JP7184874B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂とコアシェルポリマー粒子を含む接着剤組成物に関する。
近年、構造用接着剤は多様な分野で使用されている。例えば自動車分野において、車体の軽量化と剛性の向上を両立させる技術として構造部材の接合を強化させる方法が試みられており、その接合方法の一つとして、接着剤とスポット溶接との併用による接合技術(ウエルドボンド工法)が注目されている。接合部位に塗布される接着剤としては、エポキシ樹脂系の加熱硬化型接着剤(構造用接着剤)が広く用いられており、スポット溶接後に加熱によって硬化させられる。
また風力発電装置の分野においては、装置全体にかかる荷重を低減するためにブレード自体の軽量化、高強度化、高剛性化が必要であり、該ブレードに繊維強化樹脂複合材を用いることが主流となっている。そのようなブレードの構造は、強度部材をブレード中心長手方向に配置し、その強度部材を挟み込むように、ブレード表面とブレード裏面の形状に沿って複合材で成形された部材を接着剤により貼り合わせたものが多い。
これら接着剤には長期使用にも耐える高い耐疲労特性が求められ、一般に接着剤の靭性が着目される。接着剤の靭性を向上させる方法としては、例えば特許文献1に記載のように、エポキシ樹脂にコアシェル構造を有するポリマー微粒子を添加する方法がある。しかしながら、接着剤の靭性を向上させると疲労破壊時に接着剤層と被着材との界面で剥がれる界面破壊が誘起され、結果として耐疲労特性が向上しづらいという課題があった。これは図1に示すように、接着剤の靭性向上によって相対的に弱い界面において亀裂が誘起され、進展してしまうことが要因であると考えられる。
接着剤層の破壊形式には、接着剤層の内部が破壊する「凝集破壊」と、上記「界面破壊」がある。接着剤層と被着材とが接着されていることを保証するためにも、破壊形式としては凝集破壊が好ましい。界面破壊は接着力をコントロールできていない状態であり、信頼性に乏しい。以上のことから、高い耐疲労特性を有し、かつ疲労破壊時には凝集破壊をする接着剤が求められている。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、一次粒子と二次凝集体とが混在する分散形態をなすコアシェル型ゴム粒子と、硬化剤とを含有する、耐流水圧性に優れた構造用接着剤組成物が開示されている。この文献には耐疲労性についての記載はない。この文献に記載の接着剤組成物ではコアシェル型ゴム粒子の二次凝集体を一次粒子と混在させる必要があるため、凝集体の粒子径の制御や凝集体の含有率の制御が困難であり、接着剤の物性が安定しないと考えられる。
特許文献3には、エポキシ樹脂と、コアシェル型ゴム粒子と、中空ポリマーからなる、構造用接着剤として使用可能なエポキシ樹脂組成物が開示されている。この文献には耐疲労性についての記載はない。また、中空ポリマーを使用すると、各成分を配合・混合する時に受ける衝撃によって、該中空ポリマーが破壊され、これを一次粒子として分散させることは困難になると考えられる。
国際公開第2015/064561号 特開2015-108077号公報 特開2010-270198号公報
本発明は、上記現状に鑑み、耐疲労特性に優れると共に、疲労破壊時には凝集破壊をする接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、接着剤の靱性を向上するために配合されるナノメートルオーダーのコアシェルポリマー粒子に加えて、該コアシェルポリマー粒子よりも粒径が大きいポリマー粒子を特定の比率で接着剤組成物に配合し、いずれの粒子も接着剤組成物中で1次粒子として分散させることで、接着剤層が高い靭性を有し、かつ疲労破壊時には該接着剤層内部で亀裂を誘起することができ、結果として、耐疲労特性が大きく向上し、かつ疲労破壊時には凝集破壊をする、信頼性が高い接着剤組成物が得られることを見出し、本発明に至った。即ち本発明は下記1)~7)である。
1)接着性樹脂、体積平均粒子径が10~300nmのコアシェルポリマー粒子(A)、及び体積平均粒子径が400nm~10000nmのポリマー粒子(B)を含有し、コアシェルポリマー粒子(A):ポリマー粒子(B)の重量比率が1:2~2:1であり、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)それぞれが接着剤組成物中で1次粒子として分散していることを特徴とする接着剤組成物。
2)ポリマー粒子(B)が中空の構造を有しないポリマー粒子である1)に記載の接着剤組成物。
3)ポリマー粒子(B)がコアシェルポリマー粒子である1)又は2)に記載の接着剤組成物。
4)前記コアシェルポリマー粒子(A)のコア層、または、前記ポリマー粒子(B)のコア層が、(i)ジエン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体50重量%以上、及び、他の共重合可能なビニル単量体50重量%未満から構成されるゴム弾性体、(ii)ポリシロキサンゴム系弾性体、(iii)芳香族ビニル架橋体、または(iv)前記(i)~(iii)のうち2種以上の混合物からなり、前記他の共重合可能なビニル単量体が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリル酸アミド誘導体、及び、マレイミド誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、1)~3)のいずれかに記載の接着剤組成物。
5)前記コアシェルポリマー粒子(A)のシェル層が反応性基を含む、1)~4)のいずれかに記載の接着剤組成物。
6)前記反応性基がエポキシ基を含む、5)に記載の接着剤組成物。
7)前記ポリマー粒子(B)のシェル層を構成するポリマーに含まれる、反応性基を有する単量体単位の含有量が、ポリマー粒子(B)100重量部に対し0~5重量部である、3)~6)のいずれかに記載の接着剤組成物。
8)前記接着性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、1)~7)のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明によれば、耐疲労特性に優れると共に、疲労破壊時には凝集破壊をする接着剤組成物を提供することができる。
比較のため、コアシェルポリマー粒子(A)のみを配合した接着剤を用いた際に接着剤層と基材との界面で亀裂が生じた界面破壊の状態を示す概念図 比較のため、粒径が大きいポリマー粒子(B)のみを配合した接着剤を用いた際に接着剤層の内部で亀裂が生じた凝集破壊の状態を示す概念図 コアシェルポリマー粒子(A)と、粒径が大きいポリマー粒子(B)を配合した接着剤を用いた際に接着剤層の内部で亀裂が生じた凝集破壊の状態を示す概念図 実施例および比較例の評価で使用したせん断接着試験片を製造する過程における該試験片とスペーサーを示す側面図 実施例および比較例の評価で使用したせん断接着試験片を示す側面図
本発明の接着剤組成物は、接着性樹脂、体積平均粒子径が10~300nmのコアシェルポリマー粒子(A)、及び、体積平均粒子径が400nm~10000nmのポリマー粒子(B)を含有し、コアシェルポリマー粒子(A):ポリマー粒子(B)の重量比率が1:2~2:1であり、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)それぞれが接着剤組成物中で1次粒子として分散形態していることを特徴とする。
(接着性樹脂)
本発明の接着剤組成物においてマトリックス樹脂たる接着性樹脂は、熱可塑性、硬化性を問わず、接着性を示す種々の樹脂から選択可能であり、特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂では、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、合成ゴム、アクリル樹脂、 ポリウレタン樹脂等が挙げられ、硬化性樹脂ではフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂等が挙げられる。接着性、塗布性、耐熱性などの観点からエポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、一般にエポキシ基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型等のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、多官能グリシジルエーテル、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、N,N,N′,N′-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm-クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は接着剤組成物の用途等に応じて適宜選択することができ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。接着剤組成物の粘度調整が容易となる点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合化合物である。ビスフェノールA骨格は、耐熱性を高め、また、靭性を向上させて引張剪断接着強さを高め、更に、該骨格中のエーテル基は耐薬品性を向上させ、メチレン鎖は可撓性を高める。このビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、分子量に応じて液状のものから固形のものまでを使用できるが、常温で液状から半固形状となるものが好ましく、特に液状のものが好ましい。取扱い性や組成物の塗布作業性が容易となるからである。また、そのエポキシ当量は、180~300g/eqの範囲内であるものが好適である。なお、エポキシ当量は1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数を意味する(単位:g/eq)。
更に、エポキシ樹脂として、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性等の変性エポキシ樹脂を用いることも可能である。ウレタン変性エポキシ樹脂としては、分子中にウレタン結合と2個以上のエポキシ基とを有する樹脂であれば、その構造が特に限定されるものではないが、ウレタン結合とエポキシ基とを効率的に1分子中に導入することができる点から、イソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物とヒドロキシ基含有エポキシ化合物とを反応させて得られる樹脂であることが好ましい。これらエポキシ樹脂はそれぞれを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
本発明の接着剤組成物は、接着性樹脂の種類に応じて適切な硬化剤を含有してもよい。接着性樹脂がエポキシ樹脂である場合、これと組み合わせて使用する硬化剤は、エポキシ基と反応しうる活性基を有するものであればよい。そのような硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、2-n-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、二塩基酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等の有機酸ヒドラジド系化合物、N,N-ジアルキル尿素誘導体やN,N-ジアルキルチオ尿素誘導体等の尿素系化合物、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、セミカルバジド、シアノアセトアミド、ジアミノジフェニルメタン、3級アミン、ポリアミン、イソホロンジアミン、m-フェニレンジアミン等のアミン系化合物、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール等のアミノトリアゾール、N-アミノエチルピペラジン、メラミン類、アセトグアナミンやベンゾグアナミン等のグアナミン類、グアニジン類、ジメチルウレア類、三フッ化ホウ素錯化合物、三塩化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノール等の液状フェノール、ポリチオール、トリフェニルホスフィン、ケチミン化合物、スルホニウム塩、オニウム塩、フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも、組成物の接着強度等の観点から、ジシアンジアミド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミンが好適である。
硬化剤を配合する場合、その配合量は、接着性樹脂100重量部に対して、5重量部~30重量部の範囲内であることが好ましい。硬化剤の配合量が5重量部以上であると、接着剤組成物の硬化速度が速く、かつ充分に硬化反応が進行して接着強度等の物性が向上するため好ましく、一方、30重量部以下であると、接着剤組成物に要求される所望の物性が得られ易くなる。好ましい硬化剤の配合量は7重量部~30重量部の範囲内である。
(コアシェルポリマー粒子(A))
本発明の接着剤組成物は、ポリマー粒子(B)と比較して粒径が小さいコアシェルポリマー粒子(A)を含有する。これを配合することにより、接着剤組成物の靱性を高めて、優れた耐疲労特性を達成することができる。
コアシェルポリマー粒子(A)の体積平均粒子径は10nm~300nmであり、30nm~250nmであることがより好ましく、60nm~200nmであることがさらに好ましく、80nm~150nmであることが最も好ましい。コアシェルポリマー粒子(A)の体積平均粒子径が10nm未満、または300nmよりも大きい場合は、コアシェルポリマー粒子(A)による接着剤組成物の高靭化効果が小さくなる。
本発明において、コアシェルポリマー粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)は、水性ラテックスまたは樹脂組成物中に分散している状態で、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定される値である。水性ラテックス中の粒子の体積平均粒子径を測定する場合には、水性ラテックスを脱イオン水で希釈してSignal Levelが0.6~0.8の範囲内になるように試料濃度を調整し、水の屈折率、および測定対象のポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間を600秒として行った。樹脂組成物中の粒子の体積平均粒子径を測定する場合には、樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈してSignal Levelが0.6~0.8の範囲内になるように試料濃度を調整し、メチルエチルケトンの屈折率、および測定対象のポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間を600秒として行った。なお、以上の体積平均粒子径の測定に関する記載は、ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径の測定にも適用する。
コアシェルポリマー粒子(A)は、コア層となる架橋重合体に対し、グラフト共重合可能な単量体(シェル形成用単量体)をグラフト重合してシェル層を形成したコアシェルポリマー粒子であり、内部に存在する架橋重合体からなるコア層と、コア層の表面にグラフト重合して架橋重合体の周囲又は一部を覆っている少なくとも1つのシェル層とを有する構造を有する。本発明の接着剤組成物の粘度を低く抑え取扱し易くする点、接着剤組成物中でコアシェルポリマー粒子を安定に分散させる点、及び、接着剤組成物の高靭化効果を高める点から、コア層とシェル層の重量比率は、コア層/シェル層(各層の重合体を形成する単量体の重量比率)の値で、50/50~99/1の範囲であることが好ましく、60/40~95/5であることがより好ましく、70/30~90/10であることがさらに好ましい。
前記コア層は架橋された重合体から構成され、溶剤に対して実質的に溶解しないものであることが好ましい。よって、コア層のゲル分は好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
コア層は、(i)ジエン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体50重量%以上、及び、他の共重合可能なビニル単量体50重量%未満から構成されるゴム弾性体、(ii)ポリシロキサンゴム系弾性体、(iii)芳香族ビニル架橋体、または(iv)前記(i)~(iii)のうち2種以上の混合物からなることが好ましい。また、前記他の共重合可能なビニル単量体が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリル酸アミド誘導体、及び、マレイミド誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
前記ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができるが、ブタジエンが特に好ましい。前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどが挙げられるが、アクリル酸ブチルとアクリル酸2-エチルヘキシルが特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジエン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体の使用量は、コア層全体の重量に対して好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。該単量体の使用量が50重量%未満の場合には、コアシェルポリマー粒子により発揮される高靭化効果が低下する場合がある。
前記コア層は、ジエン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体が重合してなる単独重合体または共重合体であってよいが、ジエン系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、これらと共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよい。そのような共重合可能なビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリル酸アミド誘導体、及び、マレイミド誘導体からなる群より選ばれる1種以上の単量体が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、置換アクリロニトリル等が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体としては、(メタ)アクリルアミド(N-置換物を含む)等が挙げられる。マレイミド誘導体としては、マレイン酸イミド(N-置換物を含む)等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの共重合可能なビニル単量体の使用量は、コア層全体の重量に対して、好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%未満である。
前記コア層は芳香族ビニル架橋体であってもよい。該架橋体としては、芳香族ビニル化合物と架橋性単量体の共重合体を挙げることができる。芳香族ビニル化合物としては例えば、スチレン、2-ビニルナフタレン等の無置換ビニル芳香族化合物類;α-メチルスチレン等の置換ビニル芳香族化合物類;3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン等の環アルキル化ビニル芳香族化合物類;4-メトキシスチレン、4-エトキシスチレン等の環アルコキシル化ビニル芳香族化合物類;2-クロロスチレン、3-クロロスチレン等の環ハロゲン化ビニル芳香族化合物類;4-アセトキシスチレン等の環エステル置換ビニル芳香族化合物類;4-ヒトロキシスチレン等の環ヒドロキシル化ビニル芳香族化合物類が挙げられる。コア層に芳香族ビニル架橋体を用いたコアシェルポリマー粒子を含む接着剤組成物は、剛性が低下することなく高靭化されるため好ましい。
コア層が(i)ゴム弾性体または(iii)芳香族ビニル架橋体を含む場合、該コア層を構成する重合体は、架橋度を調節するために、架橋性単量体を共重合したものが好ましい。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(イソ)シアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フタル酸ジアリル等が挙げられる。架橋性単量体の使用量はコアシェルポリマー粒子全体の重量に対して0.2~7重量%、好ましくは0.5~5重量%、更に好ましくは1~3重量%である。使用量が7重量%を超えると、コアシェルポリマー粒子が有する高靭化効果や応力緩和効果が低下する場合がある。
コア層は、ポリシロキサンゴム系弾性体を含むものであってもよい。ポリシロキサンゴム系弾性体としては、例えばジメチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ等の、アルキルまたはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサンゴムを使用できる。また、前記ポリシロキサンゴム系弾性体は、必要に応じて、重合時に多官能性のアルコキシシラン化合物を一部併用するか、ビニル反応性基を持ったシラン化合物をラジカル反応させること等により、架橋構造を導入したものがより好ましい。
コア層のガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある)は、得られる接着剤組成物の靱性や応力緩和効果を高める為に、0℃以下であることが好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下が更に好ましく、-60℃以下が特に好ましい。
コアシェルポリマー粒子におけるシェル層を構成するポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、及び、マレイミド誘導体からなる群より選ばれる1種以上を重合して得られる(共)重合体が好ましい。
特にコアシェルポリマー粒子(A)のシェル層は、接着剤組成物の硬化時にコアシェルポリマー粒子(A)同士が再凝集して分散状態が悪化することを効果的に抑制することができるため、反応性基を有することが好ましい。反応性基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、及び炭素-炭素二重結合からなる群より選択される少なくとも1つの基が好ましい。反応基を有するシェル層は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、及び/またはマレイミド誘導体と、前述のような反応性基を有する1種類以上のビニル単量体を共重合して得られる共重合体から構成されることが好ましい。なかでも、コアシェルポリマー粒子(A)のシェル層が有する反応性基はエポキシ基を含むことが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のアルキル置換スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン類等が挙げられる。シアン化ビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、置換(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体としては、(メタ)アクリルアミド(N-置換物を含む)等が挙げられる。マレイミド誘導体としては、マレイン酸イミド(N-置換物を含む)等が挙げられる。反応性基を有する単量体としては、例えば、反応性側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類として、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等;反応性基を有するビニルエーテルとして、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明では、コアシェルポリマー粒子(A)のシェル層を、例えば、芳香族ビニル系単量体(特にスチレン)0~50質量%(好ましくは5~40質量%)、シアン化ビニル系単量体(特にアクリロニトリル)0~50質量%(好ましくは1~30質量%、より好ましくは10~25質量%)、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(特にメタクリル酸メチル)0~50質量%(好ましくは5~45質量%)、反応性基を有する単量体(特にメタクリル酸グリシジル)0~50質量%(好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~25質量%)を組み合わせたシェル層形成用モノマー(合計100質量%)のポリマーから構成することが好ましい。
コアシェルポリマー粒子の製造方法は特に制限されず、周知の方法、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などにより製造することができる。この中でも特に、多段乳化重合による製造方法が好適である。乳化重合で使用する乳化(分散)剤としては、具体的には、ジオクチルスルホコハク酸やドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルまたはアリールスルホン酸、アルキルまたはアリールエーテルスルホン酸、ドデシル硫酸等のアルキルまたはアリール硫酸、アルキルまたはアリールエーテル硫酸、アルキルまたはアリール置換燐酸、アルキルまたはアリールエーテル置換燐酸、ドデシルザルコシン酸等のN-アルキルまたはアリールザルコシン酸、オレイン酸やステアリン酸等のアルキルまたはアリールカルボン酸、アルキルまたはアリールエーテルカルボン酸等の、各種の酸類のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;アルキルまたはアリール置換ポリエチレングリコール等の非イオン性乳化剤または分散剤;ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体等の分散剤等が挙げられる。これらは1種類または2種類以上を適宜組み合わせて使用できる。
乳化剤は、重合安定性の観点から、好ましくはアニオン性乳化剤であり、より好ましくはアルカリ金属塩のアニオン性乳化剤、さらに好ましくはナトリウム塩及び/又はカリウム塩のアニオン性乳化剤である。
これら乳化(分散)剤は、コアシェルポリマー粒子を含む水性ラテックスの作製過程において分散安定性に支障を来さない範囲でできる限り少量を使用してもよい。あるいは、本発明の接着剤組成物を作製する過程において、製造される接着剤組成物の物性に影響を及ぼさない程度の残存量まで抽出除去されてもよい。この為、乳化(分散)剤は、水溶性を有していることがより好ましい。
本発明の接着剤組成物において、コアシェルポリマー粒子(A)は一次粒子の状態で分散している。一次粒子の状態で分散していることは、例えば、接着剤組成物中で測定される該粒子の体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値が3以下であることによって確認することができる。この値は好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1.5以下である。接着剤組成物中で測定される粒子の体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値が3を超えている場合、その接着剤組成物には二次凝集体が多く含まれ、高い耐疲労特性の発現が困難になるなど、接着剤の物性が安定しないことになる。なお、体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて、上記の記載に準じて接着剤組成物中における粒子の体積平均粒子径(Mv)と個数平均粒子径(Mn)をそれぞれ測定し、体積平均粒子径(Mv)を個数平均粒子径(Mn)で除することによって求めることができる。
本発明の接着剤組成物におけるコアシェルポリマー粒子(A)の含有率は、好ましくは接着剤組成物100重量部に対し0.5~20重量部であり、より好ましくは3~15重量部であり、さらに好ましくは5~10重量部である。コアシェルポリマー粒子(A)の含有率が0.5重量部未満である場合は、コアシェルポリマー粒子(A)による接着剤組成物の高靭化効果が小さくなり、20重量部より大きい場合は、疲労破壊時に亀裂が接着剤層と基材との界面で伝播し、耐疲労特性が低下する場合がある。
(ポリマー粒子(B))
本発明の接着剤組成物では、コアシェルポリマー粒子(A)と共に、これと比較して粒径が大きいポリマー粒子(B)を含有する。ポリマー粒子(B)は接着剤組成物中および硬化後にも実質的にその形状が変化しない粒子であり、例えばポリマーアロイにより生成する海島構造の島部のように、配合比率や硬化条件で変化する類の配合物はポリマー粒子(B)に該当しない。また、ポリマー粒子(B)は、中空の構造を有しないポリマー粒子(即ち、粒子の内部に液体及び/又は気体を含む空洞を有しないポリマー粒子)であることが好ましい。このようなポリマー粒子を使用すると、各成分を配合・混合する時に衝撃を受けても粒子が破壊されにくく、一次粒子として分散させることが容易になるためである。以上のようなポリマー粒子(B)を配合することにより、粒子径の制御や粒子の含有率の制御が容易となり、接着剤の物性が安定する。
ポリマー粒子(B)を配合することにより、接着剤層と基材との界面と比較して、図3で示すように接着剤層内部のマトリックス樹脂とポリマー粒子(B)の界面において剥離が生じやすくなるため、接着剤層と基材との界面ではなく、接着剤層中に亀裂を誘起しやすくなる。その結果、疲労破壊時には界面破壊よりも凝集破壊が進行しやすくなる。しかし、図2に示すようにポリマー粒子(B)のみの配合では、接着剤層の靱性が低く、優れた耐疲労特性を達成できない。粒径が小さなコアシェルポリマー粒子(A)と、粒径が大きなポリマー粒子(B)の双方を配合することにより、相乗的に、耐疲労特性が向上する効果を達成することができる。
ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径は400nm~10000nmであり、500nm~8000nmであることがより好ましく、1000nm~6000nmであることがさらに好ましく、2000nm~4000nmであることが最も好ましい。ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径が400nm未満の場合は、マトリックス樹脂と該ポリマー粒子の界面での剥離が生じにくいため、接着剤層中に亀裂を誘起する効果が小さくなる。また、ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径が10000nmよりも大きい場合は、接着剤層中に亀裂を誘起するためにポリマー粒子(B)の含有量を増やす必要が生じ、高い耐疲労特性の発現が困難になる。ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径は、上述したコアシェルポリマー粒子(A)の体積平均粒子径と同様に測定することができる。
本発明に係るポリマー粒子(B)は、長期使用時の繰り返し応力を緩和するのに好適であることから、ポリマーから構成される粒子である。粒子の形状は特に限定されず、球状、平板状などいかなる形状の粒子であってもよい。ポリマー粒子(B)を構成するポリマーの種類としては特に限定されず、例えば、ゴム類、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリシロキサン、フッ素含有樹脂、コアシェルポリマーなどが挙げられる。マトリックス樹脂とポリマー粒子(B)との界面での剥離を確保できるような設計が容易であることから、ポリマー粒子(B)は、ポリオレフィン、ポリシロキサン、フッ素含有樹脂、コアシェルポリマー粒子であることが好ましい。ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられ、フッ素含有樹脂の具体例としては、例えばポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
ポリマー粒子(B)の好ましい態様であるコアシェルポリマー粒子の詳細は、コアシェルポリマー粒子(A)の詳細と同様であるため、記載を省略する。しかし、ポリマー粒子(B)は疲労破壊時にマトリックス樹脂と剥離することが発明の効果の観点から好ましいため、ポリマー粒子(B)の好ましい態様であるコアシェルポリマー粒子においては、シェル層が、マトリックス樹脂と反応する反応性基を有しないか、または、有していてもその量が少ないことが好ましい。具体的には、コアシェルポリマー粒子のシェル層を構成するポリマーに含まれる、反応性基を有する単量体単位の含有量は、ポリマー粒子(B)100重量部に対し0~5重量部であることが好ましく、0~4重量部であることがより好ましく、0~3重量部であることがさらに好ましく、0~2重量部であることが最も好ましい。前記反応性基、及び該反応性基を有する単量体は、上記と同様である。
本発明の接着剤組成物において、ポリマー粒子(B)は、コアシェルポリマー粒子(A)と同様、一次粒子の状態で分散している。一次分散していることは、コアシェルポリマー粒子(A)の場合と同様、接着剤組成物中で測定される該粒子の体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値が3以下であることによって確認することができる。体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の好ましい範囲や算出方法は、コアシェルポリマー粒子(A)に関する上記記載と同様である。
本発明の接着剤組成物におけるポリマー粒子(B)の含有率は、接着剤組成物100重量部に対し1~10重量部であることが好ましく、2~8重量部であることがより好ましく、3~6重量部であることがさらに好ましく、4~5重量部であることが特に好ましい。ポリマー粒子(B)の含有率が1重量部未満の場合は、ポリマー粒子(B)の添加により得られる効果が小さくなり、10重量部より大きい場合は、コアシェルポリマー粒子(A)による接着剤組成物の高靭化効果が発現しないほど接着剤組成物が脆化し、耐疲労特性が低下する場合がある。
本発明の接着剤組成物において、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)の重量比率は、(A):(B)=1:2~2:1であり、2:3~3:2であることが好ましく、4:5~5:4であることがより好ましく、1:1であることがさらに好ましい。1:2よりもポリマー粒子(B)の量が相対的に多い場合は接着剤組成物が脆化し、耐疲労特性が低下する。2:1よりもコアシェルポリマー粒子(A)の量が相対的に多い場合は、疲労破壊時に亀裂が接着剤層と基材との界面で伝播し、界面破壊となり、また、耐疲労特性が低下する。
以上述べた疲労試験後の破壊形式の特定については種々の方法があるが、本発明においては、せん断接着疲労試験後の試験片の破断面を目視で確認し、破断面の40%以上の領域で金属基材表面に接着剤が残存している場合を凝集破壊(CF)と評価し、40%未満の場合を界面破壊(AF)と評価する。目視以外の方法としては、疲労破壊した面を走査型電子顕微鏡の反射電子像で観察し、それにより得られた画像の各ピクセルをモノクロ255階調に分けて明度の分布を表し、階調が0~218までを接着剤、階調が219~255までを被着体として二値化し、接着剤層が残存している領域の割合を算出する方法も挙げられる。
(任意成分)
本発明の接着剤組成物には、取扱い性向上等のために、チキソ剤を配合してもよい。このようなチキソ剤としては特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、シリカ、微粒炭酸カルシウム、セピオライト等が挙げられる。チキソ剤は1種または2種類以上を組み合わせて使用することができる。チキソ剤を配合する場合、その配合量は、塗布作業性や接着強度の観点から、接着性樹脂100重量部に対して、10重量部以下とするのが好適である。また、チキソ剤としては、レーザ回折・散乱法によって測定した平均粒径が0.01μm~0.1μmの範囲内にある固体粒子を用いることが好ましい。この平均粒径が0.01μm未満では、接着剤組成物の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる恐れがあり、一方、0.1μmを超えると、塗布作業性や接着強度が低下する恐れがあるためである。
また、本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない程度に、組成物の粘性の調整や機械特性の向上等のために充填剤を配合することもできる。このような充填剤としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マグネシア、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、ジルコン、グラファイト、硫酸バリウム、クレー、マイカ、カオリン、ウォラストナイト、雲母、長石、閃長石(シエナイト)、緑泥石(クロライト)、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、バライト、ドロマイト、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、織物繊維、ガラス繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、リン酸塩、結晶シリカ、非晶シリカ、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕(微粉末)シリカ等のシリカ、ろう石、ケイ砂、クリストバライト、セルロース、セメント、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、中空セラミックビーズ、中空ガラスビーズ等の中空無機ビーズ、ポリエステル樹脂等による中空有機ビーズ、ガラスビーズ、金属粉末、瀝青物質等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散性等の点から、炭酸カルシウムが好適である。充填剤を配合する場合、その配合量は、塗布作業性や接着強度の観点から、接着性樹脂100重量部に対して、80重量部以下とするのが好適である。また、充填剤が粒子状である場合、レーザ回折・散乱法によって測定した平均粒径が0.05μm~500μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が0.05μm未満であると、接着剤組成物の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる恐れがあり、500μmを超えると、充填剤が沈降しやすく組成物の均一性が低下する可能性がある。
本発明の接着剤組成物には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、触媒、硬化促進剤、可塑剤、反応性希釈剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、染料、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、揺変性付与剤、接着付与剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、潤滑剤、摺動性付与剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤、分散安定剤、消泡剤、脱水剤、架橋剤、防錆剤、溶剤等を配合することができる。
本発明の接着剤組成物は、これら配合成分を公知の混合分散機、例えば、プラネタリーミキサー、ディスパー、ヘンシェルミキサー、ニーダー等で均質に混合攪拌することによって調製することができる。また、接着性樹脂とコアシェルポリマー粒子(A)の混合物と、接着性樹脂とポリマー粒子(B)の混合物それぞれを作製してから、両混合物を混合して本発明の接着剤組成物を調製してもよい。また、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)それぞれを、接着性組成物中で一次粒子として分散させるには、コアシェルポリマー粒子(A)及び/又はポリマー粒子(B)の分散液に対して、接着性樹脂を溶解した後、該分散液から分散媒(または溶媒)を留去することで達成することができる。
このようにして調製した本発明の接着剤組成物は、公知の方法、例えば、スプレー、ガン、刷毛塗り等の方法で被接着体に塗布される。加えて、塗布後にスポット溶接を併用して(ウェルドボンド工法)、被接着体の接合性を高めることも可能である。
本発明の接着剤組成物は高い耐疲労特性と接着信頼性を有するため、例えば、自動車や車両(新幹線、電車)、風力発電機、土木、建築、エレクトロニクス、船舶、航空機、宇宙産業分野等の構造部材の接着剤として用いることができる。このとき、電極等を使用したスポット溶接等の併用(ウェルドボンド工法)により、構造部位への高い接合強度を確保することができる。他にも、一般事務用、医療用、電子材料用の接着剤としても用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、試薬は特に規定の無いものは和光純薬製のものを使用した。
本発明で用いた評価方法について以下に説明する。
[1]体積平均粒子径(Mv)
水性ラテックスまたは樹脂組成物中に分散しているポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)はマイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。水性ラテックスについては脱イオン水で希釈したもの、樹脂組成物についてはメチルエチルケトンで希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水またはメチルエチルケトンの屈折率、およびそれぞれのポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6~0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
[2]せん断接着試験片作製
基材として厚み4mmのアルミ合金A2017Pを使用し、粒度100の研磨紙で研磨後、洗浄液で10分間超音波洗浄機にかけて脱脂した。スペーサーとして厚み1.0mmのアルミ板と厚み0.13mmのニトフロン(登録商標、PTFE)テープを用いた。図4で示すように、2枚の基材11と11′間に、スペーサーとして2枚のアルミ板12と12′及び2枚のニトフロンテープ13と13′を配置してこれらを積層し、形成された空間に接着剤組成物14を充填した。該接着剤組成物が硬化後、スペーサーを引き抜き、図5で示すように接着剤層15によって2枚の基材11と11′が接着した試験片を得た。
[3]せん断接着疲労試験
試験機として電気油圧サーボ式材料試験機((株)島津製作所、サーボパルサー)を用い、前記で得た試験片に周波数5Hzの正弦波振動を与え、最大応力10MPaで、試験片が破断するまでの振動数を計測し、破断サイクル数とした。
[4]疲労試験後の破壊形式の特定
せん断接着疲労試験後の試験片の破断面を目視で確認し、破断面の40%以上の領域で金属基材表面に接着剤が残存している場合を凝集破壊(CF)と評価し、40%未満の場合を界面破壊(AF)と評価した。
(製造例1)ゴムラテックスの調製
(製造例1-1)アクリルゴムラテックス(R-1)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及び、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.04重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)0.5重量部を仕込み、窒素気流中で撹拌しながら45℃に昇温した。次にn-ブチルアクリレート(BA)98重量部、アリルメタクリレート(ALMA)2重量部およびクメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.02重量部のモノマー混合物を5時間かけて滴下した。また、前記のモノマー混合物の添加とともに、1重量部のSDBSを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。モノマー混合物添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルゴム粒子を含むアクリルゴムラテックス(R-1)を得た。得られたラテックスに含まれるアクリルゴム粒子の体積平均粒子径は100nmであった。
(製造例1-2)ポリブタジエンゴムラテックス(R-2)の調製
耐圧重合機中に、水200重量部、リン酸三カリウム0.03重量部、EDTA0.002重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、及び、SDBS1.55重量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(Bd)100重量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03重量部、続いてSFS0.10重量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間経過後それぞれに、PHP0.025重量部を投入した。また、重合開始から4、6、8時間経過後それぞれに、EDTA0.0006重量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003重量部を投入した。重合開始から15時間経過後に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴム粒子を含むポリブタジエンゴムラテックス(R-2)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は80nmであった。
(製造例1-3)アクリルゴムラテックス(R-3)の調製
n-ブチルアクリレート(BA)7重量部にアリルメタクリレート(ALMA)0.35重量部、アクリル酸ステアリル(SMA)0.07質量部、及び、開始剤としてラウロイルパーオキサイド(LPO)0.17重量部を加え溶解し、温度を30℃に調整した後、脱イオン水14重量部にSDBS0.13質量部を溶解し温度を調整した溶液に混合後、ホモミキサーにて10000rpmの速度で10分間攪拌して乳化モノマー液を得た。
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及び、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水173質量部、SDBS0.3重量部、及び、1%亜硝酸ナトリウム水溶液0.008重量部を加え、窒素雰囲気下、30℃に調整した後、上記で得た乳化モノマー液を投入した。その後、温度を65℃に昇温し、BA83重量部とALMA4.15重量部のモノマー混合物を210分かけて連続的に添加した。前記のモノマー混合物の添加とともに、0.7重量部のSDBSを5重量%濃度の水溶液にしたものを210分にわたり連続的に追加した。モノマー混合物添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルゴム粒子を含むアクリルゴムラテックス(R-3)を得た。得られたラテックスに含まれるアクリルゴム粒子の体積平均粒子径は3000nmであった。
(製造例1-4)アクリルゴムラテックス(R-4)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及び、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、BA8.5重量部、ALMA0.17重量部、SDBS0.16重量部、CHP0.003重量部を脱イオン水220重量部に加え、さらに、EDTA0.0056重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.0014重量部、及びSFS0.06重量部を加えた後、温度を60℃に昇温し、BA91.5重量部とALMA1.87重量部、CHP0.03重量部のモノマー混合物を350分かけて連続的に添加した。前記モノマー混合物の添加後、SDBS0.15重量部を60分間隔で4回添加し、アクリルゴム粒子を含むアクリルゴムラテックス(R-4)を得た。得られたラテックスに含まれるアクリルゴム粒子の体積平均粒子径は300nmであった。
(製造例2)コアシェルポリマーラテックスの調製
(製造例2-1)コアシェルポリマーラテックス(L-1)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、前記アクリルゴムラテックス(R-1)196重量部(アクリルゴム粒子70重量部を含む)、及び、水65重量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、及びSFS0.2重量部を加えた後、メチルメタクリレート(MMA)22.5量部、グリシジルメタクリレート(GMA)7.5重量部およびt-ブチルハイドロパーオキシド(TBP)0.08重量部の混合物を110分間かけて連続的に添加した。TBP0.04重量部を添加し、さらに1時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー粒子を含む水性ラテックス(L-1)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマー粒子の体積平均粒子径は110nmであった。
(製造例2-2)コアシェルポリマーラテックス(L-2)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、前記ポリブタジエンゴムラテックス(R-2)241重量部(ポリブタジエンゴム粒子80重量部を含む)、及び、水65重量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、及びSFS0.2重量部を加えた後、MMA15重量部、GMA5重量部およびTBP0.08重量部の混合物を110分間かけて連続的に添加した。TBP0.04重量部を添加し、さらに1時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー粒子を含む水性ラテックス(L-2)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマー粒子の体積平均粒子径は110nmであった。
(製造例2-3)コアシェルポリマーラテックス(L-3)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、前記アクリルゴムラテックス(R-3)308重量部(アクリルゴム粒子90重量部を含む)、EDTA0.004重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、及びSFS0.2重量部を加えた後、MMA8重量部、GMA2重量部およびTBP0.08重量部の混合物を60分間かけて連続的に添加した。TBP0.04重量部を添加し、さらに30分間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー粒子を含む水性ラテックス(L-3)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマー粒子の体積平均粒子径は3000nmであった。
(製造例2-4)コアシェルポリマーラテックス(L-4)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、前記アクリルゴムラテックス(R-4)53.8重量部(アクリルゴム粒子17.6重量部を含む)、EDTA0.0058重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.0014重量部、及びSFS0.25重量部を加えた後、BA52.4重量部、ALMA1.05重量部、CHP0.015重量部を130分間かけて連続的に添加した。SDBS0.15重量部を60分間隔で3回添加した後に、MMA30重量部およびTBP0.08重量部の混合物を180分間かけて連続的に添加した。TBP0.04重量部を添加し、さらに30分間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー粒子を含む水性ラテックス(L-4)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマー粒子の体積平均粒子径は500nmであった。
(製造例3)コアシェルポリマー粒子(A)が1次粒子として分散しているエポキシ樹脂組成物の調製
(製造例3-1)コアシェルポリマー粒子(A)分散エポキシ樹脂組成物(M-1)の調製
30℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)126重量部を仕込み、撹拌しながら、コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-1)を126重量部投入した。均一に混合後、水200重量部を80重量部/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止し、浮上性の凝集体を含むスラリー液を得た。次に、凝集体を残し、液相350重量部を槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK150重量部を追加して混合し、コアシェルポリマー粒子が分散したMEK分散液を得た。このMEK分散液に、エポキシ樹脂であるビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(DGEBA、三菱化学製)jER828とjER1001の1:1混合物を、コアシェルポリマー粒子とエポキシ樹脂混合物が25:75の重量比となるように溶解し、MEKを減圧留去することで、コアシェルポリマー粒子(A)が一次粒子として分散したエポキシ樹脂組成物(M-1)を得た。
(製造例3-2)コアシェルポリマー粒子(A)分散エポキシ樹脂組成物(M-2)の調製
コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-1)を、コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-2)に変更した以外は製造例1と同様にして、コアシェルポリマー粒子(A)が一次粒子として分散したエポキシ樹脂組成物(M-2)を得た。
(製造例4)ポリマー粒子(B)が1次粒子として分散しているエポキシ樹脂組成物の調製
(製造例4-1)ポリマー粒子(B)分散エポキシ樹脂組成物(N-1)の調製
コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-1)を、コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-3)に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー粒子(B)が一次粒子として分散したエポキシ樹脂組成物(N-1)を得た。
(製造例4-2)ポリマー粒子(B)エポキシ樹脂組成物(N-2)の調製
コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-1)を、コアシェルポリマー粒子の水性ラテックス(L-4)に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー粒子(B)が一次粒子として分散したエポキシ樹脂組成物(N-2)を得た。
(実施例1~5および比較例1~5)
表1の「混合比」の欄に記載の配合量に沿って、エポキシ樹脂、コアシェルポリマー粒子(A)分散エポキシ樹脂組成物、ポリマー粒子(B)分散エポキシ樹脂組成物、及び、硬化剤を自転・公転ミキサー((株)シンキー製)で混合し、接着剤組成物を得た。なお、配合量は重量基準である。得られた接着剤組成物中でコアシェルポリマー粒子(A)およびポリマー粒子(B)が一次粒子として分散していることをマイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)で確認した。
各接着剤組成物100重量部に対するエポキシ樹脂、コアシェルポリマー粒子(A)、及び、ポリマー粒子(B)の配合量は、表1の「配合組成」の欄に記載のとおりである。各接着剤組成物を用いて疲労試験を行って測定または特定した破断サイクル数及び破壊形式の結果を、表1に示す。
Figure 0007184874000001
なお表1において示した各原料の詳細は以下のとおりである。
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER828およびjER1001、三菱化学社製)。
コアシェルポリマー粒子(A)分散エポキシ樹脂組成物:製造例3に記載。
ポリマー粒子(B)分散エポキシ樹脂組成物:製造例4に記載。
硬化剤:ジアミノジフェニルスルホン(DDS)(スミキュアS、住友化学社製)
実施例1~5は、それぞれ、エポキシ樹脂組成物において、適切な配合比率で、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)がともに一次粒子として分散しており、疲労試験における破断サイクル数が多く、耐疲労性が大きく向上し、かつ、疲労破壊時の破壊形式が凝集破壊(CF)であり、信頼性が高い接着剤組成物が得られたことが分かる。これは、図3に示したように、コアシェルポリマー粒子(A)によって接着剤層を高靭化すると共に、ポリマー粒子(B)によって接着剤層中に疲労破壊時の亀裂を誘起できるためと考えられる。
比較例1は、コアシェルポリマー粒子(A)、ポリマー粒子(B)いずれも含まないエポキシ樹脂組成物であり、比較例2及び3は、エポキシ樹脂組成物においてコアシェルポリマー粒子(A)が分散しているが、ポリマー粒子(B)を含まないものである。比較例2及び3では、比較例1と比較して、疲労試験における破断サイクル数が向上せず、また、疲労破壊時の破壊形式も比較例1と同様、界面破壊(AF)となった。これは図1に示したように、接着剤層中に亀裂が進展するには抵抗が大きく、界面破壊を誘起したためと考えられる。
また、比較例4はコアシェルポリマー粒子(A)を含まずポリマー粒子(B)が分散しているエポキシ樹脂組成物であり、比較例5は、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)双方が分散しているが、コアシェルポリマー粒子(A)に対するポリマー粒子(B)の配合比率が高いエポキシ樹脂組成物である。これらの比較例では、疲労破壊時の破壊形式は凝集破壊(CF)であったが、疲労試験における破断サイクル数が向上しなかった。コアシェルポリマー粒子(A)を含まない又はその配合比率が少ないため、接着剤層の靱性が向上しなかったためと考えられる。
(実施例6,7および比較例6,7)
表2の「混合比」の欄に記載の配合量に沿って、エポキシ樹脂、コアシェルポリマー粒子(A)分散エポキシ樹脂組成物、ポリマー粒子(B)、及び、硬化剤を自転・公転ミキサー((株)シンキー製)で混合し、接着剤組成物を得た。なお、配合量は重量基準である。得られた接着剤組成物中でコアシェルポリマー粒子(A)およびポリマー粒子(B)が一次粒子として分散していることをマイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)で確認した。
各接着剤組成物100重量部に対するエポキシ樹脂、コアシェルポリマー粒子(A)、及び、ポリマー粒子(B)の配合量は、表2の「配合組成」の欄に記載のとおりである。各接着剤組成物を用いて疲労試験を行って測定または特定した破断サイクル数及び破壊形式の結果を、表2に示す。
Figure 0007184874000002
なお表2において示した各原料の詳細は、以下に示したもの以外は、表1で示した各原料の詳細と同じである。
ポリマー粒子(B):
N-3:ポリプロピレン球状粒子、PPW-5(体積平均粒子径5μm、(セイシン企業社製)
N-4:ポリテトラフルオロエチレン球状粒子、ルブロンL-5(体積平均粒子径5μm、ダイキン社製)
N-5:ポリテトラフルオロエチレン球状粒子、ルブリカントL169J(体積平均粒子径17μm、旭硝子社製)
実施例6~7は、それぞれ、ポリマー粒子(B)を構成する材料を変更したものであるが、エポキシ樹脂組成物において、適切な配合比率で、コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)がともに一次粒子として分散しており、疲労試験における破断サイクル数が多く、耐疲労性が大きく向上し、かつ、疲労破壊時の破壊形式が凝集破壊(CF)であり、信頼性が高い接着剤組成物が得られたことが分かる。一方、比較例6は、体積平均粒子径が17μmと大きいポリマー粒子(B)を使用したエポキシ樹脂組成物であり、比較例7は、コアシェルポリマー粒子(A)に対するポリマー粒子(B)の配合比率が低いエポキシ樹脂組成物である。これらの比較例では、疲労試験における破断サイクル数が向上せず、また、疲労破壊時の破壊形式も界面破壊(AF)となった。
11 11′ 基材
12 12′ スペーサー(アルミ板)
13 13′ スペーサー(ニトフロンテープ)
14 接着剤組成物
15 接着剤層

Claims (6)

  1. 接着性樹脂、
    体積平均粒子径が10~300nmのコアシェルポリマー粒子(A)、及び
    体積平均粒子径が400nm~10000nmのポリマー粒子(B)を含有し、
    コアシェルポリマー粒子(A)のシェル層は、反応性基を有する単量体5~30重量%を含むシェル層形成用モノマーのポリマーから構成され、
    ポリマー粒子(B)が、ポリオレフィン粒子、ポリシロキサン粒子、フッ素含有樹脂粒子、又はコアシェルポリマー粒子であり、ポリマー粒子(B)がコアシェルポリマー粒子である場合、該コアシェルポリマー粒子のシェル層を構成するポリマーに含まれる、反応性基を有する単量体単位の含有量が、ポリマー粒子(B)100重量部に対し0~5重量部であり、
    コアシェルポリマー粒子(A):ポリマー粒子(B)の重量比率が1:2~2:1であり、
    コアシェルポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)それぞれが接着剤組成物中で1次粒子として分散していることを特徴とする接着剤組成物。
  2. ポリマー粒子(B)が中空の構造を有しないポリマー粒子である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. ポリマー粒子(B)がコアシェルポリマー粒子である請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記コアシェルポリマー粒子(A)のコア層、または、前記ポリマー粒子(B)のコア層が、
    (i)ジエン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体50重量%以上、及び、他の共重合可能なビニル単量体50重量%未満から構成されるゴム弾性体、
    (ii)ポリシロキサンゴム系弾性体、
    (iii)芳香族ビニル架橋体、または
    (iv)前記(i)~(iii)のうち2種以上の混合物からなり、
    前記他の共重合可能なビニル単量体が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸誘導体、(メタ)アクリル酸アミド誘導体、及び、マレイミド誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 前記コアシェルポリマー粒子(A)のシェル層に含まれる前記反応性基がエポキシ基を含む、請求項1~4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 前記接着性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、請求項1~のいずれかに記載の接着剤組成物。
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