JP7184223B1 - 圧延機の異常振動検出方法、異常検出装置、圧延方法および金属帯の製造方法 - Google Patents

圧延機の異常振動検出方法、異常検出装置、圧延方法および金属帯の製造方法 Download PDF

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Abstract

圧延機の周辺設備から生じるノイズ等による誤検出を防ぎ、精度よく異常振動を検出する。圧延機の異常振動検出方法は、圧延機の振動データを収集する収集ステップと、振動データの周波数解析を行い、第1解析データを生成する周波数解析ステップと、予め正常な状態に基づいて特定される基準データを主成分として用いて第1解析データの主成分分析を行い、第1解析データの基準データへの射影である評価データを生成する主成分分析ステップと、評価データと第1解析データとから外れ成分を抽出し、抽出した外れ成分から圧延機の異常を検出する異常振動検出ステップと、を備える。

Description

本発明は、鋼板を所定の板厚にする圧延機に生じる振動を検出する方法に関し、特に、鋼板表面に欠陥を生じさせる圧延機の異常振動を検出する方法、異常検出装置、圧延方法および金属帯の製造方法に関するものである。
一般的に、自動車や飲料缶等に使用される鋼板は、連続鋳造、熱間圧延及び冷間圧延を施され、焼鈍工程と鍍金工程とを経た後に、各々の用途に即して加工される。冷間圧延工程は、製品としての鋼板板厚を決定する最終工程である。鍍金前の鋼板表面が鍍金後の最終製品の表面を決定するため、冷間圧延工程で表面欠陥を防止する機能が求められる。
冷間圧延工程で発生する表面欠陥の一つに、チャタマークが挙げられる。チャタマークは、金属帯の幅方向に線状のマークが長手方向に周期的に現れる模様であり、主に圧延機の振動(チャタリング)により発生するとされている。また、チャタマークの発生原因の1つとして、支持ロールの多角形変形現象に起因することが知られている(非特許文献1参照)。非特許文献1には、圧延機に特定の条件が整ったとき、自励振動により支持ロールにチャタマークと同様の幅方向の筋模様が発生し、支持ロールのマークが新たな振動源となって大きな振動となり、鋼板にチャタマークが発生するというメカニズムが開示されている。
非常に軽度のチャタマークは、圧延後の目視検査や板厚測定等で判明せず、鍍金工程後に初めて判明するため、生産性を大きく阻害する要因となる。また、特に缶用鋼板や電磁鋼板等の薄物材料では、チャタリングによる板厚又は張力の急激な変動により、板が破断するなどの現象が発生し生産を阻害することが知られている。
従来から、生産性の阻害や表面欠陥の防止の観点から、種々のチャタリングの検出方法が開発されている(例えば特許文献1ないし3参照)。特許文献1には、圧延機に取り付けた振動検出器により振動を測定し、得られた振動および圧延パラメータを周波数解析し、振動発生要因ごとに発生し得る周波数の信号強度に基づいてチャタリングを判定する方法が記載されている。
特許文献2および3には、振動検出器が圧延機本体だけでなく、各スタンド間および冷間圧延機の入出側に配置され、一定角度以上金属板が巻きついているロール(小径ロール)に配置されている。そして、振動計によって得られた振動値の周波数解析が行われ、鋼板の弦振動周波数に一致した周波数において閾値を超えた場合に異常振動が発生していると判定する方法が開示されている。
特開平08-108205号公報 特開2016-153138号公報 特開2016-2582号公報
劉孝宏ら、「製鉄機械におけるバックアップロールの多角形化現象」 日本機械学会〔No.01-5〕 Dynamics and Design Conference 2001 CD-ROM論文集〔2001.8.6-9,東京〕
非特許文献1のように、支持ロールのチャタマークに起因する振動を早期に検出できれば、金属帯のチャタマークの発生を抑制することができる。しかしながら、特許文献1の場合、圧延機の周辺設備から生じるノイズ及び圧延機本体に設置された振動源から生じる振動も同時に検出してしまい、誤検出が発生する。また、特許文献2および3の場合、弦振動による振動の発生を抑制することができるが、それ以外を振動源とする振動を検出することが困難である。特に、連続式冷間圧延機(タンデム圧延機)では、スタンドごとに金属帯の搬送速度(圧延速度)が異なる。これにより、スタンドごとにワークロールの回転速度が異なり、複数の周波数の振動が重畳されることによって、チャタリングの検出がより困難になるという課題が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、チャタマークを発生させる異常振動を精度よく検出する圧延機の異常振動検出方法、異常検出装置、圧延方法および金属帯の製造方法を提供することを目的とするものである。
[1]1対のワークロールと前記ワークロールを支持する複数の支持ロールとを有する圧延機の異常振動検出方法であって、前記圧延機の振動データを収集する収集ステップと、前記振動データの周波数解析を行い、第1解析データを生成する周波数解析ステップと、前記第1解析データに対して、予め正常な状態に基づいて特定される基準データを主成分として用いて主成分分析を行い、前記第1解析データの前記基準データへの射影である評価データを生成する主成分分析ステップと、前記評価データと前記第1解析データとから外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する異常振動検出ステップと、を備えた圧延機の異常振動検出方法である。
[2]前記主成分分析ステップにおいて、前記基準データとして抽出する主成分は前記圧延機における圧延速度毎にそれぞれ設定されている[1]に記載の圧延機の異常振動検出方法である。
[3]前記周波数解析ステップは、周波数毎の振動強度を前記第1解析データとして生成するものであり、圧延速度に基づいて、前記第1解析データをピッチ毎の振動強度を示す第2解析データに変換するデータ変換ステップをさらに有し、前記主成分分析ステップは、前記第2解析データの主成分分析を行う[1]に記載の圧延機の異常振動検出方法である。
[4]前記主成分分析ステップにおいて、前記基準データとして抽出する複数の主成分は、正常な前記圧延機により圧延を行った際に取得した正常解析データを主成分分析したときに、主成分の寄与率の累積値が基準寄与率以上になるように設定されている[1]ないし[3]のいずれかに記載の圧延機の異常振動検出方法である。
[5]前記圧延機は、金属帯を冷間圧延する[1]ないし[4]のいずれかに記載の圧延機の異常振動検出方法である。
[6]1対のワークロールと前記ワークロールを支持する複数の支持ロールとを有する圧延機の異常検出装置であって、前記圧延機の振動データを収集するデータ収集部と、前記振動データの周波数解析を行い、第1解析データを生成する周波数解析部と、前記第1解析データに対して、予め正常な状態に基づいて特定される基準データを主成分として用いて主成分分析を行い、前記第1解析データの前記基準データへの射影である評価データを生成する主成分分析部と、前記評価データと前記第1解析データとから外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する異常検出部と、を備えた圧延機の異常検出装置である。
[7]上記の[1]ないし[5]のいずれかに記載の圧延機の異常振動検出方法を用いて、圧延機の異常を検出した場合に、前記圧延機の支持ロールを交換する支持ロール交換ステップを含む、圧延方法である。
[8]上記の[7]に記載の圧延方法を用いて、金属帯を製造するステップを含む、金属帯の製造方法である。
本発明によれば、主成分分析によって生成された評価データの外れ成分から金属帯にチャタマークを発生させる異常振動を評価する。これにより、圧延機の周辺設備から生じるノイズ等による誤検出を防ぎ、チャタマークを発生させる異常振動を精度よく検出することができる。その結果、異常振動を防止あるいは抑制した圧延機の操業を行うことができ、異常振動に起因して金属帯の表面に欠陥が生じることを防止もしくは抑制して、外観に優れた金属帯を製造することができる。
本発明の圧延機の異常検出装置が適用される圧延設備の一例を示す模式図である。 本発明の圧延機の異常検出装置の好ましい実施形態を示す機能ブロック図である。 主成分からの外れ成分を周波数毎に分けた発明例1のグラフである。 外れ成分を標準ピッチ毎に示す発明例2のグラフである。 振動強度に対する閾値を用いた比較例1,2を示すグラフである。 外れ成分を標準ピッチ毎に示す発明例3のグラフである。 振動強度に対する閾値を用いた比較例3を示すグラフである。 本発明の圧延機の異常検出装置の好ましい他の実施形態を示す機能ブロック図である。 本発明の圧延機の異常検出装置の好ましいさらに他の実施形態を示す機能ブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る圧延機の異常振動検出方法、異常検出装置、圧延方法および金属帯の製造方法について説明する。図1は本発明の圧延機の異常検出装置が適用される圧延設備の一例を示す模式図である。図1の圧延設備1は、例えば金属帯Sである鋼帯を冷間圧延する冷間圧延設備であり、4つの圧延機2A,2B,2C,2D(4スタンド)が圧延方向に沿って配置されている。各圧延機2A,2B,2C,2Dは、それぞれほぼ同一の構成を有しており、ハウジング3と、ハウジング3内に収容され、金属帯Sを圧延する1対のワークロール4と、ワークロール4を支持する複数の支持ロール5と、ワークロール4を回転駆動させる駆動装置6とを備える。また、圧延方向で各圧延機2A,2B,2C,2Dの下流側には、圧延される金属帯Sが掛け渡される小径ロール7がそれぞれ設置されている。
各圧延機2A,2B,2C,2Dのハウジング3には、振動計8A,8B,8C,8Dがそれぞれ取り付けられている。振動計8A,8B,8C,8Dは、それぞれ圧延機2A,2B,2C,2Dで発生する振動を計測するものであり、例えば加速度センサから成っている。なお、振動計8A,8B,8C,8Dは、圧延機2A,2B,2C,2Dの振動を検出できる位置に設置されるものであればハウジング3に限定されず、例えば各ロールチョック、もしくは、圧延される金属帯Sが掛け渡される小径ロール7等に設置されてよい。
具体的には、小径ロール7に振動計8A,8B,8C,8Dが設置される場合には、振動計8A,8B,8C,8Dにより取得される振動データは、金属帯Sの圧延方向で、前記振動計8A,8B,8C,8Dが設置された小径ロール7の上流側に配置される圧延機2A,2B,2C,2Dの振動と対応するとみなすことができる。本実施形態における圧延速度とは、圧延機2A,2B,2C,2Dにおけるワークロール4の周速度または圧延機2A,2B,2C,2Dの出側における金属帯Sの搬送速度(出側速度)をいう。圧延速度は、振動計8A,8B,8C,8Dが設置される圧延機2A,2B,2C,2D(以下の説明では、振動計8A,8B,8C,8Dが設置される箇所をスタンドと称する場合がある。)ごとに特定される。小径ロール7に振動計8A,8B,8C,8Dが設置される場合には、振動計8A,8B,8C,8Dによって取得される振動データは、その上流側に配置される圧延機2A,2B,2C,2Dの圧延速度と対応付けられる。また、本実施形態における標準圧延速度とは、圧延機2A,2B,2C,2Dに対して、それぞれ設定される任意の圧延速度である。標準圧延速度は、チャタリングが発生しやすい圧延機2A,2B,2C,2Dにおける圧延速度として経験的に認識される圧延速度を選択してよい。例えば、最終スタンド2Dの標準圧延速度として、チャタリングが発生しやすい圧延速度800m/min以上1300m/min以下の速度域から、900m/minを選択してよい。その場合、最終スタンド2Dより上流側の圧延機2A,2B,2Cにおける標準圧延速度は、最終スタンド2Dに対して設定した標準圧延速度を基準に、標準的に設定されるパススケジュールにしたがって、それぞれ設定すればよい。
図2は本発明の圧延機の異常検出装置の好ましい実施形態を示す機能ブロック図である。なお、図2の圧延機の異常検出装置10の構成は、例えばコンピュータ等のハードウェア資源によって構築される。圧延機の異常検出装置10は、チャタマークを発生させる圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動を検出するものであって、データ収集部11と、周波数解析部12と、主成分分析部13と、異常検出部15とを備える。また、異常検出装置10は、後述するデータ変換部14を備えてよい。
データ収集部11は、各振動計8A,8B,8C,8Dによって検出される振動データを収集する。振動計8A,8B,8C,8Dが加速度センサである場合、データ収集部11には、振動計8A,8B,8C,8Dから振動の加速度データが送られる。データ収集部11は、加速度データを連続的に取得する。そして、データ収集部11は取得した加速度データのうち、予め設定されたデータサンプリング時間(例えば0.2秒の期間)内に測定される加速度データを時間積分して速度データに変換し、これを各時刻つまりデータサンプリング時間毎における振動データとして収集する。その結果、振動データは時系列毎に並べられた振動速度になる。
また、データ収集部11は、例えばデータサンプリング時間として0.2秒間の測定及び振動データの算出を予め設定されたデータ取得周期(例えば1秒毎)で行う。連続式冷間圧延機におけるデータサンプリング時間は0.1秒以上1秒以下に設定することが好ましく、データ取得周期は、1秒以上5秒以下に設定することが好ましい。データサンプリング時間が0.1秒未満の場合には圧延機の振動を特定できるほどのデータが得られない可能性があり、1秒を超えると周波数解析等の計算負荷が高くなる可能性があるので、これらを避けるためである。また、データ取得周期が1秒未満の場合には、周波数解析等の計算負荷が高くなる可能性があり、5秒を超えると異常振動の検出を早期に行うのが困難になる可能性があるので、これらを避けるためである。なお、ここに示す例では、データ収集部11は、各振動計8A,8B,8C,8Dから振動データを収集する場合について例示しているが、各振動計8A,8B,8C,8Dのうちのいずれか1つの振動計8D(8A,8B,8C)から振動データを収集できるように構成されてよい。いずれかの振動計8D(8A,8B,8C)によって収集される振動データに基づいて、その振動計8D(8A,8B,8C)が設置される圧延機(スタンド)2D(2A,2B,2C)におけるチャタリングを確実に検出できるからである。なお、各振動計8A,8B,8C,8Dとしては、加速度センサだけでなく、これに替えて、振動を測定可能な位置センサや速度センサを用いてもよい。加速度、速度、変位のデータは、時間積分や時間微分により相互に変換できるからである。
周波数解析部12は、データ収集部11によりデータサンプリング時間内に収集された振動データを周波数解析し、周波数毎の振動強度からなる解析データ(以下、第1解析データと記す。)をデータ取得周期ごとに生成する。周波数解析部12は、例えばフーリエ変換によって周波数毎の振動速度の振幅及び位相を抽出し、各周波数における振動速度の振幅の絶対値を振動強度として抽出する。なお、デジタルデータのフーリエ変換後の周波数は、フーリエ変換するデータの数とサンプリング周波数とによって離散的な値となる。
本実施形態では、周波数解析部12が周波数解析を実行する周波数を複数設定し、これらを基準周波数と称する。基準周波数は、振動計8A,8B,8C,8Dのサンプリング周波数を基準として、サンプリング周波数の1/2以下の周波数帯から、複数の周波数を任意に選択してよい。サンプリング周波数とは、振動計が1秒間に振動(例えば加速度)を計測する回数をいい、使用する振動計の仕様によって異なる。本実施形態では複数の振動計8A,8B,8C,8Dのそれぞれのサンプリング周波数の中で最も低い振動計のサンプリング周波数を代表値として使用してよい。基準周波数は、サンプリング周波数の1/2以下の周波数帯から、20個以上1600個以下の周波数を選択するのが好ましい。基準周波数が20個未満では、チャタリングの発生を検知できない可能性があり、1600個を超えると周波数解析部12による計算負荷が高くなりすぎないようにデータ取得周期を長く設定する必要が生じて、チャタリングの発生を早期に検知できない可能性があるので、これらを避けるためである。基準周波数は、サンプリング周波数の1/2以下の周波数帯から、200個以上800個以下の周波数を選択するのがより好ましい。例えば、周波数解析部12は、振動計8A,8B,8C,8Dのサンプリング周波数を5120Hzとし、周波数5Hz以上2000Hz以下の範囲で5Hz毎(計400個)に基準周波数を設定し、基準周波数毎に振動強度を解析する。なお、周波数解析部12は、振動データを周波数毎の振動強度に解析できるものであればフーリエ変換に限定されず、ウェーブレット変換や窓フーリエ変換などの公知の周波数解析手法を用いることができる。その場合にも基準周波数の設定は上記と同じ方法を用いてよい。
主成分分析部13は、周波数解析部12で生成された第1解析データに対して正常な状態を示す基準データを用いた主成分分析を行い、評価データを生成する。評価データとは、観測データ(本実施形態では、第1解析データ)を主成分ベクトルにより構成される空間に射影することにより得られるデータをいう。すなわち、評価データは、観測データを複数の主成分ベクトルのそれぞれの方向に射影されたスカラー量により特定され、主成分ベクトルの数と同数のスカラー量の情報によって構成される。なお、周波数解析部12で生成された周波数毎の振動強度についての第1解析データをそのまま用いた場合、主成分分析部13は、周波数毎の振動強度からなる第1解析データの主成分分析を施し、予め特定されている第1主成分から第i主成分(基準データ)への射影として算出される評価データを生成する。主成分分析に適用する主成分ベクトル(基準データ)については、後述する。なお、「主成分分析」は、相関のある多数の変数から相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分と呼ばれる変数を合成する解析と、予め設定された主成分ベクトルにより構成される空間に対して、観測データの射影を算出する演算の両者の意味で使用される場合があるが、本実施形態の主成分分析部13が実行する主成分分析は後者の意味で用いられるものとする。すなわち、本実施形態における主成分分析部13は、予め設定された正常な状態を表す主成分ベクトル(基準データ)により構成される空間に対して、第1解析データの射影(評価データ)を算出する機能を備える。
主成分分析部13が行う主成分分析で用いる第1主成分から第i主成分(基準データ)は、圧延機2A,2B,2C,2Dが異常振動を発生していない正常時に得られた周波数毎の振動強度(基準振動データ)に基づき設定される。つまり、正常時に、データ収集部11で収集した振動データに対して周波数解析部12において、周波数解析を行って基準周波数毎の振動強度を示す基準振動データをデータ取得周期ごとに生成する。その基準振動データに対して、後述する主成分導出部16で主成分分析を行って基準データが生成される。なお、主成分導出部16が行う主成分分析は、相関のある多数の変数から相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルを合成する解析を意味する。圧延機2A,2B,2C,2Dが異常振動を発生していない正常時とは、標準圧延速度において、圧延機2A,2B,2C,2Dのいずれにおいても異常振動が発生していない状態をいう。なお、異常振動については後述する。
基準振動データは、例えば、支持ロール5が新品に交換されてから12時間以内の圧延時に測定された振動データに基づくものである。基準振動データは、異常振動が生じない正常な振動挙動を解析したデータとして、正常解析データと称される場合がある。また、基準振動データは、支持ロール5が新品に交換されてから24時間以内の圧延時に測定された振動データに基づいてよい。支持ロール5が多角形形状に摩耗するまでには、少なくとも2日以上を要し、異常振動は支持ロール5が新品に交換されてから2日間程度は発生しないことが経験的に分かっているからである。基準振動データを取得する際のデータサンプリング時間は、操業中(支持ロール5が新品に交換されてから24時間を経過した以降)に異常検出を行う場合のデータサンプリング時間と同一に設定するのが好ましい。データ取得周期については、基準振動データを取得する場合と、操業中の振動データを取得する場合とで、異なった周期に設定してもよい。
基準振動データは、データサンプリング時間内で取得される周波数毎の振動強度を一つのデータセットとして、正常時に取得されるデータ取得周期ごとに複数生成される。したがって、基準振動データは複数のデータセットを有している。基準振動データに含まれるデータセットの数は30,000個以上200,000個以下が好ましい。このようにして取得した基準振動データを用いて、後述する主成分導出部16において、基準周波数を変数として相関のある複数の基準振動データを相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルを特定する主成分分析により第1主成分から第i主成分が決定され、これを基準データと称する。
なお、このようにして決定される、正常時における基準周波数毎の振動強度を用いて算出される基準データを、以下では第1基準データとよぶことがある。具体的には、主成分空間において基準振動データの特徴量を代表する第1主成分の寄与率から寄与率の高い順に累積して累積値を算出し、算出した寄与率の累積値(累積寄与率)が予め設定した値に達する条件からi個の主成分を基準データとして選択する。ここでは、予め設定する累積寄与率を、基準寄与率または設定寄与率と称する。本実施形態における基準寄与率は、チャタマークの発生実績に基づき、1(100%)以下の数値から任意に設定できる。通常のタンデム圧延機では、基準寄与率は0.4(40%)以上0.7(70%)以下で設定するのが好ましく、より好ましくは0.6(60%)以上0.7(70%)以下である。基準寄与率は、基準振動データの振動挙動を主成分空間上で再現する程度(再現性)に影響を与える指標である。基準寄与率が大きすぎると、基準振動データの振動挙動を主成分空間上で精度よく再現できるものの、基準振動データに含まれる計測ノイズなども主成分空間上で再現されてしまう。一方、基準寄与率が小さすぎると、基準振動データに含まれる計測ノイズの影響を排除できるものの、基準振動データの振動挙動に関する特徴が主成分空間において失われる傾向が現れる。基準寄与率の好適な範囲は、使用する圧延機や鋼板の圧延条件に依存するものの、タンデム圧延機の異常振動を検出する目的からは上記範囲に設定するのが好ましい。
基準データの導出にあたっては、図8に示すように、圧延機の異常検出装置10の周波数解析部12において生成した基準振動データ(正常解析データ)を用いて主成分を導出する主成分導出部16を備えるようにしてよい。主成分導出部16は、相関のある複数の基準振動データを相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルを特定する解析を行う。主成分導出部16で得られた第1主成分から第i主成分は主成分分析部13に送られて、主成分分析部13により操業中に取得される解析データ(具体的には、第1解析データや後述する第2解析データ)の第1主成分から第i主成分への射影(評価データ)を算出するようにしてよい。また、予め圧延機2A,2B,2C,2Dにおいてチャタマークが発生しやすい周波数が分かっている場合には、主成分導出部16における主成分の導出にあたって、その周波数と同程度の周波数を予め複数選択し、主成分分析部13における主成分分析に用いる変数の数を減じてもよい。
異常検出部15は、主成分分析部13が生成する評価データに基づいて異常振動の発生を判定するものである。具体的には、異常検出部15は、解析データ(具体的には、第1解析データや後述する第2解析データ)の、主成分分析部13が生成した解析データの第1主成分から第i主成分に対する射影(評価データ)との差分を算出し、これを外れ成分として特定する。基準データは正常時の振動データの特徴量を代表するデータを示しているため、異常振動は基準データから外れる方向に現れる。そして、主成分分析部13により操業中に取得される解析データの基準データ(第1主成分から第i主成分)から外れる度合いである外れ成分を監視することで、異常振動の判定を行うことができる。外れ成分はQ統計量と呼ばれることがある。さらに、異常検出部15は、外れ成分から異常振動を判定するための閾値を有し、外れ成分が閾値以上である場合、異常振動が発生していると判定する。異常検出部15に用いる閾値は、過去の操業実績に基づき、チャタマークが発生しない条件で得られた振動強度の実績値に基づいて設定することができる。
上述した主成分分析部13は、周波数毎の振動強度を示す第1解析データに対して主成分分析を行う。一方、異常振動は、後述する回転体の一周ピッチで発生する振動である場合が多く、チャタマークは支持ロール5の回転に起因した異常振動により発生することがある。圧延機2A,2B,2C,2Dを構成する機器の回転運動に対応した異常振動の周波数は圧延速度によって変化する。よって、主成分分析部13には、圧延速度毎にそれぞれ評価データとして抽出する解析データの第1主成分から第i主成分への射影が算出されているのが好ましい。さらに、圧延機2A,2B,2C,2Dに異常振動が生じていない正常状態において、圧延速度毎に基準振動データを取得して、主成分導出部16により圧延速度毎に基準データを生成するのが好ましい。これにより異常検出部15では、圧延速度毎に正常時と異常時との差異を明確に識別しやすくなり、異常検出の精度が向上する。評価データの区分は、圧延機2A,2B,2C,2Dの最高速度を基準として5段階以上20段階以下程度に圧延速度を区分して、それぞれの圧延速度域に対して評価データを生成するのが好ましい。
一方、圧延速度が異なる場合であっても、同一の指標で異常の発生を評価することが好ましい。そこで、圧延機の異常検出装置10は、圧延速度に基づいて周波数をピッチに換算し、第1解析データをピッチ毎の振動強度(第2解析データ)に変換するデータ変換を行うデータ変換部14をさらに備えていてよい。データ変換部14は、振動計8A,8B,8C,8Dが設置される圧延機2A,2B,2C,2Dごとに、基準周波数に対応する振動強度の第1解析データをピッチ毎の振動強度を示す第2解析データに変換する(データ変換ステップ)。ここで、本実施形態におけるピッチとは、振動の周波数に対応付けられた、金属帯Sの長手方向の距離または圧延機2A,2B,2C,2Dのワークロール4の周方向距離に対応する指標である。つまり、ピッチとは、データ変換部14での上述したデータ変換の結果、金属帯Sの長手方向やワークロール4の周方向で、互いに隣接することになった振動ピークの間隔を意味する。具体的には、ピッチP(mm)は、圧延速度V(m/min)と振動の周波数f(Hz)を用いて、以下の式により関係づけられる。
P=(1000×V)/(f×60) ・・・(1)
データ変換部14には、標準圧延速度に対応するピッチとして標準ピッチが記憶されている。標準ピッチとは、周波数解析部12が実行する周波数解析の基準周波数fと、標準圧延速度Vとを用いて、上記の(1)式から計算されるピッチをいう。このようにして設定される標準ピッチは、基準周波数に対応する複数の離散的な数値列である。本実施形態で標準ピッチを用いる理由は以下の通りである。すなわち、圧延機2A,2B,2C,2Dにより金属帯Sを圧延する場合の圧延速度は、必ずしも一定ではなく、1つの金属帯Sを圧延する際にも金属帯S内で圧延速度が変化する。そのため、同一のピッチで生じる振動であっても、圧延速度が異なると、異なる周波数の振動として計測される。この場合、複数の周波数帯の振動が重畳していると、圧延速度が変化した場合に、振動の原因が同一のものか否かが明確には把握できなくなる。そこで、同一の振動源から発生し、圧延速度に応じて異なる周波数で観測される振動現象を、統一した指標を用いて評価するために標準ピッチを設定する。すなわち、一定のピッチで発生する振動源に対して、圧延速度が異なるために異なった周波数の振動として観測される振動挙動を、標準圧延速度に対応する振動挙動に換算し、これをピッチごとの振動強度として表したものである。これにより、実際に操業中に取得される任意の圧延速度における振動強度を、標準ピッチに対応する振動強度という一定の指標により評価することができる。
そして、データ変換部14は、内挿又は外挿等のデータ補間を行うことにより、操業中の圧延速度を用いて基準周波数毎の振動強度(第1解析データ)を標準ピッチ毎の振動強度(第2解析データ)に変換する。このとき、内挿は線形内挿を用いることができ、周波数成分が「0」の直流成分に関しては「0」として内挿する。また外挿となる周波数に関してはすべて「0」とおく。これにより、金属帯毎に圧延速度が異なっていても、異常が発生している周波数を標準ピッチという一定の指標で評価できる。なお、以降では、特定のピッチに対応した振動の異常を判定する観点から、「ピッチ」という場合は、基準周波数と標準圧延速度により対応付けられた「標準ピッチ」の意味として用いる。すなわち、特に断らない限り、「ピッチ」は「標準ピッチ」と同義であるものとする。
ここで、圧延機2A,2B,2C,2Dに設置した振動計8A,8B,8C,8Dにより計測される振動について説明する。振動計8A,8B,8C,8Dでは、ワークロール4などの回転に起因した振動と、圧延機2A,2B,2C,2Dの固有周期の振動とが重畳されて計測される。前者による振動は圧延速度に応じて変化し、後者による振動は圧延速度に依存しない振動として計測される。そのため、圧延速度が変化すると、ワークロール4などの回転に起因した振動については、振動計8A,8B,8C,8Dにより計測される振動の周波数が変化する。一方、圧延機2A,2B,2C,2Dの固有周期の振動に対応する振動強度については、振動の周波数には大きな変化がないものの、振動強度の大きさ(振幅)が変化する場合が多い。このような圧延機の振動の特徴から、特定の周波数に着目して、その周波数における振動強度に基づいて圧延機の異常振動を検出する方法では、圧延機2A,2B,2C,2Dの固有周期の振動に対応した異常を検出することができても、圧延機2A,2B,2C,2Dにおけるワークロール4、支持ロール5、およびそれらの軸受部などの回転体に関連する異常を検出するのが困難な場合があった。これに対して、本実施形態は、圧延速度が異なる場合であって、標準ピッチ毎の振動強度に換算するので、特定のピッチで発生するような回転に起因した振動系の異常を検知することが容易になる。
異常検出装置10に、データ変換部14と主成分導出部16の両者を含む実施形態を図9に示す。周波数解析部12が生成する周波数と振動強度との関係を表す第1解析データは、データ変換部14により上記の(1)式を用いてピッチと振動強度からなる第2解析データに変換される。一方、図9に示す主成分導出部16は、データ変換部14が正常時における周波数毎の振動強度(基準振動データ)から生成したピッチと振動強度からなる複数の第2基準振動データを用いて、相関のある多数の変数から相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルを合成する解析を実行する。図9に示す主成分導出部16において、ピッチを変数として相関のある複数の第2基準振動データを相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルとして特定される第1主成分から第i主成分を、基準データとして算出する。以下では、第2基準振動データに基づいて算出される基準データを第2基準データと称する。図9に示す主成分導出部16で得られた第2基準データは、主成分分析部13に送られて、主成分分析部13により操業中に取得される第2解析データの第1主成分から第i主成分への射影(評価データ)を算出するようにしてよい。以下では、第2解析データの第2基準データへの射影として算出される評価データを、第2評価データと称する。
そして、主成分分析部13では、主成分導出部16から取得した第2基準データ(第1主成分から第i主成分)と、データ変換部14から取得したピッチと振動強度の関係を表す第2解析データとから、操業時の第2解析データの第2基準データへの射影を第2評価データとして生成する。そして、異常検出部15では、ピッチ毎の振動強度からなる第2解析データと、主成分分析部13が生成した第2評価データとの差分(外れ成分)を算出し、算出した外れ成分が予め設定した閾値以上である場合、異常振動が発生していると判定する。
図1及び図2を参照して本発明の圧延機の異常振動検出方法および異常検出装置10の作用について説明する。金属帯Sの冷間圧延が行われる際すなわち圧延設備1の操業時において、圧延機2A,2B,2C,2Dの振動データが振動計8A,8B,8C,8Dによって測定され、データ収集部11で収集される(収集ステップ)。収集ステップでは、データ取得周期ごとに、データサンプリング時間のデータが収集される。振動計8A,8B,8C,8Dとして加速度センサを用いる場合には、各振動計8A,8B,8C,8Dが取得した加速度の時系列データを振動速度の振動データに変換する。収集された振動データは、周波数解析部12によって周波数解析され、第1解析データが生成される(周波数解析ステップ)。周波数解析部12は、周波数と振動強度の関係からなる第1解析データをデータ取得周期ごとに生成する。ただし、データ変換部14を備える場合には、第1解析データはピッチと振動強度との関係を示す第2解析データに当該データ変換部14で変換される。
第1解析データは、主成分分析部13によって主成分分析され、予め導出された基準データ(第1基準データ)への射影として評価データが生成される(主成分分析ステップ)。主成分分析部13が実行する主成分分析は、予め設定された主成分ベクトルにより構成される空間に対して、第1解析データの射影を算出する演算を行うものである。その後、周波数毎の振動強度からなる第1解析データと、第1解析データの第1主成分から第i主成分(第1基準データ)に対する射影つまり評価データとの差分(外れ成分)が異常検出部15で算出され、外れ成分が予め設定された閾値以上の場合、圧延機2A,2B,2C,2Dに異常振動が生じていることを検出する(異常振動検出ステップ)。
一方、データ変換部14を備える場合には、データ変換部14において第2解析データが生成され、主成分分析部13に送られる。この場合には、主成分分析ステップにおいて、第2解析データが、主成分分析部13によって主成分分析され、予め導出された基準データ(第2基準データ)への射影として第2評価データが生成される。主成分分析部13が実行する主成分分析は、第2基準データからなる主成分ベクトルにより構成される空間に対して、第2解析データの射影を算出する演算を行うものである。その後、異常振動検出ステップにおいて、ピッチ毎の振動強度からなる第2解析データと、第2解析データの第1主成分から第i主成分(第2基準データ)に対する射影つまり第2評価データとの差分(外れ成分)が異常検出部15で算出され、外れ成分が予め設定された閾値以上の場合、圧延機2A,2B,2C,2Dに異常振動が生じていることを検出する。
上記実施の形態によれば、チャタマークを発生させる圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動を、精度よく検出することができる。つまり、設備本来が持つ特性、たとえば圧延機2A,2B,2C,2Dの歯車のかみ合いにより自然に発生する振動成分や、圧延機2A,2B,2C,2Dのベアリングの振動特性を正常時の基準振動データの特徴量を代表する主成分として特定しておくことで、異常のある振動のみを際立たせる解析が可能となる。
圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動は、圧延機2A,2B,2C,2Dの固有振動やベアリング不良、ギアのかみ合い、カップリング不良、もしくはがたつき等による機器の回転に起因する振動が多い。このため、従来の異常振動の検出は、特定周波数の振幅がある一定の閾値を超えるか否かにより行われている。一方、チャタマークが発生する場合、チャタマークの発生前からチャタマークのピッチに相当する周波数に微小な振動が発生しており、時間が経つごとに成長していく。すなわち、はじめに設備起因の微小な振動が発生し、その後に金属帯Sの表面にチャタマークが発生する。しかしながら、実際の操業中には、金属帯Sごとにも定常圧延速度が変化する。そのため、予め設定した特定の周波数に着目していただけでは異常振動に至る前の微小な振動を検知することが困難であった。これに対して、本実施形態では、振動強度が増加する周波数またはピッチを操業中に認識できるので、いずれの周波数帯で異常振動が生じても、その状況を早期に検出できる。その結果、異常振動を防止あるいは抑制した圧延機の操業を行うことができ、異常振動に起因して金属帯の表面に欠陥が生じることを防止もしくは抑制して、外観に優れた金属帯を製造することができる。
さらに、チャタマークが発生する原因となる異常振動の振動源を調査した結果、チャタマークが発生する際に、チャタマークと同一ピッチの微細マークが上下どちらかの支持ロール5の表面に発生する場合(例えば支持ロール5が多角形形状に摩耗する場合)があることが分かった。そして、支持ロール5の微細マークが所定の圧延速度で圧延機2A,2B,2C,2Dと共振を引き起こし、徐々に明瞭になっていくと同時に、圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動が大きくなっていく。
支持ロール5の微細マークのピッチは、圧延速度によっては変化しない。支持ロール5の微細マークは圧延機2A,2B,2C,2Dの組み入れ前には見えず、予めチャタマークの波長(ピッチ)や周波数を予測することはできない。また、振動データにはベアリングやギアのかみ合い周波数等、一定波長の振動を発生させる多くのほかの要因の振動も加わっており、初めから明瞭なチャタマークの振動ピークを得られることはない。
そこで、振動データを周波数解析し、その時刻における周波数もしくは標準ピッチと振動強度との関係を求め、主成分分析の手法を用いてチャタマークの振動ピークをその他の振動要因から峻別し、異常振動の検出が行われるようにする。これにより、チャタマークを発生させる圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動を、精度よく検出することができる。
さらに、上記の圧延機2A,2B,2C,2Dの異常振動検出方法を用いて、異常振動を検出した場合に、圧延機2A,2B,2C,2Dの支持ロール5など圧延機の異常振動の原因となっている回転体を交換するように構成してよい(支持ロール交換ステップ)。これにより、複数の金属帯Sを長期間圧延する場合でも、いずれかの周波数またはピッチにおいて発生する異常振動を防止した圧延の操業を実現できる。また、このような圧延により、金属帯Sの表面にチャタマークが生じない、あるいは、チャタマークの発生を抑制することができ、外観に優れた金属帯Sを製造することができる。一方、特定の周波数またはピッチで異常振動が発生することが経験的に分かっている場合には、前記特定の周波数毎またはピッチ毎の外れ成分の実績データを予め取得しておき、その実績データに基づいて、金属帯Sの製品としての出荷基準を満たすことのできる外れ成分の閾値を設定すればよい。そして、設定した外れ成分の閾値を用いて、上記異常検出部15において、異常振動を検出した場合には、圧延設備1の操業を一旦停止し、異常振動が発生した圧延機2A,2B,2C,2Dの支持ロール5など圧延機の異常振動の原因となっている回転体を交換するようにしてもよい。これにより、複数の金属帯Sを長期間圧延する場合でも、特定の周波数またはピッチにおいて発生する異常振動を防止した圧延の操業を実現できる。
以下に本発明の作用・効果を確認するために行った実施例1を示す。4スタンドからなる圧延設備(タンデム圧延機)を用い、各スタンドのハウジングに振動計を取り付けた。サンプリング周波数は4000Hzを用いており、基準周波数は、周波数0Hz以上2000Hzの間で5Hzごとに設定した。データ収集部11は、データサンプリング時間0.2sec、データ取得周期1secの条件で、データ取得周期ごとに振動速度の強度を取得し、周波数解析部12へ出力した。供試材は低炭素鋼から成る金属帯(以下、鋼板と記す。)であり、当該鋼板を実施1の発明例1および2、比較例1および2ごとに、それぞれ用意した。上記の鋼板の圧延方向(進行方向)で圧延設備の入側厚みは2.0mm以上5.5mm以下、出側厚み0.5mm以上2.4mm以下、鋼板幅は700mm以上1700mm以下に設定されている。
この鋼板を圧延したときの振動データを収集し、チャタマークの発生したタイミングの振動データを、収集した振動データを記憶した記憶装置から抽出した。チャタマークの判定は、圧延機の振動強度を用いた判定すなわち、本発明例を含み、圧延機に設置した振動計の出力に基づいて異常振動を判定する方法と、圧延後に合金化亜鉛鍍金を施した鋼板に砥石掛け検査を行い、振動周波数のピッチのチャタマークを目視による判定とによって行った。砥石掛け検査では、合金化溶融亜鉛鍍金後の鋼板に対して、10N以下程度の軽い押し付け力にて砥石を押し付けて圧延方向に人力で研磨し、その際に鋼板の進行方向の縞模様をチャタマークとして目視できるかを評価した。なお、チャタマークが発生した圧延機は、いずれも最終スタンド(第4スタンド)であったことが、第4スタンドの支持ロール5に残された模様(微細マーク)から確認された。その評価結果を表1に示す。
Figure 0007184223000001
表1において、「振動強度を用いたチャタマーク判定」の欄には、圧延機の振動強度を用いた判定結果として、圧延機の異常振動が発生したと判定された場合に「×」、圧延機の異常振動が発生しなかったと判定された場合に「〇」と表記した。一方、「目視でのチャタマーク判定」の欄には、砥石掛け後の合金化溶融亜鉛鍍金鋼板の表面に、目視でチャタマークを発見した場合には「×」、目視でチャタマークがないと判定された場合に「〇」と記載している。この場合、チャタマークは鋼板の品質異常であることから、目視でチャタマークが検出された条件では、圧延機の異常振動が発生したことになる。また、「振動強度を用いたチャタマーク判定」の欄には、チャタマークが検出された場合に、括弧書きで振動周波数またはピッチを記載している。チャタマークを検出した場合の振動周波数としては、振動強度が予め設定された閾値を超えた場合の周波数を記載した。チャタマークを検出した場合のピッチとしては、異常検出部15において外れ成分が予め設定された閾値を超えた場合のピッチを記載した。これと同様に、「目視でのチャタマーク判定」の欄に、チャタマークが発見された場合に、括弧書きで振動周波数またはピッチを記載している。チャタマークを発見した場合のピッチとしては、目視により観察された縞模様のピッチを記載した。チャタマークを発見した場合の周波数としては、目視により測定された縞模様のピッチを、鋼板の当該部分すなわちチャタマークが当該チャタマークの発生した最終スタンド(第4スタンド)を通過するときの圧延速度の実績値を用いて、異常振動の周波数に換算した結果を記載した。
表1の発明例1は、最終スタンド(第4スタンド)のハウジングに振動計を設置し、周波数解析部12により第1解析データを生成した後、主成分分析部13における主成分分析を用いて第1基準データを変数とする評価データを算出した。また、異常検出部15において、第1解析データの評価データとの差分である外れ成分を算出した後、周波数毎の外れ成分に対して、予め設定された閾値に基づいてチャタマークの有無を判定したものである。一方、主成分(第1基準データ)は、主成分導出部16を用いて、支持ロール5を交換してから2日程度経過した後の正常時に測定した1日分の振動データから算出した基準振動データに対して、相関のある多数の変数から相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルを合成する主成分分析を実行することにより、第1基準データを算出した。なお、主成分ベクトルは、寄与率の高い順に10個の主成分を選択した。
これに対して、表1の発明例2は、図9に示すデータ変換部14と主成分導出部16の両者を含む異常検出装置10を用いた例である。先ず、正常時に取得した基準振動データから、データ変換部14によりピッチと振動強度の関係に変換した第2基準振動データを生成した。主成分導出部16では、第2基準振動データを相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分ベクトルである第2基準データを導出した。そして、主成分分析部13による主成分分析により第2基準データを変数とする第2基準振動データについての第2評価データを算出した。異常検出部15では、第2解析データの第2評価データとの差分を外れ成分として算出した後、ピッチ毎の外れ成分に対して、予め設定された閾値に基づいてチャタマークの有無を判定した。なお、発明例2についても、主成分導出部16では、寄与率の高い順に10個の主成分を選択し、これらを第2基準データとした。
また、主成分導出部16が行う主成分(第1基準データおよび第2基準データ)の導出は、種々の圧延速度から得られた基準振動データについて、圧延速度を50m/min毎に区分してそれぞれの圧延速度に対して行った。発明例1は周波数毎の振動強度からなる第1解析データに対して第1基準データを用いて主成分分析を行ったものであり、発明例2は、第2解析データに対して第2基準データを用いて主成分分析を行ったものである。
一方、比較例1,2は、第4スタンドのハウジングに振動計を設置し、主成分分析を行わずに周波数解析部12が出力する周波数毎の振動強度からなる第1解析データについて閾値を変更して判定を行ったものである。この場合、比較例1,2は、同一の圧延速度において、チャタマークが発生した場合に取得された第1解析データと、チャタマークが発生しなかった場合に取得された第1解析データに対して、異なる閾値を用いて異常振動の判定を試みた例である。すなわち、比較例1は異常振動を判定するための振動強度に関する閾値をFref1とし、比較例2は異常振動を判定するための振動強度に関する閾値をFref2とした。
図3は、異常検出部15において算出された外れ成分を周波数毎に示す発明例1のグラフであり、図4は、外れ成分を標準ピッチ毎に示す発明例2のグラフである。なお、図3では、圧延速度が変化すると外れ成分のピーク位置も変化するため、圧延速度14m/secにおける外れ成分を示している。図4も、これに合わせて圧延速度14m/secにおける外れ成分を示している。図3及び図4より、主成分分析によって解析データ(第1解析データおよび第2解析データ)の主成分(第1基準データおよび第2基準データ)への射影を算出し、異常検出部15において第1解析データおよび第2解析データに対応した外れ成分を算出することによりチャタマークを発生させる異常振動とチャタマークを発生させない通常振動が明瞭に区別され、適切な設定閾値Frefを設定することによりチャタマークを生じさせる異常振動の有無を精度よく判定できた。
図5は、周波数解析部12が出力する周波数毎の振動強度を示す第1解析データを用いて異常判定を行った比較例1,2を示すグラフである。なお、図5では、圧延速度が変化すると振動強度のピーク位置も変化するため、圧延速度14m/secにおける周波数解析結果を示している。比較例1の場合、チャタマークが発生している場合であっても、異常振動の振動強度が閾値Fref1まで達せず、異常振動を捕らえることができなかった。一方、比較例2として、閾値Fref2の値を用いた場合、異常振動の振動強度は検出できるものの、チャタマークが発生していない場合においても、つまりチャタマーク以外に起因する振動の周波数が発生している場合においても、閾値Fref2を超える振動強度があり、異常振動の誤検知を引き起こす結果となった。
これは、周波数毎の振動強度は、タンデム圧延機の各スタンドにおいて発生する種々の振動が重畳されているため、チャタマークが発生した場合と発生しなかった場合とを判別することが困難なためである。確かに、周波数530Hz近傍でチャタマークが発生した場合とチャタマークが発生しなかった場合とで、振動強度に差異がみられる。しかしながら、上述した差異に基づいてチャタマークを検出するためには、予め530Hz近傍の周波数を設定し、その周波数帯に対応した閾値を設定する必要がある。また、そのような設定を予め行っておくことは困難である。そのため、実際には、チャタマークの発生を精度よく検出することが困難であった。結局、従来は、比較例1,2のように、予め振動強度に関する閾値を試行錯誤により変更して金属帯の圧延を行わざるを得ず、チャタマークの見逃し率が10件/月程度生じていた。これに対して、上記した発明例1による異常判定を行ったところ、チャタマークの見逃し率が1件/月まで減少した。
また、表1に示す結果からは、主成分分析ステップと異常振動検出ステップとを含む発明例1,2では、「振動強度を用いたチャタマーク判定」と、「目視でのチャタマーク判定」との評価結果が一致した。これにより、圧延機の異常振動に関する判定を、従来のように金属帯を圧延した後に目視によりチャタマークを検査することにより行う必要がなくなり、圧延設備の操業中にオンラインで圧延機の異常振動を判定が可能となった。
以下に本発明の実施例2として行った発明例3および比較例3を示す。本実施例2で対象とする設備は5スタンドからなるタンデム圧延機であり、各スタンドのハウジングに振動計を取り付けた。基準周波数の設定をはじめとするデータ採取方法等は実施例1と同様である。実施例2においても、チャタマークが発生したスタンドは最終スタンド(この場合は、第5スタンド)であった。そのため、第5スタンドの作業側ハウジングに設置された振動計データを用いて圧延機の異常検出を行った。比較例3では、第5スタンドの作業側ハウジングに設置された振動計の振動データから算出された周波数毎の振動強度に対して、閾値を変更しながらチャタマークの判定を試みた。その結果を表2に示す。なお、表2の「〇」、「×」及び括弧書きの意味は表1と同一である。
Figure 0007184223000002
図6は、外れ成分を標準ピッチ毎に示す発明例3のグラフである。発明例3における第2基準データの導出は、支持ロール5の交換後、1週間程度経った後に測定した1日分の振動データを基準振動データとして使用し、データ変換部14により全速度域から収集された複数の周波数毎の振動強度を標準ピッチ毎の振動強度に換算した第2基準振動データを用いて行った。すなわち、主成分導出部16によって第2基準振動データについての主成分ベクトルを計算し、第2基準データとして求めたものである。そして、主成分分析部13による主成分分析により第2基準データを変数として第2解析データについての第2評価データを算出した。異常検出部15では、第2解析データの第2評価データとの差分を外れ成分として算出した。図6に示すように、主成分分析によってチャタマークを発生する異常振動とチャタマークを発生しない正常振動が明瞭に区別され、設定閾値Frefによりチャタマークを生じさせる圧延機の異常振動の有無を精度よく判定できた。すなわち、予め異常振動が発生する振動の周波数を特定しておかなくても、標準ピッチに対する外れ成分を算出することにより、適切な閾値を設定することができることを示している。
図7は、周波数毎の振動強度に対する閾値を用いた比較例3を示すグラフである。すなわち、周波数解析部が出力する周波数毎の振動強度を示す第1解析データを用いて異常判定を行った例である。ただし、圧延速度が変化すると振動強度のピーク位置も変化するため、圧延速度14m/secにおける周波数解析結果を示している。比較例3は、振動強度に対する閾値Fref3を設定することによりチャタマークの発生を判定した結果である。図7に示すように、予め特定の周波数を設定しておき、その周波数の帯域のみに閾値を設定すればチャタマークの発生を判定できる可能性があるが、そのような設定を予め行っておくことが困難なため、実際にはチャタマークの発生を精度よく検出することが困難であった。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されず、種々の変更を加えることができる。例えば、上記実施の形態において、金属帯Sは冷延鋼板である場合について例示しているが、冷延鋼板に替えて、金属帯Sはステンレス鋼材であってもよいし、熱延鋼板であってもよい。各圧延機2A,2B,2C,2Dは、同一の構成でなくてよく、例えば圧延機の形式として4段式圧延機と6段式圧延機とが混在していてもよい。
1 圧延設備
2A,2B,2C,2D 圧延機
3 ハウジング
4 ワークロール
5 支持ロール
6 駆動装置
7 小径ロール
8A,8B,8C,8D 振動計
10 圧延機の異常検出装置
11 データ収集部
12 周波数解析部
13 主成分分析部
14 データ変換部
15 異常検出部
S 金属帯


Claims (7)

  1. 1対のワークロールと前記ワークロールを支持する複数の支持ロールとを有する圧延機の異常振動検出方法であって、
    前記圧延機の振動データを収集する収集ステップと、
    前記振動データの周波数解析を行い、第1解析データを生成する周波数解析ステップと、
    前記第1解析データに対して、予め正常な状態に基づいて特定される基準データを主成分として用いて主成分分析を行い、前記第1解析データの前記基準データへの射影である評価データを生成する主成分分析ステップと、
    前記評価データと前記第1解析データとから外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する異常振動検出ステップと、を備え、
    前記周波数解析ステップは、周波数毎の振動強度を前記第1解析データとして生成するものであり、
    圧延速度に基づいて、前記第1解析データをピッチ毎の振動強度を示す第2解析データに変換するデータ変換ステップをさらに有し、
    前記主成分分析ステップでは、前記第2解析データに対して予め正常な状態に基づいて特定された第2基準データを主成分として用いた主成分分析を行い、前記第2基準データへの射影である第2評価データを生成し、
    前記異常振動検出ステップでは、前記第2解析データと前記第2評価データとから前記外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する
    圧延機の異常振動検出方法。
  2. 前記主成分分析ステップにおいて、前記基準データとして抽出する主成分は前記圧延機における圧延速度毎にそれぞれ設定されている請求項1に記載の圧延機の異常振動検出方法。
  3. 前記主成分分析ステップにおいて、前記基準データとして抽出する複数の主成分は、正常な前記圧延機により圧延を行った際に取得した正常解析データを主成分分析したときに、主成分の寄与率の累積値が基準寄与率以上になるように設定されている請求項1または2に記載の圧延機の異常振動検出方法。
  4. 前記圧延機は、金属帯を冷間圧延する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圧延機の異常振動検出方法。
  5. 1対のワークロールと前記ワークロールを支持する複数の支持ロールとを有する圧延機の異常検出装置であって、
    前記圧延機の振動データを収集するデータ収集部と、
    前記振動データの周波数解析を行い、第1解析データを生成する周波数解析部と、
    前記第1解析データに対して、予め正常な状態に基づいて特定される基準データを主成分として用いて主成分分析を行い、前記第1解析データの前記基準データへの射影である評価データを生成する主成分分析部と、
    前記評価データと前記第1解析データとから外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する異常検出部と、
    を備え、
    前記周波数解析部は、周波数毎の振動強度を前記第1解析データとして生成するものであり、
    圧延速度に基づいて、前記第1解析データをピッチ毎の振動強度を示す第2解析データに変換するデータ変換部をさらに有し、
    前記主成分分析部では、前記第2解析データに対して予め正常な状態に基づいて特定された第2基準データを主成分として用いた主成分分析を行い、前記第2基準データへの射影である第2評価データを生成し、
    前記異常検出部では、前記第2解析データと前記第2評価データとから前記外れ成分を抽出し、抽出した前記外れ成分から圧延機の異常を検出する
    圧延機の異常検出装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧延機の異常振動検出方法を用いて、圧延機の異常を検出した場合に、前記圧延機の支持ロールを交換する支持ロール交換ステップを含む、圧延方法。
  7. 請求項6に記載の圧延方法を用いて、金属帯を製造するステップを含む、金属帯の製造方法。
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