JP6779566B2 - あと施工アンカー及びその設置構造 - Google Patents

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Description

本発明は、橋梁やトンネル等のコンクリート構造物に設置される雌ねじタイプのあと施工アンカー及びその設置構造に関する。
コンクリート構造物に取り付けられるあと施工アンカーとして、雄ねじタイプのあと施工アンカーと雌ねじタイプのあと施工アンカーが知られている。雄ねじタイプのあと施工アンカーの例を図9に示す。図9のあと施工アンカー110は、雄ねじ部112が設けられ、前側にテーパ部113が形成されたテーパボルト111と、テーパボルト111の外周に設けられるスリーブ114から構成され、スリーブ114の前側にはスリット115で分割された拡開部116が形成されている。この雄ねじタイプのあと施工アンカー110では、雄ねじ部112に取り付けられるナット117を螺合することにより、テーパ部113を拡開部116内に入り込ませ、拡開部112を拡開させるようになっている。
雄ねじタイプのあと施工アンカー110は、テーパボルト111のテーパ部113を先端側からスリーブ114の拡開部116に入り込ませて拡開部116を拡開させるため、テーパボルト111に引抜力がかかったときにスリーブ114の拡開部116に拡開方向の力が作用する。そのため、安定的な引張強度を発現することができるが、テーパボルト111の後部が取付面から突出して邪魔になるという不具合がある。
これに対して、雌ねじタイプのあと施工アンカーは、取付面からの不要なボルトの突出を無くすことができるというメリットがある。斯様な雌ねじタイプのあと施工アンカーとしては、スリーブ打込み式のものと、内部コーン打込み式のものが一般的に知られている。スリーブ打込み式のあと施工アンカーの例を図10に示す。図10のあと施工アンカー120は、前側にテーパ部122が形成されたコーン121と、コーン121の外周に設けられるスリーブ123から構成され、スリーブ123の前側にはスリット124で分割された拡開部125が形成され、その後部の内側には雌ねじ部126が形成されている。あと施工アンカー120は、スリーブ123をコーン121のテーパ部122に向かって打ち込むことで、スリーブ123の拡開部125がテーパ部122に倣って拡開するようになっており、又、雌ねじ部126に取付物を取り付ける取付ボルトが螺合されるようになっている。
このあと施工アンカー120は、先端に位置するコーン121と取付ボルトが連結されない構造でコンクリート構造物に固定されるため、取付ボルトに引抜力がかかったときにスリーブ123にだけ引抜方向の力が作用する。即ち、コーン121とスリーブ123の係合状態が解除されてコーン121がスリーブ123から脱落しやすいという問題がある。
また、内部コーン打込み式のあと施工アンカーは、前側にテーパ部が形成されたコーンをスリーブに内装し、コーンを先端に向かって打ち込んでスリーブの拡開部の内側に入り込ませることで拡開部を拡開させる構造であり、コーンがスリーブから脱落する危険性はない。しかし、コーンが内装されている分だけ拡開力が小さくなり、同じねじ径のスリーブ打込み式のあと施工アンカーに比べて引張強度に劣るという問題がある。
更に、雌ねじタイプのあと施工アンカーとして、特許文献1や図11に示すスリーブ打込み式のあと施工アンカーも知られている。図11のあと施工アンカー130は、前側のテーパ部132と筒部133を有し、筒部133の内部に雌ねじ孔134が形成されているインナー部材131と、前側にスリット136で分割された拡開部137を有し、筒部133に外装されるスリーブ135から構成される。あと施工アンカー130は、スリーブ135をインナー部材131のテーパ部132に向かって打ち込むことで、スリーブ135の拡開部137がテーパ部132に倣って拡開するようになっており、又、インナー部材131の雌ねじ孔134に取付物142を取り付ける取付ボルト141が螺合されるようになっている。
あと施工アンカー130のタイプのアンカーは、コンクリート構造物143の取付面からの不要なボルトの突出を無くすことができると共に、取付ボルトに引抜方向の力が作用した場合にインナー部材131のテーパ部132が拡開部137に引き込まれて拡開部137を追随拡張させることから、インナー部材131がスリーブ135から脱落する懸念無く、安定的な引張強度を発現することができ、雄ねじタイプのあと施工アンカーと、スリーブ打込み式の雌ねじタイプのあと施工アンカーの双方のメリットを兼ね備えるものである。
特開平3−2469号公報
ところで、雌ねじタイプのスリーブ打込み式のあと施工アンカー130を施工する際には、インナー部材131を適切に打ち込んで拡開部137を適正な拡開状態にすることが求められるが、インナー部材131の打ち込み状態は作業者の手応えで確認されているのが現状であり、作業者の熟練度で施工精度にバラツキが生ずる。特に、あと施工アンカー130では、インナー部材131がスリーブ135の拡開部137をきちんと拡開させることと、取付ボルト141と雌ねじ孔134の所定のねじの嵌め合い長さMを確保することができれば、インナー部材131には任意の長さのものを用いることが可能であり、例えば樹脂注入をアンカー内の空間144にも施すような場合等で中途半端な孔奥位置にインナー部材131の後端面が位置するのが適切な施工状態になるケースでは施工確認が非常に難しい(図10(b)参照)。
更に、あと施工アンカー130の打設後に、施工した作業者以外の施工管理者が確認する場合には、あと施工アンカー130を引っ張ってみるまで適正な拡開状態で施工されているか確認できないという問題もある。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、作業者の熟練度に依拠せずに、あと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができるあと施工アンカー及びその設置構造を提供することを目的とする。
本発明のあと施工アンカーは、後側の筒部と前側のテーパ部を有し、後端面から内部に雌ねじ孔が形成されているインナー部材と、前側にスリットで分割された拡開部を有し、前記筒部に外装されるスリーブとを備えるスリーブ打込み式のあと施工アンカーであって、前記スリーブの前記拡開部より後方の内周に、拡開状態における前記インナー部材の前記後端面の適正な位置を示すマーキング部が設けられ、前記マーキング部が前記スリーブの長手方向に間隔を開けて複数形成されていることを特徴とする。
これによれば、マーキング部の位置までインナー部材の後端面がくるようにスリーブが打ち込まれていれば適正な打設状態であることを認識することができる。従って、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。また、打込棒等を介してスリーブを打ち込む際には、スリーブの後端面が打撃されるが、マーキング部をスリーブの拡開部より後方の内周に設けておくことにより、マーキング部やインナー部材の雌ねじが打撃によって損傷することが防止される。また、マーキング部をスリーブの長手方向に間隔を開けて複数形成することにより、同一のスリーブに対して長さが異なる複数種類のインナー部材を適用することができる。そして、長さが異なる複数種類のインナー部材のそれぞれを適用した場合について、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
本発明のあと施工アンカーは、後側の筒部と前側のテーパ部を有し、後端面から内部に雌ねじ孔が形成されているインナー部材と、前側にスリットで分割された拡開部を有し、前記筒部に外装されるスリーブとを備えるスリーブ打込み式のあと施工アンカーであって、前記スリーブの前記拡開部より後方の内周に、拡開状態における前記インナー部材の前記後端面の適正な位置を示すマーキング部が設けられ、前記マーキング部が溝若しくは段差であることを特徴とする。
これによれば、マーキング部の位置までインナー部材の後端面がくるようにスリーブが打ち込まれていれば適正な打設状態であることを認識することができる。従って、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。また、打込棒等を介してスリーブを打ち込む際には、スリーブの後端面が打撃されるが、マーキング部をスリーブの拡開部より後方の内周に設けておくことにより、マーキング部やインナー部材の雌ねじが打撃によって損傷することが防止される。また、例えばスリーブとなるワークを回転させて内周を切削することにより、簡単に且つ低コストでマーキング部となる溝若しくは段差を形成することができる。
本発明のあと施工アンカーは、前記インナー部材の前記雌ねじ孔が前端面まで貫通して形成されていることを特徴とする。
これによれば、取付ボルトとの所定のねじの嵌め合い長さを確保しつつ、インナー部材の全長を短くすることができ、部品コストを低減することができる。
本発明のあと施工アンカーの設置構造は、本発明のあと施工アンカーが設置される構造であって、前記あと施工アンカーが前記スリーブの外径の3倍以上の埋め込み深さでコンクリート構造物に打ち込まれていることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーをスリーブの外径の3倍以上の埋め込み深さでコンクリート構造物に打ち込むことにより、取付ボルトに引抜方向の力が作用したときにコンクリートが破断することを確実に防止することができる。そして、取付ボルトに引抜方向の力が作用したときにインナー部材がスリーブを拡開させる方向に力を作用させる効果を確実に得ることができ、取付ボルト自体が破断するまで安定的な引張強度を確実に発現させることができる。
本発明によれば、作業者の熟練度に依拠せずに、あと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
(a)は本発明による第1実施形態のあと施工アンカーの斜視図、(b)はその正面図、(c)はその縦断面図。 (a)は拡開状態の第1実施形態のあと施工アンカーの斜視図、(b)はその正面図、(c)はその縦断面図。 (a)〜(d)は第1実施形態のあと施工アンカーの施工工程を説明する説明図。 (a)は本発明による第2実施形態のあと施工アンカーの斜視図、(b)はその正面図、(c)はその縦断面図。 (a)は拡開状態の第2実施形態のあと施工アンカーの斜視図、(b)はその正面図、(c)はその縦断面図。 (a)は本発明による第3実施形態のあと施工アンカーの縦断面図、(b)はその拡開状態の縦断面図。 (a)は第1実施形態の変形例のあと施工アンカーの正面図、(b)はその変形例のあと施工アンカーの設置構造を示す縦断説明図。 第1実施形態の変形例のあと施工アンカーにおいて埋込深さマーキングを付したインナー部材とスリーブを示す斜視説明図。 従来例の雄ねじタイプのあと施工アンカーを示す一部縦断正面図。 従来例の雌ねじタイプのスリーブ打込み式のあと施工アンカーを示す一部縦断正面図。 従来例のインナー部材に雌ねじ孔が設けられるあと施工アンカー及びコンクリートの穿孔を示す断面説明図、(b)はそのあと施工アンカーを穿孔内で適正に拡開した状態を示す断面説明図。
〔第1実施形態のあと施工アンカー〕
本発明による第1実施形態のあと施工アンカー1は、雌ねじタイプのスリーブ打込み式のものであり、図1及び図2に示すように、後側の筒部21と前側のテーパ部22を有する略円筒状のインナー部材2を備え、テーパ部22は前方に向かって漸次拡径する略截頭円錐形状に形成されている。インナー部材2には、後端面23から内部に雌ねじ孔24が形成されており、図示例ではテーパ部22の一部にかかるまで雌ねじ孔24が形成されている。
非拡開状態におけるインナー部材2の筒部21の外周には、筒状のスリーブ3が外装されている。スリーブ3は、スリーブ本体31と、スリーブ本体31の前側に設けられる拡開部32を備え、拡開部32は、アウタースリーブ3の前端からスリーブ本体31まで切り込まれたスリット33で分割されて片状に形成されている。拡開部32の外面には、拡開変形を容易化するために周方向に延びる弧状溝34が複数形成されている。
スリーブ3の拡開部32より後側の内周、換言すればスリーブ本体31の内周には、拡開状態におけるインナー部材2の後端面23等の適正な位置を示すマーキング部として内周に沿う周状の溝35p、35qが形成されている。本実施形態では、マーキング部である溝35p、35qがスリーブ3の長手方向に間隔を開けて複数形成されており、図示例ではスリーブ本体31の後ろ寄りの位置に間隔を開けて2個の溝35pと溝35qが形成されている。また、図示例の所定長さのインナー部材2とスリーブ3の組み合わせでは、インナー部材2の後端面23が前側の溝35pに対応する位置に配置されるようにスリーブ3が打ち込まれることで、拡開部32の適正な拡開状態が得られるようになっている(図2(b)、(c)参照)。
そして、拡開部32が拡開されていない非拡開状態のあと施工アンカー1では、図1に示すように、スリーブ3がインナー部材2の筒部21に着脱自在に外嵌されるようにして外装されている。図示例では、スリーブ3の拡開部32の大部分がインナー部材2の筒部21に着脱自在に外嵌されることで、非拡開状態のあと施工アンカー1が構成されている。
第1実施形態のあと施工アンカー1を施工する際には、図3(a)に示すように、コンクリート構造物6に穿孔61を形成し、穿孔61内を清掃する。その後、図3(b)に示すように、あと施工アンカー1をインナー部材2の前端から穿孔61に挿入し、コンクリート構造物6の表面62から外側に突出したスリーブ3を専用の打込棒71をハンマー72で打撃することにより打込棒71を介して打ち込む。このスリーブ3の打ち込みにより、拡開部32がテーパ部22の外周に倣って拡開していく。
そして、インナー部材2の後端面23の位置とスリーブ3の前側の溝35pの位置が対応するまでスリーブ3を打ち込んでいき、拡開部32を適正な拡開状態とする(図3(c)参照)。適正に拡開した拡開部32は穿孔61の孔壁に押し付けられるようにして食い込み、適正な拡開状態のあと施工アンカー1がコンクリート構造物6に固定される。この拡開部32が適正な拡開状態であることは、スリーブ3内でインナー部材2の後端面23の位置とスリーブ3の前側の溝35pの位置が対応する状態であることを、作業者や作業者以外の管理者が目視することで確認可能である。
更に、取付物4をコンクリート構造物6に取り付ける場合には、図3(d)に示すように、取付物4をコンクリート構造物6の表面62に隣接させて配置し、取付物4を貫通するようにして取付ボルト5の雄ねじ部51を貫入する。そして、この雄ねじ部51をコンクリート構造物6に固定されたあと施工アンカー1の雌ねじ孔24に螺合することにより、取付物4がコンクリート構造物6に固定して取り付けられる。
第1実施形態によれば、マーキング部に相当する溝35pの位置までインナー部材2の後端面23がくるようにスリーブ3が打ち込まれていれば適正な打設状態であることを認識することができる。従って、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカー1を適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
また、打込棒71を介してスリーブ3を打ち込む際にはスリーブ3の後端面が打撃されることにより、スリーブ3の拡開部32より後方の内周に設けられたマーキング部に相当する溝35p、35qやインナー部材2の雌ねじ孔24の雌ねじが打撃によって損傷することが防止される。
また、マーキング部に相当する溝35p、35qをスリーブ3の長手方向に間隔を開けて複数形成することにより、同一のスリーブ3に対して図示例のインナー部材2とは異なる所定長さのインナー部材を用いた場合にも、そのインナー部材の後端面の位置がスリーブ3の溝35qの位置に対応するようにスリーブ3を打ち込んで適正な拡開状態を得ることが可能であり、長さが異なる複数種類のインナー部材2等を適用することができる。そして、長さが異なる複数種類のインナー部材2等のそれぞれを適用した場合について、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
また、マーキング部を溝35p、35qとすることにより、例えばスリーブ3となるワークを回転させて内周を切削することにより、簡単に且つ低コストでマーキング部を形成することができる。
〔第2実施形態のあと施工アンカー〕
本発明による第2実施形態のあと施工アンカー1aも、雌ねじタイプのスリーブ打込み式のものであり、図4及び図5に示すように、そのインナー部材2は第1実施形態と同一である。また、インナー部材2の筒部21の外周には外装される筒状のスリーブ3aは、第1実施形態と同様に、スリーブ本体31と、スリーブ本体31の前側に設けられるスリット33で分割された拡開部32と、拡開部32の外面には形成された弧状溝34を有する。
第2実施形態におけるスリーブ3aには、拡開部32より後側の内周、換言すればスリーブ本体31の内周に、拡開状態におけるインナー部材2の後端面23等の適正な位置を示すマーキング部として内周に沿う周状の段差36p、36qが形成されている。本実施形態では、マーキング部である段差36p、36qがスリーブ3の長手方向に間隔を開けて複数形成されており、図示例ではスリーブ本体31の後ろ寄りの位置に間隔を開けて1段目で外側に拡がる段差36pと、2段目で更に外側に拡がる段差36qの2個が形成されている。また、図示例の所定長さのインナー部材2とスリーブ3aの組み合わせでは、インナー部材2の後端面23が前側の段差36pに対応する位置に配置されるようにスリーブ3が打ち込まれることで、拡開部32の適正な拡開状態が得られるようになっている(図5(b)、(c)参照)。
そして、第1実施形態と同様に、スリーブ3aがインナー部材2の筒部21に着脱自在に外嵌されるようにして外装され、拡開部32が拡開されていない非拡開状態のあと施工アンカー1aが構成されている。
また、第2実施形態のあと施工アンカー1aの施工、取付物4の取付の工程の手順は、第1実施形態とあと施工アンカー1の手順と基本的に同様であるが、インナー部材2の後端面23の位置とスリーブ3の溝35pの位置が対応するまでスリーブ3を打ち込むことに代え、インナー部材2の後端面23の位置とスリーブ3aの前側の段差36pの位置が対応するまでスリーブ3を打ち込んでいき、拡開部32を適正な拡開状態としてあと施工アンカー1aをコンクリート構造物6に固定する。この拡開部32が適正な拡開状態であることは、スリーブ3a内でインナー部材2の後端面23の位置とスリーブ3の段差36pの位置が対応する状態であることを、作業者や作業者以外の管理者が目視することで確認可能である。
第2実施形態によれば、基本的に第1実施形態と同様の効果を得ることができ、マーキング部に相当する段差36p、36qをスリーブ3aの長手方向に間隔を開けて複数形成することにより、同一のスリーブ3aに対して図示例のインナー部材2とは異なる所定長さのインナー部材を用いた場合にも、そのインナー部材の後端面の位置がスリーブ3aの段差36qの位置に対応するようにスリーブ3aを打ち込んで適正な拡開状態を得ることが可能であり、長さが異なる複数種類のインナー部材2等を適用することができる。そして、長さが異なる複数種類のインナー部材2等のそれぞれを適用した場合について、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
また、マーキング部を段差36p、36qとすることにより、例えばスリーブ3aとなるワークを回転させて内周を切削することにより、簡単に且つ低コストでマーキング部を形成することができる。
〔第3実施形態のあと施工アンカー〕
本発明による第1実施形態のあと施工アンカー1bも、雌ねじタイプのスリーブ打込み式のものであり、図6に示すように、後側の筒部21bと前側のテーパ部22bを有する略円筒状のインナー部材2bを備え、筒部21bは第1実施形態の筒部21よりも短尺であり、テーパ部22bは前方に向かって漸次拡径する略截頭円錐形状に形成されている。インナー部材2bには、後端面23bから内部に雌ねじ孔24bが形成されており、雌ねじ孔24bは前端面25bまで貫通して形成されている。
非拡開状態におけるインナー部材2bの短尺の筒部21bの外周には、筒状のスリーブ3bが外装されている。スリーブ3bは、第1実施形態と同様に、スリーブ本体31と、スリーブ本体31の前側に設けられるスリット33で分割された拡開部32と、拡開部32の外面には形成された弧状溝34を有する。
スリーブ3bの拡開部32より後側の内周、換言すればスリーブ本体31の内周には、拡開状態におけるインナー部材2bの後端面23b等の適正な位置を示すマーキング部として内周に沿う周状の溝35r、35s、35tがスリーブ3bの長手方向に間隔を開けて複数形成されている。図示例の所定長さのインナー部材2bとスリーブ3bの組み合わせでは、インナー部材2bの後端面23bが最も前側の溝35rに対応する位置に配置されるようにスリーブ3bが打ち込まれることで、拡開部32の適正な拡開状態が得られるようになっている(図6(b)参照)。
そして、拡開部32が拡開されていない非拡開状態のあと施工アンカー1bでは、スリーブ3bの先端部分がインナー部材2bの筒部21bに着脱自在に外嵌されるようにして外装されており、スリーブ3bの拡開部32の先端部分がインナー部材2bの筒部21bに着脱自在に外嵌されることで、非拡開状態のあと施工アンカー1bが構成されている。また、第3実施形態のあと施工アンカー1bの施工、取付物4の取付の工程の手順には、第1実施形態とあと施工アンカー1と同様の手順を用いることができる。
第3実施形態によれば、基本的に第1実施形態と同様の効果を得ることができ、マーキング部に相当する溝35r、35s、35tをスリーブ3bの長手方向に間隔を開けて複数形成することにより、同一のスリーブ3bに対して図示例のインナー部材2bとは異なる所定長さのインナー部材を用いた場合にも、そのインナー部材の後端面の位置がスリーブ3bの溝35s又は溝35tの位置に対応するようにスリーブ3abを打ち込んで適正な拡開状態を得ることが可能であり、長さが異なる複数種類のインナー部材2b等を適用することができる。そして、長さが異なる複数種類のインナー部材2b等のそれぞれを適用した場合について、作業者の熟練度に依拠せずに、作業者があと施工アンカーを適正な拡開状態で確実に施工することができると共に、作業者以外の者がアンカー打設状態の施工確認を簡単かつ確実に行うことができる。
また、インナー部材2bの雌ねじ孔24bを前端面25bまで貫通して形成することにより、取付ボルトとの所定のねじの嵌め合い長さを確保しつつ、インナー部材2bの全長を短くすることができ、部品コストを低減することができる。
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものであり、下記変形例も包含する。
例えば本発明におけるマーキング部には、第1〜第3実施形態の内周に沿って形成された周状の溝35p等、内周に沿って周状に形成された段差36p等以外にも、拡開状態におけるインナー部材の後端面の適正な位置を示せるものであれば適用可能であり、例えばスリーブの内周の所定位置に形成された点状凹部、スリーブ内周の所定位置に貼付されたテープ、或いはスリーブ内周の所定位置に施された標示線等とすることが可能である。
また、所定幅をなすマーキング部を複数設けておく場合には、規程位置のマーキング部のある幅分だけ隠れた状態となるようにインナー部材の後端面がくるように打込むことが適正施工であるように設定しておいても良い。また、本発明のあと施工アンカーを打設する方向は、上方向、下方向、横方向、斜め上方向、斜め下方向など適宜である。
また、本発明のあと施工アンカーをコンクリート構造物に設置するあと施工アンカーの設置構造では、あと施工アンカーをそのスリーブの外径の少なくとも3倍以上の埋め込み深さで、さらに望ましくは4倍以上で、コンクリート構造物に打ち込んで設置することが好ましい。第1実施形態の変形例のあと施工アンカー1をスリーブ3の外径Dの3倍以上の埋め込み深さLでコンクリート構造物6に打ち込んで設置した構造の例を図7に示す。この変形例のあと施工アンカー1は、溝35pの前側に更なる溝35uを有すると共に、所定長さのインナー部材2の後端面23が溝35pに対応する位置に配置されるようにスリーブ3が打ち込まれることで、拡開部32の適正な拡開状態が得られる構成であること以外は基本例である第1実施形態のあと施工アンカー1と同じである。
このようにあと施工アンカー1等をスリーブ3等の外径Dの3倍以上の埋め込み深さLでコンクリート構造物6に打ち込むことにより、あと施工アンカー1等に螺合される取付ボルトに引抜方向の力が作用したときにコンクリートが破断することを確実に防止することができる。そして、取付ボルトに引抜方向の力が作用したときにインナー部材2等がスリーブ3等を拡開させる方向に力を作用させる効果を確実に得ることができ、取付ボルト自体が破断するまで安定的な引張強度を確実に発現させることができる。
なお、あと施工アンカー1等をスリーブ3等の外径Dの3倍以上の埋め込み深さLでコンクリート構造物6に打ち込む際には、インナー部材2等の後端面23等に適正な埋め込み深さを示す目印となる埋込深さマーキングを設けると好適である。図8はあと施工アンカー1のインナー部材2の後端面23に、半径方向に筋状に形成された3個の埋込深さマーキング26を周方向に所定間隔を開けて刻設したものである。図示例では、周方向に略90度の間隔を開けて3個の埋込深さマーキング26が刻設されている。埋込深さマーキング26は、埋め込み深さLが外径Dの3倍以上を仕様とする所謂3D仕様のアンカーでは3個、埋め込み深さLが外径の4倍以上を仕様とする所謂4D仕様のアンカーでは4個というように設定し、適正な埋め込み深さLを示すようにする。
この埋込深さマーキング26は、インナー部材2の後端面23に設けられていることにより、アンカー打ち込みの為にスリーブ3の後端面を打撃しても擦れて消失する懸念がない。もちろん、スリーブ3を打ち込んで拡開させ施工完了状態となった際にも、穿孔61内で孔壁との間に埋設されてしまうことなく、スリーブ3内を覗き込むことにより確認可能である。従って、作業者以外の者が、スリーブ3内でインナー部材2の後端面23の位置と溝35p等の位置の対応状態を確認して適正な施工状態であることを確認する際に、同時に、適正な埋込深さであと施工アンカー1が打設されていることを確認することができる。これにより、スリーブの外径Dが同じでも任意の長さのインナー部材を用いることがある雌ねじタイプのスリーブ打込み式アンカーにおいて、より一層適正な施工管理を行うことが可能となる。
本発明は、例えば橋梁やトンネル等のコンクリート構造物にあと施工アンカーを設置する場合や、あと施工アンカーにより取付物をコンクリート構造物に取り付ける場合に利用することができる。
1、1a、1b…あと施工アンカー 2、2b…インナー部材 21、21b…筒部 22、22b…テーパ部 23、23b…後端面 24、24b…雌ねじ孔 25b…前端面 26…埋込深さマーキング 3、3a、3b…スリーブ 31…スリーブ本体 32…拡開部 33…スリット 34…弧状溝 35p、35q、35r、35s、35t、35u…溝 36p、36q…段差 4…取付物 5…取付ボルト 51…雄ねじ部 6…コンクリート構造物 61…穿孔 62…表面 71…打込棒 72…ハンマー 110…あと施工アンカー 111…テーパボルト 112…雄ねじ部 113…テーパ部 114…スリーブ 115…スリット 116…拡開部 117…ナット 120…あと施工アンカー 121…コーン 122…テーパ部 123…スリーブ 124…スリット 125…拡開部 126…雌ねじ部 130…あと施工アンカー 131…インナー部材 132…テーパ部 133…筒部 134…雌ねじ孔 135…スリーブ 136…スリット 137…拡開部 141…取付ボルト 142…取付物 143…コンクリート構造物 144…空間 D…スリーブの外径 L…埋め込み深さ M…ねじの嵌め合い長さ

Claims (4)

  1. 後側の筒部と前側のテーパ部を有し、後端面から内部に雌ねじ孔が形成されているインナー部材と、
    前側にスリットで分割された拡開部を有し、前記筒部に外装されるスリーブとを備えるスリーブ打込み式のあと施工アンカーであって、
    前記スリーブの前記拡開部より後方の内周に、拡開状態における前記インナー部材の前記後端面の適正な位置を示すマーキング部が設けられ
    前記マーキング部が前記スリーブの長手方向に間隔を開けて複数形成されていることを特徴とするあと施工アンカー。
  2. 後側の筒部と前側のテーパ部を有し、後端面から内部に雌ねじ孔が形成されているインナー部材と、
    前側にスリットで分割された拡開部を有し、前記筒部に外装されるスリーブとを備えるスリーブ打込み式のあと施工アンカーであって、
    前記スリーブの前記拡開部より後方の内周に、拡開状態における前記インナー部材の前記後端面の適正な位置を示すマーキング部が設けられ、
    前記マーキング部が溝若しくは段差であることを特徴とするあと施工アンカー。
  3. 前記インナー部材の前記雌ねじ孔が前端面まで貫通して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のあと施工アンカー。
  4. 請求項1〜の何れかに記載のあと施工アンカーの設置構造であって、
    前記あと施工アンカーが前記スリーブの外径の3倍以上の埋め込み深さでコンクリート構造物に打ち込まれていることを特徴とするあと施工アンカーの設置構造。
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