〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1から図8に基づいて説明する。本発明は、ゴミ焼却設備のゴミ焼却炉におけるゴミの燃焼状況に関する情報を生成する情報処理装置等に関するものである。上記ゴミ焼却設備は、収集されたゴミを収容すると共に、収容されたゴミを焼却炉で燃焼させ、燃焼によって発生した熱により蒸気を発生させ、発生させた蒸気によりタービンを回転させて発電する設備である。
(情報処理の概要)
先ず、本実施形態における情報処理装置が実行する処理の概要について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態の情報処理装置における情報処理の概要を説明する図であり、(a)はゴミ焼却炉の燃焼室内の様子を示し、(b)はゴミの燃焼位置の特定結果の例を示している。
図2の(a)には、ゴミ焼却炉における燃焼室の様子を示している。図示のように、燃焼室内には、ゴミG1を搬送する搬送装置として火格子9が設けられている。図示の火格子9は、階段状の形状を有しており、ゴミG1を順次押し出すことによって、図2の(a)における「ゴミの流れ」の矢印で示した方向にゴミG1を搬送する。つまり、図示のゴミ焼却炉は、ストーカ式のゴミ焼却炉である。ゴミG1は、火格子9の動作によって、上流(同図の上側)から下流(同図の下側)に向かって搬送されつつ焼却される。このような焼却の様子は、例えば、ゴミG1の流れの下流側から火格子9を斜め下方に見下ろす位置に配置されたカメラ2にて撮像することができる。
図2の(a)のような画角でゴミの焼却の様子を撮像することは一般に行われている。このような画角で撮像した場合、搬送方向の最下流のゴミの焼却の状態が鮮明に写った画像を得ることができ、このような画像を解析することにより、ゴミの燃え切り位置を検出することができるためである(例えば、特許文献1~3を参照)。
ただし、図2の(a)のような画角で撮像した場合、搬送方向の上流側に近いほど、より下流側のゴミから発生する煙や炎などの影響により、ゴミの燃焼位置の特定が困難となる。本実施形態の情報処理装置は、搬送方向の上流側についてもゴミの燃焼位置を特定することを可能にするものである。
具体的には、本実施形態の情報処理装置は、画像において火炎が写っている領域(以下、火炎領域と呼ぶ)から、火炎の基部を特定する。なお、火炎の「基部」とは、画像に写った火炎の像における根本部分であり、ゴミの燃焼により生じた火炎と、当該ゴミとの境界およびその近傍部分を意味している。また、火炎の像における基部以外の部分を外炎と呼ぶ。図2の(a)では、火炎Fにおける基部をF0、外炎をF1で示している。
炎は、基部から広がるため、基部を特定することにより、どの程度の範囲までのゴミが燃焼しているか、すなわちゴミの燃焼位置を特定することが可能になる。また、搬送方向の上流側に位置する基部についても、その基部の少なくとも一部が撮像されていれば、その撮像画像から特定することが可能である。さらに、外炎や煙は、空気の流れによって揺らぐため、時系列で複数の画像を撮像することにより、外炎や煙の奥側(搬送方向の上流側)に位置する基部も特定可能である。
図2の(b)には、ゴミの燃焼位置の特定結果の例を示している。図2の(b)では、火格子9を真上から見下ろしたときのゴミの燃焼位置を多重円で示している。多重円MC1が、図2の(a)の火炎Fに対応しており、多重円MC1の中心C0が基部F0の位置に対応している。このように、本実施形態の情報処理装置によれば、ゴミ焼却炉内を撮像した撮像画像を用いて、ゴミ焼却炉内におけるゴミの燃焼位置を正確に特定することが可能になる。
(情報処理装置の構成)
本実施形態の情報処理装置の構成を、図1を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態の情報処理装置1Aおよび関連する装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置1Aは、制御部10Aおよび記憶部20を備えている。制御部10Aには、火炎領域抽出部11、基部特定部12、燃切位置検出部13、位置変換処理部(位置特定部)14、および燃焼状況情報生成部15が含まれている。記憶部20には、炉内実位置対応情報21が記憶されている。また、情報処理装置1Aには、カメラ2、焼却制御装置3、および表示装置4が、情報処理装置1Aと通信可能に接続されている。
(カメラ2)
カメラ2は、ゴミ焼却炉中におけるゴミの様子を撮影するための撮像装置である。カメラ2は、例えば燃焼室の下流側の壁面に設置されており、燃焼室内のゴミの搬送機構(例えば火格子9)で搬送されるゴミを下流側から撮像する。このような配置のカメラ2からは、図2の(a)のような画角の画像が撮像される。カメラ2が撮像した画像は、情報処理装置1Aに送信される。なお、本実施形態では、カメラ2が動画像を撮像する例を説明するが、カメラ2は、時系列で複数の静止画像を撮像するものであってもよい。
(焼却制御装置3)
焼却制御装置3は、ゴミ焼却炉におけるゴミの焼却に関する各種制御を行う装置であり、焼却制御部31と、記憶部32とを備えている。記憶部32には、理想燃焼パターン321が記憶されている。
焼却制御部31は、ゴミ焼却炉におけるゴミの焼却に関する各種機器(図示せず)を制御することにより、燃焼室内におけるゴミの燃焼状況が、理想的な燃焼状況に近付くように調整する。具体的には、焼却制御部31は、ゴミ焼却炉への1次空気供給量、2次空気供給量、火格子9の速度(ゴミ搬送速度)、および火格子9へのゴミの供給(給じん)速度を調整する。
なお、理想的な燃焼状況は、理想燃焼パターン321に示されている。理想燃焼パターン321は、例えば理想的な燃え切り位置の範囲や理想的な着火位置を示すものであってもよい。また、現在の燃焼状況は、情報処理装置1Aから受信する燃焼状況情報(詳細は後述)に基づいて特定される。例えば、焼却制御部31は、燃焼状況情報が示す燃え切り位置が、理想的な燃え切り位置よりも下流側であった場合、燃え切り位置を上流側に移動させるための制御(火格子9の速度を下げる等)を行う。また、例えば、焼却制御部31は、燃焼状況情報が示す未燃領域の位置が、理想燃焼パターン321に示される位置よりも下流側であった場合、未燃領域を上流側に移動させるための制御(火格子9の速度を下げる等)を行う。
(表示装置4)
表示装置4は、画像を表示する装置であり、燃焼状況情報生成部15から送信された燃焼状況情報に基づいて画像を表示する。また、表示装置4は、カメラ2から送信された燃焼室内の画像を表示してもよい。表示装置4は、各種の画像を表示することができる機能を有していればよい。また、情報処理装置1Aには、表示装置4だけでなくキーボードおよびマウス等の入力装置が有線または無線で接続されていてもよい。入力装置を用いて、情報処理装置1Aが実行する処理に用いられる各種の値を設定または変更することができる。
(火炎領域抽出部11)
制御部10Aにおける火炎領域抽出部11は、ゴミ焼却炉内、より詳細には燃焼室内を時系列で撮像した複数の撮像画像のそれぞれから火炎の像が写る火炎領域を抽出する。具体的には、火炎領域抽出部11は、カメラ2から受信した動画像から時系列で複数のフレーム画像を取得し、各フレーム画像から火炎領域を抽出する。この処理の一例について、図3を用いて以下に説明する。図3の(a)は、燃焼室内の様子を撮影した画像の例を示す図である。図3の(b)は、上記画像から火炎領域抽出部11によって火炎領域を抽出した結果を示す図である。
火炎は光を発するため、図3の(a)に示すように、カメラ2から受信した画像において、火炎F10の像が写る領域は、画素値が相対的に大きい。一方、上記画像における火炎F10以外の部分は画素値が相対的に小さい。よって、火炎領域抽出部11は、例えば、画像の画素値情報に基づく二値化処理により、火炎領域を抽出することができる。
図3の(b)には、図3の(a)に示す画像について、該画像を構成する画素のうち、画素値が閾値以上のものについては画素値を「1:白色」とし、画素値が閾値未満のものについては画素値を「0:黒色」とする二値化処理を行った結果を示している。火炎領域抽出部11は、閾値よりも高い画素値の領域、すなわち図3の(b)において白色の画素からなる領域を火炎領域A1として抽出する。また、火炎領域A1として抽出されなかった、画素値が閾値以下の画素(黒色の画素)からなる領域を、背景領域A2として抽出してもよい。
なお、上記二値化処理における所定の閾値の設定方法は特に限定されない。例えば、上記閾値は、予め定めておいてもよいし、処理の対象としている画像を構成する各画素の平均画素値に基づいて算出してもよい。また、画像から火炎領域A1を抽出する手法は上記の例に限定されない。画像から火炎領域A1を抽出する手法としては、公知の手法を適宜採用することができる。例えば、火炎の像の外縁(エッジ)を検出する処理を行うことにより火炎領域A1を抽出してもよい。
(基部特定部12)
基部特定部12は、火炎領域抽出部11が抽出した火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分を火炎の基部と特定する。本実施形態における基部特定部12は、差異検出部121と区分部122とを含んでおり、差異検出部121による処理結果と、区分部122による処理結果とに基づいて基部を特定する。
(差異検出部121)
差異検出部121は、ゴミ焼却炉内(より詳細には燃焼室内)を時系列で撮像した複数の画像(何れも火炎領域抽出部11により火炎領域を抽出済みのもの)における時系列変化を検出する。具体的には、差異検出部121は、時系列で連続した複数の画像における、火炎領域に含まれる各画素の画素値の変化(差分)を算出し、算出した差分から、当該画素における画素値の時系列変化の程度を示す指標値を算出する。例えば、差異検出部121は、火炎領域が抽出された画像について、該画像と時系列で連続する画像との画素値の差分を画素ごとに算出し、算出した差分の和を上記指標値として算出してもよい。
図4は、火炎領域の各画素における画素値の時系列変化の程度を示す図である。具体的には、図4では、画素値の時系列変化の程度(上記「差分の和」)が低い画素ほど白に近い色で表している。火炎領域のうち、基部は外炎部よりも画素値の時系列変化の程度が小さい傾向があるため、図4において白に近い画素からなる領域F01~F05は基部の領域に対応し、黒に近い画素からなる領域F1等は外炎部に対応する。領域F02は、燃焼室の奥側(搬送方向の上流側)で燃焼しているゴミの基部に対応しており、通常は搬送方向の下流側のゴミからの火炎や煙などにより基部であると特定困難な領域であるが、上記の処理によれば特定可能である。
また、差異検出部121は、例えば、火炎領域の時系列変化を示す情報として、動きベクトルを算出してもよい。動きベクトルの算出について図5を用いて以下に説明する。図5の(a)は時系列で撮像された画像の例を示す図であり、(b)は(a)の画像間の動きベクトルを示す図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
図5の例では、差異検出部121は、図5の(a)に示されるimg1を、同程度の画素値を有する画素からなるブロック(各ブロックは1画素以上で構成される)に分割する。そして、差異検出部121は、該ブロックがimg2において何れの方向にどれだけ移動したかを示す動きベクトルを算出する。
図5の(b)および(c)に示すように、動きベクトルはブロックの位置に応じて方向も大きさも様々であるが、画像全体においては、動きベクトルの大きさが比較的小さいブロックからなる領域が存在し、このような領域が基部の領域に対応している。なお、差異検出部121は、図4と図5にそれぞれ基づいて説明した処理のうちいずれか一方を行ってもよいし、両方の処理を行ってもよい。
(区分部122)
区分部122は、火炎領域抽出部11にて抽出した火炎領域を、複数の部分領域に区分する処理(色クラスタリング処理)を行う。複数の部分領域は、それぞれが区分に応じた所定の範囲内の画素値を有する画素からなる領域である。
例えば、画素値が取り得る値の範囲(例えば0~255)に、15~20の区分を設定しておいてもよい。なお、設定しておく上記区分をクラスタとも呼ぶ。この場合、区分部122は、火炎領域に含まれる画素のそれぞれについて、その画素が何れのクラスタに属するかを判定する。そして、区分部122は、同じクラスタに属する画素からなる連続領域を1つの部分領域として区分する処理を、各クラスタについて行うことにより、火炎領域を複数の部分領域に区分する。
なお、画素値の範囲は特に限定されず、クラスタの数も特に限定されない。また、各クラスタの画素値の範囲は、予め決めておいてもよいし、画像毎に決定してもよい。後者の場合、区分部122は、例えば対象となる火炎領域全体における画素値の範囲を特定し、その範囲の画素値が所定数のクラスタに分類できるように、各クラスタの画素値の範囲を決定してもよい。この処理には、例えばk平均法のようなクラスタリングアルゴリズムを利用することもできるし、教師なしの機械学習モデルを利用することもできる。
図6は、区分部122による区分結果の例を示す図である。図6では、複数の部分領域の具体例として、部分領域A101~A103を示している。部分領域A101~A103はそれぞれ異なるクラスタに対応しており、各クラスタに応じた範囲内の画素値を有する画素からなる領域である。
ここで、炎は、炎心部分は光輝が弱い等のように、その部分に応じて色味が異なっており、炎の基部も外炎とは色味(撮像画像における画素値)が異なっている。このため、区分部122の区分により規定された部分領域には、炎の基部に応じた画素値の範囲のクラスタに対応する部分領域が含まれる。例えば、図6の例では、部分領域A101、A102よりもやや暗い(画素値の低い)部分領域A103が、基部の領域に対応している。
(差異検出部の検出結果と区分部の区分に基づく基部の特定)
以上のように、差異検出部121は、火炎領域の時系列変化を検出し、区分部122は火炎領域を複数の部分領域に区分する。そして、基部特定部12は、区分部122による区分と、差異検出部121が検出した火炎領域の時系列変化とに基づいて、火炎の基部を特定する。
例えば、基部特定部12は、区分部122が、炎の基部に応じた画素値の範囲のクラスタに対応すると区分した部分領域のうち、差異検出部121が検出した、画素値の時系列変化の程度が閾値以下の領域を、火炎の基部の領域であると特定してもよい。図7は、基部特定部12による特定結果の一例を示す図であり、(a)は外炎領域の特定結果を示し、(b)は基部の領域の特定結果を示している。また、図7の(c)には基部の領域の特定結果に基づく燃焼領域および未燃領域の特定結果を示している。図7の(c)については、燃焼状況情報生成部15と共に後述する。
図7の(b)において、領域F0等の白色の画素からなる領域は基部に対応している。そして、図7の(a)は、図3の(b)と図7の(b)の差分画像であり、白色の領域F1は外炎領域である。このように、基部特定部12は、下流側の炎や煙などによって覆い隠されることがある上流側の基部を含めて、燃焼室内の各所に位置する基部を特定することができる。
なお、基部特定部12は、区分部122が、炎の基部に応じた画素値の範囲のクラスタに対応すると区分した部分領域を火炎の基部の領域であると特定すると共に、差異検出部121が検出した、画素値の時系列変化の程度が閾値以下の領域についても火炎の基部の領域であると特定してもよい。また、基部特定部12は、差異検出部121と区分部122の何れかのみを含んでいてもよい。
(燃切位置検出部13)
燃切位置検出部13は、燃焼室内におけるゴミの燃え切り位置を検出する。燃切位置検出部13は、例えば、火炎領域抽出部11が火炎領域として抽出した領域と、背景領域A2との境界のうち、最も下流側の位置を燃え切り位置であるとして検出してもよい。また、燃切位置検出部13は、例えば、燃焼室内を撮像した図3の(a)のような画像における画素値を、ゴミの搬送方向の下流側から上流側に向けて一列ずつ確認してゆき、画素値が閾値以上の画素が検出された位置を、燃え切り位置であるとして検出してもよい。このように、燃え切り位置の検出手法は特に限定されない。
(位置変換処理部14)
ところで、基部特定部12は、図2の(a)に示したように、燃焼室を斜め下方に見下ろす画角で撮像された画像から基部を特定する。このため、基部特定部12が特定した、上記画像における各基部の位置関係は、実際の燃焼室内における基部の位置関係とは異なるものとなる。例えば、図2の(a)の例では、火格子9における3段目(最下流の段)の炎の基部と、2段目の左下の炎の基部とは極めて位置が近い領域として特定されるが、実際には火格子9を一段挟んだ離れた位置となっている。
そこで、位置変換処理部14は、基部特定部12が特定した火炎の基部が、燃焼室の何れの位置に存在するかを特定する。具体的には、位置変換処理部14は、撮像画像から基部特定部12が特定した火炎の基部の領域に含まれる各画素の座標を、炉内実位置対応情報21を用いて燃焼室内の位置を示す座標に変換する。つまり、炉内実位置対応情報21は、撮像画像における座標と、燃焼室内の位置を示す座標との対応関係を示す情報である。また、位置変換処理部14は、同様にして燃切位置検出部13が検出した燃え切り位置の座標を、燃焼室内の位置を示す座標に変換する。なお、火格子9の上面は図2の(b)に示すように長方形状であり、撮像画像において火格子9の上面は上底が下底より短い等脚台形状に写る。よって、位置変換処理部14は、この性質を利用して、撮像画像上の座標を燃焼室内の位置を示す座標に変換することができる。
なお、炎の基部は、火格子9上のゴミとそのゴミから生じた炎との境界付近に位置しているため、厳密には火格子9よりゴミの高さ(厚さ)分だけ鉛直上方に位置することになる。このため、位置変換処理部14は、ゴミの高さを考慮して、火炎の基部が燃焼室の何れの位置に存在するかを特定してもよい。
このような特定は、例えば火格子9上の各所におけるゴミの高さの実測値に基づいて行うこともできるし、ゴミの高さの予測値に基づいて行うこともできる。予測値に基づいて行う場合、例えば火格子9へのゴミの供給(給じん)速度と、火格子9上の各所におけるゴミの高さの対応関係を定式化しておいてもよい。これにより、現在のゴミの供給速度から、火格子9上の各所におけるゴミの高さの予測値を算出することができる。
(燃焼状況情報生成部15)
燃焼状況情報生成部15は、燃焼室内におけるゴミの燃焼状況を示す燃焼状況情報を生成する。具体的には、燃焼状況情報生成部15は、基部特定部12が特定した基部の位置に基づいて、燃焼室内において、ゴミが燃焼している燃焼領域と、燃焼していない未燃領域とを特定し、それら特定結果を示す燃焼状況情報を生成する。
燃焼領域と未燃領域の特定方法について、図7の(c)に基づいて説明する。ここで、基部は火炎の根本部分であるから、炎は基部を中心に広がる。このため、基部の位置にあるゴミは燃焼している可能性が高いといえ、基部から離れるほどその可能性は低くなるといえる。
そこで、燃焼状況情報生成部15は、基部特定部12が特定した基部の位置(領域)を最も燃焼している可能性が高い第1領域であると特定する。また、燃焼状況情報生成部15は、第1領域から所定距離以内の領域を、第1領域の次に燃焼している可能性が高い第2領域であると特定する。同様にして、燃焼状況情報生成部15は、第3領域以降も順次特定する。そして、燃焼状況情報生成部15は、特定した領域のうち、第1領域および第1領域に近い所定数の領域を燃焼領域とし、それ以降の領域を未燃領域とする。なお、領域の特定は、位置変換処理部14による変換後の基部の位置に基づいて行う。また、各領域の範囲、特定する領域数、および何れの領域を燃焼領域として何れの領域を未燃領域とするかは特に限定されない。
図7の(c)には、以上のようにして特定した燃焼領域と未燃領域の例を示している。同図では、基部F0を中心とした燃焼領域が描かれていると共に、他の基部を中心とした燃焼領域も描かれており、番号が同一の領域が1つの領域として統合されることにより、燃焼している可能性が等高線状に示されている。
また、未燃領域F5についても同様に等高線状に示されている。図示のように、基部F0を含めた全ての基部の何れからも所定距離以上離れた領域が未燃領域F5となる。さらに、図7の(c)では、ゴミ流れ方向の最上流の位置を0とし、そこから下流に400cmまでの燃焼状況を示しているが、この400cmが、燃切位置検出部13が検出した燃え切り位置を位置変換処理部14が変換した位置である。燃焼状況情報生成部15は、この変換後の燃え切り位置についても燃焼状況情報に含めてもよい。
このように、基部を基準として未燃領域を特定することにより、撮像画像に写る炎や煙の奥側にある未燃領域を特定することができる。例えば、図2の(a)の例では、火格子9における2段目右半分の領域は火炎Fで覆われており、この領域のゴミは全て燃えているように見える。しかし、図2の(b)に示すように、火格子9における2段目右半分の領域のうち、上流側の部分には炎の基部が検出されておらず、この部分は未燃領域であると推察される。燃焼状況情報生成部15によれば、基部を基準として未燃領域を特定するので、上記の部分を未燃領域であると正しく特定することができる。
また、燃焼状況情報生成部15の特定結果、すなわち燃焼状況情報を用いることにより、図7の(c)に示すような、燃焼室内の各部における燃焼状況を一目で認識できるような画像を生成することも可能になる。そして、このような画像を例えば表示装置4に表示させることにより、ゴミ焼却設備のオペレータ等に、ゴミの燃焼状況を容易に認識させることができる。なお、上記画像の生成は、燃焼状況情報生成部15が行ってもよいし、表示装置4等の他の装置が行ってもよい。
また、燃焼状況情報生成部15は、生成した燃焼状況情報を焼却制御装置3に送信する。これにより、焼却制御装置3の焼却制御部31は、現状の燃焼室内におけるゴミの燃焼領域、未燃領域、および燃え切り位置を特定することができるので、それらを理想燃焼パターン321が示す状態に近付けるための適切な制御を行うことができる。
(処理の流れ)
次に、情報処理装置1Aが実行する処理(情報処理方法)の流れについて、図8を用いて以下に説明する。図8は、情報処理装置1Aが実行する処理の全体の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、先ず、火炎領域抽出部11は、カメラ2が撮像した動画像から、ゴミ焼却炉の燃焼室内を撮像した複数枚の画像(時系列の画像)を取得する(S11)。次いで、火炎領域抽出部11は、上記S11にて取得した画像から火炎領域を抽出する(S12:火炎領域抽出ステップ)。火炎領域抽出部11は、火炎領域を抽出する処理を複数枚の画像のそれぞれについて行う。
次いで、基部特定部12は、上記S12にて抽出された火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分を火炎の基部と特定する(S13:基部特定ステップ)。上述のように、この特定は、区分部122による区分と、差異検出部121が検出する火炎領域の時系列変化とに基づいて行われる。差異検出部121および区分部122の処理は、何れも火炎領域の特徴を抽出する処理であるともいえる。
次いで、燃切位置検出部13は、燃え切り位置を検出する(S14)。そして、位置変換処理部14は、S13で特定された基部の位置を、燃焼室内の実位置に変換する。また、位置変換処理部14は、S14で検出された燃え切り位置についても燃焼室内の実位置に変換する(S15)。
そして、燃焼状況情報生成部15は、上記S15にて変換後の基部の位置に基づいて燃焼領域と未燃領域を特定し、それらの特定結果と、上記S15にて変換後の燃え切り位置とを含む燃焼状況情報を生成する(S16)。
最後に、燃焼状況情報生成部15は、S16で生成した燃焼状況情報を焼却制御装置3に送信し、焼却制御装置3の焼却制御部31は、燃焼状況情報生成部15から受信した燃焼状況情報と、理想燃焼パターン321とに基づいてゴミの焼却制御を行う(S17)。
(実施形態1のまとめ)
以上のように、情報処理装置1Aは、ゴミ焼却炉内を時系列で撮像した複数の撮像画像のそれぞれから火炎の像が写る火炎領域を抽出する火炎領域抽出部11を備えている。また、情報処理装置1Aは、火炎領域抽出部11が抽出した火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分を火炎の基部と特定する基部特定部12を備えている。基部の位置は、炎の他の部分と比べて、ゴミ焼却炉内の気流の影響があっても変動しにくい。そのため、上記の構成によって火炎領域のうち何れの部分が基部であるかを特定することにより、ゴミの燃焼位置を正確に検出することが可能になり、ひいてはゴミの燃焼状況を正確に特定して、適切な燃焼制御を行うことが可能になる。
また、区分部122は、火炎領域抽出部11が抽出した火炎領域を、それぞれが区分に応じた所定の範囲内の画素値を有する画素からなる複数の部分領域に区分する。そして、基部特定部12は、区分部122による区分と、火炎領域の時系列変化とに基づいて、基部を特定する。これにより、火炎の時系列変化の情報に加えて、火炎領域を複数の部分領域に区分した結果の情報に基づいて火炎の基部を特定することができる。そのため、ゴミ焼却炉内におけるゴミの燃焼位置をより一層正確に検出することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図9および図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3以降も同様である。
燃焼室内を撮像した画像には、ゴミから発生した煙などの有色気体の像や、火格子9の動作や燃焼空気の吹き込み等によって飛散した焼却灰等の燃焼室内を浮遊する微粒子の像が炎の像に重なって写るため、火炎領域を精度よく抽出することが難しい場合がある。そこで、本実施形態の情報処理装置1Bは、上記のような場合にも、火炎領域を正確に抽出することを可能にするため、前処理部17によって、燃焼室内を撮像した画像に対して所定の前処理を行う。本実施形態の火炎領域抽出部11は、この前処理後の画像から火炎領域を抽出するので、上記のような場合にも、火炎領域を正確に抽出することができる。
図9は、本実施形態における情報処理装置1Bおよび関連する装置の要部構成を示すブロック図である。情報処理装置1Bは、情報処理装置1Aと比べて、制御部10Aの代わりに制御部10Bを備えている点で相違している。制御部10Bには、制御部10Aの各部に加えて、前処理部17と画像切替部18が含まれている。
前処理部17は、燃焼室内を撮像した画像における火炎の像を強調する処理を行う。そして、火炎領域抽出部11は、前処理部17による前処理後の画像から火炎領域を抽出する。これにより、煙や飛灰の像を含む画像から火炎領域を精度よく抽出することが可能になる。前処理の例については図10に基づいて後述する。
なお、前処理部17は、前処理として、火炎の像を強調する処理の代わりに、あるいは該処理と共に、燃焼室内を撮像した画像から煙や飛灰の像を除去する処理を行ってもよい。例えば、前処理部17は、煙や飛灰の像が所定範囲の色(グレー系統の色)となることに基づき、前処理の対象である画像から当該所定範囲の色となっている画素を検出し、検出した画素の画素値を補正することにより、煙や飛灰の像を除去してもよい。
これにより、情報処理装置1Bは、カメラ2にて撮像した画像における有色気体や浮遊微粒子の像の影響を低減することができ、火炎領域の抽出を正確に行うことができる。また、抽出した火炎領域に基づいて行う基部特定部12等の処理についても、正確性を向上させることができる。
画像切替部18は、火炎領域抽出部11に供給する画像を、前処理部17による前処理後の画像と、前処理部17による前処理が行われていない画像とで切り替える。このため、図9に示すように、画像切替部18にはカメラ2で撮像された画像が入力されると共に、カメラ2で撮像された画像が前処理部17で前処理された画像も入力される。
ここで、煙や飛灰の発生量は、ゴミ焼却炉がどのような運転条件で運転されているかに依存する。このため、画像切替部18は、煙や飛灰の発生量が相対的に多い運転条件でゴミ焼却炉が運転されている期間には、前処理部17による前処理後の画像を火炎領域抽出部11に供給する。一方、画像切替部18は、煙や飛灰の発生量が相対的に少ない運転条件でゴミ焼却炉が運転されている期間には、前処理部17による前処理が行われていない画像を火炎領域抽出部11に供給する。
その結果、火炎領域抽出部11は、ゴミ焼却炉が、煙や飛灰の発生量が相対的に少ない運転条件で運転されている期間には、前処理部17による前処理が行われていない画像から火炎領域を抽出することになる。一方、火炎領域抽出部11は、ゴミ焼却炉が、煙や飛灰の発生量が相対的に多い運転条件で運転されている期間には、前処理部17による前処理後の画像から火炎領域を抽出することになる。これにより、煙や飛灰の発生量が相対的に多い状況であっても、煙や飛灰の発生量が相対的に少ない状況と同様に、火炎領域を精度よく抽出することができる。
なお、画像切替部18は、煙や飛灰の発生量が相対的に多い運転条件で運転されているか否かを、焼却制御装置3と通信することによって特定してもよい。例えば、焼却制御装置3が燃焼空気の燃焼室への供給量を増加させる制御を行った場合、飛灰の飛散量が多くなる。このため、画像切替部18は、焼却制御装置3と通信して、燃焼空気の燃焼室への供給量を増加させる制御が行われたことを検出し、該検出後の所定期間は前処理後の画像を火炎領域抽出部11に供給してもよい。また、前処理部17は、焼却制御装置3と通信して、燃焼空気の燃焼室への供給量を減少させる制御が行われたことを検出し、該検出後の所定期間は前処理が行われていない画像を火炎領域抽出部11に供給してもよい。この他にも、画像切替部18は、例えば火格子9による搬送速度を増加させる制御等のように、煙や飛灰の発生量に影響を与える制御の検出を契機として、前処理後の画像を供給するか、前処理を行っていない画像を供給するかを切り替えてもよい。
また、画像切替部18を設ける代わりに、前処理部17が、前処理の必要性が高いときには前処理を行い、前処理の必要性が低いときには前処理を行う構成としてもよい。これにより、処理の負荷を必要最小限に抑えた効率的な前処理が実現される。
(処理の流れ)
前処理部17が行う処理の一例について、図10を用いて以下に説明する。図10は、撮像画像における火炎の像を強調する処理の例を示すフローチャートである。先ず、前処理部17は、燃焼室内を撮像した画像に含まれる各画素のRGB値をそれぞれHSV(Hue:色相、Saturation:彩度、Value:明度)値に変換する(S21)。続いて、前処理部17は、上記S21の変換後の画像のホワイトバランスを調整したHB調整画像を生成すると共に、上記S21の変換後の画像のコントラストを調整したC調整画像を生成する(S22)。そして、前処理部17は、S22で生成したHB調整画像とC調整画像に対してエッジ処理を施す(S23)。これにより、火炎の像が強調された画像が得られる。
最後に、前処理部17は、上記S23にて得た画像のHSV値をRGB値に変換する(S24)。ホワイトバランスの調整により、撮像画像に不規則に色調が乱れた部分が含まれていても、そのような乱れの影響を抑えることができる。また、コントラストの調整により、火炎とその背景領域との境界を鮮明化することができる。よって、以上の処理によれば、火炎の像が強調された画像を生成することができる。
なお、S21ではRGB値をYUV値に変換してもよい。この場合、S22およびS23の処理の代わりに、S21の変換で得られたV要素(色度)を強調すると共に、Y要素(輝度)を調整する処理を実行する。そして、S24ではYUV値をRGB値に変換する。煙や飛灰の像が重なっていない場合の炎の像は、高輝度で赤系統の色味を有しているから、RGBのR値と輝度値との差であるV要素を強調し、Y要素を調整することにより、火炎の像が強調された画像を生成することができる。
〔実施形態3〕
本実施形態の情報処理装置1Cの概要を図11に基づいて説明する。図11は、情報処理装置1Cが備える制御部10Cの要部構成の一例を示すブロック図である。制御部10Cには、積分画像生成部51、基部特定部12C、燃切位置検出部13C、火格子位置検出部52、位置変換処理部14C、および燃焼状況情報生成部15が含まれている。
積分画像生成部51は、ゴミ焼却炉内、より詳細には燃焼室内を時系列で撮像した複数の撮像画像を所定時間毎に積分することによって積分画像を生成する。詳細は後述するが、撮像画像の積分は、時系列で撮像された複数の撮像画像における対応する位置のピクセルの画素値の差分を算出し、その差分を積分することによって行われる。例えば、積分画像における各ピクセルの画素値は、下記の数式で表される。なお、下記の数式におけるA(t)は、時刻tにおける画素値を示し、A(t+1)は、時刻t+1における画素値を示す。
図12は、積分画像の生成例を示す図である。図12では、同図の(a)に示す時系列の複数の撮像画像の差分を算出し、算出した差分の値を積分することにより、同図の(b)に示す積分画像を生成した例を示している。より詳細には、同図の(b)の積分画像は、60秒間に撮像された動画像から1秒ごとに抽出した計60枚のフレーム画像から生成されたものである。時系列の複数の撮像画像の差分を算出することにより、撮像画像における時系列で変化している部分を抽出することができ、この差分の値を積分することにより抽出された部分の変化を強調することができる。なお、このような積分画像の生成方法については、図15に基づいて後述する。
焼却炉内では、火格子が動いていると共に、火格子上のゴミが動いており、また、ゴミから上がる炎や煙も動いている。よって、図12の(b)に示すように、積分画像においては、火格子C1が階段状に表れると共に、火炎領域C2およびC3も表れる。なお、カラーの撮像画像を用いて積分画像を生成した場合、火炎領域C2およびC3と背景領域の色が異なる。典型的な例では、背景領域は黒または灰色の領域となり、火炎領域C2およびC3は赤や青の領域となる。このため、積分画像においては、火炎領域C2およびC3と背景領域とが明瞭に区別可能となっている。つまり、積分画像生成部51は、火炎領域抽出部11の機能である火炎領域を抽出する機能も有している。
なお、積分画像から、火格子C1が階段状に並ぶ領域(図中、破線の台形で囲んだ領域)が後燃焼段であることも特定可能である。この図から明らかなように、図12の(a)の撮像画像は焼却炉の最下流側から、後燃焼段の正面に撮像装置を向けて撮像されたものである。また、図12の(b)における領域C5は灰になったゴミが存在する領域であり、領域C6は灰にならずに残った未燃ゴミあるいは不燃物が存在する領域である。積分画像を解析することにより、このような領域も抽出することができる。なお、未燃ゴミや不燃物は、火炎領域中であっても検出可能である。
未燃ゴミが存在する領域が抽出された場合、位置変換処理部14Cは、燃焼室内における当該領域の位置と範囲を特定してもよい。そして、燃焼状況情報生成部15は、未燃ゴミの位置と範囲を示す燃焼状況情報を生成して焼却制御装置3に送信してもよい。これにより、焼却制御装置3の焼却制御部31は、未燃ゴミの位置と範囲に基づく焼却制御を行うことができる。例えば、焼却制御部31は、火炎領域中に所定サイズ以上の未燃ゴミ領域が存在している場合に、火格子9の搬送速度を低下させる制御や空気の供給量を増やす等の制御を行い、当該未燃ゴミの燃焼を促進させてもよい。また、例えば、焼却制御部31は、火格子9の最終段である後燃焼火格子上に未燃ゴミ領域が存在している場合に、後燃焼用の空気を増量する制御を行い、未燃ゴミを燃焼させてもよい。
基部特定部12Cは、上記積分画像における火炎領域C2およびC3のうち時系列変化が相対的に少ない部分を火炎の基部と特定する。積分画像においては、火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分と、多い部分とが色の差として表れるため、基部特定部12Cは、積分画像における、色が所定範囲内である部分を火炎の基部と特定してもよい。例えば、火炎領域のうち、時系列変化が相対的に少ない部分が赤、相対的に多い部分が青となっている場合、基部特定部12Cは、赤色成分(R値)が閾値以上となっている画素で構成される領域(図12の(b)における領域C4等)を火炎の基部と特定してもよい。
このようにして特定した基部の位置を基準として、図7の(c)と同様にして燃焼領域と未燃領域を特定した結果を図13に示している。図13における領域C11やC12等が、燃焼領域である可能性が高い領域であり、このような領域の中心が基部特定部12Cによって特定された基部である。
基部特定部12Cは、上記の積分画像について、図5に基づいて説明した動きベクトルを算出してもよい。この場合、基部特定部12Cは、算出した動きベクトルの大きさが比較的小さいブロックからなる領域を、基部の領域と特定すればよい。積分画像では、ベクトル化処理に必要であるが、火炎に埋もれがちである流動物体の特徴点が抽出されているから、積分画像はベクトル化がしやすい。このため、積分画像から算出した動きベクトルを用いることにより、基部の領域を高精度に特定することができる。
このように、情報処理装置1Cでは、時系列の複数の撮像画像を所定時間毎に積分して積分画像を生成する積分画像生成部51を備え、基部特定部12Cは、積分画像から火炎の基部を特定する。積分により、所定時間において撮像画像に生じた変化のうち、炎の像の揺らぎなどのランダムに生じる微細な変化の影響を軽減することができる。よって、積分画像から炎の基部を特定する上記の構成によれば、炎の奥側に写った基部についても高精度に特定することが可能になる。
また、上述した積分画像は、時系列で撮像された複数の撮像画像における対応する位置のピクセルの画素値の差分を算出し、その差分を積分することによって生成された画像である。このような積分画像では、撮像画像における時系列で変化している部分が強調されているので、炎の基部を精度よく特定することができる。
また、燃焼室内を撮像すると、火炎の明るさに合わせてカメラ2の感度が調整されるため、撮像画像では、火炎領域の輝度が大きくなる一方で、炎が上がっていない後燃焼火格子等の領域はほとんど黒つぶれしてしまう。しかし、このような領域は、時系列で揺らぎが生じる火炎の輻射光により変動的に照らされて画素値が時系列で変化するため、上述した積分画像では鮮明化される。一方、火炎の輻射光の死角になるような領域(例えば、窪んでいる部分や火格子先端部分等)は、画素値の時系列変化もほとんどなく、積分画像においても暗い領域となる。よって、積分画像では、火炎の輻射光の死角になるような領域と、火炎の輻射光が当たる領域との境界が明瞭化される。これにより、積分画像では、火格子9の動きに伴ってゆっくりと動く焼却灰、不燃物、および未燃物等が鮮明に表れる。
なお、画素値のみならずピクセルの明るさを示す数値についても、時系列で撮像された複数の撮像画像における差分を算出し、その差分を積分してもよい。このようにして算出された積分値を用いることにより、撮像画像ではほとんど暗部になって輪郭が見えづらい領域を、明るく輪郭が鮮明な画像を生成することができる。
このように、積分画像では、撮像画像における暗い領域が明るく鮮明になっているので、上述したように、積分画像から未燃ゴミが存在する領域等を検出することが可能である。そして、その検出結果を利用することにより、ゴミが完全に燃焼しているかを判定すること等も可能になる。また、ゴミが完全に燃焼するように制御することにより、不燃物や未燃ゴミが焼却灰の排出口に詰まる等のトラブルを未然に防ぐことも可能になる。この他にも、例えば、積分画像を解析することにより、燃焼室内の壁部へのクリンカーの付着状態等も判定することができる。クリンカーの付着状態は、火格子9の間を吹き抜ける燃焼空気の流れに影響されるため、クリンカーの付着状態を判定することにより、燃焼空気の流れを把握することが可能になる。
燃切位置検出部13Cは、積分画像生成部51が生成した積分画像から、燃焼室内におけるゴミの燃え切り位置を検出する。具体的には、燃切位置検出部13Cは、積分画像において基部特定部12Cが特定した基部のうち、ゴミの搬送方向の最下流に位置する基部における下流側端部の位置を燃え切り位置として検出する。例えば、図12の(b)の例では、積分画像から燃え切り位置L1が検出されている。
火格子位置検出部52は、燃焼室内における火格子の位置を検出する。火格子の位置の検出方法は特に限定されず、例えば、火格子位置検出部52は、火格子の動きを検知するセンサの出力値から火格子の位置を検出してもよい。
なお、基部特定部12Cは、火格子位置検出部52が検出した火格子の位置に基づいて火炎の基部の位置を特定してもよい。火炎の基部は、火格子上にあって、火格子と連動して動く。このため、基部特定部12Cは、火炎領域のうち、火格子位置検出部52が検出した火格子の位置と連動して動き、かつ、時系列変化が相対的に少ない部分を特定することにより、火炎の基部の位置をより正確に特定することができる。
また、火格子上のゴミも火炎の基部と同様に火格子と連動して動くが、ゴミが火格子上に高く積み重なっている場合、上層のゴミの動きは火格子の動きと比べて緩慢になる。このため、情報処理装置1Cは、火格子の上部に位置しており、火格子の動きと連動して動くが、その動きが火格子より緩慢な領域を、ゴミ塊が位置する領域(ゴミが高く積み重なっている領域)であると特定することもできる。
位置変換処理部14Cは、上記各実施形態と同様に、基部特定部12Cが特定した火炎の基部が、燃焼室の何れの位置に存在するかを特定する。また、位置変換処理部14Cは、燃切位置検出部13Cが検出した燃え切り位置が、燃焼室の何れの位置に存在するかを特定する。さらに、位置変換処理部14Cは、火格子位置検出部52が検出した火格子の位置が、燃焼室の何れの位置に存在するかを特定する。
〔積分画像の生成方法の例〕
積分画像の生成方法の例について図14に基づいて説明する。図14は、積分画像の生成方法の一例を説明する図である。図14の例では、積分画像生成部51は、同図の(a)に示すように、撮像画像の1つのピクセルについて、そのピクセルの画素値と、そのピクセルに隣接する8つのピクセルの画素値との差分を算出する。そして、積分画像生成部51は、時系列で撮像した複数の撮像画像のそれぞれについて算出した差分を積分することによって積分画像を生成する。以下、積分画像を生成する処理の流れを図14の(b)に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、積分画像生成部51は、積分画像の生成に用いる複数の撮像画像を取得して初期化処理を行う(S51)。初期化処理の内容は特に限定されず、例えば、積分画像生成部51は、撮像画像の正規化処理、撮像画像の欠損値を補間する処理、および撮像画像の外れ値を除去する処理の少なくとも何れかを行ってもよい。続いて、積分画像生成部51は、複数の上記撮像画像の中から1つの撮像画像を選択し、その撮像画像を構成する各ピクセルの画素値を、R、G、Bの3つのチャンネルに分離する(S52)。
次に、積分画像生成部51は、チャンネル分離した上記撮像画像を構成するピクセルについて、当該ピクセルの画素値と、当該ピクセルの周囲に位置するピクセルの画素値との差分を算出する(S53)。なお、この差分は、R、G、Bのチャンネル毎に算出する。
例えば、図14の(a)の例では、ピクセルAの周囲にピクセルB~Iが位置している。ピクセルB~Iは、ピクセルAと隣接するピクセルである。この場合、積分画像生成部51は、ピクセルAの画素値のうちR成分の値と、ピクセルB~Iの画素値のうちR成分の値との差分をそれぞれ算出する。そして、積分画像生成部51は、算出した差分の和を、ピクセルAの画素値のR成分の値とする。同様にして、積分画像生成部51は、ピクセルAの画素値のG成分およびB成分の値を算出する。
続くS54では、積分画像生成部51は、撮像画像の全てのピクセルのスキャンが完了したか否かを判定し、完了していなければ(S54でNO)、S52の処理に戻り、完了していれば(S54でYES)、S55の処理に進む。つまり、積分画像生成部51は、S52~53の処理を、1つの撮像画像を構成する各ピクセルについて行う。そして、積分画像生成部51は、複数の上記撮像画像の全てについて、それらの撮像画像を構成する各ピクセルのR、G、B各成分の値を算出し終えた段階で、スキャン完了と判定する。
最後に、積分画像生成部51は、複数の上記撮像画像のR、G、B各成分の値をそれぞれ積分し(S55)、積分後のR、G、B各成分の値を1つの画素値に合成する(S56)。以上の処理により、積分画像が生成される。S55で行われる積分は、下記のような数式で表される。下記の数式において、Xは、ピクセルB~Iの画素値である。
なお、ピクセルのR、G、B各成分の値とそのピクセルに隣接する各ピクセルのR、G、B各成分の値との差分を算出する代わりに、ピクセルのR、G、B各成分の値と、そのピクセルに隣接する各ピクセルのR、G、B各成分の値の平均値との差分を算出してもよい。例えば、図14の(a)の例では、ピクセルAのR、G、B各成分の値と、ピクセルB~IのR、G、B各成分の値の平均値との差分をそれぞれ算出してもよい。
〔積分画像の生成方法の他の例〕
積分画像の生成方法の他の例について説明する。具体的には、以下では時系列の複数の撮像画像の差分を算出し、算出した差分の値を積分することにより積分画像を生成する例を説明する。図12の(b)のような積分画像は、この方法により生成することができる。
図15は、積分画像の生成方法の他の例を説明する図である。より詳細には、図15には、時刻t1に撮像された撮像画像と、時刻t2に撮像された撮像画像との差分を算出する例を示している。なお、t1<t2であり、時刻t1における撮像の次に、時刻t2での撮像が行われたものとする。
時刻t1に撮像された撮像画像には、ピクセルA(t1)と、ピクセルA(t1)に隣接するピクセルB(t1)~I(t1)が含まれている。また、時刻t2に撮像された撮像画像には、ピクセルA(t2)と、ピクセルA(t2)に隣接するピクセルB(t2)~I(t2)が含まれている。ピクセルA(t1)~I(t1)は、ピクセルA(t2)~I(t2)と対応している。
このような撮像画像について、積分画像生成部51は、ピクセルA(t1)のR、G、B各成分の値と、ピクセルB(t2)~I(t2)のR、G、B各成分の値との差分をそれぞれ算出してもよい。そして、積分画像生成部51は、算出した差分の和をピクセルA(t1~t2)のR、G、B各成分の値としてもよい。
また、例えば、積分画像生成部51は、ピクセルA(t1)のR、G、B各成分の値と、ピクセルB(t2)~I(t2)のR、G、B各成分の値の平均値との差分をそれぞれ算出してもよい。そして、積分画像生成部51は、算出した差分をピクセルA(t1~t2)のR、G、B各成分の値としてもよい。
この他にも、例えば、積分画像生成部51は、ピクセルA(t1)のR、G、B各成分の値と、ピクセルA(t2)のR、G、B各成分の値の平均値との差分をそれぞれ算出してもよい。そして、積分画像生成部51は、算出した差分をピクセルA(t1~t2)のR、G、B各成分の値としてもよい。
以上のようにしてピクセルA(t1~t2)のR、G、B各成分の値を算出する処理は、時刻t1に撮像された撮像画像と、時刻t2に撮像された撮像画像を構成する各ピクセルについて行われる。そして、これらの処理は、時系列の複数の撮像画像のそれぞれについて行われる。その後、積分画像生成部51は、図14の(b)のS55~S56の処理により、積分画像を生成する。なお、S55で行われる積分は、下記のような数式で表される。下記の数式において、Xは、ピクセルB~Iの画素値である。
〔積分画像の生成方法の他の例2〕
図14の例では、撮像画像におけるピクセルについて、そのピクセルの画素値と、そのピクセルに対して8方向に隣接する各ピクセルの画素値との差分を算出しているが、差分算出の対象とするピクセルはこの例に限られない。例えば、あるピクセルに対して、上下左右の4方向に隣接する各ピクセルとの差分を算出してもよい。
また、算出した差分は、そのまま加算して和を算出してもよいし、重み付けを行った上で加算して和を算出してもよい。例えば、撮像画像における上下方向の差分を強調したい場合、上下方向の差分値に対して、左右方向等の他の方向の差分値より大きい重みを乗じた上で、差分の和を算出してもよい。
また、上述の各例では、RGB色空間において差分の算出と積分を行う例を示したが、これらの演算は他の色空間(例えばHSV色空間やHLS:Hue, Lightness/Luminance, Saturation色空間)で行ってもよい。この他にも、例えば、コントラスト強調あるいはエッジ強調等の画像の鮮明化手法を適用して差分を強調した上で積分画像を生成してもよい。また、差分を算出することなく、時系列で撮像した複数の撮像画像を所定時間毎に積分することによって生成した積分画像を用いて、火炎の基部等の検出を行うことも可能である。
〔情報処理装置の他の例〕
ゴミ焼却炉内を撮像した撮像画像から火炎の像が写る火炎領域を抽出する火炎領域抽出部11と、火炎領域抽出部11が抽出した火炎領域を、所定の範囲内の画素値を有する画素が連続して存在する領域毎に、複数の部分に区分する区分部122と、区分部122が区分した複数の部分のうち所定の色に相当する部分を、火炎の基部と特定する基部特定部12と、を備えた情報処理装置も本発明の範疇に含まれる。つまり、火炎領域の時系列変化を考慮することなく基部を特定してもよい。この構成によっても、基部の特定結果に基づいてゴミの燃焼位置を正確に検出することが可能になり、ひいてはゴミの燃焼状況を正確に特定して、適切な燃焼制御を行うことが可能になる。
〔システム構成の他の例〕
上記各実施形態では、情報処理装置1A~1Cが燃焼状況を特定して、その特定結果に基づいて焼却制御装置3が燃焼制御を行う例を説明したが、この例に限られない。例えば、焼却制御装置3に情報処理装置1A~1Cの機能を持たせてもよい。この場合、焼却制御装置3は、情報処理装置1A~1Cの機能に加えて、基部特定部12または12Cが特定した基部の位置に基づいてゴミ焼却炉の運転を制御する焼却制御部31を備えた構成となる。このような焼却制御装置3であれば、基部の特定結果に基づいて適切な燃焼制御を行うことが可能になる。
また、例えば、情報処理装置1A~1Cが有する機能の一部を、情報処理装置1A~1Cと通信可能に接続された外部装置に実行させてもよい。このような構成であっても、情報処理装置1A~1Cと同様の機能を実現することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1A~1Cの制御ブロック(特に制御部10A~10C)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、情報処理装置1A~1Cは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔付記事項〕
以上のように、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、ゴミ焼却炉内を時系列で撮像した複数の撮像画像のそれぞれから火炎の像が写る火炎領域を抽出する火炎領域抽出部と、上記火炎領域抽出部が抽出した上記火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分を上記火炎の基部と特定する基部特定部と、を備えている。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、上記火炎領域抽出部が抽出した上記火炎領域を、それぞれが区分に応じた所定の範囲内の画素値を有する画素からなる複数の部分領域に区分する区分部をさらに備え、上記基部特定部は、上記区分部による区分と、上記火炎領域の時系列変化とに基づいて、上記火炎の基部を特定してもよい。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、上記撮像画像から、上記ゴミ焼却炉内を浮遊する微粒子および有色気体の像を除去する処理、および上記撮像画像における火炎の像を強調する処理のうち少なくともいずれかの処理を行う前処理部をさらに備え、上記火炎領域抽出部は、上記前処理部による処理後の画像から上記火炎領域を抽出してもよい。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置では、上記火炎領域抽出部は、上記ゴミ焼却炉が、上記微粒子の浮遊量および上記有色気体の発生量が相対的に少ない運転条件で運転されている期間には上記前処理部による処理が行われていない上記撮像画像から上記火炎領域を抽出し、上記ゴミ焼却炉が、上記微粒子の浮遊量および上記有色気体の発生量が相対的に多い運転条件で運転されている期間には上記前処理部による処理後の上記撮像画像から上記火炎領域を抽出してもよい。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、上記基部特定部が特定した上記火炎の基部が、上記ゴミ焼却炉の何れの位置に存在するかを特定する位置特定部をさらに備えていてもよい。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、複数の上記撮像画像を所定時間毎に積分して積分画像を生成する積分画像生成部を備え、上記基部特定部は、上記積分画像から上記火炎の基部を特定してもよい。
また、本発明の一態様にかかる情報処理装置は、ゴミ焼却炉内を撮像した撮像画像から火炎の像が写る火炎領域を抽出する火炎領域抽出部と、上記火炎領域抽出部が抽出した上記火炎領域を、所定の範囲内の画素値を有する画素が連続して存在する領域毎に、複数の部分に区分する区分部と、上記区分部が区分した複数の部分のうち所定の色に相当する部分を、上記火炎の基部と特定する基部特定部と、を備えている。
本発明の一態様にかかる焼却制御装置は、上記情報処理装置と、上記位置特定部が特定した上記基部の位置に基づいて上記ゴミ焼却炉の運転を制御する焼却制御部と、を備えている。
本発明の一態様にかかる情報処理方法は、情報処理装置による情報処理方法であって、ゴミ焼却炉内を時系列で撮像した複数の撮像画像のそれぞれから火炎の像が写る火炎領域を抽出する火炎領域抽出ステップと、上記火炎領域抽出ステップにて抽出した上記火炎領域のうち時系列変化が相対的に少ない部分を上記火炎の基部と特定する基部特定ステップと、を含む。
本発明の上記各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔参考例〕
実施形態3で説明したとおり、積分画像は、火炎の基部の特定に利用できるのみならず、火格子の位置や燃え切り点の検出等にも利用できる。このため、積分画像生成部51を備えた情報処理装置であれば、必ずしも基部特定部12または12Cを備えている必要はない。
例えば、一参考例に係る情報処理装置は、ゴミ焼却炉内を時系列で撮像した複数の撮像画像を積分して積分画像を生成する積分画像生成部51と、上記積分画像において所定の対象が写る位置を検出する検出部と、を備えた構成としてもよい。
ここで、ゴミ焼却炉内を撮像した画像には、時系列でランダムにゆらぐ炎が写っているため、炎の奥側に写っている対象は人の目で認識困難であり、撮像画像からそのような対象を検出することも困難であった。これに対し、上記情報処理装置は、積分画像を生成し、積分画像から対象が写る位置を検出する。積分画像では、時系列でランダムにゆらぐ炎と、炎の奥側に写っている対象との時系列変化のパターンの違いが強調されて、炎の奥側に写っている対象が鮮明化されるから、上記の構成によれば、炎の奥側に写っている対象を精度よく検出することが可能になる。
なお、上記所定の対象は、上記撮像画像に写り得る対象であればよい。例えば、上記所定の対象は火炎の基部であってもよく、この場合、上記検出部として基部特定部12Cを適用すればよい。また、例えば、上記所定の対象は燃え切り位置であってもよく、この場合、上記検出部として燃切位置検出部13Cを適用すればよい。さらに、例えば、上記所定の対象は火格子の位置であってもよく、この場合、上記検出部として火格子位置検出部52を適用すればよい。
この他にも、例えばゴミの塊が写る位置や、未燃ゴミと燃焼済みのゴミ(つまり灰になったゴミ)との境界位置などを検出する構成とすることもできる。例えば、一参考例に係る情報処理装置は、図12の(b)の例において、燃え切り線L1よりも下流の領域C5には灰になったゴミが位置しており、領域C6には未燃ゴミが位置していることを検出することもできる。なお、灰になったゴミと、燃えずに残った未燃ゴミ(不燃物の場合もある)とは、それらの形状に基づいて識別し、検出することができる。また、積分画像を用いた場合、未燃ゴミや不燃物は、火炎中にあっても検出可能である。