JP7227895B2 - 相互作用検出方法、相互作用検出装置及びバイオチップ再生キット - Google Patents

相互作用検出方法、相互作用検出装置及びバイオチップ再生キット Download PDF

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本発明は、相互作用検出方法等に関するものである。
基板の表面に結合性分子(リガンド)となるタンパク質などの生体分子を固定したバイオチップを用いて、前記リガンドとサンプル中に含まれる目的物質(アナライト)との相互作用を検出する方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、表面プラズモン共鳴現象を用いた方法がある。
このような相互作用検出方法において、バイオチップを何度も繰り返し使用し、かつアナライトとの相互作用を精度よく検出するためには、毎回アナライトを供給する前にリガンドに結合しているアナライトを除去して、バイオチップを初期の状態に戻す必要がある。
WO2019/044845A1
そこで、リガンドからアナライトを除去するために、特許文献1に記載されているように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いてリガンドからアナライトを除去したところ、この操作だけでは、バイオチップが初期の状態に戻らない場合があることに本発明者は気が付いた。
このような結果となった理由としては、例えば、リガンドがアナライトとの結合のために金属イオンを必要とする場合には、リガンドとアナライトとが解離するときに金属イオンも解離してしまい、次に供給されたアナライトが結合できないことが考えられる。
このような場合に、バイオチップを初期の状態に戻す方法としては、洗浄工程の後に、リガンドに金属イオンを供給する工程を追加することが考えられる。
しかしながら、金属イオンを供給する工程を追加すると、次の分析を開始するまでの時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、リガンドが金属イオン要求性のものである場合であっても、バイオチップを初期の状態に戻し、かつ次の分析を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる相互作用検出方法を提供することを主な目的とするものである。
すなわち、本発明に係る相互作用検出方法は、アナライトを含む試料をリガンドに接触させて相互作用を検出する検出工程と、前記リガンドを前記試料と接触させる前の状態に戻す再生工程とを含む相互作用検出方法であって、前記リガンドが、アナライトとの結合に金属イオンを必要とするものであり、前記再生工程において、前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに前記金属イオンを供給する溶液を使用することを特徴とするものである。
このような相互作用検出方法によれば、再生工程において、使用する溶液がリガンドからアナライトを除去する機能と、リガンドに金属イオンを供給する機能を両方備えているので、リガンドが金属イオン要求性のものである場合であっても、バイオチップを初期の状態に戻して、かつ次の分析を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
前記溶液が、前記金属イオンの塩を含有するものであり、前記塩の濃度が1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましい。
前記金属イオンが、2価の金属イオンである、例えば、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンを含むものであることが好ましい。
本発明の具体的な実施態様としては、前記リガンドが、レクチン、抗体及び細胞接着因子のうちいずれか1種以上を含むものを挙げることができる。
前記アナライトが、エクソソームを含むものであることが好ましい。
本発明に係る相互作用検出方法の具体的な実施態様としては、表面プラズモン共鳴現象を利用するものを挙げることができる。
基材の表面にリガンドを固定したバイオチップと、前記バイオチップを内部に収容する流路と、前記流路にアナライトを含有する試料溶液を流通させる流通機構と、前記バイオチップ表面でのリガンドとアナライトとの相互作用を検出する検出部4と、を備える相互作用検出装置であって、前記リガンドが、アナライトとの結合に金属イオンを必要とするものであり、前記流通機構が、前記試料溶液を流通させた後に、前記流路に、前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに前記金属イオンを供給する溶液を流通させるものであることを特徴とする相互作用検出装置もまた、本発明の1つの実施態様である。
アナライトであるエクソソームとの結合に金属イオンを必要とするリガンドを基材の表面に固定したバイオチップと、前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに前記金属イオンを供給する溶液とを含むバイオチップ再生キットもまた、本発明の1つの実施態様である。
本発明によれば、リガンドが金属イオン要求性のものである場合であっても、バイオチップを初期の状態に戻し、かつ次の分析を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
本発明の一実施形態に係る相互作用検出装置の全体構成を示す模式図。 本実施形態に係るバイオチップ上での相互作用メカニズムを説明する模式図。 本発明の一実施形態に係る相互作用検出方法の手順を示すフローチャート。 本発明の実施例に係る相互作用検出方法の結果を示すグラフ。 本実施例に係る相互作用検出方法の結果を示す写真。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態に係る相互作用検出装置100は、例えば、図1に示すように、その表面に結合性分子B(リガンドB)を固定したバイオチップ1を用いて、前記リガンドBと目的物質A(アナライトA)との相互作用を、例えば、表面プラズモン共鳴現象を用いて検出するマイクロアレイ型SPRi装置である。
本実施形態では、エクソソームの表面に存在するエクソソーム表面分子をアナライトAとして、リガンドBとエクソソーム表面分子との相互作用を検出するものについて説明する。
エクソソームは、リン脂質二重膜に覆われた直径50~150nm程度の細胞外小胞である。このエクソソームは、エクソソームを分泌する細胞と同じ分子(タンパク質、RNA、脂質等)をエクソソーム表面およびエクソソーム内に保持している。従って、エクソソームが保持する分子を腫瘍マーカーとして検出することができれば、新たな腫瘍の診断方法として確立することができる。
エクソソームを分泌する細胞としては、動物細胞、植物細胞、微生物細胞等特に限られない。動物細胞の中には哺乳動物細胞を含み、哺乳動物細胞としては、以下に制限されるものではないが、例えば、赤血球、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例:マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞、癌細胞もしくは培養細胞などを挙げることができる。
前記相互作用検出装置100は、前記バイオチップ1と、該バイオチップ1を内部に収容する流路2と、前記流路2にアナライトAを含有する試料溶液を流通させる流通機構3と、前記バイオチップ1表面でのリガンドBとアナライトAとの相互作用を検出する検出部4と、該検出部4からの信号に基づいて相互作用の強さを算出する算出部5と、該算出部によって算出された結果を表示する表示部6とを備えるものである。
前記バイオチップ1は、例えば、基材11とその表面に固定されたリガンドBと、前記基材11の前記リガンドBが固定されている面とは反対側の面に取り付けられている図示しないプリズムとを備えるものである。
前記基材11としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコンなどの合成樹脂からなる膜、ガラス、金属薄膜又はニトロセルロース膜など、様々なものを使用することができる。本実施形態では、前記基材11として金属薄膜を使用している。
前記金属薄膜を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウムなどを挙げることができる。
前記基材11の前記リガンドBが固定される側の面には、スクシンイミドで活性化されたカルボキシ基が固相化されていることが好ましい。
前記基材11の大きさや形状は、使用する分析装置によって適宜変更することができるが、本実施形態では、幅がおよそ12mmで長さがおよそ23mmの矩形板状のものを採用している。
前記プリズムとしては、本実施形態では三角形状のものを使用しているが、特に限定されず、台形や円形又は半円柱形のものなどを挙げることができる。前記プリズムの屈折率は、例えば、1.5~1.8のものを使用するのが好ましい。
前記リガンドBは、例えば、生体由来のタンパク質などであり、本実施形態では、前記基材11の表面に固相化されたカルボキシ基に結合させてある。
前記リガンドBの固相化は、前記リガンドBを緩衝液などで適切な濃度に調整したリガンド溶液を前記基材11上にスポットして静置することによって実施することができる。前記リガンド溶液の濃度は、固相化したいリガンドBの量によって適宜変更することができるが、例えば、1mg/ml程度にするのが好ましい。静置時間も適宜変更することができるが、例えば、8時間~16時間程度とするのが好ましい。
前記流路2は、例えば、塩化ビニル等からなる内径がおよそ400μmのチューブ21と、該チューブ21に接続された塩化ビニル等からなるフローセル22とを備えるものである。該フローセル22は、前記バイオチップ1を内部に収容するものであり、バイオチップ1の前記リガンドBが固相化されている側の表面と該フローセルの内壁との間に試料を含む液体が流れるための空隙が形成されるように構成されている。
前記流通機構3は、例えば、試料導入口31と、溶液ボトル32と、ポンプ33とを備えるものである。
前記試料導入口31は、例えば、前記流路2に対して開口するものである。
前記溶液ボトル32は、前記流路2内を流通する様々な溶液を貯留しておくためのものであり、使用する溶液毎に必要な本数用意されている。これら各溶液ボトル32は、前記流路2を構成しているチューブと接続されている。
前記ポンプ33は、例えば、前記流路2上に配置されて、前記流路2に各種溶液を流通させるものである。
前記検出部4は、例えば、前記バイオチップ1表面に対して光を照射する図示しない光源と、バイオチップ1表面へのエクソソームの結合によって誘起されるSPR現象に伴う反射光を検出する図示しないセンサーとを備えるものである。
前記算出部は、前記検出部4によって検出された反射光の変化量を反射率(%)として計算し、出力するものである。
この算出部は、この実施形態では、情報処理回路がその役割を担う。
この情報処理回路は、CPUやメモリ、通信ポートなどから構成されたデジタル回路と、バッファーや増幅器などを具備するアナログ回路と、これらデジタル回路とアナログ回路とを仲立ちするADコンバータ、DAコンバータなどを具備したものである。そして、前記メモリに記憶させた所定のプログラムにしたがってCPUやその周辺機器が協働することにより、この情報処理回路が前記算出部としての機能を発揮する。
前記表示部は、前記算出部によって算出された反射率の変化を色調イメージとして出力するものである。
しかして、本実施形態では、前記リガンドBとして前記アナライトAとの結合に金属イオンCを必要とするものを使用している。前記リガンドBは、例えば、レクチン、抗体及び細胞間接着因子等のうちいずれか1つを含むものである。
前記レクチンとしては、例えば、抗体以外の、細胞または糖タンパク質、糖脂質等の複合糖質を凝集する性質を有する、糖結合性又は糖鎖結合性のタンパク質または糖タンパク質であれば良く、特に制限されない。
前記レクチンとしては、動物レクチン、植物レクチン又は人工レクチンなどを挙げることができる。具体的には、R型レクチン、カルネキシン・カルレティキュリン、C型レクチン、ガレクチン、豆科レクチン、L型レクチン、P型レクチン、アネキシン、I型レクチンなどを挙げることができる。
より具体的には、例えば、SBA(Soybean Agglutinin)、LCA(Lens culinaris Agglutinin)、AAL(Aleuria aurantia Lectin)、UEA(Ulex europaeus Agglutinin)、PNA(Peanut Agglutinin)、WGA(Wheat Germ Agglutinin)、Con A(Concanavalin A)などを挙げることができる。
前記抗体は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体をともに包含する。該抗体は、あらゆる哺乳動物由来の抗体を包含するものであってよく、さらに、IgG、IgA、IgM、IgDまたはIgEのいずれの免疫グロブリンクラスに属するものであってもよいが、好ましくはIgGである。当該抗体は目的の表面分子に結合する市販の抗体や研究機関に保存されている抗体を使用してもよい。あるいは、当業者であれば、従来公知の方法に従って、抗体を作製することができる。
また、抗体には、前記のポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体に加えて、これらの抗体の断片が含まれる。抗体の断片とは、前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的にはFab、Fab’、F(ab’)2、scAb、scFv、またはscFv-Fc等を包含する。
前記細胞間接着因子としては、例えば、インテグリン等を挙げることができる。前記インテグリンとしては、例えば、α鎖とβ鎖の2つのサブユニットからなるヘテロダイマーであるものを使用するのが好ましく、例えば、インテグリンα1β1、α2β1、α3β1、α6β1、α7β1、α6β4、α10β1、α11β1、αLβ2、αMβ2、αXβ2、αDβ2、α5β1、αVβ1、αVβ3、αVβ5、αVβ6、αVβ8、αIIbβ3、α4β1、α4β7、α9β1、αDβ2、αLβ2、αMβ2、αXβ2、αEβ7などを挙げることができる。
前述したように、本実施形態で使用しているリガンドBは、アナライトAとの結合に金属イオンCを必要とするものである。
このようなリガンドBは、製造時には、金属イオンCと結合した状態に調整されており、アナライトAを添加すればすぐにアナライトAと結合することができる。
しかしながら、図2に示すように、前記リガンドBから前記アナライトAが解離するときには、前記アナライトAだけでなく、前記金属イオンCも前記リガンドBから解離してしまうと考えられる。
そのため、一度使用したバイオチップ1を次回の分析に再度使用するためには、前記アナライトAを除去し、かつ前記リガンドBに次のアナライトAとの結合に必要な金属イオンCを供給して、前記バイオチップ1を製造時と同じ初期状態に戻す必要がある。
そのため、本実施形態に係る前記流通機構3は、前記試料溶液を流通させた後に、前記流路2に、前記リガンドBから前記アナライトAを除去するとともに、前記リガンドBに前記金属イオンCを供給する溶液(以下、再生溶液ともいう。)を流通させるように構成されている。
前記再生溶液は、例えば、前記金属イオンCの塩を含有する緩衝液等や蒸留水等であり、前記塩の濃度が1mol/L以上5mol/L以下であるものを使用することが好ましく、3mol/L以上4mol/L以下であることがより好ましい。
前記再生溶液に含まれる前記金属イオンCとしては、前記リガンドBが必要とするものを適宜使用すればよく、1価、2価又は3価の金属イオンCなどの種々の金属イオンCを使用することができる。
前記リガンドBと前記金属イオンCとの結合には、イオン半径が関係している可能性があると考えられるので、例えば、前記リガンドBとして、レクチン、抗体又は細胞間接着因子を使用する場合であれば、これらリガンドBが前記アナライトAとの結合に必要とする金属イオンCとしては、2価の金属イオンが複数報告されているので、前記金属イオンCが2価以上のイオンであることが好ましいと推察できる。
前記金属イオンCは、例えば、イオン半径が1.5Å以下であることが好ましく、1.35Å以下であることがより好ましい。
また、前記金属イオンCの塩は、前述したような塩濃度の水溶液として調整するために、水への溶解性が高いことが好ましい。例えば、30g/100ml以上溶解する塩であることが好ましく、50g/100ml以上溶解するものであることがより好ましい。
このような金属イオンの具体例としては、例えば、マグネシウムイオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン又はバリウムイオン等を挙げることができる。また、これら金属イオンの塩としては、例えば、塩化物などのハロゲン化物や硫酸塩等を挙げることができる。
これら2価の金属イオンは、比較的イオン半径が小さく、タンパク質の構造中に取り込まれて水和水と相互作用することができる。タンパク質に結合している水和水が金属イオンと相互作用すると、水和水の位置が移動するので、タンパク質の構造が変化すると考えられる。
これらの中でも、マグネシウムイオンやマンガンイオンは、イオン半径がそれぞれ0.65Åと0.72Åと比較的小さいので、例えば、カルシウムイオン(0.99Å)、ストロンチウムイオン(1.13Å)又はバリウムイオン(1.35Å)等の場合よりも1つ以上多い水和水と相互作用することが考えられる。
その結果、マグネシウムイオンやマンガンイオンの方が、カルシウムイオン等イオン半径が比較的大きい金属イオンよりもタンパク質の構造変化に影響を与えやすいと考えられる。また、例えば、塩化マグネシウム又は塩化マンガンは、それぞれ水への溶解性が54.3g/100ml、72.3g/100mlと非常に高いことが分かっている。
これらの理由から、前記金属イオンCとしては、マグネシウムイオン又はマンガンイオンが特に好ましいと考えられる。
本実施形態に係る相互作用検出装置100を用いた相互作用検出方法の手順及び工程について、図3を用いて以下に説明する。
まず、前記流路2内に前記バイオチップ1を配置し、前記流路2に移動相である例えば、蒸留水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定流量で流通させて、流路2内の条件を安定させる(条件安定化工程、図3のS1)。
次に、一定量の資料を前記試料導入口から前記流路2に注入する。
その後、前記移動相を一定流量で所定時間流し、前記移動相を流している間の前記リガンドBと前記アナライトAとの相互作用を前記検出部4によって検出する(検出工程、図3のS2)。
前記検出部4による検出が終了したあと、前記流通機構3によって前記流路2に、再生溶液を一定流量で所定時間流通させる(再生工程、図3のS3)。
この再生工程のあとは、前述した条件安定化工程を行っても良いし、条件安定化工程を省いて、次の試料を前記試料導入口から注入して、次の分析を開始してもよい。
このように構成した相互作用検出装置100及び相互作用検出方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
前記バイオチップ1を分析に使用した後、前記バイオチップ1に再生溶液を供給するだけで、前記バイオチップ1を初期の状態に戻すことができるので、次の分析を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。本実施形態に係る相互作用検出方法によれば、複数の試料を連続測定する場合には特に顕著な効果を発揮することができる。
前記再生溶液中の金属イオンCを含有する塩の濃度が1mol/L以上5mol/L以下となっているので、前記リガンドBを不可逆的に変性させてしまうことなく、マイルドな条件でからアナライトAを除去することができる。
本実施形態に係る相互作用分析方法によれば、エクソソームを破壊しなくてもエクソソームを丸ごと分析することができるので、細胞の表面に現れた疾病の指標となるエクソソーム表面分子をできるだけ破壊せず、そのまま分析することができる。
前記表示部を備えていることによって、本発明の装置は、バイオチップ1表面におけるリガンドBが固相化されていない箇所の色調変化も確認できるため、エクソソームの非特異的結合の有無を確認することができる。
本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、フロー型のSPRi装置を使用する例を説明したが、これに限られず、バッチ法で表面プラズモン共鳴現象を利用した検出を行っても良い。
さらに表面プラズモン共鳴現象を利用するものに限らず、抗原抗体反応や標識物質等を使用して、免疫学的にアナライトとリガンドとの結合を化学的又は物理的手段により検出する、例えば、ELISA等の手法を用いてもよい。
前記リガンドは、前述したものに限られず、アナライトとの結合に金属イオンCを必要とするを含むものであれば、どのようなものであっても良い。
前記リガンドは、1つのバイオチップに1種類のみ固定されている必要はなく、複数種類のリガンドが固定されていても良い。これら複数のリガンドのうち少なくとも1種類が、アナライトとの結合に金属イオンCを必要とするものであればよい。
複数種対のリガンドを1つのバイオチップの異なる位置にそれぞれ固定化しておくことによって、1回の分析で、例えば、エクソソーム表面に発現している糖鎖と表面抗原を同時に検出することができ、例えば、癌の診断等をより迅速に行うことができる。
例えば、前述したリガンドを固定化したバイオチップと、再生液とを含むバイオチップ再生キットとしても良い。この再生キットは、前述したものの他に、例えば、PBS、PBS+0.1%Caseinなどの各種試薬を含むものとしても良い。
本発明の趣旨に反しない限りにおいて、種々の変形や実施形態の組合せを行ってもかまわない。
この実施例では、ヒト血清(Human Serum Bio west Inc., S4200-100)から超遠心精製で得たエクソソーム画分を1000倍希釈又は100倍希釈したヒト血清由来エクソソームの表面分子をアナライトとして、リガンドである抗体又はレクチンとの相互作用を検出し、使用済みのバイオチップを金属イオンを含有する再生溶液で再生した後に、再度ヒト血清由来エクソソームの表面分子と各リガンドとの相互作用を検出した。
<使用した装置及びバイオチップ>
相互作用の検出は、マイクロアレイ型SPRi装置((株)堀場製作所:XelPleX)と装置専用のバイオチップ((株)堀場製作所:CS-HD; スクシンイミドで活性化されたカルボキシ基を固相化したバイオチップ)を用いて行った。
このバイオチップに固相化するリガンドとしては、抗体及びレクチンを使用した。
前記抗体としては、モノクローナル抗体であるAnti-CD81(Snata Cruz Biotechnology Inc.,sc-166029)を使用した。
前記レクチンとしては、イヌエンジュレクチン(MAM;J-ケミカル社、J117)を使用した。
前記抗体は、濃度が0.1mg/mlとなるように調整し、前記レクチンは、濃度が2 mg/mlとなるように、0.1%ゼラチン水溶液に溶解した。これらをスポッターを用いてバイオチップ表面にそれぞれ10 nLずつスポットした。その後、16時間静置することでこれらリガンドを前記基材の表面に固相化した。
<分析手順>
前述したバイオチップを内部に収容した流路に、移動相としてPBS+0.1%Caseinを25μL/分の流速で送液し、チップ表面をコンディショニングした。
安定化した時点の反射率を0%として、オートインジェクターでPBS+0.1%Caseinに懸濁したエクソソームをインジェクション後、25μL/分の流速で480秒間送液し、その後ただちにPBS+0.1%Caseinのみを25μL/分の流速で480秒間送液し、反射率を経時的に計測した。
その後、前記流路に再生溶液である4mol/LのMgCl水溶液を200μL/分の流速で100秒間送液し、前記バイオチップを再生した。
<結果と考察>
前述した手順による反射率の変化を図4に示す。図中、実線のグラフがイヌエンジュレクチン(MAM)をリガンドとした場合を表し、破線のグラフがAnti-CD81をリガンドとした場合を表している。
また、同じ実験におけるSRPイメージを図5に示す。
図5の結果から、前記検出工程(図4の(I)及び(III)の工程)においては、バイオチップ上のリガンドとアナライトであるエクソソームの表面分子とが相互作用していることが分かる。また、その後の再生工程(図4の(II)及び(IV)の工程)において、前記アナライトはもはや検出されていないので、前記再生溶液によって、アナライトが除去されたことが分かった。なお、図5の(I)~(IV)は、図4中の(I)~(IV)のそれぞれの工程を表している。
さらに、このようにして再生されたバイオチップに、エクソソームを再度供給したところ、金属イオンを必要とするリガンドであっても、最初の分析時と同様に相互作用が検出できることが確かめられた。
なお、同じ実験操作で、再生溶液として、例えば、先行文献1に記載されているPBSを使用した場合には、リガンドからアナライトは除去されるものの、結合に必要な金属イオンが供給されないため、次の分析時には相互作用が検出できないと考えられる。
また、今回の実施例では、金属イオンとしてマグネシウムイオンを含む塩化マグネシウムを使用したが、この金属イオンをマンガンイオンやカルシウムイオンなどの他の2価イオンにしたとしても、同じ結果が得られると考えられる。とくにマンガンにオンについては、マグネシウムイオンとイオン半径が近いので、ほとんど同じ結果が得られることが予想できる。
100・・・相互作用検出装置
1・・・バイオチップ
2・・・流路
3・・・流通機構
4・・・検出部4
A・・・アナライト
B・・・リガンド
C・・・金属イオン

Claims (7)

  1. アナライトであるエクソソームを含む試料をリガンドに接触させて相互作用を検出する検出工程と、
    前記リガンドを前記試料と接触させる前の状態に戻す再生工程とを含む相互作用検出方法であって、
    前記リガンドが、アナライトとの結合に金属イオンを必要とするレクチンであり、
    前記再生工程において、前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに、前記金属イオンを供給する溶液を使用することを特徴とする相互作用検出方法。
  2. 前記金属イオンが、2価の金属イオンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の相互作用検出方法。
  3. 前記金属イオンが、マグネシウムイオン又はマンガンイオンを含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の相互作用検出方法。
  4. 表面プラズモン共鳴現象を利用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の相互作用検出方法。
  5. 前記溶液が、前記金属イオンの塩を含有するものであり、前記塩の濃度が1mol/L以上5mol/L以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の相互作用検出方法。
  6. 基材の表面にリガンドを固定したバイオチップと、
    前記バイオチップを内部に収容する流路と、
    前記流路にアナライトであるエクソソームを含有する試料溶液を流通させる流通機構と、
    前記バイオチップ表面での前記リガンドと前記アナライトとの相互作用を検出する検出部と、を備える相互作用検出装置であって、
    前記リガンドが、前記アナライトとの結合に金属イオンを必要とするレクチンであり、
    前記流通機構が、前記試料溶液を流通させた後に、前記流路に、前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに前記金属イオンを供給する溶液を流通させるものであることを特徴とする相互作用検出装置。
  7. アナライトであるエクソソームとの結合に金属イオンを必要とするリガンドであるレクチンを基材の表面に固定したバイオチップと、
    前記リガンドから前記アナライトを除去するとともに、前記リガンドに前記金属イオンを供給する溶液とを含むバイオチップ再生キット。
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