JP7230363B2 - カット加工用印刷物、貼付け用印刷物、及び印刷物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カット加工用印刷物、貼付け用印刷物、及び印刷物の製造方法に関する。
近年、硬化型組成物として活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが、基材対応性、速乾性、強度などに優れることから、様々な建築材料日用品、自動車用品等への加飾印刷や、垂れ幕、ポスターなどのサイン印刷及びディスプレイ印刷に広く用いられている。
例えば、商業用途や産業用途として、加工を施す基材に対しても、活性エネルギー線硬化型インクを用いて印刷を施す用途が増加している。例えば、加工を施す基材として、マグネットシートを用いた印刷物においては、絵柄に沿ってカット加工を行うことや、持ち運びやパネルとして分けての活用などの運用面でカット加工を行うことがある。そのため、活性エネルギー線硬化型インクによって得られる画像(硬化物)に対しては、カット加工を行ってもひび割れが走ったり欠けたりしないようなカット加工性が求められる。また、画像(硬化物)とシートが擦れても傷が付かないような耐擦過性や、ロール状に巻いても割れたり剥がれたりしない耐屈曲性も求められている。
特に、近年の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいては、インクを積層させて表面凹凸を形成させた加飾を行うことがあり、立体感のある画像が得られる。
耐屈曲性などの加工性と耐擦過性を両立させるために、例えば、単官能の光重合性化合物の割合を多く配合したインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。こちらのインクの印刷物は高温での延伸性にも対応している。また、ガラス転移温度の高い単官能モノマーを用いることで常温での硬度と高温での延伸性を両立するインク組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、カット加工性のようなせん断加工性に優れる硬化性組成物においては延伸性が低いことが多く、打ち抜き加工部には多官能モノマーを多く配合したインクを、延伸加工部には多官能モノマーを少なく配合したインクを、それぞれ打ち抜き加工部と延伸加工部を分けて塗工する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明は、カット加工性、耐屈曲性、及び耐擦過性に優れた立体感のある硬化膜を有する印刷物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段としての本発明の印刷物は、基材と、前記基材上に硬化膜とを有し、前記硬化膜が、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを30質量%以上、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを30質量%以上、及び多官能モノマーを2質量%以上15質量%以下含有する硬化型組成物を硬化させた膜であり、前記硬化膜の厚さが、40μm以上である。
本発明によると、カット加工性、耐屈曲性、及び耐擦過性に優れた立体感のある硬化膜を有する印刷物を提供することができる。
図1は、本発明に用いられる印刷装置の一例を示す概略図である。
(印刷物)
本発明の印刷物は、基材と、前記基材上に硬化膜とを有し、前記硬化膜が、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、及び多官能モノマーを重合性化合物全量に対して2質量%以上15質量%以下含有する硬化型組成物を硬化させた膜であり、前記硬化膜の厚さが、40μm以上であり、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
本発明者らは、カット加工性、耐屈曲性、及び耐擦過性に優れた立体感のある硬化膜を有する印刷物について検討したところ、以下の知見を得た。
例えば、従来の活性エネルギー線硬化型インクによる硬化膜においては、高温での柔軟性と常温での硬度を両立するようなインクにおいては、カット加工性が低下するという問題がある。
また、従来の異なる組成の硬化型組成物を用いて印刷物を製造する方法においては、同じ硬化型組成物でせん断加工性と延伸性の両立することができないという問題がある。
そこで、本発明者らは、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを30質量%以上、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを30質量%以上、及び多官能モノマーを2質量%以上15質量%以下含有する硬化型組成物を用いることにより、膜厚が40μm以上の立体感のある硬化膜であっても、硬化膜の用途に適した強度を得ることができる。そのため、硬化膜を有する印刷物を切断(カット)した際にひび割れや欠けがなく滑らかな切断面を得ることができるカット加工性、印刷物をロール状に巻いても割れたり剥がれにくい耐屈曲性、及び印刷物が重ねて擦れても傷がつきにくい耐擦過性に優れる硬化膜を有する印刷物を得ることができることを見出した。
<基材>
基材としては、構造、材質、大きさ、及び形状については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の厚さは、厚くなるほど印刷物を屈曲した際に、硬化膜にクラック(亀裂及びひび割れ)が生じやすくなる。特に、厚さが、0.2mm以上、さらには0.4mm以上3.0mm以下の基材を有する印刷物においては、印刷面を外側にしてロール状(軸の直径が、5cm以上10cm以下)に巻き取る際に、印刷面が引き延ばされてクラックを生じやすい。基材の厚みが0.2mm未満であると、曲げられたとしても印刷面の引き延ばしが小さく、3.0mmを超えると、曲げる必要性がなくなる。そのため、0.2mm以上の厚さの基材、又は0.4mm以上3.0mm以下の厚さの基材を用いた印刷物はロール状に巻いたロール体の状態で保管されることが多く、耐屈曲性に対する需要が高い。
また、カット加工方法にもよるが、カット加工を前提とした基材であることが好ましい。カット加工を前提とした基材としては、例えば、マグネットシート、マーキングフィルムなどが挙げられる。マグネットシートやマーキングフィルムのような柔軟性の高い基材であると特別なカット加工用装置を用いることなく、ハサミや裁断機などによってカットすることができる。
基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単一の材料からなる単層構造、又は単一の材料を複数重ね合わせる多層構造、及び複数種の材料からなる多層構造などが挙げられる。
基材の材質としては、ハサミや裁断機などによって切断することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エラストマー(塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム等)、ポリ塩化ビニル、金属蒸着フィルムなどが挙げられる。
基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム層及び磁石層を有するマグネットシート、フィルム層及び粘着層を有する粘着シート、などが挙げられる。
粘着シートとしては、例えば、マーキングフィルム、カッティングシートなどが挙げられる。
基材の表面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑形状、凹凸形状などが挙げられる。
<硬化膜>
硬化膜は、硬化型組成物を基材上で硬化させた塗膜である。
<<硬化型組成物>>
硬化型組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、単官能モノマーと多官能モノマーを含む。単官能モノマーとしては、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上と、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上とを含み、多官能モノマーを重合性化合物全量に対して2質量%以上15質量%以下とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
モノマーとしては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)、又は活性エネルギー線によって生成された活性種により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、官能基数に応じて、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。モノマーは、重合性組成物であればよく、重合性オリゴマーや重合性ポリマー(マクロモノマー)を含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
単官能モノマーのガラス転移温度(Tg)は、単官能モノマーのホモポリマーの硬化物のガラス転移温度を指し、ここで、ガラス転移温度(Tg)は、単官能モノマーのメーカーのカタログ値が存在する場合にはその値を採用し、存在しない場合には示差走査熱量測定(DSC)法により、以下のようにして測定した値である。
-ガラス転移温度(Tg)測定法-
重合性モノマーの重合は、一般的な溶液重合法により行うことができる。
A:重合性モノマー10質量%のトルエン溶液
B:重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル5質量%
AとBとを窒素パージして試験管に封入し、60℃の温浴で振とうを6時間行い、ポリマーを合成する。その後、重合性モノマーが可溶でポリマーが不溶な溶媒(例えば、メタノール、石油エーテル等)に再沈殿させ、濾過してポリマーを取り出す。得られたポリマーをDSC測定する。DSC装置としては、Seiko Instruments社製DSC120Uを用い、測定温度は30℃~300℃、昇温速度は1分間に2.5℃で測定できる。
-ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマー-
ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーは、硬化型組成物から形成される硬化膜のガラス転移温度を上昇させることができ、常温での硬度を向上させることができる。そのため、硬化型組成物から形成される硬化膜の耐擦過性を向上させることができる。
ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリロイルモルホリン、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-ビニル-ε-カプロラクタム、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でもアクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレートが好ましい。
ガラス転移温度が90℃以上単官能モノマーの含有量としては、重合性化合物全量に対して30質量%以上であり、30質量%以上68質量%以下が好ましい。
-ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマー-
ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーは、硬化膜を構成するポリマー中に柔軟なセグメントを付与することができるため、硬化型組成物から形成される硬化膜のカット加工性及び耐屈曲性を向上させることができる。
ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレートが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを含むことで、硬化型組成物の硬化物のカット加工性及び耐屈曲性を向上させることができる。
ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーの含有量としては、重合性化合物全量に対して30質量%以上であり、30質量%以上68質量%以下が好ましい。
これらの単官能モノマーの含有量としては、重合性化合物全量に対して85質量%以上98質量%以下が好ましく、88質量%以上95質量%以下がより好ましい。単官能モノマーの含有量が、85質量%以上であると、耐屈曲性を向上することができ、98質量%以下であると、耐擦過性が得られやすく、また、耐擦過性を向上させるためにガラス転移温度の高い(Tgが90℃以上)単官能モノマーを30%以上加えていても、カット加工性を得ることができる。
-多官能モノマー-
多官能モノマーとしては、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、又はそれ以上の官能基数のモノマーなどが挙げられる。
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーの含有量としては、重合性化合物全量に対して、2質量%以上15質量%以下であり、5質量%以上12質量%以下が好ましい。この範囲であれば、耐擦過性やカット加工性を付与することができる。多官能モノマーの含有量が、2質量%未満であると、耐擦過性が低下する。あるいは、高Tgの単官能モノマーを使用した際には耐擦過性が低下しなくても、カット加工性が低下し、カット面が滑らかにならないといった問題が発生する。また、多官能モノマーの含有量が、15質量%を超えると、特に耐屈曲性やカット加工性が低下し、曲げた際にひび割れたり、カットの際に欠けたりする。あるいは、高分子量の多官能モノマーを採用した際には耐屈曲性やカット加工性は低下しにくくても、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
多官能モノマーの官能基数としては、2~6官能などが好ましく、さらには特に2官能モノマーが好ましい。官能基数が小さいほど低粘度であり、表面液体の粘度も低くなるため、インクジェット印刷に適している。
-その他の成分-
その他の成分としては、例えば、重合開始剤、色材、有機溶剤などが挙げられる。
<重合開始剤>
硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5質量%~20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
<色材>
硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における硬化型組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や硬化型組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましい。なお、硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。 分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機溶媒>
硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<その他の成分>
硬化型組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
硬化膜の厚さ(膜厚)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、40μm以上であり、50μm以上1,000μm以下が好ましく、100μm以上500μm以下がより好ましい。硬化膜の厚さ(膜厚)が40μm以上であると、得られる硬化膜に立体感を出すことができる。硬化膜の厚さ(膜厚)が1,000μm以下であると、カット加工におけるひび割れや欠け、曲げによる剥がれなどに対する耐屈曲性に優れた印刷物とすることができる。
硬化膜の膜厚の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非印刷部分との厚みを比較するマイクロゲージ又は触診式段差計、印刷物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定する方法などが挙げられる。
<硬化型組成物の調製>
硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該硬化型組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃から50℃における粘度が3mPa・s~40mPa・sが好ましく、5mPa・s~15mPa・sがより好ましく、6mPa・s~12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
<用途>
本発明の硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型インクが用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
さらに、硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明の硬化型組成物による印刷物は、印刷物を加工してなる加工品も含む。前記加工品は、例えば、シート状に形成された硬化物や構造体に対して、カット加工や、打ち抜き加工、加熱延伸等の加工を施したものであり、例えば、マグネットシートや粘着シート、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に加工することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック、金属、繊維、布帛、皮革、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の硬化型組成物を有する印刷物としては、通常の樹脂シートなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。
(カット加工用印刷物)
本発明のカット加工用印刷物は、本発明の印刷物からなる。
(貼付け用印刷物)
本発明の貼付け用印刷物は、本発明の印刷物及びカット加工用印刷物の少なくともいずれかからなる。
<印刷物の製造方法、印刷装置>
本発明の印刷物の製造方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加温なども挙げられる。
硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の印刷装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には収容容器を収容してもよい。さらに、硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた印刷装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、プラスチック、金属、繊維、布帛、皮革、セラミックス、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明の硬化型組成物による印刷物としては、通常の樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
なお、本発明において、被記録媒体は基材と同義語とする。
<硬化手段>
硬化型組成物を硬化させる手段としては、加熱硬化または活性エネルギー線による硬化が挙げられ、これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、硬化型組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例では、硬化型組成物として活性エネルギー線硬化型インクを使用した例を示す。
(調製例1~20)
-活性エネルギー線硬化型インク1~20の調製-
表1から5に示す組成を混合撹拌し、活性エネルギー線硬化型インク1~20を調製した。
(実施例1)
得られた調製例1の活性エネルギー線硬化型インク1を、基材上にMH5421ヘッド(株式会社リコー製)搭載のインクジェット吐出装置により、印刷速度840mm/秒にて、紫外線照度としてボールドウィン社製クールアーク1.0W/cmにて、単方向印刷(往路のみ)にて8パス印刷を行い、表1に記載の膜厚(0.7μm)になるように印刷を繰り返すことにより印刷物1を得た。
照度(W/cm)は、UV Power Puck(登録商標) II(EIT社製)のUVA領域にて測定した。
基材としては、マグネットシート(株式会社マグエックス製、F.P.マグエックス マグネットカラーシート(ホワイト、磁石層の厚さ:0.5mm~1.0mm、フィルム:PVC白))を用いた。
(実施例2~12及び比較例1~8)
実施例1において、活性エネルギー線硬化型インク1を表1~5に示す活性エネルギー線硬化型インク2~20に変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷物2~20を得た。
次に、実施例1~12及び比較例1~8で得られた印刷物1~20において、以下のようにして、「カット加工性」、「耐屈曲性」、「耐擦過性」、及び「立体感」を測定及び評価した。結果を表1から表5に示す。
(カット加工性)
得られた印刷物1~20に対し、ペーパーカッターPC-A3(ライオン事務器製)によりカット加工を行い、カット加工後の印刷物を目視にて確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
○:硬化膜の切断面が基材の切断面に沿っており、硬化膜の切断面が滑らかである
△:硬化膜の切断面が基材の切断面に沿っているが、硬化膜の切断面と基材の切断面とが不一致な箇所があり、硬化膜の切断面が滑らかでない
×:硬化膜の切断面において基材から外れた欠け、又は硬化膜にひび割れが生じている
(耐屈曲性)
得られた印刷物1~20に対し、JIS K 5600-5-1に従い、円筒形マンドレル法にて、印刷面を曲げの外側として180°屈曲の耐屈曲性試験を行った。試験後の印刷物を目視にて確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
○:マンドレル直径10mmにて、クラックの発生がない
△:マンドレル直径10mmにてクラックがあるが、32mmではクラックの発生がない
×:マンドレル直径32mmにて、クラックの発生がある
(耐擦過性)
得られた印刷物1~20に対し、耐擦過性試験として鉛筆硬度試験を実施した。鉛筆硬度試験は、JIS K5600-5-4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った。装置としては、COTEC株式会社製ひっかき鉛筆硬度 TQC WWテスター(荷重750g専用)を用い、鉛筆は塗面に対して角度45°、荷重750gで印刷物に押すように取り付け、0.5mm/sの速度で試験を行った。試験後の印刷物を目視にて確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
○:HB以上の鉛筆硬度において肉眼で見られる傷が生じていない
△:Bの鉛筆硬度において肉眼で見られる傷が生じている
×:2B以下の鉛筆硬度において肉眼で見られる傷が生じている
(立体感)
得られた印刷物1~20とは別に、調製例1~20の活性エネルギー線硬化型インク1~20を用いて、表1から表5に記載の硬化膜の膜厚となるように印刷する印刷部分と、非印刷部分との凹凸表面を有する印刷物1’~20’を得た。得られた印刷物の表面を手に持って目視にて確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:5m離れた距離から見ても、角度によらず立体感が感じられる
○:角度によらず立体感が感じられる
△:見る角度によっては、立体感を感じることがある
×:立体感が感じられず、平面画像に見える
Figure 0007230363000001
Figure 0007230363000002
Figure 0007230363000003
Figure 0007230363000004
Figure 0007230363000005
なお、表1から表5における成分の商品名及び製造会社名については下記の通りである。
<単官能モノマー>
<<ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマー>>
・フェノキシエチルアクリレート(PEA):大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#192、Tg:2℃
・ベンジルアクリレート(BzA):大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#160、Tg:6℃
・環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA):大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#200、Tg:27℃
<<ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマー>>
・N-ビニルカプロラクタム(NVC):Ashland製、商品名:V-Cap TM、Tg:90℃
・イソボルニルアクリレート(IBXA):大阪有機化学工業株式会社製、商品名:IBXA、Tg:97℃
・アクリロイルモルホリン(ACMO):KJケミカルズ株式会社製、Tg:145℃
<多官能モノマー>
・1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA):大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#260
・ウレタンアクリレート(UA):日本合成化学工業株式会社製、商品名:紫光UV-3010B
<重合開始剤>
・2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン:BASF社製、商品名:Irgacure379
<色材>
・フタロシアニン銅:PB15:4
次に、各活性エネルギー線硬化型インクの調製に使用した単官能モノマーについて、以下のようにして、ガラス転移温度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
単官能モノマーのガラス転移温度(Tg)は、単官能モノマーのホモポリマーの硬化膜のガラス転移温度を指し、ここで、ガラス転移温度(Tg)は、単官能モノマーのメーカーのカタログ値が存在する場合にはその値を採用し、存在しない場合には示差走査熱量測定(DSC)法により、以下のようにして測定した値である。
-ガラス転移温度(Tg)測定法-
重合性モノマーの重合は、一般的な溶液重合法により行った。
A:重合性モノマー10質量%のトルエン溶液
B:重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル5質量%
AとBとを窒素パージして試験管に封入し、60℃の温浴で振とうを6時間行い、ポリマーを合成した。その後、重合性モノマーが可溶で前記ポリマーが不溶な溶媒(例えば、メタノール、石油エーテル等)に再沈殿させ、濾過してポリマーを取り出した。得られたポリマーをDSC測定に供した。DSC装置としては、Seiko Instruments社製DSC120Uを用い、測定温度は30℃~300℃、昇温速度は1分間に2.5℃で測定した。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基材と、前記基材上に硬化膜とを有し、
前記硬化膜が、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、及び多官能モノマーを重合性化合物全量に対して2質量%以上15質量%以下含有する硬化型組成物を硬化させた膜であり、
前記硬化膜の厚さが、40μm以上であることを特徴とする印刷物である。
<2> 前記多官能モノマーが、2官能モノマーである前記<1>に記載の印刷物である。
<3> 前記ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーが、N-ビニル-ε-カプロラクタム、イソボルニルアクリレート、及びアクリロイルモルホリンの少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の印刷物である。
<4> 前記ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーが、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、及び環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の印刷物である。
<5> 前記基材の厚さが、0.2mm以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の印刷物である。
<6> 前記基材が、マグネットシートである前記<1>から<5>のいずれかに記載の印刷物である。
<7> 前記硬化膜の厚さが、50μm以上1,000μm以下である前記<1>から<6>のいずれに記載の印刷物である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物からなることを特徴とするカット加工用印刷物である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物、及び前記<8>に記載のカット加工用印刷物のいずれかからなることを特徴とする貼付け用印刷物である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物、前記<8>に記載のカット加工用印刷物、及び前記<9>に記載の貼付け用印刷物の少なくともいずれかを製造することを特徴とする印刷物の製造方法である。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物、前記<8>に記載のカット加工用印刷物、前記<9>に記載の貼付け用印刷物、及び前記<10>に記載の印刷物の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特許第5265916号公報 特開2007-56232号公報 特開2012-219212号公報

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材上に硬化膜とを有し、
    前記硬化膜が、ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーを重合性化合物全量に対して30質量%以上、及び多官能モノマーを重合性化合物全量に対して2質量%以上15質量%以下含有する硬化型組成物を硬化させた膜であり、
    前記硬化膜の厚さが、40μm以上1,000μm以下である印刷物からなることを特徴とするカット加工用印刷物
  2. 前記多官能モノマーが、2官能モノマーである請求項1に記載のカット加工用印刷物
  3. 前記ガラス転移温度が90℃以上の単官能モノマーが、N-ビニル-ε-カプロラクタム、イソボルニルアクリレート、及びアクリロイルモルホリンの少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のカット加工用印刷物
  4. 前記ガラス転移温度が30℃以下の単官能モノマーが、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、及び環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートの少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のカット加工用印刷物
  5. 前記基材の厚さが、0.2mm以上である請求項1から4のいずれかに記載のカット加工用印刷物
  6. 前記基材が、マグネットシートである請求項1から5のいずれかに記載のカット加工用印刷物
  7. 前記硬化膜の厚さが、50μm以上1,000μm以下である請求項1から6のいずれかに記載のカット加工用印刷物
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のカット加工用印刷物からなることを特徴とする貼付け用印刷物。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載のカット加工用印刷物、及び請求項8に記載の貼付け用印刷物の少なくともいずれかを製造することを特徴とする印刷物の製造方法。
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