以下、添付図面を参照して、本願の開示する付着物検出装置および付着物検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、以下では、自車の周囲を撮像するために車両に搭載された車載カメラに付着した水滴を、付着物として検出する場合を例に挙げて説明する。
また、以下では、第1の実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1Aおよび図1Bを用いて説明した後に、第1の実施形態に係る付着物検出方法を適用した付着物検出装置10について、図2~図11Cを用いて説明する。また、図12を用いて、第2の実施形態に係る付着物除去システム1Aについて説明する。
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aは、従来技術に係る付着物検出方法の概要説明図である。また、図1Bは、本実施形態に係る付着物検出方法の概要説明図である。
車両には、自車の周辺を撮像するために、たとえばフロントカメラ、バックカメラ、右サイドカメラ、左サイドカメラなどの車載カメラが搭載される。なお、以下では、かかる車載カメラを「カメラ2」と記載する。
カメラ2は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、かかる撮像素子によって車両周辺を撮像する。なお、カメラ2のレンズには魚眼レンズなどの広角レンズが採用され、カメラ2はそれぞれ180度以上の画角を有し、これらを利用することで車両の全周囲を撮像することが可能である。
そして、カメラ2によって撮像された画像は、車両に搭載された図示略の付着物検出装置へ出力される。
付着物検出装置は、カメラ2から取得した画像を1フレームごとに画像解析し、たとえばテンプレートマッチングなどの手法を用いることによって、画像中における付着物の存在エリアを検出する。
たとえば図1Aに示すように、時間的に連続するフレームF1~F5の各画像があり、付着物検出装置は、フレームF1~F5のそれぞれにおいて、付着物が存在するエリアとして検出エリアDa-1を検出したものとする。かかる場合、付着物検出装置は、検出エリアDa-1が安定的に検出できていることから、容易に、検出エリアDa-1に付着物が付着していることを確定(以下、「付着確定」と言う場合がある)することができる。
ただし、付着物が水滴である場合、画像中の水滴の見え方は、車両の移動によって変化する背景や水滴の厚みなどによって都度変化するため、図1Aに検出エリアDa-2として示すように、フレームによって検出されたり検出されなかったりと、検出が不安定になりやすい。すなわち、付着物検出装置は、検出エリアDa-2における付着物の「付着確定」を判定できずに、付着物の検出漏れが生じるおそれがある。
そこで、本実施形態に係る付着物検出方法では、あるフレームにおいて所定の条件に基づいて付着物が存在するとして検出された検出エリアを、時間的に後のフレームにおいても継承することとした。また、継承された検出エリアにおいては、付着物が存在する可能性が高いと推定されることから、上記所定の条件よりも緩和された条件で付着物の存否を判定することとした。
具体的には、図1Bに示すように、本実施形態に係る付着物検出方法では、たとえばフレームF1において所定の第1条件で検出エリアDa-2が検出された場合に(ステップS1)、直後のフレームF2に検出エリアDa-2を継承する(ステップS2)。
そして、本実施形態に係る付着物検出方法では、継承された検出エリアDa-2では、第1条件よりも緩和された第2条件で付着物の存否を判定する(ステップS3)。そして、かかるステップS3での判定の結果、フレームF2でも検出エリアDa-2には付着物が存在すると判定されたならば、かかるフレームF2の検出エリアDa-2はつづいてフレームF3でも継承され、以降、フレームF4,F5にも同様に引き継がれることとなる。
これにより、付着物が水滴などである場合の、検出の不安定さを解消することができる。したがって、本実施形態に係る付着物検出方法によれば、付着物の検出漏れを抑制することができる。
また、本実施形態に係る付着物検出方法によれば、一旦検出された検出エリアなどの検出結果を、後段の解析処理などにおいて有効に活用することができるので、システム全体の処理負荷を軽減できるとともに、処理速度の向上ならびに検出精度の向上を見込むことができる。
以下、上述した付着物検出方法を適用した付着物検出装置10の実施形態について、さらに具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る自動駐車システム1のブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。たとえば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図2に示すように、自動駐車システム1は、カメラ2と、駐車制御装置3と、付着物検出装置10とを含む。
カメラ2については既に述べたため、ここでの説明を省略する。駐車制御装置3は、カメラ2の撮像画像に基づき、たとえば駐車場内で空いている駐車スペースを認識した場合などに、車両を自動的に駐車制御する。また、駐車制御装置3は、判定部11cが付着物の付着を確定させ、指示部11dから付着物の位置が指示された場合に、安全のために車両の駐車制御を停止する。
付着物検出装置10は、制御部11と、記憶部12とを備える。制御部11は、取得部11aと、検出部11bと、判定部11cと、指示部11dとを備える。検出部11bは、抽出部11baと、除外部11bbとを含む。
記憶部12は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであって、テンプレート情報12aと、条件情報12bと、検出情報12cとを記憶する。
制御部11は、付着物検出装置10全体を制御する。取得部11aは、カメラ2から1フレーム分ずつカメラ画像を取得するとともに、画像解析に必要となる前処理を実行する。
取得部11aは、前処理として、たとえばカメラ画像をグレースケール化する。なお、グレースケール化とは、カメラ画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調で表現するように変換する処理である。かかるグレースケール化は、省略されてもよい。また、取得部11aは、他の前処理として、たとえばカメラ画像を所定のサイズへ変更する。また、取得部11aは、前処理されたカメラ画像を検出部11bへ出力する。
検出部11bは、所定の検出アルゴリズムに基づき、カメラ画像中において付着物の付着する検出エリアDaを検出し、判定部11cへ通知する。
抽出部11baは、上述の検出アルゴリズムを用いてカメラ画像の中から付着物が存在すると推定される検出エリアDaを抽出し、抽出した検出エリアDaを除外部11bbへ通知する。
ここで、抽出部11baが実行する検出アルゴリズムの一例について、具体的に図3~図6を用いて説明する。図3は、ベクトルの算出方法を示す図である。また、図4Aおよび図4Bは、代表値の算出方法の説明図(その1)および(その2)である。
また、図5Aは、テンプレートの一例を示す図である。また、図5Bは、マッチング処理の一例を示す図である。また、図6は、抽出処理の一例を示す図である。
抽出部11baは、取得部11aから入力されるカメラ画像にたとえばソベルフィルタを用いることで、カメラ画像における各画素のエッジ情報を抽出する。ここで、エッジ情報とは、各画素のX軸方向およびY軸方向におけるエッジ強度を指す。
なお、抽出部11baは、ソベルフィルタに代えて、たとえばラプラシアンフィルタなどの他のエッジ抽出法を用いることにしてもよい。
また、抽出部11baは、抽出した各画素のX軸方向およびY軸方向のエッジ強度に基づいて各画素のエッジのベクトルを算出する。具体的には、抽出部11baは、図3に示すように、X軸方向およびY軸方向のエッジ強度に基づき、三角関数を用いることで、各画素のベクトルを算出する。
なお、以下では、図3に示す算出したベクトルと、正方向側のX軸とのなす角度θを「エッジ向き」と言い、ベクトルの長さLを各画素の「エッジ強度」と言う。
また、抽出部11baは、全ての画素についてエッジ向きを算出する必要はなく、優先度の低い領域については、所定間隔の画素ごとにエッジ向きを算出するなど、処理を簡略化することとしてもよい。
また、抽出部11baは、算出したエッジ向きをそれぞれ符号化する。たとえば、抽出部11baは、複数の画素におけるエッジの代表値を求め、かかる代表値を符号化する。具体的には、図4Aに示すように、抽出部11baは、たとえば8×8ピクセルの画素単位を1つの「セル」として取り扱い、3×3セルの画素単位を1つの「ブロック」として取り扱う。また、1つのブロックの中央のセルを「注目セル」として取り扱う。
抽出部11baは、ブロックごとに各画素のエッジ向きおよびエッジ強度を示すヒストグラムを作成する。かかるヒストグラムについては、図4Bを用いて説明する。ここで、抽出部11baは、注目セルにおける中央の座標のエッジ向きをブロックにおけるヒストグラムから導出する。
そして、抽出部11baは、1つのブロックにおいて注目セルの代表値を導出すると、ブロックを1つのセル分ずらしてヒストグラムを作成し、かかるブロックにおける注目セルの代表値を算出していく。
つまり、抽出部11baでは、複数の画素ごとに代表値を算出することで、データ量を削減することができる。なお、図4Aに示す例では、セルが8×8ピクセルであるため、データ量は1/64に削減されることとなる。
なお、図4Aに示したブロックおよびセルのピクセル数は一例であって、セルおよびブロックのピクセル数は、任意に設定することができる。この際、検出したい水滴の大きさに応じて各セルのピクセル数を変更することもできる。
たとえば、小さい水滴を検出したい場合、セルのピクセル数を少なく設定し、大きい水滴を検出したい場合は、セルのピクセル数を多く設定する。これにより、検出したい大きさの水滴を効率よく検出することができる。
また、抽出部11baは、単にセルごとにヒストグラムを作成し、かかるヒストグラムに基づいて各セルの代表値を算出することにしてもよい。なお、抽出部11baは、代表値を算出せず、全ての画素を符号化することにしてもよい。
次に、図4Bを用いてヒストグラムについて説明する。なお、図4Bでは、縦軸にエッジ強度を示し、横軸にエッジ向きの階級を示す。図4Bに示すように、抽出部11baは、たとえば、エッジ向きを20°ごとに18段階の各階級に割り当ててヒストグラムを作成する。
具体的には、抽出部11baは、ブロック内の各画素のエッジ強度をエッジ向きに対応する階級に加算していくことで、ブロックにおけるヒストグラムを作成する。つづいて、抽出部11baは、作成したヒストグラムからエッジ強度の和が最大となる階級を求める。
図4Bに示す例では、80~100°の階級が最大の値をとる場合を示している。このとき、抽出部11baは、かかる階級においてエッジ強度の和が閾値以上である場合に、かかる階級を代表値とする。
図4Bに示す例では、80~100°の階級においてエッジ強度の和が閾値を超えているため、上記の条件を満たす。このため、かかるブロックにおける注目セルの階級は、80~100°となる。
つづいて、抽出部11baは、注目セルを階級に応じて割り当てられた符号に変換する。ここで、各階級には、たとえば0~9およびA~Hの18種類の符号がそれぞれ割り当てられる。なお、0~9およびA~Hは、0°から360°まで20度刻みの各階級に割り当てられる符号である。また、代表値が閾値を超えなかった場合、すなわち、エッジ強度が低いセルには、たとえばZの符号が割り当てられる。
このようにして、抽出部11baは、全てのセルについて符号化を行う。これにより、符号化されたカメラ画像において、各符号が格子状に配列されることとなる。なお、抽出部11baは、上記した代表値を算出する以外に、他の統計学的な算出方法を用いて代表値を算出することにしてもよい。
また、図4Bでは、エッジ向きを18段階に分類する場合について説明したが、これに限られず、18段階より少なくする、あるいは、多くすることにしてもよい。また、図4Bでは、符号がA~HおよびZである場合を示したが、符号として、平仮名や数字など、他の文字、または図形等を用いることにしてもよい。
つづいて、抽出部11baは、符号化されたカメラ画像と水滴の特徴を示す符号パターンとの正規表現を用いたマッチング処理を行う。ここで、正規表現とは、符号列の集合を一つの符号で表したものである。
水滴の特徴を示す符号パターンであるテンプレートは、記憶部12にテンプレート情報12aとして記憶される。かかるテンプレートの一例を図5Aに示す。なお、図5Aでは、視覚的に分かりやすくするために、テンプレートを上記した符号ではなく、ピン状の記号を用いて実際のエッジ向きを模式的に図示している。
図5Aに示すように、テンプレート情報12aは、テンプレートとして水滴の特徴を示す符号列である符号パターンを有する。具体的には、たとえば、上辺パターン、下辺パターン、左辺パターン、右辺パターンを有する。
ここで、図5Aに示す各辺のパターンは、水滴を内側に含むまたは水滴の内側に含まれる矩形の各辺に対応する。ここで、「水滴を内側に含む」とは、矩形に水滴が内接する場合を含む。また、「水滴の内側に含まれる」とは、矩形が水滴に内接する場合を含む。なお、本実施形態では、「矩形」は正方形を含む。また、図5Aでは、各辺のパターンのエッジ向きが、それぞれ中央に向かう場合について示している。この場合、水滴の輝度が端部から中央に向けて大きくなる、すなわち、中央が明るく端部が暗い水滴の特徴を示す。
なお、テンプレート情報12aは、これとは逆に、水滴の輝度が中央から端部に向けて大きくなる、すなわち、中央が暗く端部が明るい水滴の特徴を示す各辺のパターンを備えていてもよい。このようにすることで、多様な水滴を検出することが可能となる。
なお、同図では、上下左右の4方のパターンを例示したが、斜め方向を含むパターンを用いることもできる。このようにすることで、水滴の検出精度を向上させることができる。
抽出部11baは、かかる各辺のパターンを用いたマッチング処理の一例を図5Bに示す。なお、ここでは、説明の便宜上、図5Aに示した上辺パターンをそれぞれA~Fの符号を用いて示している。また、同図のaおよびbには、符号化されたカメラ画像の一部を模式的に示している。
図5Bのaに示すように、抽出部11baは、符号パターンがA~Fの順に順序良く並んでいれば、かかる符号パターンを上辺パターンと一致すると判定する。
具体的には、抽出部11baは、図5Bのaに示すように、たとえば、Aが3回、B、C、DおよびEがそれぞれ2回、そして、Fが3回、のように繰り返される配列を上辺パターンの各符号の配列順序を満たせば、上辺パターンとして抽出することにしている。
これは、水滴の大きさに応じて符号の繰り返し回数が異なるためである。すなわち、水滴が大きいほど、各符号列の長さが長くなるためである。このように、かかる符号の繰り返しを許容することで、1回のマッチング処理で、大きさが異なる複数の水滴を示す符号列を抽出することができる。
したがって、処理負荷を軽減しつつ、水滴を検出することができる。なお、抽出部11baは、水滴の大きさに応じて符号列の長さが異なる複数の各辺のパターンを用意し、全てのかかるパターンを用いて符号列を抽出することにしてもよい。
また、水滴は一般的に球状となるため、各符号の繰り返しの回数は、中心から線対称状となるはずである。このため、抽出部11baは、抽出した符号列の中で、バランスが悪い符号列を除外することにしている。
具体的には、図5Bのbに示すように、抽出部11baは、たとえば、両端に位置するAとFとのバランスを精査する。ここで、同図では、Aが3回繰り返され、Fが10回繰り返される場合を示している。
このとき、抽出部11baは、AおよびFの個数が2倍以上異なる場合に、配列順序を満たす場合であっても、かかる符号列パターンを除外することにしている。このようにすることで、水滴以外の不要な符号パターンの誤抽出を防ぐことができ、水滴の誤検出を抑えることができる。
また、抽出部11baでは、たとえば、抽出した符号列が閾値より長い場合、かかる符号列をマッチングから除外することもできる。これは、符号列が長い場合、水滴である可能性が低いためである。これにより、水滴の誤検出を抑えることができる。なお、かかる閾値は、統計等によって最適な値を予め導出しておくものとする。
次に、マッチング処理を経ての検出エリアDaの抽出処理の一例を図6に示す。なお、図6では、図5Aと同様に、符号に代えて実際のエッジ向きを模式的に図示している。
また、ここでは、マッチング処理によって最初に上辺パターンが抽出された場合について説明する。抽出部11baは、まず抽出された上辺パターンの幅に基づき、略正方形状の検出エリアDa1を設定する。
つづいて、検出エリアDa1から逸脱した位置に右辺パターンが抽出されたものとする。このとき、抽出部11baは、右辺パターンの検出エリアDa2の中心座標が検出エリアDa1内にあれば、双方の検出エリアDa1,Da2を統合する処理を行う。
その後、抽出部11baは、たとえば、統合した検出エリアDa3において、下辺パターンまたは左辺パターンが抽出された場合、水滴が存在すると推定されるエリアとして、検出エリアDa3を抽出する。換言すると、抽出部11baは、異なる3方向以上の各辺を示すパターンが抽出されることを検出条件(以下、「方向条件」と言う)として、水滴が存在すると推定される検出エリアDaを抽出する。
なお、抽出部11baは、かかる方向条件以外に、たとえば、統合した検出エリアDa3において、各辺を示すパターンが所定回数(たとえば、上下左右を含めて4回)以上抽出されることを検出条件(以下、「回数条件」と言う)としてもよい。
このように、検出条件として、3方向以上の方向条件や回数条件とすることで、上下左右の全ての辺のパターンが抽出されなくとも、水滴が存在すると推定される検出エリアDaを抽出することができる。すなわち、カメラ画像から見切れる、たとえば半円状の水滴を検出することが可能となる。なお、これら検出条件は、記憶部12に条件情報12bとして記憶される。
なお、図6では、上辺パターンの検出エリアDa1内に検出エリアDa2の中心座標が収まる場合に、検出エリアDaを統合する場合について示したが、これに限定されるものではない。すなわち、検出エリアDa1および検出エリアDa2の少なくとも一部が重なっていれば双方を統合することにしてもよい。
また、統合した検出エリアDa3を、検出エリアDa1および検出エリアDa2の論理積とすることにしてもよいし、論理和とすることにしてもよい。また、図6では、検出エリアDa1および検出エリアDa2が矩形状である場合を示したが、これに限られず、円形状など他の形状とすることにしてもよい。
図2の説明に戻り、つづいて除外部11bbについて説明する。除外部11bbは、抽出部11baから通知される検出エリアDaのそれぞれについて画像解析を行い、かかる検出エリアDaに存在すると推定される付着物が本当に付着物であるか否かを判定する。
また、除外部11bbは、その判定結果により付着物であると判定される検出エリアDaについては、かかる検出エリアDaを判定部11cへ通知する。一方、除外部11bbは、その判定結果により付着物でないと判定される検出エリアDaについては、判定部11cへの通知を行わず、後段の処理対象から除外する。すなわち、除外部11bbは、信頼度の低い検出エリアDaを除外する。このように、無用の画像領域を除外することにより、付着物の検出の精度を高められるとともに、後段の処理負荷を軽減することができる。
たとえば、除外部11bbは、検出エリアDaのエッジ強度、輝度および彩度のそれぞれにつき、「弱」、「中」、「強」の3階級で分類されたヒストグラムを生成する。そして、除外部11bbは、生成した各ヒストグラムにおける階級それぞれの度数の割合に基づいて付着物であるか否かを判定し、付着物でないと判定される検出エリアDaを除外する。
判定部11cは、検出部11bの除外部11bbから通知された各検出エリアDaのフレーム間にわたる状態遷移を管理するとともに、かかる状態遷移に応じて各検出エリアDaにおける付着物の「付着確定」を判定する。
ここで、判定部11cが実行する判定処理について、図7A~図8Dを用いて具体的に説明する。図7Aは、検出部11bからの通知内容の一例を示す図である。また、図7Bは、検出情報12cに含まれる検出エリアDaに関するデータ内容の一例を示す図である。また、図7Cは、検出エリアDaの状態の説明図である。また、図8A~図8Dは、判定部11cの処理説明図(その1)~(その4)である。
判定部11cに通知される検出部11bからの通知内容には、図7Aに示すように、たとえば矩形で抽出された検出エリアDaの左上座標(x,y)と、幅wと、高さhとが含まれる。
判定部11cは、現フレームにおいて付着物が存在するとして抽出された検出エリアDaのすべてに対し、過去フレームで抽出済みである検出エリアDaとの重なりの存否を判定する。また、判定部11cは、その判定結果を各検出エリアDaの「得点」および「状態」に反映する。反映結果は、検出情報12cで管理される。
ここで、検出情報12cは、図7Bに示すように、たとえば「検出エリアID」項目と、「エリア情報」項目と、「得点」項目と、「状態」項目と、「緩和」項目とを含む。「検出エリアID」項目には、検出エリアDaの識別子が格納され、検出情報12cは、かかる検出エリアIDごとに管理される。
「エリア情報」項目には、図7Aで示した検出エリアDaの左上座標(x,y)や、幅w、高さhなどが格納される。「得点」項目には、検出エリアDaそれぞれの現状の得点が格納される。「状態」項目には、検出エリアDaそれぞれの現状の状態(ステート)が格納される。
図7Cにステートマシン図として示すように、各検出エリアDaは、「IDLE」、「潜伏」、「観察」、「ペナルティ」という4つの状態に遷移し得る。「IDLE」は、「未検出状態」、すなわち付着物が付着していない状態を指す。「潜伏」は、「付着物付着の可能性あり」の状態を指す。
「観察」は、車両が、たとえば圧縮空気やワイパなどによる付着物の除去が可能な付着物除去装置を備える場合に、かかる付着物除去装置による付着物の除去動作が行われた「除去処理後の観察状態」を指す。付着物除去装置については第2の実施形態で後述する。「ペナルティ」は、「除去処理後も当該エリアで付着物が検出され続けている状態」、すなわち、除去不良か誤検出の状態を指す。
判定部11cは、フレーム間における検出エリアDaの重なりの存否の判定結果に応じ、検出情報12c上で各検出エリアDaの「得点」を更新し、「状態」を遷移させる。そして、判定部11cは、検出情報12cの検出エリアDaの「状態」と「得点」に応じ、付着物の「付着確定」を判定する。より具体的には、図8A~図8Dを用いた説明で後述する。
図7Bに戻り、つづいて「緩和」項目について説明する。「緩和」項目には、検出エリアDaそれぞれの現状の検出条件を緩和すべきか否かを示すフラグ値が格納される。図7Bの例では、「緩和」項目にチェックマークの入った検出エリアID「xx2」の検出エリアDaが、第1条件よりも緩和された第2条件(図1B参照)で抽出されるべきことを示している。上述した検出部11bの抽出部11baは、かかる検出エリアID「xx2」の検出エリアDaにつき、第1条件ではなく第2条件を用いて抽出することとなる。かかる点については、図9を用いた説明でも後述する。
つづいて、判定部11cが実行する判定処理についてより具体的に説明する。上でも既に述べたが、図8Aに示すように、判定部11cは、現フレームにおいて付着物が存在するとして抽出された検出エリアDaのすべてに対し、過去フレームで抽出済みである検出エリアDaとの重なりの存否を判定する。
具体的には、図8Bに示すように、現フレームの検出エリアDa-Cのすべてと、過去フレームの検出エリアDa-Pのすべてとの重なりを判定する。たとえば検出エリアDa-Cと検出エリアDa-Pとの重なりは、それぞれの重心間の距離に基づいて判定される。
そして、図8Bに示すように、判定部11cは、現フレームの検出エリアDa-Cと過去フレームの検出エリアDa-Pとの間に重なりがあると判定した場合に、検出エリアDa-Cおよび検出エリアDa-Pそれぞれの得点に加点する。
これにより、判定部11cは、たとえば、フレームを隔ててなおレンズのほぼ同一の領域に存在する付着物を示すことができる。なお、加点は、たとえば得点に「+20」される。
一方、図8Cに示すように、判定部11cは、過去フレームの検出エリアDa-Pにつき、現フレームの検出エリアDa-Cのいずれとも重なりが存在しないものについては、得点を減点する。なお、減点は、たとえば得点から「-10」される。
また、判定部11cは、現フレームの検出エリアDa-Cにつき、過去フレームの検出エリアDa-Pのいずれとも重なりが存在しないものについては、新規の検出エリアDaであるとして、検出情報12cへ新規登録する。
新規登録される検出エリアDaは、図8Dに示すように、「潜伏」状態となり、所定の得点を付与される。そして、かかる「潜伏」状態から、前述の「加点」や「減点」を経ることで変化する検出エリアDaの得点に応じ、判定部11cは、検出エリアDaの状態を遷移させる。
たとえば、図8Dに示すように、判定部11cは、「潜伏」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以下となった場合、かかる検出エリアDaの状態を「潜伏」から「IDLE」へ遷移させる(ステップS11)。これにより、たとえば流れ落ちるなどして移動し、付着物として確定するまでもない雨滴等の付着物に対する誤反応を防止することができる。
また、「潜伏」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以上となった場合、判定部11cは、当該エリアに対する付着物の付着を確定(付着確定)させる(ステップS12)。なお、判定部11cは、たとえば得点が「100」点以上となった場合に、当該エリアを付着確定させる。
また、判定部11cは、付着確定後、「潜伏」状態にあるすべての検出エリアDaを「観察」状態へ遷移させる(ステップS13)。これは、仮に1つの検出エリアDaの付着確定に応じて前述の付着物除去装置による除去処理が行われた場合、付着確定されていなかった「潜伏」状態の他の検出エリアDaについても、通常であれば付着物は除去されたと推定されるためである。
なお、判定部11cは、付着物除去装置による除去処理が行われて「観察」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以上となった場合、検出エリアDaを「ペナルティ」状態へ遷移させる(ステップS14)。これにより、除去処理後も付着物が検出され続けている除去不良または誤検出を把握することができる。
また、判定部11cは、「観察」状態または「ペナルティ」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以下となった場合、検出エリアDaを「IDLE」状態へ遷移させる(ステップS15)。
なお、図8Dにおいて「加点」および「減点」を示している矢印の傾きを調整することによって、付着確定までの反応速度を制御してもよい。たとえば加点量および減点量を大きくして上記矢印の傾きを急にすることによって、付着確定までの反応速度を上げることができる。
また、判定部11cは、付着確定がなされた検出エリアDaがあった場合に、指示部11dに、かかる検出エリアDaの位置を駐車制御装置3へ向けて指示させる。
また、判定部11cは、少なくとも現フレームで抽出され、「潜伏」状態にあり、付着確定にまでは至っていない検出エリアDaについて、検出情報12cの「緩和」項目に検出条件を緩和すべきことを示すフラグ値を格納する(図7B参照)。また、判定部11cは、かかる検出条件を緩和する検出エリアDaを、前述の検出部11bへ通知する。すなわち、判定部11cは、一旦付着物が存在するとして検出された検出エリアDaを、検出部11bへフィードバックして、時間的に後のフレームに継承させる(図1B参照)。
そして、検出部11bは、判定部11cからフィードバックされた検出エリアDaについては、検出情報12cに基づき、検出条件を緩和させて検出処理を行う。図9は、フィードバック後の検出部11bの処理説明図である。
図9は、図6で最下段に示した検出エリアDa3に対応しているが、図9の左図に示すように、図6では、検出部11bの抽出部11baは、たとえば、検出エリアDa3において、さらに下辺パターンまたは左辺パターンが抽出された場合に、水滴の存在が推定されるエリアとして、検出エリアDa3を抽出した。換言すると、抽出部11baは、異なる3方向以上の各辺を示すパターンが抽出される方向条件で、水滴の存在が推定される検出エリアDaを抽出した。かかる場合の方向条件は、「第1条件」(図1B参照)である。
これに対し、図9の右図に示すように、前述のフィードバック後では、検出部11bの抽出部11baは、たとえば、上辺パターンおよび右辺パターンといった、異なる2方向以上の各辺を示すパターンが抽出される方向条件で、水滴の存在が推定される検出エリアDaを抽出する。すなわち、フィードバック後の検出部11bは、第1条件よりも「緩和」された「第2条件」(図1B参照)で検出エリアDaを抽出する。たとえば、検出部11bは、検出情報12cの「緩和」項目にフラグの立った検出エリアDaにつき、条件情報12bに含まれる「第2条件」を用いて検出エリアDaを抽出する。
これにより、付着物が水滴などである場合の、検出の不安定さを解消することができる。したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、付着物の検出漏れを抑制することができる。
また、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、一旦検出された検出エリアDaなどのリソースを、後段の処理において有効に活用することができるので、システム全体の処理負荷を軽減できるとともに、処理速度の向上ならびに検出精度の向上を見込むことができる。
図2の説明に戻り、つづいて指示部11dについて説明する。指示部11dは、判定部11cによって、付着物が確定された場合に、駐車制御装置3に付着物の位置を指示する指示信号を生成して、かかる指示信号を駐車制御装置3へ出力する。
次に、本実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
まず、取得部11aが、1フレーム分のカメラ画像を取得する(ステップS101)。そして、検出部11bの抽出部11baが、水滴の存在が推定される検出エリアを抽出する(ステップS102)。
そして、検出部11bの除外部11bbが、信頼度の低い検出エリアを除外する(ステップS103)。
なお、かかる除外処理自体は、たとえば省略されてもよい。これにより、システム全体に対する処理負荷を軽減することができる。
つづいて、判定部11cが、フレーム間にわたる検出エリアの状態を判定する(ステップS104)。すなわち、判定部11cは、過去フレームで抽出済みである各検出エリアDaとの重なりの存否を判定し、その判定結果に応じて検出エリアDaの得点および状態を更新する。
そして、判定部11cは、更新された検出エリアDaの得点および状態に応じ、検出エリアDaのそれぞれが、付着確定であるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、付着確定でない場合(ステップS105,No)、判定部11cは、該当する検出エリアDaについて、検出情報12cの「緩和」項目のフラグを立てることによって、検出条件を緩和する(ステップS106)。そして、ステップS101からの処理を繰り返す。
一方、付着確定である場合(ステップS105,Yes)、指示部11dが、駐車制御装置3へ付着物の位置を指示する(ステップS107)。
そして、制御部11が、処理終了イベントがあるか否かを判定する(ステップS108)。処理終了イベントは、たとえば車両のIGオフやACCオフなどに対応する。ここで、処理終了イベントがないと判定された場合(ステップS108,No)、ステップS101からの処理を繰り返す。また、処理終了イベントがあると判定された場合(ステップS108,Yes)、付着物検出装置10は、処理を終了する。
次に、本実施形態に係る処理の流れの変形例について、図11A~図11Cを用いて説明する。図11Aは、本実施形態に係る処理の流れを示す図である。また、図11Bは、第1の変形例に係る処理の流れを示す図である。また、図11Cは、第2の変形例に係る処理の流れを示す図である。
これまでは、付着物検出装置10が、図11Aに示すように、カメラ2のカメラ画像に基づき、取得部11aが取得処理を実行し、検出部11bの抽出部11baが抽出処理を実行し、検出部11bの除外部11bbが除外処理を実行し、判定部11cが判定処理を実行する場合について説明した。そのうえで、判定部11cが、付着確定前の、たとえば上記した例では「潜伏」状態などの検出エリアDaを、時間的に後の抽出処理へ検出条件を緩和しつつ継承させるべくフィードバックする場合について説明した。
しかしながら、処理の流れは、かかる例に限られない。たとえば図11Bに示すように、判定処理から抽出処理へフィードバックされた検出エリアDaにつき、一度除外処理をクリアした検出エリアDaは2回目以降の除外処理を省略されるように、処理の流れを制御してもよい。
これは、少なくとも一度除外処理をクリアした検出エリアDaは、少なくとも信頼度は低くないと考えられるためである。これにより、除外処理に要する処理負荷を抑え、システム全体の処理負荷を軽減することができる。
また、たとえば図11Cに示すように、抽出処理~除外処理を経て検出された検出エリアDaにつき、抽出処理にはフィードバックせずに、除外処理~判定処理間でループが閉じるように処理の流れを制御してもよい。
これは、少なくとも一度抽出処理~除外処理を経て検出された検出エリアDaは、時間的にすぐには無くならないとの考え方に基づく。すなわち、この場合、一度検出された検出エリアDaは、改めて抽出処理で検出アルゴリズムを用いて抽出させずに、除外処理~判定処理間の繰り返しで検出エリアDaの状態を管理することとなる。これにより、抽出処理に要する処理負荷を抑え、システム全体の処理負荷を軽減することができる。
上述してきたように、本実施形態に係る付着物検出装置10は、検出部11bと、判定部11cとを備える。検出部11bは、カメラ2(「撮像装置」の一例に相当)に付着した付着物の撮像画像中における位置を所定の第1条件に基づいて検出する。判定部11cは、複数回にわたって検出される上記位置に関する情報に基づいてかかる位置における付着物の存否を判定する。また、判定部11cは、検出部11bによって上記位置が検出された場合に、第1条件よりも緩和された第2条件に基づいて検出部11bに上記位置を検出させる。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、付着物の検出漏れを抑制することができる。また、第1条件で検出された位置を、以降は第1条件よりも緩和された第2条件で検出するので、検出精度を維持しつつ、システム全体の処理負荷の軽減や処理速度の高速化に資することができる。
判定部11cは、複数回にわたって検出された上記位置の状態遷移に基づいてかかる位置における付着物の存否を判定する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、一時的に検出された付着物などを無用に付着確定させることなく、精度よく付着物の存否を判定することが可能となる。
判定部11cは、上記位置が検出部11bによって検出された場合に、かかる位置の状態を示す得点に加点し、上記位置が検出部11bによって検出されなかった場合に、上記得点から減点することによって上記状態遷移を管理するとともに、上記得点が所定点以上となった場合に、上記位置における付着物の付着を確定させる。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、上記位置の状態遷移の管理および状態に応じた付着確定の判定を簡易な手法で行うことができる。
検出部11bは、撮像画像中の各画素について抽出されたエッジ情報に基づいて上記各画素を所定のデータ形式に変換し、かかるデータ形式に変換された上記各画素と、付着物を示す上記データ形式のテンプレートとのマッチング結果に基づいて上記位置を検出する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、付着物の特徴を示すテンプレートに応じて多様な付着物を検出することが可能となる。
検出部11bは、付着物を内側に含むまたは付着物の内側に含まれる矩形の検出エリアDa(「検出領域」の一例に相当)として上記位置を検出し、検出エリアDaの各辺のうち、テンプレートによって異なる3方向以上を示す各辺が抽出される場合を第1条件とし、テンプレートによって異なる2方向以上を示す各辺が抽出される場合を第2条件として、上記位置を検出する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、矩形の検出エリアDaを利用することで、簡易な手法での付着物の検出が可能となる。また、第1条件で検出された検出エリアDaを、以降は第1条件よりも緩和された第2条件で検出するので、検出精度を維持しつつ、システム全体の処理負荷の軽減や処理速度の高速化に資することができる。
また、カメラ2は車両に搭載され、車両はカメラ2の撮像画像に基づき車両の駐車制御を行う駐車制御装置3(「駐車制御部」の一例に相当)を備え、駐車制御装置3は、判定部11cが上記位置における付着物の付着を確定させた場合に、車両の駐車制御を停止する。したがって、本実施形態に係る自動駐車システム1によれば、安全性の高い自動駐車システムを実現することができる。
なお、上述した第1の実施形態では、抽出部11baが各画素のエッジ強度に基づく所定の検出アルゴリズムを用いて検出エリアDaを抽出する場合を例に挙げたが、抽出部11baは、異なる検出アルゴリズムを並列に実行することとしてもよい。エッジ強度以外に基づく検出アルゴリズムとしては、たとえば各画素の輝度の勾配や彩度の勾配をエッジ情報として抽出し、これに基づいて検出エリアDaを抽出するものなどを挙げることができる。
抽出部11baが検出アルゴリズムを並列に実行する場合、除外部11bbは、検出アルゴリズムそれぞれの処理結果について除外処理を実行することとなる。また、判定部11cは、上述したフレーム間にわたる重なりの判定の前に、アルゴリズム間における重なりの判定を行うとよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、第2の実施形態に係る付着物除去システム1Aのブロック図である。図12は、図2に対応しており、付着物除去システム1Aは、自動駐車システム1とは、駐車制御装置3に代えて、付着物除去装置4を含む点が異なる。
付着物除去装置4は、付着物検出装置10の検出結果に基づいてカメラ2のレンズに付着した付着物を除去する。たとえば、付着物除去装置4は、吐出口をカメラ2のレンズへ向けて設けられた図示略のノズルを備え、かかるノズルから圧縮空気をレンズへ向けて噴射する除去動作によって付着物を除去する。なお、付着物除去装置4は、かかる態様に限らず、たとえばノズルから圧縮空気とともに洗浄液を噴射したりしてもよいし、ワイパでカメラ2のレンズを拭ったりしてもよい。
かかる付着物除去システム1Aでは、判定部11cは、付着確定がなされた検出エリアDaがあった場合に、指示部11dに対し、付着物除去装置4による除去動作を指示させる。なお、判定部11cは、付着確定がなされた検出エリアDaがあっても、あえて除去動作を行わないようにしてもよい。
たとえば、判定部11cは、付着確定がなされた検出エリアDaが、カメラ画像の視認の妨げにはなりにくい画面の外周にほぼ沿った領域に存在するならば、除去処理の実行を不要と判定することができる。また、たとえば、判定部11cは、付着確定がなされた検出エリアDaが、所定個数に満たないならば、除去処理の実行を不要と判定することができる。
このように、搭乗者の視認や運転動作に影響が少ないと判断される付着物についてはその除去処理自体をスキップすることで、システム全体の処理負荷を軽減することができる。
また、指示部11dは、判定部11cによって、付着物の除去が必要と判定された場合に、付着物除去装置4に除去動作を行わせる指示信号を生成して、かかる指示信号を付着物除去装置4へ出力する。すなわち、既に示した図10を例に挙げれば、第2の実施形態では、指示部11dは、ステップS107で「付着物の位置を指示」するのではなく、付着物除去装置4へ「除去動作を指示」することとなる。付着物除去装置4は、かかる指示に基づいて除去動作を実行し、付着物を除去する。
したがって、本実施形態に係る付着物除去システム1Aによれば、付着物検出装置10を含むことにより、検出漏れを抑制しつつ付着物を検出できるとともに、検出した付着物については、付着物除去装置4により除去することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。