前記課題を解決するために、本発明は、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であり、45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、ASTM E424に基づいて測定したUV-カット(cut)傾き(dT/dλ)が透過度10%~80%の範囲で0.25以上であるポリアミド樹脂を提供する。
また、本発明は、45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、小角X線散乱装置を利用して、X線をポリアミド樹脂に照射して得られる小角X線散乱関数I(q)(X軸が波数qであり、Y軸が散乱強度I)が下記数式1および数式2を満たすポリアミド樹脂を提供する。
[数式1]
d2I(q)/dq2>0
上記数式1中、0.003Å-1≦q≦0.03Å-1であり、
[数式2]
I(q)≧1a.u.
上記数式2中、q≧0.08Å-1である。
また、本発明は、上述したポリアミド樹脂を含む高分子フィルムが提供される。
また、本発明は、前記ポリアミド樹脂を含む基材と、前記基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層とを含む樹脂積層体が提供される。
以下、本発明の具体的な実施形態によるポリアミド樹脂およびこれを利用した高分子フィルムおよび樹脂積層体についてより詳細に説明する。
本明細書で特に制限しない限り、次の用語は下記のように定義される。
本明細書で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書で、「置換」という用語は化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
本明細書で「置換または非置換された」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1級アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;ハロアルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、O、およびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換または非置換されるか、または前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換または非置換されたものを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。好ましくは、前記置換基としてはハロアルキル基を使用し得、前記ハロアルキル基の例としてはトリフルオロメチル基が挙げられる。
本明細書で、
は、他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書で、アルキル基はアルカン(alkane)に由来する1価の官能基であって、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが、1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は置換または非置換され得る。
本明細書で、アリール基はアレーン(arene)に由来する1価の官能基であって、特に限定されないが炭素数6~20であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記アリール基が単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記アリール基は置換または非置換され得る。
本明細書で、アリーレン基はアレーン(arene)に由来する2価の官能基であって、これらは2価の官能基であることを除いては前述したアリール基の説明が適用されることができる。例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフタレン基、フルオレニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、ペリレン基、テトラセニル基、アントラセニル基などであり得る。前記アリーレン基は置換または非置換され得る。
本明細書で、ヘテロアリール基は炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子はO、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含み得る。炭素数は特に限定されないが、炭素数4~20であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は単環式または多環式であり得る。ヘテロ環基の例としてはチオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン(phenanthroline)基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、アジリジル基、アザインドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリン(purine)基、プテリジル(pteridine)基、ベータ-カボリル基、ナフチリジル(naphthyridine)基、テルピリジル基、フェナジニル基、イミダゾピリジル基、パイロピリジル基、アゼピン基、ピラゾリル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。前記ヘテロアリール基は置換または非置換され得る。
本明細書で、ヘテロアリーレン基は、炭素数は2~20、または2~10、または6~20である。異種原子としてO、NまたはSを含有したアリーレン基であって、2価の官能基であることを除いては前述したヘテロアリール基の説明が適用されることができる。前記ヘテロアリーレン基は置換または非置換され得る。
本明細書で、ハロゲンの例としてはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。
I.ポリアミド樹脂
発明の一実施形態によれば、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であり、45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、ASTM E424に基づいて測定したUV-カット傾き(dT/dλ)が透過度10%~80%の範囲で0.25以上であるポリアミド樹脂が提供され得る。
本発明者らは前述したように、個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂は結晶性ポリマーが有する優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さいサイズを有することにより、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有し得ることを実験により確認して発明を完成した。
これとは異なり、前記ポリアミド樹脂に対して小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm超過で過度に増加する場合、前記ポリアミド樹脂内部で結晶性を有する部分が占める比率やその大きさが過度に成長し、結晶特性が強く実現され、高分子自体の柔軟性や曲げ耐久性が低下し、またヘイズ値が急激に増加して透明性が減少し得る。
また、本発明者らは前記一実施形態のポリアミド樹脂が小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下を満たすと同時に、45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、ASTM E424に基づいて測定したUV-カット傾き(dT/d)が透過度10%~80%の範囲で0.25以上を満たすことによって、外部の紫外線領域の波長の光を遮断して電子機器内部の材料を保護する特性が強化され、カバーウィンドウフィルムなどへの適用時に優れた紫外線遮蔽機能を実現しながらも、適正水準以上の機械的物性および優れた透明性を確保できることを実験により確認して発明を完成した。
具体的には、前記ポリアミド樹脂は、ASTM E424に基づいて45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下の厚さを有する試片に対して、測定したUV-カット傾き(dT/dλ)が透過度10%~80%の範囲で0.25以上、または0.3以上、または0.35以上、または0.25以上10以下、または0.25以上8以下、または0.25以上6以下、または0.3以上10以下、または0.3以上8以下、または0.3以上6以下、または0.3以上6以下、または0.35以上5.5以下、または0.35以上5以下、または0.35以上4.56以下であり得る。
前記ポリアミド樹脂のUV-カット傾き(dT/dλ)は、x軸が波長(λ)であり、y軸が透過率(transmittance)であるx-yグラフ上での瞬間の傾き、すなわち、微分係数を意味する。
このように前記ポリアミド樹脂が相対的に高いUV-カット傾きを有することによって、優れた紫外線遮蔽機能と共に無色透明な光学特性を有し得る。
これに対して、前記ポリアミド樹脂がASTM E424に基づいて45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下の厚さを有する試片に対して、測定したUV-カット傾き(dT/dλ)が透過度10%~80%の範囲で0.25未満に過度に減少する場合、低いUV-カット傾きを有して紫外線遮蔽機能などが低くなり得る。
また、この時、UV-カットオフ(cut off)波長(透過度1%未満時の波長)は350nm~390nmであり得る。
前記ポリアミド樹脂のUV-カット傾きは、通常知られた測定方法および測定装置により確認できる。例えば、UV-Vis分光光度計(製造会社:Shimadzu社、モデル名:UV2600)を用いてASTM E424の測定法によりポリアミド樹脂またはこれから得られたフィルムのUV-カットオフ波長(λ)およびUV-カット傾き(dT/dλ)を測定する方法を使用することができる。
より具体的には、前記ポリアミド樹脂は、ASTM E424に基づいて45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下の厚さを有する試片に対して、測定したUV-カット傾き(dT/dλ)が透過度80%で0.25以上、または0.35以上、または0.25以上2.0以下、または0.35以上2.0以下、または0.36以上0.68以下であり得る。
また、前記ポリアミド樹脂は、ASTM E424に基づいて45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下の厚さを有する試片に対して、測定したUV-カット傾き(dT/dλ)が透過度10%で2以上、または2.3以上、または2以上5以下、または2.3以上5以下、または2.4以上3以下、または2.45以上2.9以下であり得る。
一方、前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下を満たすことができる。前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶を含み得る。前記ポリアミド樹脂に含有された個別結晶の平均粒径は前記ポリアミド樹脂に含まれる全体結晶の粒径を確認し、これら粒径の合計を個別結晶の個数で割った数平均粒径計算方法により求めることができる。
前記個別結晶の平均粒径は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線を照射して得られる散乱パターンを固体球モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装置により測定可能である。
前記照射されるX線は、例えば、10KeV~14KeVのエネルギーを有するX線と16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線を共に照射する方法を使用することができる。
前記小角X線散乱装置から得られたデータである散乱パターンは20℃~30℃の温度で、小角X線散乱装置を利用して10KeV~20KeVのエネルギーのX線を照射して測定される結果であり得る。前記小角X線散乱装置内で検出器として、イメージ板(imaging Plate)、位置-敏感性検出器(PSPC;Position-sensitive detector)などが使用可能である。
その後、前記小角X線散乱装置の内部または外部に別途取付分析装置により前記個別結晶の平均粒度分析を行うことができる。前記小角X線散乱装置の例としてはPLS 9A beamlineが挙げられ、前記分析装置の例としてはコンピュータプログラムであるNIST SANS packageが挙げられる。
具体的には、前記個別結晶の平均粒径は、試料に含有された個別結晶の形態を固体球モデル(solid sphere model)にフィッティングして得られる波数q(単位:Å-1)と散乱強度I(単位:a.u.)のプロットをSchulz-Zimm distributionで重畳積分(convolution)して得られる結晶の直径分配曲線に対して、コンピュータプログラム(NIST SANS package)の計算により求めることができる。
前記結晶は0.1nm~15nmの粒径を有する個別結晶の群(group)であり得、このような群(group)に含まれる個別結晶は8nm以下の平均粒径を有し得る。より具体的には、前記群(group)に含まれる個別結晶の95%、または99%が8nm以下の粒径を有し得る。すなわち、前記個別結晶の殆どが8nm以下、または7nm以下、または0.1nm~8.0nm、または0.1nm~7nm、または1nm~8nm、または1nm~7nm、または3nm~8nm、または3nm~7nm、または5nm~6.8nmの粒径を有することにより、個別結晶の平均粒径もこのような範囲を満たすことができる。
より具体的には、前記小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径は、8.0nm以下、または7nm以下、または0.1nm~8.0nm、または0.1nm~7nm、または1nm~8nm、または1nm~7nm、または3nm~8nm、または3nm~7nm、または5nm~6.8nmであり得る。
具体的には、前記小角X線散乱装置を利用してポリアミド樹脂試料にX線を照射すると、検出器により小角X線散乱パターンが確保され、これを分析装置により分析すると、ポリアミド樹脂試料内に含有された個別結晶の平均半径(Rc)値を求められる。これによって最終的に前記個別結晶の平均粒径は、上述した個別結晶の平均半径(Rc)の2倍値を計算して求められる。
より具体的には、下記図1に記載された前記一実施形態のポリアミド樹脂の結晶構造を参照して説明すると、前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶(1)と共に、個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖(3)で構成され、前記個別結晶に対して粒径(2)が定義される。
一方、前記個別結晶(1)は、下記模式図に示すように、ポリアミド樹脂鎖が束に集まって形成され得る。特に、ポリアミド樹脂に含有された結晶性の高分子ブロック間の重畳により前記個別結晶の長さが成長することができ、重畳した個別結晶の形状を具体的に特定することは難しいが、概略的に3次元成長による球形(spherulite)構造、2次元成長によるラメラ(lamella)構造、または3次元と2次元の中間形態の構造を有するとみなされる。
好ましくは、前記ポリアミド樹脂は、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の次元数が3.0以上、または3.0~4.0であり得る。
前記ポリアミド樹脂の個別結晶の次元数は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線を照射して得られる散乱パターンを固体球モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装置により測定することができる。前記小角X線散乱装置とこれに対する分析内容は前記個別結晶の平均粒径で上述した内容を含む。
一方、前記ポリアミド樹脂は、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖をさらに含み得る。より具体的には、下記図1に記載された前記一実施形態のポリアミド樹脂の結晶構造を参照して説明すると、前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶(1)と共に、個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖(3)で構成されることができる。
前記無定形の高分子鎖によって、上述した個別結晶の平均粒径の成長が抑制され、前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下を満たすことができる。
この時、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間の距離は、0.1nm~100nm、または1nm~100nm、または30nm~100nmであり得る。前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間の距離も小角X線散乱装置によって測定することができる。
前記ポリアミド樹脂で、小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の具体的な成分の例が特に限定されるものではなく、結晶性ポリアミド樹脂の製造に使用される多様な芳香族アミド繰り返し単位が制限なく適用され得る。
前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の成分の一例を挙げると、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位を含み得る。前記第1芳香族アミド繰り返し単位からなる高分子鎖が束に集まって前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶を形成することができる。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
より具体的には、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶は、下記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式1において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式1において、Ar1はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式1において、Ar1は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine、TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第1ポリアミドセグメントは、前記化学式1で表される繰り返し単位、または前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
前記化学式1で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式1-1で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、具体的には、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成されたアミド繰り返し単位であり、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持されることができ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が100g/mol~5,000g/mol、または100g/mol~3,000g/mol、または100g/mol~2,500g/mol、または100g/mol~2,450g/molであり得る。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が5,000g/mol超過して増加すると、前記第1ポリアミドセグメントの鎖が過度に長くなることにより、ポリアミド樹脂の結晶性が増加し、これにより、高いヘイズ値を有して透明性を確保しにくい。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量は測定する方法の例が限定されるものではないが、例えば、SAXS(Small-angle X-ray scattering)分析により確認することができる。
前記第1ポリアミドセグメントは下記化学式5で表される。
前記化学式5において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、aは1~5の整数である。前記化学式5において、aが1である場合、前記化学式5は前記化学式1で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式5において、aが2~5である場合、前記化学式5は前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。前記化学式5中のAr1に対する説明は前記化学式1で上述した内容を含む。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式1で表される繰り返し単位の比率が40モル%~95モル%、50モル%~95モル%、または60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり得る。
このように、前記化学式1で表される繰り返し単位がこのような含有量で含有されたポリアミド樹脂は十分な水準の分子量を確保して優れた機械的物性を確保することができる。
また、前記ポリアミド樹脂で、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖の具体的な成分の例が特に限定されるものではなく、無定形ポリアミド樹脂の製造に使用される多様な芳香族アミド繰り返し単位が制限なく適用され得る。
前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖成分の一例を挙げると、1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位、または1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第3芳香族アミド繰り返し単位、またはこれらの混合物を含み得る。上述した第2芳香族アミド繰り返し単位または第3芳香族アミド繰り返し単位からなる高分子鎖は無定形の特性を実現することができる。
前記1,2-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、フタロイルクロリド、またはフタル酸が挙げられる。また、前記1,3-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としてはイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸が挙げられる。前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,2-芳香族ジアシル化合物はフタロイルクロリド、またはフタル酸を含み、前記1,3-芳香族ジアシル化合物はイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
より具体的には、前記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメントを含む8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖は、下記化学式2で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式2において、Ar2はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式2において、Ar2は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine、TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第2ポリアミドセグメントは前記化学式2で表される繰り返し単位、または前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
より具体的には、前記化学式2で表される繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される繰り返し単位;または下記化学式2-2で表される繰り返し単位;のうち1種の繰り返し単位を含み得る。
前記化学式2-1~2-2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。Ar2に関する詳しい説明は前記化学式2で上述した内容を含む。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位はイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、前記化学式2-2で表される繰り返し単位はフタロイルクロリドまたはフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位である。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式2-4で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式2-2で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式2-5で表される繰り返し単位が挙げられる。
一方、前記第2ポリアミドセグメントは下記化学式6で表される。
前記化学式6において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、bは1~3、または1~2の整数である。前記化学式6において、bが1である場合、前記化学式6は前記化学式2で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式6において、bが2~3である場合、前記化学式6は前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。
前記化学式2で表される繰り返し単位は、イソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド樹脂に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。また、前記化学式1で表される繰り返し単位とともにポリアミド樹脂に含まれることにより、ポリアミド樹脂の分子量を増加させることができる。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式2で表される繰り返し単位の比率が5モル%~60モル%、5モル%~50モル%、または5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
このように、前記化学式2で表される繰り返し単位がこのような含有量で含有されたポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される特定の繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を低くすることができ、これにより、低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
より具体的には、前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式1で表される繰り返し単位の含有量が60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり、前記化学式2で表される繰り返し単位の含有量が5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位のモル含有量を高め、化学式1で表される繰り返し単位の線状分子構造による高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)によるポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性の向上効果を最大化させながらも、化学式2で表される繰り返し単位が相対的に少ないモル含有量であるにもかかわらず前記化学式1で表される特定の繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を低くすることができ、これにより、低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
一方、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは、下記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。すなわち、前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶に含まれた第1ポリアミドセグメントは、前記個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖に含まれた第2ポリアミドセグメントと下記化学式3で表される交差繰り返し単位を形成することができる。
これにより、前記一実施形態のポリイミド樹脂は、下記図1に示す結晶構造のように、多数の個別結晶と無定形の高分子鎖が繰り返される構造を有し、個別結晶のみの持続的な大きさ成長を抑制することができる。これにより、前記個別結晶は、小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下に縮小できる。
前記化学式3において、Aは前記第1ポリアミドセグメントであり、Bは前記第2ポリアミドセグメントである。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖は前記化学式3のように、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された第1ポリアミドセグメントとイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割を果たすことができる。
前記第2ポリアミドセグメントは、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖に含まれ、前記第1ポリアミドセグメントは、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶に含まれるので、前記ポリアミド樹脂で前記無定形の高分子鎖が8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に位置し、個別結晶の大きさ成長を抑制する役割を果たすことができる。これは下記図1に示す結晶構造によっても確認することができる。
このように、前記個別結晶の大きさ成長が抑制されると、個別結晶による結晶特性が減少し、ポリアミド樹脂のヘイズ値を顕著に下げることができるため、優れた透明性の実現が可能である。
一方、前記ポリアミド樹脂の主鎖が前記化学式3のように、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸から誘導された第1ポリアミドセグメントとイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことは、後述する本発明のポリアミド樹脂の製造方法上の溶融混練複合体の形成によるものと見られる。
より具体的な例を挙げて説明すると、前記化学式3で表される交差繰り返し単位は、下記化学式4で表される繰り返し単位であり得る。
前記化学式4において、Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、a1およびa2はそれぞれ独立して1~10、または1~5の整数であり、b1およびb2はそれぞれ独立して1~5、または1~3の整数である。
前記化学式4において、a1またはa2の繰り返し単位の数を有する結晶性の高分子ブロック(テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導される)は、前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶をなすことができる。また、前記化学式4において、b1またはb2の繰り返し単位の数を有する非結晶性の高分子ブロック(イソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導される)は、前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖をなすことができる。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメント;および前記化学式2で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメント;を含み、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは、前記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
本発明者らは前記一実施形態のポリアミド樹脂のように、個別結晶の平均粒径が8.0nm以下に減少することにより、ポリアミド樹脂内部にテレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された繰り返し単位からなる高分子ブロック(以下、第1ポリアミドセグメント)の長さ成長を最小化し、ポリアミド樹脂の結晶性を下げて透明なポリアミド樹脂を実現できることを実験により確認して発明を完成した。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖は、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された結晶性の高分子ブロック(以下、第1ポリアミドセグメント)とイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された非結晶性の高分子ブロック(第2ポリアミドセグメント)が交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割を果たすことができる。
この時、前記第1ポリアミドセグメントは、ポリアミド樹脂の個別結晶に含まれて結晶特性を発現し、前記第2ポリアミドセグメントは、前記個別結晶の間には無定形の高分子鎖に含まれて非晶質の特性を発現する。
したがって、前記第1ポリアミドセグメントの長さ成長が抑制されると、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が相対的に小さく測定され、前記ポリアミド樹脂は、第1ポリアミドセグメントの結晶特性が減少し、ヘイズ値を顕著に下げることができるため、優れた透明性の実現が可能である。
逆に、前記第2ポリアミドセグメントによる第1ポリアミドセグメントの長さ成長の抑制効果が減少し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長が過度に行われる場合、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が相対的に大きく測定され、前記ポリアミド樹脂は、第1ポリアミドセグメントの結晶特性が増加し、ヘイズ値が急激に増加して透明性が不良になる。
それでも前記ポリアミド樹脂は、十分な水準の重量平均分子量を有することができ、これによって十分な水準の機械的物性も達成することができる。
また、前記ポリアミド樹脂は、小角X線散乱装置によって測定される結晶化度が20%以下、または1%~20%であり得る。前記ポリアミド樹脂の結晶化度は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線を照射して得られる散乱パターンを固体球モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装置により測定可能である。前記小角X線散乱装置とこれに対する分析内容は、前記個別結晶の平均粒径で上述した内容を含む。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が330,000g/mol以上、420,000g/mol以上、または500,000g/mol以上、または330,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~1,000,000g/mol、または500,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~800,000g/mol、または420,000g/mol~600,000g/mol、または450,000g/mol~550,000g/molであり得る。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が高く測定されることは、後述する本発明の他の実施形態のポリアミド樹脂の製造方法上の溶融混練複合体の形成によるものと見られる。前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330,000g/mol未満に減少すると、屈曲性、鉛筆硬度などの機械的物性が減少する問題がある。
前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0以下、または2.5以下、または1.9以下、または1.5~1.95、または1.5~1.9、または1.6~1.9、または1.8~1.9であり得る。このような狭い範囲の分子量分布により前記ポリアミド樹脂は屈曲特性または硬度特性などの機械的物性が向上することができる。前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0超過で過度に広くなると、上述した機械的物性を十分な水準まで向上させにくい限界がある。
前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.80%~1.00%、または0.81%~0.97%であり得る。前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
好ましくは、前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330,000g/mol以上、420,000g/mol以上、または500,000g/mol以上、または330,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~1,000,000g/mol、または500,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~800,000g/mol、または420,000g/mol~600,000g/mol、または450,000g/mol~550,000g/molを満たし、同時にASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.50%~3.0%、または0.50%~1.5%、または0.50%~1.00%、または0.50%~0.85%、または0.70%~0.85%、または0.77%~0.85%、または0.80%~0.85%であり得る。
前記ポリアミド樹脂の相対粘度(ASTM D2196基準に準拠して測定)が45,000cps以上、60,000cps以上、または45,000cps~500,000cps、または60,000cps~500,000cps、または70,000cps~400,000cps、または80,000cps~300,000cps、または100,000cps~200,000cps、または110,000cps~174,000cpsであり得る。前記ポリアミド樹脂の相対粘度(ASTM D2196基準に準拠して測定)が45,000cps未満に減少すると、前記ポリアミド樹脂を利用したフィルム成形工程で、成形加工性が減少して成形工程の効率性が減少する限界がある。
一方、本発明の他の実施形態によれば、45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、小角X線散乱装置を利用して、X線をポリアミド樹脂に照射して得られる小角X線散乱関数I(q)(X軸が波数qであり、Y軸が散乱強度I)が前記数式1および数式2を満たすポリアミド樹脂が提供され得る。
本発明者らは前述したように、前記数式1および数式2を同時に満たすポリアミド樹脂は、結晶性ポリマーが有する優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さいサイズを有することにより、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有し得ることを実験により確認して発明を完成した。
これとは異なり、前記数式1および数式2のうちのいずれか1つを満たさないポリアミド樹脂は、前記ポリアミド樹脂内部で結晶性を有する部分が占める比率やその大きさが過度に成長し、結晶特性が強く実現され、高分子自体の柔軟性や曲げ耐久性が低下し、またヘイズ値が急激に増加して透明性が減少し得る。
具体的には、前記ポリアミド樹脂は、前記数式1および数式2を同時に満たすことができる。前記ポリアミド樹脂は、前記数式1および数式2をいずれも満たすことができ、前記数式1および数式2のうちのいずれか1つでも満たさない場合、前記他の実施形態のポリアミド樹脂と異なるものであって、下記表2の通り前記他の実施形態のポリアミド樹脂の特性を持ちにくい。
前記小角X線散乱装置を利用して得られる小角X線散乱関数I(q)は45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下、または49μm以上51μm以下、または50μmの厚さを有する試片に対して測定した結果であり得る。前記試片は、ポリアミド樹脂を利用して製造した多様な厚さ、例えば0.01μm~1,000μmの厚さを有するポリアミド樹脂フィルムに対して、45μm以上55μm以下、または48μm以上52μm以下、または49μm以上51μm以下、または50μmの厚さを有するように調節したポリアミド樹脂フィルムであり得る。より具体的には、前記試片は、横1cm*縦1cm、そしてこのような厚さを満たす多面体形状のフィルムであり得る。
前記小角X線散乱装置を利用して得られる小角X線散乱関数I(q)は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線をポリアミド樹脂またはこれから得られる高分子フィルムに照射して得られる散乱パターンを固体球モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装置により測定可能である。
前記小角X線散乱装置の例としてはu-SAXS beam-line 9Aが挙げられ、前記分析装置の例としてはコンピュータプログラムであるNIST SANS packageが挙げられる。
前記照射されるX線は、例えば、10KeV~14KeVのエネルギーを有するX線と16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線を共に照射する方法を使用することができる。好ましくは、X線照射装置と試料間の距離を調節する方法によりX線エネルギーを区別することができ、具体的には10KeV~14KeVのエネルギーを有するX線は、X線照射装置と試料間の距離が5m~10mであり得、16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線は、X線照射装置と試料間の距離が1m~4mであり得る。
この場合、10KeV~14KeVのエネルギーを有するX線によって得られるデータと、16KeV~20KeVのエネルギーを有するX線によって得られるデータを併合して使用することができる。2個のデータを併合する装置の例としてはNIST SANS data reduction packageが挙げられる。
前記小角X線散乱装置から得られたデータである小角X線散乱関数I(q)は20℃~30℃の温度で、小角X線散乱装置を利用して10KeV~20KeVエネルギーのX線を照射して測定される結果であり得る。前記小角X線散乱装置内で検出器として、イメージ板(imaging Plate)、位置-敏感性検出器(PSPC;Position-sensitive detector)、2D CCD Detector(Rayonix SX165社製)などが使用可能である。
2D CCD Detectorを使用する場合、2D CCD Detectorにより得られる2次元イメージを、ビームストップ基準にして円形に平均化して1次元イメージに変換して使用することができる。
コンピュータプログラムであるNIST SANS packageを利用すれば、上記から得られる1次元イメージデータに対して、P.GradyのExcelプログラムを用いて、X軸が波数q(単位:Å-1)であり、Y軸が散乱強度I(単位:a.u.)である関数I(q)のグラフ(波数範囲は0.0024Å-1~0.5Å-1)を求めることができる。
前記数式1において、小角X線散乱関数I(q)に対して波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下である範囲でのI(q)の2次導関数が正であることを意味し、一般に、関数の2次導関数が正ということは、下に凸な関数であることを意味する。すなわち、前記ポリアミド樹脂が数式1を満たすということは、前記ポリアミド樹脂の小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲で下に凸であることを意味する。
より具体的には、図4を参照して説明すれば、本発明の実施例のポリアミド樹脂は小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲で下に凸である反面、本発明の比較例2のポリアミド樹脂は小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲で上に凸であることを確認することができる。
前記数式2において、小角X線散乱関数I(q)に対して波数(q)が0.08Å-1以上(q≧0.08Å-1)、または0.08Å-1以上0.13Å-1以下(0.08Å-1≦q≦0.13Å-1)の範囲でのI(q)の散乱強度が1a.u.以上(I(q)≧1a.u.)、または1a.u.以上100a.u.以下(1a.u.≦I(q)≦100a.u.)であることを意味する。
より具体的には、図4を参照して説明すれば、本発明の実施例のポリアミド樹脂は小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.08Å-1以上の範囲でほぼ10a.u.の値を有する反面、本発明の比較例1のポリアミド樹脂は波数(q)が0.08Å-1以上の範囲でほぼ0.01a.u.、比較例2のポリアミド樹脂は波数(q)が0.08Å-1以上の範囲でほぼ0.1a.u.の値を有することを確認することができる。
したがって、前記他の実施形態のポリアミド樹脂は、小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲で上に凸な形状を有し、同時に波数(q)が0.08Å-1以上の範囲で1a.u.以上の高いインテンシティ(intensity)を有することにより、優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さいサイズを有することによって、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有し得る。
一方、前記ポリアミド樹脂は45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、下記数式3をさらに満たすことができる。
[数式3]
I(0.003Å-1)≧1,000a.u.
すなわち、前記ポリアミド樹脂は、小角X線散乱装置を利用して得られる小角X線散乱関数I(q)で、波数(q)が0.003Å-1である地点の散乱強度が1,000a.u.以上、または1,000a.u.以上10,000a.u.以下、または5,000a.u.以上10,000a.u.以下であり得る。
前記他の実施形態のポリアミド樹脂は、小角X線散乱関数I(q)が波数(q)0.003Å-1である地点で1,000a.u.以上の高いインテンシティ(intensity)を有することにより、優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さいサイズを有することによって、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有し得る。
また、前記ポリアミド樹脂は45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、下記数式4をさらに満たすことができる。
[数式4]
dI(q)/dq<0
上記数式4において、0.003Å-1≦q≦0.03Å-1である。
前記数式4において、小角X線散乱関数I(q)に対して波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲でのI(q)の1次導関数が負であることを意味し、一般に、関数の1次導関数が負ということは、接線の傾きが負であることを意味する。すなわち、前記ポリアミド樹脂が数式4を満たすということは、前記ポリアミド樹脂の小角X線散乱関数I(q)で波数(q)が0.003Å-1以上0.03Å-1以下の範囲で接線の傾きが負であることを意味する。
また、前記ポリアミド樹脂は45μm以上55μm以下の厚さを有する試片に対して、下記数式5をさらに満たすことができる。
[数式5]
100≦I(0.003Å-1)/I(0.08Å-1)≦1000
前記数式5において、小角X線散乱関数I(q)に対して波数(q)0.003Å-1での散乱強度I(0.003Å-1)を波数(q)0.08Å-1での散乱強度I(0.08Å-1)で割った値が100以上1,000以下であることを意味する。より具体的には、前記数式5のI(0.003Å-1)/I(0.08Å-1)は100以上1,000以下、または500以上1,000以下、または700以上900以下であり得る。
前記他の実施形態のポリアミド樹脂は、小角X線散乱関数I(q)で、波数(q)0.08Å-1での散乱強度I(0.08Å-1)に対して波数(q)0.003Å-1での散乱強度I(0.003Å-1)の比率が相対的に小さくて、優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さいサイズを有することにより、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有し得る。
前記ポリアミド樹脂の具体的な例は特に限定されるものではないが、好ましくは、芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する芳香族アミド繰り返し単位を含有することができる。
より具体的には、前記芳香族アミド繰り返し単位は、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位;1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位;および1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第3芳香族アミド繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の繰り返し単位を含み得る。
すなわち、前記芳香族アミド繰り返し単位は、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位の1種、1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位の1種、1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第3芳香族アミド繰り返し単位の1種、またはこれらの2種以上の混合物を含み得る。
より好ましくは、前記芳香族アミド繰り返し単位は、前記1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位;および1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第3芳香族アミド繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の繰り返し単位と一緒に1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位を含み得る。
すなわち、前記1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位と1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位を含むか、または前記1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位と1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位を含むか、または前記1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位、1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第2芳香族アミド繰り返し単位、および1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する第1芳香族アミド繰り返し単位を含み得る。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
前記1,2-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、フタロイルクロリドまたはフタル酸が挙げられる。また、前記1,3-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、イソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸が挙げられる。前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,2-芳香族ジアシル化合物は、フタロイルクロリドまたはフタル酸を含み、前記1,3-芳香族ジアシル化合物は、イソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
より具体的には、前記ポリアミド樹脂は、下記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式1において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式1において、Ar1はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式1において、Ar1は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第1ポリアミドセグメントは、前記化学式1で表される繰り返し単位、または前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
前記化学式1で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式1-1で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、具体的には、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成されたアミド繰り返し単位であり、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持されることができ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が100g/mol~5,000g/mol、または100g/mol~3,000g/mol、または100g/mol~2,500g/mol、または100g/mol~2,450g/molであり得る。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が5,000g/mol超過して増加すると、前記第1ポリアミドセグメントの鎖が過度に長くなることにより、ポリアミド樹脂の結晶性が増加し、これにより、高いヘイズ値を有して透明性を確保しにくい。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量は測定する方法の例が限定されるものではないが、例えば、SAXS(Small-angle X-ray scattering)分析により確認することができる。
前記第1ポリアミドセグメントは下記化学式5で表される。
前記化学式5において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、aは1~5の整数である。前記化学式5において、aが1である場合、前記化学式5は前記化学式1で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式5において、aが2~5である場合、前記化学式5は前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。前記化学式5中のAr1に対する説明は前記化学式1で上述した内容を含む。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式1で表される繰り返し単位の比率が40モル%~95モル%、50モル%~95モル%、または60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり得る。
このように、前記化学式1で表される繰り返し単位がこのような含有量で含有されたポリアミド樹脂は十分な水準の分子量を確保して優れた機械的物性を確保することができる。
また、前記ポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメント以外に、下記化学式2で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式2で表される繰り返し単位、1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、または1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来する繰り返し単位、またはこれらの混合物を含み得る。
前記化学式2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式2において、Ar2はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式2において、Ar2は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第2ポリアミドセグメントは、前記化学式2で表される繰り返し単位、または前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
より具体的には、前記化学式2で表される繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される繰り返し単位;または下記化学式2-2で表される繰り返し単位;のうち1種の繰り返し単位を含み得る。
前記化学式2-1~2-2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。Ar2に関する詳しい説明は前記化学式2で上述した内容を含む。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位は、1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、具体的には、イソフタロイルクロリドと芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、前記化学式2-2で表される繰り返し単位は、1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、具体的には、フタロイルクロリドと芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位である。
前記1,2-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、フタロイルクロリドまたはフタル酸が挙げられる。また、前記1,3-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、イソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸が挙げられる。前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
好ましくは、前記1,2-芳香族ジアシル化合物は、フタロイルクロリドまたはフタル酸を含み、前記1,3-芳香族ジアシル化合物は、イソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式2-4で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式2-2で表される繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式2-5で表される繰り返し単位が挙げられる。
一方、前記第2ポリアミドセグメントは下記化学式6で表される。
前記化学式6において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、bは1~3、または1~2の整数である。前記化学式6において、bが1である場合、前記化学式6は前記化学式2で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式6において、bが2~3である場合、前記化学式6は前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。
前記化学式2で表される繰り返し単位は、イソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド樹脂に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。また、前記化学式1で表される繰り返し単位とともにポリアミド樹脂に含まれることにより、ポリアミド樹脂の分子量を増加させることができる。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式2で表される繰り返し単位の比率が5モル%~60モル%、5モル%~50モル%、または5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
このように、前記化学式2で表される繰り返し単位が上述した含有量で含有されたポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される特定の繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を下げることができ、これにより、低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
より具体的には、前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準として、前記化学式1で表される繰り返し単位の含有量が60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり、前記化学式2で表される繰り返し単位の含有量が5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位のモル含有量を高め、化学式1で表される繰り返し単位の線状分子構造による高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)によるポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性の向上効果を最大化させながらも、化学式2で表される繰り返し単位が相対的に少ないモル含有量であるにもかかわらず前記化学式1で表される特定の繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を下げることができ、これにより、低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
一方、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは、下記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
前記化学式3において、Aは前記第1ポリアミドセグメントであり、Bは前記第2ポリアミドセグメントである。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖は前記化学式3のように、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位を含む第1ポリアミドセグメントと、1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位、または1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物に由来するアミド繰り返し単位を含む第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割を果たすことができる。
このように、前記第1ポリアミドセグメントの長さ成長が抑制されると、結晶特性が減少し、ポリアミド樹脂のヘイズ値を顕著に下げることができるため、優れた透明性の実現が可能である。
一方、前記ポリアミド樹脂の主鎖が前記化学式3のように、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸から誘導された第1ポリアミドセグメントとイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことは、後述する本発明のポリアミド樹脂の製造方法上の溶融混練複合体の形成によるものと見られる。
より具体的な例を挙げて説明すると、前記化学式3で表される交差繰り返し単位は、下記化学式4で表される繰り返し単位であり得る。
前記化学式4において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、a1およびa2は互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~10、または1~5の整数であり、b1およびb2は互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~5、または1~3の整数である。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメント;および前記化学式2で表される繰り返し単位、またはこれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメント;を含み、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは、前記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖は、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された結晶性の高分子ブロック(以下、第1ポリアミドセグメント)とイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された非結晶性の高分子ブロック(第2ポリアミドセグメント)が交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割を果たすことができる。
この時、前記第1ポリアミドセグメントは、ポリアミド樹脂の個別結晶に含まれて結晶特性を発現し、前記第2ポリアミドセグメントは前記個別結晶の間には無定形の高分子鎖に含まれて非晶質の特性を発現する。
したがって、前記第1ポリアミドセグメントの長さ成長が抑制されると、前記ポリアミド樹脂は第1ポリアミドセグメントの結晶特性が減少し、ヘイズ値を顕著に下げることができるため、優れた透明性の実現が可能である。
逆に、前記第2ポリアミドセグメントによる第1ポリアミドセグメントの長さ成長の抑制剤効果が減少し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長が過度に行われる場合、前記ポリアミド樹脂は、第1ポリアミドセグメントの結晶特性が増加し、ヘイズ値を急激に増加して透明性が不良になる。
それでも前記ポリアミド樹脂は、十分な水準の重量平均分子量を有することができ、これにより、十分な水準の機械的物性も達成することができる。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が330,000g/mol以上、420,000g/mol以上、または500,000g/mol以上、または330,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~1,000,000g/mol、または500,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~800,000g/mol、または420,000g/mol~600,000g/mol、または450,000g/mol~550,000g/molであり得る。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が高く測定されることは、後述する本発明の他の実施形態のポリアミド樹脂の製造方法上の溶融混練複合体の形成によるものと見られる。前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330,000g/mol未満に減少すると、屈曲性、鉛筆硬度などの機械的物性が減少する問題がある。
前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0以下、または2.9以下、または2.8以下、または1.5~3.0、または1.5~2.9、または1.6~2.8、または1.8~2.8であり得る。このような狭い範囲の分子量分布により前記ポリアミド樹脂は屈曲特性または硬度特性などの機械的物性が向上することができる。前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0超過で過度に広くなると、上述した機械的物性を十分な水準まで向上させにくい限界がある。
前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.80%~1.00%、または0.81%~0.97%であり得る。前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
好ましくは、前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330,000g/mol以上、420,000g/mol以上、または500,000g/mol以上、または330,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~1,000,000g/mol、または500,000g/mol~1,000,000g/mol、または420,000g/mol~800,000g/mol、または420,000g/mol~600,000g/mol、または450,000g/mol~550,000g/molを満たし、同時にASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.80%~1.00%、または0.81%~0.97%であり得る。
前記ポリアミド樹脂の相対粘度(ASTM D2196基準に準拠して測定)が45,000cps以上、60,000cps以上、または45,000cps~500,000cps、または60,000cps~500,000cps、または70,000cps~400,000cps、または80,000cps~300,000cps、または100,000cps~200,000cps、または110,000cps~174,000cpsであり得る。前記ポリアミド樹脂の相対粘度(ASTM D2196基準に準拠して測定)が45,000cps未満に減少すると、前記ポリアミド樹脂を利用したフィルム成形工程で、成形加工性が減少して成形工程の効率性が減少する限界がある。
前記一実施形態または他の実施形態によるポリアミド樹脂を製造する方法の例としては、下記化学式7で表される化合物および下記化学式8で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階と;前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階と;を含む、ポリアミド樹脂の製造方法を使用することができる。
前記化学式7および8において、Xはハロゲン、または水酸化基である。
本発明者らは前記ポリアミド樹脂の製造方法でのように、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を融点以上の温度で混合すると、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の溶融により均一に混合した単量体の複合体を製造することができ、これを芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、前記化学式7で表される化合物に由来するアミド繰り返し単位、またはこれからなるブロックと、前記化学式8で表される化合物に由来するアミド繰り返し単位、またはこれからなるブロックが交互に(alternatively)重合できることを実験により確認して発明を完成した。
すなわち、前記ポリアミド樹脂の製造方法により、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂が得られる。
具体的には、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物それぞれは化学構造的な差によって、溶解度および反応性において相異する様相を現わすので、これらを同時に投入しても前記化学式7で表される化合物に由来するアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界があった。
そこで、前記ポリアミド樹脂の製造方法では前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を単に物理的に混合せず、それぞれの融点より高い温度での溶融混練による複合体の形成により、それぞれの単量体が芳香族ジアミン単量体と相対的に均等に反応するように誘導した。
一方、既存のポリアミド樹脂の合成時には、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を溶媒に溶解させた後、溶液状態で芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、水分による変質や、溶媒との混成により最終合成されるポリアミド樹脂の分子量が減少する限界があり、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の溶解度の差によって前記化学式7で表される化合物に由来するアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界があった。
そこで、前記ポリアミド樹脂の製造方法では前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の溶融混練で得られる複合体をそれぞれの融点より低い温度(零下10℃~30℃、または0℃~30℃、または10℃~30℃)での冷却による固形粉末形態で有機溶媒に溶解した芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、最終合成されるポリアミド樹脂の分子量が向上することを確認し、これにより優れた機械的物性が確保されることを実験により確認した。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の製造方法は、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階を含み得る。
前記化学式7で表される化合物で、Xはハロゲン、または水酸化基である。好ましくは前記化学式7において、Xは塩素である。前記化学式7で表される化合物の具体的な例としてはテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。
前記化学式7で表される化合物は、芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で前記化学式1で表される繰り返し単位を形成することができ、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持されることができ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
前記化学式8で表される化合物で、Xはハロゲン、または水酸化基である。好ましくは前記化学式8において、Xは塩素である。前記化学式8で表される化合物の具体的な例としてはフタロイルクロリド、フタル酸、イソフタロイルクロリド、またはイソフタル酸が挙げられる。
前記化学式8で表される化合物は、芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で前記化学式2で表される繰り返し単位を形成することができ、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド樹脂に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。また、前記化学式8で表される化合物に由来する前記化学式2で表される繰り返し単位が化学式1で表される繰り返し単位とともにポリアミド樹脂に含まれることにより、ポリアミド樹脂の分子量を増加させることができる。
一方、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階で、前記溶融混練は、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を融点以上の温度で混合することを意味する。
このように、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を単に物理的に混合せず、それぞれの融点より高い温度での溶融混練による複合体の形成により、それぞれの単量体が芳香族ジアミン単量体と相対的に均等に反応するように誘導することができる。
これにより、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の溶解度の差によって前記化学式7で表される化合物に由来するアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界を克服し、前記一実施形態または他の実施形態でのように、第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)前記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
この時、前記化学式7で表される化合物100重量部に対して、前記化学式8で表される化合物が5重量部~60重量部、または5重量部~50重量部、または5重量部~25重量部、または10重量部~30重量部、または15重量部~25重量部で混合され得る。これにより、透過度およびclarityが増加する技術的効果を実現することができる。前記化学式7で表される化合物100重量部に対して前記化学式8で表される化合物が5重量部未満に過度に少なく混合される場合、不透明になり、Hazenessが増加する技術的な問題が発生し、前記化学式7で表される化合物100重量部に対して、前記化学式8で表される化合物が60重量部を超過して過度に過剰混合される場合物理的な特性(硬度、引張強度など)が減少する技術的な問題が発生することがある。
また、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成するにあたって、前記凝固とは、溶融状態の溶融混練物を融点以下の温度に冷却させて固体化させる物理的変化を意味し、これにより形成される複合体は固体状態であり得る。より好ましくは、前記複合体は追加的な粉砕工程などにより得られる固体粉末であり得る。
一方、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階は、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を50℃以上の温度で混合させる段階と;前記混合段階の結果物を冷却させる段階と;を含み得る。
前記テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl chloride)は81.3℃~83℃の融点を有し、前記イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride)は43℃~44℃の融点を有し、前記フタロイルクロリド(Phthaloyl chloride)は6℃~12℃の融点を有し得る。これにより、これらを50℃以上、または90℃以上、または50℃~120℃、または90℃~120℃、または95℃~110℃、または100℃~110℃の温度で混合する場合、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物すべての融点より高い温度条件であるため、溶融混練を行うことができる。
前記混合段階の結果物を冷却させる段階では、前記溶融混練段階の結果物を5℃以下、または零下10℃~5℃、または零下5℃~5℃に放置することによって、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物すべての融点より低い温度条件であるため、冷却によってより均一な固形粉末が得られる。
一方、前記混合段階の結果物を冷却させる段階以後に、前記冷却段階の結果物を粉砕させる段階をさらに含み得る。前記粉砕段階により、固形分の複合体を粉末形態に製造することができ、粉砕段階後に得られる粉末は、平均粒径が1mm~10mmであり得る。
このような粒径に粉砕するために用いられる粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)、ジョグミル(jog mill)またはシーブ(sieve)、ジョークラッシャー(jaw crusher)などを使用できるが、上述した例に限定されるものではない。
このように、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の溶融混合物を融点より低い温度での冷却による固形分、具体的には、固形粉末形態で芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の水分による変質や溶媒との混成を最小化して最終合成されるポリアミド樹脂の分子量を向上させることにより、ポリアミド樹脂の優れた機械的物性を確保することができる。
また、前記ポリアミド樹脂の製造方法は、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階以後、前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階を含み得る。
前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階での反応は、零下25℃~25℃の温度条件、または零下25℃~0℃の温度条件で、不活性気体の雰囲気下で行うことができる。
前記芳香族ジアミン単量体は、具体的には例えば、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、またはp-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)を使用することができる。
より具体的には、前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階は、前記芳香族ジアミン単量体を有機溶媒に溶解させてジアミン溶液を製造する段階と;前記ジアミン溶液に複合体粉末を添加する段階と;を含み得る。
前記芳香族ジアミン単量体を有機溶媒に溶解させてジアミン溶液を製造する段階で、前記ジアミン溶液に含まれた芳香族ジアミン単量体は有機溶媒に溶解した状態で存在し得る。前記溶媒の例は特に限定されるものではないが、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、メチル3-メトキシプロピオネート、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノールなどの一般的な汎用有機溶媒を制限なく使用することができる。
前記ジアミン溶液に複合体粉末を添加する段階で、前記複合体粉末はジアミン溶液内に溶解した芳香族ジアミン単量体と反応する。これにより、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物の水分による変質や溶媒との混成を最小化して最終合成されるポリアミド樹脂の分子量を向上させることにより、ポリアミド樹脂の優れた機械的物性を確保することができる。
前記複合体粉末は、前記混合段階の結果物を冷却させる段階以後、前記冷却段階の結果物を粉砕させる段階により、固形分の複合体を粉末形態に製造することができ、粉砕段階後に得られる粉末は平均粒径が1mm~10mmであり得る。
II.高分子フィルム
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記一実施形態または他の実施形態でのポリアミド樹脂を含む高分子フィルムが提供され得る。
前記ポリアミド樹脂に関する内容は前記一実施形態または他の実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
より具体的には、前記高分子フィルムは、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂またはその硬化物を含み得、前記硬化物とは、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂の硬化工程を経て得られる物質を意味する。
前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を利用して高分子フィルムを製造する場合、優れた光学的物性および機械的物性を実現できると同時に、柔軟性まで備え、多様な成形品の材料に使用することができる。例えば、前記高分子フィルムはディスプレイ用基板、ディスプレイ用保護フィルム、タッチパネル、フォールダブル機器のウインドウカバーなどに適用することができる。
前記高分子フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1,000μmの範囲内で自由に調節可能である。前記高分子フィルムの厚さが特定の数値ほど増加または減少する場合、高分子フィルムで測定される物性も一定数値ほど変化し得る。
前記高分子フィルムは、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を使用して乾式法、湿式法などの通常の方法によって製造することができる。例えば、前記高分子フィルムは、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を含む溶液を任意の支持体上にコートして膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥する方法で得られ、必要に応じて前記高分子フィルムに対する延伸および熱処理をさらに行うこともできる。
前記高分子フィルムは、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を使用して製造することにより、無色透明ながらも優れた機械的物性を現わすことができる。
具体的には、前記高分子フィルムは、50±2μmの厚さを有する試験片に対してASTM D1003に基づいて測定されたヘイズ(haze)値が3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.80%~1.00%、または0.81%~0.97%であり得る。前記高分子フィルムのASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
そして、前記高分子フィルムは、50±2μmの厚さを有する試験片に対してASTM E313に基づいて測定された黄色指数値(yellow index、YI)が4.0以下、または3.0以下、または0.5~4.0、または0.5~3.0であり得る。前記高分子フィルムのASTM E313に基づいて測定された黄色指数値(yellow index、YI)が4.0超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
そして、前記高分子フィルムは50±2μmの厚さを有する試験片に対して、550nm波長の可視光線に対する透過率(T、@550nm)が86%以上、または86%~90%であり得、388nm波長の紫外線に対する透過率(T、@388nm)が50.00%以上、または60.00%以上であり得る。
そして、前記高分子フィルムは、50±2μmの厚さを有する試験片に対して測定された耐折強さ(175rpmの速度で135°の角度、0.8mmの曲率半径および250gの荷重での破断往復曲げ回数)値が4,000Cycle以上、7,000Cycle以上、または9,000Cycle以上、または4,000Cycle~20,000Cycle、または7,000Cycle~20,000Cycle、または9,000Cycle~20,000Cycleであり得る。
そして、前記高分子フィルムは、50±2μmの厚さを有する試験片に対してASTM D3363に基づいて測定された鉛筆硬度(Pencil Hardness)値が1H以上、3H以上、または1H~4H、または3H~4Hであり得る。
III.樹脂積層体
本発明のまた他の実施形態によれば、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を含む基材と;前記基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層と;を含む樹脂積層体が提供され得る。
前記基材は、前記一実施形態または他の実施形態のポリアミド樹脂を含むことができ、前記他の実施形態の高分子フィルムを含むこともできる。前記ポリアミド樹脂に関する内容は前記一実施形態または他の実施形態で上述した内容をすべて含み得、前記高分子フィルムに関する内容は前記他の実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
前記基材の少なくとも一面にはハードコート層を形成することができる。前記基材の一面、または両面すべてにハードコート層を形成することができる。前記基材の一面にのみハードコート層を形成する場合、前記基材の反対面にはポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアルキル(メタ)アクリレート系、ポリオレフィン系およびポリサイクリックオレフィン系高分子からなる群より選択される1種以上の高分子を含む高分子フィルムを形成することができる。
前記ハードコート層は0.1μm~100μmの厚さを有し得る。
前記ハードコート層は、ハードコート分野で知られている材質であれば特に制限なく使用することができ、例えば前記ハードコート層は、光硬化性樹脂のバインダ樹脂;および前記バインダ樹脂に分散した無機粒子または有機粒子を含み得る。
前記ハードコート層に含まれる光硬化型樹脂は、紫外線などの光が照射されると、重合反応を起こし得る光硬化型化合物の重合体であって、当業界における通常のものであり得る。ただし、好ましくは、前記光硬化型化合物は多官能性(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーであり得、この時、(メタ)アクリレート系官能基の数は2~10、または2~8、または2~7であるが、ハードコート層の物性確保の側面で有利である。または前記光硬化型化合物は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であり得る。
前記無機粒子は、例えばシリカ、アルミニウム、チタン、ジンクなどの金属原子、またはその酸化物、窒化物などであり得、それぞれ独立してシリカ微粒子、アルミニウムオキシド粒子、チタニウムオキシド粒子、またはジンクオキシド粒子などを使用することができる。
前記無機粒子は100nm以下、または5~100nmの平均半径を有し得る。前記有機粒子の種類も限定されるものではなく、例えば10nm~100μmの平均粒径を有する高分子粒子を使用することができる。
前記樹脂積層体はディスプレイ装置の基板またはカバーウインドウなどに使用可能であり、高い光透過性および低いヘイズ特性と共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有してフレキシブルディスプレイ装置の基板またはカバーウインドウに使用可能である。すなわち、前記樹脂積層体が含まれたディスプレイ装置、または前記樹脂積層体が含まれたフレキシブルディスプレイ装置が実現され得る。