JP7223584B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体に関する。
熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易なことから、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムの代替として、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン系共重合体とポリプロピレンなどの結晶性オレフィン系重合体を原料としていることから、他の熱可塑性エラストマーに比べて、比重が軽く、耐熱老化性、耐候性などの耐久性に優れているが、用途によっては更なる改良が求められている。
プロピレン系重合体に核剤を添加することにより、耐衝撃性などが向上することは一般に知られている。特にβ晶核剤を配合した場合、耐衝撃性が改善し、剛性が向上することが知られている。
例えば、特許文献1には、プロピレン系樹脂として特定の共重合体を用い、かつ、これにβ晶核剤としてN,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミドを配合してなる樹脂組成物は、生産性を上げられる比較的低温の金型温度(10~50℃)で射出成形しても、耐衝撃性に優れた成形体が得られることが記載されている。
特許文献2には、プロピレン系樹脂(α)50~98質量%、及び前記プロピレン系樹脂(α)以外の所定の要件を満たすオレフィン系樹脂(β)2~50質量%を含有する樹脂組成物(前記プロピレン系樹脂(α)と前記オレフィン系樹脂(β)との合計は100質量%である)100質量部に対して、造核剤(δ)を0.005~1質量部を含むプロピレン系樹脂組成物が剛性と耐衝撃性とのバランスに優れ、同時に耐熱性をも併せ持つことが記載されている。
特許文献3には、結晶性エチレン系重合体、エチレン・α-オレフィン(・非共役ポリエン)共重合体ゴム、高立体規則性プロピレン重合体、プロセスオイルに対し、結晶核剤を配合することにより、成形した熱可塑性エラストマーの柔らかさ等の物性を損なうことなく、耐熱試験後のベタベタ感やテカテカ感を生じない熱可塑性エラストマー組成物が得られることが記載されている。
特開平8-142094号公報 特開2017-057319号公報 特開2003-155387号公報(請求項5、段落0039)
自動車がより苛酷な使用環境にも耐えられるように、より低温における衝撃強度の向上が求められているが、低温特性改良のためにゴム成分を増やすと剛性が低下する。そこで剛性を向上させるために核剤添加量を増やすと、今度はポリプロピレンなどの結晶性オレフィン系重合体の表面の結晶化度が高くなりすぎてグロスが低下することがある。
本発明の課題は、結晶性オレフィン系重合体、エチレン系共重合体及びβ晶核剤を配合してなる組成物における低温での耐衝撃性を改善することである。
本発明者らは、前述した課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の物性を有する結晶性オレフィン系重合体とエチレン系共重合体ゴムとβ晶核剤とを特定比率で配合することにより、低温耐衝撃性と引張特性とグロスとのバランスが良好な組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が20~200g/10分、融点(Tm)が145~170℃である結晶性オレフィン系重合体(A)40~60質量部と、エチレン系共重合体ゴム(B)40~60質量部と、β晶核剤(C)0.1~1質量部とを含む組成物(但し、成分(A)及び(B)の合計量は100質量部である)。
(2)組成物中における結晶性オレフィン系重合体(A)の量をWa質量部、β晶核剤(C)の量をWc質量部としたときに、Wa/Wcが40~600である前記(1)に記載の組成物。
(3)結晶性オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体である前記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)エチレン系共重合体ゴム(B)がエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンの共重合体であり、密度855~870kg/m、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)0.1~10g/10分である前記(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)前記(1)~(4)のいずれかに記載の組成物を含む成形体。
(6)前記(1)~(4)のいずれかに記載の組成物を含む自動車用表皮材。
(7)前記(1)~(4)のいずれかに記載の組成物を含む自動車用エアバッグカバー材。
(8)前記(1)~(4)のいずれかに記載の組成物を用いて、成形温度170~270℃で射出成形することを含む前記(5)に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、結晶性オレフィン系重合体、エチレン系共重合体及びβ晶核剤を配合してなる組成物における低温での耐衝撃性を改善することができる。また、通常、核剤の添加により成形体表面の結晶化が促進されてグロスが低下する傾向にあるが、本発明の組成物では逆にグロスが向上する。
<結晶性オレフィン系重合体(A)>
結晶性オレフィン系重合体(A)は、オレフィンから得られる結晶性の重合体であれば特に制限されないが、1種以上のモノオレフィンを、高圧法又は低圧法の何れかにより重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる重合体であることが好ましい。このような重合体としては、アイソタクチックモノオレフィン重合体、シンジオタクチックモノオレフィン重合体等が挙げられる。
結晶性オレフィン系重合体(A)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品を用いてもよい。
結晶性オレフィン系重合体(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
結晶性オレフィン系重合体(A)の原料となるモノオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。これらのオレフィンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
結晶性オレフィン系重合体(A)の中でも、耐熱性、耐油性の点からは、プロピレンを主とするモノオレフィンから得られるプロピレン単独重合体又はプロピレン共重合体であるプロピレン系(共)重合体が好ましい。なお、プロピレン共重合体の場合、プロピレン由来の構造単位の含有量は好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、プロピレン以外の単量体由来の構造単位となるモノオレフィンとしては、好ましくはプロピレン以外の前記モノオレフィン、より好ましくはエチレン、ブテンである。
重合様式はランダム型でもブロック型でも、結晶性の樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。
前記結晶性オレフィン系重合体(A)は、MFR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重)が20~200g/10分であり、好ましくは40~70g/10分である。前記MFRが20g/10分未満であると、流動性が不足し射出成形には適さない可能性があり、200g/10分を超えると、低温での衝撃性が著しく悪化する懸念がある。
結晶性オレフィン系重合体(A)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点(Tm)が、145~170℃であり、好ましくは155~165℃である。前記融点(Tm)が145℃未満であると、低温での衝撃性が良化する一方で、剛性が低下し、170℃を超えると、剛性が上昇する一方で、低温での衝撃性が悪化する可能性がある。
結晶性オレフィン系重合体(A)の密度は、通常890~910kg/m、好ましくは900~910kg/mである。
結晶性オレフィン系重合体(A)は、熱可塑性エラストマー組成物の流動性及び耐熱性を向上させる役割を果たす。
結晶性オレフィン系重合体(A)の配合量は、結晶性オレフィン系重合体(A)及びエチレン系共重合体ゴム(B)の合計量100質量部に対して、40~60質量部、好ましくは40~55質量部である。前記結晶性オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部未満であると、流動性が不足し射出成形には適さない可能性があり、60質量部を超えると、剛性が上昇し低温での衝撃性が著しく悪化する懸念がある。
<エチレン系共重合体ゴム(B)>
本発明に用いるエチレン系共重合体ゴム(B)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを主成分とする弾性共重合体ゴムであり、好ましくは、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴム、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムが挙げられる。ここで、エチレン系共重合体ゴム(B)の「ゴム」とは、DSCにより求められる結晶化度が10%未満である共重合体を意味する。
前記α-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましい。とりわけ1-ブテンが好ましい。これらのα-オレフィンは、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
エチレン系共重合体ゴム(B)におけるエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとのモル比は、通常55/45~85/15であり、好ましくは60/40~83/17である。
前記非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン)、エチリデンノルボルネン(例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン)、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン等のトリエン等が挙げられる。
エチレン系共重合体ゴム(B)としては、エチレン・1-ブテン共重合体ゴムが好ましい。
エチレン系共重合体ゴム(B)の密度は、通常850~870kg/m、好ましくは855~870kg/mである。
エチレン系共重合体ゴム(B)は、MFR(ISO1133、190℃、2.16kg荷重)が、通常0.1~50g/10分であり、好ましくは0.1~10g/10分である。
エチレン系共重合体ゴム(B)は、MFR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重)が、通常0.2~100g/10分であり、好ましくは0.2~20g/10分である。
エチレン系共重合体ゴム(B)のムーニー粘度[ML1+4(125℃)]は、通常35~300、好ましくは40~160である。
本発明に用いるエチレン系共重合体ゴム(B)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点(Tm)が、120℃未満(好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下)であるか、あるいは観測されないことが好ましい。ここで、「融点が観測されない」とは融解熱量(ΔH)が1J/g未満であることを意味する。
本発明に用いるエチレン系共重合体ゴム(B)は、その製造の際に軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤を配合した、いわゆる油展ゴムであってもよい。鉱物油系軟化剤としては、従来公知の鉱物油系軟化剤、例えばパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
エチレン系共重合体ゴム(B)の配合量は、結晶性オレフィン系重合体(A)及びエチレン系共重合体ゴム(B)の合計量100質量部に対して、40~60質量部、好ましくは45~60質量部である。前記エチレン系共重合体ゴム(B)の配合量が40質量部未満であると、剛性が上昇し低温での衝撃性が著しく悪化する懸念があり、60質量部を超えると、流動性や結晶性が不足し射出成形には適さない可能性がある。
<β晶核剤(C)>
本発明においてβ晶核剤とは、結晶性オレフィン系重合体、特にプロピレン系重合体に六方晶構造であるβ晶を形成させることができる化合物をいう。本発明に用いるβ晶核剤は、特に限定されず、従来公知の種々のβ晶核剤を利用することができ、1種類のβ晶核剤又は2種類以上のβ晶核剤を混合して用いてもよい。具体的には例えば、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミド等に代表されるアミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン、キナクリドンキノン等に代表されるキナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、ピメリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物、二もしくは三塩基カルボン酸のジエステル類もしくはトリエステル類、フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。前記β晶核剤の中でも、次式(I):
-NHCO-R-CONH-R (I)
(前記式(I)中、Rは、炭素数1~24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸、炭素数4~28の飽和もしくは不飽和の脂環式ジカルボン酸又は炭素数6~28の芳香族ジカルボン酸に由来する残基を示し;R及びRはそれぞれ独立して、炭素数3~18の無置換もしくは置換のシクロアルキル基、無置換もしくは置換のフェニル基、炭素数4~18のシクロアルキルアルキル基、又はアラルキル基を示す。)で示されるアミド系化合物、特に、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミドが好ましく、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミドが好ましい。
前記式(I)で表されるアミド系化合物は、市販品をそのまま用いてもよく、また、対応するジカルボン酸と脂環式モノアミン及び/又は芳香族モノアミンとを公知の方法、例えば、特開平7-309821号公報に記載の方法に従ってアミド化反応させて得られたものを用いてもよい。
β晶核剤(C)の配合量は、結晶性オレフィン系重合体(A)及びエチレン系共重合体ゴム(B)の合計量100質量部に対して、0.1~1質量部、好ましくは0.1~0.5質量部である。前記β晶核剤(C)の配合量が0.1質量部未満であると、核剤効果が十分に得られず低温での衝撃性改善の効果が得られず、1質量部を超えると、結晶化速度が速まることによるフローマーク等の成形不具合を生じる。
なお、本発明の組成物中の結晶性オレフィン系重合体(A)の量をWa質量部、β晶核剤(C)の量をWc質量部としたときに、Wa/Wcが40~600であることが結晶化速度の上昇とグロス向上とのバランスの観点から好ましく、より好ましくは40~450、更に好ましくは40~300である。
<その他の成分>
本発明の組成物には、結晶性オレフィン系重合体(A)、エチレン系共重合体ゴム(B)及びβ晶核剤(C)の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、架橋剤、架橋助剤、多官能性ビニルモノマー、軟化剤、充填剤等が挙げられる。また、添加剤としては、エチレン系共重合体ゴム(B)以外のゴム(例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン・エチレン共重合体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体ゴム及びプロピレン・ブテン・エチレン共重合体ゴムなどのプロピレン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー);熱硬化性樹脂、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂等の結晶性オレフィン系重合体(A)以外の樹脂;受酸剤、紫外線吸収剤;酸化防止剤;耐熱安定剤;老化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケン;脂肪族アミド;ワックスなどの滑剤等、ポリオレフィンの分野で用いられている公知の添加剤が挙げられる。前記のその他の添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではない。
本発明に用いる架橋剤としては、例えば有機過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられるが、中でも有機過酸化物が好ましく用いられる。
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、イオウ、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N’-m-フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート又はビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又は脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。
充填剤としては、従来公知の充填剤、具体的には、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、シリカ、アルミナ、グラファイト、ガラス繊維などが挙げられる。
本発明の組成物において、結晶性オレフィン系重合体(A)、エチレン系共重合体ゴム(B)及びβ晶核剤(C)以外の添加剤の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、結晶性オレフィン系重合体(A)及びエチレン系共重合体ゴム(B)の合計量100質量部に対して、その他の添加剤の合計量は、通常5質量部以下、好ましくは0.5~3.0質量部である。
<組成物及び成形体>
本発明の組成物は、少なくとも前記の結晶性オレフィン系重合体(A)、エチレン系共重合体ゴム(B)及びβ晶核剤(C)を、所定の配合比で溶融法、溶液法等、好ましくは溶融混練方法により混合することで得られる。溶融混練方法としては、熱可塑性樹脂について一般的に用いられている溶融混練方法が適用できる。本発明の組成物は、例えば、粉状又は粒状の各成分を、必要であれば他の添加物等とともに、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、混練ロール、バッチ混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練することにより調製することができる。各成分の溶融混練温度(例えば、押出機ならシリンダー温度)は、160~260℃が好ましく、180~230℃が更に好ましい。各成分の混練順序及び混練方法は、特に限定されない。
本発明の成形体は、本発明の組成物を含む成形体である。本発明の組成物は、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の成形方法により、各種成形体に成形することができる。
前記の成形方法のうち、射出成形が特に好ましく、その場合、流動性、金型転写性及び樹脂成分の酸化劣化の点から、成形温度は170~260℃が好ましく、180~250℃が更に好ましい。
本発明の成形体は、低温での耐衝撃性及びグロスが改善されていることから、特に自動車用表皮材、自動車用エアバッグカバー材等の自動車部品として好適に適用することができる。
次に本発明について実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り「部」は「質量部」を示す。本発明において、重量部と質量部は同義で扱う。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
下記実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の物性の評価方法は次の通りである。
[メルトフローレート(MFR)]
ISO1133に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
[引張特性]
JIS K6251の方法に従って測定した。
なお、試験片は、厚さ2mmのプレスシートから3号ダンベル片を打ち抜いて用いた。測定温度:23℃及び-35℃
破断点抗張力(MPa)
破断点伸び(%)
[曲げ弾性率]
ASTM D790に準拠し、射出成形によって得られた試験片を用い、かつ成形後23℃で24時間以上放置した試験片について23℃で測定した。
[低温衝撃強度]
ASTM D256に準拠して、厚さ3mmの試験片(前ノッチ)を用いて、温度-40℃、-45℃の条件下で測定した。
[60°グロス]
射出成形によって得た2mmtシートに関しJIS K7105に準拠して60°グロスを測定した。
[熱可塑性エラストマー組成物の材料の物性]
下記実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の材料の物性の測定方法は次の通りである。
[密度]
密度は、ISO1183(水中置換法)に従って、水中と空気中で測定された各試料の重量から算出した。
[MFR]
MFRはISO1133に準拠して、230℃又は190℃、2.16kg荷重で測定した。
[融点(Tm)]
示差走査熱量分析(DSC)により測定する。この測定は、次のようにして行われる。試料5mg程度を専用アルミパンに詰め、(株)パーキンエルマー社製Diamond DSCを用い、30℃から230℃までを500℃/分で昇温し、230℃で10分間保持したのち、230℃から30℃までを10℃/分で降温し、30℃で更に1分間保持し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より融点を求める。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピーク温度を融点(Tm)と定義する。
[実施例1~3]
[使用材料]
(1)結晶性オレフィン系重合体(A)
結晶性オレフィン系重合体(A)として、下記の物性を有する市販のプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP-1)を用いた。
MFR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重):54g/10分
融点(Tm):162℃
密度:900kg/m
(2)エチレン系共重合体ゴム(B)
エチレン系共重合体ゴム(B)として、下記の物性を有する市販のエチレン・1-ブテン共重合体(EBR-1及びEBR-2)を用いた。
(B-1)EBR-1
MFR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重):6.7g/10分
MFR(ISO1133、190℃、2.16kg荷重):3.6g/10分
融点(Tm):観測されない(測定温度:30℃~230℃)
密度:864kg/m
(B-2)EBR-2
MFR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重):0.9g/10分
MFR(ISO1133、190℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
融点(Tm):観測されない(測定温度:30℃~230℃)
密度:861kg/m
(3)β晶核剤(C)
β晶核剤(C)として、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド(商品名:NU-100、新日本理化株式会社製)を用いた。
(4)充填剤
充填剤として、カーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)を用いた。
(実施例1)
結晶性オレフィン系重合体(A)として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP-1)54質量部、エチレン系共重合体ゴム(B)として、エチレン・1-ブテン共重合体(EBR-1)21質量部及びエチレン・1-ブテン共重合体(EBR-2)25質量部、β晶核剤(C)として、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド(商品名:NU-100、新日本理化株式会社製)0.2質量部、並びに充填剤として、カーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)1.5質量部をヘンシェルミキサーで充分に混合し、下記条件下で押出混練した。
<押出機>
・品番 KTX-46、神戸製鋼(株)製
シリンダー温度:C1~C2 120℃、C3~C4 140℃、C5~C14 200℃、
ダイス温度:200℃
スクリュー回転数:400rpm
押出量:80kg/h
<射出成形機>
・品番 NEX140(日精樹脂工業(株)製)
シリンダー温度(射出成形温度):220℃
金型温度:40℃
(実施例2及び3)
シリンダー温度(射出成形温度)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にした。樹脂組成物を用いて製造した射出成形体(試験片)の物性及び評価結果を表1に示す。
(比較例1~3)
β晶核剤(C)を配合しなかった以外は、実施例1と同様にした。樹脂組成物を用いて製造した射出成形体(試験片)の物性及び評価結果を表1に示す。
Figure 0007223584000001
表1から、特定の物性を有する結晶性オレフィン系重合体と、エチレン系共重合体と、β晶核剤とを特定の割合で配合することにより、低温耐衝撃性が顕著に改善されるとともに、グロスが向上することがわかる。

Claims (7)

  1. メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が20~200g/10分、融点(Tm)が145~170℃であるプロピレン系重合体からなる結晶性オレフィン系重合体(A)40~60質量部と、エチレン系共重合体ゴム(B)40~60質量部と、β晶核剤(C)0.1~1質量部とを含む組成物(但し、成分(A)及び(B)の合計量は100質量部である)。
  2. 組成物中における結晶性オレフィン系重合体(A)の量をWa質量部、β晶核剤(C)の量をWc質量部としたときに、Wa/Wcが40~600である請求項1に記載の組成物。
  3. エチレン系共重合体ゴム(B)がエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンの共重合体であり、密度855~870kg/m、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)0.1~10g/10分である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む成形体。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む自動車用表皮材。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む自動車用エアバッグカバー材。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を用いて、成形温度170~270℃で射出成形することを含む請求項に記載の成形体の製造方法。
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