JP7225994B2 - フィルム状接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂を用いたフィルム状接着剤に関する。
近年、地球温暖化の抑制と環境保護の観点より、自動車や航空機などの輸送体における低燃費化を目的として、構造体の軽量化の検討が進んでいる。この軽量化の手法として、一般的に使用されてきた鋼板の代わりに、強度を高くした超高強度鋼板を用いることによる薄肉化や、鋼板に代わる軽量材料であるアルミニウムやCFRPなどの材料などの活用について広く検討されている。
しかしながら、これらの材料は軽量化へ寄与する一方、コスト面や強度、耐疲労性や電気特性等の特性については鋼板に劣るなどの課題を有していたため、これらの材料が単独で用いられることは少なく、各種特性が代替として使用可能な部分を中心に鋼板からの置き換えが検討されている。この結果、複数の部材を接合して用いることとなり、一般的な溶接技術では接合困難な状況が発生している。
また、このような複数の部材を溶接や金属締結などで接合した場合、接合された部材同士間の電位が異なることで金属腐食(電食)が発生するため、絶縁性の材料を用いた接合が必要となる。
さらに、工場において部材を接合する工程を含む生産ラインで、これまで溶接で接合していた作業の効率化などが期待されている。このように、近年では溶接に代替する接合技術の導入が重要となっている。
この溶接に代替する接合技術の1つとして、液状やフィルム状の構造用接着剤を用いて接合する方法を挙げることができる。中でも、フィルム状の接着剤は、接着剤を塗布する必要がなく、接着層厚みを均一にできるため、接着剤の塗りムラなどを生じにくいことから接着後の信頼性が高く、さらにこのような工場において部材を接合する工程を含む生産ラインでは特に有用である。
このような構造用接着剤としては、エポキシ系接着剤、第二世代アクリル系接着剤(以下、SGA)、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤等が知られており、中でも、エポキシ系接着剤は金属やCFRPなどの各種部材に対する接着性の高さや、耐熱性の高さ等の点から汎用されている。
従来、エポキシ樹脂を用いたフィルム状接着剤に関しては、例えば特許文献1において、柔軟性エポキシ樹脂、柔軟性硬化剤、シランカップリング剤、潜在性触媒を配合してなる接着体を3層または多層にして、中心層はシランカップリング剤を含まず、応力を緩和する機能に優れ、最外層はシランカップリング剤を含んで、被接着物との接着力が大きくなるようにした構成で接着前は全ての層が未硬化状態で、使用時に加熱し、接着する柔軟性接着体が開示されている。
特許文献2には、第1層として、エポキシ樹脂、ゴム成分、及び硬化剤成分からなる接着剤組成物を、第2層としてエポキシ樹脂、ゴム成分、及び硬化剤成分からなる接着剤成分に20~90体積%の無機充填材を添加してなる接着剤組成物を、第3層としてエポキシ樹脂、ゴム成分、及び硬化剤からなる接着剤組成物を基材フィルムに塗布し、半硬化状態に熱処理して3層構造とした熱硬化性接着シートが開示されている。
特許文献3には、耐熱性柔軟樹脂シートからなる基材の両面に、完全に硬化した状態においても可撓性のある熱硬化性のエポキシ系接着剤層が形成されてなる3層構造からなり、エポキシ系接着剤層が、半硬化状態に熱処理されてなり25℃において可撓性を有した固体状である接着シートが開示されている。
特開平11-124557号公報 特開2000-290613号公報 特開2013-64078号公報
エポキシ樹脂を用いたフィルム状接着剤を構造用接着剤として利用する場合、例えば2つの構造用部材(例えば鋼材)間にフィルム状接着剤を挿入させ、その積層状態で加熱して冷却することによりフィルム状接着剤を硬化させて、2つの構造用部材を接合することになる。
一般的に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いたフィルム状接着剤と共に構造用部材が同時に加熱及び冷却されるため、加熱及び冷却時の膨張収縮差によって、構造用部材とフィルム状接着剤との界面において応力が発生し、接合後の剥離強度が低下し易いという課題を抱えていた。前記特許文献1~3に示すように、柔軟性部材を構造用部材とフィルム状接着剤との接合部分に配置することにより、線膨張係数差による応力と、剥離モードにおける発生応力を緩和させることができ、剥離強度が向上させることができる。その一方、材料の柔軟性付与により接着剤の凝集力が低下すると、界面密着性や接着剤の剛性に影響されるせん断強度が低下しやすいという課題を有していた。
そこで本発明は、エポキシ樹脂を用いたフィルム状接着剤に関し、接合する部材間に挿入した状態で加熱及び冷却をしても、剥離強度及びせん断強度を好適に維持することができる、新たなフィルム状接着剤を提供せんとするものである。
本発明は、エポキシ樹脂組成物aからなる樹脂層Aと、エポキシ樹脂組成物bからなる樹脂層Bとを備え、当該樹脂層Bの表裏側に前記樹脂層Aを備えたフィルム状接着剤であって、硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaと、硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物bの貯蔵弾性率Ebとが、Ea>Ebの関係にあることを特徴とするフィルム状接着剤を提案する。
本発明が提案するフィルム状接着剤は、貯蔵弾性率の異なるエポキシ樹脂組成物a、bからなる樹脂層A,Bを積層してなる構成を備えているから、剥離強度とせん断強度の両方を兼ね備えることができる。しかも、貯蔵弾性率Eaの高い樹脂層Aを表裏側に配置するように設計したことにより、超高強度鋼板やアルミニウム、CFRP、鋼材などの構造材料との接合強度を高めることができる。よって、各種用途、中でも特に構造用接着剤として好適に利用することができる。また、フィルム状接着剤であるから、接着後における信頼性が高く、また工場において部材を接合する生産ラインで使用するのに特に好適である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本フィルム状接着剤>
本発明の実施形態の一例に係るフィルム状接着剤(「本フィルム状接着剤」と称する)は、エポキシ樹脂組成物aからなる樹脂層Aと、エポキシ樹脂組成物bからなる樹脂層Bとを備え、当該樹脂層Bの表裏両側に前記樹脂層Aを備えたフィルム状接着剤である。
本フィルム状接着剤は、未硬化の状態であり、接合する部材間に挿入して、加熱及び冷却して硬化物とすることにより、接着強度が高まり、接合部材間を接合することができる接着剤である。
本発明において、本フィルム状接着剤を加熱及び冷却されて硬化処理された状態を「硬化後」とする。硬化の程度は、Bステージよりも未硬化に近い状態、Bステージ化(半硬化)した状態、完全硬化した状態のいずれでもよい。
また、本フィルム状接着剤を加熱及び冷却して硬化してなるものを「硬化物」とする。硬化物は、硬化の程度に問わず「硬化物」とする。
(貯蔵弾性率)
本フィルム状接着剤は、硬化後における30℃での前記エポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaと、硬化後における30℃での前記エポキシ樹脂組成物bの貯蔵弾性率Ebとが、Ea>Ebの関係にあることが好ましい。
接合する部材間にフィルム状接着剤を挿入させ、その積層状態で加熱し冷却してフィルム状接着剤を硬化させて部材間を接合する場合、部材と接合する側の貯蔵弾性率がより高い、言い換えれば、より剛性が高いと、接着剤の凝集力が高いため、部材との界面において高い密着性を有するとともに、接合する部材と接着剤との間で、加熱時の膨張や冷却時の収縮等に伴って生じる歪が小さくなるため、せん断強度を好適に維持することができる。
中でも、EaはEbよりも5倍以上大きいことが好ましく、その中でも10倍以上、その中でも100倍以上大きいことがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物aは、本フィルム状接着剤のせん断強度を高める観点から、硬化後における30℃での貯蔵弾性率Eaが1000MPa以上であるのが好ましく、中でも1200MPa以上、その中でも1500MPa以上であるのがさらに好ましい。なお、前記貯蔵弾性率Eaが高過ぎると、接合する部材との膨張率差による応力増大により剥離強度の低下が顕著となることや、衝撃による剥離の起点となる可能性があるから、50GPa(50000MPa)以下であるのが好ましく、中でも30GPa(30000MPa)以下、その中でも20GPa(20000MPa)以下であるのがさらに好ましい。
他方、エポキシ樹脂組成物bは、主にせん断強度を高める観点から、硬化後における30℃での貯蔵弾性率Ebが0.1MPa以上であるのが好ましく、中でも0.5MPa以上、その中でも1.0MPa以上であるのがさらに好ましい。なお、前記貯蔵弾性率Eaが高過ぎると、剥離強度が不足となる可能性があるから、1000MPa以下であるのが好ましく、中でも800MPa以下、その中でも500MPa以下であるのがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物a,bの硬化後における30℃での貯蔵弾性率Ea、Ebを前記範囲に調整するためには、例えばエポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整したり、エポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤に重合や反応により柔軟性や剛性の骨格を導入したり、可塑剤や反応性シランオリゴマー、ウレタンオリゴマーなど他の相溶系材料を配合したり、エポキシ樹脂組成物a,bにゴム成分などの柔軟成分や無機フィラーなどの硬質成分を添加したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
(線膨張係数)
本フィルム状接着剤においては、硬化後における25~160℃での前記エポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaと、前記エポキシ樹脂組成物bの面内方向における線膨張係数Kbとの関係が、Ka<Kbであることが好ましい。
中でも、KbはKaよりも20ppm/K以上大きいことが好ましく、その中でも30ppm/K以上、その中でも50ppm/K以上大きいことがさらに好ましい。
硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaは、一般的に接合する鋼板やアルミ、CFRPなどの部材との膨張率差低減の観点から、1.0ppm/K以上であるのが好ましく、中でも3.0ppm/K以上、その中でも5.0ppm/K以上であるのがさらに好ましい。但し、当該線膨張係数Kaが高過ぎると、一般的に接合する鋼板やアルミ、CFRPなどの部材との膨張率差が大きく、接着強度低下の要因となる可能性があるから、200ppm/K以下であるのが好ましく、中でも150ppm/K以下、その中でも100ppm/K以下であるのがさらに好ましい。
他方、硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物bの面内方向における線膨張係数Kbは、線膨張係数Kaとの差異低減の観点から、1.0ppm/K以上であるのが好ましく、中でも3.0ppm/K以上、その中でも5.0ppm/K以上であるのがさらに好ましい。但し、当該線膨張係数Kbが高過ぎると線膨張係数Kaとの差異が増大して内部応力が生じる。かかる観点から、200ppm/K以下であるのが好ましく、中でも150ppm/K以下、その中でも100ppm/K以下であるのがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物a,bの前記線膨張係数Ka,Kbを前記範囲に調整するためには、例えばエポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整したり、エポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤に重合や反応によりエチレン骨格など柔軟構造やベンゼン骨格などの強直構造などを導入したり、可塑剤や反応性シランオリゴマー、ウレタンオリゴマーなど他の相溶系材料を配合したり、エポキシ樹脂組成物a,bにゴム成分などの高熱膨張材料や無機フィラーなどの低熱膨張材料を添加したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
(ガラス転移温度)
エポキシ樹脂組成物a,bの硬化後におけるガラス転移温度について、エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度は、エポキシ樹脂組成物bのそれより10~180℃高い方が好ましい。
エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が、エポキシ樹脂組成物bのそれより10℃以上高ければ、エポキシ樹脂組成物bよりエポキシ樹脂組成物aの硬化後における貯蔵弾性率が高くなりやすくなるから好ましい。一方、両者の差が180℃以内であれば、エポキシ樹脂組成物aの硬化後における線膨張係数Kaとエポキシ樹脂組成物bの硬化後における線膨張係数Kbとの差によるカールや反りの発生が抑制されるため好ましい。
かかる観点から、エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度は、エポキシ樹脂組成物bのそれより10℃以上高い方が好ましく、中でも30℃以上、その中も50℃以上高い方がさらに好ましい。一方、両者の差は180℃以下であるのが好ましく、中でも150℃以下、その中も120℃以下であるのがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度は、50~300℃であるのが好ましく、中でも70℃以上或いは280℃以下、その中でも80℃以上或いは250℃以下であるのがさらに好ましい。
他方、エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度は、-60~150℃であるのが好ましく、中でも-50℃以上或いは130℃以下、その中でも-40℃以上或いは120℃以下であるのがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物a,bの硬化後におけるガラス転移温度(Tg)を前記範囲に調整するためには、例えばエポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整したり、エポキシ樹脂組成物a,bを構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤に重合や反応によりオレフィン構造など低Tg成分やベンゼン骨格などの高Tg成分を導入したり、可塑剤や反応性シランオリゴマー、ウレタンオリゴマーなど他の相溶系材料を配合したり、エポキシ樹脂組成物a,bに表面処理や微細化したゴム成分や無機フィラーなどを添加したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
<エポキシ樹脂組成物a,b>
エポキシ樹脂組成物a,bはいずれも、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有し、必要に応じてその他の成分を含有するのが好ましく、それぞれ上記物性を備えるように、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整するのが好ましい。
(エポキシ樹脂)
次に、エポキシ樹脂組成物a,bに用いることができるエポキシ樹脂について説明する。これらのエポキシ樹脂の中から上記物性に調整できるように種類を選択して用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂組成物aに用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン等のビスフェノール類、ビフェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン等の2官能フェノール型エポキシ樹脂、その他の2官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、2官能グリシジルエステル型エポキシ樹脂、2官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂、2官能線状脂肪族エポキシ樹脂、2官能脂環式エポキシ樹脂、2官能複素環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の水添型のエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることが可能である。中でも剛性と耐熱性の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
当該エポキシ樹脂の数平均分子量は、200以上であれば、充分な可撓性改良の効果を得ることができ、100,000以下であれば、樹脂の取り扱いが困難になることが無いから、好ましい。よって、当該エポキシ樹脂の数平均分子量は、200以上100,000以下であるのが好ましく、中でも、耐熱性及び樹脂の取り扱いの両面から、300以上或いは90,000であるのがさらに好ましく、その中でも400以上或いは80,000以下であるのがさらに好ましい。
分子量(Mn)の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定できる。
他方、エポキシ樹脂組成物bに用いるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物aで記載したエポキシ樹脂を2種類以上混合して反応させることにより得たものを好ましく用いることができる。中でも、得られるエポキシ樹脂の柔軟性の観点から、前記2種類以上のエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つは、2官能脂肪族エポキシ樹脂であることが好ましい。
このような2官能線状脂肪族エポキシ樹脂としては、分子量が200~100000、中でも400以上或いは50000以下、その中でも500以上或いは10000以下のものが特に好ましい。
前記2官能脂肪族エポキシ化合物としては、炭素数2~12のジオールとエピハロヒドリンを反応させた後、蒸留精製したジグリシジルエーテル由来の純度が90質量%以上の脂肪族エポキシ樹脂であればよい。例えば、エチレングリコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコールのグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,8オクタンジオールのグリシジルエーテル、1,10-デカンジオールのグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールのグリシジルエーテル、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル、トリエチレングリコールのグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールのグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールのグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル等である。これらの中でも、液状エポキシ樹脂の低粘化効果が大きく、硬化物の耐熱性低下が少ないという観点から、1,4-ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル又は2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールのグリシジルエーテルが特に好ましい。すなわち、これらの2官能脂肪族エポキシ化合物と、エポキシ樹脂組成物aのエポキシ樹脂として挙げたエポキシ樹脂とを混合して反応させて得られるものが、エポキシ樹脂組成物bのエポキシ樹脂として特に好ましい。
また、エポキシ樹脂組成物a,bは、互いに同じ組成の硬化剤を含有してもよいし、また、互いに異なる組成の硬化剤を含有してもよい。但し、エポキシ樹脂組成物a,bが同じ温度で同じように挙動する方が好ましいため、エポキシ樹脂組成物a,bにおいて同じ硬化剤を用いるのが好ましく、中でも、その硬化剤を同じ割合で含有するのが好ましい。
(硬化剤)
次に、エポキシ樹脂組成物a,bに用いることができる硬化剤について説明する。これらの硬化剤の中から上記物性に調整できるように種類を選択して用いるのが好ましい。
硬化剤としては、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、3級アミン、トリフェニルホスフィン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの2液反応型硬化剤やジシアンジアミド類やイミダゾール類、ウレア類などの一液混合型の潜在性硬化剤が一般な硬化剤として使用することができる。
より具体的には、例えば無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;ジシアンジアミド、オルト-トリルビグアニド、フェニルビグアニド、パラ-クロロフェニルビグアニド、エチレンビスビグアニド塩酸塩、ウラリルビグアニド塩酸塩、フェニルビグアニドオキサレート等のジシアンジアミド系化合物;三フッ化ホウ素-アミン錯体;ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルテトラミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の三級アミン類;1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルトリアゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物等を挙げることができる。但し、これらの中には、共硬化剤及び硬化促進剤として機能する化合物も存在する。
硬化剤は、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、硬化剤と共硬化剤又は硬化促進剤との組み合わせなど二種類以上の化合物を併用してもよい。
中でも、貯蔵安定性の点で潜在性硬化剤が好ましく、その中でも、硬化性の点から、ジシアンジアミド、オルト-トリルビグアニド、フェニルビグアニド、パラ-クロロフェニルビグアニド、エチレンビスビグアニド塩酸塩、ウラリルビグアニド塩酸塩、フェニルビグアニドオキサレート等のジシアンジアミド系と3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物がより好ましい。
以上の中でも、120℃以上の融点を有する潜在性硬化剤を用いるのが、貯蔵安定性が高いため、好ましい。
このような潜在性硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレアなどをあげることができる。
これらの潜在性硬化剤について、単体で使用してもよく、2種類以上を混合して用いても構わない。
エポキシ樹脂と硬化剤の含有量については、所望する効果物の機械強度と各硬化剤の反応機構を考慮して決定すればよい。硬化剤の配合量を多くするほど、加熱硬化速度が速くなり、少ないほどポットライフが高くなる傾向がある。
1級アミン、2級アミン、酸無水物、カルボン酸などの活性水素などの官能基を有する硬化剤については、エポキシ基の数と、硬化性を有する官能基との数が等しくなるように配合するのが好ましい。
例えば目安としては、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して0.1~20質量部の割合で硬化剤を配合するのが好ましく、中でも1質量部以上或いは10質量部以下の割合で配合するのがより好ましい。
また、3級アミンやイミダゾール、ジシアンジアミド、ジメチルウレアなどの触媒硬化系となる硬化剤については、少量においても反応が進行するためエポキシ樹脂100質量部に対して1~10質量部程度を配合することが好ましい。
必要に応じて、反応促進剤を硬化剤と併用するのが好ましい。例えば潜在性硬化剤としてジシアンジアミドを用いる場合、イミダゾール化合物、ジメチルウレアなどの他の塩基性化合物を同時に用いることが好ましい。また、2液反応型硬化剤として酸無水物を用いる場合、酸無水物の開環を促す反応促進剤を含有することが好ましい。
反応促進剤としては、例えばイミダゾール化合物、3級アミン、ジシアンジアミド、ルイス酸、及び有機金属化合物などを挙げることができる。
(溶媒)
エポキシ樹脂組成物a,bは、必要に応じて溶媒を含有することもできる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
(その他成分)
エポキシ樹脂組成物a,bは、必要に応じてその他、例えば増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、有機過酸化物、還元剤、ラジカル重合性化合物;酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、重合開始剤、無機微粒子、エラストマー等の各種添加剤を含有することができる。
例えば、エラストマーを配合することで、本フィルム状接着剤の粘度とその硬化物の柔軟性や耐衝撃性を調整することができる。また、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤や光重合開始剤等の重合開始剤を配合することで、本フィルム状接着剤を硬化した硬化物の強度を調整することができる。
<厚み>
本フィルム状接着剤は、構造用接着剤として用いる観点から、その厚みは5μm以上2000μm以下であるのが好ましく、中でも10μm以上或いは1500μm以下、その中でも50μm以上或いは1200μm以下、中でも100μm以上或いは1000μm以下であるのがさらに好ましい。
また、樹脂層Aと樹脂層Bとの厚み比率に関しては、せん断強度と剥離強度のバランスの観点から、樹脂層Bの厚み(100%)に対して各樹脂層Aの厚みが1%以上90%以下であるのが好ましく、中でも10%以上或いは80%以下であるのがより好ましく、その中でも20%以上或いは70%以下であるのがさらに好ましい。
<本フィルム状接着剤の特徴>
(せん断強度)
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)は20N/mm2以上であるのが好ましく、本フィルム状接着剤はそのような引張せん断接着強度を有することができる。
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)が20N/mm2以上であれば、自動車や航空機などの高い接合強度を必要とする用途に十分な接着強度を得られる観点から、好ましい。但し、引張せん断接着強度(JIS K6850)が大き過ぎると、結果的に材料の剛性が高すぎることが懸念され、応力緩和不足により剥離強度の低下の可能性が生じる。
よって、本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)は20N/mm2以上であるのが好ましく、中でも23N/mm2以上、その中でも25N/mm2以上であるのがさらに好ましい。その一方、60N/mm2以下であるのが好ましく、中でも50N/mm2以下、その中でも40N/mm2以下であるのがさらに好ましい。
本フィルム状接着剤の冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)を調整するには、エポキシ樹脂組成物a,bの組成及び各樹脂層A,Bの厚みや、本フィルム状接着剤の全体厚みなどを調整すればよい。但し、そのような方法に限定するものではない。
(剥離強度)
本フィルム状接着剤は、硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上であるのが好ましく、本フィルム状接着剤はそのような剥離強度を有することができる。
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上であれば、自動車や航空機などの高い接合強度を必要とする用途に十分な接着強度を得られる観点から、好ましい。但し、剥離強度(JIS K6854-3)が大き過ぎると結果的に材料の柔軟性が高すぎることが懸念され、材料の凝集力が低下して引張せん断時の材料破壊が生じやすくなり、引張せん断接着強度が低下する可能性が生じる。
よって、本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)は20N/25mm巾以上であるのが好ましく、中でも30N//25mm巾以上、その中でも40N//25mm巾以上であるのがさらに好ましい。その一方、400N//25mm巾以下であるのが好ましく、中でも350N//25mm巾以下、その中でも300N//25mm巾以下であるのがさらに好ましい。
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)を調整するには、エポキシ樹脂組成物a,bの組成及び各樹脂層A,Bの厚みや、本フィルム状接着剤の全体厚みなどを調整すればよい。但し、そのような方法に限定するものではない。
<本フィルム状接着剤の製造方法>
本フィルム状接着剤は、例えば、エポキシ樹脂組成物a,bからそれぞれエポキシ樹脂フィルムa,bを作製し、加圧密着させるなどしてフィルム同士を貼り合わせて、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aの順で積層してなる本フィルム状接着剤を作製することができる。
また、例えば、エポキシ樹脂組成物bからエポキシ樹脂フィルムbを作製し、エポキシ樹脂フィルムbの表裏面にエポキシ樹脂組成物aを塗布、乾燥させるなどして、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aの順で積層してなる本フィルム状接着剤を作製することができる。
さらにまた、Tダイなどの口金などを用いてエポキシ樹脂組成物a,bを2種3層などの積層した状態で離型フィルム等に押出した後にキャストロールなどで成型することにより樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aの順で積層してなる本フィルム状接着剤を作製することができる。
但し、本フィルム状接着剤の製造方法を、このような製造方法に限定するものではない。
<硬化物>
本フィルム状接着剤は、加熱し冷却することで硬化物とすることができる。
硬化処理時の加熱温度は60℃以上であるのが好ましい。但し、加熱温度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の分解や酸化劣化により接着特性や信頼性が低下する可能性がある。
よって、加熱温度は60℃以上であるのが好ましく、中でも80℃以上、その中でも100℃以上であるのがさらに好ましい。その一方、中でも250℃以下、その中でも200℃以下であるのがさらに好ましい。
加熱時間は、フィルム状接着剤を構成する組成物の硬化反応が十分に進行する時間であれば特に制限はない。通常は5分以上、200時間以下であり、10分以上、150時間以下であることが好ましい。
また、硬化処理時の冷却は生産性などの観点から、冷却速度は0.1℃/分以上であるのが好ましく、中でも0.5℃/分以上、その中でも1℃/分以上であるのがさらに好ましい。
他方、部材や接着剤内部における冷却歪みの発生に伴う接着性低下や接着ムラ、外観ムラ、反りなどの低減、冷却時間は40℃/分以下あるのが好ましく、中でも30℃/分以下、その中でも20℃/分以下であるのが好ましい。
<積層体>
本フィルム状接着剤を部材に積層し、本フィルム状接着剤が未硬化又は硬化の状態の積層体として提供することができる。
この際、前記部材の片側又は両側に本フィルム状接着剤を積層してもよいし、また、2つの部材間に本フィルム状接着剤を挿入した状態に積層するようにしてもよい。
<用途>
本フィルム状接着剤は、接合する部材間に挿入して、加熱及び冷却することにより、前記接合部材間を接合することができる。
本フィルム状接着剤は、剥離強度とせん断強度の両方を兼ね備えることができ、しかも、貯蔵弾性率Eaの高い樹脂層Aを表裏側に配置するように設計したことにより、鋼材などの構造材料との接合強度を高めることができる。よって、各種用途、中でも特に構造用接着剤として好適に利用することができる。また、フィルム状接着剤であるから、接着剤を塗布する工程及び装置が不要であるから、工場において部材を接合する生産ラインで特に好適に用いることができる。
<語句の説明>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、実施例により本発明を更に説明する。但し、次の実施例はいかなる方法でも本発明を限定することを意図するものではない。
[エポキシ樹脂組成物a]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER828」(三菱ケミカル(株)製、数平均分子量370)を20質量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER1001」(三菱ケミカル(株)製、数平均分子量900)を80質量部とを、80℃に加熱して混合した。その後、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DYCY7」(三菱ケミカル(株)製、融点209℃)6質量部と、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」(ナカライテスク社製、融点159℃)1質量部とを混合してエポキシ樹脂組成物aを作製した。
作製したエポキシ樹脂組成物aを、離型フィルム「フルオロージュRL」(三菱ケミカル(株)製)で挟み込み、60℃で加温した加熱式二軸ロールに導入して厚み50μmのフィルム状に成型することによりエポキシ樹脂フィルムaを作製した。
作製したエポキシ樹脂フィルムaを160℃で60分硬化させて、動的粘弾性測定した結果、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)が115℃であり、TMA測定における25~160℃での線膨張係数が94ppm/Kであった。また、硬化後における30℃での貯蔵弾性率(E’)は1850MPaであった。
[エポキシ樹脂組成物b]
次に説明するエポキシ樹脂100質量部に、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DYCY7」6質量部と、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1質量部を混合してエポキシ樹脂組成物bを作製した。
エポキシ樹脂組成物bに用いたエポキシ樹脂は、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールF、触媒及びシクロヘキサノンを耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下180℃で5時間、重合反応を行って得たエポキシ樹脂である。
作製したエポキシ樹脂組成物bを、離型フィルム「フルオロージュRL」(三菱ケミカル(株)製)で挟み込み、60℃で加温した加熱式二軸ロールに導入して厚み50μmのフィルム状に成型することによりエポキシ樹脂フィルムbを作製した。
作製したエポキシ樹脂フィルムbを160℃で60分硬化させて、動的粘弾性測定した結果、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)が25℃であり、TMA測定における25~160℃での線膨張係数が202ppm/Kであった。また、硬化後における30℃での貯蔵弾性率(E’)は6.8MPaであった。
[実施例1]
前記エポキシ樹脂フィルムbの両面に、前記エポキシ樹脂フィルムaをそれぞれ貼り合わせた後、ハンドローラーで加圧密着させることによりフィルム状接着剤を作製した。
得られたフィルム状接着剤は、樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)からなる厚み150μmであった。このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
[比較例1]
前記エポキシ樹脂フィルムbを3層重ねて貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
[比較例2]
前記エポキシ樹脂フィルムaを3層重ねて貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
[比較例3]
前記エポキシ樹脂フィルムaの両面に、前記エポキシ樹脂フィルムbをそれぞれ貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
[評価方法]
実施例、比較例で作製したサンプルについて、物性等の測定及び評価は下記に示す方法により実施した。
(剥離強度)
冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度の評価方法は、JIS-K 6854-3に準拠して実施した。すなわち、実施例・比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ200mmにカットした。幅25mm×長さ250mm×厚み0.5mmの冷間圧延鋼板(「SPCC」とも称する)をエタノールで脱脂洗浄した後、このSPCC2枚の間に、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、剥離シロを50mmとして離型フィルムを挿入した状態で恒温槽に投入し、160℃で60分間加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
作製した剥離試験片を、高温恒湿引張試験機「INTEXCO 200X」(株式会社インテスコ製)を用いて100mm/分の速度により試験数n=5でT型剥離試験を実施し、測定した強度の下限値に基づいて、下記基準により評価した。
〇(good):剥離強度が40N/25mm巾以上
△(usual):剥離強度が20N/25mm巾以上40N/25mm巾未満
×(poor):剥離強度が20N/25mm巾未満
また、剥離試験後のサンプルの破壊状態についても評価を実施し、部材の片側表面のみに接着樹脂が付着して部材と接着剤の界面が見えた状態で破壊している場合を「界面」、部材の両側表面に接着樹脂が付着して接着剤層が破壊している場合を「凝集」と評価した。
(せん断強度)
冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度の評価方法は、JIS-K 6850に準拠して実施した。すなわち、実施例・比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ12.5mmにカットした。幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの冷間圧延鋼板(SPCC)をエタノールで脱脂洗浄した後、このSPCC2枚の間に、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、恒温槽に投入して160℃で60分加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
作製した剥離試験片を、引張試験機「INTEXCO 2050X」(株式会社インテスコ製)を用いて5mm/分の速度により試験数n=5で引張せん断試験を実施し、測定した強度から下記基準により評価した。
〇(good):引張せん断強度が20N/mm以上
×(poor):引張せん断強度が20N/mm未満
また、引張せん断試験後のサンプルの破壊状態についても評価を実施し、部材の片側表面のみに接着樹脂が付着して部材と接着剤の界面が見えた状態で破壊している場合を「界面」、部材の両側表面に接着樹脂が付着して接着剤層が破壊している場合を「凝集」と評価した。
(ガラス転移温度及び貯蔵弾性率測定)
ガラス転移温度及び貯蔵弾性率の測定方法は、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)により、引張治具を使用して測定温度-100~250℃、周波数10Hz、昇温速度3℃/minにより測定した結果から、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)と30℃における貯蔵弾性率(E’)を読み取った。
(線膨張係数測定)
実施例および比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ12.5mmにカットし、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、恒温槽に投入して160℃で60分加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
そして、熱膨張計「DL1500」(ULVAC社製)を用いて、測定温度-100℃~250℃、昇温速度10℃/minで加熱して面内方向における熱膨張率を測定し、この結果に基づき、25℃~160℃における面内方向における線膨張係数を測定した。
Figure 0007225994000001
実施例1のフィルム状接着剤は、剥離強度、せん断強度の両特性に優れた特性を得られることが分かった。
一方、比較例1のように、貯蔵弾性率が低いエポキシ樹脂組成物bのみを積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、せん断強度が不足する結果となった。また、比較例2のように、貯蔵弾性率が高いエポキシ樹脂組成物aのみを積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、剥離強度が不足する結果となった。さらに、比較例3のようにエポキシ樹脂組成物aとエポキシ樹脂組成物bの積層構成を変更して積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、せん断強度が不足する結果となった。

Claims (14)

  1. ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物aからなる樹脂層Aと、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物bからなる樹脂層Bとを備え、当該樹脂層Bの表裏側に前記樹脂層Aを備えたフィルム状接着剤であって、
    硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaと、硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物bの貯蔵弾性率Ebとが、Ea>Ebの関係にあることを特徴とするフィルム状接着剤。
  2. 硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaが1000MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム状接着剤。
  3. 硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaと、エポキシ樹脂組成物bの面内方向における線膨張係数Kbとの関係が、Ka<Kbであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤。
  4. 硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaが1.0ppm/K以上である請求項3に記載のフィルム状接着剤。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物bが2官能脂肪族エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  6. 前記エポキシ樹脂組成物a及びbが硬化剤を含有し、当該硬化剤がジシアンジアミド系化合物又はウレア化合物である、請求項1~5のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  7. 前記エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が、前記エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度よりも10℃以上高い、請求項1~6のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  8. 前記エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が50~300℃である、請求項1~7のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  9. 前記エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度が-60~150℃である、請求項1~8のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  10. 厚みが5μm~2000μmである請求項1~のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  11. 硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)が20N/mm2以上である請求項1~10のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  12. 硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上である請求項1~11のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載のフィルム状接着剤が硬化してなる硬化物。
  14. 請求項1~12のいずれかに記載のフィルム状接着剤を備えた積層体。
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