JP7175621B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導加熱装置に関し、特に、環状のワークのうち、軸方向寸法が比較的大きい短筒状のワークを誘導加熱する際に好適に用い得る誘導加熱装置に関する。
例えば、転がり軸受の軌道輪のように、SUJ2等の鋼材からなる機械部品の製造過程においては、機械部品の基材(ワーク)に対して熱処理が施される。この熱処理は、通常、ワークに機械的強度や硬さを付与するための焼入硬化処理と、焼入れ済のワークにおける残留応力の緩和や残留オーステナイトの低減(靱性の向上)を目的とした焼戻し処理とを含む。焼入硬化処理および焼戻し処理は、何れも、ワークを狙い温度に加熱する加熱工程と、加熱後のワークを冷却する冷却工程とを含み、加熱工程では、雰囲気加熱炉や誘導加熱装置を用いてワークが加熱される。鋼材種(用途)にもよるが、焼入硬化処理における狙い温度は、例えばA1変態点を超える温度に設定され、焼戻し処理における狙い温度は、主に機械部品の使用温度に応じて設定される。
雰囲気加熱炉は、温度制御が容易で、複数のワークを同時に加熱できる、などというメリットがある反面、エネルギー効率が低くワークを狙い温度に加熱するのに多くの時間・コストが必要、広大な設置スペースが必要、などといったデメリットがある。このため、上記加熱工程におけるワークの加熱方法としては、エネルギー効率が高くワークを効率良く加熱できることに加え、熱処理設備のコンパクト化(省スペース化)に有利な誘導加熱を採用するケースが増加しつつある。
例えば、下記の特許文献1には、環状のワークを誘導加熱するに際し、ワークの軸方向両側に第1および第2の加熱コイルを間隔をおいて同軸配置し、第1および第2の加熱コイルに同一方向に高周波電流を流す、という技術手段が開示されている。
特開平8-180967号公報
特許文献1の技術手段によれば、ワークの内外径および厚さ方向を均一に加熱することができるので、歪の少ないワークを得ることができる、としている。しかしながら、特許文献1に開示された技術手段は、主に、薄板状の環状ワークを誘導加熱する際に適用することを想定したものである。そのため、環状のワークの中でも軸方向(および径方向)の肉厚が比較的大きい短筒状のワークを誘導加熱する際に同様の技術手段を適用しても、同様の効果を享受できるとは限らない。
そこで、短筒状のワークを誘導加熱する際には、例えば、ワークを取り囲むようにワークの径方向外側にコイルを配置し、このコイルに通電する、という手法が採られる場合が多い。この場合、ワークは、まず外径側領域が加熱され、これに伴うワーク内での熱伝達によって内径側領域が加熱されることになるため、ワークの外径側領域と内径側領域とで昇温速度に差が生じる(ワークの内径側領域が狙い温度に到達するのに時間がかかる)。例えば、コイルに対する電力供給量を増加させれば、その分だけワークの内径側領域が狙い温度に到達する時間を短縮できるが、先に昇温するワークの外径側領域と、遅れて昇温する内径側領域とで炭化物の溶け込み速度(残留オーステナイトの増加速度)に大きな差が生じるため、高品質の熱処理完了品を得ることができなくなる。このため、上記態様で短筒状のワークを誘導加熱する場合には、ワークの外径側領域と内径側領域とで熱処理品質の差が極力小さくなるように、コイルに対する電力供給量を少量に設定せざるを得ない。この場合、ワークの加熱時間が長くなるため、熱処理効率、ひいては機械部品の生産性が低下する。
また、機械部品の生産性や品質(熱処理品質)を考慮すると、誘導加熱装置による加熱対象のワークが寸法の異なるものに変更された場合、誘導加熱装置に設けられるコイルを、変更後のワークを効率良くかつ精度良く加熱し得るような仕様(軸方向寸法、径方向寸法、コイルピッチ等)に容易に変更可能であることが望ましい。
以上の実情に鑑み、本発明は、短筒状のワーク全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することができ、しかもコイルの仕様を容易に変更し得る誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明に係る誘導加熱装置は、短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱するための加熱部と、加熱部に高周波電力を供給する電源とを備えた誘導加熱装置において、加熱部は、ワークの径方向外側にワークと同軸に配置され、ワークの周方向各部を同時に加熱可能な外径側コイル部を有する第1コイルユニットと、ワークの径方向内側にワークと同軸に配置され、ワークの内径面の周方向各部を同時に加熱可能な内径側コイル部を有する第2コイルユニットと、第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを支持した枠体とを備え、外径側コイル部と内径側コイル部とが電気的に直列接続され、第1コイルユニットおよび第2コイルユニットが、枠体に対して着脱可能であることを特徴とする。
上記の加熱装置によれば、短筒状のワークの径方向外側および径方向内側のそれぞれに同軸配置される外径側コイル部および内径側コイル部を流れる電流値(電流量)を等しくすることができる。そのため、ワークの外径側領域と内径側領域とを略同一条件で同時に加熱することが可能となり、ワークの外径側領域の加熱温度(昇温速度)とワークの内径側領域の加熱温度(昇温速度)との間に差が生じ難くなる。従って、短筒状ワークの全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することが可能となる。
また、外径側コイル部を有する第1コイルユニットおよび内径側コイル部を有する第2コイルユニットが枠体に対して着脱可能であることにより、外径側コイル部および/または内径側コイル部の仕様を容易に変更することができる。このため、加熱対象のワークが変更された場合にも、各コイル部の仕様を、変更後のワークを誘導加熱するのに最適なものに容易に変更することができる。
上記構成において、第1コイルユニットは、外径側コイル部を構成する環状部を有し、枠体に対して軸方向移動および着脱可能な状態で枠体に支持された複数の第1コイル部材と、隣り合う2つの第1コイル部材を導通可能に接続し、第1コイル部材に対して着脱可能な導通部材とを備えるものとすることができる。このようにすれば、枠体による第1コイル部材の支持位置や支持個数、すなわち外径側コイル部のコイルピッチや軸方向寸法を任意に変更することができる。このため、加熱対象のワークが変更された場合にも、外径側コイル部の仕様を、変更後のワークを誘導加熱するのに最適なものに容易に変更することができる。
導通部材を剛体で形成しておけば、隣り合う2つの第1コイル部材の接近および離反移動を規制することができる。そのため、外径側コイル部のコイルピッチを所定値に保つ上で有利となる。
第2コイルユニットは、内径側コイル部を構成する螺旋部を有する第2コイル部材を備えたものとすることができる。
以上の構成を有する本発明に係る誘導加熱装置は、例えば転がり軸受の軌道輪のように、ワーク全体に焼入硬化処理を施すこと(いわゆるずぶ焼入れを施すこと)が望まれる短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱する際に特に好ましく適用することができる。
本発明に係る誘導加熱装置は、焼入硬化処理に含まれる加熱工程を実施する場合のみならず、焼戻し処理に含まれる加熱工程を実施する場合にも好ましく使用することができる。
以上で述べたように、本発明によれば、短筒状のワーク全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することができ、しかもコイルの仕様を容易に変更し得る誘導加熱装置を実現することができる。このため、種々の短筒状のワークを効率良くかつ精度良く狙い温度に加熱することが、ひいては高品質の機械部品を効率良く製造することが可能となる。
熱処理工程の全体フロー図である。 本発明の一実施形態に係る誘導加熱装置の部分概略図である。 誘導加熱装置の電気回路を模式的に示すブロック図である。 第1コイルユニットを上側から見たときの平面図である。 図4のC-D-E-F線矢視断面図である。 第1コイルユニットの部分分解斜視図である。 第1コイルユニットの部分正面図である。 外径側コイル部の仕様変更例を説明するための図である。 (a)図は、第2コイルユニットを上側から見たときの概略平面図、(b)図は、(a)図の右側面図である。 (a)図は、従来方法でワークを誘導加熱した場合におけるワークの温度上昇態様を示す図、(b)図は、本発明に係る誘導加熱装置を用いてワークを誘導加熱した場合におけるワークの温度上昇態様を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る誘導加熱装置が採用される熱処理工程のフロー図である。熱処理工程は、例えば、転がり軸受の外輪の基材等、鋼材からなる短筒状のワークW(図2を参照)に焼入硬化処理を施す焼入れ工程S1と、焼入済のワークWに焼戻し処理を施す焼戻し工程S2とを備える。図示は省略しているが、焼入れ工程S1および焼戻し工程S2は、何れも、ワークWを狙い温度に加熱する加熱工程と、狙い温度に加熱されたワークWを冷却する冷却工程とを含む。上記の鋼材としては、例えば、JIS G4805に規定の高炭素クロム軸受鋼に分類されるSUJ2やSUJ3等を挙げることができる。
図1では、焼入れ工程S1と焼戻し工程S2との間に、焼入れ済のワークWを洗浄する洗浄工程S3、および洗浄された焼入れ済のワークWが品質基準を満たす良品であるか否かを検査する検査工程S4を設けると共に、焼戻し工程S2の後に、焼戻し済のワークWを洗浄する洗浄工程S5、および洗浄された焼戻し済のワークWが品質基準を満たす良品であるか否かを検査する検査工程S6を設けているが、これらの工程S3~S6は必ずしも全て実行されるわけではなく、一部又は全部が省略される場合もある。また、図示は省略するが、焼入れ工程S1および/または焼戻し工程S2の後に、ワークWに研磨等の仕上げ加工を施す仕上げ工程などが追加的に実行される場合もある。
以下、本発明の実施形態に係る誘導加熱装置について詳細に説明する。
図2は、焼入れ工程S1に含まれる加熱工程を実行するために使用される誘導加熱装置1の部分概略図であり、図3は、同誘導加熱装置1の電気回路を模式的に示すブロック図である。この誘導加熱装置1は、ワークWを狙い温度に誘導加熱するための加熱部としてのコイルユニット2と、加熱対象のワークWを水平姿勢(中心軸を上下方向に沿わせた姿勢)で下方側から支持するワーク支持部材3と、コイルユニット2に高周波電力を供給する電源4とを備え、コイルユニット2は、電極部材7および配電部材8a,8bを介して電源4と電気的に接続されている。
図2に示すように、コイルユニット2は、第1コイルユニット2Aおよび第2コイルユニット2Bと、両コイルユニット2A,2Bを支持した枠体30(図4参照。但し、図4では第2コイルユニット2Bの図示を省略している。)とを備える。第1コイルユニット2Aは、ワークW(ワーク支持部材3によって支持されたワークW。以下同様。)の径方向外側にワークWと同軸に配置され、ワークWの外径面の周方向各部を同時に加熱可能な外径側コイル部5を有する。また、第2コイルユニット2Bは、ワークWの径方向内側にワークWと同軸に配置され、ワークWの内径面の周方向各部を同時に加熱可能な内径側コイル部6を有する。
図4-図7に示すように、第1コイルユニット2Aは、ワークWの軸方向(上下方向)に沿って多段に配置された複数(図示例では2つ)の第1コイル部材11と、導通部材15とを備える。図4に示すように、第1コイル部材11は、周方向で有端のリング状をなし、外径側コイル部5を構成する環状部12と、環状部12の周方向一端部および他端部から延びた第1延長部13および第2延長部14とを一体に有する。この第1コイル部材は、導電性金属製の管状体(例えば銅管)を湾曲等させることで形成され、少なくとも環状部12は、その周方向各部が同一平面上(水平面上)に位置している。そして、図5に示すように、各第1コイル部材11は、環状部12の中心軸を他の第1コイル部材11の環状部12の中心軸と一致させた状態で枠体30に水平姿勢で支持されており、本実施形態では、図2および図5に示すように、上下に離間した二箇所に配置された環状部12の協働で外径側コイル部5が形成される。
図4および図5に示すように、第1コイルユニット2A(を構成する第1コイル部材11)を支持した枠体30は、第1コイルユニット2Aの下方側に配置された円形台座31と、円形台座31の周方向に離間した複数箇所(本実施形態では3箇所)に立設された支柱32とを有し、第1コイル部材11は、環状部12の周方向に離間した3箇所に取り付けられた支持部品33を介して枠体30に支持(支柱32に固定)されている。各支柱32には、第1コイル部材11の昇降移動を案内するためのガイド部32aが設けられている。このガイド部32aは、上下方向に延びた長穴状の貫通穴で構成される。枠体30を構成する円形台座31および支柱32は、何れも絶縁材料で形成されている。
図4に示すように、各支持部品33は、支柱32のガイド部32aに挿通された状態で径方向内側の端部が環状部12の外周部に設けたナット11aに締結されたボルト部材33aと、支柱32の径方向内側および外側にそれぞれ配置され、相対的に接近および離反移動可能にボルト部材33aに螺着された第1および第2のナット33b,33cとを備える。
上記の構成により、各第1コイル部材11は、その周方向三箇所に設けられた支持部品33のそれぞれにおいて、ナット33b,33cを相対的に接近移動させて支柱32を挟持すると、上下方向の所定位置で固定される。また、これとは逆に、各支持部品33においてナット33b,33cを相対的に離反移動させ、支柱32の挟持力を解放すると、第1コイル部材11を昇降移動させることが、すなわち、第1コイル部材11の上下方向における配置位置や姿勢を調整することが可能となる。さらに、各第1コイル部材11に設けられた全ての支持部品33においてボルト部材33aをナット11aから取り外せば、第1コイル部材11を枠体30から取り外すことができる。このため、第1コイル部材11は、枠体30に対して昇降可能であると共に着脱可能である。また、第1コイル部材11が枠体30に固定されることによって枠体30に支持される第1コイルユニット2Aは、枠体30に対して着脱可能である。
図4-図7に示す導通部材15は、上下で隣り合う第1コイル部材11,11を導通可能に接続するものであり、第1コイル部材11と同様に、導電性金属製の管状体(例えば銅管)で形成される。この導通部材15は、長手方向の一端に設けられた第1頭部15aと、長手方向の他端に設けられた第2頭部15bと、両頭部15a,15bを接続する接続部15cとを一体に有し、第1頭部15aが上側のコイル部材11の第1延長部13に設けられた受け部16に対してボルト部材17により固定され、第2頭部15bが下側のコイル部材11の第2延長部14に設けられた受け部16に対してボルト部材17により固定される。これにより、上下で隣り合う2つのコイル部材11,11は、受け部16、ボルト部材17および導通部材15を介して導通可能となる。
導通部材15は、可撓性を有する電線(ケーブル線)等で構成することも可能であるが、本実施形態のように銅管製の導通部材15を採用すれば、剛体からなる導通部材15によって隣り合うコイル部材11,11の離間距離(外径側コイル部5のコイルピッチ)を所定値に保ち易くなる、という利点がある。
コイルユニット2には、誘導加熱装置1への通電中に第1コイル部材11(外径側コイル部5)を冷却するための冷却回路が設けられる。このような冷却回路を設けておけば、第1コイル部材11の温度を適切かつ効率良く制御することができる他、第1コイル部材11の耐久性を向上することができる。本実施形態の冷却回路は、図7に示すように、上下で隣り合うコイル部材11,11の内部空間を管状の連通部材18Aを介して連通させると共に、最下段(下側)のコイル部材11の自由端および最上段(上側)のコイル部材11の自由端に給水管18Bおよび排水管18Cをそれぞれ接続することで形成される。
上記の冷却回路を採用した場合、図示外の貯水タンクから供給された冷却水は、図7中に白抜き矢印で示すように、給水管18Bを介して下側のコイル部材11の内部空間に流入し、その後、連通部材18Aの内部空間および上側のコイル部材11の内部空間を流通する。上側のコイル部材11の内部空間を流通した冷却水は、上側のコイル部材11に接続された排水管18Cを介して外部に排出される。以上のようにして冷却水が繰り返し流通することにより、各コイル部材11が冷却される。
図2および図9(a)(b)に示すように、内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2Bは、導電性金属製の管状体(例えば銅管)を湾曲等させることで形成された第2コイル部材21で構成される。第2コイル部材21は、螺旋状をなし、内径側コイル部6として機能する螺旋部22と、螺旋部22の一端部および他端部から延びる第1延長部23および第2延長部24とを有する。
図示は省略しているが、第2コイルユニット2Bには、誘導加熱装置1への通電中に第2コイル部材21を冷却するための冷却回路が設けられる。冷却回路は、例えば、第1延長部23の自由端に給水管を接続すると共に、第2延長部24の自由端に排水管を接続することで形成される。このような冷却回路を設けておけば、第2コイル部材21の温度を適切かつ効率良く制御することができる他、第2コイル部材21の耐久性を向上することができる。
第2コイルユニット2B(第2コイル部材21)は、枠体30に対して着脱可能に支持される。本実施形態では、水平方向に延びた一対の支持部材25,25[図9(a)(b)参照]の一端を第2コイル部材21に固定すると共に、支持部材25,25の他端を枠体30の支柱32に対してナット固定することにより、第2コイルユニット2Bが枠体30に支持される。この場合、支持部材25の他端を支柱32に固定したナットを取り外すことにより、第2コイルユニット2Bを枠体30から取り外すことができる。
図2に示すように、以上で説明した外径側コイル部5および内径側コイル部6は、加熱対象のワークWと同軸に配置される。ワーク支持部材3は、両コイル部5,6の中心軸に沿って昇降移動可能に設けられており、加熱対象のワークWの受け取りおよび加熱済のワークWの払い出しが行われる下降位置と、ワークWを外径側コイル部5と内径側コイル部6との間に配置する上昇位置との間を往復動する。
図3に示す電極部材7は、絶縁層を介して固定された入口側電極7aと出口側電極7bとを有する。入口側電極7aは、配電部材8aを介して外径側コイル部5(を有する第1コイルユニット2A)と電気的に接続され、出口側電極7bは、配電部材8bを介して内径側コイル部6(を有する第2コイルユニット2B)と電気的に接続されている。本実施形態では、図2および図7に示すように、第1コイルユニット2Aを構成する下側の第1コイル部材11の第1延長部13に設けた受け部16に対して配電部材8aが接続され、また、図2および図9(a)(b)に示すように、第2コイル部材21の第2延長部24に対して配電部材8bが接続される。
また、図2および図3に示すように、外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2Aと内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2Bとは配電部材8cを介して電気的に直列接続されている。本実施形態では、図2および図7に示すように、第1コイルユニット2Aのうち、上側の第1コイル部材11の第2延長部14に設けた受け部16に配電部材8cの一端が接続され、図2および図9(a)(b)に示すように、第2コイルユニット2Bを構成する第2コイル部材21(の第1延長部23)に配電部材8cの他端が接続されている。
詳細な図示は省略するが、配電部材8a~8cは、コイル部材11,21や導通部材15と同様に導電性金属製の管状体(剛体)で構成することができる他、可撓性を有する電線(ケーブル線)で構成することもできる。どのような配電部材8a~8cを用いる場合であっても、配電部材8a~8cは接続対象(第1コイル部材11や第2コイル部材21等)に対して着脱自在の方法で接続される。
以上から、本実施形態の誘導加熱装置1に通電すると(誘導加熱装置1に対して電源4から高周波電力が供給されると)、図2および図3に示すように、電源4→入口側電極7a→配電部材8a→外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2A→配電部材8c→内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2B(第2コイル部材21)→配電部材8b→出口側電極7b→電源4という経路を辿るようにして電流9が流れる。なお、第1コイルユニット2A内においては、下側の第1コイル部材11→導通部材15→上側の第1コイル部材11の順に電流9が流れる。
従って、図2および図3に示すように、ワーク支持部材3によって水平姿勢で下方側から支持されたワークWの径方向外側および径方向内側のそれぞれに、電気的に直列接続された環状の外径側コイル部5および螺旋状の内径側コイル部6をワークWと同軸に配置し、その状態で外径側コイル部5に通電する(コイルユニット2に対して電源4から高周波電力を供給する)と、外径側コイル部5および内径側コイル部6を略同一量の電流9が流れる。これにより、ワークWは、まず、外径面および内径面の周方向各部(全域)が同時に誘導加熱され、昇温した外径面および内径面の熱がワークWの芯部に向けて伝達されることにより、その全域が加熱されることになる。
要するに、本発明に係る誘導加熱装置1を用いてワークWを誘導加熱すれば、ワークWの外径側領域と内径側領域とを略同一条件で同時に加熱することが可能となるので、ワークWの外径側領域の加熱温度(昇温速度)とワークWの内径側領域の加熱温度(昇温速度)との間に差が生じ難くなる。実際、図2に示すように、ワークWの外径面の軸方向中央部(A点)およびワークWの内径面の軸方向中央部(B点)を測温しながらワークWを誘導加熱したところ、図10(b)に示すように、A点の昇温速度とB点の昇温速度に殆ど差はなく、図10(a)に示すように、外径側コイル部5のみを用いてワークWを誘導加熱した場合に比べ、B点を効率良く加熱することができた。従って、本発明に係る誘導加熱装置1であれば、短筒状のワークWの全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することが可能となる。
また、本発明に係る誘導加熱装置1において、外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2Aは、枠体30に対して着脱可能である。さらに、第1コイルユニット2Aは、外径側コイル部5を構成する環状部12を有し、枠体30に対して軸方向移動および着脱可能な状態で枠体30に支持された複数の第1コイル部材11と、上下で隣り合う2つの第1コイル部材11を導通可能に接続し、第1コイル部材11に対して着脱可能な導通部材15とを備える。そのため、枠体30による第1コイル部材11の支持位置や支持個数を変更することにより、外径側コイル部5の仕様を任意に変更することができる。
仕様変更の具体例を図8に基づいて説明すると、図8の上段に示す仕様から、図8の下段左側に示す仕様(外径側コイル部5のコイルピッチを拡大した仕様)に変更する場合には、両コイル部材11の離間距離を拡大した上で両コイル部材11を枠体30(図5参照)に固定しつつ、両コイル部材11を導通部材15を用いて導通可能に接続すれば良い。このとき、導通部材15としては、接続部15cの長さ、および上下方向に対する傾斜角が変更されたものを用いる。
また、図8の上段に示す仕様から、図8の下段中央に示す仕様(外径側コイル部5のコイルピッチを変更せずに、外径側コイル部5の軸方向寸法を拡大した仕様)に変更する場合には、枠体30による第1コイル部材11の支持個数を増加させ、追加した第1コイル部材11と既存の第1コイル部材11とを導通部材15を用いて接続すれば良い。また、図8の上段に示す仕様から、図8の下段右側に示す仕様(外径側コイル部5のコイルピッチを変更せずに、外径側コイル部5のコイル径を拡大した仕様)に変更する場合には、枠体30に支持されていた第1コイル部材11を取り外し、直径寸法が大きい環状部12を有する第1コイル部材11を枠体30に取付固定すると共に、両コイル部材11を導通部材15を用いて導通可能に接続すれば良い。
さらに、内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2B(第2コイル部材21)も、枠体30に対して着脱可能であることから、内径側コイル部6の仕様も任意に変更することができる。
以上の構成から、本実施形態の誘導加熱装置1では、外径側コイル部5および/または内径側コイル部6の仕様を容易に変更することができる。このため、加熱対象のワークWが変更された場合にも、各コイル部5,6の仕様を、変更後のワークWを誘導加熱するのに最適なものに容易に変更することができる。
従って、本発明に係る誘導加熱装置1は、短筒状のワークW全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することができ、しかもワークWを加熱する外径側コイル部5および内径側コイル部6の仕様を容易に変更し得る、という特徴を有する。このため、本発明に係る誘導加熱装置1であれば、種々の短筒状のワークWを効率良くかつ精度良く狙い温度に加熱することができるので、高品質の機械部品を効率良く製造する上で有利となる。
以上、本発明の一実施形態に係る誘導加熱装置1について説明したが、誘導加熱装置1には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
例えば、以上で説明した実施形態では、環状の外径側コイル部5と螺旋状の内径側コイル部6とを有するコイルユニット2を採用したが、外径側コイル部5は螺旋状であっても良く、また、内径側コイル部6は環状であっても良い。要するに、外径側コイル部5および内径側コイル部6は、コイルユニット2に通電されたときに、両コイル部5,6と同軸に配置されるワークWの外径面および内径面の周方向各部を同時に加熱(誘導加熱)することができるものであれば良い。
また、ワークWの誘導加熱中には、ワークWをその中心軸回りに回転駆動させても良い。図示は省略するが、このような構成は、図2に示すワーク支持部材3を、その中心軸回りに回転駆動させる回転駆動部(例えば、電動モータ等)に連結することで実現することができる。このようにすれば、ワークWの周方向各部で加熱温度にバラツキが生じるのを回避する上で、すなわちワークW全域を均一に加熱する上で有利となる。
また、以上では、焼入れ工程S1に含まれる加熱工程を実施するに際して本発明に係る誘導加熱装置1を使用したが、本発明に係る誘導加熱装置1は、焼戻し工程S2に含まれる加熱工程を実施する際に使用することもできる。
また、以上では、転がり軸受の外輪(の基材)に熱処理を施すにあたって本発明に係る技術手段を適用したが、本発明は、その他の短筒状のワークW、例えば、転がり軸受の内輪、すべり軸受、等速自在継手を構成する外側継手部材や内側継手部材、転がり軸受や等速自在継手に組み込まれる保持器に熱処理を施す際にも好ましく適用することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 誘導加熱装置
2 コイルユニット(加熱部)
2A 第1コイルユニット
2B 第2コイルユニット
4 電源
5 外径側コイル部
6 内径側コイル部
7 電極部材
8a,8b,8c 配電部材
9 電流
11 第1コイル部材
12 環状部
15 導通部材
17 ボルト部材
21 第2コイル部材
22 螺旋部
30 枠体
32 支柱
33 支持部品
W ワーク(短筒状のワーク)

Claims (5)

  1. 短筒状のワークを狙い温度に加熱するための加熱部と、該加熱部に高周波電力を供給する電源とを備えた誘導加熱装置において、
    前記加熱部は、前記ワークの径方向外側に前記ワークと同軸に配置され、前記ワークの外径面の周方向各部を同時に加熱可能な外径側コイル部を有する第1コイルユニットと、前記ワークの径方向内側に前記ワークと同軸に配置され、前記ワークの内径面の周方向各部を同時に加熱可能な内径側コイル部を有する第2コイルユニットと、前記第1コイルユニットおよび前記第2コイルユニットを着脱可能に支持した枠体とを備え、
    前記外径側コイル部と前記内径側コイル部とが電気的に直列接続され、
    前記第1コイルユニットが、前記外径側コイル部を構成する部分を有する第1コイル部材を備えると共に、前記第2コイルユニットが、前記内径側コイル部を構成する部分を有する第2コイル部材を備え、
    導電性金属製の管状体からなる前記第1コイル部材の長手方向の途中部分に、当該第1コイル部材の外径側コイル部を構成する部分に電流を供給するための部材が接続されると共に、前記第1コイル部材の長手方向の両端部に、前記第1コイル部材の内部空間を流通する冷却水の供給用又は排出用部材が接続され、
    導電性金属製の管状体からなる前記第2コイル部材の長手方向の途中部分に、当該第2コイル部材の内径側コイル部を構成する部分に電流を供給するための部材が接続されると共に、前記第2コイル部材の長手方向の両端部に、前記第2コイル部材の内部空間を流通する冷却水の供給用又は排出用部材が接続されることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記第1コイル部材は、前記外径側コイル部を構成する部分としての環状部を有し、前記枠体に対して軸方向移動および着脱可能な状態で前記枠体に複数支持されており、
    前記第1コイルユニットは、前記第1コイル部材の外径側コイル部を構成する部分に電流を供給するための部材として、隣り合う2つの前記第1コイル部材を導通可能に接続し、前記第1コイル部材に対して着脱可能な導通部材を備える請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記導通部材が剛体で形成されている請求項2に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記第2コイル部材は、前記内径側コイル部を構成する部分としての螺旋部を有する請求項1~3の何れか一項に記載の誘導加熱装置。
  5. 前記ワークが、転がり軸受の軌道輪である請求項1~4の何れか一項に記載の誘導加熱装置。
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