JP7213400B1 - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Abstract

熱収縮性フィルムは、バイオマスインキにより形成されるインキ層が積層されるための熱収縮性フィルムであって、印刷層を備える。印刷層は、熱可塑性樹脂から構成され、インキ層が積層される印刷面を有する。印刷層の酸化誘導時間T(分)は、0.15≦T≦12を満たす。酸化誘導時間Tは、200℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T1もしくは230℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T2、またはT1及びT2のうちいずれか短い方である。

Description

本開示は、熱収縮性フィルムに関する。
バイオマス資源は、化石資源を除く生物由来の資源であり、循環型社会の構築に貢献するものとして注目されている。近年、原料の化石資源を部分的にまたは全体的にバイオマス資源に置き換えた製品の開発が進んでいる。こうした製品の一例として、バイオマス資源として、植物由来の資源が使用された印刷用のバイオマスインキが挙げられる。
特許文献1は、バイオマス度が10%以上であるバイオマスインキを開示する。「バイオマス度」とは、インキ固形成分中のバイオマス資源由来成分の質量割合であり、バイオマス資源の利用度を示す指標として知られている。特許文献1のバイオマスインキは、バイオマス度が35%以上であるバイオポリウレタン樹脂を含む。特許文献1によれば、このバイオポリウレタン樹脂を印刷インキのバインダーとして用いることで、バイオマス度が10%以上であるとともに、プラスチック基材に対しても優れた接着性能を示すバイオマスインキを提供することができる。
特許6637205号公報
バイオマスインキの積極的活用は、循環型社会を推進する観点から好ましい。実際、熱収縮性フィルムへの印刷にもバイオマスインキを使用する取り組みがなされている。一方、バイオマスインキを用いた場合でも、印刷の品質を低下させることなく、製品として要求される水準を維持する必要がある。特に、インキのバイオマス度が高くなればなるほど、印刷品質の維持が困難になる傾向がある。このため、熱収縮性フィルムの側においても、バイオマスインキを用いた印刷により適合することが求められていた。
本開示は、バイオマスインキを用いた印刷に適した熱収縮性フィルムを提供することを目的とする。
項(1):本開示の一態様に係る熱収縮性フィルムは、バイオマスインキにより形成されるインキ層が積層されるための熱収縮性フィルムであって、印刷層を備える。印刷層は、熱可塑性樹脂から構成され、インキ層が積層される印刷面を有する。印刷層の酸化誘導時間T(分)は、0.15≦T≦12を満たす。酸化誘導時間Tは、200℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T1もしくは230℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T2、またはT1及びT2のうちいずれか短い方である。
項(2):上記項(1)に記載の熱収縮性フィルムにおいて、印刷層は、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン系樹脂のうちいずれかを主として含有してもよい。
項(3):上記項(1)または項(2)に記載の熱収縮性フィルムは、熱可塑性樹脂から構成されるとともに、印刷層の印刷面とは反対側の面に積層される基材層をさらに備えてもよい。
項(4):上記項(1)から(3)のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムにおいて、酸化誘導時間T(分)は、0.2≦T≦5を満たしてもよい。
項(5):上記項(1)から(4)のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムにおいて、バイオマスインキは、ウレタン系樹脂を含み、当該ウレタン系樹脂は、バイオマス資源由来の成分を含んでもよい。
項(6):上記項(1)から(5)のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムにおいて、バイオマスインキのバイオマス度は、10%以上であってもよい。
項(7):上記項(1)から(6)のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムは、インキ層が印刷面に積層されていてもよい。
項(8):上記項(1)から(7)のいずれか1項に記載のインキ層が印刷面に積層された熱収縮性フィルムは、熱収縮性ラベルに含まれていてもよい。
上記観点によれば、バイオマスインキを用いた印刷でも、印刷品質を維持することが可能な熱収縮性フィルムが提供される。
一実施形態に係る熱収縮性フィルムの断面構成を表す図。 一実施形態に係る熱収縮性フィルムの断面構成を表す図。 一実施形態に係る熱収縮性フィルムの断面構成を表す図。 DSC曲線のグラフ。
以下、本開示に係る熱収縮性フィルムの一実施形態について説明する。熱収縮性フィルムは、熱可塑性樹脂から構成されるフィルムであり、ペットボトル、樹脂成形容器等の容器に装着される熱収縮性ラベルのベースフィルムに適する。なお、熱収縮性フィルムが「熱可塑性樹脂から構成される」とは、熱収縮性フィルムの主成分が熱可塑性樹脂であることを意味する。つまり、熱収縮性フィルムは、熱可塑性樹脂以外の成分、例えば添加剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
図1は、一実施形態に係る熱収縮性フィルム1の断面構成を表す。図1に示すように、熱収縮性フィルム1は、印刷層2を備える。印刷層2は、熱可塑性樹脂から構成される層であり、少なくとも片面が印刷面20を構成する。なお、印刷層2が「熱可塑性樹脂から構成される」とは、印刷層2の主成分が熱可塑性樹脂であることを意味する。印刷面20は、インキ層3が積層されるための面である。インキ層3は、バイオマスインキを用いた印刷により形成される層であり、詳細については後述する。図2は、印刷面20にインキ層3が積層された熱収縮性フィルム1の断面構成を表す。
熱収縮性フィルム1は、印刷層2の他に、熱可塑性樹脂から構成される層をさらに1つ以上備えてもよい。例えば、図3のように、熱収縮性フィルム1は、基材層4と、基材層4の両面にそれぞれ積層される印刷層2とを備えてもよい。この場合、熱収縮性フィルム1のいずれの面も印刷面20とすることができる。以下、各部材について詳細に説明する。
<1.印刷層>
本実施形態に係る印刷層2を構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂またはスチレン系樹脂が挙げられる。印刷層2は、いずれの熱可塑性樹脂を主として含有する場合でも、その酸化誘導時間T(分)を適当な範囲とすることにより、印刷面20にインキ層3が形成されるのに適した特性を有する。以下、それぞれの熱可塑性樹脂について説明した後、酸化誘導時間Tについて説明する。
[オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂としては、例えばプロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、石油樹脂等が挙げられる。本実施形態では、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂、石油樹脂及びこれらの混合樹脂が好ましい。
[環状オレフィン系樹脂]
環状オレフィン系樹脂は、結晶性を低下させ、熱収縮率を高めるとともに、熱収縮性フィルム1の製造時の延伸性も高めることができる。環状オレフィン系樹脂とは、例えば(a)エチレンまたはプロピレンと環状オレフィンとのランダム共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体またはα-オレフィンとの共重合体、(c)上記(b)の重合体の水素添加物、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による(a)~(c)のグラフト変性物等である。
環状オレフィンとしては特に限定されず、例えば、ノルボルネン、6-メチルノルボルネン、6-エチルノルボルネン、5-プロピルノルボルネン、6-nーブチルノルボルネン、1-メチルノルボルネン、7-メチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン等、ノルボルネン及びその誘導体が挙げられる。さらに、テトラシクロドデセン、8-メチルテトラシクロ-3-ドデセン、8-エチルテトラシクロ-3-ドデセン、5,10-ジメチルテトラシクロ-3-ドデセン等、テトラシクロドデセン及びその誘導体が挙げられる。
α-オレフィンとしては特に限定されず、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により測定される数平均分子量は1000以上であることが好ましく、100万以下であることが好ましい。上記範囲内とすることで、製膜が容易になる。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は20℃以上が好ましく、50℃以上であることがより好ましく、130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。言い換えると、上記ガラス転移温度は、20℃~130℃であることが好ましく、50℃~100℃であることがより好ましい。上記ガラス転移温度が20℃以上であると、印刷層2の耐熱性が向上する。また、熱収縮性フィルム1を含む熱収縮性ラベルを容器に装着するための装着ラインにおいて、これら容器同士のブロッキングの発生を抑制することができる。さらに、自然収縮率を良好な範囲とすることができる。上記ガラス転移温度が130℃以下であると、主収縮方向の熱収縮率を充分に大きくすることができ、130℃を超えると延伸時に樹脂白化が発生しやすくなる場合がある。
上記ガラス転移温度は、ISO 3146に準拠した方法で測定することができる。なお、上記環状オレフィン系樹脂が、ガラス転移温度が異なる複数の環状オレフィン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記混合樹脂のガラス転移温度は、混合樹脂中の各環状オレフィン系樹脂の質量比とガラス転移温度とに基づいて算出した見かけのガラス転移温度とする。
上記環状オレフィン系樹脂の密度は1000kg/m3以上、1050kg/m3以下であることが好ましく、1010kg/m3以上、1040kg/m3以下であることがより好ましい。
上述したような環状オレフィン系樹脂の市販品としては、アペル(三井化学社製)、TOPAS COC(ポリプラスチックス社製)、ZEONOR(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
印刷層2は、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂成分100質量%に対して、上記環状オレフィン系樹脂を20質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましい。
[エチレン系樹脂]
エチレン系樹脂は、熱収縮性フィルム1の耐皮脂白化性を向上させる。上述したような環状オレフィン系樹脂は、皮脂等の脂肪酸エステルが付着すると、その付着部分が熱収縮後に白化することがある。上述の環状オレフィン系樹脂にエチレン系樹脂を混合することで、皮脂白化を抑制することができる。
エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。この中では、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。α-オレフィンとしては、上述した例と同様のものが挙げられる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.88g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることが好ましい。
上述したような直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の市販品としては、エボリュー(プライムポリマー社製)、ユメリット(宇部丸善ポリエチレン社製)、ノバテック(日本ポリエチレン社製)等が挙げられる。
印刷層2は、エチレン系樹脂を含有する場合、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂成分100質量%に対して、上記エチレン系樹脂を75質量%以下含有することが好ましい。
[石油樹脂]
石油樹脂は、ナフサの熱分解によって生成したC5留分やC9留分、あるいはこれらの混合物を重合して得られた脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、並びにこれらの水素添加物である。これらの中でも、100℃以下におけるフィルムの軟化を抑制したり、透明性や剛性を確保する観点より、一部または完全に水素化された脂環構造を有する、水添脂環族炭化水素樹脂が好ましい。
石油樹脂の軟化点は、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、120℃以上、130℃以下であることがより好ましい。石油樹脂の軟化点が上記範囲内であることで、熱収縮性を良好な範囲とすることができる。
上述したような石油樹脂の市販品としては、例えばアイマーブ(出光興産社製)、アルコン(荒川化学工業社製)、Regalite(Eastman社製)等が挙げられる。
印刷層2は、石油樹脂を含有する場合、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂成分100質量%に対して、上記石油樹脂を5質量%~40質量%含有することが好ましい。
[エステル系樹脂]
エステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合させることにより得られるものが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、o-フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル酸が挙げられる。この中では、テレフタル酸が好ましい。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール類;2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。この中では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
上記エステル系樹脂のガラス転移温度は、55℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、65℃以上であることがさらに好ましい。また、上記エステル系樹脂のガラス転移温度は、95℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、85℃以下であることがさらに好ましい。言い換えると、上記ガラス転移温度は、55℃~95℃であることが好ましく、60℃~90℃であることがより好ましく、65℃~85℃であることがさらに好ましい。上記ガラス転移温度が55℃未満であると、熱収縮性フィルム1の収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったり、ブロッキングが発生しやすくなる場合がある。上記ガラス転移温度が95℃を超えると、熱収縮性フィルム1の低温収縮性及び収縮仕上がり性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったり、延伸時に樹脂白化が発生しやすくなる場合がある。
上記ガラス転移温度は、ISO 3146に準拠した方法で測定することができる。なお、上記エステル系樹脂がガラス転移温度が異なる複数のエステル系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記混合樹脂のガラス転移温度は、混合樹脂中の各エステル系樹脂の質量比とガラス転移温度とに基づいて算出した見かけのガラス転移温度とする。
[スチレン系樹脂]
スチレン系樹脂としては、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素-脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記スチレン系樹脂を用いると、熱収縮性フィルム1の収縮性が向上する。
芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、芳香族ビニル炭化水素に由来する成分と、共役ジエンに由来する成分とを含有する共重合体である。芳香族ビニル炭化水素としては特に限定されず、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。また、共役ジエンとしては特に限定されず、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチルー1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、熱収縮性を向上させる観点からは、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBS樹脂)を含有することが好ましい。さらに、上記SBS樹脂は、単独のSBS樹脂であってもよく、2種類以上のSBS樹脂が併用されてもよい。
上記スチレン系樹脂は、スチレン成分を65質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以下含有することが好ましく、85質量%以下含有することがより好ましい。言い換えると、上記スチレン系樹脂は、スチレン成分を65質量%~90質量%含有することが好ましく、70質量%~85質量%含有することがより好ましい。上記スチレン成分の含有量が65質量%以上であると、成形加工時にゲル等の異物が発生し難くなり、熱収縮性フィルム1の機械的強度が向上する。上記スチレン成分の含有量が90質量%以下であると、熱収縮性フィルム1に張力が加わったときや印刷等の加工時に、熱収縮性フィルム1が破断し難くなる。
上記スチレン系樹脂のビカット軟化温度は、60℃以上であることが好ましく、65℃以上であることがより好ましく、85℃以下であることが好ましく、75℃以下であることがより好ましい。言い換えると、上記スチレン系樹脂のビカット軟化温度は、60℃~85℃であることが好ましく、65℃~75℃であることがより好ましい。上記ビカット軟化温度が60℃未満であると、熱収縮性フィルム1の低温収縮性が高くなり過ぎ、熱収縮性フィルム1をラベルとして容器に装着するとシワが生じやすくなる。上記ビカット軟化温度が85℃を超えると、熱収縮性フィルム1の低温収縮性が低下し、熱収縮性フィルム1をラベルとして容器に装着すると収縮不十分な部分が発生しやすくなる。
上記ビカット軟化温度は、ISO 306:1994に準拠した方法で測定することができる。なお、上記スチレン系樹脂がビカット軟化温度の異なる2種類以上のスチレン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記混合樹脂のビカット軟化温度は、混合樹脂中の各スチレン系樹脂の質量比とビカット軟化温度とに基づいて算出した見かけのビカット軟化温度とする。
上記スチレン系樹脂の200℃でのメルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)は、2g/10分以上、15g/10分以下であることが好ましい。上記MFRが2g/10分未満であると、上記スチレン系樹脂を製膜することが難しくなる。上記MFRが15g/10分を超えると、印刷層2の機械的強度が実用上の問題を生じる程度に低くなる。
印刷層2は、熱可塑性樹脂の他に、微粒子を含有してもよい。微粒子は、例えば熱収縮性フィルム1のアンチブロッキング性能を向上させるために添加することができる。このような微粒子としては、有機系微粒子または無機系微粒子のいずれも用いることができる。有機系微粒子としては、アクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、スチレン―アクリル系樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子等の有機系微粒子を用いることができる。特に、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点からはアクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメタクリル酸メチル系架橋微粒子がさらに好ましい。
上述したような有機系微粒子の市販品としては、例えば、テクポリマー(積水化成品工業社製)、ファインスフェア(日本ペイント社製)、ガンツパール(アイカ工業社製)、アートパール(根上工業社製)等が挙げられる。
無機系微粒子としては、例えば、シリカ、ゼオライト、アルミナ等を用いることができる。
印刷層2は、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂の合計100に対し、上述した微粒子を0.01質量部以上、0.10質量部以下含有することが好ましく、0.03質量部以上、0.08質量部以下含有することがさらに好ましい。
[酸化誘導時間]
本発明者は、鋭意検討の結果、印刷層2の酸化誘導時間(Oxidation Induction Time)T(分)を適当な範囲とすることにより、バイオマスインキを用いた印刷に適した熱収縮性フィルム1を提供できることを見出した。酸化誘導時間Tは、所定の温度における物質の酸化し易さを評価する指標であり、短いほど酸化反応が進み易く、長いほど酸化反応が進みにくいことを示す。
本実施形態における酸化誘導時間Tは、以下の方法で測定される。
(1)製膜及び表面処理後であって、印刷前かつ熱収縮前の印刷層2を5mg図り取り、サンプルを採取する。
(2)サンプルを示差走査熱量測定装置(島津製作所社製、DSC-60)のアルミセルにセットし、測定装置内の窒素ガスを室温から設定温度(200℃または230℃)にまで昇温する。昇温速度は、30℃/分である。
(3)(2)の設定温度に到達してから6分間静置する。
(4)窒素ガスを設定温度の空気ガス(日本エア・リキード合同会社製アルファガス・エア アルファガス2)に切り替える。
(5)ガスの切り替え時点をスタート(0分0秒)とし、スタートから酸化反応による示差熱(Differential Scanning Calorimetry:DSC)の発熱ピークの立ち上がりまでの装置による検出時間を空気下における酸化誘導時間Tとする。図4は雰囲気温度曲線(実線)とともに表されたDSC曲線(破線)の一例である。グラフの横軸が時間、左縦軸がDSC(mW)、右縦軸が雰囲気温度(℃)である。
酸化誘導時間Tは、上記(2)の設定温度が200℃の条件で測定可能な酸化誘導時間T1または設定温度が230℃の条件で測定可能な酸化誘導時間T2のいずれかであってよい。印刷層2の組成によっては、いずれかの温度条件でしか酸化誘導時間が測定できないことがあるためである。酸化誘導時間T1及びT2のいずれも測定可能である場合には、T1及びT2のうち、いずれか短い方を酸化誘導時間Tとする。
酸化誘導時間Tは、0.15分以上であることが好ましく、0.2分以上であることがより好ましい。酸化誘導時間Tが0.15分未満になると、印刷面20上に微小な突起が生じやすくなる。この突起は特にバイオマスインキの定着性を悪化させ、印刷抜けを生じやすくする傾向がある。また、酸化誘導時間Tは、12分以下であることが好ましく、5分以下であることがより好ましい。酸化誘導時間Tが12分を超えると、バイオマスインキのクリアインキ塗布部分の収縮後のヘイズが大きくなり、透明性が悪化しやすくなる。以上より、酸化誘導時間Tは、0.15分~12分であることが好ましく、0.2分~5分であることがより好ましい。
酸化誘導時間Tは、酸化防止剤の添加量や、熱収縮性フィルム1の製造工程との兼ね合いにより制御することができる。例えば、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂に添加する酸化防止剤を多くするほど酸化誘導時間Tは長くなり、酸化防止剤を少なくするほど酸化誘導時間Tは短くなる。また、熱収縮性フィルム1の押出成形工程において、押出成形機中の滞留時間が長くなるほど酸化誘導時間Tは短くなる傾向があり、滞留時間が短くなるほど酸化誘導時間Tは長くなる傾向がある。また、印刷層2を構成する熱可塑性樹脂の混練時間を長くする、これに加えてまたは代えて、混練回数を多くするほど酸化誘導時間Tは短くなる傾向があり、混練時間を短くする、これに加えてまたは代えて、混練回数を少なくするほど酸化誘導時間Tは長くなる傾向がある。さらに、熱収縮性フィルム1の製造時の溶融加工工程の数を多くするほど酸化誘導時間Tは短くなる傾向があり、溶融加工工程の数を少なくするほど酸化誘導時間Tは長くなる傾向がある。なお、溶融加工工程は、特に、樹脂フィルム製品や、その中間生成物を粉砕して得られるフラフをリサイクル原料として用いる場合に好適に導入され、加工工程の数は、熱収縮性フィルム1の仕様やフラフの性質に応じて適宜調整することができる。
[厚み]
熱収縮性フィルム1が基材層4と印刷層2とを備える場合、印刷層2の厚みは特に限定されないが、0.4μm以上であることが好ましく、0.6μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。言い換えると、印刷層2の厚みは0.4μm~10μmであることが好ましく、0.6μm~5μmであることがより好ましい。
<2.インキ層>
インキ層3は、バイオマスインキが印刷面20上に塗布されることにより形成される層である。インキ層3を形成するバイオマスインキは、バイオマス資源由来成分を含有する印刷用インキ組成物である。バイオマス資源由来成分は、顔料、バインダー樹脂、その他の溶剤のいずれに含有されてもよいが、本実施形態では、特にバインダー樹脂に含有されていることが好ましい。
上記バインダー樹脂は、バイオマス資源由来成分として、バイオマスウレタン系樹脂を含有することが好ましい。ウレタン系樹脂は、ウレタン結合を分子鎖中に含む樹脂であり、典型的にはイソシアネートとポリオールとの反応で得られる。ウレタン系樹脂は、ウレタン結合に加えて、イソシアネートとアミンとの反応で得られるウレア結合をさらに分子鎖中に含むものであってもよい。
上記バイオマスウレタン系樹脂は、例えば特許文献1等に開示されているような公知のものを用いることができる。このようなバイオマスウレタン系樹脂の中では、バイオマス資源に由来するバイオマスポリオールを重合成分として含むものが好ましい。バイオマスポリオールとしては、バイオマス資源に由来するポリエステルポリオール、及びバイオマス資源に由来するポリエーテルポリオール等が例示されるが、中でもバイオマス資源に由来するポリエステルポリオールが好ましい。
上記バイオマスインキのバイオマス度は特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。
<3.基材層>
熱収縮性フィルム1が熱可塑性樹脂から構成される基材層4を備える場合、これに限定されないが、熱可塑性樹脂としてはオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂が挙げられる。なお、基材層4が「熱可塑性樹脂から構成される」とは、基材層4の主成分が熱可塑性樹脂であることを意味する。基材層4を構成するオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂と、印刷層2を構成するオレフィン系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン系樹脂との組み合わせは特に限定されず、任意の組み合わせが可能である。
[オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂が挙げられる。プロピレン系樹脂は、プロピレンを主成分として、α-オレフィンを共重合成分とする二元、または、三元ランダム共重合体が好ましい。α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられ、2種類以上のα-オレフィンを含んでいても良い。より具体的には、プロピレン及びエチレンの二元ランダム共重合体、ならびにプロピレン、エチレン及びブテンの三元ランダム共重合体が挙げられる。
プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度(0.45MPa)は、110℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。このプロピレン系樹脂が、荷重たわみ温度の異なる2種以上のプロピレン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度は、各プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度と配合割合(重量比)との積を合計して算出した見掛けの荷重たわみ温度を意味する。
上述したようなプロピレン系樹脂の市販品としては、例えばAdsyl(Basell社製)、ノバテック(日本ポリプロ社製)、等が挙げられる。
[スチレン系樹脂]
スチレン系樹脂については、印刷層2について既に説明したスチレン系樹脂と同様である。本実施形態では、基材層4は、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBS樹脂)を含有する。
[厚み]
基材層4の厚みは特に限定されないが、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。言い換えると、基材層4の厚みは15μm~50μmであることが好ましく、20μm~30μmであることがより好ましい。
<4.その他の構成>
印刷層2及び基材層4は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤をそれぞれ含有してもよい。上述したように、酸化防止剤の添加量は印刷層2の酸化誘導時間を制御するために調整することができる。また、熱収縮性フィルム1は、基材層4と印刷層2との間に、接着性樹脂から構成される接着層をさらに備えていてもよい。
また、熱収縮性フィルム1は、印刷層2及び基材層4の少なくとも一方にバイオマス資源由来の成分を含有することもできる。この場合、(インキ層3を除く)熱収縮性フィルム1全体としてのバイオマス度は、10%以上とすることが好ましい。熱収縮性フィルム1のバイオマス度は、インキ層3を除く熱収縮性フィルム1全体の質量に対するバイオマス資源由来の成分の質量割合で算出される。なお、原料がバイオマス資源由来の成分を含むか否かは、その原料に含まれる全炭素原子中に放射性炭素(C14)が105.5pMC程度含まれるか否かで確認することができる。放射性炭素(C14)の有無は、ISO16620-2:2015に基づいて、加速器質量分光計を用いて測定することができる。
[厚み]
インキ層3を除く熱収縮性フィルム1全体の厚みは特に限定されないが、20μm以上、80μm以下であることが好ましい。熱収縮性フィルム1の厚みが上述した範囲内であると、優れた熱収縮性が得られるとともに、容器への装着性も向上する。また、熱収縮性フィルム1が基材層4と印刷層2とを備える場合、印刷層2(1層分)の厚みと基材層4の厚みとの比率は、1:3~1:10の範囲であることが好ましい。厚みの比率が上記範囲内であると、層間の結合強度が向上するとともに、透明性が向上する。
<5.収縮率>
熱収縮性フィルム1を90℃の温水中に10秒間浸漬した後、20℃の水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率は、55%以上であることが好ましく、75%以下であることが好ましい。なお、熱収縮性フィルム1の主収縮方向は、熱収縮性フィルム1の延伸倍率が最も大きい方向である。熱収縮率が上述した範囲内であると、収縮不良等の問題を起こすことがなく、樹脂製の容器に装着する熱収縮性ラベルに好適に用いることができる。
<6.熱収縮性フィルムの製造方法>
[基材層、印刷層等の形成]
熱収縮性フィルム1の製造方法は特に限定されないが、押出成形法が好ましい。熱収縮性フィルム1が多層構造である場合は、共押出法により各層を同時に成形することができる。共押出法がTダイによるものである場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、またはこれらを併用した方式のいずれも採用することができる。
例えば共押出法の場合、上述した印刷層2及び基材層4を構成する原料をそれぞれ押出機に投入し、ダイにより押出すると、各層が積層されたシート状物が得られる。このシート状物を、引取ロールにて巻き取りながら冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸し、熱収縮性フィルム1とすることが好ましい。延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法またはこれらの組み合わせのいずれも採用することができる。延伸温度は、熱収縮性フィルム1を構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性フィルム1に要求される収縮特性等に応じて変更されるが、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。言い換えると、延伸温度は、65℃~120℃であることが好ましく、70℃~115℃であることがより好ましい。
主収縮方向の延伸倍率は、熱収縮性フィルム1を構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、7倍以下が好ましく、6倍以下がより好ましい。言い換えると、延伸倍率は、3倍~7倍であることが好ましく、4倍~6倍であることがより好ましい。
上記押出工程の後、印刷面20となる面に対し、コロナ処理等の表面改質処理を適宜行ってもよい。表面改質処理を行うことで、印刷面20へのインキの密着性が向上する。
[インキ層の形成]
インキ層3は、上記延伸工程を経た後の熱収縮性フィルム1の印刷面20に対し、バイオマスインキを用いた印刷を施すことで形成される。印刷方法は特に限定されず、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の方法を採用することができる。
<7.特徴>
熱収縮性フィルム1は、印刷層2の酸化誘導時間T(分)が0.15≦T≦12を満たすことにより、印刷にバイオマスインキを用いた場合でも、印刷抜けを抑制するとともに、熱収縮後の曇り具合(ヘイズ)が増加することを抑制することができる。これにより、バイオマスインキを用いた印刷の品質が向上する。
以下、本開示の実施例について詳細に説明する。但し、本開示は、これらの実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の準備>
以下の方法で、実施例1~8及び比較例1,2に係る熱収縮性フィルムをそれぞれ用意した。実施例1~4及び6の熱収縮性フィルムは、基材層と、基材層の両面に積層された印刷層とを備える図3のような3層構成とした。実施例5,7,8及び比較例1及び2の熱収縮性フィルムは、印刷層のみの単層構成とした。
[原料の混合]
基材層及び印刷層を構成する原料として、表1に示す成分を用い、これらを表1に示す割合で混合することで、実施例1~8及び比較例1,2に係る基材層及び印刷層を構成する原料組成物を得た。
[製膜]
続いて、各原料組成物を押出機に投入し、Tダイから共押し出しし、引取ロールで巻き取りつつ冷却固化して未延伸シートを作成した。作成した各未延伸シートを、余熱ゾーン、延伸ゾーン、及び熱固定ゾーンを有するテンター延伸機内で6倍に延伸した後、巻取機で巻き取り、熱収縮性フィルムを作成した。延伸後の実施例1~4及び6に係る熱収縮性フィルムは、印刷層の厚みが1μm、基材層の厚みが25μm、全体の厚みが27μmであり、実施例5、7、8及び比較例1、2に係る熱収縮性フィルムは、全体の厚みが27μmであった。
[酸化誘導時間測定]
実施例1~8及び比較例1,2に係る熱収縮性フィルムから印刷層5mgをサンプルとして採取し、上述した方法により、設定温度を200℃及び230℃として酸化誘導時間を測定した。いずれの設定温度でも酸化誘導時間が測定可能であったものについては、短い方を酸化誘導時間T(分)とした。測定された酸化誘導時間を表1に示す。
Figure 0007213400000001
表1に示すPET、A-PET、SBS-1及びSBS-2の詳細は、以下の通りである。
(1)PET ジカルボン酸成分:テレフタル酸由来の成分100モル%、ジオール成分:エチレングリコール由来の成分100モル%を含有する芳香族ポリエステル単重合体
(2)A-PET ジカルボン酸成分:テレフタル酸由来の成分100モル%、ジオール成分:エチレングリコール由来の成分65モル%、ジエチレングリコール由来20モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール由来の成分15%モルを含有する芳香族ポリエステル共重合体、ガラス転移温度は69℃
(3)SBS-1 スチレン成分76質量%、ブタジエン成分24質量%、ビカット軟化温度は70℃、200℃でのMFRは8g/10分
(4)SBS-2 スチレン成分78質量%、ブタジエン成分22質量%、ビカット軟化温度は72℃、200℃でのMFRは7g/10分
なお、実施例1、5、7及び8に係る熱収縮性フィルムは、バイオマス資源由来の原料を含むバイオマスフィルムとして構成された。ISO16620-2:2015に基づいて加速器質量分光計(NEC社製、9SDH-2)を用いて測定されたC14の濃度に基づくこれらのバイオマスフィルムのバイオマス度は、それぞれ10%であった。
[インキ層の形成]
上記実施例1~8及び比較例1、2の印刷面にバイオマスインキを用いてベタ印刷を行い、インキ層を形成した。印刷の条件は以下の通りである。
(1)印刷機:グラビア印刷機
(2)熱収縮性フィルム幅:900mm
(3)バイオマスインキ:バイオマスウレタン系樹脂をバインダーとして含むインキ 印刷色はクリア、白
なお、バイオマスインキにはバイオマス度が15%及び30%の2通りがあり、実施例1~4、6及び比較例1、2についてはバイオマス度が15%のバイオマスインキを、実施例5、7及び8についてはバイオマス度が30%のバイオマスインキを用いた。
(4)インキ粘度:ザーンカップ法 #3のザーンカップ法で15秒(25℃)
(5)印刷速度:150m/分
<2.評価>
[収縮率]
印刷後の熱収縮性フィルムを、主収縮方向100mm×主収縮方向と直交する方向(副収縮方向)100mmのサイズにカットしてサンプルを作成した。サンプル数Nは、各熱収縮性フィルムについて5とした。各サンプルを90℃の温水に10秒間浸漬させた後取り出し、すぐに20℃の水に10秒間浸漬させた。収縮後のサンプルの主収縮方向の1辺の長さ(L1)を測定し、下記式(1)に従い主収縮方向の熱収縮率を求めた。同様に、副収縮方向についても、副収縮方向の1辺の長さ(L2)を測定し、下記式(1)のL1をL2に替えて副収縮方向の熱収縮率を測定した。
熱収縮率(%)={(100-L1)/100}×100 (1)
これをサンプル数N=5について行い、平均値を求めた。
[白インキ印刷抜け]
各熱収縮性フィルムの白ベタ印刷部分を同じサイズにカットしてサンプルを作成した。各サンプルを90℃の温水に10秒間浸漬させた後取り出し、すぐに20℃の水に10秒間浸漬させて収縮させた。その後、各サンプルをマイクロスコ-プ(キ-エンス社製、VHX-100)で観察し、任意の20か所について、インキ抜け部分の数とサイズとを以下の基準で総合的に評価した。
A;インキ抜け部分が全体に対して殆ど見られない(全体の1%未満)
B;インキ抜け部分が全体に対してわずかに見られる(全体の1~3%)
C;インキ抜け部分が全体に対して比較的多く見られる(全体の3%超)
[印刷後収縮前ヘイズ]
印刷後、熱収縮前の各熱収縮性フィルムを同じサイズにカットしてサンプルを作成した。各サンプルにつき、クリアインキを用いた印刷部分のヘイズ(Haze、%)を測定した。測定はJIS K 7136の規定に準拠した方法により、ヘイズメータ(日本電色工業社製、NDH5000)を用いて行った。
[印刷後収縮後ヘイズ]
印刷後収縮前ヘイズを測定した各サンプルを、98℃の温水に30秒間浸漬させた後取り出し、一律に主収縮方向に30%収縮させた。その後、クリアインキを用いた印刷部分のヘイズ(Haze、%)を、収縮前と同様の方法で測定し、ヘイズの値に応じて以下のように評価した。
A;ヘイズが5未満(外観良好)
B;ヘイズが7未満(許容範囲)
C;ヘイズが7以上(外観不良)
<3.評価結果>
評価結果は以下の表2に示す通りになった。
Figure 0007213400000002
表2に示す通り、実施例1~8の主収縮方向の収縮率はいずれも許容範囲内であったが、比較例1,2では主収縮方向の収縮率が好ましい上限を超えていた。そして、実施例1~8では、バイオマスインキを用いた場合でも、印刷の不具合が生じにくかった。これに対し、酸化誘導時間が長い比較例1は収縮後のヘイズが大きくなり、外観不良と評価された。また、酸化誘導時間が短い比較例2は白インキの印刷抜けの程度が大きくなった。実施例の中でも酸化誘導時間が短い実施例6は、許容範囲内であるが他の実施例と比較すると白インキの印刷抜けが相対的に多くなっており、酸化誘導時間が短くなるにつれて印刷抜けへの影響が大きくなると推定される。また、実施例1,2,5,7及び8では印刷抜けと収縮後のヘイズが共に抑制され、相対的に外観が良好であった。特に、実施例5,7及び8では、バイオマス度が比較的高いバイオマスインキを用いているが、印刷抜けと収縮後のヘイズの抑制が共に良好であった。
1 熱収縮性フィルム
2 印刷層
3 インキ層
4 基材層
20 印刷面

Claims (8)

  1. バイオマスインキにより形成されるインキ層が積層されるための熱収縮性フィルムであって、
    熱可塑性樹脂から構成され、前記インキ層が積層される印刷面を有する印刷層を備え、
    前記印刷層の酸化誘導時間T(分)は、0.15≦T≦12を満たし、
    前記酸化誘導時間Tは、200℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T1もしくは230℃の空気下で測定可能な酸化誘導時間T2、または前記T1及び前記T2のうちいずれか短い方である、
    熱収縮性フィルム。
  2. 前記印刷層は、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン系樹脂のうちいずれかを主として含有する、
    請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂から構成され、前記印刷層の前記印刷面とは反対側の面に積層される基材層
    をさらに備える、
    請求項1または2に記載の熱収縮性フィルム。
  4. 前記酸化誘導時間T(分)は、0.2≦T≦5を満たす、
    請求項1または2に記載の熱収縮性フィルム。
  5. 前記バイオマスインキは、ウレタン系樹脂を含み、前記ウレタン系樹脂は、バイオマス資源由来の成分を含む、
    請求項1または2に記載の熱収縮性フィルム。
  6. 前記バイオマスインキのバイオマス度は、10%以上である、
    請求項1または2に記載の熱収縮性フィルム。
  7. 前記インキ層が前記印刷面に積層されている、
    請求項1または2に記載の熱収縮性フィルム。
  8. 請求項7に記載の熱収縮性フィルムを含む熱収縮性ラベル。
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