JP7156219B2 - 硬化性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル硬化物 - Google Patents
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このような問題は、シリコーンゲル組成物中に硬化触媒として添加した白金系化合物及び該シリコーンゲル組成物の硬化に関与するケイ素原子結合水素原子のモル数とアルケニル基のモル数と比により大きく影響されることが知られている。このため、シリコーンゲル組成物中の白金系化合物の添加量を、得られるシリコーンゲル硬化物の高温における可視光透過率の経時的な低下を無視し得る程度に著しく減量したり、該シリコーンゲル組成物中のアルケニル基のモル数に対してケイ素原子結合水素原子のモル数を著しく過剰とする等の方法があるが、該シリコーンゲル組成物が硬化阻害を生じ易くなったり、また、得られるシリコーンゲル硬化物の硬度が経時的に大きくなったり、該シリコーンゲル組成物が硬化途上で発泡するという問題があった。
で表される亜リン酸化合物を特定量添加することで、高温条件による硬化においても、白金系触媒が白金ブラック化して相溶性が低下しシリコーンマトリックス中に相溶できずに黒色化し沈降(非相溶化)することにより硬化物が黒色化して透明性が低下するのを防止し、かつ密閉状態で50℃を超える温度に長時間晒された状態においても、性状や物性が安定し、深部硬化性に優れ、さらに高温においても優れた透明性(光透過性)を保持することができるシリコーンゲル硬化物を与えることができる硬化性シリコーンゲル組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
[1]
(A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001~0.2の正数であり、bは1.7~2.2の正数であり、a+bは1.9~2.4である。)
で表される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7~2.2の正数であり、dは0.001~1の正数であり、但しc+dは0.8~2.8である。)
で表される、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.01~3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)下記一般式(3)
で表される亜リン酸化合物: 上記(C)成分中の白金1原子に対し、一般式(3)で表される亜リン酸化合物が1分子以上10分子以下である量
を含有する硬化性シリコーンゲル組成物。
[2]
(A)成分が、下記平均組成式(1b)で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサンである[1]に記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
MαMVi βDγTδ (1b)
M:R1 3SiO1/2
MVi:R1 2RSiO1/2
D:R1 2SiO2/2
T:R1SiO3/2
(式中、M、MVi、D、Tはそれぞれ上記に示す単位であり、R、R1は上記と同じである。αは0.01~3.6の正数であり、βは0.01~3.6の正数であり、かつ、(α+β)=0.5~5であり、(α/β)=0.1~5である。γは10~1,600の正数であり、δは0.5~3の正数であり、((α+β)/δ)は0.8~1.7である。)
[3]
硬化してJIS K2220で規定される針入度が10~110であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]又は[2]に記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
[4]
[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性シリコーンゲル組成物を硬化してなるシリコーンゲル硬化物。
本発明にかかる(A)成分は、硬化性シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記平均組成式(1)で表される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を平均して少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001~0.2の正数であり、bは1.7~2.2の正数であり、但しa+bは1.9~2.4である。)
R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、その炭素原子数は、通常1~10、好ましくは1~6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換したクロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも合成が容易であることから、メチル基、フェニル基又は3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましい。
M:R1 3SiO1/2
MVi:R1 2RSiO1/2
D:R1 2SiO2/2
T:R1SiO3/2
(式中、M、MVi、D、Tはそれぞれ上記に示す単位であり、R、R1は上記と同じである。αは0.01~3.6の正数であり、βは0.01~3.6の正数であり、かつ、(α+β)=0.5~5であり、(α/β)=0.1~5である。γは10~1,600の正数であり、δは0.5~3の正数であり、((α+β)/δ)は0.8~1.7である。)
また、γは10~1,600の正数、好ましくは30~1,200の正数、より好ましくは50~1,000の正数であり、δは0.5~3の正数、好ましくは1~2.5の正数、より好ましくは1.2~2.1の正数であり、((α+β)/δ)は0.8~1.7、好ましくは0.85~1.5、より好ましくは0.9~1.2である。
また、((α+β)/δ)は0.8~1.2の範囲内である。これは、(α+β)すなわち無反応性の分子鎖末端(M単位)と反応性の分子鎖末端(MVi単位)の合計がすでにベースポリマー中で架橋点(分岐構造)を形成しているT単位の量と一定の比率とすることで、未硬化状態のシリコーンゲル組成物に十分な保存安定性と開封加熱時に十分な硬化性とを付与させることができるからである。((α+β)/δ)が0.8未満である場合、すなわちT単位の比率が大きくなりすぎると、未硬化状態のシリコーンゲル組成物は高温保管時に経時で増粘・ゲル化を起こす不具合が起こりやすくなる。また、((α+β)/δ)が1.7を超える場合、すなわちT単位の比率が小さくなりすぎると、ベースポリマー中の架橋点(分岐構造)が少なすぎるため、加熱後に十分な硬度を有するシリコーンゲル硬化物が得られなかったり、未硬化となる場合がある。
上記のγの値は10~1,600の正数であり、(A)成分の分岐鎖状オルガノポリシロキサンの粘度に反映されるため、使用用途によりγの数値の異なるベースポリマーを使用することが有利であるが、広域に使用される(A)成分の粘度を考慮すると、好ましくは30~1,200の正数、その中でも50~1,000の正数が特に好ましい。
次に、本発明にかかる(B)成分は、上記(A)成分と反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。該(B)成分は、下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7~2.2の正数であり、dは0.001~1の正数であり、但しc+dは0.8~2.8である。)
で表される、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが1分子中に有するケイ素原子結合水素原子(SiH基)は、通常、2~1,000個、好ましくは2~500個、より好ましくは2~100個、特に好ましくは2~80個である。
また、分子中の2官能性ジオルガノシロキサン単位(Si(R2)2O2/2)の繰り返し数(又は重合度)を示すeは1~598の整数であることが必要であり、好ましくは8~498の整数であり、より好ましくは18~98の整数である。eが1未満であると、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなり、作業性が悪くなるほか、得られるシリコーンゲル硬化物が硬すぎたりするおそれがある。またeが598を超える数値であると、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
本発明にかかる(C)成分は、前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)とのヒドロシリル化付加反応を促進させるための触媒として従来から通常使用されるものである。また、この(C)成分は、室温(23℃±15℃)における本発明の硬化性シリコーンゲル組成物の保存中において、後述する(D)成分の特定の亜リン酸化合物と混合すると、容易にかつ定量的に白金-亜リン酸化合物錯体を形成するものであり、該白金-亜リン酸化合物錯体を形成することで、50℃を超える温度に長時間晒された状態においても、性状や物性が安定した硬化性シリコーンゲル組成物を得ることが可能となり、また、高温においても優れた透明性(光透過性)を保持することができるシリコーンゲル硬化物が得られるものである。
本発明にかかる(D)成分であるトリオルガノシリル変性亜リン酸化合物は、前記(C)成分の白金系触媒と反応し、白金-亜リン酸化合物錯体を形成させることで、高温においても優れた透明性(光透過性)を保持することができるシリコーンゲル硬化物を与え、かつ50℃を超える温度に長時間晒された状態においても、性状や物性が安定し、深部硬化性に優れる硬化性シリコーンゲル組成物を得るための必須成分である。このトリオルガノシリル変性亜リン酸化合物としては、下記一般式(3)の構造を有することが必須である。
また、nは1,2又は3であり、特に2又は3であることが好ましい。すなわち亜リン酸化合物中のトリオルガノシリル基が多くなるほど、高温においても優れた透明性(光透過性)を保持することができる。これは、上記に示すトリオルガノシリル変性亜リン酸化合物と(C)成分である白金系触媒が配位することで、(A)成分であるオルガノポリシロキサンや(B)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対し、(C)成分の白金系触媒と(D)成分のトリオルガノシリル変性亜リン酸化合物の反応物との相溶性が向上することから、高温においても優れた透明性を保持することができるものと推定する。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物には、上記(A)~(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、反応促進剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、上記(A)~(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分の一部及び(C)、(D)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。常温にて未硬化組成物を保管する際は、(A)成分の一部及び(C)、(D)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)成分からなるパートとに分割することがより好ましい。
(A)成分である下記平均組成式(4)
M1.21MVi 0.88D97.7T2.0 (4)
M:(CH3)3SiO1/2
MVi:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2
D:(CH3)2SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
(α=1.21、β=0.88、γ=97.7、δ=2.0、(α+β)=2.09、(α/β)=1.375、((α+β)/δ)=1.045)
で示され、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して約1.68個有する23℃での粘度が800mPa・sの分岐鎖状オルガノポリシロキサン100部、
(B)成分である下記一般式(5)
(C)成分である白金原子を1.0%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.50部、
(D)成分である下記一般式(6)
任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.10部添加し、均一に混合した混合物1を得た。得られた混合物1を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
(A)成分である下記平均組成式(7)
M0.83MVi 0.84D98.2Dφ 2.2T1.5 (7)
M:(CH3)3SiO1/2
MVi:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2
D:(CH3)2SiO2/2
Dφ:(C6H5)2SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
(α=0.83、β=0.84、γ=100.4、δ=1.5、(α+β)=1.67、(α/β)=0.988、((α+β)/δ)=1.11)
で示され、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して約1.76個有する23℃での粘度が1,000mPa・sの分岐鎖状オルガノポリシロキサン100部、
(B)成分である下記一般式(5)
(C)成分である白金原子を1.0%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.50部、
(D)成分である下記一般式(6)
任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.10部添加し、均一に混合した混合物2を得た。得られた混合物2を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度42のシリコーンゲル硬化物を得た。
(A)成分である下記平均組成式(4)
M1.21MVi 0.88D97.7T2.0 (4)
M:(CH3)3SiO1/2
MVi:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2
D:(CH3)2SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
(α=1.21、β=0.88、γ=97.7、δ=2.0、(α+β)=2.09、(α/β)=1.375、((α+β)/δ)=1.045)
で示され、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して約1.68個有する23℃での粘度が800mPa・sの分岐鎖状オルガノポリシロキサン100部、
(B)成分である下記一般式(5)
(C)成分である白金原子を1.0%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.50部、
(D)成分である下記一般式(6)
任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.10部添加し、均一に混合した混合物3を得た。得られた混合物3を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
(A)成分である下記平均組成式(4)
M1.21MVi 0.88D97.7T2.0 (4)
M:(CH3)3SiO1/2
MVi:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2
D:(CH3)2SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
(α=1.21、β=0.88、γ=97.7、δ=2.0、(α+β)=2.09、(α/β)=1.375、((α+β)/δ)=1.045)
で示され、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して約1.68個有する23℃での粘度が800mPa・sの分岐鎖状オルガノポリシロキサン100部、
(B)成分である下記一般式(5)
(C)成分である白金原子を1.0%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.50部、
(D)成分である下記一般式(8)
(A)成分である下記平均組成式(7)
M0.83MVi 0.84D98.2Dφ 2.2T1.5 (7)
M:(CH3)3SiO1/2
MVi:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2
D:(CH3)2SiO2/2
Dφ:(C6H5)2SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
(α=0.83、β=0.84、γ=100.4、δ=1.5、(α+β)=1.67、(α/β)=0.988、((α+β)/δ)=1.11)
で示され、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して約1.76個有する23℃での粘度が1,000mPa・sの分岐鎖状オルガノポリシロキサン100部、
(B)成分である下記一般式(5)
(C)成分である白金原子を1.0%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.20部、
(D)成分である下記一般式(6)
任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.10部添加し、均一に混合した混合物5を得た。得られた混合物5を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、(D)成分である亜リン酸トリス(トリメチルシリル)を除いた以外は同様にして、混合物6を得た。この混合物6を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、(D)成分である亜リン酸トリス(トリメチルシリル)の代わりに亜リン酸トリイソプロピルを0.0160部(白金1分子に対して3.0分子となる量)用いた以外は同様にして、混合物7を得た。この混合物7を150℃で30分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、(D)成分である亜リン酸トリス(トリメチルシリル)を用いる代わりに亜リン酸トリス(2,4-tert-ブチルフェニル)を0.0828部(白金1分子に対して5.0分子となる量)用いた以外は同様にして、混合物8を得た。この混合物8を150℃で30分間加熱硬化したところ、表面のみ硬化し、深部は未硬化であった。
実施例1において、(D)成分である亜リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.1148部((C)成分白金1分子に対して15.0分子となる量)用いた以外は同様にして、混合物9を得た。この混合物9を150℃で30分間加熱硬化したところ、未硬化であった。
上記実施例1~5及び比較例1~4で得られた組成物を用いて、以下の試験を実施した。これらの結果を表1、2に示す。
硬化物の硬さは、上記実施例及び比較例で得られた組成物を、容器(寸法30mmφ×15mm)に入れて150℃にて30分間硬化させたのち、針入度を測定することで評価した。なお、針入度は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度であり、株式会社離合社製自動針入度計RPM-101を用いて測定した。
上記実施例及び比較例で得られた組成物の粘度を、回転粘度計を用いて23℃の温度条件にて測定した。
上記実施例及び比較例で得られた組成物を、容器(寸法30mmφ×15mm)に入れて150℃にて30分間硬化させたのち、硬化したシリコーンゲル硬化物を掻き出して深部まで硬化しているかを評価した。15mmの深さまで硬化しているものを合格、深部が液状であるものを不合格と判定した。
上記実施例及び比較例で得られた組成物を、容器(寸法30mmφ×15mm)に入れて150℃にて30分間硬化させたのち、さらに150℃にて2時間晒して硬化物を取り出し、冷却させた。その後、白い紙の上で色調を目視にて確認した。また、無色透明から淡黄色透明までを合格と判定し、それ以上着色が確認されたもの、あるいは、白い紙が見えなくなったものは不透明として不合格と判定した。
容量120mlのガラス製容器に上記実施例及び比較例で得られた組成物を100g入れ、空隙を窒素にて置換したのち密閉した。その後、充填した容器を70℃の乾燥機に入れ、10日間保管した。この時の空間に占める酸素濃度は計算上50ppm以下になるように窒素で置換した。その後、目視にて性状を確認した。また、液状を保てたものを合格と判定し、液状を保てなかったものを不合格と判定した。
また、上記高温保存性の試験により、70℃にて10日間放置後に性状が液状であるものは、上記と同様の条件にて硬化させたのち上記と同様に針入度を測定した。その際、製造初期の針入度から±5ポイント以内のものを合格、±5ポイントを超えるものや測定不可能であったものを不合格と判定した。
また、上記高温保存性の試験により、70℃にて10日まで液状性状が保たれたサンプルにおいては、回転粘度計を用いて23℃の温度条件にて粘度測定を行い、初期値と比較した。その際、粘度が製造初期値の2倍以内であるものを合格、粘度が製造初期値の2倍を超える場合は、保存性不合格と判断した。
上記高温保存性の試験により、70℃にて10日まで液状性状が保たれたサンプルにおいては、さらに、容器(寸法30mmφ×15mm)に入れて150℃にて30分間硬化させたのち、上記と同様にして、深部硬化性の評価を行った。
実施例1~5の組成物は、本発明の要件を満たすものである。実施例は使用する白金系触媒が多い条件を選択したが、そのような場合においても、硬化後に150℃の条件において晒されることで、白金系触媒が白金ブラック化して相溶性が低下しシリコーンマトリックス中に相溶できずに黒色化し沈降(非相溶化)することにより硬化物が黒色化して透明性が低下する現象が抑止されており、透明性が良好となっている。また製造初期の物性と性状が70℃にて10日間の保管サンプルにおいても保持されており、非常に保存安定性が良好な組成物であることが分かる。
これに対し、比較例1の組成物は、本発明の(D)成分である亜リン酸化合物を添加していないため、外観の色調が灰黒色まで変化して透明性が顕著に低下しており、また70℃保管における保存性は全くないことが分かる。比較例2においては、本発明の(D)成分である亜リン酸化合物にトリオルガノシリル基が含まれないため、亜リン酸化合物の添加による保存性向上は達成するものの、外観の色調が濃褐色まで変化し、透明性が顕著に低下している。比較例3においては、本発明の(D)成分とは構造が異なる亜リン酸化合物を使用した例であるが、このような亜リン酸化合物を使用した場合では、150℃で30分間の硬化条件では容器(寸法30mmφ×15mm)の底部までシリコーンゲル組成物が硬化していないことが分かる。その上、70℃保管にて8日ほどでゲル化してしまう。比較例4においては、本発明の(D)成分である亜リン酸化合物の添加量が白金1分子に対して15.0分子となる量と多すぎるため、150℃で30分間の硬化では硬化しないことが分かる。上記の結果から、本発明の有効性が確認できる。
Claims (4)
- (A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001~0.2の正数であり、bは1.7~2.2の正数であり、a+bは1.9~2.4である。)
で表される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平均して少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7~2.2の正数であり、dは0.001~1の正数であり、但しc+dは0.8~2.8である。)
で表される、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.01~3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)下記一般式(3)
で表される亜リン酸化合物: 上記(C)成分中の白金1原子に対し、一般式(3)で表される亜リン酸化合物が1分子以上10分子以下である量
を含有する硬化性シリコーンゲル組成物。 - (A)成分が、下記平均組成式(1b)で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサンである請求項1に記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
MαMVi βDγTδ (1b)
M:R1 3SiO1/2
MVi:R1 2RSiO1/2
D:R1 2SiO2/2
T:R1SiO3/2
(式中、M、MVi、D、Tはそれぞれ上記に示す単位であり、R、R1は上記と同じである。αは0.01~3.6の正数であり、βは0.01~3.6の正数であり、かつ、(α+β)=0.5~5であり、(α/β)=0.1~5である。γは10~1,600の正数であり、δは0.5~3の正数であり、((α+β)/δ)は0.8~1.7である。) - 硬化してJIS K2220で規定される針入度が10~110であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーンゲル組成物を硬化してなるシリコーンゲル硬化物。
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