JP7218485B2 - 光硬化性樹脂組成物の製造方法、光硬化性樹脂組成物、接着剤組成物、複合構造物並びに複合構造物の製造方法及び解体方法 - Google Patents
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Description
光硬化体が溶剤で溶解する光硬化性組成物、
前記光硬化性組成物を含む、光硬化体が溶剤で溶解する接着剤組成物、
前記接着剤組成物で接着された部材を含む複合構造物及びその製造方法、並びに、
光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法を提供することを課題とする。
〔1〕(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
光硬化性樹脂組成物の製造方法、
〔2〕前項〔1〕記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法で得られる光硬化性樹脂組成物、
〔3〕前項〔2〕記載の光硬化性樹脂組成物を配合してなる接着剤組成物。
〔4〕部材1及び部材2を含む複合構造物であって、
部材1及び部材2前項〔3〕記載の接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合構造物、
〔5〕部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
前項〔4〕記載の複合構造物における接着剤組成物の光硬化体に前項〔1〕記載の溶剤を接触させて、前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法。
〔6〕前記接着剤組成物の硬化体に前項〔1〕記載の溶剤を接触させて前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除して、前記部材1と前記部材2とを離隔する、前項〔4〕記載の複合構造物の解体方法。
光硬化体が溶剤で溶解する光硬化性組成物、
前記光硬化性組成物を含む、光硬化体が溶剤で溶解する接着剤組成物、
前記接着剤組成物で接着された部材を含む複合構造物及びその製造方法、並びに、
光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法を提供することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下、光硬化性樹脂組成物)は、
以下の本発明の光硬化性樹脂組成物の製造方法(以下、組成物製造方法ともいう):
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
組成物製造方法で得ることができる。
化合物A~Dは、工程2及び3でこれらの配合量を調整して得られる配合組成物を、工程4で光硬化体にしたときに、光硬化体が、工程5の溶剤溶解テストでレベル2と判定されることに向けて、工程1で選択される。
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Aは、
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
測定装置:島津製作所社製GPCシステム;
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製);
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)。
好ましくは、4官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
より好ましくは、3官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、2官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、少なくとも2官能の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物を含む。
ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、クラレ社製の「UC-203」(重量平均分子量25000)が挙げられる。
ポリブタジエンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、日本曹達社製の「TE2000」(重量平均分子量2000)が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、東亞合成社製の「AB-6」(重量平均分子量6000)が挙げられる。
ポリウレタンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、根上工業社製の「UN-7700」が挙げられる。
即ち、多価アルコールにその水酸基1当量当りイソシアネート基が好ましくは1.1~2.0当量になるように有機ポリイソシアネートを混合し、反応温度を好ましくは70~90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで得られたウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量当り、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1~1.5当量となるように混合し、好ましくは70~90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Bは、
(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
好ましくは、4官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
より好ましくは、3官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、2官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、単官能の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート又はC2-10アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート;
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリレート;
グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート;2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
2-(1,2-シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルアクリレート、ピペリジニル(メタ)アクリレート、アルキルピペリジニル(メタ)アクリレート(ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレートなど)、モルホリノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロ環式(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;
アクリロイルモルフォリン、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド等のアミド化合物;
N-ビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニル複素環化合物;などが好ましく、
ヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート、炭素数2~10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート、アクリルアミド化合物がより好ましく、
ヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート及び/又は炭素数2~10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
化合物Cは、光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
化合物Cとしては、ラジカル光重合開始剤及び/又はカチオン光重合開始剤が好ましい。
ラジカル光重合開始剤は、化合物A及び化合物Bにおけるアクリレート部位の硬化に利用され、カチオン光重合開始剤は末端SiOHの脱水縮合反応を促進させ、かつ、エポキシ部のカチオン重合にも利用される。
紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びアセトフェノン系等が挙げられ、
可視光重合開始剤にはアシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、及びキノン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合開始剤;
2,2-ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン系重合開始剤;
ベンジル、ベンゾイン、及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン系重合開始剤;
ベンジルジメチルケタールなどのアルキルフェノン系重合開始剤;チオキサントンなどのチオキサントン系重合開始剤;
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1―プロパン-1-オン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどのヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤が挙げられる。
カンファーキノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン-1などのケトン系重合開始剤等が挙げられる。
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)及び/又は2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(IRGACURE TPO、BASF社製)が更に好ましく、
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)が更に好ましい。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4’-ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロ
ホスフェート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフ
ルオロアンチモネート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキ
サフルオロホスフェート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジ
フェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホ
ニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ま
しい。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が好ましい。
市販されているヨードニウム塩系カチオン光重合開始剤としては、ローディア社製PI2074が好ましい。
化合物Dは、反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
ロジン系可塑剤としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジン・グリセリンエステル、水添ロジン・グリセリンエステルなどのロジン系樹脂;
不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂;
ロジンフェノール等のロジン系樹脂;
テルペン系としては、樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などのテルペン系樹脂;
石油樹脂系としては、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂などの石油系樹脂;
(水添)ポリイソプレン、水酸基含有(水添)ポリイソプレン、(水添)ポリブタジエン、水酸基含有(水添)ポリブタジエン、ポリブテン等のゴム系ポリマー;
熱可塑性エラストマー;
キシレン樹脂;及び
アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂
からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸エステル;
トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;
トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル及び安息香酸エステルからなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;
四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン類;
α-メチルスチレンダイマー;
および、
ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
工程2では、光硬化性組成物が、工程5の溶剤溶解テストでレベル2と判断されるように、前記化合物A~Dの配合量を調整する。
化合物A中、3官能以上の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の配合量は、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~15質量%、更に好ましくは0~10質量%、更に好ましくは0~5質量%である。
化合物A中、単官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、更に好ましくは95~100質量%、更に好ましく100質量%である。
工程3では、工程2で配合量が調整された化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る.
工程4では、工程3で得たに紫外線を照射して光硬化体を得る。
工程5では、工程4で得た光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の残存状態を目視で確認し、
光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う。
メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、スチレンなどの炭化水素類;
ジエチルエーテルなどのエーテル類;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレンなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの窒素類;
ブチルグリコール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、テトラヒドロフランなどのグリコールエーテル類;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどの塩素類;
ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;ギ酸、酢酸等のカルボン酸類;及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、アルコール類、炭化水素類、エステル類及びケトン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
更に好ましくは、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコール及び炭酸ジエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、である。
溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの配合組成物を、組成物製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とする。
組成物製造方法で得られた本発明の光硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる組成物であるが、前述したように、光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性を阻害しない範囲で、任意成分として化合物Eを含んでよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、液状で部材に塗工して、光硬化させると部材への付着力に優れるため、部材同士を接着するための接着剤組成剤として好適に使用できる。
好ましくは0.1~100Pa・s以下であり、
より好ましくは0.3~50Pa・s以下であり、
更に好ましくは0.5~10Pa・s以下である。
本発明の複合構造物(以下、複合構造物ともいう)は、部材1及び部材2を含み、部材1及び部材2が接着剤組成物を介して接着している構造物である。
好ましくは部材1及び部材2の厚み方向の面が接着剤組成物を介して接着又は仮固定されるか、より好ましくは部材1及び部材2のプレート面が接着剤組成物を介して接着又は仮固定されるかして、
部材1及び部材2が接着剤組成物を介して接着して、部材1及び部材2が積層体を構成していてもよい。
(1)各種フィルム等の光学部材を備える液晶表示体であって、光学部材が接着又は仮固定されて積層体等を構成している液晶表示体。
(6)光学レンズ等の原材料を複数個仮固定して所定の形状に機械的加工を行った後接着剤を除去して各々を部品として使用する。
部材1及び部材2が接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合構造物において、接着剤組成物の光硬化体に溶剤を接触させて、部材1及び部材2の接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法によって、部材1及び部材2が互いに固定されずに近接又は接触している複合構造物を得ることができる。
工程2で得られた複合構造物は、接着剤組成物に溶剤を接触させて、及び/又は、温度環境を前記温度Tcよりも高温にして、部材1及び部材2の接着剤組成物を介しての接着を解除して前記部材1と前記部材2とを離隔することができるので、複合構造物の解体を容易にすることができる。
(1)化合物A
(1-1)化合物a1:UA10000B(ケーエスエム社、2官能ポリエーテルポリウレタンアクリレート)、重量平均分子量:25000
(1-2)化合物a2:UA-BK1(ケーエスエム社、4官能ポリエーテルポリウレタンアクリレート)、重量平均分子量:25000
(1-3)化合物a3:AB-6(東亞合成社、単官能ポリブチルアクリレートオリゴマー)、重量平均分子量:6000
(2-1)化合物b1:SR395(サートマー社、イソデシルアクリレート)
(2-2)化合物b2:FA513AS(日立化成社、ジシクロペンタニルアクリレ-ト)
(2-3)化合物b3:M-140(東亞合成社、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド)
(2-4)化合物b4:4-HBA(日本化成社、4-ヒドロキシブチルアクリレート)
(2-5)化合物b5:ACMO(KJケミカルズ社、アクリロイルモルホリン)
(2-6)化合物b6:AE-200(日本油脂社、ポリエチレングリコールモノアクリレート)
(2-7)化合物b7:HEAA(KJケミカルズ社、ヒドロキシエチルアクリルアミド)
(2-8)化合物b8:DMAA(KJケミカルズ社、ジメチルアクリルアミド)
(3-1)化合物c1:I-500(BASF社、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン:ベンゾフェノン=1:1混合物)
(3-2)化合物c2:I-184(BASF社、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
(3-3)化合物c3:I-TPO(BASF社、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)
(4-1)化合物d1:KE-311(荒川化学工業社、水添ロジンエステル)
(4-2)化合物d2:ME-H(荒川化学工業社、水添ロジンエステル)
(4-3)化合物d3:NK-H (フドー社、キシレン樹脂)
(4-4)化合物d4:DINCH(BASF社、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)
(4-5)化合物d5:RX31-38(亜細亜工業社、ポリエーテルポリウレタン)
(4-6)化合物d6:MSD-100(三井化学社、α-メチルスチレンダイマー)
実施例1~18は、工程5で溶剤溶解性がレベル2と判断された本発明の光硬化性組成物であり、
参考例1~5は、工程5で溶剤溶解性がレベル1と判断された配合組成物である。
化合物A~Dとして、表1の実施例1に数値が記載される各化合物を選択し(工程1)、選択された各化合物を表1に記載される配合量で評量して(工程2)、容器(材質SUS316製、容量700ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、配合組成物を得た(工程3)。
光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、と判断した(工程5)。
化合物A~Dとして、表1の各実施例及び各参考例に数値が記載される各化合物を選択し、紫外線照射条件を表1に記載したように実施例1と変えた以外は、実施例1と同様にして工程1~5を実施した。
紫外線照射ミネベア社製引張試験機(テクノグラフTG-2kN)で、積層体のPETフィルムのせん断方向に、スライドガラスとPETフィルムをそれぞれ逆方向に、100mm/分の速度で引っ張り、検出された応力を読み取り積層体の接着強度とした。
スライドガラス1(プレート状の部材1)のプレート面上に厚さ200μmのスペーサーを設置したものを23組用意して、スライドガラス1の表面上に、実施例2~18及び参考例1~5の光硬化性組成物を、スパーテルを用いて0.015g採取、設置し、もう1枚のスライドガラス2で挟み、表1に記載の照射量で紫外線照射することでスライドガラス1とスライドガラス2がそれぞれの組成物を介して積層する積層体(実施例2~18及び参考例1~5の光硬化性組成物を使用した複合構造物及び参考例1~5の光硬化性組成物を使用した比較構造物)を得た。
複合構造物における光硬化性組成物は溶剤に溶解して除去されていたが、
比較構造物における光硬化性組成物は溶剤に溶解されない固形分が残っていた。
複合構造物であった積層体は、スライドガラス1とスライドガラス2を手持ちで軽く引き離す程度で離隔して、解体することができたが、
比較構造物であった積層体は、スライドガラス1とスライドガラス2を手持ちで軽く引き離す程度では離隔せず、解体することができなかった。
Claims (7)
- (メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
光硬化性樹脂組成物の製造方法。 - 化合物A、B、C及びDを配合してなる光硬化性樹脂組成物であって、
前記化合物Aは、4官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Bは、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Cは、光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Dは、反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Dが、樹脂系可塑剤及び/又はオイル系可塑剤(但し、前記化合物Dは脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、パラフィン並びにポリエチレンワックス及び不飽和油のビニルエスエルを含まない)であり、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、前記化合物Dの配合量が5~1000質量部であり、
前記光硬化性樹脂組成物は、下記溶剤溶解テストにおいて、レベル2と判定され、
前記光硬化性樹脂組成物を含む接着剤組成物が硬化して接着された部材を含む複合構造物中の、光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法で使用される光硬化性樹脂組成物(但し、前記複合構造物の解体方法において、前記部材がそれぞれが電極を備える2つの回路基板で構成され、前記2つの回路基板が前記接着剤組成物が硬化して接着されることで、前記2つの回路基板の電極間が電気的に導通された前記部材を含む複合構造物の解体方法を除く):
記
前記光硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して得た前記光硬化性樹脂組成物の光硬化体0.02gにアセトンを0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト(但し、前記紫外線の光量は、前記光硬化性樹脂組成物を、幅20長さ20mm、厚さ0.5mmになるように透明なスライドガラス(松浪ガラス社製S1127)と透明なPETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)で挟み込んで得た、前記スライドガラスと前記光硬化性樹脂組成物と前記PETフィルムで構成された積層体の紫外線照射後の光硬化後積層体に対して、紫外線照射ミネベア社製引張試験機(テクノグラフTG-2kN)で、前記PETフィルムのせん断方向に、前記スライドガラスと前記PETフィルムをそれぞれ逆方向に、100mm/分の速度で引っ張り、検出された応力が1N以上になる、100mJ/cm 2 以上の光量であるとする)。 - 請求項2記載の光硬化性樹脂組成物を配合してなる接着剤組成物。
- 部材1及び部材2を含む複合構造物であって、
部材1及び部材2が請求項3記載の接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合
構造物。 - 前記部材1及び前記部材2がプレートであり、
前記複合構造物が、前記部材1及び前記部材2が前記接着剤組成物の光硬化体を介して
接着してなる、前記部材1及び前記部材2の積層体である請求項4記載の複合構造物。 - 部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
請求項4又は5記載の複合構造物における接着剤組成物の光硬化体に請求項1記載の溶剤を接触させて、前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法。 - 前記接着剤組成物の硬化体に請求項1記載の溶剤を接触させて前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除して、前記部材1と前記部材2とを離隔する、請求項4又は5記載の複合構造物の解体方法。
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