JP7222210B2 - 植物由来ポリエチレンを含むシーラント層を有する手切り開封包装体用の積層体 - Google Patents
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Description
特に、植物由来ポリエチレンを含む樹脂フィルムは、植物由来ポリエチレンの配合率が高く、バイオマス度が高くなるにつれて、シーラントフィルムとして使用した場合の耐ブロッキング性、手切り性、耐落下衝撃性が低下することが分かった。
したがって、バイオマス度が高いポリエチレンフィルムは、耐ブロッキング性、手切り性、耐落下衝撃性を必要とする包装材のシーラントフィルムとしては不適であり、実用性に欠けるものであった。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層、接着樹脂層、バリア層、シーラント層を有し、この順で積層されている、手切り開封包装体用の、積層体であって、
前記接着樹脂層は、低密度ポリエチレンを含有し、
前記バリア層と前記シーラント層は、直接またはアンカーコート層を介して隣接しており、
前記シーラント層は、該積層体の片面の最表層であり、直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを含有し、
該低密度ポリエチレンは、植物由来の低密度ポリエチレンを含有し、
該低密度ポリエチレン/該直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、3/7以上、7/3以下であることを特徴とする、手切り開封包装体用の、積層体。
2.前記接着樹脂層が、植物由来の低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする、上記1に記載の、積層体。
3.前記シーラント層は、2層以上の多層構成であり、
前記シーラント層中の最外表面層である第1のシーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記第1のシーラント層と隣接した第2のシーラント層は、植物由来の低密度ポリエチレンを含み、
第2のシーラント層/第1のシーラント層の厚み比は、3/7以上、7/3以下であることを特徴とする、
上記1または2に記載の、積層体。
4.前記シーラント層は、第1のシーラント層、および前記バリア層と隣接している第2のシーラント層のみで構成される2層構成であることを特徴とする、上記3に記載の、積層体。
5.前記接着樹脂層と前記バリア層は隣接していることを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の、積層体。
6.前記シーラント層の全厚みが、25μm以上、40μm以下であることを特徴とする、上記1~5何れかに記載の、積層体。
7.前記接着樹脂層と前記シーラント層の合計の厚みが、50μm以上、90μm以下であることを特徴とする、上記1~6の何れかに記載の、積層体。
8.前記バリア層が、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物膜からなる群から選ばれる、1種または2種以上であることを特徴とする、上記1~7の何れかに記載の、積層体。
9.前記バリア層が、金属箔であることを特徴とする、上記1~8の何れかに記載の、積層体。
10.前記基材層が、樹脂フィルムを含むことを特徴とする、上記1~9の何れかに記載の、積層体。
11.前記基材層が、ポリエステルからなる樹脂フィルムを含むことを特徴とする、上記1~10の何れかに記載の、積層体。
12.前記基材層が、リサイクルポリエステル、または植物由来のポリエステルからなる樹脂フィルムを含むことを特徴とする、上記1~11の何れかに記載の、積層体。
13.前記積層体は、手切り開封用のハーフカット線を有し、
該ハーフカット線は、前記基材層を貫通し、且つ、前記バリア層と前記シーラント層とを貫通しないように形成されていることを特徴とする、
上記1~12の何れかに記載の、積層体。
14.前記積層体は、手切り開封用の傷痕群を有し、
該傷痕群は、前記基材層を貫通し、且つ、前記バリア層と前記シーラント層とを貫通しないように形成されていることを特徴とする、
上記1~13の何れかに記載の、積層体。
15.上記1~14の何れかに記載の積層体から作製されたことを特徴とする、包装材料。
16.上記15に記載の包装材料から作製されたことを特徴とする、包装体。
17.上記15に記載の包装材料から作製されたことを特徴とする、包装袋。
そして、カーボンニュートラルの観点から、大気中のCO2量の増加を抑制し、且つ、石油資源利用の節約にも貢献することができる。
なお、カーボンニュートラルとは、植物を燃やしても、その際に排出されるCO2量は、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制することができる。
本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明において、密度は、150℃でプレス成型して得られた厚さ1mmのシートについて、JIS K 6760(1981)に準拠して測定される値であり、MFRは、JIS K 7210(1995)に準拠して、試験温度190℃で、試験荷重21.18Nで測定される値である。
本発明の手切り開封包装体用の積層体は、少なくとも、基材層、接着樹脂層、バリア層、シーラント層を有し、この順で積層されており、シーラント層は、積層体の片面の最表層であり、バリア層と直接またはアンカーコート層を介して隣接している。
基材層とバリア層は、溶融した接着樹脂層用の樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネート法によって積層されていることが好ましい。
さらに、積層体は手切り開封用の、ハーフカット線および/または傷痕群を有していることが好ましい。これらを有することによって、積層体及び該積層体から作製された包装材料、包装体の手切り開封性を高めることができる。
基材層には、積層体の用途に応じて任意の樹脂フィルムまたはシートを含むことができる。例えば、詰め替え用のシャンプーやリンス、食品等を密封包装する詰め替えパウチに適用する場合は、引っ張り強度、屈曲強度、衝撃強度等の機械的強度に優れるとともに、印刷適性に優れることが好ましく、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できるほか、合成紙等も使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。
基材層の積層面にアンカーコート剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。
基材層とバリア層との間に含まれる接着樹脂層は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有することが好ましい。
接着樹脂層として低密度ポリエチレンを含有することによって、基材層とバリア層とを
サンドイッチラミネート法によって積層することが容易になり、優れた生産性、接着性を発揮し、包装袋の耐破袋性を向上させることもできる。
また、低密度ポリエチレンは、化石燃料由来の低密度ポリエチレンであっても、植物由来の低密度ポリエチレンであってもよく、両者を混合したものであってもよいが、積層体のバイオマス度を高める為には、植物由来の低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。
基材層とバリア層との間以外にも接着樹脂層を有することもでき、ドライラミネーション用接着剤またはエクストルージョン接着剤を用いることができる。
バリア層は、積層体にガスバリア性を付与する層であり、バリア層は接着樹脂層と隣接して、接着樹脂層を介して基材層に接着されていることが好ましい。接着する際には、バリア層の積層面にアンカーコート剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。
バリア層は、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物膜からなる群から選ばれる、1種または2種以上であることが好ましく、これらの中でも金属箔であることがより好ましい。
金属箔としては例えばアルミニウム箔が挙げられ、金属蒸着膜としては、例えば、アルミニウム、珪素等が挙げられ、金属酸化物膜としては、アルミニウム酸化物、珪素酸化物等が挙げられる。
上記の金属蒸着膜と金属酸化物膜は、樹脂フィルムに蒸着された蒸着膜付きフィルムの形態で用いることもできる。該樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等を使用することができる。
本発明の積層体において、シーラント層は、積層体の片面の最表層であり、バリア層と直接またはアンカーコート層を介して隣接している。
本発明の積層体のシーラント層は、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを含有していることが好ましい。
ここで、低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、3/7以上、7/3以下の範囲で含有することが好ましく、低密度ポリエチレンは、植物由来の低密度ポリエチレンを含有していることが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの質量比は、3/7以上、7/3以下の範囲が好ましい。上記範囲よりも低いと、積層体や包装袋を引き裂く際に伸びが大きく、手切り開封性が悪くなり易く、また、シール強度が低くなり易いため、包装袋が落下等の衝撃に耐えられずに耐破袋性が低下する虞がある。上記範囲よりも高いと、積層体の引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることができず、はさみ等が必要となり易い。
さらに、シーラント層に含有される低密度ポリエチレンは、植物由来の低密度ポリエチレンを含有していることが好ましい。
例えば、シーラント層中の、最外表面層を第1のシーラント層とし、第1のシーラント層の内側に隣接した層を第2のシーラント層とした場合には、第1のシーラント層は、化
石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましく、第2のシーラント層は、植物由来の低密度ポリエチレンを含むことが好ましく、第2のシーラント層/第1のシーラント層の厚み比は、3/7以上、7/3以下であることが好ましい。
また、第1のシーラント層には、植物由来ポリエチレン系樹脂を含まないことが好ましい。
シーラント層の全厚みは、25μm以上、40μm以下の範囲が好ましい。上記範囲よりも小さいと環境負荷低減が小さく、上記範囲よりも大きいと、シーラントフィルムの手切り性や耐落下衝撃性が低下しやすい。
そして、基材層とバリア層の間の接着樹脂層とシーラント層の合計の厚みが、50μm以上、90μm以下であることが好ましい。上記範囲であれば、接着性とシール性と高いバイオマス度の優れたバランスを採り易い。シーラント層のバイオマス度は10%以上、50%以下であることが好ましい。
上記範囲よりも小さいと積層体のバイオマス度が低くなり、環境負荷低減効果が低くなりやすい。
シーラント層の積層方法としては、例えば、バリア層上に溶融(共)押出コーティング法によって積層する方法が挙げられる。
シーラント層は上記のポリエチレン系樹脂、熱可塑性樹脂、添加剤等を含有するポリエチレン系樹脂組成物から形成することができる。
ハーフカット線は、公知のレーザーやカッターなどで加工して形成することができる。
ハーフカット線は、基材層は貫通しているが、バリア層とシーラント層は貫通しないように形成されている。接着剤層は貫通していても、貫通していなくともよく、ハーフカット線の加工方法によって異なる。例えば、レーザーで加工する場合には貫通していてもよいが、カッター等で加工する場合には、貫通していなくともよい。
積層体がハーフカット線を有することによって、積層体及び該積層体から作製された包装材料、包装体は、手切り開封性が向上する。
ハーフカット線の本数には特に制限は無く、1本または2本以上の何本でもよい。
ハーフカット線が2本以上の場合には、ハーフカット線は、平行であっても、収斂する配置であってもよく、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた配置であってもよい。
傷痕群は、公知のレーザーやカッターなどで加工して形成することができる。
傷痕群は、基材層は貫通しているが、バリア層とシーラント層は貫通しないように形成されている。接着剤層は貫通していても、貫通していなくともよく、傷痕群の加工方法によって異なる。例えば、レーザーで加工する場合には貫通していてもよいが、カッター等で加工する場合には、貫通していなくともよい。
積層体が傷痕群を有することによって、積層体及び該積層体から作製された包装材料、包装体は、手切り開封性が向上する。
傷痕群のパターンや幅、傷痕の形状や個数には特に制限は無い。
ポリエチレンは、由来する原料によって、化石燃料由来ポリエチレン系樹脂と植物由来ポリエチレン系樹脂に分類され、また、その分子構造、密度、MFRによって、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)に分類される。
すなわち、例えば、植物由来ポリエチレン系樹脂としては、植物由来直鎖状低密度ポリエチレン、植物由来低密度ポリエチレンが挙げられる。
また、本発明においては、エチレンと各種不飽和化合物との共重合体もポリエチレンの一種として扱う。
さらに、本発明においては、各種の総称として「系樹脂」を付記して、例えば、各種のポリエチレンの総称としてポリエチレン系樹脂とも表記する。
本発明において、化石燃料由来ポリエチレン系樹脂とは、植物由来の原料を用いず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレン、並びにα-オレフィン(1-ブテン、1-ヘキセン等)を原料として重合して製造されるポリエチレンである。
重合方法としては、低密度ポリエチレン用には高圧法が、直鎖状低密度ポリエチレン用には高圧法、スラリー法、溶液法、気相重合法等の重合方法が一般的である。
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
植物由来ポリエチレン系樹脂は、併用する石油由来ポリエチレン系樹脂の物性や、シーラントフィルムの用途に応じて、適した密度やMFRのものを選択することができる。
重合時の触媒や重合方法は、化石燃料由来ポリエチレン系樹脂と同様である。
低密度ポリエチレンは、100~400MPaの高圧下でラジカル重合されるポリエチレンである。
本発明において使用される低密度ポリエチレンは、密度が0.920kg/m3以上、0.933kg/m3以下であることが好ましく、0.920kg/m3以上、0.925kg/m3以下であることがより好ましい。MFRは、0.5g/10分以上、3.5g/10分以下であることが好ましく、0.8g/10分以上、3.0g/10分以下であ
ることがより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー触媒やメタロセン触媒などの遷移金属触媒を用いて、常圧~1MPaの低圧下でエチレンとα―オレフィンが重合されるポリエチレンである。
本発明において、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、C4直鎖状低密度ポリエチレンおよび/またはC6直鎖状低密度ポリエチレンを含むことができる。
ここで、C4直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンと1-ブテンの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンであり、C6直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンと1-ヘキセンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである。
これらの直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて合成されたものが、シーラント層に含有された場合に手切り性や引裂き性に優れ、好ましい。
上記範囲よりも小さいと、包装体を引き裂く際に包装体が伸び、手切り性が悪くなり易く、また、シール強度が低くなり易いため、包装体が落下等の衝撃に耐えられずに破袋する虞がある。上記範囲よりも大きいと包装体の引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることができず、はさみ等が必要となり易い。
また、植物由来C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、全シーラント層中に、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。
密度、MFRが上記範囲外であると、耐落下衝撃性が低下し易い。
該含有率が上記範囲よりも小さいと、包装体を引き裂く際に包装体が伸び、手切り性が悪くなり易く、また、シール強度が低くなり易いため、包装袋が落下等の衝撃に耐えられずに破袋する虞がある。上記範囲よりも大きいと包装体の引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることが困難で、はさみ等が必要となり易い。
該質量比が上記範囲よりも小さいと包装体の引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることができず、はさみ等が必要となり易い。上記範囲よりも大きいと、包装体を引き裂く際に包装体が伸び、手切り性が悪くなり易く、また、シール強度が低くなり易いため、包装袋が落下等の衝撃に耐えられずに破袋する虞がある。
バイオマス度は、化石燃料由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率
を表す指標であり、放射性炭素(14C)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=14C濃度(pMC)×0.935
この14Cは、植物由来の原料中には一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた化石燃料中にはほとんど存在しない。したがって、14Cの濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明の包装材料は、本発明の積層体を用いて作製された包装材料である。
本発明の包装体は、本発明の包装材料を用いて作製された包装体であり、例えば、本発明の包装材料を使用し、これを二つ折にするか、又は包装材料2枚を用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
図3に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の、本発明の包装材料からなる壁面フィルム11、11’の下部の間に底面フィルム(包装材料は壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)を内側に折り返して底面フィルム折り返し部12まで挿入してなるガセット部14を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部13a 、13bを設け、ガセット部14を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部15でヒートシールして形成し、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム11、11’の両側の端縁部を側部シール部16a、16bでヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部17でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部20が、その両側に切り欠き部19a、19bを設けて突出する形状に設けられている。
尚、パウチ100の上部のうち、注出口部20を設けていない部分は、上部シール部18でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
また、前記ハーフカット線21は、図では3本の平行なハーフカット線で示したが、1本、または2本のほか、中心のハーフカット線の両側に各1本~3本等複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状等、任意の形状に設けることができる。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
・植物由来エチレングリコール1:インディアグライコール社製。バイオマス度100%。
・化石燃料由来LDPE1:宇部丸善ポリエチレン(株)社製高圧法低密度ポリエチレン、UBEポリエチレンF224N。密度0.924g/cm3、MFR2.0g/10分。
・植物由来LDPE1:Braskem社製SEB853。密度0.923g/cm3、MFR2.7g/10分。
・アルミニウム箔1:日本製箔(株)社製A1N30H-O。厚さ7μm。
・植物由来LDPE2:Braskem社製SBC818。密度0.918kg/m3、MFR8.1g/10分。
・化石燃料由来LLDPE1:(株)プライムポリマー社製UZ2010L。チーグラー・ナッタ触媒を用いたエチレンと1-ブテンとの共重合体である化石燃料由来C4LLDPE。密度0.922g/cm3、MFR2.2g/10分。
化石燃料由来テレフタル酸と植物由来エチレングリコール1とから合成された植物由来ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて製膜し、二軸延伸して、12μm厚の植物由来PETフィルム1を得た。放射性炭素(14C)測定に基づくバイオマス度は13%。
基材層としての植物由来PETフィルム1上に、接着樹脂層としての化石燃料由来LDPE1を溶融押出しながら、同時にバリア層としてのアルミニウム箔1を化石燃料由来LDPE1上に重ねてロールに挟んで、サンドイッチラミネート法によって積層した。
そして、アルミニウム箔1の面上に、シーラント層としての、植物由来PE1と化石燃料由来LLDPE1とを共押出してロールに通して、積層体を得た。そして、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
積層体の層構成は、下記の通り。
植物由来PETフィルム1(12μm)/化石燃料由来LDPE1(20μm)/アルミニウム箔1(7μm)/植物由来PE1(10.5μm)/化石燃料由来LLDPE1(24.5μm)
接着樹脂層とシーラント層の組成と厚みを表1に記載の内容に変更した以外は実施例1
と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
尚、実施例6では、接着樹脂層には、化石燃料由来LDPE1と植物由来LDPE1とを、質量比1/1で溶融混合した樹脂を用いた。
全実施例の積層体は、優れた耐破袋性、手切り開封性、充填適正のバランスを示したが、比較例1の積層体は劣った耐破袋性と充填適正を示した。
10個のパウチ袋のそれぞれに水360mlを充填し、1.2m高さから垂直(底が下)10回、水平(表面が下)10回落下させ、特にカット箇所や傷痕群の箇所の破袋や、シール後退の有無を確認した。常温(25℃)と低温(3℃)にて評価した。結果の表記の意味は下記の通り。
判定基準
◎:破袋、シール後退は認められなかった。
○:ごくまれにシール後退が認められた。
△:シール後退が認められた。
×:破袋が認められた。
10個のパウチ袋のノッチ部からハーフカット線に沿って開封し、開封開始時のひっかかりとシーラントフィルムの伸びの有無を確認した。5名で2個ずつ分担して評価実施。
判定基準
◎:初期開封がスムーズで、引っかかりもシーラントの伸びもない
○:◎に比べると軽度の引っかかりが有る、もしくは軽度のシーラント伸びが有る。
△:引っかかりが有る、もしくはシーラントの伸びが有る。
×:初期開封が重く、重度の引っかかりもしくはシーラントの伸びが有る
[手切り開封性]
10個のパウチ袋に液体内容物を充填して密封して、破袋の有無を目視で確認した。
判定基準
◎:破袋は認められなかった。
×:破袋が認められた。
2 基材層
3 接着樹脂層
4 バリア層
5 シーラント層
6 樹脂フィルム
7 アンカーコート層
11、11’ 壁面フィルム
12 底面フィルム折り返し部
13a、13b 底面フィルム切り欠き部
14 ガセット部
15 底部シール部
16a、16b 側部シール部
17 注出口部シール部
18 上部シール部
19a、19b 切り欠き部
20 注出口部
21 ハーフカット線
22 ノッチ
100 詰め替え用包装袋(パウチ)
Claims (9)
- 少なくとも、基材層、接着樹脂層、バリア層、シーラント層を有し、この順で積層されている、手切り開封包装体用の、積層体であって、
前記接着樹脂層は、低密度ポリエチレンを含有し、
前記バリア層と前記シーラント層は、直接またはアンカーコート層を介して隣接しており、
前記基材層は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、合成紙から選択される1または2以上が積層されたフィルムからなり、
前記バリア層は、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物膜からなる群から選ばれる、1種または2種以上であり、
前記シーラント層は、該積層体の片面の最表層であり、
前記シーラント層は、前記シーラント層中の最外表面層である第1のシーラント層と、前記第1のシーラント層と隣接した第2のシーラント層のみで構成される2層構成であり、
前記第1のシーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンであり、
前記第2のシーラント層は、植物由来の低密度ポリエチレンであり、
前記第2のシーラント層/前記第1のシーラント層の厚み比は、1/1以上、7/3以下であり、
前記シーラント層の全厚みは25μm以上、40μm以下であり、
前記接着樹脂層と前記シーラント層の合計の厚みが、50μm以上、90μm以下、
であることを特徴とする、手切り開封包装体用の、積層体。 - 前記接着樹脂層が、植物由来の低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の、積層体。
- 前記接着樹脂層と前記バリア層は隣接していることを特徴とする、請求項1または2に記載の、積層体。
- 前記基材層が、リサイクルポリエステル、または植物由来のポリエステルからなる樹脂フィルムを含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の、積層体。
- 前記積層体は、手切り開封用のハーフカット線を有し、
該ハーフカット線は、前記基材層を貫通し、且つ、前記バリア層と前記シーラント層とを貫通しないように形成されていることを特徴とする、
請求項1~4の何れか1項に記載の、積層体。 - 前記積層体は、手切り開封用の傷痕群を有し、
該傷痕群は、前記基材層を貫通し、且つ、前記バリア層と前記シーラント層とを貫通しないように形成されていることを特徴とする、
請求項1~5の何れか1項に記載の、積層体。 - 請求項1~6の何れか1項に記載の積層体から作製されたことを特徴とする、包装材料。
- 請求項7に記載の包装材料から作製されたことを特徴とする、包装体。
- 請求項7に記載の包装材料から作製されたことを特徴とする、包装袋。
Priority Applications (2)
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