JP7200718B2 - 組成物、粉体組成物および被覆物品の製造方法 - Google Patents

組成物、粉体組成物および被覆物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂を含む組成物、粉体組成物および被覆物品の製造方法に関する。
テトラフルオロエチレンに基づく単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有するコポリマー(PFA)等のフッ素ポリマーは、摩擦係数が低く、非粘着性、耐薬品性、耐熱性等の特性に優れている。そのため、フッ素ポリマーは、食品工業用品、フライパンや鍋等の厨房器具、アイロン等の家庭用品、電気工業用品、機械工業用品等の表面加工に広く用いられている。
特許文献1には、プライマー層上にフッ素樹脂ライニング層を形成する方法が記載され、ライニング層の発泡を抑制するために、アミン系酸化防止剤等の熱安定剤を添加している。
特開2003-53261号公報
しかし、特許文献1に記載されたような熱安定剤を用いると、発泡は抑制できるが、被覆層の黒色度合いが高いため、被覆物品の用途が限られてしまう。
本発明は、発泡を抑制するとともに色調度合いに優れた被覆層を形成できる組成物および被覆物品の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]融点170℃以上の溶融成形可能なフッ素樹脂と、前記フッ素樹脂100質量部に対して0.01~30質量部のポリシランを含む組成物。
[2]前記フッ素樹脂を含む平均粒子径0.1~500μmのパウダー(A)と、前記ポリシランを含む平均粒子径0.1~500μmのパウダー(B)を含む粉体組成物である[1]の組成物。
[3]前記フッ素樹脂100質量部に対して0.01~10質量部のポリシランを含む、[1]または[2]の組成物。
[4]前記フッ素樹脂の融点が260~320℃である、[1]~[3]のいずれかの組成物。
[5]基材上に、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物を溶融成形して被膜を形成する、被覆物品の製造方法。
[6]前記溶融成形を300℃以上で行う、[5]の製造方法。
[7]融点170℃以上の溶融成形可能なフッ素樹脂を含む平均粒子径10~500μmのパウダー(A)と、ポリシランを含む平均粒子径10~500μmのパウダー(B)を、パウダー(A)100質量部に対してパウダー(B)が0.01~30質量部となるようにして粉体混合する、粉体組成物の製造方法。
本発明の組成物を用いることで、被覆物品の被膜の発泡が抑制されるとともに、色調度合に優れた被覆物品を得ることができる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「溶融成形可能」とは、荷重49Nの条件下、ポリマーの融点よりも20℃以上高い温度において、MFRが0.01~1000g/10分となる状態が存在するポリマーを意味する。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度を意味する。
「MFR」は、JIS K 7210-1:2014(対応国際規格ISO 1133-1:2011)に規定されるメルトマスフローレイトである。
「粉体の体積基準累積50%径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって粉体の粒度分布を測定し、粉体の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「モノマーに基づく単位」は、モノマー1分子が重合して直接形成される原子団と、この原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。本明細書において、モノマーに基づく単位を、単に「単位」とも記す。
本発明のフッ素樹脂は、溶融成形可能であり融点が170℃以上である。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレンに基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を有するフッ素ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)が好ましい。
Fポリマーとしては、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、これらにカルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(以下、「接着性基」とも記す。)が導入されたポリマー、変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。なお、溶融成形可能であれば、Fポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレンも使用できる。
変性ポリテトラフルオロエチレンとしては、(i)テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)と極微量のCH=CH(CFFとのコポリマー、(ii)上記(i)のコポリマーと、さらに極微量の接着性基を有するモノマー(以下、「接着性モノマー」とも記す。)とのコポリマー、(iii)TFEと、極微量の接着性モノマーとのコポリマー、(iv)プラズマ処理等により接着性基が導入されたポリテトラフルオロエチレン、(v)プラズマ処理等により接着性基が導入された上記(i)のコポリマーが挙げられる。
Fポリマーの融点は、170℃以上であり、260~320℃が好ましく、280~320℃がより好ましく、295~315℃がさらに好ましく、295~310℃が一層好ましい。Fポリマーの融点が上記下限値以上であれば、本発明の組成物により形成されるフッ素樹脂層(以下、「F樹脂層」とも記す。)の耐熱性が高まる。Fポリマーの融点が上記上限値以下であれば、Fポリマーの熱溶融性が向上する。
Fポリマーの融点は、Fポリマーを構成する単位の種類や割合、Fポリマーの分子量等によって調整できる。例えば、TFE単位の割合が多くなるほど、Fポリマーの融点が上昇する傾向がある。
Fポリマーの融点よりも20℃以上高い温度におけるMFRは、0.1~1000g/10分が好ましく、0.5~100g/10分がより好ましく、1~30g/10分がさらに好ましく、5~20g/10分が特に好ましい。MFRが上記下限値以上であれば、Fポリマーの熱溶融性がより向上し、F樹脂層の外観が良好になる。MFRが上記上限値以下であれば、F樹脂層の機械的強度が高まる。
MFRは、Fポリマーの分子量の目安であり、MFRが大きいと分子量が小さく、MFRが小さいと分子量が大きいことを示す。FポリマーのMFRは、Fポリマーの製造条件によって調整できる。例えば、モノマーの重合時に重合時間を短縮すると、FポリマーのMFRが大きくなる傾向がある。
TFE単位以外の他の単位としては、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」とも記す。)に基づく単位(以下、「PAVE単位」とも記す。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)に基づく単位(以下、「HFP単位」とも記す。)、接着性モノマー、TFE、PAVEおよびHFP以外の他のモノマーに基づく単位が挙げられる。
PAVEとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」とも記す。)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFFが挙げられ、PPVEが好ましい。
PAVEは、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとしては、他の含フッ素モノマー(ただし、接着性モノマー、TFE、PAVEおよびHFPを除く。)、他の非含フッ素モノマー(ただし、接着性モノマーを除く。)が挙げられる。
他の含フッ素モノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CF=CFORf3SO(ただし、Rf3は、炭素数1~10のペルフルオロアルキレン基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~10のペルフルオロアルキレン基であり、Xはハロゲン原子またはヒドロキシ基である。)、CF=CF(CFOCF=CF(ただし、pは1または2である。)、CH=CX(CF(ただし、Xは水素原子またはフッ素原子であり、qは2~10の整数であり、Xは水素原子またはフッ素原子である。)、ペルフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が挙げられる。他の含フッ素モノマーは、2種以上を併用してもよい。
CH=CX(CFとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFHが挙げられ、CH=CH(CFF、CH=CH(CFFが好ましい。
他の非含フッ素モノマーとしては、エチレン、プロピレンが挙げられ、エチレンが好ましい。他の非含フッ素モノマーは、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとして、他の含フッ素モノマーと他の非含フッ素モノマーとを併用してもよい。
Fポリマーとしては、F樹脂層の耐熱性を高める点から、TFE単位とPAVE単位とを有するコポリマー(以下、コポリマー(A1)とも記す。)、TFE単位とHFP単位とを有するコポリマー(以下、コポリマー(A2)とも記す。)が好ましく、コポリマー(A1)がより好ましい。コポリマー(A1)であると、耐熱性および耐薬品性に優れる。
コポリマー(A1)は、必要に応じてHFP単位および他の単位のうちの少なくとも一方を有してもよい。すなわち、コポリマー(A1)は、TFE単位とPAVE単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とPAVE単位とHFP単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とPAVE単位と他の単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とPAVE単位とHFP単位と他の単位とを有するコポリマーでもよい。
コポリマー(A1)におけるTFE単位の割合は、コポリマー(A1)を構成する全単位のうち、90~99.89モル%が好ましく、96~98.95モル%がより好ましい。この場合、F樹脂層の耐熱性、耐薬品性等が優れる。
コポリマー(A1)におけるPAVE単位の割合は、コポリマー(A1)を構成する全単位のうち、0.1~9.99モル%が好ましく、1~9.95モル%がより好ましい。この場合、フッ素コポリマー(A1)の熱溶融性を調整し易い。
コポリマー(A1)におけるTFE単位およびPAVE単位の合計は、90モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましい。その上限値は、100モル%である。
コポリマー(A2)は、必要に応じてPAVE単位および他のモノマー単位のうちの少なくとも一方を有してもよい。すなわち、コポリマー(A2)は、TFE単位とHFP単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とHFP単位とPAVE単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とHFP単位と他のモノマー単位とを有するコポリマーでもよく、TFE単位とHFP単位とPAVE単位と他の単位とを有するコポリマーでもよい。
コポリマー(A2)におけるTFE単位の割合は、コポリマー(A2)を構成する全単位のうち、90~99.89モル%が好ましく、92~96モル%がさらに好ましい。この場合、F樹脂層の耐熱性、耐薬品性等が優れる。
コポリマー(A2)におけるHFP単位の割合は、コポリマー(A2)を構成する全単位のうち、0.1~9.99モル%が好ましく、2~8モル%がより好ましい。HFP単位の割合が上記範囲内であれば、コポリマー(A2)の熱溶融性がより高まる。
コポリマー(A2)におけるTFE単位およびHFP単位の合計での割合は、90モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましい。その上限値は、100モル%である。
Fポリマーにおける各単位の割合は、溶融核磁気共鳴(NMR)分析等のNMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析によって求められる。
Fポリマーの製造方法としては、重合方法(塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等)は、特に限定されず、適宜設定できる。また、重合において使用する、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤の量と種類も適宜設定できる。また、重合条件(温度、圧力、時間等。)も、使用するモノマーの種類に応じて、適宜設定できる。
本発明のポリシランは、Si-Si結合を有する直鎖状、環状、分岐状、又は網目状の化合物であれば特に限定されない。
代表的なポリシランとしては、下式(1)で表される構造(以下、単位(1)とも記す)有する直鎖状又は環状ポリシランが挙げられる。
-(Si(R,R))x- (1)
(式中、RおよびRは同一又は相違して水素原子、ヒドロキシ基、有機基、シリル基を示し、xは2以上の整数である。)
単位(1)において、RおよびRで表される有機基としては、炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基)など、これらの炭化水素基に対応するエーテル基(アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など)などが挙げられる。通常、前記有機基は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基である場合が多い。また、水素原子やヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基などは末端に置換している場合が多い。
およびRにおいて、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1~14アルキル基(好ましくはC1~10アルキル基、さらに好ましくはC1~6アルキル基)が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1~14アルコキシ基(好ましくはC1~10アルコキシ基、さらに好ましくはC1~6アルコキシ基)が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどのC2~14アルケニル基(好ましくはC2~10アルケニル基、さらに好ましくはC2~6アルケニル基)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5~14シクロアルキル基(好ましくはC5~10シクロアルキル基、さらに好ましくはC5~8シクロアルキル基)などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5~14シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5~10シクロアルキルオキシ基、さらに好ましくはC5~8シクロアルキルオキシ基)などが挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5~14シクロアルケニル基(好ましくはC5~10シクロアルケニル基、さらに好ましくはC5~8シクロアルケニル基)などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル、メチルフェニル(トリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチルなどのC6~20アリール基(好ましくはC6~15アリール基、さらに好ましくはC6~12アリール基)などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6~20アリールオキシ基(好ましくはC6~15アリールオキシ基、さらに好ましくはC6~12アリールオキシ基)などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6~20アリール-C1~4アルキル基(好ましくはC6~10アリール-C1~2アルキル基)などが挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6~20アリール-C1~4アルキルオキシ基(好ましくはC6~10アリール-C1~2アルキルオキシ基)などが挙げられる。
シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1~10シラニル基(好ましくはSi1~6シラニル基)などが挙げられる。
また、RおよびRが、前記有機基(アルキル基、アリール基など)又はシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、置換基(又は官能基)により置換されていてもよい。このような置換基(又は官能基)は、例えば、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などの前記と同様の基であってもよい。
これらのうち、RおよびRは、アルキル基(例えば、メチル基などのC1~4アルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6~20アリール基)などである場合が多い。
ポリシランが非環状構造の場合、末端基(末端置換基)は、通常、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(塩素原子など)、アルキル基、アルコキシ基、シリル基などであってもよい。
代表的なポリシランとしては、鎖状又は環状ポリシラン、例えば、ポリジアルキルシラン[例えば、ポリジメチルシラン、ポリメチルプロピルシラン、ポリメチルブチルシラン、ポリメチルペンチルシラン、ポリジブチルシラン、ポリジヘキシルシラン、ジメチルシラン-メチルへキシルシラン共重合体など]、ポリアルキルアリールシラン[例えば、ポリメチルフェニルシラン、メチルフェニルシラン-フェニルヘキシルシラン共重合体など]、ポリジアリールシラン(例えば、ポリジフェニルシランなど)、ジアルキルシラン-アルキルアリールシラン共重合体(例えば、ジメチルシラン-メチルフェニルシラン共重合体、ジメチルシラン-フェニルヘキシルシラン共重合体、ジメチルシラン-メチルナフチルシラン共重合体など)などが挙げられる。このようなポリシランの詳細は、例えば、R.D.Miller、J.Michl;Chemical Review、第89巻、1359頁(1989)、N.Matsumoto;Japanese Journal of Physics、第37巻、5425頁(1998)などに例示されている。
好ましいポリシランとしては、RおよびRの少なくとも一方がアリール基(特にC6~20アリール基)である単位(1)を含むポリシラン[例えば、ポリアルキルアリールシラン、ポリジアリールシラン、アリールシラン単位を含むコポリマー(ジアルキルシラン-アルキルアリールシラン共重合体など)など]が挙げられる。特に、Rがアリール基(特にC6~20アリール基)であり、かつRがアリール基(特にC6~20アリール基)又はアルキル基(特にC1~6アルキル基)である単位(1)を有するポリシラン(特に鎖状又は環状ポリシラン)、例えば、ポリC1~6アルキルC6~20アリールシラン(例えば、ポリC1~3アルキルC6~10アリールシラン)、ポリジC6~20アリールシラン(例えば、ポリジC6~10アリールシラン)などが好ましい。
これらのポリシランは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリシランの重合度、すなわち単位(1)のxは、2以上であればよく、例えば、5~400、好ましくは10~350、さらに好ましくは20~300程度であってもよい。
ポリシランの分子量は、重量平均分子量で200~100000、好ましくは300~50000、さらに好ましくは400~30000程度であってもよい。なお、ポリシランが環状である場合、環状ポリシランの環の員数は、通常、4~12程度であってもよく、好ましくは4~10、さらに好ましくは5~10(特に5~8)程度であってもよい。
ポリシランは市販品を用いてもよい。代表的なものとして、大阪ガスケミカル社製OGSOL SI-30-10(環状)、OGSOL SI-10-40(鎖状)が挙げられる。
ポリシランは液体状でも粉体状でも構わない。フッ素樹脂と混合しやすいことから粉体状がより好ましい。
本発明の組成物は、前記フッ素樹脂100質量部に対して、前記ポリシランを0.01~30質量部含む。ポリシランは0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。この範囲であると、ポリシランによる発泡抑制効果が十分に発揮されるとともに、被膜を形成したときの着色も抑制される。
本発明の組成物は、前記フッ素樹脂にポリシランを溶融混練して得たものでもよく、前記フッ素樹脂とポリシランのいずれも粉体であり粉体混合して得た粉体組成物でもよい。
前記フッ素樹脂とポリシランを均一に混合しやすいことから、粉体混合して得た粉体組成物が好ましい。
本発明の組成物は、発泡が抑制され外観に優れるとともに、着色も抑制されているため基材上に被膜を形成した後も、基材の状態、例えば金属基材の場合の錆び等が確認しやすい。
本発明の組成物は、前記フッ素樹脂とポリシランがいずれも粉体である場合、粉体組成物である。粉体組成物は、前記フッ素樹脂を含むD50が0.1~500μmであるパウダー(A)と、前記ポリシランを含むD50が0.1~500μmのパウダー(B)を含む。
本発明におけるパウダー(A)のD50は0.1~500μmが好ましく、10~500μmがより好ましく、15~300μmがさらに好ましく、20~250μmが特に好ましい。樹脂粒子中に含まれる前記フッ素樹脂の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。かかる量でFポリマーを含む樹脂粒子からなる粉体を用いれば、形成されるF樹脂層の非粘着性、耐薬品性、耐熱性が向上する。前記フッ素樹脂は、2種以上を併用してもよい。
他のポリマーとしては、前記フッ素樹脂以外の他のフッ素ポリマー、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミドが挙げられる。他のポリマーは、2種以上を併用してもよい。
パウダー(A)は重合により得られたFポリマーを機械的粉砕、分級等行い、適宜D50を調整することができる。また、市販品を用いてもよい。
本発明におけるパウダー(B)のD50は0.1~500μmが好ましく、10~500μmがより好ましく、15~300μmがさらに好ましく、20~250μmが特に好ましい。粒子中に含まれるポリシラン量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。かかる量でポリシランを含む粒子からなる粉体を用いれば、形成されるF樹脂層の発泡および着色がより抑制される。ポリシランは、2種以上を併用してもよい。
本発明の粉体組成物は、パウダー(A)とパウダー(B)を、粉体混合することにより得ることが好ましい。粉体混合はパウダー(A)の融点以下で行うことが好ましく、10~30℃がより好ましい。
本発明の被覆物品の製造方法は、基材上に本発明の組成物を溶融成形して被膜を形成することを特徴とする。
基材としては、ステンレス、鉄等の金属、樹脂、ガラス、セラミックスが挙げられる。基材の形状としては平面状、曲面状などが挙げられ、筒状でも構わない。
溶融成形としては、基材上に本発明の組成物を押出成形して被膜を形成してもよく、本発明の組成物が粉体組成物である場合は、粉体塗装して焼成してもよい。
溶融成形の温度はFポリマーの融点以上であれば特に限定されないが、300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましく、330℃以上が特に好ましい。
粉体塗装の際の焼成は、前記フッ素樹脂の融点以上に加熱して行うのが好ましい。具体的な焼成温度は、330~380℃が好ましく、340~375℃がより好ましく、350~370℃がさらに好ましい。焼成温度が上記下限値以上であれば、表面が平滑なF樹脂層を形成し易く、またF素樹脂層と基材との密着性が高まる。
一方、焼成温度が上記上限値以下であれば、前記フッ素樹脂の熱分解によるガスの発生を防止でき、F樹脂層の発泡をより抑制しやすい。
焼成時間は、1~20分が好ましく、1~15分がより好ましい。焼成時間が上記下限値以上であれば、表面が平滑なF樹脂層を形成し易い。焼成時間が上記上限値以下であれば、F樹脂層における発泡やクラックの発生をより抑制し易い。
粉体塗装は2回以上繰り返してもよい。この場合、各焼成工程における焼成温度および焼成時間は、異なっても同じでもよい。
形成すべきF樹脂層の厚さは、50~750μmが好ましく、100~500μmがより好ましい。F樹脂層の厚さが上記下限値以上であれば、積層体の生産性が向上する。F樹脂層の厚さが上記上限値以下であれば、F樹脂層の耐薬品性が高い。
本発明の組成物は、特に粉体組成物の場合、ロトライニング用として用いるのが好ましい。
特にFポリマーがコポリマー(A1)である場合、耐熱性および耐薬品性に優れるため、半導体製造時の配管の内壁の被覆に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
Fポリマー1:TFE単位とPAVE単位をTFE/PAVE=98/2(モル比)で有するポリマー。融点が300℃。D50が25μm。
MP-102:デュポン社製ロトライニング用フッ素樹脂パウダー。融点が309℃。D50が6μm。
ポリシラン1:大阪ガスケミカル社製粉体状の環状ポリシラン「OGSOL SI-30-10」。D50が25μm。
酸化防止剤1:ADEKA社製フェノール系酸化防止剤「アデカスタブ AO-330」。D50が38μm。
酸化防止剤2:ADEKA社製ホスファイト系酸化防止剤「アデカスタブ PEP-36」。D50が19μm。
酸化防止剤3:東京化成工業株式会社製フェニレンジアミン系酸化防止剤。N,N‘-ジ-2-ナフチル-1,4-フェニレンジアミン。D50が21μm。
なお、D50は堀場製作所社製のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA-920測定器)を用いて、粉体を水中に分散させ、粒度分布を測定し、算出した。
[例1]
Fポリマー1の100質量部にポリシラン1の2質量部を25℃で粉体混合して粉体組成物1を得た。
粉体組成物1を厚さ約2mmになるようにアルミ皿に塗布した。これを真空下、120℃
で2時間脱気処理を行い、大気下雰囲気温度350℃のオーブンに投入して1時間静置して粉体組成物を溶融した。得られた溶融物1を空冷し、外観を観察した。
溶融物1は発泡が見られないとともに、着色も見られなかった。
[例2]
粉体組成物1の代わりにFポリマー1を用いた他は例1と同様にして溶融物2を得た。
[例3]
粉体組成物1の代わりにMP-102を用いた他は例1と同様にして溶融物3を得た。
[例4~6]
ポリシラン1の代わりに酸化防止剤1~3それぞれを用いた他は例1と同様にして溶融物4~6を得た。
得られた溶融物1~6を、目視で下記の評価を行った結果を表1に示す。
発泡評価:
A:溶融物に発泡無し。
B:溶融物に発泡有り。
C:溶融物に多数の発泡有り。
着色評価:
A:白色。
B:茶色~黒色化している。
C:完全に黒色化している。
Figure 0007200718000001
表1に示すように、一般的な酸化防止剤を添加した例6では発泡は抑えられても黒色度合いが高い。また、例4、5は発泡も抑えられなかった。これに対して、本発明の組成物を用いた例1は発泡を抑制するだけでなく、着色も抑制できた。
本発明の組成物は、粉体塗装に使用する粉体塗料に好適であり、特にロトライニング用として好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 融点170℃以上の溶融成形可能なフッ素樹脂と、前記フッ素樹脂100質量部に対して0.01~30質量部のポリシランを含む組成物であって、前記フッ素樹脂を含む平均粒子径0.1~500μmのパウダー(A)と、前記ポリシランを含む平均粒子径0.1~500μmのパウダー(B)を含む粉体組成物である組成物。
  2. 前記フッ素樹脂100質量部に対して0.01~10質量部のポリシランを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記フッ素樹脂の融点が260~320℃である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 基材上に、請求項1~のいずれかに記載の組成物を溶融成形して被膜を形成する、被覆物品の製造方法。
  5. 前記溶融成形を300℃以上で行う、請求項に記載の製造方法。
  6. 融点170℃以上の溶融成形可能なフッ素樹脂を含む平均粒子径10~500μmのパウダー(A)と、ポリシランを含む平均粒子径10~500μmのパウダー(B)を、パウダー(A)100質量部に対してパウダー(B)が0.01~30質量部となるようにして粉体混合する、粉体組成物の製造方法。
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