JP7218028B1 - 粉体塗料組成物、塗膜および物品 - Google Patents

粉体塗料組成物、塗膜および物品 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑な塗膜を形成でき(塗膜平滑性が良好であり)、かつ、塗装時に意図せぬ「タレ」が発生しにくい(タレ防止性が良好である)粉体塗料組成物を提供すること。【解決手段】樹脂と、硬化剤と、を含む粉体塗料組成物であって、(i)温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートが10~20g/10minであり、かつ、(ii)レオメーターを用いて、周波数:1.0Hz、モード:振動モード、測定温度範囲:室温~160℃、昇温速度:10.0℃/minで測定される、120℃での複素弾性率の絶対値|η*|が、0.01~20Pa・sである、粉体塗料組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、粉体塗料組成物、塗膜および物品に関する。より具体的には、粉体塗料組成物、その粉体塗料組成物により形成された塗膜およびその塗膜を備える物品に関する。
金属部材の塗装などに、粉体塗料はしばしば用いられる。
粉体塗料には、溶剤系塗料には無いメリットがあるため、盛んに開発が行われている。また、粉体塗料は塗装時に有機溶剤を大気中に揮散しないことから、近年、環境性能の点で注目を集めている。
粉体塗料に関する先行技術としては、例えば以下の特許文献1~11を挙げることができる。
特表2020-524734号公報 特開2020-142477号公報 特表2019-536296号公報 特開2017-190419号公報 特表2013-526639号公報 特表2013-502464号公報 特表2013-067800号公報 特表2012-517491号公報 特開2012-041464号公報 特表2011-514920号公報 特表2010-523780号公報
粉体塗料組成物に求められる性能の1つとして、平滑な塗膜を形成できることが挙げられる(塗膜平滑性)。
また、粉体塗料組成物に求められる別の性能として、塗装時(粉体塗料組成物を加熱して溶融させた時)に、意図せぬ「タレ」が発生しにくいことが挙げられる(タレ防止性)。
しかし、本発明者らが知る限り、従来の粉体塗料組成物において、塗膜平滑性とタレ防止性とを高いレベルで両立させることは難しかった。つまり、平滑な塗膜の形成のためには溶融した粉体塗料の流動性が高いほうがよいが、それはすなわち溶融した粉体塗料が垂れやすいことと表裏一体であるためである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、平滑な塗膜を形成でき(塗膜平滑性が良好であり)、かつ、塗装時に意図せぬ「タレ」が発生しにくい(タレ防止性が良好である)粉体塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
1.
樹脂と、硬化剤と、を含み、以下の[特性1]および[特性2]を満たす粉体塗料組成物。
[特性1]
温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定される、当該粉体塗料組成物のメルトマスフローレートが10~20g/10minである。
[特性2]
レオメーターを用いて、以下の測定条件で測定される、当該粉体塗料組成物の120℃での複素弾性率の絶対値|η|が、0.01~20Pa・sである。
(測定条件)
・周波数:1.0Hz
・モード:振動モード
・測定温度範囲:室温~160℃
・昇温速度:10.0℃/min
2.
1.に記載の粉体塗料組成物であって、
前記樹脂が、ポリエステル樹脂を含む、粉体塗料組成物。
3.
1.または2.に記載の粉体塗料組成物であって、
前記樹脂の200℃における溶融粘度が1800~9500mPa・sである、粉体塗料組成物。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物であって、
前記樹脂の、温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートが1~15g/10minである、粉体塗料組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物であって、
前記硬化剤が、β-ヒドロキシアルキルアミドを含む、粉体塗料組成物。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物であって、
前記硬化剤が、ブロックイソシアネートを含む、粉体塗料組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物であって、
|η|が0.1~1Pa・sである、粉体塗料組成物。
8.
1.~6.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物であって、
|η|が5~20Pa・sである、粉体塗料組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物により形成された塗膜。
10.
9.に記載の塗膜を備える物品。
本発明によれば、平滑な塗膜を形成でき(塗膜平滑性が良好であり)、かつ、塗装時に意図せぬ「タレ」が発生しにくい(タレ防止性が良好である)粉体塗料組成物が提供される。
粉体塗料組成物を製造するための装置について説明するための図(装置の断面を模式的に示した図)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
<粉体塗料組成物>
本実施形態の粉体塗料組成物は、樹脂と、硬化剤と、を含む。
本実施形態の粉体塗料組成物は、以下の[特性1]および[特性2]を満たす。
[特性1]
温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定される、粉体塗料組成物のメルトマスフローレート(MFR)が10~20g/10minである。
[特性2]
レオメーターを用いて、以下の測定条件で測定される、粉体塗料組成物の120℃での複素弾性率の絶対値|η|が、0.01~20Pa・sである。
(測定条件)
・周波数:1.0Hz
・モード:振動モード
・測定温度範囲:室温~160℃
・昇温速度:10.0℃/min
本実施形態の粉体塗料組成物は、特性1および特性2を満たすことにより、塗膜平滑性が良好であり、かつ、タレ防止性が良好である。
以下、発明者らが上記のような粉体塗料組成物を製造するに至った経緯を通じて、特性1および特性2を満たすことにより粉体塗料組成物の性能が向上すると考えられる理由を説明する。念のため述べておくと、以下説明は推測を含む。また、以下説明により本発明は限定されない。
本発明者らは、塗膜平滑性やタレ防止性などの粉体塗料組成物の性能には、粉体塗料組成物を加熱したときの溶融の挙動が関係しているのではないかと考えた。この考えに基づき、様々な条件で粉体塗料組成物を溶融させて、溶融の挙動と、塗膜平滑性やタレ防止性などの特性との関係を検討した。
検討の結果、本発明者らは、「120℃」における粉体塗料組成物の溶融挙動が、粉体塗料組成物の性能と密接に関係しているらしいことを見出した。「120℃」という温度は、通常の粉体塗料組成物において、「樹脂の溶融は始まっているが、硬化反応はまだ十分始まっていない」という、ある意味特別な温度と考えられる。つまり、この温度での溶融挙動が特に粉体塗料組成物の性能に関係していると推論することは合理的である。
上記検討および推論に基づき、本発明者らはさらに検討を進めた。具体的には、120℃における粉体塗料組成物の溶融挙動に関係すると思われる様々な指標を検討した。そして、[1]120℃におけるメルトマスフローレートの値、および、[2]レオメーターを用いて測定される120℃での複素弾性率の絶対値|η|の2つの指標が、特に塗膜平滑性やタレ防止性などの特性と関係しているらしいことを知見した。
上記[1]および[2]の指標が塗膜平滑性やタレ防止性などの特性と関係している理由については、以下のように推測される。なお、[1]および[2]の指標はそれぞれ独立な指標ではなく、両方のパラメータが塗膜平滑性とタレ防止性の両方に寄与していると推測される。
[1]120℃におけるメルトマスフローレートの値について:メルトマスフローレートが適度に大きいことで、溶融した粉体塗料が「広がりやすく」なり、平滑性が高まると考えられる。また、メルトマスフローレートが大きすぎないことにより、溶融した粉体塗料が硬化するまでの間の「意図せぬ流動」が抑えられて、タレが抑えられると考えられる。
[2]レオメーターを用いて測定される120℃での複素弾性率の絶対値|η|について:|η|が大きすぎないということは、粉体塗料の120℃における溶融物が、外部からの周期的な刺激に対して柔軟に変形するということを意味すると考えられる。このため、|η|が一定値以下であることにより、塗膜表面の凹凸発生が抑えられ、塗膜平滑性が高まると考えられる。また、|η|が小さすぎないことにより、溶融した粉体塗料が硬化するまでの間の「意図せぬ流動」が抑えられて、タレが抑えられると考えられる。
ちなみに、[2]のような「複素弾性率」という指標が塗膜平滑性やタレ防止性と関係している理由の1つとして、塗膜形成時の外部刺激の影響が考えられる。すなわち、塗装時には、種々の「外部刺激」(微細な振動など)により塗膜の平滑性が乱れたり、タレが誘起されたりすることが想定されるところ、測定対象物に周期的な「外部刺激」を印加したときの応答性に関する指標である|η|が一定の数値範囲内であることにより、塗膜平滑性やタレ防止性が高まる可能性がある。
本発明者らは、上記知見に基づき、具体的には、[1]温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートが10~20g/10minであり、かつ、[2]レオメーターを用いて、上述の条件により測定される120℃での複素弾性率の絶対値|η|の値が0.01~20Pa・sである粉体塗料組成物を新たに設計し、調製した。そして、塗膜平滑性が良好であり、かつ、タレ防止性が良好である粉体塗料組成物を得ることができた。
本実施形態の粉体塗料組成物は、適切な原材料を用いることに加え、適切な製造条件を採用することにより製造することができる。「適切な製造条件」について簡単に述べておくと、本実施形態の粉体塗料組成物は、好ましくは、射出成形装置に似た構造を備えるニーダー(押出混練機、回転するスクリューで原材料を移動させながら加熱する機構を備える)を用いて、スクリューの回転速度を適切に設定して原材料が加熱される時間を適切に制御すること、原材料を加熱する温度を適切に設定すること、原材料の加熱を高温と低温の2段階に分けて行うこと、などの工夫をすることで製造することができる。
本実施形態の粉体塗料組成物の製造方法については追って詳細に説明する。
以下、本実施形態の粉体塗料組成物に関する説明を続ける。
(樹脂)
本実施形態の粉体塗料組成物は、樹脂を含む。樹脂の種類は特に限定されず、粉体塗料の分野で知られている樹脂を用いることができる。粉体塗料への適用に好ましい樹脂として、ポリエステル樹脂、おポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。本実施形態においては、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
一態様として、ポリエステル樹脂はヒドロキシ基を有することが好ましい。より具体的には、ポリエステル樹脂がヒドロキシ基を有する場合、その水酸基価は10~60mgKOH/gであることが好ましく、25~50mgKOH/gであることがより好ましい。
水酸基価は、典型的には、JIS K 0070の規定に基づき測定することができる。
ヒドロキシ基を含むポリエステル樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基末端ポリエステル樹脂を挙げることができる。また、DIC株式会社などから様々な水酸基価のポリエステル樹脂が市販されているため、市販のポリエステル樹脂の中から適当な水酸基価のものを選択することもできる。
別の態様として、ポリエステル樹脂は酸基(カルボキシ基など)を有することが好ましい。より具体的には、ポリエステル樹脂が酸基を有する場合、その酸価は10~60mgKOH/gであることが好ましく、20~40mgKOH/gであることがより好ましい。
酸価についても、水酸基価と同様、典型的にはJIS K 0070の規定に基づき測定することができる。
酸基を有するポリエステル樹脂としては、例えば、カルボキシル基末端ポリエステル樹脂を挙げることができる。また、DIC株式会社などから様々な酸価のポリエステル樹脂が市販されているため、市販のポリエステル樹脂の中から適当な酸価のものを選択することもできる。
ポリエステル樹脂は、ヒドロキシ基と酸基の両方を有していてもよい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は特に限定されない。例えば3000~50000、好ましくは5000~40000、さらに好ましくは5000~20000である。ポリエステル樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は特に限定されず、例えば1~10、好ましくは1.4~8である。
重量平均分子量や分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
ポリエステル樹脂の性状は特に限定されない。ただし、組成物を粉体状にする観点からは、常温(25℃)では固体状であることが好ましい。また、ポリエステル樹脂の軟化点は、好ましくは80~150℃であり、より好ましくは100~130℃である。この範囲に調整することで、得られる塗膜の平滑性を高めることができると考えられる。
使用可能なエポキシ樹脂は特に限定されない。エポキシ樹脂として具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などを挙げることができる。
エポキシ樹脂は、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含んでもよい。具体的には、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。例えば、三菱ケミカル株式会社の「jER」(登録商標)シリーズや、新日鉄住金化学株式会社の「エポトート」シリーズのエポキシ樹脂などを用いてもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)は、特に限定されない。例えば200~3000、好ましくは500~2000である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は特に限定されない。好ましくは20000以下、より好ましくは2000~20000、より好ましくは5000~15000である。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
組成物を粉体状とする観点からは、エポキシ樹脂は、それ単独で固体状(粉体状)であることが好ましい。エポキシ樹脂の物性は、塗料製造時の混練性、焼き付け時の塗料の溶融性、焼き付け後の塗膜の強靭性などの観点から適宜調整されることが好ましい。例えば、エポキシ樹脂の軟化点は、60~130℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。
樹脂の選択の観点として、「樹脂そのもの」の溶融粘度やメルトマスフローレートなどの物性も挙げることができる。これら物性が適当な樹脂を用いることで、特性1および特性2を満たす粉体塗料組成物を得られる粉体塗料組成物を製造しやすかったり、粉体塗料組成物の塗膜平滑性やタレ防止性を一層高められたりする場合がある。
具体的には、樹脂そのものの、200℃における溶融粘度は、好ましくは1800~9500mPa・s、より好ましくは3000~9500mPa・s、より好ましくは3000~6000mPa・sである。溶融粘度の測定方法の例は、後掲の実施例を参照されたい。
また、樹脂そのものの、温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートは、好ましくは1~15g/10min、より好ましくは1~10g/10min、さらに好ましくは1~7g/10minである。
本実施形態の粉体塗料組成物は、樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
樹脂の量は、粉体塗料組成物中の不揮発成分全体を基準(100質量%)として、例えば10~80質量%、好ましくは25~75質量%、より好ましくは40~70質量%である。
(硬化剤)
本実施形態の粉体塗料組成物は、硬化剤を含む。
硬化剤は、粉体塗料組成物を加熱したときに、例えば樹脂と反応するなどして、組成物を硬化させるものである限り、特に限定されない。
硬化剤として好ましくは、β-ヒドロキシアルキルアミドを挙げることができる。β-ヒドロキシアルキルアミドは「プリミド」と呼ばれることもある。この化合物は、特に、樹脂が酸基を含む場合に硬化性能が良好である。
β-ヒドロキシアルキルアミドは、アミド基のβ位の炭素にヒドロキシ基が置換している化合物であれば任意のものであってよい。例えば、1分子中に、アミド基のβ位の炭素にヒドロキシ基が置換している構造を2つ以上含む化合物を用いることができる。具体的には、1分子中に、アミド基のβ位の炭素にヒドロキシ基が置換している構造を2~6個含む化合物が好ましい。
より具体的には、β-ヒドロキシアルキルアミドは、1分子中に-CO-NRで表される構造を2つ以上(さらに具体的には2~6個)有する化合物であることが好ましい。
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または一価の有機基を表す。ただし、RおよびRの少なくとも一方(両方であってもよい)は、-CR-CR-OHで表される基である(R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または一価の有機基)。
およびRにおける一価の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
、R、RおよびRにおける一価の有機基としては、RおよびRにおける一価の有機基と同様のものを挙げることができる。好ましくは、R、R、RおよびRの全てが水素原子である。
硬化剤の別の例として、イソシアネート化合物(ブロックイソシアネート化合物を含む)を挙げることができる。イソシアネート化合物は、特に、樹脂がヒドロキシ基を有する場合に硬化性が良好である。保存安定性の点では、ブロックイソシアネート化合物がより好ましい。
イソシアネート化合物は、好ましくは多官能イソシアネートである。多官能イソシアネートは、好ましくは2~6官能(つまり、1分子あたり2~6個の反応性イソシアネート基を有する)、より好ましくは2~4官能である。
本実施形態の粉体塗料組成物は、硬化剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の粉体塗料組成物中の硬化剤の量は、組成物の不揮発成分全体を基準(100質量%)として、好ましくは1~20質量%、より好ましくは1.5~10質量%、さらに好ましくは2~5質量%である。
別の観点として、本実施形態の粉体塗料組成物中の硬化剤の含有量は、樹脂と硬化剤との合計量を基準(100質量%)として、好ましくは1~50質量%、より好ましくは2~40質量%、さらに好ましくは3~25質量%である。
(顔料)
本実施形態の粉体塗料組成物は、好ましくは、顔料を含む。顔料の使用により、顔料の通常の使用目的である「塗膜に所望の色をつけることができる」「塗膜の艶を調整することができる」といった効果のほか、塗膜物性の向上を図れる場合もある。「塗膜物性」とは、例えば塗膜の可撓性など、塗膜全体としての特性のことをいう。
顔料粒子としては、公知の無機顔料や有機顔料などの着色顔料を挙げることができる。具体的には、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒(黒色酸化鉄)、アニリンブラックなどの黒色顔料;ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエロー、黄鉄(黄色酸化鉄)などの黄色顔料;クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバーなどの褐色顔料;ベンガラ(赤色酸化鉄)、鉛丹、パーマネントレッド、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール系赤顔料などの赤色顔料;コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられる。もちろん、使用可能な顔料粒子は、これらのみに限定されない。
顔料粒子は、体質顔料を含んでもよい。使用可能な体質顔料は特に限定されない。例えば、バリタ粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、含水珪酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉等を挙げることができる。
白色度の高さ、樹脂との相性、塗膜物性の一層の向上などの観点で、顔料粒子は酸化チタン粒子を含むことが好ましい。
顔料粒子の大きさ(粒径等)は特に限定されない。大きさは、各種の目的に応じて適宜設定すればよい。顔料粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1~25μm、より好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは0.2~5μmである。
顔料粒子の平均粒子径については、カタログ値がある場合はその値を採用することができる。または、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)などにより、個々の平均粒子径の画像の寸法計測により得られた個数分布からの平均値を採用してもよい。計測は、原則として一次粒子(凝集していない粒子)の大きさを測定する。計測の際の測定粒子数は、精度上、少なくとも100個であることが好ましい。粒子径の測定を効率化するため、ソフトウェアを活用してもよい。
本実施形態の粉体塗料組成物が顔料を含む場合、1のみの顔料を含んでもよいし、2以上の顔料を含んでもよい。
本実施形態の粉体塗料組成物が顔料を含む場合、その量は、粉体塗料組成物の全不揮発成分中の、好ましくは5~80質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。
(その他成分)
本実施形態の粉体塗料組成物は、必要に応じ上記以外の任意の成分を含んでもよい。
一例として、本実施形態の粉体塗料組成物は、塗膜表面の平滑性を高める効果がある添加成分(表面調整剤)を含んでもよい。表面調整剤には、塗料分野で公知の可塑剤、シリコーン化合物、ワックス、消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤(塗装時に巻き込んだ空気を破泡する成分)などが含まれる。
表面調整剤のうち、レベリング剤の例としては、BASF社の「Acronal」(登録商標)シリーズ(中身は(メタ)アクリル系樹脂)、共栄社化学社製の「ポリフロー」(商品名)シリーズ、ESTRON CHEMICAL社製の「レジフロー」(商品名)シリーズ、モンサント社製の「モダフロー」(商品名)シリーズなどを挙げることができる。また、消泡剤の例としては、ベンゾインなどを挙げることができる。
別の例として、本実施形態の粉体塗料組成物は、何らかの触媒を含んでもよい。
触媒としては、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2-エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛類、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネートなどの有機金属化合物が挙げられる。さらに、第三級アミン、りん酸化合物など公知のウレタン硬化触媒を挙げることもできる。これら触媒は、特に硬化剤としてイソシアネートまたはブロックイソシアネートを用いた場合に、硬化触媒として働く。
本実施形態においては、有機スズ系の硬化触媒が好ましく用いられる。
さらに別の例として、本実施形態の粉体塗料組成物は、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、磁性粉、帯電制御剤などのうち1または2以上を含んでもよい。
上述のその他の成分の量は、特に限定されず、使用目的や他の性能とのバランスを考えて適切な量を用いればよい。その他の成分の量は、粉体塗料組成物全体中、例えば0.01~10質量%、具体的には0.01~5質量%である。
(特性1および特性2に関する補足)
前述のとおり、メルトマスフローレートは10~20g/10minであればよい。メルトマスフローレートは好ましくは10~16g/10min、より好ましくは10~14g/10minである。
前述のとおり、|η|は0.01~20Pa・sであればよいが、一例として|η|は好ましくは0.1~1Pa・sである。
また、別の例として、|η|は好ましくは5~20Pa・sである
<塗膜、塗膜を備える物品>
本実施形態の粉体塗料組成物を、基材の表面に焼き付けること等により、塗膜を形成することができる。具体的には、本実施形態の粉体塗料組成物を基材の表面に供し、加熱して焼き付けることで塗膜を形成することができる。
粉体塗料組成物を基材の表面に供する方法としては、粉体塗料の分野で公知の方法を適宜用いることができる。例えば、静電粉体吹き付け法、流動浸漬法、静電流動浸漬法などを好ましく用いることができる。この時の膜厚は、例えば30~1000μmの間で適宜調整すればよい。
粉体塗料組成物が表面に供された基材は、炉に投入されるなどして、例えば120~250℃で5~60分間加熱される。これによって塗料が溶融し、基材の表面に塗膜が形成される。つまり、塗膜を備える物品を得ることができる。
<粉体塗料組成物の製造方法>
本実施形態の粉体塗料組成物は、好ましくは、以下のような手順で製造される。
(1)樹脂、硬化剤、顔料などの各成分を必要量準備する。
(2)ヘンシェルミキサーやブレンダー等を用いて、各成分を均一に混合して、混合物を得る。
(3)上記(2)で得られた混合物を、ニーダー(押出混練機、回転するスクリューで原材料を移動させながら加熱可能)に投入して溶融混練する。この際の温度は、例えば80~140℃である。
(4)上記(3)で得られた混練物を50℃以下に冷却する。冷却の方法は任意の方法を採用できる。例えば、室温放置、冷却ロール、冷却コンベヤー等を挙げることができる。
(5)冷却された混練物を、粉砕機を用いるなどして粉砕する。粉砕機としては、機械式のもの、気流式のものなどを挙げることができ、特に限定されない。また、粉砕は、例えば粗粉砕及び微粉砕の2工程に分けて行ってもよい。
(6)所望の粒径となるように分級する。分級には、ふるいや気流式分級機を用いることができる。
本実施形態においては、特に、上記(3)における溶融混錬の条件を適切に制御することにより、MFRが10~20g/10minであり、かつ、|η|が、0.01~20Pa・sである粉体塗料組成物を製造することができる。詳細は不明であるが、適切な条件制御により、樹脂と硬化剤とが適切に混じり合うと考えられる。また、樹脂の一部と硬化剤の一部とが反応する可能性もある。結果、120℃という「樹脂の溶融は始まっているが、硬化反応はまだ十分始まっていない」温度におけるMFRおよび|η|が上述の数値範囲内にある粉体塗料組成物を得ることができると考えられる。
具体的な溶融混錬の条件について、ニーダーの構造を模式的に示した図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の粉体塗料組成物の製造に適用可能なニーダー(押出混錬機)の断面を模式的に示した図である。
図1のニーダーは、シリンダー2と、そのシリンダー2内に備えられたスクリュー8と、を有する。
シリンダー2は、粉体塗料組成物の原材料を投入するための投入口4と、混錬された原材料が排出される排出口6とを有する。
また、シリンダー2は、スクリュー8が回転することによりシリンダー2内を移動する原材料を加熱および/または冷却するための温度調節手段を有する(温度調節手段自体は図1に不図示)。シリンダー2は、複数の、互いに独立に温度制御可能な温度調節手段を有することができる。具体的には、シリンダー2は、投入口4に近い領域である第1ゾーン10と、排出口6に近い領域である第2ゾーン20とで、異なる加温/冷却条件を設定することができる。
本実施形態においては、第1ゾーン10と第2ゾーン20における加温条件、および、スクリュー8の回転速度(シリンダー2内に原材料/混錬物が滞留する時間と相関)を適切に設定することが好ましい。各ゾーンにおける加温条件とスクリュー8の回転速度を適切に設定することにより、前述の特性1および特性2を満たす粉体塗料組成物を製造することができる。
具体的な製造条件は後掲の実施例に記載の通りである。用いる原材料により製造条件の微調整は必要であるが、製造条件のおおよその「指針」を以下(i)~(iii)に示しておく。ちなみに、ここで示す指針は、後掲の実施例で用いたニーダー(Buss AG社製、商品名:PCS 70)を用いた粉体塗料組成物の製造の知見に基づく。
[指針]
(i)第1ゾーン10および第2ゾーン20の設定温度は、55~130℃の間でそれぞれ調整する。130℃を超える温度(例えば140℃)で原材料が加熱されると、原材料の意図せぬ硬化反応が進んでしまい、特定1および/または特性2を満たさない粉体塗料組成物が製造されることがある。また、第1ゾーン10および第2ゾーン20の少なくとも一方の設定温度が55℃未満(例えば50℃)である場合、原材料の軟化が不十分となり、そのために原材料が十分均一に混じり合わず、結果として特定1および/または特性2を満たさない粉体塗料組成物が製造されることがある。
(ii)第1ゾーン10の設定温度と、第2ゾーン20の設定温度とは、35~45℃異なる温度とする。詳細は不明であるが、このような「2段階」の加熱がなされながらスクリューが回転することにより、高温のゾーンを原材料が通過するときには比較的小さなせん断力で原材料が混錬され、低温のゾーンを原材料が通過するときには比較的大きなせん断力で原材料が混錬されると考えられる(高温下においては、原材料はより「軟らかく」なり、低温下においては、原材料はより「硬く」なるため)。このような「異なる大きさのせん断力」で原材料が混錬されることにより、原材料が特に適切に混合されて、特性1および特性2を満たす粉体塗料組成物を製造することができると推測される。ちなみに、第1ゾーン10の設定温度のほうが高く第2ゾーン20の設定温度のほうが低くてもよいし、その逆であってもよい。
(iii)原材料がニーダー中で滞留する時間を適切に調整する。具体的には、スクリュー8の回転速度を適切に設定することにより、原材料(またはその混錬物)がニーダー中にとどまる時間を制御する。滞留時間は、好ましくは10~300秒、より好ましくは20~150秒である。ちなみに、後掲の実施例で用いたニーダーにおいては、スクリューの回転速度を、好ましくは100~300rpm、より好ましくは125~275rpmに設定することで、原材料(またはその混錬物)がニーダー中にとどまる時間を適切に制御することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<樹脂の合成および樹脂の各種物性の測定>
(ポリエステル樹脂A)
攪拝装置、加熱装置、温度計、分留装置および窒素ガス封入管を備えたステンレス製反応容器を準備した。この容器内に、ネオペンチルグリコール93.6g(0.90mol)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール3.6g(0.040mol)と、エチレングリコール1.24g(0.020mol)と、トリメチロールプロパン5.37g(0.040mol)(以上、アルコール成分)と、を仕込んだ。そして、攪拝しながら160℃まで昇温して、内容物を全て溶融させた。
溶融後、テレフタル酸124.6g(0.75mol)と、イソフタル酸41.5g(0.25mol)と、を混合したもの(カルボン酸成分)の半分と、ジ-n-ブチル錫オキサイド0.12g(0.5mmol)と、を容器内に仕込んだ。そして、分留装置の塔頂温度が100℃を超えないようにしつつ、生成する縮合水を窒素ガス気流によって系外に除去しながら、徐々に240℃まで昇温した。これによりエステル化反応を行った。
反応中、縮合水の生成量を適時測定した。縮合水の生成量が、カルボン酸成分が完全に反応したと仮定した理論量の90%を超えたことを確認した後、系を180℃まで冷却した。
冷却後、上記酸成分の残りを投入し、その後、同様の操作で再度240℃まで昇温してエステル化反応を行った。そして、縮合水の生成量が、カルボン酸成分が完全に反応したと仮定した理論量の95%を超えた時間から、さらに30分間そのまま反応を続けた。そして、180℃まで冷却した。
この後、無水トリメリット酸9.6g(0.050mol)を添加して180℃で1時間付加反応を行った。その後、室温まで冷却した。
以上によりポリエステル樹脂Aを得た。
(ポリエステル樹脂BおよびCの合成)
モノマーの使用量(相対mol量)を、表1に記載のように変えた以外は、ポリエステル樹脂Aと同様の方法で各種ポリエステル樹脂を合成した。
ただし、ポリエステル樹脂Cは、上記のポリエステル樹脂Aの合成において、酸無水物(無水トリメリット酸)による付加反応を行う前の段階で反応を終了させることにより合成した。
(酸価の測定)
JIS K 0070「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」の、「3.1 中和滴定法」に規定された方法に準じて測定した。具体的には以下のようにして測定した。
テトラヒドロフランに、一定量のポリエステル樹脂を溶解させた。そして、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定を行った。そして、下記式により酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)=V×56.11×F/m
V:滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム溶液の使用量(mL)
F:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
m:試料の質量(g)
(水酸基価の測定)
JIS K 0070「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」の、「7.1 中和滴定法」に規定された方法に準じて測定した。具体的には以下のようにして測定した。
一定量のポリエステル樹脂にアセチル化試薬(無水酢酸25gにピリジンを加えて全体が100mLになるように調整した無水酢酸ピリジン溶液)を5mL加えて加熱した。その後、水酸化カリウム溶液を用い、フェノールフタレインを指示薬として滴定を行った。そして、下記式により水酸基価を算出した。
水酸基価(mgKOH/g)=〔V×56.1×C/m〕+D
V:滴定量(mL)
C:滴定液の濃度(mol/L)
m:試料の質量(g)
D:測定対象となる試料の酸価(mgKOH/g)
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121-1987に従って、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製「EXSTAR6000」)を用いて測定した。
具体的には、測定対象となるポリエステル樹脂10mgを、窒素気流下で、-40℃から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、DSC曲線を得た。低温側のベースラインの延長線と、遷移部(すなわち曲線部)における最大傾斜を示す接線との交点の温度(いわゆる補外ガラス転移開始温度)を、ガラス転移温度Tgとして読み取った。なお、空の容器を、基準物質として使用した。
(分子量および分散度の測定)
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび分散度Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、算出した。用いた装置、条件等は以下の通りである。
・使用機器:HLC8220GPC(株式会社東ソー製)
・使用カラム:TSKgel SuperHZM-M、TSKgel GMHXL-H、TSKgelG2500HXL、TSKgel G5000HXL(株式会社東ソー製)
・カラム温度:40℃
・標準物質:TSKgel 標準ポリスチレンA1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(株式会社東ソー製)
・検出器:RI(示差屈折)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1mL/min
(溶融粘度の測定)
樹脂の溶融粘度は、CAP2000VISCOMETER(ブルックフィールド社製)を用い、温度条件を200℃にして測定を行った。
(メルトマスフローレートの測定)
後掲の<粉体塗料組成物のメルトマスフローレートの測定>と同様の手順で、樹脂のメルトマスフローレートを測定した。
樹脂に関する情報をまとめて表1に示す。
Figure 0007218028000002
<粉体塗料組成物の製造>
(実施例1)
(1)まず、以下の素材を準備した。
・ポリエステル樹脂A(酸価34mgKOH/g、数平均分子量11,800、重量平均分子量38,700、多分散度3.3) 95質量部
・プリミドXL552(β-ヒドロキシアルキルアミド硬化剤:EMS-CHEMIE AG社製、水酸基価600~725mgKOH/g) 5質量部
・二酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名:CR-95、平均粒子径0.36μm、吸油量17ml/100g) 55質量部
・表面調整剤(BASF社製、流動性付与剤、商品名:アクロナール4F) 2質量部
・消泡剤(ベンゾイン) 2質量部
(2)上記素材をヘンシェルミキサーで十分に混合して混合物を作製した。
(3)上記(2)で得られた混合物を、回転するスクリューで原材料を移動させながら加熱可能な押出混練機(Buss AG社製、製品名:PCS 70)に投入して、スクリューを回転させながら混合物を加熱して、混錬物を得た。
上記押出混錬機は、図1で説明したような構造、特に、それぞれ異なる温度に調節可能な第1ゾーンと第2ゾーンとを備える。第1ゾーンと第2ゾーンの温度は表2に示される温度に設定した。また、スクリューの回転速度について、表2に示される回転速度とした(回転速度により、原材料が押出混練機中に滞留する時間が変わる)。
(4)上記(3)で得られた混練物を50℃以下に冷却した。
(5)上記(4)で冷却された混錬物を、ハンマー式衝撃粉砕機で粉砕して粉砕物とした。
(6)上記(5)で得られた粉砕物を、150メッシュのふるいで分級した。
以上により粉体塗料組成物を調製した。
(実施例2~9および比較例1~4)
素材の配合および製造条件(第一ゾーンおよび第二ゾーンの温度設定、ならびに、スクリューの回転速度)を、表2に示すものとした以外は、実施例1と同様にして粉体塗料組成物を製造した。
表2中の各素材の詳細は以下の通りである(実施例1で説明した素材については説明を省略する)。
・硬化剤
VESTAGON(登録商標)B-1530):エボニック株式会社製、ε-カプロラクタムでブロックされたポリイソシアネート
・顔料
エスカロン特級#3:三共精粉株式会社製、炭酸カルシウム、平均粒子径20μm、吸油量22mL/100g
・触媒
TN-12:堺化学工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート
<粉体塗料組成物のメルトマスフローレートの測定>
JIS K 7210-1:2014(プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法)に準拠した方法で、下記の条件で、株式会社井元製作所製のメルトフローインデックステスタMB-1型を用いて測定した。
・試験温度:120℃
・公称荷重:1.20kg
・その他:粉体塗料組成物は粉の状態のまま試料とした。充填試料量及び切り取り時間間隔については、同JIS上の「表4-試験のパラメータに関する指針」に従った。
<|η|の測定>
以下の条件で、粉体塗料組成物の動的粘弾性を測定した。測定結果から、120℃での貯蔵弾性率および損失弾性率を求めた。そして、{(貯蔵弾性率)+(損失弾性率)1/2の式により、120℃での複素弾性率の絶対値|η|を求めた。
・装置:動的粘弾性測定装置AR-G2(TA Instruments社製)
・プレート:40mmパラレルプレート
・測定モード:時間スイープ
・ギャップ:1000μm
・変数制御:1%ひずみ
・昇温速度:10.0℃/min
・測定間隔:12/min
・周波数:1.0Hz
・モード:振動モード
・温度範囲:室温~160℃
<性能評価>
(試験板の作製)
塗膜を形成する基材として、冷延鋼板(規格:SPCC-SD、幅75mm×長さ150mm×厚さ0.8mm)を準備した。これを垂直方向に吊り下げ、コロナ帯電式静電粉体塗装機(旭サナック株式会社製、商品名:PG-1型)を用いて、鋼板上に粉体塗料を静電塗装した(塗装電圧:-60kV)。塗装後、180℃で20分間焼き付け、その後、室温になるまで放冷した、これにより、膜厚60μmの塗膜(硬化膜)を備えた鋼板(以下、試験板)を得た。
(塗膜平滑性の評価)
得られた試験板の塗膜の表面状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5:塗膜表面に凹凸(ラウンド)やブツ等は全く認められず、平滑である
4:塗膜表面に極わずかに凹凸(ラウンド)が認められるが、平滑性に問題は無い
3:塗膜にやや凹凸(ラウンド)が認められ、若干平滑性のレベルが低いものの問題は無い
2:塗膜に凹凸(ラウンド)がはっきりと認められ、平滑性のレベルが低い
1:塗膜表面にハジキ、ブツ等があり、明らかに外観が不良である
(タレ防止性の評価)
試験板作成時に使用したものと同じ基材(冷延鋼板)の上に、内径12mm、厚さ2mmの円柱形状となるように、粉体塗料組成物を乗せた。この鋼板を平置きの状態のまま180℃で2分間加熱し、その後、すぐに鋼板を垂直に立てた状態にし、さらに加熱した。この加熱の時間については、使用した樹脂の種類などを踏まえ、実施例1~9および比較例1~3については160℃で20分間、実施例9および比較例4については180℃で20分間加熱とした。ちなみに、粉体塗料組成物は加熱により流動しつつ硬化するため、最初に形成した円柱形状が下方に向かって伸長した状態、いわゆる「タレた」状態の硬化物が鋼板上に形成されることになる。
20分加熱後の鋼板を観察し、タレの状態を下記の基準により評価した。
5:粉体塗料組成物を設置した点(下端)を基準としてタレが1.8cm未満
4:粉体塗料組成物を設置した点(下端)を基準としてタレが1.8cm以上2cm未満
3:粉体塗料組成物を設置した点(下端)を基準としてタレが2cm以上4cm未満
2:粉体塗料組成物を設置した点(下端)を基準としてタレが4cm以上5cm未満
1:粉体塗料組成物を設置した点(下端)を基準としてタレが5cm以上
粉体塗料組成物の組成、特性および性能評価の結果を表2に示す。
Figure 0007218028000003
表2に示されるとおり、樹脂と、硬化剤と、を含み、MFRが10~20g/10minであり、かつ、|η|が0.01~20Pa・sである粉体塗料組成物は、良好な塗膜平滑性およびタレ防止性を示した(実施例1~9)。
一方、MFRが10~20g/10minの範囲外である、かつ/または、|η|が0.01~20Pa・sの範囲外である粉体塗料組成物は、塗膜平滑性および/またはタレ防止性において、実施例1~9に劣っていた(比較例1~4)。
2 シリンダー
4 投入口
6 排出口
8 スクリュー
10 第一ゾーン
20 第二ゾーン

Claims (7)

  1. 樹脂と、硬化剤と、を含み、
    前記樹脂が、ポリエステル樹脂を含み、
    前記硬化剤が、β-ヒドロキシアルキルアミドまたはブロックイソシアネートを含み、
    以下の[特性1]および[特性2]を満たす粉体塗料組成物。ただし、以下<粉体塗料組成物X>に該当する粉体塗料組成物は除く。
    [特性1]
    温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定される、当該粉体塗料組成物のメルトマスフローレートが10~20g/10minである。
    [特性2]
    レオメーターを用いて、以下の測定条件で測定される、当該粉体塗料組成物の120℃での複素弾性率の絶対値|η|が、0.01~20Pa・sである。
    (測定条件)
    ・周波数:1.0Hz
    ・モード:振動モード
    ・測定温度範囲:室温~160℃
    ・昇温速度:10.0℃/min
    <粉体塗料組成物X>
    樹脂と、硬化剤と、無機粒子とを含む粉体塗料組成物であって、
    前記無機粒子の表面は疎水化処理されており、
    前記無機粒子の平均粒子径は0.01~5μmであり、
    当該粉体塗料組成物の、試験温度120℃、公称荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートは8~30g/10minである粉体塗料組成物。
  2. 請求項1に記載の粉体塗料組成物であって、
    前記樹脂の200℃における溶融粘度が1800~9500mPa・sである、粉体塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の粉体塗料組成物であって、
    前記樹脂の、温度120℃、荷重1.20kgの条件で測定されるメルトマスフローレートが1~15g/10minである、粉体塗料組成物。
  4. 請求項1または2に記載の粉体塗料組成物であって、
    |η|が0.1~1Pa・sである、粉体塗料組成物。
  5. 請求項1または2に記載の粉体塗料組成物であって、
    |η|が5~20Pa・sである、粉体塗料組成物。
  6. 請求項1または2に記載の粉体塗料組成物により形成された塗膜。
  7. 請求項に記載の塗膜を備える物品。
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