JP7171005B1 - 受け部材、受け部材付アンカーボルト用筒部材、ブロック固定具及びブロック固定構造 - Google Patents
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Abstract
Description
車止めブロックは、車の後輪や前輪のタイヤが当たる傾斜面と駐車場等の設置面に置かれる底面を備えたコンクリート製等のブロックであり、駐車場等の設置面がコンクリート面等の場合、コンクリート面等にアンカー等を打ち込み、車止めブロックに挿通させたアンカーボルトをアンカー等にねじ込むことにより、車止めブロックを設置面であるコンクリート面等に固定する。
このようにアンカーボルトとアンカー等を使用して車止めブロックをコンクリート面等に設置することに関しては、設置作業の作業効率の向上や設置後に車止めブロックが外れないようにする等の観点から種々の提案がなされている。
逆に、ボルト19(ねじ棒部28)の拡張スリーブ20aへのねじ込みが深く、六角頭部16のテーパー状部5(筒部材7の皿状部7b)への押し付けが強すぎると、ボルト19(ねじ棒部28)や拡張スリーブ20aのねじ山が潰れたり、筒部材7(皿状部7b)やブロック2が破損して、ブロック2を車輪転動面(地面)Sに固定できなくなるという問題が生ずる。
また、特許文献2のコンクリート用アンカー1(荷重表示ワッシャ2)においては、締め付けナット49の締め付けにより、ベース部材11とカバー部材13とが互いに軸線方向に押し付けられ、表示部材4は軸線方向に圧迫されて変形し、荷重が増大するにつれ、カバー部材13の規制リング18がベース部材11に当接するまで、表示部材4は更に変形していくが、規制リング18がベース部材11に当接した後、締め付けナット49の締め付けにより過大な荷重が表示部材4と固定対象部材8に加わると、表示部材4や固定対象部材8が破損するという問題がある。
これより、特許文献2のコンクリート用アンカー1(荷重表示ワッシャ2)を特許文献1の車止め装置の固定具3(拡張アンカー20とボルト19)に適用しても、ボルト19(六角頭部16)のテーパー状部5(筒部材7の皿状部7b)への押し付けが強すぎて、ボルト19等のねじ山が潰れたり、筒部材7やブロック2が破損するという問題が残る。
図1は、本発明の受け部材付アンカーボルト用筒部材を構成するアンカーボルト用筒部材の実施形態を表した図であり、図1(a)は、アンカーボルト用筒部材の平面図、図1(b)は、アンカーボルト用筒部材の正面図、図1(c)は、アンカーボルト用筒部材の右側面図、図1(d)は、図1(a)のA-A断面図、図2は、図1に示すアンカーボルト用筒部材の筒部材本体を表した図であり、図2(a)は、筒部材本体の平面図、図2(b)は、筒部材本体の正面図、図2(c)は、筒部材本体の右側面図、図2(d)は、筒部材本体の底面図、図3(a)は、図2(a)のB-B断面図、図3(b)は、図2(a)のC-C断面図、図3(c)は、図2(b)のD-D拡大断面図、図4は、図1に示すアンカーボルト用筒部材の筒部材上部を表した図であり、図4(a)は、筒部材上部の平面図、図4(b)は、筒部材上部の正面図、図4(c)は、筒部材上部の右側面図、図4(d)は、図4(a)のE-E断面図、図5は、本発明の受け部材の実施形態を表した図であり、図5(a)は、受け部材の平面図、図5(b)は、受け部材の正面図、図5(c)は、受け部材の底面図、図5(d)は、図5(a)のF-F断面図、図5(a)のG-G断面図である。
図中、1はアンカーボルト用筒部材、10は筒部材本体、11は鍔部、12は円環部、13は受け部材保持部、13aは保持壁面、14a、14bは係合部、15a、15bは係合穴、16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hは補強リブ、17は円筒部、18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18hは内リブ、19はリブ先端穴、20は筒部材上部、21は周壁部、22は底部、22hは底部穴、23a、23b、23c、23dは爪部、24a、24bは係合突起、30は受け部材、31はボルト頭部当接部、32は鍔部、33は壁面当接部、33aは薄肉部、33bは中肉部、34a、34b、34c、34d、34e、34f、34g、34hは補強リブ、HKは保持空間、SA1は第1挿通穴、SA2は第2挿通穴であり、各図において、Xは左右方向、X’はC-C断面方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
本発明の受け部材付アンカーボルト用筒部材は、アンカーボルト用筒部材1と受け部材30からなり、アンカーボルト用筒部材1は、図1に示すように筒部材本体10と筒部材上部20を備えている。
鍔部11は、筒部材上部20(後述する)が被せられる部分であり、上面に凸形状の円環部12が設けられている。
受け部材保持部13は、鍔部11と円筒部17を繋ぐ部分あり、アンカーボルト用受け部材30の壁面当接部33の一部を保持する保持空間HKを有し、受け部材保持部13の保持空間HK側の面は、アンカーボルト用受け部材30の壁面当接部33と当接して受け部材を保持する保持壁面13aとなっている。
係合部14a、14bは、鍔部11に被せられた筒部材上部20が係合する部分であり、鍔部11の左右端部に垂下され、係合部14a、14bには係合穴15a、15bが設けられている。
補強リブ16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hは、受け部材保持部13を補強して、車止めブロック製造時において、アンカーボルト用筒部材1を型枠に固定ロッドで締め付け固定する際に筒部材本体10が座屈変形するのを防止すると共に、コンクリート製の車止めブロックに埋設されたアンカーボルト用筒部材1が回転するのを防止するためのもので、鍔部11の下面から円筒部17の上部にかけてその外周に等間隔に設けられている。
円筒部17は、アンカーボルト(後述する)を挿通させるためのもので、受け部材保持部13の下端に設けられ、その内壁面の内側部分はアンカーボルトが挿通する第2挿通穴SA2となっている。
アンカーピンでブロックをアスファルト面等の設置面に固定する場合、保持空間HKにアンカーピンの頭部の一部が保持され、保持壁面13aにはアンカーピンの頭部の球面が面接触することとなる。
また、アンカーピンが挿通する場合に備えて、円筒部17の内壁面の上部には、8個の内リブ18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18hが設けられている。
この8個の内リブ18a~18hは、円筒部17の内壁面の円周方向に等間隔をもって放射状に配置され、第2挿通穴SA2の軸方向に沿って延びる凸形状となっており、内リブ18a~18hの先端によりリブ先端穴19(図3(c)に二点鎖線で示す。)が形成されている。
そして、内リブ18a~18hは、アンカーピンが第2挿通穴SA2を挿通するときにアンカーピンの軸線と第2挿通穴SA2の軸線が一致するようにアンカーピンの軸部を案内する。
また、アンカーピンが傾いて(アンカーピンの軸線が挿通穴の軸線に対して傾いて)第2挿通穴SA2を挿通でき、その傾きを維持できる程度に、第2挿通穴SA2の直径(円筒部17の内径)は、アンカーピンの軸部の外径より大きくなっている。
周壁部21は、アンカーボルト用筒部材1にアンカーボルトを挿通させた場合に、アンカーボルト用受け部材30の上側部分を収納する部分であり、周壁部21の外径は、筒部材本体10の鍔部11の外径と同じとなっている。
底部22は、筒部材上部20を筒部材本体10に被せた場合に鍔部11と重なる部分であり、底部22の内側には、円環部12が嵌め込まれる底部穴22hが形成されている。
この底部22の上面には、底部穴22hの周方向に等間隔で配置された4個の爪部23a、23b、23c、23dが立設され、爪部23a、23b、23c、23dは、アンカーボルトで車止めブロック等のブロックを設置面に固定した場合に、アンカーボルト用受け部材30の鍔部32に被さり、また、爪部23a、23b、23c、23dは、アンカーピンでブロックを設置面に固定した場合に、ブロック設置後にタイヤがブロックに当たった衝撃でアンカーピンが上方に跳ね上がるのを防止する。
また、底部22の下面の左右端部には、係合突起24a、24bが垂下されている。
係合突起24a、24bは、筒部材上部20を筒部材本体10に被せた場合に、係合穴15a、15bに嵌め込まれ、係合突起24a、24bの外側に突出している部分が係合部14a、14b(係合穴15a、15bの外側部分)に係合する。
また、受け部材30の内側には、アンカーボルトのボルト軸部が挿通する第1挿通穴SA1が設けられている。
ボルト頭部当接部31は、半径方向の厚みが大きい厚肉部となっており、受け部材30にアンカーボルトを挿通させた場合、ボルト頭部当接部31の上面はアンカーボルトのボルト頭部と当接する。
鍔部32は、その外径がボルト頭部当接部31の外径より大きく、アンカーボルトでブロックを設置面に固定した場合に、筒部材上部20の爪部23a、23b、23c、23dが、鍔部32の上面に被さることとなる
壁面当接部33は、図5(e)に示すように薄肉部33aと中肉部33bからなる。
薄肉部33aの外周面には補強リブ34a~34hが設けられておらず、薄肉部33aの外周面が受け部材保持部13の保持壁面13aと当接するようになっており、中肉部33bの外周面には補強リブ34a~34hが設けられている。
また、薄肉部33aの外径は、筒部材上部20の4個の爪部23a、23b、23c、23dの内側の先端で囲われて形成される空間(以下「爪部空間」という)の内径より小さく、鍔部32の外径は爪部空間の内径より大きいことから、受け部材30を爪部空間に落し込んだ場合、壁面当接部33の薄肉部33aは、爪部空間を通過し、鍔部32と補強リブ34a~34hは、爪部空間を通過せず、爪部23a、23b、23c、23dに引っかかることとなる。
そして、薄肉部33a、中肉部33b、ボルト頭部当接部31の肉厚部の半径方向の厚みはこの順で大きく、アンカーボルトのボルト軸部のアンカーへのねじ込みにより、受け部材30に作用する上下方向(Z方向)の圧縮力(アンカーボルトの締付圧)に対して、薄肉部33aのみが大きく変形し、その以外の部分はほとんど変形しないようになっている。
本発明のブロック固定具は、車止めブロック等のブロックを設置面に固定するアンカーボルト、アンカー、コーン、アンカーボルト用筒部材及び受け部材を備えている。
図6(a)は、アンカーボルトの平面図、図6(b)は、アンカーボルトの正面図、図7(a)は、アンカーの平面図、図7(b)は、アンカーの正面図、図7(c)は、アンカーの底面図、図7(d)は、図7(a)のH-H断面図、図7(e)は、コーンの平面図、図7(f)は、コーンの正面図である。
図中、40はアンカーボルト、41はボルト頭部、42はボルト軸部、42aは雄ねじ部、42bは胴部、50はアンカー、51はフランジ、52はスリーブ、52aは雌ねじ部、52bはテーパ部、52cは拡張部、53a、53b、53c、54dはスリット、60はコーン(拡張素子)、61は凸部、62は円錐台部である。
アンカーボルト40は、車止めブロック等のブロックを設置面に押し付けて固定するための六角ボルトであり、ボルト頭部41とボルト軸部42からなる。
ボルト頭部41は、六角ボルトの頭部であり、アンカーボルト40を受け部材30に挿通させた場合、ボルト頭部41の下面が受け部材30のボルト頭部当接部31の上面に当接する。
ボルト軸部42は、雄ねじ部42aと胴部42bからなり、雄ねじ部42aは、雌ねじ部52aと螺合してアンカー50にねじ込まれ、胴部42bは、受け部材30が挿通された状態でアンカーボルト用筒部材1に挿通される。
ボルト軸部42の外径は、受け部材30の第1挿通穴SA1、 アンカーボルト用筒部材1の円筒部17の第2挿通穴SA2より小さく、円筒部17のリブ先端穴19の内径と同じか、それより1mm~数mm程度小さくなっている。
フランジ51は、アンカー50にアンカーボルト40が入る入口部分であり、ラッパ状に広がって、アンカー用穴に挿入されるアンカー50の挿入深さを規制する。
スリーブ52は、雌ねじ部52aとテーパ部52bを備え、テーパ部52bには、スリット53a、53b、53c、54dが設けられている。
雌ねじ部52aは、アンカーボルト40の雄ねじ部42aと螺合する部分であり、スリーブ52の上部内側に設けられている。
テーパ部52bは、下方に行くにつれて内径が次第に小さくなって半径方向の厚みが次第に大きくなる部分であり、雌ねじ部52aに連続してあるいは雌ねじ部52aから下方に少し離れた位置からスリーブ52の下端にかけて設けられている。
スリット53a、53b、53c、54dは、スリーブ52の上下方向(Z方向)の中央下寄りの位置から下端にかけて上下方向に延びる幅1mm前後の溝であり、円周方向に等間隔で設けられている。
アンカー50においては、スリット53a~54dによりテーパ部52bが円周方向に分割され、この分割されたテーパ部52bは、コーン(拡張素子)60により内径が拡張される拡張部52cとなる。
凸部61は、円錐台部62の上面から上方に突出する円柱体であり、凸部61の上面がアンカーボルト40(雄ねじ部42a)の下面に押し付けられる。
円錐台部62は、下方に行くにつれて外径が次第に小さくなり、円錐台部62の下端部の外径は、アンカー50の拡張部52cの上部の内径と同じとなっている。
これにより、アンカー50内に落とし込まれたコーン(拡張素子)60は、円錐台部62の周面がアンカー50の拡張部52cの上部の内壁に当たり、アンカーボルト40により凸部61の上面が押し付けられてコーン60が下方に移動し、円錐台部62の周面が拡張部52cの内壁を半径方向に押し付け、アンカー50の拡張部52cの内径が拡張され、アンカー50が設置面内のアンカー用穴に固定される。
車止めブロック70は、コンクリート製の横長五角柱形状のブロックであり、上面71、斜面72、五角形の右側面73等を備えている。
車止めブロック70においては、左右の端部近傍に斜面72から上面71にかけて平面視が略U字形状の切欠き部74、75が設けられ、切欠き部74、75の底面から車止めブロック70の底面にかけて車止めブロック70を貫通し、コンリートのない部分からなるブロック穴74h、75h(図8において破線で示す部分)が設けられている。
このブロック穴74h、75hは、車止めブロック70内にアンカーボルト用筒部材1と固定ロッドを埋設することにより形成されるアンカーボルト用筒部材1を覆う穴(アンカーボルト用筒部材1の下側部分は空洞となっている)であり、図8は、アンカーボルト用筒部材1を除いた状態の車止めブロック70を表わしている。
設置面80は、車止めブロック70が設置される面であり、具体的には、駐車場等のコンクリート面である。
設置面80においては、ブロック穴74h、75hの真下の位置に、アンカー50を設置面80内に挿入固定するための下穴としてアンカー用穴81、82が設けられ、アンカー用穴81、82の内径は、アンカー50のスリーブ52の外径より若干(0.5mm~1mm)大きくなっている。
なお、車止めブロック70は、アンカーボルト用筒部材1と固定ロッドがセットされた型枠にコンクリートを流し込み、コンクリートが硬化した後、硬化したコンクリートから固定ロッドを引き抜き、型枠を外して製造されることから、実際には、車止めブロック70から埋設されたアンカーボルト用筒部材1を除去することはできない。
図9は、本発明の実施形態のブロック固定構造をアンカーボルト用筒部材1、受け部材30、アンカーボルト40、アンカー50、コーン60、車止めブロック70に分解した状態の正面図である。
車止めブロック70には、左右の切欠き部74、75の位置にあるブロック穴74h、75hの各々にアンカーボルト用筒部材1が埋設されており、この左右のアンカーボルト用筒部材1に、受け部材30が挿通されたアンカーボルト40が挿通され、設置面80のアンカー用穴81、82に挿入され、コーン60が落とし込まれたアンカー50に、アンカーボルト40がねじ込まれて車止めブロック70が設置面80に固定される。
この場合、さらに、車止めブロック70の底面が置かれる設置面80の部分に接着剤が塗布され、アンカー50にねじ込まれるアンカーボルト40と接着剤により車止めブロック70が設置面80に固定される。
図中、76は拡張穴、P1は受け部材30(壁面当接部33)の薄肉部33aが筒部材本体10(受け部材保持部13)の保持壁面13aと当接し始めたときのボルト頭部41の上端の上下方向(Z方向)の位置(第1位置)、P2はアンカーボルト40のアンカー50へのねじ込みを終了したときのボルト頭部41の上端の上下方向(Z方向)の位置(第2位置)である。
拡張穴76は、車止めブロック70の製造時に形成される第2挿通穴SA2に連続する穴であり、円錐台形状の穴となっている。
車止めブロック70の製造においては、固定ロッドが円筒部17の下端に取り付けられたアンカーボルト用筒部材1を型枠にセットし、この型枠にコンクリートを流し込んで硬化させ、硬化したコンクリートから固定ロッドを引き抜き、型枠が外されるが、固定ロッドを引き抜いたことにより硬化したコンクリートのブロック内に形成される穴が拡張穴76となる。
最初に前準備として、設置面に車止めブロック70の設置位置を示す基準線(目印)等を施し、車止めブロック40を置く設置面50の部分に接着剤を塗布しておく。
前準備が終わると、車止めブロック70を、設置位置を示す基準線等に沿って設置面80に置き、ドライバーにチャックしたコンクリートドリルをアンカーボルト用筒部材1の第2挿通穴SA2に挿通させ、コンクリートドリルで設置面80にアンカー用穴81、82を開ける。
このとき、円筒部17の内リブ18a~18hで形成されるリブ先端穴19の直径は、コンクリートドリルの外径より小さいことから、コンクリートドリルで内リブ18a~18hの先端部分が削り取られ、リブ先端穴19の直径は、コンクリートドリルの外径と同じになる。
次いで、受け部材30をアンカーボルト40のボルト軸部42に挿通させ、コーン60をアンカー50に中に入れ、アンカーボルト40をアンカーボルト40の下面がコーン60の凸部61の上面に当たるまでねじ込む。
この後、図10(a)に示すように、アンカーボルト40をねじ込んだアンカー50の下側部分を、筒部材上部20の爪部空間を通過させて筒部材本体10の中(保持空間HK)に入れ、アンカー50をアンカーボルト用筒部材1にセットする。
この場合、コンクリートドリルの外径まで広がったリブ先端穴19の直径は、アンカー50のスリーブ52(テーパ部52b)の外径より少し大きくなり、アンカー50(スリーブ52)の下部がリブ18a~18hの内側に入った状態となる。
このとき、アンカー50のフランジ51の外径は、リブ先端穴19の直径より若干大きいが、削り取られた内リブ18a~18hは変形しやすく、ボルト頭部41の叩き込みによるフランジ51の突入に対して削り取られた内リブ18a~18hが変形してリブ先端穴19がさらに広がり、フランジ51は、内リブ18a~18hを容易に通過する。
また、コンクリートドリルの外径はアンカー50のスリーブ52の外径より若干大きく、アンカー用穴81(82)の内径も、スリーブ52の外径より若干大きくなっていることから、ボルト頭部41の叩き込みによりアンカー50はアンカー用穴81(82)内に突入して行く。
この場合、受け部材30の第1挿通穴SA1の直径は、アンカーボルト40のボルト軸部42の外径より大きいことから、受け部材30は、ボルト軸部42(胴部42b)を滑り落ちて、鍔部32または補強リブ34a~34hが、筒部材上部20の爪部23a~23d当たった状態となる(図10(b)では補強リブ34a~34hが爪部23a~23d当たった状態を示している)。
フランジ51の外径はアンカー用穴81(82)の内径より大きいことから、ハンマーによるボルト頭部41への叩き込みを継続しても、フランジ51がアンカー用穴81(82)の周囲の設置面80に引っかかり、アンカー50がそれ以上アンカー用穴81(82)に突入せず、受け部材30の下降が停止し、ボルト頭部41への叩き込みが終了する。
すなわち、作業者は、ハンマーによるボルト頭部41への叩き込みを継続するが、受け部材30の下降が停止することにより、壁面当接部33の薄肉部33aが保持壁面13aと当接し、フランジ51がアンカー用穴81(82)に到達したことを知覚し、ボルト頭部41への叩き込みを終了する。
このとき、壁面当接部33の薄肉部33aはわずかに弾性変形した状態で保持壁面13aに当接し、ボルト頭部41の上面は位置P1(第1位置)にある。
このねじ込みによるアンカーボルト40の締付圧より、受け部材30には上下方向(Z方向)の圧縮力が作用して、壁面当接部33の薄肉部33aが変形し、受け部材30が下降する。
このとき、薄肉部33aの変形は弾性変形から塑性変形に移行し、受け部材30に作用する圧縮力すなわちアンカーボルト40の締付圧は、薄肉部33aの変形量の増加に伴って増加する。
同時に、アンカーボルト40(ボルト軸部42)でコーン60の凸部61の上面が押し付けられてコーン60が下方に移動し、円錐台部62の周面がアンカー50の拡張部52cの内壁を半径方向に押し付け、拡張部52cの内径が拡張され、拡張部52cの外周面がアンカー用穴81(82)の内壁に押し付けられる。
そして、ボルト軸部42(雄ねじ部42a)のアンカー50(雌ねじ部52a)へのねじ込みを継続すると、薄肉部33aの塑性変形が進行してアンカーボルト40の締付圧は増加し、受け部材30がさらに下降して、図11(b)に示すように、鍔部32が爪部23a~23dのフック部を通過して爪部23a~23dの押し広げが解除されて元の位置に戻り、鍔部32の上面に爪部23a~23dのフック部が被さると、壁面当接部33の薄肉部33aの塑性変形が限界に達して受け部材30がそれ以上変形しなくなって、ボルト軸部42をアンカー50へのねじ込めなくなり、ボルト頭部41の上面は位置P2(第2位置)達し、ボルト軸部42のアンカー50へのねじ込みを終了する。
このとき、壁面当接部33の薄肉部33aは、ボルト頭部41の上面が位置P1(第1位置)から位置P2(第2位置)まで移動した距離δ、例えば、2mm~5mm(望ましくは3mm~4mm)だけ圧縮されて変形し、アンカーボルト40の締付圧は、車止めブロック70を設置面80に固定するのに適した大きさ(車止めブロック70やアンカーボルト用筒部材1を破損させたり、雄ねじ部42a・雌ねじ部52aのねじ山を潰したりせずにできるだけ強固に車止めブロック70を設置面80に押し付ける力の大きさ)、例えば、車止めブロック70の曲げ強度の1/5~2/3(望ましくは1/4~1/2)の大きさとなる。
また、アンカー50においては、コーン60が下方にδ移動し、拡張部52cの外周面がアンカー用穴81(82)の内壁を押し付ける押付力は、車のタイヤが車止めブロック70に衝突したときの衝撃力によりアンカー50をアンカー用穴81(82)から引き抜こうとする引抜力に対して十分抵抗できるだけの大きさの力となる。
すなわち、作業者は、ボルト軸部42のアンカー50へのねじ込みを継続するが、爪部23a~23dのフック部が鍔部32の上面に被さり、ボルト軸部42をアンカー50へねじ込めなくなることにより、アンカーボルト40の締付圧が車止めブロック70を設置面80に固定するのに適した大きさに達したことを知覚し、ボルト軸部42のアンカー50へのねじ込みを終了する。
アンカーボルトとアンカーに代えてアンカーピンにより車止めブロックを固定する場合について説明する。
車止めブロックを設置する設置面がコンクリート面ではなく、アスファルト面のようなコンクリート面ほど硬くない面の場合、アンカーボルトとアンカーに代えてアンカーピンにより車止めブロックが設置面に固定される。
図12(a)は、アンカーピンの平面図、図12(b)は、アンカーピンの正面図であり、図中、90はアンカーピン、91は頭部、91aはお椀部、91bは段差部、92は軸部、93は先端部である。
アンカーピン90は、車止めブロックを設置面に固定するための断面が円形の金属製の棒状部材であり、頭部91、軸部92及び先端部93からなる。
頭部91は、お椀部91aとお椀部の上面から上方に突出する段差部91bからなり、お椀部91aの周面は、球面となっており、筒部材本体10の受け部材保持部13の保持壁面13aと面接触する部分である。
また、段差部91bは、打ち込み機によりアンカーピン90を設置面に打ち込む際に、打ち込み機の打撃を受ける部分であり、アンカーピン90が設置面に打ち込まれると、筒部材上部20内に段差部91bが収納される。
軸部92は、車止めブロック内に埋設されたアンカーボルト用筒部材1(筒部材本体10)の第2挿通穴SA2、第2挿通穴SA2に連続する車止めブロック内の縦穴を挿通し、設置面内に入る部分であり、軸部92の外径は、筒部材本体10の内リブ18a~18hの先端により形成されるリブ先端穴19の径と同じとなっている。
先端部93は、軸部92に連続するアンカーピン90の先端部分であり、アスファルト面等の設置面内にアンカーピン90を打ち込んで突入させるために、鋭利な円錐形状となっている。
アンカーピンによる車止めブロック固定構造においても、アンカーボルトとアンカーによるブロック固定構造(図9参照)と同様に。車止めブロック70には、左右の切欠き部74、75の位置にあるブロック穴74h、75hの各々にアンカーボルト用筒部材1が埋設されており、この左右のアンカーボルト用筒部材1の各々にアンカーピン90が挿通され、アンカーピン90の先端部と軸部の一部がアスファルト面等の設置面80’に打ち込まれて、車止めブロック70が設置面80’に固定される。
具体的には、以下のようにしてアンカーピン90により車止めブロック70が設置面80’に固定される。
まず、アンカーピン90の先端部93と軸部92をアンカーボルト用筒部材1(筒部材本体10)の第2挿通穴SA2と拡張穴76に挿通させ、先端部93の先端が設置面80’に当たるようにし、打ち込み機のホルダー(打撃を与える部分)をアンカーピン90の頭部91の段差部91bに当てがい、打ち込み機によるアンカーピン90の打ち込みを行い、アンカーピン90を先端部93から設置面80’内に突入させる。
このアンカーピン90の打ち込みにより、アンカーピン90が先端部93から設置面80’内に入っていって頭部91は次第に下がっていき、お椀部91aは、筒部材上部20の周壁部21内に入って爪部23a、23b、23c、23dを広げてその下に潜り込む。これにより、爪部23a、23b、23c、23dは、車止めブロック設置後にタイヤが車止めブロックに当たった衝撃でアンカーピンが上方に跳ね上がるのを防止する。
そして、お椀部91aの周面が筒部材本体10の保持壁面13aに当たるまでアンカーピン90の打ち込みを行う。
このとき、お椀部91aの周面の上部を除く部分が筒部材本体10の保持壁面13aと接触して頭部91(お椀部91a)の一部が受け部材保持部13保持され、爪部23a、23b、23c、23dがお椀部91aの上面を覆い、段差部91bが筒部材上部20の周壁部21内に収納された状態となる。
これにより、アンカーピン90を打ち込んでいく途中で、特に打ち込みの初期段階で、先端部93の先端がアスファルト面等の設置面80’内の骨材に当たってずれてアンカーピンが傾こうとしなければ、アンカーピン90の軸部92は、8個の内リブ18a~18hに案内され、この8個の内リブのいずれかが軸部92に押されて変形することなく、アンカーピン90は設置面80’に対して垂直に打ち込まれることとなる。
一方、アンカーピン90を打ち込んでいく途中で、特に打ち込みの初期段階で、先端部93の先端がアスファルト面等の設置面80’内の骨材に当たってずれようとして、アンカーピン90の軸線が第2挿通穴SA2の軸線に対して傾くと、内リブ18a~18hのうち頭部91が傾く側と反対側にある内リブが軸部92に押されて変形し、アンカーピン90は傾いて打ち込まれることとなる。
これにより、アンカーピン90を設置面80’に打ち込んでいく途中において、車止めブロック70が最初に置かれた設置面80’上の位置からずれることを防止できる。
また、アンカーピン90の設置面80’への打ち込みが終了したとき、お椀部91aは筒部材本体10の受け部材保持部13に保持されるが、お椀部91aの周面は球面で、受け部材保持部13の保持壁面13aも同じ球面であることから、アンカーピン90が設置面80’に対して傾いて打ち込まれた場合であっても、アンカーピン90が設置面80’に対して垂直に打ち込まれた場合と同様に、お椀部91aの周面が受け部材保持部13の保持壁面13aと面接触し、打ち込み機の打撃よるお椀部91aからの受け部材保持部13への衝撃力が、保持壁面13a全体に分散される。
これにより、アンカーピン90のお椀部91aが受け部材保持部13に接触した後も打ち込み機によるアンカーピン90の打ち込みを継続しても、打ち込み機の打撃よるお椀部91aからの受け部材保持部13への衝撃力により、受け部材保持部13(筒部材本体10)が破損し車止めブロック70が破損したり割れたりするのが防止される。
10 筒部材本体
11 鍔部
12 円環部
13 受け部材保持部
13a 保持壁面
14a、14b 係合部
15a、15b 係合穴
16a、16b、16c、16d 回り止めリブ
17 円筒部
18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18h 内リブ
19 リブ先端穴
20 筒部材上部
21 周壁部
22 底部
22h 底部穴
23a、23b、23c、23d 爪部
24a、24b 係合突起
30 受け部材
31 ボルト頭部当接部
32 鍔部
33 壁面当接部
33a 薄肉部
33b 中肉部
34a、34b、34c、34d、34e、34f、34g、34h 補強リブ
40 アンカーボルト、
41 ボルト頭部
42 ボルト軸部
42a 雄ねじ部
42b 胴部
50 アンカー
51 フランジ
52 スリーブ
52a 雌ねじ部
52b テーパ部
52c 拡張部
53a、53b、53c、54d スリット
60 コーン(拡張素子)
61 凸部
62 円錐台部
70 車止めブロック
71 上面
72 斜面
73 右側面
74、75 切欠き部
74h、75h ブロック穴
76 拡張穴
80 設置面
81、82 アンカー用穴
90 アンカーピン
91 頭部
91a お椀部
91b 段差部
92 軸部
93 先端部
HK 保持空間
P1 第1位置
P2 第2位置
SA1 第1挿通穴
SA2 第2挿通穴
Claims (8)
- 設置面に設置されるブロック内に埋設される筒部材に挿通され、該筒部材に収納されるボルト頭部を有し、前記設置面に打ち込まれるアンカーにねじ込まれるボルト軸部を有するアンカーボルト用の受け部材であって、
前記ボルト軸部が挿通する第1挿通穴と、
前記ボルト頭部が当接するボルト頭部当接部と、
前記アンカーボルトが前記筒部材に挿通されて前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれたときに、前記筒部材の保持壁面に当接する壁面当接部と
を備え、
前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれて前記ボルト頭部当接部が前記ボルト頭部に当接し、前記壁面当接部が前記保持壁面に当接したときに、前記ボルト軸部の前記アンカーへのねじ込みにより、前記ボルト頭部を前記ボルト頭部が前記ボルト頭部当接部に当接した第1位置から前記アンカーボルトの締付圧が前記ブロックを前記設置面に押し付けるのに適した大きさとなる第2位置に移動させるように前記壁面当接部が変形することを特徴とする受け部材。 - 前記ボルト頭部当接部は厚肉部を有し、前記保持壁面当接部は薄肉部を有することを特徴とする請求項1記載の受け部材。
- 設置面に設置されるブロック内に埋設されて、前記設置面に打ち込まれるアンカーにねじ込まれるボルト軸部を有するアンカーボルトが挿通するアンカーボルト用筒部材と前記ボルト軸部が挿通する第1挿通穴を有する受け部材とを備えた受け部材付アンカーボルト用筒部材であって、
前記アンカーボルト用筒部材は、前記ボルト軸部が挿通する第2挿通穴と保持壁面を有する筒部材本体とを備え、
前記受け部材は、前記ボルト頭部が当接するボルト頭部当接部と、前記アンカーボルトが前記筒部材に挿通されて前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれたときに前記筒部材の保持壁面に当接する壁面当接部とを備え、
前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれて前記ボルト頭部当接部が前記ボルト頭部に当接し、前記壁面当接部が前記保持壁面に当接したときに、前記ボルト軸部の前記アンカーへのねじ込みにより、前記ボルト頭部を前記ボルト頭部が前記ボルト頭部当接部に当接した第1位置から前記アンカーボルトの締付圧が前記ブロックを前記設置面に押し付けるのに適した大きさとなる第2位置に移動させるように前記壁面当接部が変形することを特徴とする受け部材付アンカーボルト用筒部材。 - 前記アンカーボルト用筒部材は、前記筒部材本体に係合し前記アンカーボルト用筒部材の上部を形成する筒部材上部をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の受け部材付アンカーボルト用筒部材。
- 前記受け部材は鍔部を有し、前記筒部材上部には放射状に配置された複数の爪部が設けられ、該複数の爪部は前記鍔部が接触しながら通過する爪部空間を形成し、前記ボルト頭部が第1位置から第2位置に移動したときに、前記鍔部は前記爪部空間を通過して前記複数の爪部が被さる位置に移動することを特徴とする請求項4記載の受け部材付アンカーボルト用筒部材。
- 設置面に打ち込まれるアンカーと、該アンカーにねじ込まれるボルト軸部を有するアンカーボルトと、前記設置面に設置されるブロック内に埋設されて前記アンカーボルトが挿通するアンカーボルト用筒部材と前記ボルト軸部が挿通する第1挿通穴と有する受け部材とを備えたブロック固定具であって、
前記アンカーボルト用筒部材は、前記ボルト軸部が挿通する第2挿通穴と保持壁面を有する筒部材本体とを備え、
前記受け部材は、前記ボルト頭部が当接するボルト頭部当接部と、前記アンカーボルトが前記筒部材に挿通されて前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれたときに前記筒部材の保持壁面に当接する壁面当接部とを備え、
前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれて前記ボルト頭部当接部が前記ボルト頭部に当接し、前記壁面当接部が前記保持壁面に当接したときに、前記ボルト軸部の前記アンカーへのねじ込みにより、前記ボルト頭部を前記ボルト頭部が前記ボルト頭部当接部に当接した第1位置から前記アンカーボルトの締付圧が前記ブロックを前記設置面に押し付けるのに適した大きさとなる第2位置に移動させるように前記壁面当接部が変形することを特徴とするブロック固定具。 - 前記アンカーは内径が広がる拡張部を備え、前記アンカーの前記ボルト軸部がねじ込まれる部分には、前記拡張部を拡張させる拡張素子が挿入されていることを特徴とする請求項6記載のブロック固定具。
- 設置面に打ち込まれるアンカーと、該アンカーにねじ込まれるボルト軸部を有するアンカーボルトによりブロックを設置面に固定するブロックの固定構造であって、
前記ブロック内には前記アンカーボルトが挿通するアンカーボルト用筒部材が埋設され、
前記ボルト軸部には第1挿通穴と有する受け部材が挿通され、
前記アンカーボルト用筒部材は、前記ボルト軸部が挿通する第2挿通穴と保持壁面を有する筒部材本体とを備え、
前記受け部材は、前記ボルト頭部が当接するボルト頭部当接部と、前記アンカーボルトが前記筒部材に挿通されて前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれたときに前記筒部材の保持壁面に当接する壁面当接部とを備え、
前記ボルト軸部が前記アンカーにねじ込まれて前記ボルト頭部当接部が前記ボルト頭部に当接し前記壁面当接部が前記保持壁面に当接したときに、前記ボルト軸部の前記アンカーへのねじ込みにより、前記ボルト頭部を前記ボルト頭部が前記ボルト頭部当接部に当接した第1位置から前記アンカーボルトの締付圧が前記ブロックを前記設置面に押し付けるのに適した大きさとなる第2位置に移動させるように前記壁面当接部が変形することを特徴とするブロックの固定構造。
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