JP7220004B2 - 繊維強化樹脂複合成形体とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂複合成形体とその製造方法に関する。
従来、繊維強化樹脂成形体は、高強度且つ高剛性であるという点から、スポーツ、レジャー、航空機などの幅広い産業分野で使用されている。
繊維強化樹脂成形体の製造方法として、補強繊維に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグや、シートモールディングコンパウンドなどを圧縮成形する方法が、多くの分野で採用されている。
プリプレグは補強繊維として長繊維を用いるため、高強度・高剛性の成形体が得られる反面、複雑な形状に賦形し難い。それに対して、シートモールディングコンパウンドは、補強繊維として短い繊維を用いるため、成形品の強度は低くなるものの、成形時の流動性に優れ、リブやボスなどの複雑な形状にも賦形し易い。
また、プリプレグとシートモールディングコンパウンドの双方の利点を取り入れるため、プリプレグとシートモールディングコンパウンドを積層して圧縮成形した成形品が提案されている(特許文献1)。
特開2009-083441号公報
しかし、プリプレグとシートモールディングコンパウンドを積層して圧縮成形した成形品は、圧縮成形時のシートモールディングコンパウンドの流動によって、シートモールディングコンパウンドと接触しているプリプレグに繊維の乱れ(捩れ)が発生しやすく、外観上の問題となりやすい。
また、圧縮成形時にシートモールディングからの揮発物が、シートモールディングコンパウンドとプリプレグとの境界に溜まりやすく、ボイド等の原因となる場合がある。成形品は、ボイド等の存在によって、外観が損なわれることになる。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、複雑な形状であっても繊維の乱れやボイド等の無い、良好な外観を有する繊維強化樹脂複合成形体とその製造方法の提供を目的とする。
請求項1の発明は、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維と熱硬化性樹脂とよりなる基層部形成用コンパウンドから形成された基層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンド間に配置された連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部とを有し、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする繊維強化樹脂複合成形体に係る。
請求項2の発明は、請求項1において、前記中間層部と前記基層部との間に、補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成された補強層部を有し、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2において、前記補強層部と前記基層部との間に、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された第2の中間層部を有し、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記繊維強化樹脂材はプリプレグであり、前記基層部形成用コンパウンドはシートモールディングコンパウンドであることを特徴とする。
請求項5の発明は、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維と熱硬化性樹脂とよりなる基層部形成用コンパウンドから形成された基層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンド間に配置された連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部とを有する繊維強化樹脂複合成形体の製造方法であって、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンドを、前記連続気泡構造の熱硬化性発泡体シートを挟んで積層して加熱圧縮し、前記圧縮状態で硬化させることにより、前記表層部と前記中間層部と前記基層部を積層一体化させることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5において、前記積層に際し、前記連続気泡構造の熱硬化性発泡体シートと前記基層部形成用コンパウンドの間に、補強層部形成用繊維強化樹脂材を配置し、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記基層部形成用コンパウンドを、加熱圧縮により硬化させて積層一体化し、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成された補強層部を前記中間層部と前記基層部間に設けることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6において、前記積層に際し、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンドの間に、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを配置し、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記基層部形成用コンパウンドを、加熱圧縮により硬化させて積層一体化し、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された第2の中間層部を、前記補強層部と前記基層部間に設けることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項5から7の何れか一項において、前記繊維強化樹脂材はプリプレグであり、前記基層部形成用コンパウンドはシートモールディングコンパウンドであることを特徴とする。
本発明によれば、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドを、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを挟んで積層して加熱圧縮し、基層部形成用コンパウンドを流動させて賦形する際に、基層部形成用コンパウンドの流動による表層部形成用繊維強化樹脂材に与える影響を、基層部形成用コンパウンドと表層部形成用繊維強化樹脂材との間に存在する連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートによって緩和することができ、表層部形成用繊維強化樹脂材における繊維の乱れを防ぎ、繊維強化樹脂複合成形体の表層部の外観を良好なものにできる。
また、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドを、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを挟んで積層して加熱圧縮することにより、基層部形成用コンパウンドを流動させて賦形する際に、基層部形成用コンパウンドから生じる揮発物が、基層部形成用コンパウンドと表層部形成用繊維強化樹脂材との間に存在する連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートに吸収されて分散し、あるいは連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを通って外部へ放出されるため、ボイド等の発生を防ぐことができ、繊維強化樹脂複合成形体の表層部の外観を良好なものにできる。
さらに、前記中間層部と前記基層部との間に補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成された補強層部を設けることにより、表層部の外観が良好な繊維強化樹脂複合成形体の強度及び剛性を、さらに高くすることができる。
さらに、前記補強層部と前記基層部との間に第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された第2の中間層部を設けることより、前記基層部形成用コンパウンドの流動及び揮発物による影響を、前記中間層部を形成する連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記第2の中間層部を形成する第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートとの二つの連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートによって緩和することができ、繊維強化樹脂複合成形体の表層部の外観をさらに良好なものにでき、かつ強度及び剛性を高いものにできる。
本発明の第1実施形態の繊維強化樹脂複合成形体を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の製造方法に使用される成形金型の一実施形態の断面図である。 本発明の第1実施形態の製造方法における積層時の一実施形態を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の製造方法における加熱圧縮時の一実施形態を示す断面図である。 本発明の第2実施形態の繊維強化樹脂複合成形体を示す断面図である。 本発明の第2実施形態の製造方法における積層時の一実施形態を示す断面図である。 本発明の第3実施形態の繊維強化樹脂複合成形体を示す断面図である。 本発明の第3実施形態の製造方法における積層時の一実施形態を示す断面図である。 本発明の実施例に使用した成形金型の断面図である。 各実施例及び比較例における熱硬化性樹脂発泡体シートの内容と繊維強化樹脂複合成形体の物性及び外観の判断を示す表である。
以下、本発明の繊維強化樹脂複合成形体及びその製造方法について説明する。
図1に示す第1実施形態の繊維強化樹脂複合成形体10は、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部11と、基層部形成用コンパウンドから形成された基層部21と、表層部11と基層部21との間に配置され、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部31とよりなる。繊維強化樹脂複合成形体10は、表層部11における繊維の乱れや、基層部形成用コンパウンドからのボイドに起因する問題が無く、外観の良好なものである。なお、表層部11と基層部21の何れが、繊維強化樹脂複合成形体10の表側の面あるいは裏側の面にされるかについては、繊維強化樹脂複合成形体10の用途等に応じて決められる。
表層部11は、表層部形成用繊維強化樹脂材が加熱圧縮されて硬化したものからなる。
表層部形成用繊維強化樹脂材は、繊維シートに熱硬化性樹脂が含浸したものである。繊維シートとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維から構成されたものを挙げることができる。特に、軽量化と剛性向上の点から炭素繊維が好ましい。繊維シートは、織物、編み物、不織布等であってもよい。織物としては、平織、綾織、朱子織、三軸織等がある。また、繊維シートは、一方向あるいは複数方向に配向した繊維で構成されていてもよい。繊維シートは、剛性向上の点から、繊維織物が好ましい。
繊維シートを構成する繊維は、後記の基層部形成用コンパウンドに含まれる繊維よりも繊維長が長いものが好ましく、例えば連続繊維あるいは不連続繊維からなるものが挙げられる。
繊維シートに含浸する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、またはこれらの混合樹脂等が挙げられる。繊維シートに熱硬化性樹脂が含浸した表層部形成用繊維強化樹脂材としては、プリプレグが好ましい。
基層部21は、表層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維と熱硬化性樹脂とよりなる基層部形成用コンパウンドが加熱圧縮されて硬化したものからなる。図示の基層部21は、表面に凸部としての補強用リブ23とボス25が突出形成されている。なお、基層部21の表面形状は、補強用リブ23とボス25とからなる凸部に限られず、繊維強化樹脂複合成形体10の用途等に応じて適宜の凹形状、凸形状、凹凸形状、あるいは凹凸の無いものであってもよい。
基層部形成用コンパウンドに含まれる繊維の長さは、成形性の点から30mm以下が好ましく、また、剛性向上の点からは5mm以上が好ましい。基層部形成用コンパウンドに含まれる繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維等の短繊維が挙げられる。特に軽量化と剛性向上の点から炭素繊維が好ましい。
基層部形成用コンパウンドに含まれる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはこれらの混合樹脂等が挙げられる。
基層部形成用コンパウンドとしては、シートモールディングコンパウンド(以下SMCと記す)が好ましい。SMCは、熱硬化性樹脂に充填材や硬化剤などを含んだコンパウンドを、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維材に含浸させたシート状の成形材料をいう。
中間層部31は、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートが、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドの間に配置されて、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドと共に加熱圧縮され、表層部形成用繊維強化樹脂材及び基層部形成用コンパウンドに含浸している熱硬化性樹脂と接触あるいは含浸して、該熱硬化性樹脂が硬化したものである。中間層部31は、熱硬化性樹脂の硬化により、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートが圧縮された状態で形状固定されている。
連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートとしては、ウレタン樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体等のシートが挙げられる。熱硬化性樹脂発泡体を連続気泡構造のものとすることにより、熱硬化性樹脂が熱硬化性樹脂発泡体シートに含浸可能になり、また熱硬化性樹脂発泡体シートの圧縮が容易になり、さらには繊維強化樹脂複合成形体10の製造時にSMCからの揮発物を逃がし、ボイドの発生を防止することができるようになる。連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートがウレタン樹脂発泡体からなる場合、セル数(JIS K 6400-1)は5~90個/25mmが好ましい。セル数の値が小さ過ぎると、セルの径が大きくなって強度が低下するようになる。一方、セル数の値が大きすぎると、セルの径が小さくなって通気性が悪くなる。
また、中間層部31を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートで構成することにより、繊維強化樹脂複合成形体10を製造する際の加熱圧縮時に、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートが軟化したり融着したりせず、加熱圧縮時における基層部形成用コンパウンドの流動による表層部形成用繊維強化樹脂材への悪影響を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートで防ぐことができる。
表層部11と基層部21と中間層部31は、繊維強化樹脂複合成形体10の製造の際に、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを挟んで表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドを積層して行われる加熱圧縮によって、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドの熱硬化性樹脂が硬化することにより一体化している。
繊維強化樹脂複合成形体10の製造方法は、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドを、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを挟んで積層して加熱圧縮し、表層部形成用繊維強化樹脂材と基層部形成用コンパウンドに含まれる熱硬化性樹脂を、前記圧縮状態で硬化させることにより行う。
加熱圧縮の一実施形態を、図2に示す成形金型50を用いる場合について説明する。成形金型50は、上型51と下型53とで構成される。本実施形態では、上型51の型面は平坦となっている。下型53の型面は、繊維強化樹脂複合成形体10の基層部21の表面に応じた形状からなり、本実施形態では繊維強化樹脂複合成形体10の補強リブ23とボス25を形成するための成形用凹部55、57が設けられている。
成形金型50は、予め加熱炉に入れることにより、あるいは成形金型50に設けた加熱手段(例えば電熱ヒータ等)によって所定温度に加熱される。加熱温度は、表層部形成用繊維強化樹脂材及び基層部形成用コンパウンドに含まれる熱硬化性樹脂が硬化する温度に設定される。
成形金型50を開いた状態にして、図3に示すように、下型53の型面に基層部形成用コンパウンド21Aと、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aと、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aを、この順に重ねて配置し、積層する。上型51及び下型53の型面には、予め離型剤を塗布しておくのが好ましい。
基層部形成用コンパウンド21Aは、前記のように炭素繊維やガラス繊維などの短繊維に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはそれらの混合樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸したものであり、SMCが好ましい。基層部形成用コンパウンド21Aに含まれる短繊維は、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aに含まれる繊維よりも短い繊維からなり、成形性の点から30mm以下が好ましく、また、剛性向上の点からは5mm以上が好ましい。
基層部形成用コンパウンド21Aは、下型53の型面に、成形用凹部55、57を覆うように載置される。基層部形成用コンパウンド21Aの大きさは、成形用凹部55、57を覆うことのできる大きさからなり、下型53の型面の大きさと等しくてもよい。
連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aは、前記のようにウレタン樹脂発泡体やメラミン樹脂発泡体等の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体からなり、予め、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、あるいはそれらの混合樹脂などからからなる熱硬化性樹脂を含浸させておいてもよい。連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートがウレタン樹脂発泡体からなる場合、セル数(JIS K 6400-1は5~90個/25mm、見かけ密度(JIS K 7222)は20~100kg/mが好ましく、より好ましくは30~75kg/mである。さらに、通気性確保のため、公知のセル膜除去処理が行われたものが好ましい。また、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートの厚みは、薄過ぎると表層部11における繊維の乱れやボイド等による外観の問題を生じるようになり、逆に厚過ぎると繊維強化樹脂複合成形体10の強度が低下するようになるため、0.3~3.0mmの厚みが好ましい。
なお、予め連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートに熱硬化性樹脂を付着あるいは含浸させる場合、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを熱硬化性樹脂に漬けるディッピングや塗布などに限られない。例えば、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aや基層部形成用コンパウンド21Aに連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを貼り付ける(積層を含む)ことにより、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aや基層部形成用コンパウンド21Aの表面に付着している熱硬化性樹脂を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートに付着あるいは含浸させるようにしてもよい。
また、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aと連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aと基層部形成用コンパウンド21Aを加熱圧縮する際に、表層部形成用繊維強化樹脂材11A及び基層部形成用コンパウンド21Aから滲出した熱硬化性樹脂を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aに含浸させるようにしてもよい。
連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aは、基層部形成用コンパウンド21Aを覆うようにして下型53内に配置される。連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aの大きさは、基層部形成用コンパウンド21Aの流動による影響が表層部形成用繊維強化樹脂材11Aに伝わらないようにするため、基層部形成用コンパウンド21Aの流動範囲と等しい、あるいはそれより広い範囲を覆う大きさにするのが好ましい。
表層部形成用繊維強化樹脂材11Aは、前記のように炭素繊維織物などの繊維シートに、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、またはこれらの混合樹脂等からなる熱硬化性樹脂が含浸したものであり、プリプレグが好ましい。繊維シートの繊維は、基層部形成用コンパウンドに含まれる繊維よりも繊維長の長いものが好ましい。なお、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aは、一枚のプリプレグで構成する場合に限られず、複数枚のプリプレグを積層したもので構成してもよい。
下型53の型面に、基層部形成用コンパウンド21Aと含浸発泡体シート31Aと表層部形成用繊維強化樹脂材11Aを、この順に積層した後、図4に示すように上型51を下型53に被せ、基層部形成用コンパウンド21Aと含浸発泡体シート31Aと表層部形成用繊維強化樹脂材11Aを積層状態で加熱圧縮する。
なお、成形用凹部や凸部が下型の型面ではなく上型の型面に設けられている場合、下型の型面には、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aと連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aと基層部形成用コンパウンド21Aを、この順に積層する。
また、成形用凹部や凸部が、下型の型面及び上型の型面の何れにも設けられていない場合、下型の型面に対する表層部形成用繊維強化樹脂材11Aと連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aと基層部形成用コンパウンド21Aの積層配置は、この順あるいは逆の何れであってもよい。
加熱圧縮時における基層部形成用コンパウンド21A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31A、表層部形成用繊維強化樹脂材11Aの挙動を以下に説明する。
基層部形成用コンパウンド21Aは、加熱により流動性を生じ、下型53の型面の成形用凹部55、57に入り込み、さらに下型53の型面上に流延する。
連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aは、基層部形成用コンパウンド21Aと表層部形成用繊維強化樹脂材11Aとの間で圧縮され、基層部形成用コンパウンド21A及び表層部形成用繊維強化樹脂材11Aの熱硬化性樹脂が接触し、あるいは含浸する。また、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aは、基層部形成用コンパウンド21Aと表層部形成用繊維強化樹脂材11Aとの間にあって緩衝作用を発揮し、基層部形成用コンパウンド21Aの流動による影響が表層部形成用繊維強化樹脂材11Aに伝わるのを防ぐと共に、基層部形成用コンパウンド21Aからの揮発物を吸収し、ボイドの発生を防ぐ。
表層部形成用繊維強化樹脂材11Aは、含浸されている熱硬化性樹脂が圧縮により滲出する。表層部形成用繊維強化樹脂材11Aから滲出した熱硬化性樹脂は、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aに接触し、あるいは含浸する。
そして、基層部形成用コンパウンド21A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31A及び表層部形成用繊維強化樹脂材11Aは、圧縮された状態でそれぞれの熱硬化性樹脂が硬化する。それによって、基層部形成用コンパウンド21Aから基層部21が形成され、また連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aから中間層部31が形成され、さらに表層部形成用繊維強化樹脂材11Aから表層部11が形成される。それと共に、それぞれの熱硬化性樹脂が接触し、あるいは混ざり合って硬化することにより、基層部21と中間層部31及び表層部11が接着一体化し、前記繊維強化樹脂複合成形体10が形成される。繊維強化樹脂複合成形体10は、基層部形成用コンパウンド21Aの流動による影響が連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aにより緩衝され、また基層部形成用コンパウンド21Aからの揮発物が連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート31Aにより吸収されるため、複雑形状であっても繊維の乱れやボイド等の無い、良好な外観の表層部11が得られる。
図5に示す第2実施形態の繊維強化樹脂複合成形体101は、表層部111と、中間層部311と、補強層部121と、基層部211が積層一体化したものであり、補強層部121を中間層部311と基層部211間に有する点で第1実施形態の繊維強化樹脂複合成形体10とは異なる。
表層部111は、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成されたものであり、第1実施形態の表層部11と同様の構成からなる。
中間層部311は、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成されたものであり、第1実施形態の中間層部31と同様の構成からなる。
補強層部121は、補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成されたものである。補強層形成用繊維強化樹脂材は、表層部形成用繊維強化樹脂材と同様に繊維シートに熱硬化性樹脂が含浸したものからなり、プリプレグが好ましい。
基層部211は、基層部形成用コンパウンドから形成されたものであり、第1実施形態の基層部21と同様の構成からなる。基層部形成用コンパウンドに含まれる繊維は、表層部形成用繊維強化樹脂材及び補強層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維からなる。基層部211の表面には、凸部としての補強用リブ231とボス251が突出形成されている。
表層部111、中間層部311、補強層部121、基層部211は、繊維強化樹脂複合成形体101の製造の際に、表層部形成用繊維強化樹脂材、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート、補強層部形成用繊維強化樹脂材、基層部形成用コンパウウンドを積層して行われる加熱圧縮によって、表層部形成用繊維強化樹脂材と補強層部形成用繊維強化樹脂材及び基層部形成用コンパウンドの熱硬化性樹脂が滲出して連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートに付着、含浸し、また滲出した熱硬化性樹脂同士が接触あるいは混ざり合って硬化することにより一体化している。
第2実施形態の繊維強化樹脂複合成形体101の製造方法について、次に示す。
図6に示すように、成形金型50の下型53の型面に、基層部形成用コンパウンド211A、補強層部形成用繊維強化樹脂材121A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート311A、表層部形成用繊維強化樹脂材111Aを、この順に配置し、積層する。なお、成形金型50は、第1実施形態の製造方法で説明したとおりである。
次に、上型51を下型53に被せ、基層部形成用コンパウンド211A、補強層部形成用繊維強化樹脂材121A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート311A、表層部形成用繊維強化樹脂材111Aを積層状態で加熱圧縮する。その加熱圧縮により、基層部形成用コンパウンド211Aが流動して下型53の型面形状になるとともに、基層部形成用コンパウンド211Aと補強層部形成用繊維強化樹脂材121A及び表層部形成用繊維強化樹脂材111Aから熱硬化性樹脂が滲出して連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート311Aに付着、含浸し、また滲出した熱硬化性樹脂同士が混ざり合って硬化する。それにより、図5に示した、表層部111と中間層部311と補強層部121と基層部211が積層一体化した繊維強化樹脂複合成形体101が得られる。
第2実施形態の繊維強化樹脂複合成形体101は、加熱圧縮によって基層部形成用コンパウンドを流動させて賦形する際に、基層部形成用コンパウンドの流動による影響や、基層部形成用コンパウンドからの揮発物による影響を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートによって緩和することができ、表層部111の外観が良好なものになる。さらに、補強層部121の存在によって、繊維強化樹脂複合成形体101の強度及び剛性がより高いものになる。
図7に示す第3実施形態の繊維強化樹脂複合成形体102は、表層部112と、中間層部312と、補強層部122と、第2の中間層部322と、基層部212とが積層一体化したものである。中間層部312と基層部212の間に補強層部122と第2の中間層部322を有する点で、第1の実施形態の繊維強化樹脂複合成形体10と異なる。また、補強層部122と基層部212間に第2の中間層部322を有する点で、第2の実施形態の繊維強化樹脂複合成形体101と異なる。
表層部112は、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成されたものであり、第1実施形態の表層部11及び第2実施形態の表層部111と同様の構成からなる。
中間層部312は、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成されたものであり、第1実施形態の中間層部31及び第2実施形態の中間層部311と同様の構成からなる。
補強層部122は、補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成されたものであり、第1実施形態の補強層部121と同様の構成からなる。
第2の中間層部322は、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成されたものである。第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートは、中間層部312を構成する連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと同様の材質からなる。
基層部212は、基層部形成用コンパウンドから形成されたものであり、第1実施形態の基層部21及び第2実施形態の基層部211と同様の構成からなる。基層部212の表面には、凸部としての補強用リブ232とボス252が突出形成されている。
表層部112、中間層部312、補強層部122、第2の中間層部322、基層部212は、繊維強化樹脂複合成形体102の製造の際に、表層部形成用繊維強化樹脂材、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート、補強層部形成用繊維強化樹脂材、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート、基層部形成用コンパウウンドを積層して行われる加熱圧縮によって、表層部形成用繊維強化樹脂材と補強層部形成用繊維強化樹脂材及び基層部形成用コンパウンドの熱硬化性樹脂が滲出して、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートに付着、含浸し、また滲出した熱硬化性樹脂同士が接触あるいは混ざり合って硬化することにより一体化している。
第3実施形態の繊維強化樹脂複合成形体102の製造方法について、次に示す。
図8に示すように、成形金型50の下型53の型面に、基層部形成用コンパウンド212A、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート322A、補強層部形成用繊維強化樹脂材122A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート312A、表層部形成用繊維強化樹脂材112Aを、この順に配置し、積層する。なお、成形金型50は、第1実施形態の製造方法で説明したとおりである。
次に、上型51を下型53に被せ、基層部形成用コンパウンド212A、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート322A、補強層部形成用繊維強化樹脂材122A、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート312A、表層部形成用繊維強化樹脂材112Aを積層状態で加熱圧縮する。その加熱圧縮により、基層部形成用コンパウンド212Aが流動して下型53の型面形状になるとともに、基層部形成用コンパウンド212Aと補強層部形成用繊維強化樹脂材122A及び表層部形成用繊維強化樹脂材112Aから熱硬化性樹脂が滲出して連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート312A及び第2の連続気泡構造の発泡体シート322Aに付着、含浸し、また滲出した熱硬化性樹脂同士が混ざり合って硬化する。それにより、図7に示した、表層部112と中間層部312と補強層部122と第2の中間層部322と基層部212が積層一体化した繊維強化樹脂複合成形体102が得られる。
第3実施形態の繊維強化樹脂複合成形体102は、加熱圧縮によって基層部形成用コンパウンドを流動させて賦形する際に、基層部形成用コンパウンドの流動による影響や、基層部形成用コンパウンドからの揮発物による影響を、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートによって緩和することができ、表層部112の外観が良好なものになる。さらに、補強層部122の存在によって、繊維強化樹脂複合成形体102の強度及び剛性がより高いものになる。
本発明による効果を確認するため、図9に示す成形金型60を用いて以下に示す各実施例及び比較例の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
成形金型60は、上型61及び下型63の何れも型面が平坦となっている。型面の平面サイズは200×300mmであり、閉型時の上型61の型面と下型63の型面間の寸法(成形品の厚みに相当)が、1.5mmに設定されている。
・実施例1
まず、フェノール樹脂溶液(住友ベークライト株式会社製、品名:PR-55791B、樹脂濃度60wt%エタノール溶液)中に、綾織の炭素繊維織物(帝人株式会社製、品名:W-3101、繊維重量200g/m)を200×300mmに裁断したものを漬け、取り出した後に、25℃の室温で2時間自然乾燥することにより、フェノール樹脂含浸済み炭素繊維織物を作製した。
フェノール樹脂含浸済み炭素繊維織物の表面に、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート(セル膜除去処理済みのウレタン樹脂発泡体、株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-50、見かけ密度(JIS K 7222)30kg/m、セル数(JIS K 6400-1)50個/25mm、空隙率97.1%、厚み0.4mm)を200×300mmに裁断したものを貼り合わせた。空隙率の計算式は次の通りである。空隙率=(ウレタン樹脂の真比重-嵩比重(≒ウレタン樹脂発泡体見かけ密度))/ウレタン樹脂の真比重×100
なお、ウレタン樹脂の真比重とは、1.05である。
その後、フェノール樹脂含浸済み炭素繊維織物とその表面の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを、60℃の雰囲気下で1時間乾燥させて、フェノール樹脂含浸済み炭素繊維織物から表層部形成用繊維強化樹脂材(プリプレグ)を形成し、その表面に連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを貼り付けた状態とした。
成形金型60を140℃に加熱し、その成形金型60を開いて型面に離型剤を塗布した後、下型63の型面に、160×240mmのサイズに切り出した基層部形成用コンパウンド(SMC、三菱ケミカル株式会社製、品名:STR120N131、厚み2mm、繊維含有率53%)と、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、表層部形成用繊維強化樹脂材(プリプレグ)を、その順に配置した。そして、上型61を重ねて成形金型60を閉じ、140℃で15分間、5MPaの圧力を加え、基層部形成用コンパウンド、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び表層部形成用繊維強化樹脂材を加熱圧縮し、基層部形成用コンパウンド、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び表層部形成用繊維強化樹脂材の熱硬化性樹脂を硬化させた。
その後、成形金型60を室温で冷却した後、上型61と下型63を開き、表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部と、連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部と、基層部形成用コンパウンドから形成された基層部との一体品からなる実施例1の繊維強化樹脂複合成形体を得た。
・実施例2
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートの厚みを0.6mmに変更した以外、実施例1と同様にして実施例2の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例3
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートの厚みを1.0mmに変更した以外、実施例1と同様にして実施例3の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例4
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートの厚みを2.0mmに変更した以外、実施例1と同様にして実施例4の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例5
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートの厚みを3.0mmに変更した以外、実施例1と同様にして実施例5の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例6
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを、セル数(JIS K 6400-1)80個/25mm、空隙率95.2%、見かけ密度(JIS K 7222)75kg/m、厚み1.0mmのセル膜除去処理済みウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-80A)に変更した以外、実施例1と同様にして実施例6の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例7
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを、セル数(JIS K 6400-1)10個/25mm、空隙率97.3%、見かけ密度(JIS K 7222)30kg/m、厚み1.0mmのセル膜除去処理済みウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-10)に変更した以外、実施例1と同様にして実施例7の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例8
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを、セル数(JIS K 6400-1)8個/25mm、空隙率97.4%、見かけ密度(JIS K 7222)30kg/m、厚み1.0mmのセル膜除去処理済みウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-8)に変更した以外、実施例1と同様にして実施例8の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・実施例9
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを、セル数(JIS K 6400-1)50個/25mm、空隙率97.0%、見かけ密度(JIS K 7222)30kg/m、厚み1.0mm、セル膜除去処理無しのウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-50)に変更した以外、実施例1と同様にして実施例9の繊維強化樹脂複合成形体を作製した。
・比較例
実施例1における連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを無しとし、他は実施例1と同様にして比較例の繊維強化樹脂複合成形体(中間層部無し)を作製した。
各実施例及び比較例の繊維強化樹脂複合成形体に対し、全体厚み(mm)及び曲げ弾性率(GPa)を測定し、また外観を判断した。
曲げ弾性率(GPa)はJIS K 7074に基づいて測定した。
外観は、繊維強化樹脂複合成形体における表層部の表面を目視によって観察し、ボイドについて判断した。繊維ヨレ(撚れ)に関しては、物差しを用いて次のように測定、判断した。
繊維ヨレは、表層部の表面における2mm以上の範囲に渡って繊維の配列が乱れている場合に、2mm以上のヨレがあるとして「×」とし、ヨレが2mm未満の場合に「〇」とした。
ボイドは、表層部の表面の熱硬化性樹脂に孔(ピンホール)が見られる場合にボイド「有」とし、孔が見られない場合にボイド「無」とした。
図10に、各実施例及び比較例における熱硬化性樹脂発泡体シートの構成と、繊維強化樹脂複合成形体の測定結果及び外観判断の結果を示す。
実施例1~9の繊維強化樹脂複合成形体は、全体厚みが1.4~1.7mm、曲げ弾性率が32~38GPa、外観判断が繊維ヨレ「〇」、ボイド「無」であり、強度が十分でかつ表層部の外観が良好なものであった。
一方、中間層部が無く、表層部と基層部が接している比較例は、全体厚みが1.4mm、曲げ弾性率が38GPa、外観判断が繊維ヨレ「×」、ボイド有であり、強度は十分であったが、表層部の外観が劣っていた。
このように、本発明によれば、流動性のよい基層部形成用コンパウンドから形成された基層部を有する繊維強化樹脂複合成形体を、繊維の乱れやボイド等の無い、良好な外観の表層部を有するものにできる。そのため、本発明は、複雑な表面形状が求められる繊維強化樹脂複合成形体に好適である。
10、101、102 繊維強化樹脂複合成形体
11、111、112 表層部
11A、111A、112A 表層部形成用繊維強化樹脂材
21、211、212 基層部
21A、211A、212A 基層部形成用コンパウンド
31、311、312 中間層部
31A、311A、312A 連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート
322 第2の中間層部
322A 第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート
50 成形金型
51 上型
53 下型
55、57 成形用凹部
60 実施例用成形金型
61 実施例用上型
63 実施例用下型

Claims (8)

  1. 表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部と、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維と熱硬化性樹脂とよりなる基層部形成用コンパウンドから形成された基層部と、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンド間に配置された連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部とを有し、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シート及び前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする繊維強化樹脂複合成形体。
  2. 前記基層部と前記中間層部との間に、補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成された補強層部を有し、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂複合成形体。
  3. 前記補強層部と前記基層部との間に、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された第2の中間層部を有し、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記基層部形成用コンパウンドが、加熱圧縮により硬化して積層一体化したものであることを特徴とする請求項2に記載の繊維強化樹脂複合成形体。
  4. 前記表層部形成用繊維強化樹脂材はプリプレグであり、
    前記基層部形成用コンパウンドはシートモールディングコンパウンドであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の繊維強化樹脂複合成形体。
  5. 表層部形成用繊維強化樹脂材から形成された表層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材に含まれる繊維よりも短い繊維と熱硬化性樹脂とよりなる基層部形成用コンパウンドから形成された基層部と、前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンド間に配置された連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された中間層部とを有する繊維強化樹脂複合成形体の製造方法であって、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンドを、前記連続気泡構造の熱硬化性発泡体シートを挟んで積層して加熱圧縮し、前記圧縮状態で硬化させることにより、前記表層部と前記中間層部と前記基層部を積層一体化させることを特徴とする繊維強化樹脂複合成形体の製造方法。
  6. 前記積層に際し、前記連続気泡構造の熱硬化性発泡体シートと前記基層部形成用コンパウンドの間に、補強層部形成用繊維強化樹脂材を配置し、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記基層部形成用コンパウンドを、加熱圧縮により硬化させて積層一体化し、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材から形成された補強層部を前記中間層部と前記基層部間に設けることを特徴とする請求項5に記載の繊維強化樹脂複合成形体の製造方法。
  7. 前記積層に際し、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と前記基層部形成用コンパウンドの間に、第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートを配置し、
    前記表層部形成用繊維強化樹脂材と、前記連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記補強層部形成用繊維強化樹脂材と、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートと、前記基層部形成用コンパウンドを、加熱圧縮により硬化させて積層一体化し、前記第2の連続気泡構造の熱硬化性樹脂発泡体シートから形成された第2の中間層部を、前記補強層部と前記基層部間に設けることを特徴とする請求項6に記載の繊維強化樹脂複合成形体の製造方法。
  8. 前記表層部形成用繊維強化樹脂材はプリプレグであり、
    前記基層部形成用コンパウンドはシートモールディングコンパウンドであることを特徴とする請求項5から7の何れか一項に記載の繊維強化樹脂複合成形体の製造方法。
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