JP7176361B2 - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)を静電チャックに吸着保持すると共に加熱した状態で処理を行う場合が有る。例えば特許文献1においては、静電チャックにウエハを吸着するにあたり、当該静電チャックに吸着前のウエハを加熱(予備加熱)する予備加熱室と、静電チャックを備える製膜処理工程室と、を備える半導体製造装置が示されている。予備加熱室においては、静電チャックの温度と吸着後のウエハの最高温度との差を50℃以下に抑えるように予備加熱が行われる。
特開2000-12664号公報
本開示は、静電チャックに吸着されて処理される基板の裏面が傷付くこと及び吸着解除時の振動を抑制することができる技術を提供する。
本開示の基板処理方法は、真空容器内に設けられる複数の突起を備えた静電チャックが設けられる冷却部に冷媒を供給することで当該静電チャックを冷却して温度を調整する第1の温度調整工程と、
温度調整された前記静電チャックの前記複数の突起に基板の裏面を吸着し、当該基板を真空処理する処理工程と、
温度調整された前記静電チャックの前記複数の突起に基板の裏面を吸着し、当該基板を真空処理する処理工程と、
前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板を冷却することで当該基板の温度を、前記静電チャックとは別の温度調整部によって調整する第2の温度調整工程と、
を備え
前記第2の温度調整工程は、前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該静電チャックの温度よりも当該基板の温度が低くなるように、前記基板を冷却する工程を含む。
また、本開示の他の基板処理方法は、真空容器内に設けられる複数の突起を備えた静電チャックの温度を調整する第1の温度調整工程と、
温度調整された前記静電チャックの前記複数の突起に前記基板の裏面を吸着し、当該基板を真空処理する処理工程と、
前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板の温度を、前記静電チャックとは別の温度調整部によって調整する第2の温度調整工程と、
を備え
前記第1の温度調整工程は、前記静電チャックを加熱する工程を含み、
前記第2の温度調整工程は、前記基板を加熱する工程と、
前記真空容器内で支持体によって前記静電チャックの上方に支持された前記基板に対して、当該真空容器内に設けられる前記温度調整部を対向させた状態で温度調整する工程と、を含み、
前記支持体を前記静電チャックに対して相対的に昇降させて、温度調整された前記基板を前記静電チャックに載置する工程と、
前記第2の温度調整工程後に前記基板を処理するために、前記温度調整部を、前記静電チャックに載置された当該基板に対して対向しない位置へ移動させる工程と、を備える。
本開示によれば、静電チャックに吸着されて処理される基板の裏面が傷付くこと及び吸着解除時の振動を抑制することができる。
本開示の一実施形態である基板処理装置の平面図である。 前記基板処理装置に設けられる成膜モジュールの縦断側面図である。 前記成膜モジュールに設けられる静電チャックの平面図である 前記静電チャックへの載置時のウエハの状態を示す説明図である。 前記静電チャックへの吸着時のウエハの状態を示す説明図である。 前記静電チャックに対するデチャック時のウエハの状態を示す説明図である。前記基板処理装置に設けられる予備加熱を行う処理モジュールの縦断側面図である。 前記基板処理装置に設けられる予備加熱モジュールの縦断側面図である。 前記基板処理装置における処理工程を示すフロー図である。 前記基板処理装置におけるロードロックモジュールの縦断側面図である。 前記成膜モジュールにおけるウエハWの予備加熱を示す説明図である。 前記静電チャックへの吸着時のウエハの状態を示す説明図である。 前記静電チャックに対するデチャック時のウエハの状態を示す説明図である。 前記基板処理装置に設けられる予備冷却モジュールの縦断側面図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験で取得された画像を示す説明図である。 評価試験で取得された画像を示す説明図である。 評価試験で取得された画像を示す説明図である。 評価試験で取得された画像を示す説明図である。 評価試験で取得された画像を示す説明図である。
本開示の一実施の形態である基板処理装置1について、平面図である図1を参照しながら説明する。基板処理装置1は、ローダーモジュール11、ロードロックモジュール2、真空搬送モジュール3、及び2つの処理モジュール4を備えている。この基板処理装置1はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)を構成するMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を形成するための処理を行う。
ローダーモジュール11は、その内部が大気雰囲気且つ常圧雰囲気とされる。そして、複数のウエハWを格納する搬送容器12を載置するステージ13と、当該ステージ13上の当該搬送容器12とロードロックモジュール2との間でウエハWを受け渡す基板搬送機構14と、を備えている。
ローダーモジュール11の後方側にロードロックモジュール2が接続されている。ロードロックモジュール2は、その内部の雰囲気を窒素雰囲気の常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切り替えることができるように構成されている。ロードロックモジュール2とローダーモジュール11との間には、ゲートバルブG1が介在する。
ロードロックモジュール2の後方側には、真空搬送モジュール3の一つがゲートバルブG2を介して接続されている。真空搬送モジュール3は、その内部が真空雰囲気とされる真空容器31と、当該真空容器31内に設けられる基板搬送機構33と、を備えている。
処理モジュール4は真空搬送モジュール3に接続されている。処理モジュール4と真空搬送モジュール3との間には、ゲートバルブG3が介在している。このゲートバルブG3及び既述のゲートバルブG1、G2は通常は閉鎖され、各モジュール間を区画している。そして、モジュール間でウエハWの搬送の妨げにならないように適宜開放される。
2つの処理モジュール4のうちの一つは、ウエハWにスパッタであるPVD(Physical Vapor Deposition)により成膜を行うモジュールであり、以降の説明では成膜モジュール4Aとして説明する。また、2つの処理モジュール4のうちの他の一つは、この成膜モジュール4Aに搬送する直前のウエハWが搬送されて、当該ウエハWに対して加熱処理するモジュールであり、以降の説明では予備加熱モジュール4Bとして説明する。
以下、成膜モジュール4Aについて、図2の縦断側面図を参照しながら説明する。図中41は真空容器(第1の真空容器)であり、金属製であり且つ接地されている。図中42は、真空容器41内を排気して所望の圧力の真空雰囲気とする排気機構である。真空容器41内には誘電体層43と当該誘電体層43に埋設された電極44と、により構成された円形の静電チャック45が設けられている。静電チャック45は例えば双極型であり、水平に設けられている。図3は当該静電チャック45の表面(上面)を示しており、この静電チャック45の表面はエンボス加工されており、当該表面には多数の円形の突起40が分散して設けられている。各突起40上に載置されたウエハWの裏面が当該突起40に吸着され、ウエハWは静電チャック45に水平に保持される。なお、静電チャックの基板が載置される突起とは、上記の突起40のように装置の設計上形成されるものであり、静電チャックの表面をミクロ的に見たときに、意図せずに微小な突起として形成されているものは含まれない。また、静電チャック45としては、ジョンソンラーベック型としてもクーロン型としてもよいし、双極型に限られず、単極型として構成されていてもよい。
図2中46は電源部であり、後述の制御部10から出力される制御信号に基づいて、静電チャック45の電極44への電圧の印加と、印加の停止とを切り替える。つまり、ウエハWを吸着保持(チャック)する状態と当該吸着保持が解除(デチャック)された状態と、が互いに切り替えられる。また、静電チャック45の誘電体層43にはヒーター47が埋設されている。ヒーターは、ウエハWが載置される前から当該静電チャック45を予め設定された処理温度、例えば350℃に加熱する。それによって、吸着されたウエハWが当該処理温度に加熱される。また、静電チャック45の表面中心部における凹部の底面、即ち突起40間にはガス吐出孔48が開口している。ガス吐出孔48はガス供給路を介して不活性ガスの供給機構49に接続されている。ウエハWが静電チャック45の上記の突起40に保持されているときに、ガス吐出孔48からウエハWの裏面へガスが吐出される。このガスは、真空雰囲気とされる真空容器41内で、静電チャック45の熱をウエハWに伝える伝熱用ガスである。なお、伝熱用ガスとしては、He(ヘリウム)やAr(アルゴン)などの不活性ガスである。
ウエハWを上記のヒーター47によって加熱された当該静電チャック45に吸着させることで、ウエハWの昇温速度を高くし、速やかに成膜処理を開始できるようにしている。また、静電チャック45の突起40にウエハWが載置され、且つ伝熱用ガスを介して静電チャック45の熱を当該ウエハWに伝熱させる構成とすることで、ウエハWの裏面側において伝熱用ガスが流通可能な範囲を広くし、高い流動性が得られるようにしている。それによって、突起40を設けない場合に比べてウエハWの面内における温度の均一性が高くなるようにしている。
図中51は静電チャック45を支持する支柱であり、真空容器41の底部を貫通し、その下端部は駆動機構52に接続されている。この駆動機構52により、静電チャック45及び当該静電チャック45に吸着保持されるウエハWが、各々の中心軸回りに回転する。図中53は垂直な3本のピン(図2では便宜上2本のみ表示)であり、図示しない昇降機構により昇降して静電チャック45の表面を突没し、基板搬送機構33と静電チャック45との間でウエハWを受け渡す。
真空容器41の天井部には金属からなるターゲット61が、板状の電極62の下方側に当該電極62に接続されて設けられている。電極62には直流電源64が接続されている。図中65は真空容器41の外側に設けられるマグネットであり、マグネット駆動部66により夫々、電極62の上方を当該電極62の上面に沿って移動する。また、真空容器41の天井部にはガス供給部67が設けられ、当該ガス供給部67はガス流路を介して不活性ガスの供給機構68に接続されている。ガス供給部67から不活性ガスが供給されたときに、直流電源64から電極62を介してターゲット61に電圧が印加されることで、当該ガスが励起されてプラズマ化し、プラズマ中の正イオンが衝突することで、ターゲット61を構成する金属がスパッタされ、ウエハWに金属膜が成膜される。
また、真空容器41内には水平な円形に構成された用力供給ヘッド55が設けられる。この用力供給ヘッド55は真空容器41の底部を貫通する支柱56に支持され、支柱56の下端部は当該支柱56を回転させる回転機構57に接続されている。当該支柱56の回転により、用力供給ヘッド55は静電チャック45上のウエハWに対向する対向位置と、当該ウエハWに対向しない非対向位置との間を旋回移動する。そして、用力供給ヘッド55から吐出されるプロセスガスや用力供給ヘッド55に設けられるヒーター50による熱の供給を行うときには対向位置に、供給を行わないときには非対向位置に夫々当該用力供給ヘッド55が位置する。なお図中においては対向位置を実線で、非対向位置を点線で夫々示している。なお、図中58はガス吐出孔であり、59はガス供給機構である。
この成膜モジュール4Aの動作を順に説明する。ヒーター47によって静電チャック45が成膜処理を行うための処理温度に加熱される。そして、基板搬送機構33からウエハWを受け取ったピン53が下降して、静電チャック45にウエハWが載置されて吸着されると共にウエハWの裏面にガス(伝熱用ガス)が供給される。静電チャック45の突起40からの伝熱及びガスを介しての伝熱により、ウエハWが上記の処理温度である例えば350℃に昇温する。その一方で、真空容器41内が所定の真空圧力になるように排気される。
そして静電チャック45及びウエハWが回転し、既述のようにガス供給部67からの不活性ガスの供給、ターゲット61への電圧の印加、マグネット65の移動が行われ、ウエハWの表面に金属膜が成膜される。その後、ガス供給部67からの不活性ガスの供給、ターゲット61への電圧の印加、マグネット65の移動が各々停止し、ウエハW及び静電チャック45の回転が停止する。そして、静電チャック45によるウエハWの吸着が解除されると、その解除に若干遅れてピン53がウエハWに接触し、ウエハWは静電チャック45から離され、基板搬送機構33により成膜モジュール4Aから搬出される。
ところで上記の成膜処理を速やかに開始するために、静電チャック45は常時ウエハWの処理温度に加熱されている。つまり、ウエハWが吸着される前に既に処理温度とされている。このように加熱された状態で、突起40を備えている静電チャック45に対して、その温度が低く、且つ静電チャック45との温度差が比較的大きいウエハWを吸着して成膜処理を行う場合、成膜処理後のウエハWの裏面には傷が付いていることが有る。また、上記の温度差が比較的大きいウエハWを吸着して成膜処理を行う場合、成膜処理を終了してデチャックするときにウエハWに振動が起きることが有る。この振動によってウエハWが本来の位置からずれてしまい、基板搬送機構33による成膜モジュール4Aからの搬出が行えなくなってしまうおそれや、ウエハWが割れてしまうおそれが有る。
上記のウエハWの裏面の傷付き及びウエハWの振動を発生させると推定される機序について、静電チャック45よりも低い温度のウエハWを当該静電チャック45に吸着させたときのウエハWの状態を示す模式図である図4~図6を用いて説明する。先ず、処理温度に加熱された静電チャック45にウエハWが吸着されると(図4)、静電チャック45の突起40からの直接の伝熱及び伝熱用ガスを介しての伝熱により、上記の吸着が行われた状態でウエハWが熱膨張する。この熱膨張により突起40から見てウエハWが横方向に移動するようにウエハWと突起40とが擦れる結果、ウエハWの裏面が傷つくと考えられる。また、ウエハWは突起40に吸着されて熱膨張することにより、突起40に接した部位以外の部位について上下方向に突出するように撓みが生じ、ウエハWの内部応力が上昇する(図5)。
従って、成膜処理が終わりデチャックされるときに、ウエハWには比較的高い内部応力が生じている。この内部応力が低減して上記の撓みが解消されるように、デチャックされたウエハWは変形する。その勢いでウエハWが静電チャック45上で跳ねて、上記の振動が発生すると考えられる(図6)。そして、このように振動することでウエハWの裏面と突起40とが擦れて、当該裏面にさらに傷が付くと考えられる。
そこで、この基板処理装置1においては予備加熱モジュール4Bによって成膜モジュール4Aに搬送する前にウエハWを予め設定した温度に加熱し、静電チャック45に載置されるときのウエハWと当該静電チャック45との温度差を低減させる。それにより、静電チャック45に吸着中にウエハWが熱膨張することを抑制する。つまり、吸着時の熱膨張が抑制されるように予めウエハWを熱膨張させておく。それにより、上記のウエハWの裏面における傷の形成及びウエハWの振動の発生を防ぐ。なお、このように静電チャック45に吸着する直前に、当該静電チャック45との温度差を低減させるために行うウエハWの加熱を、予備加熱と記載する場合が有る。
以下、上記の予備加熱を行う予備加熱モジュール4Bについて、縦断側面図である図7を参照して説明する。図中71は既述した真空容器(第2の真空容器)であり、排気口72が開口している。この排気口72には排気路を介して例えば真空ポンプからなる排気機構73が接続されている。そして、真空搬送モジュール3に対してウエハWを受け渡すことができるように、真空容器71内は所定の圧力の真空雰囲気になるように排気される。真空容器71の底部には、真空搬送モジュール3の基板搬送機構33によってウエハWが受け渡される垂直なピン74が設けられている。このピン74は成膜モジュール4Aのピン53と同様に、ウエハWの裏面の一部を局所的に支持するように構成されている。従って、この予備加熱モジュール4Bでは成膜モジュール4Aとは異なり、ウエハWの裏面を吸着せずに加熱処理を行う。
そして、真空容器71の天井部には温度調整部をなす加熱部75が設けられている。この加熱部75は、真空雰囲気でウエハWを効率良く予備加熱できるようにウエハWが吸収可能な電磁波、例えば赤外線をピン74に支持されたウエハWに放射する。具体的には、加熱部75は、例えばハロゲンランプにより構成される。上記のように予備加熱は吸着時のウエハWの熱膨張を抑えるために行われるので、ウエハWの吸着時にウエハWの温度が成膜モジュール4Aの静電チャック45の温度に近くなるように行われることが好ましい。この例では予備加熱は、ウエハWの温度が成膜モジュール4Aの処理温度と同じ350℃となるように行われるものとする。なお、上記のように予備加熱中にウエハWを支持するための支持部材であるピン74によってウエハWの裏面の一部のみを局所的に支持するのは、支持部材を介するウエハWからの放熱を抑え、ウエハWの昇温速度が低下することを防ぐためである。
また、図1に示すように基板処理装置1は制御部10を備えている。この制御部10はコンピュータにより構成されており、プログラム、メモリ、CPUを備えている。プログラムには、基板処理装置1における一連の動作を実施することができるようにステップ群が組み込まれており、当該プログラムによって制御部10は基板処理装置1の各部に制御信号を出力し、当該各部の動作が制御される。それにより後述のフローに従って、ウエハWの搬送と処理とが行われる。上記のプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部10にインストールされる。
続いて基板処理装置1の動作を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。先ず、成膜モジュール4Aにおいて静電チャック45の温度が処理温度に調整される第1の温度調整工程が行われる。そして、搬送容器12のウエハWはローダーモジュール11に取り込まれ、常圧雰囲気のロードロックモジュール2に搬送され、当該ロードロックモジュール2の雰囲気が真空雰囲気に切り替えられる。その後、ウエハWは真空搬送モジュール3に取り込まれ、予備加熱モジュール4Bに搬入される。そして、既述したようにウエハWは予備加熱されて、例えば処理温度と同じ温度に調整される第2の温度調整工程が行われる(ステップS1)。
然る後、予備加熱によって熱膨張したウエハWを成膜モジュール4Aに搬送する(ステップS2)。そして、ウエハWは静電チャック45に載置されて吸着され、上記したように静電チャック45からの直接の伝熱及び伝熱用ガスを介しての伝熱により加熱される。吸着前に既にウエハWは予備加熱モジュール4Bにて加熱されており、ウエハWの温度と静電チャック45の温度との差は比較的小さいので、この吸着中におけるウエハWの熱膨張は抑制される(ステップS3)。従って、図5で説明したウエハWの撓みが発生することや、ウエハWの裏面が静電チャック45の突起40に対して擦れることが抑制される。
その後、静電チャック45によるウエハWの吸着が解除されるが、ウエハWの撓みは小さいので、当該ウエハWの跳ね及び振動の発生について抑制される(ステップS4)。然る後、ウエハWは真空搬送モジュール3に取り込まれ、真空雰囲気のロードロックモジュール2に搬送される。そしてロードロックモジュール2の雰囲気が常圧雰囲気に切り替えられた後、当該ウエハWはローダーモジュール11を介して搬送容器12に戻される。
この基板処理装置1によれば、予備加熱モジュール4BによりウエハWを予備加熱し、ウエハWと静電チャック45との温度差が抑えられた状態でウエハWが当該静電チャック45に吸着される。従って、静電チャック45に吸着中のウエハWの熱膨張を抑えることができるため、吸着中の静電チャック45の突起40とウエハWの裏面との擦れ、及びデチャック時のウエハWの跳ね及び振動を防ぐことができる。その結果として、ウエハWの裏面が傷ついたり、ウエハWが割れたりすることを抑制することができる。また、跳ね及び振動によってウエハWが所定の位置から位置ずれすることに起因して、基板搬送機構33が当該ウエハWを受け取れずに成膜モジュール4Aから当該ウエハWの搬出ができなくなることを防ぐことができる。
なお、上記の特許文献1における静電チャックの表面には突起を設けることについて記載されておらず、特許文献1の静電チャックの構成と、本開示の静電チャック45の構成とは互いに異なる。つまり、特許文献1では本願で着眼した、静電チャック45に突起40を設けることで吸着中及び吸着解除時に発生する上記の各問題について着眼されていない。従って、特許文献1は当該問題を解決することができる技術ではない。
ところで、上記のように成膜モジュール4AにウエハWを吸着するときに、当該ウエハWと当該静電チャック45との温度差が抑制されていればよい。即ち、予備加熱については、静電チャック45に載置する前のウエハWを、静電チャック45とは別個の加熱機構にて加熱できればよく、当該予備加熱専用のモジュールである上記の予備加熱モジュール4Bを、処理モジュール4のいずれかとして設けて行うことには限られない。具体的には、例えばロードロックモジュール2にて予備加熱を行ってもよい。
図9はそのようにウエハWを加熱することができるように構成されたロードロックモジュール2を示している。図中21は筐体である。図中22はウエハWを載置するステージであり、昇降機構23により昇降する3本のピン24を備え、真空搬送モジュール3及びローダーモジュール11に対してウエハWの受け渡しを行えるように構成されている。図中25、26は夫々Nガスの供給口、排気口である。供給口25からのNガスの供給及び排気口26からの排気により、筐体21内の雰囲気が、既述のように窒素雰囲気の常圧雰囲気と真空雰囲気とで切り替えられる。筐体21の天井には予備加熱モジュール4Bと同様にハロゲンランプにより構成される加熱部75が設けられている。
このようにロードロックモジュール2が構成される場合の基板処理装置1におけるウエハWの搬送例を示す。この例では基板処理装置1の真空搬送モジュールには、4A、4B以外にも処理モジュール4が接続されているものとする。先ず、搬送容器12から搬出されたウエハWは、ローダーモジュール11からロードロックモジュール2に搬送される。続いてロードロックモジュール2からウエハWを真空搬送モジュール3に搬送し、成膜モジュール4A以外の処理モジュール4を順番に搬送する。そして、成膜モジュール4AにウエハWを搬送する直前に、当該ウエハWを真空雰囲気のロードロックモジュール2に搬送し、予備加熱を行う。この予備加熱を行った後は、既述したように成膜モジュール4AにウエハWを直接搬送して処理を行う。つまり、ウエハWを他の処理モジュール4を経由させずに成膜モジュール4Aに搬送する。然る後、ウエハWはロードロックモジュール2からローダーモジュール11へ搬送されて、搬送容器12に戻される。なお、上記の搬送中、ローダーモジュール11からロードロックモジュール2へ、ロードロックモジュール2からローダーモジュール11へ夫々ウエハWを搬送するときに、ロードロックモジュール2でウエハWを加熱してもよい。この加熱はウエハWに付着する異物を気化させて除去するための加熱である。
上記のようにロードロックモジュール2で予備加熱を行う場合、予備加熱モジュール4Bが不要になるので、装置の製造コストの低下やフットプリントの低減を図ることができる。ただし、ローダーモジュール11との真空搬送モジュール3との間のウエハWの受け渡しのために、ロードロックモジュール2には単位時間あたりに多くのウエハWが搬送される。上記のようにロードロックモジュール2で予備加熱を行う場合は、例えばロードロックモジュール2が空くまでウエハWをロードロックモジュール2の外で待機させることが必要になる場合が有る。従って、既述の実施形態で予備加熱モジュール4Bにて予備加熱を行うことは、そのような待機時間を不要にし、スループットの低下を防ぐことができるという利点が有る。
また、ロードロックモジュール2、予備加熱モジュール4Bのように、成膜モジュール4Aを構成する真空容器41の外部で予備加熱を行うことには限られず、当該真空容器41内で予備加熱を行うようにしてもよい。そのような予備加熱の手法について具体的に説明する。先ず、成膜モジュール4Aにおいて、その先端が静電チャック45の突起40よりも上方に位置するピン53上にウエハWを搬送する。このウエハWを静電チャック45に載置する前に用力供給ヘッド55を非対向位置から対向位置に移動させ、例えばこの用力供給ヘッド55のヒーター50の熱輻射により、ピン53上のウエハWを予備加熱する。図10は、そのように予備加熱が行われているウエハWを示している。そして、予備加熱の終了後はピン53を下降させてウエハWを静電チャック45に載置し、既述したように成膜処理を行う。つまり、用力供給ヘッド55は、静電チャック45とは別個に真空容器41内に設けられた温度調整部として構成される。
なお、この用力供給ヘッド55によるウエハWの予備加熱は、用力供給ヘッド55から例えば加熱したガスを供給して行ってもよいし、用力供給ヘッド55に予備加熱モジュール4Bの加熱部75と同様にハロゲンランプを設けて赤外線を放射して行ってもよい。
また、上記のように静電チャック45への吸着中のウエハWの熱膨張を抑制することができればよいため、処理モジュール4やロードロックモジュール2にて予備加熱を行うことには限られず、真空搬送モジュール3に上記の加熱部75を設けて予備加熱を行ってもよい。つまり、真空搬送モジュール3を加熱モジュールとして構成してもよい。このように予備加熱を行うために、予備加熱モジュール4Bで設けられるウエハWを支持するピン74を、真空搬送モジュール3にも設けてもよい。
ところで、静電チャック45に吸着してウエハWを真空雰囲気にて処理(真空処理)する処理モジュールとしては、上記のようにスパッタを行う成膜モジュールであることには限られない。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜を行う成膜モジュールや、ドライエッチングを行うエッチングモジュールや、不活性ガス雰囲気でウエハWを加熱するアニールモジュールなどによる処理前に予備加熱を行ってもよい。ただし、スパッタを行う成膜モジュールでは例えば300℃以上、より具体的には上記のように例えば350℃と、比較的高い温度にウエハWを加熱して処理を行う。従って、予備加熱が行われない場合、静電チャック45に載置されるウエハWと当該静電チャック45との温度差が比較的大きくなるので、図4~図6で説明した静電チャック45に吸着中のウエハWの熱膨張による問題が起こりやすい傾向になることが考えられる。従って、既述のようにスパッタを行う成膜モジュールの静電チャック45にウエハWを吸着する前に、ウエハWを予備加熱することが特に有効である。
これまでウエハWを加熱してPVDを行う例について説明してきたが、ウエハWを冷却してPVDを行ってもよい。その場合は成膜モジュール4Aについて、静電チャック45の下部に冷媒の流路を備えた冷却部を設ける構成とする。冷媒を当該流路に通流させることで、静電チャック45を例えば-60℃~-263℃の処理温度に冷却する。そして、そのように冷却された静電チャック45にウエハWを載置して吸着させて、当該ウエハWを処理温度に冷却した状態で成膜処理を行う。なお、ウエハWを加熱する場合と同様にウエハWの吸着中は、静電チャック45からウエハWの裏面に伝熱用ガスを供給し、当該ウエハWから静電チャック45へ伝熱させてウエハWを冷却する。
ここで、静電チャック45が冷却されることによって、静電チャック45の温度よりも当該静電チャック45に載置されるウエハWの温度の方が高い場合に、当該ウエハWに起こると推定される事象について説明する。先ず、静電チャック45に当該ウエハWが吸着されると、静電チャック45にウエハWの熱が逃げることで、当該ウエハWが収縮する。突起40は収縮したウエハWと擦れることになり、当該ウエハWの裏面に傷が付く。また、ウエハWが冷却されることによるウエハWの中心方向への収縮量はウエハWの径方向で異なってくるが、突起40に接している箇所ではウエハWが静電力により突起40に固定されているため、突起40上でのウエハWの内部応力に不均衡が生じ、図11に示すように突起40上にて上方に向けてウエハWが撓む方向に、ウエハWの内部応力が高くなると考えられる。そして、静電チャック45によるウエハWの吸着が解除されるとウエハWの内部応力が低減されるように、つまり撓みが解消されるようにウエハWが変形し、図12に示すようにその勢いでウエハWが跳ねて振動が発生すると考えられる。
そこで、上記のようにウエハWを冷却してPVDを行うように成膜モジュール4Aを構成した場合は、上記の予備加熱を行う代わりに静電チャック45に載置する直前のウエハWを予め設定した温度に冷却し、静電チャック45とウエハWとの温度差を低減することが有効である。つまり、予め収縮した状態のウエハWを静電チャック45に吸着させて、図11で示した吸着中におけるウエハWの収縮を抑制する。なお、このように静電チャック45に吸着する直前に、当該静電チャック45との温度差を低減させるウエハWの冷却を予備冷却と記載する場合が有る。
この予備冷却を行うにあたり、基板処理装置1の処理モジュール4として、予備加熱モジュール4Bの代わりに予備冷却モジュール4Cを設ける。この予備冷却モジュール4Cにより、ウエハWを例えば処理温度に予備冷却した後、当該ウエハWを成膜モジュール4Aに直接搬送する。つまり、予備冷却モジュール4Cにより予備冷却したウエハWを、他の処理モジュール4を経由させずに成膜モジュール4Aに搬送する。そして成膜モジュール4Aにて既述のように成膜処理を行う。このようなウエハWの搬送及び処理を行うことで、ウエハWの裏面における傷の形成と、吸着解除時のウエハWの振動とを防ぐことができる。
図13に予備冷却モジュール4Cの一例を示している。この予備冷却モジュール4Cについては、筐体81内にウエハWを載置するステージ82を備えている。図中83は筐体81内に開口した排気口である。図中84は流路を介して排気口83に接続された、例えば真空ポンプからなる排気機構であり、筐体81内が所定の圧力の真空雰囲気となるように排気する。図中85は例えばシャワーヘッドからなるガス供給部である。図中86は、例えばガスを冷却すると共にガス供給部85に供給するガス供給機構である。温度調整部をなすガス供給部85から供給される冷却ガスに曝されて、ウエハWは予備冷却される。
予備冷却としては、ウエハWを静電チャック45に載置する前に静電チャック45とは別の冷却機構によって行うことができればよいので、予備冷却モジュール4Cとしては、このようにガスによりウエハWを冷却する構成とすることには限られない。例えばステージ82を静電チャックとして構成する。ただし、そのステージ82の表面は図13に示すように平坦であり、突起40が設けられない構成とする。そして、ステージ82には冷媒が流通する流路を形成する。この冷媒によって、ステージ82が冷却されて、ステージ82に吸着されるウエハWも冷却されるようにする。ステージ82に突起40が形成されていないため、吸着時に突起40とウエハWとの擦れは起きず、図11に示した突起40上での局所的なウエハWの撓みも起こらない。従って、この予備冷却モジュール4Cにおいては、チャック中のウエハWの裏面の傷の形成及びデチャック時のウエハWの振動が抑制された状態でウエハWが冷却される。
ところで、上記の処理例では予備加熱を、成膜モジュール4AにおけるウエハWの処理温度と同じ温度となるように行うものとした。しかし、予備加熱を完了してからウエハWが静電チャック45に載置されるまでの搬送中にウエハWの温度が低下し、上記の処理温度、即ち静電チャック45の温度からずれることが考えられる。そこで予備加熱としては、ウエハWが吸着されるときの静電チャック45の温度よりも高い温度となるようにウエハWを加熱してもよい。成膜モジュール4Aの外部で予備加熱を行う場合、つまり上記のように予備加熱モジュール4Bやロードロックモジュール2で予備加熱を行う場合は、ウエハWが予備加熱される場所から静電チャック45までのウエハWの搬送距離が比較的長い。そのため、このように静電チャック45の温度よりも高い温度にウエハWを予備加熱することが有効である。同様の理由で、予備冷却については、ウエハWが吸着されるときの静電チャック45の温度よりも低い温度となるようにウエハWを冷却するようにしてもよい。
なお、上記の各例では静電チャック45の温度は常時、処理温度となるように調整されているが、この静電チャック45の温度について、ウエハWを吸着する瞬間には処理温度に対して所定量ずれた温度に調整されており、ウエハWの吸着中に処理温度になるように温度変更されてもよい。温度変更中は静電チャック45もウエハWと共に膨張あるいは収縮するので、この温度変更に起因する撓み量の増加は起こり難い。従って、ウエハWの撓みを抑えるためには、静電チャック45にウエハWが吸着されるときの当該ウエハWと当該静電チャックとの温度差が低減されるように基板の温度調整(予備加熱または予備冷却)を行うようにする。この温度差については後に好ましい範囲を説明するが、上記の静電チャック45にウエハWが吸着されるときとは、より具体的には静電チャック45の吸着力がウエハWに作用する瞬間、即ち電源部46によって静電チャック45に吸着力を発生させる電圧が印加される瞬間である。
ところで、図4~図6のウエハWについて、静電チャック45が加熱され、且つ静電チャック45よりもウエハWの温度が低い場合の状態として説明した。しかし、静電チャック45が冷却される場合も、静電チャック45の温度よりもウエハWの温度が低く、その温度差が比較的大きいと、この図中に示した撓みがウエハWに発生し得る。また、図11、図12のウエハWについて、静電チャック45が冷却され、且つ静電チャック45よりもウエハWの温度が高い場合の状態として説明した。しかし、静電チャック45が加熱される場合も静電チャック45の温度よりもウエハWの温度が高く、その温度差が比較的大きいと、この図中に示した撓みがウエハWに発生し得る。つまり、これらの各図で示すような撓みを抑えるために、ウエハWは静電チャック45の温度よりも高くなるように温度調整されてもよいし、静電チャック45の温度よりも低くなるように温度調整されてよい。ただし、当該静電チャック45の温度に近い温度に温度調整されることが好ましい。この温度調整されるウエハWについての好ましい温度範囲について、後述の評価試験で説明する。
なおウエハWの予備冷却は、ロードロックモジュール2において冷却ガスを供給して行ってもよい。また、図10に示すようにピン53によって静電チャック45上にウエハWを支持した状態で用力供給ヘッド55から冷却ガスを供給することで行ってもよい。また、図10では支持体であるピン53が静電チャック45に対して昇降することで静電チャック45とピン53とがウエハWを受け渡すが、静電チャック45がピン53に対して昇降し、ウエハWが受け渡されてもよい。つまり、ピン53は静電チャック45に対して相対的に昇降できればよい。
(評価試験)
本開示の技術に関連して行われた評価試験について説明する。既述の基板処理装置1において、ローダーモジュール11、ロードロックモジュール2、成膜モジュール4Aの順でウエハWを搬送し、当該成膜モジュール4Aにおいて既述のように350℃の処理温度に加熱された静電チャック45にウエハWを吸着して、成膜処理を行った。その後、ウエハWをデチャックし、当該ウエハWをロードロックモジュール2、ローダーモジュール11の順で搬送した。複数のウエハWについて、このような搬送及び処理を行った。上記のロードロックモジュール2については、図9で説明したように加熱部75を備えており、当該ロードロックモジュール2にて予備加熱を行った。この予備加熱の温度についてウエハW毎に、100℃~350℃の範囲内で変更した。より詳しくは、ウエハWを100℃、200℃、250℃、300℃あるいは350℃に予備加熱した。
この評価試験では、上記の静電チャック45のデチャック後に成膜モジュール4Aから搬出される各ウエハWについて、所定の設定位置からの位置ずれ量を算出した。また、デチャック時の各ウエハWの録画を行った。さらに、ローダーモジュール11に戻された各ウエハWの裏面を光学顕微鏡で撮像した。
評価試験の処理条件について補足して述べておくと、ロードロックモジュール2においては雰囲気を切り替えるために排気を行い、ウエハWの加熱を行った。また、成膜モジュール4Aにおいて、静電チャック45へ電圧を印加し、ウエハWの裏面に当該静電チャック45から伝熱用ガスを供給した。また、ウエハWの吸着解除から所定の時間が経過した後にピン53を上昇させて、ウエハWの排出処理を行った。
図14のグラフはこの評価試験の結果を示しており、縦軸に上記の位置ずれ量(単位:mm)を、横軸にロードロックモジュール2にて予備加熱されたウエハWの温度(単位:℃)を夫々示している。グラフに示すように予備加熱されたウエハWの温度が100℃であると、位置ずれ量は0.5mmを越える場合があった。しかし、ウエハWの予備加熱温度が200℃以上である場合はいずれも、位置ずれ量が0.5mm以下に抑えられていた。このウエハWの位置ずれは、既述したデチャック時に発生するウエハWの振動によって生じたものと考えられる。そして、取得された録画からは、予備加熱の温度が100℃及び200℃であるとき、ウエハWが振動していることが確認された。しかし、予備加熱の温度が250℃、300℃、350℃であるときには、振動は確認されなかった。
また、図15、図16、図17、図18、図19は夫々100℃、200℃、250℃、300℃、350℃に予備加熱されたウエハWの裏面について、上記の顕微鏡で取得された画像である。100℃に予備加熱されたウエハWには、比較的大きく且つ多数の傷が付いている。しかし、200℃に予備加熱されたウエハWの傷は、100℃であるときよりも小さく且つ少数であり、250℃及び300℃に予備加熱されたウエハWの傷は、200℃に予備加熱されたウエハWの傷よりもより小さく且つ少数であった。そして350℃に予備加熱されたウエハWについては最も傷が小さく、且つ最も傷の数が少なかった
このように位置ずれ量、ウエハWの録画及びウエハWの裏面の画像から、予備加熱されたウエハWの温度が静電チャック45の温度に近いと、吸着解除時の振動及びウエハWの裏面の傷付きを抑制できる傾向が有ることが確認された。従って、この試験結果は図4~図6で説明した、静電チャック45とウエハWとの温度差によってデチャック時の振動及び裏面への傷の形成がなされる推定と整合する。そして、静電チャック45への吸着するときのウエハWの温度が、静電チャック45の温度に近いほど好ましいことが、この評価試験の結果から分かる。
上記のようにウエハWを200℃以上の温度に予備加熱したときに、ウエハWの位置ずれが比較的小さい。また、ウエハWを250℃以上の予備温度に加熱したときには、ウエハWの位置ずれが比較的小さく、且つ振動も確認されていない。従って、成膜モジュール4Aの外部のモジュールでウエハWを温度調整するにあたり、当該外部のモジュールにおいては、静電チャック45との温度差が350℃-200℃=150℃以下となるようにすることが好ましいことが確認された。そして、当該温度差について350℃-250℃=100℃以下とすると、より好ましいことが確認された。
ただし、ロードロックモジュール2でウエハWの温度を調整してから、成膜モジュール4Aの静電チャック45にてウエハWを吸着するまでにはタイムラグが有る。このタイムラグにより、静電チャック45に吸着されるときのウエハWの温度は、ロードロックモジュール2における調整直後のウエハWの温度よりも20℃程度低いと考えられる。従って、静電チャック45に吸着されるときのウエハWの温度と静電チャック45の温度との差は、150℃-20℃=130℃以下にすることが好ましく、100℃-20℃=80℃以下にすることがより好ましいと考えられる。なお、上記の予備加熱モジュール4BにてウエハWを予備加熱する場合も、このロードロックモジュール2で予備加熱する場合と同様の手順でウエハWの搬送及び処理が行われる。つまり、この評価試験から示された好ましい温度差とは、ロードロックモジュール2で予備加熱する場合の好ましい温度差に限られず、予備加熱モジュール4Bで予備加熱するときの好ましい温度差でもあると考えられる。
また、この評価試験ではウエハWは、静電チャック45の温度以下の温度となるように温度調整されている。しかし、静電チャック45の温度以上の温度となるようにウエハWが温度調整される場合においても、上記のような小さい温度差とされることで、吸着中のウエハWの撓み量については十分小さくなるものと考えられる。つまり既述した好ましい温度差については、ウエハWが静電チャック45の温度以下の温度となるように温度調整される場合の温度差に限られず、ウエハWが静電チャック45の温度以上の温度となるように温度調整される場合の温度差でも有る。
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
W ウエハ
1 基板処理装置
40 突起
41 真空容器
45 静電チャック
47 ヒーター
75 加熱部

Claims (13)

  1. 真空容器内に設けられる複数の突起を備えた静電チャックが設けられる冷却部に冷媒を供給することで当該静電チャックを冷却して温度を調整する第1の温度調整工程と、
    温度調整された前記静電チャックの前記複数の突起に基板の裏面を吸着し、当該基板を真空処理する処理工程と、
    前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板を冷却することで当該基板の温度を、前記静電チャックとは別の温度調整部によって調整する第2の温度調整工程と、
    を備え、
    前記第2の温度調整工程は、前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該静電チャックの温度よりも当該基板の温度が低くなるように、前記基板を冷却する工程を含む基板処理方法。
  2. 前記第1の温度調整工程は、前記静電チャックを-60℃~-263℃に冷却する工程を含む請求項1記載の基板処理方法。
  3. 前記静電チャックを一の静電チャックとすると、
    前記第2の温度調整工程は、平坦面を備える他の静電チャックと、冷媒の流路と、を備えるステージにおける、前記平坦面に前記基板を載置して冷却する工程を含む請求項1または2記載の基板処理方法。
  4. 前記第2の温度調整工程は、前記基板を格納する搬送容器と前記真空容器との間で当該基板を受け渡すために圧力を変更自在なロードロックモジュールを構成する筐体内で、前記温度調整部により前記基板の温度を調整する工程を含み、
    前記筐体内から前記真空容器内へ、温度が調整された前記基板を搬送する搬送工程を含む請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  5. 前記静電チャックが設けられる真空容器を第1の真空容器とすると、
    前記第2の温度調整工程は、前記基板を格納する搬送容器と前記第1の真空容器との間で当該基板を受け渡すために圧力を変更自在なロードロックモジュールを構成する筐体とは別に設けられた第2の真空容器内で、前記温度調整部により前記基板の温度を調整する工程を含み
    前記第2の真空容器内から前記第1の真空容器内へ、温度が調整された前記基板を搬送する搬送工程を含む請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  6. 前記第2の温度調整工程は、前記基板が静電チャックに吸着されるときの当該静電チャックの温度と、前記第1の真空容器内または前記筐体内で温度調整される前記基板の温度との差が150℃以下となるように、当該基板の温度を調整する工程を含む請求項4または5記載の基板処理方法。
  7. 真空容器内に設けられる複数の突起を備えた静電チャックの温度を調整する第1の温度調整工程と、
    温度調整された前記静電チャックの前記複数の突起に基板の裏面を吸着し、当該基板を真空処理する処理工程と、
    前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板の温度を、前記静電チャックとは別の温度調整部によって調整する第2の温度調整工程と、
    を備え、
    前記第1の温度調整工程は、前記静電チャックを加熱する工程を含み、
    前記第2の温度調整工程は、前記基板を加熱する工程と、
    前記真空容器内で支持体によって前記静電チャックの上方に支持された前記基板に対して、当該真空容器内に設けられる前記温度調整部を対向させた状態で温度調整する工程と、を含み、
    前記支持体を前記静電チャックに対して相対的に昇降させて、温度調整された前記基板を前記静電チャックに載置する工程と、
    前記第2の温度調整工程後に前記基板を処理するために、前記温度調整部を、前記静電チャックに載置された当該基板に対して対向しない位置へ移動させる工程と、を備える基板処理方法。
  8. 前記第2の温度調整工程は、前記基板に電磁波を照射して当該基板を加熱する工程を含む請求項7記載の基板処理方法。
  9. 前記第2の温度調整工程は、前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該静電チャックの温度よりも当該基板の温度が高くなるように、前記基板を加熱する工程を含む請求項7または8記載の基板処理方法。
  10. 前記第2の温度調整工程は、前記静電チャックに吸着されるときの前記基板の温度と、当該静電チャックの温度との差が130℃以下となるように当該基板の温度を調整する工程を含む請求項1ないし9のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  11. 前記処理工程は、スパッタにより前記基板に成膜する工程を含む請求項1ないし10のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  12. 真空容器と、
    前記真空容器内に設けられ、基板の裏面を吸着する複数の突起を備えると共に、吸着された前記基板を真空処理するために、当該基板が載置される前から冷却されて温度調整される静電チャックと、
    前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板の温度を、当該基板を冷却することで調整する、当該静電チャックとは別に設けられる温度調整部と、
    前記静電チャックが設けられ、当該静電チャックを冷却するための冷媒の流路を備える冷却部と、
    を備え、
    前記温度調整部は、前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該静電チャックの温度よりも当該基板の温度が低くなるように前記基板を冷却する基板処理装置。
  13. 真空容器と、
    前記真空容器内に設けられ、基板の裏面を吸着する複数の突起を備えると共に、吸着された前記基板を真空処理するために、当該基板が載置される前から加熱されて温度調整される静電チャックと、
    前記基板が前記静電チャックに吸着されるときの当該基板の温度と当該静電チャックの温度との差を低減させるために、前記静電チャックに載置される前の当該基板の温度を当該基板を加熱することで調整する、当該静電チャックとは別に前記真空容器内に設けられる温度調整部と、
    前記基板を前記真空容器内で前記静電チャックの上方に支持し、当該静電チャックに前記基板を載置するために前記静電チャックに対して相対的に昇降可能な支持体と、
    前記温度調整部を、前記基板を温度調整するために前記支持体によって支持された前記基板に対向する位置と、前記静電チャックに載置された前記基板を真空処理するために当該基板に対向しない位置と、の間で移動させる移動機構と、
    を備える基板処理装置。
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