JP7158618B1 - 耐酸化性に優れたオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金およびその製造方法 - Google Patents

耐酸化性に優れたオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過酷な高温下においても耐酸化性に優れたオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.004~0.13%、Si:0.15~1.0%、Mn:0.03~2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.003%、Ni:20.0~38.0%、Cr:18.0~28.0%、Mo:≦1.0%、Cu:≦1.0%、N:≦0.03%、B:≦0.01%、Al:0.10~1.0%、Ti、Zrの少なくとも一方をTi:0.10~1.0%、Zr:0.01~0.6%、O:0.0002~0.0030%、Ca:≦0.002%、希土類(REM)のLa、Ce、Yのいずれか一種または二種以上の総重量:0.001~0.010%を含有し、残部がFeおよび不可避的な不純物からなる成分組成からなり、各元素の質量%が特定の式で定められる関係を満足するオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。【選択図】図1

Description

本発明はオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金に関し、高温環境下における耐酸化性に優れるオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金に関するものである。
火力発電ボイラや化学プラント、ポリシリコン精製用反応炉は、700~900℃の過酷な高温環境下にて使用されることから、これらに適用される材料には、高温強度や耐高温腐食性、耐酸化性に優れることが求められる。特に、耐酸化性に関しては、上記高温環境下において材料表面に形成するCrを主体とした保護性の表面酸化スケールが緻密であり、かつ材料との密着性が高いことが要求特性の一つとして挙げられる。上記高温環境下にて使用される設備等に用いられる材料として、Fe-Cr-Ni合金が着目されている。このうち、SUS304やSUS316、SUS347といった18-8系ステンレス鋼では上記の使用環境において十分な特性を有していないため、NiやCrの含有量をさらに高めたSUS310SやNCF800などが一般的に用いられている。
このような過酷な使用環境で用いられる材料の高温諸特性を改善する技術として、例えば、特許文献1には、ステンレス鋼にREM(Rare Earth Metal、希土類金属)を微量添加し、加えてNi含有量、REM添加量に応じてMn含有量の上限を規定することで鋼板表面に生成するCr酸化皮膜の成長速度を抑制するオーステナイト系ステンレス鋼板が提案されている。また、特許文献2には、鋼材中のCr、Ni含有量に対応したSiの含有量を規定することで鋼材表面に生成するCrの密着性を高めた改質器用耐熱鋼材が提案されている。
しかしながら、上記特許文献に開示された技術において、いずれも材料中のREM、またはCrと化合物を形成しうるSの影響に関する検討がなされておらず、優れた耐酸化性が求められる上記高温環境下への適用は不十分と考えられる。なおかつ、REMの中には各種元素があり、そのいずれが効果を発揮するかについても言及がなく、現実的には実行は困難であった。
加えて、上記特許文献のいずれにおいても耐酸化性における内部酸化物層の影響に関する検討もなされていないため、上記の過酷な高温環境下で適用される技術においては不十分と考えられる。
さらに近年では、Ti、Al、REMの複合添加によるクリープ強度と、耐応力緩和割れ性とに優れたNi-Cr-Fe合金が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、本合金は実験室的に高周波誘導炉にて成分を整え、鋼塊を得て熱延工程に供するといった製法であり、到底60トン規模を代表とするような大量生産は出来ないものであった。さらに、REMは全て効果的であると述べているに対して、Ndの添加が主体であり、その他ではCe、La、Yを一部の合金で添加したのみである。さらに大きな課題として、S、Oを除去する工程を持たず、原料を厳選せねば達成できなかった。そのため、場合によってはREMが酸化や硫化してしまい、元々の目的をも達成しがたい工業的には脆弱性を拭えない提案であった。したがって、REMを添加してクリープ強度を向上させた合金を迅速かつ的確に、工業的な規模で提供できるとは言い難かった。
特開2003-171745号公報 特開2002-256398号公報 再表2018-066579号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、過酷な高温環境下においても耐酸化性に優れたオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金を提案することにある。
発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。これまでにREMのうちLa、Ce、Yの添加によって高温環境下で合金表面に生成する表面酸化スケールの密着性が改善されることは知見として得られていたが、7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で 室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験にて評価する耐酸化性への寄与に関しては十分な知見が得られていなかった。そこで、La、Ce、Yと合金中に含まれるその他の含有元素の相関関係を詳細に調査した。その結果、耐酸化性向上のためにはLa、Ce、Yの添加が極めて有効であること、その他の元素としてSi、Ni、Cr、Al、Ti、Zrも有効であることが明らかとなった。一方、S、Mo、Bの含有によって上記耐酸化性向上の作用が阻害されることが明らかとなった。これより、REM添加の作用を十分に確保するためにはSi、Ni、Cr、Al、Ti、Zr、S、Mo、Bの制御が必要であることを見出した。
加えて、高温環境下において表面に形成する保護性の酸化スケールの直下にてCr、Si、Mn、Al、Ti、La、Ce、Yの酸化物からなる内部酸化物層が形成するが、内部酸化物層の形成挙動を詳細に調査した結果、内部酸化物層の面積率が高温酸化試験における酸化減量と良い相関関係があることを見出した。具体的には、表面酸化スケール直下の内部酸化物層内の0.005mmにおいて、内部酸化物の面積率が30%以上を占めた場合に耐酸化性の向上が見られた。これら内部酸化物層の形成挙動と合金元素との関係を調査したところ、La、Ce、Y、Si、Cr、Al、Tiが有効であり、一方でS、Mn、Nの含有は上記内部酸化物層の形成挙動を阻害することが明らかとなった。これより、内部酸化物層制御による耐酸化性向上の作用を得るためには、La、Ce、Y、Si、Cr、Al、Ti、S、Mn、Nを制御する必要があることを見出した。
さらに、合金元素合金中に含有されたREMであるLa、Ce、Yいずれかの一種または二種以上の総重量(mass%)に、合金中に含まれるSの含有量(mass%)を除した値が、高温酸化試験における酸化減量と良い相関関係にあることを見出し、これにより得られる特性式が3.2≦REM/Sであることを明らかにした。
また、高温環境下で形成する表面酸化スケール形態に着目して検討を重ねたところ、7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で 室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験において形成した表面酸化スケールの厚みが10~100μmの範囲で形成された場合に表面酸化スケールが緻密に形成され、密着性が優れており、試験後の酸化減量においても良好な結果を示した。
すなわち、本発明のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金は、質量%でC:0.004~0.13%、Si:0.15~1.0%、Mn:0.03~2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.003%、Ni:20.0~38.0%、Cr:18.0~28.0%、Mo:≦1.0%、Cu:≦1.0%、N:≦0.03%、B:≦0.01%、Al:0.10~1.0%、Ti、Zrの少なくとも一方をTi:0.10~1.0%、Zr:0.01~0.6%、さらに、O:0.0002~0.0030%、Ca:≦0.002%、希土類元素(REM)であるLa、Ce、Yのいずれか一種または二種以上の総重量:0.001~0.010%を含有し、残部がFeおよび不可避的な不純物からなる成分組成からなり、かつ下記の(1)、(2)式を満足することを特徴としている。
85≧0.3×Si+1.5×Ni+1.3×Cr+5.8×Al+7.7×Zr+2.7×Ti+2173×REM―3582×S―32.9×Mo―2448×B≧47 …(1)
40≧0.6×Si+1.3×Cr+23.53×Al+5.88×Ti+3074×REM―5067×S―0.8×Mn―816×N≧0 …(2)
また、本発明のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金は、上記希土類元素(REM)であるLa、Ce、Yのいずれか一種または二種類以上が下記の(3)式を満足することを特徴としている。
3.2≦ REM(La、Ce、Y) / S …(3)
本発明のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金においては、上記の成分組成に加えて、7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験にて形成される表面酸化スケールの組成が、質量%でCr:40%以上、Fe:10~20%、Ni:0~10%、O:10~40%、REM:0.05~0.5%、残部は不可避的元素としてMn、Si、Tiを含有しており、スケール厚みが10~100μmの厚さを有することを特徴としている。
さらに、上記表面酸化スケールの直下に形成する内部酸化物層がCr、Si、Mn、Al、Ti、REMを少なくとも一種類以上含有した内部酸化物で構成されており、このときの内部酸化物層の面積率が表面酸化スケールの直下0.005mmあたり30%以上を有していることを特徴とする。
また、本発明は、上記オーステナイト系Fe-Ni-Cr合金の製造方法も提案する。すなわち、合金組成は、合金原料を溶解した後、精錬を行うことによって調整を行い、精錬では溶解させた合金原料(溶融合金)に酸素およびアルゴンの混合ガスを吹き込み脱炭し、窒素濃度を0.03%以下に制御した後、Cr還元し、その後、アルミニウム、石灰石および蛍石を溶融合金に添加して、CaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを形成し、溶融合金中の酸素濃度を0.0002~0.0030mass%とし、その後にLa、Ce、Yのいずれか一種または二種以上含んだ原料を添加し成分を整えて、鋳造を行い、スラブを得てから熱間圧延工程にてコイルを製造するものである。
本発明によれば、高温環境下における優れた耐酸化性を有しており、製品の高寿命化にも大いに寄与することができる。
本発明の一実施形態に係るFe-Cr-Ni合金板の高温酸化試験における表面構造を説明するための模式図である。
次に本発明のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金が有すべき組成成分について説明する。
C:0.004~0.13mass%
Cはオーステナイト相の安定化に寄与する元素である。しかし、多量に添加した場合は、CrおよびMo等と結合して炭化物を形成し、その近傍の固溶Crの量が低下し、耐酸化性を低下させる。一方、Cは固溶強化によって合金強度を高める効果を有することから、下限値を0.004mass%とする。よって、Cは0.004~0.13mass%に制限する。好ましくは0.005~0.080mass%であり、より好ましくは0.006~0.070mass%である。
Si:0.15~1.0mass%
Siは耐酸化性の向上、酸化皮膜の剥離防止に有効な元素であり、上記効果は0.15mass%以上の添加により得られる。しかし、Siの過剰な添加はσ相などの金属間化合物の析出を促進し、金属間化合物起因の表面疵を発生させる原因ともなるので、0.15~1.0mass%とする。好ましくは0.16~0.8mass%以下であり、より好ましくは0.17~0.6mass%以下である。
Mn:0.03~2.0mass%
Mnはオーステナイト相安定化元素であり、また、脱酸作用を有する元素でもあるため、その効果を得るためには少なくとも0.03mass%以上は必要である。しかし、MnもSiと同様にσ相などの金属間化合物の析出を招き、また、耐酸化性の低下を招くため、必要以上の添加は好ましくない。そのため、0.03~2.0mass%にする必要がある。好ましくは0.03~1.50mass%、より好ましくは0.03~1.00mass%である。
P:0.040mass%以下
Pは不純物として不可避的に混入してくる元素であり、リン化物として結晶粒界に偏析するため熱間加工性を害する元素である。従って、極力低減することが望ましい。しかしながら、Pの含有量を極端に低減させることは製造コストの増加を招く。よって本発明においては、Pは0.040mass%以下に制限する。好ましくは0.030mass%以下であり、より好ましくは0.020mass%以下である。
S:0.003mass%以下
SはPと同様に不純物として不可避的に混入してくる元素であり、結晶粒界に偏析し易く、特に熱間加工性を著しく阻害する。さらに、後述の耐酸化性に寄与するCrと化合物を形成することにより表面酸化スケール形成に必要なCrが消費されてしまい、酸化皮膜と母材の密着性を低下させることで酸化皮膜を脱落させ、酸化を促進させてしまうことから、耐酸化性に有害な元素である。0.003mass%を超えて含有するとその有害性が顕著に現れるため、0.003mass%以下に制御する必要がある。好ましくは0.002mass%以下、より好ましくは0.001mass%以下である。Sの低下には後述する通り、Alの添加とスラグ成分の間での反応により低下することが可能である。
Ni:20.0~38.0mass%
Niはオーステナイト相安定化元素であり、σ相などの金属間化合物の析出を抑制させる働きがある。また、耐熱性や高温強度を向上させる作用も有している。上記の効果を十分に作用させるため、20mass%以上添加させる。一方、過剰な添加は熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増大、更にはコストの増加を招く。よって、Ni含有量は20.0~38.0mass%である。好ましくは21.0~36.0mass%、より好ましくは22.0~35.0mass%である。
Cr:18.0~28.0mass%
Crは高温環境下における腐食の抑制に寄与する元素であり、また、高温環境下で合金表面に保護性の酸化皮膜を形成し、高温酸化を抑制する効果もある。上記のような効果を十分得るには18.0mass%以上含有する必要がある。しかしながら、Crの過剰な添加は、表面酸化スケールが過大に形成されてしまい、かえって密着性が乏しく耐酸化性が悪化してしまう。加えて、オーステナイト相の安定性が低下し、Niを多量に添加する必要がでてくるので、18.0~28.0mass%とした。好ましくは19.0~26.0mass%、より好ましくは20.0~25.0mass%である。
Mo:1.0mass%以下
Moは少量の添加でも合金中に固溶して、高温強度を高める効果がある。しかし、Moを多量に添加した材料では、高温環境下でかつ表面の酸素ポテンシャルが少ない場合において、Moが優先酸化を起こして酸化スケールの剥離が生じるため、むしろ悪影響となる。そのため、保護性の表面酸化スケールの密着性確保の観点から、Moは1.0mass%以下に制限する。好ましくは0.8mass%以下であり、より好ましくは0.6mass%以下である。
Cu:1.0mass%以下
Cuは湿潤環境下における耐食性を向上させる元素として添加される場合はあるが、本発明のように高温環境下においては、その効果はほとんど認められない。一方、過剰な添加は材料表面に斑状の模様を有した不均一な被膜を形成して、耐食性を低下させる。従って、Cuの添加量は1.0mass%以下に制限する。好ましくは0.8mass%以下、より好ましくは0.6mass%以下である。
N:0.03mass%以下
Nは不純物として不可避的に混入してくる元素であるが、オーステナイト相生成元素でもあるため、組織安定化に寄与する。しかし、本発明のようにAlやTi、Zrなどを添加する場合、Nはこれらの元素と結合して窒化物の析出し、また熱間変形抵抗が極めて増加し、熱間加工性を阻害する。また、上記窒化物の形成により、表面酸化スケール直下に形成する内部酸化物の構成元素であるAlやTiが消費されしまうため、内部酸化物層の面積率を低下させてしまう。そこで、本発明では、Nの含有量は0.03mass%以下とした。好ましくは0.02mass%以下、より好ましくは0.01mass%以下である。
脱炭を行う際に酸素を吹精するが、その際、Nは、COガス気泡に窒素ガスとして移行し系外へと除去することで本願発明の範囲に制御することが可能である。
B:0.01mass%以下
Bは粒界偏析により希土類元素(REM)の効果を補助する効果があり、高温強度にも寄与する元素である。しかし、多量の添加は表面酸化スケールのポーラス化による密着性低下や合金の溶接性、熱間加工性が低下する。本発明では、Bの含有量は0.01mass%以下とした。好ましくは0.008mass%以下、より好ましくは0.006mass%以下である。
Al:0.10~1.0mass%
Alは緻密な黒色皮膜の形成を促し、耐酸化性を向上させる元素であり、その効果はそれぞれ0.10mass%以上の添加で得ることができる。また、脱酸材として添加される元素であり、(a)式に従って酸素濃度を本願発明の範囲:0.0002~0.0030mass%に制御する重要な元素である。
Al + 3 = (Al) …(a)
下線は溶鋼中元素を表し、括弧はスラグ中成分を示す。
本願発明合金の精錬時にCaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを用いることで、生成したAl2O3を効果的に吸収して酸素濃度を制御することが可能である。また、脱酸が進行することで、(b)式に従い溶鋼中のS濃度も低下する。
Al + 3 + 3(CaO) = 3(CaS) + (Al) …(b)
これによって、S濃度を本願発明の範囲である0.003mass%以下に制御できる。これより、Alは0.10mass%以上が必要である。しかし、過剰な添加は(c)式が著しく右辺に向かって進行してしまい、Ca濃度が0.002mass%を超えてしまい、Ca-Al酸化物系介在物を多く形成し、合金中のAlを消費することにより耐酸化性を低下させてしまう。
3(CaO) + 2Al= 3Ca + (Al) …(c)
これより、Alの上限は1.0mass%とした。好ましくは0.10~0.80mass%、より好ましくは0.10~0.60mass%である。
上述のAlと同様、Ti、Zrは緻密な黒色皮膜の形成や耐酸化性向上に有効に作用するため、1種または2種の添加が必要である。
Ti:0.10~1.0mass%
Tiは緻密な黒色皮膜の形成を促し、耐酸化性を向上させる元素であり、その効果は0.10mass%以上の添加で得ることができる。しかし、過剰な添加は多量の炭窒化物(TiN、TiC、TiCN)形成による表面疵の発生原因となるため、Tiの上限は1.0mass%とした。好ましくは0.10~0.80mass%、より好ましくは0.10~0.60mass%である。さらに、CとN濃度を上記の通り本願発明の範囲に制御することも効果的に炭窒化物を抑制する手段である。
Zr:0.01~0.6mass%
ZrはTiの同族元素であり、Tiと同様、緻密な黒色皮膜の形成や耐酸化性向上に 有効に作用するので、Tiの代替元素としても使用できる。その効果は、Tiよりも優れているため少量の添加でも効果があるが、過剰な添加は多量の炭窒化物形成による表面疵の発生の原因となるため、上限は0.6mass%に制限する。好ましくは0.01~0.4mass%、より好ましくは0.05~0.3mass%の範囲である。
O:0.0002~0.0030mass%
合金中のOは溶鋼中でAl、Ti、Zr、Si、La、Ce、Yと結合し、酸化物を形成することにより、それら元素の有用な効果、耐酸化性などを損なう原因となる。また、アルミナ系の酸化物系非金属介在物が多く形成し、連続鋳造機のタンディッシュから鋳型に溶鋼を注ぐ浸漬ノズル内に付着し、それらが脱落することにより表面疵の原因となる。これより、酸素濃度は0.0030mass%以下と低いほうが望ましい。この範囲を達成するには、Alを上述の通りに本願発明の濃度に制御して脱酸すれば良い。一方で合金中のOを低減しすぎると、(c)式に従い、Ca濃度が0.002mass%を超えて高くなってしまう。これより、下限は0.0002mass%とする。好ましくは0.0003~0.0027mass%、より好ましくは0.0005~0.0025mass%である。
Ca:0.002mass%以下
Caは本発明合金において、上述の通りスラグ中CaOから混入する元素である。CaはCa-Al酸化物系介在物を多く形成し、合金中のAlを消費することにより耐酸化性を低下させるため低く抑える必要がある。そのためには、Al濃度は0.10~1.00mass%に制御して、酸素濃度を0.0002~0.0030mass%にする必要がある。これより、Caは0.002mass%以下にする必要がある。
希土類元素(REM)であるLa、Ce、Yいずれかの一種または二種以上の総重量:0.001~0.010mass%
REM(La、Ce、Y)は合金の熱間加工性や表面酸化スケールと母材表面の密着性を高め、耐酸化性を向上させる効果があり、微量でも顕著な効果が得られる。さらに、合金中に固溶しているSと化合物を形成することにより、表面酸化スケールの構成元素であるCrとSとの化合物の形成を抑制、局所的なCr量低減を防止できる効果が期待できる。また、REMは一般的に複数のREMを含有した合金であるミッシュメタルとして原料に使用されるが、REMのいずれか一種を含有したFe-Ni合金を使用する場合もある。しかし、過剰な添加は合金の熱間加工性および溶接性が低下し、REM系介在物が過剰に形成することによりかえって表面酸化スケールの密着性が低下する。さらに、連続鋳造時にイマースノズルの閉塞を引き起こし製造性が著しく悪化する。これより本発明では、REMの添加量は0.001~0.010mass%とした。好ましくは0.002~0.009mass%、より好ましくは0.003~0.008mass%である。
85≧0.3×Si+1.5×Ni+1.3×Cr+5.8×Al+7.7×Zr+2.7×Ti+2173×REM―3582×S―32.9×Mo―2448×B≧47…(1)
(1)式は、Fe-Cr-Ni合金の耐酸化性において、合金表面に形成する表面酸化スケールに影響する元素について、その影響の程度を重回帰分析により式として表したものである。Si、Ni、Cr、Al、TI、Zr、REM(La、Ce、Y)は7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温と700~900℃程度の高温を繰り返すようなサイクル試験で評価される耐酸化性を向上させる。一方でSは酸化皮膜と母材の密着性を低下させることで酸化皮膜を脱落させ、酸化を促進させてしまう。Moは含有量が多い場合に高温環境下でかつ表面の酸素ポテンシャルが少ない場合において、Moが優先酸化を起こして酸化スケールの剥離が生じてしまう。またBは含有量が多い場合、合金の酸化スケールをポーラス状とするため、高温時における酸化速度が増大し、スケールの増大と剥離を促進させてしまう。加えて、耐酸化性向上に寄与する合金元素の過剰な添加は表面酸化スケールの成長過多によりかえって密着性が低下し、表面疵発生の原因となる介在物が多量に生成されるため好ましくない。そのため、これら元素は(1)式に基づいて下限を47以上、上限を85以下とする。好ましくは48以上、84以下であり、より好ましくは50以上、83以下である。
40≧0.6×Si+1.3×Cr+23.53×Al+5.88×Ti+3074×REM―5067×S―0.8×Mn―816×N≧0…(2)
(2)式は、Fe-Cr-Ni合金の耐酸化性において、表面酸化スケールの直下に形成する内部酸化物層の形成挙動に影響する元素について、その影響の程度を回帰分析により式として表したものである。REM、Si、Cr、Al、Tiは7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温と700~900℃程度の高温を繰り返すようなサイクル試験で合金表面に形成する酸化スケールの直下に形成する内部酸化物層においてそれぞれ内部酸化物を密に形成し、酸素の内方拡散抑制による酸化速度低減および耐酸化性を向上させる。一方でSはCrと化合物を形成することにより、内部酸化物およびそれが遷移して表面酸化スケールを形成する際に必要なCrが消費されてしまう。またMnは同様に内部酸化物を形成するが、多量に含有量が多い場合はかえって耐酸化性が低下してしまう。Nは耐酸化性向上に寄与するAlとTiとAlN、TiNをそれぞれ形成し、Al、Tiの効果を減じてしまう。加えて、耐酸化性向上に寄与する合金元素の過剰な添加は表面疵発生の原因となる介在物が多量に生成されるため好ましくない。そのため、これら元素は(2)式に基づいて下限を0以上、上限を40以下とする。好ましくは10以上、39以下であり、より好ましくは20以上、38以下である。
3.2≦ REM / S…(3)
合金の熱間加工性および耐酸化性を向上させる効果を十分に得るための指標として、希土類元素(REM)と化合物を形成するSとの含有量の関係が、3.2≦REM/Sを満足することにより、Sを介在物として固定するのに十分なREM含有量を有し、上記の効果を得ることができる。一方、3.2未満ではREMの効果が十分に得られないため望ましくない。
表面酸化スケールとその直下に形成する内部酸化物層の定義
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るFe-Cr-Ni合金板は上記(1)式、(2)式、および(3)式を満足する成分組成を有するFe-Cr-Ni合金を素地BMとしている。7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験において本発明のFe-Cr-Ni合金母材の表面にCr酸化物を主体とした酸化スケールが、併せてスケール/合金界面直下にはCr、Si、Mn、Al、Ti、REMを少なくとも一種類以上含有した内部酸化物層がそれぞれ形成する。このとき、同図において表面酸化スケールの厚みは上記試験後の断面ミクロ組織観察において、表面酸化スケールの最表層からスケール/合金界面までの領域LEを示し、内部酸化物層の厚みはGDS分析において酸素強度がスケール/合金界面での強度ピークに対して1/4となる位置までの領域LIを示す。また、後述の内部酸化物層面積率の測定範囲は上記スケール/合金界面を上端とした界面方向0.05mmと深さ方向0.1mmの範囲で囲った0.005mm2内におけるCr、Si、Mn、Al、Ti、REMを少なくとも一種類以上含有した内部酸化物の面積率を測定する。
7%O ―16%H O―10%CO ―0.5%CO―0.1%NO ―bal.N からなる混合ガス雰囲気中で室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験にて形成される表面酸化スケールが10~100μmの厚さを有すること
本発明のFe-Cr-Ni合金においては7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験において合金母材の表面にCr酸化物を主体とした酸化スケールを形成し、上記高温環境中における耐酸化性を得る。このとき、表面酸化スケールの厚みが10μm未満の場合は十分な耐酸化性が得られず、一方で100μmを上回ると表面酸化スケールの剥離性が増加してしまい、表面酸化スケールと母材表面の密着性が損なわれる。これより、上記高温環境中において形成する保護性の表面酸化スケールは10~100μmの厚さが必要となる。好ましくは12~90μm、より好ましくは12~80μmである。
[表面酸化スケール直下の内部酸化物層面積率]:≧30%/0.005mm
高温環境下に暴露された際、合金表面には層状の表面酸化スケールが、併せてスケール/合金界面直下には内部酸化物層がそれぞれ形成する。内部酸化物層は外層の表面酸化スケールに遷移する前のCr系酸化物および、Si、Mn、Al、Ti、REMを少なくとも一種類以上含んだ酸化物で構成される。酸化反応において、高温環境下に存在する酸素が合金内部へと拡散する際に内部酸化物中を通る場合と合金母材を通る場合では酸化物中を通るほうが遅い。これより、内部酸化物層の面積率が十分に確保されれば酸素の内方への拡散を抑制できる。本発明では、内部酸化物層0.005mm内における内部酸化物の面積率が30%以上となることで上記の効果が十分に得ることができる。一方、面積率が30%未満の場合では上記の効果が十分に得られないため望ましくない。
上記(1)式の限定式の特定方法は、以下の通りである。
Fe-30%NI-20%Cr―0.8%Mnを基本組成とし、これのSi、Ni、Cr、Al、Ti、Zr、La、Ce、Y、B、Mo、Sの添加量を変化させた各種合金を真空溶解炉で溶製し、熱間鍛造の後、8mmt×80mmwの熱間鍛造板を作製した。得られた熱間鍛造板を1200℃×10分の条件で固溶化熱処理、表面研削後に冷間圧延にて2mmtとした後、1150℃×1分の条件で固溶化熱処理を行った。その後、20mm×30mmに切断し、表面を湿式研磨#320で仕上げて試験片とした。得られた試験片を7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で900℃×10分、700℃×10分、900℃×10分、室温×20分を1サイクルとした繰り返し酸化試験を行った。200サイクル後の試験片について、剥離したスケール重量を除いた質量変化を試験前の表面積で除した値で評価した。
上記試験結果から、Fe-Cr-Ni合金の耐酸化性への添加元素の影響度合いが明らかとなり、重回帰分析により求めたのが、(1)式で表される成分組成の関係式であり、47以上85以下とすることで、十分な耐酸化性を有することがわかる。
上記(2)式の限定式の特定方法は、以下の通りである。
Fe-30%Ni-20%Cr―0.2%Zrを基本組成とし、これのSi、Cr、Al、Ti、La、Ce、Y、N、Mn、Sの添加量を変化させた各種合金を真空溶解炉で溶製し、熱間鍛造の後、8mmt×80mmwの熱間鍛造板を作製した。得られた熱間鍛造板を1200℃×10分の条件で固溶化熱処理、表面研削後に冷間圧延にて2mmtとした後、1150℃×1分の条件で固溶化熱処理を行った。その後、20mm×30mmに切断し、表面を湿式研磨#320で仕上げて試験片とした。得られた試験片を7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で900℃×20分、700℃×10分、900℃×10分、室温×20分を1サイクルとした繰り返し酸化試験を行った。200サイクル後の試験片を切断し断面を観察できるようCuメッキ処理を施した後に埋没試料を作製、湿式研磨を行い、最終的にバフ研磨で仕上げ鏡面とし観察に供した。これをFE-SEMで断面ミクロ組織観察、付属のEDSで酸化物の同定と内部酸化物層の面積率を測定した。面積率は表面酸化スケール直下の内部酸化物層内の0.005mmにおいて×2000倍で観察したSEM像から求めた。塊状の酸化物は2辺の長さを測定し円近似しその面積を求めた。線状の酸化物は長辺、短辺を測定し、長方形として面積を求めた。これにより、表面酸化スケール直下の観察面積0.005mmにおける内部酸化物層の面積率として評価した。面積率は30%以上であることが好ましい様態としている。
上記試験結果から、Fe-Cr-Ni合金の耐酸化性における内部酸化物層の形成挙動に対する添加元素の影響度合いが明らかとなり、重回帰分析により求めたのが、(2)式で表される成分組成の関係式であり、0以上40以下とすることで、十分な耐酸化性を有することがわかる。
次に、本発明のオーステナイト系Fe-Cr-Ni合金の製造方法について説明する。
本発明のオーステナイト系Fe-Cr-Ni合金は、鉄屑、ステンレス屑、フェロニッケル、フェロクロムなどの原料を電気炉で溶解し、AOD(Argon Oxygen Decarburization)炉またはVOD(Vacuum Oxygen Decarbutization)炉にて、酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬し、生石灰、Fe-Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、その後La、Ce、Yのいずれか一種を含有したNi基合金を添加した。CaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを用いる理由は、上記の通り、脱酸、脱硫を効果的に実行できるためであり、さらにREM添加時にREMが酸化、硫化させずに効果的に添加できる点にある。この際、スラグ中CaO濃度は、40~80%の範囲が望ましい。つまり、40%未満では上記の脱硫反応が進行しない。80%以上ではCaが溶鋼中に0.002%を超えて混入させてしまう。また、Al濃度は50%以下が望ましい。その理由は、スラグ中のアルミナ活量が低くないと脱酸が進行し難く、ひいては脱硫も困難となるからである。精錬後、連続鋳造機にてスラブを製造し、その後、上記鋼片を、熱間圧延し、あるいは、さらに冷間圧延して、薄鋼板、厚鋼板、形鋼、棒鋼、線材等の各種鋼材とするのが好ましい。連続鋳造機に限定されるものではなく、造塊-分塊圧延法で鋼片としても良い。
スクラップ、フェロクロム、フェロニッケル、ステンレス屑などを所定の比率に調整した原料を、70トン規模の電気炉にて溶解し、AOD炉またはVOD炉にて酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬した。その後、生石灰、Fe-Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを形成して脱酸および脱硫した。その後、Ni―20%La、Ni―20%Ce、ならびにNi―20%Yのいずれか一種または二種以上を所定量添加し、連続鋳造法で鋳片とした。表1に示した種々の成分組成に調整した後、連続鋳造して鋼片(スラブ)とした。表1中に示した各成分は以下の通り測定した。
(1)C、Sの組成は、炭素・硫黄同時分析装置(酸素気流中燃焼-赤外線吸収法)を用いて測定した。
(2)Nの組成は、酸素・窒素同時分析装置(不活性ガス-インパルス加熱溶融法)を用いて分析した。
(3)C、S、N以外の組成、ならびにスラグ成分は蛍光X線分析を用いた検量線法により分析した。
Figure 0007158618000002
次いで、上記鋼片(スラブ)を8mmまで熱間圧延し、冷間圧延、熱処理および酸洗を繰り返して板厚2~3mmの冷延コイルを製造した。最終焼鈍温度は1150℃で1分間行った。その板より幅:20mm、長さ:30mm、厚さ:2mmの試験片を採取した。
<高温酸化試験>
高温環境下の耐酸化性を評価するため、上記試験片の表面を#320のエメリー紙で湿式研磨したものを用意し、高真空雰囲気熱処理炉を用いて5.0×10―3Paまで真空引きを行ったのち7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で900℃×10分、40℃/minの降温速度で温度調整した後700℃×10分、40℃/minの昇温速度で温度調整した後900℃×10分、その後室温×20分を1サイクルとした繰り返し酸化試験を行った。200サイクル後の試験片について、剥離したスケール重量を除いた質量変化を試験前の表面積で除した値(mg/cm)を酸化減量として評価した。酸化減量が50mg/cm未満のものを耐酸化性良好(○)、50mg/cm以上のものを耐酸化性不良(×)と判定した。併せて、試験後の断面ミクロ組織観察を行い表面酸化スケールの厚みと直下に形成した内部酸化物層の面積率を測定した。
Figure 0007158618000003
表1、2に示したNo.1~17までの鋼板は本発明の条件を満たす発明例であり、優れた耐酸化性を有していた。一方、No.18~37までの鋼板は比較例である。
No.18の鋼板はAlの含有量が低かったため(2)式を満足せず、スラグ中アルミナ濃度も54%と高く脱酸も弱くなってしまったことにより酸素濃度が高くなり、耐酸化性に有用な元素が酸化物を形成することから耐酸化性に劣った。またC含有量も高いため表面疵の原因となる介在物が形成されてしまい、表面品質に劣ってしまった。
No.19の鋼板はSiの含有量が高くなってしまったためσ相などの金属間化合物起因による表面疵が発生し、さらにMnの含有量が高いことから(2)式を満足せず、耐酸化性に劣ってしまった。
No.20の鋼板はNi含有量が低かったため(1)式を満足しない。また、Alの含有量が高いため、表面疵の原因となる多量の炭窒化物が形成されてしまい、表面品質に劣った。さらに、スラグ中CaO濃度も85%と高かったことと、酸素濃度が低すぎた結果、Ca濃度が高くなりCa-Al酸化物系介在物を多く形成してしまい、Alの効果を失ってしまった。
No.21の鋼板はB含有量が高かったため、(1)式を満足せず耐酸化性に劣った。また、スラグ中Al濃度が52%と高く、CaO濃度が28%と低くなってしまったため、O含有量が高くなり浸漬ノズル中にアルミナ系介在物が付着して、それらが脱落することで表面疵が多くなってしまった。
No.22の鋼板はCr含有量が高かったため、(1)式を満足せず表面酸化スケールが過剰に成長して密着性の乏しいスケールを形成し、耐酸化性がかえって悪くなった。また表面疵の原因となるCr窒化物が生成されるため、表面品質に劣った。
No.23の鋼鈑はTiの含有量が高かったため(1)式を満足せず、表面疵の原因となる炭窒化物が形成されてしまい、表面品質に劣った。
No.24の鋼鈑はREMの含有量が低かったため(3)式を満足せず、耐酸化性を向上させる効果や耐酸化性を阻害するSを介在物として固定する効果が十分に得られなかった。
No.25の鋼板はZr含有量が高いため(1)式を満足せず、多量の炭窒化物形成を原因とした表面疵が発生し、表面品質に劣った。
No.26の鋼鈑は(1)式を満足しなかった。また、Mo含有量が高いためスケールの密着性が低下し、耐酸化性に劣ってしまった。
No.27の鋼鈑Cr含有量が低く、(1)式および(2)式を満足しなかったため、耐酸化性に劣った。また、(3)式を満足しないため耐酸化性を向上させる効果や耐酸化性を阻害するSを介在物として固定する効果が十分に得られない。
No.28の鋼板はREM含有量が高いため、(1)式および(2)式を満足しない。また、熱間加工性および溶接性が低下し、連続鋳造時にイマースノズルの閉塞を引き起こし製造性が著しく悪化することから製造性に劣る。
No.29の鋼板はスラグ中のCaO濃度が35%と低かったことから、脱硫反応が進行しなかった。そのため、Sの含有量が高くなってしまったため、(1)式および(2)式を満足せず、多量の介在物が形成され、表面酸化スケール形成に必要なCrが消費されてしまうことから、耐酸化性に劣った。
No.30の鋼板はNi含有量が高かったため(1)式を満足せず、熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増大、更に製造コストが高くなってしまったため、予定の原価を達成できなかった。また、Mnの含有量が低かったため、脱酸作用やオーステナイト相安定化といった効果が十分に得られない結果となった。また、(3)式を満足しなかったため耐酸化性を向上させる効果や耐酸化性を阻害するSを介在物として固定する効果が十分に得られなかった。
No.31の鋼板は(1)式を満足せず、また、スラグ中CaO濃度が83%と高くなってしまったため、Caの含有量が高くなってしまった。Ca-Al酸化物系介在物を多く形成し、合金中のAlが消費されてしまい有効なAlが低下してしまったことから耐酸化性に劣った。
No.32の鋼板はNの含有量が高かったため(2)式を満足せず、耐酸化性に寄与するCr、Al、およびTiが窒化物として析出してしまい、十分な内部酸化物層が形成できず、耐酸化性に劣ってしまった。
No.33の鋼板はTiおよびZrの含有量が高かったため(1)式を満足せず、表面疵の原因となる多量の炭窒化物形成が形成されてしまい、表面品質に劣った。
No.34の鋼鈑はTiおよびZrの含有量が低かったため(1)式および(2)式を満足せず、耐酸化性に寄与するTiおよびZrの効果が十分に得られず耐酸化性に劣ってしまった。
No.35は各元素の成分範囲は満足しているが、(1)式、(2)式、および(3)式を満足しなかったため、十分な耐酸化性を有さなかった。
No.36は各元素の成分範囲は満足していたが、(2)式、および(3)式を満足しなかったため、十分な耐酸化性を有さなかった。
No.37は各元素の成分範囲は満足していたが、(1)式を満足しなかったため、十分な耐酸化性を有することができなかった。
本発明のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金は、上述した高温環境下における耐酸化性に加えて、耐熱性にも優れているため、熱交換器や燃焼部品などの高温環境にも好適に用いることができる。
1:表面酸化スケール層、2:内部酸化物層、3:界面


Claims (6)

  1. 質量%で
    C:0.004~0.13%、
    Si:0.15~1.0%、
    Mn:0.03~2.0%、
    P:≦0.040%、
    S:≦0.003%、
    Ni:20.0~38.0%、
    Cr:18.0~28.0%、
    Mo:≦1.0%、
    Cu:≦1.0%、
    N:≦0.03%、
    B:≦0.01%、
    Al:0.10~1.0%、
    Ti、Zrの少なくとも一方をTi:0.10~1.0%、Zr:0.01~0.6%、
    O:0.0002~0.0030%、
    Ca:≦0.002%、
    希土類元素(REM)であるLa、Ce、Yのいずれか一種または二種以上の総重量:0.001~0.010%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的な不純物からなる成分組成からなり、下記の(1)、(2)式を満足して含有することを特徴とするオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。
    85≧0.3×Si+1.5×Ni+1.3×Cr+5.8×Al+7.7×Zr+2.7×Ti+2173×REM―3582×S―32.9×Mo―2448×B≧47…(1)
    40≧0.6×Si+1.3×Cr+23.53×Al+5.88×Ti+3074×REM―5067×S―0.8×Mn―816×N≧0…(2)
    (ここで、上記式中の各元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。)
  2. 希土類元素(REM)であるLa、Ce、Yいずれかの一種または二種以上の総重量が下記の(3)式を満足した成分組成であることを特徴とする請求項1に記載のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。
    3.2≦REM(La、Ce、Y)/S…(3)
    (ここで、上記式中の各元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。)
  3. 7%O―16%HO―10%CO―0.5%CO―0.1%NO―bal.Nからなる混合ガス雰囲気中で室温から700~900℃を繰り返すサイクル試験にて形成される表面酸化スケールの組成が、質量%でCr:40%以上、Fe:10~20%、Ni:0~10%、O:10~40%、REM:0.05~0.5%、残部は不可避元素としてMn、Si、Tiを含有することを特徴とする請求項1に記載のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。
  4. 前記表面酸化スケールは10~100μmの厚さを有することを特徴とする請求項3に記載のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。
  5. 前記表面酸化スケールの直下に形成する内部酸化物層がCr、Si、Mn、Al、Ti、REMを少なくとも一種類以上含有した内部酸化物で構成されており、このときの内部酸化物層の面積率が表面酸化スケールの直下0.005mmあたり30%以上を有していることを特徴とする請求項3に記載のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金の製造方法であって、
    合金組成は、合金原料を溶解した後、精錬を行うことによって調整を行い、精錬では溶解させた合金原料(溶融合金)に酸素およびアルゴンの混合ガスを吹き込み脱炭し、窒素濃度を0.03%以下に制御した後、Cr還元し、その後、アルミニウム、石灰石および蛍石を溶融合金に添加して、CaO-SiO-Al-MgO-F系スラグを形成し、溶融合金中の酸素濃度を0.0002~0.0030mass%とし、その後にLa、Ce、Yのいずれか一種または二種以上含んだ原料を添加した後、鋳造を行いスラブを得て、これを熱間圧延工程に供することを特徴とするオーステナイト系Fe-Ni-Cr合金の製造方法。
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