JP7171557B2 - ブロモドメインおよびエクストラ末端タンパク質阻害剤を含む組合せ医薬 - Google Patents

ブロモドメインおよびエクストラ末端タンパク質阻害剤を含む組合せ医薬 Download PDF

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Description

(相互参照)
本出願は、2016年10月27日に出願された米国仮出願第62/413,763号および2017年9月20日に出願された米国仮出願第62/560,840号の利益を主張し、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
本明細書に記載される実施形態により、がんおよび新生物疾患を処置するための組成物、製剤、および方法が提供され、ここで、このような処置は、ブロモドメインおよびエクストラ末端(BET)タンパク質阻害剤、ならびに化学療法剤、たとえば、テモゾロミドまたはパクリタキセルを投与することを含む、組合せ療法を含む。
がん、たとえば、基底細胞癌、再発型もしくは不応性非ホジキンリンパ腫(NHL)、多型神経膠芽腫、悪性星状細胞腫、または進行固形腫瘍などを有する対象を処置するための組成物、製剤、および方法に対する必要性は、依然として存在している。
たとえば、基底細胞癌(BCC)は、世界中で一般的ながんであり、その発症は増加している。米国単独では、毎年350万人を上回る新しい患者が、非黒色腫皮膚がんと診断されている。ほとんどのBCCは、局所療法、外科手術、放射線療法、またはそれらの組合せによって、治癒され得る。しかしながら、BCCは、一般的に顔などの日光に曝される場所に生じるため、進行BCCは、著しい外観の損傷および病的状態を引き起こすことが多く、身体的および心理的な後遺症を伴う。さらに、これらのがんのごく一部は、転移性であり、通常の治療法には適していない。ほぼすべてのBCCは、無制御な細胞増殖を刺激する異常なヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達が関係しており、いくつかの治療用Hh阻害剤は、BCCの処置に有用であることが証明されている。残念なことに、BCCの約20%は、通常、薬物結合ポケットを妨害するか、Hhシグナル伝達活性を増加させるか、またはサプレッサー遺伝子において同時に生じるコピー数変化を通じて機能するかのいずれかの変異によるHh経路の再活性化を通じて、現在のHh阻害剤に対して耐性が生じる。患者は、たとえば、関連するシグナル伝達経路の下流にあるタンパク質を標的とすることによってこれらの耐性経路を克服する、耐容性の高い薬剤の開発により、利益が得られると予想される。
本開示の態様および実施形態は、がんおよび新生物疾患を有する対象、たとえば、進行固形腫瘍、再発型もしくは不応性非ホジキンリンパ腫、多型神経膠芽腫、悪性星状細胞腫、基底細胞癌、または他のがんを有するものを処置するための方法および医薬組成物を提供する。少なくとも1つの実施形態は、がんおよび新生物疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の少なくとも1つのBET阻害剤、ならびに治療有効量の少なくとも1つの化学療法剤を投与することを含む、方法を提供する。化学療法剤は、アルキル化剤、たとえば、テモゾロミド、または有糸***阻害剤、たとえば、パクリタキセルもしくはタンパク質結合型パクリタキセル粒子であり得る。例示的なBET阻害剤は、4-[2(シクロプロピルメトキシ)-5-メトキシスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンである。本方法によると、BET阻害剤および化学療法剤の投与は、同時であっても逐次的であってもよい。
少なくとも1つの実施形態において、組合せ療法のBET阻害剤および化学療法剤は、単一の医薬組成物で投与され得る。一部の実施形態では、医薬として許容される担体で製剤化された、医薬として有効な量のBET阻害剤およびテモゾロミドを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、医薬として許容される担体で製剤化された、医薬として有効な量のBET阻害剤およびタンパク質結合型パクリタキセルを含む、組成物が提供される。一実施形態において、組合せ療法のBET阻害剤および化学療法剤は、同時または逐次的のいずれかで投与される別個の医薬組成物として存在してもよい。別の実施形態において、BET阻害剤および化学療法剤は、投与の前に混合される(すなわち、注射または注入用の医薬として許容される溶液中に混合される)独立した医薬組成物である。なおも別の実施形態において、BET阻害剤および化学療法剤は、投与のために一緒にパッケージングされる別個の医薬組成物として配置される(たとえば、経口製剤を格納したブリスターパック、または経口剤形および注射用剤形を含むパッケージング)。
少なくとも1つの実施形態において、BET阻害剤および化学療法剤の投与により、BET阻害剤または化学療法剤のいずれか単独での投与と比較して、細胞増殖の相乗的な阻害または細胞死(たとえば、腫瘍細胞死)の増加がもたらされる。化学療法剤は、抗増殖性化合物またはアポトーシス促進性化合物であり得、BET阻害剤と共投与した場合に、相乗的な抗増殖性作用またはアポトーシス促進性作用を示すように選択され得る。BET阻害剤および化学療法剤を用いた組合せ処置により、相乗的な抗がん作用をもたらすことができるか、または耐性の発生を克服することができる。相乗作用または耐性発生の克服により、より低い用量が可能となり、実質的な患者集団において治療費用を著しく低減することができる。
TNBC PDXモデル、COH70において腫瘍体積によって測定した、化合物A(4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン)の投薬後の用量依存的な腫瘍成長の阻害を示すグラフである。化合物Aは、口から(経口で)、3日間連続で1日1回投薬した後、4日間休薬した(3回/週)。──は、ビヒクルであり、----は、12.5mg/kgで3回/週の経口での化合物Aであり、─ ─は、16mg/kgで3回/週の経口での化合物Aであり、----は、20mg/kgで3回/週の経口での化合物Aである。SEMは、平均の標準誤差である。 GBM PDXモデル、GBM15において腫瘍体積によって測定した、化合物Aの投薬後の用量依存的な腫瘍成長の阻害を示すグラフである。──はビヒクルであり、---は、15mg/kgで1日1回、経口で5日間連続、続いて2日間の休薬(5日間/2日間)での化合物Aであり、─ ─は、25mg/kgで1日1回、経口で3日間連続、続いて4日間の休薬(3日間/4日間)での化合物Aであり、----は、37.5mg/kgで1日1回、経口で2日間連続、続いて5日間の休薬(2日間/5日間)での化合物Aである。SEMは、平均の標準誤差である。 化合物A、テモゾロミド(TMZ)、または化合物AおよびTMZの組合せのいずれかの投与による、GBM3(GBM PDX)異種移植片の腫瘍成長の阻害を示すグラフである。──は、ビヒクルであり、----は、12mg/kgで1日1回経口での化合物Aであり、----は、6mg/kgで1日2回経口での化合物Aであり、─ ─は、6mg/kgで1日2回経口での化合物Aと、50mg/kgで7日目~9日目および22日目~24日目に腹腔内(腹腔内注射)投与でのTMZとの組合せであり、---は、50mg/kgで7日目~9日目、22日目~24日目に腹腔内投与でのTMZである。SEMは、平均の標準誤差である。 医薬組成物の安全性または有効性を示すのに有用な全体的な研究設計を描いた概略図である。 事前分布による用量制限毒性(DLT)の確率に関する。□SE、○SM、△SL、+FM、×FL。 シミュレーションに有用な用量毒性曲線を示す。 研究プロトコールとの整合性がとれるように修正された、処置に誘導される下痢の管理のため公開されている推奨(Benson et al., 22 J. Clin. Oncol. 2918 (2004))を示す、スキームである。 研究プロトコールとの整合性がとれるように修正された、処置に誘導される下痢の管理のため公開されている推奨(Benson et al., 22 J. Clin. Oncol. 2918 (2004))を示す、スキームである。 化合物A、ロミデプシン、または化合物Aおよびロミデプシンの組合せのいずれかの投与による、PA0165異種移植片の腫瘍成長の阻害を示すグラフである。3日間/4日間は、3日間の投薬および4日間の休薬であり、Q4Dは、4日に1回であり、Q7Dは、7日に1回である。──は、対照であり、----は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aであり、----は、1.5mg/kgで4日に1回×3回のロミデプシンであり、─ ─は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aと、1.5mg/kgで7日に1回のロミデプシンとの組合せであり、---は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aと、0.75mg/kgで7日に1回のロミデプシンとの組合せである。腫瘍体積は、平均±平均の標準誤差(SEM)としてプロットした。 化合物A、ロミデプシン、または化合物Aおよびロミデプシンの組合せのいずれかの投与による、PA0165異種移植片の生存曲線を示すグラフである。3日間/4日間は、3日間の投薬および4日間の休薬であり、Q4Dは、4日に1回である。──は、対照であり、----は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aであり、----は、1.5mg/kgで4日に1回×3回のロミデプシンであり、─ ─は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aと、1.5mg/kgで7日に1回のロミデプシンとの組合せであり、---は、25mg/kgで3日間/4日間の化合物Aと、0.75mg/kgで7日に1回のロミデプシンとの組合せである。 化合物A、アブラキサン、または化合物Aおよびアブラキサンの組合せのいずれかの投与による、PA0165異種移植片の腫瘍成長の阻害を示すグラフである。──は、対照であり、----は、化合物A、25mg/kgであり、----は、アブラキサン、10mg/kgであり、─ ─は、化合物A、25mg/kgと、アブラキサン、10mg/kgの組合せであり、---は、化合物A、12.5mg/kgと、アブラキサン、10mg/kgの組合せである。腫瘍体積は、平均±平均の標準誤差(SEM)としてプロットされる。 化合物A、アブラキサン、または化合物Aおよびアブラキサンの組合せのいずれかの投与による、PA0165異種移植片の生存曲線を示すグラフである。──は、対照であり、----は、化合物A、25mg/kgであり、----は、アブラキサン、10mg/kgであり、─ ─は、化合物A、25mg/kgと、アブラキサン、10mg/kgの組合せであり、---は、化合物A、12.5mg/kgと、アブラキサン、10mg/kgの組合せである。
本発明は、本明細書に記載される特定の手法、プロトコール、および試薬などに限定されるものではなく、したがって、変動し得ることを理解されたい。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としたものにすぎず、特許請求の範囲によってのみ定められる本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈により別途明確に示されない限り、複数形の参照物を含む。「または」という用語は、たとえば、「いずれか」によって修飾されていない限り、包含的である。作業例におけるものまたは別途示される場合を除き、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表すすべての数字は、あらゆる事例において、「約」という用語によって修飾されていると理解されるものとする。割合に関連して使用される場合、「約」という用語は、±1%を意味し得る。別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。
特定されたすべての特許および他の刊行物は、たとえば、本発明に関連して使用することができる、このような刊行物に記載されている手法を説明および開示する目的で、参照により本明細書に組み込まれるが、本明細書において提示される用語と整合性のない用語の定義を提供するものではない。これらの刊行物は、本出願の出願日よりも以前のそれらの開示のために提供されているにすぎない。この点に関して、先行発明により、または任意の他の理由で、本発明者らがこのような開示に先立つ権利を有さないことを認めると解釈されるものは存在しない。これらの文書の日付に関する記述または内容に関する描写はすべて、本出願者らが入手できる情報に基づくものであり、これらの文書の日付または内容の正確さに関してなんらかの承認を構成するものではない。
少なくとも1つの実施形態は、ブロモドメインおよびエクストラ末端(BET)タンパク質の阻害剤、ならびに化学療法剤の投与を含む、組合せ療法を用いて、がんを処置する方法を提供する。たとえば、BET阻害剤は、ブロモドメイン阻害剤、たとえば、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)であり得、化学療法剤は、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド)、タンパク質結合型パクリタキセル(たとえば、ABRAXANE(登録商標)、またはロミデプシン(1S,4S,7Z,10S,16E,21R)-7-エチリデン4,21-ジイソプロピル-2-オキサ-12,13-ジチア-5,8,20,23-テトラアザビシクロ[8.7.6]トリコス-16-エン-3,6,9,19,22ペントン)であり得る。したがって、例示的な実施形態では、化合物Aおよびテモゾロミドを含む、組合せ療法が提供される。別の例示的な実施形態では、化合物Aおよびタンパク質結合型パクリタキセルを含む、組合せ療法が提供される。またさらに別の例示的な実施形態では、化合物Aおよびロミデプシンを含む、組合せ療法が提供される。本明細書により詳細に記載されるように、化合物Aは、エピジェネティックBETタンパク質の強力かつ可逆的な阻害剤である。驚くべきことに、BET阻害剤(たとえば、化合物A)および化学療法剤(たとえば、テモゾロミド、タンパク質結合型パクリタキセル、またはロミデプシン)の投与を含む組合せ療法は、相乗的な治療結果を示した。
少なくとも1つの実施形態では、BET阻害剤および化学療法剤、たとえば、アルキル化剤(テモゾロミド)または有糸***阻害剤(たとえば、タンパク質結合型パクリタキセル)を含む医薬製剤を投与することを含む、がん、特に、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHLを有する対象の処置が提供される。たとえば、BET阻害剤は、ブロモドメイン阻害剤、たとえば、化合物Aであり得る。特定の例は、ヒト対象における化合物Aの安全性、耐容性、薬物動態、および予備的な有効性を評価することに関する。
本実施形態は、がん、たとえば、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHL、たとえば、DLBCLもしくはiNHLの処置において治療上の利益を提供する、方法および組成物、たとえば、医薬製剤を提供する。固形腫瘍と関連するがんのさらなる例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、膵臓がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口腔がん、鼻腔がん、咽喉がん、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胎児性癌、ウイルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、小細胞肺癌、膀胱癌、肺がん、上皮癌、神経膠腫、多型神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、皮膚がん、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫が挙げられる。
「対象」または「患者」という用語は、本明細書において使用されるとき、がん、たとえば、固形腫瘍または再発型/不応性NHL(たとえば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または遅発性NHL(iNHL))の診断、予後、または治療法が関係する、任意の対象、特に、哺乳動物対象を指す。「対象」または「患者」という用語には、文脈が示すように、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれ得る。
本明細書において使用されるとき、「処置する」、「軽減すること」、「緩和すること」、「処置」、または「~の処置」という用語(たとえば、「進行固形腫瘍または再発型/不応性NHLを有する患者を処置すること」という語句において)は、本明細書において互換可能に使用され、一般に、治療上の利益または予防上の利益、たとえば、疾患の可能性を低減すること、疾患の発生を低減すること、または疾患の重症度を低減することを指す。たとえば、処置することとは、対象に投与されたときに、さらなる腫瘍の成長もしくは悪性度を予防するか、または疾患の症状、兆候、もしくは原因を治癒もしくは少なくとも部分的に緩和する、治療法の能力を指し得る。処置することとは、また、少なくとも1つの臨床症状を軽減もしくは減少させること、または状態の進行の阻害もしくは遅延、または疾患もしくは疾病の発症の予防もしくは遅延も指す。したがって、「処置する」、「処置すること」、または「~の処置」という用語(または文法上同等の用語)は、予防的処置レジメンおよび治療的処置レジメンの両方を指す。これらの用語は、治療上の利益または予防上の利益を含むがこれらに限定されない、有益な結果または所望される結果を得るためのアプローチを指す。「治療上の利益」とは、処置されている根底にある障害の根絶または緩和を意味する。また、治療上の利益は、根底にある障害と関連する生理学的症状のうちの1つまたは複数の根絶または緩和により達成され、そのため、患者が、根底にある障害に依然として罹患している場合があったとしても、改善が、患者において観察される。予防上の利益については、本組成物は、特定の疾患を発症する危険性がある患者、または疾患の生理学的症状のうちの1つもしくは複数を報告している患者に、投与され得るが、この疾患の診断は、まだなされていなくてもよい。
したがって、「治療剤」とは、本明細書において使用されるとき、所望される作用、通常は有益な作用をもたらすために、対象に投与される、任意の治療的に活性な物質を指す。治療剤という用語には、たとえば、広く小分子薬と称されている古典的な低分子量の治療剤、ならびに抗体またはその機能的に活性な部分、ペプチド、脂質、タンパク質薬、タンパク質コンジュゲート薬、融合タンパク質、酵素、核酸、リボザイム、遺伝子材料、ウイルス、細菌、真核生物細胞、およびワクチンを含むがこれらに限定されない生物製剤が含まれる。治療剤はまた、プロドラッグであってもよい。治療剤はまた、放射性同位体であってもよい。治療剤は、ある形態のエネルギー、たとえば、光もしくは超音波エネルギーによって活性化されるか、または全身的もしくは局所的に投与することができる他の循環分子によって活性化される、薬剤であり得る。加えて、治療剤は、医薬として製剤化され得る。
「医薬剤」、「治療剤」、「医薬として活性な」、「医薬品」、「薬物」、「医薬」、「活性剤」、「活性薬」、「活性な医薬成分」などへの参照は、一般に、たとえば、薬物、生物製剤、診断剤(たとえば、色素もしくは造影剤)を含め医薬および科学の技術分野において有用な物質、または治療目的、診断目的、もしくは予防目的(たとえば、ワクチン)、または研究目的で使用される他の物質を指す。医薬剤の例としては、小分子、化学療法剤、造影剤、麻酔薬、干渉RNA、遺伝子ベクター、生物製剤、免疫原、抗原、インターフェロン、ポリクローナル抗体調製物、モノクローナル抗体、インスリン、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。記載のように、医薬組成物または医薬製剤は、1つもしくは複数の活性治療剤、または活性剤および診断剤の組合せなどを含み得、典型的には、好適な賦形剤をさらに含む。
「不活性な」物質とは、当該技術分野において周知である担体、賦形剤、希釈剤などを指すが、たとえば、例として、界面活性剤、無機塩もしくは有機塩、安定剤、希釈剤、可溶化剤、還元剤、酸化防止剤、キレート剤、保存剤、アジュバント、等張剤もしくは緩衝剤、または医薬組成物において従来的に使用される任意の賦形剤(すなわち、「医薬として許容される賦形剤」)など、このような物質は、混合注射剤において有益な機能を有し得る。これらの活性または不活性な物質はまた、即時、遅延、制御、または持続放出特性を有する物質を含み得る。
「医薬製剤」、「製剤」、または「医薬組成物」とは、少なくとも1つの活性剤を含み、さらに、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含み得る、薬物製品を指す。たとえば、典型的な注射用医薬製剤としては、発熱物質不含であり、好適なpH、等張性、および安定性を有する、非経口で許容される水溶液が挙げられる。医薬組成物は、様々な種、たとえば、例として、ヒト患者または対象において、診断上、治療上、または研究上の有用性を有し得る。少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、BET阻害剤、および化学療法剤、たとえば、テモゾロミド、タンパク質結合型パクリタキセル、またはロミデプシンを含む。たとえば、BET阻害剤は、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)であり得る。本明細書に記載される薬剤および組成物は、許容される文献において記載されている、1つまたは複数の医薬として許容される担体または賦形剤を使用して、任意の従来的な様式で製剤化することができる。たとえば、REMINGTON - Science & Practice of Pharmacy, 22nd edition (Lloyd, ed., Pharmaceutical Press, London, UK, 2012)を参照されたい。このような製剤は、治療有効量の、本明細書に記載される活性剤、好ましくは、精製された形態のものを、対象への適切な投与のための形態を提供するのに好適な量の担体と一緒に含有する。
「プロドラッグ」は、生理学的条件下において、または加溶媒分解によって、本明細書に記載される生物学的に活性な化合物に変換され得る化合物を示すことを意味する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、医薬として許容される生物学的に活性な化合物の前駆体を指す。プロドラッグは、対象に投与されるときには不活性であってもよいが、たとえば、加水分解によって、インビボで活性な化合物に変換される。プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物において、可溶性、組織適合性、または放出の遅延という利点を提供することが多い。「プロドラッグ」という用語はまた、このようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると、インビボで活性な化合物を放出する、任意の共有結合した担体を含むことを意味する。活性な化合物のプロドラッグは、修飾が日常的な操作またはインビボでのいずれかで切断されて、親である活性な化合物となるような方式で、活性な化合物に存在する官能基を修飾することによって、調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ基、アミノ基、またはメルカプト基が任意の基に結合しており、活性な化合物のプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると、これが、切断されて、遊離ヒドロキシ基、遊離アミノ基、または遊離メルカプト基が形成される、化合物を含む。プロドラッグの例としては、活性化合物中のアルコール官能基またはアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体、および安息香酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、DESIGN OF PRODRUGS、7-9、21-24(Bundgaard, Ed., Elsevier, Amsterdam, 1985)を参照されたい。たとえば、テモゾロミドは、アルキル化剤ダカルバジンのイミダゾテトラジン誘導体プロドラッグである。
医薬製剤は、治療有効量の、少なくとも1つの活性剤を含み得る。このような有効量は、投与される剤形の作用、または1つを上回る薬剤が使用される場合は薬剤と1つもしくは複数の追加の活性剤の組合せ作用に、部分的に基づいて、当業者によって容易に判定することができる。活性剤の治療有効量はまた、疾患の状態、個体の年齢、性別、および体重、ならびに薬剤(および1つもしくは複数の追加の活性剤)が個体において所望される応答、たとえば、少なくとも1つの状態のパラメーターの緩和を誘起する能力などの要因に応じて変動し得る。たとえば、ある剤形の治療有効量により、特定の障害を阻害(その重症度を減少もしくはその発生を排除)することができるか、特定の障害を予防することができるか、または当該技術分野において公知であるかもしくは本明細書に記載される、特定の障害の症状のうちのいずれか1つを減少させることができる。治療有効量はまた、活性剤または剤形の任意の毒性または有害な作用を、治療上有益な作用が上回るものであり得る。
したがって、活性剤は、単剤療法として、または組合せ剤形で別の活性剤との組合せ療法として、または追加の処置、たとえば、同じか、関連するか、もしくは追加の障害のための別の処置として、対象に投与されてもよい。たとえば、BET阻害剤は、同じ製剤において、または同時もしくは逐次的に投与される異なる製剤において、化学療法剤、たとえば、テモゾロミドまたはタンパク質結合型パクリタキセルと組み合わせることができる。加えて、組合せ療法は、対象(たとえば、ヒト患者)に、対象に治療上の利益をもたらす1つまたは複数の薬剤(たとえば、抗生物質、抗凝血剤、抗高血圧薬、もしくは抗炎症薬)を投与することを含み得る。別の例において、組合せ療法は、対象に、BET阻害剤、テモゾロミド、またはBET阻害剤およびテモゾロミドを含む組合せ薬、ならびにがん、たとえば、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHLを有する対象に治療上の利益をもたらす1つまたは複数の追加の薬剤を投与することを含み得る。同様に、別の例において、組合せ療法は、対象に、BET阻害剤、タンパク質結合型パクリタキセル、またはBET阻害剤およびパクリタキセルを含む組合せ薬、ならびにがんを有する対象に治療上の利益をもたらす1つまたは複数の追加の薬剤を投与することを含み得る。同様に、なおも別の例において、組合せ療法は、対象に、BET阻害剤、ロミデプシン、またはBET阻害剤およびロミデプシンを含む組合せ薬、ならびにがんを有する対象に治療上の利益をもたらす1つまたは複数の追加の薬剤を投与することを含み得る。一部の実施形態において、活性剤および1つまたは複数の追加の活性剤は、単一の剤形、たとえば、BET阻害剤、ならびにテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンを含む医薬組成物において、投与される。他の実施形態において、活性剤が、時間的に1番目に投与され、追加の活性剤が、時間的に2番目に投与される。一部の実施形態において、1つまたは複数の活性剤は、同時に投与されるが、異なる薬物送達デバイスまたは送達形態を使用して投与され、たとえば、BET阻害剤およびテモゾロミドの投与を含むか、BET阻害剤およびパクリタキセルの投与を含むか、またはBET阻害剤およびロミデプシンの投与を含む、組合せ療法がもたらされる。少なくとも1つの実施形態において、BET阻害剤は、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)である。
BET阻害剤、または本明細書に記載される組合せ療法としてのBET阻害剤および化学療法剤の両方の投与は、これまでに投与されたかまたは現在投与されている治療法に置き換わるか、またはそれを増強することができる。たとえば、1つの医薬製剤で処置する場合、追加の活性剤の投与は、終了し得るかまたは減少され得る、たとえば、より低い濃度もしくはより長い投与間隔で投与され得る。一部の実施形態において、これまでの治療法の投与は、維持されてもよい。一部の実施形態において、これまでの治療法は、活性剤のレベルが、治療的作用をもたらすのに十分なレベルに達するまで、維持される。したがって、2つの治療法は、組み合わせて、逐次的に、または同時に、投与され得る。
少なくとも1つの実施形態において、BET阻害剤および化学療法剤の投与を含む組合せ療法は、BET阻害剤または化学療法剤のいずれかを単独で含む治療法の投与と比較して、相加的な作用を有する。他の実施形態において、組合せ療法でのBET阻害剤および化学療法剤の投与は、BET阻害剤または化学療法剤のいずれかを単独で含む治療法の投与と比較して、相乗的な作用を有する。一部の実施形態において、BET阻害剤および化学療法剤の投与を含む組合せ療法は、BET阻害剤もしくは化学療法剤のいずれかを単独で含む治療法の投与または1つもしくは複数の他の薬剤の単独での投与と比較して、副作用を低減する。たとえば、化合物A、ならびにテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンの投与を含む組合せ療法は、相乗的な治療結果をもたらした。
治療上の利益は、必ずしも特定のがん(たとえば、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHL)の治癒とは限らず、むしろ、最も典型的には、緩和、生存期間の増加、腫瘍の排除、がんと関連する症状の低減、がんの発生により生じる二次的な疾患、障害、もしくは状態の予防もしくは緩和、または転移の予防を含む結果を包含する。進行固形腫瘍には、切除不能な固形腫瘍が含まれる。再発型または不応性NHLには、DLBCLおよびiNHLが含まれる。
本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態において、処置される対象の疾患状態(たとえば、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHL)は、対象のエピジェネティックスまたはエピジェネティック状態と関連している。エピジェネティックスとは、一般に、細胞および生理学的な表現型の特徴の変化を指し、外的または環境的な要因により、本質的なDNAの変化に影響が生じるのではなく、遺伝子の発現に影響が生じる。換言すると、DNA配列(遺伝子型)に対する変化に基づく遺伝子学とは異なり、エピジェネティックスの遺伝子発現または細胞表現型における変化は、他の原因を有する。たとえば、DNAメチル化、およびヌクレオソームヒストンタンパク質の翻訳後修飾は、根底にあるDNA配列を改変することなく、クロマチンの組成および遺伝子発現を改変する。したがって、エピジェネティック修飾は、特定の遺伝子が発現されるかどうか、いつそうなるか、またはどの場合にそうなるかに影響を及ぼし、可逆的および選択的の両方で、細胞が差次的な遺伝子発現を制御することを可能にし得る。Chaidos et al., 6 Ther. Adv. Hematol. 128 (2015)。エピジェネティック修飾は、アセチル基またはメチル基を共有結合する「ライター」、これらの基を除去する「イレイサー」、ならびにこれらの基を認識し、それらに結合する「リーダー」という酵素のファミリーによって、付加、除去、および認識される、動的かつ可逆的なプロセスである。Arrowsmith et al., 11 Nature Rev. Drug Discov. 384 (2012)。がんの発生および進行は、これらの修飾の誤認識、誤付加、または誤除去と関連付けられることが増えてきている。Chi et al., 10 Nature Rev. Cancer 457 (2010)。
ブロモドメインおよびエクストラ末端(BET)タンパク質は、エピジェネティックプロセスにおいて中枢的な役割を果たすエピジェネティック「リーダー」群であり、実際に、細胞成長および腫瘍発生に関与する遺伝子の発現を制御し得る。Wyce, 4 Oncotarget 2419 (2013a)。ヌクレオソームヒストンN末端尾部の翻訳後アセチル化は、オープン構造のクロマチンおよび活発な遺伝子転写の基本的なエピジェネティック作用を表す。BETタンパク質ファミリーのメンバーは、これらのアセチル化されたリシンヒストン尾部を認識し、それに結合する、高度に相同的なタンデムブロモドメイン(BD-1およびBD-2)を特徴とする。BETタンパク質は、次に、転写に必要とされる転写因子およびクロマチンオーガナイザーを動員する足場としての機能を果たす。たとえば、高度に保存されたアスパラギン残基およびチロシン残基と、アセチル化されたリシンとの間の水素結合による相互作用のセットを通じて、BETブロモドメインは、クロマチンを、CDK9含有複合体P-TEFbに連結させ、これが、RNAポリメラーゼIIの大きなサブユニットをリン酸化し、休止解除および転写伸長を促進する。Chaidos et al., 2015。
BETファミリーには、BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDTの4つのメンバーが含まれる。Dawson et al., New Engl. J. Med. 367 (2012)、Jenuwein & Allis, 293 Science 1074 (2001)。BRDTは、生殖細胞に排他的に見出されるが、BRD2、BRD3、およびBRD4は、生殖細胞および体細胞に偏在している。Chaidos et al., 2015。BRD4(ブロモドメイン含有タンパク質4)は、ヒストンH3およびH4の尾部でε-N-リシンアセチル化ポケットに結合する転写共制御因子としての機能を果たし、ここで、BRD4は、そのクロマチン結合部位へのさらなるタンパク質の動員を通じて遺伝子発現を制御し、それによって、クロマチンの構造および機能に影響を及ぼすことができる。Jacobson et al., 288 Science 1422 (2000)。加えて、BRD4は、高アセチル化スーパーエンハンサープロモーター領域に優先的に結合し、共活性化因子または共発現因子の複合体を動員することによって、標的遺伝子の転写を制御する。Jung et al., 12 J. Neuroinflammation 1 (2015)、Junwei & Vakoc, 54 Molec. Cell 728 (2014)、Jenuwein & Allis, 2001。
加えて、BETタンパク質の脱制御が、いくつかの腫瘍性疾患において観察されている。たとえば、珍しい侵攻性の上皮腫瘍(精巣における核タンパク質(NUT))は、NUTタンパク質とBRD3またはBRD4との融合体によって作動されるが、BET阻害剤は、この腫瘍において前臨床活性を示している。Filippakopoulos & Knapp, 2010、French, 203 Cancer Genet. & Cytogen. 16 (2010)。BRD4の脱制御はまた、白血病、肝細胞癌、および乳がんにおいても発生する。Zuber et al., 478 Nature 524 (2011)、Li et al., 7 Oncotarg. 2462 (2015)。さらに、BRD2およびBRD4の過剰発現は、神経膠芽腫細胞において示されており、I-BET-151(GSK1210151A)によるBET阻害は、多型神経膠芽腫(GBM)異種移植片において、テモゾロミドに匹敵する活性を示している。Pastori et al., 9 Epigen. 611 (2014)。これとは別に、BET阻害は、肺腺癌細胞株において、腫瘍発生性転写因子FOSL1およびその標的を抑制した。Lockwood et al., 109 PNAS 19408 (2012)。
BRD4はまた、細胞成長および腫瘍発生に関与する遺伝子、たとえば、MYC、FOSL1、およびGLI1の発現を制御することが示されている。Shi et al., 25 Cancer Cell 210 (2014)、Filippakopoulos & Knapp, 13 Nat. Rev. 337 (2014)。スーパーエンハンサー部位に結合するBRD含有複合体は、重要な転写因子、たとえば、すべてのがんの70%近くにおいて活性化される、がん遺伝子c-MYCのプロモーター領域に局在することが多い。Nilsson & Cleveland 22 Oncogene 9007 (2003)、Whyte et al., 153 Cell 307 (2013)、Loven et al. 153 Cell 320 (2013)。BET阻害剤は、MYCにより作動される血液腫瘍および固形腫瘍のヒト腫瘍異種移植片において、これらの複合体を破壊し、MYCを下方制御し、活性を示している。Mertz et al., 108 PNAS 16669 (2011)、Puissant et al., 3 Canc. Discov. 308 (2013)、Shimamura et al., 19 Clin. Canc. Res. 6183 (2013)、Wyce et al., 8 PLoS One e72967 (2013b)、Bandopadhayay et al., 20 Clin. Cancer Res. 912 (2014)、Hu et al. 16 Int. J. Mol. Sci. 1928 (2015)、Li et al., 2015、Mazur et al., 21 Nat. Med. 116 (2015)。さらに、不応性/耐性リンパ腫および白血病におけるBET阻害剤の臨床試験において、活性が確認されている。Dombret et al., ASH 2014, Abstract 117。BRD4は、したがって、多数の遺伝子の転写において役割を有する可能性があり、BRD4の阻害は、薬物耐性に関与する遺伝子、たとえば、薬物ポンプを含む、これらの転写される遺伝子を下方制御することができる可能性がある。がんの薬物/治療法耐性に関与する遺伝子の例は、多剤耐性(P-糖タンパク質、MDR1)、多剤トランスポータータンパク質(MRP1、ABCC1)、乳がん耐性タンパク質(BCRP、MXR、ABCG2)、およびグルタチオン(GSH)である。
BETタンパク質はまた、上皮間葉転換(EMT)およびがん幹細胞(CSC)発生において、役割を有するとみられている。上皮観葉転換は、多数の癌腫の進行および転移と関連し、EMT、化学療法耐性、およびCSCの発生の間には、相関性があるとみられる。Thiery, 2 Nat. Rev. Cancer 442 (2002)、Thiery, 15 Curr. Opin. Cell Biol. 740 (2003)、Huber et al., 17 Curr. Opin. Cell Biol. 548 (2005)、Mani et al., 133 Cell 704 (2008)、Castellanos et al., 6 OncoTargets Ther. 1261 (2013)、Satoh et al., 50 J. Gastroenterol. 140 (2015)。CSCは、増殖が制御されず、免疫不全マウスにおいて、自己複製、他の細胞型への分化、および腫瘍の形成を行い得る。Castellanos et al., 2013。実際に、CSCは、腫瘍の発生、進行、再発、および転移、ならびに腫瘍の不均一性および処置に対する耐性を担う可能性がある。Sheridan et al., 8 Breast Canc. Res. R59 (2006)、Campbell & Polyak, 6 Cell Cycle 2332 (2007)、Li et al., 100 J. Natl. Cancer Inst. 672 (2008)、Zhu et al., 32 Clin. Translat. Med. 1 (2014)、Dawood et al., 28 Oncol. J. 1101 (2014)。CSCは、白血病、***(特に、基底様乳がん)、結腸、GBM、頭頸部、肝臓、肺、黒色腫、膵臓、および前立腺の癌腫において、特定されている。Fang et al., 65 Canc. Res 9328 (2005)、Ma et al., 132 Gastroenterol. 2542 (2007)、Tang et al., 21 FASEB J. 3777 (2007)、Eppert et al., 17 Nature Med. 1086 (2011)、Lathia et al., 29 Genes & Devel. 120 (2015)。
さらに、EMTに関しては、Twist転写因子が、EMTの重要な活性化因子として特定されている。Wu & Donohoe, 2 RNA Dis. 1 (2016)。Twistは、高い転移能を有する侵攻性の膵臓がん細胞、および乳がんCSCの両方において、高いレベルで存在する。Mani et al., 2008、Von Burstin et al., 137 Gastroenterol. 361 (2009)。重要なことに、BRD4は、Twistに結合し、このTwist/BRD4の相互作用が、腫瘍発生およびBLBCへの侵襲を誘起する。Shi, (2014)。BET阻害剤は、しかしながら、このTwist-BRD4の相互作用を遮断し、基底様乳がん異種移植片モデルにおいて、成長を阻害することができる。結腸直腸癌における研究では、EMTにおけるBRD4の重要な役割が裏付けられており、BRD4阻害剤MS417は、結腸細胞の増殖、遊走、および侵襲を阻害し、CRC移植片モデルにおいて成長を損傷し、肝臓転移の発生を抑制した。Hu et al., 16 Intl. J. Mol. Sci. 1928 (2015)。
さらに、BETタンパク質は、CSCにおいて活性化される、ヘッジホッグ(Hh)経路の重要な制御因子である。Varnat et al., 1 EMBO Mol. Med. 338 (2009)、Amakye, 19 Nature Med. 1410 (2013)、Tang et al., 2014、Infante et al., 36 Trends Pharma. Sci. 54 (2015)。Hh経路は、胚形成の際の細胞の成長および分化の重要な制御因子であるが、通常、成体細胞では不活性である。Ingham & McMahon, 15 Genes Devel. 3059 (2001)、Von Hoff et al., 361 New Engl. J. Med. 1164 (2009)。この経路の異常な活性化は、様々ながん、たとえば、髄芽細胞腫、横紋筋肉腫、およびほぼすべてのBCCの腫瘍発生に関係付けられている。Xie et al., 391 Nature 90 (1998)、Epstein, 8 Nature Rev. 743 (2008)、Teglund & Toftgard, 1805 Biochim. Biophys. Acta 181 (2010)。Hhリガンドの過剰発現もまた、***、結腸直腸、食道、肺、胃、膵臓、および前立腺の腫瘍において、観察されている。Teglund & Toftgard, 2010。
加えて、異常なHh経路のシグナル伝達は、Smoothened受容体(SMO)を活性化し、これが、神経膠腫関連がん遺伝子相同体1(GLI1)の転写活性を上方制御する。GLI転写は、それ以外では、Hhシグナル伝達とは独立しており、腫瘍成長因子ベータおよびKRASによって作動されている。GLI1により作動される転写は、膵臓がんの進行に寄与する。Nolan-Stevaux et al., 23 Genes Devel. 24 (2009)。BRD4および他のBETタンパク質は、SMOの下流においてGLI1転写を制御する。特に、BRD4は、GLI1およびGLI2プロモーターを直接的に占有する。Tang et al., 20 Nature 732 (2014)。この占有は、BET阻害剤によって阻害することができ、したがって、SMOによる活性化への依存性に関係なく、Hhにより作動される腫瘍における標的を提供することができる。注目すべきは、BET阻害剤JQ1が、SMOアンタゴニストに耐性の腫瘍を含め、Hhにより作動される腫瘍において、インビトロおよびインビボで、腫瘍細胞の増殖を減少させたことである。Tang et al., 2014。別のBET阻害剤であるI-BET-151は、髄芽細胞腫のHh依存性成長をインビトロおよびインビボで抑制し、Hh経路のSMO非依存性活性化をインビトロで抑制した。Long et al., 289 J. Biol. Chem. (2014)。
異常なHhシグナル伝達はまた、基底細胞癌(BCC)の95%において生じる。Migden et al., 16 Lancet Oncol. 716 (2015)。BCCは、世界中で一般的ながんであり、その発症は増加している。Rubin, 353 New Engl. J. Med. 2262 (2005)、Am. Cancer. Soc., Skin Cancer Facts, via ACS website, 2015。毎年、世界中で2~300万件の非黒色腫皮膚がんの発症が予測され、およそ80%が、BCCである。World Health Organization, Ultraviolet radiation & the INTERSUN Programme, website, (2015)、ACS, 2015。登録がほとんどの国よりも良好に文書化されている米国では、毎年350万人を上回るの新しい患者が非黒色腫皮膚がんの診断を受けると予測されているため、これは、過少予測である可能性が高い。さらに、欧州での発生は、1年ごとに100,000分の1増加している。ACS, 2015、Rubin et al., 2005、Lomas et al., 166 Br. J. Dermatol. 1069 (2012)。
ほとんどのBCCは、局所療法、外科手術、もしくは放射線療法、またはそれらの組合せによって、治癒され得る。NCCN, guidelines、Trakatelli et al., 24 Eur. J. Dermatol. 312 (2014)。しかしながら、ごく一部は、局所進行型へと進行するか、もしくはそれを呈するか、または1%未満で、転移性BCCへと進行するか、もしくはそれを呈するが、これは、このような治療法が適さない。Alonso et al., 20 JEADV 735 (2006)、Danial et al., 169 Br. J. Dermatol. 673 (2013)、Sekulic et al., 366 New Engl. J. Med. 2171 (2013)、Bassett-Seguin et al., 16 Lancet Oncol. 729 (2015)。進行BCCは、最も一般的には頭部などの日光に曝される場所に生じるため、進行BCCは、外観の損傷および病的状態を引き起こすことが多く、身体的および心理的な問題を伴う。Wong et al., 327 Br. J. Med. 794 (2003)。進行型および転移性の症例の処置は、Hh阻害剤が利用可能となる前は困難であった。
BCCにおいて、細胞外Hhタンパク質が膜貫通受容体Patched(PTCH1)に結合し、SMO膜貫通タンパク質を遊離させると、異常なHhシグナル伝達経路が開始される。Ingham, 15 Genes & Devel. 3059 (2001)、Rubin et al., 2006。SMOによるシグナル伝達は、通常潜在性の亜鉛フィンガー転写因子GLI2を遊離させ、これが、GLI1プロモーターを転写活性化する。Huangfu & Anderson, 102 PNAS 11325 (2005)、Haycraft et al., 1 PLoS Genet 48 (2005)、Liu et al., 132 Devel. 3103 (2005)。GLI1およびGLI2は、細胞成長に関与するいくつかの遺伝子、たとえば、MYCNおよびCCND1を含む、Hh標的遺伝子の転写を直接的に活性化する。Daya-Grosjean & Couve-Privat, 225 Cancer Lett. 181 (2005)、Scales, 30 Trends Pharma Sci. 303 (2009)、Oliver et al., 100 PNAS 7331 (2003)、Tang et al., 2014。さらに、GLI1は、正のフィードバックループにおけるGLI2の転写を活性化することによって、Hhシグナル伝達を増幅させる。Regl et al., 21 Oncol. 5529 (2002)。
さらに、PTCH1およびSMOの変異が、基底細胞母斑症候群および散発性BCCにおいて特定されている。Hahn, 1996; Gailani, 1996、Unden, 1997、Xie, 1998。BCC症例の80~90%において、変異が、PTCH1の機能の消失を引き起こし、これが、通常、SMOのシグナル伝達活性を阻害する。Alcedo, 1996、Hahn et al., 85 Cell 841 (1996)、Johnson et al., 272 Science 1668 (1996)、Bassett-Seguin, 2015。BCC症例のうちのそれ以外の10%は、SMOの構成的活性化に起因する。Xie, 1998、Bassett-Seguin et al., 16 Lancet Oncol. 729 (2015)、Reifenberger et al., 152 Br. J. Dermatol. 43 (2005)。これらの変異は、構成的Hh経路シグナル伝達を引き起こし、結果として生じる基底細胞におけるGLI1の発現が、BCCの発症と関連している。Dahmane et al. 389 Nature 876 (1997)、Von Hoff et al., 361 New Engl. J. Med. 1164 (2009)。したがって、SMOを阻害することができる薬剤が、開発された。
ERIVEDGE(登録商標)(ビスモデギブ)は、SMOに直接的に結合し、それを阻害し、それによって、GLI1の形成を減少させる。LoRusso et al., 17 Cancer Res 2502 (2011)、Sekulic et al., 2012、 Von Hoff et al., 2009。たとえば、EMA Europaのウェブサイトにおいてオンラインで入手可能なErivedge(ビスモデギブ)Eur.PAR(Grenzach-Wyhlen, Germany, Roche Pharma AG, 2015)を参照されたい。ビスモデギブは、構成的に活性化されるSMO変異およびPTCH1変異の両方と関連するBCCを標的とする。ビスモデギブは、外科手術または放射線療法が適していない対象において、転移性BCCについては独立して審査された応答率が30.3%であり、局所進行型BCCについては応答率が42.9%であるが、応答の中央値期間は、たった7.6カ月であり、処置を受けた対象の3分の2は、応答しなかった。最近の安全性の審査では、少なくとも12カ月間のフォローアップで、対象のうちの36%が、有害事象のためにビスモデギブ処置を取りやめており、加えて、さらに10%が、対象からの要求により取りやめていたことが示された。Bassett-Seguin et al., 2015。
別のSMO阻害剤であるODOMZO(登録商標)(ソニデギブ)は、局所進行型BCCについては、独立して審査された応答率が58%であり、応答は、いくらか永続性が高く、局所進行型BCCの60%で、治験担当医師が評価した応答が少なくとも6カ月間継続した。Migden et al., 2015。対象のうちの28パーセント(28%)は、しかしながら、中止されており、対象のうちの32%は、有害反応のために用量の調節が行われた。現在のところ、SMO阻害剤に対する応答の持続期間および耐容性に起因して、医療上の必要性が満たされない対象が相当な数で残っている。たとえば、EMA Europaのウェブサイトからオンラインで入手可能なOdomzo(ソニデギブ)、European PAR(Nuremberg、Germany、Novartis Pharma GmbH、2015)を参照されたい。
重要なことに、BCCがんのうち約20%は、耐性を生じる。Ridky & Cotsarelis, 27 Cancer Cell 315 (2015)。これは、通常、SMO変異を通じたHh経路の再活性化と関連しており、これは、耐性BCCの69%~77%と比較して、未処置のBCCでは15%~33%にしか存在しない。SMO変異は、薬物結合ポケットを遮断するか、基底SMO活性を増加させるか、または融合タンパク質のサプレッサー(SUFU)およびGLI2において同時に生じるコピー数変化を通じて作用するかのいずれかである。Atwood et al., 27 Cancer Cell 342 (2015)、Sharpe et al., 27 Cancer Cell 327 (2015)。SMOの下流の機序を標的とすることによって、これらの耐性経路を克服することができる、耐容性の高い薬剤が、有益と予想される。
BRD4および他のBETブロモドメインタンパク質は、SMOの下流においてGLI1転写を制御し、BRD4は、GLI1およびGLI2プロモーターを直接的に占有する。この占有は、BET阻害剤によって阻害することができ、BET阻害剤JQ1は、SMO阻害に対して耐性のものであっても、Hhにより作動される腫瘍において、インビトロおよびインビボの両方で、腫瘍細胞の増殖を減少させる。Tang et al., 2014。したがって、デノボまたは獲得耐性を有する局所進行型または転移性BCC対象におけるBET阻害剤の臨床研究が、認められる。
したがって、イソキノリノンおよび関連する複素環構造に基づく、ある特定の置換複素環式誘導体化合物は、タンパク質、たとえば、ヒストンにおけるブロモドメインに媒介されるアセチルリシン領域の認識を阻害するため、エピジェネティック制御に有用であることが証明されており、したがって、がんおよび新生物疾患の処置に有用である。これらの化合物および医薬組成物が有用であるがんの例としては、NUT正中線癌、バーキットリンパ腫、前立腺がん、乳がん、膀胱がん、肺がん、黒色腫、神経膠芽腫などが挙げられる。これらの置換複素環式誘導体化合物は、イソキノリノンおよび関連する複素環式構造に基づくものであり、典型的には、4位において、アリール、ヘテロアリールなどの基と置換されており、イソキノリノンまたは関連する複素環式構造の窒素原子においては、小アルキル基、たとえば、メチル基と置換されている。このような化合物の例であり、本明細書においてさらに考察される、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンは、BRDを含む、エピジェネティック標的BETタンパク質の強力かつ可逆的な阻害剤である。一般に、本実施形態の置換複素環式誘導体は、たとえば、式I、式IIによって表される構造を有する化合物のクラス、またはそれらの塩に属する。国際公開第2015058160号、米国特許公開第20150111885号、米国特許第9,034,900号を参照されたい。
より具体的には、BET阻害剤活性を有する置換複素環式誘導体の実施形態は、式Iにおいて示され、
Figure 0007171557000001
式中、
は、CH、CHCH、CHCF、CHF、CHF、CF、CHD、CHD、またはCDであり、
X5は、C-RまたはNであり、
は、水素、ハロゲン、OH、CN、OR61、NHR61、N(R61、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、
それぞれのR61は、独立して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
X6は、C-RまたはNであり、
は、水素、ハロゲン、OH、CN、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アルコキシ、またはシクロアルキルアルコキシであり、
X7は、C-RまたはNであり、
は、水素、ハロゲン、OH、CN、OR61、NHR61、N(R61、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、
X8は、C-RまたはNであり、
は、水素、ハロゲン、またはアルキルであり、
X5、X6、X7、またはX8のうちの2つ以下は、Nであり得、
は、
Figure 0007171557000002
であり、式中、
X2は、NまたはC-R12であり、R12は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシであり、
13は、Y-Zであり、
Yは、結合、CH、CH(C-Cアルキル)から選択され、
Zは、SO21、N(R22)SO21、SO2N(R22、N(R22)SON(R22、CON(R22)2、N(R22)CO21、N(R22)CON(R22、N(R22)COR21、COR21、OC(O)N(R22、OSO2N(R22、またはN(R22)SO21から選択され、
それぞれのR21は、独立して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
それぞれのR22は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
X3は、NまたはC-R14であり、R14は、水素、ハロゲン、-CN、アルキル、シクロアルキル、またはアルコキシであり、
X4は、NまたはC-R15であり、R15は、水素、ハロゲン、アルキル、CN、またはアルコキシであり、
16は、水素、ハロゲン、またはW-Xであり、
Wは、結合、O、S、またはNHであり、
Xは、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロ-アルキルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択される。
BET阻害剤活性を有する置換複素環式誘導体の別の実施形態は、式IIとして示され、
Figure 0007171557000003
式中、
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アラルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
X5は、C-RまたはNであり、
は、水素、ハロゲン、OH、CN、OR61、NHR61、N(R61、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、
それぞれのR61は、独立して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
X6は、C-HまたはNであるが、ただし、X6がNの場合、X5はC-Rであり、X5がNの場合、X6はCHであることを条件とし、
は、水素、ハロゲン、OH、CN、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アルコキシ、S-アルキル、シクロアルキルアルコキシ、ヘテロシクリル、アラルコキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アルキニルオキシ、またはN(H)COアルキルであり、
は、
Figure 0007171557000004
であり、
X2は、NまたはC-R12であり、R12は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシであり、
13は、-Y-Zであり、
Yは、結合、-CH-、または-CH(C-Cアルキル)-から選択され、
Zは、-SO21、-N(R22)SO21、-SO2N(R22、-N(R22)SON(R22、-CON(R22)2、-N(R22)CO21、-N(R22)CON(R22、-N(R22)COR21、-COR21、-OC(O)N(R22、-OSO2N(R22、または-N(R22)SO21から選択され、
それぞれのR21は、独立して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
それぞれのR22は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択され、
X3は、NまたはC-R14であり、R14は、水素、ハロゲン、-CN、アルキル、シクロアルキル、またはアルコキシであり、
X4は、NまたはC-R15であり、R15は、水素、ハロゲン、アルキル、-CN、またはアルコキシであり、
16は、水素、ハロゲン、N(H)COX、またはW-Xであり、Wは、結合、O、S、またはNHであり、Xは、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択されるが、ただし、X6がNの場合、RおよびRは水素ではないことを条件とする。
BET阻害剤活性を有する複素環式誘導体化合物の具体的な例は、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンであり、これは、化学式C2121NOS、分子量384であり、式III:
Figure 0007171557000005
で示される構造を有する。国際公開第2015058160号、米国特許公開第20150111885号、米国特許第9,034,900号を参照されたい。
4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)は、BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDTを含む、BETファミリーメンバーの強力な可逆的阻害剤である。これは、用量依存的および時間依存的なGLI1の阻害を示し、そのため、Hhにより作動される腫瘍およびGLIにより作動される転写を有する腫瘍の処置において、有用である。以下により詳細に考察されるように、化合物Aは、BLBCモデルにおいて、インビボで腫瘍細胞の接種を低減させ、GBM3異種移植片モデルにおいて、現在の臨床標準物であるテモゾロミドよりも強力な活性を示した。興味深いことに、化合物Aは、テモゾロミドとの組合せで、相加的または相乗的な作用を示したため、CSCを有する腫瘍およびMYCにより作動される腫瘍において有用であり得ることが示唆される。本明細書に記載され、例示されるように、化合物Aは、経口投与用に製剤化することができる。
アルキル化剤は、がんの処置のためにBET阻害剤と組み合わせて使用することができる化学療法剤の例である。たとえば、テモゾロミドは、アルキル化剤ダカルバジンのプロドラッグであり、イミダゾテトラジン誘導体である。テモゾロミドの化学名は、3,4-ジヒドロ-3メチル-4-オキソイミダゾ[5,1-d]-as-テトラジン-8カルボキサミドであり、以下の構造/式を有する。
Figure 0007171557000006
テモゾロミドは、中性およびアルカリ性のpH値において、急速に加水分解して、活性な5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)となり、加水分解は、アルカリ性pHではさらにより高速で生じる。米国特許第5,260,291号、国際公開第1997027202号、国際公開第2002057269号、国際公開第2008038031号、欧州特許第0252682号、米国公開第2006/183898号を参照されたい。
テモゾロミドは、一部の脳がんの処置においてアルキル化剤として使用され、星状細胞腫の第2選択肢の処置として使用され、多型神経膠芽腫の第1選択肢の処置として使用される。NICE Guidance (2001)、Stevens, CANCER DRUG DESIGN & DISCOVERY (Neidle, Ed., Academic Press, New York, 2008)を参照されたい。テモゾロミドの治療上の利益は、DNAをアルキル化/メチル化する能力に依存し、これらは、グアニン残基のN-7位またはO-6位で生じることが最も多い。このメチル化により、DNAが損傷され、腫瘍細胞の死の引き金となる。残念ながら、一部の腫瘍細胞は、ヒトにおいては、O-6メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子によってコードされるO-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(AGT)を発現することによって、この種類のDNA損傷を修復することができ、したがって、テモゾロミドの治療有効性を減少させることができる。一部の腫瘍において、MGMT遺伝子のエピジェネティックサイレンシングにより、この酵素の合成が防止され、結果として、このような腫瘍は、テモゾロミドによる殺滅に対する感受性が高くなる。対照的に、脳腫瘍においてはAGTタンパク質の存在により、テモゾロミドに対する応答が乏しいことが予測される。Sitruk et al., 38 Gynecologie Obstetrique & Fertilite 660 (2010)、Jacinto & Esteller, 6 DNA Repair 1155 (2007)、Hegi et al., 352 New Eng. J. Med. 997 (2005)、Hegi et al., 10 Lancet Oncol. 459 (2009)を参照されたい。
テモゾロミドは、経口使用のためにカプセルとして製剤化することができ、それぞれのカプセルは、5mg、20mg、100mg、140mg、180mg、または250mgのテモゾロミドを含有する。テモゾロミドはまた、注射用に製剤化され、静脈内注入によって投与されてもよく、ここで、注入の用量は、経口カプセル製剤の用量と同一である。たとえば、新しく診断された神経膠芽腫において、投薬は、42日間は75mg/m(焦点放射線療法と併用)、続いて、28日サイクルの1日目~5日目については150mg/mからなる。不応性悪性星状細胞腫については、初回用量は、28日サイクルのうち5日間連続で、1日1回、150mg/mである。
タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、BET阻害剤との組合せ療法において使用することができる化学療法剤の別の例を表す。たとえば、米国特許第4,814,470号を参照されたい。もともとは、タクスス・ブレビフォリア(タイヘイヨウイチイの木)から天然のジテルペンとして単離されたアルカロイドであるパクリタキセルは、微小管のベータチューブリンサブユニットに結合し、それによって、細胞***中に生じると予想される脱アセンブリから微小管を安定させ、スピンドル機能を阻害することによって細胞***の正常な進行を遮断することにより、最終的にアポトーシスの引き金となる。現在では、とりわけ、植物細胞の発酵、クロマトグラフィー精製、および結晶化による抽出によって得られており、パクリタキセルは、卵巣がん、乳がん、肺がん、膵臓がん、および他のがんを処置するために使用される。パクリタキセルの完全な化学名は、(2α,4α,5β,7β,10β,13α)-4,10ビス(アセチルオキシ)-13-{[(2R,3S)-3-(ベンゾイルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル]オキシ}-1,7ジヒドロキシ-9-オキソ-5,20-エポキシタクス-11-エン-2-イルベンゾエートであり、パクリタキセルは、以下の構造を有する。
Figure 0007171557000007
一部の実施形態において、タキサンは、ナノ粒子アルブミン結合型ABRAXANE(登録商標)(注射懸濁液用タンパク質結合型パクリタキセル粒子)(nab-パクリタキセルとも称される)である。たとえば、国際公開第2001089522号A1を参照されたい。このタンパク質結合型パクリタキセルは、非小細胞肺がん、膵臓がん、および乳がんを含む、いくつかのがんの第1選択肢の治療法または組合せ療法として示されている。たとえば、国際公開第2008057562号を参照されたい。この組成物は、アルブミンが、パクリタキセルに可逆的に結合し、それを内皮細胞を越えて輸送し、腫瘍の領域にパクリタキセルを集中させるという天然の特性を使用する。より具体的には、薬物送達の機序には、部分的に、パクリタキセルが結合したアルブミンの糖タンパク質-60に媒介される内皮細胞トランスサイトーシス、ならびにアルブミンが正常な発達にまたは損傷に応答してリモデリングを受ける組織に主として発現される糖タンパク質であるオステオネクチンとしても知られるシステインに富む酸性分泌タンパク質(SPARC)に結合することによって腫瘍の領域に蓄積することが関与する。臨床研究では、nab-パクリタキセルが、他のパクリタキセル製剤よりも有意に有効であることが示されており、nab-パクリタキセルは、応答率がほぼ2倍であり、疾患進行までの時間を増加させ、第2選択肢の患者において生存期間を増加させる。国際公開第201006595号を参照されたい。
ロミデプシンは、細胞内で還元を受けて亜鉛結合チオールを放出する、ジスルフィド結合を有するプロドラッグとして作用する。チオールは、Zn依存性ヒストンデアセチラーゼの結合ポケットにおいて、亜鉛原子と可逆的に相互作用して、その活性を遮断する。したがって、これは、HDAC阻害剤である。多くのHDAC阻害剤は、腫瘍サプレッサー遺伝子の正常な発現をエピジェネティックに回復させる能力を通じた、がんの潜在的な処置であり、これにより、細胞周期の停止、分化、およびアポトーシスが生じ得る。ロミデプシンは、これまでの全身的治療法を1回以上受けている皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を有する患者、およびこれまでに治療法を1回以上受けている末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を有する患者の処置に適応される。
少なくとも1つの実施形態では、複素環式誘導体BET阻害剤のうちの1つ、およびテモゾロミドを含む、組合せ療法が提供される。少なくとも1つの実施形態において、複素環式誘導体は、式IIIの4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)である。具体的には、テモゾロミド耐性異種移植片多型神経膠芽腫(GBM)モデルにおいて、化合物Aおよびテモゾロミドの使用には、相乗作用が観察されている。より具体的には、O-6-メチルグアニルメチル-トランスフェラーゼ(MGMT)は、テモゾロミドのアルキル化DNA損傷に対するGBMの耐性に関係付けられている。GBM3は、高いMGMT発現、非メチル化MGMTプロモーター、およびテモゾロミド耐性表現型を有する、GBMの患者由来異種移植片(PDX)マウスモデルである。GBM3から培養したニューロスフェアの先行研究において、RT-PCRにより、化合物Aが、用量応答性様式で、MGMTを下方制御したことが示されている。GBM3保持マウスに、化合物Aの単回投薬を行ったとき、qRT-PCRにより、採取した腫瘍におけるMGMTの下方制御が示された。有効性実験により、化合物Aが、テモゾロミド耐性GBMを、テモゾロミドに感受性にすることができるかどうか、および組合せが相乗作用を有するかどうかを探った。簡単に述べると、GBM3保持マウスのコホートに、テモゾロミド、化合物A、または化合物Aとテモゾロミドとの組合せのいずれかで処置を行った。化合物A単独またはテモゾロミドとの組合せを投薬した後に、腫瘍成長の阻害(TGI)が、観察された。テモゾロミドは、単独で与えた場合には、有意なTGIをもたらさなかったが(3%)、化合物Aは、単独で与えた場合に、実質的なTGI(63%)(12mg/kg、1日1回)および76%(6mg/kg、1日2回)をもたらした。図3を参照されたい。これらのデータにより、おそらくは耐性に関与する遺伝子(たとえば、薬物ポンプ)の発現を減少させることによる、化学療法剤、たとえば、テモゾロミドに対する感作物質としてのBET阻害剤、たとえば、化合物Aの使用が裏付けられる。
驚くべきことに、化合物Aおよびテモゾロミドの組合せは、すべての他の処置レジメンよりも有意に優れており、相乗性を示した。図3を参照されたい。このため、化合物Aおよびテモゾロミドの両方で、より低い投薬量を、効果的に使用することが可能となり得る。このことにより、化合物Aまたはテモゾロミドのいずれかの投与と関連する毒性および副作用が存在する場合、有効性を低減することなく、それらが低減される。
化合物Aを特徴付けるために、他のインビトロおよびインビボでの研究を行った。たとえば、TNBCおよびGBM腫瘍の異種移植片モデルにおいて、化合物AによるTGIを示した。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)PDXモデル、COH7において、化合物Aでの処置により、NOD/SCID/IL2Rγc-/-(NSG)マウスにける有意なTGIが示された。図1を参照されたい。GBM PDXモデル、GBM15において、いくつかの処置スケジュールを使用して、化合物Aの有効性を示した。図2を参照されたい。化合物Aは、用量依存的および時間依存的なGLI1の阻害を示し、Hhにより作動される腫瘍またはGLIにより作動される転写を有する腫瘍、たとえば、BCCの処置において、有用であり得る。化合物Aはまた、基底様乳がん(BLBC)モデルにおいて、インビボで腫瘍細胞の接種を低減させ、GBM3異種移植片モデルにおいて、テモゾロミドよりも強力な活性を示し、同様にテモゾロミドとの組合せで相乗作用を示し、したがって、テモゾロミドと組み合わせた化合物Aは、がん幹細胞を有する腫瘍またはMYCにより作動される腫瘍において、有用であることが示唆された。
たとえば、BRD4によるMYC遺伝子発現の制御が、BRD4の阻害により、バーキットリンパ腫のモデルにおいて示され、成長停止がもたらされた。Mertz, 2011。同様に、肺腺癌のモデルにおいて、BRD4阻害はまた、抗増殖性であることも見出されたが、この作用は、FOSL1下方制御に帰属するものであった。Lockwood, 2012。BRD4はまた、GLI1遺伝子発現を制御し、それによって、いくつかのがん種において、制御不能であることが知られているヘッジホッグシグナル伝達経路を調節することも示されている。Tang, 2014。化合物Aでの処置は、Rajiバーキットリンパ腫細胞におけるMYC遺伝子の発現を、0.06μMの平均IC50値で阻害し、U 87神経膠芽腫星状細胞腫細胞におけるFOSL1遺伝子の発現を、0.03μMのIC50値で阻害し、MIA-PaCa-2膵臓腺癌細胞におけるGLI1遺伝子の発現を、0.24μMのIC50値で阻害した。COH7(トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者由来異種移植片(PDX)腫瘍)保持マウスを、化合物Aで処置することにより、MYCの下方制御、ならびに化合物Aの腫瘍内濃度と相関性のあるMYC発現レベルの調節がもたらされた。用量依存的様式での遺伝子発現の制御に加えて、腫瘍細胞の成長が、インビトロで阻害された。
化合物Aの吸収、PK、分布、代謝、および排出を特徴付けるために、いくつかの他のインビトロおよびインビボでの研究を行った。化合物Aの薬物動態および経口バイオアベイラビリティを、スプラーグドーリーラットおよびビーグル犬において評定した。腫瘍保持マウスのインビボでの処置により、インビトロでのデータが再現され、投薬、スケジューリング、および血漿曝露の情報が得られた。化合物Aのレベルの定量化のための強固かつ再現可能な生体分析方法を開発し、PKおよび毒性動態研究において使用した。ヒトPKパラメーターおよび曝露を、相対成長的尺度を使用して予測した。
化合物Aの代謝を、ヒト肝細胞を使用してインビトロで評定し、N-デスメチル誘導体を、単一の代謝産物として特定した。この代謝産物はまた、ラット、イヌ、およびサルの肝細胞においても観察された。ヒト固有の代謝産物は特定されなかった。組換えCYP酵素を使用した研究により、複数のCYP酵素が、化合物Aを代謝させ得ることが示唆される。インビトロにおいて、化合物Aは、CYP1A2およびCYP3A4を阻害しないが、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6を阻害し得る。肝細胞において、化合物Aは、CYP1A2、CYP2B6、またはCYP3A4を誘導しなかった。したがって、臨床関連濃度において、化合物Aが、共投与されるCYP基質である薬物との薬物-薬物相互作用を引き起こす可能性は最小限である。
ヒトにおける化合物Aおよびテモゾロミドを含む組合せ療法の安全性および耐容性、ならびに生物学的活性および臨床活性を、臨床研究において評定する。化合物Aの前臨床研究は、この目的で有用である。GLPに準拠した4週間のラットおよびイヌでの研究において主要な処置関連作用が生じた用量および曝露に基づくと、いずれの種も、化合物Aの投与と関連する毒性に対して同様の感受性であると考えられる。提示されたヒトでの開始用量は、15mgの化合物A塩基、週ごとに、3日間連続で1日1回の投薬、続いて4日間連続の休薬である(3日間/7日間の投薬スケジュール)。化合物Aおよびテモゾロミドは、相乗作用を示すため、組合せ療法におけるいずれかまたは両方の用量を試験する。
本明細書における実施形態により、BET阻害剤および化学療法剤、たとえば、化合物Aおよびテモゾロミドの投与を含む、がんを処置する方法が提供される。したがって、本実施形態では、さらに、活性成分としてBET阻害剤を含むか、または活性成分としてBET阻害剤およびテモゾロミドの両方を含む、医薬組成物が提供される。このような医薬組成物は、所望される投与の方法、ならびにこれらの薬剤またはその医薬として許容される塩がとる物理化学的形態および立体化学的形態を含む、多数の要因に応じて、必要とされる任意の物理的形態をとり得る。このような物理的形態には、固体、液体、気体、ゾル、ゲル、エアロゾル、または現在公知であるかもしくはこれまでに開示されていない任意の他の物理的形態が含まれる。これらの薬剤のうちの一方または両方を含む医薬組成物の概念には、任意の他の添加剤を含まないこれらの薬剤も包含される。医薬組成物の物理的形態は、投与の経路に影響を及ぼし得、当業者であれば、組成物の物理的形態および処置を受ける障害の両方を考慮した投与の経路を選択することを理解すると予想される。BET阻害剤またはBET阻害剤およびテモゾロミドの両方のいずれであってもそれを含む医薬組成物は、医薬の技術分野において周知の手法を使用して、調製することができる。化合物Aまたは化合物Aおよびテモゾロミドの両方のいずれであってもそれを含む医薬組成物は、追加の活性剤を含み得る。この追加の活性剤は、化合物Aと同一もしくは類似の分子標的、またはテモゾロミドもしくはアルブミン結合型パクリタキセルと類似の分子標的を有し得るか、あるいは、追加の活性剤は、1つまたは複数の生化学経路に関連する分子標的の上流または下流において作用し得る。
投与の方法としては、経口投与および非経口投与が挙げられるが、これらに限定されない。非経口投与としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、舌下、鼻内、脳内、心室内、髄腔内、膣内、経皮、直腸、吸入によるもの、または耳、鼻、眼、もしくは皮膚へ局所的なものが挙げられるが、これらに限定されない。投与の他の方法としては、注入もしくはボーラス注射を含む注入技法、上皮内層もしくは皮膚粘膜内層、たとえば、口腔粘膜、直腸粘膜、および腸管粘膜を通じた吸収が挙げられるが、これらに限定されない。非経口投与のための組成物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラス、プラスチック、もしくは他の材料でできた複数回投薬用のバイアルに、封入され得る。本明細書に記載される組合せ療法は、同じかまたは異なる投与経路のために調製された、BET阻害剤、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンを包含する。たとえば、化合物Aは、経口投与用に調製されてもよく、一方でテモゾロミドは、注入用に調製される。
BET阻害剤(たとえば、化合物A)および化学療法剤(たとえば、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシン)の有効量の判定は、本明細書に提供される開示を踏まえ、当業者の能力の範囲内である。特定の目的で使用される医薬組成物の有効量、ならびに毒性、排出、および全体的な耐容性によって判定される薬理学的に許容される用量は、現在当業者に公知であるかまたはこれまでに開示されていない任意の類似の方法のいずれかによる、薬学的手順および毒性学的手順によって、細胞培養物または実験動物において、判定することができる。1つの例は、細胞株または標的分子において、インビトロで、医薬組成物のIC50(半数阻害濃度)を判定することである。別の例は、実験動物において医薬組成物のLD50(試験動物の50%の死亡を引き起こす致死用量)を判定することである。有効量の判定において使用される実際の技法は、医薬組成物の種類および物理的/化学的特性、試験される特性、ならびに試験がインビトロで行われるかインビボで行われるかといった要因に依存する。医薬組成物の有効量の判定は、その判定を行う際に任意の試験から得られるデータを使用する当業者には周知である。がん細胞に添加するための薬剤、たとえば、化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンの組合せの有効量の判定には、ヒトを含めインビボで使用するための有効用量範囲の形成を含め、有効治療用量の判定も含まれる。
哺乳動物(特に、ヒト)、ならびに絶滅危険状態のものを含む、経済的または社会的重要性のある他の哺乳動物が挙げられるがこれらに限定されない、生きている実態における処置が、企図される。さらなる例としては、家畜または通常ヒトによる消費のために飼育される他の動物、ならびに飼われているコンパニオン動物が挙げられる。医薬組成物の毒性および治療有効性は、細胞培養物または動物において、標準的な薬学的手順によって判定することができる。例としては、主題の化合物の組合せ療法についてのIC50およびLD50の判定が挙げられる。これらの細胞培養アッセイおよび動物での研究により得られたデータを、ヒトにおいて使用するための投薬量範囲を形成するのに使用することができる。投薬量は、用いられる剤形および用いられる投与経路に応じて変動し得る。
化合物Aおよびテモゾロミドを組み合わせた治療法における活性剤の有効量は、がん細胞の増殖の遅延またはTGIをもたらすが、非がん細胞に対する作用は最小限であり得る。これらの作用をもたらす濃度は、たとえば、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、アポトーシスマーカー、たとえば、アポトーシス指数および/またはカスパーゼ活性を使用して、判定することができる。
化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンの組合せを使用してがんを処置する方法は、これらを治療有効量で含み、これらの化合物のうちのいずれか一方または両方を投薬する任意の方法を包含する。投薬には、活性成分として、化合物A、テモゾロミド、パクリタキセル、もしくはロミデプシンを含むか、または化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、もしくはロミデプシンの両方を含む、いくつかの医薬組成物のうちのいずれかの単回または複数回投与が含まれ得る。例としては、徐放組成物の単回投与、規則的もしくは不規則な複数回の処置を含む一連の処置、疾患状態の減少が達成されるまでの期間の複数回投与、症状の発生前に適用される予防的処置、または当業者に公知であるかもしくはこれまでに開示されていない、当業者により有効な可能性のあるレジメンとして認識されると予想される任意の他の投薬レジメンが挙げられる。投与の規則性および様式を含む最終的な投薬レジメンは、処置を受ける対象;特定の疾患状態もしくは薬剤の有効性を判定するバイオマーカー;罹患の重症度;投与の様式;疾患発症の段階;1つもしくは複数の他の状態の存在、たとえば、妊娠、幼児期;1つもしくは複数のさらなる疾患の存在;または現在公知であるかもしくはこれまでに開示されていない、投与の様式、投与される用量、および用量が投与される期間の選択に影響を及ぼす任意の他の要因を含む、多数の要因に依存する。
化合物Aを含む医薬組成物は、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンを含む医薬組成物の投与の前に、それと同時に、またはその後に、投与され得る。組成物が同時に投与される場合、それらは、時間的に同時に投与されるか、または互いに1分以内に投与される。同時に投与されない場合、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシン、および化合物Aの医薬組成物は、他の薬剤を含む医薬組成物の前後1分以上、1時間以上、1日以上、1週間以上、または1カ月以上の期間に投与され得る。あるいは、医薬組成物の組合せは、周期的に投与されてもよい。周期的治療法は、組成物のうちの1つもしくは複数に対する耐性の発生を低減させるため、組成物のうちの1つもしくは複数の副作用を回避もしくは低減させるため、または処置の有効性を向上させるために、1つまたは複数の医薬組成物をある期間投与し、続いて、1つまたは複数の異なる医薬組成物をある期間投与し、この逐次的な投与を繰り返すことを伴う。
加えて、末梢血単核細胞(PBMC)および全血において、化合物Aでのエキソビボ処置により発現が減少される遺伝子のセットが、特定されている。本研究では、全血におけるこれらの遺伝子または腫瘍生検における他の遺伝子の発現の変化により、用量が、薬理学的に活性であるという確認を提供することができ、どの用量が最も強い薬理学的活性を示すかを区別するのに役立ち得る。予測バイオマーカーにより、単剤として、テモゾロミド、パクリタキセル、もしくはロミデプシンとの組合せで、または他の薬剤との組合せで、化合物Aから臨床上の利益を得る可能性の高い患者の前向きな特定が可能となる。現在の臨床試験における予測診断分析は、探索的な性質のものであるが、これらにより、診断により行われる今後の研究の基礎を提供するバイオマーカーと応答との間の関連性が明らかとなる。
これらの実施形態には、本明細書に記載される組合せ療法を含み、別の処置モダリティをさらに含む、がんを処置する方法がさらに包含される。このような処置モダリティとしては、放射線療法、化学療法、外科手術、免疫療法、がんワクチン、放射免疫療法、本明細書に記載されるもの以外の医薬組成物を用いた処置、または現在公知であるかもしくはこれまでに開示されていない、本開示の化合物との組合せでがんを効果的に処置する任意の他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。本組合せ療法は、相乗的に作用し、化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンの組合せは、いずれか単独で投与される治療法よりも有効である。別の処置モダリティは、有効性が相加的または相乗的であり得る。そのため、両方の処置モダリティで、より低い投薬量を、効果的に使用することが可能である。このことにより、いずれかのモダリティの投与と関連する毒性および副作用が存在する場合、有効性を低減することなく、それらが低減される。
別の態様において、化合物Aおよびテモゾロミドを含む組合せ療法は、治療有効量の放射線療法と組み合わせて投与される。放射線療法は、化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシン治療法の投与と同時に、その前、またはその後に、投与され得る。放射線療法は、組合せ療法と相加的または相乗的に作用し得る。本発明のこの特定の態様は、放射線療法に応答することが公知のがんにおいて、最も有効と予想される。放射線療法に応答することが公知のがんとしては、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ユーイング肉腫、精巣がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、咽頭がん、子宮頸がん、上咽頭がん、乳がん、結腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、直腸がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、脳腫瘍、他の中枢神経系新生物、または現在公知であるかもしくはこれまでに開示されていない任意の他のこのような腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様において、神経膠芽腫患者が、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンと組み合わせた、ブロモドメイン阻害剤、たとえば、化合物Aによって、処置される。組合せ療法における薬剤の有効用量は、障害の症状の発症を予防するのに有効な量、または患者が罹患している障害の一部の症状を処置するのに有効な療法である。有効用量には、所望される薬理学的または治療的作用を誘起し、それによって障害の効果的な予防または処置をもたらすのに十分な有効量、治療量、または任意の量も含まれる。したがって、神経膠芽腫を有する患者を処置する場合、組合せ療法の有効量は、腫瘍の進行、遊走、転移、成長、または発達を遅延または停止させるのに十分な、化合物A、およびテモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンの量を提供する。結果は、寿命が延長されることであり得る。薬理学的に許容される用量または最大許容用量には、患者に対して致死でなく、患者の健康状態または寿命を脅かす作用を引き起こさない、患者に投与され得る用量が含まれる。
具体的には、患者としては、疾患を患う任意のヒト、非ヒト霊長類、コンパニオン動物、または哺乳動物が挙げられる。一態様において、患者は、脳における腫瘍の存在またはその他の成長を示す症状を有する。このような症状としては、頭痛、発作、精神的もしくは人格の変化、圧迫作用、またはベル音もしくはブザー音、難聴、運動協調性の喪失、感覚減退、脱力もしくは麻痺、歩行困難もしくは発話困難、平衡困難、筋肉制御の減少、または複視を含む、いくつかの限局系もしくは局所系のうちの1つが挙げられる。患者は、聴神経鞘腫、星状細胞腫、上衣腫(ependyoma)、多型神経膠芽腫、髄膜腫、別の腫瘍型を起源とする転移腫瘍、混合型神経膠芽腫、乏突起神経膠芽腫、または松果体部腫瘍を含む、1つまたは複数の異なる脳腫瘍型を呈し得る。
したがって、特に、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシンと組み合わせた、例示的なBET阻害剤である化合物Aの、様々な悪性腫瘍における抗新生物活性についての臨床試験が、認められる。ヒトにおける研究は、様々な用量レベル/レジメンでの薬物の安全性および薬物動態プロファイルを評定するように設計され、フェーズ2臨床試験の開発に進めるために、薬物の有効性の初期シグナルを反映するものでもある。すべてのヒト研究は、国際調和会議の臨床試験実施基準に準拠して行う。
より具体的には、化学療法剤と組み合わせたBET阻害剤の研究には、たとえば、進行固形腫瘍または再発型/不応性NHLを有する対象における、非盲検のフェーズ1a用量漸増および拡張ヒト初回投与(FIH)臨床研究が含まれる。この研究は、用量漸増(A部)および用量拡張(B部)の2部で行われ得る。提示されたヒトでの開始用量の例は、15mgの化合物A塩基、週ごとに、3日間連続で1日1回の投薬、続いて4日間連続の休薬である(3日間/7日間の投薬スケジュール)。重要な探索的な目的は、安全であるだけでなく、薬理学的活性も呈する、BET阻害剤および化学療法剤の用量を特定することである。たとえば、テモゾロミド、パクリタキセル、またはロミデプシン、および化合物Aの組合せ療法の提示された開始用量は、既存の投薬レジメンに関連して、典型的には、さらなる薬物動態、薬理学、および毒性学の研究に関連して、確認され得る。
研究の用量漸増部分(A部)では、BET阻害剤および化学療法剤の最大耐用量(MTD)および/またはRPTDを推定するために、組合せ療法の経口用量を漸増することを探る。研究の拡張部分(B部)では、選択された拡張コホートにおいてMTDまたはそれ未満で投与した組合せ療法の安全性および有効性をさらに評定する。1つまたは複数の投薬レジメンまたは疾患サブセットが、コホート拡張に選択され得る。A部およびB部は、スクリーニング期間、処置期間、およびフォローアップ期間の3つの期間からなる(図4を参照されたい)。研究の目的を、表1に要約し、研究のエンドポイントを、表2に要約し、いずれも以下に示す。
Figure 0007171557000008
Figure 0007171557000009
処置期間の間、BET阻害剤を含む製剤は、それぞれの4週間サイクルにおいて、週ごとに、まず3日間連続で1日1回(QD)経口投与され得、続いて、4日間連続で休薬され得る(3日間/7日間の投薬スケジュール)。代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)は、利用可能な安全性、PK、薬力学(PD)、および有効性のデータのSRCによる審査に基づいて試験される。組合せ処置期間の間、BET阻害剤を含む製剤は、それぞれの4週間サイクルにおいて、週ごとに、まず3日間連続で1日1回経口投与され得、続いて、4日間連続で休薬され得(3日間/7日間の投薬スケジュール)、テモゾロミドを含む製剤は、4週間サイクルの7日目~9日目および22日目~24日目に投与され得る。代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)は、利用可能な安全性、PK、薬力学(PD)、および有効性のデータのSRCによる審査に基づいて試験される。
用量コホート内における追加の対象、高用量コホート、中間用量コホート、より少ない用量増量、代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、BET阻害剤の2日間の投薬/5日間の休薬)を評定するか、またはMTDを宣言するかの決定もまた、BLRM評価、ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTデータ)、PK、PD、および有効性の情報の審査に基づいて、SRCによって判定される。
用量漸増の間に、初回の用量を、任意のコホートに投与した後、それぞれのコホートの対象を、28日間観察し、その後で、次の用量コホートを開始することができる。1日につき1人を上回らない対象を、所与の用量漸増コホートに登用する。DLTについて評定不能な対象は、置き換える。
B部のコホート拡張に関して、用量漸増(A部)の完了後に、選択した腫瘍コホートを、最大でそれぞれおよそ20人の評定可能な対象を用いた拡張フェーズ(B部)に登用する。拡張は、A部の組合せ療法から得られた利用可能な安全性、PK、PD、および有効性データの審査に基づいて、用量漸増フェーズで確立されたMTDおよびスケジュールで、または代替的な耐用量およびスケジュールで発生し得る。1つまたは複数の投薬レジメンが、コホート拡張に選択され得る。SRCは、研究の間中、定期的に安全性データの審査を継続し、適宜、研究の継続および用量の修正を提案する。
たとえば、化合物Aは、経口投与用の錠剤として製剤化され得、テモゾロミドは、経口投与用のカプセルとして製剤化され得る。あるいは、化合物Aおよびテモゾロミドは、経口投与用に単一の錠剤またはカプセルとして共製剤化される。別の代替的な例では、化合物Aは、経口投与用の錠剤として製剤化され、テモゾロミドは、注入用に製剤化される。別の例として、アルブミン結合型パクリタキセルは、注入用に製剤化されるため、化合物Aは、経口投与用に製剤化されてもよい。あるいは、化合物Aは、タンパク質結合型パクリタキセルとともに注入されるように適合されてもよい。たとえば、関連する国の健康機関の規制に応じた研究使用のためのラベル付けが、適切である。
重要な有効性評価のために、対象を、サイクル6までは、2サイクルごとに有効性について評定し、その後は、3サイクルごとに評定する。処置を中止したすべての対象は、進行または新たな全身抗がん療法の開始まで、追跡する。フォローアップ期間に、すべての対象を、組合せ療法のいずれかの構成要素の最終投薬の後に安全性について追跡する。安全性フォローアップ来院の後、すべての対象を、最大2年間、または死亡、追跡不能、もしくは試験の終了まで、生存性フォローアップについて、その後3カ月ごとに追跡する。
腫瘍応答を、判定する。固形腫瘍については、評価は、固形腫瘍における応答評定基準(RECIST 1.1)に基づく。Eisenhauer et al., 45 Eur. J. Cancer 228 (2009)。NHLについては、評価は、国際研究グループの悪性リンパ腫の応答基準改訂版に基づく。Cheson et al., 25 J. Clin. Oncol. 579 (2007)。[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)ポジトロン放出断層撮影法(PET)またはFDG PET/CT撮像が、FDG集積腫瘍を有する対象における完全応答を確認するために、必要である。
A部の用量漸増の間に、およそ30~40人の対象が登用される。B部の用量拡張の間に、それぞれの腫瘍コホートについて、少なくとも14人の有効性評定可能対象が、最初に集められる。応答率が、20%またはそれ以上であった場合、第1の14人の対象において、1人またはそれ以上の応答者が観察されると予想される可能性が、95%を上回って存在し、これは、主要な有効性エンドポイントとして、DCRに対する変化に基づいて、統計学によって更新される。Gehan, 13 J. Chronic Dis. 346 (1961)。14人の対象のうち応答者が1人も観察されない場合、この腫瘍コホートの登用は、無益なため停止される。あるいは、1人の応答者が観察された場合は、腫瘍コホートを、およそ20人の対象に拡大する。
すべての決定時点において、観察されたDLTに基づいて、BLRMによる用量増量の変更が認められるが、しかしながら、次のコホートの用量が、前の用量の100%の増加を上回ることはない。MTDは、活性剤の第1のサイクルにおいて、処置した対象のうちの33%以上にDLTが生じる可能性の低い(事後確率が25%を下回る)最高用量である。
B部のコホート拡張に関して、用量漸増(A部)の完了後に、選択した腫瘍コホートを、最大でそれぞれおよそ20人の評定可能な対象を用いた拡張フェーズ(B部)に登用する。拡張は、A部から得られた利用可能な安全性、PK、PD、および有効性データの審査に基づいて、用量漸増フェーズで確立されたMTDおよびスケジュールで、または代替的な耐用量およびスケジュールで発生し得る。1つまたは複数の投薬レジメンが、コホート拡張に選択され得る。
研究の終了は、最後の対象の処置後のフォローアップを完了するための最終来院の日、またはプロトコールにおいて事前に指定されているように、主要、二次的、および/もしくは探索的な分析に必要とされる、最後の対象からの最終データ点の受容の日のいずれか遅い方として定義される。
(例1)4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2メチルイソキノリン-1-オン(化合物A)の合成。
別途記載されない限り、試薬および溶媒は、市販供給業者から受け取った状態で使用した。無水溶媒および炉乾燥ガラス機器を、湿気および/または酸素に感受性の合成変換に使用した。収率は、最適化されていなかった。反応時間は、およそのものであり、最適化されていなかった。カラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)は、別途記載されない限り、シリカゲル上で行った。スペクトルは、ppm(δ)で示され、結合定数(J)は、ヘルツで報告する。H NMRスペクトルについては、溶媒ピークを、参照ピークとして使用した。
ステップ1:2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン
Figure 0007171557000010
N2下において、ジオキサン(2mL)中の4-ブロモ-2-メチルイソキノリン-1-オン(100mg、0.42mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(214mg、0.84mmol)、Pd(dppf)Cl2(31mg、0.04mmol)、および酢酸カリウム(104mg、1.05mmol)を、135分間で90℃に温めた。これを、次いで、室温に冷却し、EtOAc(8mL)で希釈した。混合物を、飽和NaHCO水溶液(8mL)およびブライン(8mL)で洗浄した。有機相を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下において濃縮した。残渣を、順相CC(10%-90% EtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を得た(44mg、37%)。H NMR(CDCl,400MHz):δ8.43(d,J=7.9Hz,1H)、8.40(dd,J=8.2Hz,0.9Hz,1H)、7.68(s,1H)、7.65(ddd,J=8.2,8.2,1.1Hz,1H)、7.46(t,J=7.5Hz,1H)、3.63(s,3H)、1.38(s,12H)。LCMS(M+H):286。
ステップ2:4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン
Figure 0007171557000011
2-ブロモ-1-(シクロプロピルメトキシ)-4-メチルスルホニルベンゼンを4-ブロモ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンと置き換え、2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オンをN-ベンジル-2-メトキシ-5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミドと置き換えることによって、表題化合物を調製した。1H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ0.09(m,2H)、0.29(m,1H)、0.35(m,1H)、0.94(m,1H)、3.22(s,3H)、3.57(s,3H)、3.95(m,2H)、7.16(d,J=7.9Hz,1H)、7.37(d,J=8.8Hz,1H)、7.53(m,2H)、7.65(t,J=7.6Hz,1H)、7.81(d,J=2.4Hz,1H)、7.97(dd,J=8.8,2.4Hz,1H)、8.30(d,J=8.1Hz,1H)。LCMS(M+H):384。
あるいは、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンは、以下に記載されるように調製することができる。
ステップ1:2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン
Figure 0007171557000012
無水ジオキサン(200mL)中の4-ブロモ-2-メチルイソキノリン-1-オン(8.0g、33.6mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(17.1g、67.2mmol)、KOAc(6.6g、67.2mmol)、Pd(dba)(3.1g、3.36mmol)、およびX-Phos(1.6g、3.36mmol)の混合物を、60℃で12時間撹拌した。反応混合物を、濃縮し、残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(PE:EA=15:1)によって精製して、表題化合物を固体として得た(6.0g、62%)。
ステップ2:4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン
Figure 0007171557000013
ジオキサン/水(100mL/10mL)の混合物中のステップ1で得られた表題化合物(5.0g、17.5mmol)、2-ブロモ-1-(シクロプロピル-メトキシ)-4-メチルスルホニルベンゼン(6.4g、21mmol)、K3PO4(9.3g、43.9mmol)、およびPd(dppf)Cl(1.4g、1.75mmol)を、60℃で12時間撹拌した。反応混合物を、減圧下において濃縮し、残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EA:DCM=1:4)によって精製した。適切な画分を合わせ、減圧下において濃縮した。得られた固体を、DCM:MTBE(1:1)(50mL)から再結晶化させて、表題化合物を白色の固体として得た(4.0g、60%)。
H NMR:(CDCl3,400MHz)δ8.51(dd,J1=8.0Hz,J2=0.8Hz,1H)、7.98(dd,J1=8.4Hz,J2=2.4Hz,1H)、7.86(d,J=2.4Hz,1H)、7.53(m,2H)、7.16(d,J=7.6Hz,1H)、7.10(m,2H)、3.88(m,2H)、3.66(s,3H)、3.09(s,3H)、1.02~0.98(m,1H)、0.44~0.38(m,2H)、0.11~0.09(m,2H)。LCMS:384.1(M+H)
(例2)インビトロでの阻害アッセイおよびインビトロでの細胞に基づくアッセイ
化合物Aを含む、本明細書に記載される複素環式誘導体BRD4阻害剤(米国特許第9,034,900号を参照されたい)のIC50を、判定した。Hisタグ化BRD4を、クローニングし、発現させ、均質になるまで精製した。Filipakopoulos et al., 468 Nature 1067 (2010)。AlphaScreen技術(Life Technologies)を使用してビオチン標識したH4-テトラアセチルペプチド(AnaSpec、H4K5/8/12/16(Ac)、ビオチン標識化)と標的との相互作用をモニタリングすることによって、BRD4の結合および阻害を評価した。384ウェルのProxiPlateにおいて、BRD4(BD1)(最終2nM)を、DMSO(最終0.4% DMSO)またはDMSO中の化合物希釈系列のいずれかの存在下において、50mM HEPES(pH7.3)、10mM NaCl、0.25mM TCEP、0.1%(w/v)BSA、および0.005%(w/v)Brij-35中で、ペプチド(最終15nM)と合わせた。20分間室温でインキュベートした後、Alphaストレプトアビジンドナービーズおよびニッケルキレートアクセプタービーズを、5μg/mLの最終濃度まで添加した。2時間の平衡化の後、プレートを、Envision機器で読み取り、4パラメーターの非線形曲線当てはめを使用して、IC50を計算した。化合物AがBRD4活性を阻害する能力を、定量化し、それぞれのIC50値を、判定した。
比色細胞増殖アッセイ(Cell-MTSアッセイ)を行って、化合物Aを含む、本明細書において開示される複素環式誘導体BRD4阻害剤(米国特許第9,034,900号を参照されたい)が、樹立されたがん細胞株の増殖に影響を及ぼす能力を評価した。Cell-MTSアッセイは、7日間のプレートに基づく比色アッセイであり、試験化合物の存在下または不在下において、新たに生成されるNADHの量を定量する。NADHのレベルを、がん細胞増殖の定量化に使用する。様々な作動性変異を有する樹立されたがん細胞株を、American Type Culture Collection(ATCC)から入手し、ATCCのプロトコールに従って通常通り継代した。通常のアッセイについては、これらの細胞を、7日間の培養後に約90%のコンフルエンスを可能にする密度で播種した。Raji、ヒトバーキットリンパ腫細胞(cMYC)を、96ウェル当たり15,000個の細胞で播種した。HL-60、ヒト前白血病細胞(NRAS、p16、p53、c-Myc増幅型)を、96ウェル当たり5,000個の細胞で播種した。NCI-H460、ヒト非小細胞肺がん細胞(KRAS、PIK3CA、STLK11、p16)を、96ウェル当たり3,000個の細胞で播種した。
次いで、播種の24時間後に、細胞に、最終濃度範囲が100μM~2.0nMの試験化合物の11点希釈物を受容させた。細胞を、化合物の存在下において、37℃および5%COで、168時間インキュベートした。このインキュベーション期間の終わりに、80μLの培地を除去し、20μLのCellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay溶液(Promega)を添加した。細胞を、OD490が0.6を上回るまで、インキュベートした。IC50値は、IDBS XLfitソフトウェアパッケージを使用して計算し、バックグラウンドを差し引いたOD490値およびDMSO対照に対する正規化を含む。細胞増殖のIC50値は、Chem Biography Platformを使用してアップロードし、アーカイブした。
これらのインビトロアッセイにおける4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2メチルイソキノリン-1-オンのIC50値は、次の通りである。
Figure 0007171557000014
(例3)インビトロ薬理学
BRD4によるMYC遺伝子発現の制御が、BRD4の阻害により、バーキットリンパ腫のモデルにおいて示され、成長停止をもたらした(Mertz, 2011)。同様に、肺腺癌のモデルにおいて、BRD4阻害はまた、抗増殖性であることが見出されたが、しかしながら、この作用は、FOSL1下方制御に帰属するものであった(Lockwood, 2012)。BRD4はまた、GLI1遺伝子発現を制御し、それによって、いくつかのがん種において、制御不能であることが知られているHh伝達経路を調節することも示されている。(Tang, 2014)。MYC、FOSL1、およびGLI1遺伝子の発現に対する化合物Aでの処置の作用を、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT PCR)によって評定した。化合物Aでの処置は、Rajiバーキットリンパ腫細胞におけるMYC遺伝子の発現を、0.06μMの平均半数阻害濃度(IC50)値で阻害し、U 87神経膠芽腫細胞におけるFOSL1遺伝子の発現を、0.03μMのIC50値で阻害し、MIA-PaCa-2膵臓腺癌細胞におけるGLI1遺伝子の発現を、0.24μMのIC50値で阻害した。
化合物Aは、細胞株を用いた抗増殖性2次元(2-D)培養物を使用して、腫瘍細胞成長のインビトロでの阻害を示し、PDX GBM腫瘍モデルおよびPDX乳がんモデルに由来する細胞を用いた3次元(3-D)オルガノイド培養物を使用して、コロニー形成の阻害を示した。
14個のPDX由来GBM腫瘍モデルにおけるコロニー形成に対する化合物Aの作用を、インビトロニューロスフェアアッセイを使用して評価した。化合物Aを、0.0003μM~20μMの範囲の濃度において、3倍の増量率で、試験した。コロニー形成は、顕微鏡によってコロニー数を定量することによって、7日間の処置の後に評価した。化合物Aは、用量依存的様式で、コロニー形成を阻害し、0.11±0.04μM~2.00±0.40μMの平均半数阻害濃度(IC50)値±平均の標準誤差(SEM)が得られ、18倍の活性範囲に及んだ。GBMモデルの全体的な平均は、0.62±0.13μMであった。
4つのPDX由来乳がんモデルにおけるコロニー形成に対する化合物Aの作用を、3-D Matrigelに基づくインビトロ培養系を使用して評価した。化合物Aを、0.008μM~5μMまたは0.0016μM~1μMのいずれかの範囲の濃度で、5倍の増量率で試験した。コロニー形成は、顕微鏡によってコロニー数を定量することによって、7日間または14日間の処置の後に評価した。化合物Aは、用量依存的様式で、コロニー形成を阻害し、BR0869fエストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PR)陰性、およびHER2/neu陽性(ER-PR-Her2+)の腫瘍モデルについては0.12±0.01μMのIC50値、ならびにCOH69、COH71、およびTNBR3トリプルネガティブ乳がん(TNBC)のモデルについてはそれぞれ0.07μM、0.18±0.02μM、および0.08±0.00μMのIC50値をもたらした。3つのTNBCモデルの全体的な平均は、0.11±0.04μMであった。
(例4)インビボ薬理学
マウスでの研究において、化合物Aは、TNBC腫瘍およびGBM腫瘍の患者由来の異種移植片(PDX)における用量依存的な腫瘍成長の阻害(TGI)を示した。加えて、限界希釈アッセイを使用して、腫瘍始原細胞(TIC)頻度の減少が、化合物Aでの処置の後に示されている(1日ごとの投薬スケジュールで行われ、臨床試験適用には含まれない。
異なる用量およびスケジュールの化合物Aを、前臨床で評定した。3日間の投薬/4日間の休薬のスケジュールで投薬される化合物Aは、連続的な投薬スケジュールにおいてみられたものと同等のTGI有効性、ならびに連続的な投薬スケジュールと比べて改善された耐容性を示した。体重、胃腸(GI)、および骨髄(BM)の毒性は、低頻度の投薬スケジュールによって完全に逆転可能であることが判明し、回復は、週ごとの反復投薬に好適であった。
COH70、TNBC PDX腫瘍を有するマウスを、2mg/kgまたは10mg/kgの化合物Aで処置することにより、MYCの下方制御がもたらされた。2mg/kgの化合物Aは、MYC発現を、2時間で51.3%、最大限に抑制し、MYC発現は、投薬8時間後までに対照レベルまで戻った。10mg/kgの化合物Aは、MYC発現を、4時間で63.4%、最大限に抑制した。しかしながら、MYC発現は、投薬24時間後までに対照レベルまで戻ることはなかった。投薬2、4、および8時間後に、化合物Aの対応する腫瘍内濃度を、COH70モデルにおいて判定した。化合物Aの最大の測定された腫瘍内レベルは、投薬2時間後であり、2mg/kgおよび10mg/kgで、それぞれ、1.3±0.3μMおよび6.7±1.7μMであった。MYCの発現レベルの調節は、化合物Aの腫瘍内濃度と相関性があった。
TNBC PDX皮下モデルは、12.5mg/kg、16mg/kg、および20mg/kgの化合物Aの投薬で、NOD/SCIDガンマ(NSG)マウスにおいて、有意なTGIを有することが認められた。投薬は、6週間の間、各週、3日間連続で1日1回(QD)の強制服用によって経口で行った後、4日間休薬した(図1において3回/週として示される)(3回/週=3日間連続で化合物Aを1日1回投薬し、続いて、4日間休薬する;PO=経口、SEM=平均の標準誤差)。化合物Aは、最大で25mg/kgの1日用量まで、耐容性が良好であった。腫瘍体積を、38日目に測定したとき、ビヒクル対照と比較して、処置した腫瘍の平均TGIパーセントは、12.5mg/kg/投薬の群で64%、16mg/kg/投薬の群で68%、および20mg/kg/投薬の群で72%であった。平均体重は、すべての群で増加した。定常状態での薬物動態パラメーターを、12.5mg/kgおよび16mg/kgの用量レベルについて、最終投薬後に判定した。12.5mg/kgでの化合物Aの0時間~24時間の血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-24hr)は、12,003ng・時間/mLであり、16mg/kgでは、15,174ng・時間/mLであった。
GBM PDX皮下モデル、GBM15において、化合物Aの有効性が、4週間、1日1回で週5回~週2回の範囲のいくつかの投薬スケジュールで示された(図2)(PO=経口、SEM=平均の標準誤差)。腫瘍保持マウスに、いくつかのスケジュールで、1日1回、経口投薬した。化合物Aの累積週用量は、それぞれのスケジュールで75mg/kgに等しかった。投薬スケジュールは、以下の通りであった:
15mg/kgの化合物Aを、5日間連続で投薬し、2日間休薬する(5日間/2日間)、
25mg/kgの化合物Aを、3日間連続で投薬し、4日間休薬する(3日間/4日間)、および
37.5mg/kgの化合物Aを、2日間連続で投薬し、5日間休薬する(2日間/5日間)。
腫瘍体積を、29日目に測定したとき、ビヒクル対照と比較して、処置した腫瘍の平均TGIパーセントは、15mg/kg/投薬(5日間/2日間)の群で65%、25mg/kg/投薬(3日間/4日間)の群で65%、および37.5mg/kg/投薬(2日間/5日間)の群で70%であった。すべての群で、確認された体重減少は最小限であった(ビヒクル群=-1.2%、15mg/kg/投薬の群=-6.6%、25mg/kg/投薬の群=-3.7%、および37.5mg/kg/投薬の群=-3.1%)。
マウスにおけるNUT正中線癌(NMC)の異種移植片モデルについて、研究する。確立された腫瘍を有するマウスの対応するコホートを、試験化合物(化合物A、もしくはテモゾロミド、もしくは化合物Aおよびテモゾロミドの両方を含む製剤のいずれか)、またはビヒクルでの処置にランダム化し、1日1回の腹腔内注射によって投与する。ランダム化の前および4日間の治療の4日後に、マウスを、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)-PET撮影によって評定する。腫瘍体積、毒性、または体重減少を、測定する。腫瘍を、採取し、切片に分け、BRD4-NUT腫瘍タンパク質、細胞拡散、ケラチン発現、核Ki67、およびTUNEL染色に関して、免疫組織化学的に試験する。処置マウスおよび未処置マウスから対応するサンプルを調製し、標準的なプロトコールおよび市販入手可能なソフトウェア(すなわち、ImageScopt;Aperio Technologies)を使用して分析する。
(例5)MCF-7乳がんの異種移植片モデルにおける抗腫瘍有効性
0.72mgの17-βエストラジオールを含有する時間放出ペレットを、nu/nuマウスの皮下に埋め込む。MCF-7細胞を、5% CO、37℃において、10% FBSを含有するRPMI中で成長させる。細胞を、遠心沈殿させ、1×10細胞/mLで、50% RPMI(無血清)および50% Matrigel中に再懸濁する。ペレットを埋め込んだ2~3日後に、MCF-7細胞を、右側腹部に皮下注射し(100μL/動物)、腫瘍体積(長さ×幅2/2)を、2週間ごとにモニタリングする。腫瘍が、平均体積約200mm3に達したときに、動物をランダム化し、処置を開始する。動物を、4週間、1日ごとに試験化合物またはビヒクルで処置する。腫瘍体積および体重を、研究の間中、2週間ごとにモニタリングする。処置期間の終了時に、血漿サンプルおよび腫瘍サンプルを、それぞれ、薬物動態分析および薬力学分析のために、取得する。
(例6)Rajiヒトバーキットリンパ腫モデルにおける抗腫瘍有効性
手順:雌性SCID CB17マウス(6~8週齢、Charles River Lab)に、Raji細胞(3.5×10細胞/マウス)を、右側腹部領域の皮下に接種し、腫瘍を、およそ150mmまで成長させた。次いで、マウスを、処置コホート(N=8匹)にランダム化し、21日間、ビヒクル対照または試験化合物で、1日1回、経口処置した。試験化合物は、1% Tween 80、40% PEG400、および59%の0.5% HPMCもしくは9% DMSO+50%の0.5% HPMCのいずれか中の懸濁液として、5mg/kg~50mg/kgの範囲の用量で投与した。腫瘍の長さおよび幅を、ミリメートル単位で、週3回測定した。腫瘍体積を、式V=(L×W×W)/2により計算した。腫瘍成長の阻害(TGI)を、式:TGI=100-(処置群の中央値腫瘍体積/ビヒクル群の中央値腫瘍体積)×100を用いて計算した。TGIの測定は、対照群の腫瘍体積が3,000mmに達するまで行った。両側T検定を使用して、統計学的分析を行った。P値<0.05を、統計学的に有意であるとみなした。TGIは、42%~80%の範囲に及ぶことが判定された。
(例7)テモゾロミド耐性異種移植片GBMモデルにおける化合物Aおよびテモゾロミドの相乗作用
O-6-メチルグアニルメチル-トランスフェラーゼ(MGMT)は、テモゾロミド(TMZの)アルキル化DNA損傷に対するGBMの耐性に関係付けられている。GBM3は、PCRによる高いMGMT発現、非メチル化MGMTプロモーターを有するGBM PDX皮下モデルであり、TMZに対して耐性である表現型を有する。GBM3から培養したニューロスフェアの先行研究において、RT-PCR分析により、化合物Aが、用量応答性様式で、MGMTの発現を下方制御したことが示されている。GBM3保持マウスに、20mg/kgで化合物Aの単回投薬を行ったときに、qRT-PCRにより、採取した腫瘍におけるMGMTの下方制御が示された。このことが、化合物Aが、TMZ耐性GBMをTMZに感受性にし得るかどうか、およびいずれかの化合物を単独で投与するのと比較して相乗作用を呈し得るかどうかを理解するための有効性実験へとつながった。
GBM3保持NSGマウスのコホートを、50mg/kgで2週間に1回×3回腹腔内(IP)でのTMZ;6mg/kgで1日2回(BID)経口もしくは12mg/kgで1日1回経口での化合物A;または6mg/kgで1日2回経口での化合物Aおよび50mg/kgで2週間に1回×3回腹腔内でのTMZの組合せで、処置した。腫瘍体積によって測定すると、有意な腫瘍成長の阻害が、化合物A単独またはTMZとの組合せでの投薬後に観察された(図3)。TMZ単独では、単独投与の場合には有意なTGIは誘導されなかった(3%)。化合物A単独では、63%(12mg/kg、1日1回)および76%(6mg/kg、1日2回)の有意なTGIが誘導された。化合物AおよびTMZの組合せは、相乗性を示したが、TGIに関しては、すべての他のレジメンよりも有意に優れていた。組合せの群では、研究過程の一部において、中等度の体重減少が観察されたが(最下点-5.1%)、体重減少は回復し、すべての処置群が、研究終了時に、平均体重に純増を示した。
(例8)経口剤形
48重量%の化合物Aまたはその医薬として許容される塩、45重量%の微晶質セルロース、5重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および2重量%のステアリン酸マグネシウムを混合することによって、錠剤を調製する。錠剤は、直接打錠によって調製する。打錠した錠剤の総重量を、250~500mgに維持する。
(例9)非臨床薬物動態および薬物代謝
本明細書に記載されるように、化合物Aの吸収、PK、分布、代謝、および排出を特徴付けるために、いくつかの他のインビトロおよびインビボでの研究を行った。化合物Aのレベルの定量化のための強固かつ再現可能な生体分析方法を開発し、PKおよび毒性動態研究において使用した。ヒトPKパラメーターおよび曝露を、相対成長的尺度を使用して予測した。
化合物Aの薬物動態および経口バイオアベイラビリティを、スプラーグドーリーラットおよびビーグル犬において評定した。雄性および雌性のいずれのラットにおいても、全身クリアランスは低かったが(肝血流の約5%~13%)、雄性は、雌性よりも2倍高いクリアランスを示した。分布量は、総体水分量の約1~3倍の範囲に及び、化合物Aの分布が、組織に及ぶことを示唆した。化合物Aの平均経口バイオアベイラビリティは、ラットでは40%であり、イヌでは76%であった。雄性ラットおよび雌性ラットの間で全身クリアランスが異なることに起因して、また毒性研究において相当する全身曝露を得るために、雄性ラットに投与した化合物Aの用量は、雌性ラットよりも3倍高かった。ラットおよびイヌにおける化合物Aの毒性動態は、全身曝露時に性別による差異を示さず、全身曝露時に用量に比例する増加を示し、ラットにおいて蓄積を示さず、イヌにおいて反復投薬後に最大3倍の蓄積を示した。化合物Aは、腫瘍保持NSGマウスにおいて、限定的な脳分布を示し、脳対血漿の比は0.14対0.16であった。
相対成長的に誘導したPKパラメーターおよび推定62%の経口バイオアベイラビリティ(前臨床種において観察された平均)を使用すると、ヒトにおいて、15mgの経口用量を週ごとに(3日間の投薬/4日間の休薬で)投与した後の化合物Aの定常状態での全身曝露の予測(AUC0 24時間)は、731~2263ng・時間/mLの範囲に及び得る。
化合物Aの血漿タンパク質結合には、前臨床種に由来する血漿(89.9%~93.3%)とヒト源のもの(90.2%)とで注目すべき差は観察されなかった。
化合物Aの代謝を、ヒト肝細胞を使用してインビトロで評定し、単一の代謝産物、すなわち、N-デスメチル誘導体が特定された。この代謝産物は、ラット、イヌ、およびサルの肝細胞においても観察された。ヒト固有の代謝産物は特定されなかった。組換えシトクロムP450(CYP)酵素を使用した研究により、複数のCYP酵素(CYP2C9、CYP2C19、およびCYP3A4)が、化合物Aを代謝することができることが示唆されたが、個々の酵素の相対的な寄与は、未知のままである。
インビトロにおいて、化合物Aは、CYP1A2およびCYP3A4を阻害しない。化合物Aは、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6の阻害を、それぞれ、13.9μM、26.7μM、および54.3μMのIC50値で、もたらした。肝細胞において、化合物A(最大10μM)は、CYP1A2、CYP2B6、またはCYP3A4を誘導するものではない。したがって、臨床関連濃度において、化合物Aが、共投与されるCYP基質である薬物との薬物-薬物相互作用を引き起こす可能性は最小限である。
ラットにおいて、放射標識していない化合物Aの静脈内(IV)投与後に、平均で用量の0.9%が、胆汁中または尿中のいずれかにインタクトで***されたため、インタクトな薬物の***は、排出の主要な様式ではなく、代謝が、化合物Aの排除において主要な役割を果たし得ることが示された。
(例10)非臨床毒性学
化合物Aを、非GLP探索的毒性学研究および遺伝毒性学研究において、ならびにGLP反復投薬(4週間以下の非臨床毒性学)研究において、評定した。GLPの4週間の経口毒性研究(4週間の回復期間を伴う)を、ラット(雌性については、0、5、10、または20mg塩基/kg/投薬、および雄性については、0、15、30、または60mg塩基/kg/投薬)、ならびにビーグル犬(0、1.75、3.75、または7.5mg塩基/kg/投薬)において行った。投薬スケジュールは、合計4週間の間、各週、3日間連続で1日1回投与し、続いて、4日間連続で休薬した。
ラットにおいて、毒性の主要標的組織は、胃腸(GI)管、骨髄、リンパ器官、精巣、および骨をなすものである。イヌにおいては、毒性の主要標的組織は、胃腸管、骨髄、リンパ器官および精巣をなすものである。
4週間のラットにおける研究では、20mg塩基/kg/投薬以上が、重度に毒性であった。この用量は、6日目ほどの早期に、動物の死亡または瀕死状態での殺処分をもたらし、最終的には、11日目において生存していた60mg塩基/kg/投薬の群の動物(雄性)の投薬の中止および殺処分、ならびに11日目において生存していた20mg塩基/kg/投薬の群の動物(雌性)の投薬の中止および殺処分(N=9匹)または回復フェーズの開始(N=4匹)をもたらした。20mg塩基/kg/投薬よりも低い用量では、化合物Aに関連する死亡はなかった。低用量レベル(5mg塩基/kg/投薬[雌性]、15mg塩基/kg/投薬[雄性])では、有害な所見はなかった。
毒性に関して、一連の臨床所見、検査所見、肉眼的病理所見、および組織病理所見に基づいて、ラットの10%において重度に毒性の用量(STD10)は、雌性では20mg塩基/kg/投薬であり、雄性では30mg塩基/kg/投薬であった。任意の臨床試験について、包括的なSTD10は、20mg塩基/kg/投薬であると考えるべきである。有害な所見はなかったため、雌性における有害作用が観察されないレベル(NOAEL)は、5mg/kg/用量であり、雄性においては15mg/kg/投薬であった。任意の臨床試験について、包括的なNOAELは、5mg塩基/kg/投薬であると考えるべきである。これらの値は、3日間の投薬/4日間の休薬の化合物Aの投薬スケジュールに当てはまる。回復動物の評定により、試験物品に関連するすべての所見は、投薬の中止から4週間の期間の後に逆転可能であることが示された(本来可逆性を評定するように指定されていた雄性の60mg塩基/kg/投薬の群を瀕死状態で殺処分したことに起因して、評定することができなかった精巣関連の所見を除く)。
化合物Aの中枢神経系作用の可能性を判定するために、GLPの4週間のラットにおける反復用量の毒性研究の一部として、安全性薬理学評定、すなわち、機能観察総合評価(FOB)もまた、行った。化合物Aに関連するFOB作用はなかった。
4週間のビーグル犬における研究では、重度に毒性の用量は、7.50mg塩基/kg/投薬であった。この用量は、11日目ほどの早期に、動物(雄性4匹および雌性1匹)の瀕死状態での殺処分をもたらし、最終的には、生存している7.50mg塩基/kg/投薬の群の雄の投薬の中止、および生存している7.50mg塩基/kg/投薬の群の雄の回復フェーズの開始をもたらした。7.50mg塩基/kg/投薬よりも低い用量では、化合物Aに関連する死亡はなかったが、評定したすべての用量において、化合物Aに関連する所見があった。
一連の臨床所見、検査所見、肉眼的病理所見、および組織病理所見に基づいて、3.75mg塩基/kg/投薬が、重度の毒性がない最高用量(HNSTD)として確立され、NOAELは、特定されなかった。これらの値は、3日間の投薬/4日間の休薬の投薬スケジュールに当てはまる。最も低い用量(1.75mg塩基/kg/投薬)では、有害な所見は、胸腺重量の減少および精巣/精巣上体毒性に限定されていた。回復動物の評定により、すべての試験物品に関連する所見は、投薬の中止から4週間の期間の後に逆転可能であることが示されたが、精巣および精巣上体に関連する所見を除く。
覚醒状態のビーグル犬における化合物Aの潜在的な心臓血管作用および呼吸器作用を判定するために、GLPの4週間の反復用量の毒性研究の一部として、安全性薬理学評定を行った。心電図、心拍数、または呼吸数に対する化合物Aに関連する作用はなかった。
インビトロでのヒトエーテルアゴーゴー関連遺伝子(hERG)の研究により、24.3μMのIC50が特定された。
非GLPの細菌逆変異アッセイ(Ames)において、化合物Aは、非変異原性であると判定された。
全体として、化合物Aは、腫瘍学臨床候補のための前臨床種において許容可能な安全性プロファイルを示し、化合物Aの毒性学プログラムは、がん患者における臨床試験の実施を適切に支持する。
(例12)ヒトにおける化合物Aの安全性および耐容性
化合物Aは、固形腫瘍およびNHLを有する対象の処置のための強力な生物学的根拠を有する新しい被験薬である。ヒトにおける化合物Aの安全性および耐容性、ならびに生物学的活性および臨床活性を、臨床研究において評定する。
化合物Aを用いた臨床研究は行われたことがないため、ヒトにおける化合物Aの有効性および安全性プロファイルは、未知である。化合物Aの潜在的毒性を、化合物Aを用いた非臨床研究に基づいて特定する。フェーズIのヒト初回投与(FIH)研究において試験した2つのBET阻害剤の安全性研究により、それぞれの21日サイクルにおいて、14日間の連続的な1日1回の投薬で、良好な耐容性が判明しており、重大なDLTとして血小板減少症(Abramson, 2015、Herait, 2015)またはDLTとして胃腸管毒性(主に下痢)(Dombret, 2014、Herait, 2015)を有する。
化合物A-ST001に提案された安全性評価の度数および度量は、FIH研究に予測されるものに典型的なものであり、ラットおよびイヌにおける化合物Aの毒性学研究での所見と整合性がある。ラットおよびイヌにおいて、毒性の主要標的組織は、胃腸管、骨髄、リンパ器官、および精巣であった。全体的な前臨床および組織病理学のデータは、胃腸系が、化合物Aにより媒介される毒性の主要な標的であり得ることを示唆する。
対象の体重、水分補給状態、血清電解質、下痢および嘔吐の発生および重症度、ならびに腹痛(胃、腸)の発症の頻繁な初期モニタリングは、安全性モニタリング計画の重要な構成要素であり、吐き気、嘔吐、または下痢の初期発症(すなわち、グレード1)には積極的な支持療法の実装が、高度に推奨される。ラットおよびイヌの胃腸管において観察される形態変化、腸絨毛の平坦化、および粘膜びらんに基づいて、吸収不良症候群、活動性潰瘍/胃炎、または胃腸出血の反復的発症を有する対象は、登用から除外する。食道/胃粘膜の保護のための粘膜コーティング剤、ならびに胃腸出血について対象をモニタリングすることが、治験担当医師の裁量で推奨される。対象は、胃腸の不快感もしくは疼痛、食欲不振、または血便の発症を報告することが奨励される。
骨髄低細胞性およびリンパ組織(胸腺、脾臓、リンパ節)枯渇の所見は、血小板および白血球(WBC)分化とともに、頻繁に血球数をモニタリングすることの重要性を強調する。対象は、全血球計数、プロトロンビン時間(PT)/活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)/国際標準化比(INR)、および血液化学検査を含む、標準的および特殊な検査試験により、可能性のある毒性に関してモニタリングされる。
血中グルコースの一過性変化は、化合物Aを用いた非臨床毒性学研究において、数件でのみ観察された。さらに、新しい被験薬であるBETi、OTX015の予備臨床データは、白血病ではない血液悪性腫瘍を有する37人の患者のうちの7人が、グレード1~2の高血糖を経験し、1人の患者が、グレード3の高血糖を経験したことを報告している(Thieblemont, 2014)。ヒトにおいて、化合物Aにより高血糖が観察され得るかどうかについては未知であり、標準的な検査パネルには、空腹時グルコース測定値が含まれる。可能性のある高血糖の管理のための一般的なガイドラインを、図7に提供する。
雄性ラットおよびイヌの精巣および精巣上体における組織病理所見により、臨床研究の期間ならびに最終の研究投薬後少なくとも3カ月間の間は、***寄付および子供の父親となることを禁止することが認められると予想される。非臨床研究において、雌性動物の生殖器官には、組織学的病変はなかった。この前臨床所見の有意性、ならびに潜在的および関連する臨床上の危険性は、この時点では未知である。発達上および生殖上の毒性学研究は、化合物Aでは行われなかった。対象は、本明細書に記載されるように、妊娠予防ガイドラインに従うことが必要と予想される。
これは、FIH研究であるため、心不全、虚血性心疾患、無制御な高血圧、重篤な不整脈、またはECGでの長いQT間隔の病歴を有する対象は、登用から除外する。すべての研究対象は、ベースラインにおける適切な左室駆出分画(>45%)の文書化を必要とする。
本明細書に詳述されるように、本研究は、用量漸増(A部)および用量拡張(B部)の2つの部で行われる。
A部において、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)を利用したベイズロジスティック回帰モデル(BLRM)により、化合物Aの推定MTDへの用量漸増を誘導する。Babb 1998, Neuenschwander 2008。従来的な漸増設計(たとえば、3+3、ローリングシックス、加速滴定)は、細胞毒性剤のために設計されており、用量漸増決定は、有効性および毒性が用量とともに増加するという根本的な前提で、毒性率に基づいて行われていた。新しい分子標的剤は、異なる用量-毒性曲線および用量-有効性曲線を有し得るため、単に毒性だけではないデータを利用することに基づく設計が、推奨用量を判定する際にはより有効であり得る。Tourneau et al., 101 J. Natl. Cancer Inst. 708 (2009)、Ivy et al., 16 Clin. Cancer Res. 1726 (2010)。
統計学的モデルに基づくアプローチ(EWOCを用いたBLRM)により、非臨床データを、観察された臨床データ(たとえば、毒性、薬力学、薬物動態、有効性など)と組み合わせて、それぞれの対象を用量レベルに割り当てるのに利用することが可能となり、これにより、可能性として、治療用量以下または耐容できない用量で処置される対象の数を減少させることができる。Tourneau et al., 7 PLoS ONE e51039 (2012)。EWOCの使用は、MTDを超える投薬を回避するための規則または制約を提供する。設計のさらなる詳細を、以下に提示する。1つまたは複数の投薬レジメンおよび/または疾患サブセットを、B部におけるコホート拡張に選択して、より大きな対象コホート(各コホート最大約20人)についてさらなる安全性および有効性の情報を得ることができる。
GLPに準拠した4週間のラットおよびイヌでの研究において主要な処置関連作用が生じた用量および曝露に基づくと、いずれの種も、化合物Aの投与と関連する毒性に対して同様の感受性であると考えられる。提示されたヒトでの開始用量は、15mgの化合物A塩基、週ごとに、3日間連続で1日1回の投薬、続いて4日間連続の休薬である(3日間/7日間の投薬スケジュール)。この化合物Aの用量は、ICH Harmonised Tripartite Guideline S9, Nonclinical evaluation for anticancer pharmaceuticals (2009)に記載されているアプローチを使用して計算したが、これを、表3に要約する。
Figure 0007171557000015
提案されるヒトにおける開始用量は、ラットにおけるSTD10の10分の1よりも低く、イヌにおけるHNSTDの6分の1よりも低く、15mgの化合物A塩基の用量での予測されるヒト曝露に対して、ラットおよびイヌにおける複数回の曝露に基づいて安全であると考えられるものである(AUCによって測定される)。表1に示されるように、15mg塩基でのヒトへの曝露は、736~2263ng・時間/mLの範囲に及ぶと予測され、これらの値は、ラットのSTD10(52800ng・時間/mL)に対応する平均曝露よりもおよそ23倍~72倍低く、イヌのHNSTD(10000ng・時間/mL)に対応する平均曝露よりもおよそ4倍~14倍低い。これらの毒性動態データに基づいて、提案される15mg化合物A塩基のヒトでの開始用量は、安全であると予測される。
この研究の重要な探索的な目的は、安全であるだけでなく、薬理学的活性も呈する、化合物Aの用量を特定することである。末梢血単核細胞(PBMC)および全血において、化合物Aでのエキソビボ処置により発現が減少される遺伝子のセットが、特定された。本研究では、全血におけるこれらの遺伝子または腫瘍生検における他の遺伝子の発現の変化により、用量が、薬理学的に活性であるという確認を提供することができ、どの用量が最も薬理学的活性を示すかを区別するのに役立ち得る。
予測バイオマーカーにより、単剤としてまたは他の薬剤との組合せで、化合物Aから臨床上の利益を得る可能性の高い患者の前向きな特定が可能となる。現在の臨床試験における予測診断分析は、探索的な性質のものであるが、これらにより、今後の診断により行われる研究の基礎を提供し得るバイオマーカーと応答との間の関連性が明らかとなる。
研究のA部により得られた結果、前臨床有効性、および文献による裏付けに応じて、様々な腫瘍型を、B部における化合物Aの用量拡張コホートに選択する。BETファミリーメンバーの可逆的阻害剤として、局所進行型基底細胞癌(BCC)を有する対象の拡張コホートを、B部に登用する。
BRD4および他のBETブロモドメインタンパク質は、SMOの下流においてGLI1転写を制御し、BRD4は、GLI1およびGLI2プロモーターを直接的に占有する。Tang, 2014。この占有は、BET阻害剤によって阻害することができ、BET阻害剤JQ1は、SMO阻害に対して耐性のものであっても、Hhにより作動される腫瘍において、インビトロおよびインビボで、腫瘍細胞の増殖を減少させる。Tang, 2014。したがって、デノボまたは獲得耐性を有する局所進行型または転移性BCC対象におけるBET阻害剤の臨床研究が、認められる。同様に、BET阻害剤である化合物Aの、様々な悪性腫瘍における抗新生物活性についての臨床試験が、認められる。この例は、様々な用量レベル/レジメンでの薬物の安全性および薬物動態プロファイルを評定するように設計され、フェーズ2臨床試験の開発に進めるために、薬物の有効性の初期シグナルを検出するものでもある、ヒトにおける化合物Aの研究を提供する。
より具体的には、化合物Aの研究には、進行固形腫瘍または再発型もしくは不応性NHLを有する対象における、化合物Aの非盲検のフェーズ1a用量漸増および拡張ヒト初回投与(FIH)臨床研究が含まれる。研究の用量漸増部分(A部)では、化合物AのMTDおよび/またはRPTDを推定するために、化合物Aの経口用量を漸増することを探る。EWOCを用いたBLRM(Babb, 1998、Neuenschwander 2008を参照されたい)は、化合物Aの用量漸増の決定を誘導するのに役立ち、最終的な決定は、科学審査委員会(SRC)によって行われる。研究の拡張部分(B部)では、それぞれRP2Dをさらに定義するために、最大でおよそ20人の評定可能な対象の選択された拡張コホートにおいて、MTDまたはそれ未満で投与した化合物Aの安全性および有効性をさらに評定する。1つまたは複数の投薬レジメンまたは疾患サブセットが、コホート拡張に選択され得る。A部およびB部は、スクリーニング期間、処置期間、およびフォローアップ期間の3つの期間からなる(図4を参照されたい)。研究の目的を、表1に要約し、研究のエンドポイントを、表2に要約し、いずれも上述である。
典型的には、スクリーニング期間は、化合物Aの初回投薬の28日前に開始される。告知に基づく同意の文書(ICD)には、任意の他の研究手順の開始前に、対象および投与スタッフが署名および日付を記入する。すべてのスクリーニング試験および手順は、化合物Aの初回投薬前28日以内に完了する。
処置期間の間、化合物Aを含む製剤は、それぞれの4週間サイクルにおいて、週ごとに、まず3日間連続で1日1回経口投与され得、続いて、4日間連続で休薬され得る(3日間/7日間の投薬スケジュール)。代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)を、利用可能な安全性、PK、薬力学(PD)、および有効性のデータのSRCによる審査に基づいて試験する。A部では、用量制限毒性(DLT)の評定のための枠は、サイクル1の間の28日間(4週間)である。
フォローアップ期間において、すべての対象は、化合物Aの最終投薬の後、28日間(±2日間)、安全性に関して追跡される。疾患の進行(または再発)、新たな抗がん療法の開始、または全研究からの同意の取り下げ以外の理由で処置を中止した対象は、進行または新たな全身抗がん療法の開始まで、疾患評価が、指定される腫瘍評価スケジュールに従って行われる。安全性フォローアップ来院の後、すべての対象を、2年間、または死亡、追跡不能、もしくは試験の終了のうちいずれかが最初に起こるまで、生存性フォローアップについて、その後3カ月(±2週間)ごとに追跡する。
A部の用量漸増については、それぞれの用量レベルで最低3人の対象を登用する。化合物Aの初回用量は、15mgである。EWOCを用いたBLRMは、利用可能な以前の安全性情報を取り入れ、それぞれの新しい対象コホートがサイクル1を完了した後、モデルパラメーターを更新する。次の用量の決定は、BLRM、ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTの安全性データ)、PK、PD、および有効性の情報を使用して、危険性評価の計算に基づいて、SRCによって行われる。加えて、関連する非臨床データ(たとえば、GLPの毒性研究、異種移植片モデルによるインビボ薬理学など)を、評価に利用することができる。統計学的手法の詳細を、以下に示す。
すべての決定時点において、観察されたDLTに基づいて、BLRMによる用量増量の変更が認められる。しかしながら、次のコホートの用量が、前の用量の100%の増加を上回ることはない。MTDは、化合物Aの第1の処置サイクルにおいて、処置した対象のうちの33%以上にDLTが生じる可能性の低い(事後確率が25%を下回る)最高用量である。SRCが、それぞれのコホートについて、化合物Aの用量に関する最終決定を行う。
用量漸増の間、化合物Aの用量は、以下の条件を満たした後、MTDおよび/またはRP2Dと宣言することができる:少なくとも6人の評定可能な対象が、その用量で処置を受けており、その用量での標的とされる毒性の事後確率が、60%を上回り、漸増用量のうちの最も高いものであるか、もしくは最低21人の対象が、研究で処置を受けており、その用量が、BLRMに従って推奨され、SRCがそれを承認している。
SRCには、治験担当医師(または指定代理人)、治験依頼者の研究医師、安全性医師、研究統計学者、および研究の管理者が含まれる。そのための特別な参加者には、研究薬理学者および追加の研究臨床科学者が含まれ得る。他の内部および外部の専門家が、必要に応じてSRCにより考慮され得る。
用量コホート内における追加の対象、高用量コホート、中間用量コホート、より少ない用量増量、代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)を評定するか、またはMTDを宣言するかの決定もまた、BLRM評価、ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTデータ)、PK、PD、および有効性の情報の審査に基づいて、SRCによって判定される。最終的な決定は、SRCによって行われる。
用量漸増の間に、初回の用量を、任意のコホートに投与した後、それぞれのコホートの対象を、28日間(サイクル1、DLT枠)観察した後、次の用量コホートを開始することができる。1日につき1人を上回らない対象を、所与の用量漸増コホートに登用する。DLTについて評定不能な対象は、置き換える。DLTについて評定可能な対象は、サイクル1の間に、化合物Aの12回の投薬のうちの少なくとも10回(または計画された総用量強度のうちの80%以上)を受けており、DLTを経験していないもの、または少なくとも1回の化合物Aの投薬を受けた後に、DLTを経験したものとして定義される。
対象内での用量漸増は、DLT評価期間中は許容されない。サイクル3以降では、しかしながら、疾患進行の兆候がなく、割り当てられた化合物Aの用量に耐容性がある対象は、(治験担当医師の裁量および研究のメディカルモニターによる判断で)この研究における少なくとも1つの対象コホートによって適切に耐容性があることが示されている(すなわち、過大用量の危険性が、BLRM評価に基づいて、25%未満である)最高用量レベルに漸増することができる。
B部のコホート拡張に関して、用量漸増(A部)の完了後に、選択した腫瘍コホートを、最大でそれぞれおよそ20人の評定可能な対象を用いた拡張フェーズ(B部)に登用する。拡張は、A部から得られた利用可能な安全性、PK、PD、および有効性データの審査に基づいて、用量漸増フェーズで確立されたMTDおよびスケジュールで、または代替的な耐用量およびスケジュールで発生し得る。SRCは、関心の高い用量およびスケジュールをコホート拡張に選択する。1つまたは複数の投薬レジメンが、コホート拡張に選択され得る。SRCは、研究の間中、定期的に安全性データの審査を継続し、適宜、研究の継続および用量の修正を提案する。
研究集団の登用に関して、進行固形腫瘍または切除不能な固形腫瘍ならびに再発型または不応性NHL(DLBCLおよびiNHL)を有する18歳以上の男性および女性を、研究に登用する。登用は、完了するのにおよそ30カ月間(用量漸増に12~18カ月間および拡張に9~12カ月間)かかると予測される。動的処置および処置後のフォローアップの完了は、さらに4~28カ月間かかると予測される。全研究は、およそ4年間続くと予測される。研究の終了は、最後の対象の処置後のフォローアップを完了するための最終来院の日、または事前に指定されているように、主要、二次的、もしくは探索的な分析に必要とされる、最後の対象からの最終データ点の受容の日のいずれか遅い日として定義される。
研究処置は、臨床的に有意な疾患進行の兆候、許容できない毒性、または対象/医師による取り下げの決定があった場合には、中止され得る。対象は、メディカルモニターと相談の上、治験担当医師の裁量で、疾患進行後も試験薬の受容を継続してもよい。
少なくとも1つの実施形態において、化合物Aは、経口投与用に製剤化された錠剤である。たとえば、関連する国の健康機関の規制に応じた研究使用のためのラベル付けが、適切である。
重要な有効性評価のために、対象を、サイクル6までは、2サイクルごとに有効性について評定し、その後は、3サイクルごとに評定する。疾患の進行、新たな抗がん療法の開始、または全研究からの同意の取り下げ以外の理由で処置を中止したすべての対象を、進行または新たな全身抗がん療法の開始まで、追跡する。
腫瘍応答は、治験担当医師によって判定される。固形腫瘍については、評価は、固形腫瘍における応答評定基準(RECIST 1.1)に基づく。Eisenhauer et al., 45 Eur. J. Cancer 228 (2009)。NHLについては、評価は、国際研究グループの悪性リンパ腫の応答基準改訂版に基づく。Cheson et al., 25 J. Clin. Oncol. 579 (2007)。[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)ポジトロン放出断層撮影法(PET)またはFDG PET/CT撮像が、FDG集積腫瘍を有する対象における完全応答を確認するために、必要である。
この研究の安全性評価項目としては、有害事象、安全性臨床研究評価項目、12誘導心電図、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス、左室駆出分画評価、身体検査、バイタルサイン、研究処置への曝露、併用医薬の評価、および妊娠する可能性のある女性については妊娠検査が含まれる。化合物AのPKプロファイルは、連続的な採血により判定される。
化合物Aを用いた臨床研究は行われたことがなく、したがって、ヒトにおける化合物Aの有効性および安全性プロファイルは、未知である。化合物Aの潜在的毒性を、化合物Aを用いた非臨床研究に基づいて特定する。化合物A-ST-001に提案された安全性評価の度数および度量は、FIH研究に予測されるものに典型的なものであり、ラットおよびイヌにおける化合物Aの毒性学研究での所見と整合性がある。ラットおよびイヌにおいて、毒性の主要標的組織は、胃腸管、骨髄、リンパ器官、および精巣であった。全体的な前臨床および組織病理学のデータは、胃腸系が、化合物Aにより媒介される毒性の主要な標的であり得ることを示唆する。
対象の体重、水分補給状態、血清電解質、下痢および嘔吐の発生および重症度、ならびに腹痛(胃、腸)の発症の頻繁な初期モニタリングは、安全性モニタリング計画の構成要素であり、吐き気、嘔吐、または下痢の初期発症(すなわち、グレード1)には積極的な支持療法の実装が、高度に推奨される。ラットおよびイヌの胃腸管において観察される形態変化、腸絨毛の平坦化、および粘膜びらんに基づいて、吸収不良症候群、活動性潰瘍/胃炎、または胃腸出血の反復的発症を有する対象は、研究から除外され得る。食道/胃粘膜の保護のための粘膜コーティング剤、ならびに胃腸出血について対象をモニタリングすることが、治験担当医師の裁量で推奨される。対象は、胃腸の不快感もしくは疼痛、食欲不振、または血便の発症を報告することが奨励される。
FIH研究では、心不全、虚血性心疾患、無制御な高血圧、重篤な不整脈、またはECGでの長いQT間隔の病歴を有する対象は、登用から除外され得る。すべての研究対象は、ベースラインにおける適切な左室駆出分画(>45%)の文書化を必要とする。プロトコールの放棄権は、いずれの状況下においても、この臨床試験の実施中は付与されない。
骨髄低細胞性およびリンパ組織(胸腺、脾臓、リンパ節)枯渇の所見は、血小板およびWBC分化とともに、頻繁に血球数をモニタリングすることの重要性を強調する。対象は、全血球計数、プロトロンビン時間(PT)/部分トロンボプラスチン時間(PTT)/国際標準化比(INR)、および血液化学検査を含む、標準的および特殊な検査試験により、可能性のある毒性に関してモニタリングすべきである。
雄性ラットおよびイヌの精巣および精巣上体における組織病理所見により、臨床研究の期間ならびに最終の研究投薬後少なくとも3カ月間の間は、***寄付および子供の父親となることを禁止することが、認められる。非臨床研究において、雌性動物の生殖器官には、組織学的病変はなかったが、この有意性は未知であった。発達上および生殖上の毒性学研究は、化合物Aでは行われなかった。対象は、妊娠予防ガイドラインに従うことが必要と予想される。
薬力学的(PD)評価について、以下に記載する。この研究の主要な目的は、MTDまたはRP2Dの判定を含め、化合物Aを含む医薬製剤を用いた処置の安全性および耐容性を評定することである。MTDを推測するための分析方法は、EWOC原理により誘導されるBLRMである(Babb, 1998、Neuenschwander, 2008)。
統計学的分析は、必要に応じて、または適宜、用量レベル(A部)および腫瘍コホート(B部)ごとに行う。分析は、記述的性質のものである。安全性データの要約は、任意の化合物Aを受容する対象(処置集団)を使用して行う。研究データを、排除、人口統計およびベースライン特性、曝露、有効性、安全性、PK、ならびにPDに関して要約する。カテゴリーデータを、度数分布(対象の数および割合)によって要約し、連続データを、記述統計(平均、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)によって要約する。
処置により生じた有害事象(TEAE)を、国立がん研究所の有害事象共通用語基準のグレードによって要約する。TEAEの度数を、医薬品規制用語集の器官別大分類および好ましい用語ごとに、表にする。グレード3または4のTEAE、化合物Aの中止をもたらすTEAE、試験薬に関連するTEAE、およびSAEを、別々に表にする。選択した検査検体、バイタルサイン、12誘導ECG、およびECHO/MUGAスキャンにおけるベースラインからの変化を、要約する。すべてのデータを、対象ごとのリストで提示する。
主要な有効性評価項目は、DCRである。化合物MoAは、SDおよび疾患制御をもたらし得るが、しかしながら、PFSおよびOSは、さらなる有効性評価としての機能を果たし得る。OSおよびPFSは、FIHでは通常評価されないが、化合物Aの投与は、SDおよび応答をもたらし得る(たとえば、NHL患者において)。疾患制御は、CR、PR、およびSD(治験担当医師によって評価される)の腫瘍応答として定義される。DCRの点推定および95%信頼区間を報告する。客観的応答率(最も良好な応答が、完全応答または部分応答である対象の割合として定義される)、応答/疾患安定の持続期間、無増悪生存期間、および全生存期間を、カテゴリー変数の度数分布または連続変数の記述統計を使用して、要約する。有効性分析を、処置集団および有効性評定集団(ベースライン疾患評価の評定、少なくとも1回の研究処置サイクル、および1回の研究中疾患評価の評定を受けた対象)について、反復し、処置集団を使用した結果を、主と考える。
A部の用量漸増の間に、およそ30~40人の対象を登用する。B部の用量拡張の間に、それぞれの腫瘍コホートについて、少なくとも14人の有効性評定可能対象を、まず、集める。応答率が、20%またはそれ以上であった場合、第1の14人の対象において、1人またはそれ以上の応答者が観察されると予想される可能性が、95%を上回って存在し、これは、主要な有効性エンドポイントとして、DCRに対する変化に基づいて、統計学によって更新される。Gehan, 1961。14人の対象のうち応答者が1人も観察されない場合、この腫瘍コホートの登用は、無益なため停止される。あるいは、1人の応答者が観察された場合は、腫瘍コホートを、約20人の対象に拡大する。
より具体的には、化合物Aを、進行固形腫瘍および再発型もしくは不応性NHLを有する対象において、非盲検のフェーズ1a用量漸増および拡張FIH臨床研究で評価する。研究の用量漸増部分(A部)では、化合物AのMTDまたはRPTDを推定するために、化合物Aの経口用量を漸増することを探る。EWOCを用いたBLRM(Babb, 1998、Neuenschwander 2008)は、化合物Aの用量漸増の決定を誘導するのに役立ち、最終的な決定は、科学審査委員会(SRC)によって行われる。拡張部分(B部)では、それぞれRP2Dをさらに定義するために、最大で約20人の評定可能な対象の選択された拡張コホートにおいて、MTDまたはそれ未満で投与した化合物Aの安全性および有効性をさらに評定する。1つまたは複数の投薬レジメンおよび/または疾患サブセットが、コホート拡張に選択され得る。A部およびB部は、スクリーニング期間、処置期間、およびフォローアップ期間の3つの期間からなると予想される(図4を参照されたい)。
記載されるように、スクリーニング期間は、化合物Aの初回投薬の28日前に開始される。告知に基づく同意の文書(ICD)には、任意の他の研究手順の開始前に、対象および投与スタッフが署名および日付を記入する。すべてのスクリーニング試験および手順は、化合物Aの初回投薬前28日以内に完了しなければならない。処置期間の間、化合物Aを、それぞれの4週間サイクルにおいて、週ごとに、まず3日間連続で1日1回経口投与し、続いて、4日間連続で休薬する(3日間/7日間の投薬スケジュール)。代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)を、利用可能な安全性、PK、PD、および有効性のデータのSRCによる審査に基づいて、試験してもよい。A部では、用量制限毒性(DLT)の評定のための枠は、サイクル1の間の28日間(4週間)である。フォローアップ期間において、すべての対象は、化合物Aの最終投薬の後、28日間(±2日間)、安全性に関して追跡される。疾患の進行(または再発)、新たな抗がん療法の開始、または全研究からの同意の取り下げ以外の理由で処置を中止した対象は、進行および/または新たな全身抗がん療法の開始まで、疾患評価が、指定される腫瘍評価スケジュールに従って行われると予想される。安全性フォローアップ来院の後、すべての対象を、2年間、または死亡、追跡不能、もしくは試験の終了のうちいずれかが最初に起こるまで、生存性フォローアップについて、その後3カ月(±2週間)ごとに追跡する。
A部の用量漸増については、それぞれの用量レベルで最低3人の対象を登用する。化合物Aの初回用量は、15mgである。EWOCを用いたBLRMは、利用可能な以前の安全性情報を取り入れ、それぞれの新しい対象コホートがサイクル1を完了した後、モデルパラメーターを更新する。次の用量の決定は、BLRM、ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTの安全性データ)、PK、PD、および有効性の情報を使用して、危険性評価の計算に基づいて、SRCによって行われる。加えて、関連する非臨床データ(たとえば、GLPの毒性研究、異種移植片モデルによるインビボ薬理学など)を、評価に利用することができる。統計学的手法の詳細を、付録Hに示す。
すべての決定時点において、観察されたDLTに基づいて、BLRMによる用量増量の変更が認められるが、しかしながら、次のコホートの用量が、前の用量の100%の増加を上回ることはない。MTDは、化合物Aの第1のサイクルにおいて、処置した対象のうちの33%以上にDLTが生じる可能性の低い(事後確率が5%を下回る)最高用量である。SRCが、それぞれのコホートについて、化合物Aの用量に関する最終決定を行う。
用量漸増の間、化合物Aの用量は、以下の条件を満たした後、MTDおよび/またはRP2Dと宣言することができる:少なくとも6人の評定可能な対象が、その用量で処置を受けており、その用量での標的とされる毒性の事後確率が、60%を上回り、漸増用量のうちの最も高いものであるか、もしくは最低21人の対象が、研究で処置を受けており、その用量が、BLRMに従って推奨され、SRCがそれを承認している。
SRCには、治験担当医師(および/または指定代理人)、治験依頼者の研究医師、安全性医師、研究統計学者、および研究の管理者が含まれる。そのための特別な参加者には、研究薬理学者および追加の研究臨床科学者が含まれ得る。他の内部および外部の専門家が、必要に応じてSRCにより考慮され得る。
用量コホート内における追加の対象、高用量コホート、中間用量コホート、より少ない用量増量、代替的な投薬スケジュール(たとえば、各週、2日間の投薬/5日間の休薬)を評定するか、またはMTDを宣言するかの決定もまた、BLRM評価、ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTデータ)、PK、PD、および有効性の情報の審査に基づいて、SRCによって判定されると予想される。
用量漸増の間に、初回の用量を、任意のコホートに投与した後、それぞれのコホートの対象を、28日間(サイクル1、DLT枠)観察した後、次の用量コホートを開始することができる。1日につき1人を上回らない対象を、所与の用量漸増コホートに登用する。DLTについて評定不能な対象は、置き換える。DLTについて評定可能な対象は、サイクル1の間に、化合物Aの12回の投薬のうちの少なくとも10回(または計画された総用量強度のうちの80%以上)を受けており、DLTを経験していないもの、または少なくとも1回の化合物Aの投薬を受けた後に、DLTを経験したものとして定義される。
対象内での用量漸増は、DLT評価期間中は許容されない。サイクル3以降では、しかしながら、疾患進行の兆候がなく、割り当てられた化合物Aの用量に耐容性がある対象は、(治験担当医師の裁量および研究のメディカルモニターによる判断で)この研究における少なくとも1つの対象コホートによって適切に耐容性があることが示されている(すなわち、過大用量の危険性が、BLRM評価に基づいて、25%未満である)最高用量レベルに漸増することができる。
B部のコホート拡張に関して、用量漸増(A部)の完了後に、選択した腫瘍コホートを、最大でそれぞれおよそ20人の評定可能な対象を用いた拡張フェーズ(B部)に登用する。拡張は、A部から得られた利用可能な安全性、PK、PD、および有効性データの審査に基づいて、用量漸増フェーズで確立されたMTDおよびスケジュールで、または代替的な耐用量およびスケジュールで発生し得る。SRCは、関心の高い用量およびスケジュールをコホート拡張に選択する。1つまたは複数の投薬レジメンが、コホート拡張に選択され得る。SRCは、研究の間中、定期的に安全性データの審査を継続し、適宜、研究の継続および用量の修正に関する提案を行う。
評価のスケジュールを、表4に示し、評価を、以下に説明する。この研究の安全性評価項目としては、有害事象、安全性臨床研究評価項目、12誘導心電図、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス、左室駆出分画評価、身体検査、バイタルサイン、研究処置への曝露、併用医薬の評価、および妊娠する可能性のある女性については妊娠検査が含まれる。対象を、サイクル6までは、2サイクルごとに有効性について評定し、その後は、3サイクルごとに評定する。疾患の進行、新たな抗がん療法の開始、または全研究からの同意の取り下げ以外の理由で処置を中止したすべての対象は、進行および/または新たな全身抗がん療法の開始まで、追跡されると予想される。
化合物AのPKプロファイルを判定するため、および探索的なPD評価のために、指定の時間点で、血液を採取する。処置活性のバイオマーカーの分析のための対応する腫瘍生検は、用量漸増フェーズでは任意であるが、用量拡張フェーズでは必須である。
研究は、ヒト使用/臨床試験実施基準(GCP)に関する医薬品規制の国際調和会議(ICH)の技術要件および該当する規制要件に準拠して行う。
登用は、完了するのに約30カ月間(用量漸増に12~18カ月間および拡張に9~12カ月間)かかり得る。動的処置および処置後のフォローアップの完了は、さらに4~28カ月間かかると予測される。全研究は、およそ4年間続くと予測される。
研究の終了は、最後の対象の処置後のフォローアップを完了するための最終来院の日、またはプロトコールにおいて事前に指定されているように、主要、二次的、および/もしくは探索的な分析に必要とされる、最後の対象からの最終データ点の受容の日のいずれか遅い方として定義される。
この例では、A部(用量漸増)におよそ30~40人の対象が登用される、多施設での非盲検の研究を提案する。B部(用量拡張)では、最大20人の評定可能な対象を、選択した用量拡張コホートのそれぞれに登用する。登用は、A部については、欧州でおよそ4~6つの施設で行われる。B部の登用には、米国および欧州の追加の施設が含まれ得る。
包含基準に関して、対象は、この研究の用量漸増(A部)に登用されるには以下の基準を満たす必要がある。
1.告知に基づく同意の文書(ICD)に署名する時点で、年齢が18歳以上である男性および女性であること。
2.対象は、任意の研究に関する評価/手順が行われる前に、ICDを理解し、自由意志でそれに署名しなければならないこと。
3.対象は、研究来院スケジュールおよび他のプロトコール要件を遵守する意思があり、そうすることが可能であること。
4.標準的な抗がん療法で進行したもの(または併存疾患もしくは許容できない毒性に起因して耐容できなかったもの)、あるいは他の承認されている従来的な治療法が存在しないものを含む、進行した切除不能の固形腫瘍またはiNHL(DLBCLおよびiNHL)の組織学的確認または細胞学的確認がとれている対象であること。
5.固形腫瘍およびiNHLを有する対象に、少なくとも1つの測定可能な疾患の部位(長軸が1.5cmを上回り、長軸および短軸の両方が1.0cmを上回る)が、存在していなければならないこと。
6.対象が、B部において必須の腫瘍生検(スクリーニングおよびサイクル1)に同意すること。腫瘍生検は、A部では任意である。
7.ECOGパフォーマンスステータスが、0~1であること。
8.対象は、スクリーニング時に、以下の検査値を有さなければならないこと:(a)7日間(対象がペグフィルグラスチムを受けた場合には14日間)、成長因子なしで1.5×10/L以上の好中球絶対数(ANC)、(b)9g/dL以上(NHL対象については8g/dL以上)のヘモグロビン(Hgb)、(c)75×10/L以上(NHL対象については、7日間輸血なしで50×10/L以上)の血小板数(plt)、(d)正常範囲内であるかまたはサプリメントで補える、血清カリウム濃度、(e)3.0×正常値の上限(ULN)以下または肝臓転移が存在する場合には5.0×ULN以下の血清AST/SGOTおよびALT/SGPT、(f)1.5×ULN以下または肝臓転移が存在する場合には2×ULN以下の血清総ビリルビン、(g)1.5×ULN以下の血清クレアチニンまたはCockcroftGault等式を使用して50mL/分以上の24時間で測定されるクレアチニンクリアランス、(h)肝臓転移が文書化されている対象は、3g/dL以上の血清アルブミンを有さなければならない、ならびに(i)1.5×ULN未満のINRおよび1.5×ULN未満のPTT。
9.妊娠する可能性のある女性(FCBP)は、(A)ICDの署名時点から、研究中、化合物Aの最終投薬後最大28日間または最大3カ月間の間、異性間交渉の完全な禁欲を約束するか(1カ月ごとに審査し、原資料に記載しなければならない)または少なくとも2つの有効な避妊方法(経口、注射、もしくは埋込み型ホルモン不妊法;卵管結紮;子宮内デバイス;殺***剤によるバリア避妊法;もしくはパートナーの精管切除)の使用に同意するかもしくはそれに従うことができるかのいずれかを行わなければならず、(B)化合物Aを開始する前に、2つの妊娠検査で陰性であること、すなわち、スクリーニング時点での血清妊娠検査(少なくとも25mIU/mLの感度)が陰性であり、研究処置のサイクル1の前日の72時間以内の血清もしくは尿による妊娠検査(治験担当医師の裁量)が陰性であることが治験担当医師によって確認されていなければならず、(C)化合物Aの最終投薬後3カ月間は妊娠を回避しなければならず、(D)研究過程中および研究処置の終了後に、妊娠検査を受けることに同意しなければならないこと。これは、対象が、異性間交渉の完全な禁欲を実施する場合にも、適用される。
10.男性は、精管切除を受け、それが成功している場合であっても、ICDへの署名時点から、研究に参加している間、投薬を中断している間、さらに化合物Aの中止後少なくとも3カ月間の間、完全な禁欲を実施するか(1カ月ごとに審査しなければならない)または妊娠中の女性もしくはFCBPとの***渉の際にはコンドーム(ラテックス製コンドームが推奨される)を使用することに同意しなければならないこと。
妊娠する可能性のある女性は、(1)子宮摘出術(外科手術による子宮の摘出)もしくは両側卵巣摘出術(外科手術による両方の卵巣の摘出)を受けていないか、または(2)少なくとも連続24カ月間の間、自然閉経後状態となっていない(たとえば、先行する連続24カ月間の任意の時点で月経があった)、性的に成熟した女性である。完全な禁欲は、対象の好ましいかつ通常の生活様式に則する場合に、許容される。周期的な禁欲(たとえば、カレンダー法、***法、体温法、***後法)および膣外***は、許容される避妊方法ではない。
以下のうちのいずれかが存在する場合、対象は登用から除外される。(1)対象が、ICDに署名する前、4週間以内または半減期の5倍以内のいずれか短い方で、抗がん療法(承認されているかまたは試験的であるかに関係なく)を受けている。(2)これまでの全身がん療法により生じた毒性は、化合物Aの処置を開始する前に、NCI CTCAEグレード1以下に解消されていなければならない。末梢性ニューロパチーは、NCI CTCAEグレード2以上。(3)対象が、化合物Aでの処置を開始する前3カ月以内に自家造血幹細胞移植(HSCT)を受けているか、または6カ月以内に同種HSCTを受けている。HSCT関連の毒性から回復するためには自家移植が行われたか同種移植が行われたかに関係なく、6カ月間の除外期間が適用される。(4)対象が、ICDに署名する前4週間以内に大手術を受けているか、もしくは2週間以内に小手術を受けているか、または外科手術から回復していない。(5)対象が、ICDに署名する前4週間以内になんらかの放射線処置を完了している。(6)対象が、吸収不良症候群(たとえば、セリアックスプルーもしくは炎症性腸疾患)に起因して、医療管理にもかかわらず、NCI CTCAEグレード2以上の持続的な下痢を有するか、または化合物Aの吸収に影響を及ぼし得る任意の他の有意な胃腸管障害を有する。(7)症状のある潰瘍または無制御な潰瘍(胃または十二指腸)がある対象、特に、穿孔および胃腸管出血の病歴および/または危険性があるもの。(8)症状があるかまたは不安定な中枢神経系転移:CNS転移について全脳照射または定位放射線術で最近処置を受けた対象は、サイクル1の1日目の少なくとも4週間前に、治療法を完了していなければならず、放射線療法の完了後4週間以上、転移の安定または改善を示すフォローアップ脳CTまたはMRIを受けなければならない(後者は、スクリーニング評価の一部として取得される)。(9)腫瘍量が大きく(測定可能な病変部の径の合計が10cmを上回る)、LDH>ULNである、高グレードの急速に増殖する固形腫瘍(たとえば、小細胞肺がん、生殖細胞腫瘍、神経芽細胞腫)。(10)公知の症状のある急性または慢性膵臓炎。(11)以下のうちのいずれかを含む、心臓機能の損傷または臨床的に有意な心臓疾患:多重ゲート取得スキャン(MUGA)または心エコー図(ECHO)によって判定される45%未満のLVEF;完全左脚ブロックまたは2束ブロック;先天性QT延長症候群;持続的または臨床的に有意な心室性不整脈または心房細動;スクリーニングECGで470ミリ秒以上のQTcF(3連の記録の平均);化合物Aを開始する前6カ月以内の不安定な狭心症または心筋梗塞;処置を必要とするかまたは無制御な高血圧を伴う(160/95 mm Hg以上の血圧)他の臨床上有意な心臓疾患、たとえば、うっ血性心不全。(12)妊娠または授乳期の女性。(13)公知のHIV感染。(14)公知の慢性活性B型もしくはC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)感染:HBVワクチン接種により血清陽性である対象は、適格となる。活性ウイルス感染を有さず、HBV再活性化に対する適切な予防法下にある対象は、適格となる。HCVに関してHCCの許容が、考慮され得る。(15)抗凝血薬(たとえば、ファルファリン、低分子量ヘパリン、第Xa因子阻害剤)の慢性的な治療的投薬による進行中の処置。カテーテル維持のための低用量の低分子量ヘパリンは、許容される。(16)動的な進行中の全身処置を必要とする並行する第2のがんの病歴。(17)臨床的に有意な認知障害の病歴または活動性認知障害を有する対象。(18)対象が、任意の有意な医学的状態(たとえば、活動性もしくは無制御な感染もしくは腎臓疾患)、検査での異常、または対象が研究に参加することを妨害する(もしくはコンプライアンスを脅かす)か、または研究に参加した場合に対象を許容できない危険な状態におくことになると予想される精神的疾病を有する。(19)臨床的に有意な認知障害の病歴または活動性認知障害を有する対象。(20)対象が、研究から得られたデータを解釈する能力を混同させる任意の状態を有する。
手順に関して、プロトコールに関する質問は、メディカルモニターまたは被指名者に送られるべきである。研究に登用されたそれぞれの対象に行われる手順を、表4に概説する。
Figure 0007171557000016
Figure 0007171557000017
Figure 0007171557000018
Figure 0007171557000019
Figure 0007171557000020
すべての研究来院は、以下または事象の表(表4を参照されたい)に別途示されない限り、±2日間の枠を有する。すべての検査血液サンプルは、別途示されない限り、投薬前に採取される(たとえば、PKサンプル)。研究の手順は、原資料および電子症例報告書(eCRF)に記録する。対象のスクリーニングが失敗した事象では、データベースの命令に従って、最小限の情報が、eCRFに文書化される。
安全性検査分析は、地域で行われ得る。スクリーニング検査値により、対象の適格性が示さなければならないが、必要に応じて、スクリーニング枠内で反復してもよい。ICDは、資格のある研究スタッフによって、スクリーニング来院時に、すべての対象に与えられる。ICDは、任意の他の研究手順の開始前に、対象が署名および日付を記入しなければならず、その完成物は、原資料およびeCRFに文書化される。すべてのスクリーニング試験および手順は、表4に示されるスケジュールに従って、化合物Aの初回投薬前28日以内に完了しなければならない。
スクリーニング時、告知に基づく同意を得た後に、以下のことを行う:包含基準および除外基準を、スクリーニング時に評価し、原資料およびeCRFに記録する;避妊に関するカウンセリング;病歴、腫瘍歴、および外科手術歴、ならびに人口統計データ(それぞれの対象の誕生日、性別、人種、および民族を含む)を、地域の規制に沿って、スクリーニング時に収集する。腫瘍歴には、一次診断ならびに日付、治療法、および応答の詳細な記録が含まれる;これまでおよび併用される医薬および手順の情報が収集される;応答技術システム(IRT)への登録;有害事象のモニタリング;測定した身長および体重;評価したバイタルサイン;身体検査(原資料のみ)およびECOGパフォーマンスステータス;3連での12誘導ECGを、化合物Aの初回投薬の72時間以上前に実施し、結果を、適格性基準を満たすように、投薬の前に中央検査施設から受け取る;左室駆出分画(LVEF)の評価;妊娠する可能性のあるすべての女性に対する妊娠検査。適切な避妊方法および胎児曝露の潜在的危険性は、スクリーニングの際に対象と話し合われると予想される。妊娠する可能性のある女性の二重避妊法(そのうち1つはバリア法でなければならない)(たとえば、経口、注射、もしくは埋込み型ホルモン避妊法;子宮内デバイス;殺***剤によるバリア避妊法;またはパートナーの精管切除)、ならびに男性の単一避妊法(コンドーム)を、ICDへの署名時点から、対象の研究中、化合物Aの最終投薬後28日間の間、使用しなければならない。これは、原資料に文書化され、臨床検査部の試験が、この時間フレーム内で完了される(表2を参照されたい);有効性/腫瘍の評価。
資格を有する医療従事者は、対象の避妊に関するカウンセリングに特化した要件についての訓練を受ける。訓練を終えると、これらの医療従事者は、対象が、避妊法の使用を含め、すべての要件を遵守すること、および対象が化合物Aと関連する危険性を理解することを確実にするように、化合物Aの投与の前に、対象のカウンセリングを行う。
処置期間の間、対象がICDに署名したときに開始され、研究の間、化合物Aの最終投薬の28日後までに服用または実施されるすべての併用医薬および手順は、原資料およびeCRFに記録される。
有害事象および重篤な有害事象(SAE)は、対象がICDに署名した時点から、化合物Aの最終投薬の28日後まで、記録される。AEを経験している対象は、治験担当医師の判断により、関連する臨床評価および検査試験を用いてモニタリングされる。進行中のAEの解消日を文書化するためのあらゆる試みが行われる。AEは、eCRFのAEのページおよび対象の原資料に記録される。可能であれば皮疹の写真を取得し、匿名にし、今後取り出すときのために適切に保管する。
対象の体重を、表4に列挙される来院時点で、原資料およびeCRFに記録する。バイタルサインには、体温、血圧、脈拍、および呼吸速度が含まれ、表4に記載されるように、スクリーニング時点および安全性モニタリングのために研究中の様々な時点で記録されると予想される。記録した測定値を、原資料およびeCRFに捕捉する。完全な身体検査および米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS、付録Dを参照されたい)が、表4に列挙される来院時点で行われると予想される。両方の結果を、原資料に記録する。ECOG PSの結果はまた、eCRFにも収集する。身体検査の所見を、正常または異常のいずれかとして分類する。異常である場合、異常性および臨床上の重要性に関する記述が、原資料に提供される。臨床的に有意なベースラインからの変化を、eCRFのAEの部分に記録する。3連の標準的12誘導心電図(ECG)を、表4に列挙される来院時点で記録する。12誘導ECG(25mm/秒の報告リズムでの12誘導、心拍数、PR間隔、QRS複合、QT間隔、およびQTc間隔)を、対象が、少なくとも5分間、背臥位になった後に行う。3連のECG(2±1分以内の間隔で3回の記録)を、(a)スクリーニング時点、(b)サイクル1、(c)1日目の投薬前(投薬前30分以内)および投薬後2時間(±10分間)の時点、(d)17日目の投薬前(投薬前30分以内)および投薬後2時間(±10分間)の時点、(e)サイクル2以降の1日目の投薬前(投薬前30分以内)に行う。
単一ECGを、処置終了時(EOT)の来院時点で行う。代替的な投薬スケジュールについては、サイクル1の17日目のECGは、サイクル1の化合物A投薬の最終日に行う。治験担当医師は、ECG結果の解釈に基づいて、即座の臨床決定を行い、ECGの全体的な評価を、eCRFに示す。臨床的に有意なベースラインからの変化は、eCRFのAEの部分に記録されると予想される。ECG出力はまた、決定的な分析および解釈のために、中央ECG検査部にアップロードされる。左室駆出分画(LVEF)(多重ゲート取得スキャン[MUGA]または心エコー図[ECHO])を、すべての対象において、スクリーニング時点で実施する。フォローアップ評価が、表4に示されるように必要である。フォローアップ評価は、スクリーニング評価で使用したものと同じ手順を使用すべきである。臨床的に有意な低減は、LVEFにおける20%以上の絶対的な低減または45%未満への低下のいずれかとして定義される。
妊娠する可能性のある女性(FCBP)は、(a)子宮摘出術または両側卵巣摘出術を受けておらず、(b)少なくとも連続24カ月間の間、自然閉経状態となっていない(がん療法後の無月経は、妊娠する可能性を排除するものではない)(たとえば、先行する連続24カ月間の任意の時点で月経があった)、性的に成熟した女性として定義される。
治験担当医師は、この定義に従って、女性対象をFCBPとして分類する。非FCBP対象については、妊娠検査は必要ではないが、正当な根拠を、eCRFおよび原資料に記録しなければならない。妊娠検査は、地域の検査所で実施される。
妊娠検査の結果を、原資料およびeCRFに記録する。FCBPについては、妊娠検査を、来院時点(表4も参照されたい)において実施する:(a)少なくとも25mIU/mLの感度の血清妊娠検査を、スクリーニング時点で取得し、血清または尿による妊娠検査(治験担当医師の裁量に基づく)を、研究処置のサイクル1の前日の72時間前以内に、取得する。対象は、治験担当医師が、2回のスクリーニング妊娠検査が陰性であることを確認するまでは、化合物Aを受容できない場合がある。(b)血清または尿による妊娠検査(治験担当医師の裁量および最低試験感度[25mIU/mL]に基づく)を、それぞれのサイクルの1日目の72時間前以内および処置終了の来院時点で行う。対象は、治験担当医師が、妊娠検査が陰性であることを確認するまでは、化合物Aを受容できない場合がある。(c)FCBPまたはパートナーがFCBPである男性対象は、化合物Aの最終投薬後3カ月間、妊娠をもたらし得る活動を避けなければならない。
以下の検査評価を、スクリーニング来院および研究中の表4に記載される時点で、行う。すべてのサンプルは、別途示されない限り、投薬前に採取される。検査評価は、原資料およびeCRFに記録され、以下のものである:(a)血液学:ヘモグロビン、ヘマトクリット、型別WBC絶対数(芽球数を含む)、および血小板計数を含む、全血球計数(CBC)。(b)血清化学:アルブミン、総タンパク質、重炭酸塩もしくはCO、マグネシウム、リン、カルシウム、クレアチニン、尿素/BUN、グルコース(4時間以上絶食)、カリウム、ナトリウム、塩化物、総ビリルビン(正常範囲外であれば分画する)、アルカリホスファターゼ、ASTもしくは血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)、ALTもしくは血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)、LDH、および尿酸;高血糖が医療機関の他のBETiのものに基づいて、有意である場合には、ベースラインヘモグロビンA1c。(c)特別な化学:アミラーゼ、リパーゼ、T細胞サブセット(CD4+およびCD8+)、甲状腺刺激ホルモン(TSH、遊離T4に異常反射がある場合)。(d)凝血:PT、INR、およびPTT、(e)尿分析:ディップスティック、血液またはタンパク質が陽性(1+以上)の場合は顕微鏡;2+以上のタンパク質の場合はクレアチニンクリアランスの24時間採取およびタンパク質定量、(e)包含基準を満たすために、スクリーニング時点でのクレアチニンクリアランスの判定が必要である。
任意の理由で処置が取り下げられた対象には、処置を恒久的に中止する決定がなされた後、可能な限り早期(28日以内)に、処置終了時の評定(手順については表4を参照されたい)を行う。すべての対象は、化合物Aの最終投薬後28日間、AE報告および併用医薬情報のために、追跡される。28日間(±2日間)の安全性フォローアップ連絡は、電話によるものであってもよい。加えて、その後の任意の時点で、治験担当医師に通知された化合物Aに関連する疑いのあるすべてのSAEが、報告される。安全性フォローアップ来院の後、すべての対象を、2年間、または死亡、追跡不能、もしくは試験の終了のうちいずれかが最初に起こるまで、生存性フォローアップについて、その後3カ月(±2週間)ごとに追跡する。新たな疾患治療法は、同じ時間スケジュールで収集すべきである。生存性フォローアップは、記録による審査(公的記録を含む)および/または電話による対象、家族、もしくは対象の処置医師との連絡によって行われてもよい。
有効性評価に関して、腫瘍評価が、スクリーニング時点で行われ、これには、胸部、腹部、および骨盤のCT、ならびに脳の関与が公知であるかまたは疑われる対象については脳のスキャン(CTまたはMRI)が含まれる。スクリーニング後に、放射線による腫瘍評価を、スクリーニング時に使用したものと同じCT/MRIスキャン手法を使用して、サイクル2、4、および6の終了時(28日目±7日目)に行い、その後は3サイクルごとに行う。処置終了時でのスキャンは、前回のスキャンが28日以内であった場合には取得する必要はない。加えて、NHL対象については、腫瘍がFDG集積陰性であることが公知でなければ、スクリーニングFDG PETまたはFDG PET/CTスキャンを行う。後続のスキャンを取得して、CRを確認する。骨髄の関与が公知であるかまたは疑われるNHL対象については、フロー免疫表現型分類による骨髄評定を、スクリーニング時点、2サイクルの後(サイクル2の終了時)に行って、完全応答(CR)を確認する。
疾患の進行、新たな抗がん療法の開始、または全研究からの同意の取り下げ以外の理由で処置を中止したすべての対象は、進行または新たな全身抗がん療法の開始まで、全研究が、指定される腫瘍評価スケジュールに従って追跡される。それぞれのスクリーニング後評価の時点で腫瘍応答が、固形腫瘍については付録Bに記載される固形腫瘍における応答評定基準(RECIST)v 1.1に基づき、NHLについては付録Cに記載される悪性リンパ腫の応答基準改訂版に基づいて、治験担当医師によって判定される。
PK評価について、以下に記載する。血漿における化合物AのPKの評定のために、血液サンプルを、表5に列挙される時点で、すべての対象から採取する。それぞれのサンプル採取の実際の時間を、原資料および電子症例報告書(eCRF)に記録する。ベースラインPKサンプルは、B部の1日目における採取を含み得る。
Figure 0007171557000021
CSFにおける化合物A濃度の探索的な分析を、シャントまたはリザーバが留置された原発性または転移性CNS病変部を有する対象、ならびに任意選択の採取に同意を提供した対象について、実施してもよい。CSF採取の推奨時間としては、曝露前のサンプル、次いで、17日目(または代替的な投薬スケジュールが実装される場合には、サイクル1の化合物Aの最終投薬日)の投薬の4時間(±1時間)後が含まれ得る。CSF採取の他の時間は、CSF採取の時間が、PK日であり、スケジュールされている投薬1~8時間後の血液PK採取時間のうちの1つと一致する限りは許容される(表4を参照されたい)。治験依頼者は、研究処置の安全性をフォローアップするため、または疾患の進行もしくは研究処置に対する疾患の応答をより良好に理解するために、PKサンプルに対してさらなる分析を実施してもよい。サンプルの採取、取扱い、および処理は、検査実施基準の標準的な指示書に従う。
バイオマーカー、薬力学、および薬理ゲノミクスに関して、治験依頼者から単一症例の免除が付与されない限り、適格な対象をIRTシステムにおいて登用した後に、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックもしくは封入切片としての保管腫瘍(15個のスライドを推奨)を、取り出す。薬理ゲノミクス血液サンプルについては、適格な対象をIRTシステムにおいて登用した後に、化合物Aの安全性、活性、または曝露の潜在的な薬理ゲノミクスマーカーの評価のために、全血サンプルを採取する。サンプルの採取、取扱い、および処理の指示書については、検査部マニュアルおよび付録Gを、参照されたい。
薬力学的バイオマーカーおよび予測バイオマーカーのスケジュールを提供する:(a)PDバイオマーカー研究のための全血:サイクル1の1日目の投薬前(3時間以内)、ならびに化合物A投薬の2、4、8時間後(それぞれ±15分間)および24時間後(±1時間)、(b)PDバイオマーカー研究のための腫瘍組織:スクリーニング時:7日前から前日(すべての包含および除外基準を満たした後);サイクル1の16日目または17日目:化合物A投薬の2時間後(±1時間)、ならびに任意選択で、処置終了の来院時点までの任意の他の時点。
治験依頼者は、研究処置の安全性をフォローアップするため、または疾患の進行もしくは研究処置に対する疾患の応答をより良好に理解するために、PDサンプルに対してさらなる分析を実施してもよい。
腫瘍生検は、B部では必須であり、A部では任意である(が、推奨される)。生検は、スクリーニング時点およびサイクル1の16日目または17日目に、腫瘍切除(好ましい)またはコア針(4回の継代が推奨される)のいずれかで採取される。微細針吸引は、腫瘍生検材料の源としては十分でない。サンプルを、新鮮凍結パラフィン包埋(FFPE)として処理され得る。任意選択で、腫瘍組織サンプルを、同じ腫瘍部位から得てもよい。化合物Aが、サイクル1の16日目または17日目の投薬を完了する前に中断されている場合、腫瘍生検は、少なくとも2回の連続した投薬が施された後まで、延期することが推奨される。加えて、任意選択の腫瘍生検が、A部およびB部の両方において、後期の処置サイクルまたは処置中止後に(28日間のフォローアップ期間中の任意の時点で)、それぞれ、長期処置の作用または耐性機序を解明するために、採取され得る。サンプルの採取、取扱い、および処理の指示書については、検査部マニュアルおよび付録Gを、参照されたい。
被験薬は、化合物Aであり、これは、464g/モルの分子量を有する。化合物Aの臨床試験薬は、製剤として提供される。化合物Aの臨床試験薬は、パッケージラベルに示されるように、保管すべきである。
化合物Aは、A部およびB部の両方において、1日1回、6時間以上継続する終夜絶食後の朝の空腹時(すなわち、朝食の1時間以上前)に、少なくとも240mLの水とともに投与される。対象は、それぞれの投薬後1時間以上の間、食物または他の医薬を控えるべきである。対象は、それぞれの4週間サイクルにおいて、週ごとに、3日間連続の化合物Aの投与を1日目に開始し、続いて、4日間連続で休薬する(3日間/7日間の投薬スケジュール)。代替的な投薬スケジュールが、SRCによる臨床上の安全性および検査部データの審査に基づいて、実装されてもよい。
PK評価を必要とする研究日には、化合物Aは、医療機関において、すべての投薬前評価を完了した後に、投与される。すべての他の研究日には、対象は、自宅において、割り当てられた用量を自身で投与し、研究日誌カードに投薬時間を記録する。
研究処置は、臨床的に有意な疾患進行の兆候、許容できない毒性、または対象/医師による取り下げの決定があった場合には、中止され得る。対象は、治験依頼者のメディカルモニターと相談の上、治験担当医師の裁量で、または疾患進行後も試験薬の受容を継続してもよい。
用量漸増決定の目的で、少なくとも3人の対象を、後続のコホートに登用する。第1のコホートは、開始用量15mgで処置する。対象は、用量漸増決定について評定可能であるとみなされるためには、最小限の安全性評定および薬物曝露で最低1サイクルの処置を完了しなければならないか、または第1の処置サイクル内でDLTを有していなければならない。用量漸増の決定は、対象コホートがこれらの基準を満たした場合に生じる。用量漸増の決定は、SRCによって行われる。決定は、評定可能な対象から得られた安全性の情報、DLT、サイクル1中の処置に関連するCTCAEグレード2以上のすべての毒性データ、およびPKデータを含む、進行中の研究において評定されるすべての用量レベルから得ることができるすべての関連データの合成に基づくと予想される。対象から得られたPKデータは、研究の間中、進行するごとに利用可能となり、必要に応じて投薬が適合されると予想される。次の対象コホートの推奨用量は、EWOC原理によるBLRMによって誘導されると予想される。
適応型ベイズ手法は、MTDを上回らない用量レベルの推定を提供し、この推定にすべての用量レベルにおけるすべてのDLT情報を組み込む。一般に、次の推奨用量は、DLT率が、標的区間(16%~33%)に入り、常にEWOC原理を満たす可能性が最も高い。すべての事例において、次のコホートの推奨用量は、前の用量の100%の増加を上回ることはない。より小幅な用量の増加が、利用可能な臨床データのすべてを考慮して、SRCによって推奨されると予想される。
それぞれの用量コホートにおける対象増加の手順および研究の用量漸増/漸減の決定の条件は、以下の通りである:(1)治療用量以下の用量で処置を受ける対象の数を限定するために、この研究は、それぞれの用量レベルで、少なくとも3人の評定可能な対象のコホートにおいて、化合物Aを評定することによって開始される。まず、コホート間での投薬量増量は、100%である。2人の対象(異なるコホートに含まれるものであってもよい)が、NCI CTCAEグレード2の処置関連毒性を経験するか、または単一の対象が、DLTもしくはグレード3以上の毒性を経験した場合、コホートのサイズを、現在のコホートおよび後続のコホートについて、少なくとも6人の評定可能な対象に増加させてもよい。化合物Aの用量の増加は、それぞれの後続の用量漸増コホートについて、50%以下である。(2)コホート内のすべての評定可能な対象について、サイクル1を完了した後、EWOC原理を用いた2パラメーターのBLRMを使用して、次の用量レベルの推奨をSRCに行うが、以下の例外がある:コホート内の最初の2人の対象がDLTを経験した場合、ベイズモデルがこの新しい情報で更新されるまで、そのコホートには追加の対象を登用しない。同様に、任意の追加の対象の登用前に、コホート内で2人の対象がDLTを経験した場合、モデルを再評定する。高用量レベルに漸増する決定がなされたが、前の用量レベルで処置した1人または複数人の追加の対象が、サイクル1においてDLTを経験した場合(以下の4を参照されたい)、任意の追加の対象を現在の(高)用量レベルに登用する前に、BLRMを更新する。ならびに(3)それぞれのコホートの後に、SRCが、BLRM評価ならびに利用可能な安全性(すなわち、DLTおよび非DLTデータ)、PK、PD、および有効性の情報から得られたデータを入手し、それを審査する。最終的な用量漸増の決定は、SRCによって行われると予想される。
上述のステップを反復した後、化合物Aの用量は、以下の条件を満たした後、MTDおよび/またはRP2Dと宣言することができる:少なくとも6人の評定可能な対象が、その用量で処置を受けており、その用量での標的とされる毒性の事後確率が、60%を上回り、漸増用量のうちの最も高いものであるか、もしくは最低21人の対象が、研究で処置を受けており、その用量が、BLRMに従って推奨され、SRCがそれを承認している。
化合物Aの安全性、耐容性、およびPKを、より良好に理解するために、SCRの裁量で、さらなる用量漸増に進める前またはその最中に、追加の対象コホートを、前の用量レベルまたは中間用量レベルに登用してもよい。
別個の対象コホートに割り当てられる暫定用量レベルを、本明細書に記載する。漸増の際の用量の決定は、しかしながら、これらの用量に限定されない。漸増の間のいずれの決定時点においても上回る可能性のない最高用量に関するBLRMの推奨およびプロトコールによって許容される用量の最大増加に基づいて、中間用量が、後続の新しい対象コホートに投与され得る。用量コホート内における追加の対象、高用量コホート、中間用量コホート、より少ない用量増量、代替的な投薬スケジュールを評定するか、またはMTDを宣言するかの決定もまた、臨床および検査部での安全性データの審査に基づいて、SRCによって判定される。
少なくとも1回の化合物Aの投薬を受けたすべての対象は、安全性について評定可能となる。用量漸増の間に、初回の用量を、任意のコホートに投与した後、それぞれのコホートの対象を、28日間(サイクル1、DLT枠)観察した後、次の用量コホートを開始することができる。1日につき1人を上回らない対象が、用量漸増コホートに登用されると予想される。DLTについて評定可能な対象は、サイクル1の間に、化合物Aの12回の投薬のうちの少なくとも10回(または計画された総用量強度のうちの80%以上)を受けており、DLTを経験していないもの、または少なくとも1回の化合物Aの投薬を受けた後に、DLTを経験したものとして定義される。
DLTについて評定不能な対象は、置き換える。任意の用量コホート内の追加の対象を、SRCの裁量で登用してもよい。対象内での用量漸増は、DLT評価期間中は許容されないと予想される。MTDは、最初の処置サイクル中に、DLTを経験する対象が33%以下となる最高用量として定義される。MTDの推定は、本明細書に記載されている。MTDを正確に判定するために、変動用量コホート(すなわち、低頻度での投薬)を、SRCの裁量で評定してもよい。
用量漸増の間のDLT評価期間は、サイクル1(28日間)である。国立がん研究所(NCI)の有害事象の共通用語基準(CTCAE)、バージョン4.03を、有害事象の重症度のグレード付けのための指導書として使用する。DLTは、事象が、化合物Aとは無関係であることが明確に判定されない限り、DLT評価内で生じる以下の毒性のうちのいずれかとして定義される。用量制限毒性とは、次のものである:(1)任意の持続期間の任意のグレード4の非血液毒性、(2)グレード3以上の任意の非血液毒性、ただし、次を除く:(a)3日間以内の持続期間グレード3の下痢、吐き気、または嘔吐(最適な医薬による管理を伴う)。(b)7日間以内の試験薬の中断でグレード2以下に解消され、同じ用量の試験薬を再開したときに同じレベルで再発しない、グレード3のざ瘡様、膿疱性、または斑丘疹性の発疹(最適な医薬による管理を伴う)。(c)7日間以内の試験薬の中断でグレード2以下に解消され、同じ用量の試験薬を再開したときに同じレベルで再発しない、グレード3の疲労(最適な医薬による管理を伴う)。(3)以下の血液毒性:発熱性好中球減少症;1日間以上続くグレード4の好中球減少症;7日間を上回って続くグレード4の血小板減少症、臨床的に有意な出血を伴うグレード3以上の血小板減少症。(4)薬物と無関係であることが明確に判定されている場合を除く、サイクル1中に用量レベルの低減が必要となる、任意のAE。さらに(5)可能性として、持続的なグレード3の高血糖(少なくとも24時間間隔で2回)、または症状のあるグレード3以上の空腹時高血糖。
関連する臨床兆候または症状がない独立した検査上の変化(たとえば、低マグネシウム血症、高マグネシウム血症、低アルブミン血症、低リン酸血症、リンパ球数の増加または減少)は、この定義には含まれない可能性がある。これらの所見は、SRCによって考察され、審査される。
次の対象コホートにおける用量漸増の基準は、以下のように評価する。コホートは、少なくとも3人の評定可能な対象からなる。SRCが、すべての最終的な用量漸増の決定を行う。用量漸増の決定基準は、以下である:(1)用量コホートにおいてDLT枠内でDLTを経験した評定可能な対象が3人中0人であるか、または6人中1人である場合、次の高用量コホートへの用量漸増が生じ得る。DLTが観察されたときに、評定可能な対象が6人未満である場合は、コホートを6人の評定可能な対象へと拡張するために、追加の対象が、登用される。(2)用量コホートにおいてDLT枠内でDLTを経験した評定可能な対象が、最大6人中2人以上である場合、さらなる動員はすべて中止され、この用量が、NTDとして定義される。(3)MTDを定義するために、低用量コホートの評定可能な対象を6人にするように追加の対象を登用するかどうか、または近似の用量コホートもしくは代替的なスケジュールを最大6人の新たに登用した対象で探るかどうかを、SRCが判定する。
コホートの数は、DLTの発生に依存する。対象は、1つを上回るDLTを経験し得る。用量漸増の決定は、DLT事象を経験する対象の数に基づく。
A部の間に、用量漸増を中止する規則について、本明細書に記載する。用量低減は、サイクル1を含め、任意のサイクルで許容される。用量漸増の間に、サイクル1で生じる用量低減は、概説されたように、DLTを構成することになるが、対象は、低減された用量で、化合物Aを継続することが許容される。用量低減が示された場合、次の低用量コホートが選択されるか、または低頻度の投薬スケジュールが選択される。2回の用量低減が、許容される。用量が低減された後、毒性がグレード1以下になれば、それを漸増させることができる。高くした用量で毒性が再発生する場合、この用量は再び低減されるが、その後にそれをもう一度漸増することは、許容されない。任意の対象が、2回の用量低減(1つは開始用量について)の後に、許容できない毒性を経験した場合、化合物Aは、恒久的に中止される。対象内での用量漸増は、DLT評価期間中は許容されない。
さらに用量低減に関して、DLTの定義を満たすいずれのAEも、投薬中断を要する。任意のグレード2以上の毒性が、次の投薬の時点までにグレード1以下に解消されない場合には、投薬を遅延させるべきである。グレード3以上の毒性または慢性的なグレード2の毒性により、化合物Aの用量低減が認められ得る。このような事例は、投薬の変更を行う前に、治験依頼者(メディカルモニターおよび研究医師)と相談すべきである。
さらに、A部(漸増フェーズ)における用量増加の基準に関して、対象に当初割り当てられた用量を上回っての対象内用量漸増は、サイクル1では許容されない。サイクル2以降も化合物Aの服用が継続されるものは、SRCによる承認の後、用量の増加を受けてもよいが、ただし、代替的な用量が、この研究において、少なくとも1つの対象コホートによって十分に耐容性があることが示されていることを条件とする(すなわち、過大用量の危険性が、BLRM評価に基づいて、25%未満である)。対象内用量漸増の事例において、また(任意選択で)対象が同意した場合には、血液を、A部のサイクル1の1日目のPKスケジュール後に、PK評価のために採取する。PKサンプル採取は、対象内での化合物AのPKを評定するために、高用量で少なくとも2回化合物Aを投薬した後に行う。B部(拡張フェーズ)では、MTDを上回っての用量漸増は、許容されない。
処置は、毒性(脱毛症を除く)が、グレード1以下またはベースラインレベルに達するまで、最大4週間中断される場合がある。処置は、治験担当医師の裁量で、または本明細書に記載されるように、同じ用量または低減された用量のいずれかで、再開され得る。いずれのこのような処置中断も、治験依頼者のメディカルモニターと相談しなければならない。
用量漸増フェーズのDLT評価期間において、DLT以外の理由により2回を上回って化合物Aが投薬されなかった処置中断により、対象は、DLTに関して評定不能となり、投薬コホート内でその対象を置き換えることが必要となる。いずれのこのような処置中断も、治験依頼者の研究モニターと相談しなければならない。
選択有害事象、たとえば、好中球減少症、血小板減少症、および貧血の管理に関して、造血成長因子または他の造血機能支持、たとえば、エリスロポエチン、ダルベポエチン、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、RBC輸血、または血小板輸血が、本研究において治療目的で許容される。G-CSFの治療的使用は、グレード3/4の好中球減少症または任意のグレードの発熱性好中球減少症を経験している対象については、いかなる場合でも許容される。顆粒球(または顆粒球-マクロファージ)成長因子の予防的使用は、サイクル1中は許容されない。グレード3または4の好中球減少症を有する対象は、グレード1以下に解消するまで、検査試験により頻繁にモニタリングすべきである。抗微生物性、抗真菌性、および抗ウイルス性の予防薬を、考慮すべきである。疼痛については、腫瘍痛または処置に誘導される疼痛は、オピオイドおよびオピオイド関連鎮痛薬、たとえば、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、またはモルホリンを臨床医の裁量で、また医療上の必要性により示されるように、投与することによって、制御することができる。出血、特に、血小板減少症の状況における出血の危険性を、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびアスピリンの使用の前に、考慮すべきである。
胃腸作用については、食道/胃粘膜の保護のための粘膜コーティング剤、ならびに胃腸出血について対象をモニタリングすることが、治験担当医師の裁量で推奨される。対象は、胃腸の不快感もしくは疼痛、食欲不振、または血便のすべての発症を報告することが奨励される。下痢を経験している対象は、図7に示されるガイドラインに従って管理することが推奨される。止瀉薬、たとえば、ロペラミドは、グレード1~2の下痢の発症早期時点で開始すべきである。止瀉薬は、予防法として、また下痢の処置のために、投与され得る。脱水症状および電解質異常は、早急に治すべきである。下痢を改善するための一般的な方法、たとえば、低繊維食、および液体摂取の増加を、考慮すべきである。
血中グルコースの変化は、化合物Aを用いた非臨床毒性学研究において観察されなかった。しかしながら、新たな被験薬であるBETi、OTX015の予備臨床データは、白血病ではない血液悪性腫瘍を有する37人の患者のうちの7人が、グレード1~2の高血糖を経験し、1人の患者が、グレード3の高血糖を経験したことを報告している。Thieblemont, 2014。化合物Aにより高血糖が観察され得るかどうかは未知であり、可能性のある高血糖の管理のための一般的なガイドラインは、付録Eに提供されている。
このプロトコールに関して定義される過大用量は、化合物Aの投薬のみを指す。投薬ごとの基準で、過大用量は、いずれの関連する有害事象にも後遺症にも関係なく、所与の対象に割り当てられた化合物Aのプロトコールにより指定される用量の次に多い量として定義される。経口ではプロトコールにより指定される用量を上回る任意の量として定義される。
スケジュールまたは頻度基準では、過大用量は、プロトコールにより必要とされるスケジュールまたは頻度よりも多い頻度すべてとして定義される。過大用量が偶発的なものであったか意図的なものであったかに関係なく、任意の過大用量を含め、薬物投与に関する完全なデータは、症例報告書で報告すべきである。
処置割当ての方法に関して、適格な対象が、A部(用量漸増)において、逐次的に登用されると予想される。B部(用量拡張)における登用は、適宜、疾患コホートおよび投薬スケジュールによって層別化されることになる。双方向応答技術(IRT)システムを使用して、A部における用量レベルおよびB部における腫瘍コホートへの対象の割当てが追跡されると予想される。
化合物Aのラベルには、治験依頼者の名称、住所、および電話番号、プロトコール番号、化合物A、剤形および長さ(該当する場合)、容器当たりの化合物Aの量、ロット番号、消費期限(該当する場合)、医薬識別番号/キット番号、投薬の説明書、保管条件、ならびに必要とされる注意事項および/または規制に関する記述が、適宜含まれる。追加の情報を、地域の規制に従って、適宜ラベルに含めてもよい。
治験担当医師および関連する施設の職員は、化合物Aの受容を文書化する手順、ならびに化合物Aを計数する手順、照合する手順、化合物Aを廃棄する手順、およびこれらのプロセスを文書化する手順、治験担当医師および関連する施設の職員による審査と同様に、施設または適切な被指名者の責任を含め、化合物Aの返却、廃棄、または破棄のためのプロセスについて、訓練を受けている。
薬剤師または治験担当医師の被指名者のみが、化合物A製剤を分配する。それぞれの対象に分配され、服用された化合物Aのカプセル/錠剤の数の記録を、保管しなければならない。薬剤師または治験担当医師の被指名者は、分配/投与された用量を、適切な研究記録に文書化すると予想される。対象は、日誌カードを使用して、自宅における日ごとの化合物Aの自身での投与を記録する。日誌カードを記入する人物は、文書化実施基準に従って、カードに署名/イニシャルおよび日付を記入する。これらは、対象が医療機関に来院するときに毎回、研究スタッフが審査する。適切な情報をeCRFに捕捉することができるように、エントリーは、必要に応じて、分類される。研究施設の職員は、化合物Aの投与のコンプライアンスチェックを行い、この情報を、対象の原資料および適切なeCRFに記録する。
対象がICDに署名した時点で服用を開始したすべての医薬品(評定下にある腫瘍の以前のがん療法を除く)、および研究中から処置中止28日後までのすべての併用療法は、用量、投薬頻度、および治療法使用の理由とともに、原資料および併用医薬のeCRFに文書化されると予想される。化学療法、生物製剤、免疫薬、放射線、および外科手術を含め、評定下にある腫瘍の以前のがん療法はすべて、専用の以前のがん処置に関するeCRFに文書化されると予想される。治験担当医師は、ICDに署名した後に服用した新しい医薬品すべてについて、研究スタッフに知らせるように対象を指導する。すべての医薬品および有意な非薬物療法(生薬、理学療法など)、ならびに既存の医薬品の投薬におけるなんらかの変化は、eCRFに文書化されると予想される。予防措置を前提として、対象の措置に必要であると考えられる任意の併用医薬/療法の使用が、使用されるべきである。薬物の吸収または代謝に影響を及ぼす疑いのある併用医薬に変更がなされる場合には、反復的なPK評定が、行われ得る。
許容される併用医薬および手順は、以下である:(1)グレード1以上の下痢を有する対象は、早急に、ジフェノキシラート(diphenyoxylate)/アトロピン(ロモティル)、もしくはロペラミド(イモジウム)、または代替的な処方箋不要の下痢薬での処置を開始すべきである。化合物Aを後から投薬するために止瀉薬を前投薬することが適切な場合があり、これは、メディカルモニターと相談すべきである。(2)制吐薬は、対象が、CTCAEグレード1以上の吐き気または嘔吐を経験するまでは、保留される。対象は、そのため、治験担当医師の裁量で、予防的制吐薬を受容してもよい。(3)対象は、治験担当医師の裁量で、予防的粘膜保護剤を受容してもよい。(4)顆粒球成長因子の治療的使用は、発熱性好中球減少症またはグレード3/4の好中球減少症を経験している対象については、いかなる場合でも許容される。顆粒球コロニー刺激因子または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子を用いた日常的な予防薬は、治験担当医師の裁量で、サイクル2以降に開始することが許容される。(5)化合物Aの開始前少なくとも4週間の間、組換えエリスロポエチンまたはダルベポエチンアルファの安定した投薬を受けている対象は、研究の間中、その前処置投薬を継続してもよい。対象は、これまでの化学療法への曝露後の二次的な増殖低下による貧血のために、サイクル2において、エリスロポエチン刺激剤(ESA)でのデノボ処置を開始してもよいが、ただし、臨床上、貧血の原因が他に存在する疑い(たとえば、化合物Aに誘導されるもの)がないことを条件とする。(6)非経口インフルエンザ予防接種は、許容される。(7)日常的な感染性疾患予防薬は、必要ない。抗生物質、抗ウイルス薬、抗ニューモシスチス薬、抗真菌薬、または他の予防薬が、治験担当医師の裁量で、研究中に実装され得る。(8)骨転移を予防するためまたはその進行を遅延するために、ビスホスホネート(たとえば、パミドロネート、ゾレドロネート(zolendronate))または他の薬剤(たとえば、デノスマブ)での処置が、許容される。研究中の安定な投薬レジメンの維持が推奨される。(9)がん関連の症状(たとえば、局所的な骨痛)の処置のための姑息的焦点放射線療法が、治験担当医師の裁量で、研究処置中に許容される。(10)対象は、副腎機能不全の維持療法として、生理学的補充用量のグルココルチコイド(最大10mgの1日プレドニゾン相当量)を受容してもよい。(11)ホルモン維持療法が、乳がんまたは前立腺がんの病歴を有する対象において許容される。
他の試験的治療法は、対象が研究に参加している間、使用してはならない。研究処置以外の抗がん療法(化学療法、生物製剤、または試験的治療、および外科手術)は、対象が研究に参加している間、対象に行ってはならない。このような処置が必要な場合には、対象は、研究を中止しなければならない。慢性的な抗凝血薬(たとえば、ファルファリン、低分子量ヘパリン、第Xa因子阻害剤)の治療的投薬による処置は、許容されない。抗凝血薬の短期間の予防的投薬は、医学的に支持された場合(たとえば、入院中の対象、術後)、対象において考慮される。
統計学的考察に関して、この研究の主要な目的は、進行固形腫瘍および再発型/不応性NHL型を有する成人対象に、3日間/7日間のスケジュールで経口投与した場合の、化合物Aの安全性、耐容性、およびMTDを判定すること、ならびにそのPK特徴を判定することである。二次的な目的は、化合物Aの抗腫瘍活性の予備的な評価を行うことである。データの要約/統計学的分析は、適宜、研究の部分(A部またはB部)、用量レベル(A部)、および腫瘍コホート(B部)ごとに行う。
研究集団の定義は、次の通りである:(1)登用集団-登用番号が割り当てられ、包含/除外基準を満たすすべての対象、(2)処置集団-登用され、化合物Aの少なくとも1回の投薬を受けるすべての対象。(3)有効性評定可能(EE)集団-研究に登用され、適格性基準を満たし、化合物Aの少なくとも1回のサイクル(割り当てられた用量の少なくとも80%の服用)を完了し、ベースラインとベースライン後の少なくとも1つの2つ以上の腫瘍評価を有するすべての対象。(4)薬物動態(PK)評定可能集団-登用され、化合物Aの少なくとも1回の投薬を受け、少なくとも1つの測定可能な濃度の化合物Aを有するすべての対象。ならびに(5)バイオマーカー評定可能(BE)集団-研究に登用され、試験薬の少なくとも1回の投薬を受け、少なくとも1回のバイオマーカー評価を有し、適格性のない評価を除外した、すべての対象。
研究のA部は、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)の原理により誘導される適応型ベイズロジスティク回帰(BLR)モデル(2パラメーター)である。サンプルサイズを決定するための正式な統計学的検出力の計算は、この研究では行わなかった。実際の対象数は、試験する用量レベル/コホートの数に依存すると予想される。想定される対象数は、およそ40人である。A部でMTDまたはRPTDを判定した後、B部では、事前に指定された腫瘍型ごとに、およそ14人から最大20人の追加の対象が登用されると予想される。
B部について、サンプルサイズは、検出力の計算に基づいて判定されるのではなく、この種類の探索的研究に従来的に使用される臨床的、経験的、および実践的な考察に基づいて判定される。腫瘍特異的コホートへの登用は、客観的な応答がないか、または腫瘍型内で最初の14人の対象のうち、少なくとも4カ月間(すなわち、ベースライン後の2つ以上の腫瘍評価時点において)疾患の安定が継続する対象が3人よりも少ない場合は、無益なため停止される。少なくとも1つの客観的応答、または登用された最初の14人の有効性評定可能対象のうち、4カ月以上疾患の安定が継続している3人の対象が、観察された場合、最大でさらに6人の対象が、合計20人の評定可能対象のコホートに登用される。応答率が20%である場合、最初の14人の対象で応答が観察されない確率は、4.4%と予想される。少なくとも4カ月間疾患の安定が継続される率が40%である場合、少なくとも4カ月間疾患の安定が継続する対象が3人よりも少なくなる確率は、4%と予想される。客観的応答よりも多くのSDが存在する場合には、ORRではなく疾患制御率が、評価され得る。
A部では、対象のベースライン特徴は、登用集団の用量コホートごとに要約されると予想される。B部では、対象のベースライン特徴は、腫瘍型ごとに要約される。年齢、体重、身長、ならびに他の連続的人口統計もしくはベースライン変数は、記述統計を使用して要約されると予想される。パフォーマンスステータス、性別、人種、および他のカテゴリー変数は、度数分布表を用いて要約されると予想される。病歴のデータは、器官別大分類および好ましい用語ごとに、度数表を使用して、要約される。
処置および研究からの対象の内訳(分析集団の割当て、進行中、中止を主要な理由と併せて)は、度数および割合を使用して、要約される。施設ごとの登用される対象の要約が、提供される。プロトコール違反は、度数分布表を使用して、要約される。補助的な対応する対象のリストもまた、提供される。
有効性分析は、処置集団に基づいて行われ、これには、疾患制御率(DCR)、客観的応答率(ORR)、応答または疾患の安定の持続期間、無増悪生存期間(PFS)、ならびに用量コホートおよび投薬スケジュールごと(A部)または腫瘍型および投薬スケジュールごと(B部)のOSが含まれる。腫瘍応答(CR、PR、SD、PD、または評定不能)は、固形腫瘍における応答評定基準(RECIST)、バージョン1.1およびIWGの基準に従って、治験担当医師が評価する。DCRは、最良応答が、CR、PR、またはSDである対象の割合として定義される。ORRは、最良応答が、CRまたはPRである対象の割合として定義される。SDが最良応答である場合、研究参加後、最低7週間(すなわち、1回目のベースライン後の応答評価時点から、評価枠を差し引いたものと同時)の間隔後に、少なくとも1回、放射線療法によって文書化しなければならない。SDの最良応答の最低時間に満たない場合、対象の最良応答は、後続の評価の結果に依存すると予想される。たとえば、初回の評価においてSDを呈し(初回の評価が、SDの最低持続期間の基準に満たない場合)、2回目の評価でPDを呈する対象は、PDの最良応答を有するとして分類されると予想される。初回のSD評価後に追跡不能となった対象は、SDの最低持続期間の基準に満たない場合、評定不能とみなされると予想される。
両側95%クロッパー-ピアソン正確信頼区間が、ORRおよびDCRの推定のために提供される。確認された応答を有する対象を含めるために、ならびに有効性評定可能集団について、同様の分析が行われると予想される。CRまたはPRの最良応答を有する対象については、応答の持続期間を、CR/PRの基準が最初に満たされた時点(いずれか最初に記録された方)から、疾患進行が客観的に文書化される最初の日まで、測定される。最良応答がSDである対象は、SDの持続期間を、初回投薬日から、進行の基準が満たされるまで、測定する。化合物Aを中止するまでに進行が文書化されない場合、全体的な応答の持続期間、およびSDの持続期間は、最終の適切な腫瘍評価の日で打ち切られると予想される。
治験担当医師の評価に基づく応答/SDの持続期間は、処置集団について、記述統計(平均、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)によって要約されると予想される。カプラン-マイヤー法を使用して観察値および打切り値の両方に基づいて計算される中央値を除き、すべての他の統計値(平均、標準偏差、最大値、および最大値)は、観察された値のみに基づいて計算される。
無増悪生存期間(PFS)は、化合物Aの初回投薬から、任意の原因による疾患の進行または死亡が最初に生じるまでの期間として定義される。データカットオフ日の時点で進行も死亡もしていない対象は、最終の適切な腫瘍評価の日付で打ち切られる。PFSは、処置集団について、記述統計(平均、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)を使用して、要約される。カプラン-マイヤー法を使用して、観察値および打切り値の両方に基づいて計算される中央値を除き、すべての他の統計値(平均、標準偏差、最大値、および最大値)は、観察された値のみに基づいて計算される。
全生存期間(OS)は、化合物Aの初回投薬から、任意の原因による死亡までの期間として測定され、PFSについて記載されたものと類似の様式で分析される。
処置により生じた有害事象(TEAE)を含む有害事象、検査評価、バイタルサイン、ECG結果、ECOGパフォーマンスステータス、LVEF評価、身体検査、バイタルサイン、研究処置への曝露、併用医薬の評価、および妊娠する可能性のある女性に対する妊娠検査は、処置集団について要約される(A部では用量コホートごと、およびB部では腫瘍型ごと)。
観察された有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)、バージョン17.1以降、器官別大分類(SOC)、および好ましい用語(PT)を使用して、分類される。対象ごとの分析では、同じAEを1回を上回って有する対象は、1回だけ計数する。すべての有害事象は、SOC、PT、およびNCI CTCAEのグレード(バージョン4.0以降)によって要約する。研究処置の中止をもたらす有害事象、グレード3または4の試験薬関連のAEとして分析されるもの、およびSAE(死亡を含む)を、別個に作表する。すべてのAE、TEAE、SAE(死亡を含む)、およびそれらの属性の対象ごとのリストを、提供する。
臨床検査結果を、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)、および来院ごとに記述的に要約し、これには、ベースラインからの変化の表示も含まれる。ベースラインから、ベーライン後の最悪の検査値への変化(低/正常/高)を示すシフト表は、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)ごとのクロス集計表で示されると予想される。ベースラインから、処置期間中、ベースライン後の最悪の重症度グレードへのNCI CTCAEグレードの変化を示す同様のシフト表は、該当する検体について、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)ごとに提示される。NCI CTCAE重症度グレードによる異常な臨床検査データのリスト(該当する場合)、異常なフラグ(低または高)、およびその臨床上の有意性を、提供する。
グラフによる表示(たとえば、「スパゲッティ」プロットまたは箱ひげ図)が、重要な検査検体について提供される。観察された値およびベースラインからの変化の両方のバイタルサインの記述統計は、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)および来院ごとに、要約されると予想される。ベースラインから、ベーライン後の最悪の検査値への変化を示すシフト表は、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)ごとのクロス集計表で示されると予想される。バイタルサインの測定値を、対象ごとおよび来院ごとに列挙する。ECGのパラメーターおよびベースラインからの変化を、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)および来院ごとに、記述統計を使用して要約する。ベースライン後の異常なQTc(QTcFおよびQTcBの両方)値は、以下の5つのカテゴリーについて、度数分布を使用して要約される:(1)450ミリ秒を上回るQTc、(2)480ミリ秒を上回るQTc、(3)500ミリ秒を上回るQTc、(4)30ミリ秒を上回るQTcのベースラインからの増加、(5)60ミリ秒を上回るQTcのベースラインからの増加。
ベースラインからベースライン後の最悪となるまでの異常性の定性的評価(すなわち、「正常」、「異常であるが、臨床的に有意ではない」、および「異常であり、臨床的に有意である」、または「正常」および「異常」)は、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)ごとにクロス集計で表示されると予想される。対象ごと、来院ごとのECGパラメーターの列挙が、提供されると予想される。
正式な中間分析は計画されていない。データは、進行するごとに審査する。
用量漸増の統計学的方法に関して、EWOC原理を用いた漸増により誘導される適応型BLRMを使用して、用量の推奨を行い、研究の漸増フェーズの間にMTDを推定する(付録Hを参照されたい)。研究の漸増部分におけるDLT関連性は、以下のベイズロジスティック回帰モデルによって記載され、
Figure 0007171557000022
ここで、それぞれのpは、それぞれの用量におけるDLT率であり、それぞれのdは、用量レベルであり、d=90mgは、基準用量であり、αは、dにおけるDLTのオッズである。事前分布の仕様に関して、(log(α),log(β))の事前分布:モデルパラメーターの曖昧な二変量正規事前分布(log(α),log(β))を、前臨床データからの事前分布の推測(中央値)およびそれぞれの用量におけるDLTの確率の広い信頼区間に基づいて誘起する。事前分布MTDは、前臨床データに基づいて、180mgであると想定される。初回用量のDLTの確率は、低いと想定される。モデルパラメーターの事前分布のパラメーターは、Neuenschwander et al. (2015)に記載される弱情報事前分布を構築するための方法に基づいて選択され、これは、表6に示される。図5は、表6に示される事前分布から導出されたDLT率の結果として得られた事前分布を示す。
Figure 0007171557000023
暫定用量レベルは、15mg、30mg、60mg、90mg、120mg、150mg、180mg、および200mgである。研究の過程で、発生する安全性情報に基づいて、一部の用量を飛ばすか、または追加の用量レベルを加えることが、可能である。それぞれの対象コホートの後に、異なる用量レベルにおけるDLT率の確率の事後分布を得る。この分析の結果を、それぞれの用量レベルにおいて、以下の区間のそれぞれに入る真のDLT率の推定確率に関して、要約する:[0,0.16]過小用量;[0.16,0.33]標的毒性;[0.33,1.00]過剰毒性。
EWOCを用いた漸増の原理に従って、それぞれの対象コホートの後、推奨用量は、EWOCを満たす用量のうち、標的区間(16%,33%)に入るDLT率の最も高い事後確率を有するもの、すなわち、その用量でのDLT率が過剰毒性区間に入る可能性が低いもの(25%未満の事後確率)となる。
標的毒性の事後確率を最大化する用量が、MTDの最良推定であるが、これは、データ量が不十分な場合、過大用量基準に従って許容される用量ではない可能性があることに留意されたい。曖昧な事前分布情報を、DLTの確率に使用する場合、研究の初期に、この漸増手順は、保守的な戦略を反映すると予想される。
適応型ベイズロジスティックモデルによって推奨される用量は、試験しようとする次の用量レベルを判定する際に、分析の時点で観察された毒性プロファイルの臨床評価とともに組み込まれる案内および情報として、認識され得る。
薬物動態の評価に関して、化合物Aの血漿PKパラメーター、たとえば、AUC24h、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F、およびVz/Fは、化合物Aの血漿濃度-時間プロファイルから、非コンパートメント分析法によって計算される。データが許容する場合、追加のPKパラメーターを計算してもよい。対象の数(N)、平均、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)、幾何平均、幾何CV%、中央値、最小値、および最大値を含む要約統計を、名目上の時間点、研究日、および用量コホートごとに、化合物Aの濃度について提供する。血漿濃度の平均プロットおよび個別プロットを、もともとのスケールおよび半対数スケールの両方で提示する。要約統計を、研究日および用量コホートごとに、化合物AのPKパラメーターについて提供し、表形式で提示する。化合物Aの用量、血漿曝露、および選択した臨床エンドポイント(たとえば、毒性、有効性、および/またはバイオマーカーの尺度)間の関係性を、探ってもよい。
薬理学の評価については、記述統計(数、平均、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)を、それぞれのバイオマーカーのベースライン、ベースライン後の値、およびベースラインからの変化またはベースラインからの変化パーセントについて、用量コホート(A部)または腫瘍型(B部)および来院ごとに、提供する。経時的な対象のバイオマーカー結果を、プロットする。処置の前および最中におけるバイオマーカーレベルの比較を、ウィルコクソンの符号順位検定によって行う。バイオマーカーアッセイから十分かつ有効な結果を得ることができる場合には、バイオマーカーレベルの変化パーセントと、ORRおよびDCRを含む臨床エンドポイントとの間の関係性を探る。
さらに有害事象に関して、特に、有害事象のモニタリング、記録、および報告に関して、AEは、研究過程中に対象において出現または悪化し得る、任意の有害な、意図されない、または不都合な医療上の事象である。これは、因果関係にかかわらず、新たな介入疾患、併発症の悪化、外傷、または検査試験値を含む対象の健康状態の任意の併発的な損傷であり得る。あらゆる悪化(すなわち、既存の状態の頻度または強度における任意の臨床的に有意な有害な変化)は、AEとみなすべきである。診断または症候群の個別の兆候または症状ではなく、診断または症候群を、CRFのAEのページに記録すべきである。被験薬に関する乱用、離脱、感受性、または毒性は、AEとして報告すべきである。過大用量は、偶発的であっても意図的であっても、AEと関係するかどうかにかかわらず、過大用量のCRFにおいて報告すべきである。被験薬の偶発的または意図的な過大用量の任意の後遺症は、AEとして、AEのCRFにおいて報告すべきである。過大用量による後遺症が、SAEである場合、後遺症は、SAE報告書およびAEのCRFにおいて報告しなければならない。SAEをもたらす過大用量は、SAE報告書およびCRFにおいて、事象の原因として特定すべきであるが、SAEそのものとして報告すべきではない。
過大用量の事象において、対象を、適宜モニタリングすべきであり、対象は、必要に応じて支持的措置を受けるべきである。化合物Aの過大用量について、具体的な解毒剤は知られていない。実際の処置は、臨床状況の重症度ならびに処置医師の判断および経験に依存すべきである。
すべての対象は、研究の間、AEについてモニタリングされる。評価には、以下のパラメーターのうちのいずれかまたはすべてのモニタリングが含まれ得る:対象の臨床症状、検査所見、病理所見、放射線所見、もしくは外科手術による初見、身体検査による初見、または他の試験および/もしくは手順から得られた所見。
すべてのAEは、対象が告知に基づく同意に署名した時点から、化合物Aの最終投薬の28日後まで、治験担当医師によって記録され、それ以降の任意の時点で治験担当医師に報告された化合物Aに関連する疑いのあるSAEも同様である。AEおよびSAEは、CRFのAEのページおよび対象の原資料に記録される。すべてのSAEは、治験担当医師がその事象を把握してから24時間以内に、SAE報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、ファクシミリまたは他の適切な方法によって、薬物安全対策部(Drug Safety)に報告しなければならない。
資格のある治験担当医師が、重篤性に関して、すべての有害事象を評定する。SAEは、以下のいずれかの用量で生じる任意のAEである:死亡をもたらす用量;生命を脅かす用量(すなわち、治験担当医師の意見として、対象が、AEにより死亡する当面の危険性にある);治療のための入院もしくは入院期間の延長を必要とする用量(入院は、滞在期間に関係なく、患者の入院として定義される);持続的もしくは重大な障害/機能障害(対象が通常の社会機能を行う能力の実質的な破壊)をもたらす用量;先天異常/先天的欠損である用量;または重要な医学的事象を構築する用量。
重要な医学的事象は、ただちに生命を脅かすか、または死亡、入院、もしくは機能障害をもたらす可能性はないが、対象を危険にさらす可能性があるか、または上記に列挙されている他の結果のうちのいずれかを予防するために、医療介入または外科的介入を必要とし得るような事象の発生として定義される。このようなAEを重篤であるとみなすべきであるかを決定する場合には、医学的および科学的判断を行うべきである。
SAEであるとはみなされない事象は、プロトコール治療薬の投与のための標準的な手順のための入院である。治療薬の投与による合併症のための入院または入院期間の延長は、SAEとして報告される;いずれの状態悪化とも関連しない、研究対象の適応症の日常的な処置もしくはモニタリング;研究対象の適応症の日常的な処置としての輸血もしくは血小板輸注の投与(このような輸注の合併症のための入院もしくは入院期間の延長は、報告対象のSAEのままである);プロトコール/疾患関連の検査(たとえば、外科手術、スキャン、内視鏡、検査試験のためのサンプル採取、骨髄サンプル採取)のための手順(このような手順の合併症のための入院もしくは入院期間の延長は、報告対象のSAEのままである);AEがない状態での技術的、実践上、もしくは社会的理由による入院もしくは入院期間の延長;計画されている(すなわち、研究中の処置の開始前に計画されている)手順は、原資料およびCRFに文書化しなければならない(合併症のための入院もしくは入院期間の延長は、報告対象のSAEのままである);研究対象の適応症とは無関係の、ベースラインから悪化していない、既存の状態のための選択的な処置もしくは選択的な手順;または入院をもたらさない緊急外来処置もしくは観察、ただし、上述の他の重篤性基準を満たす場合を除く。
AEが、重篤であるとみなされる場合、CRFのAEのページ/画面およびSAE報告書の両方を、記入しなければならない。それぞれのSAEについて、治験担当医師は、重症度、開始日および終了日、IPとの関係性、IPに関してとった措置、ならびに結果に関する情報を提供すると予想される。
AEおよびSAEの両方について、治験担当医師は、事象の重症度/強度を評価しなければならない。AEの重症度/強度は、CTEP cancerのウェブサイトにおいてprotocol Development下で入手可能な有害事象共通用語基準(CTCAE、バージョン4.03)の現在有効なマイナーバージョンに従って、対象の症状に基づいてグレード付けされる。
CTCAEにおいて定義されていないAEは、以下のスケールに従って、重症度/強度を評定すべきである:グレード1=軽度-一過的または軽度の不快感;活動の制限なし;医療介入/治療法を必要としない;グレード2=中等度-活動における軽度から中等度の制限があり、なんらかの補助が必要であり得る;医療介入/治療法を必要としないか、または最小限に必要とする;グレード3=重度-活動の著しい制限があり、通常、なんらかの補助が必要である;医療介入/治療法が必要であり、入院もあり得る;グレード4=生命を脅かす程度-活動の極度の制限があり、著しい補助が必要である;重大な医療介入/治療法が必要であり、入院またはホスピスケアの可能性高い;ならびにグレード5=死亡-死亡をもたらす事象。
「重度」という用語は、特定の事象の強度を説明するために使用されることが多いが(軽度、中等度、または重度の心筋梗塞のように)、しかしながら、事象自体の医学的意義は比較的小さい場合もある(たとえば、重度の頭痛)。この基準は、対象の生命または機能を危険にさらす事象と関連する対象/事象の結果または措置基準に基づく「重篤」と同じではない。重症度ではなく、重篤性が、規制義務を定義するための指針としの機能を果たす。
因果関係について、評価する。治験担当医師は、化合物Aの投与と、AE/SAEの発生との間の関係性を、以下に定義されるように、疑いなしまたは疑いありとして、判定しなければならない。
疑いなし:有害事象と化合物Aの投与との因果関係の可能性が低いかもしくはその関係が遠い、または他の医薬品、治療介入、もしくは根底にある状態により、観察された事象が十分に説明される。
疑いあり:化合物Aの投与が有害事象を引き起こしたという合理的な可能性が存在する。「合理的な可能性」とは、IPと有害事象との間の因果関係を示唆する証拠が存在することを意味する。
因果関係は、現在利用可能な情報に基づいて、すべてのAE/SAEについて評価し、提供すべきである。因果関係は、さらなる情報が利用可能となったときに、再度評価され、提供される。事象が、対照薬、治験依頼者によって製造または提供されたものではない補助的または追加の化合物Aと関連している疑いがあると評価された場合、事象を報告する際には、製造業者名を提供すること。
持続期間に関して、AEおよびSAEの両方について、治験担当医師は、事象の開始日および終了日の記録を提供する。治験担当医師は、適宜、AEまたはSAEの結果としてIPにより取られた措置(たとえば、適宜、IPの中止、中断、または用量低減)を報告し、事象に同時および/または追加の処置が行われたかどうかを報告する。治験担当医師は、AEおよびSAEの両方について、事象の予後を報告する。対象の研究参加を中止しても解消されていないすべてのSAEは、回復するまで(ベースラインに戻るまで)、後遺症を伴って回復するまで、または死亡まで(SAEに起因して)、追跡しなければならない。
検査異常値に関して、検査異常値は、異常度が、(a)研究の中止をもたらす場合、(b)処置、化合物Aの投薬の修正/中断、もしくは任意の他の治療介入を必要とする場合、または(c)重大な臨床的重要性のあるもの、たとえば、新たな疾患プロセスおよび/もしくは器官毒性を示すもの、または既存の状態の増悪もしくは悪化であると判断された場合には、AEであるとみなす。
重症度グレードに関係なく、重篤性基準を満たす検査異常値のみが、重篤な有害事象として文書化することを必要とする。検査異常値が、診断または症候群の1つの要素である場合、診断または症候群のみを、CRFのAEのページ/画面に記録すべきである。異常値が、診断または症候群の一部ではなかった場合、検査異常値は、AEとして記録すべきである。可能であれば、検査異常値は、単純に異常検査値結果として記録するのではなく、医学用語として記録すべきである(たとえば、血小板減少ではなく、血小板減少症と記録する)。
妊娠する可能性のある女性対象または男性対象の妊娠する可能性のあるパートナーのいずれかにおいて発生したすべての妊娠または妊娠の疑いは、即時報告対象の事象である。あらゆる妊娠した女性(たとえば、介護者、薬剤師、研究コーディネーター、またはモニター)の化合物Aへの曝露もまた、即時報告対象の事象である。対象が化合物Aを受けている間または対象の化合物Aの最終投薬後3カ月以内(未定)に発生した妊娠または妊娠の疑い(疾患状態にかかわらず、妊娠する可能性のある女性対象におけるβ-hCGの上昇または妊娠検査での陽性を含む)は、即時報告対象の事象とみなされる。被験薬は、即座に中止すべきである。妊娠、妊娠の疑い、または妊娠検査での陽性は、妊娠初回報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、電子メール、電話、もしくはファクシミリ、または他の適切な方法によって、即座に治験依頼者の薬物安全対策部に報告しなければならない。
その女性対象を、さらなる評定およびカウンセリングのために、産婦人科医、好ましくは、生殖毒性における経験が豊富な医師に紹介すべきである。治験担当医師は、妊娠が終わるまで女性対象を追跡し、妊娠フォローアップ報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、妊娠の結果(正常または異常のいずれかの結果)について、治験依頼者の薬物安全対策部に即座に通知しなければならない。妊娠の結果が異常(たとえば、自然流産)であった場合、治験担当医師は、異常な結果をAEとして報告する。異常な結果が、重篤性基準のいずれかを満たす場合は、治験担当医師がその事象を把握してから24時間以内に、SAE報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、ファクシミリまたは他の適切な方法によって、SAEとして、治験依頼者の薬物安全対策部に報告しなければならない。出生から28日以内に生じたすべての新生児死亡は、因果関係にかかわらず、SAEとして報告される。加えて、治験担当医師により子宮内での化合物Aへの曝露と関連することが疑われる28日以降のすべての乳児死亡もまた、治験担当医師がその事象を把握してから24時間以内に、SAE報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、ファクシミリまたは他の適切な方法によって、治験依頼者の薬物安全対策部に報告すべきである。
男性対象については、化合物Aを服用している男性対象の女性パートナーが妊娠した場合、化合物Aを服用している男性対象は、治験担当医師に通知すべきであり、妊娠した女性パートナーには、即座に医療提供者に知らせるよう助言すべきである。該当する場合、その男性対象において、化合物Aを中止する必要がある場合があるが、治験担当医師およびメディカルモニターの裁量で、後で再開してもよい。
SAEの任意の基準を満たすすべてのAEは、CRFのAEのページ/画面に記録することに加えて、SAE報告書の記入も必要である。すべてのSAEは、治験担当医師がその事象を把握してから24時間以内に、SAE報告書または承認されている同等の文書形式を使用して、ファクシミリまたは他の適切な方法によって(たとえば、電子メールによって)、治験依頼者の薬物安全対策部に報告される。この指示は、初回SAE報告、ならびに任意のフォローアップ報告に関する。治験担当医師は、これらの文書形式におけるデータが、正確であり、整合性があることを確実にすることが要求される。この要件は、研究中(対象が告知に基づく同意に署名した時点から、化合物Aの最終投薬の28日後まで)に発生したすべてのSAE、またはそれ以降の任意の時点で治験担当医師に報告された化合物Aに関連する疑いのあるすべてのSAEに適用される(化合物Aとの関係性にかかわらず)。処置の前(ICDに署名した後)に発生した重篤な有害事象は、捕捉される。SAE報告書は、SAEの詳細な説明を提供し、病院の記録および他の関連する文書の簡潔な要約が含まれる。対象が死亡し、剖検が行われた場合は、剖検報告書および死亡証明書のコピーを、入手可能となり次第、治験依頼者の薬物安全対策部に送る。すべてのフォローアップデータを、後続のSAE報告書または承認されている同等の文書形式で詳細に記載し、治験依頼者の薬物安全対策部に送るべきである。地域の法規によって必要とされる場合、治験担当医師は、SAEに関する情報を治験審査委員会/倫理委員会(IRB/EC)に伝え、その事象に関して、すべての関連する初回およびフォローアップの情報を提供する責任がある。治験担当医師は、治験依頼者およびIRB/ECとの連絡を含め、すべてのSAE情報のコピーをファイルに保管しなければならない。
SAEに関する問い合わせは、薬物安全対策部から、ファクシミリまたは電子メールを通じて施設に連絡される。対応時間は、5営業日を上回らないことが予測される。緊急の問い合わせ(たとえば、因果関係の評価が漏れている)は、電話で対応してもよい。
規制上の報告の目的で、薬物安全対策部は、治験薬概要書(Investigator Brochure)に基づいて、化合物Aに関連する疑いのある事象の予測可能性を判定する。米国では、すべての予測できない重篤な有害反応の疑い(SUSAR)が、21 CFR 312.32に従って、迅速な方法で報告される。欧州経済地域(EEA)内の国については、認定代理人が、迅速な方法で、臨床試験指令2001/20/ECおよびヒトに使用するための被験薬における臨床試験から生じた有害反応報告の収集、検証、および提示に関する詳細な指針(ENTR/CT3)、さらには国独自の要件に従って、規制当局および倫理委員会に、懸念される予測できない重篤な有害反応の疑い(SUSAR)に関して報告する。有害事象、たとえば、疾患の進行、疾患の進行に関連する死亡(化合物Aに関連する重篤な事象の不在下における)、および研究対象の適応症の再発に起因する重篤な事象は、治験依頼者による規制当局への迅速な報告の対象とはならない。
認定代理人は、以下の情報を治験担当医師に通知することになっている:(1)この研究または他の研究における化合物Aの使用に関連する疑いのある任意のAE、重篤なものおよび予想外のものの両方(たとえば、SUSAR)、(2)変異原性、催奇性、または発癌性の報告を含む、ヒト対象に対する有意な危険性を示唆する、検査動物における試験により得られた任意の所見。
地域の法規によって必要とされる場合、治験担当医師は、これらの新たな重篤かつ予測できないAE、または対象に対する有意な危険性に関して、IRB/ECに迅速に通知することになっている。治験担当医師は、化合物Aの試験薬供給業者、責任者、およびIRB/ECとの連絡を含め、すべての関連する安全性情報のコピーをファイルに保管しなければならない。
以下の事象は、対象の研究処置を中止するのに十分な理由とみなされる:有害事象;対象による取り下げ;有効性の欠如;医師の判断;プロトコールの違反;疾患の進行;死亡;フォローアップできなくなった;その他(CRFで指定される)。
処置の中止の理由は、CRFおよび原資料に記録すべきである。対象の処置の中止の決定には、処置する医師の責任が残り、治験依頼者によって遅延または拒否されることはない。対象の中止を行う前には、しかしながら、治験担当医師は、メディカルモニターと連絡を取り、審査および考察のために適切な根拠となる文書を送ってもよい。
以下の事象は、対象の研究処置を中止するのに十分な理由とみなされる:スクリーニングの失敗;有害事象;対象による取り下げ;有効性の欠如;医師の判断;プロトコールの違反;疾患の進行;死亡;フォローアップできなくなった;その他(CRFで指定される)。研究中止の理由は、CRFおよび原資料に記録すべきである。
これは、非盲検の研究であり、したがって、化合物Aは、パッケージのラベルで特定される。
研究に登用される対象には、研究名および緊急連絡先が示された識別カードが発行される。これは、対象の研究への参加に関して、医療従事者が緊急時の情報を必要とする場合に使用され得る。
この研究の実施、評定、および文書化に関して、この研究のプロトコールで提示される手順は、治験依頼者、その認定代理人、および治験担当医師が、国際調和会議(ICH)のガイドラインE6に記載される臨床試験実施基準(GCP)を遵守し、ヘルシンキ宣言に概説される一般的な倫理原則に従うことを確実にするように設計されている。研究は、開始前にIRB/ECから承認を受けると予想される。治験担当医師は、研究のすべての態様を、関連する規制当局の該当する国、州、および地域の法規に従って実施する。
治験担当医師の責任は、ICHの臨床試験実施基準のガイドラインおよび地域の規制に提示されている。スタッフまたは認定代理人が、すべての治験担当医師を評定および承認し、治験担当医師が、スタッフを選択する。治験担当医師は、研究を補助するすべての人員に、プロトコール、修正、研究処置、ならびに治験依頼者情報の守秘義務を含め、研究に関連する責務および機能についての情報を、適切に伝えることを確実にすべきである。治験担当医師は、重大な研究関連の責務を任せられた治験補助医師および他の適切に適性が確認された人員のリストを保持すべきである。治験担当医師は、告知に基づく同意書(ICF)に署名し、研究参加のためのスクリーニングを受けるすべての対象の記録を保管する責任がある。スクリーニングで不合格となった対象は、対象の原資料に理由を記録しなければならない。治験担当医師または治験担当医師のスタッフのうちの指定されたメンバーは、モニタリング来院中、データを審査し、問い合わせに回答し、対象の記録(たとえば、医療記録、事務所のカルテ、病院のカルテ、および研究関連のカルテ)に直接的にアクセスするのを可能にするために、手が空いていなければならない。治験担当医師は、CRFおよび問い合わせの適時かつ正確な記入を確実に行わなければならない。
治験担当医師は、対象および/または対象の法的代理人の告知に基づく同意を、すべての研究関連の手順の前に、入手する。告知に基づく同意が、研究対象が研究に参加する前に発生したこと、および告知に基づく同意のプロセスの文書化は、日付を含め、研究対象の原資料に記録すべきである。研究対象が研究に参加する前に、研究対象および研究対象に同意する人物によって署名され日付が記入されたICF原本は、治験担当医師の研究ファイルに保管し、コピーを研究対象に渡さなければならない。加えて、プロトコールが修正され、それが告知に基づく同意の内容に影響を及ぼす場合、ICFは、改訂しなければならない。修正されたプロトコールが実装されるときに研究に参加している研究対象は、ICFの改訂版に再度同意しなければならない。改訂版のICFには、研究対象が署名し、日付を記入し、これを、治験担当医師の研究ファイルに保管し、コピーを研究対象に渡さなければならない。
研究プロトコールに対するいずれの修正も、臨床研究医師/メディカルモニターによる承認を得なければならない。修正は、文書による承認のために、IRB/ECに提出される。文書による承認は、修正バージョンの実装が発生する前に、取得しなければならない。IRB/ECからの署名済みの文書による承認には、該当する治験担当医師名、プロトコール番号、研究名、および修正番号が具体的に記載されるべきである。管理上の性質の修正は、IRB/IECの承認を必要としないが、情報目的で、IRB/IECに提出される。
研究の開始前に、承認が求められる研究プロトコール、ICF、および任意の他の適切な文書が、表紙または提出される文書、発行日、および施設(または適宜、管轄の領域もしくは地域)を列挙した文書とともに、IRB/ECに提出される。該当する場合、文書は、地域の法的要件に従って、当局にも提出される。IPは、研究を開始するためのすべての倫理的および法的要件の文書化が、治験依頼者またはその認定代理人によって受容された後にならないと、治験依頼者またはその認定代理人によって治験担当医師に提供されない。この文書化はまた、IRB/ECのメンバーならびにその職業および適格性のリストも含まなければならない。IRB/ECは、委員会メンバーの氏名、職業、および資格を開示しない場合、委員会の組織編成が、GCPに従っていることを確認する陳述書を発行するように依頼されることになる。たとえば、IRB一般保証番号は、このリストの代替として許容される。IRB/ECによる正式な承認には、プロトコール名、番号、修正番号(該当する場合)、研究施設(または適宜管轄の領域もしくは地域)、ならびに審査される任意の他の文書が記載されるべきである。決定が行われた日付を記載しなければならず、委員会メンバーによって正式に署名が行われなければならない。第1の対象を研究に登用する前に、すべての倫理的および法的な要件を満たさなければならない。IRB/EC、および該当する場合は当局には、地域の法的要件に従って、すべての後続のプロトコール修正についての情報を伝えなければならない。修正案は、正式な承認を得なければならないかどうか、ICFも改訂すべきであるかどうかを決定するために、評定しなければならない。治験担当医師は、IRB/ECとのすべての通信記録、ならびに該当する場合は、治験調整者およびIRB/ECとの間の通信記録を保管しなければならない。この項目は、治験担当医師(または該当する場合は治験調整者)と規制当局との間のすべての通信にも適用される。
法規またはIRB/ECにより必要とされる場合、治験担当医師は、可能な限り迅速に、重篤または予測できない有害事象についての情報;研究の進捗に関する周期的な報告;プロトコールからの逸脱もしくは対象に追加の危険性を与える可能性のあるものを、IRB/ECに提出しなければならない。
治験依頼者は、合理的な医学的または管理上の理由のために、この研究をいつでも早期に終了する権利を保持する。いずれの早期終了も、地域の要件(たとえば、IRB/EC、規制当局など)に従って、適切に文書化される。加えて、治験担当医師または治験依頼者は、登用数の不足;GCP不遵守;不正確もしくは不完全なデータ収集;記録の改ざん;または研究プロトコールに忠実に従うことができないなど、医学的または管理的な理由で、研究中いつでも単一の施設を中止する権利を有する。
データの取扱いおよび記録に関して、治験担当医師は、研究の実施および被験薬の分配に関する記録および文書が、完成しており、正確であり、提出され、保管されることを確実にしなければならない。原資料の例としては、病院の記録;医療機関および事務所のカルテ;検査ノート;メモ;対象の日記または評定チェックリスト;配布記録;自動化機器の記録データ;正確なコピーであることが検証によって保証されたコピーまたは転写物;マイクロフィッシュ;x線フィルムおよび報告書;ならびに薬局および検査室に保管されている記録、ならびにCRFまたはCD-ROMのコピーが挙げられる。
データは、CRFを通じて収集され、治験依頼者のSOPに従って臨床データベースに入力される。このデータは、臨床チームによって指定されたプログラムされた編集チェックの使用を通じて、電子的に検証される。データの不一致は、必要であれば、臨床チーム、および治験実施施設の職員に注意喚起される。これらの問題に対する解決策は、データベースに反映される。システム内の監査証跡により、データに対して行われたすべての変更が追跡される。
必須文書は、臨床試験同意書に概説される期間に従って、治験担当医師が保管しなければならない。治験担当医師は、これらの文書を、上述の期間または地域の法律もしくは要件のいずれか長い方の期間、保管しなければならない。必須文書としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:すべての対象の署名済みのICF;対象の識別コードリスト、スクリーニング記録(該当する場合)、および登用の記録;治験担当医師とIRB/ECとの間のすべての通信の記録;IRB/ECの組織編成;治験担当医師、治験依頼者、およびそれらの認定代理人の間のすべての通信の記録;治験補助医師および治験担当医師が重大な研究関連の実務を任せる他の適切な資格を有する人物のリスト、それらの研究における役割、履歴書、および署名;すべての対象のCRF(書面の場合)および修正の文書のコピー;化合物Aの管理記録;保管されているすべての体液および組織サンプルの記録;すべての他の原資料(対象の記録、病院の記録、検査室の記録など);ICHのGCPに関する連結ガイドライン(臨床試験の実施のための必須文書)の8節に列挙されているすべての他の文書。
治験担当医師は、必須文書を誰かに預けるか、取り出して別の場所に移すことを希望する場合、または指定された期間保持することができなくなった場合には、治験依頼者に通知しなければならない。治験担当医師は、任意の記録の破棄の前に、治験依頼者から書面で承認を得なければならない。治験担当医師が、この義務を果たすことができない場合、治験担当医師は、治験依頼者に、代替的な方法を行うための許可を求めなければならない。これらの方法の詳細は、文書化すべきである。すべての研究文書は、関連する保健当局によって要求された場合に提供できる状態であるべきである。治験担当医師また機関は、これらの文書が偶発的または早期に破棄されるのを予防する措置をとるべきである。
研究のすべての態様は、現在のGCPおよびSOPに関して該当する政府の規制に従うことについて、治験依頼者またはその認定代理人によって注意深くモニタリングされる。治験依頼者は、研究の前、最中、および後に、適切なモニタリング手順が確実に実行されるようにする。研究のすべての態様は、治験担当医師およびスタッフが、研究開始の来院および/または治験担当医師会議のときに、審査する。対象を研究に登用する前に、代理人が、プロトコール、CRF、告知に基づく同意を得るための手順、記録の保管、および治験担当医師へのAE/SAEの報告を審査する。モニタリングには、治験担当医師およびそのスタッフとの施設訪問、ならびに郵便、電子メール、ファックス、または電話による任意の適切な連絡が含まれる。モニタリング訪問の際、施設、被験薬の保管場所、CRF、対象の原資料、およびすべての他の研究文書は、研究モニタリング計画に従って、治験依頼者の代理人によって検査または/審査される。
正確性は、CRFに行われた入力と、適切な原資料との直接的な比較である原データ検証を行うことによって確認される。結果の不一致はすべて、治験担当医師および/またはそのスタッフにより審査される。任意の必要な修正は、CRFに直接行うか、または治験担当医師および/もしくはそのスタッフによる問い合わせを通じて行われる。モニタリング手順は、告知に基づく同意、包含/除外基準の遵守、およびSAEとその適切な記録の文書化を、検証する。
追加のモニタリング動作は、研究特異的なモニタリング計画において概説され得る。
日常的なモニタリング手順に加えて、臨床試験実施基準の品質保証ユニットが、治験依頼者内に存在する。このユニットの代表は、臨床試験実施基準のガイドラインおよび規制への遵守を評定するために、治験依頼者のSOPに従って、臨床研究活動を監査する。
治験担当医師は、研究が行われる施設、原資料、CRF、ならびにIRB/EC、規制当局(たとえば、FDA、EMA、Health Canada)、および企業の認定代理人による監査および検査のための研究対象の参加に関する該当する支持記録への直接的なアクセスが必要である。治験担当医師は、監査または検査のために予定をあけるようあらゆる努力をすべきである。治験担当医師が、検査に関して任意の規制当局により連絡を受けた場合は、即座に治験依頼者に連絡すべきである。
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付録B:RECISTバージョン1.1
以下の情報は、Eisenhauer, 2009, New Response Evaluation Criteria in Solid Tumors: Revised RECIST Guideline (Version 1.1)から抽出/要約したものである。さらなる情報については、主文献を参照されたい。
定義
スクリーニング時に、腫瘍病変部/リンパ節を、測定可能または測定不能として分類する。
測定可能な疾患
腫瘍病変部。少なくとも1つの方向で正確に測定しなければならず(測定平面の長い方の径を、記録する)、最小サイズは、(1)CTスキャンで10mm(CTスキャン切片の厚さは、5mmを上回らない)、(2)臨床検査によるキャリパー測定で10mm(キャリパーで正確に測定することができない病変部は、測定不能として記録すべきである)、および(3)胸部X線撮影で20mmである。
悪性リンパ節
病理的に腫大であり、測定可能であるとみなすためには、リンパ節は、CTスキャンによって評価したときに、短い方の軸が15mm以上でなければならない(CTスキャン切片の厚さは、5mmを上回らないことが推奨される)。ベースラインおよびフォローアップ時には、短い方の軸のみを測定し、追跡する。
測定不能な疾患
小さな病変部(長い方の径が10mm未満であるか、病的リンパ節の短い方の軸が10mm以上15mm未満である)を含む、すべての他の病変部、ならびに実際に測定不能な病変部。実際に測定不能とみなされる病変部としては、軟膜疾患、腹水、肋膜、もしくは心膜液の貯留、炎症性***疾患、皮膚もしくは肺のリンパ管性併発症、再生可能な撮影技法によって測定することができない身体検査によって特定される腹部腫瘤/腹部臓器肥大が挙げられる。
腫瘍応答の評定
標的病変部:1つを上回る測定可能な腫瘍病変が、ベースラインの時点で存在している場合、すべての関係する器官を代表するすべての病変部を、最大で合計5つの病変部(および器官につき最大で2つの病変部)で、標的病変部として特定すべきであり、ベースラインの時点で記録し、測定する。標的病変部は、そのサイズに基づいて選択され(最も長い径を有する病変部)、すべての関係する器官を代表すべきであるが、さらに、再生可能な反復測定に適したものであるべきである。病的リンパ節は、CTスキャンで短い方の軸が15mm以上であるという測定可能基準を満たさなければならず、これらのリンパ節の短い方の軸のみが、ベースラインの合計に寄与する。すべての他の病的リンパ節(短い方の軸が10mm以上であるが、15mm未満であるもの)は、非標的病変部とみなすべきである。短い方の軸が10mm未満であるリンパ節は、非病理であり、記録も追跡も行わないものとする。ベースラインにおいて、標的病変部の合計(腫瘍病変部の長い方の径に、リンパ節の短い方の軸を加えたもの:全体として最大で5個)を、記録する。
ベースラインの後は、それぞれの評価で特定されたすべての標的病変部の値を、非常に小さい場合でもeCRFに示すものとする。正確に測定することができないが、極めて小さく、わずかな病変部が存在していると考えられる場合、5mmの既定値を使用してもよい。病変部が、小さすぎて測定できず、実際に、不在であると考えられる場合、0mmの既定値を使用してもよい。
非標的病変部:すべての測定不能な病変部(または疾患の部位)に加えて、標的病変部として列挙されたものよりも大きくそれを上回るすべての測定可能な病変部は、非標的病変部とみなす。測定は必要とされないが、これらの病変部は、ベースライン時に認識しておくべきであり、「存在」、「不在」、または「明らかな進行」として追跡すべきである。
応答基準:標的病変部および非標的病変部を、応答に関して、別個に評定し、次いで、全体としての腫瘍量を、全体的な応答として評定する。
標的病変部の応答:
標的病変部は、以下のように評価する:(1)完全応答(CR)。すべての標的病変部の消滅。いずれの病的リンパ節も(標的または非標的にかかわらない)、短い方の軸が10mm未満まで低減していなければならない。(2)部分応答(PR)。ベースラインにおける径の合計を基準とした、標的病変部の径の合計の少なくとも30%の減少。(3)疾患の進行(PD)。研究中の最小合計(ベースラインにおける合計が研究中で最小となった場合はそれを含む)を基準とした、標的病変部の径の合計の少なくとも20%の増加。20%の相対的増加に加えて、合計は、少なくとも5mmの絶対的増加も示さなければならない。(注記:1つまたは複数の新たな病変部の出現も、進行とみなす)。(4)疾患の安定(SD)。研究中の径の最小合計を基準として、PRと認められるのに十分な縮小もPDとみなされるのに十分な増加も存在しないこと。
非標的病変部の応答:
非標的病変部は、以下のように評価する:(1)完全応答(CR)。非標的病変部の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化。いずれのリンパ節も、病的なサイズでない必要がある(短い方の軸が10mm未満)。(2)非CR/非PD。1つまたは複数の非標的病変部の持続および/または正常限界を上回る腫瘍マーカーレベルの維持。(3)疾患の進行(PD)。既存の非標的病変部の明らかな進行(以下のコメントを参照されたい)。(注記:1つまたは複数の新たな病変部の出現も、進行とみなす)。
対象が測定可能な疾患も有する場合:この状況においては、非標的疾患に基づく「明白な進行」を達成するためには、標的疾患においてSDまたはPRが存在する場合でも、全体的な腫瘍量が、治療法の中止に値するのに十分に増加した状態となっているような、非標的疾患における全体的なレベルの実質的な悪化が存在しなければならない。1つまたは複数の非標的病変部のサイズの中等度の「増加」は、通常、明らかな進行の状態とみなされるのに十分ではない。標的疾患のSDまたはPRの状況で、単に非標的疾患における変化に基づいて全体的な進行が指定されることは、したがって、極めて稀である。
対象が測定不能な疾患のみを有する場合:この状況は、一部のフェーズ3臨床試験において、測定可能な疾患を有することが研究参加の基準ではない場合に生じる。上述のものと同じ一般的な概念がここでも適用されるが、しかしながら、この事例では、測定不能な疾患量の増加の解釈となる測定可能な疾患の評価は存在しない。非標的疾患の悪化は、容易に定量化することができないため(定義:すべての病変部が、実際に測定不能である場合)、明らかな進行に関して対象を評価する場合に適用することができる有用な試験は、測定不能な疾患における変化に基づく全体的な疾患量の増加が、規模の点で、測定可能な疾患についてPDを宣言するのに必要と予想される増加、すなわち、「体積」における追加の73%の増加(これは、測定可能な病変部における20%の径の増加と同等である)を表す腫瘍量の増加に匹敵するかどうかを考慮することである。例としては、胸水の「わずか」から「多量」への増加、局所的なものから広範なものへのリンパ管性疾患の増加が挙げられ、またはプロトコールにおいて、「治療法における変更を必要とするのに十分である」と記載されてもよい。「明らかな進行」がみられる場合、対象は、その時点で、全体的なPDを有していたとみなすべきである。測定不能な疾患に適用される客観的な基準を有することが理想的と予想されるが、その疾患の性質により、そうすることが不可能となっており、したがって、増加は、実質的でなければならない。
全体的な応答は、標的病変部を有する対象については表7に従って評価すべきであり、非標的病変部のみを有する対象については表8に従って評価すべきである。
Figure 0007171557000031
Figure 0007171557000032
症状の悪化
健康状態の全般的な悪化を有し、その時点で疾患進行の客観的な兆候なしに処置の中止を必要とする対象は、「症状の悪化」として報告すべきである。処置の中止後であっても、客観的な進行を文書化するために、あらゆる努力を行うべきである。症状の悪化は、客観的な応答を表すものではなく、研究治療の停止の理由である。このような対象の客観的な応答状態は、標的疾患および非標的疾患の評定によって判定される。
付録C:悪性リンパ腫の応答基準改訂版
国際研究グループの悪性リンパ腫の応答基準改訂版(Cheson, 2007)は、http://jco.ascopubs.org/cgi/reprint/25/5/579においてオンラインでアクセスすることができる(「manual download for full text PDF of manuscript」をクリック)。
Figure 0007171557000033
付録E:高血糖の管理のための一般的なガイドライン
空腹時グルコースは、用量制限毒性の評価および臨床管理決定のために、最後の食事から4時間以上でモニタリングしたレベルとして定義される。対象に、低血糖および高血糖を認識する方法について、指示すべきである。高血糖または高血糖と関連する症状を経験したすべての対象は、化合物Aの中断/低減とともに、標準的な治療に従って管理されるべきである。追加のガイドラインを、以下に示す:1.持続的な空腹時高血糖(126mg/dLもしくは14mmol/Lを上回る)、またはグレード2以上、または治験担当医師が適切とみなした場合には、経口抗糖尿病剤(OAD)での処置を開始することが推奨される。2.グレード3以上の空腹時高血糖の場合には、高血糖がグレード2以下に解消されるまで、医療機関でのモニタリングを行うべきである。3.持続的なグレード3の空腹時高血糖(250mg/dLまたは27.8mmol/Lを上回る)の場合には、インスリン療法を、OADと併用または単独のいずれかで、考慮すべきである。長時間作用型インスリンは、対象が入院している場合にのみ使用すべきである。グルコースのモニタリングは、反跳作用の可能性に起因して、インスリン(即時作用型または長時間作用型)の投与後少なくとも6時間は継続すべきである。メディカルモニターに、連絡すべきである。4.グレード4の空腹時血中グルコース(50mg/dLまたは27.8mmol/Lを上回る)の場合には、化合物Aは、インスリン療法が開始されている間、保留される。メディカルモニターに、連絡すべきである。4週間を上回る処置の中断により、対象をこの研究から除外することが必要となり得る。5.治験担当医師の裁量で、指穿刺試験(午前中絶食した状態で)による毎日の自宅でのモニタリングを開始してもよい。対象には、血糖値測定器が提供され、指穿刺試験を行う方法および結果を日誌に文書化する方法について、訓練を受け、この日誌は毎回の来院の間に審査される。また、対象は、空腹時グルコース結果が高い場合に(160mg/dLまたは8.9mmol/Lを上回る)、即座に研究スタッフに連絡する方法についても指示されており、この場合には、医療機関での早急な評価が必要となる;またはグレード3以上の場合に医療機関に電話し、来院時に明示する方法についても指示されている。対象の適切な管理に関する内分泌学者の意見が、このような場合には賢明であり得る。
グルコファージおよび他のビグアナイド療法は、計画されている放射線による腫瘍評価(たとえば、CTスキャン)が、ヨード造影剤を含む場合には、一時的に保留すべきである。Goldberg, 2005およびTurina, 2006は、高血糖管理のための提案されるリソースである。
付録G:生物学的標本の管理(検査マニュアルの補足)
サンプルの取扱いおよび保管:バイオマーカーおよび遺伝子研究のために本研究の一部として採取され、分析後に使い残されたすべての血液および組織サンプルは、研究で使用するために、研究が完了した後最大5年間、保管される。対象の同意により、がんおよび他の疾患についてさらに学習するための今後の研究において使用するために、保管期間は、研究が完了した後、20年間に延長される。サンプルは、適切なアクセス制御、モニタリング、およびバックアップシステムを有する長期的なサンプル保管に指名される堅牢な検査施設で保管される。
サンプルのコーディング:すべてのバイオマーカーおよび遺伝子研究サンプルは、コード(対象識別番号)によってのみ識別される。これらのサンプルは、任意の他の個人情報を有さない。研究医師が、コードキーを保管する。サンプルおよびコードキーは、機密かつ別個に保管される。サンプルに試験を行う研究者は、コードのみを確認し、対象を具体的に特定するいずれの情報も確認しない。
血液サンプルおよび組織サンプルに対する研究:バイオマーカーおよび遺伝子研究のサンプルは、化合物Aが対象および対象のがんに対して有する作用を判定するために、治験依頼者または治験依頼者が契約した企業によって試験される。これには、化合物Aが生物学的に活性であることが、血液細胞または腫瘍細胞中のバイオマーカーにより示されるかどうかを判定することも含まれる。加えて、全血および腫瘍組織に由来するDNAサンプルは、薬物に対する対象の応答と相関し得る遺伝子の変化について分析される。
バイオマーカーおよび遺伝子研究の結果の報告および利用可能性:バイオマーカーおよび遺伝子研究のサンプル試験結果は、対象とも、保険会社とも、上述のサンプル分析に関与しないいずれの他の第三者機関とも共有されない。結果は、対象の医療記録には記載されない。試験結果は、研究目的のものにすぎず、対象の日常的な医療措置に関する決定を行うためには使用されない。
対象の氏名および識別子が、刊行物または報告書に記載されることはなく、それにより、このバイオマーカーおよび遺伝子情報の把握により生じ得る心理的または社会的危険性の可能性、たとえば、雇用適性もしくは保険適性に関する危険性または差別の危険性が最小限となる。
同意を取り下げた際のサンプル破棄要求の機序:対象が、研究に参加する同意を取り下げた場合、追加として、バイオマーカーおよび遺伝子の研究サンプルを破棄することを要求することができる。このような場合、対象が、同意を取り下げたという情報を研究医師に伝え、すべての保管、未使用サンプルを破棄するよう要求することになる。すべての未使用サンプルは、次いで、治験依頼者によって破棄される。同意を取り下げる前にサンプルが分析されている場合には、しかしながら、治験依頼者は、すでに利用可能となっているデータを依然として使用してもよい。
対象が、今後の研究のために、バイオマーカーおよび遺伝子研究サンプルを20年間保管することに同意した場合も、任意の時点でその決定を翻すことは自由である。対象は、サンプルを今後の研究に使用する許可を取り下げたという情報を、研究医師に伝える。すべての未使用サンプルは、次いで、治験依頼者によって破棄される。同意を取り下げる前にサンプルが分析されている場合には、しかしながら、治験依頼者は、すでに利用可能となっているデータを依然として使用してもよい。
付録H:ベイズロジスティック回帰モデルの特徴
過大用量制御を伴う用量漸増(EWOC、Babb et al 1988)のための適応型ベイズロジスティック回帰モデル(BLRM、Neuenschwander, et al., 2008)を使用して、この研究において用量漸増を誘導してもよい。
この付録は、コンピュータシミュレーションを通じて様々な用量-毒性関係下において、MTDを推定する際の設計の正確さを示す、実施方法(操作特徴)を提示する。加えて、過大用量制御の原理を用いたBLRMによる次の用量レベルの推奨を、それがどのようにして研究中の用量漸増決定を容易にするのかを示すために、初期コホートにおいて様々な仮説上の結果シナリオ下で提供する(単純性のためにそれぞれのコホートには3人の評定可能患者がいると想定する)。
シミュレーション研究の仕様および結果に関して、様々な想定される実際の用量-毒性関係下におけるMTDを推定する際の設計の正確さを示す、操作特徴を、想定することができる。実際の用量-DLT関係の5つのシナリオ下において、BLRMのシミュレーション(図6を参照されたい)を行う:a.用量-DLT関係は、急な曲線であり、初期用量レベルでMTDに達する(SE);b.用量-DLT関係は、急な曲線であり、中間の用量レベルでMTDに達する(SM);c.用量-DLT関係は、急な曲線であり、後期用量レベルでMTDに達する(SL);d.用量-DLT関係は、平坦な曲線であり、中間用量レベルでMTDに達する(FM)、ならびにe.用量-DLT関係は、平坦な曲線であり、後期用量レベルでMTDに達する(FL)。
Figure 0007171557000034
操作特徴を審査して、それぞれの実際のシナリオ下におけるBLRMの全体的な性能を探る。表11は、実施したシミュレーションから得られた結果を要約する。
Figure 0007171557000035
指定された事前分布を用いた全体的なBLRMモデルは、合理的な性能である。同様であるかまたは少し大きなサンプルサイズで、BLRMモデルは、特に、「a」、「b」、および「d」のシナリオについて、より高い確率で、標的範囲内のMTDを選択することができる。
初期コホートにおける仮説の用量漸増シナリオに関して、上記で研究した全体的な操作特徴とは別に、設計により、観察される毒性に基づいて研究中の合理的な決定が行われるべきである。所与のコホートの完了後に、用量漸増への決定および後続のコホートに選択される実際の用量は、EWOC原理によるBLRMの推奨、ならびに利用可能な臨床データおよび検査データの医学的審査に基づくと予想される。
最大3つの用量コホートまでの用量漸増を示す一部のシナリオを、2パラメーターのBLRMを使用して、表12に列挙する。それぞれのコホートは、少なくとも3人の評定可能な患者を有すると想定される。DLTを経験している患者がいれば、用量増加は、任意の後続の用量漸増について、50%を上回らない。BLRMモデルは、仮説上の用量漸増シナリオについて、合理的な性能である。
Figure 0007171557000036
ベイズロジスティック回帰モデルにより、前臨床情報を組み込むこと、ならびに研究におけるすべての安全性データに基づいて、推奨用量を更新することが可能となる。表に提示されている手段を審査することにより、このモデルが、真理の異なるシナリオには感受性でないことを確認することができる。一般に、このモデルは、過大用量制御基準に起因して、保存的である。すべてのシナリオにおいて、MTDとして33%以上の真のP(DLT)を有する用量を推奨する確率は、MTDとして16%~33%の真のP(DLT)を有する用量を推奨する確率よりも大幅に小さい。
モデルに基づく研究中の推奨は、臨床決定を行うプロセスと整合性があり、MTDを判定するために試験しようとする用量レベルを決定する際に、治験依頼者の臨床試験チームおよび研究治験担当医師によって利用可能な他の臨床情報とともに、考察されるべきである。
(例13)膵臓異種移植片PA0165マウスモードにおける化合物Aおよびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤ロミデプシンの相乗作用
BETブロモドメインタンパク質BRD4は、膵臓の代謝経路の制御に関係付けられている。BRD4の発現は、膵管腺癌細胞株においては、ヒト膵管上皮細胞におけるものと比較して、有意に上方制御されている。さらに、BRD4が、膵管腺癌細胞の増殖を促進し、一部の化学療法剤、たとえば、ゲムシタビンに対する耐性を増強させることが、研究により示されている。したがって、BRD4阻害は、膵臓がん処置に有望である。このことは、化合物Aに媒介されるBRD4の阻害により、膵臓腫瘍細胞が、HDAC阻害剤ロミデプシンの処置に対して感受性となり得るかどうかを理解するためのインビボでの有効性実験へとつながった。
PA0165を保持する4~6週齢のNSGマウスのコホートを、1.5mg/kgで4日に1回×3回静脈内(IV)でのロミデプシン;25mg/kgで1日1回経口で3日間の投薬、続いて4日間の休薬での化合物A;または25mg/kgで1日1回経口で3日間の投薬、続いて4日間の休薬での化合物Aと1.5または0.75mg/kgで7日に1回静脈内でのロミデプシンとの組合せで、処置した。処置は、21日間継続した。腫瘍体積によって測定すると、有意な腫瘍成長の阻害が、すべての処置群で観察された(図8)。ロミデプシン単独では、45%の有意なTGIが誘起された。化合物A単独では、38%の有意なTGIが誘起された。化合物Aおよびロミデプシンの組合せは、相乗性を示し、TGIに関して、すべての他のレジメンよりも有意に優れていた(化合物Aと1.5mg/kgのロミデプシンとの組合せで68%、化合物Aと0.75mg/kgのロミデプシンとの組合で65%)。すべての処置群は、10日目から15日目の間で、実質的な体重減少があった後、回復した。化合物Aのみまたは組合せの処置群は、ロミデプシンのみの処置群よりも有意に高い生存率を示す(図9)。初回処置後30日目に、ロミデプシンのみの処置群の生存率は、約10%であった。対照的に、化合物Aのみまたは組合せの処置群の生存率は、約70%であった。化合物Aのみの処置群と、組合せの処置群との間に、生存率における有意差はなかった。
(例14)膵臓異種移植片PA0165マウスモデルにおける化合物Aおよびタンパク質結合型パクリタキセルアブラキサンの相乗作用
BETブロモドメインタンパク質BRD4は、膵臓の代謝経路の制御に関係付けられている。BRD4の発現は、膵管腺癌細胞株においては、ヒト膵管上皮細胞におけるものと比較して、有意に上方制御されている。さらに、BRD4が、膵管腺癌細胞の増殖を促進し、一部の化学療法剤、たとえば、ゲムシタビンに対する耐性を増強させることが、研究により示されている。したがって、BRD4阻害は、膵臓がん処置に有望である。このことは、化合物Aに媒介されるBRD4の阻害により、膵臓腫瘍細胞が、タンパク質結合型パクリタキセルアブラキサンの処置に対して感受性となり得るかどうかを理解するためのインビボでの有効性実験へとつながった。
PA0165を有するNSGマウスのコホートを、10mg/kgで4日に1回×3回静脈内でのアブラキサン;25mg/kgで1日1回経口で3日間の投薬、続いて4日間の休薬での化合物A;または10mg/kg、7日に1回静脈内でのアブラキサンと、25または12.5mg/kgで1日1回経口で3日間の投薬、続いて4日間の休薬での化合物Aとの組合せで、処置した。処置は、21日間継続した。腫瘍体積によって測定すると、有意な腫瘍成長の阻害が、すべての処置群で観察された(図10)。アブラキサン単独では、55%の有意なTGIが誘起された。化合物A単独では、49.3%の有意なTGIが誘起された。化合物Aおよびアブラキサンの組合せは、相乗性を示し、TGIに関して、すべての他のレジメンよりも有意に優れていた(アブラキサンと25mg/kgの化合物Aとの組合せで78.1%、アブラキサンと12.5mg/kgの化合物Aとの組合せで79.1%)。すべての群において、研究過程の一部において、中等度の体重減少が観察され、より大きな腫瘍保持マウスにおいて、体重減少が観察された。組合せ処置群は、個別の処置群と比較して、有意に高い生存率を示した(図11)。初回処置後41日目に、アブラキサンのみの処置群の生存率は、0%であり、化合物Aのみの処置群については、約20%であった。対照的に、組合せの群の生存率は、それぞれ、アブラキサンと25mg/kgの化合物Aとの組合せ処置では約60%であり、アブラキサンと12.5mg/kgの化合物Aとの組合せ処置では約70%であった。

Claims (8)

  1. がんまたは新生物疾患を処置するための組合せ医薬であって、
    (a)治療有効量の、少なくとも1つのブロモドメインおよびエクストラ末端タンパク質(BET)の阻害剤(BET阻害剤)と、
    (b)治療有効量の、BETを直接的に阻害しない、テモゾロミド、ロミデプシン、およびタンパク質結合型パクリタキセルからなる群から選択された少なくとも1つの化学療法剤を含み、
    前記BET阻害剤が、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンか、その薬学的に許容される塩である、組合せ医薬
  2. 前記BET阻害剤と前記化学療法剤との組合せが、前記BET阻害剤または前記化学療法剤のいずれか単独と比較して、患者の腫瘍における細胞増殖の相乗的な低減または腫瘍におけるアポトーシスの相乗的な増加をもたらす、請求項1に記載の組合せ医薬
  3. 組み合わせた前記BET阻害剤と前記化学療法剤との治療有効量が、前記BET阻害剤および前記化学療法剤を個別に使用した場合のそれぞれの治療有効量よりも、少なくとも50%低い、請求項1又は2に記載の組合せ医薬
  4. 前記BET阻害剤が、前記化学療法剤の治療効果を増強する量で存在する、請求項1~のいずれか1項に記載の組合せ医薬
  5. 前記がんは、非ホジキンリンパ腫、白血病、非小細胞肺がん、神経膠芽腫、膵臓がん、乳がん、およびNUT正中線がんからなる群から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の組合せ医薬
  6. 前記がんは、テモゾロミド耐性である、請求項1~のいずれか1項に記載の組合せ医薬
  7. 前記BET阻害剤と前記化学療法剤が順次投与される、請求項1~のいずれか1項に記載の組合せ医薬
  8. 前記BET阻害剤と前記化学療法剤が同時投与される、請求項1~のいずれか1項に記載の組合せ医薬
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