JP7224997B2 - Al4SiC4粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、AlSiC粉末に関する。詳細には、本発明は、遮熱塗料等に用いるAlSiC粉末に関する。
近年、温暖化の影響により、太陽光(赤外線)等の熱線による構造物の温度上昇や劣化が問題となっている。建築物においては、その外壁や屋根に塗布して、直射日光による室内温度の上昇を防止するための遮熱塗料が多用されている。赤外線領域における反射率が高い遮熱塗料が求められている。赤外線反射性を付与するために、酸化チタン、酸化アルミニウム等の添加剤を添加した遮熱塗料が検討されている。
特許第6302518号公報(特許文献1)では、大径酸化チタン及び小径酸化チタンと、アクリルニトリル系樹脂からなる中空粒子とを含む遮熱塗料が提案されている。特開2017-194632号公報(特許文献2)には、太陽光による光学機器の温度上昇を抑制するための遮熱塗料が開示されている。この遮熱塗料は、所定の樹脂を溶剤に溶解した溶液中に、空孔含有粒子と高屈折率粒子とを含んでいる。
特許第6311135号公報(特許文献3)では、加熱炉等の内壁に用いられる耐火物に塗布するためのコーティング液が提案されている。このコーティング液は、輻射散乱材として、セラミックファイバー及び/又はセラミックス粉末を含有している。特許第5315589号公報(特許文献4)には、FeとCoとAlを含有する複合酸化物からなる赤外線反射用黒色顔料が開示されている。特許第6131625号公報(特許文献5)では、特許文献3で、輻射散乱材としてあげられたAlSiC粉末が、耐火物の酸化防止剤として用いられている。
特許第6302518号公報 特開2017-194632号公報 特許第6311135号公報 特許第5315589号公報 特許第6131625号公報
遮熱塗料に赤外線反射性を付与するために、種々の材料が検討されているが、その性能は十分満足できるものではない。特許文献3で提案されたAlSiC粉末は、耐火物の酸化防止剤としての検討がなされているが、赤外線反射特性を向上させるための検討は十分におこなわれていない。また、特許文献4で提案された黒色顔料は、レアメタルであるCoを含むため、原料の供給やコストの観点から好ましくないという問題もある。遮熱塗料に赤外線反射性を付与するための添加剤には、さらなる改良が求められている。
本発明の目的は、赤外線反射特性に優れたAlSiC粉末の提供にある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、所定の細孔分布を有するAlSiC粉末によって、顕著に優れた赤外線反射特性が付与されうることを見出すことにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るAlSiC粉末は、水銀圧入法により測定した細孔分布において、モード径が、12.0μm以下であり、かつモード容積が、1.40×10-3・kg-1以下である。
好ましくは、このAlSiC粉末は、水銀圧入法により測定した細孔分布において、全細孔容積が、0.70×10-3・kg-1以下であり、かつ変曲点径が15.0μm以下である。
好ましくは、このAlSiC粉末は、水銀圧入法により測定した細孔分布において、粒子内空隙量が、0.55×10-3・kg-1以下である。
さらに、本発明は、このAlSiC粉末を含む遮熱塗料用添加物に関する。
本発明に係るAlSiC粉末による赤外線反射率は、高い。このAlSiC粉末を添加物として配合することにより、赤外線反射特性に優れた遮熱塗料が得られる。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
本発明に係るAlSiC粉末は、多数の粒子からなる。このAlSiC粉末の細孔分布は、適正である。このAlSiC粉末では、適正な細孔分布により、高い赤外線反射率が達成される。
本願明細書において、AlSiC粉末の細孔分布は水銀圧入法により測定される。具体的には、水銀圧入法による細孔分布測定により、AlSiC粉末の細孔直径と累積細孔容積との関係を示す累積細孔容積曲線を求める。累積細孔容積曲線の横軸は、水銀圧入圧力から求めた細孔直径であり、縦軸は、累積細孔容積である。水銀圧入圧力から細孔直径への換算は、下記(I)式(Washburnの式)を用いる。
D=-(1/P)・4γ・cosΨ (I)
ここで、D:細孔直径(m)、P:水銀の圧入圧力(Pa)、γ:水銀の表面張力(485dyne・cm-1(0.485Pa・m))、Ψ:水銀の接触角(130°=2.26893rad)である。
本発明に係るAlSiC粉末は、水銀圧入法により測定した細孔分布において、モード径が、12.0μm以下であり、かつモード容積が、1.40×10-3・kg-1以下である。モード容積は、log微分細孔容積分布曲線の最大値を意味する。モード径は、log微分細孔容積分布曲線の最大値に対応する細孔直径を示し、AlSiC粉末を構成している粒子同士の間の空隙の直径を意味する。
モード径が、12.0μm以下であり、かつモード容積が、1.40×10-3・kg-1以下であるAlSiC粉末では、粒子同士の凝集が少なく、赤外線に接する表面積が大きい。このAlSiC粉末による赤外線反射率は、高い。さらに、粒子同士の凝集が少ないAlSiC粉末は、塗料との混合性に優れる。このAlSiC粉末は、塗料に均一に分散される。このAlSiC粉末を配合して得られる遮熱塗料は、赤外線反射性に優れている。特に、このAlSiC粉末によれば、波長5500nm付近の遠赤外線領域において、高い反射率が達成される。このAlSiC粉末は、遮熱塗料に赤外線反射性を付与する添加剤として、好適に用いられ得る。
赤外線反射性の観点から、AlSiC粉末は、モード径が0.5μm以上11.5μm以下であり、かつモード容積が0.4×10-3・kg-1以上1.30×10-3・kg-1以下であることが好ましく、モード径が0.5μm以上11.0μm以下、かつモード容積が0.4×10-3・kg-1以上1.25×10-3・kg-1以下であることがより好ましい。
さらに、このAlSiC粉末は、全細孔容積が0.70×10-3・kg-1以下であり、かつ変曲点径が15.0μm以下であることが好ましい。全細孔容積は、全ての細孔容積の合計量を意味する。変曲点径は、累積細孔容積曲線が急激に立ち上がる変曲点のうち、最も細孔直径が大きい点における細孔直径を意味する。
全細孔容積が0.70×10-3・kg-1以下であり、かつ変曲点径が15.0μm以下であるAlSiC粉末では、その内部に存在する空隙が少なく、かつ、それぞれの空隙の直径が小さい。このAlSiC粉末では、赤外線が各細孔の内部にまで入り込むことによる赤外線反射率の低下が、抑制される。この観点から、AlSiC粉末は、全細孔容積が0.65×10-3・kg-1以下、かつ変曲点径が0.70μm以上14.5μm以下であることがより好ましく、全細孔容積が0.60×10-3・kg-1以下、かつ変曲点径が0.70μm以上14.0μm以下であることがさらに好ましい。全細孔容積の下限は特に限定されないが、好ましくは、0.3×10-3・kg-1以上である。
さらにまた、このAlSiC粉末は、粒子内空隙量が0.55×10-3・kg-1以下であることが好ましい。粒子内空隙量は、全細孔容積から変曲点における累積細孔容積を減じた容積であり、各粒子内部に存在する凝集粒子の粒子径よりも小さな空隙の量を示している。
粒子内空隙量が0.55×10-3・kg-1以下であるAlSiC粉末では、各粒子表面における細孔が少ない。このAlSiC粉末を構成する各粒子の表面は、平滑である。このAlSiC粉末では、各粒子の平滑な表面により、赤外線反射率が向上する。この観点から、AlSiC粉末は、粒子内空隙量が0.54×10-3・kg-1以下であることがより好ましく、0.53×10-3・kg-1以下であることがさらに好ましい。粒子内空隙量の下限は特に限定されないが、好ましくは、0.1×10-3・kg-1以上である。
好ましくは、このAlSiC粉末の体積基準累積50%粒子径(メジアン径)は、1μm以上50μm以下である。体積基準累積50%粒子径が1μm以上のAlSiC粉末は、取り扱い性に優れる。このAlSiC粉末を配合した塗料では、粘度の過度な上昇が回避される。この観点から、AlSiC粉末の体積基準累積50%粒子径は、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。
また、体積基準累積50%粒子径が50μm以下のAlSiC粉末は、塗料中での分散性に優れる。このAlSiC粉末を配合した塗料では、AlSiC粉末の沈降による塗膜の仕上がり性の悪化が抑制される。この観点から、AlSiC粉末の体積基準累積50%粒子径は、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
なお、AlSiC粉末の体積基準累積50%粒子径は、レーザー回折散乱法により測定される。具体的には、AlSiC粉末をメタノールに投入した後、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製の商品名「US-300T」)にて、120Wで3分間分散処理して、測定試料とする。この測定試料を、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製の商品名「MT3300」)を用いて測定することにより、体積基準の累積50%粒子径を求める。
以下、本発明の好適な実施形態に係るAlSiC粉末の製造方法について、説明する。前述した細孔分布が形成され、本発明の効果が得られる限り、AlSiC粉末の製造方法は、特に限定されない。
本発明に係るAlSiC粉末は、例えば、アルミニウム源、ケイ素源、炭素源及び炭化ケイ素を、それぞれ秤量した後、十分に混合して、得られた混合物を焼成し、粉砕することにより製造することができる。
アルミニウム源としては、金属Al、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物等を使用することができる。純度の面から好ましいアルミニウム源は、金属Alである。
ケイ素源としては、金属Siや、二酸化ケイ素等のケイ素化合物等を使用することができる。純度の面から好ましいケイ素源は、金属Siである。
炭素源としては、鱗状黒鉛、合成黒鉛、カーボンブラック等を使用することができる。コスト及び入手しやすさの面から、好ましい炭素源は、鱗状黒鉛である。
これらアルミニウム源、ケイ素源、炭素源は、それぞれに含まれるアルミニウム、ケイ素及び炭素のモル比Al:Si:Cが、4:1:4となるように秤量する。
炭化ケイ素(SiC)は、得られるAlSiC粉末の耐水性を悪化させるAlの生成を抑制するために添加される。炭化ケイ素の添加により、原料全体におけるアルミニウムとケイ素とのモル比Al/Siは、前述した4.0よりも低い値となる。具体的には、アルミニウム源に含まれるアルミニウムと、ケイ素源及び炭化ケイ素に含まれるケイ素の総量とのモル比Al/Siが、3.76以上3.94以下の範囲となるように、炭化ケイ素の添加量を調整する。
秤量したアルミニウム源、ケイ素源、炭素源及び炭化ケイ素を混合する方法は、特に限定されず、既知の混合装置が適宜選択されて用いられる。その具体例としては、V型混合機等の容器回転型混合機、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、プロシェアミキサー、スーパーミキサー、乾式ボールミル等が挙げられる。できるだけ均一に混合することが好ましい。
アルミニウム源、ケイ素源、炭素源及び炭化ケイ素の混合条件は、使用する混合装置に応じて適宜選択される。例えば、乾式ボールミルを用いる場合、均一混合の観点から、常温で5時間以上実施することが好ましい。
次に、得られた混合原料を焼成してAlSiCを合成する。焼成に使用する装置は、不活性雰囲気中で1650℃~1900℃で焼成できるものであればよく、特に限定されない。箱型炉、坩堝炉、管状炉、トンネル炉、真空炉、炉底昇降炉、抵抗加熱炉、誘導加熱炉、直通電型電気炉等既知の焼成炉が用いられ得る。
焼成によるAlSiCの合成反応は、二段階で進行する。先ず、Al、Si及びCが反応して、AlとSiCとが生成する。次に、1300℃以上の温度領域で、AlとSiCとが反応して、AlSiCが合成される。焼成温度が1650℃未満では、二段階目の反応の進行が遅いため、反応後にAlが残存しやすい。そのため、焼成温度は1650℃以上とすることが好ましい。
一方、焼成温度が1900℃を超えるとAlSiCの一部が熱分解する。このため、焼成温度は1900℃以下が好ましく、1800℃以下がより好ましく、1750℃以下がさらに好ましい。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜調整すればよいが、1時間~10時間程度が好ましい。
焼成炉内の雰囲気中に窒素が存在すると、この窒素が金属Alと反応し、窒化アルミニウム(AlN)が副産物として生成する場合がある。窒化アルミニウムの生成抑制のため、焼成は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、アルゴン等の不活性ガスを焼成炉内に流しながら焼成を行なうことがより好ましい。また、焼成前に、使用する焼成炉内にあらかじめ不活性ガスを充填して、残存する窒素及び炭素を除去しておくことが好ましい。
焼成により得られたAlSiCは、既知の粉砕手段を用いて粉末化される。前述した細孔分布及び粒度分布が得られるように、粉砕装置及び粉砕条件を調整することにより、本発明に係るAlSiC粉末が得られる。
粉砕装置の例として、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、インパクトクラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、乾式ボールミル、振動ミル、ビーズミル、サイクロンミル等が挙げられる。
粉砕条件は、特に限定されず、使用する粉砕装置の種類等に応じて、粉砕時の回転数、処理時間等を適宜調整することで、所望の細孔分布及び粒度分布を達成することができる。例えば、乾式ボールミルを用いて粉砕する場合、好ましい粉砕時間は0.1時間以上24時間以内である。粉砕時間が0.1時間より短いと、得られるAlSiC粉末の粒子径が大きくなるとともに、所望の細孔分布が得られない場合がある。所望の細孔分布及び粒度分布となるように、細孔分布及び粒度分布の異なる複数のAlSiC粉末を混合して調整することも可能である。複数のAlSiC粉末を混合する場合、その混合方法は特に限定されず、既知の混合装置が適宜選択されて用いられる。その具体例としては、V型混合機等の容器回転型混合機、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、プロシェアミキサー、スーパーミキサー、乾式ボールミル等が挙げられる。
以上の工程により、本発明に係るAlSiC粉末を製造することができるが、本発明に係るAlSiC粉末の製造方法は、上記製造方法に限定されるものではない。
前述したAlSiC粉末は、遮熱塗料用添加物として好適に用いられる。このAlSiC粉末を含む添加物を配合して得られる遮熱塗料では、適正な細孔分布を有するAlSiC粉末によって、高い赤外線反射性が発揮される。この遮熱塗料用添加物は、建築物のみならず、種々の分野で、赤外線による温度上昇や劣化を防ぐための遮熱塗料の製造に用いられうる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。なお、後述する合成例、実施例及び比較例において得られたAlSiC粉末の細孔分布は、以下の方法に従って測定した。
[細孔分布測定]
水銀圧入式細孔分布測定装置として、マイクロメリティックス社製の商品名「オートポアIV9510」を使用した。水銀は、純度99.5mass%以上、密度15.5335×103kg/mである特級の水銀試薬を用いた。測定セルは、セル内容積5×10-6、ステム容積0.38×10-6の粉体試料用セルを用いた。測定試料である各AlSiC粉末を、質量0.10×10-3~0.13×10-3kgの範囲で精密に秤量し、測定セルに充填した。この測定セルを装置に装着した後、セル内部を圧力50μHg(6.67Pa)以下で20分間、減圧状態に保持した。次に、測定セル内に、圧力が1.5psia(10342Pa)になるまで水銀を充填した。その後、圧力2psia(13790Pa)から60000psia(413.7MPa)の範囲で水銀を圧入して、細孔分布を測定した。
水銀の圧入圧力を細孔直径に換算するには、下記(I)式を用いた。
D=-(1/P)・4γ・cosΨ (I)
ここで、D:細孔直径(m)、P:水銀の圧入圧力(Pa)、γ:水銀の表面張力(485dyne・cm-1(0.485Pa・m))、Ψ:水銀の接触角(130°=2.26893rad)である。
[合成例1]
金属Al(純度99%、粒度50μm以下)、金属Si(純度98%、粒度50μm以下)、及び鱗状黒鉛(純度98%、粒度100μm以下)からなる原料をモル換算でAl:Si:C=44.44mol%:11.11mol%:44.44mol%となるように秤量した。さらに、原料全体におけるAl/Siモル比が3.76以上3.94以下となるように、SiC(純度99%、粒度50μm以下)を秤量した。
秤量した各原料を、スーパーミキサーを用いて0.5時間乾式混合した。得られた混合原料を焼成炉に投入し、アルゴンガスを流しながら、1800℃で5時間焼成した。得られた焼成物を、乾式ボールミルを用いて粉砕した。乾式ボールミルによる粉砕は、容積2Lのポットにアルミナボール1.7kgと焼成物0.5kgとを投入し、回転数80rpmでおこなった。モード径、モード容積、全細孔容積、変曲点径及び粒子内空隙量が、それぞれ下表1に示したものとなるように粉砕時間を調整することにより、合成例1のAlSiC粉末(S1)を得た。
[合成例2]
焼成後の乾式ボールミル粉砕の条件を、モード径、モード容積、全細孔容積、変曲点径及び粒子内空隙量が、それぞれ下表1に示したものとなるように調整した以外は、合成例1と同様にして、合成例2のAlSiC粉末(S2)を得た。
[合成例3]
焼成後の乾式ボールミル粉砕の条件を、モード径、モード容積、全細孔容積、変曲点径及び粒子内空隙量が、それぞれ下表1に示したものとなるように調整した以外は、合成例1と同様にして、合成例3のAlSiC粉末(S3)を得た。
Figure 0007224997000001
[実施例1-3及び比較例1-2]
合成例1-3で得られたAlSiC粉末(S1)-(S3)を、下表2に示される配合比率(質量比)に従って配合し、実施例1-3及び比較例1-2のAlSiC粉末を得た。実施例2及び3については、配合時にミキサーによる混合をおこなった。実施例1-3及び比較例1-2のモード径、モード容積、全細孔容積、変曲点径及び粒子内空隙量が、下表2に示されている。
[赤外線反射率の測定]
JIS R1693-2:2012(ファインセラミックス及びセラミックス複合材料の放射率測定方法 第2部:FTIRを用いた反射法による垂直放射率)に準じて、実施例1-3及び比較例1-2の赤外線反射率を測定した。測定には、FTIR装置(Perkin Elmer製 System2000型)を使用した。積分球(Labsphere製 RSA-PE-200-ID)を使用し、室温(25℃)で、波長領域1667nm~25.0μmの範囲における分光反射率スペクトルを測定し、得られたデータから反射率を算出した。波長5500nmにおける反射率が30%以上の場合を◎とし、20%以上の場合を○とし、20%より低い場合を×とした。数値が大きい程、評価が高い。この結果が、下表2に示されている。
Figure 0007224997000002
表2に示されるように、実施例1-3で得られたAlSiC粉末は、水銀圧入法により測定した細孔分布におけるモード径が12.0μm以下であり、かつモード容積が1.40×10-3・kg-1以下であった。実施例1-3では、粒子同士の凝集が少なく、赤外線に対する表面積が大きいことから、高い赤外線反射率が達成された。
一方、比較例1-2のAlSiC粉末は、モード径が12.0μmを超えて大きく、かつモード容積も1.40×10-3・kg-1を超えて大きいため、赤外線反射率に劣る結果となった。
表2に示されるように、実施例のAlSiC粉末は、比較例のAlSiC粉末に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたAlSiC粉末は、赤外線反射性を付与するための添加剤として、種々の分野で使用される。

Claims (4)

  1. 水銀圧入法により測定した細孔分布において、モード径が、12.0μm以下であり、かつモード容積が、1.40×10-3・kg-1以下である、AlSiC粉末。
  2. 水銀圧入法により測定した細孔分布において、全細孔容積が、0.70×10-3・kg-1以下であり、かつ変曲点径が15.0μm以下である、請求項1に記載のAlSiC粉末。
  3. 水銀圧入法により測定した細孔分布において、粒子内空隙量が、0.55×10-3・kg-1以下である、請求項1又は2に記載のAlSiC粉末。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のAlSiC粉末を含む遮熱塗料用添加剤。
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