所設けたので、パルス電源回路側の直流電源とスイッチへの配線が煩雑化しない。
また、樹脂スペーサS11P~S13P,S21P~S23P,S31P~S33P,S41P~S43P,S51P~S53PおよびS11N~S13N,S21N~S23N,S31N~S33N,S41N~S43N,S51N~S53Nの挿入突起部224,234(図4(a),(b))を、正極側プリント基板201P、負極側プリント基板201Nに穿設した各孔に挿入するように構成したので、各スペーサの位置がずれて不安定になることはない。
また、正極側プリント基板201P、負極側プリント基板201NとコンデンサC1~C5の軸方向両端面との間の空間の寸法、すなわち図4に示すスペーサのコンデンサ当接部221,231と基板当接部223,233の間の長さや、配設するスペーサの個数は、コンデンサの大きさ、個数や前記プリント基板の大きさ等に応じて任意に決定する。
例えば各スペーサの胴体部222,232の形成を省略しても良く、また先端部225,235を除去した構造としても良い。また、各スペーサの全体形状は図4に記載の形状以外の形状であっても良い。
本実施例2では、固定機構として、図1の絶縁支柱241~245に代えて、図2のように抵抗341~345(抵抗体)および抵抗取り付け部350P,350Nを用い、コンデンサモジュールを構成した。
図2は本実施例2によるコンデンサモジュールの構造を表し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図であり、図1と同一部分は同一符号をもって示している。
各抵抗341~345の各両端には円柱状の抵抗取り付け部350P,350Nが各々固着されている。この抵抗取り付け部350P,350Nの内部には、円柱の軸方向に雌ネジとなるネジ孔が各々穿設されており、図1の場合と同様に樹脂ネジおよび樹脂ワッシャーによってネジ締め付けが行われ、コンデンサモジュール全体を固定するものである。
すなわち、例えば抵抗343、抵抗取り付け部350P,350Nの場合、前記基板のネジ挿通用孔に樹脂ネジ253P,253Nの足部を樹脂ワッシャー263P,263Nを介して挿通し、さらに抵抗取り付け部350P,350N内部に穿設されたネジ孔と樹脂ネジ253P,253Nを螺着せしめることにより、抵抗343、抵抗取り付け部350P,350Nと、前記各プリント基板201P,201Nが取り付けられる。
これらネジ孔、ネジ挿通用孔、樹脂ネジ、樹脂ワッシャーの構成は、抵抗341,342,344,345、抵抗取り付け部350P,350N側でも同様に構成されている。
前記抵抗取り付け部350P,350Nの各両端側で樹脂ネジ251P~255P,251N~255Nを締め付けることにより、各コンデンサC1~C5の軸方向両端面は、樹脂スペーサS11P~S13P,S21P~S23P,S31P~S33P,S41P~S43P,S51P~S53PおよびS11N~S13N,S21N~S23N,S31N~S33N,S41N~S43N,S51N~S53Nを介して、前記プリント基板201P,201Nによって押さえつけられ固定される。
図2の構成においても、前記図1のコンデンサモジュールと同様の作用、効果が得られる。
さらに、図1の構成において放電用抵抗を必要とする場合はその抵抗を外部に用意する必要があり、大型化するが、図2の抵抗341~345に放電用抵抗を用いることにより、放電用抵抗をコンデンサモジュール内に取り込んで一体化することができるため、部品点数が削減され、装置全体の小型化を図ることができる。
本実施例3では、前記正極側プリント基板201Pおよび負極側プリント基板201Nを2分割した領域のうち、一方の領域に設けるコンデンサの個数を2n+1(nは1以上の整数)、固定機構の個数を2nとし、他方の領域に設けるコンデンサの個数を2n、固定機構の個数を2n+1とし、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設して1組のコンデンサモジュールを構成し、容量を増加したい場合、同じ構造・構成のコンデンサモジュールを隣接して配置するように構成した。
図3は本実施例3によるコンデンサモジュールの構造を表し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図であり、図1と同一部分は同一符号をもって示している。
図3(a)の正極側プリント基板201Pの両短辺の各中央同士を結んだ線を境界線として2分割し、その2分割された一方側を領域(1)とし、他方側を領域(2)とする。領域(1)には2n+1(nは1以上の整数)個のコンデンサと2n個の固定機構、図3の例では絶縁支柱とを設け、領域(2)には2n個のコンデンサと2n+1個の固定機構(図3の例では絶縁支柱)とを設け、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設して、1組のコンデンサモジュール500-1を構成している。
尚、図3は前記nが1の場合を示し、領域(1)側のコンデンサは2n+1=3個、絶縁支柱は2n=2個配設され、領域(2)側のコンデンサは2n=2個、絶縁支柱は2n+1=3個配設されている。
容量を増加させたい場合は、1組のコンデンサモジュール500-1と同一に構成したもう1組のコンデンサモジュール500-2の領域(1)側がコンデンサモジュール500-1の領域(2)側と隣接するように配置する。
尚、図3では2組のコンデンサモジュールの配置を示しているが、3組以上のコンデンサモジュールを設ける場合も前記と同様の配置とする。
図3の構成によれば、コンデンサモジュール同士が近接した箇所で無駄な空間が生まれないので、コンデンサモジュール全体で小型化を図ることができる。また、本実施例3においても、実施例1、2と同様の作用、効果が得られる。
10…直流電源
20…負荷
120…ツイストペア線
201P…正極側プリント基板
201N…負極側プリント基板
210P-1,210P-2…正極側端子台
210N-1,210N-2…負極側端子台
221,231…コンデンサ当接部
222,232…胴体部
223,233…基板当接部
224,234…挿入突起部
225,235…先端部
241~245…絶縁支柱
251P~255P,251N~255N…樹脂ネジ
261P~265P,261N~265N…樹脂ワッシャー
270…ポッティング材
341~345…抵抗
350P,350N…抵抗取り付け部
500-1,500-2…コンデンサモジュール
C1~C5…コンデンサ
S11P~S13P,S21P~S23P,S31P~S33P,S41P~S43P,S51P~S53P,S11N~S13N,S21N~S23N,S31N~S33N,S41N~S43N,S51N~S53N…樹脂スペーサ
T1P~T5P…正極側リード線
T1N~T5N…負極側リード線
20…負荷
120…ツイストペア線
201P…正極側プリント基板
201N…負極側プリント基板
210P-1,210P-2…正極側端子台
210N-1,210N-2…負極側端子台
221,231…コンデンサ当接部
222,232…胴体部
223,233…基板当接部
224,234…挿入突起部
225,235…先端部
241~245…絶縁支柱
251P~255P,251N~255N…樹脂ネジ
261P~265P,261N~265N…樹脂ワッシャー
270…ポッティング材
341~345…抵抗
350P,350N…抵抗取り付け部
500-1,500-2…コンデンサモジュール
C1~C5…コンデンサ
S11P~S13P,S21P~S23P,S31P~S33P,S41P~S43P,S51P~S53P,S11N~S13N,S21N~S23N,S31N~S33N,S41N~S43N,S51N~S53N…樹脂スペーサ
T1P~T5P…正極側リード線
T1N~T5N…負極側リード線
Claims (7)
- パルス電源回路に用いられるコンデンサモジュールであって、
円筒型のコンデンサ本体の、軸方向一端面から突出した正極側リード線および軸方向他端面から突出した負極側リード線を有した複数のコンデンサと、
前記各コンデンサの軸方向一端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの正極側リード線が半田付けされる正極側プリント基板と、
前記各コンデンサの軸方向他端面に対向配設され、内部に形成された回路パターンに前記各コンデンサの負極側リード線が半田付けされる負極側プリント基板と、
前記各コンデンサの、軸方向一端面と正極側プリント基板の間、および軸方向他端面と負極側プリント基板の間に各々配設されたスペーサと、
前記正極側プリント基板と負極側プリント基板の間を固定する複数の固定機構と、を備え、
前記正極側プリント基板および負極側プリント基板を2分割した領域のうち、一方の領域に設けるコンデンサの個数を2n+1(nは1以上の整数)、固定機構の個数を2nとし、他方の領域に設けるコンデンサの個数を2n、固定機構の個数を2n+1とし、各コンデンサの円筒中心を各々結ぶ線が三角格子状となるように配設して1組のコンデンサモジュールを構成したことを特徴とするパルス電源用コンデンサモジュール。 - 請求項1に記載の1組のコンデンサモジュールの他方の領域が、前記1組のコンデンサモジュールと同一に構成した他の1組のコンデンサモジュールの一方の領域と隣接するように配置し、複数組のコンデンサモジュールを近接配置したことを特徴とするパルス電源用コンデンサモジュール。
- 前記固定機構とコンデンサをポッティング材により接着したことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルス電源用コンデンサモジュール。
- 前記正極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の正極母線に接続するための配線が接続される複数の正極側端子台と、
前記負極側プリント基板の回路パターンと接続され、コンデンサモジュールからパルス電源回路の負極母線に接続するための配線が接続される複数の負極側端子台と、
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパルス電源用コンデンサモジュール。 - 前記各コンデンサの軸方向一端面と正極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向一端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記正極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記正極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成され、
前記各コンデンサの軸方向他端面と負極側プリント基板の間に配設されたスペーサは、前記コンデンサの軸方向他端面に当接するコンデンサ当接部と、前記コンデンサ当接部から設定した距離隔てて形成され、前記負極側プリント基板に当接する基板当接部と、前記基板当接部から突設され、前記負極側プリント基板を穿設した孔部に挿入される挿入突起部と、を有して構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパルス電源用コンデンサモジュール。 - 前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された絶縁支柱と、前記絶縁支柱の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のパルス電源用コンデンサモジュール。
- 前記複数の固定機構は、前記正極側プリント基板と負極側プリント基板との間に挿入された抵抗体と、前記抵抗体の、正極側プリント基板との当接部位と負極側プリント基板との当接部位を、正極側プリント基板と負極側プリント基板の間の中間方向に各々締め付ける締め付け具とを各々備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のパルス電源用コンデンサモジュール。
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